(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】複素環式NLRP3阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20241024BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20241024BHJP
C07D 491/052 20060101ALI20241024BHJP
C07D 498/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C07D487/04 140
A61P25/16
A61P25/28
A61P11/06
A61P11/00
A61P43/00 111
C07D495/04 105Z
A61K31/5025
C07D487/04 141
C07D491/052 CSP
C07D498/04 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528510
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022081866
(87)【国際公開番号】W WO2023088856
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】エイトケン,ルイス・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ,レア・オレリー
(72)【発明者】
【氏名】グーバ,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ヤーシュケ,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】メッシュ,ステファニー・カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】トストルフ,アンドレアス・ミヒャル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086CB22
4C086CB26
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA59
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、一般式Ib
(式中、R
1、R
1b、R
2、R
3およびZは本明細書に記載される通りである)
を有する新規な化合物、該化合物を含む組成物、および該化合物を使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】
(式中、
R
1は、H、アルコキシ、ハロアルキルまたはOHであり;
R
1bは、H、ハロまたはアルキルであり;
R
2は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトリルもしくはアルキルであり;
R
3はHであるか;
または、R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子は、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む複素環もしくはシクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zは、環系
【化2】
から選択され;
A
1は、S、NR
X1またはOであり、R
X1は、H、アルキルまたはシクロプロピルであり;
A
2は、CR
Y1またはNであり、R
Y1は、Hまたはアルキルであり;
A
3は、CR
Z1またはNであり、R
Z1は、Hまたはアルキルであり;
A
1がSまたはOである場合、A
2およびA
3は共にNであることはできず;
A
4は、CR
Z2またはNであり、R
Z2は、Hまたはアルキルであり;
A
5は、CR
Y2またはNであり、CR
Y2は、Hまたはアルキルであり;
A
6は、S、NR
X2またはOであり、R
X2は、Hまたはアルキルであり;
A
6が、SまたはOである場合、A
4およびA
5は共にNであることはできず;
A
7、A
8およびA
9は、独立してCR
W1またはNであり、CR
W1は、Hまたはアルキルであり;
A
7、A
8およびA
9は、全てNであることはできず;
A
10、A
11およびA
12は、独立してCR
W2またはNであり、CR
W2は、Hまたはアルキルであり;
A
10、A
11およびA
12は、全てNであることはできず;
Wは、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環、または1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロインドリジン-7-イルであり、置換4員シクロアルキルはヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルはOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環はアルキル、OHまたはハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている)
および薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
Zが、
A
1が、S、NR
X1もしくはOであり、R
X1が、Hもしくはアルキルであり;
A
2が、CR
Y1もしくはNであり、R
Y1がHであり;
A
3が、CR
Z1もしくはNであり、R
Z1が、Hもしくはアルキルであり;
A
1がSもしくはOである場合、A
2もA
3もNであることはできない、
環系A;または
A
4がCR
Z2であり、R
Z2がHであり;
A
5が、CR
Y2もしくはNであり、CR
Y2がHであり;
A
6が、SもしくはNR
X2であり、R
X2がアルキルであり;
A
6がSである場合、A
4もA
5もNであることはできない、
環系B
から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項3】
Zが、
A
1が、S、NR
X1またはOであり、R
X1が、Hまたはアルキルであり;
A
2が、CR
Y1またはNであり、R
Y1がHであり;
A
3が、CR
Z1またはNであり、R
Z1が、Hまたはアルキルであり;
A
1がSまたはOである場合、A
2もA
3もNであることはできない、
環系Aである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
環系Aが、2個のNヘテロ原子を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Zが、
A
1がNR
X1であり、R
X1がアルキルであり;
A
2がNであり;
A
3がCR
Z1であり、R
Z1がHである、
環系Aである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
1が、HまたはOHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1がOHである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
1bがHである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が、ハロ、ハロアルキルもしくはハロアルコキシであり、R
3がHであるか;または
R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む複素環もしくは4員シクロアルキル環のいずれかを形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む複素環もしくはシクロアルキル環のいずれかを形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、シクロアルキル環を形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環または4員シクロアルキル環のいずれかを形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、4員シクロアルキル環を形成する、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Wが、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、または単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環であり、置換4員シクロアルキルがヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルがOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環がアルキルおよびOHから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Wが、エチルピペリジルまたは1-エチル-ピペリジン-3-オールである、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Wがエチルピペリジルである、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
R
1が、HまたはOHであり;
R
1bが、H、ハロまたはアルキルであり;
R
2が、ハロ、ハロアルキルもしくはハロアルコキシであり;
R
3がHであるか;
または、R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環もしくは4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A
1が、S、NR
X1もしくはOであり、R
X1が、Hもしくはアルキルであり;
A
2が、CR
Y1もしくはNであり、R
Y1がHであり;
A
3が、CR
Z1もしくはNであり、R
Z1が、Hもしくはアルキルであり;
A
1がSもしくはOである場合、A
2もA
3もNであることはできない、
環系A;または
A
4がCR
Z2であり、R
Z2がHであり;
A
5が、CR
Y2もしくはNであり、CR
Y2がHであり;
A
6が、SもしくはNR
X2であり、R
X2がアルキルであり;
A
6がSである場合、A
4もA
5もNであることはできない、
環系B
から選択され;
Wが、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、または単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環であり、置換4員シクロアルキルがヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルがOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環がアルキルおよびOHから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている、
請求項1に記載の化合物
およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項18】
R
1が、HまたはOHであり;
R
1bが、H、ハロまたはアルキルであり;
R
2が、ハロ、ハロアルキルもしくはハロアルコキシであり;
R
3がHであるか;
または、R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環もしくは4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A
1が、S、NR
X1またはOであり、R
X1が、Hまたはアルキルであり;
A
2が、CR
Y1またはNであり、R
Y1がHであり;
A
3が、CR
Z1またはNであり、R
Z1が、Hまたはアルキルであり;
A
1がSまたはOである場合、A
2もA
3もNであることはできない、
環系Aであり;
Wが、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、または単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環であり、置換4員シクロアルキルがヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルがOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環がアルキルおよびOHから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている、
請求項1または請求項17に記載の化合物
およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項19】
R
1がOHであり;
R
1bがHであり;
R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環または4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A
1がNR
X1であり、R
X1がアルキルであり;
A
2がNであり;
A
3がCR
Z1であり、R
Z1がHである、
環系Aであり;
Wが、エチルピペリジルまたは1-エチル-ピペリジン-3-オールである、
請求項1、17または18に記載の化合物
およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
R
1がOHであり;
R
1bがHであり;
R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A
1がNR
X1であり、R
X1がアルキルであり;
A
2がNであり;
A
3がCR
Z1であり、R
Z1がHである、
環系Aであり;
Wがエチルピペリジルである、
請求項1または請求項17から19のいずれか一項に記載の化合物
およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項21】
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸;
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸;
(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミン;
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-アミン;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;塩酸塩;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;および
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]フロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
から選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項22】
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-イミダゾ[4,5-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[7-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメトキシ)フェノール;
2-[4-[[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
5-クロロ-2-[1-メチル-4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-3-メチル-イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-メチル-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[(3-ヒドロキシ-3-メチル-シクロブチル)アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
5-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール;
3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オール;
(3S,5R)-1-エチル-5-[[7-(4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]アミノ]ピペリジン-3-オール
から選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項23】
5-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール;
3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オール;
(3S,5R)-1-エチル-5-[[7-(4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]アミノ]ピペリジン-3-オール
である、請求項1から20または22のいずれか一項に記載の化合物およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項24】
3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オールである、請求項1から20または22から23のいずれか一項に記載の化合物およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項25】
治療活性物質として使用するための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
疾患、障害または症状の処置または予防において使用するための請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物であって、前記疾患、障害または症状が、NLRP3阻害に応答性である、化合物。
【請求項27】
請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物と、治療不活性担体とを含む、医薬組成物。
【請求項28】
疾患、障害または症状の処置または予防のための請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物の使用であって、前記疾患、障害または症状がNLRP3阻害に応答性である、使用。
【請求項29】
喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
パーキンソン病またはアルツハイマー病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための医薬を調製するための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項32】
パーキンソン病またはアルツハイマー病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための医薬を調製するための、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
NLRP3を阻害する方法であって、NLRP3を阻害するのに有効な量の、請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項34】
疾患、障害または症状の処置または予防のための方法であって、有効量の請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含み、前記疾患、障害または症状が、喘息またはCOPDから選択される、方法。
【請求項35】
