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特表2024-540380電池セル、電池モジュール、および電池セルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電池セル、電池モジュール、および電池セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20241024BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 50/571 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/052
H01M10/0565
H01M10/0568
H01M50/571
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526909
(86)(22)【出願日】2023-02-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 KR2023002801
(87)【国際公開番号】W WO2023167486
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0027003
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0027007
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・キュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨ・ミン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】テ・ソブ・リム
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ピル・イ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H029AJ05
5H029AJ11
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL06
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM16
5H029BJ04
5H029DJ05
5H029HJ02
5H029HJ10
5H029HJ12
5H043AA07
5H043BA17
5H043CA08
5H043CA13
5H043GA31
5H043JA21E
5H043KA30E
5H043LA21E
(57)【要約】
本発明は、電池の耐久性をおよび電池の寿命を向上させた電池セル、電池セルの製造方法、および電池セルを含む電池モジュールに関する。具体的に、前記電池セルは、収容空間を有するセルケースと、前記収容空間に収納され、複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体と、第1モル濃度の第1リチウム塩を含有し、前記電極タブを囲んで収容空間に収容されたゲル電解質と、前記第1モル濃度よりも低い第2モル濃度の第2リチウム塩を含有し、前記複数の電極の間に収容された液体電解質と、を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有するセルケースと、
前記収容空間に収納され、複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体と、
第1モル濃度の第1リチウム塩を含有し、前記電極タブを囲んで収容空間に収容されたゲル電解質と、
前記第1モル濃度よりも低い第2モル濃度の第2リチウム塩を含有し、前記複数の電極の間に収容された液体電解質と、
を含む、電池セル。
【請求項2】
前記電池セルは、電極タブとゲル電解質との界面に第1リチウム塩と電極タブのカチオンが結合して形成されたパッシベーション膜を含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記パッシベーション膜は、AlFおよびLiFのうち少なくとも1つを含む、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1リチウム塩と前記第2リチウム塩は、互いに同一または異なる、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1リチウム塩は、LiPFおよびLiBFのうち少なくとも1つを含み、
前記第2リチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTFSI、およびLiBOBのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第2リチウム塩は、LiFSI、LiTFSI、およびLiBOBのうち少なくとも1つと、LiPFとを含む、請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度は、前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低い、請求項1に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第1リチウム塩の第1モル濃度は0.6M~5.0Mであり、
前記第2リチウム塩の第2モル濃度は0.5M~2.0Mである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩の第1モル濃度との濃度比は1:1.3~1:5である、請求項1に記載の電池セル。
【請求項10】
前記ゲル電解質と前記液体電解質が接触するように配置され、前記ゲル電解質に含まれた第1リチウム塩が前記ゲル電解質と前記液体電解質との界面を介して前記液体電解質に移動可能に構成される、請求項1に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ゲル電解質は、外部衝撃による電池セル内部の電極タブの流動および変形を防止するために、収容空間のうち電極タブが形成された前記電極組立体の一側のみに位置する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項12】
前記液体電解質は、前記ゲル電解質が形成されていない電極組立体の他側を囲むように構成される、請求項1に記載の電池セル。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電池セルを少なくとも1つ含む、電池モジュール。
【請求項14】
複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体を準備するステップと、
セルケースの収容空間に前記電極組立体を配置するステップと、
第1モル濃度の第1リチウム塩、および硬化性化合物を含むゲル電解質組成物を前記収容空間の内部に注入した後、前記電極タブ周辺に配置するステップと、
前記ゲル電解質組成物を硬化し、電極タブ周辺を囲むゲル電解質を形成するステップと、
前記複数の電極の間に収容されるように第2モル濃度の第2リチウム塩を含む液体電解質を注入するステップと、
を含む、電池セルの製造方法。
【請求項15】
ゲル電解質組成物の注入前に、セルケースの収容空間とゲル電解質組成物の注入空間との間に遮断部を形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【請求項16】
前記第1リチウム塩は、LiPFおよびLiBFのうち少なくとも1つを含み、
前記第2リチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTFSI、およびLiBOBのうち少なくとも1つを含む、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【請求項17】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度は、前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低い、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【請求項18】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩の第1モル濃度との濃度比は1:1.3~1:5である、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年03月02日付けの韓国特許出願第10-2022-0027003号および2022年03月02日付けの韓国特許出願第10-2022-0027007号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、電池の耐久性をおよび電池の寿命を向上させた電池セル、電池モジュール、および電池セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在商用化されている二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられる。中でも、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べて、メモリ効果がほとんど起こらないため、充電および放電が自由である。また、リチウム二次電池は、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという利点から脚光を浴びている。
【0004】
リチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材がそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いられる。リチウム二次電池は、正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板および負極板がセパレータを介在して配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に密封収納する外装材と、を備える。
【0005】
一般的に、リチウム二次電池は、外装材の種類に応じて缶型二次電池とパウチ型二次電池に分類することができる。缶型二次電池は、電極組立体が金属缶に内蔵されている。パウチ型二次電池は、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されている。
【0006】
近年、携帯型電子機器のような小型装置だけでなく、自動車や発電所の電力貯蔵装置のような中大型装置にも二次電池が広く用いられている。このような中大型装置に用いられる場合、容量および出力を高めるために多くの電池セルが電気的に連結される。特に、このような中大型装置には、積層しやすいパウチ型電池セルが多く用いられる。ここで、パウチ型(Pouch Type)電池セルとは、形状が一定でない軟質のポリマー材料で製造されたパウチ型ケースに電極組立体を収容した電池セルを指す。
【0007】
一方、パウチ型電池セルのケースであるパウチシートは、軟質の材料を有する。そして、パウチシートは、一側に電極組立体が収容される収容空間が形成された凸部と、他側に形成され、電解液を注液するように開放された注液部と、を含む。
【0008】
前記電極組立体は、正極集電体上に正極活物質層が形成された正極と、負極集電体上に負極活物質層が形成された負極と、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータと、電解質と、を含むことができる。
【0009】
一方、前記正極集電体および負極集電体に用いられる金属箔(foil)は、少なくとも一側に電極タブが形成されている。前記電極タブは、電極リードとの溶接工程中に折り曲げられた形状を有することになる。しかし、このような電極タブは、厚さが非常に薄く、機械的剛性が相対的に弱いため、電極タブの折り曲げられた形状が微細に折り畳まれて展開される動作が繰り返されるか、または外部衝撃などにより、電極タブの断線が容易に生じ得る。さらに、充放電時に電解質に含まれる一部のリチウム塩により電極タブが腐食し得、このような腐食が進行し続ける場合にも電極タブの断線が引き起こされ得る。
【0010】
このような電極タブの断線は、電極タブと連結された電極の不活性化につながり、このため、電池セルの「サドンデス(sudden death)」が発生し、充放電性能および寿命特性を大幅に低下させるという問題がある。特に、自動車パックに設けられた二次電池の場合、頻繁な振動および衝撃にさらされるため、電極タブの断線がさらに頻繁に生じ得、このため、電池セルの寿命が急速に短縮されるという問題がある。
【0011】
近年、電池セルのエネルギー密度増加のために集電体の厚さをさらに薄く形成するにつれ、電極タブの機械的剛性も低下し、電極タブの折り曲げられた一部分または電極タブと電極との間の連結部位に断線が頻繁に生じている。また、電池セルが小型化するほど、電極タブの幅が狭く、タブの長さが短くなり、電池セルが外部衝撃を受ける場合、電極タブの断線がさらに生じやすくなるという問題がある。
したがって、外部衝撃や電解質などによる電極タブの断線を防止し、電池セルの性能および使用寿命を向上できる方法の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、電極タブ周辺に流動性の少ないゲル電解質を配置して電極タブの流動および変形による断線を防止し、電極タブ周辺を除く電極組立体周辺に濡れ性の高い液体電解質を配置して電極組立体に対する電解液の濡れ性を高めることで、電池の耐久性および電池の寿命を向上させた電池セルを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、前記電池セルを含む電池モジュールを提供することを目的とする。
また、本発明は、前記電池セルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態によると、本発明は、収容空間を有するセルケースと、
前記収容空間に収納され、複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体と、
第1モル濃度の第1リチウム塩を含有し、前記電極タブを囲んで収容空間に収容されたゲル電解質と、
前記第1モル濃度よりも低い第2モル濃度の第2リチウム塩を含有し、前記複数の電極の間に収容された液体電解質と、を含む、電池セルを提供する。
【0015】
前記電池セルは、電極タブとゲル電解質の界面に第1リチウム塩と電極タブのカチオンが結合して形成されたパッシベーション膜を含むことができる。
前記パッシベーション膜は、AlFおよびLiFのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
一方、前記第1リチウム塩と第2リチウム塩は、互いに同一または異なるものであってもよい。
