(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ロボットアームのための指及び把持装置、そのような装置を備えたロボットアーム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B25J15/08 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526915
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2022080885
(87)【国際公開番号】W WO2023079122
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524167496
【氏名又は名称】フィンリップ
(71)【出願人】
【識別番号】510325651
【氏名又は名称】コミサリヤ ア レネルジ アトミク エ ウ エネルジ アルタナティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル セシン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール ミヨー
(72)【発明者】
【氏名】マチュー グロッサール
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CY12
3C707ES03
3C707ES04
3C707ES07
3C707ES10
3C707ET05
3C707HS27
3C707KS07
3C707KT01
3C707KT05
3C707LV07
3C707LW15
3C707NS07
(57)【要約】
本発明は、モータ駆動の指(100)に関し、このモータ駆動の指(100)は、ロボティックアーム(1)に接続されるプレート(51)に固定されるための基部(110)と、少なくとも1つの第1の関節(121)によって基部(110)に接続された第1の指節(111)と、少なくとも1つの第2の関節(122)によって第1の指節(111)に接続された第2の指節(112)と、第1のアクチュエータであって、基部(110)に固定されており、かつ、指節(111、112)を2つの端位置の間で運動させるために少なくとも第1の指節(111)に接続されている、第1のアクチュエータと、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動の指(100)であって、ロボティックアーム(1)に接続されるためのプレート(51)に対して固定されるための基部(110)と、少なくとも1つの第1の関節(121)によって前記基部(110)に接続された第1の指節(111)と、少なくとも1つの第2の関節(122)によって前記第1の指節(111)に接続された第2の指節(112)と、前記基部(110)に固定され、かつ少なくとも前記第1の指節(111)に接続され、前記指節(111、112)を2つの端位置の間で運動させる、第1のアクチュエータ(101)と、を備えるモータ駆動の指(100)において、前記基部(110)は、固定部分(110.1)及び可動部分(110.2)を備えており、前記可動部分(110.2)は、前記第1のアクチュエータ(101)及び前記指節(111、112)を運搬し、かつ、軸受によって前記固定部分(110.1)に接続されており、前記軸受は、方向軸(A1)を画定し、かつ、前記可動部分(110.2)の、前記方向軸(A1)を中心とした前記固定部分(110.1)に対する回転を可能にする、ことを特徴とし、かつ、前記基部(110)は、それを前記プレート(51)に対して、前記方向軸(A1)が前記プレート(51)に実質的に直交するように、固定するための手段を備えており、前記モータ駆動の指は、前記基部に固定された個別制御ユニット(103)をさらに備えており、前記個別制御ユニット(103)は、前記第1のアクチュエータに接続されてそれを制御する、ことを特徴とする、モータ駆動の指(100)。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータ(101)は、電動かつ/又は油圧式かつ/又は空気圧式のアクチュエータである、請求項1に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータ(101)は、電動アクチュエータであり、かつ、前記個別制御ユニット(103)は、電子個別制御ユニットである、請求項1又は2に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項4】
前記個別制御ユニット(102)は、前記基部の前記固定部分に固定されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項5】
前記基部(110)は、第2のアクチュエータ(102)を備えており、前記第2のアクチュエータ(102)は、前記可動部分(110.2)を枢動させかつ前記固定部分(110.1)に対する前記可動部分(110.2)の角度方向を調節するように、配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項6】
前記個別制御ユニット(103)はまた、前記第2のアクチュエータを制御するように構成されてもいる、請求項5に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項7】
前記第1の指節(111)は、変形可能な四辺形の形状を有しており、かつ、前記第2の指節(112)は、前記基部(110)の反対側である前記四辺形の第1の辺(111.1)上に固定されており、前記四辺形は、前記第1の辺(111.1)の反対側に、第2の辺(111.2)を備えており、前記第2の辺(111.2)は、前記第1の関節(121)によって前記基部(110)及び第3の辺(111.3)に接続されており、かつ、第3の関節(123)によって第4の辺(111.4)に接続されており、前記第4の辺(111.4)は、第4の関節(124)によって前記第1の辺(111.1)に接続されており、前記第1のアクチュエータ(101)は、前記第3の関節(123)を前記第2の関節(122)に対して運動させるように作用する、請求項1から6のいずれか一項に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項8】
前記第1の指節(111)は、把持対象物との接触インタフェースを備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項9】
前記接触インタフェースは、支持緩衝体(111.5)である、請求項8に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項10】
前記接触インタフェースは、真空発生器に接続された吸引カップ(111.6)である、請求項8に記載のモータ駆動の指。
【請求項11】
前記制御ユニット(103)は、力戻しにおいて前記アクチュエータ(101)を制御することを確実にするように配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のモータ駆動の指。
【請求項12】
前記制御ユニット(103)は、少なくとも命令を受信するための、電磁信号エミッタ/レシーバに接続されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のモータ駆動の指。
【請求項13】