疾患、障害または症状の処置または予防のための方法であって、有効量の請求項1から24のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含み、前記疾患、障害または症状が、パーキンソン病またはアルツハイマー病から選択される、方法。
【請求項36】
ここで先に記載される通りの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、哺乳動物における治療および/または予防に有用な有機化合物、特にNLRP3阻害を調節する化合物に関する。
【0002】
本発明は、式Ibの新規な化合物
【化1】
(式中、
R
1は、H、ハロアルキルまたはOHであり;
R
1bは、H、ハロまたはアルキルであり;
R
2は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトリルもしくはアルキルであり;
R
3はHであるか;
または、R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子は、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環もしくは4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zは、環系
【化2】
から選択され;
A
1は、S、NR
X1またはOであり、R
X1は、H、アルキルまたはシクロプロピルであり;
A
2は、CR
Y1またはNであり、R
Y1は、Hまたはアルキルであり;
A
3は、CR
Z1またはNであり、R
Z1は、Hまたはアルキルであり;
A
1がSまたはOである場合、A
2およびA
3は共にNであることはできず;
A
4は、CR
Z2またはNであり、R
Z2はHまたはアルキルであり;
A
5は、CR
Y2またはNであり、CR
Y2は、Hまたはアルキルであり;
A
6は、S、NR
X2またはOであり、R
X2は、Hまたはアルキルであり;
A
6がSまたはOである場合、A
4およびA
5は共にNであることはできず;
A
7、A
8およびA
9は、独立してCR
W1またはNであり、CR
W1は、Hまたはアルキルであり;
A
7、A
8およびA
9は、全てNであることはできず;
A
10、A
11およびA
12は、独立してCR
W2またはNであり、CR
W2はHまたはアルキルであり;
A
10、A
11およびA
12は、全てNであることはできず;
Wは、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環、または1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロインドリジン-7-イルであり、置換4員シクロアルキルはヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルはOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環はアルキル、OHまたはハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている)
および薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0003】
さらに、本発明は、全てのラセミ混合物、全てのそれらの対応するエナンチオマーおよび/または光学異性体を含む。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
NOD様受容体(NLR)ファミリーのピリンドメイン含有タンパク質3(NLRP3)インフラマソームは炎症プロセスの構成要素であり、その異常な活性はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)などの遺伝性障害ならびに多発性硬化症、2型糖尿病、アルツハイマー病およびアテローム性動脈硬化症などの複合疾患において病原性である。
【0005】
NLRP3は、多くの病原体由来因子、環境因子および宿主由来因子を感知する細胞内シグナル伝達分子である。活性化されると、NLRP3はカスパーゼ活性化誘引ドメイン(ASC)を含むアポトーシス関連のスペック状タンパク質に結合する。次いで、ASCは重合して、ASCスペックとして知られる大きな凝集体を形成する。次いで、重合ASCは、システインプロテアーゼカスパーゼ-1と相互作用して、インフラマソームと呼ばれる複合体を形成する。これはカスパーゼ-1の活性化をもたらし、これは炎症促進性サイトカインIL-1βおよびIL-18(それぞれプロIL-1βおよびプロIL-18と呼ばれる)の前駆体形態を切断し、それによってこれらのサイトカインを活性化する。カスパーゼ-1はまた、パイロトーシスとして公知のタイプの炎症性細胞死を媒介する。ASCスペックは、カスパーゼ-8を誘引して活性化することもでき、これはプロIL-1βおよびプロIL-18をプロセシングしてアポトーシス細胞死を引き起こすことができる。
【0006】
カスパーゼ-1はプロ-IL-1βおよびプロ-IL-18を切断してそれらの活性型に変換し、これらの活性型は細胞から分泌される。活性カスパーゼ-1はまた、ガスデルミン-Dを切断してパイロトーシスを引き起こす。そのパイロトーシス細胞死経路の制御を通して、カスパーゼ-1はまた、IL-33および高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)などのアラーミン分子の放出を媒介する。カスパーゼ-1はまた、細胞内IL-1R2を切断し、その分解をもたらし、IL-1αが遊離することを可能にする。ヒト細胞において、カスパーゼ-1はまた、IL-37のプロセシングおよび分泌を制御し得る。細胞骨格および解糖経路の成分などのいくつかの他のカスパーゼ-1基質は、カスパーゼ-1依存性炎症に寄与し得る。
【0007】
NLRP3依存性ASCスペックは細胞外環境に放出され、そこでカスパーゼ-1を活性化し、カスパーゼ-1基質のプロセシングを誘導し、炎症を伝播することができる。
【0008】
NLRP3インフラマソーム活性化に由来する活性サイトカインは、炎症の重要な駆動因子であり、他のサイトカイン経路と相互作用して、感染および傷害に対する免疫応答を形成する。例えば、IL-1βシグナル伝達は、炎症促進性サイトカインIL-6およびTNFの分泌を誘導する。IL-1βおよびIL-18はIL-23と相乗作用して、メモリーCD4 Th17細胞およびT細胞受容体結合の非存在下でのγδT細胞によるIL-17産生を誘導する。IL-18およびIL-12はまた、相乗的に作用して、メモリーT細胞およびTh1応答を駆動するNK細胞からのIFN-γ産生を誘導する。
【0009】
遺伝性CAPS疾患である、マックル-ウェルズ症候群(MWS)、家族性感冒自己炎症性症候群(FCAS)、および新生児期発症多臓器性炎症性疾患(NOMID)は、NLRP3の機能獲得型変異によって引き起こされるため、NLRP3は炎症プロセスの重要な構成要素として定義される。NLRP3はまた、特に2型糖尿病、アテロ-ム性動脈硬化症、肥満および痛風などの代謝障害を含む、いくつかの複合疾患の病因にも関与している。
【0010】
中枢神経系の疾患におけるNLRP3の役割が明らかになりつつあり、肺疾患もまたNLRP3の影響を受けることが示されている。NLRP3はまた、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、認知症、ハンチントン病、脳マラリア、肺炎球菌性髄膜炎からの脳損傷を含むいくつかの中枢神経系症状において役割を有することが示唆されている(Walshら、Nature Reviews、15:84~97、2014、およびDempseyら、Brain.Behav.Immun.201761:306~316)。NLRP3はまた、慢性閉塞性肺障害(COPD)、喘息(ステロイド抵抗性喘息を含む)、石綿肺および珪肺を含むいくつかの肺疾患において役割を果たすことが示されている(De Nardoら、Am.J.Pathol.、184:42~54、2014およびKimらAm J Respir Crit Care Med.2017 196(3):283-97)。さらに、NLRP3は、肝臓疾患、腎臓疾患および老化の発症において役割を果たす。これらの関連性の多くは、Nlrp3-/-マウスを用いて定義されたが、これらの疾患におけるNLRP3の特異的活性化についての洞察も存在している。2型糖尿病(T2D)において、膵臓における膵島アミロイドポリペプチドの沈着は、NLRP3およびIL-1βシグナル伝達を活性化し、細胞死および炎症をもたらす。
【0011】
いくつかの小分子がNLRP3インフラマソームを阻害することが示されている。グリブリドは、NLRP3の活性化に応答してマイクロモル濃度でIL-1β産生を阻害するが、NLRC4またはNLRP1の活性化には応答しない。以前に特徴付けられた他の弱いNLRP3阻害剤には、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレンおよびジメチルスルホキシド(DMSO)が含まれるが、これらの薬剤は効力が限定的であり、非特異的である。
【0012】
NLRP3関連疾患の現在の処置には、IL-1を標的とする生物学的薬剤が含まれる。これらは、組換えIL-1受容体拮抗薬アナキンラ、中和IL-1β抗体カナキヌマブおよび可溶性デコイIL-1受容体リロナセプトである。これらのアプローチは、CAPSの処置において成功していることが証明されており、これらの生物学的薬剤は、他のIL-1β関連疾患の臨床試験において使用されている。
【0013】
薬理学的および/または生理学的および/または物理化学的特性が向上した化合物、および/または公知の化合物の有用な代替となる化合物を提供する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電圧パターン(35~37℃で、外向きK
+電流を誘発するために使用されるパルスパターン)を示す図である。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、式Ibの新規な化合物
【化3】
(式中、
R
1は、H、ハロアルキルはOHであり;
R
1bは、H、ハロまたはアルキルであり;
R
2は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトリルもしくはアルキルであり;
R
3はHであるか;
または、R
2およびR
3、ならびにそれらが結合している原子は、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環もしくは4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zは、環系
【化4】
から選択され;
A
1は、S、NR
X1またはOであり、R
X1は、H、アルキルまたはシクロプロピルであり;
A
2は、CR
Y1またはNであり、R
Y1は、Hまたはアルキルであり;
A
3は、CR
Z1またはNであり、R
Z1は、Hまたはアルキルであり;
A
1がSまたはOである場合、A
2およびA
3は共にNであることはできず;
A
4は、CR
Z2またはNであり、R
Z2は、Hまたはアルキルであり;
A
5は、CR
Y2またはNであり、CR
Y2は、Hまたはアルキルであり;
A
6は、S、NR
X2またはOであり、R
X2は、Hまたはアルキルであり;
A
6がSまたはOである場合、A
4およびA
5は共にNであることはできず;
A
7、A
8およびA
9は、独立してCR
W1またはNであり、CR
W1は、Hまたはアルキルであり;
A
7、A
8およびA
9は、全てNであることはできず;
A
10、A
11およびA
12は、独立してCR
W2またはNであり、CR
W2は、Hまたはアルキルであり;
A
10、A
11およびA
12は、全てNであることはできず;
Wは、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環、または1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロインドリジン-7-イルであり、置換4員シクロアルキルはヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルはOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環はアルキル、OHまたはハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている)
および薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0016】
「アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子の一価の直鎖または分岐飽和炭化水素基を表す。いくつかの実施形態では、別様に記載されていない場合、アルキルは、1~6個の炭素原子(C1~6-アルキル)または1~4個の炭素原子(C1~4-アルキル)を含む。C1~6-アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルおよびペンチルが挙げられる。特定のアルキル基としては、メチルおよびエチルが挙げられる。
【0017】
「アルコキシ」という用語は、R’がC1~6-アルキル基である、式-O-R’の基を表す。C1~6-アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシおよびtert-ブトキシが挙げられる。
【0018】
「アミノ」という用語は、-NH2基を表す。
【0019】
「シクロアルキル」という用語は、単環式または多環式の飽和または部分不飽和の非芳香族炭化水素を表す。いくつかの実施形態では、別様に記載されていない限り、シクロアルキルは、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子または3~5個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、飽和の単環式または多環式炭化水素である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクタヒドロペンタレニル、スピロ[3.3]ヘプタニルなどが挙げられる。特定の例としては、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0020】
「ハロゲン」、「ハライド」および「ハロ」という用語は、本明細書では互換的に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを表す。特定のハロゲンはフルオロおよびクロロである。好ましいハロゲンは、フルオロである。
【0021】
「ハロアルキル」という用語は、C1~6-アルキル基の少なくとも1個の水素原子が同じまたは異なるハロゲン原子によって置き換えられているC1~6-アルキル基を表す。ハロアルキルの例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる。特定の例はトリフルオロメチルである。
【0022】
「ハロアルコキシ」という用語は、C1~6-アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子が同じまたは異なるハロゲン原子によって置き換えられているC1~6-アルコキシ基を表す。ハロアルコキシの例は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロエトキシおよびトリフルオロエトキシである。特定の例はトリフルオロメトキシである。
【0023】
「複素環」という用語は、N、OおよびSから選択される1、2、または3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、4~9個の環原子の一価の飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式の環系を表す。単環式飽和複素環の例は、アゼチジニル、ジアゼパニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニルおよびピペラジニルである。多環式飽和複素環の例は、アザスピロヘプタニル、ジアザスピロヘプタニル、アザスピロオクタニル、ジアゾスピロオクタニル、ジアザスピロノナニル、オキサアザスピロオクタニルおよびオキサジアザスピロノナニルである。複素環の特定の例は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニルおよびピペラジニルである。複素環のより具体的な例は、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルである。複素環の好ましい例はピペリジニルである。複素環の別の好ましい例は、オキソラニル環である。
【0024】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を表す。
【0025】
「ニトリル」という用語は、-C≡N基を表す。
【0026】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的にも別様にも望ましくないものではない、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。塩は、無機酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、特に塩酸、および有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインで形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基または有機塩基の遊離酸への添加から調製され得る。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が挙げられるが、これらに限定されない。式Iの化合物は、双性イオンの形態でも存在し得る。式Iの化合物の特に好ましい薬学的に許容され得る塩は、ギ酸を用いて形成される塩、および塩酸塩、二塩酸塩または三塩酸塩を生じる、塩酸を用いて形成される塩である。
【0027】
略語のuMはマイクロモルを意味し、記号μMと同等である。
【0028】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLと同等である。
【0029】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号μgと同等である。
【0030】
式Ibの化合物は、いくつかの不斉中心を含み得、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ体など、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体またはジアステレオ異性のラセミ体の混合物の形態で存在し得る。
【0031】
式Iの化合物は、いくつかの不斉中心を含み得、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ体など、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体またはジアステレオ異性のラセミ体の混合物の形態で存在し得る。
【0032】
カーン・インゴルド・プレローグ順位則によれば、不斉炭素原子は、「R」または「S」立体配置のものであり得る。
【0033】
本発明の一実施形態はまた、本明細書に記載の式Ibによる化合物、およびその薬学的に許容され得る塩またはエステル、特に本明細書に記載の式Iによる化合物、およびその薬学的に許容され得る塩、より具体的には、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0034】
本発明の一実施形態はまた、本明細書に記載の式Iによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩またはエステル、特に本明細書に記載の式Iによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩、より具体的には、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0035】
本発明の一実施形態は、Zが、
