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▶ パワー システムズ エムエフジー,リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】保炎緩和のための後縁燃料噴射強化
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/14 20060101AFI20241024BHJP
   F23R 3/20 20060101ALI20241024BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20241024BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20241024BHJP
   F23C 7/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F23R3/14
F23R3/20
F23R3/28 B
F02C7/232 B
F23C7/02 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527245
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022048849
(87)【国際公開番号】W WO2023204846
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】63/275,124
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524170957
【氏名又は名称】パワー システムズ エムエフジー,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジョン スタッタフォード
(72)【発明者】
【氏名】ドウェイン テレル
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ヤキント
(72)【発明者】
【氏名】フレッド ヘルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ハニー リツカーラ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ドゥムジョ
【テーマコード(参考)】
3K091
【Fターム(参考)】
3K091AA20
3K091CC22
3K091DD01
(57)【要約】
ガスタービンエンジンの燃焼器用の噴射器は、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の第1のベーンと、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列され、かつ複数の第1のベーンの半径方向内側に配置された複数の第2のベーンと、を備える。複数の燃料噴射孔は、第2のベーン上を通過する圧縮空気に燃料を噴射するために、第2のベーンの前縁よりも後縁の近くに配置されている。第2のベーンの各々の後縁は、圧縮空気内に乱流を誘発して、それによって燃料を圧縮空気と混合し、望ましくない火炎固定が生じる可能性がある表面を低減するように構成された非平面プロファイルを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンの燃焼器用の噴射器であって、
前記噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の第1のベーン、
前記噴射器の前記中心軸の周りに半径方向に配列され、かつ前記複数の第1のベーンの半径方向内側に配置された複数の第2のベーンであって、前記複数の第2のベーンの各々が、
前縁及び後縁と、
前記前縁よりも前記後縁の近くに配置され、かつ前記第2のベーン上を通過する圧縮空気に燃料を噴射するように構成された複数の燃料噴射孔と、
前記複数の燃料噴射孔と流体連通しており、かつ前記複数の燃料噴射孔に前記燃料を供給するように構成された燃料供給孔と、を含み、
前記後縁が、前記圧縮空気内に乱流を誘発して、それによって前記燃料を前記圧縮空気と混合するように構成された非平面プロファイルを含む、複数の第2のベーン、を備える、噴射器。
【請求項2】
前記後縁の前記非平面プロファイルが、複数の段付きセグメントを含む段付きプロファイルを含み、第1の段付きセグメントの後端が、第2の段付きセグメントの後端から円周方向にオフセットされている、請求項1に記載の噴射器。
【請求項3】
前記第1の段付きセグメントと前記第2の段付きセグメントとの間に配置されたリリーフカットを更に備える、請求項2に記載の噴射器。
【請求項4】
前記後縁の前記非平面プロファイルが、実質的に正弦波形状の後端を含む正弦波プロファイルを含む、請求項1に記載の噴射器。
【請求項5】
前記後縁の前記非平面プロファイルの第1の部分が、複数の段付きセグメントを含む段付きプロファイルを含み、第1の段付きセグメントの後端が、第2の段付きセグメントの後端から円周方向にオフセットされており、前記後縁の前記非平面プロファイルの第2の部分が、実質的に正弦波形状の後端の一部分を含む、請求項1に記載の噴射器。
【請求項6】
前記燃料供給孔が、涙滴形状の断面プロファイルを含む、請求項1に記載の噴射器。
【請求項7】
前記複数の第1のベーンの各々が、楕円形の断面プロファイルを含む、請求項1に記載の噴射器。
【請求項8】
ガスタービンエンジン用の燃焼器であって、
内部に燃焼ゾーンを画定する燃焼ライナと、
前記燃焼ライナを取り囲む第1の噴射器であって、
