(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】オフセットアンカーアームを有するシャント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526899
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2022048537
(87)【国際公開番号】W WO2023081127
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラニ・アブドゥッラー・マムーディ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ピエール・ミッシェル・ラバ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・ブルシュ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD09
4C097SB06
(57)【要約】
シャント装置は、山形パターンに配設された複数の支柱で形成された円筒形バレル部分と、バレル部分の第一の軸方向端部から発出する複数の近位アンカー特徴と、バレル部分の第二の軸方向端部から発出する複数の遠位アンカーアームとを含み、複数の遠位アンカーアームは、近位アンカー特徴の長さよりも大きな長さを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャント装置であって、
山形パターンに配設された複数の支柱で形成された円筒形バレル部分と、
前記バレル部分の第一の軸方向端部から発出する複数の近位アンカー特徴と、
前記バレル部分の第二の軸方向端部から発出する複数の遠位アンカーアームと、を備え、前記複数の遠位アンカーアームが、前記近位アンカー特徴の長さよりも大きい長さを有する、シャント装置。
【請求項2】
前記複数の近位アンカー特徴の各々が、一次組織接触パッドと、前記一次組織接触パッドから円周方向及び軸方向にオフセットされた二次組織接触パッドと、を備える、請求項1に記載のシャント装置。
【請求項3】
前記複数の近位アンカー特徴の各々の前記一次組織接触パッド及び前記二次組織接触パッドが、前記バレル部分から離れるように弓状に曲がる支柱によって結合されている、請求項2に記載のシャント装置。
【請求項4】
前記バレル部分が、前記複数の近位アンカー特徴の二次組織接触パッドの間に結合された複数のウィッシュボーン支柱を含む、請求項1~3のいずれかに記載のシャント装置。
【請求項5】
前記バレル部分が少なくとも部分的に組織壁の開口部内に配置された状態で、前記複数の近位アンカー特徴と前記複数の遠位アンカーアームとの間に組織壁を保持するように前記組織壁に展開されるように、前記シャント装置が構成されている、請求項1~4のいずれかに記載のシャント装置。
【請求項6】
前記バレル部分が、前記シャント装置が前記組織壁に展開されたときに、前記組織壁の平面に対して角度付けられた軸を有する、請求項5に記載のシャント装置。
【請求項7】
前記複数の遠位アンカーアームが各々、組織接触パッドで終端する細長い支柱を含む、請求項1~6のいずれかに記載のシャント装置。
【請求項8】
前記複数の遠位アンカーアームのうちの一つ以上の各々の前記細長い支柱及び組織接触パッドの少なくとも一部分が、組織内殖を促進するように構成されたカバーで覆われている、請求項7に記載のシャント装置。
【請求項9】
前記バレル部分の前記第一の軸方向端部から発出するセンサホルダをさらに備える、請求項1~8のいずれかに記載のシャント装置。
【請求項10】
前記センサホルダが、前記バレル部分から外向きに偏向するように構成されたリングを備え、センサ装置が前記バレル部分の外側に位置付けられるように、それに取り付けられた円筒形センサ装置の基部を有する、請求項9に記載のシャント装置。
【請求項11】
シャント装置であって、
ジグザグパターンに配設された複数の支柱で形成された円筒形バレルと、
前記バレルの第一の軸方向端部と関連付けられ、前記バレルの軸から半径方向外向きに偏向するように構成された複数の第一の組織接触パッドと、
前記バレルの第二の軸方向端部と関連付けられ、半径方向外向きにそして前記バレルの軸方向中心に向かって偏向するように構成された複数の第二の組織接触パッドと、を備え、前記複数の第二の組織接触パッドが、前記バレルの前記軸の周りで前記複数の第一の組織接触パッドから角度的にオフセットされている、シャント装置。
【請求項12】
前記複数の第一の組織接触パッドと、前記複数の第二の組織接触パッドのうちの一つとが、前記シャント装置の第一の直径側面上に位置付けられ、前記複数の第二の組織接触パッドのうちの二つが、前記シャント装置の第二の直径側面上に位置付けられている、請求項11に記載のシャント装置。
【請求項13】
前記複数の第二の組織接触パッドのうちの一つが、前記複数の第一の組織接触パッドの間に角度付けられて位置付けられている、請求項15に記載のシャント装置。
【請求項14】
シャント装置であって、
組織壁の開口部を開いた状態に保持するよう構成され、第一の軸方向に開いた第一のセットのウィッシュボーン支柱と、前記第一の軸方向とは反対の第二の軸方向に開いた第二のセットのウィッシュボーン支柱とを含む、ウィッシュボーン支柱の複数の列で形成されたバレルと、
前記バレルの第一の軸方向端部と関連付けられ、前記バレルが前記組織壁の前記開口部に配置されたときに、前記組織壁の第一の側面に接触するように構成された複数の近位固定手段と、
前記バレルの第二の軸方向端部と関連付けられ、前記バレルが前記組織壁の前記開口部に配置されたときに、前記第一の側面とは反対の前記組織壁の第二の側面に接触するように構成された複数の遠位固定手段と、を備えるシャント装置。
【請求項15】
前記第一のセットのウィッシュボーン支柱及び前記第二のセットのウィッシュボーン支柱の少なくとも一部が、その頂点で前記バレルのそれぞれの長手方向支柱に結合されている、請求項14に記載のシャント装置。
【請求項16】
前記第一のセットのウィッシュボーン支柱及び前記第二のセットのウィッシュボーン支柱の少なくとも一部が、その頂点で前記バレルの長手方向支柱に結合されていない、請求項14又は請求項15に記載のシャント装置。
【請求項17】
前記複数の近位固定手段が各々、湾曲した接続支柱を介して二次組織接触パッドに結合された一次組織接触パッドを備える、請求項14~16のいずれかに記載のシャント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年11月8日に出願され、「SHUNT WITH OFFSET ANCHOR ARMS」と題された米国仮特許出願第63/263,755号に対する優先権を主張し、その完全な開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般的に、医療用埋め込み装置の分野に関する。流体圧力などの、心腔と関連付けられた特定の生理学的パラメータは、患者の健康の見通しに対する影響を有し得る。特に、高い心臓の流体圧力は、一部の患者において、心不全、及び/又は他の合併症につながり得る。したがって、血流短絡を通した心臓の特定の心腔における圧力の低減は、場合によっては患者の健康を改善することができる。
【発明の概要】
【0003】
心臓又は他の解剖学的構造の腔/脈管間の血流の短絡、及び/又は特定の埋め込み装置を使用した特定の生理学的パラメータの監視を容易にするための、一つ以上の方法及び/又は装置が本明細書に記載される。例えば、円周方向にオフセットされたアーム及び/又は山形支柱パターンを有するシャント装置、並びにそれを送達及び展開するための特定の送達システム及び手順が本明細書に記載される。
【0004】
本開示を要約する目的で、特定の態様、利点、及び新規の特徴が説明されている。全てのそのような利点は、必ずしも任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことが理解されるべきである。したがって、開示された実施形態は、本明細書に教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような一つの利点又は利点の群を達成又は最適化する様式で実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
様々な実施形態が、例示目的で添付図面に示され、本発明の範囲を限定すると決して解釈されるべきではない。加えて、異なる開示された実施形態の様々な特徴が、本開示の一部である、追加の実施形態を形成するように組み合わせられ得る。図面全体を通して、参照番号は、参照要素間の対応を示すために再使用され得る。
【0006】
【
図1】
図1は、一つ以上の実施形態によるヒト心臓解剖学的構造を例示する。
【
図2】
図2は、一つ以上の実施形態によるヒト心臓の例示的な表現を示す。
【
図3A】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図3B】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図3C】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図3D】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図3E】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図3F】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図3G-1】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図3G-2】一つ以上の実施形態によるシャントインプラントの図を示す。
【
図4A】一つ以上の実施形態による、それと関連付けられたセンサを有するシャント埋め込み装置の斜視図を示す。
【
図4B】一つ以上の実施形態による、それと関連付けられたセンサを有するシャント埋め込み装置の分解斜視図を示す。
【
図4C】一つ以上の実施形態による、それと関連付けられたセンサを有するシャント埋め込み装置の軸方向図を示す。
【
図5】
図5は、一つ以上の実施形態による、患者と関連付けられた一つ以上の生理学的パラメータを監視するためのシステムを表すブロック図である。
【
図6】
図6は、一つ以上の実施形態による、冠静脈洞組織壁に埋め込まれたシャント埋め込み装置を示す。
【
図7】
図7は、一つ以上の実施形態による、心房中隔に埋め込まれたシャント埋め込み装置を示す。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、一つ以上の実施形態による、様々な厚さを有する組織壁セグメントに埋め込まれたシャント埋め込み装置を示す。
【
図9-1】一つ以上の実施形態による、シャント装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
【
図9-2】一つ以上の実施形態による、シャント装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
【
図9-3】一つ以上の実施形態による、シャント装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
【
図9-4】一つ以上の実施形態による、シャント装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
【
図9-5】一つ以上の実施形態による、シャント装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
【
図9-6】一つ以上の実施形態による、シャント装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
【
図9-7】一つ以上の実施形態による、シャント装置を埋め込むためのプロセスを例示するフロー図を提供する。
【
図10-1】一つ以上の実施形態による、
図9-1のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造及び特定の装置/システムの画像を提供する。
【
図10-2】一つ以上の実施形態による、
図9-2のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造及び特定の装置/システムの画像を提供する。
【
図10-3】一つ以上の実施形態による、
図9-3のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造及び特定の装置/システムの画像を提供する。
【
図10-4】一つ以上の実施形態による、
図9-4のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造及び特定の装置/システムの画像を提供する。
【
図10-5】一つ以上の実施形態による、
図9-5のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造及び特定の装置/システムの画像を提供する。
【
図10-6】一つ以上の実施形態による、
図9-6のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造及び特定の装置/システムの画像を提供する。
【
図10-7】一つ以上の実施形態による、
図9-7のプロセスの動作に対応する心臓解剖学的構造及び特定の装置/システムの画像を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に提供される見出しは、単に便宜上のものであり、請求された発明の範囲又は意味に必ずしも影響するものではない。
【0008】
特定の好ましい実施形態及び実施例が以下に開示されているが、発明の主題は、具体的に開示された実施形態を越えて、他の代替的な実施形態及び/又は用途、並びにその修正例及び均等物に及ぶ。したがって、本明細書から生じ得る特許請求の範囲は、以下に記載される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示される任意の方法又はプロセスでは、方法又はプロセスの作用又は動作は、任意の好適な順序で実施され得、必ずしも任意の特定の開示される順序に限定されない。様々な動作は、特定の実施形態を理解するのに有用であり得る様式で、複数の別個の動作として順次説明され得るが、記載の順序は、これらの動作が順序依存性であることを暗示するものとして解釈されるべきではない。加えて、本明細書に記載される構造、システム、及び/又は装置は、一体化された構成要素として、又は別個の構成要素として具現化され得る。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様及び利点が記載されている。全てのそのような態様又は利点が、必ずしも任意の特定の実施形態によって達成されるとは限らない。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書に同様に教示又は示唆され得る他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような一つの利点又は利点の一群を達成又は最適化する様式で実施され得る。
【0009】
特定の参照番号は、一つ以上の点において類似し得る特徴を有する装置、構成要素、システム、特徴、及び/又はモジュールの利便性の問題として、本開示の図セットの異なる図に渡り再使用される。しかしながら、本明細書に開示される実施形態のいずれかに関して、図面中の共通の参照番号の再利用は、こうした特徴、装置、構成要素、又はモジュールが同一であるか、又は類似していることを必ずしも示さない。むしろ、当業者は、共通の参照番号の使用が、参照される主題間の類似性を暗示し得る程度に関して、文脈によって知らされ得る。特定の図に関する説明の文脈における特定の参照符号の使用は、その特定の図において識別されたデバイス、構成要素、態様、特徴、モジュール、又はシステムに関連したものとして理解することができ、必ずしも別の図において同じ参照符号で識別された任意のデバイス、構成要素、態様、特徴、モジュール、又はシステムに関連したものではないとして理解することができる。さらに、共通の参照符号で識別された別個の図に関する態様は、特徴を共有していると解釈することも、また、互いに完全に独立していると解釈することも、できる。
【0010】
位置の特定の標準的用語は、本明細書では、特定の装置の構成要素/特徴、及び一部の実施形態に関して、動物、すなわちヒトの解剖学的構造を指すために使用される。「外側」、「内側」、「上部」、「下部」、「下方」、「上方」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「下」、「上」、「上側」、「下側」、及び類似の用語など、特定の空間的に相対的な用語及び同様の用語が、一つの装置/要素又は解剖学的構造の、別の装置/要素又は解剖学的構造に対する空間的な関係を説明するために本明細書で使用されるが、これらの用語は、図面に例示される要素/構造間の位置関係を説明するために説明の容易さのために本明細書で使用されることが理解される。空間的に相対的な用語が、図面に図示した向きに加えて、使用時又は操作時における要素/構造の異なる向きを包含することが意図されていることを、理解すべきである。例えば、別の要素/構造の「上」として説明された要素/構造は、対象の患者又は要素/構造の代替的な配向に関して、そのような他の要素/構造の下又は横にある位置を表す場合があり、その逆も同様である。
【0011】
本開示は、例えば、心臓(例えば、左心房)の腔又は脈管から、比較的低い圧力の腔又は脈管(例えば、右心房、冠静脈洞)に血液を短絡するためのシステム、装置、及び方法に関する。こうした短絡は、左側腔/脈管から右側腔/脈管への血液のシャントを含むという点で、左右短絡と見なされることができ、これは、心臓サイクルの少なくとも一部分の間に血液循環の左側(例えば、酸素化側)で典型的に経験されるより高い流体圧力に起因して、以下で詳細に論じる理由のために有利であり得る。一部の実装では、本開示は、シャントのバレルの軸に対して円周方向にオフセットされたアンカーアームを有するワイヤフレームシャントに関する。さらに、本開示のシャント装置の実施形態は、湾曲及び/又は直線の山形/ジグザグスタイルの円周方向/横方向支柱から形成されるバレル部分を含むことができ、その少なくとも一部は、送達のために圧縮構成に対するバレルの円周方向の捲縮に適応し得る、ウィッシュボーン型支柱であってもよい。こうしたシャント埋め込み装置は、生理学的パラメータ監視のための一つ以上のセンサ装置を保持するように構成することができ、及び/又はそうでなければ、それと関連付けられるか、若しくは統合されてもよい。「と関連付けられた」という用語は、その広範かつ通常の意味に従って本明細書で使用される。例えば、第一の特徴、要素、構成要素、デバイス、又は部材が、第二の特徴、要素、構成要素、デバイス、又は部材「と関連付けられた」と記載される場合、そのような記載は、第一の特徴、要素、構成要素、デバイス、又は部材が、第二の特徴、要素、構成要素、デバイス、又は部材に、直接的か又は間接的かにかかわらず、物理的に結合、取り付け、若しくは接続されるか、統合されるか、少なくとも部分的に内部に埋め込まれるか、又は別様に物理的に関連していることを示すように理解されるべきである。
【0012】
シャント埋め込み装置の特定の実施形態は、心臓埋め込み装置及び心臓生理学の文脈で本明細書に開示されており、これは、本明細書に開示される本発明の装置の態様の考察を助けるための文脈を提供するために以下で詳細に論じる。しかしながら、本明細書で開示する特定の原理は、心臓の解剖学的構造に対して特に適用可能であるけれども、本開示によるシャント埋め込み装置が、任意の適切な解剖学的構造に対して若しくは所望の解剖学的構造に対して、その内部に埋め込まれ得ることは、又はその内部へと埋め込まれるように構成され得ることは、理解されよう。
【0013】
心臓生理学
