(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック、及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20241024BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/211
H01M50/342 201
H01M50/588
H01M50/591 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527223
(86)(22)【出願日】2023-07-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2023009793
(87)【国際公開番号】W WO2024019390
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089573
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0065188
(32)【優先日】2023-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サム-ヘ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ス-ヨル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】キ-テク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ-ミ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H012FF01
5H040AA18
5H040AA33
5H040AA37
5H040AT04
5H040AY05
5H043AA04
5H043CA08
5H043GA23
5H043GA25
5H043JA02
5H043JA06
5H043JA13
(57)【要約】
バッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック、及びこれを含む自動車が開示される。本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、複数のパウチ型バッテリーセルと、前記複数のパウチ型バッテリーセルが収容され、ベント孔が形成されたモジュールケースと、前記モジュールケースの内部空間において、前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込んで支持するセルカバーと、を含み、前記セルカバーの少なくとも一部が前記ベント孔に挿入されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパウチ型バッテリーセルと、
前記複数のパウチ型バッテリーセルが収容されており、ベント孔が形成されたモジュールケースと、
前記モジュールケースの内部空間において、前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一つのバッテリーセルを少なくとも部分的に包み込んで支持するセルカバーと、
を含み、
前記セルカバーの少なくとも一部が前記ベント孔に挿入されている、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記セルカバーは、前記少なくとも1つのバッテリーセルを起立状態で支持するように構成されている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記セルカバーは、包み込まれたバッテリーセルの少なくとも一側が前記モジュールケースに向かって露出する開放部を形成するように、前記バッテリーセルを部分的に包み込む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記開放部は、前記ベント孔と連通している、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記セルカバーは、折れ曲がった一枚のプレートで形成されている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記セルカバーは、
前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも1つのバッテリーセルの一方の側面を覆う第1のカバー部と、
前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも1つのバッテリーセルの他方の側面を覆う第2のカバー部と、
前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とを連結し、前記少なくとも1つのバッテリーセルの上端部分を覆う第3のカバー部と、を含み、
前記第1のカバー部の下側端部及び前記第2のカバー部の下側端部の一部には、突出部が形成されており、
