(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】倍率調整リング付き観察光学機器
(51)【国際特許分類】
G02B 23/00 20060101AFI20241024BHJP
F41G 1/38 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G02B23/00
F41G1/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526954
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 US2022079307
(87)【国際公開番号】W WO2023081828
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520168099
【氏名又は名称】シェルタード ウィングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】マクダーモット コナー
【テーマコード(参考)】
2H039
【Fターム(参考)】
2H039AA01
2H039AB41
2H039AB65
(57)【要約】
【課題】スコープチューブとの間の接続が改善され、及び/又は倍率調整リングの周囲に加わる均等分布の荷重を有する倍率調整組立体を提供する。
【解決手段】本開示は、倍率調整組立体に関する。一実施形態では、倍率調整組立体は、内面及び外面を有するリングを備える。一実施形態では、リングの内面の周りに溝が配置される。一実施形態では、少なくとも3つのボールベアリング構造が、圧縮性材料によって溝内に固定されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倍率調整組立体であって、
内面及び外面を有するリングと、
前記リングの内面の周囲に配置された溝と、
圧縮性材料によって前記溝内に固定された少なくとも3つのボールベアリング構造体と、
を備える、倍率調整組立体。
【請求項2】
前記圧縮性材料は、Oリングである、請求項1に記載の倍率調整組立体。
【請求項3】
前記外面の少なくとも一部を覆ってテクスチャを有する、請求項1に記載の倍率調整組立体。
【請求項4】
前記外面は、更に、少なくとも1つのフィンを含む、請求項1に記載の倍率調整組立体。
【請求項5】
前記外面の一部に数字標識を更に備える、請求項1に記載の倍率調整組立体。
【請求項6】
観察光学機器であって、
外面及び後端を有する本体であって、前記本体の周りに離間して配置された複数の孔を含む本体と、
前記本体に接続された光軸を定める可動光学素子と、
調整リング組立体と、
を備え、
前記調整リング組立体が、
内面及び外面を有するリングと、
前記リングの前記内面の周りに配置された溝と、
複数のボールベアリング構造体であって、各々が前記複数の孔のうちの1つに対応する、複数のボールベアリング構造体と、
を含み、
前記ボールベアリング構造体は、圧縮性材料によって前記溝とそれぞれの前記孔の間に固定されている、観察光学機器。
【請求項7】
前記ボールベアリングは、ボールベアリングの50%を超えて75%までが前記本体の外面の下方に残るように、前記溝とそれぞれの前記孔との間に固定される、請求項6に記載の観察光学機器。
【請求項8】
前記圧縮性材料は、Oリングである、請求項6に記載の観察光学機器。
【請求項9】
前記複数の孔は、3つの孔を含む、請求項6に記載の観察光学機器。
【請求項10】
前記孔は、それぞれ215°~235°、300°~60°及び105°~115°の範囲で配置されている、請求項9に記載の観察光学機器。
【請求項11】
前記観察光学機器は、ライフルスコープである、請求項6に記載の観察光学機器。
【請求項12】
前記調整リングは、倍率調整リングである、請求項6に記載の観察光学機器。
【請求項13】
調整リングを観察光学機器上に保持する方法であって、
複数の孔を有する観察光学機器本体を提供するステップと、
調整リングの内側の溝が前記複数の孔と整列するように、前記本体を覆って前記調整リングを配置するステップと、
前記調整リングの少なくとも1つの孔が前記本体の少なくとも1つの孔と整列するまで、前記調整リングを前記本体の周りに回転させるステップと、
圧縮性材料を前記調整リングの前記孔に押し通すステップと、
ボールベアリングを前記孔に押し通して前記調整リングに押し込むステップと、