心臓の解剖学的構造について、本明細書で開示する特定の発明概念の理解を補助するために、以下で説明する。ヒト及び他の脊椎動物では、心臓は、一般的に、四つのポンプ室を有した筋肉性の器官を含み、それと関連付けられる腔及び脈管間の流れは、様々な心臓弁によって、すなわち、大動脈弁と、僧帽弁(又は、二尖弁)と、三尖弁と、肺動脈弁とによって、少なくとも部分的に制御される。弁は、心周期の様々な段階(例えば、弛緩及び収縮)の間に存在する圧力勾配に応答して、心臓のそれぞれの領域及び/又は血管(例えば、肺動脈、大動脈など)への血液の流れを少なくとも部分的に制御するように構成され得る。
【0014】
図1及び
図2は、それぞれ、本発明の開示の特定の態様に関連する様々な機能/解剖学的構造を有する例示的な心臓1の垂直/前面及び水平/上方の断面図を例示する。心臓1は、四つの心腔、すなわち、左心房2、左心室3、右心室4、及び右心房5を含む。血流に関しては、血液は、一般に、右心室4から肺動脈11内へと肺動脈弁9を介して流れ、この肺動脈弁は、右心室4を肺動脈11から分離しているとともに、収縮期時には開放することで、血液が肺に向けて圧送され得るように構成されており、さらに、拡張期時には閉塞することで、血液が肺動脈11から心臓内へと逆流することを阻止するように構成されている。肺動脈11は、脱酸素化された血液を心臓の右側から肺に運ぶ。
【0015】
肺動脈弁9に加えて、心臓1は、三尖弁8、大動脈弁7、及び僧帽弁6を含む、その中の血液の循環を支援するための三つの追加の弁を含む。三尖弁8は、右心房5を右心室4から分離している。三尖弁8は、一般に三つの尖端又は弁尖を有しており、一般に心室収縮時(すなわち、収縮期)には閉塞し得るとともに、心室拡張時(すなわち、拡張期)には開放し得る。僧帽弁6は、一般に二つの尖端/弁尖を有しているとともに、左心房2を左心室3から分離している。僧帽弁6は、拡張期時には開放することで、左心房2の血液が左心室3内へと流入し得るように構成されているとともに、適正に機能している時には、収縮期時には閉塞することで、血液が左心房2内へと逆流することを阻止するように構成されている。大動脈弁7は、左心室3を大動脈12から分離している。大動脈弁7は、収縮期時には開放することで、左心室3から導出された血液が大動脈12内へと導入されることを可能とするように構成されているとともに、拡張期時には閉塞することで、血液が左心室3内へと逆流することを阻止するように構成されている。
【0016】
心臓弁は、一般に、本明細書では弁輪と称される比較的高密度の線維性リングと、弁輪に対して取り付けられた複数の弁尖又は尖点と、を含み得る。一般に、弁尖又は尖端のサイズは、心臓が収縮した時に、対応した心腔の内部で発生する血圧上昇によって弁尖が少なくとも部分的に開放されることで、心腔からの流れが可能とされるようなものとされ得る。心腔内の圧力が低下した際には、後続の心腔又は血管内の圧力が優勢となり、弁尖を押し返し得る。結果として、弁尖/尖点は互いに並置し、それによって、流路が閉じられる。心臓弁及び/又は関連する弁尖の機能障害(例えば、肺動脈弁機能障害)は、弁漏れ及び/又は他の健康上の合併症をもたらし得る。
【0017】
房室(すなわち、僧帽及び三尖)心臓弁は、弁尖の適切な癒合を促進及び/又は容易にし、その脱出を防止するために、それぞれの弁の弁尖を固設する腱索及び乳頭筋(図示せず)の集合をさらに含む。例えば、乳頭筋は、一般に、心室壁からの指状突起を含み得る。弁の弁尖は、腱索によって乳頭筋に対して接続されている。
【0018】
中隔と称される筋肉の壁は、左側の心腔と右側の心腔を分離する。特に、心房中隔壁部分18(本明細書では、「心房中隔(atrial septum)」、「心房中隔(atrial septum)」、又は「中隔(septum)」と称される)が、左心房2と右心房5を分離するのに対し、心室中隔壁部分17(本明細書では、「心室中隔(ventricular septum)」、「心室中隔(interventricular septum)」、又は「中隔(septum)」と称される)は、左心室3と右心室4を分離する。心臓1の下方先端26は、心尖と称されるものであって、一般に、第五肋間腔内において、鎖骨正中線上に、又は鎖骨正中線の近傍に、位置している。
【0019】
冠静脈洞16は、結合されて心臓筋(心筋)から血液を収集する比較的大きな血管を形成する静脈の集合を含む。冠静脈洞16の小孔14(
図2を参照)は、一部の患者においてはテベシウス弁によって少なくとも部分的に保護され得るが、示されるように、右心房5に開放されている。冠静脈洞は、左心房2の後面に沿って延びているとともに、あまり酸素化されていない血液を、右心房5に対して供給する。冠静脈洞は、一般に、心臓の後側に位置した左房室溝内を横方向に延びている。
【0020】
上記で参照したように、心臓の解剖学的構造に対して関連付けられた特定の生理学的状態又はパラメータは、患者の健康に対して影響を与えることができる。例えば、鬱血性心不全は、心臓及び/又は身体を通る血液の比較的遅い移動に対して関連付けられた疾患であって、この疾患は、心臓の一つ又は複数の心腔内における流体圧力の上昇を引き起こす。その結果、心臓は、身体が必要とする充分な酸素を圧送しなくなる。心臓の様々な心腔は、圧力上昇に対して、より多くの血液を保持して身体を通して圧送するように伸張することにより、あるいは、比較的硬くなったり及び/又は厚くなったりすることにより、応答してもよい。心臓の壁は、そのうち弱くなり、効率的に圧送し得なくなり得る。場合によっては、腎臓が、心臓の機能不全に応答することがあり、身体内に流体を保持することがある。腕、脚、足首、足、肺、及び/又は他の臓器に流体が蓄積することで、身体が鬱血状態となることがあり、このため、鬱血性心不全と称される。急性非代償性鬱血性心不全は、罹患及び死亡の主要な原因であり、したがって、鬱血性心不全の処置及び/又は予防は、医療における重大な関心事である。
【0021】
心不全(例えば、鬱血性心不全)の処置及び/又は予防は、心臓若しくは他の解剖学的構造における一つ以上の腔又は領域内での圧力の監視、及び/又は問題となる高い圧力の腔/脈管からより低い圧力の腔/脈管に流体の一部の量をシャントすることを、有利に含むことができる。上述したように、心臓の一つ若しくは複数の心腔又は領域における圧力の蓄積は、鬱血性心不全と関連することができる。心圧の監視は、シャント埋め込み装置の必要性又は要望及び/又はこうした装置の特定の寸法及び/又は構成に関してなど、シャント形成手順に情報を与えることができる。
【0022】
心圧を直接的に又は間接的に監視することなしには、鬱血性心不全の有無若しくは発生を、推測、決定、又は予測することは困難であり得る。例えば、直接的な若しくは間接的な圧力監視を伴わない処置又はアプローチは、体重測定、胸部インピーダンス測定、右心カテーテル検査、又は同種のものなど、患者に関する他の現在の生理学的状態を測定又は観察することを含んでもよい。いくつかの解決策では、肺毛細血管楔入圧を、左心房圧の代用として測定することができる。例えば、圧力センサが、肺動脈内に配置又は埋め込まれてもよく、その圧力センサに関連した読み取り値が、左心房圧の代用として使用されてもよい。しかしながら、肺動脈内における、また、心臓における特定の他の心腔又は領域内における、カテーテルベースの圧力測定に関しては、そのような圧力センサを維持するために、侵襲的なカテーテルを使用する必要がある場合があり、これは、不快であったり、実装が困難であったり、する場合がある。さらに、肺に関連した特定の疾患が、肺動脈内における圧力読み取り値に影響を及ぼすことがあり、これにより、肺動脈圧と左心房圧との相関が、望ましくないほど低下することがある。肺動脈圧の測定に関する代替手法として、右心室流出路内の圧力測定が、左心房圧にも関連し得る。しかしながら、そのような圧力読み取り値と左心房圧との相関は、鬱血性心不全の診断、予防、及び/又は処置に際して利用するには、充分に強くない場合がある。
【0023】
左心房圧を導出又は推定するために、追加的な解決策が実装され得る。例えば、E/A比とは、心臓の左心室の機能を示す指標であって、拡張初期における重力によるピーク速度血流(E波)と、心房収縮によって引き起こされる拡張後期のピーク速度血流(A波)と、の比を表すものであり、このE/A比を、左心房圧測定に関する代用として使用することができる。E/A比は、心エコー検査又は他の画像技術を使用して決定され得るものであり、一般に、E/A比の異常は、左心室が、収縮どうしの間の期間に適切に血液を充填し得ないことを示唆し得るものであり、これは、上記で説明したように、心不全の症状につながり得る。しかしながら、E/A比の決定は、一般に、絶対圧力の測定値を提供するものではない。
【0024】
鬱血性心不全を特定及び/又は処置するための様々な方法は、鬱血性心不全の症状に関する悪化の観察、及び/又は体重の変化の観察、を含む。しかしながら、そのような兆候は、比較的遅れて現れることがある、及び/又は、比較的信頼性が低いことがある。例えば、毎日の体重測定値は、大きく変動することがあり(例えば、最大で9%、又はそれ以上)、心臓関連の合併症の兆候を示すには信頼性に欠けることがある。さらに、兆候、症状、体重、及び/又は他のバイオマーカーを監視することによって導かれる処置は、臨床転帰を実質的に改良することが示されているわけではない。加えて、退院した患者については、そのような処置は、遠隔医療システムを必要とし得る。
【0025】
心圧の監視
本開示は、例えば鬱血性心不全の患者について、病院への再入院や罹患を低減するために、及び/又は患者の健康の見通しを改良するために、左心房内において圧力を直接的に監視することにより、又は、圧力測定値が左心房圧及び/若しくは一つ以上の他の脈管/腔の圧力レベルを示すような、他の腔若しくは脈管の圧力を直接的に監視することにより、少なくとも部分的に鬱血性心不全の治療に関連した薬物投与及び/又はその他の予防的介入若しくは治療介入(例えば、シャント埋め込み装置の埋め込み)を誘導するための、システム、装置、及び方法を提供する。例えば、本明細書に開示されるシャント埋め込み装置の実施形態は、直接的圧力監視のためにシャント埋め込み装置の一つ以上の構造的特徴(例えば、センサホルダタブ、アームなど)に固定された圧力センサ装置を含み得る。一部の実装では、本開示のシャント埋め込み装置は、センサ装置がシャント装置のバレルと、シャントバレル/インプラントが埋め込まれる組織壁との間に配置され、閉じ込められ、及び/又は挟まれるように、シャント装置のバレルに沿って、及び/又はその外側にセンサ装置を保持するように構成される。例えば、こうした装置は、シャントバレルの軸及び/又は組織壁の開口部の軸(例えば、埋め込み装置の領域中の組織壁の平面に対して垂直な軸)と実質的に平行(例えば、平行から15度以内)である配向でセンサを保持するように構成され得る。
【0026】
本開示の実施形態による心臓圧監視は、鬱血性心不全及び/若しくは他の生理学的状態を予防又は治療するための積極的な介入機構を提供し得る。概して、拡張期及び/又は収縮期心不全と関連付けられた心室充満圧の増加は、入院につながる症状の発生前に起こり得る。例えば、心臓圧の指標は、一部の患者に関しては、入院の数週間前に現れ得る。したがって、本開示の実施形態に係る圧力監視システムは、心不全の発症前に、薬剤の適切な又は所望の滴定及び/又は投与を誘導することによって、入院事例を低減するために有利に実装され得る。
【0027】
呼吸困難は、息切れ、又は十分に呼吸することができないという感覚によって特徴付けられる心臓圧指標を表す。呼吸困難は、心房圧上昇に起因し得、これは、圧力の逆流によって肺における流体蓄積を引き起こし得る。病的な呼吸困難は、鬱血性心不全に起因し得る。しかしながら、最初の圧力上昇と呼吸困難の発症との間には顕著な時間が経過し得、したがって、呼吸困難の症状は、心房圧上昇の十分な初期兆候を提供しない場合がある。本開示の実施形態に従って圧力を直接監視することによって、正常な心室充満圧が有利に維持され、それによって、呼吸困難などの心不全の影響を防止又は低減することができる。
【0028】
上記に参照するように、心臓圧に関して、左心房の圧力上昇は、心不全と特に相関し得る。左心房圧は、一般に、左心室拡張末期圧に対して良好に相関する。しかしながら、左心房圧と拡張末期肺動脈圧とは、顕著な相関を有し得るけれども、そのような相関は、肺血管抵抗が上昇した時には、弱まり得る。すなわち、肺動脈圧は、鬱血性心不全に罹患した特定の患者を含み得る様々な急性状態の存在下では、一般に、左心室拡張末期圧に対して適切な相関を示さない。例えば、心不全患者の約25%~83%に影響する肺高血圧症は、左側充満圧を推定するための肺動脈圧測定の信頼性に影響し得る。したがって、波形124によって表されるように、肺動脈圧測定単独では、特に、肺疾患及び/又は血栓塞栓症などの併存疾患を有する患者にとって、左心室拡張末期圧の不十分又は不正確な指標となり得る。左心房圧は、僧帽弁閉鎖不全の存在及び/又は程度と少なくとも部分的にさらに相関し得る。
【0029】
左心房圧の読み取り値は、他の腔/脈管からの読み取り値と比較して、呼吸状態又は同種のものなどの、他の条件によって歪んだり影響を受けたりする可能性が比較的低い場合がある。一般に、左心房圧は、心不全の発現の最大で二週間前などに、心不全を有意に予測し得る。例えば、左心房圧の上昇と、拡張期心不全及び収縮期心不全の両方とは、入院の数週間前に起こることがあり、したがって、そのような上昇を知ることは、鬱血性心不全の急性衰弱症状など鬱血性心不全の発症を予測するために使用され得る。
【0030】
シャント埋め込み装置との統合圧力センサを含む本開示の実施形態は、直接的な左心房圧監視を提供することができ、これは、うっ血性心不全を治療及び/又は予防するための薬剤の投与をガイドする機構を提供することができる。そのような治療は、有利なことに、再入院及び罹患を低減するとともに、他の利益を提供し得る。本開示の実施形態による埋め込み型圧力センサは、心不全の症状又はマーカー(例えば、呼吸困難)の発現の二週間以上前に、心不全を予測するために使用され得る。心不全予測が本開示による心臓圧センサの実施形態を使用して認識されるとき、心臓機能不全の影響を予防又は低減するのに役立ち得る、患者の薬剤レジメンへの修正などの薬剤介入を含む、特定の予防的措置が実装され得る。左心房における直接的な圧力測定は、有利なことに、心不全又は他の合併症につながり得る圧力蓄積の正確な指標を提供し得る。例えば、心房圧上昇の傾向を分析又は使用することにより、心機能不全の発症が決定又は予測されてもよく、その場合、薬物療法又は他の療法を増強することで、圧力を低下させ得るとともに、更なる合併症を予防又は低減することができる。
【0031】
オフセットアーム及び/又は山形支柱を有するシャント埋め込み装置
上記で言及したように、特定の心臓状態の治療は、心臓の一つの腔又は脈管から別の腔又は脈管に血液をシャントするように設計された装置の埋め込みを伴い得る。装置がそのバレルの周りに円周方向に捲縮され、シャント装置のバレルが、送達シース又はカテーテル内に比較的圧縮された構成/直径に捲縮された構成で標的治療部位に搬送され、送達シース/カテーテルから展開されると拡張されることを可能にするように構成された山形支柱を含む、新規のワイヤフレームシャント埋め込み装置が本明細書に開示される。こうした埋め込み装置は、シャント/バレルの対向する軸方向端部上に垂直に及び/又は円周方向に/角度的にオフセットされたアームで構成されることができ、これは、装置を比較的小さな外形に捲縮する能力を助け、並びに標的組織壁内の確実な位置付けを改善し得る。
【0032】
図3A~3Gは、本開示の一つ以上の実施形態による、拡張構成(平坦な広げた図/構成を示す
図3G-1及び3G-2を除く)のシャント埋め込み装置100の図を示す。特に、
図3A及び
図3Bは装置100の斜視図を示し、
図3C~
図3Eは側面図を示す。
図3Fは、バレル168の軸A
1に沿ってシャント装置100のバレル168によって形成された中央流管/内腔166を通して上から見た軸方向図を示す。拡張されると、シャント100のバレル168及び中央流れ内腔166は、
図3Fの上方から分かるように、略円形又は楕円形の開口部及び流体通路を画定することができ、バレル168は、組織壁の穿刺/孔の側面を開いた状態に保持し、組織壁の対向する側面(例えば、冠静脈洞及び左心房)上の腔/脈管間に血流経路を形成するように構成されている。中央流れ内腔166は、シャント100のバレル構造168の側壁170によって部分的に形成される。
【0033】
シャント構造100は、バレル168の遠位軸方向端部E1から発出する複数の遠位アンカーアーム154を含み得る。遠位アーム154は、比較的長くてもよく、その遠位端に関連付けられた組織接触パッド/足部164を有してもよく、こうしたパッド/足部164は、シャント100が埋め込まれる組織壁の表面に接触するように構成されている。図示した実施形態は、円形/小穴タイプの接触パッド/足部164を含むが、他の形状の組織接触パッド/脚部が、本開示の実施形態に関連して実装され得ることが理解されるべきである。パッド/足部164は、比較的狭い細長い支柱/アーム部分163に対して比較的幅広い/広がった領域を提供してもよく、これは有利なことに、シャント100によって生物学的組織壁/表面上に及ぼされる接触力/圧力を比較的広い領域にわたって分散し得る。
【0034】
シャント構造100は、バレル168の近位軸方向端部E2から発出する複数の近位アンカー特徴/アーム155をさらに含み得る。一部の実施形態では、近位アーム155は、示すように、一次組織接触/パッド161及び二次組織接触/パッド166を含み、これはバレル168の軸A1に対して、一次接触パッド161からある量θ8だけ角度的にオフセットされ、そこからある量だけ垂直/軸方向にオフセットされてもよい。例えば、近位アンカー特徴の一次接触パッド161及び二次接触パッド166の角度オフセットθ8は、45~90°であってもよく、一部の実施形態では、例えば60~80°、例えば約70°であってもよい。近位アンカー特徴155は、示されるように、バレル168を偏向するように、及び/又はバレル168から外向きに偏向されるように構成され得る。近位アンカー特徴155は、全体的又は部分的に、近位固定手段とみなされてもよく、こうした手段は、支柱、アーム、接触パッド、及びそれらを接続する特徴/支柱の組み合わせを含む、本明細書に例示及び/又は開示される固定構成のいずれかを有してもよい。
【0035】
一次接触パッド161は、垂直オフセットアーム169によって二次接触パッド166に機械的に結合されてもよく、これは、アンカーアーム155に追加的な機械的安定性を提供し得る、及び/又は近位アンカーアーム155の組織接触表面積を増加させ得る。例えば、垂直オフセットアーム169は、組織壁に接触し、アンカー特徴/アーム155によって覆われる設置面積/接触面積を増加させて、シャント構造100を組織壁にさらに固定するように機能するように構成され得る。一次接触パッド161は、
図3Gに示すように、二次接触パッド166からある量/距離L
4だけ垂直にオフセットされてもよい。一部の実装では、近位固定特徴/手段155は、一次接触パッド161、二次接触パッド166、接続アーム/支柱169、一次接触パッド161に結合された長手方向支柱185、側面から一次接触パッド161に接続された横方向/円周方向支柱129の一方又は両方、又はそれらの任意の組み合わせからなるとみなされてもよい。図示するように、接続/オフセットアーム/支柱169は、バレル168の軸方向中心から、及び/又は接触パッド161、接触パッド166、及び/又は支柱129から離れるように湾曲又は弓状に曲がり得る。こうした曲がり/湾曲は、シャント100の組織接触面積/安定性を増加させることができる。
【0036】
