(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】バッテリ移動用運送装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B65G 43/08 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B65G43/08 E
B65G43/08 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527225
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2022016748
(87)【国際公開番号】W WO2023080567
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0152518
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ムンク・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ソンヨル・ヤン
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA02
3F027CA01
3F027CA05
3F027DA01
3F027DA32
3F027EA01
3F027EA09
3F027FA03
3F027FA11
3F027FA18
(57)【要約】
バッテリ移動用運送装置及びその制御方法に関する発明を開示する。本発明のバッテリ移動用運送装置は、コンベヤーベルトに沿って移動して、バッテリを運搬するトレーと、トレーに設置されて、トレーに伝達される衝撃量を感知する衝撃センサと、トレーの移動経路に沿って設置される被認識部材と、トレーに設置されて、被認識部材を認識する読取機と、衝撃センサと読取機の測定値を伝達されてサーバに保存し、設定値以上にトレーに衝撃が伝達される区域におけるトレーの移動を減速させる制御部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを積載して、複数の移動区間を含む移動経路に沿って移動するトレー;
前記トレーに設置されて、前記トレーに伝達される衝撃量を感知する衝撃センサ;
前記トレーの移動経路に沿って設置される被認識部材;
前記トレーに設置されて、前記被認識部材を認識する読取機;及び
前記衝撃センサと前記読取機の測定値を伝達されてサーバに保存し、設定値以上に前記トレーに衝撃が伝達される区間における前記トレーの移動速度を減少させる制御部;を含む、
バッテリ移動用運送装置。
【請求項2】
前記被認識部材は、RFID(Radio-Frequency Identification)タグであり、前記読取機は、RFIDタグを認識するセンサを用いる、
請求項1に記載のバッテリ移動用運送装置。
【請求項3】
前記トレーが移動される経路を複数の移動区間に区画した後、前記移動区間毎に前記被認識部材を設置する、
請求項1又は2に記載のバッテリ移動用運送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記移動区間毎に、前記トレーに伝達された衝撃量を前記サーバに保存する、
請求項3に記載のバッテリ移動用運送装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記サーバに保存された情報に基づいて、設定値以上に前記トレーに衝撃量が伝達される衝撃区間を算出し、前記制御部は、前記衝撃区間では、前記トレーの移動を減速させる、
請求項4に記載のバッテリ移動用運送装置。
【請求項6】
制御部がトレーの移動経路を複数の移動区間に区画する区画ステップ;
前記トレーに設置された読取機によって、前記移動区間に設置された被認識部材を測定し、前記トレーに設置された衝撃センサを介して前記トレーに伝達される衝撃量を感知する測定ステップ;
前記制御部が、前記衝撃センサと前記読取機の測定値を伝達されて、サーバに保存する保存ステップ;及び
前記制御部が、前記保存ステップにおいて保存された測定値に基づいて、前記トレーの移動速度を調節する調節ステップ;を含む、
バッテリ移動用運送装置の制御方法。
【請求項7】
前記被認識部材は、RFID(Radio-Frequency Identification)タグであり、前記読取機は、RFIDタグを認識するセンサを用いる、
請求項6に記載のバッテリ移動用運送装置の制御方法。
【請求項8】
前記制御部は、前記移動区間毎に識別番号を付与し、前記識別番号とともに前記移動区間の衝撃量を前記サーバに保存する、
請求項6又は7に記載のバッテリ移動用運送装置の制御方法。
