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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】風力タービンの動作の移行
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02J3/38 160
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526850
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2022080992
(87)【国際公開番号】W WO2023079145
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21206947.0
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル ホーキンズ
(72)【発明者】
【氏名】デニス スタシニウク イェンセン
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】
風力タービン(100)が風力エネルギから電力を生成するように動作するエネルギハーベスティングモードへ風力タービンの動作を移行させる方法が提供される。風力タービン(100)に関連付けられているエネルギ貯蔵システム(50)は、風力タービンがその補助システム(10)に電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に、補助システム(10)に電力を供給するように構成されている。本方法は、補助システム(10)の第1のグループ(11)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(12,13,14)への電力供給を停止させる第1の動作モード(72)において風力タービン(100)を動作させることと、風力データおよび気象データのうちの少なくとも1つを含む環境データを取得することと、取得された環境データが予め定められた条件を満たすかどうかを判別することとを含む。予め定められた条件が満たされている場合に風力タービン(100)の動作がエネルギハーベスティングモード(74)へ移行され、ここで、動作をエネルギハーベスティングモード(74)へ移行させることは、エネルギ貯蔵システム(50)から第1のグループ(11)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(12,13,14)に電力を供給することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(100)が風力エネルギから電力を生成するように動作するエネルギハーベスティングモードへ風力タービンの動作を移行させる方法であって、
前記風力タービン(100)に関連付けられているエネルギ貯蔵システム(50)は、前記風力タービンがその補助システム(10)に電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に、前記風力タービンの前記補助システム(10)に電力を供給するように構成されており、
前記方法が、
・前記風力タービン(100)が風力エネルギから電力を生成しない第1の動作モード(72)で前記風力タービン(100)を動作させ、前記第1の動作モード(72)においては、前記補助システム(10)の第1のグループ(11)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(12,13,14)への電力供給を停止させ、前記補助システム(10)の第2のグループ(21)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(22,23,25)に前記エネルギ貯蔵システム(50)から電力を供給することと、
・風力データおよび気象データのうちの少なくとも1つを含む環境データを取得することと、
・取得された前記環境データが予め定められた条件を満たしているかどうかを判別することであって、ここで、前記予め定められた条件は、風速閾値、前記風力タービン(100)が電力を生成するように動作可能である風速範囲、風速傾向閾値(306)、または予想されるエネルギ生成に対して予め定められたエネルギ閾値、のうちの少なくとも1つを含む、ことと、
・前記予め定められた条件が満たされている場合に前記風力タービン(100)の動作を前記エネルギハーベスティングモード(74)へ移行させることであって、動作を前記エネルギハーベスティングモード(74)へ移行させることは、前記エネルギ貯蔵システム(50)から前記第1のグループ(11)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(12,13,14)に電力を供給することを含む、ことと、
を含み、
前記予め定められた条件は、前記風速傾向閾値(306)を含む、
方法。
【請求項2】
前記予め定められた条件のうちの風速閾値は、前記風力タービン(100)が電力を生成するように動作可能である風速値以上である最小カットイン風速閾値、および/または前記風力タービン(100)が電力を生成するように動作可能である風速値以下である最大カットイン風速閾値を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記環境データを取得することが、風速データを取得することと、該風速データを時間フィルタリングすることとを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、好ましくは、時間フィルタリングされた前記風速データ(301)を前記風速閾値および/または前記風速範囲と比較することを含む、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、取得された前記風力データから導出された風速傾向(305)を前記風速傾向閾値(306)と比較することを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記方法がさらに、
第1の時定数でフィルタリングされた時間フィルタリング風速データと第2の時定数でフィルタリングされた時間フィルタリング風速データとを比較することによって、または第1の時点についての風速データから取得された平均風速と前記第1の時点とは異なる第2の時点についての風速データから取得された平均風速とを比較することによって、前記風速傾向(305)を導出すること
を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記予め定められた条件は、前記風速閾値および/または前記風速範囲を含む風速条件およびさらに前記風速傾向閾値を含む風速傾向条件を含み、
前記風速条件および前記風速傾向条件が満たされている場合に、前記予め定められた条件が満たされるものとする、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記予め定められた条件は、前記風速閾値および/または前記風速範囲を含む第1の風速条件およびさらに第2の風速閾値(303)および/または第2の風速範囲を含む第2の風速条件を含み、
前記第2の風速閾値(303)は、前記風速閾値が最小閾値である場合には前記風速閾値よりも大きく、前記風速閾値が最大閾値である場合には前記風速閾値よりも小さく、かつ/または
前記第2の風速範囲は、それぞれ、前記風速範囲よりも狭くかつ前記風速範囲の内部に配置されており、
前記第2の風速条件が満たされている場合に、前記予め定められた条件が満たされるものとする、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記風速閾値および/または前記風速範囲は可変であり、前記エネルギ貯蔵システムに貯蔵されているエネルギ量に基づいて決定される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
貯蔵されているエネルギ量がより少ない場合、前記風速閾値がより厳しい値に設定され、かつ/または前記風速範囲がより狭い範囲に設定され、
貯蔵されているエネルギ量がより多い場合、前記風速閾値がより厳しくない値に設定され、かつ/または前記風速範囲がより広い範囲に設定される、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記気象データを取得することが、未来期間についての風況の予測を取得することを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、予測された風況を前記風速閾値および/または前記風速範囲と比較することを含み、
好ましくは、未来時点において、予測された風況が前記風速閾値を満たす場合かつ/または前記風速範囲内にある場合に、前記予め定められた条件が満たされるものとする、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記気象データを取得することが、未来期間についての風況の予測を取得することを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、予測された風況が前記風速範囲内にある連続期間を決定することを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、さらに、
・前記連続期間内に前記風力タービン(100)によって生成されることが予想されるエネルギ量を推定することと、
・推定されたエネルギ量と、前記風力タービンの動作を前記第1の動作モード(72)から前記エネルギハーベスティングモード(74)へ移行させるのに必要なエネルギ量よりも大きい、予め定められたエネルギ閾値とを比較することであって、ここで、前記推定されたエネルギ量が前記予め定められたエネルギ閾値を満たしている場合もしくはこれを上回っている場合に前記条件が満たされるものとする、ことと
を含み、かつ/またはさらに、
前記連続期間が予め定められた持続期間閾値を上回っている場合に前記条件が満たされていると判別すること
を含む、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
取得された前記環境データは、前記風力タービン(100)の位置または風力タービングループの位置に対してローカルであり、
前記移行は、それぞれの風力タービン(100)もしくはそれぞれの風力タービングループについてのローカルな前記環境データに基づいて、前記風力タービン(100)もしくは前記風力タービングループに対して個別に実行される、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記風力タービン(100)が前記エネルギハーベスティングモード(74)において動作しており、かつ予め定められた第2の条件が満たされている場合、前記方法は、前記風力タービン(100)の動作を前記第1の動作モード(72)へ移行させることを含み、
好ましくは、前記気象データを取得することが、未来期間についての風況の予測を取得することを含み、
前記予め定められた第2の条件が満たされているかどうかを判別することが、
・予測された風況とカットアウト風速範囲とを比較することと、
・予測された風況が前記カットアウト風速範囲外にある第2の期間を決定することと
を含み、
前記風力タービン(100)が前記エネルギハーベスティングモード(74)において動作しており、かつ前記第2の期間が維持期間よりも短い場合、前記風力タービン(100)の動作が、前記第2の期間中、前記エネルギハーベスティングモード(74)において維持される、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
風力タービン(100)が風力エネルギから電力を生成するように動作するエネルギハーベスティングモード(74)へ風力タービンの動作を移行させる制御を行うように構成された風力タービン制御システムであって、
前記風力タービン(100)に関連付けられているエネルギ貯蔵システム(50)は、前記風力タービン(100)がその補助システム(10)に電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に、前記補助システム(10)に電力を供給するように構成されており、
前記制御システム(20)は、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されている、
風力タービン制御システム。
【請求項15】
風力タービンの動作を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記風力タービン(100)に関連付けられているエネルギ貯蔵システム(50)は、前記風力タービン(100)がその補助システム(10)に電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に、前記補助システム(10)に電力を供給するように構成されており、
前記コンピュータプログラムは、前記風力タービン(100)の動作を制御する制御システム(20)の処理ユニット(26)によって実行される際に、前記処理ユニット(26)に、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実行させるための制御命令を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンの動作をエネルギハーベスティングモードへ移行させるための方法に関する。本発明はさらに、対応する、風力タービンの動作を制御する制御システムおよびコンピュータプログラムに関する。
