(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原を発現する、がん免疫療法としての改変アレナウイルス粒子
(51)【国際特許分類】
C12N 7/01 20060101AFI20241024BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20241024BHJP
C12N 7/02 20060101ALI20241024BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20241024BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241024BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20241024BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N15/86 Z
C12N7/02
A61K48/00
A61P35/00
A61K47/68
A61K39/395 Y
A61K39/395 T
A61K39/395 C
A61K39/395 E
A61K39/395 L
A61P35/02
A61K35/76
A61K47/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526921
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2022081018
(87)【国際公開番号】W WO2023079153
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518408774
【氏名又は名称】ホオキパ バイオテック ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング ローターバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ヨルグ クリストフ ランパート
(72)【発明者】
【氏名】モハメッド ハベディン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシパ ラグズ
(72)【発明者】
【氏名】ティモ シッパーズ
(72)【発明者】
【氏名】サラ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】サラ アフマディ‐エルバー
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ ロスコップ
(72)【発明者】
【氏名】クロース オルリンガー
(72)【発明者】
【氏名】イゴール マトゥシャンスキー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065BD50
4B065CA44
4B065CA60
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA13
4C084MA05
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB36
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE05
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA05
4C087NA05
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
本発明は、がんなどの腫瘍性疾患の処置に好適な遺伝子改変アレナウイルスに関する。本明細書に記載されるアレナウイルスは、腫瘍性疾患の処置及び/または免疫療法における使用に好適であり得る。特に、変異型KRASの1つもしくは複数の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列のみを含むように、または変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)もしくは腫瘍関連抗原の1つもしくは複数の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含むように操作された遺伝子改変アレナウイルスを投与することによって腫瘍性疾患を処置するための方法及び組成物が本明細書で提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレナウイルス粒子であって、
a.前記アレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含み、前記抗原性断片がKRASの変異を含み、
b.前記アレナウイルスゲノムの少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)が、(i)機能的に不活化しているかもしくは欠失しているか、または(ii)前記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているか、または(iii)2つ以上の機能的断片に分けられ、前記少なくとも1つのアレナウイルスORFの断片が前記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているかのいずれかである、
前記アレナウイルス粒子。
【請求項2】
前記KRASの変異が、KRASのアミノ酸位置G12、G13、A18、A59、Q61、K117、A146、またはD119に存在する、請求項1に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項3】
前記KRASの変異が、A18D、A59E、A59G、A59P、A59T、A59S、A59V、A146P、A146S、A146T、A146V、D119N、G12A、G12C、G12D、G12F、G12L、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13E、G13R、G13S、G13V、K117N、Q61E、Q61H、Q61K、Q61L、Q61P、Q61R、またはそれらの組合せである、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項4】
前記KRASの変異が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、Q61H、Q61R、A146T、またはそれらの組合せである、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項5】
前記KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rのうちの1つ、複数、または全てである、請求項1に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項6】
前記ヌクレオチド配列がN末端からC末端に向かって、変異型KRASの複数の断片であって、それぞれ、前記変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、前記断片をコードする、請求項1から5のいずれか1項に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項7】
前記KRASの変異が、任意の可能な順序の、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rのうちの全てである、請求項5に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項8】
前記アレナウイルスゲノムが、配列番号20の配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項9】
前記アレナウイルスゲノムが、アミノ酸配列が配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項10】
前記変異型KRASの断片が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長である、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項11】
前記変異型KRASの断片が、18アミノ酸長である、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項12】
前記抗原性断片のN末端の前記変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項13】
前記抗原性断片のN末端の前記変異に隣接する領域が、8または9アミノ酸長である、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項14】
前記抗原性断片のC末端の前記変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項15】
前記抗原性断片のC末端の前記変異に隣接する領域が、8または9アミノ酸長である、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項16】
前記ヌクレオチド配列が、変異型KRASの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片のそれぞれが、前記変異型KRASタンパク質のうちの1つの前記変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項17】
前記ヌクレオチド配列が、変異型KRASの5つの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片のそれぞれが、前記変異型KRASタンパク質のうちの1つの前記変異を含む、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項18】
前記変異型KRASの5つの抗原性断片が、前記変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、請求項17に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項19】
前記抗原性断片が、変異型KRASタンパク質の同じまたは異なる変異を含む、請求項16または17に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項20】
前記抗原性断片が、同じまたは異なるリンカーを介して互いに融合している、請求項16から18のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項21】
前記抗原性断片が、介在配列を伴わずに互いに直接融合している、請求項16から18のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項22】
前記リンカーが、AAYリンカー(AAY)、AAAリンカー(AAA)、GSリンカー(GGSGGGGSGG)(配列番号42)、またはin silico予測を介して最適化されたAAY、AAA、及びGSリンカー配列のバリアントである、請求項20に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項23】
前記ヌクレオチド配列が、任意のCpG及びTpAアイランドを減少または除去するように操作されている、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項24】
前記CpG及びTpAアイランドの前記除去が、3つのサイクル:
(i)第1のサイクルにおいてCpGを除去し、
(ii)第2のサイクルにおいてTpAを除去し、
(iii)前記第2のサイクルで新たに導入されたCpGを除去するために、第3のサイクルにおいてCpGを除去する
を含む、請求項23に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項25】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項26】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項1から19、21、及び23から25のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項27】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号21のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号22のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項1から19、21、及び23から26のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項28】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号23のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号24のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項1から19、21、及び23から26のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項29】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある、異種シグナルペプチドと融合したアレナウイルスGP1及びGP2サブユニットをコードするORFと、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にある、アレナウイルスGPシグナルペプチドと前記抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列との融合体をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項1から24のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項30】
前記第1のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と異なる、請求項25及び29に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項31】
前記第1のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と同じである、請求項25及び29に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項32】
前記第1のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)が、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)と異なる、請求項25及び29に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項33】
前記第1のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)が、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)と同じである、請求項25及び29に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項34】
前記第1のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片が、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片と同じであるが、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片が互いに融合している順序とは異なる順序で互いに融合している、請求項33に記載のアレナウイルス粒子。
【請求項35】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片がそれぞれの変異を含む、請求項1から26及び29から34のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項36】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型PI3KCAの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が、E545K、H1047R及び/またはE542K変異を含む、請求項1から26及び29から35のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項37】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型BRAFの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片がV600E変異を含む、請求項1から26及び29から36のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項38】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片がS34F変異を含む、請求項1から26及び29から37のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項39】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277F変異を含む、請求項1から26及び29から38のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項40】
前記アレナウイルスゲノムが、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリーの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1から26及び29から39のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項41】
リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)またはピチンデウイルスに由来する、先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子。
【請求項42】
先行請求項のいずれかに記載のアレナウイルス粒子を含む医薬組成物。
【請求項43】
請求項1から41のいずれかに記載のアレナウイルス粒子のゲノムをコードする1つまたは複数の核酸のセット。
【請求項44】
請求項43に記載の1つまたは複数の核酸のセットを含む宿主細胞。
【請求項45】
請求項1から41のいずれかに記載のアレナウイルス粒子を作製する方法であって、請求項44に記載の宿主細胞を培養することと、前記アレナウイルス粒子を収集することとを含む、前記方法。
【請求項46】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、前記対象に、アレナウイルス粒子であって、
a.前記アレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含み、前記抗原性断片が変異を含み、
b.前記アレナウイルスゲノムの少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)が、(i)機能的に不活化しているかもしくは欠失しているか、または(ii)前記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているか、または(iii)2つ以上の機能的断片に分けられ、前記少なくとも1つのアレナウイルスORFの断片が前記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているかのいずれかである、
前記アレナウイルス粒子を投与することを含む、前記方法。
【請求項47】
前記KRASの変異が、KRASのアミノ酸位置G12、G13、A18、A59、Q61、K117、A146、またはD119に存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記KRASの変異が、A18D、A59E、A59G、A59P、A59T、A59S、A59V、A146P、A146S、A146T、A146V、D119N、G12A、G12C、G12D、G12F、G12L、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13E、G13R、G13S、G13V、K117N、Q61E、Q61H、Q61K、Q61L、Q61P、Q61R、またはそれらの組合せである、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記KRASの変異が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、Q61H、Q61R、A146T、またはそれらの組合せである、請求項46から48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rのうちの1つ、複数、または全てである、請求項46から49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記ヌクレオチド配列がN末端からC末端に向かって、変異型KRASの複数の断片であって、それぞれ、前記変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、前記断片をコードする、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記KRASの変異が、任意の可能な順序の、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rのうちの全てである、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記アレナウイルスゲノムが、配列番号20の配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記アレナウイルスゲノムが、アミノ酸配列が配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記変異型KRASの抗原性断片が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長である、請求項46から54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記変異型KRASの抗原性断片が、18アミノ酸長である、請求項46から54のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記抗原性断片のN末端の前記変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、請求項46から52のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記抗原性断片のN末端の前記変異に隣接する領域が、8または9アミノ酸長である、請求項46から52のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記抗原性断片のC末端の前記変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、請求項46から58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記抗原性断片のC末端の前記変異に隣接する領域が、8または9アミノ酸長である、請求項46から58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記ヌクレオチド配列が、変異型KRASの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片のそれぞれが、前記変異型KRASタンパク質のうちの1つの前記変異を含む、請求項46から60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記ヌクレオチド配列が、変異型KRASの5つの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片のそれぞれが、前記変異型KRASタンパク質のうちの1つの前記変異を含む、請求項46から60のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記変異型KRASの5つの抗原性断片が、前記変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記抗原性断片が、変異型KRASタンパク質の同じまたは異なる変異を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記抗原性断片が、同じまたは異なるリンカーを介して互いに融合している、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記抗原性断片が、介在配列を伴わずに互いに直接融合している、請求項61から63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記リンカーが、AAYリンカー(AAY)、AAAリンカー(AAA)、GSリンカー(GGSGGGGSGG)(配列番号42)、またはin silico予測を介して最適化されたAAY、AAA、及びGSリンカー配列のバリアントである、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記ヌクレオチド配列が、任意のCpG及びTpAアイランドを減少または除去するように操作されている、請求項46から67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記CpG及びTpAアイランドの前記除去が、3つのサイクル:
(i)第1のサイクルにおいてCpGを除去し、
(ii)第2のサイクルにおいてTpAを除去し、
(iii)前記第2のサイクルで新たに導入されたCpGを除去するために、第3のサイクルにおいてCpGを除去する
を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項46から69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項46から64、66、及び68から70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号21のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号22のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項46から64、66、及び68から70のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号23のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号24のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項46から64、66、及び68から70のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある、異種シグナルペプチドと融合したアレナウイルスGP1及びGP2サブユニットをコードするORFと、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にある、アレナウイルスGPシグナルペプチドと前記抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列との融合体をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、請求項46から69のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記第1のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と異なる、請求項70及び74に記載の方法。
【請求項76】
前記第1のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列が、前記第2のSセグメント上の前記抗原性断片(複数可)をコードする前記ヌクレオチド配列と同じである、請求項70及び74に記載の方法。
【請求項77】
前記第1のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)が、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)と異なる、請求項70及び74に記載の方法。
【請求項78】
前記第1のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)が、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片(複数可)と同じである、請求項70及び74に記載の方法。
【請求項79】
前記第1のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片が、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片と同じであるが、前記第2のSセグメント上にコードされている前記抗原性断片が互いに融合している順序とは異なる順序で互いに融合している、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記腫瘍性疾患が、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、または非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項46から79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aであり、前記腫瘍性疾患が膵癌である、請求項46から79のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、前記腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、請求項46から79のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、前記TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、前記腫瘍性疾患が膵癌である、請求項46から71及び74から79のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型TP53及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、前記TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、前記U2AF1の変異がS34Fであり、前記腫瘍性疾患が膵癌である、請求項46から71及び74から79のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、前記FBXW7の変異がR465Hであり、前記PIK3CAの変異が、E545K及び/またはH1047Rであり、前記腫瘍性疾患が結腸直腸癌である、請求項46から71及び74から79のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7、及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、前記FBXW7の変異がR465Hであり、前記PIK3CAの変異が、E545K及び/またはH1047Rであり、前記腫瘍性疾患が肺腺癌である、請求項46から71及び74から79のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記PIK3CAの変異がE545Kであり、前記EGFRの変異がL858Rであり、前記TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、前記U2AF1の変異がS34Fであり、前記腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、請求項46から71及び74から79のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、前記腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、請求項46から79のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、前記TP53の変異がR175Hであり、前記U2AF1の変異がS34Fであり、前記EGFRの変異が、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、前記PIK3CAの変異が、E545K及び/またはE542Kであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記腫瘍性疾患が肺腺癌である、請求項46から71及び74から79のいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA及び/または変異型RETの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記腫瘍性疾患が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項46から71及び74から79のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片がそれぞれの変異を含む、請求項46から71及び74から90のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型PI3KCAの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記PI3KCAの変異が、E545K、H1047R及び/またはE542Kである、請求項46から71及び74から91のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型BRAFの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記BRAFの変異がV600Eである、請求項46から71及び74から92のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記U2AF1の変異がS34Fである、請求項46から71及び74から93のいずれかに記載の方法。
【請求項95】
前記アレナウイルスゲノムが、変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記抗原性断片が変異を含み、前記TP53の変異が、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277Fである、請求項46から71及び74から94のいずれかに記載の方法。
【請求項96】