【請求項9】
前記制御部は、前記トレーに伝達される衝撃量を0~1000の間の値として算出し、直前に測定された衝撃量に加重値をかけて計算した加重算出平均を前記サーバに保存する、
請求項8に記載のバッテリ移動用運送装置の制御方法。
【請求項10】
前記制御部は、前記サーバに保存された加重算出平均と前記識別番号に基づいて、前記移動区間をハザード・マップ(Hazard map)に示し、前記ハザード・マップに示された衝撃量情報に基づいて、前記トレーの移動速度を調節する、
請求項9に記載のバッテリ移動用運送装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月8日付韓国特許出願第10-2021-0152518号に基づく優先権を主張し、同韓国特許出願の文献で開示の全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バッテリ移動用運送装置及びその制御方法に関し、より詳細には、バッテリを運搬するトレーに伝達される衝撃量を減少させることができる、バッテリ移動用運送装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、バッテリは、化学エネルギーを電気エネルギーに変換させる器具である。2つ以上の電池を連結して、電流を同じ方向に流せると、バッテリが構成される。
【0004】
バッテリは、様々な工程を経て生産され、各工程に移動されるバッテリは、トレーに載せた状態で移動される。
【0005】
バッテリを積載したトレーは、各工程が行われている生産ラインで一定の速度で移動する。バッテリを積載したトレーの移送経路には、柔らかい且つ滑らかな区間だけあるわけではないため、一定の速度で移動するトレーが、ある区間では、特に衝撃を受けないものの、これと異なる区間では、相当衝撃を受けることがある。このように、移送過程中でトレーに伝達された衝撃は、そこに積載したバッテリを損傷し得る。
【0006】
トレーの移動時、衝撃が予想される区間、例えば、ストッパが存在する区間では、衝撃力を減らすために、予め速度を減らして運行することができる。しかし、予期せぬ所で衝撃が発生する場合は、当該区間で衝撃が発生するという事実さえ把握しにくい。
【0007】
さらに、時間が経つにつれて、コンベヤーベルトといった移送装備が老朽化することによって、その前には発生していなかった衝撃が新たに発生する区間も生じ得る。
【0008】
このように、予期せぬ衝撃によってトレーに積載したバッテリが損傷しないようにするために、移送過程でトレーが受ける衝撃量を継続して感知する必要がある。
【0009】
本発明の背景技術は、特許文献1(2020年7月21日付公開、発明の名称:電池移送用トレー)に掲示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2020-0087562号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、バッテリを運搬するトレーに伝達される衝撃量を減少させることができる、バッテリ移動用運送装置及びその制御方法を提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、衝撃量の多い地点にトレーが移動するとき、トレーの移動速度を調節することができる、バッテリ移動用運送装置及びその制御方法を提供することである。
【0013】
また、本発明の目的は、衝撃量の非常に少ない地点にトレーが移動するとき、又は衝撃の発生しない区間でトレーが移動するとき、トレーの移動速度を調節することができる、バッテリ移動用運送装置及びその制御方法を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、以上に言及した目的に制限されず、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解することができ、本発明の実施形態によってより明らかに理解することができる。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現できることが分かりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によるバッテリ移動用運送装置及びその制御方法は、トレーの移動速度を調節して、バッテリを運搬するトレーに伝達される衝撃量を減少させることを技術的特徴とする。
【0016】
具体的には、トレーの移動経路を複数の区間に区画して、トレーに伝達される衝撃量が多い区域では、トレーの移動速度を減速させるため、トレーに載せられたバッテリの損傷を減少させることができる。
【0017】