【0002】
背景
風力タービンは、運動する風流からエネルギを抽出し、典型的には電力供給網に供給される電力を生成する。弱い風況では、またはサービス作業を実行する際には、風力タービンを停止させることができ、電力供給網からの電力を使用することで風力タービンを再始動させることができる。同様に、風力タービンに対して設計された風速を超える強い風況では、風力タービンの動作を停止させることができ、またはそれぞれの環境条件に起因する構造への負荷を最小化する動作状態へと移行させることができる。このことは、過度に大きな波の負荷または極端な風況を受ける洋上風力タービンにおいても同様に生じうる。
【0003】
風力タービンは、例えばグリッドの故障または任意の中間システムの故障により、電力供給網から切り離されることがある。また、幾つかの風力タービンは、グリッドに接続されておらず、例えばアイランドモードで動作しうる。このような風力タービンに、風力タービンが停止された後にその始動を容易にする電気エネルギを生成する装置を設けることは公知である。典型的な例は、始動に必要な電力を生成するディーゼルエンジンに結合された発電機である。大電力消費装置を含む複数の風力タービンシステムを動作させなければならないため、風力タービンの始動には大きな電力量が必要である。例えば、ヨー駆動装置およびピッチ駆動装置は、かなりの量の電力を消費しうる。特に、風力タービンロータは、ヨー駆動装置の動作によって、風向に対してアライメントされた状態になされなければならない。風力タービンのピッチシステムを動作のために準備するには液圧式ピッチシステムを加圧する必要があり、また、電気式ピッチシステムには非常用ピッチシステムのためのエネルギの回復が必要とされうる。さらに、風力タービンの電力変換ハードウェアは、動作に備えて、例えば比較的大きなサイズのキャパシタを含みうる電力変換器のDCバスを充電することにより、準備されなければならない。また、冷却システムの動作を開始する必要もあり、ここでの動作には、ファンの動作および冷却流体の循環が含まれうる。
【0004】
このように、相当量のエネルギが始動中に消費されるので、それぞれの電気エネルギを供給するシステムが始動後にまたは所定の僅かな回数の始動後に枯渇する可能性がある。したがって、さらなる始動の試行が不可能となることがある。このことは、特に始動直後に風力タービンを再停止する必要が生じる状況において問題となりうる。よって、始動のための電気エネルギを供給するシステム内のエネルギレベルを回復しなければならず、幾つかの状況ではこのことが不可能となったり、またはかなりの遅延を経てしか可能とならず、大きな労力を要する(例えば、洋上風力タービンのディーゼル発電機への燃料補給を要する)ことになったりする可能性がある。したがって、風力タービンにおいて始動のために利用可能なエネルギのこのような減少を回避することが望ましい。また、特にグリッドから切り離された風力タービンの場合、このようなエネルギ貯蔵システムを急速に枯渇させうる過剰なエネルギ消費を回避することも望まれている。
【0005】
文献である国際公開第2021/069045号は、測定された風速がウェイクアップ閾値を上回った場合に風力タービンをスリープ状態からアクティブ状態へと移行させる方法に関連している。測定された風速とウェイクアップ閾値とを比較する前に、風速またはウェイクアップ閾値のいずれかが、スリープ状態からの風力タービンの少なくとも1つの先行の移行の結果に基づいて調整される。
【0006】
概要
したがって、上述した欠点の少なくとも幾つかを緩和してこのような風力タービンの動作を改善する必要があり、特に、風力タービンに設けられたそれぞれのエネルギ貯蔵システムの枯渇の可能性を低減する必要がある。
【0007】
上記の要求は、各独立請求項記載の特徴によって満たされる。各従属請求項には、発明の実施形態が記載されている。
【0008】
一態様によれば、風力タービンが風力エネルギから電力を生成するように動作するエネルギハーベスティングモードへ風力タービンの動作を移行させる方法が提供される。風力タービンに関連付けられているエネルギ貯蔵システムは、風力タービンがその補助システムに電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合、例えば風力タービンがグリッドに接続されていない場合(例えば、グリッド接続が存在しない場合、または電力供給網から切り離されている場合、または電力供給網から必要な電力の一部分しか受け取ることができない場合)に補助システムに電力を供給するように構成されている。本方法は、風力タービンが風力エネルギから電力を生成しない第1の動作モード(例えばスリープモードと称することができる)で風力タービンを動作させることを含むことができる。第1の動作モードにおいては、補助電力システムの第1のグループの1つもしくは複数の補助電力消費装置への電力供給が停止される。さらに、第1の動作モードでは、補助電力システムの第2のグループの1つもしくは複数の補助電力消費装置にエネルギ貯蔵システムから電力が供給される。本方法はさらに、風力データおよび気象データのうちの少なくとも1つを含む環境データを取得することと、取得された環境データが予め定められた条件を満たしているかどうかを判別することであって、ここで、予め定められた条件は、風速閾値、風力タービンが電力を生成するように動作可能である風速範囲、風速傾向閾値、または予想されるエネルギ生成に対して予め定められたエネルギ閾値、のうちの少なくとも1つを含む、こととを含む。本方法は、予め定められた条件が満たされている場合に風力タービンの動作をエネルギハーベスティングモードへ移行させることであって、当該動作をエネルギハーベスティングモードへ移行させることが、エネルギ貯蔵システムから第1のグループの1つもしくは複数の補助電力消費装置に電力を供給することを含む、ことを含む。
【0009】
このような方法により、特に第1の動作モードでの動作により、1つのグループの補助電力消費装置のみが電力を受け取り、より大きな負荷を含みうる別のグループは電力を受け取れなくなるので、貯蔵されたエネルギが節約される。第1のグループの電力消費装置の電力消費は、特に、第2のグループの電力消費装置の電力消費よりも(著しく)大きくてよい。同時に、風力タービンは作動したままであり、これによりエネルギハーベスティングモードへの自動的な移行が可能となる。さらに、予め定められた条件に基づいてこのような移行を実行することによって、風況が十分な電力を生成できるものである場合にのみ移行が行われることが保証可能となる。例えば、上記の条件は、風力タービンの始動に必要とされる電気エネルギ量よりも大きい少なくとも1つの電気エネルギ量が生成されるように(すなわち移行が実行されるように)選択することができる。生成された電力は、例えばエネルギ貯蔵システムの再充電に使用することができ、これにより、エネルギ貯蔵システムが枯渇せず、繰り返しの始動が可能となる。特に、長期間のエネルギハーベスティングへの復帰のために、比較的迅速に反復されることになる再始動の失敗または再始動の試行を回避することができる。
【0010】
エネルギハーベスティングモードは、特に自立動作モードであってよく、このような自立動作モードでは、風力タービンの補助システムは、風力タービンによって生成された電力から電力供給されうる。したがって、風力タービンは、グリッド接続が存在しないことまたは風力タービンが電力網から切り離されたことによる可能性のある、グリッド接続が無い状態すなわちグリッド切断状態で、動作可能である。幾つかの例では、第1の動作モードにおいて、またはエネルギハーベスティングモードへの移行時に、電力網からの電力の小さな補助電源が依然として存在しうる。ただし、第1の動作モード中および移行中には、主たる電源(例えば、50%超、75%超または90%超の電源)はエネルギ貯蔵システムによって供給される。好ましくは、第1の動作モード中およびエネルギハーベスティングモードへの移行中には、電源の全てがエネルギ貯蔵システムから提供される。条件が満たされない場合、風力タービンは第1の動作モードでの動作を続行することができる。第1の動作モード自体が、それぞれ異なる動作モード、例えば第2のグループの補助電力消費装置のみに電力が供給されるスリープモードと、第2のグループの補助電力消費装置の一部のみに電力が供給されるもしくは第2のグループの補助電力消費装置にまったく電力が供給されない別の動作モードとを含みうることは明らかである。さらに、第1の動作モードからエネルギハーベスティングモードへの移行は中間動作モードを介して行うことができ、この中間動作モードは例えば「ローカル電力モード」と称されうるものであって、ここでは、第1のグループの補助電力消費装置および第2のグループの補助電力消費装置にエネルギ貯蔵システムからの電力が供給される(例えば全ての補助電力消費装置に電力が供給される)が、風力タービンはいまだ風力から電力を生成していない。
【0011】
風力タービンは、エネルギ貯蔵システムを含むことができる。例えば、エネルギ貯蔵システムは、風力タービン内に含まれていてもよいし、または風力タービンタワーに隣接して設けられていてもよい。
【0012】
システムパラメータおよび/または環境パラメータの(信号)傾向、例えば風速傾向は、システムパラメータおよび/または環境パラメータ、例えば風速が発生するもしくは変化していく大きさおよび/または方向を表すパラメータでありうる。当該傾向は、システムパラメータおよび/または環境パラメータが時間に関して増大しているのかもしくは減少しているのかを示すことができる。よって、当該傾向は、システムパラメータおよび/または環境パラメータの発生/変化の方向および/または大きさを示すことができる。特定の実施形態では、システムパラメータおよび/または環境パラメータの予測もしくは予想は、システムパラメータおよび/または環境パラメータの傾向に基づいて決定可能である。好ましくは、予測もしくは予想はさらに、システムパラメータのその時点でのもしくは実際の指標および/または環境パラメータのその時点でのもしくは実際の指標に基づいて行うことができる。
【0013】
傾向閾値はこのような傾向に関する閾値でありうる。傾向閾値は、例えば、このような傾向の最大値および/または最小値を示すものでありうる。
【0014】
一例では、予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することは、移行が行われたときにエネルギハーベスティングモードにおいて風力タービンの動作中に予想されるエネルギ生成の指標を判別することを含む。
【0015】
一例では、予め定められた条件のうちの風速閾値は、風力タービンが電力を生成するように動作可能である風速値以上である最小カットイン風速閾値、および/または風力タービンが電力を生成するように動作可能である風速値以下である最大カットイン風速閾値を含むことができる。したがって、これらの閾値により、取得された環境データに基づいてその時点での条件が風力タービンの動作範囲内にあるかどうかを判別することができ、これにより、風力タービンの始動が成功するチャンス、特に風力タービンの始動後に十分な量の電力が生成されるチャンスが高まる。最小カットイン風速閾値(最小閾値とも略記する)は、最大カットイン風速閾値(本明細書では最大閾値とも略記する)よりも小さくてよい。最大閾値および最小閾値は(カットイン風速を基準とした)風力タービンの動作風速範囲を定義するものであり、特にそれぞれの条件の風速範囲を定義することができる。
【0016】
一例では、(特に風力データの形態の)環境データを取得することは、風速データを取得することと、この風速データを時間フィルタリングすることとを含むことができる。予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することは、時間フィルタリングされた風速データを風速閾値(例えば最大閾値および/または最小閾値)および/または風速範囲と比較することを含むことができる。時間フィルタリングされた風速が最小閾値を上回りかつ最大閾値を下回る場合、または風速範囲内にある場合に、予め定められた条件が満たされるとすることができるが、さらに以下に示すような付加的な条件を適用することもできる。このような条件は、特に「風速条件」と称されうる。それぞれの時間フィルタリングされたデータを使用することは、始動によって充分な発電が達成されているとの判別の信頼性を高めることができるという利点を有しうる。時間フィルタリングは例えば平均化によって実行することができる。例えば、所定のウィンドウ長さ、例えば1s~10000s、好ましくは100s~5000s、例えば100s~1000sのウィンドウ長さを有する移動平均を風速データに適用可能である。風速データはデータの測定によって取得することができ、風力タービンはそれぞれの風力センサを有することができる。風速データは、それぞれの風速データを提供する外部データソースなどのデータソースから、またはローカル制御装置、例えばウィンドファーム制御装置もしくは別の風力タービンの風力タービン制御装置などから、データを受信することによって取得することもできる。さらに、こうした時間フィルタリングによって、信頼性が低い状態で、すなわち短時間の突風が発生した場合または強い風況の間に風速が一時的に最大閾値を下回った場合に風力タービンを始動させかねない風速の急激な変化に風力タービンが応答してしまうことを回避できる。
【0017】
