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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ライダセンサデータの処理
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20241024BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20241024BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S17/931
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526958
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2022080562
(87)【国際公開番号】W WO2023078936
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2111822
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522400548
【氏名又は名称】コンチネンタル オートノマス モビリティー ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Continental Autonomous Mobility Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ ディラ
(72)【発明者】
【氏名】ボリス ル-ジェズ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA10
5J084AA14
5J084AB01
5J084AB08
5J084AC02
5J084AD01
5J084CA31
5J084CA70
5J084EA01
(57)【要約】
本開示は、車両に搭載されたライダセンサからのデータを処理するためのデバイスに関する。データ処理デバイスは、ライダセンサによって取得されたピクセルのアレイのうちのピクセルのグループが、粒子群、特に上記ピクセルに関連する法線ベクトルの分布から、粒子群に対応するか否かを判定することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)に搭載されるように適合されたライダセンサ(2)のためのデータ処理デバイス(1)であって、前記デバイスが、
前記ライダセンサ(2)によって取得されたピクセル(p)のマトリクスを取得し(110)、前記マトリクスの各ピクセル(p)が、光の強度(I)及び3次元空間における位置(x,y,z)に関連付けられ、
ピクセルの前記マトリクスのうちの隣接するピクセルの少なくとも1つのグループを特定し(120)、
隣接するピクセルの特定された少なくとも1つのグループについて、
隣接するピクセルの前記グループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルを決定し(130)、
隣接するピクセルの前記グループのうちの前記ピクセルに関連する前記複数の法線ベクトルの実質的に均一な分布に基づいて、隣接するピクセルの前記グループが完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定する(140)
ように構成されたコンピュータ(3)を備える、データ処理デバイス(1)。
【請求項2】
前記コンピュータ(3)がまた、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定された隣接するピクセルの前記グループのうちの少なくとも1つの特定のピクセルについて、前記特定のピクセルが前記粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定する(150)ように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記コンピュータ(3)が、前記ピクセルに関連する強度が、判定された固体要素に関連する強度閾値よりも大きい場合に、前記特定のピクセルが固体要素に属することを判定するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記コンピュータ(3)が、前記ライダセンサ(2)に対する隣接するピクセルの前記グループの平均距離を決定するように更に構成されることと、隣接するピクセルのグループが、前記ライダセンサ(2)に対する隣接するピクセルの前記グループのうちの前記ピクセルの平均距離が所定の距離閾値未満である場合に、完全に又は部分的に前記粒子群に属すると特定される候補であることとを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
前記コンピュータ(3)が、隣接するピクセルの前記グループの平均強度と、前記ライダセンサ(2)に対する隣接するピクセルの前記グループの平均距離とを決定するように更に構成されることと、
隣接するピクセルのグループが、前記強度閾値がピクセルの前記グループの前記平均距離に基づいて決定された状態で、隣接するピクセルの前記グループのうちの前記ピクセルの平均強度が、決定された強度閾値未満である場合に、完全に又は部分的に前記粒子群に属すると特定される候補であることとを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記コンピュータが、隣接するピクセルの前記グループのうちの前記ピクセルごとに方位角を決定するように更に構成されることと、隣接するピクセルのグループが、隣接するピクセルの前記グループのうちのピクセルの方位角の分布が所定のモデルに実質的に対応する場合に、完全に又は部分的に前記粒子群に属すると特定される候補であることとを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記コンピュータ(3)が、隣接するピクセルのグループを、各ピクセルがピクセルの前記グループの別のピクセルから所定の隣接閾値未満の距離にある複数のピクセルに対応するものとして特定するように構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
車両(10)であって、前記車両(10)が、請求項1~7のいずれか一項に記載のデータ処理デバイス(1)に適合されることと、ライダセンサ(2)が、前記車両の後部に搭載されることと、前記データ処理デバイス(1)の前記コンピュータ(3)が、排気ガス粒子を含む粒子群を特定するように構成されることとを特徴とする、車両(10)。
【請求項9】
車両(10)に搭載されたライダセンサ(2)からのデータを処理するための方法であって、
前記ライダセンサ(2)によって取得されたピクセル(p)のマトリクスを取得すること(110)であって、前記マトリクスの各ピクセル(p)が、光の強度(I)及び3次元空間における位置(x,y,z)に関連付けられる、ことと、
ピクセルの前記マトリクスのうちの隣接するピクセルの少なくとも1つのグループを特定すること(120)と、
隣接するピクセルの特定された少なくとも1つのグループについて、
