(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】カテーテル留置システム用の分割可能な針
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 554
A61M25/06 556
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527795
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022050280
(87)【国際公開番号】W WO2023091586
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】リンデクゲル、エリック ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA23
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB08
4C267BB13
4C267BB31
4C267BB34
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH07
4C267HH08
4C267HH09
4C267HH11
(57)【要約】
改良型カテーテル留置システム(100)は、血管構造内のガイドワイヤ(130)の位置を移動させることなく、ガイドワイヤ(130)から針(120)を係合解除することが必要とされる。実施形態は、針(120)を近位に引く抜くことと、針(120)をスプリッタウェッジ(182)を含むスプリッタシステム(180)を通して引くこととを含む。スプリッタシステム(180)は、針(120)を長手方向軸に沿って分離する。次いで、ガイドワイヤ(130)の一部は、針の第1の部分(120A)と第2の部分(120B)との間を通過することができ、針(120)がガイドワイヤ(130)から係合解除することが可能となる。次いで、ガイドワイヤ(130)の近位部分上に配置されたカテーテル(150)を、ガイドワイヤ上で血管構造内に前進させることができる。針安全システム(190)は、耐穿刺性接着テープ(192)を針(120)の分割部分(120A,120B)に接着することができる。テープ(192)は、針(120)の部分(120A,120B)を封止して、針の部分(120A,120B)の鋭利なエッジによって引き起こされる損傷または外傷を軽減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル留置システムであって、
針ルーメンを画定する針と、
前記針ルーメンの一部を通って延在するガイドワイヤと、
針チャネルを画定するとともに、前記針チャネルと摺動可能に係合される前記針の一部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置されるとともに、前記針が前記針チャネルを通って近位に引き抜かれるときに前記針を長手方向に分割するように構成されたスプリッタシステムと、を備えるカテーテル留置システム。
【請求項2】
前記針は、針ハブおよびシリンジシステムの一方または両方によって近位端で支持されており、前記シリンジシステムは、前記針ルーメンを通して近位に流体流を引き込むように構成されている、請求項1に記載のカテーテル留置システム。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記針チャネルと連通するガイドワイヤチャネルをさらに含んでおり、前記ガイドワイヤチャネルは、前記針の壁に配置された開口と整列されるとともに、前記針ルーメンと連通しており、前記ガイドワイヤの一部は、前記ガイドワイヤチャネルを通り、前記開口を通って、前記針ルーメン内に延在する、請求項1または2に記載のカテーテル留置システム。
【請求項4】
前記スプリッタシステムは、前記開口の遠位に配置されるとともに、前記針を長手方向軸に沿って分割するように構成されたウェッジを含む、請求項3に記載のカテーテル留置システム。
【請求項5】
前記針は、長手方向に延在するとともに、前記スプリッタシステムと整列された引き裂き線をさらに含み、前記引き裂き線は、前記引き裂き線に沿った前記針の分離を容易にするように構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項6】
前記スプリッタシステムは、前記針の外面と前記針チャネルの内面との間に延在するとともに、前記針ルーメンへのまたは前記針ルーメンからの流体の漏出を軽減するように構成された弁をさらに含み、前記スプリッタシステムは、前記針が近位に引き抜かれるときに、前記弁を分割するように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項7】
前記針が前記スプリッタシステムによって分割された後に、前記針の第1の部分および第2の部分の一方または両方を封止するように構成された第1のテープおよび第2のテープの一方または両方を有する針安全システムをさらに含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項8】
前記第1のテープおよび前記第2のテープの一方または両方は、巻回形態で前記ハウジング内に配置されるとともに、前記針が前記ハウジングから近位に引き抜かれるときに、巻回解除形態に移行するように構成されている、請求項7に記載のカテーテル留置システム。
【請求項9】
前記第1のテープの上端は、前記第2のテープの上端に接着するように構成され、前記第1のテープの下端は、前記第2のテープの下端に接着するように構成されて、前記第1のテープと前記第2のテープとの間に前記針の前記第1の部分および前記第2の部分を封止するようになっている、請求項7または8に記載のカテーテル留置システム。
【請求項10】
巻回解除形態の前記第1のテープは、前記針の前記第1の部分を封止するように設計されており、前記巻回解除形態の前記第2のテープは、前記針の前記第2の部分を封止するように設計されている、請求項7または8に記載のカテーテル留置システム。
【請求項11】
前記第1のテープの上端は、前記第1のテープの下端に重なって、前記針の前記第1の部分および前記第2の部分の一方または両方を封止するように構成されている、請求項7、8、および10のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項12】
前記第1のテープは、前記針の前記第1の部分の内面に接着され、前記第1のテープの遠位端は、外側に折り曲げられて前記第1の部分の外面に接着するように構成されており、前記第2のテープは、前記針の前記第2の部分の内面に接着され、前記第1のテープの遠位端は、外側に折り曲げられて前記第2の部分の外面に接着するように構成されている、請求項7乃至11のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項13】
前記第1のテープおよび前記第2のテープの一方または両方が第1の材料を含み、前記第1の材料が、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、または耐穿刺性材料のうちの1つまたは複数を含む、請求項7乃至12のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項14】