幾つかの例によれば、予め定められた条件は、風速傾向閾値を含むことができる。予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することは、取得された風力データから導出された風速傾向を風速傾向閾値と比較することを含むことができる。傾向は、特に、風速が発生している方向であってよく、すなわち、風速が時間に関して増大しているのかもしくは減少しているのかを表すものであってよい。このような傾向を考慮することによって、ハーベスティングモードにおいて風力タービンが十分な量のエネルギを生成するチャンスをさらに増大させることができる。風速傾向を導出することは、例えばより短いウィンドウを有する移動平均でフィルタリングされたその時点での風速からより長い時間ウィンドウを有する移動平均でフィルタリングされたその時点での風速を減算することによって、例えば、第1の時定数で時間フィルタリングされた風速データと第2の時定数で時間フィルタリングされた風速データとを比較することを含む。移動平均は、例えば2つの異なるウィンドウ長さ、例えば1s~500sの第1のウィンドウ長さと500s~1000sの第2のウィンドウ長さとを使用することができる。また、風速傾向は、(例えば2つの異なる時点につき平均された風速の減算によって)第1の時点の風速データから取得された平均風速と、第1の時点とは異なる第2の時点の風速データから取得された平均風速とを比較することによって、導出することもできる。2つの異なる時点を観察すると、これらは例えば100s~5000s、例えば100s~1000s、例えば500sの時間差を有しうる。
【0018】
風速傾向閾値を使用する条件を風速傾向条件と称することができる。風速傾向条件は、例えば、より弱い風速のほうから最小風速閾値に達し、かつ風速傾向が上昇を示した場合、すなわち、導出された傾向が風速傾向閾値(例えば0m/s)よりも高い場合に満たされるものとされる。また、より強い風況から最大風速閾値に達し、風速傾向が低下する風速を示した場合、すなわち、導出された風速傾向が風速傾向閾値(例えば0m/s)より低い場合にも、満たされるものとすることができる。上述したように、最大閾値または最小閾値は、カットイン閾値に関連している。なお、0m/sなる閾値は風速傾向閾値の単なる一例であり、この閾値はより強い傾向が要求される場合に設定され、風速が増大する場合には例えば2m/s超、3m/s超、4m/s超またはそれ以上、風速が低下する場合には例えば-1m/s、-2m/s、-3m/sまたはそれ以上などのように設定可能であることは明らかである。風速傾向閾値は弱い風況と強い風況とに対して異ならせることができ、これらは双方とも異なる傾向を必要としうるので、このような異なる傾向閾値を予め定められた条件において使用することができる。
【0019】
一例では、予め定められた条件は、風速閾値および/または風速範囲を含む風速条件、およびさらに風速傾向閾値を含む風速傾向条件を含む。風速条件および風速傾向条件の双方が満たされている場合(風速と風速傾向条件とが組み合わされている場合)に予め定められた条件が満たされているとすることができる。したがって、これらの条件の双方が満たされることを要求することにより、エネルギ貯蔵システムが枯渇するチャンスをさらに低減することができ、エネルギハーベスティングモードにおいて十分な量のエネルギが生成されるチャンスを増大させることができる。
【0020】
(時間フィルタリングされた)風速が風力タービンの動作範囲の十分内側にある場合、予め定められた条件が満たされていると判別可能である。一例では、予め定められた条件は、例えば、風速閾値(すなわち言及している第1の最小閾値および第1の最大閾値)および/または風速範囲を含む第1の風速条件を含むことができる。予め定められた条件はさらに、第2の風速閾値および/または第2の風速範囲を含む第2の風速条件(例えば「十分な風速条件」と称される)を含むことができる。第2の閾値もしくは範囲は、特に第1の閾値もしくは範囲よりも厳しくてよい。例えば、第2の風速閾値は、言及している第1の最小閾値よりも大きい第2の最小カットイン風速閾値を含むことができ、言及している第1の最大カットイン風速閾値よりも小さい第2の最大カットイン風速閾値を含むことができ、かつ/または第2の風速範囲をより狭くすることができ、言及している第1の風速範囲内に配置することができる。第2の風速条件が満たされるならば、予め定められた条件が満たされるものとすることができる。したがって、このような第2の風速条件により、風速が動作範囲の十分内側にある場合には、付加的な条件の検査を必要とせずに風力タービンの始動により所望の量の電気エネルギを発生させることができる可能性が高い。第2の風速条件のほうがより厳しいので、第1の風速条件も満たされていることになるのである。特に、第2の風速条件は、取得された風力データにより表される(時間フィルタリングされた)風速がそれぞれの第2の風速閾値を上回るもしくは下回る場合または第2の風速範囲内にある場合に、満たされるとすることができる。
【0021】
一例では、風速閾値および/または風速範囲を可変とし、エネルギ貯蔵システムに貯蔵されているエネルギ量に基づいて決定することができる。したがって、貯蔵システム内に僅かなエネルギしか残っていないケースでは、充分な量の電気エネルギが生成されるチャンスが充分に高い場合にのみ風力タービンがエネルギハーベスティングモードへ移行されることが保証されうる。
【0022】
例えば、貯蔵されているエネルギ量がより少ない場合、風速閾値をより厳しい値に設定することができ、かつ/または風速範囲をより狭い範囲に設定することができる。貯蔵されているエネルギ量がより多い場合、風速閾値をより厳しくない値に設定することができ、かつ/または風速範囲をより広い範囲に設定することができる。より厳しい値とは、例えば、最小閾値がより高い値に設定される(すなわち、風力タービンの動作モードを移行させる前により高い風速が必要である)こと、および/または最大閾値がより低い値に設定される(移行がより低い風速でのみ発生する)ことを意味しうる。したがって、このように適応化された最小閾値および最大閾値は、より狭い範囲に対応しうる。時間フィルタリングされた風速データは、風速条件が満たされているかどうかを判別するために、このように適応化された閾値/範囲と比較することができる。
【0023】
風速閾値および/または風速範囲は、例えば、エネルギ貯蔵システムに貯蔵されているエネルギ量の関数でありうる。したがって、貯蔵されているエネルギ量の変化に応じて、閾値もしくは範囲を関数に従って適応化することができる。
【0024】
関数は、例えば、貯蔵されているエネルギ量に線形に依存する線形関数でありうる。例えば、閾値または範囲の境界は、貯蔵されているエネルギ量に依存して、それぞれの閾値もしくは境界についての最小値と最大値との間で線形に変化しうる。一例として、最小カットイン風速閾値は、より多い貯蔵エネルギ量に対する低いほうの所定の値、例えば3m/s~4m/sから、より少ない貯蔵エネルギ量に対する高いほうの所定の値、例えば5m/s~7m/sへと線形に変化しうる。ただし、最大カットイン風速閾値については、対応する線形の変化が逆方向で発生することがある。したがって、利用可能な貯蔵エネルギが高レベルであれば、始動の試行が失敗した場合(例えば風速が再び最小カットアウト閾値を下回って低下した場合)、充分な量のエネルギが残っているので、可能な限り早い時点で始動を試行することができる。利用可能な貯蔵エネルギが低レベルであれば、始動が成功する見込みがある場合、すなわち十分な量のエネルギが生成されることが確実である場合にのみ、始動、すなわちハーベスティングモードへの移行が試行可能となる。貯蔵されているエネルギ量に対するそれぞれの閾値もしくは範囲の依存関係を定める関数は、それぞれの風力タービンのためのハーベスティングモードへの移行に際して消費されるエネルギ量に基づくものであってよく、さらに付加的な安全マージンを考慮することもできる。
【0025】
一例では、気象データを取得することは、例えば風況を予測すること、未来の風況をモデリングすること、外部のデータソースから風況の予測を取得することなどによって、未来期間についての風況の予測を取得することを含むことができる。例えば風速、気温、気圧および/または他の環境パラメータを測定することができ、これらを用いて個々の風況をモデリングし、予測しまたは予想することができる。このことは、風力タービンにおいてローカルに、例えばそれぞれの風力タービン制御装置によって、またはウィンドファームレベル(ウィンドファーム制御装置)において、または外部の処理施設において行うことができる。風況は風速を含むことができ、場合により風向を含むことができる。
【0026】
予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することは、例えば、予測された風況を風速閾値および/または風速範囲と比較することを含むことができる。好ましくは、未来時点において、予測された風況が風速閾値を満たす場合(最小閾値を上回る場合または最大閾値を下回る場合)かつ/または風速範囲内にある場合(これは「予測された風速条件」と称することができる)に、予め定められた条件が満たされるものとされる。よって、例えば、それぞれの風速に達する前にそれぞれの補助電力消費装置に電力を供給することによって、風力タービンの移行を適時に準備することができる。例えば、風力タービンの動作をエネルギハーベスティングモードへ移行させることは、この移行を未来時点の前にまたは未来時点で実行することを含むことができる。当該移行は、例えば、ある未来時点から、風力タービンの移行手順をエネルギハーベスティングモードへ移行させるのに必要な時間を差し引いた時点で開始することができる。
【0027】
さらに、予測またはモデリングによって、風向、時刻、月日、太陽放射輝度、降水レベル、および開示しているパラメータの任意の履歴傾向、例えばそれぞれのパラメータの測定に利用可能な任意のセンサのパラメータの履歴傾向を考慮することができる。さらに、外部データソースから取得された天気予報を基礎とすることもできる。風況の予測は、例えば、測定された風速、取得された気象情報、外部サービスから、例えば気象サービスから取得された情報などに基づくものであってよく、特にモデルベースのものであってよい。
【0028】
一例では、気象データを取得することは、氷条件を予測することを含むことができる。それぞれの氷条件は、ロータブレードの氷結が発生しうる条件でありうる。氷条件の予測は、上述した予測方法のいずれかを使用するものであってよく、かつ/またはロータブレード上の氷の有無を検出するように適応化された専用のセンサおよび/または負荷監視方法を使用するものであってもよい。
【0029】
取得された環境データが予め定められた条件を満たしているかどうかを判別することは、氷条件の有無が検出または予測された場合に、風速閾値および/または風速範囲を調整することを含みうる。付加的にもしくは代替的に、氷条件が検出または予測された場合に、取得された環境データが予め定められた条件を満たしているかどうかを判別することは、それぞれの氷結が検出または予測されたならば条件が満たされていないと判別すること、すなわち、風力タービン動作がエネルギハーベスティングモードへ移行していないと判別することを含むことができる。
【0030】
上述した実現形態によれば、予測により未来期間における動作範囲への風速の復帰が予測されている場合には、個々の風力タービンについて、始動されてから生成に到達するまでに必要な時間(例えば5分)および動作範囲内の風況の到達予想時間に基づき、風力タービンのウェイクアップをスケジューリングすることができる。よって、風力タービンは、風況の到来に応じて遅延なく始動の準備を整えることができる。例えばウィンドファームレベルにおいて、個々の風力タービンを、それぞれの風況がそれぞれの風力タービンに到達した時点に応じてそれぞれ異なる時点での始動のためにスケジューリングすることができる。
【0031】
一例では、取得された環境データは、風力タービンの位置または風力タービングループの位置に対してローカルなものとすることができる。移行は、それぞれの風力タービンもしくはそれぞれの風力タービングループについてのローカルな環境データに基づいて、風力タービンまたは風力タービングループに対して個別に実行することができる。風力タービングループは、例えば、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の風力タービンを備えることができ、これらの風力タービンは相互に隣接するように配置することができる。特に、グループの風力タービンは類似の風況を受けることができる。
【0032】
本方法は、例えば、所定の基準を満たすことが予測された風況において到来する変化の最も近くに配置された風力タービンにつき、ウィンドファームの風力タービンの動作モードをエネルギハーベスティングモードへ最初に移行させることと、続いて、風況において到来する変化が最初に到来した位置から離れたさらなる風力タービンの動作を移行させることとを含むことができる。ウェイクアップ間の時間差は、風速変化が第1の位置から第2の位置へとウィンドファームを通して進行するのに必要となる時間に相当しうる。
【0033】
