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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】空気中の細菌を検知するデバイス
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20241024BHJP
   C12M 1/28 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12M1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527102
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2022060563
(87)【国際公開番号】W WO2023079460
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021000027974
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524169180
【氏名又は名称】ニュートリンテック メド イタリア エッセ.エッレ.エッレ.
【氏名又は名称原語表記】NUTRINTECH MED ITALIA S.R.L.
【住所又は居所原語表記】VIA ANTONIO BERTOLONI 55 ROMA (RM), ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランディマルテ ブルーノ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB02
4B029BB13
4B029CC01
4B029DF01
4B029DG01
4B029DG08
4B029DG10
4B029FA02
4B029FA10
4B029FA11
4B029GA08
4B029GB01
4B029GB02
4B029GB10
4B029HA09
4B029HA10
(57)【要約】
本発明は、周囲空気サンプルの吸入用のユニットと、吸入ユニットに接続された検知チャンバとを備える、周囲空気サンプルの湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイス(10)に関する。検知チャンバは、■検知チャンバに入る周囲空気サンプルに面し、周囲空気サンプルの湿性成分の凝縮を引き起こすように構成された作用面を持つ、少なくとも1つのフィルタ(2)と、■細菌及び/またはウイルスを発光または蛍光させる物質を前記作用面で供給して、その上に凝縮した湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスと相互作用させるように構成された、当該物質の送達手段(3)と、■湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスの量に比例する前記作用面の発光に対応する電気信号を生成するように構成された光電センサ(5)を含む細菌及び/またはウイルスの検知手段(50)と、■直接制御またはプラットフォームによるローカルまたはリモートの制御手段とを備える。フィルタが複数ある場合には、少なくとも1つには蛍光物質を散布せず、当該フィルタをデバイス(10)から取り出した後、そこに定着した細菌叢の定量分析に進むことができるようにしておく。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲空気サンプルの湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイス(10)であって、
- 周囲空気サンプルの吸入ユニット(20)と、
- 前記吸入ユニット(20)に接続された検知チャンバ(30)と、を備え、
前記検知チャンバ(30)は、
■前記周囲空気サンプルが当たるように配置され、前記検知チャンバ(30)に入る前記周囲空気サンプルに面する作用面(211)を持つ少なくとも1つのフィルタ(2)と、
■前記細菌及び/またはウイルスを発光または蛍光させるための物質を前記作用面(211)で供給して、その上に凝縮した前記湿性成分に含まれる前記細菌及び/またはウイルスと相互作用させるように構成された、前記物質の適用手段(3)と、
■前記湿性成分に含まれる前記細菌及び/またはウイルスの量に比例する前記作用面(211)の発光に対応する電気信号を生成するように構成された光電センサ(5)を含む前記細菌及び/またはウイルスの検知手段(50)と、を含み、
前記作用面(211)の温度を低下させて前記周囲空気サンプルの前記湿性成分を前記作用面の上に凝縮させるように構成された冷却手段(8)をさらに備える、デバイス(10)。
【請求項2】
前記作用面(211)の温度を検知するためのデバイス(22)と、
前記デバイス(22)及び前記冷却手段(8)に接続され、前記作用面(211)の温度が一定に、または前記周囲空気サンプルの前記湿性成分の凝縮を可能にするような既定の動作範囲内に保たれるよう、前記冷却手段(8)の動作を調整するようにプログラムされた制御ユニット(6)と、
を備える、先行請求項に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記検知チャンバ(30)は、前記吸入ユニットによって吸引された前記周囲空気サンプルの入口用の開口部を持つ上部を有し、前記上部は、前記フィルタ(2)を支持するように構成された底壁と可逆的に密封結合されるように構成されている請求項1または2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記上部が、好ましくは半球形状を持つキャップ状の形状をしており、前記底壁が、円形の平面を有する、先行請求項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記底壁に、前記周囲空気サンプルの流出を可能にするための複数の貫通孔が設けられている、請求項3または4に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記検知手段(50)が、前記作用面(211)を照射するように構成された紫外線照明デバイス(4)を含む、先行請求項のうちの1項に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記電気信号を処理し、その値に応じて、前記周囲空気サンプルに含まれる細菌及び/またはウイルスの量に関する情報を含む対応するデジタル信号を生成するように構成された制御ユニット(6)を備える、先行請求項のうちの1項に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