前記第1リチウム塩は、LiPF(Lithium hexafluorophosphate)およびLiBF(Lithium tetrafluoroborate)のうち少なくとも1つを含み、前記第2リチウム塩は、LiPF、LiFSI(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide)、LiTFSI(Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)、およびLiBOB(Lithium bis(oxalato)borate)のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
一方、前記第2リチウム塩の第2モル濃度は、前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低く、具体的には、前記第2リチウム塩の第2モル濃度と第1リチウム塩の第1モル濃度との比は1:1.3~1:5であってもよい。
【0018】
一方、前記ゲル電解質は、外部衝撃による電池セル内部の電極タブの流動および変形を防止するために、収容空間のうち電極タブが形成された前記電極組立体の一側のみに位置することができ、前記液体電解質は、ゲル電解質が形成されていない前記電極組立体の他側を囲むように構成されることができる。
【0019】
他の実施形態によると、本発明は、本発明の電池セルを少なくとも1つ含む、電池モジュールを提供する。
【0020】
また他の実施形態によると、本発明は、複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体を準備するステップと、
セルケースの収容空間に前記電極組立体を配置するステップと、
第1モル濃度の第1リチウム塩、および硬化性化合物を含むゲル電解質組成物を前記収容空間の内部に注入した後、前記電極タブ周辺に配置するステップと、
前記ゲル電解質組成物を硬化し、電極タブ周辺を囲むゲル電解質を形成するステップと、
前記複数の電極の間に収容されるように第2モル濃度の第2リチウム塩を含む液体電解質を注入するステップと、を含む、電池セルの製造方法を提供する。
【0021】
一方、前記方法は、ゲル電解質組成物の注入前に、セルケースの収容空間とゲル電解質組成物の注入空間との間に遮断部を形成するステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電池セルは、電極タブ周辺に流動性の低いゲル電解質を配置することで、電池セルに外部衝撃が加えられる際に、電極タブ周辺に形成された半固体状態のゲル電解質により電極タブの流動および変形を最小化できるようにした。これにより、本発明の電池セルを自動車に搭載する場合、移動中に発生する持続的な衝撃および振動などが電池セルに伝達されても、電極タブの損傷を最小化して電極タブの断線を防止することができるため、電池セルの性能および寿命を効果的に改善することができる。
【0023】
また、本発明に係る電池セルは、ゲル電解質と共に液体電解質を併用することで、電極組立体に対する濡れ性を向上させ、製造時間および製造コストを効果的に削減することができる。
【0024】
さらに、本発明に係る電池セルは、ゲル電解質の第1リチウム塩と液体電解質の第2リチウム塩とのモル濃度勾配により、ゲル電解質の第1リチウム塩が液体電解質に移動できるようにし、充放電時にリチウム析出などにより減少した液体電解質中の不足したリチウム塩を補充することで、サイクル特性が効果的に向上したリチウム二次電池および電池モジュールを提供できるようにした。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る電池セルを示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電池セルのパウチおよび電極組立体を示す分離斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るセパレータおよび電極を示す分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る電池セル内部の様子を示す垂直断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電池セル内部の様子を示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、複数の電極がパウチの収容空間に挿入された様子を示す正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、収容空間にゲル電解質組成物を注入しているパウチ内部の様子を示す正面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、収容空間でゲル電解質組成物を熱硬化しているパウチ内部の様子を示す正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、ゲル電解質組成物が硬化する間に固定治具を用いて電池セルを固定させる前の様子を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、ゲル電解質組成物が硬化する間に固定治具を用いて電池セルを固定させた様子を示す側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、収容空間に液体電解質を注入しているパウチ内部の様子を示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、パウチの収容空間の一側をさらにシールさせた様子を示す正面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る電池セルの製造方法において、パウチの注入空間を除去した様子を示す正面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの様子を概略的に示す斜視図である。
図15図4の電池セルのA領域を拡大した様子を概略的に示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明について詳しく説明する。本発明を説明するにあたり、関連した公知の機能もしくは構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にする恐れがあると判断される場合、それに関する詳しい説明は省略する。なお、下記実施形態は、種々の異なる形態に変形してもよく、本発明の技術的思想の範囲が下記実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本発明をより充実かつ完全にし、当業者に本発明の技術的思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0027】
本発明に記載された技術を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の実施形態の様々な変更(modifications)、等価物(equivalents)、および/または代替物(alternatives)を含むものと理解しなければならない。
【0028】
図面の説明と関連し、類似の構成要素に対しては、類似の参照符号が用いられてもよい。
本発明において、「有する」、「有することができる」、「含む」、または「含むことができる」などの表現は、当該特徴(例えば、数値、機能、動作、または部品などの構成要素)の存在を指し、追加の特徴の存在を排除するものではない。
【0029】
本発明において、「AまたはB」、「Aまたは/およびBのうち少なくとも1つ」、または「Aまたは/およびBのうち1つまたはそれ以上」などの表現は、共に列挙された項目の全ての可能な組み合わせを含むことができる。例えば、「AまたはB」、「AおよびBのうち少なくとも1つ」、または「AまたはBのうち少なくとも1つ」は、(1)少なくとも1つのAを含む場合、(2)少なくとも1つのBを含む場合、または(3)少なくとも1つのAおよび少なくとも1つのBの両方を含む場合を全て指すことができる。
【0030】
本発明者らは、電極タブの流動および変形による断線を防止し、性能および寿命が優れた電池セルを開発するために研究を重ねた結果、流動性の低いゲル電解質を電極タブ周辺において電極タブを囲むように配置し、ゲル電解質が形成されていない電極組立体周辺に濡れ性に優れた液体電解質を配置することで、電極タブの断線を大幅に防止するとともにサイクル特性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、本発明者らは、リチウム塩の濃度が低く粘度が低い液体電解質を注液して電極組立体に対する電解液の含浸性を改善するとともに、相対的に高いモル濃度のリチウム塩を含むゲル電解質を併用して、充放電時に減少した液体電解質中の不足したリチウム塩を補充できるようにすることで、電池の寿命および性能を効果的に改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0031】
具体的には、本発明に係る電池セル100は、セルケース110、電極組立体120、電極タブ121、電極タブ周辺を囲むゲル電解質150、および液体電解質160を含む。
以下、本発明の電池セルの構成について具体的に説明する。
【0032】
電池セル
図1には、本発明の一実施形態に係る電池セル100を示す平面図が示されている。図2には、本発明の一実施形態に係る電池セル100のパウチおよび電極組立体120を示す分離斜視図が示されている。図3には、本発明の一実施形態に係るセパレータ170および電極122p、122nを示す分解斜視図が示されている。図4には、本発明の一実施形態に係る電池セル100内部の様子を示す垂直断面図が示されている。図5には、本発明の一実施形態に係る電池セル100内部の様子を示す平面図が示されている。参考までに、図面の説明の便宜上、図2ではゲル電解質150および液体電解質160を省略して示し、図5では電池セル100の第1セルシート114Tが除去された様子を示した。
【0033】
先ず、図1および図2を参照すると、本発明の電池セル100は、セルケース110、外周部に熱融着されたシール部111、およびセルケースの外部に突出した正極リード130aおよび負極リード130bを含む電極リード部130を含み、セルケースの一部は、電極組立体(図示せず)を収容できるように外側に凸状に突出した部分(P)を備えることができる。
【0034】
前記セルケース110は、軟質の材料で製造されたパウチ型ケースであってもよい。具体的には、前記セルケース110は、図2に示すように、電極組立体120の上部をカバーする第1セルシート114Tと、第1セルシート114Tの下面の一部分と結合し、電極組立体120の下部をカバーする第2セルシート114Pと、を備えることができる。この際、前記第1セルシート114Tおよび前記第2セルシート114Pそれぞれは、ラミネートシートであってもよい。具体的には、前記ラミネートシートは、薄い金属フィルム(例えば、Alフィルム)が耐水性を有する高分子フィルム(ナイロン)と熱接着性高分子フィルム(例えば、無延伸ポリプロピレン:Casted Polypropylene)との間にラミネートされた構造を有することができる。前記ラミネートシートの構造および各層を構成する材料については、本発明が属する技術分野で周知のものであるため、詳しい説明は省略する。
【0035】
前記第1セルシート114Tおよび第2セルシート114Pそれぞれの一部分が互いに熱融着されることで、セルケース110を密封することができる。前記熱融着方法は、第1セルシート114Tおよび第2セルシート114Pが積層された状態で、互いに対向するそれぞれの外周部の少なくとも一部を高温の器具(例えば、ホットプレス)で加圧するステップを含むことができる。この際、熱融着温度は、摂氏110度~摂氏150度であってもよい。このような熱融着により、図1に示すように、セルケース110は、外周部に熱融着されたシール部111が形成されることができる。
【0036】
図2図5を参照すると、前記セルケース110は、電極組立体120、電極タブ121、ゲル電解質150、および液体電解質160を収容する収容空間110p1を含むことができる。このような収容空間110p1は、2つのセルシート114T、114Pのうち少なくともいずれか1つの一部分を高温のホットプレスで加圧してカップ形状に変形した部分であってもよい。前記収容空間110p1は、セルシート114T、114Pそれぞれの一部分が外側に凸状に突出した部分(P)であってもよい。セルケース110の収容空間110p1は、複数の電極122、セパレータ170、ゲル電解質150、および液体電解質160を全て収容できる大きさ以上であってもよい。例えば、図2に示すように、セルケース110の収容空間110p1は、第1セルシート114Tの上部方向に凸状に突出した部分(P)と、第2セルシート114Pの下部方向に凹状に形成された部分(R)とが互いに結合することで形成されることができる。
【0037】
一方、前記電極組立体120は、正極、負極、前記正極と前記負極との間に介在されたセパレータが順次積層された構造を有する電極組立体である。
図2には、本発明に係る電池セル100のパウチと電極組立体120を分離した構造が示され、図3には、本発明に係る電極組立体120のセパレータ170と電極122、すなわち、正極122pと負極122nを分離した構造が示されている。
【0038】
図3に示すように、電極122は、電気極性に応じて、少なくとも1つの正極122p、および少なくとも1つの負極122nを含むことができる。
前記正極122pは、集電体(図示せず)上に正極活物質層が形成された構造を有する。この際、正極活物質層は、正極活物質、および選択的に導電材およびバインダーを含むことができる。例えば、正極122pは、正極活物質、導電材、およびバインダーの混合物をアルミニウム合金箔(foil)材料の集電体に塗布して形成することができる。
【0039】
また、前記負極122nは、集電体(図示せず)上に負極活物質層が形成された構造を有する。この際、負極活物質層は、負極活物質、および選択的に導電材およびバインダーを含むことができる。例えば、負極122nは、負極活物質、導電材、およびバインダーの混合物を銅合金箔材料の集電体に塗布して形成することができる。
【0040】
前記正極活物質、負極活物質、バインダー、および導電材は、リチウム二次電池で用いられる公知の材料であればいずれも適用することができる。
前記正極122pと前記負極122nとの間には、セパレータ170が介在されることができる。このようなセパレータ170は、正極122pと負極122nとの間の内部短絡を遮断し、電解質を含浸するようにする役割をはたすことができる。本発明のセパレータ170は、二次電池で通常用いられるセパレータ材料であれば特に限定なく用いることができる。例えば、セパレータ170は、ポリエチレンおよびポリプロピレンのうち少なくとも1つの材料を備えることができる。そして、正極122p、セパレータ170、および負極122nが順に積層され、図2に示すような電極組立体120を形成することができる。
【0041】
一方、前記電極集電体には、電子が移動可能な経路として電極タブ121が接合されることができる。
前記電極タブ121には、前記電極活物質、導電材、およびバインダーが混合された混合物が塗布されていなくてもよい。すなわち、前記電極タブ121は、電極活物質がコーティングされていない電極集電体の無地部を裁断して形成されるか、または電極集電体の無地部に別の導電性部材を超音波溶接などで連結して別に形成されることができる。
【0042】
前記電極タブ121は、正極および負極それぞれに少なくとも1つ設けられることができる。