前記突出部は、前記ベント孔に挿入されている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記突出部には、折り曲げ部が形成されている、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記折り曲げ部は、前記第1のカバー部の下側端部または前記第2のカバー部の下側端部から内方に一回折れ曲がった後、下方に向かってもう一回折れ曲がった、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記第1のカバー部の下側端部及び前記第2のカバー部の下側端部の少なくとも一方は、前記ベント孔の外側にまで延びている、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバッテリーセルは、前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部の内側面に接着固定されている、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記第1のカバー部の端部のうち、前記第3のカバー部と接続されている端部の反対側の端部と、前記第2のカバー部の端部のうち、前記第3のカバー部と接続されている端部の反対側の端部との間に、前記モジュールケースに向かって露出する開放部が形成されている、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記セルカバーは、内側面に形成された絶縁コーティング層を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
前記セルカバーは、一体的に構成されている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年7月20日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0089573号及び2023年5月19日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0065188号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック、及びこれを含む自動車に関し、より詳細には、熱的事象に対する安全性等に優れたバッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック、及びこれを含む自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
最近の各種のモバイル機器と電気自動車、エネルギー貯蔵システム(ESS)などに対する技術の開発と需要の増加には目を見張るものがあり、これに伴い、エネルギー源としての二次電池への関心と需要が急増している。従来、二次電池としてニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池などが多用されていたが、最近には、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きないため充電及び放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いリチウム二次電池が多用されている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主として、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質及び負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板とがセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と一緒に封入する外装材、例えば、電池ケースと、を備える。
【0005】
一般に、二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に分類され得る。
【0006】
最近多用されているリチウム二次電池は、1個当たりの動作電圧が約2.5V~4.5V前後である。そのため、大容量及び高出力が要求される電気自動車や電力貯蔵装置の場合、複数のリチウム二次電池を直列及び/又は並列に接続してなるバッテリーモジュールやバッテリーパックを構成し、これをエネルギー源として使用する。特に、電気自動車に要求される出力や容量を満足させるために、バッテリーモジュールやバッテリーパックには非常に多くのリチウム二次電池が含まれる。
【0007】
一方、中大型のバッテリーモジュールやバッテリーパックでは、熱的事象が発生した場合に備えて設計することが重要である。
【0008】
例えば、バッテリーセルは、熱暴走が激しくなると、高温のガスや粒子(電極組立体から脱離した電極や活物質など)を噴出することがある。このとき、噴出された高温のガスや粒子(パーティクル)は、他のバッテリーセルに熱的損傷を与え、バッテリーモジュールの内部のバッテリーセル間で熱が急速に伝播する可能性がある。
【0009】
さらに、バッテリーセルの熱暴走により多量のガスが発生すると、モジュールケースの内部圧力が急速に上昇し、その結果、バッテリーモジュールの崩壊や爆発につながる。この場合、火災がさらに急速に拡大し、制御不能になる可能性があり、それによって人身事故などの二次被害が発生する恐れが大きくなる。そのため、上記のような事態を抑制ないし遅延させることができるように、バッテリーセルから多量のガスが発生した場合に備えてバッテリーモジュールを設計する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような技術的課題を解決するために創作されたものであり、バッテリーモジュールの内部に熱的事象が発生したとき、バッテリーモジュールの崩壊や爆発が急激に起こらないように、内部圧力の上昇速度を緩和することができるバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下に述べる発明の詳細な説明から当業者にとって明らかに理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、複数のパウチ型バッテリーセルと、前記複数のパウチ型バッテリーセルが収容されており、ベント孔が形成されたモジュールケースと、前記モジュールケースの内部空間において、前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込んで支持するセルカバーと、を含み、前記セルカバーの少なくとも一部が前記ベント孔に挿入されていることを特徴とするバッテリーモジュールが提供され得る。