前記第1のアクチュエータは、前記指によってその環境に及ぼされた力が、前記第1のアクチュエータの供給電流の測定値から決定され得るように、可逆である、請求項1から12のいずれか一項に記載のモータ駆動の指。
【請求項14】
視覚的な状態の表示器(52)は、前記基部(110)によって運搬され、かつ、前記制御ユニット(103)は、前記表示器に接続されて前記制御ユニットの動作状態に従って前記表示器を制御する、請求項1から13のいずれか一項に記載のモータ駆動の指。
【請求項15】
前記第2の指節(112)は、屈曲させられるときに弾性的に変形可能な遠位端部分(112.1)を有している、請求項1から14のいずれか一項に記載のモータ駆動の指。
【請求項16】
把持用の装置であって、ロボットアーム(1)に接続されるためのプレート(51)を備えており、前記プレート(51)上には、請求項1から15のいずれか一項に記載の指(100)である第1の指(100)が少なくとも1つ取付けられており、前記装置はさらに、前記プレートの穴に受け入れられたその基部と、前記指に面して延在する少なくとも1つの当接要素とを有している、装置。
【請求項17】
前記当接要素は、請求項1から15のいずれか一項に記載の指(100)である第2の指(100)である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
各指は、マスタ通信ユニット(30)と通信する個別制御ユニット(103)を備えている、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
各指は、個別制御ユニット(103)を備えており、かつ、前記個別制御ユニットのうち1つは、マスタ制御ユニットを形成するようにプログラムされており、他の前記個別制御ユニットは、スレーブ制御ユニットを形成するようにプログラムされている、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、把持用の前記装置の外部環境の少なくとも1つのセンサと通信する全体制御ユニットを備えている、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項21】
ロボティックアーム(1)であって、基部(10)と、第1の関節(21)によって前記基部に接続された第1のセグメント(11)と、第2の関節(22)によって前記第1のセグメントに接続された第2のセグメント(12)と、インタフェース(13)であって、第3の関節(23)によって前記第2のセグメントに接続されており、かつ、請求項16から20のいずれか一項に記載の把持用の装置(50)の接続プレート(51)を運搬する、インタフェース(13)と、を備えている、ロボティックアーム(1)。
【請求項22】
前記ロボティックアーム(1)は、オペレータとの協働タスクの間に前記アームを制御するようにプログラムされた全体制御ユニット(30)を備えており、前記接続プレートは、前記オペレータによって把持されてロボットをガイドすることができるハンドル(53)を備えている、請求項21に記載のロボティックアーム(1)。
【請求項23】
把持用の装置を製造するためのキットであって、異なる形状のプレート(51)と、請求項1から15のいずれか一項に記載の指(100)と、異なる形状の遠位指節(112)と、異なる形状のインタフェースと、を備える、キット。
【請求項24】
前記キットは、異なる形状の当接要素(100、200)を備えている、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記キットは、少なくとも前記指の前記遠位指節を覆うような指サックを備えている、請求項23に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドリングの分野に関し、より詳細には、協働ロボット(cobot)を含むロボットによるハンドリングの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
基部を備える以下のようなロボットアーム(又はロボティックアーム)が公知であり、即ち第1のセグメントが、第1の関節によって基部に接続されており、第2のセグメントが、第2の関節によって第1のセグメントに接続されており、かつ、把持装置が、一般的に手首(wrist)と呼称される第3の関節によって、第2のセグメントに接続されている。把持装置は、電磁的把持手段、吸引装置に接続された吸引カップ、又は、多関節指であり、該指の同時作動を制御する単一のモータに接続された多関節指、を備え得る。
【0003】
一般的に、上記把持装置は、達成されるべきタスク及び把持対象物の形状について誂えられる。このため、把持対象物を把持するように装置を適合させることに関する場合には、フレキシビリティの欠如及びコストの増加がもたらされる。
【0004】
汎用性のロボティック「ハンズ(hands)」も存在するが、複雑性の増加及びコストの増加という犠牲を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に、上記の課題に対する少なくとも部分的な解決方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明によれば、モータ駆動の指であって、ロボティックアームに接続されるためのプレートに対して固定されるための基部と、少なくとも1つの第1の関節によって前記基部に接続された第1の指節と、少なくとも1つの第2の関節によって前記第1の指節に接続された第2の指節と、前記基部に固定され、かつ少なくとも前記第1の指節に接続され、前記指節を2つの端位置の間で運動させる、第1のアクチュエータと、を備えており、前記基部は、固定部分及び可動部分を備えており、前記可動部分は、前記第1のアクチュエータ及び前記指節を運搬し、かつ、軸受によって前記固定部分に接続されており、前記軸受は、方向軸を画定し、かつ、前記可動部分の、前記方向軸を中心とした前記固定部に対する回転を可能にし、かつ、前記基部は、それを前記プレートに対して、前記方向軸が前記プレートに実質的に直交するように、固定するための手段を備えており、前記モータ駆動の指は、前記基部に固定された個別制御ユニットをさらに備えており、前記個別制御ユニットは、前記第1のアクチュエータに接続されてそれを制御する、モータ駆動の指が提供される。
【0007】
従って、実行されるべきタスク及び把持対象物について最も適切な配置に従って1つ以上の指及び接続プレートを組み立てることによって、ハンドを迅速に生産することが可能になる。各指は、指節のモータ駆動に関して自律的であり、このモータ駆動を制御する。指が複数存在する場合には、指同士を同期することが、同期装置の機械的運動によってではなく、異なる指を制御することによって実行され得る。このことによって、生産される把持装置の構造は単純化される。
【0008】
例えば、アクチュエータ及び/又は個別制御ユニットが接続されている全体制御ユニットを介して、同期を実行することができる。
【0009】
この例では、第1の指節は基部の可動部分に接続されていることを、理解されたい。
【0010】
任意には、個別制御ユニットは、基部の固定部分に固定されている。
【0011】
任意には、第1のアクチュエータは、電動かつ/又は油圧式かつ/又は空気圧式のアクチュエータである。
【0012】
任意には、第1のアクチュエータは、少なくとも部分的には電動アクチュエータである(例えば、さらに、電動かつ空気圧式であるか、又は、電動かつ油圧式である)か、又は、完全に電動アクチュエータである。
【0013】
任意には、個別制御ユニットは、少なくとも部分的には電子個別制御ユニットであるか、又は、完全に、電子個別制御ユニットである。任意には、全体制御ユニットは、少なくとも部分的には電子全体制御ユニットであるか、又は、完全に電子全体制御ユニットである。