検知された細菌及び/またはウイルスの量に関する情報が表示されるスクリーン(7)を備える、先行請求項に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
電子的に及び/またはクラウドプラットフォームからリモート制御されるように構成されている、先行請求項のうちの1項に記載のデバイス(10)。
【請求項10】
各々が独自の作用面(211)を備える複数のフィルタ(2)を備え、前記フィルタ(2)のうちの少なくとも1つの前記作用面(211)に前記物質が散布されないような構成になっている、先行請求項のうちの1項に記載のデバイス(10)。
【請求項11】
周囲空気サンプルの湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイス(110)であって、
■周囲空気サンプルの吸入ユニット(120)と、
■前記吸入ユニット(120)に接続され、前記周囲空気サンプルの前記湿性成分の凝縮を実現するように構成された凝縮チャンバ(31)と、
■前記細菌及び/またはウイルスを発光または蛍光させる物質を前記凝縮チャンバ(31)で供給して、前記周囲空気サンプルの前記湿性成分に含まれる前記細菌及び/またはウイルスと相互作用させるように構成された、前記物質のための送達手段(133)と、
■凝縮した前記湿性成分を捕集し、前記細菌及び/またはウイルスを発光または蛍光させる前記物質が散布されるように構成された、前記凝縮チャンバ(31)の底壁を少なくとも部分的に構成するように配置された、少なくとも1つのフィルタ(12)と、
■前記周囲空気サンプルの前記湿性成分に含まれる前記細菌及び/またはウイルスの量に比例する前記フィルタ(12)における発光に対応する電気信号を生成するように構成された光電センサ(15)を含む細菌及び/またはウイルスの検知手段(150)と、を備え、
前記凝縮チャンバ(31)の温度を低下させて前記周囲空気サンプルの前記湿性成分の凝縮を実現するように構成された冷却手段(18)をさらに備える、デバイス(110)。
【請求項12】
前記凝縮チャンバ(31)の温度を検知するためのデバイス(122)と、前記デバイス(122)及び前記冷却手段(18)に接続され、前記凝縮チャンバ(31)の温度が一定に、または前記周囲空気サンプルの前記湿性成分の凝縮を可能にするような既定の動作範囲内に保たれるよう、前記冷却手段(18)の動作を調整するようにプログラムされた制御ユニット(16)とを備える、先行請求項に記載のデバイス(110)。
【請求項13】
前記凝縮チャンバ(31)には、好ましくは前記凝縮チャンバ(31)の側壁に配置された、前記周囲空気サンプルを排出するための出口ダクトまたは開口部(111)が設けられており、前記周囲空気サンプルが前記デバイス(110)から排出される際に前記フィルタ(12)を通過しないような構成になっている、請求項11または12に記載のデバイス(110)。
【請求項14】
前記検知手段(150)が、前記フィルタ(12)を照射するように構成された紫外線照明デバイス(4)を含む、請求項11~13のうちの1項に記載のデバイス(110)。
【請求項15】
前記凝縮チャンバ(31)内の真空を実現するための圧気手段(19)を備え、前記圧気手段(19)が作動すると、前記凝縮チャンバ(31)のすべての内容物が前記フィルタ(12)を通過するように、前記フィルタ(12)が前記凝縮チャンバ(31)と前記圧気手段(19)との間に介在するように配置されている、請求項11~14のうちの1項に記載のデバイス(110)。
【請求項16】
前記電気信号を処理し、その値に応じて、前記周囲空気サンプルに含まれる細菌及び/またはウイルスの量に関する情報を含む対応するデジタル信号を生成するように構成された制御ユニット(16)を備える、請求項11~15のうちの1項に記載のデバイス(110)。
【請求項17】
検知された細菌及び/またはウイルスの量に関する情報が表示されるスクリーン(17)を備える、先行請求項に記載のデバイス(110)。
【請求項18】
電子的に及び/またはクラウドプラットフォームからリモート制御されるように構成されている、請求項11~17のうちの1項に記載のデバイス(110)。
【請求項19】
周囲空気の浄化システム(100)であって、
- 先行請求項のうちの1項に記載のデバイス(10;10’)と、
- 液状の殺ウイルス性/細菌性の浄化物質の収容グループ(1’、2’)と、
- 前記収容グループ(1’、2’)から前記浄化物質を受けるように構成され、前記浄化物質を気化形態で送達するように構成された送達手段を含む気化デバイス(6’)と、
- 周囲空気の吸入手段と、
- 浄化された前記周囲空気の放出手段と、
- 前記収容グループ(1’、2’)、前記気化デバイス(6’)、前記吸入手段及び前記放出手段の作動を制御するように構成された制御グループ(4’)とを備え、
前記浄化システム(100)の全体的な構成は、
前記吸入手段が、既定量の周囲空気を吸入し、それを前記気化デバイス(6’)の前記送達手段に面する内部通路チャンバに送り、それにより、吸引された周囲空気の流れで前記浄化物質が気化されるように構成されており、
吸引され浄化された前記周囲空気が外に排出されるように、前記内部通路チャンバが前記放出手段とさらに連通するようになっている、浄化システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲空気サンプル中の細菌またはウイルスの存在を検知するためのデバイスに関する。このデバイスは、特に、細菌/ウイルスの蛍光を利用してそれらの識別を可能にする。
