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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】注射可能な徐放性医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20241024BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20241024BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/31 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 5/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61M5/28
A61K38/08
A61K38/12
A61K38/31
A61P5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527364
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022080349
(87)【国際公開番号】W WO2023092148
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/282,014
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517454284
【氏名又は名称】スペックジーエックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ウォーリー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】サンダース, ウィリアム
【テーマコード(参考)】
4C066
4C084
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C084AA03
4C084BA44
4C084DB11
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA10
4C084ZC041
(57)【要約】
投与に適した注射可能な徐放性医薬組成物を含む事前充填注射器、及びその調製方法が本明細書で提供される。注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩であり得、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与に適した注射可能な徐放性医薬組成物を含む事前充填注射器であって、前記注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩を含み、前記注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する、事前充填注射器。
【請求項2】
前記注射器には、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLのランレオチド酢酸塩の用量が充填されている、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項3】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が気泡を実質的に有さない、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項4】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が均一な混合物である、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項5】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、相変化を必要とすることなく混合した直後に前記注射器に充填するのに適している、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項6】
前記注射器内の前記注射可能な徐放性医薬組成物が、少なくとも2年間の保存寿命を有する、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項7】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が凍結乾燥されておらず、投与前に再構成する必要がない、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項8】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、分解することなく混合するのに適している、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項9】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、最大100,000ミルポアズの粘度で混合するのに適している、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項10】
前記注射器が、窒素オーバーレイを含むホイルパウチ内に保管される、請求項1に記載の事前充填注射器。
【請求項11】
投与に適した凍結乾燥されていない注射可能な徐放性医薬組成物であって、前記注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩を含み、前記注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する、医薬組成物。
【請求項12】