【0014】
任意には、モータ駆動の指は、第2のアクチュエータを備えており、この第2のアクチュエータは、可動部分を枢動させかつ可動部分の固定部分に対する角度方向を調節するように、配置されている。
【0015】
任意には、第1のアクチュエータを制御する個別制御ユニットはまた、第2のアクチュエータを制御するように構成されてもいる。
【0016】
任意には、第2のアクチュエータは、電動かつ/又は油圧式かつ/又は空気圧式のアクチュエータである。
【0017】
任意には、第2のアクチュエータは、少なくとも部分的には電動アクチュエータである(さらに、例えば、電動かつ空気圧式、又は電動かつ油圧式である)か、又は、完全に電動アクチュエータである。
【0018】
本発明はまた、接続プレートと、少なくとも1つの上記のタイプの指とを備える把持装置も目的とする。
【0019】
本発明はまた、このような把持装置を備えたロボットアームも目的とする。
【0020】
本発明の他の特徴及び有利な点は、本発明の特定の非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによって現れるだろう。
【0021】
以下の添付の図面への参照が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明によるロボティックアームの概略的な側面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態による把持装置の概略的な斜視図である。
【
図3】
図3は、上記装置の指の1つの概略的な斜視図である。
【
図4】
図4は、この指の概略的な側面図であり、可能な運動の大きさを示している。
【
図6】
図6は、上記装置の概略的な一側面図であり、対象を力強く把持するモード(比較的大きな対象についてより適している)を示している。
【
図7】
図7は、上記装置の概略的な一側面図であり、対象を繊細に把持するモード(比較的小さな対象についてより適している)を示している。
【
図8】
図8は、一実施形態の変形例による指の概略的な斜視図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態による把持装置の概略的な斜視図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態による把持装置の概略的な斜視図である。
【
図13】
図13は、装置の指のうち1つの機構を単純化された形で示す概略図である。
【
図14】
図14は、本発明による指のうち1つの上部分の概略的な横断面図である。
【
図16】
図16は、本発明による装置による円柱形状の対象物の把持を単純化された形で示している、概略的な上方からの横断面図である。
【
図17】
図17は、本発明による装置による球形状の対象物の把持を単純化された形で示している、概略的な上方からの横断面図である。
【
図18】
図18は、本発明による装置による平行六面体形状の対象物の把持を単純化された形で示している、概略的な上方からの横断面図である。
【
図19】
図19は、本発明の一実施形態の変形例による指の概略的な部分的斜視図である。
【
図20】
図20は、本発明の一実施形態の変形例による指の概略的な部分的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照すると、本発明は、この例では、一般的に1の参照符号を付されたロボティックアームに対して適用されて記述される。
【0024】
ロボティックアーム1は、基部10と、第1の関節21によって基部10に接続された第1のセグメント11と、第2の関節22によって第1のセグメント11に接続された第2のセグメント12と、インタフェース13であって、第3の関節23によって第2のセグメント12に接続され、かつ、ロボティックアームの自由端を形成する一般的に50の参照符号を付された把持装置を運搬する、インタフェース13と、を備えている。
【0025】
ロボティックアームは、この例では、モータ等のアクチュエータを備えており、それらが同じ1つの関節21、22、23に接続された要素を互いに対して運動させる。これらのアクチュエータは、この例では示されていない。
【0026】
それ自体で知られている方法では、各関節21、22、23は、その関節21、22、23によって接続された2つの要素が形成する角度を測定するように配置された、図示されていないコーダーを備えている。
【0027】
該モータ及びコーダーは、全体制御ユニットに接続されている。現在の例では、全体制御ユニットは、以下で電子制御ユニット30と呼称される電子全体制御ユニットである。該ユニットは、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを備えており、このメモリは、上記プロセッサによって実行されるプログラムを含有しており、そのプログラムの命令に従ってモータを制御する。コーダー及びモータ内の電流センサ等の他のセンサによって提供される測定値により、各モータによって発生させられた力を決定することが可能になる。電子制御ユニット30は、好ましくは、例えばBLUETOOTH(登録商標)と呼称される規格に従う、電子信号エミッタ/レシーバに接続されている。
【0028】
図2~7、13、及び14を参照し、かつ第1の実施形態によれば、把持装置50は、ロボティックアーム1のインタフェース13に接続されるためのプレート51を備えている。プレート51は、インタフェース13に固定された中央部分に対して対称な方向に延びる三枝プレートの形状を有する。
【0029】
プレート51の各枝は、一般的に100の参照符号を付される指の固定を可能にする穴を備えている。
【0030】
各指100は、プレート51に固定されるための基部110と、少なくとも1つの第1の関節121によって基部110に接続された第1の指節111と、少なくとも1つの第2の関節122によって第1の指節111に接続された第2の指節112と、を備える。
【0031】
第1の指節111は、以下によって形成される変形可能な四辺形の形状を有する、即ち基部110の反対側の第1の辺111.1と、第1の辺111.1の反対側にあってそれに面しており、かつ第1の関節121によって基部110に接続されている、第2の辺111.2と、第1の関節121によって第2の辺111.2に接続されており、かつ第2の関節122によって第1の辺111.1に接続されている、第3の辺111.3と、第3の関節123によって第2の辺111.2に接続されており、かつ第4の関節124によって第1の辺111.1に接続されている、第4の辺111.4と、によって形成される、変形可能な四辺形の形状を有する。
【0032】
第2の指節112は、上記四辺形の第1の辺111.1に固定されている。第3の関節123は、基部110に対して自由であり、従って、第1の関節121まわりの円弧上で運動することができる。第2の関節122は、基部110に対して自由であり、従って、第1の関節121まわりの円弧上で運動することができる。従って、第3の辺111.3は、そして従って第1の指節111は、2つの端位置の間で、基部110に対して枢動することができる。第1の辺111.1は、第2の関節122の周囲を枢動することができ、従って、第2の指節112は、2つの端位置の間で、第1の指節111に対して枢動することができる。第4の関節124の運動は、第3の関節123及び第2の関節122によって条件づけられる。第2の指節112の遠位端の、基部110に対する運動の大きさ(1つの端位置からもう一方まで。