前記第1のテープおよび前記第2のテープの一方または両方が補強部分を含んでいる、請求項7乃至13のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項15】
前記補強部分は、増厚部分または前記第1の材料とは異なる第2の材料のうちの1つを含み、前記第2の材料が、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、または耐穿刺性材料のうちの1つを含む、請求項14に記載のカテーテル留置システム。
【請求項16】
前記ガイドワイヤの近位部分に配置されたカテーテルをさらに含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のカテーテル留置システム。
【請求項17】
前記カテーテルは、遠位に配置されるとともに、第1の直径を規定する第1のセクションと、近位に配置されるとともに、前記第1の直径よりも大きい第2の直径を規定する第2のセクションと、前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間に延在する移行セクションとを含む、請求項16に記載のカテーテル留置システム。
【請求項18】
前記第1のセクションが単一のルーメンを画定し、前記第2のセクションが2つ以上のルーメンを画定している、請求項17に記載のカテーテル留置システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
中心静脈カテーテル(「CVC:Central venouscatheter」)は、一般的に、セルディンガー技法によって患者に導入され、患者の血管構造を通して前進させられる。セルディンガー技法は、いくつかのステップおよび医療デバイス(例えば、針、メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ダイレータ、CVC等)を利用する。セルディンガー技法は効果的であるが、ステップが多いために時間がかかり、多くの医療デバイスを取り扱うことは厄介であり、これら両方については、患者の外傷または感染のリスクの増加につながる可能性がある。セルディンガー技法の間に交換する必要がある医療デバイスの数が多いことに起因して、接触汚染の可能性が比較的高い。従って、CVC等のカテーテルを患者の体内に留置する際に伴うステップおよび医療デバイスの数を低減するために、改良型カテーテル留置システムが開発されてきた。
【0002】
これらの改良型カテーテル留置システムの中には、針を用いて血管構造にアクセスすることと、ガイドワイヤを用いてアクセス部位を安定させることとを含む。好ましくは、ガイドワイヤの遠位部分は、針のルーメン内に配置され、同時に前進させられる。従って、血管構造に到達した時点でガイドワイヤはすでに定位置にあり、プロセスが迅速化される。さらに、ガイドワイヤの近位部分は、ガイドワイヤ上に配置された(「事前装填された」と呼ぶ)カテーテルを含むことができ、カテーテルをガイドワイヤを通して血管構造内に前進させることがさらに促進される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ガイドワイヤの遠位先端を移動させることなく、かつガイドワイヤの近位部分からカテーテルを取り外すことなく、針を安全に取り外す方法に関して問題が生じ得る。本明細書に開示されるのは、ガイドワイヤの位置を移動させることなく、アクセス部位から針を取り外すための改良型カテーテル留置システムおよび関連方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示されるのは、カテーテル留置システムであり、カテーテル留置システムは、針ルーメンを画定する針と、針ルーメンの一部を通って延在するガイドワイヤと、針チャネルを画定するとともに、針チャネルと摺動可能に係合される針の一部を有するハウジングと、ハウジング内に配置されるとともに、針が針チャネルを通って近位に引き抜かれるときに、針を長手方向に分割するように構成されたスプリッタシステムと、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、針は、針ハブおよびシリンジシステムの一方または両方によって近位端で支持されており、シリンジシステムは、針ルーメンを通して近位に流体流を引き込むように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、針チャネルと連通するガイドワイヤチャネルをさらに含んでおり、ガイドワイヤチャネルは、針の壁の中に配置された開口と整列されるとともに、針ルーメンと連通しており、ガイドワイヤの一部は、ガイドワイヤチャネルを通り、開口を通って、針ルーメン内に延在する。
【0007】
いくつかの実施形態では、スプリッタシステムは、開口の遠位に配置されるとともに、針を長手方向軸に沿って分割するように構成されたウェッジを含む。
いくつかの実施形態では、針は、長手方向に延在するとともに、スプリッタシステムと整列された引き裂き線をさらに含み、引き裂き線は、引き裂き線に沿った針の分離を容易にするように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、スプリッタシステムは、針の外面と針チャネルの内面との間に延在するとともに、針ルーメンへのまたは針ルーメンからの流体の漏出を軽減するように構成された弁をさらに含み、スプリッタシステムは、針が近位に引き抜かれるときに、弁を分割するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテル留置システムは、針がスプリッタシステムによって分割された後に、針の第1の部分および第2の部分の一方または両方を封止するように構成された第1のテープおよび第2のテープの一方または両方を有する針安全システムをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のテープおよび第2のテープのうちの一方または両方は、巻回形態でハウジング内に配置されるとともに、針がハウジングから近位に引き抜かれるときに、巻回解除形態に移行するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のテープの上端は、第2のテープの上端に接着するように構成され、第1のテープの下端は、第2のテープの下端に接着するように構成されて、前記第1のテープと前記第2のテープとの間に針の第1の部分および第2の部分を封止するようになっている。
【0012】
いくつかの実施形態では、巻回解除形態の第1のテープは、針の第1の部分を封止するように設計されており、巻回解除形態の第2のテープは、針の第2の部分を封止するように設計されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のテープの上端は、第1のテープの下端に重なって、針の第1の部分および第2の部分の一方または両方を封止するように構成されている。