A1が、S、NRX1もしくはOであり、RX1が、Hもしくはアルキルであり;
A2が、CRY1もしくはNであり、RY1がHであり;
A3が、CRZ1もしくはNであり、RZ1が、Hもしくはアルキルであり;
A1がSもしくはOである場合、A2もA3もNであることはできない、
環系A;または
A4がCRZ2であり、RZ2がHであり;
A5が、CRY2もしくはNであり、CRY2がHであり;
A6が、SもしくはNRX2であり、RX2がアルキルであり;
A6がSである場合、A4もA5もNであることはできない、
環系B
から選択される、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0036】
本発明の一実施形態は、
A1が、S、NRX1またはOであり、RX1が、Hまたはアルキルであり;
A2が、CRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3が、CRZ1またはNであり、RZ1が、Hまたはアルキルであり;
A1がSまたはOである場合、A2もA3もNであることはできない、
本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0037】
本発明の一実施形態は、Zが環系Aであり、環系Aが2個のNヘテロ原子を含む、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0038】
本発明の一実施形態は、Zが、
A1がNRX1であり、RX1がアルキルであり;
A2がNであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aである、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0039】
本発明の一実施形態は、R1がHまたはOHである、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0040】
本発明の一実施形態は、R1がOHである、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0041】
本発明の一実施形態は、R1bがHである、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0042】
本発明の一実施形態は、R2がハロ、ハロアルキルもしくはハロアルコキシであり、R3がHであるか;または
R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む複素環もしくはシクロアルキル環のいずれかを形成する、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0043】
本発明の一実施形態は、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む複素環またはシクロアルキル環のいずれかを形成する、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0044】
本発明の一実施形態は、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環または4員シクロアルキル環のいずれかを形成する、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0045】
本発明の一実施形態は、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、シクロアルキル環を形成する、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0046】
本発明の一実施形態は、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、4員シクロアルキル環を形成する、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0047】
本発明の一実施形態は、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む複素環またはシクロアルキル環のいずれかを形成し、Zが環系Aであり、環系Aが2個のNヘテロ原子を含む、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0048】
本発明の一実施形態は、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、シクロアルキル環を形成し、Zが環系Aであり、環系Aが2個のNヘテロ原子を含む、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0049】
本発明の一実施形態は、Wが、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、または単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環であり、置換4員シクロアルキルがヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルがOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環がアルキルおよびOHから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0050】
本発明の一実施形態は、Wがエチルピペリジルまたは1-エチル-ピペリジン-3-オールである、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0051】
本発明の一実施形態は、Wがエチルピペリジルである、本明細書に記載の式Ibによる化合物を提供する。
【0052】
本発明の一実施形態は、
R1が、HまたはOHであり;
R1bが、H、ハロまたはアルキルであり;
R2が、ハロ、ハロアルキルもしくはハロアルコキシであり;
R3がHであるか;
または、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環もしくは4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A1が、S、NRX1もしくはOであり、RX1がHもしくはアルキルであり;
A2がCRY1もしくはNであり、RY1がHであり;
A3がCRZ1もしくはNであり、RZ1がHもしくはアルキルであり;
A1がSもしくはOである場合、A2もA3もNであることはできない、
環系A;または
A4がCRZ2であり、RZ2がHであり;
A5が、CRY2もしくはNであり、CRY2がHであり;
A6が、SもしくはNRX2であり、RX2がアルキルであり;
A6がSである場合、A4もA5もNであることはできない、
環系B
から選択され;
Wが、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、または単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環であり、置換4員シクロアルキルがヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルがOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環がアルキルおよびOHから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている、本明細書に記載の式Ibによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0053】
本発明の一実施形態は、
R1が、HまたはOHであり;
R1bが、H、ハロまたはアルキルであり;
R2が、ハロ、ハロアルキルもしくはハロアルコキシであり;
R3がHであるか;
または、R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環もしくは4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A1が、S、NRX1またはOであり、RX1が、Hまたはアルキルであり;
A2が、CRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3が、CRZ1またはNであり、RZ1がHまたはアルキルであり;
A1がSまたはOである場合、A2もA3もNであることはできない、
環系Aであり;
Wが、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、または単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環であり、置換4員シクロアルキルがヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルがOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環がアルキルおよびOHから独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されている、本明細書に記載の式Ibによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0054】
本発明の一実施形態は、
R1がOHであり;
R1bがHであり;
R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、1個のOヘテロ原子を含む5員複素環または4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A1がNRX1であり、RX1がアルキルであり;
A2がNであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aであり;
Wがエチルピペリジルまたは1-エチル-ピペリジン-3-オールである、本明細書に記載の式Ibによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0055】
本発明の一実施形態は、
R1がOHであり;
R1bがHであり;
R2およびR3、ならびにそれらが結合している原子が、一緒に結合して、4員シクロアルキル環のいずれかを形成し;
Zが、
A1がNRX1であり、RX1がアルキルであり;
A2がNであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aであり;
Wがエチルピペリジルである、本明細書に記載の式Ibによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0056】
本明細書に記載の式Ibの化合物の特定の例は、
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸;
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸;
(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミン;
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-アミン;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;塩酸塩;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;および
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]フロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
およびそれらの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0057】
また、本明細書に記載の式Ibの化合物の特定の例は、
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-イミダゾ[4,5-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[7-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメトキシ)フェノール;
2-[4-[[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
5-クロロ-2-[1-メチル-4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-3-メチル-イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-メチル-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[(3-ヒドロキシ-3-メチル-シクロブチル)アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
5-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール;
3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オール;
(3S,5R)-1-エチル-5-[[7-(4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]アミノ]ピペリジン-3-オール
およびそれらの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0058】
本明細書に記載の式Ibの化合物の好ましい例は、
5-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール;
3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オール;
(3S,5R)-1-エチル-5-[[7-(4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]アミノ]ピペリジン-3-オール
およびそれらの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0059】
本明細書に記載の式Ibの化合物の最も好ましい例は、3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オールおよびその薬学的に許容され得る塩である。
【0060】
本発明の一実施形態は、式Ibの化合物である式Iの化合物、
【化5】
(式中、
R
1は、H、ハロアルキルまたはOHであり;
R
2は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトリルまたはアルキルであり;
Zは、環系
【化6】
から選択され;
A
1は、S、NR
X1またはOであり、R
X1はH、アルキルまたはシクロプロピルであり;
A
2は、CR
Y1またはNであり、R
Y1は、Hまたはアルキルであり;
A
3は、CR
Z1またはNであり、R
Z1は、Hまたはアルキルであり;
A
1が、SまたはOである場合、A
2およびA
3は共にNであることはできず;
A
4は、CR
Z2またはNであり、R
Z2は、Hまたはアルキルであり;
A
5は、CR
Y2またはNであり、CR
Y2は、Hまたはアルキルであり;
A
6は、S、NR
X2またはOであり、R
X2は、Hまたはアルキルであり;
A
6がSまたはOである場合、A
4およびA
5は共にNであることはできず;
A
7、A
8およびA
9は独立してCR
W1またはNであり、CR
W1はHまたはアルキルであり;
A
7、A
8およびA
9は全てNであることはできず;
A
10、A
11およびA
12は独立してCR
W2またはNであり、CR
W2はHまたはアルキルであり;
A
10、A
11およびA
12は全てNであることはできず;
Wは、置換4員シクロアルキル、置換6員シクロアルキル、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環、または1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロインドリジン-7-イルであり、置換4員シクロアルキルはヒドロキシルおよびメチルで置換されており、置換6員シクロアルキルはOHで置換されており、単一ヘテロ原子Nを含む置換6員複素環はアルキル、OHまたはハロで置換されている)
および薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0061】
本発明の一実施形態は、R1がHまたはOHである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0062】
本発明の一実施形態は、R1がOHである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0063】
本発明の一実施形態は、R2がハロ、ハロアルキルまたはハロアルコキシである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0064】
本発明の一実施形態は、R2がハロまたはハロアルキルである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0065】
本発明の一実施形態は、R2がハロアルキルである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0066】
本発明の一実施形態は、Zが、
A1が、S、NRX1またはOであり、RX1が、アルキルであり;
A2が、CRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3が、CRZ1またはNであり、RZ1がHであり;
A1がSまたはOである場合、A2もA3もNであることはできない、
環系A;
A4が、CRZ2またはNであり、RZ2がHあり;
A5が、CRY2またはNであり、CRY2がHであり;
A6が、S、NRX2またはOであり、RX2がアルキルであり;
A6がSまたはOである場合、A4もA5もNであることはできない、
環系B;
A7がNであり、A8およびA9が共にCHである、環系C;
A10およびA11が共にCHであり、A12がNである、環系D
から選択され;
Wが1-エチル-3-ピペリジルまたは1-メチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0067】
本発明の一実施形態は、Zが、
A1がNRX1であり、RX1がアルキルであり;
A2が、CRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aであり;
Wが1-エチル-3-ピペリジルまたは1-メチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0068】
本発明の一実施形態は、Zが、
A1がNRX1であり、RX1がメチルであり;
A2が、CRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aであり;
Wが1-エチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0069】
本発明の一実施形態は、Zが、
A1がNRX1であり、RX1がメチルであり;
A2がNであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aであり;
Wが1-エチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物を提供する。
【0070】
本発明の一実施形態は、
R1が、HまたはOHであり;
R2が、ハロ、ハロアルキルまたはハロアルコキシであり;
Zが、
A1が、S、NRX1またはOであり、RX1がアルキルであり;
A2が、CRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3が、CRZ1またはNであり、RZ1がHであり;
A1がSまたはOである場合、A2もA3もNであることはできない、
環系A;