本発明によるさらなる技術的特徴は、衝撃量が問題とならない区間における移動速度を増速して、バッテリの運搬速度を高めることである。
【0018】
本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置は、コンベヤーベルトに沿って移動してバッテリを運搬するトレーと、トレーに設置されて、トレーに伝達される衝撃量を感知する衝撃センサと、トレーの移動経路に沿って設置される被認識部材と、トレーに設置されて、前記被認識部材を認識する読取機と、衝撃センサと読取機の測定値を伝達されてサーバに保存し、設定値以上にトレーに衝撃が伝達される区域におけるトレーの移動を減速させる制御部と、を含む。
【0019】
また、被認識部材は、RFID(Radio-Frequency Identification)タグであり、読取機は、RFIDタグを認識するセンサを用いる。
【0020】
また、トレーが移動される経路を複数の移動区間に区画した後、移動区間毎に被認識部材を設置する。
【0021】
また、制御部は、移動区間毎に、トレーに伝達された衝撃量をサーバに保存する。
【0022】
また、制御部は、サーバに保存された情報に基づいて、設定値以上にトレーに衝撃量が伝達される衝撃区間を算出し、制御部は、衝撃区間では、トレーの移動を減速させる。
【0023】
本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置の制御方法は、制御部がトレーの移動経路を複数の移動区間に区画する区画ステップと、トレーに設置された読取機によって移動区間に設置された被認識部材を測定し、トレーに設置された衝撃センサを介してトレーに伝達される衝撃量を感知する測定ステップと、制御部が、衝撃センサと読取機の測定値を伝達されて、サーバに保存する保存ステップと、制御部が、保存ステップにおいて保存された測定値に基づいてトレーの移動速度を調節する調節ステップと、を含む。
【0024】
また、被認識部材は、RFID(Radio-Frequency Identification)タグであり、読取機は、RFIDタグを認識するセンサを用いる。
【0025】
また、制御部は、移動区間毎に識別番号を付与して、識別番号とともに移動区間の衝撃量をサーバに保存する。
【0026】
また、制御部は、トレーに伝達される衝撃量を0~1000の間の値として算出して、直前に測定された衝撃量に加重値をかけて計算した加重算出平均をサーバに保存する。
【0027】
また、制御部は、サーバに保存された加重算出平均と識別番号に基づいて、移動区間をハザード・マップ(Hazard map)に示し、ハザード・マップに示された衝撃量情報に基づいてトレーの移動速度を調節する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によるバッテリ移動用運送装置及びその制御方法は、制御部が衝撃量の多い区域におけるトレーの移動速度を減速させるため、トレーに載せられたバッテリの損傷を最小化して、バッテリの不良率を減少させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、衝撃が全くないか、増速しても、衝撃力がほぼ増加しない区間では、トレーの移動速度を増加させて、トレーのバッテリ移送効率を高めることができる。
【0030】
また、本発明によれば、トレーに伝達された直前衝撃量に加重値をかけて、加重算出平均を計算するため、トレーに伝達される衝撃量及びバッテリの不良率を減少させることができる。
【0031】
上述した効果並びに本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための形態を説明するとともに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置を示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置のブロック図である。
【
図3】バッテリ移動用運送装置の移動経路に配置された被認識部材と運搬装置の実施形態をそれぞれ示した図である。
【
図4】バッテリ移動用運送装置の移動経路に配置された被認識部材と運搬装置の実施形態をそれぞれ示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態による第1移動経路に衝撃区間が位置することを示した図である。
【
図6】本発明の一実施形態による第2移動経路に衝撃区間が位置することを示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置の制御方法を示した手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにあたり、本発明に係る公知の技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本発明による好ましい実施形態を詳説することとする。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示すために使われる。