注射可能な徐放性医薬組成物が、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLのランレオチド酢酸塩の用量で注射器中に含まれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が気泡を実質的に有さない、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が均一な混合物である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、相変化を必要とすることなく混合した直後に前記注射器に充填するのに適している、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が注射器内に充填され、少なくとも2年間の保存寿命を有する、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記注射器が、窒素オーバーレイを含むホイルパウチ内に保管される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、投与前に再構成する必要がない、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、分解することなく混合するのに適している、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、最大100,000ミルポアズの粘度で混合するのに適している、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項21】
注射可能な徐放性医薬組成物を調製するための方法であって、
ソマトスタチン類似体塩及び酸水溶液を含む組成物を水と混合して、前記注射可能な徐放性医薬組成物を形成することと、
注射器に前記注射可能な徐放性医薬組成物を充填することと、を含み、
前記注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する、方法。
【請求項22】
前記ソマトスタチン類似体がランレオチドである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記酸が酢酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記注射可能な徐放性医薬組成物がランレオチド酢酸塩を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記注射器には、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLのランレオチド酢酸塩の用量が充填されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記混合ステップが、静的ミキサー内のオリフィスプレート上の複数のオリフィスを通して前記注射可能な徐放性医薬組成物を押し込むことをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、前記静的ミキサー内の一対の対向するピストンを使用して前記オリフィスプレートを通して押し込まれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のオリフィスが角度を付けられている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のオリフィスは、前記オリフィスプレート上で同心円状に配置され、第1の同心円内のオリフィス間の距離は、第2の同心円内のオリフィス間の距離と異なる、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記混合ステップが、前記静的ミキサーから大気ガスを除去し、真空を適用することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、最大100,000ミルポアズの粘度で混合するのに適している、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記注射器を充填するために、前記オリフィスプレートを移送プレートと置き換えることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が混合中に分解されない、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、前記組成物内に分布した気泡を実質的に有さない、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が均一な混合物である、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記注射器内の前記注射可能な徐放性医薬組成物が、少なくとも2年間の保存寿命を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が凍結乾燥されておらず、投与前に再構成する必要がない、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、混合した直後の投与に適している、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記注射可能な徐放性医薬組成物が、相変化を必要とすることなく混合した直後に前記注射器に充填するのに適している、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記充填された注射器を、窒素オーバーレイを含むホイルパウチ内に保管することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、注射可能な徐放性医薬組成物及びそれを含む事前充填注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドを含む高粘度の医薬組成物の混合は、多くの場合、医薬組成物の汚染、空気への曝露、または加熱による分解を引き起こす場合がある。粘性のある材料を混合するには、混合されていない材料を剪断して均一に分布させるために、大きな力が必要になる場合がある。したがって、改善された均一に混合された注射可能な医薬組成物が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、下記の発明を実施するための形態で詳細に説明される様々な概念を紹介するものである。本概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図するものでもなく、特許請求される主題の範囲を限定する際の補助として用いられることを意図するものでもない。
【0004】
本明細書には、投与に適した注射可能な徐放性医薬組成物を含む事前充填注射器が開示される。注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩を含み得、また注射可能な徐放性医薬組成物は1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する。