【背景技術】
【0002】
細菌及びウイルスの存在を検知する能力についての課題は、多種多様な技術分野(食品、健康など)において常々認識されてきたが、きわめて重要なものとなっている。
【0003】
実際、病院の病棟及び/または集中治療室などの多くの環境において、細菌またはウイルスが大量に見出される。この課題は、隔離中の患者または入院を必要としない病状の患者が存在する場合に関して、家庭でも認識される。
【0004】
したがって、周囲空気中に見出される細菌及び/またはウイルスの量を検知することは、データ自体としても、環境自体を浄化する必要性を判断するためにも不可欠になる。
【0005】
実際、空気中の微生物は、他の化学物質と同様に、ヒトの健康に有害な影響を及ぼす可能性がある。これらは、粉塵及び粒子に結合したバイオエアロゾルの形態で空気によって運ばれ、その後の吸息による曝露だけでなく、汚染された表面または物体との接触による曝露のリスクも伴う。
【0006】
この理由から、微生物による環境汚染を評価する必要がある。このような評価は、汚染された空気の適正な浄化を進めるためにも不可欠である。
【0007】
生物学的因子の防止及び生物学的因子からの保護は、さらに、イタリア政令第81/08号X条により規制レベルで扱われる。
【0008】
現在、水、食品または土壌サンプルのような液体または固体の状態の様々な種類の物質に対する細菌分析を実行する、実験機器として構成された細菌検知器が利用可能である。
【0009】
しかしながら、このような装置には重要な制限がある。
【0010】
まず、それらは、空気サンプル中の細菌を検知することができる機能を有しない。さらに、存在する細菌叢の全体を表示することもできず、検査を自動的に実行し、即時読み取り用データとして使用され得る信号を供給することさえできない。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明によって提起され解決される技術的課題は、公知技術に関して上述した課題を克服できるように、周囲空気サンプル中の細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスを提供することである。
【0012】
これは、独立請求項1に係るデバイスによって、また独立請求項11に係るデバイスによって達成される。
【0013】
さらに、本発明の主題は、さらなる独立請求項19に係る、前述の細菌検知デバイスを備える空気環境の浄化システムである。
【0014】
本発明の主題の二次的特徴及び特定の実施形態は、従属請求項において定義される。
【0015】
本明細書で提案される細菌検知用デバイスは、周囲空気サンプル中のグラム陽性及びグラム陰性のウイルス及び/または細菌の存在を検知及び定量化するように構成されている。
【0016】
このような目的を達成するために、前述の検知を可能にし、存在する細菌/ウイルス叢の全体的な読み取りを直接可能にし得る電子信号を提供する、またはマイクロプロセッサによって電子的にも制御される浄化器を制御するための自動デバイスを研究した。
【0017】
本発明の他の利点、特徴及び使用方法は、非限定的な例として提示されるいくつかの実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0018】
以下の説明では、添付図面を参照する。下記の図面は、説明及び非限定的な目的のみを意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る周囲空気サンプル中の細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスの第1の好ましい実施形態のブロック図を示す。
図2】本発明に係る周囲空気サンプル中の細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスの第2の好ましい実施形態のブロック図を示す。
図3】本発明に係る周囲空気浄化システムの好ましい一実施形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すると、本発明に係る細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスの好ましい一実施形態が、参照番号10により示されている。
【0021】
デバイス10は、周囲空気サンプル中の細菌(グラム陽性及び/またはグラム陰性)及び/またはウイルスの存在を検知及び定量化するように構成されている。
【0022】
図1に示すブロック図を参照すると、デバイス10は、検知チャンバに接続された分析対象の空気環境の吸入ユニットを実質的に備える。
【0023】
吸入ユニットには、デバイス10自体が設置される環境において捕集空気のアクティブサンプリングを実行するように構成された吸入空気ポンプ1が含まれる。好ましくは、ポンプ1は、4~6メートル/時(特に、5メートル/時)に含まれる吸入流量、及び1~5気圧(特に、2気圧)の圧力を有する。
【0024】
吸入ユニットは、ポンプ1によって吸引された空気の入口領域またはセクションIAを備えており、ここには、微細粉末用のフィルタ処理手段を設置して、そのような不純物がデバイス10に入るのを防ぐようにするのが好ましい。
【0025】
吸入ポンプ1の動作により、捕集された(かつ好ましくはマイクロフィルタ処理された)空気が検知チャンバに送られる。検知チャンバは、好ましくは半球状、またはピラミッド状、または切頂ピラミッド状の形状を持つキャップなどの上部を有し、上部は対応する底壁と可逆的に密封結合されており、底壁は、キャップの幾何形状に応じて円形または多角形(例えば正方形)の平面を有し得る。
【0026】
底壁は、周囲空気サンプルが当たってすべてのサンプルが通過するように配置された少なくとも1つのフィルタ2を支持する。フィルタ2は、ウイルス/細菌を遮るように構成されており、検知チャンバの底壁を取り外すことで空気サンプルの分析後に交換することができる。
【0027】