さらなる一例では、予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することは、予測された風況が(実質的に)風速範囲内にある連続期間を決定することを含むことができる。予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することは、さらに、当該連続期間内に風力タービンによって生成されることが予測されるエネルギ量を推定することと、推定されたエネルギ量と予め定められたエネルギ閾値とを比較することとを含むことができる。ここでの予め定められたエネルギ閾値は、風力タービンの動作を第1の動作モードからエネルギハーベスティングモードへ移行させるのに必要とされるエネルギ量よりも大きくすることができる。当該条件は、推定されたエネルギ量が予め定められたエネルギ閾値(これは「予測されるエネルギ生成条件」と称されうる)を満たしている場合もしくはこれを上回っている場合に満たされるものとすることができる。したがって、予想されるエネルギ生成が始動中に消費されるエネルギ量よりも大きいことを保証することにより、エネルギ貯蔵システムが枯渇しないことを保証できる。予測された連続期間により、特に、始動に使用されるエネルギの回復を可能にすることができる。エネルギ閾値はさらに、例えば、風力タービン動作をハーベスティングモードに移行させるために必要なエネルギ量の20%~100%、例えば40%~60%の付加的なエネルギマージンを有することができる。予測データにおける小さい外れ値および短時間の外れ値が予測された連続期間の中断を引き起こさないよう、予測される風力条件を時間フィルタリングまたは平滑化することができることも明らかである。当該期間が短すぎて十分な量のエネルギを生成できない場合、条件は満たされず、移行は行われない。
【0034】
さらなる一例として、連続期間が予め定められた持続時間閾値(「予測されたハーベスティング期間条件」と称されうる)を上回っている場合に予め定められた条件が満たされていると判別可能である。このような期間閾値によって、風力タービンの始動後に十分な量のエネルギが生成されることを同様に保証できるが、当該閾値は、予測される風速に依存しているものの、実際に生成されるエネルギの量を考慮していないので、精度が低い。
【0035】
予め定められた条件が本明細書に開示している種々の条件のうちの1つもしくはその組み合わせを含みうること、例えば、ここでの包括条件のうちの1つが満たされるならば予め定められた条件が満たされるとしてよいことは明らかである。予め定められた条件は、例えば、組み合わされた風速条件もしくは風速傾向条件、十分な風速条件、予測される風速条件、予測されるエネルギ生成条件および予測されるハーベスティング期間条件のうちの少なくとも1つを含むことができ、好ましくはこれらの条件のうちの少なくとも2つ、3つまたはそれ以上を含むことができる。幾つかの例では、予め定められた条件は、少なくとも風速条件もしくは風速傾向条件と十分な風速条件との組み合わせを含むことができる。他の例では、予め定められた条件は、少なくとも予測されるエネルギ生成条件および任意選択手段としての予測される風速条件および/または予測されるハーベスティング期間条件を含むこともできる。したがって、予め定められた条件に含まれるこれらの条件のうちの1つもしくは複数が満たされる場合に、風力タービンをエネルギハーベスティングモードへ移行させることができる。
【0036】
予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することは、例えば、ウィンドファーム制御装置によってまたはウィンドファーム外部のコンピューティングシステムによって風力タービンの外部で行うことができるが、風力タービン制御装置によって実行することもできる。前者のケースでは、風力タービンの動作の移行を、それぞれの制御コマンドを風力タービンへ通信することによって実行することができる。
【0037】
一例では、風力タービンがエネルギハーベスティングモードにおいて動作しており、かつ予め定められた第2の条件が満たされている場合、本方法は、風力タービンの動作を第1の動作モードへ移行させることを含むことができる。予め定められた第2の条件は、上述した予め定められた第1の条件と類似のものであるが、例えば、カットアウト閾値および/またはカットアウト風速範囲、例えば下回ると第2の基準が満たされる最小カットアウト風速もしくは上回ると第2の基準が満たされる最大カットアウト風速を使用することもできる。予め定められた第2の条件のカットアウト風速閾値および/またはカットアウト風速範囲は、上述した予め定められた第1の条件とは異なっていてよく、特に、第1の動作モードとエネルギハーベスティングモードとの間の移行の回数が低減されるようにヒステリシスが取得される。換言すれば、最小カットアウト風速閾値は最小カットイン風速閾値よりも小さくすることができ、最大カットアウト風速閾値は最大カットイン風速閾値よりも大きくすることができ、かつ/またはカットアウト風速範囲は言及された第1の風速範囲よりも広くすることができる。
【0038】
一例では、気象データを取得することは、未来期間についての風況の予測を取得することを含むことができ、予め定められた第2の条件が満たされているかどうかを判別することは、予測された風況とカットアウト風速範囲とを比較することと、予測された風況がカットアウト風速範囲外にある第2の(連続)期間を決定することとを含む。風力タービンがエネルギハーベスティングモードにおいて動作しており、かつ第2の期間が予め定められた維持期間よりも短い場合、風力タービンの動作は、第2の期間中、エネルギハーベスティングモードにおいて維持される。したがって、予測により動作範囲外の風速の短い持続時間が予測された場合、この期間が十分に短ければ、風力タービンの停止すなわち第1の動作モードの導入を阻止することができる。特に、予め定められた維持期間は、風力タービンが第1の動作モードに移行した場合に必要となる、始動中に消費されるエネルギ量に基づいて決定することができる。特に、当該期間は、消費されるエネルギがより少ない第1の動作モードへの移行によってエネルギが節約されるように選択可能であり、低い風速が支配的である第2の期間中に動作がハーベスティングモードで維持される場合には、ハーベスティングモードへ戻されるエネルギは消費されるエネルギよりも小さくなるように選択可能である。したがって、このような手段により、エネルギ貯蔵システムのそれ以上の枯渇を回避することができる。
【0039】
こうした動作を、風速が風力タービンの動作範囲を下回っている場合または上回っている場合にも実行できることは明らかである。風速が動作範囲を上回っており、かつ風力タービンがエネルギハーベスティングモードにおいて動作を続行する場合には、風力タービンを高い風速でのロータブレードのピッチアウトなどから保護するための従来の措置を講じることができるが、第1のグループの補助電力消費装置には電力が供給されてアクティブなままとなる。
【0040】
本方法はさらに、エネルギハーベスティングモードで動作している場合に、エネルギ貯蔵システムに貯蔵されているエネルギ量を増大させることを含みうる。上述したように、エネルギハーベスティングモードでは、第1のグループの補助電力消費装置が電源オンとなって動作し、生成される電気エネルギを使用して(自立動作)、例えば風力タービンを風向に対してアライメントし、ブレードピッチなどが制御されるように動作する。
【0041】
第1のグループの補助電力消費装置は、動作復帰のために十分な風況を判別するのに重要でないコンポーネント、および/またはコマンドおよび制御能力を提供するコンポーネントを含みうる(これらは第2のグループに含まれていてよい)。例えば、第1のグループの補助電力消費装置は、風力タービンのコンポーネントを作動させるように構成された1つもしくは複数のアクチュエータまたは駆動装置を含むことができる。第1のグループの補助電力消費装置は、風力タービンのヨーシステム、風力タービンのピッチシステム、風力タービンの巻上げシステム、風力タービンの作業用リフト、風力タービンの冷却システム、および風力タービンの環境管理システム(例えば温度制御部および湿度制御部を含むことができる)のうちの1つまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0042】
第2のグループの補助電力消費装置は、風力タービンの通信および制御を行い、風況を取得するように構成された1つもしくは複数の装置を含むことができる。例えば当該消費装置は、風力タービンの風力センサ、風力タービン制御装置および/または風力タービン通信装置を含むことができる(これらは、例えば、外部との通信、例えば環境データなどのデータの受信および外部サイトからの制御コマンドの受信などを提供することができる)。したがって、第1の動作モードにおいては、制御および通信システムならびに場合によりセンサシステムを動作させることができ、これにより、エネルギ消費を低く抑えた状態で、エネルギハーベスティングモードへの復帰移行の時点が風力タービンによって決定される。
【0043】
第1のグループの補助電力消費装置は、100kW超、例えば100kW~1000kW、または200kW~500kW、例えば250kW~400kWの複合電力要件を有しうる。第2のグループの補助電力消費装置は、50kW未満、好ましくは10kW未満、例えば0.1kW~10kW、または0.2kW~5kW、例えば2kW未満の複合電力要件を有しうる。したがって、第1の動作モード(例えばスリープモード)で動作する場合、大幅な電力消費の節約が達成可能である。
【0044】
第1のグループの補助電力消費装置は、300V超、特に300V~1000Vの動作電圧を有しうる。これらは三相電源から電力供給可能である。第2のグループの補助電力消費装置は、300V未満の動作電圧、例えば100V~250Vの動作電圧を有しうる。これらは、特に大きなモータを駆動する必要がないので、単相供給によって電力供給可能である。上記の値は、それぞれの消費装置の公称定格電力および公称定格電圧として参照されうる。
【0045】
エネルギ貯蔵システムは、好ましくは再充電可能なエネルギ貯蔵システムであってよい。当該システムは、バッテリエネルギ貯蔵システム(BESS)、水素貯蔵装置および貯蔵された水素から電気エネルギを生成するように構成された水素変換システムを含む水素貯蔵システム、フライホイールエネルギ貯蔵システム、キャパシタ(例えばスーパーキャパシタ)エネルギ貯蔵システム、または蓄熱装置および貯蔵された熱エネルギから電力を生成するように構成された変換システムを含むサーマルストレージシステムのうちの少なくとも1つを含むことができる。好ましくは、BESSまたは水素貯蔵システムが提供される。幾つかの例では、エネルギ貯蔵システムは、化石燃料によって駆動される発電機(例えばディーゼル発電機)の形態でエネルギが貯蔵される化石燃料駆動型発電機を含みうるが、これは、エネルギ貯蔵システムが再充電不能であるため、あまり好ましくない。
【0046】
別の一態様によれば、風力タービン制御システムが、特に風力タービンの動作を、風力エネルギから電力を生成するために動作するエネルギハーベスティングモードへ移行させる制御を行うように構成されている。風力タービンに関連付けられているエネルギ貯蔵システムは、風力タービンがその補助システムに電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に当該補助システムに電力を供給するように構成されている。当該制御システムは、本明細書に記載の構成および実施形態のいずれかに従って方法を実行するように構成可能である。
【0047】
別の一態様によれば、このような制御システムおよびさらにエネルギ貯蔵システムを有する風力タービンが提供される。エネルギ貯蔵システムは、風力タービンのタワー内、例えばタワー内のタワープラットフォーム上にまたはタワーに隣接して、配置可能である。
【0048】
別の一態様によれば、風力タービンの動作を制御するためのコンピュータプログラムが提供される。風力タービンに関連付けられているエネルギ貯蔵システムは、風力タービンがその補助システムに電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に当該補助システムに電力を供給するように構成されている。当該コンピュータプログラムは、風力タービンの動作を制御する制御システムの処理ユニットにより実行される際に、本明細書に記載の構成のいずれかを有する方法を処理ユニットに実行させるための制御命令を含む。
【0049】
本方法は、本明細書で説明する構成のいずれかを有する制御システムまたは風力タービンによって実行することができる。本方法はさらに、制御システムまたは風力タービンに関して本明細書で説明するステップのいずれかを含むことができる。同様に、制御システムは、本明細書に開示する実施形態および実施例のいずれかの方法を実行するように構成可能である。
【0050】
上述したおよび以下に説明する特徴は、示しているそれぞれの組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせにおいても、または単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく使用可能であると理解されたい。特に、反対の旨の記載がない限り、本発明の種々の態様および実施形態の各特徴は相互に組み合わせ可能である。
【0051】
本発明の上記のおよび他の特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことによりさらに明らかとなるであろう。図面における同様の参照番号は同様の要素を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】一実施例による制御システムを含む風力タービンを示す概略図である。
図2】一実施例による風力タービンの種々の動作モード間の移行を示す概略図である。
図3】一実施例による、風速、風速傾向および風力傾向条件が満たされたときのグラフを示す概略図である。