いくつかの実施形態では、第1のテープは、針の第1の部分の内面に接着され、第1のテープの遠位端は、外側に折り曲げられて第1の部分の外面に接着するように構成されており、第2のテープは、針の第2の部分の内面に接着され、第1のテープの遠位端は、外側に折り曲げられて第2の部分の外面に接着するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のテープおよび第2のテープの一方または両方が第1の材料を含み、第1の材料が、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、または耐穿刺性材料のうちの1つまたは複数を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のテープおよび第2のテープの一方または両方は、補強部分を含む。
いくつかの実施形態では、補強部分は、増厚部分または第1の材料とは異なる第2の材料のうちの1つを含み、第2の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、または耐穿刺性材料のうちの1つを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、カテーテル留置システムは、ガイドワイヤの近位部分に配置されたカテーテルをさらに含む。
いくつかの実施形態では、カテーテルは、遠位に配置されるとともに、第1の直径を規定する第1のセクションと、近位に配置されるとともに、第1の直径よりも大きい第2の直径を規定する第2のセクションと、第1のセクションと第2のセクションとの間に延在する移行セクションとを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のセクションは単一のルーメンを画定し、第2のセクションは2つ以上のルーメンを画定している。
また、カテーテル留置システムの針を封止する方法も開示され、方法は、針を用いて患者の血管構造にアクセスするステップと、針のルーメンを通してガイドワイヤの一部を前進させるステップと、ハウジングのチャネルを通して針を近位に引き抜くステップと、針を第1の針半体および第2の針半体に長手方向方向に分割するステップと、ガイドワイヤの一部を第1の針半体と第2の針半体との間に長手方向方向に通過させることによって、ガイドワイヤを針から係合解除させるステップと、第1の針半体および第2の針半体の一方または両方を第1の接着テープおよび第2の接着テープの一方または両方と係合させるステップとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、針は、長手方向に延在するとともに、針を第1の針半体および第2の針半体に長手方向に分離することを容易にするように構成された引き裂き線をさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、針の側壁を通して延在するとともに、針ルーメンと連通する開口を通して、ガイドワイヤの一部を前進させるステップを含む。
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、スプリッタウェッジを通して針を引き抜いて、針を第1の針半体および第2の針半体に分割するステップを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の接着テープの上端を第2の接着テープの上端に接着し、第1の接着テープの下端を第2の接着テープの下端に接着して、第1の接着テープと第2の接着テープとの間に第1の針半体および第2の針半体を封止するステップをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の接着テープを第1の針半体に接着するステップをさらに含み、第1の接着テープの上端は、第1の針半体の上端を覆って、第1の針半体の内面に接着して延在し、第1の接着テープの下端は、第1の針半体の下端を覆って、第1の針半体の内面に接着して延在している。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、第2の接着テープを第2の針半体に接着するステップを含み、第2の接着テープの上端は、第2の針半体の上端を覆って、第2の針半体の内面に接着して延在し、第2の接着テープの下端は、第2の針半体の下端を覆って、第2の針半体の内面に接着して延在している。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の接着テープを第1の針半体および第2の針半体の一方または両方に接着するステップをさらに含み、第1の接着テープの上端は、第1の接着テープの下端と重なっている。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の接着テープを第1の針半体の内面に接着するステップと、第1の接着テープの遠位部分を外側に折り曲げて、第1の針半体の外面に係合させるステップと、第2の接着テープを第2の針半体の内面に接着するステップと、第2の接着テープの遠位部分を外側に折り曲げて、第2の針半体の外面に係合させるステップとをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の接着テープおよび第2の接着テープの一方または両方は、第1の材料を含み、第1の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、または耐穿刺性材料のうちの1つまたは複数を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の接着テープおよび第2の接着テープの一方または両方は、増厚部分または第1の材料とは異なる第2の材料のうちの1つを有する補強部分を含み、第2の材料は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、または耐穿刺性材料のうちの1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示のより詳細な説明は、添付の図面に示されるその特定の実施形態を参照することによって提供される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、従って、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではないことが理解される。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用することによって、さらに具体的かつ詳細に記載され説明される。
【
図1A】本明細書に開示される実施形態による、展開された形態のカテーテル留置システムの斜視図である。
【
図1B】本明細書に開示される実施形態による、使用の準備が整った折り畳まれた形態のカテーテル留置システムの平面図である。
【
図1C】本明細書に開示される実施形態による、折り畳まれた形態のカテーテル留置システムの斜視図である。
【
図2】本明細書に開示される実施形態による、展開された形態のカテーテル留置システムのカテーテルの側面図である。
【
図3A】本明細書に開示される実施形態による、
図2のカテーテルの遠位部分の拡大した詳細図を示す図である。
【
図3B-3C】本明細書に開示される実施形態による、
図3Aのカテーテルの断面図である。
【
図4】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル留置システムの遠位部分の長手方向断面図である。
【
図5A】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル留置システムのための例示的な使用方法を示す図である。
【