一部の実施形態では、組織接触パッド161、164、166のうちの一つ以上は、超音波、X線、又は他の撮像モダリティなどの撮像下での可視化の向上を提供するように構成された特定の視覚的マーカー特徴と関連付けられていてもよい。例えば、組織接触パッド及び/又はシャント構造100の他の特徴は、エコー源性又は他の撮像増強特性を備える特定の視覚的マーカーバンド、スタッド、又は同種のものを含んでもよい。図示した実施形態では、二次接触パッド166は、金属(例えば、タンタル)又は撮像機構下で比較的識別可能/可視的であるように構成されたその他の材料などの、エコー源性材料を含みうるマーカースタッド195を含む。それぞれのアンカーアームと関連付けられた様々な組織接触パッドの図示された円形形態は、コイニングプロセス又は類似のプロセスを通してなど、その中に視覚的マーカーバンド/スタッドを実装するためのプロセスを容易にすることができる。例えば、マーカースタッド195は、二次接触パッド/足部166などの接触パッド/足部の中央開口部/開口内にプレス嵌合及び/又は溶融/形成されてもよい。シャント埋め込み装置100の強化された可視化特徴は、標的解剖学的構造におけるインプラント100の術中配置を助けることができる。
【0037】
シャント構造100及び/又はそのバレル部分/構造168は、セル/開口部190のアレイ(例えば、平行四辺形の形状又は他の形状)を形成する比較的薄い支柱180の配設によって少なくとも部分的に画定され得る。例えば、シャント構造100の一部又はすべては、
図3A~3Fに示すように、送達カテーテルの中に圧縮し、その後拡張して弛緩形状に戻ることができる超弾性支柱によって形成され得る。それらの間の複数の相互接続された支柱形成セル190、199を使用したシャント100の形成は、有利なことに、シャントの望ましい可撓性を提供することができ、これは、埋め込み部位での圧縮及びその後の拡張を可能にする。中央流れ内腔166を形成するバレル168の周りの相互接続された支柱180は、穿刺部位で組織を開いた状態に保持するのに十分な安定性/完全性を提供するケージタイプの構造を提供することができる。支柱180は、特に、シャントが穿刺を通して/穿刺内で操作/前進されるときに組織をひっかける可能性があるバレル168の第一の/遠位端E
1又は第二の/近位端E
2に沿って、任意の鋭利な角又は点を省いた相互接続されたパターンで配設され得る。
【0038】
バレル構造168の側壁170は一緒に、シャント構造100と関連付けられた組織平面P
1に対して角度付けられたチャネル/バレル166、168を形成する管状格子を画定する。平面P
1は、シャント構造100のバレル部分168の軸A
1に直交してもよく、及び/又はシャント構造100が埋め込まれる組織壁と(例えば、その上/内部で)実質的に平行であってもよい。すなわち、シャント構造100が組織壁(
図3A~3Gには図示せず、
図6~7を参照)に埋め込まれる場合、バレル168の軸A
1は、組織壁表面と垂直の線/平面A
2に対して斜め/角度付られてもよく、シャント軸の本明細書の記載が、シャントバレルが、
図3Cのように、組織係合平面P
1に対して角度付けられた/傾いた真の軸A
1を有する実施形態/場合であっても、組織係合平面(例えば、
図3Cに示す平面P
1)と実質的に垂直である軸/線を指すと理解され得ることが、理解されるべきである。インプラント構造の軸方向側面の本明細書の記載は、組織係合平面P
1の異なる側面を指すと理解され得る。平面P
1は、シャント構造100のバレル/導管部分168の横方向/円周方向支柱の少なくとも一部と整列してもよい(例えば、正確な整列の15°以内)。
【0039】
バレル168の軸方向/長手方向/垂直支柱181~188は、中央流れチャネル166を通して、垂直軸/平面A
2/P
2からわずかな角度θ
1でほぼ整列/偏向してもよい。すなわち、
図3Cに示すように、仮想基準軸/平面A
2/P
2が、角度付けられた軸A
1がバレル168の軸によって画定されるように、水平基準平面P
1に対してほぼ垂直に描かれてもよい。角度θ
1は、30~60°、例えば約45°、又は15~45°、例えば約30°であってもよい。水平基準平面P
1は、シャント100が配置される組織壁(例えば、冠静脈洞と左心房とを分離する壁)によって一般的に画定されるが、当然ながら、壁は、一般的に単に平面ではなくてもよく、組織平面P
1は、単に埋め込みの領域における壁の平面近似を表してもよい。角度θ
1で配向されているが、中央流れバレル168によって形成される開口部は、遠位アーム154及び近位アーム155の外向きの延長及び湾曲に部分的に起因し得るなど、その端部E
1、E
2でのバレル168の拡幅に起因して、組織平面P
1に対して概して垂直であってもよい。すなわち、角度付けられたバレル168は、流れチャネル166が組織平面P
1に対して垂直であるかのようにシャントが起こるように、十分幅広くかつ短くてもよい。
【0040】
図3Fは、拡張されたシャント100の中央流れ内腔166の角度付けられた軸A
1を上から見た図である。軸A
1は、バレル168が水平基準平面P
1(これも概して、シャントが通過する組織壁の平面中にある)となす角度を画定するという点で、拡張されたシャント100の「傾斜」を画定する。したがって、バレル168の支柱180は、バレルを形成する支柱が連続的な壁表面を形成しない(例えば、開放セル190、199がある)場合であっても、管状又は円筒形の格子を画定することが分かる。拡張可能なシャント100の傾斜は、送達カテーテルの中への折り畳み、及び次いで、標的組織壁の両側のフランジ/アーム154、155の拡張を容易にする。一部の実装では、中央バレル168は、シャント100の折り畳み状態と拡張状態との間で本質的に変化しないままである。しかしながら、円周方向/横方向支柱120の湾曲/波打つ山形設計は、バレル168が搬送のために半径方向に圧縮されることを可能にし、それによってバレル168の直径に対してさらに低減された圧縮外形を可能にすることができる。
図3Fには円形断面形状を有するとして示されているが、バレル168は楕円形断面又はその他の形状を有し得ることが理解されるべきである。示されるように、円周方向/横方向支柱120は、山形及び/又はジグザグパターンで配設され得る。
【0041】
バレル168は、上述のように、送達カテーテル上/中で身体の中に導入するために、折り畳まれた又は捲縮状態(例えば、
図10-4の画像1006Aを参照)へと半径方向に捲縮され、身体の所望の位置(例えば、冠静脈洞と左心房とを分離する心房中隔又は壁)にシャント100を埋め込むために、拡張状態へと半径方向に拡張可能であるように構成される。シャント100は、送達及び拡張のために、より小さな外形へのその支柱の捲縮を可能にする可塑的に拡張可能な材料で作製することができ、こうした拡張は、拡張装置(例えば、バルーンカテーテルのバルーン)を使用して、及び/又は形状記憶特性によって引き起こされる自己拡張を通して実施されてもよい。自己拡張支柱/構造を利用する実施形態については、シャント100は、より小さな外形に捲縮され、圧縮されたシャントを覆うシースなどの拘束装置で捲縮状態に保持され得る。シャント100が標的部位に、又はその近くに位置付けられると、拘束装置を取り外して、シャント100が
図3A~
図3Gに示されるその拡張された機能的サイズに自己拡張することを可能にすることができる。
【0042】
シャント100は、円周方向/横方向の湾曲支柱120のいくつかの列R
1、R
2、R
3によって接続された複数の軸方向/垂直支柱181~188を備え、その一部は、概して管状構造を形成するために、ウィッシュボーン形状/形態を有する。シャント100の下側/流出端E
2は、ウィッシュボーン又は冠形状の支柱124、129の円周方向列R
1を含み、こうした支柱は、垂直/軸方向支柱181、183、及び186によって分離された円周方向カラムC
1~4として配設される。一般的に、
図3G-1及び
図3G-2(
図3G-1及び
図3G-2は、
図3Gと総称される)に示すように、ウィッシュボーン支柱129は、第一の軸方向/長手方向D
1で開いていてもよく、一方、ウィッシュボーン支柱124は、反対方向D
2で開いている。さらに、一部の実施形態では、ウィッシュボーン支柱129は、その頂点127にて、頂点127の開放側で、軸方向/垂直支柱185によって/に、支持されて/取り付けられてもよく、これはこうした領域においてバレル168に望ましい安定性を提供してもよい。逆に、一部の実施形態では、ウィッシュボーン支柱124は、軸方向/垂直支柱によって/に、その頂点126で支持されていない/取り付けられていなくてもよく、これはこうした領域においてバレル168に望ましい柔軟性を提供してもよい。
【0043】
シャント100の上側/流入端E
1は、ウィッシュボーン又は冠形状の支柱121、123の円周方向列R
3を含み、こうした支柱は、垂直/軸方向支柱181、183、及び186によって分離された円周方向カラムC
1~4に配設される。一般的に、
図3G-1及び
図3G-2に示すように、ウィッシュボーン支柱123は、第一の方向D
1に開いていてもよい一方、ウィッシュボーン支柱121は、反対方向D
2に開いている。さらに、一部の実施形態では、ウィッシュボーン支柱123は、その頂点127にて、頂点127の開放側の反対側で、軸方向/垂直支柱184によって/に、支持されて/取り付けられてもよく、これはこうした領域においてバレル168に望ましい安定性を提供してもよい。加えて、一部の実施形態では、ウィッシュボーン支柱121は、その頂点127にて、頂点127の開放側で、軸方向/垂直支柱188によって/に、支持されて/取り付けられてもよく、これはこうした領域においてバレル168に望ましい柔軟性を提供してもよい。
【0044】
シャント100は、ウィッシュボーン又は冠形状の支柱122、125の中間円周方向列R
2を含み、こうした支柱は、垂直/軸方向支柱181、183、及び186によって分離された円周方向カラムC
1~4に配設される。一般的に、
図3G-1及び
図3G-2に示すように、ウィッシュボーン支柱122は、第一の方向D
1に開いていてもよい一方、ウィッシュボーン支柱125は、反対方向D
2に開いている。さらに、一部の実施形態では、ウィッシュボーン支柱122は、その頂点127にて、頂点127の両側で、軸方向/垂直支柱184、185によって/に、支持されて/取り付けられてもよく、これはこうした領域においてバレル168に望ましい安定性を提供してもよい。加えて、一部の実施形態では、ウィッシュボーン支柱125は、その頂点129にて、頂点127の開放側の反対側で、軸方向/垂直支柱188によって/に、支持されて/取り付けられてもよく、これはこうした領域においてバレル168に望ましい可撓性を提供してもよい。
【0045】
隣接する列R1、R2それぞれのウィッシュボーン支柱124及び125間に画定されるセル/空間は、上向きの(方向D1の)、山形形状とすることができる。識別されたセル199は、閉じた山形セルである。例えば、一般的に、支柱のカラムC1~2は、第一の方向D1に向いている完全及び途切れた山形セルを含む閉じたセルを形成することができ、一方、支柱のカラムC3~4は、示されるように、第二の方向D2に向いている途切れた山形細胞を形成することができる。記載され示されるように、「途切れた」山形セルは、二つのひし形(例えば、示されるように、湾曲/波状のひし形)セルが形成されるように、垂直/軸方向支柱(例えば、支柱188)によってその頂点領域で二等分される山形セルを指し得る。
【0046】
シャント100は、バレル168の第一の軸方向端部E1から発出する複数の遠位アンカー手段154をさらに備え、アンカーアーム/手段154は、示されるように、バレル168から外向きに偏向するように構成されている。遠位アンカー手段154は、示されるように、アンカーアームを備えてもよい。一部の実施形態では、遠位アンカーアーム/手段154は、シャント100が埋め込まれる組織壁に接触する及び/又は押し付けるように構成されたそれぞれの組織接触パッド164において、その遠位端で終端する細長い支柱/アーム163を備える。遠位アンカーアーム154は、有利なことに、近位アンカーアーム155よりも長くてもよく、これは、解剖学的構造の異なるサイズ及び/又は構成に適合することに関して望ましい可撓性を提供してもよい。一部の実装では、遠位アンカーアーム/手段154は、組織接触パッド164、細長い支柱163、側面から細長い支柱163に接続された横方向/円周方向支柱121(これは単一のウィッシュボーン支柱とみなされ得る)の一方又は両方、細長い支柱163に結合された長手方向支柱188、又はそれらの任意の組み合わせからなるとみなされ得る。
【0047】
遠位の長いアーム154及び近位の短いアーム155のセットは、展開及び/又は拡張されたときにバレル168及び/又は軸A1から外向きに巻くように構成された形状記憶を有し得る。示される拡張構成では、こうしたアーム/アンカー手段の部分は、仮想基準軸A2及び/又はA1からほぼ半径方向に離れて、及び/又はバレル168の軸方向中心(例えば、平面P1の軸方向位置)に向かって突出し得る。三つの長いフランジ/アーム154は、二つの近位パッド/フランジ/アーム155と同様に、互いから離れるように突出してもよい。バレル168は一般的に、角度θ1によって示されるように、組織平面P1、及び/又は組織平面P1と垂直な/直交する線/平面A2/P2に対して傾斜した/傾いた配向を有する。
【0048】
シャント装置100の様々なアンカー手段/アームは、任意の適切な又は望ましい様式で、シャント100及び/又はバレル168の軸A
1の周りに角度的に分散されてもよい。例えば、
図3Fの軸方向図で最もよく図示されるように、遠位/長いアンカーアーム154は、バレル168の第一の端部E
1と関連付けられてもよく、バレル168の周囲/円周の周りに何らかの様式で角度的に分散してもよく、アーム154は、拡張構成では、バレル168及び/又は軸A
1から離れるように突出する。
【0049】
図3A~
図3Gの図示した実施形態では、第一の/遠位端部E
1は、それに関連付けられた三つの長いアンカーアーム154、すなわち、アンカーアーム154a、154b、及び154cを有する。本開示の実施形態は、三つの遠位及び/又は長いアンカーアーム154を有するものとして一部の文脈で例示及び記載されているが、本開示の実施形態は、任意の好適な又は所望の数の長い及び/又は遠位アンカーアームを有し得ることが理解されるべきである。こうしたアーム154は、バレル168の周りに、均等に、又はほぼ均等に(例えば、均等分散の45°以内)、角度的に分散されてもよい。一部の実施形態では、遠位/長いアンカーアーム154は、短いアンカーアーム155の組織接触パッド161と同じ直径側面DS
1上の近位/短いアンカーアーム155の間に角度付けられて位置付けられる第一の長いアンカーアーム154aを含む。近位アーム155は、本明細書の一部の文脈では、遠位アーム154と比較して比較的短いものとして記載及び図示されているが、一部の実施形態では、遠位アーム154と関連付けられた側面E
1の反対の側面E
2と関連付けられた近位アーム155は、遠位アーム154に対して図示されているよりも長い、及び/又は等長でもよいことが理解されるべきである。直径側面DS
1、DS
2は、シャント100の様々な特徴及び/又はアームの角度的/円周方向位置の説明を助けるために、本明細書で定義及び参照される。例えば、本明細書で使用される場合、
図3Fに示すように、直径側面DS
1、DS
2は、軸A
1がその中にあり、第一の遠位アーム154aと整列する放射線301と垂直な/直交する軸平面P
3の対向側面であってもよい。放射線301は、シャントの対称線と整列されてもよい。すなわち、
図3Fの軸方向図に関して、シャント100は対称であってもよく、対称線301は、遠位アンカーアーム154のうちの一つを二等分するが、複数の他の遠位アンカーアーム154又は近位アンカー特徴/アーム155を二等分しない。
【0050】
バレル168の第一の直径側面DS
1上に配置される第一のアーム154aに加えて、シャント100は、第二の直径側面DS
2上に位置付けられた二つの追加の遠位/長いアーム154b、154cを含んでもよい。上述のように、遠位アーム154は、一部の実施形態では、バレル168の周りに均等に角度的に分散してもよい。すなわち、一部の実施形態では、遠位アーム154間の角度 θ
1、θ
2は、実質的に等しくてもよく、それらの間の分離は約120°である。しかしながら、特定の他の実施形態では、
図3A~
図3Gに示すように、第一のアーム154aは、第二及び第三のアーム154b、154cが互いから分離されているよりも大きい量だけ、第二のアーム154b及び第三のアーム154cから角度的に分離されてもよい。例えば、
図3Fに示すように、第一のアーム154aは、120~150°の角度など、120°よりも大きい角度θ
2だけ、第二のアーム154b及び第三のアーム154cの両方から角度的に分離されてもよい。例えば、
図3Fに示すように、第一のアーム154aは、約135°である角度θ
2だけ、第二のアーム154b及び第三のアーム154cから角度的に分離されてもよい。こうした実施形態では、第一のアーム154a及び近位アーム155(例えば、組織接触パッド161)の反対の直径側面DS
2上に位置付けられる、第二のアーム154b及び第三のアーム154cは、120°未満である角度θ
1だけ互いから角度的に分離されてもよい。例えば、
図3Fに示すように、第二のアーム154b及び第三の遠位アーム154cは、約90°など、75~105°である角度 θ
1だけ分離されてもよい。
【0051】
一部の実施形態では、シャントは、センサホルダ特徴162を含み、これは、円形、ワッシャータイプの形状/形態を有してもよく、又はそれにセンサ装置(例えば、圧力センサ)を、及び/又はセンサ装置をシャント100に固定するために活用されるように構成された任意の他の形態の構造を有してもよい。センサホルダ162は、示されるように、バレル168から外向きに偏向するか、又は偏向されるように構成され得る。一部の実施形態では、近位センサホルダ162は、示されるように、第二の遠位の長いアンカーアーム154bと第三の遠位の長いアンカーアーム154cとの間に角度的/円周方向に位置付けられてもよい。例えば、センサホルダ162は、第一の遠位アーム154aの反対に角度付けられて位置付けられてもよい(例えば、180°分離)。一部の実施形態では、第一の遠位アーム154aは、第一の近位の短いアーム155a及び第二の近位の短いアーム155b(及び/又は近位アンカー特徴/手段155の接触パッド161a、161b)から等しい角度分離θ3を有してもよい。例えば、第一の遠位アーム154aと近位アーム155の各々との間の角距離θ3は、約45°、50°、又はその間の任意の角度など、30~60°であってもよい。したがって、二つの近位アーム155a、155b(及び/又は接触パッド161a、161b)間の角度分離は、約90°、100°、又はその間の任意の角度など、60~120°であってもよい。
【0052】
図3Fで分かるように、遠位の長いアーム154の各々は、近位の短いアーム155の各々から角度的にオフセットされてもよい。近位アームと遠位アームとの間のこうした角度オフセットは、シャント100の埋め込み後の傾斜、回転、又は他の外れ、移動、並びに/又はシャント100の所望の埋め込み位置及び/若しくは配向からの望ましくない移動に抵抗するような様式で、埋め込まれる組織壁にシャント100を固定する役割を果たし得る。例えば、インプラントが配置される組織壁の遠位側の遠位アーム154の足部/パッド164と関連付けられた圧力接触点は、近位アーム155の足部/パッド161と関連付けられた組織接触圧力点/領域から角度的にオフセットされてもよく、それによって、インプラントが配置される組織壁のより広い領域にわたって接触圧力を分散する。近位アーム155、遠位アーム154、及び/又はセンサホルダ162の角度オフセットは、シャント構造100に構造的バランスをさらに提供することができ、それによって、シャント装置100の安定性及び確実な取り付けを改善する。
【0053】
近位アーム155とセンサホルダ162との間の角度オフセットθ
5は、近位アンカーアーム155間の距離θ
4よりも大きくてもよい。例えば、分離角度θ
5は、約270°、280°、又はその間の任意の角度など、250~280°であってもよい。一部の実施形態では、
図3Fの軸方向図に関して、シャント100は、第一の遠位アンカーアーム154aと整列した放射状投影線301と整列した平面P
4の周りに対称であってもよい。一部の実施形態では、こうした平面P
4は、センサホルダ162とさらに整列する及び/又はセンサホルダ162を切り通してもよい。第二の遠位アンカーアーム154b及び第三の遠位アンカーアーム154cは、両方/各々、約90°などの、80~100°、又は85~90°であり得る角度θ