図4】一実施例による、風力タービンのエネルギ貯蔵システムに貯蔵されているエネルギ量に対する風速閾値の依存関係のグラフを示す概略図である。
図5】一実施例による風力タービンを制御する方法を示すフローチャートの第1の部分である。
図6図5のフローチャートの第2の部分である。
【0053】
詳細な説明
以下に、本発明の実施形態および/または実施例を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。各実施形態についての以下の説明は例示の目的で設けているに過ぎず、限定の意味で解釈されるべきでないことを理解されたい。図面は概略的な表現に過ぎないものと見なされるべきであり、図面中の要素は必ずしも相互に縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。むしろ、様々な要素の表現は、その機能および一般的な目的が当業者に明らかとなるように選択されたものである。本明細書での使用において、単数形「ある」「1つの」(“a”,“an”,“the”)は、文脈において明示的に別様の指示がなされていない限り、複数形も含むことが意図されている。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」(“comprising”,“having”,“including”,“containing”)などの語は、特に別様の記載がない限り、オープンエンドの語である(すなわち「~を含むが、これのみに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。
【0054】
図1には、一実施例による風力タービン100が概略的に示されており、この風力タービン100は、発電機111および電力調整システム112を含む風力タービン電力システム110を含むことができる。電力システム110は、フルコンバータトポロジまたは2重給電誘導発電機(DFIG)トポロジなどの任意の公知のコンフィグレーションおよびトポロジを有していてよく、ここでは、電力調整装置112、特に電力変換器が、生成された電力を調整するために発電機のロータ巻線に接続可能である。さらに、外部電力供給網200への供給前に、または代替的に1つもしくは複数のローカル消費装置への供給前に、生成された電力を所望の電圧レベルへ変換する風力タービントランス115を設けることができる。図1の実施例では、風力タービン100は、外部電力供給網200、例えば電力グリッドに接続されており、この場合、外部電力供給網200は、特に、例えば弱風の期間において、またはメンテナンス作業のためもしくは風力タービン自体が電力を生成しないその他の状況において風力タービン100を動作させるために、風力タービン100に電力を供給することのできるグリッドであってよい。それぞれのスイッチ、特にスイッチギヤ201を用いることにより、例えばグリッドの故障またはグリッド接続の利用不能を引き起こす他の事象の発生に応じて、風力タービン100を外部電力供給網200から切り離すことができる。他の実施例では、外部電力供給網200への接続が全く存在していない(すなわち、外部電力供給網200が任意選択手段である)こともある。こうした風力タービンは、例えば、1つもしくは複数のローカル消費装置へ電力を供給することができるが、ローカル消費装置へのここでの接続を介して風力タービン100へ電力を供給することはできない。このような動作は、アイランド動作とも称されうる。本解決手段は、通常はグリッドに接続されているが所与の理由で(例えばスイッチ201を開放することにより)グリッドから切り離された風力タービンのために、または通常はグリッドに接続されておらず、風力タービン内部もしくはその近傍の電力消費装置(ローカル電力消費装置)に電力を供給するように動作する風力タービンのために、または風力タービンの補助システムを動作させるための十分な電力を電力供給網が供給できない風力タービンのために、風力タービンの自立動作(エネルギハーベスティングモード)への移行を提供する。このような自立動作により、風力タービンの長時間の停止に関連する損傷もしくは損傷可能性が回避され、洋上風力タービンにとって特に重要な、外気湿度および外気温への風力タービンのコンポーネントの曝露の回避を達成することができる。
【0055】
グリッド接続が存在しないかまたはグリッド接続が切り離されている場合、風力タービン100はエネルギハーベスティングモードで動作可能であり、このエネルギハーベスティングモードでは、電力システム110が、補助電力網40および補助電力消費装置12~14;22~25を含む補助システム10に電力を供給する。なお、グリッド切断状態で風力タービンを動作させる際の課題は、例えば環境条件が風力タービンの動作範囲外にある場合、または発電に必要な風力タービンシステムのいずれかに故障が発生している場合、補助システム10への電力供給を維持するための風力からの電力が常に利用できるとは限らないことである。風力タービンの動作に影響を及ぼしうる環境条件には、過度に高い風速もしくは過度に低い風速、または過度に高い周囲温度または過度に低い周囲温度が含まれる。故障には、風力タービンのピッチシステムの故障、ヨーシステムの故障、監視システムの故障、制御システムの故障または電力変換システムの故障が含まれうる。
【0056】
補助システム10は、外部のグリッド200から電力が得られないかもしくは十分な電力が得られず、しかも電力システム110からも電力が得られない場合に、補助システム10(の少なくとも一部)を動作させるための電気エネルギを供給するように構成されたエネルギ貯蔵システム50を含みうる。エネルギ貯蔵システム50は補助電力網40に電力を供給することができ、補助電力網40がこの電力を補助電力消費装置に分配する。例えば、スイッチ(図示せず)、例えば3方向スイッチを、補助電力網40用の電源を制御するために使用することができる。こうしたスイッチは、風力タービン電力システム110とエネルギ貯蔵システム50との間で電力供給を移行させるように切り替え可能であり、さらに、風力タービンの動作モードに依存して2つの電源を補助システムから切り離すように切り替え可能でありうる。
【0057】
補助電力消費装置は、少なくとも第1のグループ11と第2のグループ21とに分割可能である。少なくとも第1のグループ11への電力供給、好ましくは2つのグループ11,21への電力供給を個別に制御することができる。第1のグループ11の消費装置は、一般的に、風力タービンを動作復帰させるのに十分な風況を判別することにとって、かつ/またはコマンドおよび制御能力を決定することにとっては重要でない。第1のグループ11は、例えば比較的大きな電力消費装置を含むことができ、例えば比較的高い定格電力を有しており、特に1つもしくは複数の装置を含むことができる。例として、ヨーシステム12、ピッチシステム13および冷却システム14が挙げられうる。第1のグループ11に含まれる他のシステムは、風力タービン内の温度および湿度を制御するACシステムを含む、クレーンホイスト、作業用リフト、高電力アウトレットおよび環境システムを含むことができる。第1のグループ11の補助電力消費装置の複合定格電力は、例えば250kW~400kWの範囲にありうる。典型的には、それぞれの消費装置は、300V~1000Vの電圧範囲で、例えば400Vまたは690Vで、三相AC電圧供給を受け取ることができる。よって、これらの消費装置は大量の電力を消費するが、風力タービン100の動作を維持するため、例えばヨー駆動装置12を使用して風向を追跡するため、ピッチシステム13を使用してロータの回転速度を制御するためなどに必要とされる。
【0058】
第2のグループ21の補助電力消費装置は、風力タービン100を動作復帰させるためにかつ/またはコマンド形成能力および制御能力のために十分な風況の存在を判別することにとって重要な消費装置を含みうる。第2のグループ21は低電力消費装置を含むことができ、すなわち、風力タービン制御装置25および通信インタフェース23などのような比較的低い公称定格電力を有している。システムはさらに、風力センサを含みうる風力タービンの監視システム22を含むことができるが、制御装置25により、風力タービン100の外部にあるセンサから通信インタフェース23を介してそれぞれの風情報を取得することもできる。第2のグループ21は、特に100V~300Vの範囲の電圧、例えば110Vまたは230Vの電圧を有する単相電力供給を受け取る補助電力消費装置を含みうる。第2のグループ21の消費装置は、0.1kW~10kW、例えば0.3kW~5kWの複合公称定格電力、好ましくは2kW未満または1kW未満の複合公称定格電力を有しうる。第2のグループ21の補助電力消費装置は、風力タービンの主機械システムのうちのいずれをも実際に作動させることができない場合にも、例えば制御コマンドを(例えばウィンドファームの制御装置から)受信するため、かつ/または環境データを受信するため、かつ/または監視データを提供するために、風力タービン100の動作を制御して外部と通信することが可能となる。
【0059】
風力タービン制御装置25は制御システム20の一部を形成するものであってよく、この風力タービン制御装置25は、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路、デジタルシグナルプロセッサなどを含むことのできる処理ユニット26を含むことができる。風力タービン制御装置25はさらに、処理ユニット26に結合され、処理ユニット26によって実行される際に本明細書に記載の方法のいずれかを処理ユニット26に実行させるための制御命令を記憶したメモリ27を含むことができる。メモリ27は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ、特にハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、RAM、ROM、EEPROMなどを含むことができる。風力タービン制御装置25はさらに、図1に破線で示されている制御されるべきコンポーネントへのそれぞれの入出力インタフェース、ディスプレイおよび入力手段を含むユーザインタフェース、ならびにコンピュータシステムに共通の他のコンポーネントなどのような、明示されていない他のコンポーネントを含むことができる。通信インタフェース23および/または監視ユニット22は、制御システム20の一部を形成することもできる。
【0060】
図1の実施例では、第1のグループ11の消費装置への電力供給が第2のグループ21の消費装置から独立して制御されるように、ブレーカの形態のスイッチ42をエネルギ貯蔵システム50と第1のグループ11との間に接続することができる。したがって、第1のグループ11の補助電力消費装置へのエネルギ貯蔵システム50からの電力供給を停止(中止)して、エネルギ消費を低減させることができる。後にさらに詳述するように、制御装置25は、第1のグループ11の消費装置に対して電源を選択的に作動させるもしくは遮断することのできる種々の動作モードで、風力タービン100を動作させることができる。
【0061】
任意選択手段として、無停電電源(UPS)45の形態の別個の第2の貯蔵装置を、エネルギ貯蔵システム50から第2のグループ21の消費装置までの電力供給経路上に一列に接続することもできる。このようなUPSにより、(例えばそれぞれのスイッチを介した)電源間の移行または利用可能な電源システムのうちのいずれかにおける故障のような短期間の停電が風力タービンの制御能力、監視能力および/または通信能力の即座の損失にいたらないことを保証することができる。
【0062】
エネルギ貯蔵システム50は、複数の異なる形式で実現することができる。実現形態は、特に、図1に示されているようなバッテリエネルギ貯蔵システム(BESS)および水素貯蔵システムを含むことができる。ただし、フライホイール貯蔵システム、(スーパー)キャパシタ貯蔵システム、熱貯蔵システムなど、またはディーゼル発電機のような他の実現形態または実施例も考えられる。システム50は再充電可能であることが好ましい。本明細書において提供している説明は、これらの可能な実現形態または実施例のいずれにも適用可能である。水素貯蔵システムとして実現されている場合、風力タービン100は、電力システム110から供給される電力を使用して風力タービン100の動作中に水素ガスを生成する水素生成システムを含むことができる。こうした水素生成システムは、水源から水を受け取り、電気分解により水素ガスを生成することができる。次いで、生成された水素ガスを、風力タービン内の水素リザーバおよび/または外部水素収集タンク(図示せず)に貯蔵することができる。エネルギ貯蔵システム50はさらに、リザーバに貯蔵された水素から電気エネルギを生成して補助網40に供給する燃料電池を含むこともできる。
【0063】
風力タービン100の制御システム20は、通信インタフェース23、監視ユニット22、エネルギ貯蔵システム50、電力システム110、スイッチ42、UPS45ならびに補助システム10、特に第1のグループ11の消費装置および第2のグループ21の消費装置を含む、風力タービンの複数のコンポーネントを制御するかつ/またはこれらと通信することのできる風力タービン制御装置25を含むことができる。当該制御システム20はさらに、風力タービンを外部のグリッド200、風力タービントランス115および風力タービン100の他のコンポーネントから切り離すためのスイッチ201を制御することもできるが、図1には個々の制御および通信の接続は示されていない。
【0064】