【0005】
さらに、注射可能な徐放性医薬組成物を調製する方法が本明細書に開示される。この方法は、ランレオチド酢酸塩を含む組成物を水と混合して、注射可能な徐放性医薬組成物を形成することと、注射器に注射可能な徐放性医薬組成物を充填することと、を含み得る。注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の様々な実施形態が、以下で詳細に論じられる。具体的な実装形態が論じられるが、これは例示目的のみのために行われることを理解されたい。当業者は、他の構成要素及び構成が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用され得ることを認識するであろう。したがって、以下の説明及び図面は例示的であり、限定として解釈されるべきではない。本開示の完全な理解をもたらすために、多数の具体的な詳細が記載される。しかし、ある特定の事例では、説明を不明瞭にすることを避けるために、周知または通例の詳細は説明されない。
【0007】
本明細書中で使用される用語は、一般に、本開示の文脈内で、かつ各用語が使用される具体的な文脈においての、当該技術分野における通常の意味を有する。本明細書で論じられる用語のいずれか1つ以上について代替の言語及び同義語を使用することができ、用語が本明細書で詳述されているまたは論じられているか否かに特別な重要性は置かれるべきではない。場合によっては、ある特定の用語の同義語が提示される。1つ以上の同義語の引用は、他の同義語の使用を除外するものではない。本明細書で論じられる任意の用語の例を含む本明細書内の任意の箇所での例の使用は、例示的にすぎず、本開示または任意の例示的な用語の範囲及び意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0008】
「一実施形態(one embodiment)」、または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではなく、別個のまたは代替の実施形態が他の実施形態と相互排他的であるわけでもない。さらに、いくつかの実施形態によって示される場合があり、かつ他の実施形態によって示されない場合がある様々な特徴が記載される。
【0009】
「a」及び「an」という冠詞は、冠詞の文法的目的語のうちの1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「要素(an element)」は、少なくとも1つの要素を意味し、2つ以上の要素を含み得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、「約」は、明示的に示されているか否かにかかわらず、整数、分数、パーセンテージなどを含む数値を指す。「約」という用語は、一般に、数値の範囲、例えば、列挙された値の±0.5~1%、±1~5%、または±5~10%を指し、例えば、同じ機能または結果を有する列挙された値と等価とみなされる。
【0011】
本明細書で「含む(including)」、「備える(comprising)」、または「有する(having)」という用語、及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される要素及びその等価物、ならびに追加の要素を包含することを意味する。本明細書で使用される場合、「及び/または」は、関連する列挙された項目の1つ以上のありとあらゆる可能な組み合わせ、ならびに代替(「または」)で解釈される場合の組み合わせの欠如を指し、かつ包含する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「本質的に~からなる」(及び文法的変形)という移行句は、特許請求される本発明の列挙された材料またはステップ、「及び基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響を与えないもの」を包含するものとして解釈されるものである。したがって、本明細書で使用される「本質的に~からなる」という用語は、「を含む」と等価であると解釈されるべきではない。
【0013】
さらに、本開示はまた、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の特徴または特徴の組み合わせが除外または省略され得ることを企図する。例示するために、本明細書が、複合体が構成要素A、B、及びCを含むと述べる場合、A、B、もしくはCのいずれか、またはそれらの組み合わせを、単独でまたは任意の組み合わせで省略し、排除することができることが具体的に意図されている。
【0014】
本明細書で使用される「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ヒト及び非ヒト動物の両方を指す。
【0015】
本明細書には、投与に適した注射可能な徐放性医薬組成物が開示される。様々な態様では、注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩を含み、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する。例えば、注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.002g/cm、1.001g/cm~1.003g/cm、1.002g/cm~1.004g/cm、1.003g/cm~1.005g/cm、1.004g/cm~1.006g/cm、1.005g/cm~1.007g/cm、1.006g/cm~1.008g/cm、1.007g/cm~1.009g/cm、1.008g/cm~1.010g/cm、1.009g/cm~1.011g/cm、1.010g/cm~1.012g/cm、1.011g/cm~1.013g/cm、1.012g/cm~1.014g/cm、または1.013g/cm~1.015g/cmの密度を有し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、注射可能な徐放性医薬組成物は、事前充填注射器内に含まれる。注射器は、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLの用量のランレオチド酢酸塩で充填される。
【0017】