7だけ、近位アンカーアーム155のうちの隣接する一つから角度的にオフセットされてもよい。すなわち、バレル168の円周/周辺部の周りに角度的に移動して、遠位アンカーアーム154b、154c及び近位アンカーアーム155a、155b(例えば、接触パッド161a、161b)は、およそ90°/直角によってアームが分離されるように、実質的に均等に分散されてもよく、示されるように、二つの近位アンカーアーム155a、155bは、バレル168の第一の直径側面DS
1に互いに隣接して位置付けられ、遠位アンカーアーム154b、154cは、反対の直径側面DS
2に互いに隣接して位置付けられる。
【0054】
図3Gは、シャント100が第一の遠位/長いアンカーアーム154aの正中線及びバレル168の整列した部分で切断されたかのように見える、拡張可能なシャント100の平坦化された広げた図を示す。この図は、側壁170の湾曲したひし形及び山形形状のセル190及び支柱120の配向を図示する。
図3G-1及び
図3G-2の図示した配向に関して、シャント構造100の支柱120及びセル190は、シャント構造のバレル168の周りを横方向/円周方向に移動するジグザグ構成を有してもよい。例えば、ページの上部に向かう方向が「上向き」方向と呼ばれ、ページ下部に向かう方向が「下向き」方向と呼ばれる、
図3Gの特定の図示した配向に関して、第一の遠位/長いアーム154aから近位/短いアンカーアーム155a、155bに向かって横方向に移動すると、支柱120及びセル190は、下向きに角度付けられ/偏向されてもよい。近位アンカーアーム155b、155aから第二の遠位アンカーアーム154c及び第三の遠位アンカーアーム154bそれぞれに向かって横方向に移動すると、支柱120及びセル190は、概して上向き方向に角度付けられてもよい。第二のアンカーアーム154b及び第三のアンカーアーム154cから互いに向かって、及び/又はセンサホルダ162に向かって横方向に移動すると、支柱120及びセル190は、再び下向きに偏向/角度付けられてもよい。支柱及びセルのこうしたジグザグパターンは、本明細書に開示される所望の山形パターンを生成することができ、これはバレル圧縮を可能にし、拡張構成で傾いたバレル形状を生成する。反対に傾斜した支柱/セルのこの有益な並置は、支柱を構成する超弾性材料が細長い送達形状/構成に容易に屈曲することを可能にすることができる。
【0055】
支柱120の厚さは、少なくとも0.2mm、好ましくは0.2~0.3mmとすることができる。一部の実施形態では、アンカーアーム154、155の末端と関連付けられた開口/小穴は、それぞれのアンカーアームを展開するために使用される作動ロッドによって係合されるように構成されたバックル形態を画定することができる。円形/楕円形の形状として図示されているが、アンカーアームのうちの一つ以上の末端足部/パッドは、その周辺及び/又はそれと関連付けられた開口に関して長方形であってもよいことが理解されるべきである。シャント100を形成する様々な支柱は、有利なことに、ニチノール管をレーザー切断することによって作製され得ることが理解されるべきである。管は、約0.1~0.3mm、好ましくは約0.2mmの壁厚を有してもよい。
【0056】
上記に詳述されるように、シャント100は、遠位の長いアーム154及び近位の短いアーム155を含む。シャント100の一つ以上の側面上の長いアームの使用は、有利なことに、こうしたアンカーアームの固定に関して柔軟性を提供するシャント構造を提供することができる。例えば、アンカーアーム154が長いほど、アンカーアームが適応することができる組織壁厚、形態、形状、及び/又は他の特徴の範囲が大きくなる。すなわち、アーム154の追加の長さは、組織壁に対して好適な又は望ましい位置での、それと関連付けられた接触足部/パッド164の配置に適応するための、アームの屈曲の範囲を可能にすることができる。あるいは、短い近位アーム155は、可撓性が低くてもよく、様々な組織壁厚、形態、及び/又は他の特徴に適応することができる。しかしながら、埋め込み装置100が、冠静脈洞を左心房から分離する壁に配置される場合、冠静脈洞に配置されるように構成されたシャント構造の側面E2は、アンカーアームを収容するために利用可能な空間面積が比較的少ない場合がある。したがって、シャント100の一方の側面E2と関連付けられたアンカーアームは、冠静脈洞又はそれが配置され得る他の腔/脈管と関連付けられた低い体積/空間に適するように比較的短いことが望ましい場合がある一方、シャント100の反対側は、左心房などの比較的大きな腔/脈管内に少なくとも部分的に配置され得るため、こうした側面E1と関連付けられたアンカーアーム154は、こうしたアンカーアーム長さによって提供される所望の固定柔軟性を可能にするために、適宜、比較的長くてもよい。
【0057】
シャント100の平坦化された/広げた図を示す
図3G-1及び
図3G-2で分かるように、横方向/円周方向支柱120は、S字湾曲形状などの湾曲した/波形の形状を有してもよい。しかしながら、本開示の実施形態は、その少なくとも部分に対して実質的に直線である円周方向/横方向支柱を含み得ることが理解されるべきである。横方向/円周方向支柱120の各々は、その一つ以上の端部で、バレル168の軸A
1と実質的に平行に延びる、及び/又はバレル168の配向に対して主に長手方向に延びる長手方向支柱に接合されてもよい。例えば 横方向/円周方向支柱120の各々は、接合部127(バレルの一部の接合部に関してシャント100の特定のウィッシュボーン支柱の頂点部分/接合部とみなされ得る)で長手方向支柱と接合されてもよく、支柱と、それが接続/接合されるそれぞれの長手方向支柱との間の角度が減少して、バレル168が低減した直径、周囲、及び/又はその他の寸法を有する圧縮構成を達成し、送達カテーテル又は類似のシステム/装置中に配置するための圧縮送達構成が可能になるような様式で屈曲するように、支柱120は構成されてもよい。すなわち、送達構成において、円周方向/横方向支柱120とバレル168の軸及び/又は横方向/円周方向支柱が接合/接続される長手方向支柱との間のそれぞれの角度θ
10は、比較的小さくてもよく、
図3A~
図3Fに示される拡張構成に拡張するとき、横方向/円周方向支柱120と対応する長手方向支柱(例えば、支柱181~188)との間のそれぞれの接合部127の角度θ
10は、
図3A~
図3Fに示すようにバレル168が完全に拡張された円周へと拡張するように、増加し得る。例えば、
図3Fは、完全に拡張した円周におけるバレル168を示すが、捲縮した送達状態では、バレル168の円周は捲縮されている場合があり、拡張構成のように滑らかな円形/楕円形の円周を形成しない。長手方向支柱181~188は、シャント構造100の軸方向ビームとみなされてもよく、こうした支柱は、円周方向/横方向支柱120とは異なり、有利なことに直線であり得る。横方向/円周方向支柱120のS字曲線形状/形態は、変曲点309を含み得る(
図3Cを参照)。所与の支柱120について、変曲特徴309は、支柱が、接続された両方の長手方向支柱に面する凸曲線で湾曲することを可能にし得る。
【0058】
横方向/円周方向支柱120の中で、シャント構造100は、一つ以上の頂端非支持ウィッシュボーン支柱124を含んでもよい。ウィッシュボーン支柱124は、例えば、近位アーム155と関連付けられた二次パッド166とセンサホルダ162との間に結合されてもよい。ウィッシュボーン支柱124は、頂点126で接合する対の横方向支柱を含んでもよく、頂点接合部126は長手方向支柱に結合されていない。例えば、横方向/円周方向支柱の他の接合部接続は、それぞれの長手方向支柱に接合されてもよく、これはこうした接合部に望ましい機械的安定性を提供し得るが、ウィッシュボーン接合部126は、こうした接続を含まなくてもよい。したがって、ウィッシュボーン支柱124の構造的完全性は、他の横方向/円周方向支柱ほど強くない場合がある。しかしながら、ウィッシュボーン支柱124は、シャント構造100の特定の他の横方向/円周方向支柱120と比較して、より大きな柔軟性を有する、及び/又は可鍛性でありその形状に対し適合し得る。
【0059】
シャント構造100は、一つ以上の部分的ウィッシュボーン支柱をさらに含んでもよく、これはその一方の軸方向側部で長手方向支柱183に接続されているが、他方の軸方向側部では接続されていない頂点接合部129を含む。例えば、頂点129は、長手方向支柱183に接続された接合部129の側面と関連付けられた軸方向に向いていてもよい。横方向/円周方向支柱120のいずれかは、ウィッシュボーン支柱、又は部分的ウィッシュボーン支柱、又はその部分として構成されてもよい。接合部126、127、129は一般的に、U字形状の冠構造又は冠部分を形成することができる。こうした冠構造は、隣接する支柱/支柱部分の間にギャップが画定され、冠構造が、支柱の自然な交差点からオフセットされた位置で隣接する支柱/部分を接続するように、両側の支柱部分の隣接する端部の間に延び、かつこれらを接続する水平/横方向部分を含み得る。U字形状の冠構造は、接合部126、127、129でのシャント100の捲縮及び拡張中の支柱への残留ひずみを低減することができる。
【0060】
バレル168は、複数の角度付けられて離間した、垂直に延びる軸方向ビーム支柱(例えば、181~188、参照189によって集合的に識別される)を有する環状のステント様構造として構成され得る。軸方向支柱189は、角度付けられ、かつ円周方向に/横方向に延びる支柱120の下部列R1、中間列R2、及び角度付き(バレル168の軸A1に対して)及び上部列R3を介して相互接続され得る。各列の支柱120の少なくとも一部(例えば、ウィッシュボーン支柱124、部分的ウィッシュボーン支柱128、及び鏡面/反対の偏向角度で軸方向ビーム支柱(例えば、184、185)の反対側に接合して、集合的に「ウィッシュボーン」形状を形成する他の横方向支柱)は、有利なことに、示されるように、フレーム100の円周の方向に延びるジグザグ又は概して鋸歯様のパターンで配設される。
【0061】
シャントフレーム100は、8つのカラムを有するとみなすことができ、各カラムは、隣接する軸方向ビーム支柱189の各対の間に横方向に延びる支柱/領域によって画定される。あるいは、カラムの数は、二次組織接触パッド166とその第一の遠位アーム154aとの間、並びに二次組織接触パッド166とセンサホルダ162との間の横方向セグメントの数であるとみなされてもよく、図示した実施形態では合計四つのカラムC1~4である。カラム及び列の数は、シャントの全体的な捲縮プロファイルを低減するように選択され得る。第一の列R1の少なくとも一部のウィッシュボーン及び/又は部分的ウィッシュボーン支柱は、第三の列R3及び/又は第二の列R2の少なくとも一部のウィッシュボーン及び/又は部分的ウィッシュボーン支柱の反対方向に面してもよい。さらに、二次接触パッド166と第一の遠位アンカーアーム154aとの間のカラムC3~4の少なくとも一部のウィッシュボーン及び/又は部分的ウィッシュボーン支柱は、二次接触パッド166とセンサホルダ162との間のカラムC1~2の少なくとも一部のウィッシュボーン及び/又は部分的ウィッシュボーン支柱の反対方向に面してもよい。
【0062】
ウィッシュボーン支柱124、128は、相互接続されて約90~110度(約100度が特定の例である)の角度θ9を形成する同じ列の隣接する支柱部分で形成され得る。例えば約70~80°、約75°など、約60~100°の角度θ9の選択は、こうした角度は、拡張時にバレル168の半径方向強度を最適化する一方で、バレル168が本明細書に記載される様式で均等に捲縮及び拡張されることを依然として可能にする。
【0063】
シャントフレーム100及び/又はその支柱を形成するために使用され得る好適な塑性的拡張可能材料には、限定されないが、ステンレス鋼、ニッケル基合金(例えば、ニッケル-コバルト-クロム合金)、ポリマー、又はそれらの組み合わせが含まれる。特定の実施形態では、フレーム20は、UNS R30035(ASTM F562-02によって被覆される)と同等である、MP35N(登録商標)(SPS Technologiesの商標)などのニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金から作製される。MP35N(商標)/UNS R30035は、重量で35%のニッケル、35%のコバルト、20%のクロム、及び10%のモリブデンを含む。シャント100を形成するためにMP35Nを使用することで、ステンレス鋼よりも優れた構造結果が提供されることが見出された。特に、MP35Nがフレーム材料として使用された場合、半径方向破砕力抵抗、耐疲労性、並びに耐腐食性において、同じ又はより優れた性能を達成するために必要な材料がより少ない場合がある。更に、より少ない材料が必要とされるため、フレームの圧着プロファイルが削減され得、それによって、本体内の治療場所に経皮的に送達するためのより小さいプロファイルの弁組立体を提供する。
【0064】
一部の実施形態では、シャント100のアンカーアームのうちの一つ以上は、長いアーム154上の図示した靴下様のカバー175など、それと関連付けられた特定のカバーを有してもよい。こうした靴下カバー175は、こうしたアームの組織接触領域164で、又はその近くで、アンカーアーム154の一つ以上の表面又は領域上に実装されてもよい。一部の実施形態では、カバー175は、遠位アーム154に接触する組織壁からの組織内殖を促進するように構成された布スリーブ/靴下を含む。カバー175は遠位の長いアーム154上にのみ示されているが、こうしたカバーは、一部の実装では近位アーム155上に実装され得ることが理解されるべきである。
【0065】
バレル168の直径及び/又は幅は、約7.5mmなど、5~10mmであってもよい。様々なアンカーアーム154、155は、
図3Fで上から見て最もよく分かるように、少なくともその基部部分において、やや三角形の平面形状を有してもよく、これはバレル168との接合部で比較的広くてもよく、アンカーアームは、末端161、164の頂点へと狭くなる。シャント100の細長い形状は、比較的小さなカテーテル内に適合するように、より直線的な外形に折り畳まれることを可能にする。拡張構成では、アンカーアーム154、155は、構成において湾曲することができ、これはまた、それらの折り畳み及び拡張を容易にする。すなわち、アーム154、155を形成する支柱は、ロッド若しくは他の作動手段を作動させることによって、又は形状記憶運動を通して作用されたときに、送達システム/カテーテルの中に適合するコンパクトなサイズに簡単に折り畳まれるように設計されている。
【0066】
上述のように、バレル168は、湾曲したひし形及び山形形状のセル又は開口部190のアレイを形成する湾曲した山形支柱の概して平行な配設によって画定される。一部の実施形態では、バレル168は、各々が中心軸A1に沿って積み重ねられた、互いから長さ方向にオフセットされたセル190の二つの列を含む。一部の実施形態では、シャントオリフィスを画定するバレル/導管形態/本体168は、封止を装置に提供し得る、少なくとも部分的に織物又は他のカバーで、内部及び/又は外部的に覆われてもよい。
【0067】
近位アンカー特徴155の長さは、接触パッド161の長さ/直径L3、又は接触パッド161及び長手方向支柱185の長さ/寸法L5とみなされ得る。遠位アンカーアーム154の長さは、接触パッド164及び細長い支柱/アーム163の長さL1とみなされてもよく、又は軸方向/垂直支柱183を含む長さL6とみなされてもよく、又はパッド164の寸法、支柱/アーム163、及びアーム/支柱163を両側で支持する横支柱123の軸方向長さを含む長さL7とみなされてもよい。遠位アーム154の長さがどのように考慮されるかにかかわらず、こうした長さは、有利なことに、近位アンカー特徴/アーム155の長さよりも大きくてもよい。バレル168の長さは、図示した長さL2とみなし得る。
【0068】
寸法L1~L7は、任意の好適な又は望ましい値を有し得る。一部の実施形態では、寸法L1は、10~12mmなど、5~15mmの値を有する。例えば、L1は約10.3mmの値を有し得る。一部の実施形態では、寸法L2は、5 ~7 mmなど、4~8mmの値を有する。例えば、L2は、5.9~6mm(例えば、約5.93mm)の値を有し得る。一部の実施形態では、寸法L3は、1.5~2.3mmなど、1~3mmの値を有する。例えば、L3は、1.9~2mm(例えば、約1.9mm)の値を有し得る。一部の実施形態では、寸法L4は、3.2~4.2mmなど、2.7~4.7mmの値を有する。例えば、L4は、3.7~3.8mm(例えば、約3.72mm)の値を有し得る。一部の実施形態では、寸法L5は、5 ~7 mmなど、4~8mmの値を有する。例えば、L5は、5.9~6mm(例えば、約5.93mm)の値を有し得る。一部の実施形態では、寸法L6は、11~13mmなど、10~14mmの値を有する。例えば、L6は、11.7~12mm(例えば、約11.8mm)の値を有し得る。一部の実施形態では、寸法L7は、13~14mmなど、12~15mmの値を有する。例えば、L7は、13.4~13.5mm(例えば、約13.45mm)の値を有し得る。特定の寸法値が上記に列挙されているが、様々な寸法の値は、列挙された範囲間の任意の値、又は図示された寸法のうちの一つ以上に関してこうした範囲外の値であってもよいことが理解されるべきである。
【0069】
図4A、
図4B、及び
図4Cは、一つ以上の実施形態による、それと関連付けられたセンサ60を有するシャント埋め込み装置100の斜視図、分解斜視図、及び軸方向図を示す。
図4A~
図4Cに示すシャント埋め込み装置100は、
図3A~
図3Gに示すシャント埋め込み装置と同一又は類似しており、上記で詳細に説明されている。上述のように、シャント及び/又は他の埋め込み装置/構造は、圧力及び/又は他の生理学的パラメータのインビボ監視を容易にするために、センサ、アンテナ/トランシーバ、及び/又は他の構成要素と統合されてもよい。本開示の実施形態に係るセンサ装置は、任意の好適な又は望ましい取り付け又は統合機構又は構成を使用して、心臓シャント構造/装置又は他の埋め込み装置と一体化されてもよい。
【0070】
一部の実施形態では、センサ装置/組立品60は、センサ変換器構成要素65及びアンテナ構成要素を含み、これはセンサ装置60のハウジング69内に配置されてもよい。センサ変換器の構成要素65は、上記に詳述した任意の種類のセンサ変換器を含んでもよい。一部の実施形態では、センサ装置60は、示されるように、シャント構造100のセンサホルダ162に取り付けられるか、又はそれと一体化されてもよい。例えば、センサホルダ162は、一般的に、シャント構造100の近位(又は遠位)の軸方向部分/端部と関連付けられてもよい。すなわち、シャント構造100が埋め込まれるとき、バレル168の遠位端がシャント構造100の入口開口部/部分と関連付けられ得る一方、バレル168の近位端は、シャント構造100の出口開口部/部分と関連付けられてもよい。遠位及び近位側面/部分が、本明細書の一部の文脈で説明されているが、識別された遠位部分/側面が、識別された近位部分/側面と同様に、関連するシャント構造の出口側又は入口側であり得ることは、理解されるべきである。さらに、「遠位」及び「近位」という用語は、利便性のために使用され、関連するセンサ埋め込み装置及び/又はシャント構造を移植するために使用される送達システム/装置に関する相対的な配向を指す場合と指さない場合がある。
【0071】
センサ変換器の構成要素65は、圧力センサ変換器/膜などのセンサ要素67を含む。シャント構造100のセンサホルダ162に対して、センサ装置60が、その近位部分62で/その上で、センサホルダ162、又はハウジング69若しくはセンサ60の任意の他の部分に取り付けられ/位置付けられてもよい。一部の実施形態では、センサ装置60によって取得された読み取り値は、埋め込み装置100が移植される患者の治療のための薬剤の滴定を誘導するために使用されてもよい。
【0072】
