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特表2024-540422バッテリーパック及びこれを含む自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】バッテリーパック及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241024BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/204 401F
H01M50/30
H01M50/293
H01M50/588
H01M50/591 101
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527226
(86)(22)【出願日】2023-07-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2023010226
(87)【国際公開番号】W WO2024019459
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089571
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089759
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0055793
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-フン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ス-ユル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ-ミ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012BB08
5H012CC09
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT04
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC05
5H040CC13
5H040CC35
5H040JJ03
5H040JJ06
5H040NN03
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA08
5H043GA23
5H043GA24
5H043HA22
(57)【要約】
本発明のバッテリーパックは、複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、前記パックケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも互いに隣り合う第1のバッテリーセル及び第2のバッテリーセルの外部を少なくとも部分的に包み込むように構成されたセルカバーと、を含み、前記セルカバーは、仕切りカバー部と、第1の側面カバー部と、第2の側面カバー部と、上カバー部と、下カバー部と、を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパウチ型バッテリーセルと、
内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、
前記パックケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも互いに隣り合う第1のパウチ型バッテリーセル及び第2のパウチ型バッテリーセルの外部を少なくとも部分的に包み込むように構成されたセルカバーと、
を含み、
前記セルカバーは、
前記第1のパウチ型バッテリーセルと前記第2のパウチ型バッテリーセルとの間を仕切るために前記第1のパウチ型バッテリーセルの一方の側面と前記第2のパウチ型バッテリーセルの一方の側面との間に配置された仕切りカバー部と、
前記第1のパウチ型バッテリーセルの他方の側面を覆うように前記仕切りカバー部と対面する第1の側面カバー部と、
前記第2のパウチ型バッテリーセルの他方の側面を覆うように前記仕切りカバー部と対面する第2の側面カバー部と、
前記第1のパウチ型バッテリーセルの上部側を包み込むように前記仕切りカバー部の上端において前記第1の側面カバー部の上端と接続された上カバー部と、
前記第2のパウチ型バッテリーセルの下部側を包み込むように前記仕切りカバー部の下端において前記第2の側面カバー部の下端と接続された下カバー部と、
を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記第1のパウチ型バッテリーセルは、
起立状態で前記第1の側面カバー部と前記仕切りカバー部との間に配置されており、
前記第2のパウチ型バッテリーセルは、
起立状態で前記第2の側面カバー部と前記仕切りカバー部との間に配置されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記セルカバーは、
前記第1のパウチ型バッテリーセルの下部が前記パックケースの内側面に向かって露出された下開放部と、
前記第2のパウチ型バッテリーセルの上部が前記パックケースの内側面に向かって露出された上開放部と、
を形成するように構成されている、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記上カバー部は、
前記第1のパウチ型バッテリーセルから離れるように構成されており、熱的事象が生じたときに前記第1のパウチ型バッテリーセルから噴出されるパーティクルを捕集するように構成された第1のパーティクルポケット部を備え、
前記下カバー部は、
前記第2のパウチ型バッテリーセルから離れるように構成されており、熱的事象が生じたときに前記第2のパウチ型バッテリーセルから噴出されるパーティクルを捕集するように構成された第2のパーティクルポケット部と、
を備える、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記上カバー部は、
両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方の上部に向かって突出しており、前記両側のサイド部が接続された中心部が下部に向かって凹状に形成されており、
前記下カバー部は、
両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方の下部に向かって突出しており、前記両側のサイド部が接続された中心部が上部に向かって凹状に形成されている、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記上カバー部は、
前記中心部から上部に向かって突出した前記両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方まで漸進的に突出しており、
前記下カバー部は、
前記中心部から下部に向かって突出した前記両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方まで漸進的に突出している、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記パックケースは、
前記第1のパウチ型バッテリーセルにおいて生じたガスが前記下開放部を介して外部に排出できるように前記下開放部と対応する位置のうちの少なくとも一部に設けられた下ベント部と、
前記第2のパウチ型バッテリーセルにおいて生じたガスが前記上開放部を介して外部に排出できるように前記上開放部と対応する位置のうちの少なくとも一部に設けられた上ベント部と、
を備える、請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記セルカバーは、
前記パックケースに差し込まれるように前記第1の側面カバー部及び前記第2の側面カバー部のうちの少なくともどちらか一方から前記パックケースの内側面に向かって突出した挿入ピンを備え、
前記パックケースは、
内側面に前記挿入ピンを収容できるように構成された挿入ピン収容部を備える、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記挿入ピン及び前記挿入ピン収容部は、
前記上ベント部及び前記下ベント部のうちの少なくともどちらか一方に隣接するように位置している、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記挿入ピンは、
前記パックケースに差し込まれる挿入部と、
前記挿入部が前記第1の側面カバー部及び前記第2の側面カバー部のうちの少なくともどちらか一方と接続される位置に設けられた変形部と、
を備える、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記変形部は、
前記挿入ピンが前記パックケースに差し込まれた状態で前記パックケースの内側面と同じ高さの上に設けられている、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記バッテリーパックは、