前記アレナウイルスゲノムが、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリーの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項46から71及び74から95のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記腫瘍性疾患が膵癌または結腸直腸癌である、請求項46から85、87から88、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項98】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S及び/またはG12Aであり、前記腫瘍性疾患が膵癌である、請求項46から84、87から88、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項99】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、前記TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、前記腫瘍性疾患が膵癌である、請求項46から84、87から88、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項100】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型TP53、変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、前記TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、前記U2AF1の変異がS34Fであり、前記腫瘍性疾患が膵癌である、請求項46から84、87から88、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7、変異型PIK3CAの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、前記FBXW7の変異が、R465H及び/またはR465Cであり、前記PIK3CAの変異が、E545K及び/またはH1047Rであり、前記腫瘍性疾患が結腸直腸癌である、請求項46から80、82、85、87から88及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項102】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、前記FBXW7の変異がR465Hであり、前記PIK3CAの変異が、E545K及び/またはH1047Rであり、前記腫瘍性疾患が肺腺癌である、請求項46から80、82、86から89、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項103】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記PIK3CAの変異がE545Kであり、前記EGFRの変異がL858Rであり、前記TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、前記U2AF1の変異がS34Fであり、前記腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、請求項46から89、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、前記腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、請求項46から89、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、前記腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、請求項46から89、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項106】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記KRASの変異が、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、前記TP53の変異がR175Hであり、前記U2AF1の変異がS34Fであり、前記EGFRの変異が、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、前記PIK3CAの変異が、E545K及び/またはE542Kであり、前記BRAFの変異がV600Eであり、前記腫瘍性疾患が肺腺癌である、請求項46から80、82、86から89、及び91から96のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型TP53の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含む、請求項46から106のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片がそれぞれの変異を含む、請求項46から106のいずれかに記載の方法。
【請求項109】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型PI3KCAの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記PI3KCAの変異が、E545K、H1047R及び/またはE542Kである、請求項46から96のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型BRAFの抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記BRAFの変異がV600Eである、請求項46から96のいずれかに記載の方法。
【請求項111】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記U2AF1の変異がS34Fである、請求項46から96のいずれかに記載の方法。
【請求項112】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、変異型TP53の抗原性断片をコードし、前記抗原性断片が変異を含み、前記TP53の変異が、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277Fである、請求項46から96のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリーの抗原性断片をコードする、請求項46から96のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、配列番号21及び22のヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含む、請求項46から96のいずれかに記載の方法。
【請求項115】
前記方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、前記第2のアレナウイルス粒子が、配列番号23及び24のヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含む、請求項46から96のいずれかに記載の方法。
【請求項116】
前記アレナウイルス粒子が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)またはピチンデウイルスに由来する、請求項46から115のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
前記腫瘍性疾患が固形腫瘍であり、前記方法が、前記固形腫瘍内のT細胞の濃度の増加をもたらす、請求項46から116のいずれかに記載の方法。
【請求項118】
前記腫瘍性疾患が、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄白血病(成人/小児);副腎皮質癌;AIDS関連癌;AIDS関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨の骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳癌(成人/小児);脳腫瘍、小脳星細胞腫(成人/小児);脳腫瘍、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児のがん;カルチノイド消化管腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌腫、原発不明部位;原発不明の癌腫;中枢神経系胚芽腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄白血病;慢性骨髄増殖性障害;結腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(胃の)癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、または卵巣妊娠性絨毛性腫瘍;妊娠性絨毛性腫瘍、原発不明部位;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児視路及び視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視路神経膠腫;眼内黒色腫;島細胞癌(膵島);カポジ肉腫;腎癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔内癌;脂肪肉腫;肝癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;男性乳癌;骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮性頸部癌;口癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄白血病、成人急性;骨髄白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄のがん);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔癌;上咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;オリゴデンドロ神経膠腫;口腔癌;口腔内癌;中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;卵巣上皮癌(表層上皮性・間質性腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵癌;膵癌、島細胞;乳頭腫;副鼻腔及び鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化型松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞新生物/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎癌);腎盂及び尿管、移行細胞癌;15番染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌 軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明扁平上皮性頸部癌、転移性;胃の(胃)癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉症及びセザリー症候群);精巣癌;喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;小児甲状腺癌;腎盂及び尿管の移行細胞癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;ならびにウィルムス腫瘍である、請求項46から79、91から96、及び107から117のいずれかに記載の方法。
【請求項119】
前記腫瘍性疾患が固形腫瘍であり、前記アレナウイルス粒子の投与経路が腫瘍内注射である、請求項46から117のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれの内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれ、その優先権が主張される、2022年9月6日に出願された米国仮出願第63/404,008号、2022年9月6日に出願された米国仮出願第63/404,068号、2021年11月8日に出願された米国仮出願第63/277,049号、及び2021年11月8日に出願された米国仮出願第63/277,052号の優先権を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、本出願と共にXMLファイルフォーマットで提出されたコンピュータで読み取り可能な配列表を含有する。本出願と共に提出された配列表XMLファイルは、「13194-082-228_SequenceListing.xml」という名前で、2022年11月4日に作成され、93,515バイトのサイズである。
【0003】
1.序文
本発明は、がんなどの腫瘍性疾患の処置に好適な遺伝子改変アレナウイルスに関する。本明細書に記載されるアレナウイルスは、腫瘍性疾患の処置及び/または免疫療法における使用に好適であり得る。特に、変異型KRASの1つもしくはいくつかの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列のみを含むように、または1つもしくはいくつかの異なる変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)もしくは腫瘍関連抗原の1つもしくはいくつかの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含むように操作された遺伝子改変アレナウイルスを投与することによって腫瘍性疾患を処置するための方法及び組成物が本明細書で提供される。
【背景技術】
【0004】
2.背景
がんなどの腫瘍性疾患の処置に関する満たされていない医学的必要性が存在する。新興分野である免疫療法は、これらの生命を脅かす疾患の処置に有望である。加えて、組合せ療法もまた探索されている。しかしながら、より多くの療法が利用可能になるにつれて、可能な組合せは複雑になっている。
【0005】
免疫療法のための戦略の1つは、変異型KRAS抗原、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、腫瘍関連抗原のアレナウイルスベースの発現を伴う。例えば、WO2009/083210、WO/2016/075250、WO2017/198726、及びWO2021/089853を参照のこと。これらの免疫療法の腫瘍内投与は記載されている。例えば、WO2018/185307を参照のこと。
【発明の概要】
【0006】
3.発明の概要
本出願は、がんなどの腫瘍性疾患の処置に好適な遺伝子改変アレナウイルスに関する。特に、本出願は、アレナウイルス粒子であって、
a.アレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含み、抗原性断片が変異を含み、
b.アレナウイルスゲノムの少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)が、(i)機能的に不活化しているかもしくは欠失しているか、または(ii)上記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているか、または(iii)2つ以上の機能的断片に分けられ、少なくとも1つのアレナウイルスORFの断片が上記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているかのいずれかである、
アレナウイルス粒子に関する。
【0007】
KRASの変異が、KRASのアミノ酸位置G12、G13、A18、A59、Q61、K117、A146、またはD119に存在する、アレナウイルス粒子。
【0008】
KRASの変異が、A18D、A59E、A59G、A59P、A59T、A59S、A59V、A146P、A146S、A146T、A146V、D119N、G12A、G12C、G12D、G12F、G12L、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13E、G13R、G13S、G13V、K117N、Q61E、Q61H、Q61K、Q61L、Q61P、Q61R、またはそれらの組合せである、アレナウイルス粒子。
【0009】
KRASの変異が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、Q61H、Q61R、A146T、またはそれらの組合せである、アレナウイルス粒子。
【0010】
KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、G12R、またはそれらの組合せである、アレナウイルス粒子。より具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムは、変異型KRASの複数の断片であって、それぞれ、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、断片をN末端からC末端に向かってコードするヌクレオチド配列を含む。他のより具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムは、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む変異型KRASの断片を任意の可能な順序でコードするヌクレオチド配列を含む。
【0011】
アレナウイルスゲノムが、配列番号20の配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、アレナウイルス粒子。
【0012】
アレナウイルスゲノムが、アミノ酸配列が配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列を含む、アレナウイルス粒子。
【0013】
変異型KRASの断片が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長である、アレナウイルス粒子。より具体的な実施形態では、変異型KRASの断片は、18アミノ酸長である。
【0014】
抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、アレナウイルス粒子。より具体的な実施形態では、抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域は、8または9アミノ酸長である。
【0015】
抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、アレナウイルス粒子。より具体的な実施形態では、抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域は、8または9アミノ酸長である。
【0016】
ヌクレオチド配列が、変異型KRASの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の抗原性断片をコードし、抗原性断片のそれぞれが、変異型KRASタンパク質のうちの1つの変異を含む、アレナウイルス粒子。より具体的な実施形態では、ヌクレオチド配列は、変異型KRASの5つの抗原性断片をコードし、抗原性断片のそれぞれは、変異型KRASタンパク質のうちの1つの変異を含む。より具体的な実施形態では、変異型KRASの5つの抗原性断片は、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む。
【0017】
抗原性断片が、変異型KRASタンパク質の同じまたは異なる変異を含む、アレナウイルス粒子。
【0018】
抗原性断片が、同じまたは異なるリンカーを介して互いに融合している、アレナウイルス粒子。
【0019】
抗原性断片が、介在配列を伴わずに互いに直接融合している、アレナウイルス粒子。
【0020】
リンカーが、AAYリンカー(AAY)、AAAリンカー(AAA)、GSリンカー(GGSGGGGSGG)(配列番号42)、またはin silico予測を介して最適化されたAAY、AAA、及びGSリンカー配列のバリアントである、アレナウイルス粒子。
【0021】
ヌクレオチド配列が、任意のCpG及びTpAアイランドを減少または除去するように操作されている、アレナウイルス粒子。
【0022】
CpG及びTpAアイランドの除去が、3つのサイクル:
(i)第1のサイクルにおいてCpGを除去し、
(ii)第2のサイクルにおいてTpAを除去し、
(iii)第2のサイクルで新たに導入されたCpGを除去するために、第3のサイクルにおいてCpGを除去する
を含む、アレナウイルス粒子。
【0023】
アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、アレナウイルス粒子。
【0024】
アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、アレナウイルス粒子。
【0025】
アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号21のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号22のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、アレナウイルス粒子。
【0026】
アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号23のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号24のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、アレナウイルス粒子。
【0027】
アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある、異種シグナルペプチドと融合したアレナウイルスGP1及びGP2サブユニットをコードするORFと、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にある、アレナウイルスGPシグナルペプチドと抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列との融合体をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、アレナウイルス粒子。
【0028】
第1のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列が、第2のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と異なる、アレナウイルス粒子。
【0029】
第1のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列が、第2のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と同じである、アレナウイルス粒子。
【0030】
第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)が、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)と異なる、アレナウイルス粒子。
【0031】
第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)が、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)と同じである、アレナウイルス粒子。
【0032】
第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片が、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片と同じであるが、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片が互いに融合している順序とは異なる順序で互いに融合している、アレナウイルス粒子。
【0033】
アレナウイルスゲノムが、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片がそれぞれの変異を含む、アレナウイルス粒子。
【0034】
アレナウイルスゲノムが、変異型PI3KCAの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が、E545K、H1047R及び/またはE542K変異を含む、アレナウイルス粒子。
【0035】
アレナウイルスゲノムが、変異型BRAFの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片がV600E変異を含む、アレナウイルス粒子。
【0036】
アレナウイルスゲノムが、変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片がS34F変異を含む、アレナウイルス粒子。
【0037】
アレナウイルスゲノムが、変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277Fを含む、アレナウイルス粒子。
【0038】
アレナウイルスゲノムが、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリーの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、アレナウイルス粒子。
【0039】
リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)またはピチンデウイルスに由来する、アレナウイルス粒子。
【0040】
アレナウイルス粒子を含む医薬組成物。
【0041】
アレナウイルス粒子のゲノムをコードする1つまたは複数の核酸のセット。
【0042】
アレナウイルス粒子のゲノムをコードする1つまたは複数の核酸のセットを含む宿主細胞。
【0043】
アレナウイルス粒子を作製する方法であって、宿主細胞を培養することと、アレナウイルス粒子を収集することとを含む、方法。
【0044】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、対象に、アレナウイルス粒子であって、
a.アレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含み、抗原性断片が変異を含み、
b.アレナウイルスゲノムの少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)が、(i)機能的に不活化しているかもしくは欠失しているか、または(ii)上記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているか、または(iii)2つ以上の機能的断片に分けられ、少なくとも1つのアレナウイルスORFの断片が上記少なくとも1つのアレナウイルスORFの野生型の位置以外の位置に位置しているかのいずれかである、
アレナウイルス粒子を投与することを含む、方法。
【0045】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、KRASの変異が、KRASのアミノ酸位置G12、G13、A18、A59、Q61、K117、A146、またはD119に存在する、方法。
【0046】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、KRASの変異が、A18D、A59E、A59G、A59P、A59T、A59S、A59V、A146P、A146S、A146T、A146V、D119N、G12A、G12C、G12D、G12F、G12L、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13E、G13R、G13S、G13V、K117N、Q61E、Q61H、Q61K、Q61L、Q61P、Q61R、またはそれらの組合せである、方法。
【0047】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、KRASの変異が、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、Q61H、Q61R、A146T、またはそれらの組合せである、方法。
【0048】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、G12R、またはそれらの組合せである、方法。より具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムは、変異型KRASの複数の断片であって、それぞれ、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、断片をN末端からC末端に向かってコードするヌクレオチド配列を含む。他のより具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムは、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む変異型KRASの断片を任意の可能な順序でコードするヌクレオチド配列を含む。
【0049】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、配列番号20の配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、方法。
【0050】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、アミノ酸配列が配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列を含む、方法。
【0051】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、変異型KRASの抗原性断片が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長である、方法。より具体的な実施形態では、変異型KRASの抗原性断片は、18アミノ酸長である。
【0052】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、方法。より具体的な実施形態では、抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域は、8または9アミノ酸長である。
【0053】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域が、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である、方法。より具体的な実施形態では、抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域は、8または9アミノ酸長である。
【0054】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、ヌクレオチド配列が、変異型KRASの2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の抗原性断片をコードし、抗原性断片のそれぞれが、変異型KRASタンパク質のうちの1つの変異を含む、方法。処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、ヌクレオチド配列が、変異型KRASの5つの抗原性断片をコードし、抗原性断片のそれぞれが、変異型KRASタンパク質のうちの1つの変異を含む、方法。処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、変異型KRASの5つの抗原性断片が、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、方法。
【0055】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、抗原性断片が、変異型KRASタンパク質の同じまたは異なる変異を含む、方法。
【0056】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、抗原性断片が、同じまたは異なるリンカーを介して互いに融合している、方法。
【0057】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、抗原性断片が、介在配列を伴わずに互いに直接融合している、方法。
【0058】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、リンカーが、AAYリンカー(AAY)、AAAリンカー(AAA)、GSリンカー(GGSGGGGSGG)(配列番号42)、またはin silico予測を介して最適化されたAAY、AAA、及びGSリンカー配列のバリアントである、方法。
【0059】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、ヌクレオチド配列が、任意のCpG及びTpAアイランドを減少または除去するように操作されている、方法。
【0060】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、CpG及びTpAアイランドの除去が、3つのサイクル:
(i)第1のサイクルにおいてCpGを除去し、
(ii)第2のサイクルにおいてTpAを除去し、
(iii)第2のサイクルで新たに導入されたCpGを除去するために、第3のサイクルにおいてCpGを除去する
を含む、方法。
【0061】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、方法。
【0062】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある配列番号20のヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、方法。
【0063】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号21のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号22のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、方法。
【0064】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、
(i)配列番号23のヌクレオチド配列を含む第1のSセグメントと、
(ii)配列番号24のヌクレオチド配列を含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、方法。
【0065】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある、異種シグナルペプチドと融合したアレナウイルスGP1及びGP2サブユニットをコードするORFと、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にある、アレナウイルスGPシグナルペプチドと抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列との融合体をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含む、方法。
【0066】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、第1のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列が、第2のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と異なる、方法。
【0067】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、第1のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列が、第2のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と同じである、方法。
【0068】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)が、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)と異なる、方法。
【0069】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)が、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)と同じである、方法。
【0070】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片が、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片と同じであるが、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片が互いに融合している順序とは異なる順序で互いに融合している、方法。