【0013】
一実施形態において、前記セルカバーは、前記少なくとも1つのバッテリーセルを起立状態で支持するように構成され得る。
【0014】
一実施形態において、前記セルカバーは、包み込まれたバッテリーセルの少なくとも一側が前記モジュールケースに向かって露出する開放部を形成するために、前記バッテリーセルを部分的に包み込むように構成され得る。
【0015】
一実施形態において、前記開放部は、前記ベント孔と連通し得る。
【0016】
一実施形態において、前記セルカバーは、折れ曲がった一枚のプレートで形成され得る。
【0017】
一実施形態において、前記セルカバーは、前記複数のバッテリーセルのうちの少なくとも1つのバッテリーセルの一方の側面を覆う第1のカバー部と、前記複数のバッテリーセルのうちの少なくとも1つのバッテリーセルの他方の側面を覆う第2のカバー部と、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部とを連結し、前記少なくとも1つのバッテリーセルの上端部分を覆う第3のカバー部と、を含み、前記第1のカバー部の下側端部及び前記第2のカバー部の下側端部の一部には、突出部が形成されており、前記突出部は、前記ベント孔に挿入され得る。
【0018】
一実施形態において、前記突出部には、折り曲げ部が形成され得る。
【0019】
一実施形態において、前記折り曲げ部は、前記第1のカバー部の下側端部または前記第2のカバー部の下側端部から内方に一回折れ曲がった後、下方に向かってもう一回折れ曲がり得る。
【0020】
一実施形態において、前記第1のカバー部の下側端部及び前記第2のカバー部の下側端部の少なくとも一方は、前記ベント孔の外側まで延び得る。
【0021】
一実施形態において、前記少なくとも1つのバッテリーセルは、前記第1のカバー部及び前記第2のカバー部の内側面に接着固定され得る。
【0022】
一実施形態において、前記第1のカバー部の端部のうち、前記第3のカバー部と接続されている端部の反対側の端部と、前記第2のカバー部の端部のうち、前記第3のカバー部と接続されている端部の反対側の端部との間に、前記モジュールケースに向かって露出する開放部が形成され得る。
【0023】
一実施形態において、前記セルカバーは、内側面に形成された絶縁コーティング層を含み得る。
【0024】
一実施形態において、前記セルカバーは、一体的に形成され得る。
【0025】
一方、本発明の他の態様によれば、前述のバッテリーモジュールを含むバッテリーパックが提供され得る。
【0026】
一方、本発明のさらに他の態様によれば、前述のバッテリーモジュールを含む自動車が提供され得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、バッテリーモジュールの内部に熱的事象が発生したとき、内部圧力の急激な上昇を防止することができるバッテリーモジュールを提供することができる。
【0028】
また、本発明によれば、圧力上昇速度を緩やかにしつつ、ベントガスのバッテリーモジュールの外部へのディレクショナルベンティング(Directional Venting)を実現することにより、バッテリーモジュールの内部圧力を安全かつ効果的に解消することができる。
【0029】
さらに、本発明は、熱的事象が発生したバッテリーモジュールの崩壊や爆発を防止することがより、当該バッテリーモジュールと隣接する他のバッテリーモジュールへの熱の伝播を防止または可能な限り遅延させることができる。
【0030】
これらに加えて、本発明は色々な他の効果を有することができ、これについては各実施形態の欄において説明したり、当業者が容易に類推可能な効果などについては当該説明を省略したりする。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの結合斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールにおいて、バッテリーセルがセルカバーに包み込まれた状態を示す部分斜視図である。
【
図4】
図3におけるバッテリーセルとセルカバーとを分離した状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを含むバッテリーパックを備える自動車を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常の意味や、辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者は発明を最善の方法で説明するために用語の概念を自ら適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に対応する意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0034】