前記セルカバーと前記パックケースとの間の空間及び前記複数のパウチ型バッテリーセルと前記パックケースとの間の空間のうちの少なくとも一部の空間に介在するサーマルレジンを含む、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記サーマルレジンは、
前記上ベント部及び前記下ベント部に対応する空間には設けられていない、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記セルカバーは、包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が外部に露出されるように前記パウチ型バッテリーセルを部分的に包み込む形状に形成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記セルカバーは、包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が前記パックケースの内側面に向かって露出されるように構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記セルカバーは、前記パックケースに直接的に載置されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記セルカバーは、内側面に絶縁コーティング層を含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項18】
前記セルカバーは複数で隣り合っており、
互いに隣り合うセルカバーの前記第1の側面カバー部及び前記第2の側面カバー部のうちの少なくともどちらか一方に接着部材を含む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック及びこれを含む自動車に関し、より詳細には、安定性などが向上したバッテリーパック及びこれを含む自動車に関する。
【0002】
本出願は、2022年7月20日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0089571号、2022年7月20日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0089759号及び2023年4月27日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0055793号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
各種のモバイル機器と電気自動車、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System;ESS)などに対する技術の開発と需要の増加には目を見張るものがあり、これに伴い、エネルギー源としての二次電池への関心とニーズが急激に伸びている。
【0004】
従来、二次電池としてニッケルカドミウム電池またはニッケル水素イオン電池が多用されていたが、最近には、ニッケル系のバッテリに比べてメモリ効果が殆ど起きないため充電及び放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いリチウム二次電池が多用されている。
【0005】
この種のリチウム二次電池は、主として、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質及び負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と一緒に封入する外装材、例えば、電池ケースと、を備える。
【0006】
一般に、二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に分類され得る。
【0007】
最近には、電気自動車やエネルギー貯蔵システムなどの中大型装置に駆動用やエネルギー貯蔵用としてバッテリーパックが広く用いられている。
【0008】
従来のバッテリーパックは、パックケースの内部に1つ以上のバッテリーモジュールとバッテリーパックの充放電を制御する制御ユニットを含む。ここで、バッテリーモジュールは、モジュールケースの内部に複数のバッテリーセルを含む形態に構成される。すなわち、従来のバッテリーパックの場合、複数のバッテリーセル(二次電池)がモジュールケースの内部に収容されてそれぞれのバッテリーモジュールを構成し、このようなバッテリーモジュールが1つ以上パックケースの内部に収容されてバッテリーパックを構成する。特に、パウチ型電池の場合、軽量であり、積層時にデッドスペース(dead space)が小さいといったように、色々な側面からみて長所を有しているものの、外部の衝撃に弱く、組立性にやや劣っているという問題がある。したがって、まず、複数のバッテリーセルを先にモジュール化させた後、パックケースの内部に収容される形態にバッテリーパックが製造されるのが普通である。
【0009】
しかしながら、従来のバッテリーパックの場合、モジュール化などによってエネルギー密度と組立性、冷却性などの側面からみて不利になる可能性がある。特に、パウチ型バッテリーセルの場合、スウェリングが生じる恐れがあるが、従来のバッテリーパックは、このようなスウェリングの状況に適切に対応し難いという問題がある。
【0010】
また、従来のバッテリーパックの場合、モジュール化などによってエネルギー密度と組立性、冷却性などの側面からみて不利になる可能性がある。
【0011】
さらに、従来のバッテリーモジュールやバッテリーパックの場合、熱的事象に脆弱である可能性がある。特に、バッテリーモジュールやバッテリーパックの内部において熱的事象が生じた場合、熱暴走が起きてしまう結果、火炎が生じ、酷い場合には爆発が起こることが懸念されるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述したような問題を解決するために創作されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、スウェリングへの対応性能など色々な側面からみて優れたバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することである。
【0013】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、熱的事象が生じたときに優れた安全性を確保することのできるバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することである。
【0014】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するための本発明の一態様によるバッテリーパックは、複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、前記パックケースの内部空間において前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも互いに隣り合う第1のパウチ型バッテリーセル及び第2のパウチ型バッテリーセルの外部を少なくとも部分的に包み込むように構成されたセルカバーと、を含み、前記セルカバーは、前記第1のパウチ型バッテリーセルと前記第2のパウチ型バッテリーセルとの間を仕切るために前記第1のパウチ型バッテリーセルの一方の側面と前記第2のパウチ型バッテリーセルの一方の側面との間に配置された仕切りカバー部と、前記第1のパウチ型バッテリーセルの他方の側面を覆うように前記仕切りカバー部と対面する第1の側面カバー部と、前記第2のパウチ型バッテリーセルの他方の側面を覆うように前記仕切りカバー部と対面する第2の側面カバー部と、前記第1のバッテリーセルの上部側を包み込むように前記仕切りカバー部の上端において前記第1の側面カバー部の上端と接続された上カバー部と、前記第2のバッテリーセルの下部側を包み込むように前記仕切りカバー部の下端において前記第2の側面カバー部の下端と接続された下カバー部と、を含む。
【0016】
前記第1のパウチ型バッテリーセルは、起立状態で前記第1の側面カバー部と前記仕切りカバー部との間に配置され得る。
【0017】
前記第2のパウチ型バッテリーセルは、起立状態で前記第2の側面カバー部と前記仕切りカバー部との間に配置され得る。
【0018】
前記セルカバーは、前記第1のパウチ型バッテリーセルの下部が前記パックケースの内側面に向かって露出された下開放部と、前記第2のパウチ型バッテリーセルの上部が前記パックケースの内側面に向かって露出された上開放部と、を形成するように構成され得る。
【0019】
前記上カバー部は、前記第1のパウチ型バッテリーセルから離れるように構成され、熱的事象が生じたときに前記第1のパウチ型バッテリーセルから噴出されるパーティクルを捕集するように構成された第1のパーティクルポケット部を備え得る。
【0020】
前記下カバー部は、前記第2のパウチ型バッテリーセルから離れるように構成され、熱的事象が生じたときに前記第2のパウチ型バッテリーセルから噴出されるパーティクルを捕集するように構成された第2のパーティクルポケット部を備え得る。
【0021】
前記上カバー部は、両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方の上部に向かって突出し、前記両側のサイド部が接続された中心部が下部に向かって凹状に形成され得る。