【0071】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、腫瘍性疾患が、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、または非小細胞肺癌(NSCLC)である、方法。
【0072】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aであり、腫瘍性疾患が膵癌である、方法。
【0073】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型TP53及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、U2AF1の変異がS34Fであり、腫瘍性疾患が膵癌である、方法。
【0074】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0075】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0076】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、腫瘍性疾患が膵癌である、方法。
【0077】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7、及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、BRAFの変異がV600Eであり、TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、FBXW7の変異がR465Hであり、PIK3CAの変異が、E545K及び/またはH1047Rであり、腫瘍性疾患が結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0078】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、BRAFの変異がV600Eであり、PIK3CAの変異がE545Kであり、EGFRの変異がL858Rであり、TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、U2AF1の変異がS34Fであり、腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0079】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異がR175Hであり、U2AF1の変異がS34Fであり、EGFRの変異が、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、PIK3CAの変異が、E545K及び/またはE542Kであり、BRAFの変異がV600Eであり、腫瘍性疾患が肺腺癌である、方法。
【0080】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA及び/または変異型RETの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、腫瘍性疾患が非小細胞肺癌(NSCLC)である、方法。
【0081】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片がそれぞれの変異を含む、方法。
【0082】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型PI3KCAの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、PI3KCAの変異が、E545K、H1047R及び/またはE542Kである、方法。
【0083】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型BRAFの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、BRAFの変異がV600Eである、方法。
【0084】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、U2AF1の変異がS34Fである、方法。
【0085】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、抗原性断片が変異を含み、TP53の変異が、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277Fである、方法。
【0086】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルスゲノムが、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリーの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、方法。
【0087】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aであり、腫瘍性疾患が膵癌である、方法。
【0088】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、U2AF1の変異がS34Fであり、腫瘍性疾患が膵癌である、方法。
【0089】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、腫瘍性疾患が膵癌である、方法。
【0090】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、腫瘍性疾患が結腸直腸癌である、方法。
【0091】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0092】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異が、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、腫瘍性疾患が膵癌である、方法。
【0093】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0094】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7、及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、BRAFの変異がV600Eであり、TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、FBXW7の変異がR465Hであり、PIK3CAの変異が、E545K及び/またはH1047Rであり、腫瘍性疾患が結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0095】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、BRAFの変異がV600Eであり、PIK3CAの変異がE545Kであり、EGFRの変異がL858Rであり、TP53の変異が、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、U2AF1の変異がS34Fであり、腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である、方法。
【0096】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異がR175Hであり、U2AF1の変異がS34Fであり、EGFRの変異が、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、PIK3CAの変異が、E545K及び/またはE542Kであり、BRAFの変異がV600Eであり、腫瘍性疾患が肺腺癌である、方法。
【0097】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含む、方法。
【0098】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA及び/または変異型RETの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、腫瘍性疾患が非小細胞肺癌(NSCLC)である、方法。
【0099】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をコードし、抗原性断片がそれぞれの変異を含む、方法。
【0100】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型PI3KCAの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、PI3KCAの変異が、E545K、H1047R及び/またはE542Kである、方法。
【0101】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型BRAFの抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、BRAFの変異がV600Eである、方法。
【0102】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、U2AF1の変異がS34Fである、方法。
【0103】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片が変異を含み、TP53の変異が、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277Fである、方法。
【0104】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリーの抗原性断片をコードする、方法。
【0105】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、配列番号21及び22のヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含む、方法。処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、方法が、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、配列番号23及び24のヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含む、方法。
【0106】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、アレナウイルス粒子が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)またはピチンデウイルスに由来する、方法。
【0107】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、腫瘍性疾患が固形腫瘍であり、方法が、固形腫瘍内のT細胞の濃度の増加をもたらす、方法。
【0108】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、腫瘍性疾患が、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia);急性骨髄白血病(acute myeloid leukemia)(成人/小児);副腎皮質癌;AIDS関連癌;AIDS関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌(cholangiocarcinoma));膀胱癌;骨の骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳癌(成人/小児);脳腫瘍、小脳星細胞腫(成人/小児);脳腫瘍、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児のがん;カルチノイド消化管腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌腫、原発不明部位;原発不明の癌腫;中枢神経系胚芽腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄白血病;慢性骨髄増殖性障害;結腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃の(stomach))癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、または卵巣妊娠性絨毛性腫瘍;妊娠性絨毛性腫瘍、原発不明部位;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児視路及び視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視路神経膠腫;眼内黒色腫;島細胞癌(膵島);カポジ肉腫;腎癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔内癌;脂肪肉腫;肝癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;男性乳癌;骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮性頸部癌;口癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍(plasma cell neoplasm);菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄白血病、成人急性;骨髄白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄のがん);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔癌;上咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;オリゴデンドロ神経膠腫;口腔癌(oral cancer);口腔内癌(oral cavity cancer);中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;卵巣上皮癌(表層上皮性・間質性腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵癌;膵癌、島細胞;乳頭腫;副鼻腔及び鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化型松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞新生物(plasma cell neoplasia)/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎癌);腎盂及び尿管、移行細胞癌;15番染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌 軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明扁平上皮性頸部癌、転移性;胃の(胃)癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉症及びセザリー症候群);精巣癌;喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;小児甲状腺癌;腎盂及び尿管の移行細胞癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;ならびにウィルムス腫瘍である、方法。
【0109】
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、腫瘍性疾患が固形腫瘍であり、アレナウイルス粒子の投与経路が腫瘍内注射である、方法。
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0110】
4.図面の簡単な説明
【
図1】artLCMV-4xKRASmutベクター及びartPICV-4xKRASmutベクターの概略図。
【0111】
【
図2】artLCMV-4xKRASmut_E7ベクター及びartPICV-4xKRASmut_E7ベクターの概略図。
【0112】
【
図3】artLCMV-4xKRASmut_EBVベクター及びartPICV-4xKRASmut_EBVベクターの概略図。
【0113】
【
図4】artLCMV-KRASmutベクター及びartPICV-KRASmutベクターの概略図。
【0114】
【
図5A】artLCMV-14xp53mutベクターの概略図。
【
図5B】artPICV-14xp53mutベクターの概略図。
【0115】
【
図6A】artLCMV-14xp53mut_E7ベクターの概略図。
【
図6B】artPICV-14xp53mut_E7ベクターの概略図。
【0116】
【
図7A】artLCMV-14xp53mut_EBVベクターの概略図。
【
図7B】artPICV-14xp53mut_EBVベクターの概略図。
【0117】
【
図8】artLCMV-p53mutベクター及びartPICV-p53mutベクターの概略図。
【0118】
【
図9A】artLCMV-p53mut/KRASmutベクター及びartPICV-p53mut/KRASmutベクターの概略図。
【0119】
【
図9B】artLCMV-KRASmut/p53mutベクター及びartPICV-KRASmut/p53mutベクターの概略図。
【0120】
【
図9C】変異型KRAS及び/またはTP53の抗原性断片をコードするartLCMVベクター及びartPICVベクターにおける抗原性挿入断片の概略図。
【0121】
【
図10】artLCMV-5xKRASmut-H2ベクター及びartPICV-5xKRASmut-H2ベクターの概略図。
【0122】
【
図11】変異したKRASエピトープの種々の組合せをコードするアレナウイルス粒子の投与後のHLA-A*11のトランスジェニックマウス(すなわち、CB6F1-Tg(HLA-A*1101/H2-Kb)A11.01マウス)におけるCD8+T細胞応答の誘導。個々の変異したKRASエピトープに対するCD8+T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答を、示されたベクターのプライム-ブースト投与後のHLA-A*11トランスジェニックマウスにおいて、ELISPOTによって解析した。ペプチド刺激を、野生型及び変異特異的KRASベースペプチドを用いて実施した。LCMV及びPICVに由来するNPベースペプチドの混合物を対照として使用した。IFN-γ+SFU(10
5個の細胞当たり)を、個々のマウスについて、算術平均±標準偏差として示す。
【0123】
【
図12】artLCMV-5xKRASmut-H2の導入遺伝子安定性(
図12A)及びartPICV-5xKRASmut-H2の導入遺伝子安定性(
図12B)。5xKRASmut導入遺伝子安定性は、PCRによって、示された継代レベル(p1~p6)において解析した。
【0124】
【
図13】artLCMV-5xKRASmut-H2-NP-Sセグメント(
図10のSセグメント#1)のヌクレオチド配列(配列番号21)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。LCMV cl13 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H2導入遺伝子は太字で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲まれ、LCMV cl13に基づく核タンパク質(NP)は下線付きの文字で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号21の配列はDNAとして示されるが、配列番号21の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号34)が得られる。
【0125】
【
図14】artLCMV-5xKRASmut-H2-GP-Sセグメント(
図10のSセグメント#2)のヌクレオチド配列(配列番号22)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。LCMV cl13 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H2導入遺伝子は太字で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲んで示され、LCMV WEに基づく糖タンパク質(GP)は下線で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号22の配列はDNAで示されるが、配列番号22の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号35)が得られる。
【0126】
【
図15】artPICV-5xKRASmut-H2-NP-Sセグメント(
図10のSセグメント#1)のヌクレオチド配列(配列番号23)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。PICV p18 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H2導入遺伝子は太字で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲んで示され、PICV p18に基づく核タンパク質(NP)は下線で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号23の配列はDNAで示されるが、配列番号23の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号36)が得られる。
【0127】
【
図16】artPCIV-5xKRASmut-H2-GP-Sセグメント(
図10のSセグメント#2)のヌクレオチド配列(配列番号24)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。PICV p18 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H2導入遺伝子は太字で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲んで示され、PICV p18に基づく糖タンパク質(GP)は下線で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号24の配列はDNAで示されるが、配列番号24の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号37)が得られる。
【0128】
【
図17】artLCMV-5xKRASmut-H1-NP-Sセグメント(
図10のSセグメント#1)のヌクレオチド配列(配列番号27)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。LCMV cl13 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H1導入遺伝子は太字で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲んで示され、LCMV cl13に基づく核タンパク質(NP)は下線で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号27の配列はDNAで示されるが、配列番号27の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号38)が得られる。
【0129】
【
図18】artLCMV-5xKRASmut-H1-GP-Sセグメント(
図10のSセグメント#2)のヌクレオチド配列(配列番号28)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。LCMV cl13 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H1導入遺伝子は太字で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲んで示され、LCMV WEに基づく糖タンパク質(GP)は下線で示され、LCMV cl13 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号28の配列はDNAで示されるが、配列番号28の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号39)が得られる。
【0130】
【
図19】artPICV-5xKRASmut-H1-NP-Sセグメント(
図10のSセグメント#1)のヌクレオチド配列(配列番号29)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。PICV p18 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H1導入遺伝子は太字で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲んで示され、PICV p18に基づく核タンパク質(NP)は下線で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号29の配列はDNAで示されるが、配列番号29の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号40)が得られる。
【0131】
【
図20】artPCIV-5xKRASmut-H1-GP-Sセグメント(
図10のSセグメント#2)のヌクレオチド配列(配列番号30)。以下のエレメントが、開示される配列の5’から3’に向かって示される。PICV p18 Sセグメントに基づく5’非翻訳領域(UTR)は小文字で示され、KRASmut-H1導入遺伝子は太字で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく遺伝子間領域(IGR)は四角で囲んで示され、PICV p18に基づく糖タンパク質(GP)は下線で示され、PICV p18 Sセグメントに基づく3’非翻訳領域(UTR)は小文字で示される。ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号30の配列はDNAで示されるが、配列番号30の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換することでRNA配列(配列番号41)が得られる。
【0132】
【
図21】変異したKRASエピトープの種々の組合せをコードするアレナウイルス粒子の投与後のHLA-B*07のトランスジェニックマウス(すなわち、CB6F1-Tg(HLA-B*0702/H2-Kb)B7.xxマウス)におけるCD8 T細胞応答の誘導。個々の変異したKRASエピトープに対するCD8 T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答を、示されたベクターのプライム-ブースト投与後のHLA-B*07トランスジェニックマウスにおいて、ELISpotによって解析した。ペプチド刺激を、野生型及び変異特異的KRASベースペプチドを用いて実施した。LCMV及びPICVに由来するNPベースペプチドの混合物を対照として使用した。IFN-γ+SFU(10
5個の細胞当たり)を、個々のマウスについて、算術平均±標準偏差として示す。
【0133】
【
図22】本開示の8.5節に開示される実施例の研究設計。
【0134】
【
図23】本開示の8.6節に開示される実施例の研究設計。
【0135】
【
図24】変異したKRASエピトープの組合せをコードするアレナウイルス粒子の投与後のHLA-A*11のトランスジェニックマウス(すなわち、CB6F1-Tg(HLA-A*1101/H2-Kb)A11.01マウス)におけるCD8 T細胞応答の誘導。個々の変異したKRASエピトープに対するCD8 T細胞(すなわち、IFN-γ+)応答を、示されたベクターのプライム投与後のHLA-A*11トランスジェニックマウスにおいて、ELISpotによって解析した。ペプチド刺激を、野生型及び変異特異的KRASベースペプチドを用いて実施した。LCMVに由来するNPベースペプチドの混合物を対照として使用した。PICVに由来するNPベースペプチドは、技術的エラーのために検出されなかった。IFN-γ+SFU(10
5個の細胞当たり)を、個々のマウスについて、算術平均±標準偏差として示す。
【発明を実施するための形態】
【0136】
5.発明を実施するための形態
処置を必要とする対象における腫瘍性疾患(5.1節を参照)を処置するための方法であって、対象に、アレナウイルス粒子(5.3~5.6節に規定されるアレナウイルス粒子を参照)であって、変異型KRAS(5.7節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列のみを含むか、または変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含むアレナウイルスゲノムを含有するように操作されている、アレナウイルス粒子を送達することを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子を投与することを含み、ここで、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子は、同じまたは異なる抗原性断片をコードする(5.10節を参照)。
【0137】
ある特定の実施形態では、様々な抗原性断片(変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、及び/または腫瘍関連抗原に由来)は、同じ転写物上に存在する、アレナウイルスゲノムの同じ位置に存在する、同じゲノムセグメント上にある、及び/または同じアレナウイルスゲノムに存在する。ある特定の実施形態では、様々な抗原性断片(変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、及び/または腫瘍関連抗原に由来)は、別個の転写物上に存在する、アレナウイルスゲノムの別個の位置に存在する、別個のゲノムセグメント上に存在する、及び/または別個のアレナウイルスゲノムに存在する。
【0138】
5.1腫瘍性疾患
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物で処置することができる腫瘍性疾患としては、以下に列挙される腫瘍性疾患が挙げられる。したがって、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子のゲノムによってコードされる変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)は、列挙される腫瘍性疾患のうちの1つに関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。腫瘍性疾患としては、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄白血病(成人/小児);副腎皮質癌;AIDS関連癌;AIDS関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨の骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳癌(成人/小児);脳腫瘍、小脳星細胞腫(成人/小児);脳腫瘍、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児のがん;カルチノイド消化管腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌腫、原発不明部位;原発不明の癌腫;中枢神経系胚芽腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄白血病;慢性骨髄増殖性障害;結腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(胃の)癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、または卵巣妊娠性絨毛性腫瘍;妊娠性絨毛性腫瘍、原発不明部位;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児視路及び視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視路神経膠腫;眼内黒色腫;島細胞癌(膵島);カポジ肉腫;腎癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔内癌;脂肪肉腫;肝癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;男性乳癌;骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮性頸部癌;口癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄白血病、成人急性;骨髄白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄のがん);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔癌;上咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;オリゴデンドロ神経膠腫;口腔癌;口腔内癌;中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;卵巣上皮癌(表層上皮性・間質性腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵癌;膵癌、島細胞;乳頭腫;副鼻腔及び鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化型松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞新生物/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎癌);腎盂及び尿管、移行細胞癌;15番染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌 軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明扁平上皮性頸部癌、転移性;胃の(胃)癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉症及びセザリー症候群);精巣癌;喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;小児甲状腺癌;腎盂及び尿管の移行細胞癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0139】
ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS(5.7節を参照)及び/または変異型TP53(5.8節を参照)の抗原性断片をコードする。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、ここで、KRASの変異は、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、または非小細胞肺癌(NSCLC)に関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、KRASの変異は、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、KRASの変異は、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、KRASの変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、KRAS及びTP53の変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12R及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R248W及び/またはR273Cである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRAS及びTP53の変異は、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wである。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRAS及びTP53の変異は、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hである。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRAS及びTP53の変異は、膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wである。