例えば、図3に示すように、正極122pおよび負極122nそれぞれに第1側122n1から突出した正極タブ121aおよび負極タブ121bが設けられることができる。ただし、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。例えば、正極タブ121aおよび負極タブ121bは、電極122の前後左右それぞれの方向の第1側、第2側、第3側、および第4側のうち少なくとも1つに形成されることができる。例えば、正極タブ121aは、正極122pが平面上に四角形を有する場合、第1側122p1、第2側122p2、第3側122p3、および第4側122p4のうち少なくとも1つに形成されることができる。そして、負極タブ121bは、負極122nが平面上に四角形を有する場合、第1側122n1、第2側122n2、第3側122n3、および第4側122n4のうち少なくとも1つに形成されることができる。
【0043】
一方、本発明の一実施形態に係る電池セル100は、図2に示すように、電極タブ121の一部分と結合した電極リード130をさらに備えることができる。電極リード130は、導電性金属であってもよい。図2を参照すると、前記電極リード130は、正極タブ121aと連結された正極リード130aと、負極タブ121bと連結された負極リード130bと、を備えることができる。電極リード130は、溶接などの様々な方式で1つ以上の電極タブ121に連結されることができる。電極リード130の一部は、セルケース110の外部に露出するように配置されることができる。すなわち、電極リード130は、電池セル100の電極端子の役割をはたす。例えば、正極リード130aは、電池セル100の正極端子の役割をはたし、負極リード130bは、電池セル100の負極端子の役割をはたすことができる。電池セル100は、電極リード130の一部の外面を囲むように構成された絶縁フィルム140を含むことができる。絶縁フィルム140は、セルケース110と電極リード130との間を電気的に絶縁し、セルケース110と熱融着されるように構成されることができる。
【0044】
一方、図4および図5を参照すると、本発明の電池セルは、正極タブ121aおよび負極タブ121bを含む電極タブ121周辺に、電極タブ121を囲むように流動性の低いゲル電解質150が配置され得る。
【0045】
前記ゲル電解質150とは、ゲル相(gel phase)を有する電解質を意味する。ここで、ゲル相とは、現象学的に少なくとも1つの液体を含む柔らかい半固体のような物質と定義することができ、粘度が高いため、正常状態(steady state)では流動性がなく、一定の形状を維持することを意味する。
【0046】
前記ゲル電解質150は、電解質がゲル相を示す程度に硬化可能な硬化性化合物を備えることができ、有機溶媒および第1リチウム塩をさらに含むことができる。
【0047】
前記ゲル電解質150は、重量比としてほとんどが液体物質であり、一部の固体物質を含むことができる。例えば、ゲル電解質150は、液状電解質に混合された硬化性化合物を熱硬化または紫外線硬化してゲル状電解質に相変化することで製造することができる。
【0048】
前記ゲル電解質150は、電池セル100の外部衝撃による電極タブ121の流動を防止できるように、収容空間110p1のうち電極タブ121が位置する電極組立体120の一側に位置することができる。すなわち、ゲル電解質150は、電極タブ121の流動および変形を抑制できるように電極タブ121の外面を囲むことができる。
【0049】
例えば、図4に示すように、ゲル電解質150は、収容空間110p1の内面と、電極タブ121が位置する電極組立体120の第1側120aとの間に位置することができる。この際、ゲル電解質150は、正極タブ121aおよび負極タブ121bそれぞれの流動を防止するように、正極タブ121aおよび負極タブ121bそれぞれの外面を囲むことができる。ただし、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。例えば、電極タブ121が電極組立体120の第1側120a、第2側120b、第3側120c、および第4側120dのうち少なくとも1つに位置する場合、ゲル電解質150は、電極タブ121が位置する電極組立体120の第1側120a、第2側120b、第3側120c、および第4側120dのうち少なくとも1つに位置することができる。また、ゲル電解質150は、電極タブ121の外面を囲むように構成されることができる。特に、ゲル電解質150は、電極タブ121と電極リード130との間の接合部分を囲むように構成されることができる。
【0050】
一方、ゲル電解質150は、必ずしも電極タブ121が形成された一側のみに位置するものではなく、ゲル電解質150は、電極タブ121が位置しない電極組立体120の他側にも位置することができる。例えば、図5の場合、ゲル電解質150は、電極タブ121が位置しない電極組立体120の第2側120bおよび第4側120dそれぞれの電極組立体120とセルケース110との間の空間の一部に位置してもよい。
【0051】
本発明のこのような構成によると、電池セル100は、従来技術の電池セル100の液体電解質160が電極タブ121を囲んでいる場合と比較して、電池セル100に外部衝撃が加えられる場合、ゲル電解質150が電極タブ121を囲んでいるため、ゲル電解質150が電極タブ121の流動を防止することで、電極タブ121の頻繁な流動により電極タブ121と電極122との間の連結部位または電極タブ121の折り曲げ部位が断線するのを防止することができる。
【0052】
すなわち、本発明の電池セル100が自動車に搭載される場合、移動中に発生する頻繁な衝撃および振動などが電池セル100に伝達されても、半固体状態のゲル電解質150により、電極タブ121の流動および変形を最小化して電極タブ121の断線を防止することができ、これにより、電極122の充放電の不活性化を防止することができるため、電池セル100の寿命を効果的に増大させることができる。
【0053】
また、図4に示すように、本発明の電池セル100は、液体電解質160を含むことができる。
前記液体電解質160は、ゲル電解質150と接触できるようにセルケース110の内部に隣接して収容されることができる。この際、ゲル電解質150と液体電解質160との間に界面(X)が形成されることができる。本発明の電池セル100は、ゲル電解質150と液体電解質160との界面(X)を介して、ゲル電解質150の前記第1リチウム塩が液体電解質160に移動可能に構成されることができる。すなわち、本発明の電池セル100は、ゲル電解質150と液体電解質160との間の界面(X)を介して、ゲル電解質150の相対的に高い濃度の第1リチウム塩が液体電解質160に移動可能に構成されているため、電池セル100の充放電が複数回進行しても、相対的に低いモル濃度のリチウム塩を含む液体電解質160中でのリチウム塩の枯渇を防止することができるため、電池セル100の寿命を効果的に増大させることができる。
【0054】
一方、図4および図5を参照すると、液体電解質160は、ゲル電解質150が形成されていない領域、例えば、電極タブ121が位置しない電極組立体120の少なくとも1つ以上の他側を囲むように収容空間110p1に収容されることができる。液体電解質160は、電極タブ121が電極組立体120の第1側120aに位置する場合、電極タブ121が形成されていない電極組立体120の残りの第2側120b、第3側120c、および第4側120dのいずれか1つに位置することができ、液体電解質160の消耗に備えて補充可能な液体電解質160の量が多いように可能な限り多い側に位置することで、電池セル100の寿命の減少を効果的に防止することが好ましい。例えば、図5に示すように、電極タブ121が電極組立体120の第1側120aに位置する場合、液体電解質160は、電極組立体120の残りの第2側120b、第3側120c、および第4側120dを囲むように位置することができる。
【0055】
本発明のこのような構成によると、電池セル100の充放電時に電極122の間に位置する液体電解質160が消耗される場合、電極タブ121が形成されていない電極122の少なくとも1つ以上の他側に位置する液体電解質160が電極122の間に移動して液体電解質160の補充が可能である。したがって、電池セル100の複数回の充放電後、電極122間の液体電解質160が消耗されても、電池セル100の寿命の減少を抑制することができる。
【0056】
一方、図15に示すように、前記電極タブ121の金属表面上には、ゲル電解質150に含まれたリチウム塩のアニオンと電極タブ121のカチオンの反応により形成された不溶性のパッシベーション膜123が形成されることができる。前記パッシベーション膜123は、電極タブ表面での還元反応を抑制して腐食を防止し、外部衝撃による電極タブ121の損傷を最小化し、電極タブ121の断線を効果的に抑制することができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態に係る電池セル100は、液体電解質160を介して、正極122pと負極122nとの間のイオン交換により充放電を行うことができる。液体電解質160は、正極122pと負極122nとの間でイオンが移動できるように、正極122pと負極122nとの間に位置することができる。液体電解質160は、正極122pと負極122nそれぞれに吸収されることができる。液体電解質160は、セパレータ170の表面および気孔に位置することができる。例えば、電池セル100は、リチウム二次電池の場合、通常、非水電解液を用いることができる。
次に、本発明の電池セルに含まれるゲル電解質150および液体電解質160の各構成要素についてより詳しく説明する。
【0058】
(1)ゲル電解質
本発明のゲル電解質150は、硬化性化合物、第1リチウム塩、有機溶媒、および重合開始剤を含むゲル電解質組成物155を収容空間110p1に注入した後に熱重合を行うことで形成することができる。
【0059】
この際、前記硬化性化合物は、構造内に重合反応が起こり得るビニル基、エポキシ基、アリル(allyl)基、および(メタ)アクリル基からなる群から選択される重合性官能基を有し、通常のゲル電解質の製造に適用される重合反応により架橋結合を形成し、かつ、ゲル相に変化可能な化合物であれば、特に限定されない。
【0060】
具体的には、前記硬化性化合物は、重合性単量体、オリゴマー、およびコポリマーの中から選択された少なくとも1つであってもよい。
前記重合性単量体は、熱重合性単量体または紫外線硬化性アクリレート単量体を含むことができる。
【0061】
前記熱重合性単量体は、その代表的な例として、テトラエチレングリコールジアクリレート(tetraethylene glycol diacrylate)、ポリエチレングリコールジアクリレート(poly ethylene glycol diacrylate、分子量50~20,000)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(1,4-butanediol diacrylate)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-hexandiol diacrylate)、トリメチロールプロパントリアクリレート(trimethylolpropane triacrylate)、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(trimethylolpropane ethoxylate triacrylate)、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート(trimethylolpropane propoxylate triacrylate)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(ditrimethylolpropane tetraacrylate)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(pentaerythritol tetraacrylate)、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート(pentaerythritol ethoxylate tetraacrylate)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(dipentaerythritol pentaacrylate)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(dipentaerythritol hexaacrylate)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(poly(ethylene glycol)diglycidylether)、1,5-ヘキサジエンジエポキシド(1,5-hexadiene diepoxide)、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル(glycerol propoxylate triglycidyl ether)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(vinylcyclohexene dioxide)、1,2,7,8-ジエポキシオクタン(1,2,7,8-diepoxyoctane)、4-ビニルシクロヘキセンジオキシド(4-vinylcyclohexene dioxide)、ブチルグリシジルエーテル(butyl glycidyl ether)、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート(diglycidyl 1,2-cyclohexanedicarboxylate)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether)、グリセロールトリグリシジルエーテル(glycerol triglycidyl ether)、およびグリシジルメタクリレート(glycidyl methacrylate)のうち少なくとも1つであってもよく、これらの単量体を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0062】