隣接するピクセルの前記グループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルを決定すること(130)と、
隣接するピクセルの前記グループのうちの前記ピクセルに関連する前記複数の法線ベクトルの実質的に均一な分布に基づいて、隣接するピクセルの前記グループが完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定することと(140)
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
完全に又は部分的に粒子群に属すると特定された隣接するピクセルの前記グループのうちの少なくとも1つの特定のピクセルについて、前記特定のピクセルが前記粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定すること(150)を更に含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータによって実施される場合に、請求項9又は10に記載の方法のいずれか1つを実施するための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコード命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダセンサのデータを処理するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライダ(光検知測距)センサは、光波を放出し、この光波の反射に基づいて、ライダセンサの環境をマッピングするマトリクスを決定するセンサである。
【0003】
ライダセンサの環境のマトリクスは、浮遊粒子を含み、特にライダセンサが車両に搭載される場合、排気ガスに由来する浮遊粒子を含み得る。
【0004】
道路網を走行する車両上に配置されたライダセンサとの関連において、多数の浮遊粒子、特に様々な車両の排気ガスに起因する多数の浮遊粒子が存在し、多数の浮遊粒子は、ライダセンサの環境のマトリクスの正しい解釈を妨げる可能性がある。
【0005】
米国特許第8818609号明細書で提案された解決策は、ライダセンサによって取得された点から構成されるゾーンが排気ガスに対応するか、固体物体に対応するゾーンであるかを、これらの点の密度プロファイル及び高さプロファイルに基づいて決定することを含む。より具体的には、密度及び高さのプロファイルが以前に決定されたプロファイルと比較され、その比較に基づいて排ガスであるか固体物体であるかを判定するために分類器が使用される。
【0006】
しかしながら、この解決策には、固体物体もまた排気ガスに含まれ可能性がある限り限界があるため、この場合、排気ガスと固体物体とを区別することが難しいと分かる。
【0007】
したがって、この意味で、浮遊粒子を検出する際の精度、及びこれら粒子内の物体を区別する際の精度を向上させる余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本開示の第1の目的は、車両に搭載されるように適合されたライダセンサによって取得された点(ピクセル)のグループが完全に又は部分的に粒子群に対応するか否かを検出するように適合された代替的なデバイス及び方法を提案することを含む。
【0009】
本開示の別の目的は、本デバイス及び本方法が、完全に又は部分的に粒子群に属すると以前に特定されたピクセルのこのグループ内で、ピクセルが粒子以外の固体要素に対応するか否かを検出できるようにすることを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この点に関して、本開示は、車両に搭載されるように適合されたライダセンサのためのデータ処理デバイスであって、本デバイスが、
-ライダセンサによって取得されたピクセルのマトリクスを取得し、マトリクスの各ピクセルが、光の強度及び3次元空間における位置に関連付けられ、
-ピクセルのマトリクスのうちの隣接するピクセルの少なくとも1つのグループを特定し、
隣接するピクセルの特定された少なくとも1つのグループについて、
*隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルを決定し、
*隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルの実質的に均一な分布に基づいて、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定する
ように構成されたコンピュータを備える、データ処理デバイスを説明する。
【0011】
任意選択で、コンピュータはまた、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定された隣接するピクセルのグループの少なくとも1つの特定のピクセルについて、特定のピクセルが粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定するように構成される。
【0012】
任意選択で、コンピュータは、ピクセルに関連する強度が、決定された固体要素に関連する強度閾値よりも大きい場合に、特定のピクセルが固体要素に属することを判定するように構成される。
【0013】
任意選択で、コンピュータは、ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループの平均距離を決定するように更に構成される。隣接するピクセルのグループが、ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの平均距離が所定の距離閾値未満である場合に、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補であり得る。
【0014】
任意選択で、コンピュータは、隣接するピクセルのグループの平均強度と、ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループの平均距離とを決定するように更に構成される。隣接するピクセルのグループが、強度閾値がピクセルのグループの平均距離に基づいて決定された状態で、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの平均強度が、決定された強度閾値未満である場合に、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補であり得る。
【0015】
任意選択で、コンピュータは、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルごとに方位角を決定するように更に構成される。隣接するピクセルのグループが、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの方位角の分布が所定のモデルに実質的に対応する場合に、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補であり得る。
【0016】
任意選択で、コンピュータは、隣接するピクセルのグループを、各ピクセルがピクセルのグループのうちの別のピクセルから所定の隣接閾値未満の距離にある複数のピクセルに対応するものとして特定するように構成される。