図1に示されているトポロジ以外のトポロジを本明細書で開示している解決手段と共に使用できることは明らかである。例えば、エネルギ貯蔵システム50は、オンラインUPSとして接続されて(UPS45の必要性を回避する)バイパスを含むことができ、または(第2のグループ21のみに電力が供給される場合にはスイッチ42が不要であるため)UPS45に給電するように接続可能であり、またはその他の構成も考えられ、本開示の範囲内に含まれる。
【0065】
制御システム20は、エネルギハーベスティングモードで風力タービン100を動作させることができ、このエネルギハーベスティングモードでは、電力システム110が、補助システム10を動作させるために必要となる電力の全部もしくは大部分(50%超、70%超または90%超)を供給し、すなわち風力エネルギから電力を生成する。当該動作モードでは、グループ11および21の双方ならびに好ましくは全ての補助電力消費装置に電力が供給される。エネルギハーベスティングモードは、特に自立動作モードであってよい。
【0066】
このようなハーベスティングモードにおいて風力タービン100が動作するための条件(例えば風速が動作範囲外にある)が与えられていない場合、制御システム20は、風力タービン100を、スリープモードでありうるまたはスリープモードを含みうる第1の動作モードで動作させることができる。当該第1の動作モードでは、第1のグループ11への電力供給を停止することができ、第2のグループ21は電力の全部または大部分(50%超、70%超または90%超)をエネルギ貯蔵システム50から受け取ることができる。特に、電力システム110は、電力を供給せず、また電力を電力網200(このような電力網がそもそも存在する場合)から受け取っていない可能性がある。したがって、上述した動作モードによって、風力タービン100の監視機能および制御機能をアクティブに維持することができる一方、グループ11の主要な補助負荷には電力が供給されないので、エネルギ消費を低く維持することができる。
【0067】
制御システム20は、図2に示されているように、別の動作モードで風力タービン100を動作させることができる。風力タービン100がグリッド200(存在する場合)に接続されている場合、風力タービンは、グリッドに接続された風力タービンの従来の動作状態を含みうるグリッドモード75で動作可能である。グリッドモード75では、グリッドからの電力または生成された電力を使用して、エネルギ貯蔵システム50をフル充電状態まで充電することができ、またはフル充電状態に維持することができる。グリッドモード75は任意選択手段であり、グリッド接続が存在しない風力タービンでは使用できない。監視ユニット22はグリッドの状態を監視することができ、グリッドが利用可能でなくなったことまたは切り離されたことが検出された場合には、風力タービンの動作を以下で説明するグリッド切り離し動作へ移行させることができる。モード75では、風力タービンは、外部電力供給網から補助システム10に電力が供給される領域83において動作可能である。
【0068】
風力タービン100はさらに上述したエネルギハーベスティングモード74において動作可能であってよく、このモードでは、発電機111が、風力タービンロータからの回転機械力を、エネルギ貯蔵システム50を含む補助システム10および場合によりローカルな負荷(自立動作領域82)へ供給される電力へと変換する。
【0069】
動作領域81では、補助システム10または少なくともそのコンポーネントに、エネルギ貯蔵システム50からの電力が供給可能である。動作領域81では、電力システム110が電力を生成せず、風力タービンがグリッド200(存在する場合)から電力を受け取れないかまたは少なくとも補助システム10に電力を供給するのに十分な量の電力が得られない(例えば必要な電力の50%未満、20%未満もしくは10%未満しか得られない)可能性がある。当該領域81における動作モードは、第1の動作モード72(スリープモード)を含むことができ、さらに、いわゆるローカル電力モード71(第2の動作モード)を含むことができる。ローカル電力モードでは、補助電力消費装置の2つのグループ11,21に、好ましくは全ての補助電力消費装置に、エネルギ貯蔵システム50から電力を供給することができる。さらに、風力タービンは休止モード73(第3の動作モード)で動作可能であり、この休止モード73では、補助システム10に電力が供給されず、風力タービンを実質的に完全に停止させることができる。
【0070】
図2の矢印は、これらの動作モード間の可能な移行を例示している。外部の電力供給網に接続されておらず、エネルギハーベスティングを開始する前であっても、風力タービンは、ローカル電力モード71において動作可能である。当該モードは、風力タービンの動作を開始するために、または風力タービンをエネルギ生成の準備が整った状態に維持するために、設けられていてよい。例えば、風に対する風力タービンロータのアライメントを確立するために、風の追跡を実行することができ(ヨーシステムの動作)、システム冷却(冷却流体の循環)、加熱および除湿も同様に行うことができる。さらに、動作のために(例えばDCリンクキャパシタを充電するために)電力調整装置112を準備し、例えばピッチシステムの液圧システムを所定の圧力のもとに置くことができる。風力タービンの始動を開始すべき場合、風力タービンのピッチシステム13は、ロータ速度の加速が可能となるように動作させることができる。風力タービンロータがカットインロータ速度に達すると、動作がエネルギハーベスティングモード74へ移行可能となる。したがって、スリープモード72からエネルギハーベスティングモード74への移行の場合、当該移行はローカル電力モード71を介して行うことができ、すなわち、当該移行は、風力タービンを第2の動作モード71で動作させることを含みうる。グループ21の多数の負荷を動作させる必要があることから、当該移行は貯蔵システム50からのエネルギの著しい消費に関連することは明らかである。
【0071】
エネルギ貯蔵システムがそれ以上枯渇せず、手動での始動に十分なエネルギが利用可能であることを保証するために、貯蔵システム50内のエネルギ量が最低レベルに達したことに応じて、休止モード73への移行を行うことができる。グリッド接続動作モード75からグリッドに接続されていない自立動作モード74への移行も同様にローカル電力モード71を介して行うことができる。
【0072】
貯蔵システム50のエネルギ消費を低減し、ひいては利用可能なエネルギが枯渇するリスクを低減するために、スリープモード72からエネルギハーベスティングモード74への移行は、予め定められた条件が満たされたことを制御システム20が判別したときに行うことができる。したがって、始動の試行の失敗を回避することができる。特に、予め定められた条件は、始動の試行のために(すなわち移行のために)必要とされるよりも多くのエネルギがハーベスティングモードにおいて回復される見込みが増大するように選択可能である。ウェイクアップシーケンスすなわちモード74への移行は、タービンのサイズおよびタイプに応じて、15kWh~20kWhの範囲の貯蔵エネルギを消費しうる。
【0073】
電力生成を停止させるユーザからのコマンド、故障の発生、電力生成不能となる弱すぎる風速、電力生成不能となる強すぎる風速、および/またはこうした動作を妨害する他の環境条件に起因して、エネルギハーベスティングモード74において風力タービンが動作することを阻止することができる。これらのうちのいずれかが発生した場合、制御システムは、風力タービンの動作をスリープモード72へ移行させ、これにより、動作復帰に必要なシステムへの給電を維持しつつ、低レベルの電力がエネルギ貯蔵システム50によって消費されることを保証することができる。スリープモードの間に故障またはユーザコマンドによって風力タービンが停止した場合には、故障を解消する必要があり、また動作復帰を可能にするためにいずれかのユーザコマンドを解放する必要がある。風力タービンが(強すぎるまたは弱すぎる)風速によって停止した場合には、監視ユニット22が風況の監視を続行することができ、または通信インタフェース23を介して風況を取得することができ、その間、スリープモードにおいて風力タービンの再始動を試行する時点を風力タービン制御装置25が決定することができる。
【0074】
信頼性が低い可能性がある風速の急激な変化にタービンを応答させず、短時間の突風から始動させる(弱風のために停止された場合)かまたは離脱させる(強風のために停止された場合)ために、測定されたもしくは受信された風速データの時間フィルタリングを利用することができる。時間フィルタリングされた風速は、平均、特に移動平均であってよく、例えば1s~10000sの、好ましくは50s~1000sの、例えば100s~200sのウィンドウ長さでの移動ウィンドウ平均であってよい。
【0075】
当該フィルタリングされた風速vfilterが最小カットイン風速閾値threshmin_cut-in(弱風によって停止した場合;最小閾値と略記する)を上回ると、風力タービンの再始動が可能となる。同様に、高い風速によって停止した場合には、最大カットイン風速閾値threshmax_cut-in(最大閾値と略記する)を用いることができる。よって、
filter>threshmin_cut-in(低い風速による場合)
または
filter<threshmax_cut-in(高い風速による場合)
の場合に、風速条件が満たされるものと定義することができる。
【0076】
したがって、これらの閾値によってカットイン風速の風速範囲を定義することができ、フィルタリングされた風速がここでのカットイン風速範囲に入る場合に、風速条件が満たされるものとする。
【0077】
さらに、それぞれの閾値の短時間の超過が始動の試行を生じさせることを回避するために、過去の風速傾向vtrend(履歴傾向)を考慮することができる。履歴傾向風速は、時間フィルタリングされた風速の組み合わせから取得することができる。例えば、履歴傾向風速は、それぞれ異なるウィンドウ長さでフィルタリングされた、時間フィルタリングされた風速の現在値の差によって、
trend=vfilter(length1)-vfilter(length2)
として決定することができる。
ここで、フィルタ長さは、例えばlength1=120sおよびlength2=600sとすることができる。それぞれ異なるフィルタ長さを使用することに代えて、傾向を判別するための他の任意の公知の方法、例えば2つの異なる時点での同じ長さの2つの平均値間の差またはカーブフィッティングなどを使用できることは明らかである。このようにして風速傾向条件を定義することができ、これは、
trend>threshtrend_min(低い風速による場合)
または
trend<threshtrend_max(高い風速による場合)
の場合に満たされるものとすることができる。
【0078】
傾向閾値は、それぞれ、0m/s~99m/sの範囲または0m/s~-99m/sの範囲の任意の風速に設定可能である。
【0079】
例えば、最小風速閾値および最大風速閾値についての限界は、
threshmin_cut-in=3.5m/s
threshmax_cut-in=22m/s
に設定することができ、さらに、風速傾向閾値は、
threshtrend_min=0m/s
threshtrend_max=0m/s
に設定することができる。
【0080】
0m/sの傾向閾値は、低い風速から動作範囲内へ入る場合には風速傾向が正でなければならず、高い風速から動作範囲内へ入る場合には風速傾向が負でなければならない(すなわち、履歴において風速が低下する)ことを意味する。傾向閾値としてより高い値またはより低い値、例えばthreshtrend_min=1m/s、2m/sまたは3m/sおよびthreshtrend_max=-1m/s、-2m/sまたは-3m/sを選択することによって、傾向条件をより厳しく設定できることは明らかである。
【0081】
風速条件および風速傾向条件の双方が満たされる場合に、エネルギハーベスティングモードへの移行が行われる予め定められた条件が満たされているとすることができる。
【0082】
さらに、時間フィルタリングされた風速が動作範囲の十分内側にある場合には、上述した第1の風速条件の閾値に対して十分な安全マージンを有する第2の閾値を含む第2の風速条件を定義することができ、すなわち、第2の閾値によって定義されるそれぞれの範囲は、より狭く、上述した第1の閾値によって定義される範囲の内部にある。当該第2の風速条件(これは「十分な風速基準」と称することができる)が満たされる場合には、履歴風速傾向は考慮しなくてよい。当該第2の風速条件は、例えば、ユーザコマンドまたはタービン故障シナリオに起因する停止期間(スリープモードでの動作)後に使用可能である。当該第2の風速条件は、
fi1ter>thresh_suffmin_cut-in(低い風速による場合)
または
fi1ter<thresh_suffmax_cut-in(高い風速による場合)
の場合に満たされるとすることができる。
ここで、thresh_suffmin_cut-inは、第2の最小カットイン風速閾値(十分な風況)であり、thresh_suffmax_cut-inは、第2の最大カットイン風速閾値(十分な風況)である。各閾値は、上述した第1の閾値よりも厳しく(すなわち動作範囲のより内側に入るように)、例えば、
thresh_suffmin_cut-in=6m/s
thresh_suffmax_cut-in=20m/s
と設定することができる。
【0083】
したがって、時間フィルタリングされた風速が当該第2の最小閾値を上回って上昇するかまたはこの第2の最大閾値を下回って低下する場合、第2の風速条件ひいては予め定められた条件が満たされるものとすることができ、これにより、制御システム20は、風力タービンをエネルギハーベスティングモード74へ移行させることができる。