図4を参照)は、従って、基部110に対する第1の指節111の運動及び第1の指節111に対する第2の指節112の運動に依存する。
【0033】
第1の指節111は、把持対象物との接触インタフェースを含んでいる。この接触インタフェースは、この例では、第3の辺111.3上に固定された支持緩衝体111.5である。この支持緩衝体111.5は、例えば、エラストマ又はシリコンから作製される。
【0034】
第2の指節112は、屈曲させられた際に弾性的に変形可能である遠位端部分112.1を有する。例えば、この遠位端部分112.1は、例えばエラストマ又はシリコンから作製された可撓性層に覆われた金属ストリップである。
【0035】
指100は、第1のアクチュエータ101を備えており、この第1のアクチュエータ101は、基部110に固定され、第3の関節123を、第2の関節122まわりの円弧上で運動させる。アクチュエータ101は、この例では、電動アクチュエータである。第1のアクチュエータ101は、この例では、スクリュー/ナットシステム(好ましくは、ボールスクリュー)を駆動する出力シャフトを有する、直流回転モータである。スクリュー/ナットシステムは、この例では、可逆的であり、指110によって及ぼされる力を、モータの供給電流の測定値から、その環境にわたって決定することができる。アクチュエータ101及びスクリュー/ナットシステムから形成されるアセンブリは、従って、電気機械的であり、より具体的には、電気機械的リニア作動アセンブリである。
【0036】
アクチュエータ101が第3の関節123を第3の辺111.3に向かって押し出した場合、第3の辺111.3は、第3の辺111.3が障害物に出会うまで、第2の関節122を中心として枢動させられる。第3の辺111.3がひとたび当接しても第3の関節123の運動が持続された場合、第2の関節122を中心とした第1の辺111.1の枢動が、そして従って第2の指節112の運動が、引き起こされる。逆方向の運動によって、第1の指節111及び第2の指節112を初期位置に戻すことが可能である。
【0037】
場合によっては、アクチュエータ101は、位置、速度、又は力によって制御可能である。現在の実施形態では、それは力によって制御されている。好ましくは、把持対象物の形状及び質量が常に同じである場合には、動作異常又は把持装置の摩耗を検出し、予防的メンテナンス作業を実施するために、把持の間、モータの供給電流が監視される。
【0038】
2つの指100による、比較的大きな径を有するチューブの力強い把持を、
図6に見ることができる。アクチュエータ101は、指100が該チューブに接して閉じられるように制御されていることが、理解できよう。2つの指100がチューブに接するように閉じられていく間、第2の指節112は第1の指節111の延長線上に残っている状態で、第1の指節111はチューブに向かって枢動し、支持緩衝体111.5がチューブに接触して第1の指節111の枢動を阻止するに至る。アクチュエータ101の力は持続され、第2の指節112は第1の指節に対して枢動し、チューブに接触するに至る。電流は、アクチュエータのモータで測定される場合、必要な把持力に対応する閾値に達するまで増加する。このようにして、指110は、支持緩衝体111.5及び第2の指節112によってチューブと接触する。このような指節の運動が、把持の間に対象物を放出してしまうリスクの制限を可能していることは、注意されたい。
【0039】
2つの指の遠位端部分112.1による、比較的小さな径のチューブの繊細な把持を、
図7に見ることができる。アクチュエータ101は、指100がチューブに接して閉じられるように制御されていることが、理解できよう。2つの指100がチューブに接するように閉じられていく間、第2の指節112は第1の指節111の延長線上に残っている状態で、指節111はチューブに向かって枢動し、第1の遠位端部分112.1がチューブに接触して第1の指節111の枢動を阻止するに至る。アクチュエータ101の力は持続され、遠位端部分112.1はその把持力を受けて屈曲させられ、アクチュエータのモータで測定される電流は、必要な把持力に対応する閾値に達するまで増加する。このようにして、指110は、第2の指節112の遠位端部分112.1によってのみ、チューブに接触する。各遠位端部分112.1は、把持された対象物を遠位端部分112.1同士の間で維持する能力を向上させるような質感の表面を有することは、注意されたい。
【0040】
従って、単一のアクチュエータによって2つの指節を運動させることが可能になる。そのような指は、それが関節よりも少ない数のアクチュエータを備えているので、劣駆動(under-actuated)と呼称される。
【0041】
さらに、基部110は、固定部分110.1及び可動部分110.2を有しており、可動部分110.2は、第1のモータ及び指節111、112を運搬しており、かつ、軸受によって固定部分110.1に接続されている。この軸受は、方向軸A1を画定し、可動部分110.2の、固定部分110.1に対する、方向軸A1を中心とした回転を可能にする。基部110は、方向軸A1がプレート51に対して実質的に直交するように、それを接続プレートに対して固定するための手段を有している。これらの固定手段は、固定部分110.1に対して固定された突起(lug)に通すことによってプレート51へとねじ込まれるスクリュー、ボルト、フランジ、ロック、バヨネット接続等を含み得る。
【0042】
指100は、基部の固定部分110.1と可動部分110.2の間に取付けられた第2のアクチュエータ102を備えており、この第2のアクチュエータ102は、可動部分110.2を枢動させ、固定部分110.1に対する可動部分110.2の角度方向を調節する。第2のアクチュエータ102は、例えば、電動モータ等の電動アクチュエータである。
【0043】
2つのアクチュエータ101、102は、この例では、基部110に対して固定されている、例えばその固定部分110.1に対して固定されている、同じ個別制御ユニットに接続されている。現在の例では、この個別制御ユニットは、電子個別制御ユニットであり、以下では、電子制御ユニット103と呼称される。電子制御ユニット103は、この例では、電子制御ユニット103に接続された電磁信号エミッタ/レシーバによって受信された命令に従ってアクチュエータ101、102を制御することを確実化するようプログラムされた、ASIC回路を備えている。これらの命令は、例えば、電子制御ユニット30から発せられる。
【0044】
基部110は、視覚的状態表示器52(この例では、発光ダイオード)を備えており、かつ、電子制御ユニット103は、表示器52に接続され、電子制御ユニット103の動作状態に従って該表示器52を制御する。好ましくは、表示器52は、電子制御ユニット103が命令を実行するか又は命令を受信することに従って、又は他の任意の達成可能なコードに従って、持続的又は非持続的に、動作状態に従う幾つかの色で発光する(例えば、正常動作については緑色、初期フェーズについては黄色、不具合については赤色)ように制御され得る。電子制御ユニット103が学習によってプログラムされる例では、有利には、表示器52は、制御ユニット103が学習モードであるという信号を、例えばフラッシュによって、オペレータに対して発することができるように設けられる。
【0045】
汚れた環境、攻撃性(より詳細には、物理化学的攻撃性)の環境、多湿の環境、及び/又は無菌の環境では、有利には、シールされた指サック(fingerstall)が設けられる。この指サックは、開口を有し、それを各指に通し、各指を覆うことができる。指サックは、想定される用途に適した任意の可撓性材料から作製され得るのであって、例えばシリコンから作製され得る。指上への指サックの固定は、例えば、その開口を境界付ける指サックの部分を、指の基部の周囲で挟持又はクランプすることによってなされ得る。また、指サックは、指の一部分を、例えば第2の指節(複数可)のみを覆う場合もある。