A4が、CRZ2またはNであり、RZ2がHあり;
A5が、CRY2またはNであり、CRY2がHであり;
A6が、S、NRX2またはOであり、RX2がアルキルであり;
A6がSまたはOである場合、A4もA5もNであることはできない、
環系B;
A7がNであり、A8およびA9が、共にCHである、環系C;
A10およびA11が、CHであり、A12がNである、環系D
から選択され;
Wが1-エチル-3-ピペリジルまたは1-メチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0071】
本発明の一実施形態は、
R1がHまたはOHであり;
R2がハロアルキルであり;
Zが、
A1がNRX1であり、RX1がアルキルであり;
A2がCRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aから選択され;
Wが1-エチル-3-ピペリジルまたは1-メチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0072】
本発明の一実施形態は、
R1が、HまたはOHであり;
R2がハロアルキルであり;
Zが、
A1がNRX1であり、RX1がメチルであり;
A2が、CRY1またはNであり、RY1がHであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aから選択され;
Wが1-エチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0073】
本発明の一実施形態は、
R1が、HまたはOHであり;
R2がハロアルキルであり;
Zが、
A1がNRX1であり、RX1がメチルであり;
A2がNであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aから選択され;
Wが1-エチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0074】
本発明の一実施形態は、
R1がOHであり;
R2がハロアルキルであり;
Zが、
A1がNRX1であり、RX1がメチルであり;
A2がNであり;
A3がCRZ1であり、RZ1がHである、
環系Aから選択され;
Wが1-エチル-3-ピペリジルである、本明細書に記載の式Iによる化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0075】
本明細書に記載の式Iの化合物の特定の例は、
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸;
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸;
(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミン;
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-アミン;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;塩酸塩;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;および
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]フロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
およびそれらの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0076】
本明細書に記載の式Iの化合物の好ましい例は、
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸;
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミン;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;塩酸塩;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;および
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]フロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
およびそれらの薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0077】
本明細書に記載の式Iの化合物のより好ましい例は、
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸または
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;
およびその薬学的に許容され得る塩である。
【0078】
本明細書に記載の式Iの化合物の最も好ましい例は、
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸または
およびその薬学的に許容され得る塩である。
【0079】
本発明の別の実施形態は、本発明の化合物と治療不活性担体、希釈剤または賦形剤とを含有する医薬組成物または医薬、ならびにこのような組成物および医薬を調製するために本発明の化合物を使用する方法を提供する。一例では、式Iの化合物が、周囲温度で、適切なpHで、および所望の程度の純度で、生理学的に許容され得る担体、すなわち、使用される投与量および濃度においてレシピエントに対して非毒性である担体と混合することによって、ガレヌス投与形態に製剤化され得る。製剤のpHは、特定の用途および化合物の濃度に主に依存するが、好ましくは約3~約8の範囲のどこかである。一例では、式Iの化合物は、pH5の酢酸緩衝液中で製剤化される。別の実施形態では、式Iの化合物は無菌である。化合物は、例えば、固体もしくは非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、または水溶液として保管され得る。
【0080】
組成物は、良好な医療行為と一致した様式で製剤化、投薬、および投与される。本文脈で考慮する因子としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医学専門家に既知の他の因子が挙げられる。
【0081】
本発明の化合物は、経口、局所(頬側および舌下を含む)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内および硬膜外および鼻腔内、ならびに局所処置が所望される場合、病巣内投与を含む任意の適切な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与を含む。
【0082】
本発明の化合物は、任意の簡便な投与形態、例えば錠剤、粉末、カプセル剤、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、スプレー、坐剤、ゲル、エマルジョン、パッチ等で投与され得る。このような組成物は、医薬調製物における従来の構成成分、例えば希釈剤、担体、pH調整剤、甘味剤、充填剤、およびさらなる活性剤を含有することができる。
【0083】
典型的な製剤は、本発明の化合物および担体または添加物を混合することによって調製される。好適な担体および賦形剤は当業者に周知であり、例えば、Ansel,Howard C.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems.Philadelphia:Lippincott,Williams&Wilkins、2004;Gennaro,Alfonso R.らRemington:The Science and Practice of Pharmacy.Philadelphia:Lippincott,Williams&Wilkins、2000;およびRowe,Raymond C.Handbook of Pharmaceutical Excipients.Chicago,Pharmaceutical Press、2005に詳細に記載されている。製剤はまた、薬物(すなわち、本発明の化合物またはその医薬組成物)の優れた見栄えを提供、または医薬品(すなわち、医薬)の製造を補助するために、1種以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、希釈剤および他の既知の添加剤も含み得る。
【0084】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル、注射液または局所製剤の製造のための薬学的に不活性な、無機または有機アジュバントを用いて加工することができる。ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩等を、例えば、錠剤、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセル用のそのようなアジュバントとして、使用することができる。
【0085】
軟質ゼラチンカプセルに適したアジュバントは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形物質および液状ポリオール等である。
【0086】
溶液およびシロップの製造に適したアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース等である。
【0087】
注射液に適したアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0088】
坐剤に適したアジュバントは、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪、半固形または液状ポリオール等である。
【0089】
局所眼用製剤に適したアジュバントは、例えば、シクロデキストリン、マンニトールまたは当技術分野で公知の多くの他の担体および賦形剤である。
【0090】
さらに、医薬調製物は、保存剤、可溶化剤、粘度上昇物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、浸透圧を変化させるための塩類、緩衝剤、マスキング剤または抗酸化剤を含有することができる。これらはまた、さらに他の治療上価値のある物質を含有することができる。
【0091】
投与量は、広範囲内で変化することができ、当然、各特定の症例で個々の要件に適合される。一般に、経口投与の場合、体重1kgあたり約0.1mg~20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~4mg(例えば、1人あたり約300mg)の1日投与量は、好ましくは1~3回の個別投与に分けられ、これは、適切であれば、例えば、同量からなり得る。局所投与の場合、製剤は、0.001重量%~15重量%の医薬を含み得、0.1~25mgの間であり得る必要用量は、1日あたりもしくは1週間あたりの単回投与によって、または1日あたりの複数回投与(2~4回)によって、または1週間あたりの複数回投与によってのいずれかで投与され得る。しかしながら、これが示されていると示されている場合には、本明細書に与えられている上限または下限を超え得ることは明らかであろう。
【0092】
本発明の一実施形態は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載の式Ibによる化合物である。
【0093】
本発明の一実施形態は、疾患、障害または症状の処置または予防において使用するための本明細書に記載の式Ibによる化合物であって、前記疾患、障害または症状がNLRP3阻害に応答性である、化合物である。
【0094】
本発明の一実施形態は、疾患、障害または症状の処置または予防のための本明細書に記載の式Ibによる化合物であって、前記障害または症状がNLRP3阻害に応答性である、化合物である。
【0095】
本発明の一実施形態は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載の式Iによる化合物である。
【0096】
本発明の一実施形態は、疾患、障害または症状の処置または予防において使用するための本明細書に記載の式Iによる化合物であって、前記疾患、障害または症状がNLRP3阻害に応答性である、化合物である。
【0097】
本発明の一実施形態は、疾患、障害または症状の処置または予防のための本明細書に記載の式Iによる化合物であって、前記障害または症状がNLRP3阻害に応答性である、化合物である。
【0098】
本明細書で使用される場合、「NLRP3阻害」という用語は、NLRP3の活性レベルの完全または部分的な減少を指し、例えば、活性NLRP3の阻害および/またはNLRP3の活性化の阻害を含む。
【0099】
多数の異なる障害に関連して、またはその結果として生じる炎症応答におけるNLRP3誘導性IL-1およびIL-18の役割についての証拠がある(Menuら、Clinical and Experimental Immunology、166:1~15、2011;Strowigら、Nature、481:278~286、2012)。
【0100】
一実施形態では、疾患、障害または症状が、以下から選択される:
(i)炎症;
(ii)自己免疫疾患;
(iii)癌;
(iv)感染症;
(v)中枢神経系疾患;
(vi)代謝性疾患;
(vii)心血管疾患;
(viii)呼吸器疾患;
(ix)肝疾患;
(x)腎疾患;
(xi)眼疾患;
(xii)皮膚疾患;
(xiii)リンパ症状;
(xiv)心理学的障害;
(xv)移植片対宿主病;
(xvi)異痛症;
(xvii)糖尿病に関連する症状;および
(xviii)個体がNLRP3において生殖系列または体細胞非サイレント変異を有すると判定された任意の疾患。
【0101】
別の実施形態では、疾患、障害または症状が、以下から選択される:
(i)癌;
(ii)感染症;
(iii)中枢神経系疾患;
(iv)心血管疾患;
(v)肝疾患;
(vi)眼疾患;または
(vii)皮膚疾患。
【0102】
本発明のさらなる典型的な実施形態では、疾患、障害または症状が炎症である。処置または予防され得る炎症の例としては、以下に関連して、または以下の結果として生じる炎症反応が挙げられる:
(i)接触過敏症、水疱性類天疱瘡、日焼け、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、強皮症、天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、紅斑、または脱毛症などの皮膚症状;
(ii)変形性関節症、全身性若年性特発性関節炎、成人発症スティル病、再発性多発性軟骨炎、関節リウマチ、若年性慢性関節炎、痛風、または血清反応陰性脊椎関節症(例えば、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎またはライター病)などの関節症状;
(iii)多発性筋炎または重症筋無力症などの筋肉症状;
(iv)炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎を含む)、大腸炎、胃潰瘍、セリアック病、直腸炎、膵炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、抗リン脂質症候群などの胃腸管症状、または腸から離れた影響を及ぼし得る食品関連アレルギー(例えば、片頭痛、鼻炎または湿疹);
(v)慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息(好酸球性、気管支性、アレルギー性、内因性、外因性または粉塵性喘息、特に慢性または難治性喘息、例えば後期喘息および気道過敏性を含む)、気管支炎、鼻炎(急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎、慢性鼻炎、カゼオーサ性鼻炎、肥厚性鼻炎、パンレンタ性鼻炎、乾性鼻炎、薬物性鼻炎、膜性鼻炎、季節性鼻炎、例えば、花粉症および血管運動性鼻炎を含む)、副鼻腔炎、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、農夫肺、珪肺、石綿肺、火山灰誘発性炎症、成人呼吸窮迫症候群、過敏性肺臓炎、または特発性間質性肺炎などの呼吸器系症状;
(vi)アテローム性動脈硬化症、ベーチェット病、血管炎、またはウェゲナー肉芽腫症などの血管症状;
(vii)全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬化症、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、またはグレーブス病などの自己免疫症状;
(viii)ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、または春期結膜炎などの眼の症状;
(ix)多発性硬化症または脳脊髄炎などの神経症状;
(x)後天性免疫不全症候群(AIDS)、急性もしくは慢性細菌感染症、急性もしくは慢性寄生虫感染症、急性もしくは慢性ウイルス感染症、急性もしくは慢性真菌感染症、髄膜炎、肝炎(A、BもしくはC、または他のウイルス性肝炎)、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、マラリア、出血性デング熱、リーシュマニア症、連鎖球菌性筋炎、結核菌(結核菌およびHIVの同時感染を含む)、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルレア、ニューモシスティス・カリニ肺炎、精巣炎/エピディミティス、レジオネラ、ライム病、インフルエンザA、エプスタイン・バーウイルス感染症、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎、または骨盤内炎症性疾患などの感染症または感染症関連症状;
(xi)メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎症候群、腎炎、糸球体腎炎、肥満関連糸球体症、急性腎不全、急性腎障害、尿毒症、腎炎症候群、慢性結晶性腎症を含む腎線維症、または腎性高血圧などの腎症状;
(xii)キャッスルマン病などのリンパ症状;
(xiii)高IgE症候群、肝芽腫性ハンセン病、家族性血球貪食性リンパ組織球増加症、または移植片対宿主病などの免疫系の症状、またはそれに関与する症状;
(xiv)慢性活動性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール誘発性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、原発性胆汁性肝硬変、劇症肝炎、肝線維症、または肝不全などの肝症状;
(xv)上記の癌を含む癌;
(xvi)熱傷、創傷、外傷、出血または脳卒中;
(xvii)放射線暴露;
(xviii)2型糖尿病(T2D)、アテローム性動脈硬化症、肥満、痛風または偽痛風などの代謝性疾患;および/または
(xix)炎症性痛覚過敏、骨盤痛、異痛症、神経障害性疼痛、または癌誘発性骨痛などの疼痛。
【0103】
本発明の一実施形態は、以下から選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための本明細書に記載の式Iによる化合物である:
(i)炎症;
(ii)自己免疫疾患;
(iii)癌;
(iv)感染症;
(v)中枢神経系疾患;
(vi)代謝性疾患;
(vii)心血管疾患;
(viii)呼吸器疾患;
(ix)肝疾患;
(x)腎疾患;
(xi)眼疾患;
(xii)皮膚疾患;
(xiii)リンパ症状;
(xiv)心理学的障害;
(xv)移植片対宿主病;
(xvi)異痛症;
(xvii)糖尿病に関連する症状;および
(xviii)個体がNLRP3において生殖系列または体細胞非サイレント変異を有すると判定された任意の疾患。
【0104】
本発明の一実施形態は、疾患、障害または症状の処置または予防における本明細書に記載の式Ibによる化合物の使用であって、前記疾患、障害または症状がNLRP3阻害に応答性である、使用である。
【0105】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防における本明細書に記載の式Ibによる化合物の使用である。
【0106】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式Ibによる化合物である。