また、前記紫外線硬化性アクリレート単量体は、ODA(オクチル/デシルアクリレート)、IDA(イソデシルアクリレート)、LA(ラウリルアクリレート)、SA(ステアリルアクリレート)、PEA(フェノキシエチルアクリレート)、MNPEOA(ノニルフェノールエトキシレートモノアクリレート)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(Tetrahydrofurfuryl Acrylate)、シクロヘキシルアクリレート、4-ブチルシクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、4-HBA(4-ヒドロキシブチルアクリレート)、およびフェノキシエチルアクリレートのうち少なくとも1つを含むことができる。また、前記オリゴマーは、フッ素系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、アクリレート系オリゴマー、ポリシロキサン系オリゴマー、ホスファゼン系オリゴマー、ポリエチレン系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー、エポキシ系オリゴマー、ポリエチレンオキシド、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、およびポリフッ化ビニリデンからなる群から選択された少なくとも1つを含むことができ、具体的には、フッ素系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、およびポリシロキサン系オリゴマーの中から選択された少なくとも1つを含むことができる。前記コポリマーは、アリル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル(TFE)-(2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート)コポリマー、TFE-ビニルアセテートコポリマー、TFE-(2-ビニル-1,3-ジオキソラン)コポリマー、TFE-ビニルメタクリレートコポリマー、TFE-メチルアクリレートコポリマー、TFE-メチルメタクリレート(MMA)コポリマー、およびTFE-2,2,2-トリフルオロエチルアクリレートコポリマーからなる群から選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0063】
前記硬化性化合物は、ゲル電解質組成物の全重量を基準として約3wt%~30wt%、好ましくは約3wt%~25wt%、より好ましくは約3wt%~10wt%、具体的には5wt%~7wt%で含まれてもよい。
【0064】
前記硬化性化合物の含量がゲル電解質組成物155の総重量に対して3wt%未満である場合には、前記硬化性化合物が硬化しても、電解質がゲル相を形成し難い。また、前記硬化性化合物の含量がゲル電解質組成物155の総重量に対して30wt%を超える場合には、ゲル電解質組成物155の粘度が高くなり、電池セル100の収容空間に注入する際に、ゲル電解質組成物155の流動性が低下し、電極タブ121周辺の収容空間110p1にゲル電解質組成物155を移動させることが容易ではなく、ゲル電解質組成物155の一部が移動中に電極122の間に残存し得る。電極122の間に残存するゲル電解質組成物155は、液体電解質160に比べてイオン伝導抵抗が大きいため、電池セル100の性能に悪影響(例えば、電池の内部抵抗の増加など)を及ぼし得る。したがって、ゲル電解質組成物155中の前記硬化性化合物の含量が上記範囲を満たす場合、ゲル電解質組成物を収容空間内に注入しやすい粘度を確保することができる。
【0065】
一方、前記第1リチウム塩は、電極タブの金属表面に不溶性パッシベーション膜を形成し、電極タブの表面で還元反応の誘発を抑制できるアニオンを含むものであれば特に限定されず、具体的には、LiPF、LiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO、LiB10Cl10、LiAlCl、LiAlO、LiCFSO、LiCHCO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、およびLiCHSOのうち少なくとも1つを含むことができ、好ましくは、LiPFおよびLiBFのいずれか1つを含むことができる。
【0066】
具体的には、前記第1リチウム塩がLiPFおよびLiBFのいずれか1つである場合、第1アニオンは、Fであってもよく、前記第1アニオン(F)と電極タブ121のカチオン(Al3+)が結合し、図15に示すように、アルミニウムを含む電極タブ121の表面にアルミニウム自然酸化膜(Al)124が形成され、アルミニウム自然酸化膜上にパッシベーション膜123が形成されることができる。前記パッシベーション膜123は、AlFおよびLiFのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0067】
一方、前記第1リチウム塩としてLiFSI(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide)またはLiTFSI(Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)などが用いられる場合、電極タブのアルミニウム金属表面と反応し、電極タブの表面にAl(FSI)(Al((FSON))が生成され、この反応物は、電解質溶媒に溶解性を有するため、電解質溶媒に溶解して電極タブの腐食を引き起こし得る。そこで、本発明は、第1リチウム塩としてLiPFおよびLiBFなどを用いて、Al(FSI)よりも先に電解質の溶媒に対する溶解性の低い(もしくは不溶性)AlF、LiFなどを生成し、電極タブのアルミニウム金属表面にパッシベーション膜123を形成することで、電極タブのアルミニウム金属の腐食反応を抑制することができる。
【0068】
ただし、LiPFおよびLiBFなどは、LiFSI(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide)、LiTFSI(Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)、またはLiBOB(Lithium bis(oxalato)borate)と比較して、イオン伝導性および熱的安定性が低いという欠点がある。しかし、本発明の電池セル100は、後述するように、イオン伝導性および熱的安定性の高い液体電解質160を併用することで、LiPFおよびLiBFなどによる低いイオン伝導性および熱的安定性のような欠点を改善することができる。
【0069】
一方、前記第1リチウム塩の第1モル濃度は0.6M~5.0Mであってもよい。
ここで、第1モル濃度(molarity)は、1リットルの溶液中に溶解している溶質の量をモルで示したものを意味する。前記第1リチウム塩のモル濃度が上記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有するため優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0070】
一方、前記ゲル電解質150の第1リチウム塩の第1モル濃度が0.2M未満である場合には、第1リチウム塩の過度に低い濃度により、電池セル100の寿命を効果的に増大させることができない。また、ゲル電解質150の第1リチウム塩の第1モル濃度が5.0Mを超える場合には、過度なリチウム塩の使用によりゲル電解質組成物の粘度が増加することでゲル電解質組成物の流動性が悪くなり、電極タブ周辺の収容空間にゲル電解質組成物を移動させることが容易でないため、タブ部分の空間の全てにゲル電解質が満たされず、液体電解質が浸透することにより、タブの断線の発生および寿命性能の低下などを引き起こし得る。
具体的には、前記第1リチウム塩の第1モル濃度は0.9M~4.0M、具体的には1.0M~3.0Mであってもよい。
【0071】
一方、前記有機溶媒は、二次電池用電解質に使用される有機溶媒であれば特に限定されず、具体的には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびγ-ブチロラクトンからなる群から選択された1つ以上であってもよい。ただし、有機溶媒は、必ずしも上記で列挙した構成のみに限定されるものではなく、公知の構成およびその等価物を適用しても同様の効果を発揮することができる。一方、本発明のゲル電解質組成物中の硬化性化合物、リチウム塩、および重合開始剤を除く残部は、別に言及しない限り、全て有機溶媒であってもよい。
【0072】
また、前記重合開始剤としては、硬化性化合物の種類に応じて、当業界で周知の通常の熱重合開始剤または光重合開始剤を用いることができる。
具体的には、前記硬化性化合物として熱重合性単量体が用いられる場合、重合開始剤としては熱重合開始剤を用いることができる。また、前記硬化性化合物として紫外線硬化性アクリレート単量体が用いられる場合、重合開始剤としては光重合開始剤を用いることができる。
【0073】
前記熱重合開始剤は、熱により分解されてラジカルを形成し、フリーラジカル重合により前記重合性単量体、オリゴマー、または前記コポリマーと反応してゲル電解質組成物をゲル化させることができる。具体的には、前記熱重合開始剤の非限定的な例としては、ベンゾイルパーオキサイド(Benzoyl peroxide)、アセチルパーオキサイド(Acetyl peroxide)、ジラウリルパーオキサイド(dilauryl peroxide)、ジ-tert-ブチルパーオキサイド(di-tert-butyl peroxide)、t-ブチルパーオキシ-2-エチル-ヘキサノエート(t-butyl peroxy-2-ethyl-hexanoate)、クミルヒドロパーオキサイド(cumyl hydroperoxide)、過酸化水素(hydrogen peroxide)などの有機過酸化物類またはヒドロ過酸化物類や、2,2’-アゾビス(2-シアノブタン)(2,2’-azobis(2-cyanobutane))、2,2’-アゾビス(メチルブチロニトリル)(2,2’-azobis(methylbutyronitrile))、AIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))、AMVN(2,2’-azobisdimethylvaleronitrile)などのアゾ化合物類などを含むことができる。
【0074】
前記熱重合開始剤は、電池内で熱、非限定的な例として30℃~100℃の熱により分解されるかまたは常温(5℃~30℃)で分解されてラジカルを形成し、フリーラジカル重合により重合性単量体がアクリレート系化合物と反応してゲル電解質150を形成することができる。
【0075】
前記光重合開始剤は、光により分解されてラジカルを形成し、フリーラジカル重合により前記重合性単量体、オリゴマー、または前記コポリマーと反応してゲル電解質組成物をゲル化させることができる。具体的には、前記光重合開始剤の非限定的な例としては、エチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、α-メチルベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、α-アシルオキシムエステル、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アントラキノン、2-アントラキノン、2-クロロアントラキノン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、ベンゾフェノン、ベンジルベンゾエート、およびベンゾイルベンゾエートのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0076】
前記重合開始剤は、硬化性化合物100重量部を基準として0.01重量部~20重量部、具体的には0.1重量部~10重量部で含まれてもよい。前記重合開始剤が0.01重量部~20重量部の範囲内である場合、硬化性化合物の転化率を高めてゲル電解質150の特性を確保することができる。
【0077】
一方、前記ゲル電解質150の形成前のゲル電解質組成物は、収容空間110p1に注入しやすいように約3cP~100cP、具体的には6cP~10cP、より具体的には6cP~7cPの粘度を有することが好ましい。
【0078】
前記ゲル電解質組成物155の粘度が3cP未満である場合には、電極タブ121の流動が発生して電極タブ121の断線が生じ得、その逆に、ゲル電解質組成物155の粘度が100cPを超える場合には、ゲル電解質組成物155の流動性が低下し、電極タブ周辺の収容空間にゲル電解質組成物を移動させることが容易でないだけでなく、含まれる硬化性化合物および第1リチウム塩などの使用量の増加により電池セル100の製造コストが増大し得る。
【0079】
また、ゲル電解質150の形成後の硬化したゲル電解質の粘度が約10,000cP~30,000cP、具体的には20,000cPであって、流動性がほぼない粘度を有することができる。
【0080】
本発明において、前記ゲル電解質150の粘度が上記範囲を満たす場合、移動中に発生する頻繁な衝撃および振動などが電池セル100に伝達されても、液体電解質160よりも高い粘度を有する電解質150により電極タブ121の流動および変形を最小化することができる。
【0081】
このように、本発明は、第1モル濃度の第1リチウム塩と前記硬化した高分子それぞれの含量を調節することで、電極タブ121の流動および変形を防止できる適した粘度を有するようにゲル電解質150の粘度を制御することができる。これにより、電池セル100に外部衝撃が加えられる場合にも電極タブ121の変形を減少させることができる。したがって、自動車に本発明の電池セル100を搭載する場合に、移動中に発生する頻繁な衝撃および振動などが電池セル100に伝達されたとしても、液体電解質160よりも高い粘度を有する電解質150により電極タブ121の流動および変形を最小化することができる。
【0082】
(2)液体電解質
本発明において、液体電解質は、第2リチウム塩および有機溶媒を含み、選択的に添加剤をさらに含むことができる。
【0083】
前記液体電解質の第2リチウム塩のモル濃度は約0.5M~2.0Mであってもよい。
一方、前記液体電解質160の第2リチウム塩の第2モル濃度が0.5M未満である場合には、リチウムイオン伝導度が減少して電池セルの内部抵抗が増加し、電池セル100の寿命を阻害し得る。また、第2リチウム塩の第2モル濃度が2.0M超過である場合には、第2リチウム塩の使用量が必要以上に増加し、液体電解質160の粘度が高くなり、液体電解質160の電極組立体120に対する濡れ性が低下し得、電池セルの製造コストが上昇し得る。
前記液体電解質の第2リチウム塩のモル濃度は約0.75M~1.8M、具体的には約0.8M~1.5Mであってもよい。
【0084】
特に、本発明において、液体電解質は、濃度勾配を形成できるように前記ゲル電解質の第1リチウム塩の第1モル濃度よりも低い第2モル濃度の第2リチウム塩を含むことが好ましい。具体的には、前記第2リチウム塩の第2モル濃度は、前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低いことが好ましい。
【0085】
本発明は、ゲル電解質150の第1リチウム塩の第1モル濃度よりも液体電解質160の第2リチウム塩の第2モル濃度を0.1M以上低く設定することで、ゲル電解質150および液体電解質160それぞれのリチウム塩の適した濃度勾配を形成することができるため、ゲル電解質150と液体電解質160との界面(X)を介して、ゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動することができる。一方、液体電解質160の2リチウム塩の第2モル濃度がゲル電解質150の第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M未満高い場合、ゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動する量が少ないため、電池セル100の寿命向上効果が微々たるものであり得る。
【0086】