【0034】
たとえ、第1、第2などが、様々な構成要素を示すために使われたとしても、これら構成要素は、これらの用語によって制限されないことは勿論である。これらの用語は、単に一構成要素を他の構成要素と区別するために使うものであり、特に逆の記載がない限り、第1構成要素は、第2構成要素であってもよいことは勿論である。
【0035】
以下では、構成要素の「上部(又は下部)」又は構成要素の「上(又は下)」に任意の構成が配されるということは、任意の構成が、上記構成要素の上面(又は下面)に接して配されるだけでなく、上記構成要素と、上記構成要素上に(又は下に)配された任意の構成との間に他の構成が介在し得ることを意味する。
【0036】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載されている場合、上記構成要素は、互いに直接連結されるか、或いは接続されていてもよいものの、各構成要素の間に他の構成要素が「介在」するか、各構成要素が他の構成要素を介して「連結」、「結合」又は「接続」されていてもよいと理解しなければならない。
【0037】
全明細書において、特に逆の記載がない限り、各構成要素は、単数であってもよく、複数であってもよい。
【0038】
本明細書で使われる単数の表現は、文脈上明らかに他に意味しない限り、複数の表現を含む。本出願における「構成される」又は「含む」などの用語は、明細書上に記載した複数の構成要素、又は複数のステップを必ずしも全て含むものであると解釈されてはならず、そのうち、一部の構成要素又は一部のステップは含まれていなくてもよく、又はさらなる構成要素又はステップをさらに含むことができると解釈しなければならない。
【0039】
全明細書における「A及び/又はB」とするとき、これは特に逆の記載がない限り、A、B又はA及びBを意味し、「C~D」とするとき、これは特に逆の記載がない限り、C以上かつD以下であることを意味する。
【0040】
以下では、本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置1及びその制御方法を説明することとする。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置1を示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置1のブロック図である。
【0042】
図1と
図2に示したように、本発明によるバッテリ移動用運送装置1は、トレー10を移動する際に発生する衝撃によってバッテリ100の不良が発生することを防止するための技術思想内で様々な変形が可能である。
【0043】
本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置1は、コンベヤーベルト5と、トレー10と、衝撃センサ20と、被認識部材30と、読取機40と、制御部50と、サーバ60と、を含む。
【0044】
コンベヤーベルト5は、一地点から他地点に物又は素材を運搬する機械的装置である。コンベヤーベルト5は、モータの動力を用いて動作され、コンベヤーベルト5の上側に置かれたトレー10を設定の場所に移動させる。コンベヤーベルト5の詳細な構成は、公知の構成であるため、これによるさらなる説明は、省略する。
【0045】
実施形態では、運搬装置としてコンベヤーベルト5を例示しているが、本発明に適用可能な運搬装置がコンベヤーベルトに限定されるものではない。この他も、一地点から他地点に物や素材を移すことができる、様々な他の運搬装置を適用可能であることは勿論である。
【0046】
トレー10は、コンベヤーベルト5に沿って移動し、トレー10の内側にはバッテリ100が据置、存置、積載、又は装着される。トレー10は、バッテリ100を運搬する技術思想内で様々な変形が可能である。本発明の一実施形態によるトレー10は、バッテリ100が装着されるための溝を備えることができる。バッテリ100は、トレー10に備えた溝に挿入されて、トレー10とともに移動される。
【0047】
実施形態では、被運送物(物又は素材;バッテリ)の積載手段としてトレー10を例示しているが、本発明に適用可能な被運送物の積載装置がトレーに限定されるものではない。この他も、一地点から他地点に物や素材を移すことができる様々な他の積載装置、例えば、真空吸着又は磁気力吸着装置などを用いることもできることは勿論である。
【0048】