【0107】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための本明細書に記載の式Ibによる化合物である。
【0108】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための本明細書に記載の式Ibによる化合物である。
【0109】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための医薬を調製するための本明細書に記載の式Ibによる化合物の使用である。
【0110】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための医薬を調製するための本明細書に記載の式Ibによる化合物の使用である。
【0111】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防の方法であって、有効量の本明細書に記載の式Ibによる化合物を投与することを含む方法である。
【0112】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防の方法であって、有効量の本明細書に記載の式Ibによる化合物を投与することを含む方法である。
【0113】
本発明の一実施形態は、NLRP3を阻害する方法であって、有効量の本明細書に記載の式Ibによる化合物を投与することを含む方法に関する。
【0114】
記載される方法のいずれか1つに従って製造される場合の、本明細書に記載の式Ibの化合物もまた、本発明の一実施形態である。
【0115】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載の式Ibによる化合物と、治療不活性担体とを含む医薬組成物である。
【0116】
本発明の一実施形態は、疾患、障害または症状の処置または予防における本明細書に記載の式Iによる化合物の使用であって、前記疾患、障害または症状がNLRP3阻害に応答性である、使用である。
【0117】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防における本明細書に記載の式Iによる化合物の使用である。
【0118】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防において使用するための、本明細書に記載の式Iによる化合物である。
【0119】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための本明細書に記載の式Iによる化合物である。
【0120】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための本明細書に記載の式Iによる化合物である。
【0121】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための医薬を調製するための本明細書に記載の式Iによる化合物の使用である。
【0122】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防のための医薬を調製するための本明細書に記載の式Iによる化合物の使用である。
【0123】
本発明の一実施形態は、アルツハイマー病およびパーキンソン病から選択される疾患、障害または症状の処置または予防の方法であって、有効量の本明細書に記載の式Iによる化合物を投与することを含む方法である。
【0124】
本発明の一実施形態は、喘息またはCOPDから選択される疾患、障害または症状の処置または予防の方法であって、有効量の本明細書に記載の式Iによる化合物を投与することを含む方法である。
【0125】
本発明の一実施形態は、NLRP3を阻害する方法であって、有効量の本明細書に記載の式Iによる化合物を投与することを含む方法に関する。
【0126】
記載される方法のいずれか1つに従って製造される場合の、本明細書に記載の式Iの化合物もまた、本発明の一実施形態である。
【0127】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載の式Iによる化合物と、治療上不活性担体とを含む医薬組成物である。
【0128】
アッセイ手順
NLRP3およびパイロトーシス
NLRP3の活性化が細胞パイロトーシスをもたらし、この特徴が臨床疾患の発現において重要な役割を果たすことは十分に確立されている(Yan-gang Liuら、Cell Death&Disease、2017、8(2)、e2579;Alexander Wreeら、Hepatology、2014、59(3)、898~910;Alex Baldwinら、Journal of Medicinal Chemistry、2016,59(5)、1691-1710;Ema Ozakiら、Journal of Inflammation Research、2015、8、15~27;Zhen Xie&Gang Zhao、Neuroimmunology Neuroinflammation、2014、1(2)、60-65;Mattia Coccoら、Journal of Medicinal Chemistry、2014、57(24)、10366~10382;T.Satohら、Cell Death&Disease、2013、4、e644)。したがって、NLRP3の阻害剤は、パイロトーシス、ならびに細胞からの炎症促進性サイトカイン(例えばIL-1β)の放出を遮断することが予想される。
【0129】
THP-1細胞:培養および調製
THP-1細胞(ATCC番号TIB-202)を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Sigma番号F0804)中、1mMピルビン酸ナトリウム(Sigma番号S8636)およびペニシリン(100単位/ml)/ストレプトマイシン(0.1mg/ml)(Sigma番号P4333)を補充したL-グルタミン(Gibco番号11835)を含有するRPMI中で増殖させた。細胞を定期的に継代し、コンフルエント(約106細胞/ml)まで増殖させた。実験の当日に、THP-1細胞を回収し、RPMI培地(FBSなし)に再懸濁した。次いで、細胞を計数し、生存率(>90%)をトリパンブルー(Sigma番号T8154)によって確認した。適切な希釈を行い、625,000細胞/mlの濃度を得た。この希釈細胞溶液にLPS(Sigma番号L4524)を添加して、1μg/mlの最終アッセイ濃度(FAC)を得た。40μlの最終調製物を96ウェルプレートの各ウェルに分注した。このようにして作製したプレートを化合物スクリーニングに用いた。
【0130】
THP-1細胞パイロトーシスアッセイ
化合物スクリーニングについては、以下の方法の段階的アッセイに従った。
1. 96ウェルのポリ-D-リジン(VWR番号734-0317)で被覆された黒色壁透明底細胞培養プレート中の40μlのRPMI培地(FBSなし)中に1.0μg/mlのLPSを含有するTHP-1細胞(25,000細胞/ウェル)を播種する
2. 5μlの化合物(10μMの最高用量での8点半対数希釈)またはビヒクル(DMSO 0.1% FAC)を適切なウェルに添加する
3. 37℃、5% CO2で3時間インキュベートする
4. 5μlのニゲリシン(Sigma番号N7143)(FAC5μM)を全てのウェルに添加する
5. 37℃、5% CO2で1時間インキュベートする
6. インキュベーション期間の終わりに、プレートを300xgで3分間回転させ、上清を除去する
7. 次いで、50μlのレサズリン(Sigma番号R7017)(FBSを含まないRPMI培地中のFAC 100μMレサズリン)を添加し、プレートを37℃および5%CO2で、さらに1~2時間インキュベートする
8. プレートをEnvisionリーダーで励起560nmおよび発光590nmで読み取った
9. IC50データを非線形回帰方程式に当てはめる(対数阻害剤対応答変数勾配4パラメータ)
【0131】
パイロトーシスアッセイの結果を、THP IC50として以下の表1に要約する。
【0132】
ヒト全血IL-1β放出アッセイ
全身送達のためには、化合物が血流内に存在する場合にNLRP3を阻害する能力が非常に重要である。このため、以下のプロトコルに従って、ヒト全血中の多数の化合物のNLRP3阻害活性を調べた。
【0133】
Li-ヘパリン管中のヒト全血を、ボランティアドナー集団の健康なドナーから得た。
1. 96ウェル平底細胞培養プレート(Corning番号3585)中に1μg/mlのLPSを含有する80μlの全血をプレートアウトする
2. 10μlの化合物(10μMの最高用量での8点半対数希釈)またはビヒクル(DMSO 0.1% FAC)を適切なウェルに添加する
3. 37℃、5% CO2で3時間インキュベートする
4. 10μlのニゲリシン(Sigma番号N7143)(10μM FAC)を全てのウェルに添加する
5. 37℃、5% CO2で1時間インキュベートする
6. インキュベーション期間の終わりに、プレートを300×gで5分間回転させて細胞をペレット化し、20μlの上清を除去し、IL-1β分析のために96ウェルv底プレートに添加する(注:上清を含有するこれらのプレートは、後の日に分析するために-80℃で保存することができる)
7. IL-1βは、製造業者のプロトコル(Perkin Elmer-AlphaLisa IL-1 Kit AL220F-5000)に従って測定した
8. IC50データを非線形回帰方程式に当てはめる(対数阻害剤対応答変数勾配4パラメータ)
【0134】
ヒト全血アッセイの結果をHWB IC50として以下の表1に要約する。
【0135】
hERGスクリーニングアッセイ
小分子の薬物開発プロセスにおいて、薬物の失敗につながる最も頻繁な有害な副作用の1つは、心不整脈である。そのような失敗は、多くの場合、ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(hERG)心臓カリウムチャネルを阻害する薬物の能力に関連する。したがって、hERG心臓カリウムチャネルの阻害がないかまたは低いことが有益であると考えられる。
【0136】
細胞
CHOクレロックスhERG細胞株(ATCC参照番号PTA-6812、雌チャイニーズハムスター細胞)を作製し、Rocheで検証した。すぐに使用可能な凍結即時CHO-hERG細胞をEvotec(ドイツ)で凍結保存し、実験に直接使用した。
【0137】
実験溶液
細胞外溶液は、以下を含有する(mM単位):NaCl 150;KCl 4;CaCl2 1;MgCl2 1;HEPES 10;NaOHでpH7.2~7.4、重量オスモル濃度290~330mOsm。内部溶液は、以下を含有する(mM単位):KCl,10;KF,100;NaCl,10;HEPES,10;EGTA,20;KOHでpH=7.0~7.4、重量オスモル濃度260~300mOsm。
【0138】
電気生理学
hERG K+-電流パラメータに対する化合物の効果を、少なくとも4つの細胞において2つの濃度で評価することになる。
【0139】
hERG試験は、自動パッチクランプシステムSynchroPatch(登録商標)384(Nanion Technologies GmbH、ドイツ)を用いて行う。K+電流は、35~37℃で全細胞構成でパッチボルテージクランプ法を用いて測定される。
【0140】
細胞を-80mVの静止電圧に保持し、
図1に示す電圧パターン(35~37℃で、外向きK
+電流を誘発するために使用されるパルスパターン)で刺激して、0.1Hz(6bpm)の刺激周波数でhERGチャネルを活性化し、外向きにIKhERG電流を伝導させた。
【0141】
データ分析
IKhERGの振幅を各薬物濃度で記録し、ビヒクル対照値(100%とする)と比較して端数ブロックを定義した。濃度-反応データを以下の関係で適合させた.
【表1】
【0142】
濃度-反応曲線を、EworkBook suite(ID Business Solutions Ltd、英国)を使用した非線形回帰分析によって当てはめた。データ適合は、4パラメータ・ロジスティック・モデル(fit=(A+(B/(1+((x/C)^D))))、式中、A=0、B=100である)を用いて行った。
【0143】
細胞内P-gpアッセイ:
一般的なアッセイは、96ウェル半透過性フィルタメンブレンプレート上で培養したヒトP-gpまたはマウスP-gpを過剰発現するトランスフェクトLLC-PK1細胞(ブタ腎臓上皮細胞)を使用し、ここでこれらの細胞はタイトジャンクションを有する分極単層を形成し、頂端区画と基底外側区画との間のバリアとして作用する。
【0144】
P-gpは、単層の頂端に面する膜で発現される。
【0145】
細胞単層の気密性およびP-gpの機能的活性は、それぞれ細胞不透過性マーカーであるルシファーイエローおよび参照P-gp基質であるエドキサバンの添加によって確認される。
【0146】
PAMPA:
PAMPA(並行人工膜透過性アッセイ)は、薬物候補の第一選択透過性スクリーニングである。PAMPAアッセイは、人工リン脂質膜を使用して経細胞吸収条件を模倣する。このアッセイは、化合物の最適化およびランク付けの目的、ならびに腸吸収を予測するためのインシリコモデルの入力パラメータに使用することができる透過性値を決定する。
【0147】
ドナー濃度をt-開始(参照)で測定し、一定時間後(t-終了)のドナー濃度およびアクセプター濃度と比較して、化合物が膜を通過する程度を計算する。
【0148】
ミクロソーム安定性:
ミクロソーム(0.5mg/mL)および補因子NADPH中1μMの試験化合物のインキュベーションを、96ウェルプレート、37℃、TECAN(Tecan Group Ltd、Switzerland)自動液体ハンドリングシステムで行う。試験化合物のミクロソームとの10分間のプレインキュベーション工程後、補因子の添加によって酵素反応を開始する。1、3、6、9、15、25、35および45分で、インキュベーション物のアリコートを取り出し、内部標準を含有する1:3(v/v)アセトニトリルでクエンチする。次いで、サンプルを冷却し、遠心分離した後、LC-MS/MS 2によって上清を分析する。
【0149】
肝細胞における代謝安定性:
アッセイの説明:
生物学的材料。凍結保存された肝細胞[マウス、ラット、ウサギ、サルおよびヒト(雄および雌;混合)]を得る。再構成後の肝細胞の生存率は、試験全体を通して少なくとも80%である。インキュベーション用のプレート、適用培地および維持培地を含む、間質マウス線維芽細胞(陰性対照;プール)を含むすぐに使用可能なラット/ヒトHepatoPac(登録商標)培養物[長期肝細胞共培養物;プール(ヒト男性についてはn=5、女性についてはn=5)]を取得する。
【0150】
懸濁肝細胞による代謝。一次プール凍結保存肝細胞を、10% FCS、0.05mg/mLストレプトマイシンおよび50U/mLペニシリンおよび0.4mM L-グルタミンおよび0.01mg/mLゲンタマイシン、0.048mg/mLヒドロコルチゾンおよび0.004mg/mLインスリンを含有する予熱したウィリアムE培地で1×106細胞/mLの最終懸濁密度になるように再構成する。インキュベーションは、オービタルシェーカーを備えたCO2インキュベーターを備えた液体処理システム(Tecan)を用いて完全に自動的に行った。例えば1μMの試験化合物(1×105細胞/ウェル)をウェルに添加した後、96ウェル肝細胞懸濁培養プレートを37℃、5% CO2中でインキュベートする。2時間までの指定された時点でアセトニトリル(内部標準を含む)をインキュベーションウェルに添加することによって、サンプルをクエンチする。
【0151】
HepatoPac(登録商標)による代謝。懸濁アッセイで行われる試験物(例えば、1μM、0.1% v/v DMSO)のインキュベーションを、接着性肝細胞とマウス線維芽細胞対照細胞との共培養物または対照細胞単独のいずれかを含有する96ウェルプレートで行う(5% CO2雰囲気および37℃)。ヒトHepatoPac(登録商標)中のインキュベーション培地は、懸濁肝細胞の培地と同一である。規定の時点(2、18、26、48、72および96時間)で、内部標準を含有する氷冷アセトニトリルでウェル全体をクエンチする。
【0152】
次いで、サンプルを適切に遠心分離し、上清をLC-MS/MSによって分析する。インキュベーションをn=1または2で行う。
【表2】
【0153】
これより、限定的な特徴を有しない以下の実施例によって本発明を説明する。
【0154】
調製例がエナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーは、本明細書に記載される方法によって、または例えばキラルクロマトグラフィーもしくは結晶化などの当業者に公知の方法によって得られ得る。
【0155】
【0156】
分析方法
NMRスペクトルは、TopSpinプログラム制御下で、ICON-NMRを使用してBruker 400 MHz分光計で実行した。スペクトルは、特に明記しない限り、298Kで測定し、溶媒共鳴を基準とした。
【0157】
LC-MS法:
SHIMADZU LCMS-2020、Agilent 1200 LC/G1956A MSDおよびAgilent 1200\G6110A、Agilent 1200 LC&Agilent 6110 MSDを使用する。移動相:A:水中0.025% NH3・H2O(v/v);B:アセトニトリル。カラム:Kinetex EVO C18 2.1X30mm、5μm。
【0158】
系
Waters Acquity UPLC
- バイナリポンプ
- オートサンプラWaters 2777C(別名CTC Pal HT)
- カラムマネージャ(4カラム)
- フォトダイオードアレイ検出器(PDA)
- シングル四重極質量分析計(SQD1およびSQD2)
【0159】
溶離液
チャネルA:水0.1%ギ酸
チャネルB:アセトニトリル0.07%ギ酸
【0160】
内蔵カラム(50℃):
カラム1Agilent Zorbax Eclipse Plus C18、Rapid Resolution HT、2.1x30mm、1.8μm、部品番号959731-902
カラム2:(MS1+5+7のみ):Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1×50mm、1.7μm、部品番号186002350
カラム3:なし
カラム4:なし(フローインジェクション)
【0161】
方法:
高速勾配(2分、カラム1、質量範囲m/z 150~900)
【表4】
【実施例】
【0162】
実施例
別様に指定のない場合、全ての実施例および中間体は、窒素雰囲気下で調製した。
【0163】
実施例1および2:
(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸
および
(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸
【化7】
【0164】
工程A:(rac)-7-クロロ-N-(1-エチル-3-ピペリジル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-アミンおよび(rac)-4-クロロ-N-(1-エチル-3-ピペリジル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミン
【0165】
DMSO(0.2mL)中の4,7-ジクロロチエノ[2,3-d]ピリダジン(CAS番号699-89-8、50mg、0.244mmol、1.0当量)および(rac)-1-エチルピペリジン-3-アミン(CAS番号6789-94-2、41.8μL、0.293mmol、1.2当量)の混合物に、DIPEA(128μL、0.731mmol、3.0当量)を添加した。反応混合物を16時間120℃に加熱した。黄色反応混合物を酢酸エチルおよび水で抽出した。有機層をブラインで洗浄した。水層を酢酸エチルで2回逆抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物(褐色油、110.9mg)を、異なる溶媒中、同じスケールで行われた異なる実験からの別の粗混合物(NMP中50mg)と合わせて、新たな粗残渣(橙色油、169mg)を得て、これをISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4g、MeOH勾配を有するCH2Cl2)によって精製すると、標記化合物(82.5mg)が位置異性体の混合物を含有する暗黄色固体として得られた。LCMS:m/z 297.1 [M+H]+,ESI pos.