前記噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の第1のベーンであって、前記第1のベーンの各々が、半径方向外側流路の一部を形成する複数の第1の通路のうちの1つによって前記第1のベーンのうちの隣接するものから分離されている、複数の第1のベーン、
前記噴射器の前記中心軸の周りに半径方向に配列され、かつ前記複数の第1のベーンの半径方向内側に配置された複数の第2のベーンであって、前記第2のベーンの各々が、半径方向内側流路の一部を形成する複数の第2の通路のうちの1つによって前記第2のベーンのうちの隣接するものから分離されており、前記複数の第2のベーンの各々が、
前縁及び後縁と、
前記前縁よりも前記後縁の近くに配置され、かつ前記半径方向内側流路を通過する圧縮空気に燃料を噴射するように構成された複数の燃料噴射孔と、
前記複数の燃料噴射孔と流体連通しており、かつ前記複数の燃料噴射孔に前記燃料を供給するように構成された燃料供給孔と、を含み、
前記後縁が、前記半径方向内側流路を通過する前記圧縮空気内に乱流を誘発して、それによって燃焼室の上流で前記燃料を前記圧縮空気と混合するように構成された非平面プロファイルを含む、複数の第2のベーンを備える、第1の噴射器と、を備える、燃焼器。
【請求項9】
前記半径方向外側流路に沿って前記第1の噴射器の下流に第2の噴射器を更に備え、前記第2の噴射器が、前記半径方向外側流路を通過する圧縮空気と燃料を混合して、それによって前記燃焼室の上流で前記圧縮空気と前記燃料を混合するように構成されている、請求項8に記載の燃焼器。
【請求項10】
前記後縁の前記非平面プロファイルが、複数の段付きセグメントを含む段付きプロファイルを含み、第1の段付きセグメントの後端が、第2の段付きセグメントの後端から円周方向にオフセットされている、請求項9に記載の燃焼器。
【請求項11】
前記第1の段付きセグメントと前記第2の段付きセグメントとの間に配置されたリリーフカットを更に備える、請求項10に記載の燃焼器。
【請求項12】
前記後縁の前記非平面プロファイルが、実質的に正弦波形状の後端を含む正弦波プロファイルを含む、請求項9に記載の燃焼器。
【請求項13】
前記後縁の前記非平面プロファイルの第1の部分が、複数の段付きセグメントを含む段付きプロファイルを含み、第1の段付きセグメントの後端が、第2の段付きセグメントの後端から円周方向にオフセットされており、前記後縁の前記非平面プロファイルの第2の部分が、実質的に正弦波形状の後端の一部分を含む、請求項9に記載の燃焼器。
【請求項14】
前記燃料供給孔が、涙滴形状の断面プロファイルを含む、請求項9に記載の燃焼器。
【請求項15】
前記複数の第1のベーンの各々が、楕円形の断面プロファイルを含む、請求項9に記載の燃焼器。
【請求項16】
ガスタービンエンジンの燃焼器内で燃料及び空気を混合する方法であって、前記方法が、
圧縮空気を噴射器に通過させることであって、
前記噴射器が、前記噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の第1のベーンと、前記噴射器の前記中心軸の周りに半径方向に配列され、かつ前記複数の第1のベーンの半径方向内側に配置された複数の第2のベーンと、を含み、
前記圧縮空気を前記噴射器に通過させることが、前記圧縮空気の第1の部分を前記複数の第1のベーンの上に向けることと、前記圧縮空気の第2の部分を前記複数の第2のベーンの上に向けることと、を含み、
前記複数の第2のベーンの各々の後縁が、非平面プロファイルを含み、それによって、各それぞれの後縁において、圧縮空気の少なくとも1つの渦を生成する、通過させることと、
各後縁において圧縮空気の前記少なくとも1つの渦の中に燃料を噴射し、それによって、前記燃料を圧縮空気の前記第2の部分と混合することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記複数の第2のベーンの各々の前記後縁の前記非平面プロファイルが、複数の段付きセグメントを含む段付きプロファイルを含み、第1の段付きセグメントの後端が、第2の段付きセグメントの後端から円周方向にオフセットされている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記段付きプロファイルが、各それぞれの後縁において、圧縮空気の少なくとも2つの渦を生成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の第2のベーンの各々が、第1の燃料噴射孔及び第2の燃料噴射孔を含み、前記第1及び第2の燃料噴射孔が、前記前縁よりも前記後縁の近くに配置されており、前記方法が、前記複数の第2のベーンの各々において、
前記第1の燃料噴射孔を介して、圧縮空気の前記少なくとも2つの渦のうちの第1の渦の中に燃料を噴射することと、