【0017】
別の態様によれば、本開示は、上述のオプションのいずれかにしたがってデータ処理デバイスに適合した車両を説明する。そして、データ処理デバイスのコンピュータは、排気ガス粒子を含む粒子群を特定するように構成される。
【0018】
別の態様によれば、本開示は、車両に搭載されたライダセンサからのデータを処理するための方法であって、
-ライダセンサによって取得されたピクセルのマトリクスを取得することであって、マトリクスの各ピクセルが、光の強度及び3次元空間における位置に関連付けられる、ことと、
-ピクセルのマトリクスのうちの隣接するピクセルの少なくとも1つのグループを特定することと、
隣接するピクセルの特定された少なくとも1つのグループについて、
*隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルを決定し、
*隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルの実質的に均一な分布に基づいて、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定することと
を含むことを特徴とする、方法を説明する。
【0019】
任意選択で、本方法は、隣接するピクセルのグループのうちの少なくとも1つの特定のピクセルについて、特定のピクセルが粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定することを更に含む。
【0020】
本開示はまた、コンピュータによって実施される場合に、本明細書に記載の方法のいずれか1つを実施するための命令を含むコンピュータプログラム製品を説明する。また、本明細書に記載の方法のいずれか1つを実施するためのコード命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体を説明する。
【0021】
更なる特徴、詳細、及び利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を分析すれば明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a】データ処理デバイスの一例を示す。
図1b】データ処理デバイスの別の例を示す。
図2】車両に搭載されたライダセンサの一例を示す。
図3】データ処理デバイスのコンピュータによって制御されるように構成されている様々なブロックの一例を示す。
図4】隣接するピクセルのグループの一例及びピクセルのいくつかのサブセットの一例を示す。
図5a】ピクセルのグループのうちのピクセルの法線ベクトルの方向の均一な分布の一例を示す。
図5b】ピクセルのグループのうちのピクセルの法線ベクトルの方向の不均一な分布の一例を示す。
図6a】ピクセルのグループのうちのピクセルの方位角の分布の一例を示す。
図6b】ピクセルのグループのうちのピクセルの方位角の分布の別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、様々な動作を実行するように構成されたコンピュータを備える、ライダセンサのためのデータ処理デバイスを説明する。これらの様々な動作は、特に、ライダセンサから取得され、ライダの環境を記述するピクセルのグループが、完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定するために使用される。任意選択で、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定された隣接するピクセルのグループのうちの特定のピクセルが、粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定することも可能である。
【0024】
処理デバイスによって可能となるこれらのことは、特に自律走行車両トラフィックとの関連において特に有利である。実際、車両に搭載されたライダセンサによって、車両の周囲の環境をマッピングすることができる。このマッピングは、特に、粒子群又は固体要素に関連する情報を含むことができる。特に、ライダマトリクス上の粒子群は、例えば、車両(特にライダが搭載されている車両)の排気ガスに対応し得る。固体要素に関しては、ライダマトリクス上の固体要素は、障害物、例えば、ライダが搭載された車両の周囲にある他の車両を表し得る。
【0025】
ただし、取得された情報は、ライダの観点からは、粒子群であるか粒子群以外の固体要素であるかを問わず、単にピクセルの集合を表すに過ぎないことを理解されたい。しかしながら、ライダから受信した情報を使用する処理機能、特に自律走行車両の走行機能に関しては、粒子群は、固体要素とは異なり、乗員及び車両にとっていかなる危険も伴わないため、障害物と解釈されてはならない。
【0026】
よって、本開示で説明される処理デバイスは、完全に又は部分的に粒子群に対応し得るピクセルのグループを特定し、また任意選択で、これらのグループの中から、粒子以外の固体要素に対応するピクセルを区別し得る解決策を実施するのに適する。
【0027】
この場合、説明される解決策は、処理デバイスによって検出された固体要素が「誤検出」に相当しないことを確保する解決策に続いて、より綿密な処理が実行され得るという意味で、前処理解決策である。よって、説明される解決策では、固体要素に相当すると特に推定されるピクセルのグループが、そうしたより綿密な処理を使用して直接処理され得るように慎重に区別され得る。これにより、乗員の物理的完全性を損ない、車両を損傷させる可能性がある固体要素を検出する能力を維持することができる。
【0028】
次に、ライダセンサ2のためのデータ処理デバイス1の例を示す図1a及び図1bを参照する。
【0029】
データ処理デバイス1は、ライダセンサ2に関連付けられたいくつかのデータ処理ブロックをデータ処理デバイスが制御することを可能にするコード命令を実行するように適合されたコンピュータ3を備え得る。
【0030】
コード命令は、例えば、コンピュータ3がアクセス可能なメモリ31に記憶され得る。コンピュータ3は、例えば、プロセッサ、コントローラ、又はマイクロコントローラであり得る。したがって、コンピュータ3は、メモリ31に収容された情報を使用することができるようにメモリ31に接続される。
【0031】
メモリ31は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)、又は任意の他の種類のコード命令の読み出しに適した記憶手段を含み得る。メモリは、例えば、光、電子、又は更には磁気記憶の手段を含み得る。
【0032】
図1aでは、データ処理デバイス1の一例が、ライダセンサ2と、コンピュータ3と、メモリ31とを備える。特に、図示の例では、ライダセンサ2は、コンピュータ3とメモリ31とを備える。したがって、データ処理デバイスの非限定的な例が、コンピュータ3とメモリ31とを備えるライダセンサ2に対応し得る。本実施形態では、光線の放出に続いてライダセンサによって取得されたデータが、記憶されるべく、有線接続によってメモリ31に送信されるように、ライダセンサ2は、コンピュータ3のメモリ31に物理的に接続され得る。したがって、メモリ31に収容され、本開示によって後述されるデータに基づいてコンピュータ3によって制御されるデータ処理は、ライダセンサ上でローカルに行われ得る。