【0166】
工程B:(rac)-2-[7-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸および(rac)-2-[4-[(1-エチル-3-ピペリジル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;ギ酸
【0167】
1,4-ジオキサン(1.5mL)および水(0.7mL)中の上述の位置異性体(rac)-7-クロロ-N-(1-エチル-3-ピペリジル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-アミンおよび(rac)-4-クロロ-N-(1-エチル-3-ピペリジル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミン(82.5mg、0.278mmol、1.0当量)、[2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(CAS番号1072951-50-8、97.0mg、0.471mmol、1.7当量)、炭酸カリウム(183.6mg、1.33mmol、4.8当量)ならびに1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(ii)ジクロリドジクロロメタン錯体(26.2mg、0.032mmol、0.116当量)の混合物にアルゴンを流し、90℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、MeOHを添加し(2mL)、真空中で濃縮した。粗生成物をRP分取HPLC(カラム:YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm;条件:ACN/水+0.1% HCOOH、運転時間11分、勾配 水中10-98-100 ACN)によって精製すると、黄色固体としての標記化合物1(14.8mg、収率11%)およびその位置異性体2(29.5mg、収率23%)が共にギ酸塩として、それぞれモル比(NMRによるモル比、生成物:ギ酸塩)53:47および52:48で得られた。LCMS:m/z 423.1 [M+H]+,ESI pos.
【0168】
実施例3および4:
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミンおよび
(rac)-N-(1-エチル-3-ピペリジル)-7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-アミン
【化8】
【0169】
前の実施例1および2、工程Bと同様に、1,4-ジオキサン(1.6mL)および水(0.8mL)中の上述の位置異性体(rac)-7-クロロ-N-(1-エチル-3-ピペリジル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-4-アミンおよび(rac)-4-クロロ-N-(1-エチル-3-ピペリジル)チエノ[2,3-d]ピリダジン-7-アミン(80mg、0.270mmol、1.0当量)、[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(CAS番号128796-39-4、86.8mg、0.457mmol、1.7当量)、炭酸カリウム(178mg、1.29mmol、4.8当量)ならびに1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(25.4mg、0.031mmol、0.116当量)の混合物にアルゴンを流し、90℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、酢酸エチルおよび水で抽出した。有機層をブラインで洗浄した。水層を酢酸エチルで2回逆抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をRP分取HPLC(カラム:YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm;条件:ACN/水+0.1%トリエチルアミン)によって精製すると、黄色固体としての標記化合物3(28.1mg、収率24%)およびその位置異性体4(47.9mg、収率42%)が得られた。LCMS:m/z 407.2 [M+H]+,ESI pos.
【0170】
実施例5-HCl:
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;塩酸塩
【化9】
【0171】
工程A:メチル1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピロール-3-カルボキシレート
【0172】
DMF(100mL)中のメチル1H-ピロール-3-カルボキシレート(CAS番号2703-17-5、10.0g、79.9mmol、1.0当量)の混合物に、NaH(3.52g、87.9mmol、1.1当量、純度60%)をN2下、0℃で添加した。混合物を15分間撹拌し、次いで、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(18.4mL、104mmol、1.3当量)を添加し、25℃で45分間撹拌した。TLC(PE/EtOAc=2:1)は反応が完了したことを示し、1つの新たなスポットが検出された。混合物を水(20mL)に注ぎ、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、PE/EtOAc=2/1を使用するカラムシリカゲルによって精製すると、標記化合物(20g、収率98%)が無色油として得られた。LCMS:m/z 255.9 [M+H]+,ESI.
【0173】
工程B:メチル2-[ヒドロキシ-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピロール-3-カルボキシレート
【0174】
ジイソプロピルエーテル(100mL)中の上述のメチル1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピロール-3-カルボキシレート(5.0g、19.6mmol、1.0当量)の混合物に、リチウムジイソプロピルアミド(24.5mL、48.9mmol、2.5当量)をN2下、-60℃で滴加し、10分間撹拌した。次いで、2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(4.40g、21.5mmol、1.1当量)を添加し、混合物を-60℃で50分間撹拌した。反応完了後(TLC:PE/EtOAc=10:1)、混合物を飽和NH4Cl(10mL)でクエンチした。水層をEtOAc(100mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮した。粗生成物を、PE/EtOAc=10:1で溶出されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(4.50g、収率50%)が無色油として得られた。1H NMR(400 MHz,METHANOL-d4)δ=7.49(d,1H),7.25(d,1H),7.20(d,1H),6.79(d,1H),6.73(s,1H),6.57(d,1H),5.31-5.21(m,2H),3.83,3.81(2 s,3H each),3.26-3.10,0.64-0.55,0.50-0.41(3 m,2H,1H,1H),-0.10(s,9H).
【0175】
工程C:メチル2-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピロール-3-カルボキシレート
【0176】
CH2Cl2(50mL)中の上述のメチル2-[ヒドロキシ-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピロール-3-カルボキシレート(4.50g、9.79mmol、1.0当量)および2,2-ジメトキシプロパン(6.23g、14.7mmol、1.5当量)の混合物を25℃で1時間撹拌した。反応が完了したら(TLC:PE/EtOAc=10:1)、混合物を飽和Na2SO3(50mL)でクエンチし、水層をCH2Cl2(100mL×2)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物を、PE/EtOAc=10:1で溶出されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物(2.0g、収率44%)が無色油として得られた。LCMS:m/z 458.0 [M+H]+,ESI.
【0177】
工程D:7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-5H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-4-オン
【0178】
エタノール(10mL)中の上述のメチル2-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)ピロール-3-カルボキシレート(1.50g、3.28mmol、1.0当量)およびヒドラジン水和物(820mg、16.4mmol、5.0当量)の混合物を70℃で16時間攪拌した。反応完了後、混合物を水(20mL)に注ぎ、EtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮した。残渣を、PE/EtOAc=2/1を使用するカラムシリカゲルによって精製すると、標記化合物(1.0g、収率68%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 440.4 [M+H]+,ESI.
【0179】
工程E:4-クロロ-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン
【0180】
トルエン(10mL)中の7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-5H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-4-オン(1.0g、2.28mmol、1.0当量)およびPOCl3(3.49g、22.8mmol、10当量)の混合物を110℃で2時間撹拌した。反応完了後、混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物を逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA水性-MeCN条件)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(340mg、収率46%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 327.9 [M+H]+,ESI.
【0181】
工程F:4-クロロ-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン
【0182】
DMF(4mL)中の上述の4-クロロ-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン(340mg、1.04mmol、1.0当量)の混合物に、NaH(62.3mg、1.56mmol、1.5当量、純度60%)をN2下、0℃で添加し、5分間撹拌した。次いで、ヨウ化メチル(221mg、1.56mmol、1.5当量)を混合物に添加し、25℃で55分間撹拌した。反応が完了したら、混合物を飽和NH4Cl溶液(20mL)に注ぎ、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、PE/EtOAc=4/1を使用するカラムシリカゲルによって精製すると、標記化合物(260mg、収率67%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 341.8 [M+H]+,ESI.
【0183】
工程G:N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-4-アミン
【0184】
上述の4-クロロ-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン(100mg、0.29mmol、1.0当量)の1,4-ジオキサン(4mL)中溶液に、BinapPdG3(20.0mg、0.060mmol、0.20当量)、炭酸セシウム(190.7mg、0.590mmol、2.0当量)および4-クロロ-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン(100mg、0.29mmol、1.0当量)をN2下で添加した。混合物を100℃で4時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を水(2mL)でクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA 水性-ACN条件)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(100mg、収率79%)が淡黄色固体として得られた。LCMS:m/z 434.2 [M+H]+,ESI.
【0185】
工程H:2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;塩酸塩
【0186】
CH2Cl2(2mL)中の上述のN-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-4-アミン(130mg、0.30mmol、1.0当量)およびBBr3(1.13g、4.50mmol、15当量)の混合物を-60℃で10分間撹拌し、次いで、25℃で50分間撹拌した。反応完了後、アンモニアを添加することによってpHを約pH7に調整し、次いで、混合物をフィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物を逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% HCl 水性-ACN)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(92.7mg、収率66%)が淡黄色固体として得られた。LCMS:m/z 420.0 [M+H]+,ESI.
【0187】
上記と同様に、実施例5もTFA塩として調製した。
【0188】
実施例5-TFA:
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸;
【化10】
【0189】
CH2Cl2(1mL)中の上述のN-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-4-アミン(30.0mg、0.070mmol、1当量)およびBBr3(173mg、0.69mmol、10当量)の混合物を-60℃で10分間撹拌し、次いで、25℃で50分間撹拌した。反応完了後、混合物をアンモニアの添加によって約pH7に調整し、次いでフィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をRPフラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA水性-ACN)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(15.0mg、収率37%)が淡黄色固体として得られた。LCMS:m/z 420.1 [M+H]+,ESI.
【0190】
実施例6:
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【化11】
【0191】
工程A:ジエチル2-メチルピラゾール-3,4-ジカルボキシレート
【0192】
ジエチル1H-ピラゾール-4,5-ジカルボキシレート(4.00g、18.9mmol、1.0当量)のACN(60mL)中溶液に、炭酸カリウム(5.21g、37.7mmol、2.0当量)を添加した。反応混合物を20℃で0.5時間撹拌し、次いで、ヨードメタン(4.01g、28.3mmol、1.5当量)を混合物に添加した。混合物を20℃で12時間撹拌した。反応が完了したら(TLC:PE:EtOAc=3:1)、混合物をH2O(100mL)でクエンチし、EtOAc(100mL×3)で抽出した。有機相をブライン(100mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:酢酸エチル、5:1~2:1)によって精製すると、標記化合物(1.35g、収率32%)が無色油として得られた。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ=7.88(s,1H),4.37,4.21(q,2H each),3.94(s,3H),1.34-1.21(m,6H).
【0193】
工程B:1-メチルピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4,7-ジオール
【0194】
ジエチル2-メチルピラゾール-3,4-ジカルボキシレート(1.1g、4.86mmol、1、0当量)のメタノール(20mL)中溶液に、ヒドラジン一水和物(0.71mL、14.6mmol、3.0当量)を添加した。混合物を20℃で24時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をRPフラッシュ(CombiFlash 0.1% NH3.H2O水性-ACN条件)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(100mg、収率12%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 167.1 [M+H]+,ESI pos.
【0195】
工程C:4,7-ジクロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン
【0196】
POCl3(2.0mL)中の上述の1-メチルピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4,7-ジオール(200mg、1.20mmol、1.0当量)の混合物を60℃で12時間撹拌した。反応が完了したら、混合物を減圧下で濃縮すると、標記化合物(220mg、収率90%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 202.8 [M+H]+,ESI pos.
【0197】
工程D:7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン
【0198】
上述の4,7-ジクロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン(200mg、0.99mmol、1.0当量)および(3R)-1-エチルピペリジン-3-アミン(CAS番号1020396-26-2、152mg、1.18mmol、1.20当量)のNMP(1mL)中溶液に、炭酸カリウム(272mg、1.97mmol、2.0当量)を添加した。混合物を85℃に加熱し、N2下で16時間撹拌した。反応が完了したら、反応混合物を20℃に冷却し、逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(70mg、収率24%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 295.0 [M+H]+,ESI pos.