前記第2の燃料噴射孔を介して、圧縮空気の前記少なくとも2つの渦のうちの第2の渦の中に燃料を噴射することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にガスタービンエンジンに関し、より詳細には、圧縮空気と燃料との混合気をガスタービンエンジン内の燃焼器に噴射するために使用される噴射器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、燃焼器内で燃料/空気混合気を燃焼させることによって機械的エネルギーを発生させるために使用される。燃料及び圧縮空気は、1つ以上の燃料噴射器を通して燃焼器に送出される。1つのタイプのリング状噴射器では、離間したベーンが、通路を画定し、この通路を通って圧縮空気が流れ、圧縮空気の流路内に噴射された燃料と混合される。ある特定の動作条件下では、噴射器の後縁及びベーンは、望ましくない保炎面を提供する可能性があり、この保炎面上に燃焼火炎が固定されて、ガスタービンエンジン内のハードウェアの破壊をもたらす可能性がある自己点火又は逆火事象につながる可能性がある。空気流を増加させることによって、又はガスタービンエンジンを停止することによってなど、自己点火又は逆火を検出し、それに反応するために様々なタイプの保護機器が使用されるが、これらの手法は、ガスタービンエンジンが稼働状態に戻される前に、望ましくないNOx排出物のレベルの増加又は著しいダウンタイムの発生をもたらす可能性がある。したがって、まず第1に、自己点火又は逆火が生じることを低減又は防止する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
この発明の概要は、以下の詳細な説明において更に説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものでもない。本開示の他の態様及び利点は、以下の実施形態の詳細な説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【0004】
本開示の態様は、1つ以上の燃料噴射器を有する燃焼器を含むガスタービンエンジンに関する。より詳細には、態様は、燃料と圧縮空気との混合を改善しながら、保炎を緩和する不規則な後縁形状を有するベーンを含む噴射器を対象とする。
【0005】
一態様では、本開示は、ガスタービンエンジンの燃焼器用の噴射器であって、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の第1のベーンと、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列され、かつ複数の第1のベーンの半径方向内側に配置された複数の第2のベーンと、を含む噴射器を対象とする。複数の第2ベーンの各々は、前縁及び後縁と、前縁よりも後縁の近くに配置され、かつ第2のベーン上を通過する圧縮空気に燃料を噴射するように構成された複数の燃料噴射孔と、複数の燃料噴射孔と流体連通しており、かつ複数の燃料噴射孔に燃料を供給するように構成された燃料供給孔と、を含み、後縁が、圧縮空気内に乱流を誘発して、それによって燃料を圧縮空気と混合するように構成された非平面プロファイルを含む。
【0006】
別の態様では、本開示は、内部に燃焼ゾーンを画定する燃焼ライナと、燃焼ライナを取り囲む第1の噴射器と、を備えるガスタービンエンジン用の燃焼器を対象とする。第1の噴射器は、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の第1のベーンであって、第1のベーンの各々が、半径方向外側流路の一部を形成する複数の第1の通路のうちの1つによって第1のベーンのうちの隣接するものから分離されている、複数の第1のベーンと、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列され、かつ複数の第1のベーンの半径方向内側に配置された複数の第2のベーンであって、第2のベーンの各々が、半径方向内側流路の一部を形成する複数の第2の通路のうちの1つによって第2のベーンのうちの隣接するものから分離されている、複数の第2のベーンと、を備える。複数の第2ベーンの各々は、前縁及び後縁と、前縁よりも後縁の近くに配置され、かつ半径方向内側流路を通過する圧縮空気に燃料を噴射するように構成された複数の燃料噴射孔と、複数の燃料噴射孔と流体連通しており、かつ複数の燃料噴射孔に燃料を供給するように構成された燃料供給孔と、を含み、後縁が、半径方向内側流路を通過する圧縮空気内に乱流を誘発して、それによって燃焼室の上流で燃料を圧縮空気と混合するように構成された非平面プロファイルを含む。
【0007】
更なる態様では、本開示は、ガスタービンエンジンの燃焼器内で燃料及び空気を混合する方法に関する。方法は、圧縮空気を噴射器に通過させることを含み、噴射器が、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の第1のベーンと、噴射器の中心軸の周りに半径方向に配列され、かつ複数の第1のベーンの半径方向内側に配置された複数の第2のベーンと、を含み、圧縮空気を噴射器に通過させることが、圧縮空気の第1の部分を複数の第1のベーンの上に向けることと、圧縮空気の第2の部分を複数の第2のベーンの上に向けることと、を含み、複数の第2のベーンの各々の後縁が、非平面プロファイルを含み、それによって、各それぞれの後縁において、圧縮空気の少なくとも1つの渦を生成する。方法は、各後縁において圧縮空気の少なくとも1つの渦の中に燃料を噴射し、それによって燃料を圧縮空気の第2の部分と混合することを更に含む。
【0008】
本技術は、同様の数字が同じ構成要素を表す添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様によるガスタービン燃焼器の断面図である。
図2】本開示の態様によるガスタービン燃焼器の断面図である。
図3A】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第1の実施形態の部分拡大図である。
図3B】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第1の実施形態の部分拡大図である。
図4】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第2の実施形態の斜視図である。
図5A図4に示す噴射器の部分拡大図である。