具体的には、本発明の一実施形態に係る電池セル100において、ゲル電解質150の第1リチウム塩の第1モル濃度は0.6M~5.0Mであり、液体電解質160の第2リチウム塩の第2モル濃度は0.5M~2.0Mであり、この際、前記第2リチウム塩の第2モル濃度が前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低くてもよい。好ましくは、前記液体電解質160の第2リチウム塩の第2モル濃度は0.75M~1.8Mであってもよく、より好ましくは0.8M~1.5Mであってもよい。このように、前記第2リチウム塩の第2モル濃度が前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低く設定されることで、ゲル電解質150および液体電解質160それぞれのリチウム塩の適切な濃度勾配を形成することができるため、ゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動することができる。
【0087】
また、本発明の一実施形態に係る電池セル100において、前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩のモル濃度との比は1:1.3~1:5であってもよい。好ましくは、前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩のモル濃度との比は1:1.3~1:5であってもよい。より好ましくは、前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩のモル濃度との比は1:1.4~1:5であってもよい。
【0088】
本発明において、前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩のモル濃度との比が上記範囲に含まれることで、ゲル電解質150および液体電解質160それぞれのリチウム塩の適切な濃度勾配を形成することができるため、界面(X)を介してゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動することができる。
【0089】
一方、前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩のモル濃度との比が1:1.3よりも小さい場合には、適切な濃度勾配を有することが難しく、ゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動する量が少ないため、電池セル100の寿命増大効果が微々たるものであり得る。また、前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩のモル濃度との比が1:5よりも大きい場合には、ゲル電解質150の第1リチウム塩の使用量が不要に増加し、ゲル電解質組成物の注液が難しいだけでなく、電池セル100の製造コストが高くなり得る。
【0090】
一方、第2リチウム塩は、その代表的な例として、LiPF、LiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO、LiB10Cl10、LiAlCl、LiAlO、LiCFSO、LiCHCO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiCHSO、LiFSI(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide、LiN(SOF))、LiTFSI(Lithium(bis)trifluoromethanesulfonimide、LiN(SOCF)、LiBOB(Lithium bis(oxalato)borate、LiB(C)、およびLiBETI(Lithium bisperfluoroethanesulfonimide、LiN(SOCFCF)からなる群から選択された単一物または2種以上の混合物を含むことができ、第1リチウム塩と互いに同一または異なる種類のリチウム塩を含むことができる。より具体的には、前記第2リチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、およびLiBETIのうち少なくとも1つを含むことができる。好ましくは、前記第2リチウム塩は、第1リチウム塩と比較して、相対的に金属酸化力が高いが、相対的にイオン伝導性が高く、内部電気抵抗を減少させることができ、電池セルが高温の環境にさらされる場合に熱的安定性を高めることができるように、第1リチウム塩とは種類が異なるLiFSI、LiTFSI、LiBOB、およびLiBETIのうち少なくとも1つとLiPFを併用することができる。
【0091】
一方、前記第2リチウム塩としてLiPFと共にLiFSI、LiTFSI、LiBOB、およびLiBETIのうち少なくとも1つを併用して用いる際に、LiPFとLiPFを除くその他のリチウム塩とのモル濃度の比は1:1~1:6.7、具体的には1:1~1:4であってもよい。すなわち、LiPFのモル濃度がLiPFを除くリチウム塩のモル濃度よりも高い場合には、液体電解質160のイオン伝導度が低下し、電池セル100の内部抵抗が相対的に低下し得る。これに対し、LiPFに対するLiPFを除くその他のリチウム塩のモル濃度の比が6.7倍を超える場合には、電池セルの製造コストが上昇し得る。したがって、本発明に係る電池セル100は、前記第2リチウム塩と前記第3リチウム塩とのモル濃度の比が1:1~1:6.7となるように構成することで、電池セル100の内部電気抵抗の増加を低減しながらも、相対的に安価なLiPFの使用量を増加させ、電池セル100の製造単価を低くできるという利点がある。
【0092】
前記液体電解質に含まれる有機溶媒は、前記ゲル電解質で用いられた有機溶媒と同一または異なってもよく、具体的には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ビニレンカーボネート(VC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびγ-ブチロラクトンからなる群から選択された1つ以上であってもよい。前記有機溶媒は、必ずしも上記で列挙した構成のみに限定されるものではなく、公知の構成およびその等価物を適用しても同様の効果を発揮することができる。
【0093】
また、前記液体電解質は、電池の高レート放電特性、高温安定性、過充電の防止、電池の膨張抑制効果などをさらに向上させるために、必要に応じて添加剤をさらに含むことができる。
【0094】
このような添加剤の例としては、フッ素で置換されていない環状カーボネート系化合物、スルトン系化合物、サルフェート系化合物、ベンゼン系化合物、アミン系化合物、およびシラン系化合物からなる群から選択された少なくとも1つが挙げられる。
【0095】
前記フッ素で置換されていない環状カーボネート系化合物としては、ビニレンカーボネート(VC)またはビニルエチレンカーボネート(VEC)などが挙げられる。
【0096】
前記スルトン系化合物としては、具体例として、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,4-ブタンスルトン、エテンスルトン、1,3-プロペンスルトン(PRS)、1,4-ブテンスルトン、および1-メチル-1,3-プロペンスルトンからなる群から選択された少なくとも1つが挙げられる。
【0097】
前記サルフェート系化合物としては、具体例として、エチレンサルフェート(Ethylene Sulfate;Esa)、トリメチレンサルフェート(Trimethylene sulfate;TMS)、またはメチルトリメチレンサルフェート(Methyl trimethylene sulfate;MTMS)などが挙げられる。
【0098】
前記ベンゼン系化合物は、フルオロベンゼンなどであってもよく、前記アミン系化合物は、トリエタノールアミンまたはエチレンジアミンなどであってもよい。
前記シラン系化合物は、テトラビニルシランなどであってもよい。
【0099】
前記添加剤は、2種以上の化合物を混用して用いることができ、液体電解質の全重量を基準として0.01重量%~20重量%、具体的には0.05重量%~5重量%で含まれてもよい。前記添加剤の含量が20重量%を超えると、過剰の添加剤により電池の充放電時に副反応が過度に発生する可能性がある。
【0100】
一方、前記液体電解質160の粘度は2cP~20cPであってもよく、粘度が上記範囲を満たす場合、電解質160が電極122に均一によく浸透可能な適切な粘度を確保することができるため、電池セル100の初期充放電効率も向上させることができ、電池セル100の製造時間を短縮し、製造コストを効果的に削減することができる。
【0101】
これに対し、液体電解質160の粘度が2cP未満である場合には、電池セル100の容量および寿命の低下が生じ得、その逆に、液体電解質160の粘度が20cPを超える場合には、液体電解質150の濡れ性が低下し、製造時間が増大し、電池セル100の製造コストが増大し得る。
【0102】
一方、本発明の電池セル100は、電池セル100の充放電が繰り返されるにつれ、リチウム析出などにより液体電解質160の充放電に参加する有効なリチウム塩が漸進的に減ることになるが、ゲル電解質150と液体電解質160とのリチウム塩の濃度勾配により、溶質であるゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動し、液体電解質160に不足したリチウム塩を補充することができる。これにより、本発明の電池セル100は、相対的に低い濃度の液体電解質160により製造されるが、電池セル100の充放電が複数回進行しても液体電解質160の充放電に参加する有効なリチウム塩の枯渇を防止することができるため、電池セル100の寿命を効果的に増大させることができる。これに対し、本願は、後述する実験例によりその効果を立証している。
一方、以下では本発明の電池セルの製造方法についてより具体的に説明する。
【0103】
電池セルの製造方法
本発明の一実施形態によると、本発明の電池セルの製造方法は、
複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体を準備するステップと、
セルケースの収容空間に前記電極組立体を配置するステップと、
第1モル濃度の第1リチウム塩、および硬化性化合物を含むゲル電解質組成物を前記収容空間の内部に注入した後、前記電極タブ周辺に配置するステップと、
前記ゲル電解質組成物を硬化し、電極タブ周辺を囲むゲル電解質を形成するステップと、
前記複数の電極の間に収容されるように第2モル濃度の第2リチウム塩を含む液体電解質を注入するステップと、を含むことができる。
【0104】
先ず、図1図4、および図5に基づき、図6図11には、本発明の電池セル100を製造する製造方法が示されている。
先ず、本発明の一実施形態に係る電池セル100の製造方法は、複数の電極122p、122n、複数の電極122p、122nそれぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ121、および複数の電極122p、122nの間に介在されたセパレータを備えた電極組立体を準備するステップと、セルケース110の収容空間110p1に電極組立体120を配置するステップと、第1モル濃度の第1リチウム塩、および硬化性化合物を含むゲル電解質組成物を前記電極タブを囲むように前記収容空間110p1の内部に注入するステップと、電極タブ121の流動を防止できるように前記ゲル電解質組成物を硬化し、電極タブ周辺にゲル電解質を配置するステップと、前記複数の電極122p、122nの間に収容されるように第2モル濃度の第2リチウム塩を含む液体電解質160を注入するステップと、を含むことができる。
【0105】
この際、前記電極組立体120を準備するステップは、一側に正極タブ121aが形成された正極122p、セパレータ170、一側に負極タブ121bが形成された負極122nを順次積層して電極組立体120を形成させるステップを含むことができる。この際、電極122p、122nは、それぞれの少なくとも一側に電極タブ121が形成されることができる。
【0106】
一実施形態において、パウチ114の収容空間110p1に電極組立体120を配置するステップは、少なくとも一側に形成された電極タブ121を備えた電極122、および電極122の間に介在されたセパレータ170を備えた電極組立体120をパウチ114の収容空間110p1に配置するステップを含む。ここで、パウチ114は、収容空間110p1が完全に密封されたセルケース110を製造する前の段階の構成といえる。パウチ114は、第1セルシート114Tおよび第2セルシート114Pそれぞれの外周部が互いに接合することで形成されることができる。パウチ114には、電極タブ121、電極組立体120、ゲル電解質組成物155、および液体電解質160を収容可能な収容空間110p1が形成されることができる。
【0107】
例えば、電極タブ121は、電極組立体120の第1側120aに位置することができる。しかし、必ずしもこのような形態のみに限定されるものではなく、他の一実施形態に係る製造方法により製造された電池セル(図示せず)は、電極タブ121が電極組立体120の第1側120aおよび第3側120cそれぞれに位置することができる。この場合、ゲル電解質150は、パウチ114の収容空間110p1のうち電極組立体120の第1側120aおよび第3側120cそれぞれに配置されることができる。この場合、液体電解質160は、電極122とセパレータ170との間、電極122の間、および収容空間110p1のうち電極組立体120の第2側120bおよび第4側120dに位置することができる。
【0108】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明の製造方法は、従来の電池セル100の液体電解質160が電極タブ121を囲んでいる場合と比較して、電極タブ121を囲んでいるゲル電解質150により電極タブ121の流動を防止することで、電極タブ121と電極122との間の連結部位または電極タブ121の折り曲げ部位が断線することを効果的に防止できる電池セル100の製造が可能である。
【0109】
また、本発明の製造方法は、製造された電池セル100が電極タブ121の表面にパッシベーション膜123を形成させ、従来の電池セルの電解質に含まれたリチウム塩による電極タブ121の腐食により電極タブ121が断線することを防止することができるため、電池セル100の耐久性を効果的に高めることができる。
【0110】
具体的には、図6には、本発明の他の一実施形態に係る電池セル100の製造方法において、複数の電極122p、122nがパウチ114の収容空間110p1に挿入された様子を示す正面図が示されている。
【0111】
また、図7には、本発明の他の一実施形態に係る電池セル100の製造方法において、収容空間110p1に上述のゲル電解質組成物155を注入しているパウチ内部の様子を示す正面図が示されている。参考までに、図7では、図面の説明の便宜上、外部からパウチ114内部の様子が見えるようにパウチ114を透明に示した。
【0112】
先ず、図6を参照すると、セルシートの収容空間110p1への電極組立体(図示せず)の挿入ステップの後、パウチ114を形成するために、第1セルシート114Tおよび第2セルシート114Pが積層された状態で、それぞれの一部の外周部、例えば、第2外周部114bを除き、第1外周部114a、第3外周部114c、および第4外周部114dを互いに熱融着させることで、シール部111を形成した。また、熱融着されることなく、第1セルシート114Tと第2セルシート114Pとの間が離れている第2外周部114bの間を通して、収容空間110p1にゲル電解質組成物155または液体電解質160が流入できるように構成した。