図中、各構成要素またはその構成要素をなす特定の部分の大きさは、説明のしやすさ及び明確性のためにやや誇張して表現されたり、省略されたり、概略的に示されたりしている。したがって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。関連する公知の機能もしくは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0035】
本明細書において使用される「結合」または「接続(連結)」という用語は、ある部材と他の部材とが直接結合するか、または直接接続(連結)される場合のみならず、ある部材が継手部材を介して他の部材に間接的に結合するか、または間接的に連結(接続)される場合も含む。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの結合斜視図であり、
図2は、
図1の分解斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールにおいて、バッテリーセルがセルカバーに包み込まれた状態を示す部分斜視図であり、
図4は、
図3におけるバッテリーセルとセルカバーとを分離した状態を示す斜視図である。
【0037】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10は、パウチ型バッテリーセル100、モジュールケース200、及びセルカバー300を含む。
【0038】
図1~
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10は、パウチ型バッテリーセル100と、モジュールケース200と、セルカバー300とを含む。
【0039】
バッテリーセル100は、電極組立体、電解質及びパウチ外装材を含み得る。すなわち、バッテリーセル100は、充電及び放電の基本単位に相当するもので、軟質の金属ケースの内部に電極組立体及び電解質物質を収容し、当該金属ケースをシールすることにより製造され得る。この場合、電極組立体は、正極電極と負極電極との間にセパレーターを介在させて製造され得る。
【0040】
また、バッテリーセル100の前端及び後端には、電極組立体と電気的に接続された電極リード110が設けられ得る。このようなバッテリーセル100は、パウチ(pouch)形状に形成され得る。このようなパウチ型バッテリーセル100は、バッテリーモジュール10に複数含まれ得る。そして、このような複数のパウチ型バッテリーセル100は、少なくとも一方向に積層され得る。
【0041】
図2を参照すると、モジュールケース200は、内部に空き空間(空いたスペース)が形成されており、このような内部空間に複数のパウチ型バッテリーセル100が収容される。そして、パウチ型バッテリーセル100をモジュールケース200に直接搭載し得る。
【0042】
さらに、モジュールケース200には、熱的事象が発生したときに高温のガスと粒子を排出するベント孔211が形成され得る。さらに、火炎をもベント孔211を通して所定の方向、例えば、他のバッテリーモジュール10が設置されていない方向に誘導して外部に排出することができる。ベント孔211は、モジュールケース200の様々な位置に形成され得、例えば、モジュールケース200の下側に形成され得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0043】
一方、モジュールケース200とパウチ型バッテリーセル100との間、モジュールケース200とセルカバー300との間、またはパウチ型バッテリーセル100とセルカバー300との間に、熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)が介在し得る。熱伝導材料は、異なる構成要素の間において各構成要素の熱伝達性能を高めるための物質である。
【0044】
ここで、熱伝導材料は、サーマルレジン240、400であってもよく、必要に応じてサーマルパッドが使用されてもよい。これにより、バッテリーモジュール10の冷却性能をさらに向上させることができる。
【0045】
図1及び
図2を参照すると、モジュールケース200は、下部フレーム210と、側面フレーム220と、上部カバー230とを含んで構成され得る。モジュールケース200は、プラスチック又は金属材料で作られ得る。さらに、モジュールケース200は、本発明の出願時点における公知の様々なバッテリーモジュール10の外装材質を採用することができる。そして、モジュールケース200は、箱状に形成され得る。
【0046】
下部フレーム210には、複数のバッテリーセル100が搭載される。ここで、前述したベント孔211は、下部フレーム210に形成され得る。ベント孔211は、様々な形状に形成され得、例えば、
図2に示すように四角形、特に正方形に形成され得るが、これに限定されるものではない。また、ベント孔211は複数個形成され、複数のベント孔211が所定の間隔を隔てて直線方向に形成され得る。側面フレーム220は、下部フレーム210の辺縁から上方に延びている。上部カバー230は、側面フレーム220に結合され、側面フレーム220及び下部フレーム210を覆う。
【0047】
図3及び
図4を参照すると、セルカバー300は、複数のパウチ型バッテリーセル100のうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセル100を少なくとも部分的に包み込むように設けられ得る。すなわち、セルカバー300は、セルカバー300によって包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側が外部に露出するように、パウチ型バッテリーセル100を部分的に包み込む形状に形成され得る。このような露出構造により、冷却が容易になり、ガスや粒子(パーティクル)などが容易に排出される。そして、セルカバー300の少なくとも一部がベント孔211に挿入されるように構成される。これに関する詳細な説明は後述する。