【0022】
前記下カバー部は、両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方の下部に向かって突出し、前記両側のサイド部が接続された中心部が上部に向かって凹状に形成され得る。
【0023】
前記上カバー部は、前記中心部から上部に向かって突出した前記両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方まで漸進的に突出し得る。
【0024】
前記下カバー部は、前記中心部から下部に向かって突出した前記両側のサイド部のうちの少なくともどちらか一方まで漸進的に突出し得る。
【0025】
前記パックケースは、前記第1のパウチ型バッテリーセルにおいて生じたガスが前記下開放部を介して外部に排出できるように前記下開放部と対応する位置のうちの少なくとも一部に設けられた下ベント部と、前記第2のパウチ型バッテリーセルにおいて生じたガスが前記上開放部を介して外部に排出できるように前記上開放部と対応する位置のうちの少なくとも一部に設けられた上ベント部と、を備え得る。
【0026】
前記セルカバーは、前記パックケースに差し込まれるように前記第1の側面カバー部及び前記第2の側面カバー部のうちの少なくともどちらか一方から前記パックケースの内側面に向かって突出した挿入ピンを備え得る。
【0027】
前記パックケースは、内側面に前記挿入ピンを収容できるように構成された挿入ピン収容部を備え得る。
【0028】
前記挿入ピン及び前記挿入ピン収容部は、前記上ベント部及び前記下ベント部のうちの少なくともどちらか一方に隣接するように位置し得る。
【0029】
前記挿入ピンは、前記パックケースに差し込まれる挿入部と、前記挿入部が前記第1の側面カバー部及び前記第2の側面カバー部のうちの少なくともどちらか一方と接続される位置に設けられた変形部と、を備え得る。
【0030】
前記変形部は、前記挿入ピンが前記パックケースに差し込まれた状態で前記パックケースの内側面と同じ高さの上に設けられ得る。
【0031】
前記バッテリーパックは、前記セルカバーと前記パックケースとの間の空間及び前記複数のパウチ型バッテリーセルと前記パックケースとの間の空間のうちの少なくとも一部の空間に介在するサーマルレジンを含み得る。
【0032】
前記サーマルレジンは、前記上ベント部及び前記下ベント部に対応する空間には設けられなくてもよい。
【0033】
前記セルカバーは、包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が外部に露出されるように前記パウチ型バッテリーセルを部分的に包み込む形状に形成され得る。
【0034】
前記セルカバーは、包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が前記パックケースの内側面に向かって露出されるように構成され得る。
【0035】
前記セルカバーは、前記パックケースに直接的に載置され得る。
【0036】
前記セルカバーは、内側面に絶縁コーティング層を含み得る。
【0037】
前記セルカバーは複数で隣り合っており、互いに隣り合うセルカバーの前記第1の側面カバー部及び第2の側面カバー部のうちの少なくともどちらか一方に接着部材を含み得る。
【0038】
本発明による自動車は、本発明によるバッテリーパックを含み得る。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一態様によれば、プラスチックカートリッジのような積層用のフレームや別途のモジュールケースなどの構成要素を使用することなく、複数のパウチ型バッテリーセルをパックケースの内部に安定的に収容することができる。特に、2つ以上のパウチ型バッテリーセルをセルカバーにより包み込んで安定的に保護することができる。
【0040】
本発明の他の態様によれば、パウチ型バッテリーセルにおいて生じるガスを所望の方向に誘導して排出することができる。
【0041】
本発明のさらに他の態様によれば、パウチ型バッテリーセルに熱的事象が生じるとき、バッテリーセルから噴出される高温の粉塵、パーティクルなどがパーティクルポケット部に捕集されることが可能になる。したがって、パウチ型バッテリーセルから噴出され得る高温の粉塵、パーティクルなどをパーティクルポケット部にトラップ(trap)してセルカバーの外に抜け出難くして火炎の伝播を遮断する上で有効である。高温の粉塵、パーティクルなどは、火災の3要素(可燃物質、点火源、酸素)のうちの点火源として働くため、これらがセルカバーの外部において可燃物質と遭遇すれば、着火が起きて火炎がパックケースの内部に急速に広がる恐れがあるからである。
【0042】
本発明のさらに他の態様によれば、セルカバーとサーマルレジンとの接触面積が増大されて冷却効果が向上する。
【0043】
本発明のさらに他の態様によれば、セルカバーは、パウチ型バッテリーセルのスウェリングを吸収することができ、パウチ型バッテリーセルの任意の部分に過剰な圧力が加えられないことから、バッテリーセルの損傷や破損が防がれることが可能になる。
【0044】
本発明のさらに他の態様によれば、パックケースとセルカバーとの組み立てやすさないし固定性を確保することができる。特に、2つ以上のパウチ型バッテリーセルを包み込みながら、包み込まれたパウチ型バッテリーセルの立てられた状態、すなわち、起立状態を有効に保持するように構成されることが可能になる。
【0045】
本発明のさらに他の態様によれば、スウェリング現象が生じる前にはパックケースとセルカバーとの固定性を確保することができ、これと同時に、スウェリング現象が生じたときには隣り合うベント部にベント領域が広がることができる。したがって、ベント領域が広がることにより、ガスをより一層速やかに排出して熱蓄積を解消することができる。
【0046】
また、本発明によれば、任意のパウチ型バッテリーセルにおいて熱的事象が生じるとしても、バッテリーパックの全体の内部短絡や構造崩壊を防ぐことができる。
【0047】
このように、本発明によれば、スウェリングへの対応性能など色々な側面からみて優れたバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することができる。なお、熱的事象が生じたときに優れた安全性を確保することのできるバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明によるバッテリーパックの外観を示す図である。
図2】本発明によるバッテリーパックの分解斜視図である。
図3】本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットの分解斜視図である。
図4】本発明によるバッテリーパックに含まれるセルカバーの斜視図である。
図5】本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットを正面から眺めた図である。
図6】本発明によるバッテリーパックに含まれ得る他のセルカバーを示す図である。
図7図6のセルカバーを含み、本発明によるバッテリーパックに含まれ得るセルユニットを正面から眺めた図である。
図8】本発明によるバッテリーパックの一部分の断面を概略的に示す図である。
図9】本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットの下端を示す図である。
図10】本発明によるバッテリーパックの一部分の断面を概略的に示す図である。
図11】本発明によるバッテリーパックの一部分の断面を概略的に示す図である。
図12】本発明によるバッテリーパックに熱的事象が生じたときのセルカバーの変形の実施形態とそれに伴うベント領域の拡張を説明するための図である。
図13】本発明によるバッテリーパックに熱的事象が生じたときのセルカバーの変形の実施形態とそれに伴うベント領域の拡張を説明するための図である。
図14】本発明によるバッテリーパックに熱的事象が生じたときのセルカバーの変形の実施形態とそれに伴うベント領域の拡張を説明するための図である。
図15】本発明によるバッテリーパックに熱的事象が生じたときのセルカバーの変形の実施形態とそれに伴うベント領域の拡張を説明するための図である。
図16】本発明によるバッテリーパックの一部分の断面を概略的に示す図である。
図17】本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットの下端を示す図である。
図18】本発明による自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。本明細書に添付される図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。同一の図面符号は、同一の構成要素を指し示す。また、図中、構成要素の厚さ、比率及び寸法は、技術的な内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0051】
本明細書において、上、下、左、右、前、後などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは、本発明の当業者にとって自明である
