(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】安全血栓切除デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527131
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2022133202
(87)【国際公開番号】W WO2023093667
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111417736.5
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523392763
【氏名又は名称】ベイジン ホンハイ マイクロテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シューミン
(72)【発明者】
【氏名】ジー シュンミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン タオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン ジェンリャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ドンドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シューチー
(72)【発明者】
【氏名】ウー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー ミン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
(57)【要約】
安全血栓切除デバイスは、ハンドル1と;中空外側チューブ2と;外側チューブ2の貫通孔内の第1の内側コア・セグメント、外側チューブ2の前端から延在する第2の内側コア・セグメント、及び外側チューブ2の後端から延在する第3の内側コア・セグメントを有する中空内側コア・チューブ3と;外側チューブ2の前端に設けた血栓破砕器5と;第2の内側コア・セグメントの前端部に接続し、血栓破砕器5の前に配置した血栓収集器4と;ハンドル1の前端部に設け、生理食塩水を注入する自由端部10を有するT継手6と;ハンドル1に設けハンドル1に対して移動して外側チューブ2を前後に移動すべく駆動する調整ノブ7と;ハンドル1に設け、外側チューブ2が事前設定位置に移動後、調整ノブ7を係止する係止ノブ8と;ハンドル1の後端に設けた中空内側コア・チューブ3の第3の内側コア・セグメントに生理食塩水を注入する注入器9を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全血栓切除デバイスであって、
ハンドル(1)と;
中空外側チューブ(2)と;
前記外側チューブ(2)における貫通孔内に位置する第1の内側コア・セグメント、前記外側チューブ(2)の前端部から延在する第2の内側コア・セグメント、および前記外側チューブ(2)の後端部から延在する第3の内側コア・セグメントを有する中空内側コア・チューブ(3)と;
前記外側チューブ(2)の前記前端部に設けられた血栓破砕器(5)と;
前記中空内側コア・チューブ(3)の前記第2の内側コア・セグメントの前端部に接続され、前記血栓破砕器(5)の前に位置する血栓収集器(4)と;
前記ハンドル(1)の前端部に設けられ、生理食塩水を注入するために使用される自由端部(10)を有するT継手(6)と;
前記ハンドル(1)に設けられ、前記ハンドル(1)に対して移動して前記外側チューブ(2)を前後に移動するように駆動することができる調整ノブ(7)と;
前記ハンドル(1)に設けられ、前記外側チューブ(2)が事前設定位置に移動した後に前記調整ノブ(7)を係止するために使用される係止ノブ(8)と;
前記ハンドル(1)の後端部に設けられた前記中空内側コア・チューブ(3)の前記第3の内側コア・セグメントに設けられ、生理食塩水を注入するために使用される注入器(9)と
を備えることを特徴とする安全血栓切除デバイス。
【請求項2】