【0033】
データ処理デバイス1の別の例を図1bに示す。本例では、データ処理デバイスはライダセンサ2を備え、ライダセンサ2は電気通信チャネルを介してメモリ31を有するコンピュータ3に接続され得る。したがって、ライダセンサ2とメモリ31を有するコンピュータ3とはリモートであり得、ライダセンサ2によって取得されたデータは、メモリ31に記憶されるべく、電気通信チャネルによってコンピュータ3に送信される。コンピュータ3及びメモリ31は、例えば、リモートサーバの一部を形成し得る。電気通信チャネルとしては、例えば、3G、4G、5G、光、電磁などのチャネルが挙げられる。
【0034】
この場合、ライダセンサ2が車両10に、有利には車両10の後部に搭載される場合、図2に示すように、データは、車両に直接配置されたコンピュータ3によって処理され得る。この図では、矢印Dは車両10の進行方向を表し、矢印Oはライダセンサの光軸を表す。この構成では、コンピュータはまた、図1aに示す例のようにライダセンサと理解することもできるし、図2に示すように、車両10上に存在する別のコンピュータに単に対応することもできる。コンピュータ3は、例えば、車両10の電子制御ユニットであり得る。代替的な実施形態として、ライダセンサ2は車両10に搭載され、コンピュータ3は車両10からリモートにあるサーバに配置される。したがって、データはリモートサーバで処理される。
【0035】
以下、図3を参照しながら、データ処理デバイス1のコンピュータ3によって実行されるように構成される方法を説明する。
【0036】
ブロック110に示すように、コンピュータ3は、ライダセンサ2によって取得されたピクセルpのマトリクスを取得するように構成される。マトリクスは、ライダ2によって光線の放出を介して決定され、光線が反射して、上記ライダ2によって受信されることにより、ピクセルpのマトリクスの形成を可能にする。マトリクスの各ピクセルpには、ピクセルが受信した光の強度に対応する強度I及び3次元空間における位置(x、y、z)が割り当てられ、x及びyは、ピクセルpの直交座標であり、zは奥行き座標である。x、y、及びz座標は、ライダ2の受信機マトリクス上のピクセルpの位置に基づいて、またライダセンサに対するピクセルpの相対距離に基づいて計算される。ライダセンサに対するピクセルpの距離は、光線の放出からライダ2による光線の受信までの時間の関数として決定される。次いで、ピクセルのマトリクスは、使用されるデータ処理デバイスに応じて適切な通信チャネルを使用することにより、コンピュータ3のメモリ31に記憶される。
【0037】
ブロック120に示すように、コンピュータ3は、ピクセルのマトリクスMのうちの隣接するピクセルの少なくとも1つのグループを特定するように構成される。ピクセルのマトリクスのうちの2つのピクセル間の距離が所定の隣接閾値未満である場合、これらの2つのピクセルは、隣接するピクセルに対応し得る。一例では、コンピュータは、隣接するピクセルのグループを、各ピクセルがピクセルのグループのうちの別のピクセルの所定の隣接閾値未満のユークリッド距離にある複数のピクセルに対応するものとして特定するように構成され得る。3次元空間におけるピクセルの座標に基づいて距離を計算することができる。このブロックでは、このことは、完全に又は部分的に粒子群に属し得る1つ以上の候補ピクセルのグループを決定することを含む。
【0038】
本明細書において距離が言及される場合、距離は、3次元空間におけるピクセルの座標に基づいて決定されるユークリッド距離を含み得る。
【0039】
データ処理デバイスのコンピュータはまた、ブロック120の終了時点で特定された隣接するピクセルの少なくとも1つのグループに対して、有利にはピクセルのすべてのグループに対して、ブロック130から150の動作及び以下に説明するそれらの様々な関連する例を実施するように構成される。これらのブロックは、特定された隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属するか否か、また任意選択で、隣接するピクセルのこのグループのうちのピクセルが粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定するために使用される。
【0040】
したがって、これらのブロックに記述されたデータの処理は、ブロック120の終了時点で特定された各ピクセルのグループに適用される。ただし、明確にするために、これらのブロックは隣接するピクセルのグループに関して説明されるが、特定されたピクセルのグループのそれぞれに個別に適用され得ることを念頭に置いている。
【0041】
よって、またブロック130に示すように、コンピュータ3は、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルを決定するように構成される。このステップでは、隣接するピクセルのグループのうちの各ピクセルに関連する法線ベクトルを決定することを含み得る。
【0042】
ピクセルに垂直なベクトルは、隣接するピクセルのグループのうちの検討中のピクセルを通過する局所表面に垂直なベクトルであると理解されたい。この局所表面は、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルを通過する平均面で近似され得る。
【0043】
隣接するピクセルのグループのうちの特定のピクセルに関連する法線ベクトルが、例えば、特定のピクセルを含むピクセルのサブセットに基づいて決定され得る。この点に関して、コンピュータはまた、隣接するピクセルのグループのうちの特定のピクセルごとに、特定のピクセルに関連するピクセルのサブセットを決定するように構成され得る。
【0044】
コンピュータは、例えば、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルと特定のピクセルとの間の距離に基づいて、特定のピクセルを含むピクセルのサブセットを決定するように構成され得る。
【0045】
一実施形態では、ピクセルのサブセットが、特定のピクセルの所定のサブセット距離閾値未満の距離に位置する複数のピクセルを含み得る。この点に関して、特定のピクセルが、実質的に、ピクセルのサブセットの中心ピクセルであり得る。
【0046】
別の実施形態では、ピクセルのサブセットが、所定の数nのピクセルを含むことができ、このサブセットのピクセルは、例えば、特定のピクセルに最も近いn-1個のピクセルに対応する。
【0047】
隣接するピクセルのグループのうちの特定のピクセルに関する法線ベクトルを決定するためのピクセルのサブセットの例を図4に示す。特に、図4は、複数のピクセルpを含む隣接するピクセルのグループGを示している。
【0048】
図4に示すピクセルのサブセットの例は、サブセットS1、S2、S3、S4、及びS5であり、このサブセットでは、サブセットのそれぞれにそれぞれ関連する特定のピクセルは、ps1、ps2、ps3、ps4、及びps5である。
【0049】
サブセットS1、S2、及びS3を示す円の半径は、所定のサブセット距離閾値の一例を表す。この場合、図4は2次元で表現されているが、ピクセルは3次元座標に関連し、示された円は現実には球体であり得るため、この原理は3次元にも適用され得ることを理解されたい。サブセットS4及びS5は、サブセットS4及びS5に関する限り、特定のピクセルのn-1番目に近いピクセルに対応する所定の数nのピクセル(2次元的で示した例では7つのピクセル)を含むサブセットを表す。