【0140】
ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS(5.7節を参照)及び/または変異型TP53(5.8節を参照)の抗原性断片をコードする。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、ここで、KRASの変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、ここで、KRASの変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aである。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、ここで、KRASの変異は、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rである。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、ここで、KRAS及びTP53の変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12R及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R248W及び/またはR273Cである。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、ここで、KRAS及びTP53の変異は、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wである。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、ここで、KRAS及びTP53の変異は、膵癌、結腸直腸癌、または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wである。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードし、ここで、KRAS及びTP53の変異は、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hである。
【0141】
ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)の抗原性断片をコードする。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、ここで、KRASの変異は、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、または非小細胞肺癌(NSCLC)に関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、KRASの変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、KRASは、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、KRAS、TP53及び/またはU2AF1の変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、U2AF1の変異はS34Fである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、KRASの変異は、膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、KRASは、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードし、KRAS、BRAF、TP53、FBXW7及び/またはPIK3CAの変異は、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、BRAFの変異はV600Eであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、FBXW7の変異はR465Hであり、PIK3CAの変異は、E545K及び/またはH1047Rである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、KRAS、BRAF、PIK3CA、EGFR、TP53及び/またはU2AF1の変異は、膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、BRAFの変異はV600Eであり、PIK3CAの変異はE545Kであり、EGFRの変異はL858Rであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、U2AF1の変異はS34Fである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードし、KRAS、TP53、U2AF1、PIK3CA、EGFR及び/またはBRAFの変異は、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、U2AF1の変異はS34Fであり、EGFRの変異は、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、PIK3CAの変異は、E545K及び/またはE542Kであり、BRAFの変異はV600Eである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA及び/または変異型RETの抗原性断片をコードし、KRAS、AKT1、BRAF、HER2、MEK1、MET、NRAS、PIK3CA及び/またはRETの変異は、NSCLCに関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。
【0142】
ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードする。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、ここで、KRASの変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、KRASは、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、KRAS、TP53及び/またはU2AF1の変異は、膵癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、U2AF1の変異はS34Fである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、KRASの変異は、膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、KRASは、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードし、KRAS、BRAF、TP53、FBXW7及び/またはPIK3CAの変異は、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、BRAFの変異はV600Eであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、FBXW7の変異はR465Hであり、PIK3CAの変異は、E545K及び/またはH1047Rである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードし、KRAS、BRAF、PIK3CA、EGFR、TP53及び/またはU2AF1の変異は、膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、BRAFの変異はV600Eであり、PIK3CAの変異はE545Kであり、EGFRの変異はL858Rであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、U2AF1の変異はS34Fである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードし、KRAS、TP53、U2AF1、PIK3CA、EGFR及び/またはBRAFの変異は、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、U2AF1の変異はS34Fであり、EGFRの変異は、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、PIK3CAの変異は、E545K及び/またはE542Kであり、BRAFの変異はV600Eである。ある特定の実施形態では、処置を必要とする対象における腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を対象に投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA及び/または変異型RETの抗原性断片をコードし、AKT1、BRAF、HER2、MEK1、MET、NRAS、PIK3CA及び/またはRETの変異は、NSCLCに関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。
【0143】
5.2アレナウイルス構築物
ある特定の実施形態では、本明細書における方法及び組成物のために操作され得るアレナウイルス粒子としては、以下に列挙される構築物が挙げられる。ある特定の実施形態では、アレナウイルス構築物は、国際特許出願公開第WO2009/083210号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような非複製アレナウイルス構築物である。5.3節を参照されたい。ある特定の実施形態では、アレナウイルス構築物は、国際特許出願公開第WO2016/075250号及び同第WO2021/089853号(どちらもその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような複製または非複製3セグメント型アレナウイルス構築物である。5.4及び5.5節を参照されたい。
【0144】
本明細書で提供される方法及び組成物において使用されるアレナウイルスは、例えばラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウイルス、モペイアウイルス、もしくはイッピイウイルスなどの旧世界ウイルス、または例えばアマパリウイルス、フレキサルウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラチノウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ベアキャニオンウイルス、アルパフアヨウイルス(ALLV)、もしくはホワイトウォーターアロヨウイルスなどの新世界ウイルスであり得る。本明細書で提供される方法及び組成物において使用されるアレナウイルスは、例えば、アレナウイルス、マーマアレナウイルス(mammarenavirus)、旧世界マーマアレナウイルス、新世界マーマアレナウイルス、クレードAの新世界マーマアレナウイルス、クレードBの新世界マーマアレナウイルス、クレードCの新世界マーマアレナウイルス、またはクレードDの新世界マーマアレナウイルスであり得る。本明細書で提供される方法及び組成物において使用されるアレナウイルスは、アルパフアヨウイルス、アルシャウイルス、フニンウイルス、ベアキャニオンウイルス、サビアウイルス、ピチンデウイルス、チャパレウイルス、リジャンウイルス、クピシウイルス、フレキサルウイルス、ガイロウイルス、グアナリトウイルス、イッピイウイルス、ラッサウイルス、ラチノウイルス、ルーイリバーウイルス、ルジョウイルス、ルナウイルス、ルリウイルス、ルンクウイルス(Lunk virus)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マリエンタルウイルス、メリノウォークウイルス、モバラウイルス、モペイアウイルス、モロゴロウイルス、オカハンジャウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピリタルウイルス、アポレーウイルス、リュウキュウウイルス、アマパリウイルス、ソルウェジウイルス、スーリウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、温州ウイルス、ホワイトウォーターアロヨウイルス、ビッグブラッシータンクウイルス、カタリナウイルス、スキナータンクウイルス、トントクリークウイルス、またはシャプーリウイルスを含むがこれらに限定されないマーマアレナウイルスであり得る。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物において使用されるアレナウイルスは、クレードAのアレナウイルスである。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物において使用されるアレナウイルスは、ピチンデウイルスである。
【0145】
5.3複製欠陥アレナウイルス粒子
例示的な複製欠陥アレナウイルス粒子は、例えば、国際特許出願公開第WO2009/083210号(その全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列を有する複製欠陥(例えば、複製欠損)アレナウイルス粒子は、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。具体的な実施形態では、本明細書に記載される複製欠陥アレナウイルス粒子は、本明細書に記載される複製可能なアレナウイルス粒子と組み合わせて、本明細書で提供される方法及び組成物において使用される。より具体的な実施形態では、本明細書に記載される複製欠陥アレナウイルス粒子は、本明細書に記載される複製可能なアレナウイルス粒子と組み合わせて、本明細書で提供される方法及び組成物において使用され、ここで、上記複製可能なアレナウイルス粒子は、対象の腫瘍に直接注射される。
【0146】
ある特定の実施形態では、結果として得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように、GP、NP、Zタンパク質、またはLタンパク質をコードするORFが除去されているかまたは機能的に不活化しているアレナウイルス粒子が本明細書で提供される。1つまたは複数のORFが欠失しているかまたは機能的に不活化している遺伝子改変ゲノムを含むアレナウイルス粒子は、補完細胞(すなわち、欠失しているかまたは機能的に不活化しているアレナウイルスORFを発現する細胞)において産生され得る。結果として得られるアレナウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞への感染時に宿主細胞に転移することができ、上記宿主細胞において、遺伝物質は発現及び増幅され得る。
【0147】
ある特定の実施形態では、そのような異種ヌクレオチド配列はポリシストロン性であり得、そのため、最終的に、単一の異種ヌクレオチド配列/転写物から複数のポリペプチドが産生される。これは、例えば、内部リボソーム進入部位を使用して実現することができる。ある特定の実施形態では、そのようなポリペプチドの1つは、変異型KRASであり得る。ある特定の実施形態では、そのような異種ヌクレオチド配列は、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードし得る。
【0148】
ある特定の実施形態では、アレナウイルスのORFは、欠失しているかまたは機能的に不活化しており、本明細書に記載される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列で置き換えられている。具体的な実施形態では、アレナウイルスの糖タンパク質GPをコードするORFは、欠失しているかまたは機能的に不活化している。ある特定の実施形態では、遺伝子の機能不活化は、任意の翻訳産物を取り除く。ある特定の実施形態では、機能不活化とは、ある程度の翻訳を可能にするが、その翻訳産物がもはや機能性ではなく、野生型タンパク質の代わりとなることができない、遺伝子変更を指す。
【0149】
ある特定の実施形態では、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのアレナウイルスORFのうちの少なくとも1つが、除去され、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列で置き換えられている。別の実施形態では、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも2つのORF、少なくとも3つのORF、または少なくとも4つのORFが、除去され、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列で置き換えられている可能性がある。具体的な実施形態では、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つのみが、除去され、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列で置き換えられている。より具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFが除去されている。別の具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントのNPをコードするORFが除去されている。より具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントのZタンパク質をコードするORFが除去されている。さらに別の具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントのLタンパク質をコードするORFが除去されている。
【0150】
したがって、ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるアレナウイルス粒子は、(i)GP、NP、Zタンパク質、またはLタンパク質をコードするORFが除去されており、(ii)除去されているORFが、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列で置き換えられている、ゲノムセグメントを含む。
【0151】
ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子の補完細胞における成長及び感染力は、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列による影響を受けない。
【0152】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む本明細書で提供されるアレナウイルス粒子またはアレナウイルスゲノムセグメントは、変異したがんドライバー遺伝子または腫瘍関連抗原の少なくとも1つの抗原性断片をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、変異したがんドライバー遺伝子は、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型TP53、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型CTNNB1、及び/または変異型U2AF1である(5.8節を参照)。ある特定の実施形態では、腫瘍関連抗原は、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリーに由来する(5.9節を参照)。
【0153】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は、ワクチン、免疫療法、または医薬組成物としての使用に好適であり、そのようなアレナウイルス粒子を腫瘍性疾患、例えばがんの処置に使用する方法が提供される。本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、節(5.10節を参照)に提供される。
【0154】
5.4 ORFの再構成を伴う3セグメント型アレナウイルス粒子
例示的な3セグメント型アレナウイルス粒子は、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2016/075250号及び同第WO2017/198726号に記載されている。
【0155】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むORFの再構成を伴う3セグメント型アレナウイルス粒子が、本明細書で提供される方法及び組成物において使用され得る。一態様では、1つのLセグメントと2つのSセグメント、または2つのLセグメントと1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子が本明細書で提供される。製造方法については5.6(b)節を参照されたい。ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型アレナウイルス粒子をもたらさない。換言すれば、本明細書で提供される3セグメント型ウイルスは遺伝子的に安定である。より具体的には、ある特定の実施形態では、ゲノムセグメントのうちの2つ(例えば、それぞれ2つのSセグメントまたは2つのLセグメント)は、2つの親セグメントの代わりとなり得る単一のウイルスセグメントを得るように組み換えることができない。ある特定の実施形態では、2つのアレナウイルスORFを2つの別個のセグメントではなく1つのみのセグメント上に統合する、ゲノムセグメントのうちの2つ(例えば、それぞれ2つのSセグメントまたは2つのLセグメント)のセグメント間組換えは、ウイルスプロモーター活性を消失させる。具体的な実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムは、その野生型の位置以外の位置にあるアレナウイルスORFと、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを含む。さらに別の具体的な実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムは、4つのアレナウイルスORFのうちの全てを含む。したがって、ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、複製可能かつ感染性である。
【0156】
ある特定の実施形態では、複製可能かつ感染性であるそのような3セグメント型アレナウイルス粒子(5.6(b)節を参照)のゲノムは、異種ヌクレオチド配列を含めるために利用可能な2つの位置を有する。これらの位置は、例えば以下の表1に記載されるように異種ヌクレオチド配列を組み入れるために使用することができる。ある特定の実施形態では、そのような異種ヌクレオチド配列のそれぞれは、単一の転写物に転写され得る。ある特定の実施形態では、そのような異種ヌクレオチド配列のそれぞれは、ポリペプチドをコードする。ある特定の実施形態では、そのような異種ヌクレオチド配列はポリシストロン性であり得、そのため、最終的に、単一の異種ヌクレオチド配列/転写物から複数のポリペプチドが産生される。これは、例えば、内部リボソーム進入部位を使用することによって実現することができる。ある特定の実施形態では、そのようなポリペプチドの1つは、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)であり得る。ある特定の実施形態では、2つの利用可能な位置における異種ヌクレオチド配列は、共に変異型KRASをコードする。他の実施形態では、2つの利用可能な位置のうちの一方における異種ヌクレオチド配列は、変異型KRASの抗原性断片をコードし、2つの利用可能な位置のうちの他方における異種ヌクレオチド配列は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)または腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードする。
【0157】
ある特定の実施形態では、外来抗原をコードしないヌクレオチド配列を含むORFの再構成を伴う3セグメント型アレナウイルス粒子(5.6(b)節を参照)が、本明細書で提供される方法及び組成物において使用され得る。具体的な実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子はORFを、そのORFの野生型の位置以外の位置に含む。さらに別の具体的な実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つのアレナウイルスORFのうちの全てを含む。したがって、ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、複製可能かつ感染性である。
【0158】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子(5.6(b)節を参照)のGP、NP、Zタンパク質、またはLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスゲノム3’UTRまたはアレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にあり得る。より具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノム3’UTRは、アレナウイルスSセグメントの3’UTRである。別の具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノム3’UTRは、アレナウイルスLセグメントの3’UTRである。より具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノム5’UTRは、アレナウイルスSセグメントの5’UTRである。他の具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノム5’UTRは、アレナウイルスLセグメントの5’UTRである。
【0159】
他の実施形態では、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子(製造方法については5.6(b)節を参照)のGP、NP、Zタンパク質、またはLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルス保存末端配列エレメント(5’及び3’末端の19~20ntの領域)の制御下にあり得る(例えば、Perez&de la Torre,2003,J Virol.77(2):1184-1194を参照)。
【0160】
ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子(製造方法については5.6(b)節を参照)のGP、NP、Zタンパク質またはLタンパク質をコードするORFは、5’UTRのプロモーターエレメントの制御下にあり得る(例えば、Albarino et al.,2011,J Virol.,85(8):4020-4を参照)。別の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFは、3’UTRのプロモーターエレメントの制御下にあり得る(例えば、Albarino et al.,2011,J Virol.,85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施形態では、5’UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント(複数可)またはLセグメント(複数可)の5’UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施形態では、3’UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント(複数可)またはLセグメント(複数可)の3’UTRプロモーターエレメントである。
【0161】
ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質またはLタンパク質をコードするORFは、短縮したアレナウイルス3’UTRまたは短縮したアレナウイルス5’UTRの制御下にあり得る(例えば、Perez&de la Torre,2003,J Virol.77(2):1184-1194、Albarino et al.,2011,J Virol.,85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施形態では、短縮した3’UTRは、アレナウイルスSセグメントまたはLセグメントの3’UTRに由来する。より具体的な実施形態では、短縮した5’UTRは、アレナウイルスSセグメント(複数可)またはLセグメント(複数可)の5’UTRに由来する。
【0162】
本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムのcDNAもまた本明細書で提供される。より具体的な実施形態では、表1に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムをコードするDNA核酸またはDNA核酸のセットが本明細書で提供される。
【0163】
ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルスゲノム(5.6(b)節を参照)のゲノムをコードする核酸は、1つまたは複数のDNA発現ベクターの一部であるかまたはそれに組み込まれる。具体的な実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムをコードする核酸は、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子の産生を容易にする1つまたは複数のDNA発現ベクターの一部であるかまたはそれに組み込まれる。別の実施形態では、本明細書に記載されるcDNAがプラスミドに組み込まれ得る。cDNAの作製のための技法、ならびに当業者に公知の任意のクローニング技法を含む、分子生物学、及びDNAの操作及び作製の慣例的な従来の技法を使用することができる。そのような技法は、当業者に周知であり、Sambrook and Russell,Molecular Cloning:A laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory N.Y.(2001)などの実験マニュアルにおいて利用可能である。
【0164】
細胞株、培養物、ならびに本明細書で提供される核酸、ベクター、及び組成物をトランスフェクトした細胞を培養する方法が本明細書で提供される。
【0165】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は弱毒化されている。特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、ウイルスが少なくとも部分的に複製可能なままであり、in vivoにおいて複製可能であるが、低いウイルス量を生成できるに過ぎず、結果として非病原性の亜臨床レベルの感染をもたらすように弱毒化されている。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用することができる。
【0166】
ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、3セグメント型ウイルスの由来となった2セグメント型アレナウイルス粒子と同じ指向性を有する。
【0167】
本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子を含む医薬組成物もまた本明細書で提供される。
【0168】
(a)1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子
一態様では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子をもたらさない。具体的な実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠く、104PFUの3セグメント型アレナウイルス粒子を感染させたマウス(5.12(m)節を参照)において、少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、または少なくとも100日の持続感染後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子をもたらさない。他の実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、少なくとも10回の継代、少なくとも20回の継代、少なくとも30回の継代、少なくとも40回の継代、または少なくとも50回の継代後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子をもたらさない。
【0169】
特に、3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムは、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含み、ここで、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列は、各Sセグメント上の1つの位置に挿入されている。より具体的には、一方のSセグメントは、アレナウイルスGPと、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、またはそれらの腫瘍関連抗原とをそれぞれコードする。他方のSセグメントは、アレナウイルスNPと、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原とをコードする。Lセグメントは、アレナウイルスLタンパク質及びZタンパク質をコードする。全てのセグメントは、それぞれの5’及び3’UTRに隣接している。
【0170】
より具体的には、
(i)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)(例えば、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照))をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス核タンパク質(「NP」)をコードするORFとを含む第1のSセグメントと、
(ii)アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)(例えば、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照))をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルス糖タンパク質(「GP」)をコードするORFとを含む第2のSセグメントと、
(iii)Lセグメントと
を含むアレナウイルスが本明細書で提供される。
【0171】
ある特定の実施形態では、2つのアレナウイルスORFを2つの別個のセグメントではなく1つのセグメント上に統合する、本明細書で提供される3セグメント型アレナウイルス粒子の2つのSセグメントのセグメント間組換えは、ゲノムの一端を形成する各UTRが同じゲノムの他端の逆向き反復配列となる非機能性プロモーター(すなわち、5’UTR-----------5’UTRまたは3’UTR------------3’UTRの構造のゲノムセグメント)をもたらす。
【0172】