前記外側チューブ(2)の前記前端部から延在する前記中空内側コア・チューブ(3)の前記第2の内側コア・セグメントは、前記血栓破砕器(5)および前記血栓収集器(4)を連続的に貫通し、前記血栓収集器(4)の前端部に接続され、その結果、前記血栓破砕器(5)および前記血栓収集器(4)は、前記調整ノブ(7)が前記外側チューブ(2)を前後に移動するように駆動したときに、膨張され得、または締め付けられ得ることを特徴とする請求項1に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項3】
前記中空内側コア・チューブ(3)の前記第2の内側コア・セグメントの前記前端部は、第1の中空金属リング(16)に接続され、前記第1の中空金属リング(16)を介して前記血栓収集器(4)の前記前端部に接続されることを特徴とする請求項2に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項4】
前記外側チューブ(2)は、前記T継手(6)に接続され、前記T継手(6)を介して前記調整ノブ(7)に接続されることを特徴とする請求項2に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項5】
前記調整ノブ(7)は、前記ハンドル(1)シュート内に配置された第1の部分と、前記ハンドル(1)の前記前端部から延在して前記T継手(6)に接続された第2の部分とを含むことを特徴とする請求項4に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項6】
前記血栓破砕器(5)の前端部は、規制リング(18)によって前記血栓収集器(4)の後端部に接続されることを特徴とする請求項2に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項7】
前記第1の中空金属リング(16)は、その前にある中空柔軟性引き込みヘッド(15)に接続されることを特徴とする請求項3に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項8】
前記中空内側コア・チューブ(3)の中空空洞、前記第1の中空金属リング(16)の中空空洞、および前記中空柔軟性引き込みヘッド(15)の中空空洞を連続的に貫通するガイド・ワイヤを更に備えることを特徴とする請求項7に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項9】
前記T継手(6)の前記自由端部(10)はプラグ止め端部を具備することを特徴とする請求項1に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項10】
前記注入器(9)の外側端部はプラグ止め端部を具備することを特徴とする請求項1または9に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項11】
前記血栓収集器(4)の前記前端部は前記中空内側コア・チューブ(3)の前端部に固定的に接続され、前記血栓破砕器(5)の後端部は前記外側チューブ(2)の前記前端部に接続され、前記血栓収集器(4)の前記後端部は規制リング(18)を介して前記血栓破砕器(5)の前記前端部に接続され、前記血栓収集器(4)および前記血栓破砕器(5)は現像リング(13)をそれぞれ具備することを特徴とする請求項10に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項12】
前記血栓収集器(4)は、収集メッシュの軸方向中央位置に少なくとも1つの凸型リング(11)を有し、前記凸型リング(11)の直径は、前記収集メッシュの残りの部分の直径よりも0.5~2mm大きいことを特徴とする請求項11に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項13】
前記凸型リング(11)の金属ワイヤの編み密度は、前記収集メッシュの残りの部分の編み密度よりも大きいことを特徴とする請求項12に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項14】
前記血栓収集器(4)は、前記収集メッシュに2つの凸型リング(11)を有することを特徴とする請求項13に記載の安全血栓切除デバイス。
【請求項15】