図5B図4に示す噴射器の部分拡大図である。
図5C図4に示す噴射器の部分拡大図である。
図6A】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第3の実施形態の部分拡大図である。
図6B】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第3の実施形態の部分拡大図である。
図6C】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第3の実施形態の部分拡大図である。
図7A】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第4の実施形態の部分拡大図である。
図7B】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第4の実施形態の部分拡大図である。
図7C】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第4の実施形態の部分拡大図である。
図8A】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第5の実施形態の部分拡大図である。
図8B】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第5の実施形態の部分拡大図である。
図8C】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第5の実施形態の部分拡大図である。
図9A】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第6の実施形態の部分拡大図である。
図9B】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第6の実施形態の部分拡大図である。
図10図9A図9Bに示す噴射器を採用するガスタービンエンジンの燃焼器の部分拡大図である。
図11A】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第7の実施形態の部分拡大図である。
図11B】本開示の態様による、図1図2に示す燃焼器などのガスタービン燃焼器用の噴射器の第7の実施形態の部分拡大図である。
図12図4図5Cに示す噴射器の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図面をより詳細に参照し、最初に図1を参照すると、本開示の態様によるガスタービンエンジンの燃焼器が、全体として符号100で示されている。燃焼器100は、一般に、第1の、すなわち半径方向外側の噴射器102と、第2の、すなわち半径方向内側の噴射器104と、概して円筒形の流れスリーブ106と、流れスリーブ106から半径方向内側に位置決めされており、かつ燃焼ゾーン110を概して画定する概して円筒形の燃焼ライナ108と、を含む。第1の噴射器102は、概して環状に成形されており、燃焼ライナ108を取り囲み、流れスリーブ106の下流端に位置決めされている。第2の噴射器104は、燃焼ゾーン110の入口端において燃焼ライナ108の半径方向内側に位置決めされている。
【0011】
図2を参照して最もよく理解されるように、燃焼器100の使用中、圧縮空気は、第1及び第2の噴射器102、104の両方に提供され、そこで燃料源と混合し、次いで点火され、燃焼室110内で火炎を引き起こす。流れスリーブ106の半径方向外側表面に沿って半径方向外側経路112を辿る圧縮空気は、第1の噴射器102内に設けられた半径方向外側ベーン及び/又は開口を、その中の燃料と混合されることなく通過し、その代わりに、燃焼器100の一部分へと下流に続き、そこで空気が向きを変え、第2の噴射器104を通過する。ここで、圧縮空気は、燃料源と混合し、燃焼器100の中心軸付近で火炎を引き起こすように点火される。流れスリーブ106と燃焼ライナ108との間の半径方向内側経路114を辿る圧縮空気は、第1の噴射器102内に設けられた異なる(すなわち、半径方向内側の)ベーン及び/又は開口を通過し、そこで燃料源と混合される。次いで、燃料/空気混合気は、ドームプレート130又は同様の構造に移動し、そこで実質的に180°向きを変え、燃焼室110に入り、そこで点火されて、第2の噴射器104によって引き起こされる火炎の半径方向外側の火炎を引き起こす。いくつかの実施形態では、第1の噴射器102は、「主」噴射器と称され、第2の噴射器104は、「パイロット」噴射器と称される。
【0012】
図3A図3Bは、燃料、及び半径方向内側経路114を通過する空気を混合するために使用される第1の、すなわち主噴射器102の一実施形態の一部分を示す。本実施形態では、第1の噴射器102は、燃焼器100の中心軸の周りに半径方向に配列された複数の半径方向外側の第1のベーン116を含み、複数の第1のベーン116のうちの隣接するものは、それらの間に複数の第1の通路118を画定する。図3Aに見られるように、第1のベーン116及び通路118は、その中に任意の燃料噴射開口又は同様の構造を含まず、したがって、半径方向外側経路112内の圧縮空気は、いかなる燃料と混合することなく開口118を通過し、第2の噴射器104へと下流に続く。
【0013】