【0113】
図2図5、および図7を参照すると、前記外周部の熱融着工程により、第2外周部114b領域に注入空間110p2が形成されることができる。前記注入空間110p2は、第1セルシート114Tと第2セルシート114Pとの間に形成された内部空間のうち、電極122が収容された収容空間110p1の一側(上側)に位置する空間であってもよい。例えば、パウチ114の開放された第2外周部114bから収容空間110p1前までの領域を注入空間110p2に設定することができる。注入空間110p2は、収容空間110p1と連通するように構成されることができる。注入空間110p2は、ゲル電解質組成物155または液体電解質160が収容空間110p1に移動できるように通路の役割をはたすことができる。
【0114】
図7を参照すると、本発明の電池セル100の製造方法は、ゲル電解質組成物の注液前に、パウチ114の注入空間110p2と収容空間110p1との間の一部分を熱融着して遮断部113を形成するステップをさらに含むことができる。
【0115】
前記遮断部113は、第1外周部114aからパウチ114の第3外周部114cまで熱融着させて形成してもよい。
このような遮断部により収容空間に注入されたゲル電解質組成物が硬化する前に収容空間から注入空間に再移動するのを防止することができ、ゲル電解質組成物の硬化ステップの前までゲル電解質組成物が電極タブを囲むように配置された状態を維持することが容易であるため、製造工程性を大幅に高めることができる。
【0116】
図3と共に図7を参照すると、前記注入空間110p2を介して、収容空間110p1の内部に上述の第1モル濃度の第1リチウム塩、および硬化性化合物を含むゲル電解質組成物155を電極タブ121を囲むように注入する。
【0117】
前記ゲル電解質組成物155は、硬化の前には液状の電解質であり、その後のステップで前記硬化性化合物を硬化させることで、前記液状の電解質がゲル相(gel phase)の電解質に変化するように構成されることができる。また、ゲル電解質組成物155は、注入後、電極タブ121の外面を囲むかまたは電極タブ121の間を満たすように収容空間110p1に配置されることができる。
【0118】
図8には、本発明の電池セル100の製造方法において、収容空間110p1でゲル電解質組成物155を熱硬化しているパウチ内部の様子を示す正面図が示されている。参考までに、図8では、図面の説明の便宜上、外部からパウチ114内部の様子が見えるようにパウチを透明に示した。
【0119】
図8を参照すると、電極タブ121の流動を防止するようにゲル電解質組成物155をゲル相のゲル電解質150に変化させるステップは、前記ゲル電解質組成物155を収容空間110p1に電極タブ121を囲むように注入した後、電極タブ121が下方に向かうようにパウチ114を回転させるステップを含む。すなわち、ゲル電解質組成物155は、電極タブ121を囲むように重力によりゲル電解質組成物155を移動させることができる。
【0120】
一実施形態において、硬化ステップは、電極タブ121を囲むように収容空間110p1に配置されたゲル電解質組成物155をゲル相に硬化させるステップを含むことができる。例えば、ゲル電解質組成物155に熱硬化性化合物が含まれている場合、所定温度に設定された恒温槽の内部に所定時間以上保管してゲル電解質組成物155を熱硬化させることができる。熱硬化性化合物が昇温して熱重合反応により架橋結合を形成し、液体状態のゲル電解質組成物155がゲル状態に転換することができる。例えば、恒温槽の内部にパウチ114を保管する場合、パウチ114は、ゲル電解質組成物155をゲル状態に転換させるために、摂氏60度の恒温槽の内部に5時間~24時間保管することができる。
【0121】
したがって、本発明のこのような構成によると、電池セル100の製造方法は、従来技術の電池セル100の液体電解質160が電極タブ121を囲んでいる場合と比較して、電池セル100に外部衝撃が加えられる場合、ゲル電解質150が電極タブ121の流動を防止して変形を減少できる電池セル100の製造が可能である。これにより、本発明の電池セル100の製造方法は、電池セル100の耐久性を効果的に向上させることができる。
【0122】
図9には、本発明に係る電池セルの製造方法において、ゲル電解質組成物155が硬化する間に固定治具210を用いて電池セル100を固定させる前の様子を示す側面図が示されている。図10には、本発明に係る電池セルの製造方法において、ゲル電解質組成物155が硬化する間に固定治具210を用いて電池セル100を固定させた様子を示す側面図が示されている。説明の便宜上、図9および図10では電極タブ121などを示していない。
【0123】
図9および図10を参照すると、前記硬化性化合物を含むゲル電解質組成物155を収容空間110p1に電極タブ121を囲むように注入するステップにおいて、パウチ114にゲル電解質組成物155を注入する場合、ゲル電解質組成物155の流動性により、ゲル電解質組成物155が収容されたパウチ114の収容空間110p1の一部分が外部方向に凸状に変形し得る。このようにパウチ114の収容空間110p1の一部分が凸状に変形した形状にゲル電解質組成物155を硬化させる場合、製品ごとに変形の形状が異なり得るため、製品の一貫した品質の確保が難しく、パウチ114の外観が滑らかでなく、不良が生じ得る。
【0124】
これにより、本発明の製造方法の電極タブ121の流動を防止するようにゲル電解質組成物155をゲル相のゲル電解質150に変化させるステップは、ゲル電解質組成物155が硬化する間にパウチ114を加圧固定するステップを含むことができる。この際、固定治具210を用いて、パウチ114の両外側を加圧して固定することができる。具体的には、固定治具210は、第1治具プレート212および第2治具プレート213を備えることができる。第1治具プレート212および第2治具プレート213それぞれは、パウチ114の一側面と対応するか、またはそれよりも大きい大きさを有することができる。すなわち、第1治具プレート212および第2治具プレート213それぞれは、パウチ114をカバー可能な大きさを有することができる。パウチ114およびパウチ114の内部に収容された電極組立体120が第1治具プレート212と第2治具プレート213との間に介在されることができる。そして、パウチ114の凸状に変形した形状の収容空間110p1の一部分が第1治具プレート212および第2治具プレート213により加圧されることができる。
【0125】
また、固定治具210は、受台211、第1支持体214、および第2支持体215をさらに備えることができる。第1支持体214および第2支持体215は、パウチ114を中心に両側(Y軸方向)に位置することができる。受台211は、固定治具210が地面上に安定して位置できるように地面上に搭載されるように構成されることができる。受台211は、地面と平行に延びたプレート形状を有することができる。例えば、図12に示すように、第1支持体214は、受台211の上面から上部方向(Z軸方向)に延びた柱部214aと、柱部214aから水平方向に延び、第1治具プレート212のY軸の正方向の側部と連結された連結部214bと、を備えることができる。また、第2支持体215は、受台211の上面から上部方向に延びた柱部215aと、柱部215aから水平方向に延び、第2治具プレート213のY軸の負方向の側部と連結された連結部215bと、を備えることができる。
【0126】
さらに、第1支持体214および第2支持体215は、受台211上で、互いに近づく方向に移動可能に構成されるか、または互いに離れる方向に移動可能に構成されることができる。例えば、第1支持体214および第2支持体215が互いに近づく方向に移動する場合、第1支持体214および第2支持体215それぞれと連結された第1治具プレート212および第2治具プレート213が互いに近づくように移動することができる。この際、第1治具プレート212と第2治具プレート213との間に位置するパウチ114の両外側を加圧することで、パウチ114およびパウチ114に収納された電極組立体120を固定することができる。例えば、ゲル電解質組成物155の硬化が終了すると、第1支持体214および第2支持体215を互いに離れる方向に移動させ、パウチ114の固定状態を解除させることができる。例えば、図9に示すように、パウチ114は、ゲル電解質組成物155により、パウチ114の収容空間110p1の一部分が凸状に突出した形状になり得る。しかし、図10に示すように、第1支持体214および第2支持体215がパウチ114に向かって移動する場合、第1治具プレート212および第2治具プレート213によりパウチ114が加圧され、このような加圧により、ゲル電解質組成物155により凸状になった収容空間110p1が内入した形状に変形するようにガイドすることができる。
【0127】
したがって、本発明のこのような構成によると、本発明の製造方法は、電極タブ121の流動を防止するように、ゲル電解質組成物155が硬化する間にパウチ114を加圧固定するステップを含むことで、パウチ114の内部に収容された電極組立体120を安定的に固定することができ、ゲル電解質組成物155によりパウチ114の収容空間110p1の一部分が外部に凸状に変形した状態でゲル電解質組成物155が固化するのを防止することができる。これにより、本発明の製造方法は、製造された電池セル100の不良率を効果的に低減することができる。
【0128】
図11には、本発明に係る電池セルの製造方法において、収容空間110p1に液体電解質160を注入しているパウチ114内部の様子を示す斜視図が示されている。参考までに、図11では、図面の説明の便宜上、外部からパウチ114の内部が見えるように透明に示した。
【0129】
再び図2図4図8、および図11を参照すると、本発明に係る電池セルの製造方法は、液体電解質160の注入ステップの前に、電極タブ121が電極組立体120のX軸方向に位置するように回転させるステップをさらに含むことができる。この際、パウチ114は、図11における地面を基準に収容空間110p1が正面から見えるように、地面を基準に上下方向(Z軸方向)に立てられた形態であってもよい。この際、ゲル電解質組成物155は、既にゲル相に相変化してゲル電解質150を形成しているため、電極タブ121が電極組立体120の側部(X軸方向)に位置するようにパウチ114を回転配置する場合にも、ゲル電解質150が収容空間110p1の他の位置に移動しない。そして、液体電解質160は、ゲル電解質150が位置しない、収容空間110p1の残りの空間に充填されることができる。
【0130】
具体的には、液体電解質160の注入ステップは、液体電解質160が第1セルシート114Tおよび第2セルシート114Pの開放された第2外周部114bを介して注入空間110p2を通過して収容空間110p1に注入するステップを含むことができる。この際、液体電解質160は、電極122の間、および電極122の電極タブ121が位置しない他側を囲むように位置することができる。例えば、液体電解質160は、電極122の間、および電極122の最外側に位置することができる。また、図11に示すように、液体電解質160は、電極組立体120の第2側120b、第3側120c、および第4側120dを囲むように位置することができる。
【0131】
また、本発明の電池セルの製造方法は、ゲル電解質150よりも低い第2モル濃度の第2リチウム塩を含む流動性の高い液体電解質160を注液することで、電極組立体120の電極に吸収される時間が短く、電極の濡れ性が改善されるため、初期充放電効率を向上させることができ、電池セル100の製造時間を短縮し、製造コストを効果的に削減することができる。
【0132】
図12には、本発明に係る電池セルの製造方法において、パウチ114の収容空間110p1の一側をさらにシールした様子を示す正面図が示されている。図13には、本発明に係る電池セルの製造方法において、パウチ114の注入空間110p2を除去した様子を示す正面図が示されている。
【0133】
再び図4と共に図12および図13を参照すると、本発明に係る電池セル100の製造方法は、パウチ114の収容空間110p1を密封させるステップと、注入空間110p2の領域を切断するステップと、をさらに含むことができる。具体的には、パウチ114の収容空間110p1を密封させるステップは、パウチ114の収容空間110p1と注入空間110p2との境界部分を全て熱融着することができる。例えば、図12に示すように、パウチ114の収容空間110p1と注入空間110p2との境界に沿ってパウチ114の第1外周部114aから第3外周部114cまで熱融着してシール部111を形成することができる。例えば、上述の図7の電池セル100の製造方法のように、パウチ114の注入空間110p2と収容空間110p1との間の一部分を熱融着して遮断部113を形成した場合、シール部111をさらに形成するために、遮断部113からパウチ114の第3外周部114cまで熱融着することができる。
【0134】
また、シール部111の外側に切断ライン(L)を設定することができる。その後、図13に示すように、切断ライン(L)に沿って切断し、パウチ114の注入空間110p2の領域を除去することができる。
【0135】
さらに、本発明の他の一実施形態に係る製造方法は、図12で行われたパウチ114の収容空間110p1を密封するステップの前に電池活性化工程を行うことができる。ここで、電池活性化工程は、電池セル100において初めて充/放電動作を実行する工程である。電池セル100の充/放電動作中に多量のガスが発生する。このように発生したガスは、収容空間110p1から注入空間110p2に移動し、パウチ114の開放された第2外周部114bを介して外部に排出されることができる。このような電池活性化工程は、正極122pおよび負極122nの材料に応じて、充電電流の大きさおよび充放電時間が異なり得る。
【0136】
また、本発明に係る製造方法は、パウチ114の収容空間110p1を密封するステップの後に、電池エージング(aging)工程を行うことができる。この際、温度は、例えば、摂氏45度~70度であり、エージング時間は1日~3日であってもよい。
【0137】
上述のような本発明の製造方法により製造された電池セル100は、電極タブ121を囲む形態で流動性の低いゲル電解質150を配置することで、従来の液体電解質160が電極タブ121を囲んでいる電池セル100と比較して、外部衝撃による電極タブ121の流動および変形を防止することができる。したがって、本発明の電池セル100を自動車などに適用する場合、移動中に発生する頻繁な衝撃および振動などが電池セル100に伝達されても、ゲル電解質150により電極タブ121の流動を最小化して断線を防止することができ、これにより、寿命を増加させることができ、また、電極122の不活性化を防止し、電池容量の減少を改善することができる。
【0138】
上述のような本発明の製造方法により製造された電池セル100は、収容空間110p1と電極組立体120との間の空間に流動性を有する液体電解質160を最大限確保するとともに、液体電解質160の第2リチウム塩の第2濃度よりも高い第1モル濃度の第1リチウム塩を含むゲル電解質150を含むことで、繰り返しの充放電により液体電解質160の第2リチウム塩が減少しても、ゲル電解質150とのリチウム塩の濃度勾配により、溶質であるゲル電解質150から第1リチウム塩が液体電解質160に移動し、液体電解質160に不足したリチウム塩を補充することで、液体電解質160のリチウム塩の枯渇を防止し、電池セル100の寿命を効果的に増大させることができる。