前記血栓破砕器(5)は、金属編みワイヤで作られた破砕メッシュを有し、前記破砕メッシュの構造は、その中央が中空円筒部になっており、前記中空円筒部の両端部が円錐部になっており、より大きな編み密度を有する前記円錐部は、1~2mmの平坦セクション(12)を有し、前記平坦セクション(12)は、前記円筒部の縁部に近接していることを特徴とする請求項15に記載の安全血栓切除デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスに関し、特には、人間の身体の血管内の血栓を破壊し、収集することによって、人間の身体から外に血栓を取り出すための安全血栓切除デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血栓症は、現在のところ人間の身体の心臓-大脳の血管におけるよくある症状であり、人間の健康に非常に有害である。主な治療方法は、薬物誘発性の血栓溶解および血栓除去である。現在、血栓を除去するために一般的に使用されている方法は、介入療法によるものであり、すなわち、伸縮自在な複数層ホース上に位置する血栓破砕器および血栓収集器が、血管を通って人間の血栓症の位置に置かれる。血栓は血栓破砕器によってより小さな血塊へと破砕され、次いで、血栓収集器によって収集され、次いで、人間の身体の外に取り出される。上記の血栓破砕および血栓収集を行う血栓切除デバイスには、その長期間の使用において2つの欠点がある。1つは、血栓切除デバイスの複数層ホースに空気が存在することである。これが人間の身体内に置かれたとき、人間の身体の血管に空気が進入して泡を形成し、気泡は本質的には血栓と類似している。血液の流れとともに、気泡はいくつかの血管位置にランダムに進入し、血液の流れを妨害する。2つ目は、血栓破砕器による血栓破砕のプロセスにおいてより小さな血栓塊が存在することであり、もしも血栓収集器の収集効率が高くなかったとしたら、より小さな血栓塊は血栓収集器の収集メッシュから流出し、血液の流れとともにより小さな血管内に流れ込んで新たな妨害物を形成するが、これは取り扱いまたは処理がより困難で、特に脳の血管内に流れ込んだ場合にそうであり、より深刻な結果をもたらす。上述された2つの欠点は、長年にわたって存在しており、上述された2つの新たな妨害物は、医師の注意深い動作によっても依然として回避され得ない。従って、従来技術における上述された技術的欠点をどのようにして解決し、血栓切除デバイスの安全性をどのようにして向上させるかは、依然として大きな重要性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高い安全性を有する血栓切除デバイスを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の安全血栓切除デバイスは、ハンドルと;中空外側チューブと;外側チューブにおける貫通孔内に位置する第1の内側コア・セグメント、外側チューブの前端部から延在する第2の内側コア・セグメント、および外側チューブの後端部から延在する第3の内側コア・セグメントを有する中空内側コア・チューブと;外側チューブの前端部に設けられた血栓破砕器と;中空内側コア・チューブの第2の内側コア・セグメントの前端部に接続され、血栓破砕器の前に位置する血栓収集器と;ハンドルの前端部に設けられ、生理食塩水を注入するために使用される自由端部を有するT継手と;ハンドルに設けられ、ハンドルに対して移動して外側チューブを前後に移動するように駆動することができる調整ノブと;ハンドルに設けられ、外側チューブが事前設定位置に移動した後に調整ノブを係止するために使用される係止ノブと;ハンドルの後端部に設けられた中空内側コア・チューブの第3の内側コア・セグメントに設けられ、生理食塩水を注入するために使用される注入器とを備える。
【0005】
好ましくは、外側チューブの前端部から延在する中空内側コア・チューブの第2の内側コア・セグメントは、血栓破砕器および血栓収集器を次々に貫通し、血栓収集器の前端部に接続され、その結果、血栓破砕器および血栓収集器は、調整ノブが外側チューブを前後に移動するように駆動したときに、膨張され得または締め付けられ得る。
【0006】
好ましくは、中空内側コア・チューブの第2の内側コア・セグメントの前端部は、第1の中空金属リングに接続され、第1の中空金属リングを介して血栓収集器の前端部に接続される。
【0007】
好ましくは、外側チューブはT継手に接続され、調整ノブはT継手を介して接続される。
【0008】
好ましくは、調整ノブは、ハンドル・シュート内に配置された第1の部分と、ハンドルの前端部から延在してT継手に接続された第2の部分とを含む。
【0009】