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0052】
図1は、本発明によるバッテリーパックの外観を示す図である。図2は、本発明によるバッテリーパックの分解斜視図である。図3は、本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットの分解斜視図である。
【0053】
図1図3を参照すると、本発明によるバッテリーパック10は、複数のパウチ型バッテリーセル110、パックケース300及びセルカバー200を含み得る。
【0054】
パウチ型バッテリーセル110は、電極組立体、電解液及びパウチ外装材を含み得る。パウチ型バッテリーセル110は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。複数のパウチ型バッテリーセル110は、少なくとも一方向に積層され得る。例えば、図2に示されたところを参照すると、複数のパウチ型バッテリーセル110は、左右方向(X軸方向)に積層されて配置され得る。さらに、複数のパウチ型バッテリーセル110は、左右方向に配置されるが、前後方向(Y軸方向)に複数の列をなす形状に配置されることもある。例えば、複数のパウチ型バッテリーセル110は、左右方向に積層されて1つのセル束を形成し、このようなセル束が左右方向に2つ配置され、かつ、前後方向にも2つ配置されて、2×2の配列状にパックケース300内に配置されることもある。
【0055】
パックケース300は、内部に空間を形成してパウチ型バッテリーセル110を収容し得る。例えば、パックケース300は、ケース本体310、エンドカバー320及びトップカバー330を備え得る。ケース本体310は、上端、前方及び後方が開かれたボックスの形状に形成されて内部空間に複数のパウチ型バッテリーセル110を収容し得る。エンドカバー320は、ケース本体310の前方の開放部(Y軸の負の方向に位置する開放部)及び後方の開放部(Y軸の正の方向に位置する開放部)を覆う形状に形成され得る。トップカバー330は、ケース本体310の上端の開放部(Z軸の正の方向に位置する開放部)を覆う蓋体の形状に形成され得る。一方、パックケース300は、ここに図示しかつ説明する構造にのみ何ら制限されるものではなく、例えば、上端が開かれたボックスの形状に形成されて内部空間に複数のパウチ型バッテリーセル110を収容可能なボトムフレームと、ボトムフレームの上端の開放部を覆う蓋体の形状に形成されたトップフレームとの組み合わせによっても構成され得る。パックケース300の内部空間には、複数のパウチ型バッテリーセル110と併せて、後述するセルカバー200も一緒に収容され得る。パックケース300は、プラスチック又は金属材質を備え得る。その他にも、パックケース300は、本発明の出願時点における公知の多種多様なパックケースの外装材材質が採用可能である。
【0056】
セルカバー200は、パックケース300の内部空間において複数のパウチ型バッテリーセル110のうちの少なくとも互いに隣り合う第1のバッテリーセル111及び第2のバッテリーセル112の外部を少なくとも部分的に包み込むように構成され得る。
【0057】
図4は、図3に示すセルユニットに含まれるセルカバーの斜視図である。
【0058】
図4をさらに参照すると、セルカバー200は、仕切りカバー部220、第1の側面カバー部210、第2の側面カバー部230、上カバー部240及び下カバー部250を含み得る。
【0059】
仕切りカバー部220は、第1のバッテリーセル111と第2のバッテリーセル112との間を仕切るように構成され得る。仕切りカバー部220は、第1のバッテリーセル111の一方の側面と第2のバッテリーセル112の一方の側面との間に配置され得る。仕切りカバー部220は、第1のバッテリーセル111の右の側面(X軸の正の方向の側面)と第2のバッテリーセル112の左の側面(X軸の負の方向の側面)との間に配置され得る。仕切りカバー部220は、プレート状であり得る。
【0060】
第1の側面カバー部210は、第1のバッテリーセル111の他方の側面を覆うように構成され得る。第1の側面カバー部210は、仕切りカバー部220と対面し得る。第1の側面カバー部210は、仕切りカバー部220が覆う第1のバッテリーセル111の右の側面と対面する第1のバッテリーセル111の左の側面(X軸の負の方向の側面)を覆い得る。第1の側面カバー部210は、プレート状であり得る。
【0061】
第2の側面カバー部230は、第2のバッテリーセル112の他方の側面を覆うように構成され得る。第2の側面カバー部230は、仕切りカバー部220と対面し得る。第2の側面カバー部230は、仕切りカバー部220が覆う第2のバッテリーセル112の左の側面と対面する第2のバッテリーセル112の右の側面(X軸の正の方向の側面)を覆い得る。第2の側面カバー部230は、プレート状であり得る。
【0062】
第1の側面カバー部210、仕切りカバー部220及び第2の側面カバー部230は、互いに並ぶように配置され得る。これにより、第1のバッテリーセル111と第2のバッテリーセル112が起立状態で左右方向に並ぶように積層された構成が安定的に保持されることが可能になる。上カバー部240は、第1のバッテリーセル111の上部側(Z軸の正の方向)を包み込むように構成され得る。上カバー部240は、仕切りカバー部220の上端において第1の側面カバー部210の上端と接続され得る。上カバー部240は、プレート状であり得る。下カバー部250は、第2のバッテリーセル112の下部側(Z軸の負の方向)を包み込むように構成され得る。下カバー部250は、仕切りカバー部220の下端において第2の側面カバー部230の下端と接続され得る。下カバー部250は、プレート状であり得る。
【0063】
第1の側面カバー部210は、上カバー部240の一方の端から下部の向きに延びる形状に形成され得る。例えば、第1の側面カバー部210は、上カバー部240の左側の端部から下部の向きに長尺状に延びた形状に形成され得る。仕切りカバー部220は、第1の側面カバー部210から水平方向に離れるように位置し得る。そして、仕切りカバー部220は、上カバー部240の他方の端から下部の向きに延びる形状に形成され得る。例えば、仕切りカバー部220は、上カバー部240の右側の端部から下部の向きに長尺状に延びた形状に形成され得る。第1の側面カバー部210と仕切りカバー部220は、内部に収容された第1のバッテリーセル111の広い面を包み込むように構成され得る。このとき、第1の側面カバー部210と仕切りカバー部220は、上カバー部240から曲げられた形状に形成され得る。
【0064】
仕切りカバー部220は、下カバー部250の一方の端から上部の向きに延びる形状に形成され得る。例えば、仕切りカバー部220は、下カバー部250の左側の端部から上部の向きに長尺状に延びた形状に形成され得る。第2の側面カバー部230は、仕切りカバー部220から水平方向に離れるように位置し得る。そして、第2の側面カバー部230は、下カバー部250の他方の端から上部の向きに延びる形状に形成され得る。例えば、第2の側面カバー部230は、下カバー部250の右側の端部から上部の向きに長尺状に延びた形状に形成され得る。仕切りカバー部220と第2の側面カバー部230は、内部に収容された第2のバッテリーセル112の広い面を包み込むように構成され得る。このとき、仕切りカバー部220と第2の側面カバー部230は、下カバー部250から曲げられた形状に形成され得る。
【0065】
上記の実施構成において、第1の側面カバー部210、仕切りカバー部220、第2の側面カバー部230、上カバー部240及び下カバー部250により内部空間が限定され得る。そして、セルカバー200は、このようにして限定された内部空間に2つ以上のパウチ型バッテリーセル110を収容し得る。
【0066】
仕切りカバー部220、第1の側面カバー部210、第2の側面カバー部230、上カバー部240及び下カバー部250のうちの少なくとも一部は、互いに一体化した形状に形成され得る。仕切りカバー部220、第1の側面カバー部210、第2の側面カバー部230、上カバー部240及び下カバー部250は、1枚のプレートが折り曲げられて形成され得る。このように、セルカバー200を形成するために1枚のプレートに折り曲げ部を形成する構成は、プレス(Press)又はロールフォーミング(roll forming)などといったように、多種多様な方式により実現され得る。本発明のこのような実施構成によれば、セルカバー200の製造がより一層簡単になる。あるいは、仕切りカバー部220、第1の側面カバー部210、第2の側面カバー部230、上カバー部240及び下カバー部250は、それぞれ別々に製造された後、接着、嵌め合い、溶接やボルト締めなどを用いて互いに結合されることも可能である。セルカバー200は、互いに隣り合う第1のバッテリーセル111及び第2のバッテリーセル112のみならず、さらに他のパウチ型バッテリーセル110を一緒に包み込むように構成され得る。例えば、複数のパウチ型バッテリーセル110が上下方向(Z軸方向)に起立されて左右方向に積層されて配置された場合、セルカバー200は、第1の側面カバー部210と仕切りカバー部220との間に第1のバッテリーセル111及び第1のバッテリーセル111と隣り合い、第2のバッテリーセル112と離れて位置するバッテリーセルを一緒に包み込むように構成され得る。すなわち、第1の側面カバー部210と仕切りカバー部220との間に包み込まれるパウチ型バッテリーセル110の数は、2つ以上であり得る。同様に、第2の側面カバー部230と仕切りカバー部220との間に第2のバッテリーセル112及び第2のバッテリーセル112と隣り合い、第1のバッテリーセル111と離れて位置するバッテリーセルを一緒に包み込むように構成され得る。すなわち、第2の側面カバー部230と仕切りカバー部220との間に包み込まれるパウチ型バッテリーセル110の数もまた、2つ以上であり得る。但し、セルカバー200が包み込む全体のバッテリーセルの数は、いくらでも異なってくる可能性がある。また、セルカバー200の仕切りカバー部220を基準として左側と右側が覆うバッテリーセルの数が必ず同数であるとは限らない。セルカバー200により包み込まれるパウチ型バッテリーセル110の数を変更する構成が容易に実現可能である。特に、セルカバー200の幅、上カバー部240及び下カバー部250の幅を変更することにより、セルカバー200により収容される単位バッテリーセルの数を手軽に変更することができる。したがって、この場合、1つのセルカバー200による容量や出力に対する変更が手軽に行われることが可能になる。