本発明に係るデバイス10の好ましい実施形態によれば、底壁は、ウイルス/細菌を遮るための複数のフィルタ(さらに言えば一連のフィルタ)、好ましくは4つのフィルタを支持するように構成され得る。このような場合、底壁は、複数のフィルタを支持するための非連続の非単一構造及び/または表面を有し得るが、各フィルタごとに分割されるか、またはそれぞれの底部要素を備えていてもよい。このような底部要素は、フィルタ用の容器トレイとして構成することができ、底部要素は、互いに直接的に接続されないように作製することができる。
【0028】
本明細書に記述される特定の実施形態の単一のフィルタ2及び対応する底壁に関する以下の内容は、あらゆる追加の利用可能なフィルタ及び対応する底壁(または対応する底部要素)にそれぞれ応用可能であるように意図されている。
【0029】
キャップの上部には、ポンプ1によって吸引された空気サンプルの入口用の少なくとも1つのアクセス開口部があり、これは、例えばキャップの最上部で中央位置に配置されるのが好ましい。フィルタ2は、検知チャンバに入る空気流に面する作用面211を持ち、この作用面211は、好ましくは底壁と同じ寸法を有する。
【0030】
好ましい変形例によれば、フィルタ2は、脱脂綿板によって構成され、例えば検知チャンバが円形の平面を有する場合は円盤形状及び円形平面によって構成され、直径は好ましくは2~8cmの範囲である(典型的には5cmに等しい)。好ましい実施形態を参照すると、フィルタ2は、例えば底壁が正方形の平面を有する場合、むしろ正方形の平面を有する。
【0031】
フィルタ2を支持する底壁は、金属製であるのが好ましく、前述のように綿板の面積に対応する面積を有する。底壁には、フィルタ2を包む空気を流出させて、フィルタ2を通過した後に検知チャンバの外に出すための複数の貫通孔も設けられている。好ましくは、空気通路用の孔の直径は、7~9mmに含まれ得る(典型的には8mm)。
【0032】
フィルタ2の作用面211は、水粒子に付随する細菌及びウイルスを含む空気の湿性成分を捕集するように構成されている。このような湿性成分の凝縮を達成または促進するために、フィルタ2を冷却するように構成された、特に作用面211の温度を低下させるように構成された、冷却手段8を設けることが好ましい。
【0033】
好ましい変形例によれば、冷却手段8は、フィルタ2から熱を奪うように配置されたペルチェセルを含む。
【0034】
フィルタ2の冷却は、フィルタ2を通過する吸引空気に含まれる液体成分の凝縮を引き起こす(または、促進させ、加速する)。さらに、デバイス10は、フィルタ2の作用面211の温度を検知するためのデバイス22を備え得る。好ましくは、デバイス10は、マイクロプロセッサなどの制御ユニット6をさらに備え、この制御ユニットは、このようなデバイスを使用してフィルタ2の温度(当然ながら、作用面211の温度を意図している)を制御し、その後、フィルタ2の温度が一定に、またはいずれにしても空気の湿性成分の凝縮を可能にする既定の動作範囲内に保たれるよう、冷却手段8の動作を調整する。フィルタ2は+1℃の温度に保たれるのが好ましいが、+5℃から-5℃の範囲内に保たれてもかまわない。
【0035】
デバイス10は、細菌及び/またはウイルスを有色、発光性、または蛍光性にする物質の適用手段3をさらに備える。適用手段3は、かかる物質をフィルタ2の作用面211で供給して、そこに存在する凝縮した液体成分と相互作用させるように構成されている。
【0036】
複数のフィルタを有するデバイスの変形例によれば、その構成は、好ましくは、細菌/ウイルス量の検知のためのその場にある物質が、かかるフィルタの少なくとも1つに散布されないようなものである。言い換えれば、当該デバイスは、少なくとも1つを除いたそれぞれのフィルタに各々が関連付けられた複数の適用手段3、または少なくとも1つを除いたすべてのフィルタに物質を送達するように構成された送達手段を備えることができる。
【0037】
例えば、4つのフィルタを有する変形例では、フィルタの1つは、適用手段3に関連付けられることも曝露されることもない。
【0038】
少なくとも1つのフィルタに散布を行わないことにより、その上に捕集された細菌/ウイルスの量を変化させずに維持することができ、その後、そのような少なくとも1つのフィルタをデバイスから取り出した後、例えばデバイスに対してリモートの構造物においてそれを分析することができる。したがって、このようなデバイスの変形例では、吸引空気サンプルから捕集された細菌/ウイルスの定性分析を後に実行することが可能である。
【0039】
適用手段3は、例えば、フィルタ2の作用面211に前述の物質を散布するためのノズルを備えることができ、このノズルは、内部チャンバの上部に作られた適切な開口部によって内部チャンバ内に突出している。好ましい変形例によれば、適用手段3はベンチュリシステム(電子ポンプと空気流散布器との組み合わせを提供する)を含む。当然ながら、適用手段3は、タンク31に流体接続されており、このタンクから検知用の物質を引き出す。かかるタンク31は、適用手段3自体に統合された状態で設けられていてもよい。
【0040】
検知に使用される物質は、検知対象となる細菌またはウイルスの具体的な種類に応じて異なってよく、特定の色、蛍光、輝度、または他の特定の発光特性の呈示を引き起こす物質であればいずれでもよい。
【0041】
例えば、細菌及びウイルスを蛍光化することが知られているSYTOTM BCなどの核酸ベースの蛍光染料の使用を行うことができる。分子蛍光色素(SYTOTM BC、B-7277など)は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方に容易に浸透する高親和性の核酸染料である。その結果、適切な波長のUV光で照らすと、細菌の存在を示す、使用する染料に応じて緑色またはオレンジ色の、非常に明るい蛍光信号が生じる。
【0042】
グラム陽性菌「Bacillus Cereus」に対してSYTOTM BC核酸を用いて行われた試験では、細菌内で発生した蛍光がわずか250nmの波長の紫外線ランプの使用によってはっきりと視認できたため、陽性の結果が得られたことが報告されている。
【0043】