【0084】
図3の上のグラフ300には、120sのウィンドウ長さでフィルタリングされた例示的な風速(曲線301)と600sのウィンドウ長さでフィルタリングされた例示的な風速(曲線302)とが示されている。さらに、第2の風速閾値(thresh_suffmin_cut-in)が示されている(曲線303)。第2のグラフ304には、第1のグラフ300の曲線から上で示したように決定された風速傾向の値(曲線305)が示されている。さらに、風速傾向閾値306(threshtrend_min)も示されている。
【0085】
第3のグラフ308は、グラフ300およびグラフ304におけるデータ(3.5m/sの最小風速閾値)に基づき、第1の風速条件および風速傾向条件の組み合わせが満たされているかどうかについてのブール値を示している。ここでは、最小閾値は常に満たされているが、グラフ304から、傾向条件が曲線の一部のみについて満たされている(ブール値が1である)ことが見て取れる。ブール値が1になると直ちに風力タービンがエネルギハーベスティングモードへ移行し、次いで、風速が最小カットアウト閾値を下回るまで(または最大カットアウト閾値を上回るまで)当該モードにおいて動作を続行することが明らかである。つまり、グラフ308に示されているブール値における変化は動作モードの移行ではない。
【0086】
エネルギハーベスティングモードへの移行(ウェイクアップの試行)によって消費されるエネルギは、風力タービンが電力生成のために動作し始めたときにウェイクアップの実行によって消費されたエネルギを回復できるようにするために妥当とされる重要な因子でありうる。貯蔵システム50内に貯蔵されているエネルギのレベルが低い場合、ウェイクアップ後の長い動作期間の発生を保証するために、風力条件は動作風速範囲の充分内側に入るべきである。このことは、エネルギ貯蔵システム50において利用可能なエネルギを使用することによって、上述した風速閾値を決定するために考慮することができる。閾値threshmin_cut-inおよびthreshmax_cut-inは、例えば、特に貯蔵システム50に貯蔵されているエネルギ量に依存して、特にはその関数として選択可能である。ここでの関数の例が、弱風でのウェイクアップ状況のための曲線401、すなわち最小閾値を示す図4に示されている。x軸は利用可能なエネルギ量を示しており、y軸は最小閾値の値を示している。最小閾値の値は、利用可能なエネルギが最大であるときの3.5m/sから利用可能なエネルギが最小であるときの6m/sまで変化しうる。
【0087】
したがって、利用可能なエネルギが高レベルである場合、可能な限り早い時点で始動を試行することができる。なぜなら、始動の試行が失敗したとしても、十分な量のエネルギが残っているからである。利用可能なエネルギが低レベルの場合、始動の成功が確実である場合にのみ、始動が試行される。曲線401は、安全マージンが付加された、所与のタイプのタービンでのウェイクアップの試行において消費されるエネルギ量に基づいて定義することができる。これらは単なる例示の値であり、所望の動作特性および動作条件に依存して値を選択できることは明らかである。
【0088】
上述した組み合わされた風速条件もしくは傾向条件および十分な風速条件のほか、制御システム20は、エネルギハーベスティングモードへ動作を移行させるために、予め定められた条件の一部としてさらなる条件を使用することもできる。例えば天気予報を利用することができ、また特に風況を予測することができる。こうした予測は、ユニット22を使用して風力タービンにおいて行われたローカルな測定および/または通信インタフェース23を介して取得された気象情報に基づくものでありうる。監視ユニット22は、風速および風向のみならず、温度および気圧を監視するセンサも含むことができる。これらの信号に基づき、天気予報モデルを制御システム20によって使用して予測を行うことができ、かつ/または今後の風況の予想を形成することができる。こうしたモデルは、風力タービン制御装置25を使用して、かつ/または制御システム20の一部を成すものであってもよい風力タービン100の外部のウィンドファーム制御装置(図示せず)を使用して、実行することができる。他の信号、例えば時刻、月日、太陽放射輝度、降水レベルおよび任意の利用可能なセンサデータの履歴傾向もしくは外部データの履歴傾向などを、こうしたモデルへの入力として用いることもできる。
【0089】
また、予測または取得された予測データによって、上述した条件の信頼性を低下させる可能性のあるロータブレードへの着氷のリスクを考慮することもできる。ユニット22のセンサを使用して氷検出を実行することができ、または氷の有無を検出するためにユニット22によって負荷監視方法を実行することもできる。ロータへの着氷が検出された場合、制御システム20は、例えばスリープモード72からのウェイクアップを阻止し、またはウェイクアップに対して要求される風速を変更し、すなわち、それぞれの風速閾値もしくは風速範囲に対してより厳しい値を設定する(例えばより高い最小閾値またはより低い最大閾値を設定する)ことができる。
【0090】
モデルベースの予測に代えてもしくはこれと組み合わせて、利用可能な気象サービスからの気象情報を通信インタフェース23を介して取得することができ、また風況および/または着氷条件を予測するために使用することができる。ここで予測された情報はウィンドファーム制御装置から風力タービン制御装置25へ通信することができ、または風力タービン制御装置の外部で(例えばウィンドファーム制御装置によって)処理することができ、基本的なコマンド信号(例えば動作モードを移行させるための信号)のみを風力タービン100へ通信することができる。例えばそれぞれの条件が満たされているかどうかを検査することによって、天気予報情報が風力タービン制御装置25の外部で処理される場合、例えばスリープモードからの風力タービンのウェイクアップを調整することで、さらなる利益を得ることができる。
【0091】
予測により、所定の未来時点でもしくは所定の未来期間で風速が動作範囲へ復帰することが予測された場合、(使用されるモデルに依存して、それぞれの時定数でフィルタリング可能な、または既に平滑化可能となっている)予測された風速とそれぞれの風速閾値、例えば上述した最小閾値および/または最大閾値とを比較することによって、検査することができる。予測データによりさらに、例えば風速が動作範囲内に留まること、すなわち風速が最小カットアウト風速を下回って低下しないこともしくは最大カットアウト風速を上回って上昇しないことがどの程度の長さで、例えばどの程度の連続期間で予想されるかに関する推定が可能となる。つまり、風速傾向は、予測される風速データでは考慮されていない可能性がある。エネルギハーベスティングモードへの移行(ウェイクアップ)は、始動および生成への到達に必要とされる時間(例えば5分)と、移行を可能にするそれぞれの風況の到着予想時間とに基づいて、個々の風力タービンに対してスケジューリングすることができる。このようにして、風力タービンは、風況が許容する状態となったら遅延なく始動の準備を整えることができる。また、大規模ウィンドファームでは、制御システムは、風況の変化が到来している最も近いファームの風力タービンに対して早期にスリープモードからウェイクアップするように命令し、次いで、後続の風力タービンを、風速の変化(すなわち条件を満たす風速)がウィンドファームを通って進行すると予想される予測速度に基づいてウェイクアップさせることができる。
【0092】
予測される風速がそれぞれの風速閾値内に入るかどうかを検査することに加えて、予想されるエネルギ生成の量も考慮することができる。予測により、所定の未来時点で短期間だけ風速が動作領域へ復帰することが予測された場合、始動中に消費されるエネルギ量を、エネルギ生成が可能となる当該期間中に風力タービンが生成する予想エネルギ量と比較することができる。予想されるエネルギ生成によって、動作の移行に使用されるエネルギ(すなわち、エネルギ貯蔵システムを少なくとも先行のレベルまで再充電するためのエネルギ)に所定のマージン(例えば移行に必要なエネルギの少なくとも30%、40%または50%)を加えただけの回復が可能である場合、風力タービンは、制御システム20から、例えば上述したようにウェイクアップおよび移行を実行するよう命令されうる。ここでの目的のために、予想される生成エネルギ量を、回復に必要とされる量およびマージンを含みうるそれぞれのエネルギ閾値と比較することができ、予想される量が閾値よりも大きい場合に移行が行われる。期間が短すぎて、予想されるエネルギ生成が始動中に消費されるエネルギの回復にとって十分でない場合、ウェイクアップコマンドは発出されない。したがって、こうした動作により、エネルギ貯蔵システム50が枯渇しないことが保証可能となる。
【0093】
風力タービンがエネルギハーベスティングモード74で既に動作しており、予測により、所定の期間にわたって動作範囲外の風速が生じることが予測された場合であって、当該期間にわたってスリープモード72への移行なしに動作が続行される(すなわちローカル電力モード71での動作が続行される)ときには、風力タービンによって消費されるエネルギ量を推定することができる。ここでの推定エネルギ量は、当該期間にわたってスリープモードで風力タービンを動作させ、動作をスリープモードへ移行させさらにスリープモードから移行させるために必要とされるエネルギ量と比較することができる。必要なエネルギが不足でスリープモードへの移行が行われていないと推定された場合、当該期間中、こうしたスリープモード72への移行なしで動作を続行させることができる(風力タービンは、例えば風況が動作範囲外である場合に短時間だけモード71へ移行し、次いでエネルギハーベスティングモード74へ復帰することができる)。このような短時間のスリープモードへの移行を回避することにより、さらなるエネルギ節約がもたらされうる。
【0094】
図5および図6のフローチャートには、風力タービン100のそれぞれの動作の概要が示されており、ここでは、方法を、風力タービン100の動作を制御する制御システム20により実行することができる。ステップS10では、風力タービンがスリープモードで動作可能となる。ステップS11では、例えば風速および任意選択手段としての他のデータ、例えば監視ユニット22を使用して気象データを測定することによって、かつ/または通信インタフェース23を介してそれぞれのデータを受信することによって、環境データを取得することができる。さらに、エネルギ貯蔵システム50の貯蔵状態を取得して、利用可能なエネルギ量を推定することができる。ステップS12では、風速に関する予測を、例えば、取得された気象データに基づいて風速をモデリングすることによって、またはインタフェース23を介してそれぞれの予測データを受信することによって、取得することができる。ステップS13では、最小閾値および最大閾値(または対応するそれぞれのカットイン風速範囲)を、例えば図4に即して上述したように、貯蔵システム50に貯蔵されているエネルギ量に基づいて決定することができる。
【0095】
ステップ14では、予め定められた条件が満たされているかどうかが検査可能である。上で詳述したように、これには複数の条件の検査を含めることができ、これらの条件のうちの1つが満たされた場合に予め定められた条件が満たされるとすることができる。当該検査は、例えば、組み合わされた風速条件または風速傾向条件の検査、十分な風速条件(より狭い第2の風速範囲)の検査、未来の風速条件の検査、すなわち、予測された風速がそれぞれの風速閾値もしくは風速範囲を満たすかどうかの検査、(風況が動作範囲内に入ると予測される)未来期間において生成されると推定されるエネルギ量がそれぞれ予め定められたエネルギ閾値よりも大きいかどうかの検査などを含むことができる。ステップS15では、これらの条件のうちの1つ、ひいては予め定められた条件が満たされているかどうかが判別されうる。満たされていない場合には、ステップS10において、スリープモードで動作を続行させることができる。
【0096】
ステップS15で条件のうちの1つが満たされている場合、制御装置は、ステップS16において、動作をエネルギハーベスティングモードへ移行させることができる。ステップS16は、例えば、必要とされる風力タービンシステムに電力を供給し、ヨー駆動装置を使用して風の追跡を開始し、さらにピッチ駆動装置を使用してロータ加速を開始するために、ローカル電力モード71における動作を含みうる。ステップS17では、移行が完了し、風力タービンがエネルギハーベスティングモード74で動作することができる。ステップS18では、エネルギハーベスティングモードを停止させるべきかどうか、例えば風速が最小カットアウト風速閾値を下回って低下したかどうか、または最大カットアウト風速閾値を上回って上昇したかどうかを検査することができる。カットアウト閾値はカットイン閾値とは異なって設定でき、特にこれらを(最小カットアウトの場合)より低い値または(最大カットアウトの場合)より高い値に設定できることが明らかである。換言すれば、スリープモードとエネルギハーベスティングモードとの間での頻繁な変化を回避するために、ある程度のヒステリシスを設けることができる。ステップS18で検査可能な、風力タービンがエネルギハーベスティングモードを離脱する原因となりうる他の条件には、動作を阻害する風力タービンでの故障の発生、動作を停止させるようにとのオペレータコマンドの受信、(定期的に発生する)自己保全行動の必要性の判別(例えば、タワーケーブルのねじれの解消、安全システムの自動診断など)、および/またはエネルギ貯蔵システムのフル充電の判別が含まれうる。