前記ボールベアリングを使用して前記圧縮性材料を圧縮しながら、前記調整リングを前記本体の周りに回転させるステップと、
前記複数の孔の各々が圧縮性材料及びボールベアリングを収容するまで、前記圧縮性材料を押し通すステップと、前記ボールベアリングを押し通すステップと、前記ボールベアリングを使用して前記圧縮性材料を圧縮しながら前記調整リングを前記本体の周りに回転させるステップとを繰り返すステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年11月05日に出願された米国仮特許出願第63/275,658号の本特許出願であり、その優先権を主張するものであり、当該仮特許出願は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、観察光学機器に関する。一実施形態において、本開示は、倍率調整リングを含む観察光学機器に関する。一実施形態において、本開示は、倍率調整リングが観察光学機器の主軸に沿って移動すること及び軸方向の荷重移動を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
倍率調整リングは、観察光学機器の倍率を調整するために操作されるように、観察光学機器の本体の外側に設けられる。既存の倍率調整リングは、ねじ付きピンが固定される単一のねじ付き孔を有する。ピンは、スコープ本体のスロットに延びている。ピン本体は、スコープ本体のスロットの壁の間に拘束され、壁とピン本体との間の何らかのクリアランスにより、倍率調整リングの不要な軸方向並進が可能になる。ピン本体は更に、視準鏡の正立チューブ内まで延びて、伸縮自在の光学機器の倍率を調整する。この単一のピンのみがスコープチューブ内まで延びており、この単一のピンが、倍率調整リングの唯一の保持方法である。この1本のピンによって、倍率調整リングの保持に不均一が生じ、外力が局部的に負荷される可能性がある。
【0004】
より具体的には、既存の倍率調整リングの角度拘束は、スコープ本体のスロットの端点に依存している。ねじ付きピンがスコープ本体の主軸を中心に回転すると、ピン本体は正立チューブのスロット内に更に延びる。この拘束により、ねじ付きピンが端点の1つに接触するまで正立チューブが回転する。ピン本体とスロットの壁との間にクリアランスがあると、正立チューブの回転方向の配置が不適切になり、最大倍率及び最小倍率に偏位が生じる可能性がある。また、端点との接触が繰り返されると、ピンの肉盛り及び曲がりが生じ、防水性が損なわれ、倍率調整リングの回転位置決めが悪化する。
【0005】
上述の理由から、スコープチューブとの間の接続が改善され、及び/又は倍率調整リングの周囲に加わる均等分布の荷重を有する倍率調整リングを提供することが有利である。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、本開示は、倍率調整組立体を提供する。本開示の実施形態によれば、倍率調整組立体は、内面及び外面を有するリングと、リングの内面の周囲に配置された溝と、圧縮性材料によって溝内に固定されたボールベアリング構造体と、を備える。一実施形態では、少なくとも3つのボールベアリング構造が、圧縮性材料によって溝内に固定される。
【0007】
一実施形態では、圧縮性材料はOリングである。一実施形態では、リングは、外面の少なくとも一部を覆ってテクスチャを有する。更なる実施形態では、外面は、少なくとも1つのフィンを含む。別の実施形態では、倍率調整組立体は、外面の一部に数字標識を備える。
【0008】
一実施形態において、本開示は、観察光学機器を提供する。本開示の実施形態によれば、観察光学機器は、外面及び後端を有する本体であって、本体の周りに離間して配置された複数の孔を含む本体と、本体に接続された光軸を定める可動光学素子と、内面及び外面を有するリングを含む調整リング組立体と、リングの内面の周りに配置された溝と、複数の孔のうちの1つに各々が対応する複数のボールベアリング構造体と、を備え、ボールベアリング構造は、圧縮性材料によって溝とそれぞれの孔との間に固定される。
【0009】
一実施形態では、ボールベアリングは、ボールベアリングの50%を超えて75%までが本体の外面の下に残るように、溝とそれぞれの孔の間に固定される。別の実施形態では、圧縮性材料はOリングである。更なる実施形態では、複数の孔は3つの孔を含む。更に別の実施形態では、孔は、それぞれ215°~235°、300°~60°及び105°~115°の範囲に配置される。
【0010】