しかしながら、第1の噴射器102はまた、複数の第1のベーン116の半径方向内側にあり、かつ燃焼器100の中心軸の周りに同様に半径方向に配列された複数の第2のベーン120も含む。複数の第2のベーン120のうちの隣接するものは、それらの間に複数の第2の通路122を画定し、半径方向内側経路114に沿って移動する圧縮空気がそれらの第2の通路を通過する。ベーン120の各々は、一般に、平面前縁(図示せず)及び平面後縁128を含み、平面前縁及び平面後縁128は、噴射器102内の空気流の方向に対して実質的に垂直に、すなわち流れ方向に交差して延びる。更に、ベーン120の各々は、後縁128に(この場合、後縁128に位置する平面内に)設けられた複数の燃料噴射孔126を含み、これらの燃料噴射孔は、複数の燃料供給孔124と流体連通している。マニホールド又は同様の構造(図示せず)からの燃料は、燃料供給孔124及び燃料噴射孔126を介して半径方向内側経路114に沿って通過する圧縮空気に供給される。より詳細には、圧縮空気が第2の通路122を通ってベーン120上を通過するとき、空気は、各ベーン120の後縁128に近接する燃料噴射孔126から流出する燃料と混合される。その後、燃料/空気混合気は、半径方向内側経路114に沿って、燃焼ゾーン110の入口端に位置決めされているドームプレート130(図2)又は同様の構造へと続く。ドームプレート130は、燃料/空気混合気の流れの方向を反転させ、それを点火のために燃焼ゾーン100の入口端に送出する。
【0014】
本実施形態では、各ベーン120の後縁128の平面は、燃焼器100の動作中に火炎が固定され得る表面を提供する。半径方向内側経路114のこの部分に固定された火炎は、固定された火炎が燃料/空気混合気の早期点火、第1の燃料噴射器102若しくは他の構成要素の損傷、又は他の望ましくない欠点につながり得るので、望ましくない場合がある。したがって、以下に説明する本技術のいくつかの実施形態によれば、第1の噴射器102のベーンの前縁又は後縁は、半径方向外側経路112及び/又は内側経路114に沿った燃料と空気との混合を改善しながら、火炎固定をもたらし得る表面を低減する不規則な又は非平面のプロファイルを含み、それによって、他の利点の中でもとりわけ、より効率的な燃焼及び排出の低減がもたらされる。
【0015】
図4は、本開示の態様による改良された第1の噴射器202の一実施形態を示す。本実施形態では、第1の(すなわち、代替的に主)噴射器202は、概して環状に成形されており、第2のベーン220の半径方向配列の半径方向外側に第1のベーン216の半径方向配列を含む。複数の第1のベーン216のうちの隣接するものは、複数の第1の通路218を画定する一方、複数の第2のベーン220のうちの隣接するものは、複数の第2の通路222を画定する。この場合も、図3A図3Cに示す第1の噴射器102の実施形態で説明したように、燃焼器100に設置されて使用されると、半径方向外側経路112に沿って第2の噴射器104に通過する圧縮空気は、燃料と混合することなく複数の第1の開口218を通過して複数の第1のベーン220の上を通過し、第2の噴射器104に向かって下流に進む一方、半径方向内側経路114に沿って通過する圧縮空気は、複数の第2の通路222を通過し、第2の通路122を通過して複数の第2のベーン220の上を通過し、燃料と混合する。その点に関して、第1の噴射器202は、複数の燃料供給孔224を含み、各燃料供給孔は、各第2のベーン220の後縁228上に、又は前縁230よりも後縁228の近くに設けられた複数の燃料噴射孔226と連通している(図5C)。
【0016】
第1の噴射器202の拡大部分を示す図5A図5Cに最もよく見られるように、各半径方向内側ベーン220の後縁228は、段付きプロファイルを含む。より具体的には、本実施形態における後縁228は、3つの別個の部分228a、228b、及び228cを含む。後縁228の半径方向外側の第1の部分228a及び半径方向内側の第3の部分228cは、中間に位置決めされた第2の部分228bから円周方向にオフセットされている。本実施形態では、各ベーン220は、後縁228の第2の部分228bに設けられている2つの燃料噴射孔226を含む。しかしながら、他の実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、ベーン220は、より多くの若しくはより少ない燃料噴射孔226を含むことができ、及び/又は燃料噴射孔226の1つ以上は、他の場所(すなわち、後縁228の第1又は第3の部分228a、228cのうちの1つの上)に位置し得る。更に、本実施形態では、半径方向内側の燃料噴射孔226は、半径方向外側の燃料噴射孔226よりも大きい(すなわち、より大きな直径を有する)。例えば、1つの非限定的な例では、内側燃料噴射孔226は、約0.112インチの直径を有する一方、外側燃料噴射孔226は、約0.059インチの直径を有する。他の実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、燃料噴射孔226は、同じサイズであってもよく、半径方向外側の燃料噴射孔226は、半径方向内側の燃料噴射孔226より大きくてもよく、及び/又は燃料噴射孔226は、異なる形状又は構成であってもよい。
【0017】
図4及び図5A図5Cに示すベーン220のプロファイルは、例えば、図3A図3Cに示す第1の噴射器102の実施形態と比較して、混合及び保炎緩和の利点を示し得る。すなわち、各ベーン220の前縁230(図5C)は、翼型の前縁と同様に丸みを帯びており、流れ及び空気力学的利点を向上させ、すなわち、丸みを帯びた前縁230は、ベーン220の周りを流れる圧縮空気の圧力損失を低減する。後縁228の段付きプロファイルは、不規則なプロファイルが乱流を導入し、後縁228の上を通過する圧縮空気を旋回させ、燃料噴射孔226から出る燃料と混合させるので、ベーン220の後縁228における混合を増加させる。この点に関して、燃料噴射孔226は、そこから出る燃料が、後縁228の段付きプロファイルによって生成される渦の旋回圧縮空気内に噴射され、それによって捕捉され、燃料と圧縮空気との混合を向上させるように位置し、構成されている。