ある特定の実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、その野生型の位置以外の位置にあるアレナウイルスORFと、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列とを保有するように操作されている。他の実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、2つのアレナウイルスORF、または3つのアレナウイルスORF、または4つのアレナウイルスORF、または5つのアレナウイルスORF、または6つのアレナウイルスORFを、それぞれの野生型の位置以外の位置に保有するように操作されている。具体的な実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つのアレナウイルスORFのうちの全ての完全な補完部分を含む。したがって、一部の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、感染性かつ複製可能な3セグメント型アレナウイルス粒子である。具体的な実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子の2つのSセグメントは、それらのORFのうちの1つを野生型の位置以外の位置に保有するように操作されている。より具体的な実施形態では、2つのSセグメントはSセグメントORFの完全な補完部分を含む。ある特定の具体的な実施形態では、LセグメントはORFを野生型の位置以外の位置に保有するように操作されているか、またはLセグメントは野生型ゲノムセグメントであってもよい。
【0173】
ある特定の実施形態では、2つのSセグメントのうちの一方は、
(i)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5’UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント、
(ii)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルス5’UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント、
(iii)NPをコードするORFがアレナウイルス5’UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント、
(iv)GPをコードするORFがアレナウイルス3’UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント、
(v)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルス3’UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント、及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルス3’UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント
であり得る。
【0174】
ある特定の実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、重複するアレナウイルスORF(すなわち、例えばGPまたはNPをコードする2つの野生型ORF)を含み得る。具体的な実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、1つの重複するORF(例えば、(GP、GP))または2つの重複するORF(例えば、(GP、GP)及び(NP、NP))を含み得る。
【0175】
以下の表1は、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子であって、3セグメント型アレナウイルスゲノムにおける2つのSセグメントのセグメント間組換えが、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を消失させる(すなわち、結果として得られる組み換えられたSセグメントが、3’UTRと5’UTRではなく、2つの3’UTRから構成される)、3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノム構成の例示である。
【表2】
【0176】
ある特定の実施形態では、位置1と位置2との間のIGRは、アレナウイルスSセグメントまたはLセグメントIGRであり得、位置3と位置4との間のIGRは、アレナウイルスSセグメントまたはLセグメントIGRであり得、位置5と位置6との間のIGRは、アレナウイルスLセグメントIGRであり得る。具体的な実施形態では、位置1と位置2との間のIGRは、アレナウイルスSセグメントIGRであり得、位置3と位置4との間のIGRは、アレナウイルスSセグメントIGRであり得、位置5と位置6との間のIGRは、アレナウイルスLセグメントIGRであり得る。ある特定の実施形態では、他の組合せもまた可能である。例えば、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子であって、3セグメント型アレナウイルスゲノムにおける2つのSセグメントのセグメント間組換えが、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を消失させる(すなわち、結果として得られる組み換えられたSセグメントが、3’UTRと5’UTRではなく、2つの5’UTRから構成される)、3セグメント型アレナウイルス粒子。
【0177】
ある特定の実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子におけるSセグメントとLセグメントとのセグメント間組換えは、2つの別個のセグメントではなく1つのみのセグメント上に2つのウイルス遺伝子を有する機能性セグメントを再建する。他の実施形態では、1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルス粒子におけるSセグメントとLセグメントとのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子をもたらさない。
【0178】
ある特定の実施形態では、当業者であれば、表1に例示され、本明細書に記載される構成を有するアレナウイルスゲノムを構築し、次いで、5.12節に記載されるアッセイを使用して、3セグメント型アレナウイルス粒子が遺伝子的に安定か否か、すなわち、本明細書において論じられる複製可能な2セグメント型ウイルス粒子をもたらさないか否かを決定することができるだろう。
【0179】
5.5分割アレナウイルスベクター粒子
アレナウイルスはまた、国際特許出願公開第WO2021/089853号及び2021年5月13日に出願された米国仮出願第63/188,317号(これらはその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている手段で操作することもできる。この技術は「分割」ベクター技術とも呼ばれる。上に記載した3セグメント型ウイルスと同様に、WO2021/089853に記載されている技術を使用して、異種ヌクレオチド配列のための2つの空いている位置を有する3セグメント型ウイルスを生成することができる。そのような異種ヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコードし得る。ある特定の実施形態では、そのようなポリペプチドの1つは、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)であり得る。
【0180】
簡潔に述べると、そのような「分割」アレナウイルス粒子は、アレナウイルスORFが2つ以上のmRNA転写物上に分離されるように操作されている。ある特定の実施形態では、転写の結果、アレナウイルスGP、NP、Lタンパク質またはZタンパク質の機能的断片をコードするヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のmRNA転写物が生じるように操作されているアレナウイルスゲノムまたはアンチゲノムセグメントが本明細書で提供される。
【0181】
ある特定の実施形態では、アレナウイルスGPをコードするORFは、2つのmRNA転写物上に、それぞれアレナウイルスゲノムの2つの位置に分離(または分割)されている。例えば、アレナウイルスGPシグナルペプチドまたはその機能的断片は、第1のmRNA転写物(例えば、ウイルスmRNA転写物)から発現することができ、アレナウイルスGP1及びGP2サブユニットは第2のmRNA転写物(例えば、ウイルスmRNA転写物)から発現する。ある特定の実施形態では、第1のmRNA転写物は、アレナウイルス3’ゲノムUTRの制御下にある。ある特定の実施形態では、第2のmRNA転写物は、異種非アレナウイルスシグナルペプチド(例えば水疱性口内炎ウイルスインディアナ血清型糖タンパク質のシグナルペプチド)をさらにコードする。ある特定の実施形態では、第1のmRNA転写物は、異種非アレナウイルスポリペプチド、すなわち変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
【0182】
ある特定の実施形態では、そのような「分割」アレナウイルスベクターのゲノムの構成は以下の通りである:
第1のSセグメント:アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある、異種シグナルペプチドと融合したアレナウイルスGP1及びGP2サブユニット;アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にある、アレナウイルスGPシグナルペプチドと抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列との融合体。
第2のSセグメント:アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にある抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と、アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にある核タンパク質(「NP」)をコードするORF。
Lセグメント:アレナウイルスゲノム5’UTRの制御下にあるアレナウイルスZタンパク質;アレナウイルスゲノム3’UTRの制御下にあるアレナウイルスLタンパク質。
【0183】
ある特定の実施形態では、第1のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列は、第2のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と異なる。ある特定の実施形態では、第1のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列は、第2のSセグメント上の抗原性断片(複数可)をコードするヌクレオチド配列と同じである。
【0184】
ある特定の実施形態では、第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)は、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)と異なる。ある特定の実施形態では、第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)は、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片(複数可)と同じである。ある特定の実施形態では、第1のSセグメント上にコードされている抗原性断片は、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片と同じであるが、第2のSセグメント上にコードされている抗原性断片が互いに融合している順序とは異なる順序で互いに融合している。
【0185】
5.6アレナウイルス粒子の生成
概して、本明細書で提供される方法及び組成物における使用のためのアレナウイルス粒子は、LCMVに関して記載されている標準的な逆遺伝学的技法によって組換え作製することができる(参照によって本明細書に組み込まれる、Flatz et al.,2006,Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668、Sanchez et al.,2006,Virology 350:370、Ortiz-Riano et al.,2013,J Gen Virol.94:1175-88を参照)。本明細書で提供されるアレナウイルス粒子を生成するために、これらの技法は、以下に記載されるように適用することができる。ウイルスのゲノムは、本明細書に記載されるように改変することができる。
【0186】
(a)複製欠損アレナウイルス粒子の生成
感染細胞では遺伝子情報を増幅及び発現することができるが、正常な非補完細胞ではさらなる感染性子孫粒子を産生することができないゲノムを含むように操作されたアレナウイルス粒子であって、1つのアレナウイルスオープンリーディングフレームが、除去され、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている、アレナウイルス粒子が、当業者に公知の任意の逆遺伝学的技法によって組換え作製され得る。
【0187】
ある特定の実施形態では、感染性複製欠損アレナウイルス粒子を生成する方法は、(i)補完宿主細胞(ゲノムセグメントの、欠失しているかまたは機能的に不活化しているオープンリーディングフレームを発現する)に、第1のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAをトランスフェクトすることと、(ii)宿主細胞に、第2のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAをトランスフェクトすることと、(iii)宿主細胞に、アレナウイルスの最小トランス作用因子NP及びLを発現するプラスミドをトランスフェクトすることと、(iv)宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持することと、(v)アレナウイルス粒子を収集することとを含む。ある特定のより具体的な実施形態では、cDNAはプラスミドに含まれる。
【0188】
cDNAから生成されたら、感染性複製欠損アレナウイルスは補完細胞において増殖することができる。補完細胞とは、ゲノムの改変によって複製欠損アレナウイルスから取り除かれた機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているかまたは機能的に不活化している場合、補完細胞はそのGPタンパク質を提供する)。
【0189】
アレナウイルスベクターにおけるORFのうちの1つまたは複数の除去または機能不活化(ここでは、糖タンパク質、すなわちGPの欠失を一例として取り上げる)のために、アレナウイルスベクターは、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例ではGPをトランスで提供する細胞において生成及び増加することができる。以降C細胞と称すそのような補完細胞株は、細胞株、例えばBHK-21、HEK 293、VEROなどに、目的のウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1つまたは複数のプラスミド(補完プラスミド(Cプラスミドと称す))をトランスフェクトすることによって生成される。Cプラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1つまたは複数の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するEF1アルファプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で生成される、アレナウイルスベクターにおいて欠失しているウイルス遺伝子(複数可)を発現する。加えて、補完プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のポリメラーゼII発現カセットの制御下にある哺乳動物選択マーカー、例えばピューロマイシン耐性を備えるか、またはウイルス遺伝子転写物(複数可)の後に内部リボソーム進入部位、例えば脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位が続き、その後に哺乳動物耐性マーカーが続く。E.coliでの作製の場合、プラスミドは、細菌選択マーカー、例えばアンピシリン耐性カセットをさらに備える。
【0190】
使用され得る細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57Gなどは、培養され続け、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコルまたは電気穿孔などの一般的に使用される戦略のいずれかを使用して補完プラスミド(複数可)をトランスフェクトされる。数日後、好適な選択剤、例えばピューロマイシンを滴定濃度で添加する。生存クローンを標準的な手順に従って単離及びサブクローニングし、高発現C細胞クローンを、目的のウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体を用いるウェスタンブロットまたはフローサイトメトリー手順を使用して同定する。安定にトランスフェクトされるC細胞を使用する代わりに、正常細胞の一過性トランスフェクションによって、以下のC細胞を使用するステップのそれぞれにおいて欠落しているウイルス遺伝子(複数可)を補完してもよい。加えて、ヘルパーウイルスを使用して、欠落している機能性をトランスで提供してもよい。
【0191】
ある特定の実施形態では、補完宿主細胞は、培養され続け、1つまたは複数のプラスミドをトランスフェクトされる。プラスミド(複数可)は、ポリメラーゼIプロモーター及びターミネーターの制御下で生成されるアレナウイルス粒子のアレナウイルスゲノムセグメント(複数可)をコードする。
【0192】
アレナウイルス粒子の生成のために使用することができるプラスミドは、i)Sゲノムセグメント、例えばpol-I Sをコードするプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えばpol-I Lをコードするプラスミドを含み得る。ある特定の実施形態では、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドは、トランスフェクション混合物に組み込まれ得る。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及び/またはNPをコードするプラスミド(それぞれpC-L及びpC-NP)が存在し得る。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小トランス作用因子である。あるいは、NP及びLタンパク質と一緒になったウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ2つの別個のプラスミドのL及びSセグメントcDNAを反対側から読み取るpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して実施してもよい。
【0193】
典型的には、RNAポリメラーゼI駆動発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動カセットまたはT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動カセットを使用することができ、後者を、正確な末端を得るために、一次転写物のプロセシングのための3’末端リボザイムと共に優先的に使用することができる。ある特定の実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであり得る、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0194】
他の実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、双方向発現カセットを使用して実施される(例えば、Ortiz-Riano et al.,2013,J Gen Virol.,94(Pt 6):1175-1188を参照)。より具体的な実施形態では、双方向発現カセットは、それぞれ挿入されたアレナウイルスゲノムセグメントの2つの末端を反対側から読み取るポリメラーゼIプロモーターとポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。
【0195】
他の実施形態では、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写はプロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーターまたはT3プロモーターが挙げられる。
【0196】
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の回収については、以下の手順が想定される。第1日:補完細胞にプラスミドの混合物を上に記載したようにトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコルまたは電気穿孔などの任意の一般的に使用される戦略を利用することができる。
【0197】
3~5日後:細胞懸濁液(すなわち、細胞及び培地)を収集する。培地に存在するアレナウイルス粒子を遠心分離によって細胞及び細片から取り除き、上清(すなわち、アレナウイルスベクター調製物)をアリコートし、4℃、-20℃、または-80℃で保存する。アレナウイルスベクター調製物の感染性力価を免疫フォーカスアッセイによって評価する。あるいは、トランスフェクトされた細胞及び上清は、トランスフェクション後3~5日目により大きな容器に継代してもよく、ベクターは、上述のように、継代の最大5日後に収集する。
【0198】
(b)3セグメント型複製可能アレナウイルス粒子の生成
ウイルスORFを、そのORFの野生型の位置以外の位置に保有するように操作されているゲノムセグメントを含み、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列をさらに含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、例えば参照によって本明細書に組み込まれるEmonet et al.,2008,PNAS,106(9):3473-3478、Popkin et al.,2011,J.Virol.,85(15):7928-7932によって記載されているような当技術分野で公知の逆遺伝学的技法によって組換え作製することができる。5.4及び5.5節に記載されたどちらのベクター系も、この節に記載される方法を使用して生成することができる。
【0199】
ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子を生成する方法は、(i)宿主細胞に、1つのアレナウイルスLセグメント及び2つのアレナウイルスSセグメントのcDNA、または2つのアレナウイルスLセグメント及び1つのアレナウイルスSセグメントのcDNAをトランスフェクトすることと、(ii)宿主細胞に、アレナウイルスの最小トランス作用因子NP及びLタンパク質を発現するプラスミドをトランスフェクトすることと、(iii)宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持することと、(iv)アレナウイルス粒子を収集することとを含む。ある特定のより具体的な実施形態では、アレナウイルスのS及びLセグメントのcDNAはプラスミドに含まれる。
【0200】
cDNAから生成されたら、3セグメント型アレナウイルス粒子(すなわち、感染性かつ複製可能)は、増殖することができる。ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、本明細書に記載されるウイルスの使用を可能にする力価までウイルスが成長することを可能にする任意の宿主細胞において増殖することができる。一実施形態では、宿主細胞は、対応する野生型について決定された力価に匹敵する力価まで3セグメント型アレナウイルス粒子が成長することを可能にする。
【0201】
ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は、宿主細胞において増殖し得る。使用され得る宿主細胞の具体例としては、BHK-21、HEK 293、VEROなどが挙げられる。具体的な実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子は細胞株において増殖し得る。
【0202】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、培養され続け、1つまたは複数のプラスミドをトランスフェクトされる。プラスミド(複数可)は、ポリメラーゼIプロモーター及びターミネーターの制御下で生成されるアレナウイルス粒子のアレナウイルスゲノムセグメント(複数可)をコードする。
【0203】
具体的な実施形態では、宿主細胞は、培養され続け、1つまたは複数のプラスミドをトランスフェクトされる。プラスミド(複数可)は、例えばポリメラーゼIIプロモーター及びターミネーターからなる、哺乳動物細胞での発現に好適な1つまたは複数の発現カセットの制御下で生成されるウイルスタンパク質(複数可)をコードする。
【0204】
1つのLセグメントと2つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルスを生成するために使用することができるプラスミドは、i)それぞれゲノムのSセグメント、例えばpol-I Sをコードする2つのプラスミド、ii)ゲノムのLセグメント、例えばpol-I Lをコードするプラスミドを含み得る。2つのLセグメントと1つのSセグメントとを含む3セグメント型アレナウイルスのために必要なプラスミドは、i)それぞれゲノムのLセグメント、例えばpol-Lをコードする2つのプラスミド、ii)ゲノムのSセグメント、例えばpol-I Sをコードするプラスミドである。
【0205】
ある特定の実施形態では、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドは、トランスフェクション混合物に組み込まれ得る。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及びNPをコードするプラスミド(それぞれpC-L及びpC-NP)が使用され得る。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小トランス作用因子である。あるいは、NP及びLタンパク質と一緒になったウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ2つの別個のプラスミドのL及びSセグメントcDNAを反対側から読み取るpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して実施してもよい。
【0206】
加えて、プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のポリメラーゼII発現カセットの制御下にある哺乳動物選択マーカー、例えばピューロマイシン耐性を備えるか、またはウイルス遺伝子転写物(複数可)の後に内部リボソーム進入部位、例えば脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位が続き、その後に哺乳動物耐性マーカーが続く。E.coliでの作製の場合、プラスミドは、細菌選択マーカー、例えばアンピシリン耐性カセットをさらに備える。
【0207】
宿主細胞へのプラスミド(複数可)のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコルまたは電気穿孔などの一般的に使用される戦略のいずれかを使用して実施することができる。
【0208】
典型的には、RNAポリメラーゼI駆動発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動カセットまたはT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動カセットを使用することができ、後者を、正確な末端を得るために、一次転写物のプロセシングのための3’末端リボザイムと共に優先的に使用することができる。ある特定の実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであり得る、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0209】
他の実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、双方向発現カセットを使用して実施される(例えば、Ortiz-Riano et al.,2013,J Gen Virol.,94(Pt 6):1175-1188を参照)。より具体的な実施形態では、双方向発現カセットは、それぞれ挿入されたアレナウイルスゲノムセグメントの2つの末端を反対側から読み取るポリメラーゼIプロモーターとポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。
【0210】
他の実施形態では、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写はプロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーターまたはT3プロモーターが挙げられる。
【0211】
3セグメント型アレナウイルスベクターの回収については、以下の手順が想定される。第1日:細胞にプラスミドの混合物を上に記載したようにトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコルまたは電気穿孔などの任意の一般的に使用される戦略を利用することができる。
【0212】
3~5日後:細胞懸濁液(すなわち、細胞及び培地)を収集する。培地に存在するアレナウイルス粒子を遠心分離によって細胞及び細片から取り除き、上清(すなわち、アレナウイルスベクター調製物)をアリコートし、4℃、-20℃、または-80℃で保存する。アレナウイルスベクター調製物の感染性力価を免疫フォーカスアッセイによって評価する。あるいは、トランスフェクトされた細胞及び上清は、トランスフェクション後3~5日目により大きな容器に継代してもよく、ベクターは、上述のように、継代の最大5日後に収集する。
【0213】
ある特定の実施形態では、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードするヌクレオチド配列の発現であって、ゲノムセグメントをコードするプラスミドが、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原をコードするヌクレオチド配列を組み込むように改変されている、ヌクレオチド配列の発現が提供される。変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原をコードするヌクレオチド配列は、制限酵素を使用してプラスミドに組み込むことができる。
【0214】
5.7変異型KRAS
本出願の文脈では、「変異型KRAS」とは、変異したKRAS遺伝子によってコードされるポリペプチドを意味する。
【0215】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、変異したがんドライバー遺伝子(複数可)(例えば、変異型TP53)または腫瘍関連抗原(複数可)の1つまたは複数の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子(すなわち、異なるヌクレオチド配列を含む同じアレナウイルス粒子)が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片と、変異したがんドライバー遺伝子(複数可)(例えば、変異型TP53)または腫瘍関連抗原(複数可)の1つまたは複数の抗原性断片とをコードするヌクレオチド配列(すなわち、異なる抗原性断片をコードする同じヌクレオチド配列)を有するアレナウイルス粒子が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、KRASの変異は、KRASのアミノ酸位置G12、G13、A18、A59、Q61、K117、A146、またはD119に存在する。ある特定の実施形態では、KRASの変異は、A18D、A59E、A59G、A59P、A59T、A59S、A59V、A146P、A146S、A146T、A146V、D119N、G12A、G12C、G12D、G12F、G12L、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13E、G13R、G13S、G13V、K117N、Q61E、Q61H、Q61K、Q61L、Q61P、Q61R、またはそれらの組合せである。ある特定の実施形態では、KRASの変異は、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、Q61H、Q61R、A146T、またはそれらの組合せである。ある特定の実施形態では、KRASの変異は、G13D、G12V、G12C、G12D、G12R、またはそれらの組合せである。より具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムは、変異型KRASの複数の断片であって、それぞれ、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む、断片をN末端からC末端に向かってコードするヌクレオチド配列を含む。他のより具体的な実施形態では、アレナウイルスゲノムは、変異G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rを含む変異型KRASの断片を任意の可能な順序でコードするヌクレオチド配列を含む。
【0216】
ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号20の配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0217】
ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、アミノ酸配列が配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である発現産物をコードする。
【0218】
ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、変異型KRASの断片をコードし、ここで、断片は、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、または30アミノ酸長であり、断片は、変異型KRASの変異を含む。より具体的な実施形態では、ヌクレオチド配列は、変異型KRASの断片をコードし、ここで、断片は、18アミノ酸長である。
【0219】
ある特定の実施形態では、抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域は、0アミノ酸長、1アミノ酸長、2アミノ酸長、3アミノ酸長、4アミノ酸長、5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、または20アミノ酸長である。より具体的な実施形態では、抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域は、8アミノ酸長である。別のより具体的な実施形態では、抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域は、9アミノ酸長である。ある特定の実施形態では、抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域は、0アミノ酸長、1アミノ酸長、2アミノ酸長、3アミノ酸長、4アミノ酸長、5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、または20アミノ酸長である。より具体的な実施形態では、抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域は、8アミノ酸長である。別のより具体的な実施形態では、抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域は、9アミノ酸長である。
【0220】
ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの2つの抗原性断片、変異型KRASの3つの抗原性断片、変異型KRASの4つの抗原性断片、変異型KRASの5つの抗原性断片、変異型KRASの6つの抗原性断片、変異型KRASの7つの抗原性断片、変異型KRASの8つの抗原性断片、変異型KRASの9つの抗原性断片、変異型KRASの10の抗原性断片、変異型KRASの11の抗原性断片、変異型KRASの12の抗原性断片、変異型KRASの13の抗原性断片、変異型KRASの14の抗原性断片、変異型KRASの15の抗原性断片、変異型KRASの16の抗原性断片、変異型KRASの17の抗原性断片、変異型KRASの18の抗原性断片、変異型KRASの19の抗原性断片、または変異型KRASの20の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含み、ここで、抗原性断片のそれぞれは、変異型KRASタンパク質のうちの1つの変異を含む。ある特定の実施形態では、抗原性断片のそれぞれは、変異型KRASタンパク質の同じ変異または異なる変異を含む。具体的な実施形態では、各断片は、KRASの異なる変異を含む。より具体的な実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの5つの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムを含み、ここで、抗原性断片のそれぞれは、変異型KRASの異なる変異を含み、異なる変異は、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、抗原性断片のそれぞれは、18アミノ酸長である。
【0221】
ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片は、一緒に直接融合している。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片は、同じまたは異なるペプチドリンカーを介して一緒に融合している。具体的な実施形態では、変異型KRASの抗原性断片は、AAYリンカー(AAY)、AAAリンカー(AAA)、GSリンカー(GGSGGGGSGG)(配列番号42)、またはin silico予測を介して最適化されたAAY、AAA、及びGSリンカー配列のバリアントを介して一緒に融合している。
【0222】
ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子のヌクレオチド配列は、任意のCpG及びTpAアイランドを減少または除去するように操作されている。具体的な実施形態では、CpG及びTpAアイランドの除去は、3つのサイクル:(i)第1のサイクルにおいてCpGを除去し、(ii)第2のサイクルにおいてTpAを除去し、(iii)第2のサイクルで新たに導入されたCpGを除去するために、第3のサイクルにおいてCpGを除去する、を含む。
【0223】
5.8変異したがんドライバー遺伝子
本出願の文脈では、「変異したがんドライバー遺伝子」とは、変異したがんドライバー遺伝子によってコードされるポリペプチドを意味する。
【0224】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物において使用される変異したがんドライバー遺伝子は、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53、及び変異型CTNNB1を含む。
【0225】
ある特定の実施形態では、変異したがんドライバー遺伝子(複数可)(例えば、変異型TP53(複数可))の1つまたは複数の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子(すなわち、異なるヌクレオチド配列を含む同じアレナウイルス粒子)が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片と、変異したがんドライバー遺伝子(複数可)(例えば、変異型TP53(複数可))の1つまたは複数の抗原性断片とをコードするヌクレオチド配列(すなわち、異なる抗原性断片をコードする同じヌクレオチド配列)を有するアレナウイルス粒子が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をさらにコードし得、ここで、抗原性断片はそれぞれの変異を含む。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、変異型PI3KCAの抗原性断片をさらにコードし得る。特に、PI3KCAの変異は、E545K、H1047R、及び/またはE542Kである。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、変異型BRAFの抗原性断片をさらにコードし得る。特に、BRAFの変異はV600Eである。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、変異型U2AF1の抗原性断片をさらにコードし得る。特に、U2AF1の変異はS34Fである。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、変異型TP53の抗原性断片をさらにコードし得る。特に、TP53の変異は、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W、及び/またはC277F変異である。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、E545K変異、H1047R変異、もしくはE542K変異を有する変異型PI3KCA、V600E変異を有する変異型BRAF、またはR175H変異を有する変異型TP53の抗原性断片をさらにコードし得る。
【0226】
ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の抗原性断片をコードする。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子のゲノムによってコードされる、変異型KRAS、V600Eの変異を有する変異型BRAF、または変異型PIK3CAの抗原性断片は、結腸直腸癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子のゲノムによってコードされる、変異型KRAS、変異型BRAF、または変異型PIK3CAの抗原性断片は、肺腺癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子のゲノムによってコードされる、変異型KRAS及び変異型PIK3CAの抗原性断片は、肺扁平上皮癌に関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子のゲノムによってコードされる、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、または変異型RETの抗原性断片は、非小細胞肺癌(NSCLC)に関連し得るかまたはそれに特異的であり得る。
【0227】
ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の断片をコードし、ここで、断片は、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、または30アミノ酸長であり、断片は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の変異を含む。
【0228】
ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の断片をコードし、ここで、断片は、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、または30アミノ酸長であり、断片は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の変異を含む。
【0229】
ある特定の実施形態では、抗原性断片のN末端の変異に隣接する領域は、0アミノ酸長、1アミノ酸長、2アミノ酸長、3アミノ酸長、4アミノ酸長、5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、または20アミノ酸長である。ある特定の実施形態では、抗原性断片のC末端の変異に隣接する領域は、0アミノ酸長、1アミノ酸長、2アミノ酸長、3アミノ酸長、4アミノ酸長、5アミノ酸長、6アミノ酸長、7アミノ酸長、8アミノ酸長、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、または20アミノ酸長である。
【0230】
ある特定の実施形態では、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の2つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の3つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の4つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の5つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の6つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の7つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の8つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の9つの抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の10の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の11の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の12の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の13の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の14の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の15の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の16の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の17の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の18の抗原性断片、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の19の抗原性断片、または変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の20の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子であって、抗原性断片のそれぞれが、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)タンパク質のうちの1つの変異を含む、アレナウイルス粒子。ある特定の実施形態では、抗原性断片のそれぞれは、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)タンパク質の同じ変異または異なる変異を含む。具体的な実施形態では、各断片は、がんドライバー遺伝子の異なる変異を含む。
【0231】
ある特定の実施形態では、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の抗原性断片は、一緒に直接融合している。ある特定の実施形態では、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の抗原性断片は、同じまたは異なるペプチドリンカーを介して一緒に融合している。具体的な実施形態では、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)の抗原性断片は、AAYリンカー(AAY)、AAAリンカー(AAA)、GSリンカー(GGSGGGGSGG)(配列番号42)、またはin silico予測を介して最適化されたAAY、AAA、及びGSリンカー配列のバリアントを介して一緒に融合している。
【0232】
本出願の文脈では、「変異型TP53」とは、変異したTP53遺伝子によってコードされるポリペプチドを意味する。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の変異型TP53の1つまたは複数の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子(すなわち、異なるヌクレオチド配列を含む同じアレナウイルス粒子)が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片と、1つまたは複数の変異型TP53の1つまたは複数の抗原性断片とをコードするヌクレオチド配列(すなわち、異なる抗原性断片をコードする同じヌクレオチド配列)を有するアレナウイルス粒子が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、変異型TP53の抗原性断片をさらにコードし得、ここで、抗原性断片はそれぞれの変異を含む。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、変異型TP53の抗原性断片をさらにコードし得る。特に、TP53の変異は、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W、またはC277F変異である。
【0233】
ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、アレナウイルス粒子を投与することを含み、ここで、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、腫瘍性疾患は肺腺癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び変異型TP53の抗原性断片をコードし、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、腫瘍性疾患は肺腺癌である。
【0234】
5.9腫瘍関連抗原
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物において使用される腫瘍関連抗原は、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー、及びXBPファミリーに由来する抗原を含む。
【0235】
ある特定の実施形態では、腫瘍関連抗原(複数可)の1つまたは複数の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子(すなわち、異なるヌクレオチド配列を含む同じアレナウイルス粒子)が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片と、腫瘍関連抗原(複数可)の1つまたは複数の抗原性断片とをコードするヌクレオチド配列(すなわち、異なる抗原性断片をコードする同じヌクレオチド配列)を有するアレナウイルス粒子が、本明細書で提供され、本明細書で提供される方法及び組成物において使用することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物において使用される腫瘍関連抗原は、新生細胞または腫瘍、例えばがん細胞または悪性腫瘍の内部または表面上に発現する免疫原性タンパク質である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物において使用される腫瘍関連抗原は、新生細胞または腫瘍と正常細胞または組織の両方の表面上に存在し得る、非特異的、変異型、過剰発現、または異常発現タンパク質である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物において使用される腫瘍関連抗原は、腫瘍細胞に限定される腫瘍特異的抗原である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物において使用される腫瘍関連抗原は、がん細胞に限定されるがん特異的抗原である。ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置するための方法は、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、ここで、第2のアレナウイルス粒子は、腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードする。
【0236】
ある特定の実施形態では、腫瘍関連抗原は、以下の特徴:過剰発現/蓄積(すなわち、正常組織と新生組織の両方によって発現されるが、新生物において高度に発現する)、がん胎児性(すなわち、通例、胎児組織及びがん性体細胞においてのみ発現する)、腫瘍ウイルス性もしくは発がんウイルス性(すなわち、腫瘍形成性形質転換ウイルスによってコードされる)、がん-精巣性(すなわち、がん細胞及び成人生殖組織、例えば精巣によってのみ発現される)、系統限定性(すなわち、主に単一のがん組織型によって発現される)、変異している(すなわち、遺伝子変異または転写の変化の結果として新生組織においてのみ発現する)、翻訳後変化している(例えば、グリコシル化における腫瘍関連変化)、またはイディオタイプ(すなわち、BまたはTリンパ球の悪性クローナル増加から発生する)のうちの1、2、または3つ以上、例えば全てを示し得る。
【0237】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物において使用される腫瘍関連抗原としては、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄白血病(成人/小児);副腎皮質癌;AIDS関連癌;AIDS関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨の骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳癌(成人/小児);脳腫瘍、小脳星細胞腫(成人/小児);脳腫瘍、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児のがん;カルチノイド消化管腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌腫、原発不明部位;原発不明の癌腫;中枢神経系胚芽腫;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄白血病;慢性骨髄増殖性障害;結腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(胃の)癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、または卵巣妊娠性絨毛性腫瘍;妊娠性絨毛性腫瘍、原発不明部位;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児視路及び視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視路神経膠腫;眼内黒色腫;島細胞癌(膵島);カポジ肉腫;腎癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔内癌;脂肪肉腫;肝癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム;男性乳癌;骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮性頸部癌;口癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄白血病、成人急性;骨髄白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄のがん);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔癌;上咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;オリゴデンドロ神経膠腫;口腔癌;口腔内癌;中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;卵巣上皮癌(表層上皮性・間質性腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵癌;膵癌、島細胞;乳頭腫;副鼻腔及び鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化型松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞新生物/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎癌);腎盂及び尿管、移行細胞癌;15番染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌 軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明扁平上皮性頸部癌、転移性;胃の(胃)癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉症及びセザリー症候群);精巣癌;喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行細胞癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;ならびにウィルムス腫瘍を含む腫瘍性疾患からの抗原が挙げられる。
【0238】
ある特定の実施形態では、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー、及びXBPファミリーの抗原性断片をさらにコードし得る。
【0239】
ある特定の実施形態では、腫瘍関連抗原の断片は、(i)抗体免疫応答を宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ロバまたはヒト)において誘発すること(ここで、結果として生じる抗体は、新生細胞(例えば、がん細胞)の内部または表面上に発現する免疫原性タンパク質に特異的に結合する)、及び/または(ii)特異的T細胞免疫応答を誘発することができる場合、抗原性である。
【0240】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、8~100ヌクレオチド長、15~100ヌクレオチド長、25~100ヌクレオチド長、50~200ヌクレオチド長、50~400ヌクレオチド長、200~500ヌクレオチド長、または400~600ヌクレオチド長、500~800ヌクレオチド長である。他の実施形態では、本明細書で提供される抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、750~900ヌクレオチド長、800~100ヌクレオチド長、850~1000ヌクレオチド長、900~1200ヌクレオチド長、1000~1200ヌクレオチド長、1000~1500ヌクレオチドもしくは10~1500ヌクレオチド長、1500~2000ヌクレオチド長、1700~2000ヌクレオチド長、2000~2300ヌクレオチド長、2200~2500ヌクレオチド長、2500~3000ヌクレオチド長、3000~3200ヌクレオチド長、3000~3500ヌクレオチド長、3200~3600ヌクレオチド長、3300~3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド~4400ヌクレオチド長、4200~4700ヌクレオチド長、4800~5000ヌクレオチド長、5000~5200ヌクレオチド長、5200~5500ヌクレオチド長、5500~5800ヌクレオチド長、5800~6000ヌクレオチド長、6000~6400ヌクレオチド長、6200~6800ヌクレオチド長、6600~7000ヌクレオチド長、7000~7200ヌクレオチド長、7200~7500ヌクレオチド長、または7500ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は、5~10アミノ酸長、10~25アミノ酸長、25~50アミノ酸長、50~100アミノ酸長、100~150アミノ酸長、150~200アミノ酸長、200~250アミノ酸長、250~300アミノ酸長、300~400アミノ酸長、400~500アミノ酸長、500~750アミノ酸長、750~1000アミノ酸長、1000~1250アミノ酸長、1250~1500アミノ酸長、1500~1750アミノ酸長、1750~2000アミノ酸長、2000~2500アミノ酸長、または2500を超えるかもしくは2500以上のアミノ酸長のペプチドまたはポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、ヌクレオチド配列は2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施形態では、ヌクレオチド配列は終止コドンを含有しない。ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列はコドン最適化される。ある特定の実施形態では、ヌクレオチド組成物、ヌクレオチド対組成物、またはその両方が最適化され得る。そのような最適化のための技法は、当技術分野で公知であり、腫瘍関連抗原またはその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を最適化するために適用され得る。
【0241】
ある特定の実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメント、アレナウイルス粒子、または3セグメント型アレナウイルス粒子は、腫瘍関連抗原またはその抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み得る。他の実施形態では、アレナウイルスゲノムセグメント、アレナウイルス粒子、または3セグメント型アレナウイルス粒子は、腫瘍関連抗原もしくはその抗原性断片をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、腫瘍関連抗原もしくはその抗原性断片をコードする少なくとも2つのヌクレオチド配列、腫瘍関連抗原もしくはその抗原性断片をコードする少なくとも3つのヌクレオチド配列、または腫瘍関連抗原もしくはその抗原性断片をコードする4つ以上のヌクレオチド配列を含み得る。
【0242】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるアレナウイルス粒子は、a)ゲノムセグメントの野生型形態に存在するORFの除去または機能不活化を有し、b)(i)本明細書で提供される1つまたは複数の変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原を(センスまたはアンチセンスのいずれかに)コードするゲノムセグメントを含む。他の実施形態では、本明細書で提供されるアレナウイルス粒子は、a)アレナウイルスORFを、そのORFの野生型の位置以外の位置に含み、b)(i)本明細書で提供される1つまたは複数の変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原を(センスまたはアンチセンスのいずれかに)コードするゲノムセグメントを含む。
【0243】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原をコードするように生成されたアレナウイルス粒子は、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原は、本明細書に記載される様々な1つまたは複数のリンカー、スペーサー、または切断部位によって分離される。
【0244】
5.10使用方法
対象における腫瘍性疾患を予防及び/または処置するための方法であって、アレナウイルス粒子を対象に投与することを含み、アレナウイルス粒子が、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)をコードする、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードする。ある特定の実施形態では、これらの方法は、腫瘍成長の抑制をもたらす。ある特定の実施形態では、これらの方法は、より低い再発率をもたらす。
【0245】
ある特定の実施形態では、対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、(a)対象に、第1のアレナウイルス粒子であって、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)をコードする、第1のアレナウイルス粒子を投与することと、(b)対象に、第2のアレナウイルス粒子であって、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原を発現する、第2のアレナウイルス粒子を投与することとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、(a)及び(b)は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回繰り返される。一部の実施形態では、第1及び第2のアレナウイルス粒子は同時に投与される。他の実施形態では、(a)と(b)の間隔は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間である。他の実施形態では、(a)と(b)の間隔は、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、22週間、23週間、または24週間である。他の実施形態では、(a)と(b)の間隔は、25週間、26週間、27週間、28週間、29週間、30週間、31週間、32週間、33週間、34週間、35週間、または36週間である。さらに、(a)と(b)とを繰り返している間、間隔は、(a)及び(b)の元のサイクルと同じであっても、(a)及び(b)の元のサイクルと異なっていてもよい。したがって、繰り返している時の(a)と(b)の間隔は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間であってもよい。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子は、同じ抗原(複数可)をコードする、例えば、2つのアレナウイルス粒子は、同じ変異型KRAS(複数可)、変異したがんドライバー遺伝子(複数可)(例えば、変異型TP53(複数可))及び/または腫瘍関連抗原(複数可)をコードする。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子は、異なる抗原をコードする、例えば、第1のアレナウイルス粒子は変異型KRASのみをコードし、第2のアレナウイルス粒子は、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原をコードする。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子は変異型KRASのみをコードし、第2のアレナウイルス粒子は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原をコードする。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原をコードし、第2のアレナウイルス粒子は変異型KRASのみをコードする。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原をコードし、第2のアレナウイルス粒子は、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原をコードする。
【0246】
ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子は同じである。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子は、同じ(すなわち、同じ骨格を有する)アレナウイルスに由来するが、異なる変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現する。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子は、異なる(すなわち、異なる骨格を有する)アレナウイルスに由来するが、同じ変異型KRAS(複数可)、変異型TP53(複数可)、変異したがんドライバー遺伝子(複数可)、または腫瘍関連抗原(複数可)を発現する。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子及び第2のアレナウイルス粒子は、異なる(すなわち、異なる骨格を有する)アレナウイルスに由来し、異なる変異型KRAS、変異型TP53(複数可)、変異したがんドライバー遺伝子、または腫瘍関連抗原を発現する。
【0247】
ある特定の実施形態では、対象における腫瘍性疾患を処置するための方法であって、(a)対象に、第1のアレナウイルス粒子であって、複製可能であり、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現する、第1のアレナウイルス粒子を投与することと、(b)対象に、第2のアレナウイルス粒子であって、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原を発現する、第2のアレナウイルス粒子を投与することとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、第1のアレナウイルス粒子は3セグメント型(5.6(b)節を参照)である。具体的な実施形態では、第1のアレナウイルス粒子は複製可能である。具体的な実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は複製欠陥である。具体的な実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は複製可能である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は3セグメント型である。具体的な実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は3セグメント型かつ複製可能である。
【0248】
ある特定の実施形態では、対象における腫瘍性疾患を処置する方法であって、変異型KRAS(5.7節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子を投与することを含み、腫瘍性疾患が膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、または非小細胞肺癌(NSCLC)である、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS(5.8節を参照)の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53及び/または変異型U2AF1(5.8節を参照)の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、U2AF1の変異はS34Fであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、KRASの変異は、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、KRASの変異は、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7、及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、BRAFの変異はV600Eであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、FBXW7の変異はR465Hであり、PIK3CAの変異は、E545K及び/またはH1047Rであり、腫瘍性疾患は結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、BRAFの変異はV600Eであり、PIK3CAの変異はE545Kであり、EGFRの変異はL858Rであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、U2AF1の変異はS34Fであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、U2AF1の変異はS34Fであり、EGFRの変異は、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、PIK3CAの変異はE545K及び/またはE542Kであり、BRAFの変異はV600Eであり、腫瘍性疾患は肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA及び/または変異型RETの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、腫瘍性疾患は非小細胞肺癌(NSCLC)である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片はそれぞれの変異を含む。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型U2AF1の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、U2AF1の変異はS34Fである。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、TP53の変異は、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248WまたはC277Fである。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリー(5.9節を参照)の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含む。