実施形態において、観察光学機器はライフルスコープである。更なる実施形態において、調整リングは倍率調整リングである。
【0011】
一実施形態において、本開示は、調整リングを観察光学機器上に保持する方法を提供し、上記方法は、複数の孔を有する観察光学機器本体を提供するステップと、調整リングの内側の溝が複数の孔と整列するように、本体を覆って調整リングを配置するステップと、調整リングの少なくとも1つの孔が本体の少なくとも1つの孔と整列するまで、調整リングを本体の周りに回転させるステップと、圧縮性材料を調整リングの孔に押し通すステップと、ボールベアリングを孔に通し通して調整リングに押し込むステップと、ボールベアリングを使用して圧縮性材料を圧縮しながら調整リングを本体の周りに回転させるステップと、複数の孔の各々が圧縮性材料及びボールベアリングを収容するまで、圧縮性材料を押し通すステップと、ボールベアリングを押し通すステップと、ボールベアリングを使用して圧縮性材料を圧縮しながら調整リングを前記本体の周りに回転させるステップとを繰り返すステップと、を含む。
【0012】
本開示の実施形態は、添付図面を参照して開示され、例示のみを目的とする。本開示は、その適用において、構造の詳細又は図面に図示された構成要素の配置に限定されるものではない。本開示は、他の実施形態、又は他の様々な方法で実施又は実施可能である。同様の参照数字は、同様の構成要素を示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の実施形態によるライフルスコープの一実施形態の側面図である。
【
図2】本開示の実施形態による、線2-2に沿って見た
図1のライフルスコープの断面図である。
【
図3A】本開示の実施形態による倍率調整リングを受けるように構成された後端部を示すライフルスコープの部分右側面斜視図である。
【
図3B】本開示の実施形態による倍率調整リングを受けるように構成された後端部を示すライフルスコープの部分左側面斜視図である。
【
図4A】本開示の実施形態による倍率調整リングを受けるように構成された後端部を示す、更なるライフルスコープの部分右側面斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態による、倍率調整リングが所定位置にある、
図3A~3Cのライフルスコープの後端の概略断面図である。
【
図6A】本開示の実施形態による、
図5の倍率調整リングの一部の斜視図である。
【
図7A】本開示の実施形態による更なる倍率調整リングの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載された又は図面に図示された構造の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本開示の技術は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施又は実施される。また、本明細書で採用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定的なものとみなされるべきではないことを理解されたい。
【0015】
本開示における数値範囲は概算であり、従って、別段の指示がない限り、範囲外の値を含むことができる。数値範囲は、任意の下側の値と任意の上側の値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを条件として、1単位刻みで、下側の値及び上側の値を含めて全ての値を含む。一例として、例えば分子量、メルトインデックス、温度等の組成的、物理的又は他の特性が、100から1,000である場合、100、101、102等の全ての個々の値及び100から144、155から170、197から200等の部分的範囲が明示的に列挙されることが意図される。1未満の値を含む範囲、又は1より大きい分数(例えば1.1、1.5等)を含む範囲については、適宜、1単位は0.0001、0.001、0.01又は0.1とみなされる。10未満の1桁の数字を含む範囲(例えば、1~5)の場合、1単位は通常0.1とみなされる。これらは具体的に意図されたものの例に過ぎず、列挙された最低値から最高値までの間の数値の全ての可能な組み合わせは、本開示に明示されているものとみなされる。数値範囲は、特に、混合気中の成分の相対量、及び方法に記載される様々な温度及び他のパラメータ範囲について、本開示内で提供される。
【0016】