【0018】
更に、後縁228において圧縮空気流に対して実質的に垂直に設けられた平面がないので(ベーン120の後縁128に設けられた平面とは対照的に)、火炎が固定される表面がないことが有利である。別の言い方をすれば、ベーン220の後方に面するベース領域は存在せず、それによって、第1の噴射器202における保炎を低減又は排除する。したがって、ベーン220の後縁228の段付きプロファイルは、燃焼ゾーン110から上流への望ましくない火炎固定を低減する。
【0019】
図5A図5Cに示す図示の実施形態では、後縁228の第2の部分228bは、第3の部分228cよりも半径方向に長く、第2の部分228b及び第3の部分228cは、両方とも第1の部分228aよりも長い。他の実施形態では、ベーン220は、本開示の範囲から逸脱することなく、例えば、段付き部分228a、228b、228cのうちの2つ以上が半径方向に同じ長さを有するように、又は段付き部分228a、228cのうちの1つ又は両方が段付き部分228bよりも長いように、別様に構成されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、ベーン220は、本開示の範囲から逸脱することなく、後縁228において、図4及び図5A図5Cに図示されるよりも多い又は少ない段付き部分、例えば、2つの段付き部分又は4つ以上の段付き部分などを含み得る。そのような実施形態では、段付き部分のうちの隣接するものの遠位端は、図4及び図5A図5Cの段付き部分228a及び228bの構成と同様に、円周方向に離間され、交互になるであろう。
【0020】
複数の第2のベーン220の後縁228は、代替的に、図6A図8Cに図示する実施形態に示すように、本開示の範囲から逸脱することなく同様の利点を提供しながら構成されてもよい。図6A図8Cに示す実施形態では、図示されたベーン320、420、520は、図4に示す第1の噴射器202と同様に、それぞれ第1の、すなわち主噴射器302、402、502の一部を形成する。この点に関して、示されていないが、噴射器302、402、502は、図示されたベーン320、420、520の半径方向外側にベーンの第2の半径方向配列を含むことになり、これらのベーンは、図4に示されたベーン216と同様に構成されることになるので、便宜上再度説明しない。
【0021】
図6A図6Cは、ベーン320の波状後縁328プロファイルを含む第1の噴射器302のベーン320を示す。波状後縁328プロファイルは、一般に、正弦波又は同様の波の輪郭に従うことができ、1つ以上の燃料噴射孔326(図示の実施形態では2つ)が波に沿って設けられている。
【0022】
図7A図7Cに示す噴射器402は、段付き部分及び段付き部分の半径方向内側の波様部分の両方を含むベーン420の後縁428プロファイルを含むが、他の実施形態では、後縁プロファイル428は、半径方向内側の段付き部分の代わりに、又はそれに加えて、段付き部分の半径方向外側の波様部分を含むことができる。また、本実施形態では、段付き部分は、3つの燃料噴射孔426を含む。孔426は、等しいサイズ又は異なるサイズであってもよい。図示の実施形態では、2つの半径方向内側の孔は、ほぼ等しい断面積を有するが、半径方向外側の燃料噴射孔426は、より小さい。しかしながら、他の実施形態では、孔426は、例えば、最大の燃料噴射孔426が少なくとも半径方向最外位置に設けられている構成など、本開示の範囲から逸脱することなく他のサイズ及び構成であってもよい。
【0023】
図8A図8Cは、波状であるが不規則である、第1の噴射器502内のベーン520の後縁528プロファイルを示す。すなわち、プロファイルは、一般に正弦波又は同様の波に従わないが、他の点では円周方向に振動する滑らかな弧を含み、一対の燃料噴射孔526が波の稜線上に設けられている。いくつかの実施形態では、本実施形態の後縁528プロファイルは、角度の付いた正弦波、不規則な正弦波、歪んだ正弦波、又は同様のものとして説明され得る。ここでも、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くの又はより少ない燃料噴射孔526、及び様々な直径の燃料噴射孔526を実装することができる。図8A図8Cは、本開示の態様が、とりわけ、後縁における混合の強化及び火炎固定の緩和という利点を提供する、不規則な波などでさえある多種多様な後縁形状を含むことを実証している。
【0024】
図9A図9Bは、本開示の態様による第1の噴射器602の別の実施形態を示す。本実施形態では、複数の第1のベーン616は、断面が実質的に楕円形であり、すなわち、ベーン616の前縁及び後縁の両方が丸みを帯びており、それによって、より流線形の流れを提供し、したがって、圧力降下の低減など空気流特性を向上させ、図10に最もよく例示されているように、圧縮空気が半径方向外側流路112に沿って第2の噴射器まで自由に流れることを可能にする。本実施形態における複数の第2のベーン620は、図4及び図5A図5Cに示す第2のベーン220と構成が類似しており、したがって、再度詳細に説明しない。しかしながら、本実施形態では、後縁628の円周方向段付き部分は、段付き部分を分離する丸みを帯びた又はフィレット状の遷移縁部632を含む。これらの丸みを帯びた又はフィレット状の遷移縁部632は、円周方向段付き部分間の遷移部における熱応力及び他の応力を低減し、それによって、噴射器602及びその複数の第2のベーン620の寿命を改善する。更に、丸みを帯びた又はフィレット上の遷移縁部632は、燃料噴射孔によって提供される圧縮空気及び燃料の空気力学的混合を改善し、燃焼ゾーンにより均質な混合気を提供する。