【0050】
この場合、特定のピクセルに関連するピクセルのサブセットに基づいて、コンピュータは、特定のピクセルに関連する平均平面を決定するように構成され得る。特定のピクセルの平均平面は、特定のピクセルに関連するサブセットのピクセルのうちのすべてのピクセル間の距離を最小化する平面に対応し得、ピクセルのサブセットのうちの各ピクセルの3次元座標に基づいて決定され得る。
【0051】
本実施形態では、コンピュータは、隣接するピクセルのグループのうちの特定のピクセルに関連する法線ベクトルが、上記特定のピクセルに関連する平均平面に垂直なベクトルに対応することを判定するように構成され得る。ブロック160の終了時点で取得された隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルは、例えば、ピクセルのグループのうちの各ピクセルのそれぞれの平均平面を使用して決定され得る。
【0052】
例では、コンピュータ3は、ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループの平均距離を計算するように構成され得る。特に、コンピュータは、関連する隣接するピクセルのグループの各ピクセルの3次元座標に基づいて、ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループの平均距離を決定するように構成され得る。ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループの平均距離は、例えば、ライダセンサに対するグループの各ピクセルの個々のユークリッド距離の平均に基づいて決定され得る。平均距離は、その後、隣接するピクセルのグループが粒子群に属するか属さないかの特定診断を精緻化するために使用され得る。この場合、隣接するピクセルのグループは、特定の距離に基づいて粒子群の全部又は一部を形成することはできない。なぜなら、この距離では、粒子の精緻化によって、粒子は、ライダセンサの放出した光線を、上記センサが検出するのに十分に反射することができないためである。
【0053】
例では、コンピュータ3は、ピクセルのグループの平均強度を決定するように構成され得る。平均強度は、隣接するピクセルのグループのうちの各ピクセルの強度の和を、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの数で除したものに対応し得る。平均強度は、その後、ピクセルのグループが粒子群に属するか属さないかを特定するための診断を精緻化するために使用され得る。実際、粒子は非常に小さいため、ライダセンサの光線をわずかに反射し、隣接するピクセルのグループの平均強度が、この隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属し得るか否かを判定するために使用される。
【0054】
例では、コンピュータ3は、ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループのうちのピクセルごとに方位角を決定するように構成され得る。特定のピクセルの方位角が、水平面上での、ライダセンサの光軸に対応する方向と、ライダを接続し、特定のピクセルを通る、水平面に投影した直線の方向との間の角度であると定義される。例では、ピクセルに関連する方位角が、ラジアンとして表現され得、-π/2~π/2の範囲にあり得る。3次元空間における位置(x,y,z)に基づいて、ピクセルに関する方位角が決定される。ピクセルのグループのうちのピクセルに関連する方位角の分布が、その後、ピクセルのグループが粒子群に属するか属さないかを特定するための診断を精緻化するために使用され得る。
【0055】
ブロック140に示すように、コンピュータ3は、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定するように構成される。この特定は、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルの分布に基づいて行われる。隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルの分布は、有利には隣接するピクセルのグループのうちのすべてピクセルを含む。複数の法線ベクトルの分布は、有利には隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの方向(向き)に関連する。
【0056】
隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの方向の分布は、隣接するピクセルのグループのうちの第1のピクセルに関連する法線ベクトルの方向と第2のピクセルに関連する法線ベクトルの方向とにそれぞれ対応して、第1の方向D1と最後の方向Dnとの間に延びる。この分布は、図5a及び図5bに示すように、方向の複数の範囲のうち第1の方向D1と最後の方向Dnとの間の分布と交差する方向のいくつかの範囲を含む。例では、方向の各範囲は、その2つの限界の間における方向の同じ偏差を可能にする。
【0057】
一実施形態では、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルの方向の分布が実質的に均一である場合、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される。
【0058】
隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する複数の法線ベクトルの方向の実質的に均一な分布が、実質的に滑らかで、実質的に平坦な、確率の分布に対応する。換言すれば、第2の方向の範囲よりも第1の方向の範囲において、ピクセルを見つける確率の著しい偏りが観測されない分布である。換言すれば、隣接するピクセルの所与のグループの分布において、グループの実質的に同等の数のピクセルが、分布の法線ベクトルの方向の各範囲に含まれる。本出願では、法線ベクトルの方向の範囲に含まれるピクセルとは、法線ベクトルの方向が方向の範囲を形成する2つの方向、すなわち、方向Dn-1と方向Dnとの間にあるピクセルを指す。よって、複数の法線ベクトルの方向の完全に均一な分布とは、分布に使用された隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの中から、ピクセルが無作為に選択された場合、このピクセルが、上記分布の中で表現された方向の範囲のそれぞれに属する確率が全く同じであることを意味する。
【0059】
この場合、本発明者らは、粒子群がオープンな環境に分散されると、概ね即座にその最大エントロピー状態に達するという事実を巧妙に使用した。この最大エントロピー状態は、微視的な観点からは、粒子群に関連するすべての様々な可能な状態において、粒子ごとの等確率性が見出されることに対応する。したがって、これは、隣接するピクセルのグループのうちの各ピクセルにおいて、また法線ベクトルの方向から見て、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルは、方向の複数の範囲のうちの方向の各範囲において、確率が等しい分布となる。よって、隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの方向の分布が実質的に均一である場合、ピクセルのこのグループは、完全に又は部分的に粒子群に属するものとして特定される。