本明細書において数値範囲と共に使用される用語「約」は、記載された数値の上方及び下方に境界を拡張することによってその範囲を修正する。一実施形態では、「約」という用語は、本明細書において、記載された数値の上方及び下方に10%の分散で数値を修正するために使用される。従って、約50%は45%~55%の範囲を含む。
【0017】
本明細書において「A及び/又はB」のような表現で使用される用語「及び/又は」は、A及びBの両方;A又はB;A(単独);及びB(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、及び/又はC」のような句で使用される用語「及び/又は」は、以下の実施形態:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)の各々を包含することが意図される。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「備える」、「含む」、「有する」及び同様の用語は、同じものが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ又は手順の存在を排除することを意図するものではない。誤解を避けるため、「備える」という用語の使用を通じて特許請求される全てのプロセスは、そうでないとの記載がない限り、1又は2以上の追加のステップ、装置又は構成部分の要素、及び/又は材料を含むことができる。対照的に、「本質的に~からなる」という用語は、実施可能性に必須でないものを除いて、他の構成要素、ステップ又は手順を後続の記載の範囲から除外する。「からなる」という用語は、具体的に正確に記載又は列挙されていない構成要素、ステップ又は手順を除外する。「又は」という用語は、別段の記載がない限り、列挙された部材を個々に指すだけでなく、任意の組み合わせを指す。
【0019】
本明細書において、「正立スリーブ」とは、正立チューブ及び/又はカムチューブのスロットに係合する、又は類似の目的を果たす正立レンズマウントからの突出部である。これはマウントと一体であっても又は着脱可能であってもよい。
【0020】
本明細書において「正立チューブ」とは、正立レンズマウントを受ける開口を有する何れかの構造体又はデバイスである。
【0021】
本明細書において、用語「倍率アジャストリング」と「倍率調整リング」は互換的に使用される。
【0022】
本明細書において、「観察光学機器」という用語は、射手又はスポッターが標的を選択、識別又は監視するために使用する器具を指す。「観察光学機器」は、標的の視覚的観察、又は、例えば、赤外線(IR)、紫外線(UV)、レーダー、熱、マイクロ波、又は磁気イメージング、X線、ガンマ線、同位体及び粒子線を含む放射線、暗視、超音波、サウンドパルス、ソナー、地震振動、磁気共鳴、重力受容体を含む振動受容体、電波を含む放送周波数、テレビ及びセルラー受容体、又は標的の他の画像に依存することができる。「観察光学機器」デバイスによって射手に提示される標的の画像は、変更されていない場合もあれば、例えば、拡大、増幅、減算、重ね合わせ、ろ過、安定化、テンプレートマッチング、又は他の手段によって強化される場合もある。「観察光学機器」によって選択、識別又は監視される標的は、射手の視線内にある場合もあれば、射手の視線に対して接線上にある場合もあり、又は標的捕捉デバイスが射手に標的の焦点画像を提示する間、射手の視線が遮られる場合もある。「観察光学機器」によって取得された標的の画像は、例えば、アナログ又はデジタルであり、例えば、html、SML、SOAP、X.25、SNA等のプロトコル、Bluetooth(商標)、シリアル、USB又は他の適切な画像配信方法を用いたビデオ、物理ケーブル又はワイヤ、IR、電波、セルラー接続、レーザーパルス、光学、802.11b又は他の無線伝送によって、1又は2以上の射手及びスポッターのネットワーク内で共有、保存、アーカイブ又は伝送される。用語「観察光学機器」は、「光学照準器」と互換的に使用される。
【0023】
次に、本明細書に開示される装置及び方法について、本開示の実施形態が示される添付図面を参照しながら、より詳細に説明する。しかしながら、本明細書において開示される装置及び方法は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書において記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、開示が徹底的且つ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。