いくつかの実施形態では、注射可能な徐放性医薬組成物は、組成物内に分散した気泡をほとんど~実質的に有さない。一態様では、注射可能な徐放性医薬組成物は均一な半固体である。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、組成物の密度は、組成物中に分散した気泡の量に関連し得る。注射可能な徐放性医薬組成物は、分解することなく混合するのに適している。いくつかの態様では、気泡をほとんど~実質的に有さない均一に混合された組成物は、注射可能な徐放性医薬組成物が注射器内で少なくとも2年間の保存寿命を有することを実現し得る。
【0018】
注射可能な徐放性医薬組成物は、相変化を必要とすることなく混合した直後に注射器に充填するのに適している。例えば、注射可能な徐放性医薬組成物は凍結乾燥されておらず、投与前に再構成する必要がない。
【0019】
いくつかの態様では、注射可能な徐放性医薬組成物は高い粘度を有する。例えば、注射可能な徐放性医薬組成物は、3,000ミルポアズ~10,000ミルポアズ、20,000ミルポアズ~40,000ミルポアズ、30,000ミルポアズ~50,000ミルポアズ、40,000ミルポアズ~60,000ミルポアズ、50,000ミルポアズ~70,000ミルポアズ、60,000ミルポアズ~80,000ミルポアズ、70,000ミルポアズ~90,000ミルポアズ、80,000ミルポアズ~100,000ミルポアズ、または最大で100,000ミルポアズの粘度を有し得る。最大100,000ミルポアズの高い粘度を持つ組成物は、均一な混合物を生成するための混合に適している。
【0020】
一実施形態では、注射器は、滅菌中の不純物の形成を低減するために、不活性ガスのオーバーレイを含むホイルパウチ内に保管され得る。例えば、不活性ガスオーバーレイは窒素オーバーレイであってもよい。注射器は、組成物を患者に注射する準備が整うまで、ホイルパウチ内に保管され得る。いくつかの態様では、注射器を備えたホイルパウチは、ガンマ線照射によって滅菌されてもよい。いくつかの実施例では、ガンマ線照射は≧25kGyの線量であり得る。他の実施例では、ガンマ線照射は、20kGy~30kGyの線量であり得る。いくつかの態様では、窒素オーバーレイは、少なくとも2年間の保存寿命を有する組成物にさらに役立つ。
【0021】
さらに、注射可能な徐放性医薬組成物を調製する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、ソマトスタチン類似体塩及び酸水溶液を含む組成物を水と混合して、注射可能な徐放性医薬組成物を形成することと、注射器に注射可能な徐放性医薬組成物を充填することと、を含み得る。
【0022】
一実施形態では、注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する。例えば、注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.002g/cm、1.001g/cm~1.003g/cm、1.002g/cm~1.004g/cm、1.003g/cm~1.005g/cm、1.004g/cm~1.006g/cm、1.005g/cm~1.007g/cm、1.006g/cm~1.008g/cm、1.007g/cm~1.009g/cm、1.008g/cm~1.010g/cm、1.009g/cm~1.011g/cm、1.010g/cm~1.012g/cm、1.011g/cm~1.013g/cm、1.012g/cm~1.014g/cm、または1.013g/cm~1.015g/cmの密度を有し得る。いくつかの実施例では、注射可能な徐放性医薬組成物の密度は、滅菌前に約0.004高くてもよい。他の実施例では、注射可能な徐放性医薬組成物の密度は、滅菌後に0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、または0.010g/cm低くてもよい。
【0023】
ソマトスタチン類似体はランレオチドである。酸は酢酸である。注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩を含む。注射器は、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLの用量のランレオチド酢酸塩で充填される。
【0024】
いくつかの実施形態では、混合は静的ミキサー内で実行され得る。一実施例では、静的ミキサーは可変速静的真空ミキサーであり得る。静的ミキサーは、収集シリンダー内の2つの対向するピストンの間に配置されたオリフィスプレートを含み得、その結果、ピストンがオリフィスプレートを通して組成物を押し込み、それによって組成物を混合するように動作可能となる。
【0025】
いくつかの実施形態では、混合ステップは、静的ミキサー内のオリフィスプレート上の複数のオリフィスを通して注射可能な徐放性医薬組成物を押し込むことをさらに含む。注射可能な徐放性医薬組成物は、静的ミキサー内の一対の対向するピストンを使用してオリフィスプレートを通して押し込まれる。一実施形態では、複数のオリフィスは角度を付けられている。オリフィスは、材料がオリフィスから押し出されるときに渦を巻くように、オフセット角度で切断されてもよい。いくつかの実施例では、オリフィスの角度はオリフィスプレート全体にわたって変化し得る。追加的な実施形態では、複数のオリフィスは、オリフィスプレート上で同心円状に配置され、第1の同心円内のオリフィス間の距離は、第2の同心円内のオリフィス間の距離と異なる。各列(例えば同心円)のオリフィスの角度は、わずかに異なる流れ方向を作り出すためにわずかに異なっていてもよく、ストリームがオリフィスを出るときに半固体材料間の相互作用がさらに大きくなることを可能にする。少なくとも1つの実施例では、オリフィスプレートは、底面図から90度に切断された中央部に5つの穴を有する。中央部から連続する列は、それぞれ、底面図から76度、104度、119度、及び120度ずれている場合がある。
【0026】