【0046】
図8の実施形態の変形例では、支持緩衝体111.5は、流体ネットワークによって真空発生器に接続された吸引カップ111.6に置き換えられている。
【0047】
図9に示された第2の実施形態によれば、プレート51は上記の形状を有しているが、しかし、この例では、オペレータによって把持されることで、ロボティックアーム1の自由端を、例えば協働タスクの範囲内で方向づけることができる、ハンドル53を備えている。
【0048】
命令が、少なくとも1つの制御ボタン54によって、電子制御ユニット30又は電子制御ユニット103に送信されることができる。この制御ボタン54は、プレート51上でハンドル53の近傍に取付けられており、電子制御ユニット103及び/又は電子制御ユニット30のエミッタ/レシーバに接続された電磁信号エミッタを備えている。このように、電子制御ユニットは、協働タスクを実行するようにプログラムされている。
【0049】
第2の実施形態の第1の変形例即ち
図11に図示された変形例では、ボタン54は、制御インタフェース55に置き換えられている。この制御インタフェース55は、スクリーンと、スクリーン上に表示されたメニュー内のナビゲーションボタンと、該メニューから項目を選択するためのボタンと、指100の作用を直接制御する1つ以上のボタン(例えば、把持用ボタン及び解放用ボタン)と、を含んでいる。上記制御インタフェースは、電子制御ユニット103及び/又は電子制御ユニット30のエミッタ/レシーバに接続された電磁信号エミッタ/レシーバを備えている。
【0050】
図11に示されているように、第2の実施形態の第2の変形例によれば、プレート51は、長手方向軸A2を画定し、かつ、2つの指100’を各々の2つの端部で運搬しかつ2つの指100’’をその中央部分で運搬する、細長いプレートの形状を有している。2つの指100’’は、軸A2の方を向くよう方向づけられることによって、A2の同じ側に位置しており、かつ、2つの指100’は、それら自体もまた軸A2の方を向くよう方向づけられることによって、指100’’とは反対側である軸A2の側に位置している。従って、細長い物体を、一方の側にある指100’と他方の側にある指100’’の間に、把持することが可能である。
【0051】
先行する変形例にあったように、このプレート51は、ハンドル53及び制御インタフェース55を備えている。
【0052】
図12に示されている第3の実施形態によれば、把持装置は、少なくとも1つの指100及びその指100に面して延在する1つの当接要素200を備え得る。この当接要素は、剛性要素であってもよいし弾性の変形可能要素であってもよいが、当該の指100によって当接要素200に対して適用される対象物の運動に対抗するのに十分な程度には剛性であるのがよい。当接要素200は、把持対象物の一部の形状と相補的な形状を有する場合もある。
【0053】
図15の実施形態では、装置はプレート51を備えており、プレート51は、モータ駆動での方向づけを行う基部を各々有する3つの指100を備えている。カメラ57が、プレート51の下部で指100同士の間に取付けられており、カメラ57は、電子制御ユニット30に接続されて、把持対象物の形状を決定し、指100の方向を、対象物の把持に最も適した構成に制御する。例えば、指は、
図16にあるような細長いか又は円筒形状の対象物のオルタネイトグリップを、
図17にあるようなボール状の対象物の球状把持を、又は、
図18にあるような平行六面体形状の対象物の場合には、対向する指同士による把持を、実行するように制御され得る。この構成のプログラミングは、指100を各タイプの部分について正しい方向に方向づけるオペレータを介したコーディング又は学習によってなされる場合もあれば、又は、指の方向を制御するプログラムが、以下のような分類アルゴリズム(ニューラルネットワーク)を、即ち、該プログラムが、把持対象物の形状、把持及び推論の対象物の形状に最も適した構成をリアルタイムで決定できるようにする、分類アルゴリズム(ニューラルネットワーク)を備える場合もある。
【0054】
この例では、本発明はまた、把持装置を製造するためのキットにも関する。ここで、把持装置は、
異なる形状のプレート(図中に示されている)、
異なるタイプの指(方向が固定されているもの、及び、手動又は自動で方向の調節が可能なもの)、
異なる形状の遠位指節(本明細書で述べられているような)、
異なる形状のインタフェース(図中に示されているような)を備えている。
【0055】
キットはまた、好ましくは、
異なる形状の当接要素(本明細書で述べられているような)、及び/又は、
少なくとも指の遠位指節を覆うための指サック、及び/又は、
近位センサ(カメラ、超音波センサ)、及び/又は、
接触センサ等を備える。
【0056】
このように、必要に応じて、把持対象物に適した把持装置を製造することができる。これは、把持装置のモジュール性によって可能になる。
【0057】
本質的には、本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、請求項によって定義された本発明の領域に入る任意の変形例を含む。
【0058】
特に、指、接続プレート、及びロボットアームは、記載のものとは異なった構造を有し得る。
【0059】
プレートは、把持を実行するのに適した任意の形状を有し得るのであって、例えば、1つ以上の枝を有する形状、円状、楕円状、矩形形状、三角形形状、又は他の形状を有する。
【0060】
プレートはまた、2つの部分であって、その相対的な位置を調節することによって、プレートの構成を実行される把持に適合させることができる、2つの部分を備え得る。この調節は、モータ駆動の方式で行われる場合もあればそうでない場合もある。
【0061】
指節、セグメント、関節の数は、実行される運動に適合させるために変更することができる。関節はピボット又はボールジョイントであり得る。
【0062】
指は、少なくとも1つの伸縮可能な指節を備え得る。アームは、少なくとも1つの伸縮可能なセグメントを備え得る。
【0063】
各指、接続プレート、及びアームを構成する部品は、任意の方法で生産され得るのであって、例えば、切断、プレス、鍛造、成型、機械溶接、付加製造等によって生産され得る。
【0064】
各指、接続プレート、及びアームを構成する部品は、その機械的特性が想定される用途に適合的である任意の材料から作製され得るのであって、例えば、金属(鋼鉄、アルミニウム、チタン等)から作製される場合もあれば、熱可塑性材料(ポリアミド、ポリアラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート等)から作製される場合もあり、オプションとしては、繊維強化(ガラス、カーボン、ポリアラミド等)されてもよいし、他の場合もある。
【0065】
(第1のアクチュエータを考えるにせよ第2のアクチュエータを考えるにせよ)任意のタイプのアクチュエータが使用可能であり、電動かつ/又は空気圧式かつ/又は油圧式であり得る。(第1のアクチュエータを考えるにせよ第2のアクチュエータを考えるにせよ)任意のタイプのアクチュエータが使用可能であり、リニア型である場合もあれば回転型である場合もあり、減速機を有する場合もあれば有しない場合もあり、運動伝達部材に連結されている場合もあれば連結されていない場合もある。ここで、運動伝達部材は、例えば、アクチュエータ及び運動伝達部材によって形成されるアセンブリがリニア型又は回転型になるような、スクリュー/ナットシステムである。ケーブルジャッキのようなケーブル型アクチュエータを使用することも可能である。