【0024】
特徴のセット及び/又は機能は、スタンドアロン兵器サイト、フロントマウント又はリアマウントのクリップオン兵器サイト、及びファイルされた光学兵器サイトの他の配列のコンテキスト内で容易に適合できることが、当業者には理解されよう。更に、特徴及び能力の様々な組み合わせが、あらゆる種類の既存の固定又は可変兵器照準器を改造するためのアドオンモジュールに組み込むことができることが、当業者には理解されよう。
【0025】
要素又は層が他の要素又は層「の上にある」、「に接続されている」又は「に結合されている」と称される場合、これは、他の要素又は層の上に直接ある、接続又は結合できることが理解されよう。或いは、介在する要素又は層が存在してもよい。対照的に、要素が他の要素又は層「の上に直接ある」、「に直接接続されている」又は「に直接結合されている」と称される場合、介在要素又は層は存在しない。
【0026】
同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1又は2以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0027】
本明細書において、第1、第2等の用語は、様々な要素、構成要素、領域、及び/又はセクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、又はセクションを別の要素、構成要素、領域、又はセクションと区別するために使用されるに過ぎない。従って、後述する第1の要素、構成要素、領域、又はセクションは、本開示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、又はセクションと称することができる。
【0028】
「真下」、「下方」、「下側」、「上方」、及び「上側」等の空間的に相対的な用語は、図に例示されるように、1つの要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を説明するために、説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用時又は動作時のデバイスの異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図のデバイスが裏返された場合、他の要素又は特徴の「下方」又は「真下」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上方」に配向されることになる。従って、例示的な用語「下方」は、上方及び下方の配向の両方を包含することができる。デバイスは、他の向き(90°回転した向き又は他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0029】
図1~
図2は、概して、本開示の実施形態によるライフルスコープ10を示す。ライフルスコープ10は、正立チューブである可動光学素子13を包囲するスコープ本体12を有する。スコープ本体12は、その前部に大きな開口14及びその後部に小さな開口16を有する細長い管体である。スコープ本体12の後部には接眼レンズ18が取り付けられ、及びスコープ本体12の前部には対物レンズ20が取り付けられている。可動光学素子13の中心軸は、ライフルスコープ10の光軸17を定める。
【0030】
仰角ターレット22及びウィンデージターレット24は、スコープ本体12の外側中央部に設けられた2つのノブである。これらは、その外周部30及び32に標識34によって増分で表示されており、着弾点変化に対する可動光学素子13のエレベーション及びウィンデージを調整するために使用される。これらのノブ22、24はターレットハウジング36から突出している。ターレット22、24は、仰角ターレット回転軸26がウィンデージターレット回転軸28に直交するように配置される。インジケータは、典型的には、各々がクリックに対応する刻みマーク、及び選択された間隔におけるより大きな刻みマーク、並びに調整角度又は弾丸落下補正のための距離を示す数字を含む。
【0031】
可動光学素子13は、ターレットを1クリック又は2クリック以上回転させることにより調整される。クリックとは、ライフルスコープ10のウィンデージ又は仰角ターレット上の1つの触覚的調整増分であり、その各々が標識34の1つに対応する。現在の実施形態では、1クリックでスコープの着弾点が0.1ミリラジアン(mrad)変化する。しかしながら、本明細書で開示されるターレット、システム及び概念は、インクリメントの他の尺度と共に使用することができる。他の実施形態では、増分は分角(MOA)増分とすることができる。