【0199】
工程E:2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【0200】
上述の7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(60.0mg、0.20mmol、1.0当量)および[2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(CAS番号1072951-50-8、83.8mg、0.410mmol、2.0当量)の1,4-ジオキサン(2mL)および水(0.400mL)中溶液に、CsF(92.8mg、0.610mmol、3.0当量)およびPd(dppf)Cl2(29.8mg、0.040mmol、0.20当量)を添加した。上記反応混合物をマイクロ波下、130℃で1.5時間撹拌した。反応が完了したら、混合物を減圧下で濃縮し、逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製し、引き続いて凍結乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(方法カラム3_Phenomenex Luna C18 75mm×30mm×3μm;条件 水(TFA)-ACN;開始B:10;終了B:40;勾配時間(分):7;100% B保持時間(分):2;流量(mL/分):25)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(34.4mg、収率30%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 421.1 [M+H]+,ESI pos.
【0201】
精製方法:
自動逆相カラムクロマトグラフィーは、Gilson-322ポンプモジュール、Gilson-156 UV光度計検出ユニットおよびGilson-281フラクションコレクタによって駆動されるGilson GX-281システムを使用して行った。
【0202】
Phenomenex Luna C18:75mm×30mm×3μm
pH(水(10mM TFA)-ACN):5~6
平均粒径:3μm
使用前に100% ACN(2分間)でカラムをコンディショニングし、次いで1% ACN(0.8分間)にした。流量=25mL/分
【0203】
【0204】
検出波長:220および254nm。
【0205】
それぞれ新しい実行の前に、コンディショニング方法を用いてカートリッジを洗浄した。
【0206】
実施例7:
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]フロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【化12】
【0207】
工程A:フロ[2,3-d]ピリダジン-4,7-ジオール
【0208】
エタノール(45mL)中のジメチルフラン-2,3-ジカルボキシレート(4.50g、24.4mmol、1.0当量)の混合物に、ヒドラジン水和物(1.22g、244mmol、10当量)を添加した。混合物を70℃で2時間撹拌した。次いで、混合物をフィルタにかけ、濾過ケークをHCl(3.05mL、36.7mmol、1.5当量)の水(30mL)中溶液に添加した。反応が完了したら(TLC(PE:EtOAc=1:1))、混合物をフィルタにかけ、白色濾過ケークを得た。濾過ケークを、水を用いて粉砕すると、標記化合物(2.70g、収率73%)が白色固体として得られた。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ=11.77(br.s,2H),8.20(d,1H),7.03(d,1H).
【0209】
工程B:4,7-ジクロロフロ[2,3-d]ピリダジン
【0210】
POCl3(0.5mL)中の上述のフロ[2,3-d]ピリダジン-4,7-ジオール(1.00g、6.57mmol、1.0当量)の混合物を脱気し、N2で3回パージし、ピリジン(1.0mL、12.4mmol、1.88当量)を混合物に添加した。混合物を110℃で3時間撹拌した。LCMSは、所望の質量が検出されたことを示した。混合物を氷水(100mL)に注ぎ、二塩化メチレン(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮すると、標記化合物(1.10g、収率88%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 188.9 [M+H]+,ESI pos.
【0211】
工程C:2-(4-クロロフロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0212】
1,4-ジオキサン(50mL)および水(10mL)中の上述の4,7-ジクロロフロ[2,3-d]ピリダジン(3.00g、1.59mmol、1.0当量)、K2CO3(4.38g、3.17mmol、2.0当量)およびPd(dppf)Cl2(116mg、0.160mmol、0.10当量)の混合物を脱気し、N2で3回パージした。次いで、[2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(CAS番号1072951-50-8、262mg、1.27mmol、0.80当量)を混合物に添加した。混合物を100℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA水性/ACN条件)および分取HPLC(カラムWaters Xbridge 150×25mm×5μm;条件 水(水酸化アンモニアv/v)-ACN;開始B:35、終了B:65;勾配時間(分):9;100% B保持時間(分):2;流量(mL/分):25)によって精製した。凍結乾燥後、標記化合物(110mg、収率22%)を黄色油として得た。LCMS:m/z 315.0 [M+H]+,ESI pos.
【0213】
工程D:2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]フロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0214】
2-(4-クロロフロ[2,3-d]ピリダジン-7-イル)-5-(トリフルオロメチル)フェノール(28.0mg、0.09mmol、1.0当量)および(3R)-1-エチルピペリジン-3-アミン(CAS番号1020396-26-2、57.1mg、0.44mmol、5.0当量)の1,4-ジオキサン(1mL)中溶液にCs2CO3(72.5mg、0.220mmol、2.5当量)およびBinapPdG3(5.0mg、0.020mmol、0.20当量)を添加した。混合物をN2下、110℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% NH3 H2O水性/ACN条件)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(4mg、収率10%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 407.1 [M+H]+,ESI pos.
【0215】
実施例9:
2-[7-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【化13】
【0216】
工程A:4-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-アミン
【0217】
4,7-ジクロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン(実施例6、工程C;200mg、0.99mmol、1.0当量)および(3R)-1-エチルピペリジン-3-アミン(CAS番号1020396-26-2、151.57mg、1.18mmol、1.2当量)のNMP(1mL)中溶液に、炭酸カリウム(272mg、1.97mmol、2.0当量)を添加した。混合物をN2下、85℃で16時間撹拌した。反応が完了したら、反応混合物を20℃に冷却し、逆相フラッシュ(CombiFlash、0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製すると、両位置異性体(70.0mg、収率24%;INT実施例6、工程D)が黄色固体として、標記化合物(20.0mg、収率7%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 295.0 [M+H]+,ESI pos.
【0218】
工程B:2-[7-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0219】
4-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-アミン(20mg、0.07mmol、1.0当量)および[2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(CAS番号1072951-50-8、27.94mg、0.14mmol、2.0当量)の1,4-ジオキサン(2mL)および水(0.40mL)中溶液に、CsF(30.92mg、0.2mmol、3.0当量)およびPd(dppf)Cl2(9.93mg、0.01mmol、0.2当量)を添加した。上記反応混合物をマイクロ波条件下、130℃で1.5時間撹拌した。反応が完了したら、混合物を減圧下で濃縮し、逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(カラム:Phenomenex Synergi Polar-RP 100mm×25mm×4μm;条件:水(TFA)-MeCN開始B:23;終了B:43;勾配時間(分):7;100% B保持時間(分):2;流量(ml/分):25)によって精製して黄色固体を得て、次いで、分取HPLC(カラム:Waters Xbridge 150×25mm×5μm;条件:水(NH4HCO3)-MeCN、開始B:55;終了B:85;勾配時間(分):10;100% B 保持時間(分):2;流量(ml/分):25)によって再精製すると、標記化合物(6.48mg、収率22%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 421.1 [M+H]+,ESI pos.
【0220】
実施例10:
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメトキシ)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【化14】
【0221】
工程A:N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン
【0222】
マイクロ波管内で、7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(実施例6、工程D、150.0mg、0.51mmol、1.0当量)、CsF(386.47mg、2.54mmol、5.0当量)および2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(144.08mg、0.61mmol、1.2当量;CAS:355836-10-1)を1,4-ジオキサン(2mL)および水(0.4mL)に溶解し、混合物を窒素で3回パージし、次いで、Pd(dppf)Cl2(74.39mg、0.1mmol、0.2当量)を添加して赤色溶液を得た。反応混合物をマイクロ波条件下130℃で3時間撹拌して黒色溶液を得た。反応混合物を水(10mL)でクエンチして褐色溶液を得て、次いで、EtOAc(3×20mL)で抽出し、ブライン(2×30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮して黄色固体を得た。粗生成物を逆相フラッシュ(CombiFlash、0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製すると、標記化合物(60.0mg、収率26%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 451.2 [M+H]+,ESI pos.
【0223】
工程B:2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメトキシ)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【0224】
DCM(0.5 mL)中のN-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-7-[2-メトキシ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(40.0mg、0.09mmol、1.0当量)の混合物に、BBr3(222.46mg、0.89mmol、10.0当量)をN2下で添加し、-60℃で10分間撹拌し、次いで、25℃で1時間撹拌した。反応混合物を氷水(2mL)の添加によってクエンチし、NH3-H2O溶液で中和し、フィルタにかけ、濾液を減圧下で濃縮して黄色固体を得た。粗生成物を逆相フラッシュ(CombiFlash、0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製すると、標記化合物(29.7mg、収率58%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 437.2 [M+H]+,ESI pos.
【0225】
実施例11:
2-[4-[[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【化15】
【0226】
工程A:(1R,2R)-2-((7-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ)シクロヘキサン-1-オールおよび(1R,2R)-2-((4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル)アミノ)シクロヘキサン-1-オール
【0227】
(1R,2R)-2-アミノシクロヘキサノール塩酸塩(CAS:13374-31-7、896.2mg、5.91mmol、8.0当量)のNMP(5mL)中溶液に、K2CO3(815.64mg、5.91mmol、8.0当量)および4,7-ジクロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン(実施例6、工程C;150.0mg、0.74mmol、1.0当量)をN2下で添加し、次いで、混合物を115℃で16時間撹拌した。反応混合物を水(2mL)でクエンチし、次いで、真空中で濃縮した。残渣を逆相フラッシュ(CombiFlash、0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製すると、所望の生成物(1R,2R)-2-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]シクロヘキサノール(45.0mg、収率14%)が淡黄色固体、LCMS:m/z 282.2 [M+H]+,ESI pos.として得られた。副生成物として、(1R,2R)-2-[(4-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル)アミノ]シクロヘキサノール(40.0mg、収率19%)を淡黄色固体、LCMS:m/z 282.2 [M+H]+,ESI pos.として単離した。
【0228】
工程B:2-[4-[[(1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【0229】
[2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(CAS番号1072951-50-8、43.86mg、0.210mmol、1.5当量)、(1R,2R)-2-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]シクロヘキサノール(40.0mg、0.140mmol、1当量)、CsF(86.26mg、0.570mmol、4当量)の1,4-ジオキサン(1mL)/水(0.2mL)中溶液に、Pd(dppf)Cl2(5.19mg、0.01mmol、0.05当量)をN2下、25℃で添加した。反応混合物をマイクロ波照射下、125℃で2時間加熱した。反応が完了したら、混合物を減圧下で濃縮し、逆相フラッシュ(CombiFlash、0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製すると、標記化合物(29.0mg、収率38%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 408.0 [M+H]+,ESI pos.
【0230】
実施例12:
5-クロロ-2-[1-メチル-4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【化16】
【0231】
工程A:4-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-アミン
【0232】
1,4-ジオキサン(1.5mL)および水(0.3mL)中の7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(実施例6、工程D;80.0mg、0.27mmol、1.0当量)、4-クロロ-2-ヒドロキシフェニルボロン酸(CAS:1238196-66-1、93.6mg、0.54mmol、2.0当量)およびCs2CO3(265.26mg、0.81mmol、3.0当量)の混合物に、XPhos Pd G3(34.5mg、0.04mmol、0.15当量)を25℃で添加し、混合物をN2下、100℃で4時間撹拌して、褐色溶液を得た。反応混合物を2mLの水によってクエンチし、次いで、2mLの1N HCl溶液を添加してpH<5に調整し、次いで、2mLのMeOHで希釈して褐色溶液を得て、これを逆相フラッシュ(CombiFlash 0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製し、引き続いて凍結乾燥すると、標記化合物(22.0mg、収率15%)が白色固体として得られた。LCMS:m/z 387.2 [M+H]+,ESI pos.
【0233】
実施例13:
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-3-メチル-イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【化17】
【0234】
工程A:7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-3-メチル-イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジン-4-アミン
【0235】
4,7-ジクロロ-3-メチル-イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジン(124.0mg、0.61mmol、1.0当量、CAS番号106584-70-7)、DIPEA(0.53mL、3.04mmol、5.0当量)および[(3R)-1-エチルピペリジン-1-イウム-3-イル]アンモニウム;ジクロリド(128.37mg、0.64mmol、1.05当量)をNMP(5mL)に溶解し、110℃で16時間撹拌した。反応混合物をMeOH(20mL)で希釈し、SCX(6g)と30分間攪拌した。混合物をフィルタにかけ、樹脂をMeOH(20mL)で洗浄した。次いで、粗生成物をMeOH(50mL)中0.7N NH3で溶出して、褐色油を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(0~10%(MeOH中0.7N NH3)/DCM)によって精製すると、標記化合物(83.0mg、収率42%)が黄色油として得られた。1H NMR(500 MHz,DMSO-d6)δ [ppm]:6.48(d,1H),4.39-4.26(m,1H),2.96-2.84(m,1H),2.74-2.53(m,4H),2.37(q,2H),2.22-2.13(m,2H),1.89-1.81(m,1H),1.77-1.68(m,1H),1.65-1.47(m,2H),1.01(t,3H).