図5B】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル留置システムのための例示的な使用方法を示す図である。
【
図5C】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル留置システムのための例示的な使用方法を示す図である。
【
図5D】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル留置システムのための例示的な使用方法を示す図である。
【
図5E】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル留置システムのための例示的な使用方法を示す図である。
【
図6A】本明細書に開示される実施形態による、針の取り外し前のカテーテル留置システムのための針の側面断面図である。
【
図6B】本明細書に開示される実施形態による、針の取り外し前のカテーテル留置システムのための針の平面断面図である。
【
図6C】本明細書に開示される実施形態による、針の取り外し後のカテーテル留置システムのための針の平面断面図である。
【
図7A】本明細書に開示される実施形態による、カテーテル留置システムのための針および針安全システムの斜視図である。
【
図7B】本明細書に開示される実施形態による、針安全システムの拡大した詳細を示す図である。
【
図7C】本明細書に開示される実施形態による、針安全システムの第1のテープと第2のテープとの間に配置された針の斜視図である。
【
図7D】本明細書に開示される実施形態による、針安全システムによって封止された針の側面図である。
【
図8A-8B】本明細書に開示される実施形態による、針および針安全システムのための例示的な使用方法の横方向断面図である。
【
図8C-8D】本明細書に開示される実施形態による、針および針安全システムのための例示的な使用方法の横方向断面図である。
【
図8E】本明細書に開示される実施形態による、針および針安全システムのための例示的な使用方法の横方向断面図である。
【
図9A】本明細書に開示される実施形態による、針および針安全システムのための例示的な使用方法の平面図である。
【
図9B】本明細書に開示される実施形態による、針および針安全システムのための例示的な使用方法の平面図である。
【
図10A-10B】本明細書に開示される実施形態による、針および針安全システムのための例示的な使用方法の平面図である。
【
図10C】本明細書に開示される実施形態による、針および針安全システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書で開示される特定の実施形態は、本明細書で提供される概念の範囲を限定するものではないことを理解されたい。また、本明細書で開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができ、本明細書に開示されるいくつかの他の実施形態のうちのいずれかの特徴と任意に組み合わされるか、またはそれと置換され得る特徴を有することができることを理解されたい。
【0029】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書で提供される概念の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3等)は、概して、特徴またはステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続性の限定または数値的限定をもたらすのものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、および「第3の」特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜上使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、方位、または方向を意味することを意図するものではない。その代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、方位、または方向を反映するために使用される。「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の単数形は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数への言及を含む。
【0030】
以下の説明では、本明細書で使用される「または」および「および/または」という用語は、包括的であるか、または任意の1つもしくは任意の組合せを意味するものと解釈されるべきである。一例として、「A、BまたはC」または「A、Bおよび/またはC」は、「A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、A、BおよびCのいずれか」を意味する。この定義に対する例外は、要素、構成要素、機能、ステップまたは動作の組合せが、何らかの形で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0031】
「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの一部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることが意図されるカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。即ち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0032】
「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者内にあることが意図されるカテーテルの一部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者内にあることが意図されるカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者内にあることが意図されるカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長は、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。即ち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0033】
図1Aに示されるように、本明細書に説明される実施形態の説明を補助するために、長手方向軸は、針の軸方向長さに実質的に平行に延在する。横方向軸は、長手方向軸に対して垂直に延在し、横断軸は、長手方向軸および横方向軸の両方に対して垂直に延在する。
【0034】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
図1A~
図1Cは、概して、針120と、ガイドワイヤ130と、シリンジシステム140と、カテーテル150と、ニードルハウジング(「ハウジング」)170とを含む例示的な改良型カテーテル留置システム(「システム」)100を示す。
図1Aは、説明を簡単にするために、展開された形態のシステム100を示す。
図1Bは、使用の準備が整った折り畳まれた形態のシステム100の平面図を示す。