デバイス10は、蛍光化され、フィルタの大部分に捕捉された細菌/ウイルスの検知手段50をさらに備え、この検知手段には、フィルタ2の作用面211上で検知された総発光に対応する電気信号を生成し、それを制御ユニット6に送信するように構成された光電センサ5(例えば、Allen-Bradleyセンサ、または20~1000倍の間で選択される拡大光学系も装備されたマイクロカメラ)が含まれる。さらに、検知手段50は、照明デバイス4(好ましくは紫外線、例えばUV LEDまたはウッドライトランプ)を含むことができ、照明デバイスは、フィルタ2の作用面211を照射して、そこに存在する、検知用の物質で既に処理された細菌叢またはウイルスをさらに強調表示して、光電センサ5の動作を向上させるように構成されている。
【0044】
制御ユニットは、電気信号を処理し、その値に応じて、検知された細菌/ウイルスの量に関する情報を含む対応するデジタル信号を生成するように構成されている。この信号は、デバイス10自体に組み込まれ制御ユニット6に接続されたスクリーン7上の情報を直接読み取るために使用したり、同じ制御ユニット6内に含まれるUS送信手段(例えば、以下にさらに詳しく記述する浄化デバイスのビューアまたはマイクロプロセッサなど)を使用して外部デバイスに送信したりすることができる。
【0045】
好ましい変形例によれば、検知手段50は、制御ユニット6に接続された、フィルタ2の作用面211の画像を取得するためのビデオカメラ9をさらに備える。好ましくは、ビデオカメラには、20倍から1000倍の光学系が装備されている。
【0046】
ビデオカメラが存在する場合、制御ユニット6はスクリーン7を備え、このスクリーンには、取得された画像が、好ましくはスクリーン7の側方に配置された数字によって再現される細菌/ウイルスのパーセンテージの読み取り値と共に、リアルタイムで表示される。
【0047】
検知用物質の送達手段及び検知手段50は、内部チャンバ内で、適切なハウジング、またはチャンバ自体の上部に作られた追加の開口部に配置され得る。
【0048】
さらに、デバイス10の制御ユニット6は、吸入ポンプ1、適用手段3及び検知手段50、ならびに任意の冷却手段8に作動または動作停止の制御信号を送信することにより、検知された細菌/ウイルスの量に応じて細菌/ウイルス検知プロセスを制御するように構成されている。
【0049】
オンサイトでのデバイスのこのような機能制御を可能にするために、制御ユニット6は、例えばタッチスクリーンにより提供されるユーザーインターフェイスを備えるか、またはそれに操作上関連付けられていてもよい。代替的に、または追加して、適切にプログラムされたコンピュータまたは特別に設計されたリモートコントロールを使用することによって、リモートであってもデバイス10のインタラクション及び制御を行えるように、制御ユニット6に信号受信手段を設けてもよい。好ましくは、デバイス10は、電子的に及び/またはクラウドプラットフォームによってリモート制御されるように構成され得る。
【0050】
注目すべきことに、上述のデバイス10のすべてのコンポーネントは、例えば金属またはプラスチック材料で作られたケーシングまたは容器に収容されていてもよく、このケーシングまたは容器は、例えば金属またはプラスチックのベースなどの支持手段を備えていてもよい。
【0051】
本発明の検知デバイスのさらに好ましい実施形態を以下に記述する。以下に列挙するすべてのコンポーネントは、既に記述した実施形態と組み合わせることも、それぞれのコンポーネントを置き換えることもできる。
【0052】
このデバイスは、金属またはプラスチックの容器に組み入れられており、この容器は、その一部として、容器自体に挿入されてポンプ以外のすべてのコンポーネント(機械部品、電気機械部品、及び電子部品)を支持する金属またはプラスチックのベースを備える。特に、ベースは、好ましくはシリコーン製のダクトを介して容器に接続されたポンプを支持する。容器内のダクトの入口セクション、またはさらに上流のセクションには、大気粒子フィルタが配置されている。粒子フィルタは、好ましくは、容易に交換できるように開口容器に挿入される。ポンプは、容器の内部に、やはりダクト(好ましくはシリコーン製)を介して、平らで着脱可能な底部を備えた半球状のキャップの内部で接続され、この底部の上にウイルス/細菌を検知するためのフィルタが配置される。
【0053】
ベルの底部を取り外すと、測定に供される周囲空気サンプルの細菌/ウイルスを含む(円盤状の)脱脂綿パッドを交換することができる。
【0054】
ベルの上部には、好ましくはベルの最上部で中央位置に配置された、ポンプによって吸引された空気の流れを送るダクト用のアクセス開口部と、検知用物質(好ましくは蛍光液体)のベンチュリノズル用のアクセス開口部とがある。さらに、紫外線LED照明、光電センサ、及び制御マイクロプロセッサに接続されたマイクロカメラのデバイスが配置されるハウジングまたは追加の開口部がある。
【0055】
フィルタを可視化できるように、タッチスクリーンが容器外側に配置され、マイクロプロセッサに接続される。好ましくは、検知された細菌/ウイルスの量に対応する数字もスクリーンの隅に表示される。スクリーンには、デバイスのオンサイト制御のためのユーザーインターフェイスも実装されている。ベースは、蛍光液用の再充填可能なタンク及びベンチュリディスペンサ、ならびにポンプを支持する。最終的には、電子基板及び/またはデータの送受信手段(すべてマイクロプロセッサに接続される)もベース上に配置され、検知されたデータの外部デバイスへの送信が可能になり、デバイスのリモート制御が可能になる。
【0056】
図2を参照すると、本発明は、周囲空気サンプルの湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスのさらに別の実施形態110を提供する。これについては、既に記述したものとの相違点のみに関して以下で説明する。特に、このような変形例には、以下でさらに詳述するように、上述したものに準ずる検知チャンバがないことは特筆すべき点である。
【0057】
デバイス110は、周囲空気サンプルの吸入ユニット120を備えており、この吸入ユニットは、既に記述したものに準ずるポンプ11を含み得る。吸入ユニット120の下流には、吸引空気サンプルの湿性成分の凝縮を行うように構成された凝縮チャンバ31が設けられている。好ましくは、吸入ユニット120と凝縮チャンバ31との間に、大気粒子を保持するためのフィルタ21が介在する。