【0060】
ベクトルの方向が均一に分布する一例を図5aに示し、ベクトルの方向が不均一に分布する一例を図5bに示す。横座標軸は、隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの方向の様々な範囲D1/D2~Dn-1/Dnを表し、縦軸はピクセルの出現確率Pを表す。したがって、分布の方向の範囲は、この範囲におけるピクセルの出現確率に関連する。この場合、図に示す長方形の高さP(D1/D2)は、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの中から、その方向が方向D1と方向D2との間にある法線ベクトルに関連するピクセルを選択する確率に対応する。
【0061】
特定の方向範囲に関連する出現確率は、分布に使用され、その方向が特定の範囲の限界の間にある法線ベクトルに関連する、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの数を、分布に使用された隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの総数で除したものに等しい。出現確率P(D1/D2)の場合、分布に使用され、その方向が方向D1と方向D2との間にある法線ベクトルに関連する、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの数を、分布に使用された隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの総数で除したものに等しい。
【0062】
図5aの例では、方向の範囲のそれぞれにおいて分布に使用されたピクセルの中からピクセルを選択する確率は等しい。これは、隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの方向の完全に均一な分布である。このケースは、法線ベクトルの方向の均一な分布がどのようなものかを示し、粒子群の粒子の理論的な法線ベクトルの分布がどのようなものかを示す理論的なケースである。
【0063】
逆に、図5bは、範囲間の確率の違いが大きい分布の方向の様々な範囲において、ピクセルを見つける確率の違いを示している。したがって、図6bは、隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの方向の不均一な分布を示している。
【0064】
法線ベクトルがピクセルの三次元座標に基づいて計算されることから、隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの可能な方向(可能な状態)が無限に存在するため、法線ベクトルの方向は、図5a及び図5bにおいて2つの方向間の範囲によって示されている。この意味で、事前の範囲を定義していないピクセルのグループの法線ベクトル各方向の分布は、使用可能ではないことがある。実際、(方向は無限に存在し得るため)ピクセルごとに異なる方向を見つけること、また各方向が1を隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの総数で除したものである確率を有する均一な分布を得ることは可能であり、一方、方向のいくつかの範囲にわたるピクセルの分布によって、完全に異なる結果がもたらされる。
【0065】
例では、ピクセルのグループの法線ベクトルの方向の様々な範囲におけるピクセルの出現確率の分散が所定の方向分散確率閾値未満である場合、ベクトルの方向の分布は実質的に均一である。
【0066】
例では、ピクセルのグループの複数の法線ベクトルの均一な分布が、方向の均一性スコアに基づいて評価され得る。方向の均一性スコアは、範囲にわたるピクセルの様々な出現確率に応じて、また分布において検討されるピクセルの数に応じて決定され得る。一例では、方向の均一性スコアが方向の均一性の所定の閾値よりも大きい場合、隣接するピクセルのグループの法線ベクトルの方向の分布は均一であると見なされる。
【0067】
よって、本開示で説明される処理デバイス、そして特にそのコンピュータは、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する法線ベクトルの方向の分布に基づいて、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定するように構成される。
【0068】
以下では、ピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属することを特定するための診断を支援するためのオプションについて説明する。これらのオプションは、特に、法線ベクトルの分布を計算する前に隣接するピクセルのグループを除外するために、例えば隣接するピクセルの別のグループにコンピュータのリソースを優先させるために、使用され得る。
【0069】
よって、例では、コンピュータ3はまた、隣接するピクセルのグループが、ライダセンサに対する隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの平均距離が所定の距離閾値未満である場合に、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補であることを判定するように構成され得る。「候補」という用語は、隣接するピクセルのグループが、ピクセルのこのグループが粒子群に属するか否かを判定するために法線ベクトルの分布を計算するために、保護されることを意味すると理解されたい。
【0070】
上述のように、ピクセルのグループは、特定の距離に基づいて粒子群の全部又は一部を形成することはできない。なぜなら、この距離では、粒子の精緻さによって、粒子が、ライダセンサの放出した光線を十分に反射することができないためである。この点に関して、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの平均距離が所定の距離閾値よりも大きい場合、隣接するピクセルのこのグループは粒子群以外の固体要素を含むことができ、検出され得るように他のより綿密な処理機能によって直接処理され得る。このことにより、特に、データ処理デバイスが車両に搭載される場合に、ユーザ及び車両の安全が確保される。
【0071】
例では、コンピュータ3はまた、隣接するピクセルのグループが、ピクセルのグループの平均強度が所定の強度閾値未満である場合に、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補であることを判定するように構成され得る。強度閾値は、粒子群の平均距離に応じて決定され得る。
【0072】
実際、そして上述したように、粒子は非常に小さく、物質をほとんど含まないため、ライダセンサ2の放出する光線は粒子上でわずかにしか反射されず、したがって、粒子群に対応し得るピクセルのグループの平均強度は低く、距離に応じて減少する。
【0073】