図1Cは、折り畳まれた形態のシステム100の斜視図を示す。一実施形態では、カテーテル留置システム100は、急速挿入可能な中心カテーテル(RICC:Rapidly InsertableCentralCatheter)150を留置するように構成されたRICC留置システム100とすることができる。しかしながら、他の種類のカテーテルを留置するように構成された他のカテーテル留置システムも企図されることが理解されるであろう。また、例示的なカテーテル150は、末梢静脈(PIV:peripheral intravenous)カテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC:peripherally insertedcentralcatheter)、中心静脈カテーテル(CVC:central venouscatheters)、正中線カテーテル、透析カテーテル、シングルルーメンカテーテル、マルチルーメンカテーテル、または同様ものを含むことができる。
【0035】
一実施形態では、カテーテル150は、概して、カテーテルハブ(「ハブ」)160によって近位端で支持されたカテーテル本体152を含むことができる。ハブ160は、ハブ160から近位に延在する1つまたは複数の延長脚部162を含むことができる。1つまたは複数の延長脚部162の各延長脚部は、カテーテル本体152のルーメンと流体連通することができる。カテーテル本体152は、遠位に配置された第1のセクション154と、近位に配置された第2のセクション156と、それらの間に配置された移行セクション158とを含むことができる。第1のセクション154は、単一のルーメンを画定することができるとともに、第1の外径を有することができ、第2のセクション156は、2つ以上のルーメンを画定することができるとともに、第1の直径よりも大きい第2の直径を有することができる。第1のセクション154と第2のセクション156との間に配置された移行セクション158は、第1のセクションの第1の直径から第2のセクションの第2の直径まで延在するテーパ形状を画定することができる。ガイドワイヤ130は、延長脚部162の近位端から第1のセクション154の遠位先端まで、カテーテル150のルーメンを通って延在することができる。
【0036】
図2は、システム100の例示的なカテーテル150のさらなる詳細を示す。本明細書に記載されるように、カテーテル150の異なるセクションは、異なる機能を果たす必要があり、そのため異なる機械的特性を示す必要がある。例えば、第1のセクション154および移行セクション158は、第2のセクション156に対して、より剛性の高い機械的特性またはより硬いデュロメータ材料を提供することができる。従って、第1のセクション154および移行セクション158は、これらのセクションが遠位方向に付勢されて挿入部位を形成し、かつ拡張するときに、ねじれまたは潰れることなく、より大きな軸方向の力に耐えることができる。第2のセクション156は、蛇行した血管経路を通って第2のセクション156が通り抜けるのを容易にするために、より柔らかいデュロメータ、またはより適合した材料で形成することができる。
【0037】
図3A~
図3Cは、第1のセクション154、第2のセクション156、および移行セクション158を含む、カテーテル150の遠位部分のさらなる詳細を示す。一実施形態では、第2のセクション156は、近位ルーメン開口116Aで終端する近位ルーメン114Aと、中間ルーメン開口116Bで終端する中間ルーメン114Bとを含むことができる。近位ルーメン開口116Aおよび中間ルーメン開口116Bの各々は、第2のセクション156の側壁を貫通して延在することができる。近位ルーメン開口116Aおよび中間ルーメン開口116Bの各々は、移行セクション158の近位側に配置することができる。近位ルーメン開口116Aは、中間ルーメン開口116Bの近位に配置することができる。一実施形態では、近位ルーメン開口116Aおよび中間ルーメン開口116Bは、カテーテル150の遠位先端118から等距離に配置することができる。
【0038】
図3Bは、
図3Aの点「A」におけるカテーテル本体152の断面図を示す。図示されるように、第1のセクション154は、単一のルーメンおよび比較的小さい外径を画定することができる。一実施形態では、第1のセクション154の近位部分は、移行セクション158の遠位部分内に受容され得る。カテーテル150の遠位ルーメン114Cは、カテーテル150の遠位先端118まで延在することができるとともに、遠位ルーメン開口116Cと連通することができる。
図3Cは、
図3Aの点「B」における第2のセクション156の断面図を示し、近位ルーメン114A、中間ルーメン114B、および遠位ルーメン114Cを示す。
【0039】
図4は、針120と、ガイドワイヤ130と、シリンジシステム140の遠位部分と、本明細書でより詳細に説明されるようなニードルスプリッタシステム180を含むニードルハウジング(「ハウジング」)170とを含むカテーテル留置システム100の遠位部分の長手方向断面図を示す。一実施形態では、針120の近位端は針ハブによって支持され、針ハブは、シリンジシステム140の遠位端に連結され、かつシリンジシステム140の遠位端によって支持され得る。シリンジシステム140は、針ルーメン122と流体連通することができる。シリンジシステム140は、針ルーメン122内に真空を形成し、針ルーメン122を通して近位に流体流を引き込むように構成することができる。一実施形態では、針120は、針120の壁に配置されるとともに、針ルーメン122と連通するガイドワイヤ開口124を含むことができる。ガイドワイヤ130の遠位部分は、ガイドワイヤ開口124を通って針ルーメン122内に延在することができる。一実施形態では、ガイドワイヤ130の遠位先端138は、針120の遠位先端128に近接して配置することができる。従って、一旦針120が血管構造に到達すると、ガイドワイヤ130の遠位先端138を血管構造内に配置することができ、カテーテル150の留置を迅速に行うことができる。
【0040】
一実施形態では、カテーテル留置システム100は、ハウジング170を含むことができる。ハウジング170は、ハウジング170の近位端176と遠位端178との間に延在する針チャネル172を含むことができる。ハウジング170は、針チャネル172と連通するとともに、針チャネル172から一定の角度で延在するガイドワイヤチャネル174をさらに含むことができる。針120の一部は、針チャネル172に摺動可能に係合することができる。さらに、ハウジングの近位端176は、針ハブおよびシリンジシステム140の遠位部分の一方または両方に解放可能に係合することができる。ハウジング170がシリンジシステム140と係合されると、針120のガイドワイヤ開口124は、ハウジング170のガイドワイヤチャネル174と整列することができる。従って、ガイドワイヤ130は、ハウジング170のガイドワイヤチャネル174を通り、針120のガイドワイヤ開口124を通って、針ルーメン122内に延在することができる。
【0041】
図5A~
図5Eは、カテーテル留置システム100を使用してカテーテル150を留置する例示的な方法を示す。
図5Aに示されるように、針120は、患者の表面組織90を貫通し、血管構造80に到達して、挿入部位を形成することができる。
図5Bに示されるように、シリンジシステム140または同様のデバイスは、真空を形成し、針ルーメン122を通して近位に流体流を引き込むことができる。使用者は、血流または拍動流を観察して、正しい血管アクセスを確認することができる。正しくない血管アクセスが確認された場合、針120を引き抜いて、挿入部位を閉鎖することができる。