【0058】
凝縮チャンバ31は、好ましくは金属材料、特に鋼鉄で作られる。さらに、チャンバ31には、その温度を低下させて、通過する空気の湿性成分の凝縮を引き起こすための冷却手段18が設けられている。
【0059】
この目的のために、デバイス110は、凝縮チャンバ31の温度を検知するためのデバイス122と、デバイス122及び冷却手段18に接続された制御ユニット16とを備える。制御ユニット16は、凝縮チャンバ31の温度が一定に、または周囲空気サンプルの湿性成分の凝縮を可能にするような既定の動作範囲内に保たれるよう、冷却手段18の動作を調整するようにプログラムされている。
【0060】
したがって、このような変形例によれば、吸引空気サンプルの液体成分は、フィルタ上ではなく、凝縮チャンバ31内で凝縮する。
【0061】
凝縮段階の後、空気はデバイス110から吐出される。
【0062】
さらに、デバイス110は、細菌及び/またはウイルスを発光または蛍光させる物質の送達手段133を備え、この送達手段は、かかる物質を凝縮チャンバ31で供給して、周囲空気サンプルの既に凝縮した湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスと、それが前述の凝縮チャンバ31内にある間に相互作用させるように構成されている。
【0063】
フィルタ12は、好ましくは凝縮チャンバ31の底壁を少なくとも部分的に構成するように下方に配置され、その上で凝縮した液体成分を捕集し、細菌及び/またはウイルスの発光/蛍光を引き起こす物質が散布されるようになっている。フィルタ12は、好ましくは0.2μmメッシュの膜または細菌フィルタなどの、ウイルス/細菌を捕集するための基板からなり得る。
【0064】
フィルタ12上の湿性成分の捕集を促進するために、凝縮チャンバ31に対して反対の位置でフィルタ12自体の下に配置された、凝縮チャンバ31内に真空を発生させるための圧気手段19(例えば真空ポンプ)を設けることが可能である。言い換えれば、フィルタ12は、凝縮チャンバ31と、真空を発生させるための圧気手段19との間に介在し、フィルタ12は、凝縮チャンバ31の底壁を実質的に構成する。これにより、手段19が作動すると、凝縮チャンバ31のすべての内容物がフィルタ12を通過する。
【0065】
ここで提案されるデバイス110の変形例では、凝縮構造と細菌/ウイルスの検知用基板との間で減結合が行われるが、これらは、デバイス10の変形例では冷却フィルタ内で結合される。
【0066】
デバイス110の実施形態は、実際、第一に空気サンプルを凝縮チャンバ31に通して凝縮させる操作ステップと関連している。凝縮が完了すると、凝縮チャンバ31から空気が吐出され、凝縮チャンバはこの段階では凝縮された液体成分のみを含む。空気は、フィルタ12を通過せずに、好ましくはチャンバ31自体の側壁に配置されたダクトまたは流出開口部111を通して排出される。
【0067】
その後、凝縮チャンバ31に蛍光/発光染料が加えられ、凝縮により得られた液体成分と混合され、培養期間(吸引空気サンプルの体積または湿性成分の量に応じて所定の期間を有する)の後、このように散布された液体成分は、凝縮チャンバ31の底壁に配置されたフィルタ12を通して抽出される。フィルタ12上に捕捉された細菌は、例えば顕微鏡システム(例えば、20倍または40倍の拡大率の光学系)によって、フィルタ12自体の表面上で直接観察することができる。
【0068】
凝縮チャンバ31内に存在する液体成分の完全な捕集を確実にするために、圧気手段19を作動させて、フィルタ12自体の下に配置された凝縮チャンバ31内に真空を発生させ、凝縮チャンバ31のすべての内容物がそこを通して濾過されるようにすることができる。
【0069】
凝縮チャンバ31を空にした後、デバイス110を再び使用する前に、凝縮チャンバを清掃または浄化する必要がある。また、フィルタ12は新規使用の前に交換され、それを取り外すことで凝縮チャンバ31にアクセスしてその清掃を行うことができる。
【0070】
さらに、このような変形例によれば、フィルタ12の上に保持された細菌/ウイルスに関連する発光を識別するように構成された検知手段150が設けられる。検知手段150は、周囲空気サンプルの湿性成分に含まれる細菌及び/またはウイルスの量に比例するフィルタ12における発光に対応する電気信号を生成するように構成された光電センサ15を含む。さらに、検知手段150は、フィルタ12を照射するように構成された紫外線照明デバイス14を含み得る。
【0071】
好ましくは、デバイス110は制御ユニット16を備え、この制御ユニットは、光電センサ15によって生成された信号を処理し、その値に応じて、分析された周囲空気サンプルに含まれる細菌及び/またはウイルスの量に関する情報を含む対応するデジタル信号を生成するように構成されている。検知された細菌及び/またはウイルスの量に関する情報は、スクリーン17上に表示され得る。
【0072】
好ましくは、デバイス110は、例えば制御ユニット16との接続を確立することにより、電子的に及び/またはクラウドプラットフォームによってリモート制御されるように構成される。
【0073】
本発明のさらなる態様によれば、上述の細菌/ウイルスの検知のためのデバイスを備えるか、またはそれと動作可能に関連付けられている、好ましくは屋内用途向けの、周囲空気の浄化のためのシステムも提供される。
【0074】
好ましい変形例によれば、細菌/ウイルスの検知のためのデバイスは、例えば金属またはプラスチック製の支持体またはベース上に取り付けられ、浄化デバイスを収容する外部ケースの内部に挿入される。ベースは、既に記述した検知デバイスの機械的、電気機械的、及び電子的コンポーネントすべてを支持するように構成されている。特に、電子基板はベース上に配置され、検知デバイスの制御マイクロプロセッサも含んでおり、この制御マイクロプロセッサは、浄化器のマイクロプロセッサにデータを伝達し、浄化器は、必要に応じて、システムに対してリモートであっても、外部インターフェイスまたは制御プラットフォームに接続される。
【0075】
以降、本発明に係る浄化システムの好ましい実施形態について記述する。