本明細書に記載するように、センサ装置60は、無線データ及び/又は電力伝達を実装するように構成され得る。センサ装置60は、このような目的のためにアンテナの構成要素を含んでもよい。アンテナ、並びにセンサ装置60の一つ以上の他の構成要素は、センサハウジング69内に少なくとも部分的に含有されてもよく、センサハウジングは、無線データ及び/又は電力通信機能を促進するように構成された特定の制御回路を、その中にさらに配置してもよい。一部の実施形態では、アンテナは、誘導給電及び/又はデータ送信を容易にし得る、一つ以上の導電性コイルを含んでもよい。導電性コイルを含む実施形態では、このようなコイルは、少なくとも部分的に磁気(例えば、フェライト、鉄)コアの周りに巻かれ/配置されてもよい。
【0073】
センサ装置60は、任意の好適な又は望ましい方式で、シャント構造100に取り付けられる、又はそれと一体化されてもよい。例えば、一部の実装では、センサ装置60は、機械的取り付け手段(例えば、センサホルダ162及び/又は取り付け手段61)を使用して、シャント構造100に取り付けられる、又はそれと一体化されてもよい。一部の実施形態では、センサ装置60は、シャント構造100に取り付けられるパウチ又は他のレセプタクルに含有されてもよい。センサホルダ162は、バレルの軸から外向きに偏向/折り畳むように、及びセンサ装置が、少なくとも一つの方向のセンサ装置60の軸方向移動及び/又は角度偏向を制限するような様式で、それに取り付けられている時に、センサ装置60の半径方向外形の少なくとも一部分を覆うストッパー特徴/タブとして作用するように構成され得る。一部の実施形態では、センサ装置60は、別個の取り付け手段/特徴が、センサ装置60をシャント構造100に固定するために必要とならないように、センサホルダ162と一体化される。例えば、センサホルダ/アーム162は、センサ装置60のハウジング69と一体であってもよい。
【0074】
一部の実施形態では、センサホルダ162は、その中に開口を有するリング又は他の形態を含み、センサハウジング69の近位基部62は、センサホルダ162上に配置されるように構成されることができ、ねじ又は他の固定手段61は、少なくとも部分的にセンサホルダ162の開口191を通して基部に結合される。例えば、取り付け手段(例えば、ねじ)61は、センサハウジング69の基部62と関連付けられた対応する雌ねじ又は雄ねじのねじ山と嵌合するように構成された雄ねじ又は雌ねじのねじ山を含み得る。取り付け手段61は、センサホルダ162の開口191の対応する直径よりも、広い直径をその少なくとも一つ以上の部分に有する近位フランジ192を含んでもよい。したがって、取り付け手段61の取り付け突起部193(例えば、ねじ、クリップ、クランプなど)が、開口191を通って延び、センサハウジング69の基部62と係合するとき、取り付け手段61のフランジ192は、フランジ192とセンサハウジング69の基部62との間にセンサホルダ162のリング形態/構造を挟むことができ、センサハウジングの基部62は、同様に、一つ以上の領域において開口191よりも広く、それによって、センサハウジング69が開口191を通過するのを防止する。取り付け手段61は、有利なことに、センサホルダ162に対して比較的しっかりとねじ止め又は取り付けられてもよく、それによって、そこからのセンサハウジング69の望ましくない移動又は外れ/巻き戻しを防止する。一部の実装では、取り付け手段61は、ハウジング69の基部62及び/又はセンサホルダ162に固着、接着、又はその他の方法で永久的に固定されてもよい。
【0075】
取り付け手段61は雄ねじ突出部193を有し、センサハウジング69の基部62は対応する雌ねじ凹部を備えるとして示されているが、一部の実装では、雄ねじ突出部はハウジング69の基部62と関連付けられてもよく、一方で取り付け手段61はハウジングの基部62と関連付けられたねじ突出部を受容するように構成された雌ねじ凹部を含んでもよい。取り付け手段61は、ねじタイプの装置として示され、説明されているが、センサ装置60をシャント構造90のアームのいずれかに取り付けるために実装される固定/取り付け手段/機構は、2020年10月22日出願の「Sensor Integration in Cardiac Implant Devices」と題される、PCT出願第PCT/US20/56746号に開示される任意の機構であり得ることが理解されるべきであり、その内容は、参照により、その全体が本明細書に明示的に組み込まれる。例えば、シャント構造100及び/又はそのアームは、センサ装置60を、アーム、支柱、又はシャント構造100のその他のホルダ構造特徴に固定するよう構成された一つ以上のセンサ保持指部、クランプ、ラップ、バンド、ベルト、クリップ、パウチ、ハウジング、筐体、及び/又はその他の取り付け手段を含んでもよい。
【0076】
センサ装置162は、シャント構造100の軸方向側面/端部のいずれかと関連付けられ得、シャント構造100の異なる軸方向側面/端部は、埋め込み装置100が組織壁に埋め込まれたとき、組織壁の対向側面上に露出される。本明細書に記載するように、シャント構造の軸方向側面への言及は、シャント構造100及び/又はそのバレル部分168を軸方向に(及び/又は、
図3Cのように、斜めに)二等分する平面P
1の対向側面を指し得る。
【0077】
センサ装置60は、有利には、生体適合性であり得る。例えば、ハウジング69は、有利なことに、ガラス又は他の生体適合性材料を含むハウジングなどの、生体適合性であり得る。しかしながら、ダイアフラム又は他の構成要素などの、センサ変換器要素/膜67の少なくとも一部分は、圧力読み取り又は他のパラメータ感知が実装されることを可能にするために、一部の実施形態では、外部環境に露出されてもよい。ハウジング69は、ガラスシリンダ形態などの、少なくとも部分的に硬質の円筒形又は管状形態を含んでもよい。いくつかの実施形態では、センサ変換器の構成要素65/67は、直径が約3mm以下である。ハウジング69内に含まれる(又は含まない)アンテナは、およそ20mm以下の長さであってもよい。
【0078】
センサ装置60は、患者の身体の心臓又は他の領域に移植される場合、外部システムと通信するように構成され得る。例えば、アンテナは、外部システムから無線的に電力を受け取ってもよく、及び/又は、外部システムとの間で、感知済みのデータ若しくは波形を通信してもよい。
【0079】
センサ要素67は、圧力変換器を含んでもよい。例えば、圧力変換器は、半導体ダイアフラム構成要素を含む微小電気機械システム(MEMS)変換器であり得る。いくつかの実施形態では、変換器は、シリコーン又は他の可撓性材料から作製され得る、少なくとも部分的に可撓性又は圧縮可能なダイアフラムの構成要素を含み得る。ダイアフラムの構成要素は、環境圧力の変化に応答して、屈曲又は圧縮されるように構成され得る。ハウジング69内に含まれる制御回路は、前述の屈曲/圧縮に応答して生成されたシグナルを処理して、圧力読み取り値を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ダイアフラムの構成要素は、窒化ケイ素(例えば、ドープされた窒化ケイ素)などの、その外側表面上の生体適合性層と関連付けられる。圧力変換器67のダイアフラムの構成要素及び/又は他の構成要素は、有利なことに、センサの構成要素の少なくとも一部の気密封止を提供するために、センサ装置60のハウジング69に/それと融合されるか、別様に封止されてもよい。
【0080】
センサ装置60に実装される(並びに/又は電気的及び/若しくは物理的にセンサ装置60に結合される)制御回路は、本明細書に記載される監視機能を実施する、及び/又はセンサ信号の無線送信を容易にするようにプログラム及び/又はカスタマイズされ得、又は構成され得る、一つ以上の電子特定用途向け集積回路(ASIC)チップ又はダイを含んでもよい。アンテナは、複数のコイル(例えば、ワイヤコイル)の形態で、導電性材料で巻かれたフェライトコアを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コイルは、銅又は他の金属を含む。アンテナは、有利には、磁気共鳴映像法の存在下で、実質的な変位又は加熱を結果的にもたらさないコイル幾何学的形状で構成されてもよい。いくつかの実装では、センサ埋め込み装置100は、送達カテーテル(図示せず)を使用して、標的埋め込み部位に送達されてもよく、送達カテーテルは、それを通ってセンサ装置60の前進に適応するように構成された空洞、凹部、チャネルなどを含む。
【0081】
センサホルダ162は、バレル168から半径方向外側に発出してもよく、
図4A~4Cに示す展開構成では、センサホルダ162は、アーム及び/又はシャント構造100の他の固定機構と同様に、流体導管168から半径方向外向きに延びる。逆に、送達構成では、以下でより詳細に記載するように、センサホルダ162は、バレル/導管軸に対して、概して軸方向に延び得る。
【0082】
図4A~
図4Cに示すように、センサ装置60がシャント構造100に固定された状態では、センサ装置60の少なくとも一部分は、シャント埋め込み装置100が組織壁の開口部に埋め込まれるとき、センサ装置60の少なくとも一部分が、シャントインプラント100のバレル部分168の少なくとも一部分と組織壁の開口部(例えば、穴)の内表面/周囲との間に配置されるように、バレル168の外側に及び/又はバレルに平行に位置してもよい。例えば、センサ装置60は、バレル168と、シャントインプラント100が埋め込まれる組織壁/開口部との間に挟まれているとみなされてもよい。センサ装置60が、組織壁の開口部の内側表面とシャントインプラント100のバレル168との間に位置するとき、バレル168は、開口部の内側表面と部分円の接触のみを確立するように構成されてもよい。例えば、センサ装置60は、バレル168の円周方向部分/セグメントと接触していてもよく、及び/又はセンサハウジング69と整列したバレルの円周方向部分/セグメントが組織壁の開口部の内側表面に接触するのを防止してもよい。代わりに、センサ装置60は、開口部の内側表面及び/又はバレル168と接触していてもよい。
【0083】
図5は、一つ以上の実施形態による、患者44における一つ以上の生理学的パラメータ(例えば、左心房圧及び/又は体積)を監視するためのシステム40を示す。患者44は、例えば、患者44の心臓(図示せず)又は関連する生理機能に埋め込まれた医療用埋め込み装置30を有することができる。例えば、埋め込み装置30は、患者の心臓の、左心房の内部に、及び/又は冠静脈洞の内部に、少なくとも部分的に埋め込むことができる。埋め込み装置30は、本明細書に開示されるシャント埋め込み装置のいずれかの実施形態であってもよく、こうした装置は、センサ装置と関連付けられる。埋め込み装置30は、一つ以上の微小電気機械システム(MEMS)装置(例えば、MEMS圧力センサ、又は他の種類のセンサ変換器)などの一つ以上のセンサ変換器32を含み得る。
【0084】
特定の実施形態では、監視システム40は、センサ変換器32を含む埋め込み型内部サブシステム又は装置30と、一つ以上のマイクロコントローラ、ディスクリート電子部品、並びに一つ以上の電力及び/又はデータ送信器38(例えば、アンテナコイル)を含む制御回路34と、を含む、少なくとも二つのサブシステムを備えることができる。監視システム40は、特定の制御回路41に電気的及び/又は通信可能に結合している無線トランシーバを含み得る、外部リーダ42(例えば、コイル)を含む外部(例えば、非埋め込み型)サブシステムをさらに含むことができる。特定の実施形態では、内部30及び外部42サブシステムの両方は、それらの間に配置された患者組織を通した無線通信及び/又は電力送達のための一つ以上の対応するコイルアンテナを含む。センサ埋め込み装置30は、任意の種類の埋め込み装置であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、埋め込み装置30は、人工シャント又はステント装置/構造などの別の機能的インプラント構造31と一体化された圧力センサを備える。
【0085】
埋め込み装置30の特定の詳細は、図示される拡大されたブロック30に示される。埋め込み装置30は、本明細書に記載されるインプラント/アンカー構造31を含み得る。例えば、インプラント/アンカー構造31は、本開示の全体を通して詳細に説明するように、心臓の二つの心腔及び/又は血管の間に流路を提供するために、組織壁に対して固定されるように構成された及び/又は組織壁の内部に固定されるように構成された経皮的に送達可能なシャント装置を含むことができる。
【0086】
インプラント/アンカー構造31は、埋め込み装置及び/又はそのバレルの各軸方向端部と関連付けられた一つ以上のアンカーアーム又は特徴を含み得る。さらに、上記で言及したように、本明細書に開示されるシャント埋め込み装置は、山形タイプの円周方向支柱を含み得る。本明細書に開示されるシャント埋め込み装置での山形支柱の使用は、シャントバレルの折り畳み性の改善を提供し得る。さらに、埋め込み装置の第一の側面と関連付けられた一つ以上のアンカーアームが、埋め込み装置の第二の側面と関連付けられた一つ以上の(又は全ての)アンカーアームに対してオフセットされている、オフセット軸方向アームの実装は、固定の改善を容易にし、及び/又は輸送/圧縮プロファイルの低減を可能にし得る。
【0087】
特定の構成要素が、埋め込み装置30の一部分として
図5に示されているが、センサ埋め込み装置30は、示された構成要素/モジュールのサブセットのみを備えることができ、示されていない追加の構成要素/モジュールを備えることができることを理解されたい。埋め込み装置は、
図3A~3G及び/又は
図4A~4Cに示される埋め込み装置の実施形態を表すことができ、その逆もまた同様である。埋め込み装置30は、一つ以上のセンサ変換器32を有利に含み得、これは、心房圧などの患者44の一つ以上の生理学的パラメータを示す応答を提供するように構成され得る。圧力変換器が記載されているが、センサ変換器32は、埋め込み装置30及び/又は患者44と関連付けられた生理学的パラメータ又は状態に関連する信号を提供するための任意の好適な又は望ましい種類のセンサ変換器を含み得る。
【0088】
センサ変換器32は、一つ又は複数の、MEMSセンサ、光学センサ、圧電センサ、電磁センサ、歪みセンサ/ゲージ、加速度計、ジャイロスコープ、ダイヤフラムベースのセンサ、及び/又は他のタイプのセンサ、を含むことができ、患者の健康に関連した一つ又は複数のパラメータを感知するために患者44に位置決めすることができる。変換器32は、フォースコレクタタイプ圧力センサであり得る。いくつかの実施形態では、変換器32は、ダイアフラム、ピストン、ブルドン管、ベローズ、又はその領域/表面にわたって適用された歪み若しくは撓みを測定する他の歪み若しくは撓み測定構成要素を含む。変換器32は、その少なくとも一部分がハウジング36内に収容されるか、又はそれに取り付けられるように、センサハウジング36と関連付けられ得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、変換器32は、加えられた圧力に起因する歪みを検出するために、接合又は形成された歪みゲージを使用するように構成され得る、歪みゲージの構成要素を含む、又は歪みゲージの構成要素である。例えば、変換器32は、ピエゾ抵抗歪みゲージの構成要素を含んでもよく、又はその構成要素であってもよく、圧力が歪みゲージの構成要素/材料を変形するにつれて抵抗が増加する。変換器32は、シリコーン、ポリマー、ケイ素(例えば、単結晶)、ポリシリコン薄膜、接合金属ホイル、厚膜、シリコンオンサファイア、スパッタリング薄膜、及び/又は類似のものなどを含むがこれらに限定されない任意のタイプの材料を組み込むことができる。いくつかの実施形態では、金属歪みゲージは、センサ表面に接着され、又は薄膜ゲージは、スパッタリング又は他の技術によってセンサ上に当てられ得る。測定要素又は機構は、ダイアフラム又は金属ホイルを含んでもよい。変換器32は、光学、電位差測定、共鳴、熱、イオン化、又は他のタイプの歪み若しくは圧力センサなどの、任意の他のタイプのセンサ又は圧力センサを含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、変換器32は、ダイアフラムに適用された圧力に起因する歪みを検出するために可変キャパシタを形成するように構成されたダイアフラム及び圧力空洞を含む静電容量式圧力センサの構成要素を含むか、又はそれである。静電容量式圧力センサの静電容量は、一般に、圧力がダイアフラムを変形させるにつれて減少し得る。ダイアフラムは、限定されるものではないが、金属、セラミック、シリコン、ケイ素、又は他の半導体などを含む任意の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、変換器32は、インダクタンスの変化、線形可変変位変換器(LVDT)の機能、ホール効果、又は渦電流感知によってダイアフラムの変位を測定するように構成され得る、電磁圧力センサの構成要素を含む、又はそれである。いくつかの実施形態では、変換器32は、圧電歪みセンサの構成要素を備えるか、又はそれである。例えば、そのようなセンサは、水晶などの特定の材料における圧電効果に基づいて、感知機構に対する歪み(例えば、圧力)を決定することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、変換器32は、一つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)マイクロコントローラ又はチップを含み得る、制御回路34に電気的及び/又は通信可能に結合される。制御回路34は、同調キャパシタ、抵抗器、ダイオード、インダクタなどの一つ以上のディスクリート電子部品をさらに含むことができる。
【0092】
特定の実施形態では、センサ変換器32は、示されたローカル外部モニタシステム42など、患者の身体の外側の装置に無線で送信できる電気シグナルを生成するように構成され得る。そのような無線データ送信を実行するために、インプラントデバイス30は、信号処理回路及びアンテナ38などの無線周波数(RF)(又は、他の周波数帯域)伝送回路を含むことができる。アンテナ38は、患者の内部に埋め込まれたアンテナコイルを含むことができる。制御回路34は、電磁信号を送信するように構成された任意のタイプのトランシーバ回路を含んでもよく、この場合、信号は、アンテナ38によって放射することができ、このアンテナは、一つ又は複数の導電性の、ワイヤ、コイル、プレート、又は同種のもの、を含んでもよい。埋め込み装置30の制御回路34は、例えば、装置30を使用して、生成及び/又は送信される信号に対してある程度の量の処理を実施するように構成された一つ以上のチップ又はダイを備え得る。しかしながら、サイズ、コスト、及び/又は他の制約に起因して、埋め込み装置30は、いくつかの実施形態では、独立した処理能力を含まない場合がある。
【0093】
埋め込み装置30によって生成された無線信号は、ローカル外部モニタ装置又はサブシステム42によって受信され得、これは、埋め込み装置30から無線信号伝達を受信するように構成されたリーダ/アンテナインターフェース回路モジュール43を含み得、該モジュールは、患者44内に少なくとも部分的に配置される。例えば、モジュール43は、トランシーバデバイス/回路を含んでもよい。
【0094】
外部ローカルモニタ42は、ワンドデバイスなどの外部アンテナ48を使用して、インプラントデバイス30からの無線信号送信を受信することができる、及び/又は、インプラントデバイス30に対して無線電力を供給することができる。読取器/アンテナインターフェース回路43は、インプラントデバイス30からの信号を受信して増幅するように構成された無線周波数(RF)(又は、他の周波数帯域)フロントエンド回路を含むことができ、このような回路は、一つ又は複数のフィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)、増幅器(例えば、低ノイズ増幅器)、アナログ/デジタル変換器(ADC)及び/又はデジタル制御インターフェース回路、位相ロックループ(PLL)回路、信号ミキサ、あるいは同種のもの、を含むことができる。読取器/アンテナインターフェース回路43は、ネットワーク49を介して遠隔モニタサブシステム又はデバイス46に対して信号を送信するように、さらに構成することができる。リーダ/アンテナインターフェース回路43のRF回路は、送信された信号を、ネットワーク49を介して取り扱う/処理するため、及び/又は信号を埋め込み装置30から受信するための、デジタル/アナログ変換器(DAC)回路、電力増幅器、ローパスフィルタ、アンテナスイッチモジュール、アンテナなどのうちの一つ以上をさらに含み得る。特定の実施形態では、ローカルモニタ42は、埋め込み装置30から受信した信号の処理を実施するための制御回路41を含む。ローカルモニタ42は、イーサネット、Wi-Fiなどの既知のネットワークプロトコルに従ってネットワーク49と通信するように構成することができる。特定の実施形態では、ローカルモニタ42は、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、若しくは他のモバイルコンピューティング装置、又は任意の他のタイプのコンピューティング装置を含む。