【0139】
一方、図14は、本発明の一実施形態に係る電池モジュール1000の様子を概略的に示す斜視図である。
図1と共に図14を参照すると、本発明は、電池セル100を少なくとも1つ含む電池モジュール1000を提供することができる。電池モジュール1000は、少なくとも1つの電池セル100を内部に収容するモジュールハウジング1100と、モジュールハウジング1100の前端に設けられた外部出力端子1200と、電池セル100の充放電を制御する制御部1300と、を含むことができる。また、電池モジュール1000は、電池セル100が2つ以上設けられる場合、2つ以上の電池セル100を電気的に連結するバスバー(図示せず)をさらに含むことができる。前記バスバーは、電池セル100それぞれの電極リード130と電気的に連結されることができる。本発明の電池モジュール1000は、電池セル100以外の必須の構成は既に公知の構成を適用することができるため、このような構成に関する説明は省略する。
【0140】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。ただし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形してもよく、本発明の範囲が後述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0141】
実施例
実施例1
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFを0.75Mの濃度で溶解させた後、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は2.5cPであった。
【0142】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFをモル濃度が2.0Mとなるように溶解させた後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%添加し、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質組成物の粘度は8.0cPであった。
【0143】
(電極組立体の製造)
正極活物質(Li(Ni0.8Co0.1Mn0.1)O)、導電材(カーボンブラック)、およびバインダー(ポリビニリデンフルオライド:PVDF)を94:3:3の重量比で、溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加し、正極活物質スラリー(固形分:48重量%)を製造した。前記正極活物質スラリーを厚さ15μmの正極集電体(Al薄膜)に塗布および乾燥した後、ロールプレス(roll press)を行って正極を製造した。負極活物質(炭素粉末)、バインダー(styrene-butadiene rubber、SBR)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose、CMC)、および導電材(カーボンブラック)を96:2:1:1の重量比で、溶剤として水に添加し、負極活物質スラリー(固形分:70重量%)を製造した。前記負極活物質スラリーを厚さ10μmの負極集電体(Cu薄膜)に塗布および乾燥した後、ロールプレスを行って負極を製造した。前記正極、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)の3層からなるセパレータ、および負極を積層して電極組立体を製造した。
【0144】
(電池セルの製造)
上述の方法により製造された電極組立体を準備した後、それをパウチに収納し、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化した。次に、パウチの収容空間に電極組立体が含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0145】
実施例2
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFおよびLiN(SOF)(LiFSI)をそれぞれ0.3Mおよび0.7Mとなるように溶解させた。その後、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は3.4cPであった。
【0146】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFをモル濃度が2.0Mとなるように溶解させた。その後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%およびビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質の粘度は8.0cPであった。
【0147】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0148】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0149】
実施例3
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFおよびLiN(SOF)(LiFSI)をそれぞれ0.7Mおよび0.7Mとなるように溶解させた。その後、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は3.4cPであった。
【0150】
(電池セルの製造)
パウチの収容空間に上記で製造された液体電解質を注液することを除いては、前記実施例2と同様の方法で電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0151】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0152】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0153】
実施例4
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFおよびLiN(SOF)(LiFSI)をそれぞれ0.3Mおよび0.7Mとなるように溶解させた。その後、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は3.4cPであった。
【0154】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFをモル濃度が5.0Mとなるように溶解させた。その後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%およびビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質の粘度は34.0cPであった。
【0155】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0156】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0157】
実施例5
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFおよびLiN(SOF)(LiFSI)をそれぞれ0.3Mおよび0.7Mとなるように溶解させた。その後、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は3.4cPであった。
【0158】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFをモル濃度が6.0Mとなるように溶解させた。その後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%およびビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質の粘度は62.0cPであった。
【0159】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0160】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0161】
比較例1
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFを1.0Mの濃度で溶解させた後、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は3.3cPであった。
【0162】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFをモル濃度が1.0Mとなるように溶解させた後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%添加し、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質組成物の粘度は4.7cPであった。
【0163】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0164】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0165】
比較例2
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFを0.5Mの濃度で溶解させた後、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は1.7cPであった。
【0166】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFをモル濃度が0.5Mとなるように溶解させた後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%添加し、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質組成物の粘度は2.0cPであった。
【0167】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0168】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0169】
比較例3
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFを2.0Mの濃度で溶解させた後、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は6.7cPであった。
【0170】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFをモル濃度が2.0Mとなるように溶解させた後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%添加し、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質組成物の粘度は8.0cPであった。
【0171】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0172】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0173】
比較例4
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiN(SOF)を1.0Mの濃度で溶解させた後、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は3.5cPであった。
【0174】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiN(SOF)を1.0Mとなるように溶解させた後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%添加し、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質の粘度は5.0cPであった。
【0175】
(電池セルの製造)
上記で製造された液体電解質およびゲル電解質組成物を注液することを除いては、前記実施例1と同様の方法で電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0176】
比較例5
(液体電解質の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(EMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFおよびLiN(SOF)をそれぞれ0.7Mおよび0.3Mとなるように溶解させた後、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、液体電解質を製造した。この際、液体電解質の粘度は3.4cPであった。
【0177】
(ゲル電解質組成物の製造)
エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した非水性有機溶媒にLiPFおよびLiN(SOF)をそれぞれ0.7Mおよび0.3Mとなるように溶解させた後、硬化性高分子としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Trimethylolpropane triacrylate)を5wt%添加し、重合開始剤としてAIBN(2,2’-azobis(iso-butyronitrile))を1wt%添加し、ビニレンカーボネート(VC)を1wt%添加し、ゲル電解質組成物を製造した。この際、ゲル電解質の粘度は4.8cPであった。
【0178】
(電池セルの製造)
実施例1で製造された電極組立体をパウチに収納した後、上記で製造されたゲル電解質組成物を電極タブを囲むように収容空間に注液した後、恒温槽の内部に60℃で5時間高温保管し、ゲル電解質組成物をゲル電解質に熱硬化させた。
【0179】
次に、パウチの収容空間に電極組立体に含浸されるように上記で製造された液体電解質を注液した後、パウチを密封して電池セルを製造した。この際、パウチに注液した液体電解質およびゲル電解質組成物の体積比は約100:25であった。
【0180】
実験例
実験例1:液体電解質の濡れ性の評価
実施例1および比較例1、比較例3~比較例5それぞれに適用された液体電解質1mlをスポイトを用いて負極の表面に落としてから液体電解質が負極に完全に吸収されるまでの時間を測定し、その結果を下記表1に示した。測定された時間が少ないほど、相対的に濡れ性に優れると評価することができる。
【0181】
【表1】
【0182】
前記表1を参照すると、本発明の実施例1の液体電解質は、第2リチウム塩の濃度が低く、粘度が低いため、比較例1、比較例3~比較例5の液体電解質と比較して電極の濡れ性が相対的に優れることが分かる。
【0183】
実験例2:内部抵抗の評価
実施例2~実施例5で製造された電池セルおよび比較例1~比較例5で製造された電池セルをそれぞれ5個準備した後、それぞれの電極リードに2.5Cの電流を10秒間流す間に発生する電圧降下を測定した後、下記式(1)を用いて内部抵抗を算出した。ここで、「内部抵抗」は、電気化学的な評価で出力抵抗を意味する。次に、比較例1の電池セルの内部抵抗平均値を基準とし、それぞれの電池セルの内部抵抗の平均変化率を百分率(%)で示し、下記表2に示した。