図5Cに示されるように、正しい血管アクセスが確認されると、次いで、ガイドワイヤ130が、針ルーメン122を通して血管構造80内に前進させられ、挿入部位の開存性を維持することができる。
【0042】
図5Dに示されるように、針120およびシリンジシステム140のアセンブリは、ガイドワイヤ130の遠位部分を血管構造80内の定位置に残しながら、ガイドワイヤ130から針120を係合解除するために近位に引き抜くことができる。本明細書でより詳細に説明されるように、ハウジング170は、針120が近位に引き抜かれるときに針120を長手方向に分割するように構成されたスプリッタシステム180を含むことができる。ガイドワイヤ130の一部は、針120がガイドワイヤ130を係合解除することが可能となるように、針120の2つの半分の間を通過することができる。
【0043】
図5Eに示されるように、針120およびシリンジシステム140のアセンブリがガイドワイヤ130から係合解除された状態で、カテーテル150は、次いで、ガイドワイヤ130上を通って血管構造内に前進させられることができる。単一のルーメンのみを有するとともに、比較的小さい外径を画定するカテーテル150の第1のセクション154は、ガイドワイヤ130上を通って血管構造80に進入し、挿入部位を固定することができる。次いで、移行セクション158を遠位方向に付勢し、挿入部位を拡張させて、2つ以上のルーメンを画定する比較的大きな直径の第2のセクション156が血管構造80に入ることが可能となるようにすることができる。カテーテル150が留置されると、ガイドワイヤ130を近位に引き出すことができる。
【0044】
RICCシステム100のさらなる詳細および実施形態は、例えば、米国特許第10,376,675号、米国特許出願公開第2019/0255294号、米国特許出願公開第2021/0069471号、米国特許出願公開第2021/0085927号、米国特許出願公開第2021/0113809号、米国特許出願公開第2021/0113810号、米国特許出願公開第2021/0121661号、米国特許出願公開第2021/0228843号、米国特許出願公開第2021/0283368号、米国特許出願公開第2021/0283381号、米国特許出願公開第2021/0322729号、米国特許出願公開第2021/0330941号、米国特許出願公開第2021/0330942号、米国特許出願公開第2021/0361915号、米国特許出願公開第2021/0379336号、米国特許出願公開第2021/0402142号、米国特許出願公開第2021/0402149号、米国特許出願公開第2021/0402153号、米国特許出願公開第2021/0121667号、米国特許出願公開第2022/0001138号、米国特許出願公開第2022/0032013号、米国特許出願公開第2022/0032014号、米国特許出願公開第2022/0062528号、米国特許出願公開第2022/0126064号、米国特許出願公開第2022/0152368号、米国特許出願公開第2022/0176081号、米国特許出願公開第2022/0176082号、米国特許出願公開第2022/0193376号、米国特許出願公開第2022/0193377号、米国特許出願公開第2022/0193378号、米国特許出願公開第2022/0193379号、および米国特許出願公開第2022/0296862号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
一実施形態では、
図6A~
図6Cに示すように、カテーテル留置システム100は、分割可能な針120と、針120を長手方向軸に沿って第1の部分120Aと第2の部分120Bとに分離するように構成されたスプリッタシステム180とを含むことができる。従って、ガイドワイヤ130は、針120の第1の部分120Aと第2の部分120Bとの間を通過して、留置中に針120をガイドワイヤ130から係合解除することを可能にすることができる(例えば、
図5D)。有利には、カテーテル留置システム100は、ガイドワイヤ130の位置を移動させることなく、針120を迅速に取り外すことができる。さらに、針120は、カテーテル150がガイドワイヤ130の近位部分上に「事前装填」されたままの状態である間に、取り外すことができる。従って、留置プロセスを迅速化することができ、挿入部位への挿入および挿入部位からの取り外しの回数を減らすことができ、感染の発生を軽減することができる。
【0046】
図6Aは、針120の取り外し前の針120およびスプリッタシステム180の長手方向断面側面図を示す。
図6Bは、針120の取り外し前の針120およびスプリッタシステム180の長手方向断面平面図を示す。
図6Cは、針120の取り外し後の針120およびスプリッタシステム180の長手方向断面平面図を示す。
【0047】
ガイドワイヤ130が針ルーメン122を通って血管構造80内に前進すると、針120を近位に引き抜くことができる(
図5D)。針120をガイドワイヤ130から係合解除するために、針120は、ニードルハウジング170内に配置されたスプリッタシステム180を通って引き抜かれ得る。スプリッタシステム180は、ハウジング170によって支持されるとともに、針チャネル172内に半径方向内側に延在するスプリッタウェッジ(「ウェッジ(wedge)」)182を含むことができる。一実施形態において、ウェッジ182は、針120の壁を貫通して半径方向内側に延在することができる。一実施形態では、スプリッタシステム180は、第1のウェッジと、針120の中心長手方向軸を挟んで第1のウェッジとは反対側に配置された第2のウェッジとを含むことができる。ウェッジ(複数可)182は、針120を長手方向軸に沿って分割し、針120を第1の部分120Aおよび第2の部分120Bに分離するように構成され得る。一実施形態では、ウェッジ(複数可)182は、横断面(transverse plane)に沿って、横方向面(lateral plane)に沿って、またはそれに対して一定の角度で延在する平面に沿って配置され得る。一実施形態では、ウェッジ182は、ウェッジ182の遠位端に配置されたブレードまたは同様の鋭利なエッジを含むことができる。ウェッジ182は、プラスチック、ポリマー、金属、合金、硬化鋼、複合材料、鉱物、ダイヤモンド刃先、またはそれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態では、ウェッジ182は、ハウジング170のガイドワイヤ開口124およびガイドワイヤチャネル174の一方または両方の遠位に配置され得る。一実施形態では、ウェッジ182は、ハウジング170のガイドワイヤ開口124およびガイドワイヤチャネル174の一方または両方の近位に配置され得る。
【0048】
一実施形態では、針120は、針120に沿って長手方向に延在するとともに、ウェッジ182と整列された引き裂き線126を含むことができる。引き裂き線126は、引き裂き線126に沿った針120の分離を容易にするように構成されたミシン目、レーザ切断線、溝、切り込み線(score line)、または同様の脆弱線を含むことができる。また、引き裂き線126は、流体不透過性であるように構成することができるとともに、針120が2つの別個の部分120A、120Bに分割される前に、流体が引き裂き線126を通過することを防止することができることに留意することが重要である。従って、針120は、針ルーメン122の完全性を維持することができるとともに、流体が針ルーメン122内または外に漏出することを軽減するために、引き裂き線124を覆うように配置される二次シースまたは同等物を必要としない。