【0066】
モータ駆動での方向づけを行う変形例によれば、複数の指をプレートに対して方向づけるために、1つのアクチュエータのみを有することが可能である。
【0067】
手動での方向づけを行う変形例によれば、基部は環状形状の固定部分を備え得るのであって、その際、固定部分に対して手動で方向づけ可能な部分が、枢動可能に受け入れられる。例えば、収納位置と、可動部分の周縁に角度を有して分布させられた一連のハウジングのうち1つのハウジング内への突出位置との間で動くことができるように、固定部分に横向きに取付けられたロックが、可動部分を保持するために固定部分に横向きに係合されているニードルスクリューによって、固定部分に対する可動部分の回転を阻止できるように、設けられる。
【0068】
指が方向づけ可能である場合、対象物を内側から把持するために、指を背中合わせに方向づけることが可能である。
【0069】
基部は、方向づけて固定されるように、プレート上に取付けられ得る。
【0070】
同じプレート上に異なるタイプの指を有することも可能であり、指は、例えば、軸A1を中心とした回転が可能であるように固定された指、軸A1、及び軸A1を中心としたモータ駆動で方向づけられた軸を中心とした手動での方向づけが可能な指、等である。
【0071】
第1の指節の接触インタフェースは、上記のものとは異なる構造を有してもよいし、それどころか、接触インタフェースを有さない場合もある。
【0072】
第2の指節の遠位端部分は、把持対象物の把持に適した任意の形状を有し得るのであって、例えば、T字形状、湾曲形状、又はその他の形状を有し得る。遠位端部分は、第1の指節と同様の接触インタフェースを備え得る。好ましくは、遠位端部分は、把持対象物の形状が様々であり得るときに容易に交換可能であるように、取り外し可能である。
【0073】
対象物の滑りを検知できるように、接触センサが指節上に固定される場合がある。
【0074】
例えば、モータの出力部に非可逆的な運動伝達システムが用いられている場合には、力センサを追加するとよい。これらの力センサは、例えば、指節上に固定された変形ゲージ又は関節上に配置されたトルクセンサである。力センサの使用は、対象物が壊れやすいときに有利である。
【0075】
支持緩衝体はまた、例えば部品をセンタリングするための凹面形状のような、部品のブロッキングに有利な形状も有し得る(例えば、
図19及び20に示されているようなセンタリング用V字が形成される。
図19のV字は鉛直面内でのセンタリングを確実にし、
図20のV字は水平面内でのセンタリングを確実にする)。
【0076】
少なくとも1つの位置センサを、指節上に、運動伝達システム上に、又はアクチュエータ上に取付け、アクチュエータを所定の位置に制御できるようにしてもよい。
【0077】
各指は、特に協働タスクを完了する際に把持された対象物が落下することを避けるための、電磁ブレーキを備えている場合がある。
【0078】
アームの環境内におけるオペレータの存在を感知するためのセンサを、例えば超音波センサ又はカメラを、ロボットアームに備えさせることが可能である。この近位センサは、取り上げるべき部品及びその形状を検出して把持を定めること、又は、指の作業空間内における人間の侵入を検出すること、の両方の役に立ち得る。
【0079】
把持装置は、指を制御しかつロボティックアームの制御ユニットに接続されている、電子制御ユニットを備え得る。
【0080】
指のうち1つの個別制御ユニットがマスタ制御ユニットを形成するようにプログラムされており、その他の指の個別制御ユニットはスレーブ制御ユニットを形成するようにプログラムされている、という場合がある。あるいは、すべての指の個別制御ユニットがスレーブ制御ユニットを形成するようにプログラムされており、かつロボットの全体制御ユニット又は把持用の装置の全体制御ユニットがマスタ制御ユニットを形成するようにプログラムされている。
【0081】
本質的には、有線接続が、上記のすべての又は部分的な無線接続の代わりに使用可能である。
【0082】
個別制御ユニットは、基部の固定部分及び/又は可動部分に固定可能である。
【0083】
モータ駆動の指は、該指の第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを制御するのに同じ1つの制御ユニットを備えている場合もあれば、又は、2つのアクチュエータの各々を制御する2つの異なる個別制御ユニットを有している場合もある。この例では、2つの個別制御ユニットのうち少なくとも1つは、基部の固定部分に接続されてよく、かつ/又は基部から可動であってよい。2つの個別制御ユニットのうち少なくとも1つは、少なくとも部分的には電子個別制御ユニットであってよく、又は、完全に電子個別制御ユニットである場合もある。考えられるアクチュエータのタイプによって、個別制御ユニットは完全に電子的である場合もあれば、又は部分的に電子的である場合もある。例えば、個別制御ユニットは少なくとも部分的に電動であり、かつ/又は油圧式であり、かつ/又は空気圧式であるという場合がある。
【0084】
本発明は、任意のタイプのハンドリングに用いることができる。即ち、例えば、硬い対象物(例:機械部品)又は柔らかい部品(例:液体又は粉末を含有する小袋)のハンドリングに、天然物又は工業製品のハンドリングに、清潔又は汚い環境でのハンドリングに、かつ/又は輸送品のハンドリングに、用いることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0084】
本発明は、任意のタイプのハンドリングに用いることができる。即ち、例えば、硬い対象物(例:機械部品)又は柔らかい部品(例:液体又は粉末を含有する小袋)のハンドリングに、天然物又は工業製品のハンドリングに、清潔又は汚い環境でのハンドリングに、かつ/又は輸送品のハンドリングに、用いることができる。
また、本開示は、以下の態様を含む。
〔態様1〕
モータ駆動の指(100)であって、ロボティックアーム(1)に接続されるためのプレート(51)に対して固定されるための基部(110)と、少なくとも1つの第1の関節(121)によって前記基部(110)に接続された第1の指節(111)と、少なくとも1つの第2の関節(122)によって前記第1の指節(111)に接続された第2の指節(112)と、前記基部(110)に固定され、かつ少なくとも前記第1の指節(111)に接続され、前記指節(111、112)を2つの端位置の間で運動させる、第1のアクチュエータ(101)と、を備えるモータ駆動の指(100)において、前記基部(110)は、固定部分(110.1)及び可動部分(110.2)を備えており、前記可動部分(110.2)は、前記第1のアクチュエータ(101)及び前記指節(111、112)を運搬し、かつ、軸受によって前記固定部分(110.1)に接続されており、前記軸受は、方向軸(A1)を画定し、かつ、前記可動部分(110.2)の、前記方向軸(A1)を中心とした前記固定部分(110.1)に対する回転を可能にする、ことを特徴とし、かつ、前記基部(110)は、それを前記プレート(51)に対して、前記方向軸(A1)が前記プレート(51)に実質的に直交するように、固定するための手段を備えており、前記モータ駆動の指は、前記基部に固定された個別制御ユニット(103)をさらに備えており、前記個別制御ユニット(103)は、前記第1のアクチュエータに接続されてそれを制御する、ことを特徴とする、モータ駆動の指(100)。
〔態様2〕
前記第1のアクチュエータ(101)は、電動かつ/又は油圧式かつ/又は空気圧式のアクチュエータである、態様1に記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様3〕