【0032】
図3A~
図3C及び
図4A~
図4Dは、倍率調整リングが取り外された後端部16の第1の端部及び第2の端部をそれぞれ示している。
図3A~
図3C及び
図4A~
図4Dに示すように、本体12は、本体12の外径の周囲に間隔をおいて設けられた複数の有底孔を有する。特に、図示の実施形態では、3つの有底孔61、62、63が設けられている。追加の孔を設けてもよい。スコープ本体12には更に溝68が設けられている。
【0033】
図3A~
図3C及び
図4A~
図4Dに示す実施形態では、孔61、62、63は、スコープ本体について、それぞれ、225°、0°、105°の位置に配置されている。更なる実施形態では、孔61、62及び63は、それぞれ、215°~235°、300°~60°及び105°~115°に配置され得る。更に別の実施形態では、孔61、62及び63は、スコープ本体12に対して均等に、又は異なる間隔で配置することができる。溝68は、約117°から約243°まで延びるように示されているが、幾つかの実施形態では、溝68は、より長くても、短くても、或いは、スコープ本体12に関して異なる位置で配向されてもよいが、但し、溝68が孔61、62及び63と重ならないか又は干渉しないことが条件である。
【0034】
孔(例えば、61、62、63)は、
図5に示すように、倍率調整リング60で外部からシールできる箇所に後端部16に配置される。倍率調整リング60は、後端部16において本体12の外側に配置され、本体12に設けられた複数の孔(例えば、61、62、63)を覆っている。
【0035】
倍率調整リング60の内側直径又はプロフィールは、その上に配置される本体12の輪郭及び特徴と一致するように精密に設計される。
図5に示す実施形態では、倍率調整リング60は、2つのシール部品64とインターフェースする2つのボア部分65を有する。シール部品64は、
図4A及び
図4Bを参照して示すように、スコープ本体12の周りのリング溝69に係合する。シール部品64は、Oリング、Xリング又は同様の構造であってもよい。倍率調整リング60の内部プロファイルはまた、正しく取り付けられたとき、スコープ本体12の孔(例えば、61、62、63)の軸線と一致する中間面線67を有する溝66を含む。
【0036】
倍率調整リング60を保持するためには、本体12の複数の孔(例えば、61、62、63)に機械的インターフェースを取り付ける必要がある。図示の実施形態では、機械的インターフェースは、
図6A及び
図6Bに示すように、圧縮性部品71及びボールベアリング72の2つの要素で構成されている。圧縮性部品71及びボールベアリング72は、倍率調整リング60の孔75を通して挿入される。最初の孔61、62又は63が圧縮性部品71及びボールベアリング72を含むと、倍率調整リング60は、その孔75が本体12の次の保持部61、62又は63と整列するように回転される。倍率調整リング60は、倍率調整組立体からの圧縮可能な部品71及びボールベアリング72と共に回転する。
【0037】
倍率調整リング60は、スコープ本体12の溝68と整列する第2の孔77を含む。
【0038】
図示の実施形態では、機械的インターフェースは、Oリングとして示されている圧縮性部品71及び金属ボールベアリング72の2つの構造体で作られている。圧縮性部品71はOリングである必要はなく、及びボールベアリング72は金属である必要はないことが理解されよう。同様に、ボールベアリング72は、圧縮性材料71を圧縮し、機械的界面を形成することができる任意の材料又は構造を使用することができる。更なる実施形態では、圧縮性材料71及びボールベアリング72は、例えばポリマーピンのような単一の構造体であってもよい。
【0039】
ボールベアリング72は、孔61、62、63から延びて、対応する溝66に部分的に係合する。図示の実施形態では、及び十分な機械的界面を形成するために、ボールベアリング72の50%以上が、適切に取り付けられた位置にあるとき、スコープ本体12の表面下に残る。ボールベアリング72の残りは、倍率調整リング60の溝66に係合する。幾つかの実施形態では、ボールベアリング72の約50%超、又は55%、又は60%から65%、又は70%、又は75%がスコープ本体12の表面下に残る。
【0040】