衝撃センサ20は、トレー10に設置されて、トレー10に伝達される衝撃量を感知する技術思想内で様々な変形が可能である。
【0049】
衝撃センサ20は、瞬間的な衝撃や振動が加えられたとき、電圧や電流を発生する素子である。衝撃センサ20の種類は、大きく2つに分けられる。第1タイプの衝撃センサ20は、ON/OFF型1軸加速度センサであって、これは加速度に比例する出力ではなく、加速度がある値に到逹すると、内部スイッチを動作させる。
【0050】
第2タイプの衝撃センサ20は、圧電素子型加速度計であって、加えられた衝撃に比例して出力が出る。
【0051】
さらに他のタイプの衝撃センサ20は、衝撃センサ20内のバネが衝撃を感知する構造により衝撃有無を測定することもできる。
【0052】
この他も、衝撃量や所定量以上の衝撃有無を測定することができるセンサであれば、様々なセンサが適用可能であることは勿論である。
【0053】
衝撃センサ20は、制御部50に直接通信が行われるため、衝撃センサ20の測定値を制御部50に直接伝達することもできる。または、トレー10に別途通信モジュールを備えて、衝撃センサ20と読取機40の測定値が通信モジュールを通じて制御部50に伝達されてもよい。
【0054】
被認識部材30は、トレー10の移動経路に沿って設置されて、読取機40によって認識される。本発明の一実施形態では、トレー10が移動される経路を複数の移動区間80に区画した後、移動区間80毎に被認識部材30を設置する。
【0055】
被認識部材30は、トレー10が現在、移動される区間がどの区間であるかを特定することができれば良く、読取機40に認識が迅速かつ容易に行われるように設置される。
【0056】
本発明の一実施形態による被認識部材30は、RFID(Radio-Frequency Identification)タグである。RFIDタグは、トレー10の移動区間80の区域毎に設置する。
【0057】
RFIDタグ内に内蔵したICチップが起動して、チップ内情報を信号化し、タグのアンテナで信号を発信して、読取機40は、RFIDタグから発信された情報信号をアンテナを介して受信し、有線及び無線通信方式で制御部50又はサーバ60に伝達する。
【0058】
実施形態では、被認識部材としてRFIDを例示しているが、被認識部材がこれに限定されるものではない。すなわち、被認識部材は、これを認識する読取機に対応して、様々な変更が可能である。
【0059】
読取機40は、トレー10に設置されて、被認識部材30を認識する技術思想内で様々な変形が可能である。本発明の一実施形態による読取機40は、RFIDタグを認識するセンサである。
【0060】
トレー10に設置された衝撃センサ20と読取機40が動作して、トレー10に伝達される衝撃量をリアルタイムで測定した後、RFIDタグ情報と衝撃量情報を制御部50を介してサーバ60に伝達する。
【0061】
読取機40は、トレー10の側面に着脱可能に固定されるため、メンテナンス作業を容易に行うことができる。また、読取機40によって認識される被認識部材30は、作業場に固定された状態で設置することができ、複数の設定された場所にそれぞれ設置される。
【0062】
制御部50は、衝撃センサ20と読取機40の測定値を伝達されて、サーバ60に保存し、設定値以上にトレー10に衝撃が伝達される区域におけるトレー10の移動を減速させる技術思想内で様々な変形が可能である。
【0063】
制御部50は、トレー10が移動される経路を複数の移動区間80に区分して、各移動区間80毎に、トレー10に伝達された衝撃量をサーバ60に保存する。
【0064】
例えば、トレー10が10回移動されており、トレー10が10回移動される度に衝撃量を測定して、サーバ60に保存する。
【0065】
制御部50は、サーバ60に保存された情報に基づいて、設定値以上にトレー10に衝撃量が伝達される衝撃区間82を算出し、制御部50は、衝撃区間82では、トレー10の移動を減速させる。
【0066】
図3と
図4を参照すると、例えば、第1被認識部材30-1と、第2被認識部材30-2と、第3被認識部材30-3とが順に配置されたトレー10の移動経路において、トレー10の読取機40が第1被認識部材30-1を認識した後、第2被認識部材30-2を認識する前に、前記トレー10の衝撃センサ20が基準となる所定量以上の衝撃力を測定した場合、これをサーバ60に保存する。ここで、基準となる所定量の衝撃力は、バッテリが損傷しないことが保証される最大許容衝撃力であってもよい。そして、前記トレー10の読取機40が第2被認識部材30-2を認識した後、第3被認識部材30-3を認識する前に、前記トレー10の衝撃センサ20が、基準となる所定量以下の衝撃力を測定した場合、これをサーバ60に保存する。
【0067】