【0048】
図2を参照すると、複数のパウチ型バッテリーセル100のうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成されたセルカバー300が、モジュールケース200の内部空間に収容され得る。
【0049】
セルカバー300は、様々な数のパウチ型バッテリーセル100を一緒に包み込むように構成され得る。例えば、
図3及び
図4に示すように、1つのセルカバー300が2つのパウチ型バッテリーセル100を一緒に包み込むように構成され得る。または、1つのセルカバー300が1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成され得る。または、1つのセルカバー300が3つ以上のパウチ型バッテリーセル100を一緒に包み込むように構成され得る。
【0050】
セルカバー300は、少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100を立てられた状態で支持するように構成され得る。一般に、パウチ型バッテリーセル100を上下方向に立てられた形状に積層することは容易ではない。しかしながら、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10において、セルカバー300は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を包みながら、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の立てられた状態、すなわち、起立状態を維持するように構成され得る。
【0051】
また、セルカバー300は一体的に構成され得る。この場合、セルカバー300は、板状構造の金属板を折り曲げることにより構成され得る。すなわち、セルカバー300は、折れ曲がった1枚のプレートで形成され得る。
【0052】
セルカバー300は、加工が容易で耐食性が高く、機械的強度及び剛性に優れたステンレス鋼(SUS)を含む素材で構成され得る。ただし、これに限定されるものではなく、セルカバー300は、剛性を確保するために、SUS以外の様々な材質で構成され得る。特に、セルカバー300は、金属材料で構成され得る。例えば、クロム(CR)系の金属材料で構成され得る。このような金属材料の場合、バッテリーセル100の積層状態をより安定的に維持することができ、バッテリーセル100を外部衝撃からより安全に保護することができる。また、先に例示したように、セルカバー300がSUSなどのスチール材料で構成される場合、融点が高いため、バッテリーセル100から火炎が発生した場合でも、全体として安定した構造を維持することができる。特に、スチール材料は、アルミニウム材料よりも融点が高いため、バッテリーセル100から噴出された火炎に溶融することがなく、安定した形状を維持することができる。したがって、バッテリーセル100間の火炎伝播の防止効果や遅延効果、ベント制御効果などを優秀に確保することができる。
【0053】
セルカバー300は、内側面に絶縁コーティング層(図示せず)を含み得る。絶縁コーティング層(図示せず)は、シリコーン樹脂、ポリアミド(Polyamide)及びゴムのいずれか1つの絶縁性材料をコーティング、塗布又は付着したものであり得る。このような本実施形態によるセルカバー300の絶縁コーティング層の構成によれば、最小限のコーティング量で絶縁コーティング効果を最大化することができる。また、セルカバー300の内側面に絶縁コーティング層(図示せず)を適用することにより、バッテリーセル100とセルカバー300との間の絶縁性を高めることができる。
【0054】
また、セルカバー300は、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側がバッテリーモジュール10の底面に向かって露出するように構成され得る。ただし、これに限定されるものではない。この場合、パウチ型バッテリーセル100の下部がモジュールケース200の下部フレーム210に直接接触可能であり、それぞれのパウチ型バッテリーセル100から放出された熱がモジュールケース200に直接伝達されるため、バッテリーセル100の冷却性能が向上することができる。ここで、前述の構造、すなわち、パウチ型バッテリーセル100がモジュールケース200の下部フレーム210に直接接触する構造により、パウチ型バッテリーセル100とモジュールケース200との間に別途冷却構造を設けなくても、十分な冷却性能を期待することができる。
【0055】
図3及び
図4を参照すると、セルカバー300は、第1のカバー部310と、第2のカバー部320と、第3のカバー部330とを含んで構成され得る。そして、セルカバー300の前方及び後方には、エンドカバー250、260(
図2参照)が配備され得る。
【0056】
第1のカバー部310は、複数のバッテリーセル100のうちの少なくとも1つのバッテリーセル100の一方の側面を覆うように構成され得る。第1のカバー部310は、第3のカバー部330の一方の端から下方に延びる形状に形成され得る。例えば、
図3に基づいて、第1のカバー部310は、第3のカバー部330の右側端部から下方に長く延びるように構成され得る。また、第1のカバー部310は、内部に収容されたバッテリーセル100の広い面を包み込むように構成され得る。