【0067】
セルカバー200は、バッテリーパック10に含まれている複数のパウチ型バッテリーセル110をグループ分けしてユニット化させるように構成され得る。1つのセルカバー200は、1つのセルユニット100を構成し得る。例えば、図3には、1つのセルユニット100が示されており、図2には、複数のセルユニット100が示されている。セルカバー200は、第1のバッテリーセル111の少なくとも3面を取り囲み、第2のバッテリーセル112の少なくとも3面を取り囲みながら、各セルユニット100に対してバスバーアセンブリ400を各セルカバー200により包み込まれていない側面に位置させる構成が手軽に実現可能である。
【0068】
バッテリーパック10には、複数のセルユニット100が含まれ得、この場合、セルカバー200は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。セルカバー200が2つ以上のパウチ型バッテリーセル110を包み込む形状に形成されるので、バッテリーパック10には、パウチ型バッテリーセル110の数よりも少ない数のセルカバー200が含まれ得る。セルユニット100内のパウチ型バッテリーセル110は、バスバーアセンブリ400などを介して直列に及び/又は並列に電気的に接続され得る。
【0069】
セルユニット100は、セルバンクとも呼ばれ得る。本発明によれば、セルカバー200がセルバンク同士を仕切り分離する形態であるため、セルバンクごとに熱暴走及び爆発を防ぐことができる。
【0070】
一方、ここで例として挙げるセルカバー200は、前方側から眺めた断面の形状が概ね「Z」字状と略同じであるといえる。したがって、この場合、セルカバー200は、「Zフィン(Z-fin)」とも称され得る。Zフィンを構成するに当たって、例えば、前方側から眺めた断面の形状が概ね「n」字状であるフィンと概ね「U」字状であるフィンとを組み合わせる場合も考えられるが、本発明において提案するように、第1の側面カバー部210、仕切りカバー部220及び第2の側面カバー部230を含むようにしてZフィンを構成すれば、「n」字状であるフィンと「U」字状であるフィンの両方のフィンが組み合わされる部分を1つの仕切りカバー部220として構成して薄肉状にすることができるので、バッテリーパック10にセルカバー200が占める厚さの比重を仕切りカバー部220の厚さ×セルバンクの数に見合う分だけ減らすことができる。
【0071】
セルカバー200は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。この場合、セルカバー200の間には接着部材が介在し得る。例えば、2つのセルカバー200が互いに対面し合うことになる部分である第1の側面カバー部210及び/又は第2の側面カバー部230には接着部材が介在して、これら同士を接着固定し得る。このような接着構成を用いて、複数のセルカバー200の間の接続構成をより一層強固にすることができる。前記接着部材は、金属材質からなり得るセルカバー200の間の絶縁を達成できるように絶縁性のものであり得る。また、前記接着部材は、熱伝導性のものであり得る。このような接着を用いて、セルカバー200は、バッテリーセル110に強固に結合され、バッテリーセル110から発せられる熱をバッテリーセル110の外部に排出するのに役立つことができる。
【0072】
のみならず、隣り合うセルカバー200の間には、サーマルバリアー(図示せず)をさらに含み得る。サーマルバリアーは、断熱材質や火炎抑制材質のパッドの形状に形成され得、好ましくは、圧縮可能な材質から作製され得る。好ましくは、サーマルバリアーは、隣り合うセルカバー200の間にセルカバー200と密着されるように構成され得る。これにより、サーマルバリアーは、パウチ型バッテリーセル110において引き起こされ得るスウェリング現象を抑えるように構成され得る。また、サーマルバリアーは、熱暴走に伴う火炎の広がりを遅らせ、熱伝播遮断をするとともに、パウチ型バッテリーセル110において引き起こされ得るスウェリング現象を抑えることができるので、バッテリーパック10の構造的な安定性をさらに確保することができる。
【0073】
セルカバー200は、内側面に絶縁コーティング層を含み得る。前記絶縁コーティング層は、シリコン樹脂、ポリアミド(Polyamide)及びゴムのうちのいずれか1種の絶縁性素材をコーティング、塗布又は貼着したものであり得る。前記絶縁コーティング層は、最小限のコーティング量にて絶縁コーティング効果を極大化させることができる。また、前記絶縁コーティング層がセルカバー200の内側面に適用されていることから、パウチ型バッテリーセル110とセルカバー200との絶縁性が強化されることが可能になる。
【0074】
セルカバー200は、剛性の確保のために、多種多様な材質から作製され得る。特に、セルカバー200は、金属材質から作製され得る。このような金属材質の場合、パウチ型バッテリーセル110の積層状態をより一層安定的に保持し、外部の衝撃からパウチ型バッテリーセル110をより一層安全に保護することができる。セルカバー200は、SUS材質を備え得る。例えば、セルカバー200は、全体的にSUS材質からなり得る。
【0075】
このように、セルカバー200がスチール材質からなる場合、機械的強度ないし剛性に優れているので、パウチ型バッテリーセル110の積層状態をより一層安定的に支持することができる。また、この場合、外部の衝撃、たとえば、針状体などからパウチ型バッテリーセル110の損傷や破損をより一層有効に防ぐことができる。のみならず、この場合、パウチ型バッテリーセル110の取り扱いをより一層行い易くなる。また、高い溶融点によって、バッテリーセルから火炎が生じたときに全体的な構造が安定的に保持されることが可能になる。アルミニウム材質に比べて融点が高いので、バッテリーセルから噴出された火炎にも溶融されず、その形状が安定的に保持されることが可能になる。したがって、バッテリーセルの間の火炎の伝播の防止ないし遅延の効果、ベント制御の効果などが良好に確保されることが可能になる。
【0076】
また、バッテリーセル110をセルカバー200により包み込むことにより、バッテリーセル110を手軽に強固な形状にして、パックケース300の内部において直接的に積層されるという構成がより一層容易に実現されることが可能になる。したがって、バッテリーパック10の組立性と機械的な安定性などが向上する。
【0077】
本発明のこのような構成によれば、プラスチックカートリッジのような積層用のフレームや別途のモジュールケースなどの構成要素なしでも、複数のパウチ型バッテリーセル110をパックケース300の内部に安定的に収容することができる。特に、2つ以上のパウチ型バッテリーセル110をセルカバー200により包み込んで安定的に保護することができる。
【0078】
さらに、本発明の場合、さらに、本発明の場合、パウチ型バッテリーセル110を用いたCTP(Cell To Pack)タイプのバッテリーパックがより一層効率よく実現されることが可能になる。すなわち、別途のモジュールケースの内部にパウチ型バッテリーセル110を収容し、このようなモジュールケースをパックケース300の内部に収容するわけではなく、パウチ型バッテリーセル110を直接的にパックケース300の内部に収容する形態にバッテリーパック10が設けられ得る。このとき、パウチ型バッテリーセル110の少なくとも一側が、セルカバー200の外部に露出されて、パックケース300と直接的に対面するように配置され得る。
【0079】
したがって、本発明のこのような態様によれば、バッテリーパック10にモジュールケースや積層用のフレーム、セルの積層状態を保持するためのボルトなどの締結部材などがさらに設けられる必要がない。したがって、モジュールケースや積層用のフレームなど他の構成要素が占める空間やそれによる公差の確保のための空間が除去されることが可能になる。そのため、他の構成要素が除去された空間に見合う分だけバッテリーセルがさらに空間を占めることができるので、バッテリーパック10のエネルギー密度がより一層向上する。