その後、次のトレー10が前記移動経路を移動する場合、制御部50は、次のトレー10の読取機40が第1被認識部材30-1を認識したとき、前記次のトレー10が第2被認識部材30-2を認識する前までコンベヤーベルト5の速度を減らし、さらに前記次のトレー10の読取機40が第2被認識部材30-2を認識したとき、コンベヤーベルト5の速度が元の速度となるようにすることができる。
【0068】
かかる概念を拡張すれば、移送効率を高めるために、トレー10の衝撃センサ20の測定する衝撃力が、前記基準となる所定量の衝撃力、例えば、最大許容衝撃力よりも顕著に低い区間では、制御部50がコンベヤーベルト5の速度を元の速度よりもさらに高める制御を行うこともできる。
【0069】
前記被認識部材によって区分される区間と、前記運搬装置の速度を独立して制御することができる区間とが、実質的に対応するか一致するようにすると、運送効率をさらに高めることができる。
【0070】
例えば、
図3に示したように、第1被認識部材30-1と第2被認識部材30-2との間の区間に、他の区間の運搬装置5-0,5-2,5-3に対して独立して速度制御可能な第1運搬装置5-1を設置し、第2被認識部材30-2と第3被認識部材30-3との間の区間に、他の区間の運搬装置5-0,5-1,5-3に対して独立して速度制御可能な第2運搬装置5-2を設置すると、被認識部材によって区分される区間毎に、独立して運搬装置の速度を制御可能であるため、いずれかの区間の速度調節が他の区間の速度調節に影響を及ぼさなくなる。
【0071】
より具体的に、第1RFIDと第2RFIDとの間に、独立して速度制御可能な第1コンベヤーベルトを設置し、第2RFIDと第3RFIDとの間に、独立して速度制御可能な第2コンベヤーベルトを設置する方式で運搬装置を構成可能である。
【0072】
これら方式では、運搬装置は、所定の区間に固定して設置され、被運送物積載装置がこれら運搬装置によって移動するようになる場合に適用することができる。すなわち、トレー10がコンベヤーベルト5に載せられて移動する場合、トレー10は、自ら移動するものではなく、コンベヤーベルト5によって運搬されるものであるため、上記のような場合に該当すると言える。
【0073】
但し、本発明の技術思想が、必ずしも被認識部材によって区分される区間と、前記運搬装置の速度を独立して制御することができる区間とが、実質的に対応するか一致すべきであるものではない。
【0074】
例えば、
図4に示したように、第1被認識部材30-1と第2被認識部材30-2との間に、第1運搬装置5-1の一部と第2運搬装置5-2の一部が配置されて、第2被認識部材30-2と第3被認識部材30-3との間に、第2運搬装置5-2の一部と第3運搬装置5-3の一部が配置された場合も、本発明を適用可能であることは勿論である。これら配置であっても、制御部50は、トレー10が第1被認識部材30-1を認識したとき、第1運搬装置5-1と第2運搬装置5-2の速度を高めることができ、トレー10が第2被認識部材30-2を認識したとき、第2運搬装置5-2と第3運搬装置5-3の速度を元の速度に制御することが可能である。
【0075】
被運送物積載装置に運搬装置が設置された場合も、本発明を適用可能である。例えば、トレー10にモータとホイールが設置されて、トレー10が自ら移動できるバッテリ移動用運送装置であっても、上記のような制御は、そのまま行うことができる。すなわち、トレー10が第1被認識部材30-1を認識したとき、制御部50は、トレー10のモータを制御して、トレー10の移動速度を減らし、トレー10が第2被認識部材30-2を認識したとき、制御部50は、トレー10のモータを制御して、トレー10の移動速度を元の速度に復帰するように制御することができるものである。
【0076】
図5は、本発明の一実施形態による第1移動経路(L1)に衝撃区間82が位置することを示した図であり、
図6は、本発明の一実施形態による第2移動経路(L2)に衝撃区間82が位置することを示した図である。
【0077】
図2~
図6に示したように、制御部50は、サーバ60に保存された加重算出平均86と識別番号84に基づいて、移動区間80をハザード・マップ70(Hazard map)に示す。また、制御部50は、ハザード・マップ70に示された衝撃量情報に基づいて、トレー10の移動速度を調節する。
【0078】
制御部50は、トレー10が移動される作業空間を複数の区画に分けて、各移動区間80毎に識別番号84を付与する。そして、識別番号84にひも付けて、加重算出平均86を入力する。
【0079】
制御部50は、トレー10に伝達される衝撃量を0~1000の間の値として算出して、直前に測定された衝撃量に加重値をかけて計算した加重算出平均86をサーバ60に保存する。
【0080】