【0095】
特定の実施形態では、埋め込み装置30は、いくらかの量の揮発性及び/又は不揮発性データ記憶部を含む。例えば、そのようなデータストレージは、フローティングゲートトランジスタのアレイを利用したソリッドステートメモリ、又は同種のもの、を含むことができる。制御回路34は、ある期間にわたって収集された感知済みデータを格納するためにデータストレージを利用してもよく、格納されたデータは、ローカルモニタ42に対して、又は他の外部サブシステムに対して、定期的に送信することができる。特定の実施形態では、埋め込み装置30は、いかなるデータ記憶部も含まない。制御回路34は、センサ変換器32によって生成されたデータ、又はそれと関連付けられた他のデータの無線伝達を容易にするように構成され得る。制御回路34は、一つ又は複数の外部サブシステムからの入力を、例えばローカルモニタ42からの入力を、又は例えばネットワーク49を介して遠隔モニタ46からの入力を、受信するようにさらに構成されてもよい。例えば、埋め込み装置30は、一つ以上の構成要素又はセンサをアクティブ化/非アクティブ化することなどにより、あるいは、埋め込み装置30の動作又は性能に影響を与えることなどにより、埋め込み装置30の動作を少なくとも部分的に制御する信号を受信するように構成されてもよい。
【0096】
埋め込み装置30の一つ以上の構成要素は、一つ以上の電源35によって給電され得る。サイズ、コスト、及び/又は電気的な複雑さの懸念により、電源35が本質的に比較的最小限のものであることが、望ましいことであり得る。例えば、埋め込み装置30内の高電力駆動電圧及び/又は電流は、埋め込み装置と関連付けられた心臓又は他の身体部分の動作に悪影響を及ぼす、又はそれに干渉し得る。特定の実施形態では、電源35は、電力が、短距離又は近距離無線電力伝達、又は他の電磁結合機構の使用を通じてなど、埋め込み装置30の受動回路によって外部電源から無線で受信され得るように、本質的に少なくとも部分的に受動的である。例えば、ローカルモニタ42は、電力を埋め込み装置30に供給できるRF場を能動的に生成するイニシエータとして機能し得、それによって、埋め込み装置の電力回路は、比較的単純な形態因子を取ることが可能になる。特定の実施形態では、電源35は、流体流、動きなどの環境源からエネルギーを得るように構成され得る。追加的又は代替的に、電源35は、バッテリを備えることができ、有利なことに、監視期間(例えば、3、5、10、20、30、40、若しくは90日、又は他の期間)にわたって必要に応じて十分な電力を提供するように構成され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、ローカルモニタ装置42は、埋め込み装置30と遠隔モニタ46との間の中間通信装置として機能し得る。ローカルモニタ装置42は、埋め込み装置30と通信するように設計された専用の外部ユニットであり得る。例えば、ローカルモニタ装置42は、ウェアラブル通信装置、又は患者44及び埋め込み装置30に近接して容易に配設され得る他の装置であり得る。ローカルモニタ装置42は、埋め込み装置30を連続的、周期的、又は散発的に調査して、センサベースの情報をそこから抽出又は要求するように構成され得る。特定の実施形態では、ローカルモニタ42は、ユーザーインターフェースを備え、ユーザは、インターフェースを利用し得、センサデータを閲覧、センサデータを要求、又はそうでなければ、ローカルモニタシステム42及び/又は埋め込み装置30と相互作用する。
【0098】
システム40は、例えば、監視される心臓圧データを表示する及び/若しくはそれと相互作用するための監視ステーション又はインターフェースを提供するように構成されたデスクトップコンピュータ又は他のコンピューティング装置であり得る二次ローカルモニタ47を含み得る。ある実施形態では、ローカルモニタ42は、患者及び/又は埋め込み装置30に物理的に近接して配置されるように構成されたウェアラブル装置又は他の装置若しくはシステムであり得、ローカルモニタ42は、主に、信号を、埋め込み装置30に、及び/又はそれから受信/送信し、このような信号を、閲覧、処理、及び/又は操作するために二次ローカルモニタ47に提供するように設計される。外部ローカルモニタシステム42は、埋め込み装置30からのデータ結合を介しても提供され得る、装置IDなどの埋め込み装置30から、又はそれと関連付けられた特定のメタデータを受信及び/又は処理するように構成され得る。
【0099】
遠隔モニタサブシステム46は、ローカルモニタデバイス42から、二次ローカルモニタ47から、及び/又はインプラントデバイス30から、ネットワーク49を介して受信したモニタデータを、受信、処理、及び/又は提示するように構成された、任意のタイプのコンピューティングデバイス、又はコンピューティングデバイスからなる集合体、とすることができる。例えば、遠隔モニタサブシステム46は、有利なことに、病院、医師、又は患者44と関連付けられた他のケア事業体などの医療事業体によって操作及び/又は制御され得る。本明細書に開示される特定の実施形態が、埋め込み装置からローカルモニタ装置42を間接的に介して遠隔モニタサブシステム46と通信することを記載するものの、特定の実施形態では、埋め込み装置30は、ローカルモニタ装置42を介して情報を中継する必要なく、遠隔モニタサブシステム46とネットワーク49を介して通信することが可能な送信器を備え得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、変換器32、制御回路34、電源35及び/又はアンテナ38の少なくとも一部分は、センサハウジング36内に少なくとも部分的に配設又は含有され、該センサハウジングは、任意の種類の材料を備え得、有利には、少なくとも部分的に密封され得る。例えば、ハウジング36は、いくつかの実施形態では、その中に収容される構成要素に対して機械的安定性及び/又は保護を提供し得るガラス又は他の硬質材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング36は、少なくとも部分的に可撓性である。例えば、ハウジングは、ポリマー又は他の可撓性構造/材料を含んでもよく、これは、有利には、センサ37の折り畳み、折り曲げ、又は圧潰を可能とすることで、カテーテル又は他の経皮的導入手段を通しての、センサの輸送を可能とし得る。
【0101】
図6は、一つ以上の実施形態による、冠静脈洞組織壁21に埋め込まれたシャント埋め込み装置100を示す。上記で言及されたように、一部の実装では、本開示の実施形態によるシャント装置/構造は、心房間短絡が冠静脈洞16を通して達成され得るように、冠静脈洞16を左心房2から分離する壁21に埋め込まれてもよい。
図6は、心臓の断面を、背面を紙面上部に向けた状態で、平面視の視点から示している。埋め込み装置100のインプラント/アンカー構造は、本明細書に詳細に開示されるように、一部の実施形態では、軸方向及び/又は円周方向にオフセットされたアンカーアーム/パッドを有するシャント構造を含み得る。さらに、インプラント/アンカー構造は、本明細書に詳細に記載されるように、山形/ジグザグの横方向/円周方向支柱を含んでもよい。
【0102】
一部の場合、左心房2と冠静脈洞16との間の壁21におけるシャント装置100の埋め込みを通じた左から右への短絡は、心房中隔18を通じた短絡よりも好ましい可能性がある。例えば、冠静脈洞16を通じた短絡は、血栓及び塞栓の低減されたリスクを提供し得る。一般的に、冠静脈洞は、いくつかの理由から血栓/塞栓の存在を有する可能性が低い場合がある。第一に、冠血管系から右心房5への排出する血液は、毛細血管を通過したばかりであるため、本質的に濾過された血液である。第二に、右心房における冠静脈洞の小孔14は、多くの場合、テベシウス弁と呼ばれる偽弁(図示せず)によって部分的に被覆される。テベシウス弁は、必ずしも存在するわけではないが、存在する場合、右心房圧のスパイクの事象において血栓又は他の塞栓が侵入することを遮断し得る。第三に、それが排出される冠静脈洞と右心房との間の圧力勾配は、一般的に、比較的低く、その結果、右心房の血栓又は他の塞栓は、そこに残る可能性がある。第四に、血栓/塞栓が冠静脈洞に侵入する事象では、右心房と左心房との間よりも、右心房と冠血管系との間にはるかに大きい勾配が典型的に存在することになる。血栓/塞栓は、右心房圧が正常に戻り、その後、塞栓が右心房に直接戻るまで、高確率で、さらに冠血管系に沿って移動することになろう。
【0103】
左心房2と冠静脈洞16との間の壁21にシャント埋め込み装置100を設置するいくつかの追加の利点は、こうした解剖学的構造が、一般に、心房中隔組織よりも安定しているという考察に関連する。左心房の血液を冠静脈洞へと迂回させることにより、洞圧は、わずかな程度だけ、上昇し得る。これは、冠血管系の血液を、心臓を通ってよりゆっくりと移動させ、灌流及び酸素伝達を増加させる可能性があり、これは、より効率的であり得、また瀕死の心筋が回復するのを助け得る。さらに、シャント装置/構造100を冠静脈洞の壁に埋め込むことによって、心房中隔18への損傷は、防止され得る。したがって、心房中隔18は、他の療法のための後の経中隔アクセスのために保存され得る。経中隔アクセスの保存は、様々な理由で有利であり得る。例えば、心不全の患者は、心房細動及び/又は僧帽弁閉鎖不全症などの多くの他の合併症を有していることが多く、これらの疾病を処置するための特定の治療では、経中隔アクセスを必要とする。
【0104】
注目すべきは、冠静脈洞16と左心房2との間にセンサ埋め込み装置100を配置する様々な利点に加えて、特定の欠点が考慮され得ることである。例えば、左心房2からの血液を冠静脈洞16へとシャントすることにより、左心房2からの酸素を多く含んだ血液が、右心房5へと送られ得ることとなり、及び/又は、右心房5からの酸素の少ない血液が、左心房2へと送られ得ることとなり、これらの両方は、心臓の適切な機能の点から、望ましくないものであり得る。
【0105】
図6にさらに参照するように、冠静脈洞16は、左心房2の周りに略連続し、したがって、埋め込み装置100に対して様々な考えられる許容可能な配置が存在する。埋め込み装置100の配置のために選択された標的部位は、CTスキャン又はX線写真撮影などの、蛍光透視又は血管内冠血管系エコー(IVUS)などの、非侵襲的診断手段によって予め決定された、特定の患者の組織が薄いか又は低密度である領域内とされ得る。
【0106】
他の実施形態と同様に、シャント埋め込み装置100は、センサ変換器の構成要素65及び特定の接続構成要素(例えば、アンテナの構成要素及び/又は他の制御回路)を有するセンサ装置60を含み得る。シャント埋め込み装置100は、示されるように、センサ変換器65が左心房2に、又は代替的に(又は追加的に)冠静脈洞16に配置されるような様式で、シャント構造100のバレル構造168と関連付けられた、及び又は結合された一つ以上のアンカーアームに、配置、取り付け、及び/又はその他の方法で固定されるか、又はそれと関連付けられる。例えば、埋め込み装置100は、図示のように、センサ変換器の構成要素65が、組織壁21の心房側上で少なくとも部分的に露出されるように、構成されてもよい。センサ装置60は、センサハウジングが、バレル168と、バレル168が展開される/埋め込まれる開口部の内側の組織壁21との間に位置付けられる/押さえ付けられるように、バレル168の外側上に保持/固定されるように構成されてもよい。センサ変換器の構成要素65が、バレル入口の外側及び/又はその近くの領域に配置されるとき、センサ変換器65は、有利なことに、比較的高い流れの領域に配置され得、それによって、シャント構造100のバレル168を通る流れの特徴を示すセンサ読み取り値が生成されるのを可能にする。
【0107】
図7は、一つ以上の実施形態による、心房中隔18に埋め込まれたシャント埋め込み装置100を示す。
図7は、一つ以上の実施形態による、装置100のセンサ60が左心房2に露出されている、本明細書に記載されるようなシャントインプラント100と関連付けられたセンサ装置60を示す。他の実施形態と同様に、センサ装置60は、センサ変換器の構成要素65及び円筒形ハウジングを含む。センサ装置は、センサハウジングが、シャントインプラント100のバレル168の外径と、バレル168が配置される組織壁18の開口部の周囲との間に位置付けられるような様式で、埋め込み装置100のシャント構造に配置、取り付け、及び/又はその他の方法で固定されるか、又はそれと関連付けられ、これは有利なことに、センサ装置の比較的確実な配置/固定を提供してもよい。
図7は、センサ変換器65が壁18の左心房側に配置された状態で埋め込まれた埋め込み装置100を示すが、本開示の実施形態は、そのセンサ変換器が中隔の右側に配置/露出された状態で、心房(又は心室)中隔に埋め込まれ得ることが理解されるべきである。
【0108】
図8A及び
図8Bは、一つ以上の実施形態による、様々な厚さを有する組織壁セグメントに埋め込まれたシャント埋め込み装置100を示す。
図8A及び
図8Bの両方を参照すると、埋め込まれたとき、埋め込み装置100の遠位アンカーアーム154は、その末端に向かうとき、シャント100のバレル168から軸方向に離れて湾曲し/膨らみ、半径方向外向きに偏向し、(組織壁21の平面と整列するにつれて)またバレル168の軸方向中心に向かって偏向する。近位アーム155は、組織壁21の開口部1095を通るシャント100の軸方向移動を妨げる様式で半径方向外向きに偏向してもよい。したがって、半径方向に延びる遠位154及び近位155のアンカーアームは、それらの間に組織壁21を保持する/挟むように構成されることができ、それによって、シャントインプラント100を組織壁21の定位置に固定する。
【0109】
遠位アンカーアーム154の末端部/パッド164は、組織壁21と接触し、及び/又は把持するように構成され、よって、シャント100を定位置に維持するのに役立つ。遠位アンカーアーム164の長さ及び/又は材料特性は、シャント100が様々な厚さの組織壁に適合することを可能にし得る。例えば、組織壁セグメントは、患者にわたって、並びに患者の異なる組織セグメント及び解剖学的構造にわたって、厚さが変化してもよい。
図8Aは、比較的薄い組織壁21aに埋め込まれたインプラント100を示し、一方で
図8Bは、比較的厚い組織壁21bに移植されたインプラント100を示し、長い遠位アンカーアーム15の長さ及び/又は材料特性は、インプラント100が、いずれの組織壁の定位置にもそれ自体を確実に保持することを可能にする。
【0110】
近位アンカーアーム155に対して遠位アンカーアーム154の長さが増加しているため、遠位アーム154の接触パッド164は、概して、近位アーム155の一次161(及び/又は二次166)接触パッドの組織接触位置に対して、量/距離L0だけ横方向にオフセットされた位置で、組織壁21に接触してもよい。こうした横方向オフセットは、組織壁21の拡張領域にわたってアンカーアーム154、155の締付力を分散させるように機能することができ、これは、インプラント100の安定性の向上を提供し、及び/又は遠位アンカーアームと近位アンカーアームとの間の組織壁21の直接の摘みを低減することができる。
【0111】
一部の実施形態では、シャント100及び/又は長い遠位アンカーアーム154は、ニチノール又は他の記憶金属などの超弾性材料を含んでもよく、これは、アーム154に比較的高い柔軟性を示させる場合があり、アームの形状記憶は、壊死又は他の組織損傷を引き起こし得る過剰な締付力を壁に加えることなく、アームを組織壁21に向かって偏向させることを可能にし得る。
【0112】
遠位アーム154の長さは、接触パッド164の垂直/軸方向位置に柔軟性を提供することができ、アーム154の曲げ/屈曲の異なる量及び/又は形状/角度は、シャント100の軸に対する接触パッド164の異なる垂直/軸方向位置をもたらし得る。例えば、遠位アンカーアーム154は、有利なことに、バレル168の長さL
2(
図3Gを参照)よりも大きい長さL
1(
図3Gを参照)を有し得る。一部の実施形態では、遠位アンカーアーム154は、バレル168よりも約30~70%又は40~60%長く、例えば、約50%長い。逆に、近位アーム155は、バレル168よりも短くてもよく、著しく短くてもよい。一部の実施形態では、近位アーム155の長さは、接触パッド161、166及び/又は垂直オフセットアーム169の幅/長さのみに起因する。
【0113】
遠位アンカーアーム154の曲げ/屈曲構成に応じて、遠位アンカーアーム及び近位アンカーアームの接触パッド間の軸方向ギャップは、特定の組織壁の厚さに適合するように変化してもよい。例えば、
図8Aでは、アンカーアーム154は、遠位アンカーアームと近位アンカーアームとの間のギャップG
1が
図8Bに示されるギャップG
2よりも小さいように、
図8Bよりも大きく組織壁21aに向かって偏向されてもよい。すなわち、
図8Bの実装では、組織壁21bは比較的厚く、したがって、遠位アンカーアーム154は、組織壁21bと接触するため、及び/又はそれに対して所望の圧力を加えるために、
図8Aよりも小さい度合いで下向きに(図示した配向に対して)偏向する傾向があり得る。
【0114】
図8A及び8Bに示すように、拡張/展開構成にあるとき、シャント100は、組織壁21に対してバレル168の軸に関して傾斜した配向を有し得る。こうした実装では、シャント100は、ある角度で組織壁を通過するカテーテルを使用して、組織壁21に埋め込まれ得る。一旦拡張されると、アンカーアーム154、155は、組織壁21の周りにクランプ留めされ、組織壁の穿刺開口部内にバレルを維持する。展開されると、一部の実施形態では、長い遠位アンカーアーム154は鈍角で屈曲し、一方、近位アンカーアーム155及び/又は関連付けられた接触パッド161は、示されるように、鋭角で屈曲/偏向する。
【0115】
【0116】
ブロック901で、プロセス900は、カテーテルベースの送達システム111で、患者の心臓の右心房5にアクセスすることを含む。画像1001は、本開示の態様によるシャント装置の埋め込みに使用され得る様々なカテーテル/シースタイプの送達システム111を示す。送達システム111は、有利には、例えば、右心房5、冠静脈洞16、左心房2、又は他の解剖学的構造若しくは心腔などへの途中で、それを通って前進され得る様々な血管及び心腔の横断を可能にするために、操縦可能であり、断面プロファイルが比較的小さくあり得る。特定の経カテーテルソリューションによる、右心房5、冠静脈洞16、又は左心房2へのカテーテルアクセスは、下大静脈29(カテーテル111aにより示される)又は上大静脈19(カテーテル111bにより示される)を介して行われてもよい。
【0117】
右心房及び/又は左心房へのアクセスは、経大腿又は他の経カテーテル処置を通じてなど、右心房及び/又は下大静脈を介するものとして、特定の実施例と関連して例示及び説明されているが、本開示の実施例に従って他のアクセス経路/方法が実装されてもよい。例えば、心房中隔壁を通る中隔横断が不可能である場合、他のアクセス経路を左心房2に採用し得る。弱化した及び/又は損傷した心房中隔を有する患者では、中隔壁とのさらなる係合は望ましくない場合があり、患者にさらなる損傷をもたらす。さらに、一部の患者では、中隔壁は、一つ以上の埋め込み装置又は他の治療で占有され得、このような治療の点からみて、中隔壁を横断することは持続不能である。経中隔アクセスの代替として、経大動脈アクセスが実施され得、送達カテーテルが、下行大動脈32、大動脈弓12、上行大動脈、及び大動脈弁7を通過し、左心房2内に僧帽弁6を通って達し得る。あるいは、経心尖アクセスが、標的解剖学的構造にアクセスするために実行されてもよい。