【0249】
ある特定の実施形態では、対象における腫瘍性疾患を処置する方法であって、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRASの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、抗原性断片が変異を含み、KRASの変異が、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aであり、腫瘍性疾患が膵癌である、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、U2AF1の変異はS34Fであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型TP53、変異型FBXW7及び/または変異型PIK3CAの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、BRAFの変異はV600Eであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、FBXW7の変異はR465Hであり、PIK3CAの変異は、E545K及び/またはH1047Rであり、腫瘍性疾患は結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型BRAF、変異型PIK3CA、変異型EGFR、変異型TP53、及び/または変異型U2AF1の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、BRAFの変異はV600Eであり、PIK3CAの変異はE545Kであり、EGFRの変異はL858Rであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、U2AF1の変異はS34Fであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS、変異型TP53、変異型U2AF1、変異型PIK3CA、変異型EGFR及び/または変異型BRAFの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、U2AF1の変異はS34Fであり、EGFRの変異は、L858R、L861Q及び/またはE746_A750delであり、PIK3CAの変異は、E545K及び/またはE542Kであり、BRAFの変異はV600Eであり、腫瘍性疾患は肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA及び/または変異型RETの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、腫瘍性疾患は非小細胞肺癌(NSCLC)である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型AKT1、変異型BRAF、変異型HER2、変異型MEK1、変異型MET、変異型NRAS、変異型PIK3CA、変異型RET、変異型APC、変異型U2AF1、変異型EGFR、変異型FBXW7、変異型SMAD4、変異型GNAS、変異型ERBB2、変異型ERBB3、変異型CDKN2A、変異型FBXW7、変異型TP53及び/または変異型CTNNB1(5.8節を参照)の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含む。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型U2AF1の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、U2AF1の変異はS34Fである。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、TP53の変異は、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277F(5.8節を参照)である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、BIRCファミリー、CEACAMファミリー、CTAファミリー、EPHファミリー、ERBBファミリー、FOLRファミリー、GASTファミリー、GUCY2ファミリー、IDOファミリー、IL13RAファミリー、KDRファミリー、KLKファミリー、MAGEファミリー、MUCファミリー、PEMTファミリー、SDCファミリー、SLAMFファミリー、TERTファミリー、TLRファミリー、TPTEファミリー、TYRファミリー、WTファミリー及び/またはXBPファミリー(5.9節を参照)の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含む。
【0250】
ある特定の実施形態では、対象における腫瘍性疾患を処置する方法であって、変異型KRAS(5.7節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子を投与することを含み、腫瘍性疾患が、膵癌、結腸直腸癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、または非小細胞肺癌(NSCLC)である、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、KRASの変異は、G13D、G12V、G12C、G12D、及びG12Rであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12R。G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、腫瘍性疾患は肺腺癌である。
【0251】
ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片はそれぞれの変異を含む。ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、TP53の変異は、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248WまたはC277Fである。
【0252】
ある特定の実施形態では、対象における腫瘍性疾患を処置する方法であって、第2のアレナウイルス粒子を投与することをさらに含み、第2のアレナウイルス粒子が、変異型KRAS(5.7節を参照)の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、抗原性断片が変異を含み、腫瘍性疾患が膵癌である、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G12C、G12R、G13D、A146T、G12S、Q61H、G12A、及び/またはQ61Rであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。
【0253】
ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRASの抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G12R、Q61H、Q61R、G12C、G12S、及び/またはG12Aであり、腫瘍性疾患は膵癌である。
【0254】
ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12R、G12V、Q61H及び/またはQ61Rであり、TP53の変異は、R175H、R248W、G245S、R282W、R248Q及び/またはR273Cであり、腫瘍性疾患は膵癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12D、G12V、G13D、A146T及び/またはG12Cであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12D、G12R、G13D及び/またはG12Vであり、TP53の変異は、R175H、R273H及び/またはR248Wであり、腫瘍性疾患は膵癌、結腸直腸癌または肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、KRASの変異は、G12C、G12V、G12D、及び/またはG12Sであり、TP53の変異はR175Hであり、腫瘍性疾患は肺腺癌である。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含む。ある特定の実施形態では、第2のアレナウイルス粒子は、変異型KRAS及び/または変異型TP53の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、抗原性断片は変異を含み、TP53の変異は、G245S、Y220C、R248Q、R282W、H179R、V157F、R273C、R213L、R273H、R273L、R175H、R158L、R196P、R248W及び/またはC277F(5.8節を参照)である。
【0255】
がん患者の処置の成功は、予想生存期間の延長、抗腫瘍免疫応答の誘導、またはがんの特定の特徴の改善として評価することができる。改善し得るがんの特徴の例としては、腫瘍サイズ(例えば、T0、Tは、またはT1~4)、転移の状態(例えば、M0、M1)、観察可能な腫瘍の数、リンパ節転移(例えば、N0、N1~4、Nx)、グレード(すなわち、グレード1、2、3、または4)、ステージ(例えば、0、I、II、III、またはIV)、細胞上もしくは体液中のある特定のマーカーの存在もしくは濃度(例えば、AFP、B2M、ベータ-HCG、BTA、CA15-3、CA27.29、CA125、CA72.4、CA19-9、カルシトニン、CEA、クロモグラニンA、EGFR、ホルモン受容体、HER2、HCG、免疫グロブリン、NSE、NMP22、PSA、PAP、PSMA、S-100、TA-90、及びサイログロブリン)、及び/または関連する病態(例えば、腹水または浮腫)もしくは症状(例えば、悪液質、発熱、食欲不振、または疼痛)が挙げられる。パーセントによって測定可能な場合、改善は、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、または90%の改善であり得る(例えば、生存期間、または腫瘍の体積もしくは直線寸法)。
【0256】
別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現するアレナウイルス粒子は、腫瘍内注射によって対象に投与される。別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原を発現するアレナウイルス粒子は、静脈内注射によって対象に投与される。
【0257】
別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現するアレナウイルス粒子またはその組成物は、危険因子を有する対象に投与される。例示的な危険因子としては、加齢、タバコ、日光曝露、放射線曝露、化学物質曝露、家族歴、アルコール、不健康な食事、身体活動の不足、または過体重が挙げられる。
【0258】
別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現するアレナウイルス粒子またはその組成物は、1つまたは複数の種類のがんに罹患している対象に投与される。他の実施形態では、本明細書に記載される組成物を用いる処置に感受性の、がんなどの任意の種類の腫瘍性疾患が標的とされ得る。
【0259】
別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現するアレナウイルス粒子またはその組成物を対象に投与することは、新生細胞または腫瘍、例えばがん細胞または腫瘍に対する細胞媒介免疫(CMI)を付与する。理論に拘束されるものではないが、別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原を発現するアレナウイルス粒子またはその組成物は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI及びIIにおける抗原の直接提示のために宿主の抗原提示細胞(APC)(例えば、マクロファージ)に感染し、そこにおいて目的の抗原を発現させる。別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原を発現するアレナウイルス粒子またはその組成物を対象に投与することは、大規模の多機能性IFN-γ及びTNF-α同時産生がん特異的CD4+及びCD8+T細胞応答(IFN-γはCD4+及びCD8+T細胞によって産生され、TNF-αはCD4+T細胞によって産生される)を誘導して、腫瘍性疾患を処置する。
【0260】
別の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現するアレナウイルス粒子またはその組成物を投与することは、がん処置に関する1つまたは複数の臨床転帰を向上または改善する。そのような転帰の非限定的な例は、全生存期間、無憎悪生存期間、無憎悪期間、治療成功期間、無イベント生存期間、次治療開始までの期間、全奏効率及び奏効期間である。臨床転帰のうちの1つまたは複数の向上または改善は、そのような処置の非存在下における同じ腫瘍性疾患を有する患者または患者群と比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%以上の向上または改善であり得る。
【0261】
対象における、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現するアレナウイルス粒子またはその組成物を投与することによって誘導される、がん細胞または腫瘍を含む新生細胞または腫瘍に対する細胞媒介免疫(CMI)応答機能の変化は、当業者に公知の任意のアッセイ、例えば、これらに限定されないが、フローサイトメトリー(例えば、Perfetto S.P.et al.,Nat Rev Immun.2004;4(8):648-55を参照)、リンパ球増殖アッセイ(例えば、Bonilla F.A.et al.,Ann Allergy Asthma Immunol.2008;101:101-4、及びHicks M.J.et al.,Am J Clin Pathol.1983;80:159-63を参照)、Tリンパ球のサイトカインの測定の実施後の表面マーカー発現の変化を決定することを含むリンパ球活性化を測定するアッセイ(例えば、Caruso A.et al.,Cytometry.1997;27:71-6を参照)、ELISPOTアッセイ(例えば、Czerkinsky C.C.et al.,J Immunol Methods.1983;65:109-121、及びHutchings P.R.,et al.,J Immunol Methods.1989;120:1-8を参照)、またはナチュラルキラー細胞の細胞傷害性アッセイ(例えば、Bonilla F.A.et al.,Ann Allergy Asthma Immunol.2005 May;94(5 Suppl 1):S1-63を参照)によって測定することができる。
【0262】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される処置は、化学療法剤とさらに組み合わせることができる。化学療法剤としては、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)、プラチナ系治療剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞毒性抗生物質、インターカレート剤、有糸分裂阻害剤、タキサン、またはそれらのうちの2つ以上の組合せが挙げられる。ある特定の実施形態では、アルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、アルキルスルホネート、非古典的アルキル化剤、またはトリアゼンである。ある特定の実施形態では、化学療法剤は、シクロホスファミド、チオテパ、メクロレタミン(クロルメチン/ムスチン)、ウラムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、ベンダムスチン、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン、カルムスチン、ロムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ストレプトゾシン、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カバジタキセル、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、カリケアミシン、ジネミシン、アムサクリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ピラルビシン、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)、ウレドパ(uredopa)、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、トリメチロールメラミン、ブラタシン、ブラタシノン、カンプトテシン、トポテカン、ブリオスタチン、カリスタチン、CC-1065、アドゼレシン、カルゼレシン、ビゼレシン、クリプトフィシン、ドラスタチン、デュオカルマイシン、KW-2189、CB1-TM1、エレウテロビン、パンクラチスタチン、サルコディクチン、スポンジスタチン、クロドロネート、エスペラミシン、ネオカルジノスタチン発色団、アクラシノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル(5-FU)、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキセート、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン、ミトタン、トリロスタン、フロリン酸、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、ベストラブシル、ビサントレン、エダトラキセート、デフォファミン、デメコルシン、ジアジコン、エフロルニチン、酢酸エリプチニウム、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダミン、メイタンシン、アンサミトシン、ミトグアゾン、モピダンモール、ニトラエリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、PSK多糖複合体、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;T-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン、ウレタン(urethan)、ビンデシン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、エトポシド(VP-16)、ビノレルビン、ノバントロン、テニポシド、エダトレキセート、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、イリノテカン(例えば、CPT-11)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイン酸、カペシタビン、プリコマイシン、ゲムシタビン、ナベルビン、トランスプラチナ(transplatinum)、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体のうちの1つまたは複数を含む。
【0263】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現する1つもしくは複数のアレナウイルス粒子またはその組成物は、1時間の期間、2時間の期間、3時間の期間、6時間の期間、12時間の期間、24時間の期間、または48時間の期間にわたる2回以上の別個の注射において投与される。
【0264】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現する1つもしくは複数のアレナウイルス粒子またはその組成物は、3日の期間、5日の期間、1週間の期間、2週間の期間、3週間の期間、4週間の期間、または12週間の期間にわたる2回以上の別個の注射において投与される。
【0265】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)、もしくは腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現する1つもしくは複数のアレナウイルス粒子またはその組成物は、6か月の期間、12か月の期間、24か月の期間、または48か月の期間にわたる2回以上の別個の注射において投与される。
【0266】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される2つのアレナウイルス粒子は、処置計画において投与され、投与は、約1:1~1:1000の範囲のモル比、特に、例えば1:1の比、1:2の比、1:5の比、1:10の比、1:20の比、1:50の比、1:100の比、1:200の比、1:300の比、1:400の比、1:500の比、1:600の比、1:700の比、1:800の比、1:900の比、1:1000の比であり得る。
【0267】
ある特定の実施形態では、腫瘍性疾患を処置する方法であって、第1のアレナウイルス粒子が最初に「プライム」として投与され、第2のアレナウイルス粒子が「ブースト」として投与される、方法が本明細書で提供される。第1及び第2のアレナウイルス粒子は、同じまたは異なる変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)、または腫瘍関連抗原を発現することができる。代替的にまたは付加的に、一部のある特定の実施形態では、「プライム」及び「ブースト」投与は、異なるアレナウイルス種に由来するアレナウイルス粒子を用いて実施される。ある特定の具体的な実施形態では、「プライム」投与は、LCMVに由来するアレナウイルス粒子を用いて実施され、「ブースト」は、ピチンデウイルスに由来するアレナウイルス粒子を用いて実施される。ある特定の具体的な実施形態では、「プライム」投与は、ピチンデウイルスに由来するアレナウイルス粒子を用いて実施され、「ブースト」は、LCMVに由来するアレナウイルス粒子を用いて実施される。
【0268】
ある特定の実施形態では、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現する第1のアレナウイルス粒子を投与し、続いて変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原を発現する第2のアレナウイルス粒子を投与することは、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原を発現する単一のアレナウイルス粒子を投与することよりも大きな抗原特異的CD8+T細胞応答をもたらす。ある特定の実施形態では、抗原特異的CD8+T細胞数は、第2の投与後に、第1の投与と比較して50%、100%、150%または200%増加する。
【0269】
ある特定の実施形態では、変異型KRAS(5.7節を参照)、変異したがんドライバー遺伝子(5.8節を参照、例えば変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原(5.9節を参照)を発現する第1のアレナウイルス粒子と、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原を発現する第2の異種アレナウイルス粒子とを投与することは、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原を発現する第1のアレナウイルス粒子と、変異型KRAS、変異したがんドライバー遺伝子(例えば、変異型TP53)及び/または腫瘍関連抗原を発現する第2の同種アレナウイルス粒子とを投与することよりも大きなCD8+T細胞応答を誘発する。
【0270】
5.11組成物、投与、及び投薬量
本明細書で提供されるアレナウイルス粒子を含むワクチン、免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)、及び医薬組成物もまた本明細書で提供される。そのようなワクチン、免疫原性組成物、及び医薬組成物は、当技術分野における標準的手順に従って製剤化することができる。
【0271】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子(または種々のアレナウイルス粒子の組合せ)を含む免疫原性組成物が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、そのような免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、そのような免疫原性組成物はアジュバントをさらに含む。本明細書に記載される組成物と組み合わせて投与されるアジュバントは、上記組成物の投与の前、それと同時、またはその後に投与することができる。一部の実施形態では、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載される組成物と共にまたはその一部として投与される場合には、感染性複製欠損アレナウイルス粒子に対する免疫応答を増幅、増強、及び/またはブーストするが、単独で投与される場合には感染性複製欠損アレナウイルス粒子に対する免疫応答を生じない化合物を指す。一部の実施形態では、アジュバントは、感染性複製欠損アレナウイルス粒子に対する免疫応答を生じ、アレルギーも他の有害反応も引き起こさない。アジュバントは、例えばリンパ球動員、B及び/またはT細胞の刺激、ならびにマクロファージの刺激を含むいくつかの機構によって免疫応答を増強することができる。本発明のワクチンまたは免疫原性組成物がアジュバントを含むかまたは1種もしくは複数種のアジュバントと一緒に投与される場合、使用することができるアジュバントとしては、これらに限定されないが、無機塩アジュバントまたは無機塩ゲルアジュバント、粒子アジュバント、微粒子アジュバント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激アジュバントが挙げられる。アジュバントの例としては、これらに限定されないが、アルミニウム塩(アラム)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(GB2220211を参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween80、ICL Americas,Inc.)、イミダゾピリジン化合物(国際公開第WO2007/109812号として公開されている国際出願第PCT/US2007/064857号を参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開第WO2007/109813号として公開されている国際出願第PCT/US2007/064858号を参照)、及びサポニン、例えばQS21(Kensil et al.,in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(eds.Powell&Newman,Plenum Press,NY,1995)、米国特許第5,057,540号を参照)が挙げられる。一部の実施形態では、アジュバントはフロイントアジュバント(完全または不完全)である。他のアジュバントは、任意選択でモノホスホリルリピドAなどの免疫刺激剤と組み合わされた水中油型エマルション(例えばスクアレンまたはピーナッツ油)である(Stoute et al.,N.Engl.J.Med.336,86-91(1997)を参照)。
【0272】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、保存剤、例えば水銀誘導体のチメロサールをさらに含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、0.001%~0.01%のチメロサールを含む。他の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は保存剤を含まない。
【0273】
医薬組成物は、約103~約1011フォーカス形成単位の遺伝子操作アレナウイルス粒子を含む。非経口投与のための単位剤形は、例えばアンプルまたはバイアル、例えば、約103~1010フォーカス形成単位または105~1015個の物理粒子の遺伝子操作アレナウイルス粒子を含有するバイアルである。
【0274】
別の実施形態では、本明細書で提供されるワクチンまたは免疫原性組成物は、腫瘍内注射によって対象に投与される。別の実施形態では、本明細書で提供されるワクチンまたは免疫原性組成物は、静脈内注射によって対象に投与される。
【0275】
有効成分の投薬量は、ワクチン接種の種類、ならびに対象、及びその年齢、体重、個々の状態、個々の薬物動態データ、ならびに投与様式に依存する。
【0276】
ある特定の実施形態では、組成物は、単回用量として患者に投与され、続いて3~6週間後に第2の用量が投与される。これらの実施形態においては、2回目の接種から6~12か月の間隔でブースター接種が対象に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、ブースター接種には、異なるアレナウイルス粒子またはその組成物を利用してもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載される同じ組成物の投与は、繰り返され、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、30日、45日、2か月、75日、3か月、または少なくとも6か月の間隔を空けてもよい。
【0277】
ある特定の実施形態では、アレナウイルス粒子または3セグメント型アレナウイルス粒子の好適な投薬量は、102、5×102、103、5×103、104、5×104、105、5×105、106、5×106、107、5×107、108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011または1012pfuであり、必要に応じて、間隔を空けて1回、2回、または3回以上対象に投与することができる。
【0278】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物は、個別化医療と組み合わせて使用される。個別化医療は、患者の固有の遺伝子プロファイル及び/またはエピジェネティックプロファイルからの情報を使用して、種々の療法に対する患者の応答を予測し、どの療法が効果的となる可能性がより高いかを特定することによって、患者に利益をもたらすことを目指す。患者の固有の遺伝子プロファイル及び/またはエピジェネティックプロファイルを得るために本明細書で提供される方法及び組成物と組み合わせて使用することができる技法としては、これらに限定されないが、ゲノム配列決定、RNA配列決定、遺伝子発現解析、及び腫瘍抗原(例えば、新抗原)、腫瘍関連抗原またはその抗原性断片の同定が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物における使用のためのアレナウイルス腫瘍抗原または腫瘍関連抗原の選択は、患者の遺伝子プロファイルに基づいて実施される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法及び組成物における使用のためのアレナウイルス腫瘍抗原または腫瘍関連抗原の選択は、腫瘍または腫瘍細胞の遺伝子プロファイルに基づいて実施される。
【0279】
本明細書に記載される方法を実施するために使用することができるキットもまた本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、1つまたは複数の容器を含み得る。これらの容器は、本明細書で提供される組成物(例えば、医薬組成物、免疫原性組成物、またはワクチン組成物)を保存のために保持することができる。キットには、使用説明書も含まれる。これらの説明書には、そこに含有されている組成物を使用するための治療プロトコルが十分詳細に記載されている。例えば、説明書には、本明細書で提供される、腫瘍性疾患を処置する方法のための投薬及び投与の説明書が含まれ得る。
【0280】
5.12活性を実証するアッセイ
(a)アレナウイルス検出アッセイ
当業者であれば、当技術分野で公知の技法を使用して、本明細書に記載されるように、アレナウイルスゲノムセグメントまたはアレナウイルス粒子を検出することができるだろう。例えば、RT-PCRを、アレナウイルスに特異的なプライマーを用いて使用して、アレナウイルスゲノムセグメントまたは3セグメント型アレナウイルス粒子を検出及び定量することができる。ウェスタンブロット、ELISA、放射免疫アッセイ、免疫沈降、免疫細胞化学、またはFACSと組み合わせた免疫細胞化学を使用して、アレナウイルスゲノムセグメントまたはアレナウイルス粒子の遺伝子産物を定量することができる。
【0281】
(b)感染力を測定するアッセイ
アレナウイルスベクター調製物の感染力を測定するために、当業者に公知の任意のアッセイを使用することができる。例えば、ウイルス/ベクター力価の決定は、「フォーカス形成単位アッセイ」(FFUアッセイ)によって行うことができる。簡潔に述べると、補完細胞、例えばHEK293-TVL細胞をプレーティングし、それらに種々の希釈率のウイルス/ベクター試料を接種する。インキュベーション期間後、細胞が単層を形成し、ウイルスが細胞に付着することを可能にするために、単層をメチルセルロースで覆う。プレートをさらにインキュベートする場合、元の感染細胞はウイルス子孫を放出する。メチルセルロースオーバーレイのために、新たなウイルスの拡散は付近の細胞に制限される。その結果、各感染性粒子は、フォーカスと呼ばれる感染細胞の円形のゾーンを生成する。そのようなフォーカスは、LCMV-NPまたはアレナウイルス粒子もしくは3セグメント型アレナウイルス粒子によって発現される別のタンパク質に対する抗体及びHRPベースの呈色反応を使用して可視化し、したがって計数可能とすることができる。ウイルス/ベクターの力価は、フォーカス形成単位/ミリリットル(FFU/mL)として算出することができる。同様に、3セグメント型複製可能ウイルス粒子の割合を決定することができる。補完細胞の代わりに、非補完細胞株、例えばHEK293が使用される。これは、3セグメント型ウイルス粒子のみが付近の細胞に感染することを可能にする。複製可能なウイルス/ベクター(RCV)の力価は、フォーカス形成単位/ミリリットル(RCV FFU/mL)として算出することができる。
【0282】
(c)アレナウイルス粒子の成長
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の成長は、当技術分野で公知の、または本明細書に記載される任意の方法(例えば、細胞培養)によって評価することができる。ウイルス成長は、規定量/濃度の本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を細胞培養物(例えば、Vero細胞またはBHK-21細胞)に接種することによって決定することができる。ウイルスを指定された時間インキュベーションした後、標準的な方法を使用してウイルス含有上清を採取し、本明細書に記載のアッセイを使用して感染力を測定することができる。
【0283】
(d)血清ELISA
動物(例えば、マウス、モルモット)へのワクチン接種時の液性免疫応答の決定は、抗原特異的血清ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)によって行うことができる。簡潔に述べると、プレートを抗原(例えば、組換えタンパク質)でコーティングし、抗体の非特異的結合を回避するためにブロッキングし、血清の段階希釈液と共にインキュベートする。インキュベーション後、結合した血清-抗体は、例えば、酵素結合抗種(例えば、マウス、モルモット)特異的抗体(総IgGまたはIgGサブクラスを検出する)及びその後の呈色反応を使用して検出することができる。抗体価は、例えば、エンドポイント幾何平均価として決定することができる。