例えば、識別番号84を「Tag9」と入力した移動区間80の加重算出平均86が「536」である場合、制御部50は、「Tag9」と「536」をひも付けて、サーバ60に入力する。
【0081】
【0082】
数式1は、加重算出平均86である衝撃量Iを求める式であって、αは、加重値である。Nは、総衝撃量測定回数から1を引いた数であり、tは、衝撃量測定回数である。
【0083】
Itは、最後に測定した衝撃量であり、加重値αは、0.7よりも大きいか同様であり、1よりも小さいか同様である。
【0084】
上記のような数式1によって計算された加重算出平均86である衝撃量Iは、衝撃量が累積するため、いずれかの瞬間に測定された衝撃量が変に外れても、これら衝撃量値がすぐに反映されずに累積してゆく。
【0085】
前記外れた衝撃量値がセンサなどの誤りによるものであれば、その次から測定される衝撃量は、元の水準に戻るため、上記のように外れたデータ値は、薄められ、これによって、制御にほとんど又は何ら影響を及ぼさない。
【0086】
他方、前記外れた衝撃量が設備の変更や破損などによる実際のものであれば、外れた衝撃量値は、継続して累積してゆき、反映されて、制御に影響を及ぼすようになる。
【0087】
このとき、上記のような数式1によって計算された加重算出平均86である衝撃量Iは、直前衝撃量に大きな加重値をかけるようになるため、変化する作業環境により早くかつ迅速に適応することができる。
【0088】
一方、トレー10が第1移動経路(L1)に移動することができ、必要によっては、第1移動経路(L1)と異なる第2移動経路(L2)に移動することもできる。トレー10の移動経路を変更しても、トレー10が特定の移動区間80に受ける衝撃は、同様であるか類似すると言える。
【0089】
トレー10の移動経路を変更する場合、第1移動経路(L1)の衝撃区間82と第2移動経路(L2)の衝撃区間82とは、互いに相違し得る。
【0090】
したがって、制御部50は、トレー10の移動経路を変更しても、各移動区間80に保存された加重算出平均86と衝撃区間82などを参照して、トレー10の移動速度を決定する。
【0091】
図1~
図6に示したように、制御部50は、トレー10が被認識部材30を通りながら測定された衝撃量情報を全空間に対してデータベース化した後、サーバ60に保存する。
【0092】
そして、制御部50は、衝撃量の多いリスク地点にトレー10が移動するとき、減速アルゴリズムを適用して、トレー10の移動速度を調節することができる。
【0093】
制御部50は、衝撃量を0から1000の値内で表現する。そして、サーバ60に衝撃量を保存するとき、直前衝撃量に大きな加重値をかけて、加重算出平均86を保存するため、最新データに大きな比重を与えることができる。
【0094】
【0095】
数式2におけるVtは、トレー10が変更する速度であり、Vt-1は、トレー10の現在速度であり、γは、衝撃量加重パラメータである。そして、Iは、移動区間80の当該区域衝撃量である。
【0096】
例えば、トレー10がTag15からTag9に移動するとき、トレー10の現在速度が0.5m/sである場合、Vt値は、0.38m/sと計算される。
【0097】
したがって、トレー10は、0.5m/sよりも24%減速した0.38m/s速度で減速運行を行うことができる。
【0098】
一方、制御部50は、サーバ60に保存された値を基に算出した値に基づいて、ハザード・マップ70を作ることができる。ハザード・マップ70には、移動区間80の各区域に固有識別番号84が付与され、各識別番号84毎に衝撃量の平均である加重算出平均86が記録される。
【0099】
したがって、制御部50は、トレー10の次の移動地点に該当する移動区間80の加重算出平均86に基づいて、トレー10の移動速度を調節することができる。
【0100】
トレー10の移動速度の調節は、コンベヤーベルト5の作動速度を調節して行うことができる。制御部50がコンベヤーベルト5に備えられたモータの回転速度を制御することで、トレー10の移動速度が調節される。
【0101】
制御部50は、トレー10が移動される経路に沿って複数の移動区間80における区域を形成し、複数の移動区間80のうち加重算出平均86が設定値以上である区間を衝撃区間82と設定することができる。
【0102】
例えば、加重算出平均86の値が300以上である場合を衝撃区間82と設定すると、
図5におけるTag9の移動区間80を衝撃区間82と設定することになる。したがって、制御部50は、衝撃区間82を移動するトレー10の速度を低減させて、トレー10に伝達される衝撃を低減させることができる。
【0103】
本発明によれば、加重算出平均86によって最近の測定値が主に反映されるようにして、衝撃量が累積するため、時間が経つにつれて、運搬装置などが老朽化し、また、メンテナンスによって運搬装置がリニューアルされることにより発生する衝撃量の変化に柔軟に対応することができる。