オリフィスプレート内のオリフィスは、組成物がオリフィスプレートに入るときに剪断を生じさせるように動作可能であり得る。例えば、オリフィスは、粘性組成物がオリフィスプレートから出るときに粘性組成物を管状構造内に押し込む押出装置として機能することができる。オリフィスの角度により、ある押出ストリームからの材料が別の押出ストリームからの材料と衝突し、それにより組成物の第1の混合物が組成物の新しい混合物の上に折り重なり得る。プレート内のオリフィスの位置のために、押出力が粘性組成物をプレート上の新しい位置に移動させ、その結果、組成物が収集シリンダーの新しい区画内に配置される。ピストンがオリフィスプレートを通して組成物を押し戻すと、組成物は新しいセットのオリフィスに入り、その結果、組成物の新しい混合物との剪断及び衝突が生じ得る。オリフィスプレートを通した組成物の反復移動により、気泡が実質的に発生することなしに均一な混合がもたらされ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、混合ステップは、静的ミキサーから大気ガスを除去し、真空を適用することをさらに含む。真空システムは、ミキサーのシリンダー内に.08TorrAの真空を生成することができる。材料にかかる力は反力を引き起こす場合があるため、ミキサーは最大1000PSIの圧力に耐えることができる。
【0028】
一実施形態では、注射可能な徐放性医薬組成物は混合中に分解されない。例えば、ミキサーにより、周囲温度での混合が可能である。非常に粘度の高い材料は、混合を可能にするために加熱する必要がある場合があり、または、混合プロセスによって生じる摩擦のために格納容器を冷却しなければならず、両方が混合中の組成物に影響を与え、組成物のタンパク質または他の構成要素の分解を引き起こす可能性があり得るため、これは利点である。
【0029】
いくつかの態様では、注射可能な徐放性医薬組成物は高い粘度を有し、混合に適している。例えば、注射可能な徐放性医薬組成物は、3,000ミルポアズ~10,000ミルポアズ、20,000ミルポアズ~40,000ミルポアズ、30,000ミルポアズ~50,000ミルポアズ、40,000ミルポアズ~60,000ミルポアズ、50,000ミルポアズ~70,000ミルポアズ、60,000ミルポアズ~80,000ミルポアズ、70,000ミルポアズ~90,000ミルポアズ、80,000ミルポアズ~100,000ミルポアズ、または最大で100,000ミルポアズの粘度を有し得る。最大100,000ミルポアズの高い粘度を持つ組成物は、均一な混合物を生成するための混合に適している。
【0030】
一実施形態では、この方法は、注射器を充填するために、オリフィスプレートを移送プレートと交換することをさらに含み得る。別の実施形態では、オリフィスプレートは取り外され、材料移送用の単一ノズル漏斗と交換される。続いてシリンダー及びピストンは移送容器となり、別個の移送容器を使用した場合と比較して製品の損失を大幅に削減できる。
【0031】
いくつかの実施形態では、注射可能な徐放性医薬組成物は、組成物内に分散した気泡をほとんど~実質的に有さない。一態様では、注射可能な徐放性医薬組成物は均一な混合物である。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、組成物の密度は、組成物中に分散する気泡の量に関連し得る。注射可能な徐放性医薬組成物は、分解することなく混合するのに適している。いくつかの態様では、気泡をほとんど~実質的に有さない均一に混合された組成物は、注射可能な徐放性医薬組成物が注射器内で少なくとも2年間の保存寿命を有することを実現し得る。
【0032】
注射可能な徐放性医薬組成物は、相変化を必要とすることなく混合した直後に注射器に充填するのに適している。例えば、注射可能な徐放性医薬組成物は凍結乾燥されておらず、投与前に再構成する必要がない。注射可能な徐放性医薬組成物は、混合した直後の投与に適している。
【0033】
一実施形態では、この方法は、充填された注射器を、滅菌中の不純物の形成を低減するために、不活性ガスを含むホイルパウチ内に保管することをさらに含み得る。いくつかの実施例では、不活性ガスは窒素であり、窒素オーバーレイがパウチに追加される。いくつかの態様では、注射器を備えたホイルパウチは、ガンマ線照射によって滅菌されてもよい。いくつかの実施例では、ガンマ線照射は≧25kGyの線量であり得る。他の実施例では、ガンマ線照射は、20kGy~30kGyの線量であり得る。
【0034】
一実施形態では、プロセスの一部として、ガンマ線照射、電子線照射、蒸気または滅菌濾過などの任意の滅菌技術を使用して、滅菌医薬組成物を得ることができ、組成物は、ランレオチド酢酸塩を含む注射可能な徐放性医薬組成物を含み、注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する。ガンマ線滅菌は、組成物の過剰な加熱または有毒化学物質への曝露を伴わずに、ランレオチド酢酸塩を含む注射可能な徐放性医薬組成物の活性医薬成分の効力を全く損なうことなく、微生物の生存確率を10-6にするのに効果的であり得る。
[例示的な実施形態]
【0035】
実施形態1:
投与に適した注射可能な徐放性医薬組成物を含む事前充填注射器であって、注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩を含み、注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する、事前充填注射器。
【0036】
実施形態2:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射器には、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLのランレオチド酢酸塩の用量が充填されている。
【0037】
実施形態3:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射可能な徐放性医薬組成物が気泡を実質的に有さない。
【0038】
実施形態4:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射可能な徐放性医薬組成物が均一な混合物である。
【0039】
実施形態5:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、相変化を必要とすることなく混合した直後に注射器に充填するのに適している。
【0040】
実施形態6:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射器内の注射可能な徐放性医薬組成物が、少なくとも2年間の保存寿命を有する。
【0041】
実施形態7:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射可能な徐放性医薬組成物が凍結乾燥されておらず、投与前に再構成する必要がない。
【0042】
実施形態8:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、分解することなく混合するのに適している。
【0043】