好ましくは、血栓破砕器の前端部は、規制リングによって血栓収集器の後端部に接続される。
【0010】
好ましくは、第1の中空金属リングは、その前にある中空柔軟性引き込みヘッドに接続される。
【0011】
好ましくは、本発明の安全血栓切除デバイスは、中空内側コア・チューブの中空空洞、第1の中空金属リングの中空空洞、および中空柔軟性引き込みヘッドの中空空洞を連続的に貫通するガイド・ワイヤを更に備える。
【0012】
好ましくは、T継手の自由端部はプラグ止め端部を具備し、注入器の外側端部はプラグ止め端部を具備する。
【0013】
好ましくは、血栓収集器の前端部は中空内側コア・チューブの前端部に固定的に接続され、血栓破砕器の後端部は外側チューブの前端部に接続され、血栓収集器の後端部は規制リングを介して血栓破砕器の前端部に接続される。
【0014】
好ましくは、血栓収集器は、収集メッシュの軸方向中央位置に少なくとも1つの凸型リングを有し、凸型リングの直径は、収集メッシュの残りの部分の直径よりも0.5~2mm大きい。
【0015】
好ましくは、凸型リングの金属ワイヤの編み密度は、収集メッシュの残りの部分の編み密度よりも大きい。
【0016】
好ましくは、血栓収集器は、収集メッシュに2つの凸型リングを有する。
【0017】
好ましくは、血栓破砕器は、金属編みワイヤで作られた破砕メッシュを有し、破砕メッシュの構造は、その中央が中空円筒部になっており、中空円筒部の両端部が円錐部になっており、より大きな編み密度を有する円錐部は、1~2mmの平坦セクションを有し、平坦セクションは、円筒部の縁部に近接している。
【0018】
本発明の上述された技術的解決策において定められた血栓切除デバイスは、使用時に、T継手の端部および中空内側コア・チューブの端部の注入器を通じて生理食塩水を注入し、中空内側コア・チューブと外側チューブとの間の空気および中空内側コア・チューブの中空貫通孔内の空気を排気し、次いで、これを人間の身体内に挿入して、血栓を破砕し、収集し、取り出し、それと同時に、特定の設計による血栓収集器は、血栓フラグメントの流出を回避し得、これは、本発明の血栓切除デバイスの安全性を大いに向上させ、従来技術において存在する安全性におけるリスクを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態の全体的構造概略図である。
【
図2】
図1の血栓切除デバイスの使用時の図である。
【
図4】血栓破砕器および血栓収集器の拡大概略図である。
【
図5】血栓破砕器および血栓収集器への中空内側コア・チューブの接続部の拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の特定の実施形態の詳細な説明が、添付の図面を参照して提供される。本発明の詳細な説明は、本発明の技術的精神の理解を容易にするために提供されるものであって、本発明の特許請求の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0021】
図1~
図5を参照すると、本発明の安全血栓切除デバイスは、中空外側チューブ2と;外側チューブ2における貫通孔内に位置する第1の内側コア・セグメント、外側チューブ2の前端部から延在する第2の内側コア・セグメント、および外側チューブ2の後端部から延在する第3の内側コア・セグメントを有する中空内側コア・チューブ3と;外側チューブ2の前端部に設けられた血栓破砕器5と;第2の内側コア・セグメントの前端部に接続され、血栓破砕器5の前に位置する血栓収集器(4)と;ハンドル1の前端部に設けられ、生理食塩水を注入するために使用される自由端部10を有するT継手6と;ハンドル1に設けられ、ハンドル1に対して移動して外側チューブ2を前後に移動するように駆動することができる調整ノブ7と;ハンドル1に設けられ、外側チューブ2が事前設定位置に移動した後に調整ノブ7を係止するために使用される係止ノブ8と;ハンドル1の後端部に設けられた第3の内側コア・セグメントに設けられ、生理食塩水を注入するために使用される注入器9とを含む。
【0022】
図5において図示されるように、外側チューブ2の前端部から延在する中空内側コア・チューブ3の第2の内側コア・セグメントは、血栓破砕器5および血栓収集器4を次々に貫通し、血栓収集器4の前端部に接続され、その結果、血栓破砕器5および血栓収集器4は、調整ノブ7が外側チューブ2を前後に移動するように駆動したときに、(
図2において図示されるように)膨張され得、または(