【0104】
例えば、
図5のハザード・マップ70の作成時期から時間が経つにつれて、Tag5の移動区間で発生する衝撃量が大きくなった結果は、
図6に示したように、アップデートされていると、加重算出平均86の値が300以上であるTag9とTag5の移動区間80は、衝撃区間82と設定される。本発明によれば、このように、バッテリ移動用運送装置1の現在状況に適した制御が可能である。
【0105】
一方、本発明の一実施形態による衝撃センサ20と読取機40は、それぞれ1つずつ設けたことを例に挙げて説明したが、これは例示に過ぎないし、2つ以上の複数で衝撃センサ20と読取機40が設置されても、本発明の目的を十分達成することができることは勿論である。
【0106】
また、示してはいないものの、サーバ60が制御部50とともに一体に設置され得ることは勿論であり、サーバ60の設置位置及びその数も様々な具現が可能である。
【0107】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置1の制御方法を詳説する。
【0108】
図7は、本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置1の制御方法を示した手順図である。
【0109】
図7に示したように、本発明の一実施形態によるバッテリ移動用運送装置1の制御方法は、制御部50が、トレー10の移動経路を複数の移動区間80に区画する区画ステップ(S10)を有する。
【0110】
制御部50は、トレー10が移動される空間を複数の移動区間80に区画して、各移動区間80には被認識部材30が設置される。
【0111】
そして、トレー10に設置された読取機40によって移動区間80に設置された被認識部材30を測定して、トレー10に設置された衝撃センサ20を介してトレー10に伝達される衝撃量を感知する測定ステップ(S20)を有する。
【0112】
コンベヤーベルト5に沿って移動されるトレー10に衝撃センサ20と読取機40が設置されるため、衝撃センサ20は、トレー10に伝達される衝撃を測定して、制御部50に伝達する。
【0113】
読取機40は、被認識部材30を測定して、トレー10が、どの移動区間80を経ているかを制御部50に伝達する。
【0114】
そして、制御部50が、衝撃センサ20と読取機40の測定値を伝達されて、サーバ60に保存する保存ステップ(S30)を有する。
【0115】
制御部50は、読取機40と衝撃センサ20の測定値を各移動区間80別に区分して、サーバ60に保存する。
【0116】
そして、制御部50は、保存ステップにおいて保存された測定値に基づいて、トレー10の移動速度を調節する調節ステップ(S40)を有する。
【0117】
制御部50は、数式2を用いてトレー10の移動速度を計算した後、コンベヤーベルト5の移動速度を調節する。したがって、衝撃区間82におけるトレー10の移動速度が低減するため、トレー10に伝達される衝撃を減少させることができる。
【0118】
制御部50は、バッテリ100の不良に影響を与える衝撃を予測して、トレー10の移動速度を管理することができる。
【0119】
上述したように、本発明によれば、制御部50が、衝撃量の多い区域におけるトレー10の移動速度を減速させるため、トレー10に載せられたバッテリ100の損傷を最小化して、バッテリ100の不良率を減少させることができる。
【0120】
また、トレー10に伝達された直前衝撃量に加重値をかけて、加重算出平均86を計算するため、トレー10に伝達される衝撃量及びバッテリ100の不良率を減少させることができる。
【0121】
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書で開示の実施形態と図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって様々な変形が行われることは明らかである。なお、本発明の実施形態を前述しつつ、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、当該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。
【符号の説明】
【0122】
1 バッテリ移動用運送装置
5 コンベヤーベルト
10 トレー
20 衝撃センサ
30 被認識部材
40 読取機
50 制御部
60 サーバ
70 ハザード・マップ
80 移動区間
82 衝撃区間
84 識別番号
86 加重算出平均
100 バッテリ
L1 第1移動経路
L2 第2移動経路
S10 区画ステップ
S20 測定ステップ
S30 保存ステップ
S40 調節ステップ
【国際調査報告】