したがって、所定の強度閾値は距離に関連し得、比較のために選択される決定された強度閾値は、例えば、距離が粒子群の平均距離に最も近い所定の強度閾値に対応し得る。また、所定の強度閾値に基づく線形補間によって、粒子群の平均距離に関連する強度閾値を決定することも可能である。実際、ピクセルの強度は、距離の2乗のオーダーで減少する。強度閾値は、特に、ライダセンサに依存し得る。よって、距離の関数として強度閾値の様々な値を事前に決定するために、テストベンチでの試験がライダセンサに対して実行され得る。
【0074】
この場合、決定された強度閾値よりも大きい隣接するピクセルのグループの平均強度は、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群以外の固体要素に属し得ることを意味する。実際、固体物体はライダセンサの放出する光線をより多く反射し、その結果、様々なピクセルに関連する強度が増加する。この場合、隣接するピクセルのグループは、もはや完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補ではなくなるが、ピクセルのグループから固体要素を検出することを可能にする、より綿密な他の処理機能によって直接処理され得る。
【0075】
例では、コンピュータ3はまた、隣接するピクセルのグループが、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する方位角の分布に基づいて、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補であることを判定するように構成され得る。ピクセルのグループの方位角の分布は、有利には隣接するピクセルのグループのうちのすべてピクセルを含む。
【0076】
例では、隣接するピクセルのグループが、隣接するピクセルのグループの方位角の分布が所定のモデルに実質的に対応する場合に、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補である。
【0077】
例では、所定のモデルは、隣接するピクセルのグループの方位角の分布の両端にある最小値と、実質的に隣接するピクセルのグループの方位角の分布の中間にある最大値とを含む。換言すれば、隣接するピクセルのグループの方位角の分布が-π/2に対応する最小角度とπ/2に対応する最大角度との間に延びる場合、ピクセルの最大出現確率は、実質的に0に対応する角度で観測されるはずであり、一方、それぞれ-π/2及びπ/2において2つの最小出現確率が観測されるはずである。この例を特に図6aに示す。
【0078】
例では、所定のモデルは、分散された隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの方位角の範囲の中間におけるピクセルの最大出現確率と、この中間における出現確率の範囲の両端に向かう漸減とを含む。例では、この漸減は、分散された隣接するピクセルのグループのうちのピクセルの方位角の範囲の両端で、それぞれの最小出現確率に達する。
【0079】
隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補となる、隣接するピクセルのグループの方位角の分布の一例を図6aに示す。この分布は実質的に所定のモデルに対応する。
【0080】
逆に、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属するとして特定される候補となり得る方位角の分布と、隣接するピクセルのグループが候補となり得ない方位角の分布との間の対比を示すために、実質的に所定のモデルに対応しない分布の一例を図6bに示す。
【0081】
これらの図示の例では、分布は、方位角が-π/2に対応する最小角度とπ/2に対応する最大角度との間に延びるピクセルを含む。しかしながら、これらは例示に過ぎず、隣接する分散されたピクセルのグループによってカバーされる方位角の角度範囲は、図示されたものよりも小さくなり得ることに留意されたい。この場合、所定のモデルは、隣接するピクセルのグループがカバーする角度範囲に応じて適合される。
【0082】
例では、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する方位角の分布が、所定のモデルに対するマッチングスコアに基づいて評価され得る。マッチングスコアは、所定のモデルと隣接するピクセルのグループの方位角の分布との間の比較に基づいて決定され得る。一例では、マッチングスコアが所定のマッチング閾値よりも大きい場合、方位角の分布が完了した隣接するピクセルのグループは、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定される候補である。
【0083】
よって、ブロック140の終了時点で、データ処理デバイスは、ライダセンサのピクセルのマトリクスに基づいて取得されたピクセルのグループが、完全に又は部分的に粒子群に属するか否かを特定するために使用される。
【0084】
この特定により、特に運転支援機能に関連して、より正確には車両を自律的に走行させる機能に関連して、車両に搭載されたライダセンサによる、ライダセンサのピクセルのマトリクスの解釈が容易になる。
【0085】
実際、排気ガスなどの粒子群は、乗員又は車両にとって危険でない限り、車両の走行機能によって考慮されるべきではない。その意味で、ライダセンサが検出した粒子群は、ライダセンサのマトリクスを使用する他の機能によって危険な物体と見なされるため、厄介なものとなり得る。この意味で、このような粒子群を特定することは、究極的に走行の流動性を向上させ、車両の乗員及び車両自体のリスクを低減することを可能にする。
【0086】
任意選択で、またブロック150に破線で示すように、コンピュータはまた、完全に又は部分的に粒子群に属すると特定された隣接するピクセルのグループのうちの少なくとも1つの特定のピクセルについて、特定のピクセルが粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定するように構成され得る。このブロックは、有利には完全に又は部分的に粒子群に属すると特定された隣接するピクセルのグループのうちのすべてのピクセルについて完了されると都合がよい。
【0087】
特定のピクセルが粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定するためのいくつかの追加例を実施することができる。例のそれぞれが、特定のピクセルが粒子群以外の固体要素に属するとの特定を確認又は確認しないために、他の例とは独立して、又は他の実施例に加えて実施され得る。これらの例では、コンピュータは、隣接するピクセルのグループのうち、粒子群以外の固体要素に対応すると判定されていないピクセルが、粒子群の粒子に対応すると判定するように構成され得る。
【0088】
よって、例では、コンピュータは、隣接するピクセルのグループのうちの特定のピクセルが、このピクセルに関連する強度に基づいて、粒子群以外の固体要素に属することを判定するように構成され得る。
【0089】
これらの例では、コンピュータは、特定のピクセルが、
-ピクセルに関連する強度が、固体要素に関連する決定された強度閾値未満である場合には、粒子群に属する、又は
-ピクセルに関連する強度が、固体要素に関連する決定された強度よりも大きい場合には、固体要素に属する