式(1):R=V/I、ここで、Rは抵抗であり、Vは電位であり、Iは電流である。
【0184】
【表2】
【0185】
前記表2を参照すると、本発明の実施例2~実施例5の電池セルと、比較例3の電池セルの場合、電解質に含まれる全リチウム塩の濃度が比較例1の電池セルに比べて高いため、比較例1の電池セルに比べて内部抵抗が減少したことが分かる。特に、全リチウム塩の濃度が最も高い実施例5の電池セルの内部抵抗の変化率が最も低いことを確認することができる。
【0186】
一方、比較例5の電池セルは、電解質中のリチウム塩として抵抗の高いLiPFと抵抗の低いLiFSIを併用することで、比較例1の電池セルに比べて内部抵抗が減少したことが分かる。また、比較例4の電池セルの場合、電解質中のリチウム塩として抵抗の高いLiPFの使用を排除することで、比較例1に比べて内部抵抗が減少したことが分かる。
【0187】
これに対し、比較例2の電池セルは、全電解質に含まれる全リチウム塩の濃度の減少により、リチウムイオンの移動性が低下し、比較例1の電池セルに比べて内部抵抗が大幅に増加したことが分かる。
【0188】
実験例3:電池セルの寿命特性の評価
実施例1~実施例5で製造された電池セルおよび比較例2~比較例5で製造された電池セルの寿命特性を評価するために、それぞれの電池セルを固定治具を用いて固定させ、45℃の温度雰囲気で、2.5V~4.2Vの駆動電圧範囲内で、充電電流(0.33C、充電終止電流(cut-off):1/20C)および放電電流(0.33C)で充放電サイクル(cycle)を300回まで行った。この際、電池セルの初回の充放電サイクルの充電容量と放電容量との差を充放電効率(%)として下記表3に示した。そして、100回の充放電時および300回の充放電時それぞれの電池セルの充放電サイクル効率を測定して下記表3に示した。
【0189】
【表3】
【0190】
前記表3を参照すると、本発明の実施例1~実施例4の電池セルの場合、100回の充放電サイクル効率が約98.3%以上であり、300回の充放電サイクル効率が約94.7%以上であることが分かる。すなわち、充放電が進行する間に、ゲル電解質と液体電解質との界面を介してゲル電解質の第1リチウム塩が液体電解質に移動し、液体電解質で消耗されたリチウム塩を補充することができるため、長短期寿命特性に優れるものと判断される。
【0191】
一方、実施例5の電池セルの場合、ゲル電解質組成物にやや多くリチウム塩が含まれ、ゲル電解質組成物の粘度が増加することで、ゲル電解質組成物の流動性が低下し、電極タブ周辺の収容空間にゲル電解質組成物を移動させることが容易ではなく、このため、タブが形成された収容空間に液体電解質が浸透してタブの断線が引き起こされ、サイクル特性がやや低下したことが分かる。
【0192】
比較例2の電池セルの場合、低いリチウム塩の濃度により液体電解質およびゲル電解質の含浸性に優れるため、初回回の充放電サイクルが実施例に比べて優れるのに対し、充放電サイクルが進行するほど、リチウム塩の枯渇が進み、充放電サイクル効率が低下することが分かる。
【0193】
比較例3の電池セルの場合、抵抗の高いリチウム塩であるLiPFをやや高い含量で単独使用することで、充放電サイクル効率が実施例に比べて低下することが分かる。
【0194】
比較例4および比較例5の電池セルの場合、ゲル電解質用リチウム塩として電極タブの腐食を引き起こし得るLiN(SOF)が含まれることで、初期性能には優れるのに対し、充放電サイクルが進行するほど、電極タブの断線が引き起こされ、100サイクル後の寿命評価を終了した。特に、電解質に含まれたLiN(SOF)の含量がさらに高い比較例4の電池セルの場合、比較例5の電池セルに比べてさらに早くタブの断線が引き起こされることを確認することができる。
【0195】
実験例4:高温安定性の評価(ホットボックステスト;hot box test)
実施例1~実施例5で製造された電池セルおよび比較例1~比較例5で製造された電池セルをSOC(State Of Charge)100%に満充電し、満充電された電池セルをボックスの内部に保管し、ボックスの内部温度を常温から2℃ずつ150℃まで昇温させた後、150℃で120分間保管した。保管中に電池セルが発火したか否かを確認した後、5個の電池セルのうち発火した個数を下記表4に示した。
【0196】
実験例5:電極タブの耐久性の評価
実施例1~5で製造された電池セルおよび比較例1~5で製造された電池セルをSOC(State Of Charge)100%に満充電し、満充電された電池セルを60℃で2週間ホットボックス内に保管した後に電池セルを分解し、正極タブ(アルミニウム薄膜)が断線したか否かを確認した。この際、電池セルの正極タブのうち、1つの正極タブでも断線した場合には、正極タブが断線した電池セルに分類した。そして、その実験結果を下記表4に示した。
【0197】
【表4】
【0198】
前記表4を参照すると、本発明の実施例2~実施例4の電池セルは、高温安定性の評価において発火した電池セルが存在せず、電極タブの断線が引き起こされていないことを確認した。
【0199】
一方、実施例1の電池セルの場合、高温安定性を改善できるLiN(SOF)の不在により、一部に発火が引き起こされることを確認することができる。また、実施例5の電池セルの場合、タブ領域に液体電解質が侵入し、一部にタブの断線が引き起こされることを確認することができる。
【0200】
一方、比較例1~比較例3の電池セルの場合、ゲル電解質に電極タブの腐食を誘発するLiN(SOF)が含まれていないため、電極タブの断線は生じないが、高温安定性を改善できるLiN(SOF)の不在により、ほとんどの場合に発火が引き起こされることを確認することができる。
【0201】
比較例4および比較例5の電池セルの場合、ゲル電解質に電極タブの腐食を誘発するLiN(SOF)が含まれることで、電極タブの断線がほとんどの場合に生じることを確認することができる。
【0202】
以上、限定された図面により実施形態を説明したが、当該技術分野で通常の知識を有するものであれば、上述のものに基づいて様々な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に行われるか、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合または組み合わせられるか、または他の構成要素または等価物により代用または置換されても適切な結果を達成することができる。
したがって、他の実施形態、他の実施例、および請求範囲と同等のものも、後述する特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0203】
100:電池セル
1000:電池モジュール
110:セルケース
110p1、110p2:収容空間、注入空間
113:遮断部
114、114T、114P:パウチ、第1セルシート、第2セルシート
114a、114b、114c、114d:第1外周部、第2外周部、第3外周部、第4外周部
120、122、122p、122n、170:電極組立体、電極、正極、負極、セパレータ
120a、120b、120c、120d:第1側、第2側、第3側、第4側
121、121a、121b:電極タブ、正極タブ、負極タブ
130、130a、130b:電極リード、正極リード、負極リード
140:絶縁フィルム
111:シール部
150:ゲル電解質
155:ゲル電解質組成物
160:液体電解質
210:固定治具
211、212、213:受台、第1治具プレート、第2治具プレート
214、214a、214b:第1支持体、柱部、連結部
215、215a、215b:第2支持体、柱部、連結部
X:界面
123:パッシベーション膜
124:自然酸化膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有するセルケースと、
前記収容空間に収納され、複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体と、
第1モル濃度の第1リチウム塩を含有し、前記電極タブを囲んで収容空間に収容されたゲル電解質と、
前記第1モル濃度よりも低い第2モル濃度の第2リチウム塩を含有し、前記複数の電極の間に収容された液体電解質と、
を含む、電池セル。
【請求項2】
前記電池セルは、電極タブとゲル電解質との界面に第1リチウム塩と電極タブのカチオンが結合して形成されたパッシベーション膜を含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記パッシベーション膜は、AlFおよびLiFのうち少なくとも1つを含む、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1リチウム塩と前記第2リチウム塩は、互いに同一または異なる、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1リチウム塩は、LiPFおよびLiBFのうち少なくとも1つを含み、
前記第2リチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTFSI、およびLiBOBのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第2リチウム塩は、LiFSI、LiTFSI、およびLiBOBのうち少なくとも1つと、LiPFとを含む、請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度は、前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低い、請求項1に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第1リチウム塩の第1モル濃度は0.6M~5.0Mであり、
前記第2リチウム塩の第2モル濃度は0.5M~2.0Mである、請求項1に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩の第1モル濃度との濃度比は1:1.3~1:5である、請求項1に記載の電池セル。
【請求項10】
前記ゲル電解質と前記液体電解質が接触するように配置され、前記ゲル電解質に含まれた第1リチウム塩が前記ゲル電解質と前記液体電解質との界面を介して前記液体電解質に移動可能に構成される、請求項1に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ゲル電解質は、外部衝撃による電池セル内部の電極タブの流動および変形を防止するために、収容空間のうち電極タブが形成された前記電極組立体の一側のみに位置する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項12】
前記液体電解質は、前記ゲル電解質が形成されていない電極組立体の他側を囲むように構成される、請求項11に記載の電池セル。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電池セルを少なくとも1つ含む、電池モジュール。
【請求項14】
複数の電極、前記複数の電極それぞれの少なくとも一側に形成された電極タブ、および前記複数の電極の間に介在されたセパレータを備えた電極組立体を準備するステップと、
セルケースの収容空間に前記電極組立体を配置するステップと、
第1モル濃度の第1リチウム塩、および硬化性化合物を含むゲル電解質組成物を前記収容空間の内部に注入した後、前記電極タブ周辺に配置するステップと、
前記ゲル電解質組成物を硬化し、電極タブ周辺を囲むゲル電解質を形成するステップと、
前記複数の電極の間に収容されるように第2モル濃度の第2リチウム塩を含む液体電解質を注入するステップと、
を含む、電池セルの製造方法。
【請求項15】
ゲル電解質組成物の注入前に、セルケースの収容空間とゲル電解質組成物の注入空間との間に遮断部を形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【請求項16】
前記第1リチウム塩は、LiPFおよびLiBFのうち少なくとも1つを含み、
前記第2リチウム塩は、LiPF、LiFSI、LiTFSI、およびLiBOBのうち少なくとも1つを含む、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【請求項17】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度は、前記第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M以上低い、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【請求項18】
前記第2リチウム塩の第2モル濃度と前記第1リチウム塩の第1モル濃度との濃度比は1:1.3~1:5である、請求項14に記載の電池セルの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
本発明は、ゲル電解質150の第1リチウム塩の第1モル濃度よりも液体電解質160の第2リチウム塩の第2モル濃度を0.1M以上低く設定することで、ゲル電解質150および液体電解質160それぞれのリチウム塩の適した濃度勾配を形成することができるため、ゲル電解質150と液体電解質160との界面(X)を介して、ゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動することができる。一方、液体電解質160の2リチウム塩の第2モル濃度がゲル電解質150の第1リチウム塩の第1モル濃度よりも0.1M未満である場合、ゲル電解質150の第1リチウム塩が液体電解質160に移動する量が少ないため、電池セル100の寿命向上効果が微々たるものであり得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
一方、前記第2リチウム塩としてLiPFと共にLiFSI、LiTFSI、LiBOB、およびLiBETIのうち少なくとも1つを併用して用いる際に、LiPFとLiPFを除くその他のリチウム塩とのモル濃度の比は1:1~1:6.7、具体的には1:1~1:4であってもよい。すなわち、LiPFのモル濃度がLiPFを除くリチウム塩のモル濃度よりも高い場合には、液体電解質160のイオン伝導度が低下し、電池セル100の内部抵抗が相対的に増加し得る。これに対し、LiPFに対するLiPFを除くその他のリチウム塩のモル濃度の比が6.7倍を超える場合には、電池セルの製造コストが上昇し得る。したがって、本発明に係る電池セル100は、前記第2リチウム塩と前記第3リチウム塩とのモル濃度の比が1:1~1:6.7となるように構成することで、電池セル100の内部電気抵抗の増加を低減しながらも、相対的に安価なLiPFの使用量を増加させ、電池セル100の製造単価を低くできるという利点がある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
これに対し、液体電解質160の粘度が2cP未満である場合には、電池セル100の容量および寿命の低下が生じ得、その逆に、液体電解質160の粘度が20cPを超える場合には、液体電解質160の濡れ性が低下し、製造時間が増大し、電池セル100の製造コストが増大し得る。
【国際調査報告】