実施形態9:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、最大100,000ミルポアズの粘度で混合するのに適している。
【0044】
実施形態10:
実施形態1に記載の事前充填注射器であって、注射器が、窒素オーバーレイを含むホイルパウチ内に保管される。
【0045】
実施形態11:
投与に適した凍結乾燥されていない注射可能な徐放性医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物はランレオチド酢酸塩を含み、注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する。
【0046】
実施形態12:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLのランレオチド酢酸塩の用量で注射器中に含まれる。
【0047】
実施形態13:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が気泡を実質的に有さない。
【0048】
実施形態14:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が均一な混合物である。
【0049】
実施形態15:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、相変化を必要とすることなく混合した直後に注射器に充填するのに適している。
【0050】
実施形態16:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が注射器内に充填され、少なくとも2年間の保存寿命を有する。
【0051】
実施形態17:
実施形態16に記載の医薬組成物であって、注射器が、窒素オーバーレイを含むホイルパウチ内に保管される。
【0052】
実施形態18:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、投与前に再構成する必要がない。
【0053】
実施形態19:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、分解することなく混合するのに適している。
【0054】
実施形態20:
実施形態11に記載の医薬組成物であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、最大100,000ミルポアズの粘度で混合するのに適している。
【0055】
実施形態21:
注射可能な徐放性医薬組成物を調製するための方法であって、ソマトスタチン類似体塩及び酸水溶液を含む組成物を水と混合して、注射可能な徐放性医薬組成物を形成することと、注射器に注射可能な徐放性医薬組成物を充填することと、を含み、注射可能な徐放性医薬組成物は、1.000g/cm~1.015g/cmの密度を有する。
【0056】
実施形態22:
実施形態21に記載の方法であって、ソマトスタチン類似体がランレオチドである。
【0057】
実施形態23:
実施形態21に記載の方法であって、酸が酢酸である。
【0058】
実施形態24:
実施形態21に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物がランレオチド酢酸塩を含む。
【0059】
実施形態25:
実施形態24に記載の方法であって、注射器には、60mg/0.2mL、90mg/0.3mL、または120mg/0.5mLのランレオチド酢酸塩の用量が充填されている。
【0060】
実施形態26:
実施形態21に記載の方法であって、混合ステップが、静的ミキサー内のオリフィスプレート上の複数のオリフィスを通して注射可能な徐放性医薬組成物を押し込むことをさらに含む。
【0061】
実施形態27:
実施形態26に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、静的ミキサー内の一対の対向するピストンを使用してオリフィスプレートを通して押し込まれる。
【0062】
実施形態28:
実施形態26に記載の方法であって、複数のオリフィスが角度を付けられている。
【0063】
実施形態29:
実施形態26に記載の方法であって、複数のオリフィスは、オリフィスプレート上で同心円状に配置され、第1の同心円内のオリフィス間の距離は、第2の同心円内のオリフィス間の距離と異なる。
【0064】
実施形態30:
実施形態26に記載の方法であって、混合ステップが、静的ミキサーから大気ガスを除去し、真空を適用することをさらに含む。
【0065】
実施形態31:
実施形態26に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、最大100,000ミルポアズの粘度で混合するのに適している。
【0066】
実施形態32:
実施形態26に記載の方法であって、注射器を充填するために、オリフィスプレートを移送プレートと交換することをさらに含む。
【0067】
実施形態33:
実施形態21に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が混合中に分解されない。
【0068】
実施形態34:
実施形態21に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、組成物内に分布した気泡を実質的に有さない。
【0069】
実施形態35:
実施形態21に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が均一な混合物である。
【0070】
実施形態36:
実施形態21に記載の方法であって、注射器内の注射可能な徐放性医薬組成物が、少なくとも2年間の保存寿命を有する。
【0071】
実施形態37:
実施形態21に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が凍結乾燥されておらず、投与前に再構成する必要がない。
【0072】
実施形態38:
実施形態21に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、混合した直後の投与に適している。
【0073】
実施形態39:
実施形態21に記載の方法であって、注射可能な徐放性医薬組成物が、相変化を必要とすることなく混合した直後に注射器に充填するのに適している。
【0074】
実施形態40:
実施形態21に記載の方法であって、充填された注射器を、窒素オーバーレイを含むホイルパウチ内に保管することをさらに含む。
【国際調査報告】