【0284】
(e)誘導された抗体の中和活性を測定するアッセイ
血清中の中和抗体の決定は、ATCC製のARPE-19細胞及びGFPタグ付きウイルスを使用する以下の細胞アッセイを用いて実施される。加えて、外因性補体源としての補足的なモルモット血清を使用する。アッセイは、中和のための使用の1または2日前の、384ウェルプレートへの6.5×103細胞/ウェル(50μl/ウェル)の播種から開始する。中和は、細胞を有しない96ウェル滅菌組織培養プレートにおいて、37℃で1時間行う。中和インキュベーションステップ後、混合物を細胞に添加し、プレートリーダーでのGFP検出のためにさらに4日間インキュベートする。全ての結果の信頼性を確認するために、陽性中和ヒト血清を各プレートにおいてアッセイ陽性対照として使用する。力価(EC50)は、4パラメータロジスティック曲線フィッティングを使用して決定する。追加の試験として、蛍光顕微鏡を用いてウェルを確認する。
【0285】
(f)プラーク減少アッセイ
簡潔に述べると、LCMVに関するプラーク減少(中和)アッセイは、レポーター遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質)をコードする複製可能または複製欠損LCMVの使用によって実施することができ、5%ウサギ血清を外因性補体源として使用してもよく、プラークは蛍光顕微鏡検査によって計数することができる。中和価は、対照(免疫前)血清試料と比較して50%、75%、90%または95%のプラークの減少をもたらす血清の最大希釈率として定義することができる。qPCR LCMV RNAゲノムを、製造業者によって提供されたプロトコルに従ってQIAamp Viral RNA mini Kit(QIAGEN)を使用して単離する。LCMV RNAゲノム等価物を、SuperScript(登録商標)III Platinum(登録商標)One-Step qRT-PCR Kit(Invitrogen)、ならびにLCMV NPコード領域の一部またはアレナウイルス粒子もしくは3セグメント型アレナウイルス粒子の別のゲノムストレッチに特異的なプライマー及びプローブ(FAMレポーター及びNFQ-MGBクエンチャー)を備えるStepOnePlus Real Time PCR System(Applied Biosystems)において実行する定量PCRによって検出する。反応の温度プロファイルは、60℃で30分、95℃で2分、それに続く95℃で15秒、56℃で30秒の45サイクルであり得る。RNAは、プライマー及びプローブ結合部位を含有するLCMV NPコード配列の断片またはアレナウイルス粒子もしくは3セグメント型アレナウイルス粒子の別のゲノムストレッチに対応する、分光光度的に定量されたin vitro転写RNA断片のlog10希釈系列から作成された標準曲線と試料結果を比較することによって定量することができる。
【0286】
(g)ウェスタンブロッティング
組織培養フラスコまたは懸濁液において成長させた感染細胞を、感染後の示された時点においてRIPA緩衝液(Thermo Scientific)を使用して溶解するか、または細胞溶解せずに直接使用する。試料を、還元剤及びNuPage LDS Sample buffer(NOVEX)と共に10分かけて99℃まで加熱し、室温まで冷却した後、電気泳動のために4~12%SDSゲルに充填する。タンパク質を、InvitrogenのiBlot Gel transfer Deviceを使用して膜にブロッティングし、ポンソー染色によって可視化する。最後に、調製物を、目的のタンパク質に対する一次抗体及びアルカリホスファターゼ結合二次抗体を用いてプローブし、続いて1-Step NBT/BCIP溶液(INVITROGEN)を用いて染色する。
【0287】
(h)抗原特異的CD8+T細胞の検出のためのMHC-ペプチド多量体染色アッセイ
抗原特異的CD8+T細胞応答を試験するために、当業者に公知の任意のアッセイを使用することができる。例えば、MHC-ペプチド四量体染色アッセイを使用することができる(例えば、Altman J.D.et al.,Science.1996;274:94-96、及びMurali-Krishna K.et al.,Immunity.1998;8:177-187を参照)。簡潔に述べると、アッセイは以下のステップを含み、四量体アッセイを使用して、抗原特異的T細胞の存在を検出する。抗原特異的T細胞を検出するためには、これは、ペプチドと、T細胞の定義された抗原特異性及びMHCハプロタイプについて特注されたMHC分子の四量体(典型的には蛍光標識されている)との両方に結合する必要がある。次いで、四量体を、蛍光標識を介したフローサイトメトリーによって検出する。
【0288】
(i)抗原特異的T細胞の検出のためのELISPOTアッセイ
抗原特異的T細胞応答を試験するために、当業者に公知の任意のアッセイを使用することができる。例えば、ELISPOTアッセイを使用することができる(例えば、Czerkinsky C.C.et al.,J Immunol Methods.1983;65:109-121、及びHutchings P.R.et al.,J Immunol Methods.1989;120:1-8を参照)。例えば、これに限定されないが、IFN-γなどのサイトカインは、ELISPOTアッセイによって測定することができる。簡潔に述べると、アッセイは以下のステップを含む:免疫スポットプレートを抗サイトカイン抗体でコーティングする。細胞を、免疫スポットプレートにおいて、目的の抗原に由来するペプチドと共にインキュベートする。抗原特異的細胞は、コーティングした抗体に結合するサイトカインを分泌する。次いで、細胞を洗浄除去し、第2のビオチン化抗サイトカイン抗体をプレートに添加し、アビジン-HRP系または他の適切な方法を用いて可視化する。
【0289】
(j)CD8+及びCD4+T細胞の機能性の検出のための細胞内サイトカインアッセイ
CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性を試験するために、当業者に公知の任意のアッセイを使用することができる。例えば、フローサイトメトリーと組み合わせた細胞内サイトカインアッセイを使用することができる(例えば、Suni M.A.et al.,J Immunol Methods.1998;212:89-98、Nomura L.E.et al.,Cytometry.2000;40:60-68、及びGhanekar S.A.et al.,Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology.2001;8:628-63を参照)。簡潔に述べると、アッセイは以下のステップを含む:特定のペプチドまたはタンパク質による細胞の活性化の直後に、タンパク質輸送阻害剤(例えば、ブレフェルジンA)を添加して、サイトカインを細胞内に留める。規定のインキュベーション期間の後に、典型的には5時間後に、洗浄ステップが続き、他の細胞のマーカーに対する抗体を細胞に添加することができる。次いで、細胞を固定し、透過処理する。蛍光色素結合抗サイトカイン抗体を添加し、細胞をフローサイトメトリーによって解析することができる。
【0290】
(k)ウイルスベクターの複製欠損を確認するためのアッセイ
感染性かつ複製可能なウイルス粒子の濃度を決定する当業者に公知の任意のアッセイはまた、試料中の複製欠損ウイルス粒子を測定するためにも使用することができる。例えば、この目的のために、非補完細胞を用いるFFUアッセイを使用することができる。
【0291】
さらに、プラークベースのアッセイは、ウイルス濃度をウイルス試料中のプラーク形成単位(PFU)に換算して決定するために使用される標準的な方法である。具体的には、コンフルエント単層の非補完宿主細胞に様々な希釈率のウイルスを感染させ、ウイルス感染が無差別に拡散するのを防止するために、細胞を寒天などの半固形培地で覆う。ウイルスプラークは、ウイルスが成功裏に感染し、固定細胞単層内の細胞において自己複製する場合に形成され、周囲細胞に拡散する(例えば、Kaufmann,S.H.;Kabelitz,D.(2002).Methods in Microbiology Vol.32:Immunology of Infection.Academic Press.ISBN 0-12-521532-0を参照)。プラーク形成には、解析されるウイルスに応じて2~14日間かかる可能性がある。プラークは、概して、手動で計数され、その結果を、プレートを調製するために使用された希釈倍率と組み合わせて使用して、試料単位容量当たりのプラーク形成単位の数(PFU/mL)を算出する。PFU/mLでの結果は、試料内の感染力のある複製可能な粒子の数を表す。C細胞を使用する場合、同じアッセイを使用して、複製欠損アレナウイルス粒子または3セグメント型アレナウイルス粒子を滴定することができる。
【0292】
(l)ウイルス抗原の発現のためのアッセイ
ウイルス抗原の発現を測定するために、当業者に公知の任意のアッセイを使用することができる。例えば、FFUアッセイを実施することができる。検出のために、それぞれのウイルス抗原に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体調製物(複数可)を使用する(導入遺伝子特異的FFU)。
【0293】
(m)動物モデル
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子のin vivoにおける組換え及び感染力を検討するために、動物モデルを使用することができる。ある特定の実施形態では、3セグメント型アレナウイルス粒子の組換え及び感染力を検討するために使用することができる動物モデルとしては、マウス、モルモット、ウサギ、及びサルが挙げられる。好ましい実施形態では、アレナウイルスの組換え及び感染力を検討するために使用することができる動物モデルとしては、マウスが挙げられる。より具体的な実施形態では、アレナウイルス粒子の組換え及び感染力を検討するために使用することができるマウスは、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)の三重欠損マウスである。
【0294】
ある特定の実施形態では、動物モデルは、アレナウイルス感染力及び導入遺伝子安定性を決定するために使用することができる。一部の実施形態では、ウイルスRNAは、動物モデルの血清から単離することができる。技法は、当業者によって容易に知られている。ウイルスRNAは逆転写することができ、アレナウイルスORFを保有するcDNAは、遺伝子特異的プライマーを用いてPCR増幅することができる。フローサイトメトリーもまた、アレナウイルス感染力及び導入遺伝子安定性を検討するために使用することができる。
【0295】
6.均等物
本明細書において言及される全ての特許及び刊行物は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。前述の記載から、本明細書に記載される発明の変形及び修正を行って、それを様々な使用及び条件に適応させることができることは明らかだろう。そのような実施形態もまた以下の特許請求の範囲内である。
【表3】
【実施例】
【0296】
8.実施例
8.1アレナウイルスベクターの設計
(a)artLCMV-4xKRASmut
artLCMV-4xKRASmutは、LCMVクローン13(LCMV cl13)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターであり、その内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現する(LCMV cl13/WE)(
図1)。NP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーをコードするヌクレオチド配列(配列番号1)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーをコードするヌクレオチド配列(配列番号1)を含む。KRASエピトープのヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0297】
(b)artLCMV-4xKRASmut_E7
artLCMV-4xKRASmut_E7は、LCMVクローン13(LCMV cl13)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターであり、その内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現する(LCMV cl13/WE)(
図2)。NP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、HPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号2)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、HPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号2)を含む。KRASエピトープ及びHPV E7エピトープのヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0298】
(c)artLCMV-4xKRASmut_EBV
artLCMV-4xKRASmut_EBVは、LCMVクローン13(LCMV cl13)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターであり、その内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現する(LCMV cl13/WE)(
図3)。NP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、EBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号3)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、EBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号3)を含む。KRASエピトープ及びHPV E7エピトープのヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0299】
(d)artPICV-4xKRASmut
artPICV-4xKRASmutは、ピチンデウイルスの毒性株第18継代(PIC、あるいはPICV p18と命名)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターである(
図1)。NP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーをコードするヌクレオチド配列(配列番号1)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーをコードするヌクレオチド配列(配列番号1)を含む。KRASエピトープのヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0300】
(e)artPICV-4xKRASmut_E7
artPICV-4xKRASmut_E7は、ピチンデウイルスの毒性株第18継代(PIC、あるいはPICV p18と命名)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターである(
図2)。NP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、HPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号2)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、HPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号2)を含む。KRASエピトープ及びHPV E7エピトープのヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0301】
(f)artPICV-4xKRASmut_EBV
artPICV-4xKRASmut_EBVは、ピチンデウイルスの毒性株第18継代(PIC、あるいはPICV p18と命名)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターである(
図3)。NP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、EBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号3)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれG12D、G12V、G12C、及びG13D変異を有する、KRASアミノ酸1~29の4つのコピーと、EBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号3)を含む。KRASエピトープ及びHPV E7エピトープのヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0302】
(g)artLCMV-14xp53mut
artLCMV-14xp53mutは、LCMVクローン13(LCMV cl13)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターであり、その内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現する(LCMV cl13/WE)(
図5A)。NP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列(配列番号7)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列(配列番号7)を含む。p53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0303】
(h)artLCMV-14xp53mut_E7
artLCMV-14xp53mut_E7は、LCMVクローン13(LCMV cl13)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターであり、その内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現する(LCMV cl13/WE)(
図6A)。NP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとHPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号8)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとHPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号8)を含む。p53ネオエピトープ及びHPV E7エピトープをコードするヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0304】
(i)artLCMV-14xp53mut_EBV
artLCMV-14xp53mut_EBVは、LCMVクローン13(LCMV cl13)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターであり、その内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現する(LCMV cl13/WE)(
図7A)。NP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとEBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号9)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとEBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号9)を含む。p53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0305】
(j)artPICV-14xp53mut
artPICV-14xp53mutは、ピチンデウイルスの毒性株第18継代(PIC、あるいはPICV p18と命名)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターである(
図5B)。NP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列(配列番号10)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列(配列番号10)を含む。p53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0306】
(k)artPICV-14xp53mut_E7
artPICV-14xp53mut_E7は、ピチンデウイルスの毒性株第18継代(PIC、あるいはPICV p18と命名)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターである(
図6B)。NP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとHPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号11)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとHPV E7エピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号11)を含む。p53ネオエピトープ及びHPV E7エピトープをコードするヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0307】
(l)artPICV-14xp53mut_EBV
artPICV-14xp53mut_EBVは、ピチンデウイルスの毒性株第18継代(PIC、あるいはPICV p18と命名)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターである(
図7B)。NP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとEBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号12)を含み、GP-Sセグメントは、それぞれ29アミノ酸からなる14個のp53ネオエピトープとEBVエピトープとをコードするヌクレオチド配列(配列番号12)を含む。p53ネオエピトープをコードするヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変されている。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成する。
【0308】
(m)artLCMV-5xKRASmut-H2
artLCMV-5xKRASmut-H2は、LCMVクローン13(LCMV cl13)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターであり、その内因性糖タンパク質の代わりにLCMV株WEのGPを発現する(LCMV cl13/WE)。NP-Sセグメント及びGP-Sセグメントは、それぞれ18アミノ酸からなるKRASの5つの変異型エピトープで構成される抗原性挿入断片(配列番号19)をコードする。抗原性挿入断片のヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変された。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成した。
図10は、artLCMV-5xKRASmut-H2の概略図を示す。
【0309】
(n)artPICV-5xKRASmut-H2
artPICV-5xKRASmut-H2は、ピチンデウイルスの毒性株第18継代(PIC、あるいはPICV p18と命名)をベースとする、弱毒化された複製可能な3セグメント型ベクターである。NP-Sセグメント及びGP-Sセグメントは、それぞれ18アミノ酸からなるKRASの5つの変異型エピトープで構成される抗原性挿入断片(配列番号19)をコードする。抗原性挿入断片のヌクレオチド配列は、CpGジヌクレオチドモチーフを欠くように改変された。ベクターは、Kallert et al.Nat Commun 2017;8:15327によって先に記載されているように、5プラスミド同時トランスフェクション系を使用する産生細胞の電気穿孔によってde novoに生成した。
図10は、artPICV-5xKRASmut-H2の概略図を示す。
【0310】
8.2 in vitro T細胞活性化及び機能
(a)ヒトPBMC活性化アッセイ
ヒトPBMCを健康なHLA-A2+ドナーから単離し、HLA-A2制限KRASmut及び対照ペプチドをパルスする。T細胞活性化を、ELISPOT、増殖(FACS CFSE)及びサイトカイン発現プロファイル(上清、細胞内FACS染色)によって測定する。
【0311】
(b)in vitro T細胞活性化系
単球由来樹状細胞(moDC)または人工抗原提示細胞(aAPC)に、変異型KRASの抗原性断片(複数可)をコードするアレナウイルス粒子(KRASmutベクター)及び対照ベクター(すなわち、変異型KRASの抗原性断片をコードしないアレナウイルス粒子)を感染させ、単離したヒトT細胞と共にインキュベートする。T細胞活性化を、ELISPOT、増殖(FACS CFSE)及びサイトカイン発現プロファイル(上清、細胞内FACS染色)によって測定する。
【0312】
(c)細胞傷害性
KRASmutベクターをプライムしたヒトT細胞による、KRASmutヒトがん細胞株(すなわち、変異型KRASを発現するヒトがん細胞株)のin vitroにおける殺傷を、LDH放出、51Cr放出、フローサイトメトリーまたは生細胞イメージングアッセイによって評価する。
【0313】
(d)KRAS-レポーター細胞アッセイ
KRAS-mut特異的T細胞受容体(TCR)の活性化を、KRAS-mut特異的TCRを発現し、TCRシグナル伝達によって誘導される生物発光または蛍光シグナルを産生するように遺伝子操作されたレポーター細胞株を用いて測定する。これらの細胞を、HLA適合KRASmutベクタートランスフェクト細胞株と共にインキュベートする。
【0314】
8.3 in vivo免疫原性及び有効性
(a)免疫原性
ヒトHLAトランスジェニックマウスをKRASmutベクター及び対照ベクターで免疫化する。免疫化した動物のPBMC及び/または脾臓細胞を単離し、KRASmut特異的T細胞応答を、ELISPOT、細胞内サイトカイン染色、MHC多量体染色によって、及びマルチプレックスサイトカイン解析によって測定する。
【0315】
ヒト化マウスをKRASmutベクター及び対照ベクターで免疫化する。免疫化した動物のPBMC及び/または脾臓細胞を単離し、KRASmut特異的T細胞応答を、ELISPOT、細胞内サイトカイン染色、MHC多量体染色によって、及びマルチプレックスサイトカイン解析によって測定する。
【0316】
変異したKRASエピトープ(すなわち、変異型KRASの断片)の種々の組合せをコードするベクター構築物の、HLA-A*11のトランスジェニックマウス(すなわち、CB6F1-Tg(HLA-A*1101/H2-Kb)A11.01マウス)における抗原特異的免疫応答を誘導する能力を解析するために、静脈内(i.v.)免疫化を、1×105RCV FFU/用量の示されたベクター構築物を用いて実施した。
【0317】
以下の表2は、本出願に記載されるベクターのin vivo免疫原性を試験する実験の例示である。
【表4】
【0318】
0日目に、HLA-A*11のトランスジェニックマウス(すなわち、CB6F1-Tg(HLA-A*1101/H2-Kb)A11.01マウス)を、1×105RCV FFU/用量のartPICV-5xKRASmut-H2(群2)、artPICV-5xKRASmut-H1(群3)、artPICV-4xKRASmut(18マー)(群4)、またはKRASの対応する18マー野生型エピトープをコードする、artPICVをベースとするベクター(すなわち、artPICV-KRASwt)(群5)で静脈内免疫化した。対照マウスは、製剤緩衝液のみ(群1)で処置した。21日目に、マウスを、1×105RCV FFU/用量のartLCMV-5xKRASmut-H2(群2)、artLCMV-5xKRASmut-H1(群3)、artLCMV-4xKRASmut(18マー)(群4)、artLCMV-KRASwt(群5)で静脈内免疫化したか、または製剤緩衝液(群1)で処置した。26日目に、KRASエピトープ特異的CD8+T細胞応答を、野生型及び変異特異的KRASベースペプチドを刺激として使用したELISPOT解析によって解析した。LCMV及びPICVに由来するNPベースペプチドの混合物を対照として使用した。
【0319】
図11に示すように、コードされた、変異したKRASエピトープのうちの2つ(すなわち、KRAS G12D及びKRAS G12V)に対するCD8+T細胞応答が、群2の動物(5xKRASmut-H2エピトープカセットをコードする、artPICV及びartLCMVをベースとするベクターの組合せで処置)及び群4のマウス(4xKRASmut(18マー)エピトープカセットをコードする、artPICV及びartLCMVをベースとするベクターの組合せで処置)において検出できた。驚くべきことに、対照的に、群3の動物(5xKRASmut-H1エピトープカセットをコードする、artPICV及びartLCMVをベースとするベクターの組合せで処置)では、CD8+T細胞応答は、コードされた、変異したKRASエピトープのうちの1つ(すなわち、KRAS G12D)に対してのみ観察することができ、このベクターの組合せは、KRAS G12Vエピトープに対する検出可能な免疫応答を誘導しなかった。重要なことに、KRASの変異したエピトープをコードする試験されたベクター構築物のいずれも、野生型KRASタンパク質に対する検出可能なCD8+T細胞応答を誘導しなかった。
【0320】
(b)有効性
(i)CT26モデル
皮下に移植したCT26(KRAS-mut)腫瘍を有するBalb/cマウスに、KRASmutベクター、対照ベクター、または緩衝液を注射する。腫瘍制御を、ベクター処置後の腫瘍成長をモニタリングすること(ノギス測定)によって評価する。KRASmut特異的T細胞応答を、MHC多量体染色及びフローサイトメトリーによって解析する。
【0321】
(ii)KPC PDACモデル
KRASの変異(例えば、G12D)及びTp53の変異(例えば、R172H)を有するKPCマウスは、腫瘍を自然に発症し、肺及び肝臓に転移を起こす。KPCマウスまたはKPC腫瘍を移植したマウスに、KRASmutベクター、対照ベクター、または緩衝液を注射する。原発性腫瘍及び転移制御を、ベクター処置後の膵臓、肝臓、及びリンパ節の組織学的解析によって評価する。KRASmut特異的T細胞応答を、MHC多量体染色及びフローサイトメトリーによって解析する。
【0322】
(iii)ヒト化PDX及びKRAS-mut腫瘍細胞株
ヒト化マウスに、患者由来HLA適合ヒトKRASmut異種移植片またはヒトKRASmut腫瘍細胞株を移植し、KRASmutベクター、対照ベクター、または緩衝液を注射する。腫瘍制御を、ベクター処置後の腫瘍成長をモニタリングすること(ノギス測定)によって評価する。KRASmut特異的T細胞応答を、MHC多量体染色及びフローサイトメトリーによって解析する。
【0323】
8.4導入遺伝子安定性
(i)artLCMV-5xKRASmut-H2
artLCMV-5xKRASmut-H2ベクターの生成後のコードされた導入遺伝子の遺伝子安定性を、PCRによって、継代レベルを増加させて解析した(
図12A)。5xKRASmut導入遺伝子は、試験された全ての継代レベルにわたって安定であった。
【0324】
(ii)artPICV-5xKRASmut-H2
artPICV-5xKRASmut-H2ベクターの生成後のコードされた導入遺伝子の遺伝子安定性を、PCRによって、継代レベルを増加させて解析した(
図12B)。5xKRASmut導入遺伝子は、試験された全ての継代レベルにわたって安定であった。
【0325】
8.5ベクター免疫原性
変異したKRASエピトープの種々の組合せをコードするベクター構築物の抗原特異的免疫応答を誘導する能力を解析するために、静脈内免疫化を、マウスにおいて、1×10
5RCV FFU/用量の示されたベクター構築物を用いて実施した(研究設計については
図22を参照)。
【0326】
0日目に、HLA-B*07のトランスジェニックマウス(すなわち、CB6F1-Tg(HLA-B*0702/H2-Kb)B7.xxマウス)を、1×105RCV FFU/用量のartPICV-5xKRASmut-H2(群2)、artPICV-5xKRASmut-H1(群3)、artPICV-4xKRASmut(群4)、またはKRASの対応する18マー野生型エピトープをコードする、artPICVをベースとするベクター(すなわち、artPICV-KRASwt)(群5)で静脈内免疫化した。対照マウスは、製剤緩衝液のみ(群1)で処置した。21日後、マウスを、1×105RCV FFU/用量のartLCMV-5xKRASmut-H2(群2)、artLCMV-5xKRASmut-H1(群3)、artLCMV-4xKRASmut(群4)、artLCMV-KRASwt(群5)で静脈内免疫化したか、または製剤緩衝液(群1)で処置した。26日目に、KRASエピトープ特異的CD8 T細胞応答を、野生型及び変異特異的KRASベースペプチドを刺激として使用したELISpot解析によって解析した。LCMV及びPICVに由来するNPベースペプチドの混合物を対照として使用した。
【0327】
図21に示すように、コードされた、変異したKRASエピトープのうちの2つ(すなわち、KRAS G12C及びKRAS G12R)に対するCD8 T細胞応答が、群2の(5匹中2匹の)動物(5xKRASmut-H2エピトープカセットをコードする、artPICV及びartLCMVをベースとするベクターの組合せで処置)及び群3の(5匹中2匹の)マウス(5xKRASmut-H1エピトープカセットをコードする、artPICV及びartLCMVをベースとするベクターの組合せで処置)において検出できた。対照的に、群4の動物(4xKRASmutエピトープカセットをコードする、artPICV及びartLCMVをベースとするベクターの組合せで処置)では、CD8 T細胞応答は観察することができなかった。さらに、KRASの変異したエピトープをコードする試験されたベクター構築物のいずれも、野生型KRASタンパク質に対する検出可能なCD8 T細胞応答を誘導しなかった。
【0328】
8.6ベクター免疫原性
変異したKRASエピトープをコードするベクター構築物の抗原特異的免疫応答を誘導する能力を解析するために、静脈内免疫化を、マウスにおいて、1×10
5RCV FFU/用量の示されたベクター構築物を用いて実施した(研究設計については
図23を参照)。
【0329】
0日目に、HLA-A*11のトランスジェニックマウス(すなわち、CB6F1-Tg(HLA-A*1101/H2-Kb)A11.01マウス)を、1×105RCV FFU/用量のartLCMV-5xKRASmut-H2(群2)、artPICV-5xKRASmut-H2(群4)、またはKRASの対応する18マー野生型エピトープをコードする、artLCMV及びartPICVをベースとするベクター(すなわち、artLCMV-KRASwt及びartPICV-KRASwt)(群3及び5)で静脈内免疫化した。対照マウスは、製剤緩衝液のみ(群1)で処置した。免疫化後7日目に、KRASエピトープ特異的CD8 T細胞応答を、野生型及び変異特異的KRASベースペプチドを刺激として使用したELISpot解析によって解析した。LCMVに由来するNPベースペプチドの混合物を対照として使用した。PICVに由来するNPベースペプチドは、技術的エラーのために検出されなかった。
【0330】
図24に示すように、KRAS G12Vに対するCD8 T細胞応答が、群2の動物(artLCMV-5xKRASmut-H2で処置)及び群4のマウス(artLCMV-5xKRASmut-H2で処置)において検出できた。さらに、KRASの変異したエピトープをコードする試験されたベクター構築物のいずれも、野生型KRASタンパク質に対する検出可能なCD8 T細胞応答を誘導しなかった。
【配列表】
【国際調査報告】