図1において図示されるように)締め付けられ得る。中空内側コア・チューブ3の第2の内側コア・セグメントの前端部は、第1の中空金属リング16に接続され、第1の中空金属リング16を介して血栓収集器4の前端部に接続される。
【0023】
図1から
図3において図示されるように、外側チューブ2は、T継手6に接続され、T継手6を介して調整ノブ7に接続される。
図3において図示されるように、調整ノブ7は、ハンドル1シュート内に配置された第1の部分と、ハンドル1の前端部から延在してT継手6に接続された第2の部分とを含む。
【0024】
図5において図示されるように、血栓破砕器5の前端部は、規制リング18によって血栓収集器4の後端部に接続され、その結果、外側チューブ2が前後に移動したときに、血栓破砕器5および血栓収集器4は一体的に移動され得る。
【0025】
図5において図示されるように、本発明は、第1の中空金属リング(16)に接続された中空柔軟性引き込みヘッド(15)も有し、血栓を破壊するためのガイド・ワイヤ(図においては図示されていない)が、必要に応じて、中空内側コア・チューブ(3)の中空空洞、第1の中空金属リング(16)の中空空洞、および中空柔軟性引き込みヘッド(15)を貫通して外に延在する。
【0026】
特には、外側チューブ2が中空内側コア・チューブ3に対して移動し得るように中空内側コア・チューブ3と外側チューブ2との間にはギャップが存在する。ハンドル1の前端部は、T継手6を具備し、T継手6の貫通チューブは外側チューブ2と中空内側コア・チューブ3とを具備し、中空内側コア・チューブ3の第3の内側コア・セグメントの後端部は、注入器9に接続されるとともに、ハンドル1の後端部に固定的に接続される。ハンドル1上の調整ノブ7は、調整外側チューブ2および中空内側コア・チューブ3の前後移動変位を制御し、係止ノブ8は、調整ノブ7をハンドル1に係止し得る。上述された血栓切除デバイスが人間の血管内に置かれる前に、T継手6の自由端部10および注入器9を通って生理食塩水が注入され、生理食塩水は、外側チューブ2と中空内側コア・チューブ3との間のギャップにおける空気および中空内側コア・チューブ3の中空チャンネルの空気を排出する。生理食塩水が漏れ出ることを防止するために、T継手6と調整ノブ7との接続部に封止リング14が設けられる。血栓切除デバイスが人間の血管内に置かれた後、外側チューブ2の変位とともに血栓収集器4および血栓破砕器5が展開され、破砕および収集を行う血栓切除の動作を実施するために血管内の血栓切除位置に送達される。全体的な動作プロセス中に、外側チューブ2と中空内側コア・チューブ3との間の空気および中空内側コア・チューブ3の中空空洞の空気は、前もって排出されているので、人間の血管内に空気が進入する可能性がなくなり、人間の血管に進入する気泡に起因する新たな血管内妨害物を形成する可能性が完全に回避され、血栓切除の安全性が大いに向上される。
【0027】
安全性を更に向上させるために、T継手6の自由端部10はプラグ止め端部を具備し、または/および注入器9の外側端部はプラグ止め端部を具備し(プラグ止め端部は図においては図示されていない)、上述されたプラグ止め端部は、血栓切除デバイスに生理食塩水が注入された後で、生理食塩水の流出を回避するために自由端部10の開口および注入器9の注入ポートを閉鎖し得、血栓切除デバイスが繰り返し動作されたときに存在する場合がある空気が、外側チューブ2と中空内側コア・チューブ3との間のギャップおよび中空内側コア・チューブ3の中空空洞に再び進入し、血栓切除プロセスの安全性を保証する。
【0028】
血栓収集器4の前端部は、柔軟性導入ヘッド15と第1の金属リング16とを具備し、柔軟性導入ヘッド15は第1の金属リング16に接続され、第1の金属リング16は中空内側コア・チューブ3の前端部に固定的に接続される。血栓破砕器5の後端部は外側チューブ2の前端部と第2の金属リング17とに接続され、血栓収集器4の後端部は、規制リング18を介して血栓破砕器5の前端部に接続され、規制リング18は中空内側コア・チューブ3に沿って変位され得る。調整ノブ7によって外側チューブ2を変位させることによって、血栓破砕器5および血栓収集器4は、解除(膨張)または収縮される。人間の血管の厚さが監視され、血栓破砕器5および血栓収集器4が血管の直径に適合されたときに係止ノブ8が回転され、その結果、外側チューブ2はもはや軸方向に変位され得ず、血栓を破壊する動作が実施され得る。血栓収集器4および血栓破砕器5は一体的に移動し、このことは、解除の程度をより良好に制御し得、動作を容易にし得る。