【0118】
プロセス900は、ガイドワイヤ54を、冠静脈洞を通る経路を介して左心房2に配置することを伴い得る。例えば、こうしたガイドワイヤ配置は、ブロック902、903、及び904と関連付けられた動作のうちの一つ以上を伴ってもよく、これは、プロセス900のブロックの任意の他のものと同様に、任意選択の動作とみなされ得る。ブロック902、903、及び904と関連付けられた動作は、冠動脈洞16と左心房2との間に、本開示の態様によるシャント埋め込み装置を配置するために、冠静脈洞の壁を通して穿刺孔を作製する工程に関し、
図10-2の関連する画像は、背面が下に向いている心臓のセクションを見下ろしたときの、関連する解剖学的構造の図を示す。
【0119】
画像1001で視認可能及び/又は明らかであるいくつかのアクセス経路のいずれも、プロセス900の様々なブロックと関連付けられた動作のいずれかを実施するために、ガイドワイヤ及び送達システム/カテーテルを心臓内及びその周りで操作するために実装されてもよい。例えば、アクセスは、上方から、鎖骨下静脈又は頸静脈のいずれかを介して、上大静脈19、右心房5内へと、さらにはそこから、冠静脈洞16内へと、続くものであってもよい。あるいは、アクセス経路は、大腿静脈で始まり、下大静脈29を通って心臓に入り得る。他のアクセス経路もまた、使用され得、かつ各々は、典型的には、ガイドワイヤ及び/又はカテーテルが血管系に挿入される経皮的切開を利用し、通常は封止されたイントロデューサを通して、そこから、医師が装置の遠位端を身体外から制御する。
【0120】
ブロック902では、プロセス900は、ガイドワイヤ54を冠静脈洞16内に配置することを含む。例えば、言及したように、ガイドワイヤ54は、鎖骨下静脈又は頸静脈を通り、上大静脈19を通って、冠静脈洞16内に導入される。冠静脈洞16は左心房2の周りで大部分は連続しているため、本開示によるシャントインプラントのために様々な考えられる許容可能な配置がある。シャントインプラントの配置のため(したがって、組織壁21を通した穿刺のため)に選択される部位は、CTスキャン又はX線写真撮影などの、蛍光透視又は血管内冠血管系エコーなどの、非侵襲的診断手段によって予め決定された、特定の患者の組織が薄いか又は低密度である領域内とされてもよい。画像1002は、ガイドワイヤ54が、右心房5から、冠静脈洞16の中にその小孔又は開口部14を通って前進するのを示す。
【0121】
ブロック903で、プロセス900は、組織壁21を穿刺して、左心房2へのアクセスを提供することを含む。画像1003は、ガイドワイヤ54の上を前進した穿刺カテーテル91を示す。穿刺カテーテル91は、イントロデューサシース(図示せず)の近位端を通して体内に導入され得る。イントロデューサシースは、使用される特定の血管経路(例えば、頸静脈又は鎖骨下静脈)へのアクセスを提供するように構成されることができ、それと/その中に関連付けられた一つ以上の止血弁を有してもよい。関連するイントロデューサシースを固定位置に保持しながら、外科医は穿刺カテーテル91を埋め込み部位へと操作することができる。
【0122】
穿刺カテーテル91の少なくとも遠位端は、湾曲した冠静脈洞に適合するように、その中に構築/形成されたわずかな湾曲を有してもよい。拡張可能な固定部材92は、カテーテルの近位範囲よりも薄いか、又は近位範囲から先細りしてより狭くてもよい最遠位セグメント94に隣接する領域中など、カテーテル91の半径方向外側に沿って露出/突出し得る。外科医が、冠静脈洞内の固定部材92の所望の配置のために正確な前進距離を決定するのを助けるために、一つ以上の放射線不透過性マーカーがカテーテル91上に配置されてもよい。
【0123】
画像1003は、(示されるように)球状バルーン、編組メッシュ、又は他の特徴を含み得る、拡張可能な固定部材92の半径方向外向きの展開を示す。メッシュの一つの利点は、処置中に冠静脈洞を通る血流の過剰な遮断を回避できることであるが、処置は通常、それほど長く時間がかからず、場合によってはバルーンが好ましい場合がある。固定部材92の拡張は、カテーテル91の半径方向内側曲線を冠静脈洞の管腔壁21に押し付けるのに役立つ。結果として、バルーンアンカー92の反対側の針ポートが押されて、管腔壁21に当接し得る。アンカー92の位置付けは、有利なことに、針ポートを通した穿刺針93の穿刺を、僧帽弁6の後尖のP2部分のほぼ上方に配向し得る。
【0124】
穿刺シース/針93は、鋭利な先端を含んでもよく、カテーテルの長手方向からある角度で針ポートを出て、壁21を通って左心房2の中に穿刺するように、カテーテル91に沿って前進し得る。穿刺シース針93は、カテーテル91から展開されたときに、針を左心房2に向かって配向するように湾曲し得る。
【0125】
ブロック904で、プロセス900は、穿刺シース93によって作り出された穿刺経路を通して、ガイドワイヤ59を左心房2に挿入することを含む。例えば、針先端は、穿刺シース93から引き込まれ/除去されてもよく、それによって、穿刺シース93内に開いた内腔を提供し、それを通して第二のガイドワイヤ59を左心房2の中に前進させ得る。一部の例では、ガイドワイヤ59は、穿刺シース93内の穿刺針中に提供された内腔を通過してもよい。次いで、穿刺シース93は、左心房から除去されて穿刺カテーテル91の中に入り、ガイドワイヤ59は、冠静脈洞を通って左心房の中に延びたままとなる。
【0126】
ブロック905では、プロセス900は、組織壁21に形成された穿刺/開口部を拡張することを含む。画像1005は、ガイドワイヤ59に沿って、少なくとも部分的に組織壁21を通って左心房2の中に前進し得る拡張器95を示す。拡張器95は、例えば、細長い膨張可能なバルーンを含んでもよい。拡張器95及び膨張管は、ガイドワイヤ59の上を乗り越えてもよく、拡張器との干渉を避けるためにある程度の量の後退され得るカテーテル91の引き込み中に定位置に保持されてもよい。拡張器95は、組織壁21を通して穿刺を広げるために、膨張などを通して半径方向に拡張されてもよい。次いで、拡張器95は、穿刺カテーテル91内に引き込まれてもよく、その後、穿刺カテーテル91が、ガイドワイヤ59に沿って除去されてもよい。別個の穿刺及びインプラント送達カテーテル/システムが図示及び記載されているが、本開示によるシャント埋め込み装置は、冠静脈洞と左心房との間に穴を穿刺する処置、並びに単一のアクセス装置/システムを用いてシャントを送達することを使用して埋め込まれてもよいことが理解されるべきである。
【0127】
ブロック906では、プロセス900は、本明細書に詳細に開示されるようなセンサ付シャント埋め込み装置などの、シャント埋め込み装置70がその中に送達構成で配置されている送達システム51を提供することを含む。
図10-4の画像1006Aは、本開示の一つ以上の実施形態による、シャント埋め込み装置70用の送達システム51の部分断面図を示す。画像1006Aは、送達システム51の外側シース58内に配置されたシャント埋め込み装置70を示す。送達システムの特定の実施形態が
図10-4に示されるが、本開示の態様によるシャント埋め込み装置は、任意の適切な又は望ましい送達システム及び/又は送達システム構成要素を使用して送達及び/又は埋め込まれ得ることが理解されるべきである。
【0128】
図示した送達システム51は、内側カテーテル/シャフト55を含み、これはプロセス900の一つ以上の期間中に外側シース58内に少なくとも部分的に配置されてもよい。一部の実施形態では、シャント埋め込み装置70は、プロセス900の一つ以上の期間中、少なくとも部分的に内側カテーテ/シャフト55の周りに、かつ少なくとも部分的に外側シース58内配置されてもよい。例えば、内側カテーテル55は、示されるように、シャントインプラント70のバレル部分78内に配置されてもよい。
【0129】
シャントインプラント70は、内側カテーテル/システム55のシャントホルダ部分/構成要素80の周りに配置され得る。画像1006Bは、シャントホルダ部分80の詳細図を示し、これは内側カテーテル/シャフト55と一体化されてもよく、又は何らかの様式で内側カテーテル55に取り付けられるか、若しくは別な方法で結合されるシステム51の別個の構成要素であってもよい。一部の実施形態では、シャントホルダ80は、一つ以上の切り抜き、くぼみ、凹部、チャネル、ギャップ、開口部、開口、穴、スリット、又はセンサ装置76及び/若しくは埋め込み装置70の他の特徴若しくは態様の存在に適応するように構成された他の特徴を含む、センサホルダ/収容手段83を含む。例えば、センサ装置76は、画像
図1006Aに示す送達構成におけるシャント構造70の内径内に少なくとも部分的に配置されてもよい。こうした構成では、センサ組立品構成要素は、シャントホルダ部分80の周りに比較的緊密に配置されるシャント70の能力に対する干渉を作り出す場合があり、それによって、送達システム51の外形が増大する、及び/又は送達システム51を使用して送達されるシャント埋め込み装置70の能力に影響を与える可能性がある。したがって、
図10-3に示すように、シャントホルダ80は、画像1006A及び1006Bに示されるセンサ凹部/チャネル83など、一つ以上のセンサ収容特徴を含んでもよい。センサ収容凹部/チャネル83は、シャントホルダ80の長手方向及び円周方向の空間/切り抜きを含んでもよい。収容特徴83は、有利なことに、示されるように、センサ装置76のサイズ及び/又は外径に対応するように寸法設定されてもよい。
【0130】
センサ収容凹部/チャネル83は、少なくとも部分的にその中にセンサ装置76を配置させるように構成されてもよく、これは上述のように円筒形センサ装置であってもよい。センサ凹部/チャネル83をシャントホルダ80に含める/形成することにより、シャントホルダ80及び/又は内側カテーテル/シャフト55の半径方向領域/境界内に開放空間を提供し、送達システム51は、センサ装置76と一緒にシャント埋め込み装置70を搬送することを可能にすることができ、センサ装置76のかさ高さが、画像1006Aに示される圧縮/捲縮送達構成におけるシャント埋め込み装置70の半径方向外形を、内側カテーテル55及び/又はシャントホルダ80の半径方向外形を実質上超えて、不所望に増加させることなく、センサ装置は、搬送前に、上記に詳述される何らかの様式で、シャント埋め込み装置70に結合されてもよい。例えば、示されるように、シャント70のバレル78が捲縮/圧縮された状態で、センサ装置76は、センサ凹部/チャネル83の半径方向及び長手方向の空間内に少なくとも部分的に入れ子になるように、位置付けられる、及び/又は別な方法で配置されてもよい。したがって、シャント埋め込み装置70は、送達システム51内で搬送することが可能であり得、送達システム51の外側半径方向境界/外形を提示し得る外側シース58は、比較的/狭い外形を維持することができ、これは患者の脈管構造の様々な血管を通した送達のために必要又は望ましい場合がある。
【0131】
送達中、シャントインプラント70は、センサ装置76の基部77及び/又はセンサ装置の基部77に結合されたセンサホルダタブ/構造が、シャントホルダ部分80の軸方向ストッパー表面/特徴82上に置かれる、及び/又はそれに接触するような様式で、内側カテーテル55及び/又はシャントホルダ部分80上に位置付けられてもよい。シャントホルダ80は、シャント埋め込み装置70の標的移植部位への送達を支援する様々な他の特徴をさらに含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、センサホルダ80は、シャントホルダ80及び/又は内側カテーテル55の一部分を通って長手方向/軸方向に延びる内腔/チャネルを含み得る、ガイドワイヤチャネル84を含む。ガイドワイヤチャネル84は、それを通ってガイドワイヤ59が延びることができる遠位開口部を有してもよく、シャントホルダ80及び/又は内側カテーテル55は、プロセス900プロセスを実行するために必要に応じてガイドワイヤ59の上を摺動するように構成されてもよい。シャントホルダ80は、シャント70を固定及び/又は操作するために、内側カテーテル55を通して縫合糸をナビゲートするための一つ以上の追加のチャネル及び/又は開口部をさらに含み得る。例えば、近位開口部81は、シャントホルダ80及び/又は内側カテーテル55内のチャネル85につながってもよく、一つ以上の縫合糸又は縫合糸部分56は、開口部81を通過し、シャント70の近位/短いアンカーアーム53の開口部を通してなど、シャント70の一つ以上の特徴の周りを/それを通して通過してもよい。近位アンカーアーム53への縫合糸接続は、以下に説明するように、アーム53の展開を容易にし得る。
【0132】
センサ凹部/チャネル83は、シャント70のバレル78が、センサ装置76と関連付けられたバレル78の円周方向部分に対して半径方向内向きに偏向することを可能にし得る。すなわち、一般的にバレル78を圧縮/捲縮するとき、シャント70の支柱は、画像1006Aに示すように、軸方向/長手方向に偏向して、縮小した直径構成で搬送するためにバレルの直径を減少させる得る。センサホルダ79の領域では、バレル78は、半径方向内向きに偏向して、円周方向の屈曲/波形を形成し、これはセンサ76がバレル78の半径方向領域内にさらに侵入することを可能にし、それによって、シャント及びセンサ組立品の組み合わせの半径方向外形を低減し得る。例えば、画像1006Aは、センサ76の両側に内向き半径方向の屈曲75を有するバレル78を示す。チャネル/凹部83の長手方向表面は、一部の実施形態では凹状であってもよく、こうした凹面はセンサハウジングの円筒形状を収容することができる。あるいは、センサ凹部/チャネル83の表面87は、実質的に平坦であり得る。
【0133】
一部の実施形態では、シャントホルダ80は、遠位ペグ特徴86を含み、これは、シャントホルダ80をノーズコーン特徴52と結合及び/又は嵌合するために利用されてもよい。こうした特徴86は、搬送中にシャントホルダ80を安全な位置に保持するのに役立ち得る。一部の実施形態では、シャントホルダ80の遠位部分88は、半径方向外向きに先細りして、シャントホルダ80と外側シース58との間の空間を充填し、それによって、こうした構成要素に対して安定性の向上を提供してもよい。
【0134】
一部の実施例では、送達システム51は、先細りしたノーズコーン特徴52を含み、これはシース58、カテーテル55、及び/又は送達システム51の遠位端と関連付けられてもよい。一部の実装では、ノーズコーン特徴52は、組織壁21の開口部をさらに拡張するために、及び/又は組織を損傷することなく、開口部を通して送達システム51をガイドするために利用されてもよい。ノーズコーン特徴52は、患者の蛇行した解剖学的構造を通した、及び/又は外側送達シース若しくは他の導管/経路内の送達システム51の遠位端の前進を、さらに促進し得る。ノーズコーン52は、シャントホルダ80及び/若しくは内側カテーテル55とは別個の構成要素であってもよく、又はいずれかの構成要素と一体化されてもよい。一部の実施形態及び/又は段階では、ノーズコーン52は、外側シース58の遠位端に隣接して配置され得る、及び/又はそれと統合され得る。一部の実施形態では、ノーズコーン52は、シャント埋め込み装置70及び/若しくはその任意の部分、シャントホルダ80、内部カテーテル55、又は他の装置がそれを通して前進する際に、強く押される/バラバラに広げられる複数のフラップ型形態を含んでもよく、及び/又はそれから形成されてもよい。
【0135】
シャント埋め込み装置70は、遠位アンカーアーム54と関連付けられたその第一の端部が、シャント構造70のバレル78に対して遠位に配置された状態で、送達システム51内に位置付けられ得る。近位アンカーアーム53と関連付けられたインプラント70の第二の端部は、シャント構造70のバレル78及び/又はセンサ装置76に対して少なくとも部分的に近位に位置付けられる。
【0136】
外側シース58は、シャント埋め込み装置70を標的埋め込み部位に搬送するために使用されてもよい。すなわち、シャント埋め込み装置70は、シャント埋め込み装置70が、外側シース58の遠位部分内に少なくとも部分的に保持及び/又は固定されるように、少なくとも部分的に外側シース58の内腔内で標的埋め込み部位まで前進され得る。
【0137】
画像1006Aに示される圧縮送達構成では、シャント70は、略管状形態を有してもよい。こうした構成では、遠位アンカー特徴/アーム54及び近位アンカー特徴/アーム53は、管状形態でバレル壁78の延長部を形成することができる。例えば、管状形状は、シャント70が管状被加工物からレーザー切断された直後に有し得る形状のさらに捲縮した構成に対応し得る。製造中、シャント70の捲縮していない管状形態は、マンドレルなどを使用して変形されて、アンカー特徴/アームを、例えば、
図3A~
図3Fに示す拡張構成へと半径方向外向きに曲げられてもよい。次に、その変形された形状のシャント70は、記憶金属(例えば、ニチノール)材料が遷移温度に達し、拡張された形状がシャント70の緩んだ/プログラムされた形状となるように、熱処理され得る。次いで、記憶金属シャントは、管状形状に曲げられ、捲縮されて、送達カテーテル内に装填するために管の直径を減少させ得る。
【0138】
ブロック907では、プロセス900は、シャント埋め込み装置70を含む送達システム51を冠静脈洞内の中に、そして標的移植部位に前進させることを含む。画像1007は、上述のように、軟質の先細りした遠位先端/ノーズコーン52を有し得る、シャント展開又は送達カテーテル/システム51の導入を示す。システム51は、冠静脈洞16と左心房21との間の組織壁21を架橋したままにするガイドワイヤ59に沿って前進し得る。
【0139】
ブロック908では、プロセス900は、送達システム51を用いて、組織壁21に形成された開口部を通して左心房2にアクセスすることを含む。画像1008は、組織壁21の穿刺を通して左心房2に前進させた送達カテーテル51を図示し、この通過は、上述のように穿刺の拡大、及び軟質の先細りした遠位先端/ノーズコーン52によって促進され得る。送達カテーテル51は、遠位先端52のすぐ近位にある、その中の拡張可能なシャント70を図示するために、透明な外側シース58で示されている。拡張可能なシャント70は、上述の、捲縮した、概して管状の構成で示されており、これは外側シース/カテーテル58の内腔を通した通過を容易にする。
【0140】
ブロック909で、プロセス900は、シャント70の比較的長い遠位アンカーアーム54を、組織壁21の左心房側に展開することを含む。画像1009は、左心房2内で拡張されて組織壁21と接触する、長い遠位アンカーアーム54を示す。この拡張は、内側カテーテル55及びシャントホルダ部分80に対する、送達カテーテル/システム51の外側シース58の引き込みによって開始され得る。シャント70は、この時点で、内側シャントホルダ80と外側シース58との間の環状空間に配置されている。シャントホルダ80は、シャント70の中央流路を通過する。シャント70は、アンカーアーム54が真っすぐになった状態で、圧縮された管状構成に折り畳まれ/捲縮され、アーム54は、拘束する外側シース58が後退すると、ぱっと開くように構成されている。放射線不透過性マーカーは、左心房2内での即時の位置付けを容易にするために、アーム54と関連付けられてもよい。センサ装置76は、少なくとも部分的に組織壁の開口部1095内に、バレル78と組織壁開口部1095の内径との間に配置される。
【0141】
ブロック910では、プロセス900は、シャント70の近位アンカーアーム53を、組織壁21の冠静脈洞側に展開することを含む。近位アーム53は、送達システム51と関連付けられた特定のアクチュエータ構成要素(例えば、作動ロッド)を使用して展開されてもよく、又はそれらの形状記憶特性を通して自動的に展開されてもよい。例えば、システム51のロッド又は他のアクチュエータ特徴で把持するために、アンカーアームの小穴/開口特徴を提供することができ、開口特徴の係合は、所望の展開位置へのアンカーアーム53の作動/操作を可能にし得る。画像1010は、近位アームの展開を示し、近位アーム53の一次1091及び二次1092組織接触パッドのいずれか又は両方が、壁21の冠静脈洞側及び/又は組織壁21の開口部1095内に展開され得る。