【0049】
一実施形態では、スプリッタシステム180は、弁184をさらに含むことができる。弁184は、針120の周囲に環状に延在するとともに、針120の外面と針チャネル172の内面との間に延在して、針120と針チャネル172との間に流体密封シールを維持することができる。一実施形態では、弁184は、ウェッジ182およびガイドワイヤ開口124の一方または両方の遠位にある第1の点から、ウェッジ182およびガイドワイヤ開口124の一方または両方の近位にある第2の点まで長手方向に延在することができる。一実施形態では、スプリッタシステム180は、ウェッジ182およびガイドワイヤ開口124の一方または両方の遠位にある第1の点に配置された第1の弁184と、ウェッジ182およびガイドワイヤ開口124の一方または両方の近位にある第2の点に配置された第2の弁184とを含む。
【0050】
一実施形態では、スプリッタシステム180は、ハウジング170のガイドワイヤチャネル174内に配置されるとともに、ガイドワイヤチャネル174を通る流体の漏出を軽減するように構成された第3の弁184をさらに含むことができる。第3の弁184は、ガイドワイヤ130の外面とガイドワイヤチャネル174の内壁との間に延在して、ガイドワイヤ130の外面とガイドワイヤチャネル174の内壁との間に流体密封シールを提供することができる。従って、弁(複数可)184は、例えば、ハウジング170のガイドワイヤ開口124およびガイドワイヤチャネル174の一方または両方を通して、流体が針ルーメンから漏出することを防止または軽減することができる。任意選択的に、シリンジシステム140が針ルーメン122に真空が印加されると、弁184は、針ルーメン122内の真空の完全性を維持して、遠位先端128から流体を引き込むことができるとともに、流体流が近位部分、例えばガイドワイヤ開口124を通って針ルーメン122に入るのを防止することができる。
図6Cに示されるように、針120がスプリッタシステム180を通して近位に引き出されると、ウェッジ182は、針120と弁184の両方を長手方向軸に沿って分離することができる。次いで、ガイドワイヤ130は、針120および弁184の2つの部分の間を通過して、針120、スプリッタシステム180、およびハウジング170のアセンブリを係合解除することができる。
【0051】
一実施形態では、
図7A~
図10Cに示すように、カテーテル留置システム100は、針安全システム190をさらに含むことができる。針安全システム190は、第1の針部分120Aおよび第2の針部分120Bの一方または両方に係合して、これらの部分120A、120Bを封止するように構成することができ、針120が近位に引き抜かれるときに、周囲構造への損傷を引き起こすこと、外傷を引き起こすこと、または使用者が体液にさらされることを軽減する。例えば、針120を長手方向に分割することにより、第1の部分120Aまたは第2の部分120Bの長手方向の上端または下端に沿って鋭利なエッジが形成され得る。これらの鋭利なエッジは、針120が近位に引き抜かれるときに、システム100の周囲構造に損傷を引き起こす可能性があり、または使用者もしくは患者に外傷を引き起こす可能性がある。さらに、血管構造80から引き抜かれる針120は、針120の上に配置された体液(例えば、血液など)を含み得る。針安全システム190による針120の封止は、周囲構造への損傷、使用者または患者への外傷、およびこれらの使用者が体液にさらされることを軽減することができる。
【0052】
一実施形態では、針安全システム190は、1つまたは複数のテープ192、例えば第1のテープ192Aおよび第2のテープ192Bを含むことができる。テープ192は、第1の材料で形成することができるとともに、プラスチック、ポリマー、金属、合金、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、これらの組み合わせ、または同等物などの可撓性のある耐穿刺性材料を含むことができる。一実施形態では、
図7B、
図8A~
図8Bに示すように、テープ192は補強材188を含むことができる。一実施形態では、補強材188は、テープ192の第1の材料の増厚部分(thickened portion)を含むことができる。一実施形態では、補強材188は、第1の材料とは異なる第2の材料を含むことができるとともに、より剛性の高い、またはより耐穿刺性の高い機械的特性を含むことができる。例えば、補強材188は、金属、合金、ポリマー、複合材料、ケブラー(KEVLAR(登録商標))、それらの組み合わせ、または同等物などを含むことができる。一実施形態では、補強材188は、テープ192の外面、内面に配置することができるか、またはテープ192の壁内に配置することができる。一実施形態では、補強材188は、テープ192の長さに沿って長手方向に延在することができる。有利には、補強材188は、本明細書で説明するように、針部分120A、120Bの鋭利なエッジがテープ192を貫通して針部分120A、120Bが露出し、使用者が損傷、外傷、またはさらされることを受けるリスクを軽減することができる。
【0053】
一実施形態では、テープ192は、テープ192の表面、例えば内面および外面の一方または両方に配置された接着剤層186を含むことができる。接着剤層186は、テープ192を針120またはその一部に接着するように構成することができる。一実施形態では、接着剤層186は、使用前に接着剤層を保護するとともに、接着剤層186が表面に早期に接着するのを防止するように構成されたバッキング層(backing layer)194を含むことができる。
【0054】
図7A~
図7Dを引き続き参照すると、
図7Aは、針120および針安全システム190を示し、ハウジング170およびニードルスプリッタシステム180は、図示を簡単にするために除去されている。
図7Bは、針120および針安全システム190の拡大した詳細を示し、説明を簡単にするために、ハウジング170、スプリッタシステム180、およびガイドワイヤ130がワイヤフレームで示されている。一実施形態では、テープ192は、ハウジング170内に巻回形態で配置することができるが、展開前のテープ192の他の形態も企図される。巻回形態のテープ192は、ウェッジ182の近位に配置され得る。実施形態では、テープ192の近位端196は、針120の近位部分に接着することができ、例えば、第1のテープ192Aの第1の近位端196Aは、第1の針部分120Aに接着することができ、第2のテープ192Bの第2の近位端196Bは、第2の針部分120Bに接着することができる。
【0055】
一実施形態では、
図7C~
図7Dに示すように、針120が近位に引き抜かれると、テープ192A、192Bは、巻回形態から巻回解除形態に移行し、針の個々の部分120A、120Bに付着して、針120の全長に沿って部分120A、120B、より具体的には鋭利なエッジを包み込むことができる。
【0056】
図7Cは、巻回解除形態における、テープ192A、192Bの間に配置された針120の斜視図を示す。テープ192A、192Bは、次いで、テープ192A、192Bの間に針120を封止するように共に接着することができる。