【0029】
現像性能を向上させるために、少なくとも3つ以上の現像リング13が血栓収集器4および血栓破砕器5にそれぞれ配置され、現像リング13は、人間の血管内への血栓収集器4および血栓破砕器5の挿入の間に血栓収集器4および血栓破砕器5の実際の膨張および収縮状態が明瞭に観察され得るように、X線照射の下で現像可能な材料で作られる。
【0030】
別の実施例において、中空内側コア・チューブ3は、第1の金属リング16と柔軟性導入ヘッド15の中空空洞とを連続的に貫通し得、
図1おいてに図示されるような収縮されたまたは締め付けられた血栓収集器4および血栓破砕器5が血栓を貫通し得ないときに、収縮されたまたは締め付けられた血栓収集器4および血栓破砕器5が血栓を有する血管を貫通するように、中空内側コア・チューブ3の中空空洞を貫通するガイド・ワイヤ(図示されず)を使用して血栓を粉砕するように、少なくとも第1の金属リング16は固定的に接続され得る。
【0031】
実際の使用中に、血栓破砕器5は、軸方向変位と回転とを行い、血栓破砕器5の金属編みメッシュは、血栓に対して軸方向および径方向の切断を実施し、切断によって形成された血栓塊は血栓収集器4の収集メッシュによって収集される。血栓を破壊するとき、血栓収集器4および血栓破砕器5を軸方向および/または回転方向に繰り返し移動させることが必要であり、その結果、血栓収集器4の収集メッシュは、収集メッシュを変形させるように移動する。この変形は、収集メッシュと血管の壁面との間にギャップをもたらし得、破壊された血栓塊が上述されたギャップを通って血管に進入する。血液の循環に伴って、破壊された血栓塊は、血管の新たなより小さな妨害物を生む。上述されたギャップの発生を回避するために、少なくとも1つの凸型リング11が、血栓収集器4の収集メッシュの位置に設けられ、凸型リング11の直径は、収集メッシュの残りの部分の直径よりも0.5~2mm大きい。収集ネットは金属編みワイヤによって形成されているので、収集ネットは、径方向に特定の弾性を有し、収集メッシュが人間の血管内にあるとき、凸型リング11によって受けられる弾性変形および弾性力は、収集ネットの残りの部分よりも大きく、収集ネットが軸方向変位または回転して一体的な変形を生んだとき、凸型リング11はより大きな径方向変形量を有し、その結果、凸型リング11は、血管の壁面との適切な接触を維持し、上述されたギャップが回避され、故に、破壊された血栓塊が、血液循環に再度進入することが回避され、血栓切除デバイスの安全性が更に向上される。
【0032】
安全性を更に向上させるために、収集ネットの上述された凸型リング11の金属ワイヤの編み密度は、収集ネットの残りの部分の編み密度よりも大きく、凸型リング11の径方向の弾性は、更に適切に向上され、その結果、上述されたギャップが回避され、収集メッシュには2つの凸型リング11が存在し、その結果、凸型リング11のプラグ止め効果は、更に向上される。
【0033】
血栓破砕器5は、金属編みワイヤで構成された破砕メッシュであり、破砕メッシュは、円筒状中央部と、円筒状中央部の前端部に位置する前端円錐状部と、円筒状中央部の後端部に位置する後端円錐状部とを備える(
図4および
図5を参照)。前端円錐状部の編みワイヤは、血栓を軸方向において切断するように働き、円筒状中央部の編みワイヤは、血栓に対して主に径方向の切断を実施する。前端円錐状部の編み密度は、後端円錐状部の編み密度よりも大きい。血栓に対する軸方向の切断を向上させるために、前端円錐状部は、1~2mmの平坦セクション12を具備し、平坦セクション12は、円筒状中央部の縁部に近接しており、平坦セクション12は、従来使用されていた円状の編みワイヤよりも、血栓に対するより良好な切断効果を有する。同時に、平坦セクション12の長さは1~2mmに制限され、編みワイヤの全体的な変形を妨害することはない。
【0034】
本発明が上において詳細に説明されたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の原理に従って、当業者によって様々な修正がなされ得る。故に、本発明は、本発明の修正および変形が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるという条件で、これらの修正および変形を含むものと意図される。
【国際調査報告】