と判定するように構成され得る。
【0090】
固体要素に対応する強度閾値は、ライダセンサに対する特定のピクセルの距離に応じて決定され得る。この意味で、固体要素に関連する決定された強度閾値は、距離と共に強度が低下するため、距離に関連し得る。例では、固体要素に関連する決定された強度閾値は、その距離がライダに対する特定のピクセルの距離に最も近いものに決定される。他の例では、固体要素に関連する決定された強度閾値は、同様にそれぞれの距離に関連する、固体要素に関連する所定の強度閾値に基づく線形補間によって決定される。
【0091】
上述のように、粒子群以外の固体要素は、ライダが放出する光線を粒子よりも多く反射する。したがって、隣接するピクセルのグループのうち、固体要素に対応するピクセルと粒子に対応するピクセルとを区別することが可能である。
【0092】
例では、コンピュータは、隣接するピクセルのグループのうちの特定のピクセルが、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルに関連する方位角の分布に基づいて、粒子群以外の固体要素に完全に又は部分的に属するか否かを判定するように構成され得る。
【0093】
これらの例では、コンピュータは、特定のピクセルに関連する方位角が所定のモデルから逸脱した分布の方位角の範囲に属する場合に、特定のピクセルが粒子群以外の固体要素に属することを判定するように構成され得る。
【0094】
実際、分布の所定のモデルは、粒子群の粒子の分布の方位角の理論的表現モデルに対応する。この点に関して、このモデルから逸脱したゾーンに属する方位角を有するピクセルは、したがって、粒子以外の固体要素に属し得る。
【0095】
よって、コンピュータは、特定のピクセルに関連する方位角が、所定のモデルから少なくとも所定の方位角偏差閾値だけ逸脱した分布の方位角の範囲内にある場合に、この特定のピクセルが固体要素に属することを判定するように構成され得る。
【0096】
この判定は、特に、隣接するピクセルのグループのうちのピクセルが粒子群以外の固体要素に属することを判定するために、ピクセルの強度に基づく判定と組み合わされ得ることを理解されたい。よって、固体要素閾値よりも大きい強度を有するが、所定のモデルから逸脱した分布の方位角の範囲に含まれないピクセルは、固体要素に属すると特定されないことがある。逆に、所定のモデルから逸脱した分布の方位角の範囲内にある方位角を有するが、その強度が固体要素閾値未満であるピクセルは、固体要素に属すると特定されないことがある。
【0097】
例では、コンピュータは、隣接するピクセルのグループの特定のピクセルが、ブロック140の終了時点で実行された法線ベクトルの分布に基づいて、粒子群以外の固体要素に属するか否かを判定するように構成され得る。
【0098】
これらの例では、コンピュータは、特定のピクセルに関連する法線ベクトルの方向が分布の他の範囲よりも大きいピクセルの出現確率を有する方向範囲に属する場合に、特定のピクセルが粒子群以外の固体要素に属することを判定するように構成され得る。
【0099】
実際、当初、ベクトルの法線ベクトルの方向の実質的に均一な分布に基づいて、隣接するピクセルのグループが完全に又は部分的に粒子群に属していると判定されていた。これで、方向の分布のどの範囲が粒子群(完全に均一)の理論分布から逸脱しているかを判定することが可能になり、それによって完全に均一でなくなるように分布を乱す、固体要素に属するピクセルを見つけることができる。
【0100】
よって、コンピュータは、特定のピクセルに関連する法線ベクトルの方向が、少なくとも1つの所定の方向偏差閾値の分布の別の範囲よりも大きいピクセルの出現確率を有する方向範囲に属する場合に、特定のピクセルが粒子以外の固体要素に属することを判定するように構成され得る。
【0101】
代替的又は追加的な例では、コンピュータはまた、特定のピクセルに関連する法線ベクトルの方向が、ピクセルの特定の出現確率よりも大きい出現確率の方向範囲に属する場合に、特定のピクセルが粒子以外の固体要素に属することを判定するように構成され得る。
【0102】
ピクセルの特定の出現確率は、例えば、分布の範囲のピクセルの出現確率の平均に基づいて、またこの平均との比較に基づいて決定され得る。
【0103】
先の例に関して、法線ベクトルの方向に基づいて特定のピクセルが固体要素に属することを判定することは、方位角の分布及び/又は強度に基づく判定と、任意の順序で組み合わされ得る。
【0104】
よって、ブロック150の終了時点で、データ処理デバイスは、ピクセルのマトリクスのうちのピクセルのどのグループが完全に又は部分的に粒子群に属するかを特定したことに加えて、ピクセルの各グループにおいて、どのピクセルが粒子群に属するか、及びどのピクセルが粒子群以外の固体要素に属するかを特定することができる。
【0105】
この点に関して、固体物体が粒子群と組み合わされ得る場合でさえも、データ処理デバイスは、どの情報が粒子群の一部を形成し、どの情報が別の固体物体の一部を形成するかを、最も近いピクセルまで特定することができる。
【0106】
車両に搭載されたライダセンサとの関連において、どのピクセルが粒子群に属するのか、また、どのピクセルが粒子群以外の固体物体に属するのかを区別することが可能であることにより、例えば、運転支援機能の効率及び性能能力を向上させることができることを理解されたい。実際、このように説明されたデータ処理デバイスは、ライダセンサによって取得され、車両の走行には無関係な情報(すなわち、粒子)を特定することを、この無関係な情報を他の関連情報(粒子以外の固体物体)と組み合わせることなく、たとえこれら2種類の情報がライダセンサのピクセルのマトリクスで組み合わされたとしても可能にする。
【0107】
この意味で、処理デバイスのコンピュータ3はまた、ピクセルのマトリクスのうち、固体物体に属すると特定されたピクセルを選択するように構成され得る、及び/又は、粒子群に属すると特定されたピクセルを削除するように構成され得る。これにより、例えば、走行に関連する情報のみを上記走行を支援する機能に送信したり、ライダセンサが取得し他の機能で使用されるピクセルのマトリクスのその後の処理を高速化するために、単に無関係な情報をフィルタリングしたりすることができる。
【0108】
本開示はまた、車両に搭載されたライダセンサのデータを処理するための方法を提案する。データ処理方法は、例えば、上記のコンピュータ3によって制御され得る。この場合、本方法によって実行されるステップは、データ処理デバイスのコンピュータが制御するように構成された、上述のブロック及び例と同じである。よって、本出願で説明されるデータ処理デバイス及び方法の両方により、ライダセンサのピクセルのマトリクスにおいて浮遊粒子に対応するピクセルを特定することができる。これらはまた、実施形態において、完全に又は部分的に粒子群に対応するピクセルのグループにおいて、粒子以外の固体物体に対応するピクセルを区別することを可能にする。これらの機能は、車両に搭載されたライダ2との関連において特に有利であり、特に排気ガスに起因する粒子群を特定するため、また群及び物体がピクセルのマトリクスにおいて組み合わされているときに固体物体が別の車両であると粒子群から区別するために特に有利である。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
【国際調査報告】