【0025】
再び、図10は、第1の噴射器602を採用する燃焼器100の部分断面図を示しており、圧縮空気が半径方向外側流路112及び半径方向内側流路114に沿ってどのように流れるかを実証している。更に、図10に見られるように、本明細書に記載の噴射器の改善された混合及び同様の利点は、燃焼ライナ108の外面上のティアストリップ、シールランド、ローレット切り、フィンガシール、又は同様の特徴を必要とせずに、燃焼器100に噴射器を含めることを可能にし得る。すなわち、図10に示すように、第1の噴射器602の下流の燃焼ライナ108の半径方向外側表面は、ティアストリップ、シールランド、ローレット切り、フィンガシール、又は同様の特徴が採用される公知の燃焼器とは異なり、露出している。これは次に、そうでなければ保炎又は火炎固定をもたらし得る燃焼ゾーン110の上流の表面の使用を低減する。
【0026】
図11A図11Bは、第1の噴射器702の更に別の例示的な実施形態を示す。本実施形態では、複数の第1のベーン716は、図4などに示される平坦な表面を有する実施形態と構造が類似しているが、他の実施形態では、複数の第1のベーン716は、図9A図10に示される複数の第1のベーン616などの楕円形又は類似の断面を含むことができる。しかしながら、本実施形態では、複数の第2のベーン720の後縁728の周方向段付き部分間の遷移領域は、図11Bに最もよく見られるように、リリーフカット732を含む。図9A図10に示すフィレット状又は丸みを帯びた遷移ゾーン632と同様に、本実施形態のリリーフカット732は、複数の第2のベーン720に対する熱応力及び他の応力を低減する一方、ベーン720の後縁728における圧縮空気と燃料との混合を向上させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、積層造形を採用して、そうでなければ鋳造などの従来の製造技術を使用して製造することが困難な場合がある第2のベーンの後縁の複雑かつ不規則な形状を達成し得る。これは、図4図5Cに関連して上述した第1の噴射器202における複数の第2のベーン220の部分断面図である図12を参照すると、より容易に理解し得る。本明細書で論じられる製造技術は、本開示によって論じられ、企図される実施形態の各々に等しく良好に適用される。
【0028】
理解されるように、積層造形は、概して、物品の3Dモデルの複数の本質的に2D「スライス」に従って、物品を層ごとに構築することを伴う。本実施形態では、第1の噴射器202及び/又はそのベーン220は、図12に示す構築方向矢印134によって全体的に示されるように、前縁230から後縁228まで構築される。これにより、高価かつ面倒な金型などを必要とせずに、かつ製造後の機械加工又は同様のプロセスを低減又は排除しながら、本明細書で説明する複雑かつ不規則な後縁形状を含めることが可能になる。
【0029】
噴射器202及び/又はベーン220が積層造形されるので、冷却チャネル又は燃料チャネル(燃料供給孔224及び燃料噴射孔226など)を形成する内部通路は、噴射器202内に一体的に形成される。いくつかの実施形態では、これらの通路は、積層造形プロセスを支援するために非円形断面を含むことができる。例えば、図12に示すように、燃料供給孔224は、実質的に涙滴形状の断面プロファイルを含む。このプロファイルは、3Dモデルの以前の2Dスライスの形成中に残された材料の空隙にわたって延在する材料の量を低減することによって、積層造形プロセスを支援する。別の言い方をすれば、積層造形プロセスは、製造された部品がそれ自体崩れることなく、45度を超えるオーバーハングに容易に対応することができない場合がある。本実施形態では、燃料供給孔224(及び、いくつかの実施形態では、他の内部通路)は、断面プロファイルの上半分におけるオーバーハングの量を低減するために涙滴形状の断面を含み、それによって、印刷された有向経路内の燃料供給孔224の印刷された天井を管理し、したがって、第1の噴射器202及び/又は複数の第2のベーン220の製造可能性を高める。
【0030】
本明細書で説明される噴射器は、任意の所望の材料から積層造形(又は機械加工、鋳造、鍛造などによって製造)され得る。例えば、いくつかの実施形態では、噴射器は、例えば、インコネル718(すなわち、主にニッケル及びクロムから作製され、残りは多数の他の金属から形成される合金)などの超合金、又は高強度及び耐食性を提供する類似材料から製造される。本開示の範囲から逸脱することなく、任意の所望の好適な材料を採用し得る。
【0031】
要するに、本明細書で説明される設計及び実施形態は、改善された保炎又は火炎固定緩和を提供しながら、燃料と空気との混合の増加を提供する。例えば、噴射器ベーンの後縁の段付き、正弦波状、又は他の不規則なプロファイルは、後縁において1つ以上の流れ方向の渦を生成し得、そうでなければ火炎固定のための表面を提供する可能性がある流れに交差する平面を含むことなく、混合強化を提供する。噴射器における燃料と空気との混合を増加させることによって、本明細書で説明する噴射器の実施形態は、燃焼器による排出の改善をもたらす一方で、流線形であり、保炎抵抗のために構成され、噴射器の寿命の改善並びに噴射器及び/又は燃焼器故障のリスクの低減をもたらす。
【0032】
上記から、本開示は、システム及び方法に明白かつ固有である他の利点とともに、上述の全ての目標及び目的を達成するように十分に適合されたものであることが分かるであろう。ある特定の特徴及びサブコンビネーションが、有用であり、他の特徴及びサブコンビネーションを参照することなく採用され得ることが理解されるであろう。
【0033】
更なる考察