【0057】
第2のカバー部320は、複数のバッテリーセル100のうちの少なくとも1つのバッテリーセル100の他方の側面を覆うように構成され得る。第2のカバー部320は、第1のカバー部310から水平方向に間隔をあけて位置し得る。また、第2のカバー部320は、第3のカバー部330の他方の端から下方に延びる形状に形成され得る。例えば、
図3に基づいて、第2のカバー部320は、第3のカバー部330の左側端部から下方に長く延びる形状に形成され得る。さらに、第2のカバー部320は、内部に収容されたバッテリーセル100の広い面を包み込むように構成され得る。
【0058】
第3のカバー部330は、第1のカバー部310と第2のカバー部320とを連結し、少なくとも1つのバッテリーセル100の上端部分を覆う。
【0059】
ここで、セルカバー300は、包み込まれたバッテリーセル100の少なくとも一側がモジュールケース200に向かって露出する開放部340を形成するようにバッテリーセル100を部分的に包み込んでいる。このような構成によれば、バッテリーモジュール10の冷却効率をさらに向上させることができる。特に、本発明の一実施形態の場合、各バッテリーセル100の一部が開放部340を介してモジュールケース200に直接露出できるので、各バッテリーセル100の熱を、モジュールケース200を介して外部に効果的に排出することができる。
【0060】
このため、開放部340は、第1のカバー部310の端部のうち、第3のカバー部330と接続されている端部の反対側の端部と、第2のカバー部320の端部のうち、第3のカバー部330と接続されている端部の反対側の端部との間でモジュールケース200に向かうように形成され得る。
【0061】
【0062】
図7及び
図8を参照すると、前述の開放部340は、ベント孔211と連通するように構成され得る。これにより、ガスや粒子などは、開放部340を通って
図8の矢印の方向に移動した後、ベント孔211を通って外部に排出され得る。
【0063】
図3~
図6を参照すると、第1のカバー部310の下側端部及び第2のカバー部320の下側端部の一部には、突出部350が形成され得る。すなわち、
図5を参照すると、突出部350は、第1のカバー部310の下側端部または第2のカバー部320の下側端部から下方に延びて一体的に形成され得る。しかし、これに限定されるものではなく、突出部350は、別途作製された後、溶接等によって第1のカバー部310または第2のカバー部320に結合されるように構成されることも可能である。また、突出部350の結合方法は、溶接に限定されるものではない。
【0064】
そして、
図7及び
図8を参照すると、第1のカバー部310の下側端部の突出部350及び第2のカバー部320の下側端部の突出部350は、ベント孔211に挿入される。このように、第1のカバー部310の突出部350及び第2のカバー部320の突出部350がベント孔211に挿入されると、高温のガスや粒子がベント孔211を通って外部に排出されることを案内することができる。
【0065】
すなわち、セルカバー300とベント孔211との間が突出部350によって隙間がないように完全に塞がれているため、高温のガスや粒子が他の方向に漏れ出すことがない(高温のガスや粒子が他の方向に漏れ出すと、隣接するバッテリーモジュール等に伝播して熱転移現象が発生する可能性がある)だけでなく、高温のガスや粒子を所定の方向に排出することができ、これにより、いずれか1つのバッテリーモジュールで熱的事象が発生しても、隣接する他のバッテリーモジュールへの熱伝播を防止したりできるだけ遅らせたりすることができるという効果がある。
【0066】
一方、
図5及び
図6を参照すると、一実施形態において、突出部350には、折り曲げ部351が形成され得る。すなわち、第1のカバー部310の下側端部及び第2のカバー部320の下側端部の少なくとも一方には、折り曲げられた突出部350が形成され得る。折り曲げ部351は、第1のカバー部310の下側端部または第2のカバー部320の下側端部から内方に一回折れ曲がった(351a参照)後、下方に向かってもう一回折れ曲がった(351b参照)形状に形成され得る。ただし、これに限定されるものではない。また、折り曲げ部351が2回折れ曲がることにより、突出部350がベント孔211に正確に挿入され得る。
【0067】
本発明のこれらの実施形態によれば、バッテリーモジュール10の内部で熱的事象が発生したときに、内部圧力の上昇を遅延させることができる。また、ガスのバッテリーモジュール10の外部へのディレクショナルベンティングを実現することにより、バッテリーモジュール10の内部圧力を安全かつ効果的に解消することができる。さらに、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10を用いてバッテリーパック20を構成した場合、熱的事象が発生しても、急激な圧力上昇によるバッテリーモジュール10の爆発を防止することができるので、周辺の他のバッテリーモジュール10への熱的損傷の伝播を防止したり最大限遅延させたりすることができる。
【0068】
一方、必要に応じて、第1のカバー部310の下側端部及び第2のカバー部320の下側端部の少なくとも一方は、ベント孔211の外側まで延びるように構成されることも可能である。このように、第1のカバー部310の下側端部または第2のカバー部320の下側端部がベント孔211の外側にまで延びた場合には、ガスの移動経路を所定の方向に正確に誘導することができる。
【0069】