前記第1のアクチュエータ(101)は、電動アクチュエータであり、かつ、前記個別制御ユニット(103)は、電子個別制御ユニットである、態様1又は2に記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様4〕
前記個別制御ユニット(102)は、前記基部の前記固定部分に固定されている、態様1から3のいずれか一つに記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様5〕
前記基部(110)は、第2のアクチュエータ(102)を備えており、前記第2のアクチュエータ(102)は、前記可動部分(110.2)を枢動させかつ前記固定部分(110.1)に対する前記可動部分(110.2)の角度方向を調節するように、配置されている、態様1から4のいずれか一つに記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様6〕
前記個別制御ユニット(103)はまた、前記第2のアクチュエータを制御するように構成されてもいる、態様5に記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様7〕
前記第1の指節(111)は、変形可能な四辺形の形状を有しており、かつ、前記第2の指節(112)は、前記基部(110)の反対側である前記四辺形の第1の辺(111.1)上に固定されており、前記四辺形は、前記第1の辺(111.1)の反対側に、第2の辺(111.2)を備えており、前記第2の辺(111.2)は、前記第1の関節(121)によって前記基部(110)及び第3の辺(111.3)に接続されており、かつ、第3の関節(123)によって第4の辺(111.4)に接続されており、前記第4の辺(111.4)は、第4の関節(124)によって前記第1の辺(111.1)に接続されており、前記第1のアクチュエータ(101)は、前記第3の関節(123)を前記第2の関節(122)に対して運動させるように作用する、態様1から6のいずれか一つに記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様8〕
前記第1の指節(111)は、把持対象物との接触インタフェースを備えている、態様1から7のいずれか一つに記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様9〕
前記接触インタフェースは、支持緩衝体(111.5)である、態様8に記載のモータ駆動の指(100)。
〔態様10〕
前記接触インタフェースは、真空発生器に接続された吸引カップ(111.6)である、態様8に記載のモータ駆動の指。
〔態様11〕
前記制御ユニット(103)は、力戻しにおいて前記アクチュエータ(101)を制御することを確実にするように配置されている、態様1から10のいずれか一つに記載のモータ駆動の指。
〔態様12〕
前記制御ユニット(103)は、少なくとも命令を受信するための、電磁信号エミッタ/レシーバに接続されている、態様1から11のいずれか一つに記載のモータ駆動の指。
〔態様13〕
前記第1のアクチュエータは、前記指によってその環境に及ぼされた力が、前記第1のアクチュエータの供給電流の測定値から決定され得るように、可逆である、態様1から12のいずれか一つに記載のモータ駆動の指。
〔態様14〕
視覚的な状態の表示器(52)は、前記基部(110)によって運搬され、かつ、前記制御ユニット(103)は、前記表示器に接続されて前記制御ユニットの動作状態に従って前記表示器を制御する、態様1から13のいずれか一つに記載のモータ駆動の指。
〔態様15〕
前記第2の指節(112)は、屈曲させられるときに弾性的に変形可能な遠位端部分(112.1)を有している、態様1から14のいずれか一つに記載のモータ駆動の指。
〔態様16〕
把持用の装置であって、ロボットアーム(1)に接続されるためのプレート(51)を備えており、前記プレート(51)上には、態様1から15のいずれか一つに記載の指(100)である第1の指(100)が少なくとも1つ取付けられており、前記装置はさらに、前記プレートの穴に受け入れられたその基部と、前記指に面して延在する少なくとも1つの当接要素とを有している、装置。
〔態様17〕
前記当接要素は、態様1から15のいずれか一つに記載の指(100)である第2の指(100)である、態様16に記載の装置。
〔態様18〕
各指は、マスタ通信ユニット(30)と通信する個別制御ユニット(103)を備えている、態様16又は17に記載の装置。
〔態様19〕
各指は、個別制御ユニット(103)を備えており、かつ、前記個別制御ユニットのうち1つは、マスタ制御ユニットを形成するようにプログラムされており、他の前記個別制御ユニットは、スレーブ制御ユニットを形成するようにプログラムされている、態様16又は17に記載の装置。
〔態様20〕
前記装置は、把持用の前記装置の外部環境の少なくとも1つのセンサと通信する全体制御ユニットを備えている、態様16又は17に記載の装置。
〔態様21〕
ロボティックアーム(1)であって、基部(10)と、第1の関節(21)によって前記基部に接続された第1のセグメント(11)と、第2の関節(22)によって前記第1のセグメントに接続された第2のセグメント(12)と、インタフェース(13)であって、第3の関節(23)によって前記第2のセグメントに接続されており、かつ、態様16から20のいずれか一つに記載の把持用の装置(50)の接続プレート(51)を運搬する、インタフェース(13)と、を備えている、ロボティックアーム(1)。
〔態様22〕
前記ロボティックアーム(1)は、オペレータとの協働タスクの間に前記アームを制御するようにプログラムされた全体制御ユニット(30)を備えており、前記接続プレートは、前記オペレータによって把持されてロボットをガイドすることができるハンドル(53)を備えている、態様21に記載のロボティックアーム(1)。
〔態様23〕
把持用の装置を製造するためのキットであって、異なる形状のプレート(51)と、態様1から15のいずれか一つに記載の指(100)と、異なる形状の遠位指節(112)と、異なる形状のインタフェースと、を備える、キット。
〔態様24〕
前記キットは、異なる形状の当接要素(100、200)を備えている、態様23に記載のキット。
〔態様25〕
前記キットは、少なくとも前記指の前記遠位指節を覆うような指サックを備えている、態様23に記載のキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動の指(100)であって、ロボティックアーム(1)に接続されるためのプレート(51)に対して固定されるための基部(110)と、少なくとも1つの第1の関節(121)によって前記基部(110)に接続された第1の指節(111)と、少なくとも1つの第2の関節(122)によって前記第1の指節(111)に接続された第2の指節(112)と、前記基部(110)に固定され、かつ少なくとも前記第1の指節(111)に接続され、前記指節(111、112)を2つの端位置の間で運動させる、第1のアクチュエータ(101)と、を備えるモータ駆動の指(100)において、前記基部(110)は、固定部分(110.1)及び可動部分(110.2)を備えており、前記可動部分(110.2)は、前記第1のアクチュエータ(101)及び前記指節(111、112)を運搬し、かつ、軸受によって前記固定部分(110.1)に接続されており、前記軸受は、方向軸(A1)を画定し、かつ、前記可動部分(110.2)の、前記方向軸(A1)を中心とした前記固定部分(110.1)に対する回転を可能にする、ことを特徴とし、かつ、前記基部(110)は、それを前記プレート(51)に対して、前記方向軸(A1)が前記プレート(51)に実質的に直交するように、固定するための手段を備えており、前記モータ駆動の指は、前記基部に固定された個別制御ユニット(103)をさらに備えており、前記個別制御ユニット(103)は、前記第1のアクチュエータに接続されてそれを制御する、ことを特徴とする、モータ駆動の指(100)。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータ(101)は、電動かつ/又は油圧式かつ/又は空気圧式のアクチュエータである、請求項1に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータ(101)は、電動アクチュエータであり、かつ、前記個別制御ユニット(103)は、電子個別制御ユニットである、請求項