この説明において、「一実施形態」、「ある実施形態」、又は「実施形態」への言及は、言及されている1つ以上の特徴が本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本説明における「一実施形態」、「ある実施形態」、又は「実施形態」への別々の言及は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではなく、そのように述べられない限り、及び/又は説明から当業者に容易に明らかになる場合を除いて、相互に排他的でもない。例えば、一実施形態に説明されている特徴、構造、行為は、他の実施形態にも含まれ得るが、必ずしも含まれる必要はない。したがって、本技術は、本明細書に記載の実施形態の様々な組み合わせ及び/又は統合を含むことができる。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲において、以下の意味を有するように定義されるいくつかの用語が参照される。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の言及を含む。「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記載される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいこと、並びにその記載がその事象が起こる場合及び起こらない場合を含むことを意味する。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲を通して本明細書で使用される近似表現は、それが関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容可能に変動し得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約(about)」、「およそ(approximately)」、及び「実質的に(substantially)」などの1つ以上の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されない。少なくともいくつかの例において、近似表現は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。範囲の制限は、組み合わされてもよく、及び/又は交換されてもよい。そのような範囲は、特定され、文脈又は言語が他に示さない限り、その中に含まれる全ての部分範囲を含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「軸方向の」及び「軸方向に」という用語は、燃焼器の中心長手方向軸に実質的に平行に延びる方向及び配向を指す。「半径方向の」及び「半径方向に」という用語は、中心軸に対して実質的に垂直に延びる方向及び配向を指す。更に、「上部」、「底部」、「前部」、「後部」、「側部」、及び同様の用語などの方向に関する言及は、本明細書では単に便宜上使用されており、互いに関連してのみ理解されるべきである。例えば、構成要素は、実際には、本明細書で「上部」及び「底部」と称される面が、実際には、選択された基準系に対して横向き、角度付き、反転されるなどであるように配向され得る。
【0037】
「結合された」、「固定された」、「取り付けられた」などの用語は、本明細書で別段の指定がない限り、直接結合、固定、又は取り付け、及び1つ以上の中間構成要素又は特徴を通した間接結合、固定、又は取り付け、の両方を指す。
【0038】
本出願は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を記載するが、説明の法的範囲は、特許請求の範囲の言葉及び等価な言葉によって定義されることを理解されたい。詳細な説明は、例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、全ての可能な実施形態を説明することは非現実的であるため、全ての可能な実施形態を説明するものではない。本技術又は本特許の出願日の後に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替的な実施形態が実装されてもよく、それらは依然として特許請求の範囲内に含まれる。
【0039】
本明細書全体を通して、複数の例は、単一の例として説明される構成要素、動作、又は構造を実装し得る。1つ以上の方法の個々の動作が別個の動作として例示及び説明されているが、個々の動作のうちの1つ以上は同時に実行されてもよく、動作が、記載又は例示された順序で実行される必要はない。例示的な構成において別個の構成要素として提示される構造及び機能は、組み合わされた構造又は構成要素として実装され得る。同様に、単一の構成要素として提示された構造及び機能は、別個の構成要素として実装され得る。これら及び他の変形、修正、追加、及び改善は、本明細書の主題の範囲内に入る。本段落における前述の記述は、本説明においてそのように述べられていない限り、及び/又は本説明から当業者に容易に明らかである場合を除いて、適用されるものとする。
【0040】
本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含んでもよい。
【0041】
本開示は、添付の図面に例示される実施形態を参照して説明されているが、特許請求の範囲に記載される本開示の範囲から逸脱することなく、均等物が採用されてもよく、本明細書において置換が行われてもよいことに留意されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
【国際調査報告】