【0076】
図3を参照すると、周囲空気を浄化して細菌及び/またはウイルスを除くためのシステム100の好ましい一実施形態が、既に記述したような細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスと動作可能に接続されるかまたは関連付けられるように構成されており、このデバイスとデータ及び/または制御信号を交換することができる。
【0077】
さらにより好ましくは、システム100は、前述のデバイスとの機械的接続手段、またはそれを収容するための専用のハウジングを有し得る。このような変形例は、検知デバイスと物理的に統合された浄化システムをもたらす。
【0078】
したがって、好ましい実施形態によれば、システム100は、このような細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスを装備することができる。
【0079】
システム100は、周囲空気中に既定量の殺菌性物質及び/または殺ウイルス性物質(以降、さらに総称して浄化物質と呼ぶ)を送達するように構成されている。浄化物質は、ウイルス及び/または細菌を殺す液状の物質であり、後述するように気化して周囲空気中に拡散するのに適している。
【0080】
図3に示すブロック図を参照すると、システム100は、浄化物質の収容グループと、それぞれの送達手段によって気化形態の浄化物質を供給するように構成された気化デバイス6’と、周囲空気の吸入/放出ユニットと、制御グループ4’とを実質的に備える。システム100のすべてのコンポーネントを収容体またはケーシング内に格納することができ、そのため、システム自体の輸送及び配置が容易になる。好ましくは、前記ケーシングは、少なくとも4dmの容量を有する金属またはプラスチックの容器として作製される。
【0081】
好ましい実施形態によれば、細菌及び/またはウイルスの検知のためのデバイスも収容ケーシング内に含めることができる。
【0082】
好ましくは、使用時には、収容グループは収容ケーシングの上部に位置付けられ、気化デバイス6’は下部に位置付けられる。
【0083】
さらにより好ましくは、収容ケーシングは、収容グループの1つ以上のタンクに清掃及び保守(例えば、その交換)の目的でアクセスできるように、内部へのアクセス手段、例えば着脱可能なプラグで閉じられる少なくとも1つの開口部を上部に有する。同様に、気化器6’の保守及び清掃(例えば、気化デバイスの適当なタンクの保守及び取り外し操作)を可能にするために、同じアクセス手段を下部に設けることができる。
【0084】
当然ながら、収容ケーシングは、浄化すべき空気環境の入口用の少なくとも1つの開口部AI’と、浄化された周囲空気の出口用の少なくとも1つの流出開口部UAとを持つ。
【0085】
浄化物質の収容グループは、少なくとも1つのタンクを含み、このタンクは、既に適用に適している浄化物質を収容するように構成されており、気化グループと、特に再充填可能なタンクと、それぞれの流量調節バルブによって連通している。
【0086】
浄化剤の適用が適しない濃度である浄化物質の使用を伴う本発明の好ましい変形例によれば、収容グループは、2つのタンクを含む。第1のタンク1’は、浄化物質を収容するためのものであり、第2のタンク2’は、水または水性アルコール溶液などの希釈液物質を収容するためのものであり、希釈液物質は、浄化剤が、浄化すべき空気の体積に基づく既定の濃度値に達し、適用に適するように、浄化物質を希釈するのに必要な溶媒に相当する。
【0087】
浄化物質を収容するように構成された第1のタンク1’は、浄化すべき空気の体積に基づいて気化グループに移送される浄化物質の量を調整するように構成された第1の送達バルブ3’を介して気化デバイス6’の再充填可能なタンクと流体連通している。
【0088】
第2のタンク2’は、規定及び計画された浄化物質の希釈を行うために再充填可能なタンクに移送される希釈物質の量を調整するように構成された第2の適用バルブ5’を介して気化デバイス6の同じ再充填可能なタンクと流体連通している。特に、第1のタンク1’及び第2のタンク2’は、少なくとも1000cmの容量を有する。
【0089】
特に、第1のタンク1’には、浄化剤の濃度を検知するためのセンサを設けることができる。
【0090】
前述のように、気化デバイス6’には、浄化物質の収容タンクまたは第1のタンク1と連通している、例えば容量30cmの浄化物質の再充填可能なタンクが設けられていることが好ましい。気化器6’は、適切な送達手段によって乾燥蒸気の形態で浄化物質を放出するように構成されている。
【0091】
特筆すべきことに、本明細書に記述するタンク間の接続及び配置は、密封を確実にするために、密封接合点を有するシリコーンチューブによって実現される。
【0092】
本発明の好ましい変形例によれば、気化デバイス6’は、イタリア特許第102018000006391号に記述されている内容に従って実現することができる。
【0093】
この場合、気化デバイスは、支持体と;気化される浄化物質の収容タンクと;タンクに着脱可能に接続可能な抽出手段と;抽出手段と流体接続しており、既定の方向及び速度パラメータに従った物質の送達を可能にするような形状をしている物質の送達手段と;タンク内に収容された物質に振動を印加して当該物質を乾燥蒸気の状態にするように構成された振動型の第1の機械的または電気機械的気化手段と;タンク内に収容された物質に熱エネルギーを与えて当該物質を乾燥蒸気状態にするように構成された第2の加熱気化手段と;既定の適用プログラムに従って第1の気化手段及び/または第2の気化手段の実施を制御するように構成された制御ユニットとを備える。既定の適用プログラムは、少なくとも、第1の気化手段によって印加される振動の振動数及び/または持続時間の値、及び/または前記第2の気化手段によって行われる加熱の温度及び持続時間の値を定義する。既定の送達プログラムは、送達される物質の種類に関連付けられる。
【0094】