【0080】
また、本発明のこのような態様によれば、モジュールケースや積層用のフレーム、ボルトなどが設けられないことから、バッテリーパック10の体積や重量が減少し、製造工程が簡素化されることが可能になる。
【0081】
また、本発明のこのような態様によれば、バッテリーセル110の取り扱いをより一層行い易くなる。例えば、複数のバッテリーセル110をパックケース300の内部に収容する場合、治具などによりバッテリーセル110を把持し得る。このとき、治具は、バッテリーセル110を直接的に把持することなく、バッテリーセル110を包み込んでいるセルカバー200を把持し得る。したがって、治具によるバッテリーセル110の損傷や破損が防がれることが可能になる。
【0082】
図5は、本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットを正面から眺めた図である。
【0083】
図4及び図5を参照すると、セルカバー200は、下開放部O1及び上開放部O2を形成し得る。
【0084】
下開放部O1は、第1のバッテリーセル111の下部がパックケース300の内側面に向かって露出されるように構成され得る。下開放部O1は、上カバー部240の反対側に位置し得る。
【0085】
上開放部O2は、第2のバッテリーセル112の上部がパックケース300内側面に向かって露出されるように構成され得る。上開放部O3は、下カバー部250の反対側に位置し得る。
【0086】
本発明のこのような構成によれば、第1のバッテリーセル111において生じるガスは、下開放部O1を介して第1のバッテリーセル111の下方(Z軸の負の方向)に、かつ、第2のバッテリーセル112において生じるガスは上開放部O2を介して第2のバッテリーセル112の上方(Z軸の正の方向)に排出することができる。したがって、バッテリーセル110において生じるガスを所望の方向に誘導して排出することができる。
【0087】
引き続けて、図4及び図5を参照すると、上カバー部240は、第1のパーティクルポケット部P1を備え得る。下カバー部250は、第2のパーティクルポケット部P2を備え得る。
【0088】
第1のパーティクルポケット部P1は、第1のバッテリーセル111から離れるように構成され得る。第1のパーティクルポケット部P1は、熱的事象が生じたときに第1のバッテリーセル111から噴出されるパーティクルを捕集するように構成され得る。上カバー部240と第1のバッテリーセル111の上部との間には、第1のパーティクルポケット部P1により限定される一定の空間が設けられ得る。
【0089】
第2のパーティクルポケット部P2は、第2のバッテリーセル112から離れるように構成され得る。第2のパーティクルポケット部P2は、熱的事象が生じたときに第2のバッテリーセル112から噴出されるパーティクルを捕集するように構成され得る。下カバー部250と第2のバッテリーセル112の下部との間には、第2のパーティクルポケット部P2により限定される一定の空間が設けられ得る。
【0090】
本発明のこのような構成によれば、パウチ型バッテリーセル110に熱的事象が生じるとき、バッテリーセル110から噴出される高温の粉塵、パーティクルなどがパーティクルポケット部P1、P2に捕集されることが可能になる。パーティクルポケット部P1、P2に一回閉じ込まれた高温の粉塵、パーティクルなどは、当該空間から抜け出難くなる。また、パーティクルポケット部P1、P2に滞っている間に冷却が行われて、温度が遥かに低くなった状態で排出することが可能になる。したがって、パウチ型バッテリーセル110から噴出され得る高温の粉塵、パーティクルなどをパーティクルポケット部P1、P2にトラップ(trap)してセルカバー200の外に抜け出難くして火炎の伝播を遮断する上で有効であり得る。高温の粉塵、パーティクルなどは、火災の3要素(可燃物質、点火源、酸素)のうちの点火源として働くため、これらがセルカバー200の外部において可燃物質と遭遇すれば、着火が起きて火炎がパックケース300の内部に急速に広がる恐れがあるからである。
【0091】
本発明によれば、セルカバー200により、特に、パーティクルポケット部P1、P2により点火源の外部への排出が防止もしくは抑止されることにより、セルカバー200の外部空間、たとえば、パックケース300の内部空間や外部空間において発火が起きることを遮断することができる。したがって、本発明の一態様によれば、熱的事象が生じたときであっても、内部短絡や構造崩壊を防ぐことができる。
【0092】
また、パーティクルポケット部P1、P2の内側には、メッシュ部材が形成され得る。メッシュ部材は、複数枚の多孔性の金属板を重ね合わせた形状に設けられてフレームアレスター(flame arrester)のような機能をするように構成され得る。
【0093】
このような構成によれば、パーティクルポケット部P1、P2内において火炎、高温の粉塵、パーティクルなどの移動がさらに制限されることができて、熱的事象が生じていない他のパウチ型バッテリーセル110への火炎の伝播が防がれることが可能になる。
【0094】
図4及び図5に戻ると、上カバー部240は、両側のサイド部241、243のうちの少なくともどちらか一方が上部に向かって(Z軸の正の方向)突出し、両側のサイド部241、243同士が接続された中心部242が下部に向かって(Z軸の正の方向)凹状に形成され得る。上カバー部240は、X軸方向に概ね3等分して、両側のサイド部241、243はZ軸の正の方向に突出し、真ん中に位置する中心部242がZ軸の負の方向に向かって凹状に形成され得る。突出状の両側のサイド部241、243によりセルカバー200内にパーティクルポケット部P1が限定され得る。
【0095】
下カバー部250は、両側のサイド部251、253のうちの少なくともどちらか一方が下部(Z軸の負の方向)に向かって突出し、両側のサイド部251、253同士が接続された中心部252が上部に向かって(Z軸の正の方向)凹状に形成され得る。下カバー部250は、X軸方向に概ね3等分して、両側のサイド部251、253はZ軸の負の方向に突出し、真ん中に位置する中心部252がZ軸の正の方向に向かって凹状に形成され得る。突出状の両側のサイド部251、253によりセルカバー200内にパーティクルポケット部P2が限定され得る。
【0096】
本発明のこのような構成によれば、パウチ型バッテリーセル110から噴出され得る高温の粉塵、パーティクルなどをパーティクルポケット部P1、P2にトラップしてセルカバー200の外に抜け出難くして火炎の伝播をさらに有効に遮断することができる。また、後述するサーマルレジン(図16中のRを参照)がパーティクルポケット部P1の間の中心部242による凹状の部分と、パーティクルポケット部P2の間の中心部252による凹状の部分に充填されることができて、セルカバー200とサーマルレジンRとの接触面積が増大されることが可能になる。したがって、上カバー部240と下カバー部250が完全にフラット(flat)に構成された場合よりもサーマルレジンRとの接触面積がさらに広いため、熱の伝達がより一層円滑に行われて冷却効果が向上する。
【0097】
このように、パーティクルポケット部P1、P2を含むセルカバー200は、その形状の側面からみて複数の折り曲げ部を含むものに相当するため、プレス又はロールフォーミングにより1枚のプレートを折り曲げて製造してもよいが、押出(extrusion)により一括して製造することが好ましい場合もある。本発明のこのような実施構成によれば、セルカバー200の製造がより一層簡単になる。
【0098】
図6は、本発明によるバッテリーパックに含まれ得る他のセルカバーを示す図である。図7は、図6のセルカバーを含み、本発明によるバッテリーパックに含まれ得るセルユニットを正面から眺めた図である。
【0099】
図6及び図7を参照すると、上カバー部240は、中心部242から上部に向かって(Z軸の正の方向)突出した両側のサイド部241、243のうちの少なくともどちらか一方まで漸進的に突出し得る。上カバー部240は、両側のサイド部241、243が両方とも上部に向かって突出する場合に概ね「M」字状に形成され得る。
【0100】
下カバー部250は、中心部252から下部に向かって(Z軸の負の方向)突出した両側のサイド部251、253のうちの少なくともどちらか一方まで漸進的に突出し得る。下カバー部250は、両側のサイド部251、253が両方とも下部に向かって突出する場合に概ね「W」字状に形成され得る。
【0101】
本発明のこのような構成によれば、パウチ型バッテリーセル110にスウェリング現象が生じる場合、上カバー部240及び/又は下カバー部250は少なくとも部分的に平らに伸びることにより、パウチ型バッテリーセル110のスウェリングを吸収することができ、パウチ型バッテリーセル110の任意の部分に過剰な圧力が加えられないことから、バッテリーセルの損傷や破損が防がれることが可能になる。また、後述するベント領域を広げることが可能である。
【0102】
図8は、本発明によるバッテリーパックの一部分の断面を概略的に示す図である。
【0103】
図8を参照すると、パックケース300は、下ベント部301を備え得る。また、パックケース300は、上ベント部302を備え得る。
【0104】