1に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項4】
前記個別制御ユニット(102)は、前記基部の前記固定部分に固定されている、請求項
1に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項5】
前記基部(110)は、第2のアクチュエータ(102)を備えており、前記第2のアクチュエータ(102)は、前記可動部分(110.2)を枢動させかつ前記固定部分(110.1)に対する前記可動部分(110.2)の角度方向を調節するように、配置されている、請求項
1に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項6】
前記個別制御ユニット(103)はまた、前記第2のアクチュエータを制御するように構成されてもいる、請求項5に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項7】
前記第1の指節(111)は、変形可能な四辺形の形状を有しており、かつ、前記第2の指節(112)は、前記基部(110)の反対側である前記四辺形の第1の辺(111.1)上に固定されており、前記四辺形は、前記第1の辺(111.1)の反対側に、第2の辺(111.2)を備えており、前記第2の辺(111.2)は、前記第1の関節(121)によって前記基部(110)及び第3の辺(111.3)に接続されており、かつ、第3の関節(123)によって第4の辺(111.4)に接続されており、前記第4の辺(111.4)は、第4の関節(124)によって前記第1の辺(111.1)に接続されており、前記第1のアクチュエータ(101)は、前記第3の関節(123)を前記第2の関節(122)に対して運動させるように作用する、請求項
1に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項8】
前記第1の指節(111)は、把持対象物との接触インタフェースを備えている、請求項
1に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項9】
前記接触インタフェースは、支持緩衝体(111.5)である、請求項8に記載のモータ駆動の指(100)。
【請求項10】
前記接触インタフェースは、真空発生器に接続された吸引カップ(111.6)である、請求項8に記載のモータ駆動の指。
【請求項11】
前記
個別制御ユニット(103)は、力戻しにおいて前記アクチュエータ(101)を制御することを確実にするように配置されている、請求項
1に記載のモータ駆動の指。
【請求項12】
前記
個別制御ユニット(103)は、少なくとも命令を受信するための、電磁信号エミッタ/レシーバに接続されている、請求項
1に記載のモータ駆動の指。
【請求項13】
前記第1のアクチュエータは、前記指によってその環境に及ぼされた力が、前記第1のアクチュエータの供給電流の測定値から決定され得るように、可逆である、請求項
1に記載のモータ駆動の指。
【請求項14】
視覚的な状態の表示器(52)は、前記基部(110)によって運搬され、かつ、前記
個別制御ユニット(103)は、前記表示器に接続されて前記
個別制御ユニットの動作状態に従って前記表示器を制御する、請求項
1に記載のモータ駆動の指。
【請求項15】
前記第2の指節(112)は、屈曲させられるときに弾性的に変形可能な遠位端部分(112.1)を有している、請求項
1に記載のモータ駆動の指。
【請求項16】
把持用の装置であって、ロボットアーム(1)に接続されるためのプレート(51)を備えており、前記プレート(51)上には、請求項1から15のいずれか一項に記載の指(100)である第1の指(100)が少なくとも1つ取付けられており、前記装置はさらに、前記プレートの穴に受け入れられたその基部と、前記指に面して延在する少なくとも1つの当接要素とを有している、装置。
【請求項17】
把持用の装置であって、ロボットアーム(1)に接続されるためのプレート(51)を備えており、前記プレート(51)上には、請求項1から15のいずれか一項に記載の指(100)である第1の指(100)が少なくとも1つ取付けられており、前記装置はさらに、前記プレートの穴に受け入れられたその基部と、前記指に面して延在する少なくとも1つの当接要素とを有しており、前記当接要素は、請求項1から15のいずれか一項に記載の指(100)である第2の指(100)である、
装置。
【請求項18】
各
前記指は、マスタ通信ユニット(30)と通信する個別制御ユニット(103)を備えている、請求項
16に記載の装置。
【請求項19】
各
前記指は、個別制御ユニット(103)を備えており、かつ、前記個別制御ユニットのうち1つは、マスタ制御ユニットを形成するようにプログラムされており、他の前記個別制御ユニットは、スレーブ制御ユニットを形成するようにプログラムされている、請求項
16に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、把持用の前記装置の外部環境の少なくとも1つのセンサと通信する全体制御ユニットを備えている、請求項
16に記載の装置。
【請求項21】
ロボティックアーム(1)であって、基部(10)と、第1の関節(21)によって前記基部に接続された第1のセグメント(11)と、第2の関節(22)によって前記第1のセグメントに接続された第2のセグメント(12)と、インタフェース(13)であって、第3の関節(23)によって前記第2のセグメントに接続されており、かつ、請求項
16に記載の把持用の装置(50)の接続プレート(51)を運搬する、インタフェース(13)と、を備えている、ロボティックアーム(1)。
【請求項22】
前記ロボティックアーム(1)は、オペレータとの協働タスクの間に前記
ロボティックアームを制御するようにプログラムされた全体制御ユニット(30)を備えており、前記接続プレートは、前記オペレータによって把持されてロボットをガイドすることができるハンドル(53)を備えている、請求項21に記載のロボティックアーム(1)。
【請求項23】
把持用の装置を製造するためのキットであって、異なる形状のプレート(51)と、請求項1から15のいずれか一項に記載の指(100)と、異なる形状の遠位指節(112)と、異なる形状のインタフェースと、を備える、キット。
【請求項24】
前記キットは、異なる形状の当接要素(100、200)を備えている、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記キットは、少なくとも前記指の前記遠位指節を覆うような指サックを備えている、請求項23に記載のキット。
【国際調査報告】