複数のパウチ型バッテリーセル100のうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセル100は、第1のカバー部310及び第2のカバー部320の内側面に接着固定され得る。接着のための部材は、熱伝導性を有し得る。このような接着により、セルカバー300はバッテリーセル100に強固に結合され、また、バッテリーセル100から発生する熱をバッテリーセル100の外部に排出するのに役立つことができる。
【0070】
セルカバー300の第1のカバー部310と、第2のカバー部320と、第3のカバー部330とによって内部空間が画定され得る。そして、このように画定されたセルカバー300の内部空間に、1つ又はそれ以上のバッテリーセル100が収容され得る。
【0071】
セルカバー300は、少なくとも1つのバッテリーセル100の3つの面を取り囲む「n」字形状、「U」字形状又は「コ」字形状に形成され得る。そして、
図2を参照すると、セルカバー300は、複数のバッテリーセル100が上下方向に立てられた状態で水平方向に積層できるように構成され得る。
【0072】
例えば、
図2を参照すると、セルカバー300のそれぞれは、1つ又はそれ以上のバッテリーセル100を包み込む形状に形成されており、セルカバー300によってそれぞれ包み込まれた複数のバッテリーセル100は、
図2のY軸方向に互いに積層され得る。この場合、セルカバー300によって、複数のバッテリーセル100がそれぞれ立てられた状態でY軸方向に並んで積層された構成が、安定的に維持され得る。
【0073】
また、セルカバー300は、少なくとも1つのバッテリーセル100の3つの面を取り囲むことができ、これにより、各セルカバー300で取り囲まれていない側面にバスバーや各ユニットの端子を容易に配置することができる。パウチ型バッテリーセル100のようなバッテリーセル100は、略6面体として形成されているといえる。また、6つの面のうちの2つの面に電極リード110、すなわち、負極リード及び正極リードがそれぞれ形成され得る。そして、セルカバー300は、6面体のバッテリーセル100の6つの面のうち、電極リード110が形成された2つの面を除く残りの4つの面のうちの3つの面の少なくとも一部を包み込むように設けられる。
【0074】
一方、変形例において、バッテリーモジュール10のモジュールケース200を除去し、バッテリーセル100をバッテリーパック20のパックケースに直接収容するように構成されることも可能である。これにより、バッテリーパック20内において、バッテリーモジュール10のモジュールケース200等が占めるスペースにバッテリーセル100をさらに収容することができるので、スペース効率の向上及びバッテリー容量の向上を図ることができる。すなわち、変形例においては、バッテリーモジュール10のモジュールケース200を含まない構成とすることができる。
【0075】
図9は、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールを含むバッテリーパックを備える自動車を説明するための図である。
【0076】
本発明の一実施形態によるバッテリーパック20は、前述した本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10を1つ以上含み得る。また、前記バッテリーパック20は、このようなバッテリーモジュール10に加えて、このようなバッテリーモジュール10を収容するためのハウジング、バッテリーモジュール10の充放電を制御するための各種装置、例えば、BMS、電流センサー、ヒューズなどをさらに含み得る。
【0077】
一方、本発明の一実施形態による自動車30は、前述のバッテリーモジュール10またはバッテリーパック20を1つ以上含み得、前記バッテリーパック20には、前記バッテリーモジュール10を含み得る。
図9では、自動車30にバッテリーパック20が設置されているが、必要に応じて、前述した本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10を自動車30に直接設置することもできる。
【0078】
そして、本発明の一実施形態によるバッテリーパック20またはバッテリーモジュール10は、前記自動車30、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車など、電気を使用するように設けられた各種の自動車30に適用されることが可能である。
【0079】
本明細書においては、上、下、左、右、前、後などの方向を表す用語が使用されている場合、これらの用語は説明の便宜上のものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、本発明の当業者にとって自明である。
【0080】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、バッテリーモジュール、これを含むバッテリーパック、及びこれを含む自動車に関し、特に、二次電池に関連する産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 バッテリーモジュール
20 バッテリーパック
30 自動車
100 パウチ型バッテリーセル
110 電極リード
130 セルカバー
200 モジュールケース
210 下部フレーム
211 ベント孔
220 側面フレーム
230 上部カバー
240 サーマルレジン
250 エンドカバー
260 エンドカバー
300 セルカバー
310 第1のカバー部
320 第2のカバー部
330 第3のカバー部
340 開放部
350 突出部
351 折り曲げ部
400 サーマルレジン
【国際調査報告】