下ベント部301は、第1のバッテリーセル111において生じたガスが下開放部O1を介して外部に排出できるように構成され得る。下ベント部301は、下開放部O1と対応する位置のうちの少なくとも一部に設けられ得る。
【0105】
上ベント部302は、第2のバッテリーセル112において生じたガスが上開放部O2を介して外部に排出できるように構成され得る。上ベント部302は、上開放部O2と対応する位置のうちの少なくとも一部に設けられ得る。
【0106】
下ベント部301及び上ベント部302は、バッテリーパック10の構成に応じて、パックケース300の下部及び/又は上部に設けられ得る。下ベント部301及び上ベント部302は、複数のセルユニット100を含むバッテリーパック10の構成に応じて、少なくとも1つのセルユニット100と対応する位置に設けられ得る。
【0107】
下ベント部301及び上ベント部302は、パックケース300を貫通する形状のものであって、単なる孔の形状であり得る。また、完全に開かれている形状のみならず、完全に開かれておらず、正常の状態では閉じられていて、押付力や温度などの変化に応じて開放可能な特定のデバイスでもあり得る。下ベント部301及び上ベント部302は、例えば、単方向の弁であり得る。
【0108】
本発明のこのような構成によれば、パウチ型バッテリーセル110において生じるガスをバッテリーパック10の上部及び/又は下部に排出することができる。上ベント部302及び下ベント部301をガスの排出が行われることを希望する位置に備えてガスを所望の方向に排出することができる。また、セルカバー200が下開放部O1及び上開放部O2を両方とも備えることにより、パックケース300に下開放部O1に対応する下ベント部301と上開放部O2に対応する上ベント部302を両方とも構成することができる。パックケース300の下部にのみ、もしくは、上部にのみベント部を構成することに比べてさらに広い領域のベント部をさらに多く形成することができるという効果があるのみならず、バッテリーパック10の上部及び下部に同時にベントすることができて、速やかな内部の圧力の解消を成し遂げることができる。
【0109】
このように、本発明によれば、火炎又はガスが予め設定された方向に誘導されて排出されることが可能になる。この場合、いずれか1つのバッテリーセル110において熱暴走が起きるとしても、そのバッテリーセル110において生じた火炎又はガスは、セルカバー200を介して予め設定された方向にのみ排出されることが可能になる。いずれか1つのバッテリーセル110において熱暴走が起きるとしても、他のバッテリーセル110に対してはその熱暴走の影響が極力抑止できる。本発明においては、ベントガスを上方及び下方に排出することができ、当該方向には他のバッテリーセル110が位置しいので、熱暴走が他のバッテリーセル110に伝播されないようにするという抜群の効果がある。
【0110】
図9は、本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットの下端を示す図である。
【0111】
図9を参照すると、セルカバー200は、挿入ピン260を備え得る。
【0112】
挿入ピン260は、パックケース300に差し込まれるように構成され得る。挿入ピン260は、第1の側面カバー部210及び第2の側面カバー部230のうちの少なくともどちらか一方からパックケース300の内側面に向かって突出し得る。図4と結び付けて参照すると、挿入ピン260は、第1の側面カバー部210の長手方向(Y軸の延長方向)の両サイド部のうちの少なくともどちらか一方からZ軸の負の方向に向かって突設され得る。同様に、挿入ピン260は、第2の側面カバー部230の長手方向(Y軸の延長方向)の両サイド部のうちの少なくともどちらか一方からZ軸の正の方向に向かって突設され得る。挿入ピン260は、上ベント部302及び下ベント部301のうちの少なくともどちらか一方に隣接するように位置し得る。
【0113】
図10及び図11は、本発明によるバッテリーパックの一部分の断面を概略的に示す図である。
【0114】
図10及び図11を参照すると、パックケース300は、挿入ピン収容部303を備え得る。
【0115】
挿入ピン収容部303は、パックケース300の内側面に挿入ピン260を収容できるように構成され得る。挿入ピン収容部303は、挿入ピン260の形状に対応する形状であり得る。例えば、図10を参照すると、挿入ピン収容部303は、挿入ピン260が差し込まれるようにパックケース300の内側面に形成された溝状のものであり得る。図11を参照すると、挿入ピン収容部303は、挿入ピン260が載置できるように上ベント部302及び下ベント部301に形成された多段状のものであり得る。挿入ピン収容部303は、上ベント部302及び下ベント部301のうちの少なくともどちらか一方に隣接するように位置し得る。
【0116】
本発明のこのような構成によれば、パックケース300とセルカバー200との組み立てやすさないし固定性を確保することができる。特に、2つ以上のパウチ型バッテリーセル110を包み込みながら、包み込まれたパウチ型バッテリーセル110の立てられた状態、すなわち、起立状態を有効に保持するように構成され得る。
【0117】
また、挿入ピン260及び挿入ピン収容部303の構造によってパウチ型バッテリーセル110において生じるガスを上ベント部302及び下ベント部301に導くことができる。このような場合、図9を参照すると、セルユニット100の前方及び後方のうちの少なくともどちらか一方を覆うサイドカバー270を備えてパウチ型バッテリーセル110において生じるガスを前方や後方においては遮断し、さらに有効に上ベント部302及び下ベント部301に導くことができる。
【0118】
図9図11に戻ると、挿入ピン260は、挿入部261及び変形部262を備え得る。
【0119】
挿入部261は、パックケース300に差し込まれ得る。挿入部261は、概ねプレート状を呈するものであって、第1の側面カバー部210及び第2の側面カバー部230のうちの少なくともどちらか一方から突設され得る。
【0120】
変形部262は、挿入部261が第1の側面カバー部210及び第2の側面カバー部230のうちの少なくともどちらか一方と接続される位置に設けられ得る。変形部262は、変形が起こりやすいように、挿入部261と比較して薄肉状に、あるいは、剛性が低くなるように構成され得る。例えば、図9を参照すると、変形部262は、挿入部261と第1の側面カバー部210とが接続されるX軸方向に沿って一定の深さの溝が延びた形状のものであり得る。変形部262は、挿入ピン260がパックケース300に差し込まれた状態でパックケース300の内側面と同じ高さに設けられ得る。
【0121】
本発明のこのような構成による効果を図12図15を踏まえて説明する。図12図15は、本発明によるバッテリーパックに熱的事象が生じたときのセルカバーの変形の実施形態とそれに伴うベント領域の拡張を説明するための図である。
【0122】
まず、図12は、バッテリーパック10に熱的事象が生じる前の図である。また、挿入ピン260は、溝状の挿入ピン収容部303に差し込まれている状態である。図13は、図12に示されたバッテリーパック10に熱的事象が生じてスウェリングが生じた後の図である。
【0123】
同様に、図14は、バッテリーパック10に熱的事象が生じる前の図である。また、挿入ピン260は、多段状の挿入ピン収容部303に載置されている状態である。図15は、図14に示されたバッテリーパック10に熱的事象が生じてスウェリングが生じた後の図である。
【0124】
図12図15を参照すると、スウェリング現象が生じる前(図12及び図14の状態)には、挿入ピン260の挿入部261を介してパックケース300とセルカバー200との固定性を確保することができ、セルバンク単独で当該位置の上ベント部302と下ベント部301を用いて熱蓄積なしにバッテリーパック10を用いることができる。スウェリング現象が生じているとき(図13及び図15の状態)には、挿入ピン260の変形部262を活用して隣り合う上ベント部302や下ベント部301にベント領域が広がることができる。特に、上述したように、スウェリング現象に伴い、上カバー部240及び/又は下カバー部250が少なくとも部分的に平らに伸びるとともに、変形部262の破断又は折り畳みによってベント領域が広がり易い。すなわち、任意のセルユニット100においてスウェリングが生じると、当該セルユニット100は、他のセルユニットの上ベント部302と下ベント部301までもベント領域として使用できるように広がるように構成したのである。すなわち、セルバンク単独の上ベント部302と下ベント部301を使用するのみならず、他のセルユニットの上ベント部302と下ベント部301まで並列に使用できるようになるのである。したがって、熱伝播によって順次に熱的事象の状況が生じるときに、ベント領域が広がることにより、ガスをより一層速やかに排出して熱蓄積を解消することができる。
【0125】
図16は、本発明によるバッテリーパックの一部分の断面を概略的に示す図である。
【0126】
図16を参照すると、バッテリーパック10は、サーマルレジンRを含み得る。
【0127】
サーマルレジンRは、セルカバー200とパックケース300との間の空間及び複数のパウチ型バッテリーセル110とパックケース300との間の空間のうちの少なくとも一部の空間に介在し得る。すなわち、サーマルレジンRは、セルユニット100とパックケース300との間の空間のうちの少なくとも一部の空間に介在し得る。