【0097】
当該条件がステップS18において満たされない場合、例えば風速が依然として動作範囲内にある場合、ステップS17でのエネルギハーベスティングモードにおける動作を続行することができる。そうでない場合、ステップS10のスリープモードへ戻るように動作を移行させることができる。上で概述したように、こうした移行は、(例えば風力タービンロータを安全に減速させるなどのために)ローカル電力モード71を介して同様に行うことができる。また、上述したように、風速が動作範囲外へ低下したが十分に短い期間のみであった場合、このこともステップS18において検査可能であり、ステップS17でのエネルギハーベスティングモードにおける動作を続行することができる。
【0098】
図5および図6に示されているステップのうちの幾つか、例えばステップS12(予測データが使用されないケースもありうる)またはステップS13(閾値の適応化を行わないケースもありうる)などが任意選択手段であることが明らかである。他の例として、予測データのみが使用され、方法の他のステップおよびそれぞれの条件が利用されないこともある。好ましくは、本方法は、当該予測データが十分な品質(例えば十分な信頼度)で利用可能である場合は、予測データ、特に予測された風速に基づいて移行についての判別を行うことができ、そうでない場合には、例えば組み合わされた風速条件もしくは風速傾向条件および十分な風速条件を使用して、実際に監視されたデータに基づいて判別を行うことができる。よって、エネルギ貯蔵システム50の枯渇のリスクを最小化する信頼性の高い動作を達成することができる。特に、エネルギ貯蔵システム50を枯渇させうる、風力タービンの再始動の試行の失敗および迅速な連続した実行を、回避することができる。
【0099】
制御システム20が風力タービン制御装置25を含むことができ、この風力タービン制御装置25が上述した方法を実行できることは明らかである。代替的にもしくは付加的に、風力タービン制御装置25にウィンドファーム制御装置を含め、このウィンドファーム制御装置により、例えば動作モードの移行を生じさせるために1つもしくは複数の風力タービンにそれぞれの制御信号を送信することによって、上述した方法を実行することもできる。また、制御システム20を分散型制御システムとして実現することもでき、この場合、幾つかの機能(例えば風速の予測)をウィンドファーム制御装置によって実行し、一方、他の機能(例えば、風速データの監視および評価、動作モードの移行)を風力タービン制御装置25によって実行することができる。他の実現形態も考えられる。
【0100】
特定の実施形態を本明細書において開示したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことができる。本発明の各実施形態は、あらゆる点で例示として非限定的に考えられるべきであり、添付の特許請求の範囲の意義および等価範囲に該当する全ての変更が本明細書に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(100)が風力エネルギから電力を生成するように動作するエネルギハーベスティングモードへ風力タービンの動作を移行させる方法であって、
前記風力タービン(100)に関連付けられているエネルギ貯蔵システム(50)は、前記風力タービンがその補助システム(10)に電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に、前記風力タービンの前記補助システム(10)に電力を供給するように構成されており、
前記方法が、
・前記風力タービン(100)が風力エネルギから電力を生成しない第1の動作モード(72)で前記風力タービン(100)を動作させ、前記第1の動作モード(72)においては、前記補助システム(10)の第1のグループ(11)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(12,13,14)への電力供給を停止させ、前記補助システム(10)の第2のグループ(21)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(22,23,25)に前記エネルギ貯蔵システム(50)から電力を供給することと、
・風力データおよび気象データのうちの少なくとも1つを含む環境データを取得することと、
・取得された前記環境データが予め定められた条件を満たしているかどうかを判別することであって、ここで、前記予め定められた条件は、風速閾値、前記風力タービン(100)が電力を生成するように動作可能である風速範囲、風速傾向閾値(306)、または予想されるエネルギ生成に対して予め定められたエネルギ閾値、のうちの少なくとも1つを含む、ことと、
・前記予め定められた条件が満たされている場合に前記風力タービン(100)の動作を前記エネルギハーベスティングモード(74)へ移行させることであって、動作を前記エネルギハーベスティングモード(74)へ移行させることは、前記エネルギ貯蔵システム(50)から前記第1のグループ(11)の1つもしくは複数の補助電力消費装置(12,13,14)に電力を供給することを含む、ことと、
を含み、
前記予め定められた条件は、前記風速傾向閾値(306)を含む、
方法。
【請求項2】
前記予め定められた条件のうちの風速閾値は、前記風力タービン(100)が電力を生成するように動作可能である風速値以上である最小カットイン風速閾値、および/または前記風力タービン(100)が電力を生成するように動作可能である風速値以下である最大カットイン風速閾値を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記環境データを取得することが、風速データを取得することと、該風速データを時間フィルタリングすることとを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、好ましくは、時間フィルタリングされた前記風速データ(301)を前記風速閾値および/または前記風速範囲と比較することを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、取得された前記風力データから導出された風速傾向(305)を前記風速傾向閾値(306)と比較することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記方法がさらに、
第1の時定数でフィルタリングされた時間フィルタリング風速データと第2の時定数でフィルタリングされた時間フィルタリング風速データとを比較することによって、または第1の時点についての風速データから取得された平均風速と前記第1の時点とは異なる第2の時点についての風速データから取得された平均風速とを比較することによって、前記風速傾向(305)を導出すること
を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記予め定められた条件は、前記風速閾値および/または前記風速範囲を含む風速条件およびさらに前記風速傾向閾値を含む風速傾向条件を含み、
前記風速条件および前記風速傾向条件が満たされている場合に、前記予め定められた条件が満たされるものとする、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記予め定められた条件は、前記風速閾値および/または前記風速範囲を含む第1の風速条件およびさらに第2の風速閾値(303)および/または第2の風速範囲を含む第2の風速条件を含み、
前記第2の風速閾値(303)は、前記風速閾値が最小閾値である場合には前記風速閾値よりも大きく、前記風速閾値が最大閾値である場合には前記風速閾値よりも小さく、かつ/または
前記第2の風速範囲は、それぞれ、前記風速範囲よりも狭くかつ前記風速範囲の内部に配置されており、
前記第2の風速条件が満たされている場合に、前記予め定められた条件が満たされるものとする、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記風速閾値および/または前記風速範囲は可変であり、前記エネルギ貯蔵システムに貯蔵されているエネルギ量に基づいて決定される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
貯蔵されているエネルギ量がより少ない場合、前記風速閾値がより厳しい値に設定され、かつ/または前記風速範囲がより狭い範囲に設定され、
貯蔵されているエネルギ量がより多い場合、前記風速閾値がより厳しくない値に設定され、かつ/または前記風速範囲がより広い範囲に設定される、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記気象データを取得することが、未来期間についての風況の予測を取得することを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、予測された風況を前記風速閾値および/または前記風速範囲と比較することを含み、
好ましくは、未来時点において、予測された風況が前記風速閾値を満たす場合かつ/または前記風速範囲内にある場合に、前記予め定められた条件が満たされるものとする、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記気象データを取得することが、未来期間についての風況の予測を取得することを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、予測された風況が前記風速範囲内にある連続期間を決定することを含み、
前記予め定められた条件が満たされているかどうかを判別することが、さらに、
・前記連続期間内に前記風力タービン(100)によって生成されることが予想されるエネルギ量を推定することと、
・推定されたエネルギ量と、前記風力タービンの動作を前記第1の動作モード(72)から前記エネルギハーベスティングモード(74)へ移行させるのに必要なエネルギ量よりも大きい、予め定められたエネルギ閾値とを比較することであって、ここで、前記推定されたエネルギ量が前記予め定められたエネルギ閾値を満たしている場合もしくはこれを上回っている場合に前記条件が満たされるものとする、ことと
を含み、かつ/またはさらに、
前記連続期間が予め定められた持続期間閾値を上回っている場合に前記条件が満たされていると判別すること
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
取得された前記環境データは、前記風力タービン(100)の位置または風力タービングループの位置に対してローカルであり、
前記移行は、それぞれの風力タービン(100)もしくはそれぞれの風力タービングループについてのローカルな前記環境データに基づいて、前記風力タービン(100)もしくは前記風力タービングループに対して個別に実行される、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記風力タービン(100)が前記エネルギハーベスティングモード(74)において動作しており、かつ予め定められた第2の条件が満たされている場合、前記方法は、前記風力タービン(100)の動作を前記第1の動作モード(72)へ移行させることを含み、
好ましくは、前記気象データを取得することが、未来期間についての風況の予測を取得することを含み、
前記予め定められた第2の条件が満たされているかどうかを判別することが、
・予測された風況とカットアウト風速範囲とを比較することと、
・予測された風況が前記カットアウト風速範囲外にある第2の期間を決定することと
を含み、
前記風力タービン(100)が前記エネルギハーベスティングモード(74)において動作しており、かつ前記第2の期間が維持期間よりも短い場合、前記風力タービン(100)の動作が、前記第2の期間中、前記エネルギハーベスティングモード(74)において維持される、
請求項1記載の方法。
【請求項14】
風力タービン(100)が風力エネルギから電力を生成するように動作するエネルギハーベスティングモード(74)へ風力タービンの動作を移行させる制御を行うように構成された風力タービン制御システムであって、
前記風力タービン(100)に関連付けられているエネルギ貯蔵システム(50)は、前記風力タービン(100)がその補助システム(10)に電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に、前記補助システム(10)に電力を供給するように構成されており、
前記制御システム(20)は、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成されている、
風力タービン制御システム。
【請求項15】
風力タービンの動作を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記風力タービン(100)に関連付けられているエネルギ貯蔵システム(50)は、前記風力タービン(100)がその補助システム(10)に電力を供給するのに十分な電力を生成していない場合または受け取っていない場合に、前記補助システム(10)に電力を供給するように構成されており、
前記コンピュータプログラムは、前記風力タービン(100)の動作を制御する制御システム(20)の処理ユニット(26)によって実行される際に、前記処理ユニット(26)に、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実行させるための制御命令を含む、
コンピュータプログラム。
【国際調査報告】