【0142】
近位/短いアンカーアーム53の展開は、二つの遠位の比較的短い近位アンカーアーム53及び/又はそれと関連付けられた組織接触パッドが組織壁21と接触するまで、医師がシャントホルダ80に対してさらに近位に外側シース58を引き込む、及び/又はシャントホルダ80を開口部1095を通してさらに引き戻すことによって、少なくとも部分的に実施され得る。これは、触覚フィードバックによって、又は放射線不透過性の可視化によってアンカーアームの位置を再び確認することによって、感じることができる。
【0143】
一部の実装では、画像1010に示されるような、近位アンカーアーム53の完全な展開の前に、近位アーム53が早期に拡張することを防止するために、近位アーム53の一次1091及び/又は二次1092組織接触パッドを通してループされ得る、一つ以上の縫合糸又は縫合糸部分56によって、近位アンカーアーム53が保持されてもよい。近位アーム53が開口部1095内に位置付けられたと考えられるが、送達カテーテル51からそれらが解放される前に、シャントが適切に位置付けられているかどうかを見極めるために、近傍に造影剤を注入してもよい。送達システム51から解放されると、近位アンカーアーム/パッド53は、組織壁21(又は少なくとも冠静脈洞の管腔表面又は開口部1095の内径/表面)に弾性的に接触することが許容される。
【0144】
ブロック911では、プロセス900は、送達システム51を引き抜き、それによってシャント埋め込み装置を組織壁21中に展開したままにして、左心房2から冠静脈洞16に血液を短絡することを含む。こうした引き抜きには、ガイドワイヤ59が含まれ、これも患者の解剖学的構造から除去される。シャント70の一次保持機構は、設計の幾何学的制約、すなわち、遠位アンカーアーム54の長さ及び接触面積/寸法に由来し、シャント70が開口部1095を通して引っ張られるのを防止する。さらに、シャント70は、シャント70のバレル78から組織壁開口部1095に外向きに加えられる半径方向の力によって少なくとも部分的に保持される。近位アンカーアーム53の対向する締付力も、シャント70を定位置に保持するのに役立つ。よって、インプラント70が完全に展開された状態で、画像1011の矢印で示すように、上昇した左心房圧力を、埋め込まれたシャント70を通して冠静脈洞16に移すことができる。
【0145】
シャント70を冠静脈洞と左心房との間の壁に埋め込むという文脈で説明されているが、プロセス900は、少なくとも部分的に、シャント70を、心房中隔又は心室中隔などの他の解剖学的構造及び/又は組織壁に埋め込むために実施され得ることが理解されるべきである。シャント70はまた、肺動脈と右心房の間など、他の心腔の間に位置付けられてもよい。
【0146】
実施例の追加の説明
以下に、実施例のリストが提供されており、その各々は、本明細書に開示される他の実施例のいずれかの態様を含んでもよい。さらに、上述の任意の実施例の態様は、以下に提供される番号付けされた実施例のいずれかにおいて実装されてもよい。
【0147】
実施例1: 山形パターンに配設された複数の支柱で形成された円筒形バレル部分と、バレル部分の第一の軸方向端部から発出する複数の近位アンカー特徴と、バレル部分の第二の軸方向端部から発出する複数の遠位アンカーアームとを備え、複数の遠位アンカーアームが、近位アンカー特徴の長さよりも大きな長さを有する、シャント装置。
【0148】
実施例2: 複数の近位アンカー特徴の各々が、一次組織接触パッドと、一次組織接触パッドから円周方向及び軸方向にオフセットされた二次組織接触パッドと、を備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例1に記載のシャント装置。
【0149】
実施例3: 複数の近位アンカー特徴の各々の一次組織接触パッド及び二次組織接触パッドが、バレル部分から離れるように弓状に曲がる支柱によって結合されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例2に記載のシャント装置。
【0150】
実施例4: バレル部分が、複数の近位アンカー特徴の二次組織接触パッドの間に結合された複数のウィッシュボーン支柱を含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~3のいずれかに記載のシャント装置。
【0151】
実施例5: バレル部分が少なくとも部分的に組織壁の開口部内に配置された状態で、複数の近位アンカー特徴と複数の遠位アンカーアームとの間に組織壁を保持するように組織壁に展開されるように、シャント装置が構成されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~4のいずれかに記載のシャント装置。
【0152】
実施例6: バレル部分が、シャント装置が組織壁に展開されたときに、組織壁の平面に対して角度付けられた軸を有する、本明細書の任意の実施例、特に実施例5のいずれかに記載のシャント装置。
【0153】
実施例7: 複数の遠位アンカーアームが各々、組織接触パッドで終端する細長い支柱を含む、本明細書の実施例のいずれか、特に実施例1~6のいずれかに記載のシャント装置。
【0154】
実施例8: 複数の遠位アンカーアームのうちの一つ以上の各々の細長い支柱及び組織接触パッドの少なくとも一部分が、組織内殖を促進するように構成されたカバーで覆われている、本明細書の任意の実施例、特に実施例7に記載のシャント装置。
【0155】
実施例9: バレル部分の第一の軸方向端部から発出するセンサホルダをさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に、実施例1~8のいずれかに記載のシャント装置。
【0156】
実施例10: センサホルダが、バレル部分から外向きに偏向するように構成されたリングを備え、センサ装置がバレル部分の外側に位置付けられるように、それに取り付けられた円筒形センサ装置の基部を有する、本明細書の任意の実施例、特に実施例9に記載のシャント装置。
【0157】
実施例11: 複数の遠位アンカーアームが、複数の近位アンカー特徴から円周方向にオフセットされている、本明細書の任意の実施例、特に、実施例1~10のいずれかに記載のシャント装置。
【0158】
実施例12: 複数の遠位アンカーアームが左心房に展開された状態で、シャント装置が左心房から冠静脈洞を分離する壁に展開されたときに、複数の近位アンカー特徴が患者の冠静脈洞に展開されるように寸法設定されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~11のいずれかに記載のシャント装置。
【0159】
実施例13: シャント装置が滅菌されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例1~12のいずれかに記載のシャント装置。
【0160】
実施例14: ジグザグパターンに配設された複数の支柱で形成された円筒形バレルと、バレルの第一の軸方向端部と関連付けられ、バレルの軸から半径方向外向きに偏向するように構成された複数の第一の組織接触パッドと、バレルの第二の軸方向端部と関連付けられ、半径方向外向きにそしてバレルの軸方向中心に向かって偏向するように構成された複数の第二の組織接触パッドと、を備え、複数の第二の組織接触パッドが、バレルの軸の周りで複数の第一の組織接触パッドから角度的にオフセットされている、シャント装置。
【0161】
実施例15: 複数の第一の組織接触パッドと、複数の第二の組織接触パッドのうちの一つとが、シャント装置の第一の直径側面上に位置付けられ、複数の第二の組織接触パッドのうちの二つが、シャント装置の第二の直径側面上に位置付けられている、本明細書の任意の実施例、特に実施例14に記載のシャント装置。
【0162】
実施例16: 複数の第二の組織接触パッドのうちの一つが、複数の第一の組織接触パッドの間に角度付けられて位置付けられている、本明細書の任意の実施例、特に実施例15に記載のシャント装置。
【0163】
実施例17: 第二の直径側面上のバレルの第一の軸方向端部と関連付けられ、複数の第二の組織接触バッドのうちの二つの間に角度付けられて位置付けられたセンサホルダをさらに備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例15又は実施例16に記載のシャント装置。
【0164】
実施例18: センサホルダが、バレルの軸方向中心から軸方向に離れて開いている複数のウィッシュボーン支柱を介して、複数の第三の組織接触パッドに結合されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例17に記載のシャント装置。
【0165】
実施例19: 複数の第三の組織接触パッドの各々が、接続支柱を介して複数の第一の組織接触パッドのうちのそれぞれ一つに結合されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例18に記載のシャント装置。
【0166】
実施例20: 複数の第三の組織接触パッドのうちの一つ以上が、エコー源性マーカーを含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例18又は実施例19に記載のシャント装置。
【0167】
実施例21: 複数の第二の組織接触パッドのうちの一つ以上が、布の靴下で覆われている、本明細書の任意の実施例、特に実施例14~20のいずれかに記載のシャント装置。
【0168】
実施例22: シャント装置が滅菌されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例14~21のいずれかに記載のシャント装置。
【0169】
実施例23: 組織壁の開口部を開いた状態に保持するように構成され、第一の軸方向に開いた第一のセットのウィッシュボーン支柱及び第一の軸方向とは反対の第二の軸方向に開いた第二のセットのウィッシュボーン支柱を含む、ウィッシュボーン支柱の複数の列で形成されたバレルと、バレルの第一の軸方向端部と関連付けられ、バレルが組織壁の開口部に配置されたときに、組織壁の第一の側面に接触するように構成された複数の近位固定手段と、バレルの第二の軸方向端部と関連付けられ、バレルが組織壁の開口部に配置されたときに、第一の側面とは反対の組織壁の第二の側面に接触するように構成された複数の遠位固定手段と、を備える、シャント装置。
【0170】
実施例24: 第一のセットのウィッシュボーン支柱及び第二のセットのウィッシュボーン支柱の少なくとも一部が、その頂点でバレルのそれぞれの長手方向支柱に結合されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例23に記載のシャント装置。
【0171】
実施例25: 第一のセットのウィッシュボーン支柱及び第二のセットのウィッシュボーン支柱の少なくとも一部が、その頂点でバレルの長手方向支柱に結合されていない、本明細書の任意の実施例、特に実施例23又は実施例24に記載のシャント装置。
【0172】
実施例26: 複数の近位固定手段が各々、湾曲した接続支柱を介して二次組織接触パッドに結合された一次組織接触パッドを備える、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~25のいずれかに記載のシャント装置。
【0173】
実施例27: 複数の近位固定手段の各々の二次組織接触パッドが、バレルの軸に対して複数の近位固定手段のうちのそれぞれ一つの一次組織接触パッドから長手方向及び角度的にオフセットされている、本明細書の任意の実施例、特に実施例26に記載のシャント装置。
【0174】
実施例28: 複数の遠位固定手段が各々、遠位組織接触パッドを有する細長いアームを含む、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~27のいずれかに記載のシャント装置。
【0175】
実施例29: 第一のセットのウィッシュボーン支柱又は第二のセットのウィッシュボーン支柱の少なくとも一部が、閉じた山形セルを形成する、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~27のいずれかに記載のシャント装置。
【0176】
実施例30: シャント装置が滅菌されている、本明細書の任意の実施例、特に実施例23~29のいずれかに記載のシャント装置。
【0177】
患者を治療するための本明細書に開示される方法及び構造はまた、模擬患者に対して実施されるか、又は模擬患者上に配置される類似の方法及び構造も包含し、これは、例えば、訓練のために、実証のために、処置及び/又はデバイス開発のために、及びこれに類するもののために有用である。模擬患者は、物理的、仮想的、又は物理的と仮想的との組み合わせとすることができる。模擬は、例えば、全身、身体の一部分(例えば、胸部)、システム(例えば、心血管系)、器官(例えば、心臓)、又はそれらの任意の組み合わせなどの、患者のすべて又は一部分の模擬を含み得る。物理的要素は、ヒト若しくは動物の死体、又はその一部を含む天然であってもよく、合成であってもよく、又は天然と合成の任意の組み合わせであってもよい。仮想要素は、完全にシリカ内にあってもよく、又は物理的構成要素のうちの一つ以上の上にオーバーレイされてもよい。仮想要素は、スクリーン、ヘッドセット、ホログラフィック、投影、ラウドスピーカ、ヘッドフォン、圧力変換器、温度変換器の任意の組み合わせ上に提示されてもよく、又は適切な技術の任意の組み合わせを使用して提示されてもよい。
【0178】
本開示における、様々なシステム、装置、機器などのいずれもが、患者に使用するのに安全であることを確実にするために滅菌され得(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)、本明細書に記載の方法には、関連するシステム、装置、機器などの滅菌を含んでもよい(例えば、熱、放射線、エチレンオキシド、過酸化水素などを用いて)。
【0179】
実施形態に応じて、本明細書に記載されるプロセス又はアルゴリズムのいずれかの特定の作用、事象、又は機能が、異なる順序で実施され得、追加され得、併合され得、又は完全に除外され得る。したがって、特定の実施形態では、全ての記載された作用又は事象が、プロセスの実践に必要であるわけではない。
【0180】
とりわけ、「できる(can)」、「できた(could)」、「得る(might)」、「得る(may)」、「例えば(e.g.)」などの本明細書で使用される条件付きの文言は、特に別段の記載がない限り、又は使用される文脈内で別様に理解されない限り、その通常の意味で意図され、かつ特定の特徴、要素、及び/又はステップを特定の実施形態が含むが、他の実施形態が含まないことを伝えることが概して意図される。したがって、このような条件付きの文言は、特徴、要素、及び/又はステップが、一つ以上の実施形態に任意の方法で必要とされること、あるいは一つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/又はステップが含まれるか、若しくは任意の特定の実施形態で実行されるかを判断するための論理を、著者の入力又は促しの有無にかかわらず、必然的に含むことを暗示することは、一般的に意図されるものではない。「備える/含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、同義であり、それらの通常の意味で使用され、包括的に、非限定的な様式で使用され、追加の要素、特徴、作用、動作などを排除しない。また、「又は」という用語は、例えば要素の列記を接続するために使用されるとき、「又は」という用語が列記の中の要素のうちの一つ、いくつか、又は全てを意味するように、その包括的な意味で(かつその排他的な意味ではなく)使用される。「X、Y、及びZのうちの少なくとも一つ」などの接続的な文言は、特に別段の記載がない限り、項目、用語、要素などが、X、Y、又はZのいずれかであり得ることを一般的に伝えるために使用されるように文脈を用いて理解される。したがって、このような接続的な文言は、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも一つ、Yのうちの少なくとも一つ、及びZのうちの少なくとも一つが各々存在することを必要とすることを暗示することが、一般的に意図されるものではない。
【0181】
実施形態の上記の記載では、本開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの一つ以上の理解を支援する目的で、様々な特徴が、単一の実施形態、図、又はその記載において、一緒にグループ化されることがあることは、理解されるべきである。しかしながら、開示のこの方法は、いずれかの請求項が、その請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。さらに、本明細書の特定の実施形態に例示及び/又は記載される任意の構成要素、特徴、又はステップは、他の任意の実施形態に適用される、又はそれらとともに使用され得る。さらに、構成要素、機能、ステップ、又は構成要素、特徴、若しくはステップのグループは、各実施形態に必要又は不可欠であるわけではない。したがって、以下に開示及び請求される本明細書の発明の範囲は、上記に記載された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図される。
【0182】
特定の順序的な用語(例えば、「第一」又は「第二」)は、参照の容易さのために提供され得、必ずしも物理的特徴又は順序を暗示するものではないことを理解されたい。したがって、本明細書で使用した際には、構造、構成要素、操作などの要素を修飾するために使用される順序的な用語(例えば、「第一」、「第二」、「第三」など)は、任意の他の要素に対する要素の優先順位又は順序を必ずしも示すものではなく、むしろ、要素を、同様の又は同一の名称を有する別の要素から一般的に区別(順序的な用語の使用を除いて)し得る。加えて、本明細書で使用した際には、不定冠詞(「a」及び「an」)は、「一つの」ではなく、「一つ以上」を示す場合がある。さらに、条件又は事象に「基づいて」実施される動作はまた、明示的に列挙されていない一つ以上の他の条件又は事象に基づいて実施され得る。
【0183】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義される用語などの用語は、関連技術の文脈においてその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書に明示的に定義されない限り、理想化又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解される。
【0184】
「外側」、「内側」、「上側」、「下側」、「下」、「上」、「垂直」、「水平」といった空間的に相対的な用語、及び同様の用語は、図面に図示されているように、一つの要素又は構成要素と、別の要素又は構成要素と、の間の関係を説明するために、説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に描写される配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することを意図していることが理解される。例えば、図面に示されるデバイスが裏返される場合、別のデバイスの「下」又は「真下」に位置付けられるデバイスは、別のデバイスの「上」に配置され得る。したがって、「下」という例示的な用語は、下側位置と上側位置との両方を含み得る。デバイスはまた、他の方向に配向され得、したがって、空間的に相対的な用語は、配向に応じて異なる解釈をすることができる。
【0185】
別段に明示的に記載しない限り、「より少ない」、「より多い」、「より大きい」、及び同種のもの、などの、比較に関する用語的及び/又は量的な用語は、同等の概念を包含することが意図されている。例えば、「より少ない」は、最も厳密な数学的な意味での「より少ない」だけでなく、「~以下」も意味し得る。
【国際調査報告】