図示の実施形態では、孔61、62及び63は、孔61、62及び63の各々が圧縮性材料71及びボールベアリング72を含むとき、倍率調整リング60の孔10がボールベアリング71を横切ることができないような向きで角度的に離間して配置されている。
【0041】
倍率調整リング60をスコープ本体12に保持するために3つの接触点を使用することで、従来の1つのねじ保持構造で見られた曲がりが防止される。倍率調整リング60の軸方向の変位も、既存の倍率調整リング60と同様のオペレータを維持しながら防止される。最終的な結果は、倍率調整リング60とスコープ本体12との間の耐久性及び構造的に剛性のある接続であり、エンドユーザにとって使い慣れたものである。
【0042】
図7A~
図7Hは、倍率調整リング60の更なる実施形態を示す。
図7A~
図7Hに示す実施形態では、リング60の外面は、ユーザが倍率調整リング60を把持して回転させるために使用するテクスチャ80及びフィン81を有する。フィン81に最も近いテクスチャ面80に隣接し、ユーザが見るような倍率調整リング60の側面上には、複数の数字標識82がある。ユーザはこの標識を参照して、観察光学機器の倍率レベルを決定する。また、倍率調整リング60の外側には、孔75及び77が示されている。
【0043】
図7A~
図7Hはまた、倍率調整リング60の内面上に溝66を示している。上述したように、溝66はスコープ本体の孔61、62及び63と整列してボールベアリング71と係合する。
【0044】
オペレータが倍率調整リング60を回転させると、スコープ本体12の孔77及び溝68に係合するピン又はねじのような機構がスコープチューブ内を移動し、光学系の倍率を調整する。ボールベアリング71により、倍率調整リング60は本体12に対して容易にスライドすることができる。
【0045】
本開示の別の実施形態に従って、倍率調整リングのような調整リングを観察光学機器本体に保持する方法が提供される。
【0046】
まず、本体は複数の孔を含まなければならない。これらの孔は、所望の孔を形成することができる任意の技術によって、ドリル、タップ又は本体に形成することができる。
【0047】
第2に、調整リングの内側にある溝が孔と整列するように、調整リングをボディの上に配置する。
【0048】
調整リングは、リングを貫通し、及び溝を中断する少なくとも1つの孔を更に含む。調整リングは、少なくとも1つの孔が視準光学体の少なくとも1つの孔と整列するまで本体に対して回転される。
【0049】
調整リングの少なくとも1つの孔を通して、圧縮性材料が観察光学機器本体の対応する孔に押し込まれる。その後、ボールベアリングが調整リングの孔から押し込まれ、圧縮性材料を圧縮する。圧縮性材料を圧縮する力が加えられている間、調整リングは、孔が観察光学機器本体の次の孔と一直線になるように回転される。
【0050】
少なくとも1つの孔が視準光学体の少なくとも1つの孔と整列するまで調整リングを回転させるステップと、調整リングを通して圧縮性材料を視準光学体内に押し込むステップと、ボールベアリングを押し込むステップは、視準光学体の全ての孔に圧縮性材料及びボールベアリングが入るまで繰り返される。
【0051】
倍率調整組立体についてライフルスコープを参照して説明してきたが、倍率調整組立体は他の観察光学機器にも容易に使用できることが理解されよう。同様に、組立体及び調整リングは倍率の調整に関して説明されてきたが、観察光学機器及びライフルスコープの他の特性は、観察光学機器の特性を調整する任意のリング構造を保持するために、同じ概念、構造及び材料を利用できることが理解されよう。
【0052】
倍率調整リングの様々な実施形態を詳細に説明してきたが、それに対する修正及び変形が可能であり、その全てが本発明の真の精神及び範囲に属することは明らかであろう。上記の説明に関して、開示された技術の部品の最適な寸法関係は、サイズ、材料、形状、機能、及び操作、組立体、及び使用方法のバリエーションを含むように、当業者には容易に明らかであり、自明であると考えられ、図面に図示され、明細書に記載されたものと同等の関係は全て、本発明によって包含されることが意図されることを理解されたい。従って、前述は本発明の原理を例示するものに過ぎないと考えられる。更に、多数の修正及び変更が当業者には容易に生じるので、本発明を図示及び記載された正確な構造及び作動に限定することは望まれず、従って、本発明の範囲に属する、全ての好適な修正及び等価物に頼ることができる。
【符号の説明】
【0053】
12 スコープ本体
16 後端部
61 孔(スコープ本体の)
62 孔(スコープ本体の)
【国際調査報告】