第1及び第2の気化手段は、自動または手動の選択に応じて、連動または独立して作動させることができる。タンク、送達手段、第1の気化手段及び/または第2の気化手段は、モジュール式デバイスを実現するように、支持体に着脱可能に接続可能である。特に、第1の気化手段は、5MHzを超える超音波振動数で振動を印加するように、かつ少なくとも10W/cmのエネルギー密度を生成するように構成され、一方、第2の気化手段は、送達される浄化物質の温度を少なくとも250℃にするように構成される。特に、浄化物質の量を検知するためのセンサを気化器のタンク内に設けることができる。
【0095】
本発明のさらに好ましい変形例によれば、気化デバイス6’は、前述のイタリア特許の優先権を主張する欧州特許出願EP3806940A1に記述されている内容に従って実現することができる。
【0096】
この気化デバイスは、上記に列挙した特徴をすべて備えており、特に、10~13W/cmのエネルギー密度を生成する2.5~5.5MHzの超音波振動数で混合物質に振動を印加するように構成される第1の気化手段を提供し、一方、第2の気化手段は、15~25KHzの振動数の電流による磁気誘導媒体供給源を備え、タンク内に収容された浄化物質を乾燥蒸気状態にするように物質の温度を少なくとも250℃にするように構成されている。気化器の構成は、1秒未満の期間内に乾燥飽和蒸気の形態での液体浄化物質の気化を実現するようなものである。
【0097】
前述のように、浄化システム100は、周囲空気の吸入手段と、気化した浄化物質が添加された同じ周囲空気の放出手段とを含む吸入/放出ユニットとをさらに備える。
【0098】
吸入手段は、例えばポンプによって既定量の周囲空気を吸入し、それを専用のダクトによって内部通路チャンバに送るように構成されている。システム100への周囲空気の流入は、好ましくは粒子状物質及び微細粉塵を保持するためのフィルタ8’を装備した収容ケーシングの開口部IAによって実現することができる。内部通路チャンバは、吸引された周囲空気の流れで気化された浄化物質を送達する気化器6’の送達手段に面している。
【0099】
内部通路チャンバはさらに、浄化された空気を流出開口部UAによって外に排出する放出手段と連通している。
【0100】
本発明の好ましい変形例によれば、吸引された周囲空気の流れを内部通路チャンバに送るダクトは、ウイルス/細菌検知センサと流体連通している。その接続は、センサが空気サンプルを吸入し、分析し、次に同じダクトで内部通路チャンバの上流に再放出するようなものである。代替的には、分析された空気サンプルを外部環境に直接放出することもできる。
【0101】
制御グループ4’に関しては、吸入/放出ユニット、気化器6’、及び送達バルブ3’、5’の作動を制御する単一のシステムマイクロプロセッサによってこれを実現することができる。マイクロプロセッサ4’は、システムを完全に自動化して操作者の介入をなくすために、細菌/ウイルス量の検知デバイスともデータ通信することができる。
【0102】
特に、マイクロプロセッサ4’は、浄化活性成分によって達成される濃度(立方メートルあたりマイクログラムまたはミリグラム単位で測定される)が所定の閾値を超えた場合に、第2のタンク2’の希釈剤による気化器6’の再充填可能なタンクの充填を自動的に管理するようにプログラムすることができる。さらに、第1のタンク1’及び/または第2のタンク2’からの気化器6の再充填可能なタンクの充填は、その中に収容されている浄化液の量が既定の閾値よりも低い場合に制御され得る。
【0103】
代替的に、または既に記述した内容に追加して、気化器6’には、システムマイクロプロセッサ4’とデータ及び制御信号を交換する追加の独自のマイクロプロセッサ7’を組み込むことができる。システム100の実施形態の考えられる変形例によれば、オペレータによるマイクロプロセッサ(複数可)4’、7’のオンサイト制御のためのインターフェイス手段を設けることができる。代替的に、または追加して、マイクロプロセッサ(複数可)4’、7’には、それらのリモート制御(作動、動作停止、及び動作パラメータの設定/調整など)を可能にするための無線通信手段が設けられる。さらに、すべてのシステムコンポーネントを電気的に制御するマイクロプロセッサ(複数可)4’、7’が存在することにより、様々な応用目的(例えば、細菌/ウイルス量が大きい病院環境の浄化、または低リスクの家庭環境の浄化など)に応じて自動動作プログラムを設定することが可能である。
【0104】
言い換えれば、本発明の浄化システムの好ましい変形例では、7’マイクロプロセッサ(または4’システムマイクロプロセッサ)を事前にプログラムすることもでき、気化の濃度及びタイミングを調整する格納されたプログラムに従って制御することもできる。さらに、システムマイクロプロセッサ4’は、細菌/ウイルス量の検知のための適当なセンサによって実行される環境測定に従って、浄化プロセスのパラメータを自動的に制御及び管理することができる。
【0105】
言い換えれば、浄化された空気の供給と環境汚染の監視との両方について、システム全体をリモートクラウドプラットフォームにより管理することができる。
【0106】
一例として、浄化プログラムが、浄化物質の適用ごとに約10~20秒の範囲の(通常は15秒に等しい)気化時間を設け、適用1回と次回との間に60~120分の範囲(通常は90分)の期間を設け得ることは特筆すべき点である。システムマイクロプロセッサ4’は、検知デバイスによって検知された細菌/ウイルス量に応じて、システムの作動及び動作パラメータを制御することができる。
【0107】
特筆すべきことに、本発明に係る浄化システムは、医療目的のCE規格に準拠して実現された別個の電源によって主電源から電力を供給する。
【0108】
本発明に係る浄化システムの適正な動作のためには、浄化すべき環境の歩行面に対して高い高度、好ましくは2メートルの高さに収容ケーシングを配置し、対象者から離す(この場合も、少なくとも2メートルの距離が好ましい)ことが推奨される。
【0109】
したがって、適正な配置のために、適切な位置に置かれた棚またはラックを設けることができる。
【0110】
環境への消毒剤の適用に関しては、一例であり包括的ではないが、浄化すべき環境1立方メートルあたり1または2cmの水で希釈した消毒剤1cmの用量が提供される(この特定の例は、Amuchina(登録商標)などの次亜塩素酸ナトリウム系消毒剤の使用に関する)。
図1
図2
図3
【国際調査報告】