【0128】
本発明のこのような構成によれば、セルユニット100をパックケース300に収容するとき、セルユニット100の上部の向きと下部の向きにパウチ型バッテリーセル110の熱を放熱するデュアル冷却(dual cooling)を行うことが可能であり、サーマルレジンRは、セルカバー200とパックケース300との間において熱の伝達を促す働きをすることができる。
【0129】
図17は、本発明によるバッテリーパックに含まれるセルユニットの下端を示す図である。
【0130】
図17を参照すると、サーマルレジンRは、上ベント部302及び下ベント部301に対応する空間には設けられなくてもよい。サーマルレジンRは、下開放部O1の長手方向(Y軸の延長方向)の片側の端部又は両側の端部の一部が開かれるように介在し得る。前記開かれた空間は、上ベント部302及び下ベント部301と連通してパウチ型バッテリーセル110において生じるガスがパックケース300の外部に排出されることが可能になる。
【0131】
本発明によるバッテリーパック10は、バッテリー管理システム(Battery Management System;BMS)とバッテリー遮断ユニット(Battery Disconnect Unit;BDU)をさらに含み得る。BMSは、パックケース300の内部空間に装着され、パウチ型バッテリーセル110の充放電動作やデータの送受信動作などを全般的に制御するように構成され得る。BMSは、バッテリーモジュール単位ではなく、バッテリーパック単位で配設され得る。より具体的には、BMSは、パック電圧及びパック電流を用いてパウチ型バッテリーセル110の充放電状態、電力状態及び性能状態などを制御するように設けられ得る。BMSは、バッテリーパック10内のバッテリーセル110の状態を推定し、推定した状態情報を用いてバッテリーパック10を管理する。例えば、バッテリーパック10の充電状態(SOC:State Of Charge)、健康状態(SOH:State Of Health)、最大の入出力電力の許容量、出力電圧などバッテリーパック10の状態情報を推定しかつ管理する。そして、このような状態情報を用いてバッテリーパック10の充電又は放電を制御し、さらにバッテリーパック10の取り替え時期をも推定可能である。BDUは、バッテリーパック10の電力容量と機能を管理するためにバッテリーセル110の電気的な接続を制御するように構成され得る。このために、BDUは、パワーリレーと電流センサー、ヒューズなどを含み得る。BDUも同様に、バッテリーモジュール単位ではなく、バッテリーパック単位で配設される構成要素であって、本発明の出願時点における公知の様々な遮断ユニットが採用可能である。
【0132】
この他にも、本発明によるバッテリーパック10は、本発明の出願時点における公知の様々なバッテリーパックの構成要素をさらに含み得る。例えば、本発明の一実施形態によるバッテリーパック10の場合、オペレーターが手作業でサービスプラグを取り外して電源を遮断可能なマニュアルサービスディスコネクター(MSD:Manual Service Disconnector)をさらに含み得る。また、前述したようなn×n配置を有する複数のバッテリーセル同士を互いに接続するためのフレキシブルバスバーやケーブルをさらに含むこともある。
【0133】
但し、本発明は、上述したバッテリーパック10に適用される構造をバッテリーモジュールに適用可能である。すなわち、パックケースの構造をモジュールケースに適用してモジュールケースに複数のセルユニット100を収容し、モジュールケースにベント部を備えるようにして、バッテリーモジュールとして構成し得る。このようなバッテリーモジュールは、パックケースの内部空間に1つ以上収容されるバッテリーモジュールであって、前述したような複数のパウチ型バッテリーセル110とセルカバー200を含み、内部空間にパウチ型バッテリーセル110を収容するモジュールケース(前述したような本発明によるバッテリーパック10のパックケース300の構造をそのまま利用可能である)を含み得る。
【0134】
本発明によるバッテリーパック10又はここで説明したバッテリーモジュールは、様々なデバイスに適用可能である。このようなデバイスは、電動バイク、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段が代表的であるが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。特に、バッテリーパック10は、電気自動車用のバッテリーパックとして好適に活用可能である。なお、エネルギー貯蔵システム(ESS)のエネルギー源として使用可能である。
【0135】
図18は、本発明による自動車1を示す図である
図18を参照すると、自動車1は、上述した本発明によるバッテリーパック10を含み得る。また、本発明による自動車1は、このようなバッテリーパック10の他に、自動車1に含まれる他の様々な構成要素などをさらに含み得る。例えば、本発明による自動車1は、本発明によるバッテリーパック10の他に、車体やモーター、エレクトロニックコントロールユニット(ECU:electronic control unit)などの制御装置などをさらに含み得る。
【0136】
バッテリーパック10は、自動車V内の所定の位置に配設され得る。バッテリーパック10は、電気自動車のモーターに駆動力を提供して自動車Vを駆動する電気エネルギー源として使用可能である。この場合、バッテリーパック10は、100V以上の高い公称電圧を有する。
【0137】
バッテリーパック10は、モーター及び/又は内燃機関の駆動に応じて、インバーターにより充電されたり放電されたりし得る。バッテリーパック10は、ブレーキ(brake)と結合された回生充電装置により充電され得る。バッテリーパック10は、インバーターを介して自動車Vのモーターに電気的に接続され得る。
【0138】
このように、自動車1に設けられたバッテリーパック10は、自動車1の色々な動作に必要な電気エネルギーを提供し得る。また、バッテリーパック10は、叙上の多種多様な効果を有するものであるため、これを含む自動車1もまたそのような効果をそっくりそのまま有することができる。
【0139】
具体的な一例を挙げると、バッテリーパック10は、セルカバー200を含むことにより、モジュールケースを省略することが可能であるため、高いエネルギー密度を有することができる。エネルギー密度とは、単位重量当たりに貯蔵されたエネルギーの量のことを意味する。バッテリーパックのエネルギー密度が増加すれば、同じ重量であるときにバッテリーパックに貯蔵されたエネルギーがさらに多い。したがって、このようなバッテリーパック10を含む自動車1の場合、1回の充電当たりの走行距離をさらに増やすこともでき、加速力をさらに高めることもでき、さらに多くの荷物を載せることもでき、室内空間をさらに広げることもできるなど多種多様に活用可能である。また、バッテリーパックのエネルギー密度が増加すれば、同じエネルギーであるときにより一層軽くなる。バッテリーパック10が軽くなってこれを含む自動車1が軽くなると、加速力が良くなり、エネルギー効率が向上し、耐久性もよくなるなど、これもまた、色々な長所を有する。
【0140】
具体的に他の例を挙げると、バッテリーパック10は、高い安全性を発揮することができる。自動車は、人間の命に直ちにつながる物品であるため、絶対に譲れないのがまさに安全である。パウチ型バッテリーセル110は、リチウムの物理的な特性からみて、火災のリスクが常に存在する。しかしながら、本発明によるバッテリーパック10は、セルカバー200を含むことにより、たとえパウチ型バッテリーセル110において熱的事象が生じたとしても、これが他の部分に伝搬することを遮断することができる。そのため、バッテリーパック10を含む自動車1は、火災安全性が確保される。
【0141】
以上述べたように、本発明は、添付された図面を参照して望ましい実施形態を中心として記述されたが、当業者にとって、このような記載から本発明の範ちゅうを逸脱することなく多くの様々なかつ自明な変形を加えることが可能であるということは明らかである。よって、本発明の範ちゅうは、このような多くの変形の実施形態を含むように記述された特許請求の範囲によって解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0142】
1:自動車
10:バッテリーパック
100:セルユニット
110:バッテリーセル
111:第1のバッテリーセル
112:第2のバッテリーセル
200:セルカバー
220:仕切りカバー部
210:第1の側面カバー部
230:第2の側面カバー部
240:上カバー部
250:下カバー部
O1:下開放部
O2:上開放部
P1:第1のパーティクルポケット部
P2:第2のパーティクルポケット部
241、243、251、253:サイド部
242、252:中心部
260:挿入ピン
261:挿入部
262:変形部
270:サイドカバー
300:パックケース
310:ケース本体
320:エンドカバー
330:トップカバー
301:下ベント部
302:上ベント部
303:挿入ピン収容部
400:バスバーアセンブリ
R:サーマルレジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】