図7Dは、共に接着されたテープ192A、192B内に封止された針120の側面図を示す。一実施形態では、テープ192の遠位端198は、遠位針先端128の遠位に延在することができる。従って、第2のテープ192Bの遠位部分に接着された第1のテープ192Aの遠位部分は、鋭利な針先端128が偶発的な針刺し損傷を引き起こすのを軽減することができる。一実施形態では、テープ192の遠位部分は、本明細書に記載されるように、補強材188を含むことができる。補強材188は、テープ192A、192Bの遠位部分を硬化または補強して、鋭利な遠位針先端128を包み込むとともに、偶発的な針刺し損傷を軽減することができる。一実施形態では、第1のテープ192Aおよび第2のテープ192Bの一方または両方の外面は、非限定的な例として、英数字記号、分類およびラベリングの世界調和システム(「GHS:Globally Harmonized System of Classification and Labeling」)記号、危険有害性周知基準(HCS:Hazard Communication Standard)記号、色、テクスチャ、またはテープ192がバイオハザードもしくは鋭利な物体と関与しており、かつ適切な廃棄を必要とすることを示す同様の視覚的表示または触覚的表示などの記号164を含むことができる。有利なことに、記号164は、使用済みの針120の誤った取り扱いを軽減することができる。さらに、記号164を事前に印刷することにより、使用者への作業負荷を軽減し、使用済みの針120の取り扱いにおける人為的ミスを軽減することができる。
【0057】
図8A~
図8Eは、テープ192A、192B内に針120を封止する例示的な方法を示す。
図8A~
図8Eは、針120およびテープ192A、192Bの横方向断面図を示す。
図8Aは、針120がスプリッタシステム180によって分割される前の針120およびテープ192A、192Bを示す。
図8Bは、第1の部分120Aおよび第2の部分120Bに分割された針120を示す。バッキング層194が取り外されると、第1のテープ192Aの接着表面186は、第1の針部分120Aの外面に接着することができ、第2のテープ192Bの接着表面186は、第2の針部分120Bの外面に接着することができる。一実施形態において、テープ192は、本明細書に記載されるように、長手方向に延在する補強材188を含むことができる。注目すべきことは、引き裂き線126に沿って針120を分割する際に、第1の針部分120Aおよび第2の針部分120Bの長手方向の上端および長手方向の下端が鋭利になり、損傷または外傷を引き起こす可能性があることである。第1の針部分120Aおよび第2の針部分120Bの上端および下端を封止することにより、損傷または外傷を軽減することができる。
【0058】
図8Cは、針120の第1の部分120Aおよび第2の部分120Bを封止する実施形態を示し、第1のテープ192Aの上側部分が第2のテープ192Bの上側部分に接着し、第1のテープ192Aの下側部分が第2のテープ192Bの下側部分に接着して、それらの間に針120を封止する。一実施形態では、
図7Bに示すように、針部分120A、120Bの封止は、ハウジング170内で、かつ針120を係合解除するガイドワイヤ130の近位で行うことができる。従って、針120は、ハウジング170を出る前に封止することができるため、使用者が偶発的な損傷または外傷を受けること、偶発的に体液にさらされることが軽減される。
【0059】
ある実施形態では、
図8Dに示されるように、テープ192の上端166および下端168は、個別の針部分の上端および下端を折り返して、個別の針部分の内面に接着することができる。従って、第1のテープ192Aは、第1の針部分120Aを封止することができ、第2のテープ192Bは、第2の針部分120Bを封止することができる。一実施形態では、
図8Eに示すように、針安全システム190は、本明細書で説明するように、第1の針部分120Aおよび第2の針部分120Bの一方または両方を封止するのに十分な幅を有する単一のテープ192を含むことができる。例えば、テープ192の幅は、上端166と下端168との間で長手方向軸に対して実質的に垂直に延在し得る。
図8Eに示されるように、テープ192の幅は、針120または針120の一部を取り囲むように構成することができ、下端168は上端166と重なることができる。一実施形態では、上端166が下端168に重なり、針120または針120の一部を封止することができる。有利には、針部分120A、120Bを封止するこれらの方法は、針の鋭利なエッジとテープ192との間の接触を軽減することができる。従って、これにより、鋭利なエッジがテープ192に擦れ、テープ192を貫通して、針120が使用者に露出するのを軽減することができる。
【0060】
一実施形態では、
図9A~
図9Bに示すように、針安全システム190は、本明細書で説明するように、針120が近位に引き抜かれるときに、テープ192からバッキング層194を剥離し、テープ192を針120または針120の一部に接着して、針120を封止するように構成された1つまたは複数の歯車、スピンドル、または同様のものを含むことができる。
図9A~
図9Bに示されるように、テープ192は、内面に配置されるとともに、針120の外面に接着して、本明細書に記載されるように針120を封止することができる接着表面186を含むことができる。
【0061】
一実施形態では、
図10A~
図10Cに示すように、針安全システム190は、バッキング層194を除去するとともに、針部分120A、120Bの内面にテープ192を接着するように構成することができる。テープ192A、192Bは、外面に配置された接着剤層を含むことができる。
図10A~
図10Bは、針120および針安全システム190の平面図を示す。
図10Cは、第1のテープ192Aに接着された第1の針部分120Aの側面図を示す。一実施形態では、
図10Bに示すように、偶発的な針刺し損傷を軽減するために、テープ192の遠位端198を外側に折り曲げて針120の遠位先端128を覆うようにすることができる。例えば、第1のテープ192Aの第1の遠位端198Aを外側に折り曲げて第1のテープ192Aに戻して、針120の第1の部分120Aの鋭利な遠位先端128Aを封止することができる。同様に、第2のテープ192Bの第2の遠位端198Bを外側に折り曲げて第2のテープ192Bに戻して、針120の第2の部分120Bの鋭利な遠位先端128Bを封止することができる。一実施形態では、本明細書に説明されるように、針部分120A、120Bを封止するために、テープ192の上端166および下端168は、外側に折り曲げられて外面に接着することができるか、または重なることができる。
【0062】
有利には、針部分120A、120Bを封止するこれらの方法は、針の鋭利なエッジとテープ192との間の接触を軽減することができる。従って、これにより、鋭利なエッジがテープ192に擦れ、またはテープ192を貫通して、針120を使用者に露出するのを軽減することができる。
【0063】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。さらなる適合および/または修正は、当業者には明らかであり得、より広い態様においては、これらの適合および/または修正も同様に包含される。従って、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
【国際調査報告】