【0236】
工程B:2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-3-メチル-イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0237】
上述の7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-3-メチル-イソオキサゾロ[4,5-d]ピリダジン-4-アミン(90.0mg、0.3mmol、1.0当量)、フッ化セシウム(596.41mg、1.22mmol、4.0当量)、XPhosPd G3(25.79mg、0.03mmol、0.1当量;CAS番号1445085-55-1)および2-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)-フェニルボロン酸(93.7mg、0.43mmol、1.4当量;CAS番号312936-89-3)をDMF(2mL)に懸濁し、容器を排気し、N2を充填した(3回)。反応混合物を110℃で24時間撹拌した。反応混合物を冷却し、EtOAc(20mL)で希釈し、ブライン(20mL)および10重量%LiCl水溶液(20mL)で洗浄し、次いで、相分離器を用いて乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた残渣をDCM(3mL)に溶解し、BBr3(DCM中1.0M、0.91mL、0.91mmol、3.0当量)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、真空中で濃縮した。得られた残渣をDCM(10mL)に溶解し、NaHCO3(1g)を添加した。反応混合物を20分間撹拌し、次いで、フィルタにかけ、濾液を真空中で濃縮した。得られた残渣をDMSO/MeOH/DCMの混合物に溶解し、フィルタにかけ、Waters XBridge BEH C18 ODB分取カラム、130Å、5μm、30mm×100mm、流量40mL分-1で、PDAならびにQDAおよびELS検出器を用いて全ての波長にわたってUVを使用して水-MeCN勾配中0.3%アンモニアで12.5分にわたって溶出する逆相分取HPLC(Waters 2767 Sample Manager、Waters 2545 Binary Gradient Module、Waters Systems Fluidics Organiser、Waters 515 ACDポンプ、Waters 515 Makeupポンプ、Waters 2998 Photodiode Array Detector、Waters QDa)によって精製した。アットカラム希釈ポンプは、方法全体にわたって2mL分-1のメタノールを与え、これは以下のMeCNパーセンテージに含まれる。勾配情報:0.0~0.5分、55% MeCN;0.5~10.5分、55% MeCNから85% MeCNに傾斜;10.5~10.6分、85% MeCNから100% MeCNに傾斜;10.6~12.5分、100% MeCNで保持。これにより、標記化合物(4.3mg、収率3%)を淡褐色固体として得た。LCMS(m/z):421.8(M+H)+,ESI pos.
【0238】
実施例14
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-メチル-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【化18】
【0239】
工程A:1H-ピラゾール-4,5-ジカルボヒドラジド
【0240】
ジエチル1H-ピラゾール-4,5-ジカルボキシレート(CAS:37687-26-6、1.0g、4.71mmol、1.0当量)のエタノール(20mL)中溶液に、ヒドラジン一水和物(1.6mL、33mmol、7.0当量)を20℃で添加した。混合物を70℃にゆっくり加熱し、撹拌を70℃で5時間続けた。次いで、混合物を20℃に冷却し、懸濁液をフィルタにかけ、濾過ケークをEtOH(3×20mL)で洗浄し、真空下で乾燥させると、標記化合物(800.0mg、収率92%)が白色固体として得られた。
【0241】
工程B:1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4,7-ジオール
【0242】
2-メチルピラゾール-3,4-ジカルボヒドラジド(0.8g、4.04mmol、1.0当量)の水(4mL)中溶液に、HCl(2.29mL、27.43mmol、6.79当量)を20℃で滴加した。混合物を100℃で2時間撹拌した。周囲温度に冷却した後、懸濁液を水(20mL)で希釈し、フィルタにかけた。濾過ケークをEtOH(3×10mL)で洗浄し、真空中で乾燥させると、標記化合物(570.0mg、収率85%)が白色固体として得られた。
【0243】
工程C:4,7-ジクロロ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン
【0244】
1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4,7-ジオール(0.92g、6.02mmol、1.0当量)の混合物をPOCl3(10.0mL)に添加した。混合物を60℃で12時間撹拌した。次いで、混合物を真空下で濃縮して過剰のPOCl3を除去して、粗標記化合物(600.0mg、収率53%)を得て、これを次の工程に直接使用した。
【0245】
工程D:4,7-ジクロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン
【0246】
4,7-ジクロロ-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン(0.22g、1.14mmol、1.0当量)のTHF(5mL)中溶液に、NaH(68.57mg、1.71mmol、1.5当量)を0℃で少しずつ添加し、次いで、0℃で0.25時間撹拌し、次いで、SEMCl(286.29mg、1.71mmol、1.5当量)を0℃で2時間添加した。反応が完了したら、混合物をH2O(30mL)でクエンチし、EtOAc(30mL×3)で抽出した。有機相をブライン(30mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、5:1)で精製すると、標記化合物(85.0mg、収率23%)が淡黄色油として得られた。LCMS:m/z 319.2 [M+H]+,ESI pos.
【0247】
工程E:(R)-7-クロロ-N-(1-エチルピペリジン-3-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン
【0248】
4,7-ジクロロ-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン(65.0mg、0.2mmol、1.0当量)および(3R)-1-エチルピペリジン-3-アミン(33.94mg、0.26mmol、1.3当量)のNMP(2mL)中溶液に、DIEA(78.91mg、0.61mmol、3.0当量)を添加した。混合物をN2下、85℃で16時間撹拌した。反応が完了したら、混合物を減圧下で濃縮し、逆相フラッシュ(CombiFlash、0.1% TFA水性-ACN条件)によって精製すると、標記化合物(10.0mg、収率12%)が黄色油として得られた。LCMS:m/z 411.2 [M+H]+,ESI pos.
【0249】
工程F:2-(4-(((R)-1-エチルピペリジン-3-イル)アミノ)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル)-3-メチル-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0250】
(R)-7-クロロ-N-(1-エチルピペリジン-3-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(15.0mg、0.04mmol、1.0当量)および[2-ヒドロキシ-6-メチル-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(32.11mg、0.15mmol、4.0当量)の1,4-ジオキサン(1mL)および水(0.2mL)中溶液に、CsF(22.17mg、0.15mmol、4.0当量)およびXphos Pd G3(3.09mg、0.1当量)をN2下で添加した。混合物を95℃で5時間撹拌した。反応が完了したら、混合物を減圧下で濃縮し、残渣を分取TLC(DCM/MeOH 10:1)によって精製すると、標記化合物(9.0mg、収率67%)が黄色油として得られた。LCMS:m/z 551.3 [M+H]+,ESI pos.
【0251】
工程G:2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-メチル-5-(トリフルオロメチル)フェノール;2,2,2-トリフルオロ酢酸
【0252】
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-(2-トリ-メチルシリルエトキシメチル)-pyrazolo[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-メチル-5-(トリフルオロメチル)フェノール(9.0mg、0.02mmol、1.0当量)のDCM(0.5mL)中溶液に、TFA(0.5mL)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。反応が完了したら、混合物を減圧下で濃縮し、残渣を分取HPLC(カラム:Phenomenex Synergi Polar-RP 100×25mm×4μm;条件:水(TFA)-ACN;開始B:12;終了B:32;勾配時間(分):7;流量(ml/分):25)によって精製すると、所望の生成物(1.58mg、収率18%)が黄色固体として得られた。LCMS:m/z 421.2 [M+H]+,ESI pos.
【0253】
実施例15
2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【化19】
【0254】
工程A:2-ブロモ-6-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)アニリン
【0255】
市販の2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)アニリン(25.0g、140mmol、1.00当量)のDMF(300mL)中溶液に、NBS(26.1g、147mmol、1.05当量)を-10℃で添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(500mL)で希釈し、抽出した。有機相をブライン(500mL×3)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~10/1)によって精製すると、標記化合物(36.0g、収率99.9%)が黄色油として得られた。LCMS:m/z 257.9 [M+H]+,ESI pos.
【0256】
工程B:2-フルオロ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-4-(トリフルオロメチル)アニリン
【0257】
化合物2-ブロモ-6-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)アニリン(30.0g、116mmol、1.00当量)のジオキサン(500mL)中溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(59.1g、233mmol、2.00当量)、KOAc(28.5g、291mmol、2.50当量)およびPd(dppf)Cl2.CH2Cl2(9.50g、11.6mmol、0.10当量)を、N2下で添加した。混合物を100℃で3時間撹拌した。反応物を真空中で濃縮した。残渣をEtOAc(1000mL)で希釈し、抽出した。有機相をブライン(1000mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮すると、標記化合物(45.0g)が黒色油として得られ、これを次の工程に直接使用した。LCMS:m/z 306.1 [M+H]+,ESI pos.
【0258】
工程C:2-アミノ-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0259】
上述の2-フルオロ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-4-(トリフルオロメチル)アニリン(45.0g、148mmol、1.00当量)のTHF(600mL)中溶液に、NaOH(2M、221mL、3.00当量)およびH2O2(100g、885mmol、85.0mL、純度30.0%、6.00当量)を、0℃で添加し、反応物を25℃で3時間撹拌した。反応物をEtOAc(1500mL)で希釈し、抽出した。有機相をNa2SO3水溶液(1500mL×3)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して残渣を得た。粗生成物を逆相HPLC(0.1%ギ酸条件)によって精製すると、標記化合物(11.0g、収率38%)が褐色固体として得られた。LCMS:m/z 196.0 [M+H]+,ESI pos.
【0260】
工程D:3-フルオロ-2-ヨード-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0261】
化合物2-アミノ-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール(11.0g、56.4mmol、1.00当量)およびH2SO4(40.5g、404mmol、22.0mL、7.17当量)のH2O(200mL)およびアセトン(50.0mL)中溶液に、NaNO2(7.78g、113mmol、2.00当量)を0℃で添加し、反応物を0℃で30分間撹拌した。次いで、CuI(26.8g、141mmol、2.50当量)およびNaI(21.1g、141mmol、2.50当量)を0℃で反応物に添加し、反応物を0℃で1.5時間撹拌した。反応完了後、水(500mL)を反応混合物に添加した。水相をEtOAc(300mL×2)で洗浄した。合わせた有機層をブライン(300mL×2)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して残渣を得た。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~10/1)によって精製すると、標記化合物(20.0g)が褐色油として得られた。1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ=7.04(s,1H),6.89(dd,1H),6.76(s,1H).
【0262】
工程E:1-(エトキシメトキシ)-3-フルオロ-2-ヨード-5-(トリフルオロメチル)ベンゼン
【0263】
化合物3-フルオロ-2-ヨード-5-(トリフルオロメチル)フェノール(20.0g、65.4mmol、1.00当量)およびクロロメトキシエタン(9.27g、98.0mmol、9.09mL、1.50当量)のDMF(200mL)中溶液に、Cs2CO3(31.9g、98.0mmol、1.50当量)を添加し、混合物を25℃で2時間撹拌した。反応完了後、EtOAc(500mL)を添加し、相を分離し、抽出した。有機相をブライン(500mL×3)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して残渣を得て、これをカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル/酢酸エチル=1/0~10/1)によって精製すると、標記化合物(10.0g、収率42%)が無色油として得られた。1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=7.15(s,1H),7.00(dd,1H),5.36(s,2H),3.78(q,2H),1.24(t,3H).
【0264】
工程F:2-[2-(エトキシメトキシ)-6-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
【0265】
1-(エトキシメトキシ)-3-フルオロ-2-ヨード-5-(トリフルオロメチル)ベンゼン(10.0g、27.5mmol、1.00当量)および2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(15.3g、82.4mmol、16.8mL、3.00当量)のTHF(100mL)中溶液に、n-BuLi(2.50M、27.5mL、2.50当量)を-70℃で添加し、反応物を-70℃で1時間撹拌した。反応完了後、NH4Cl水溶液(300mL)を添加し、混合物を10分間撹拌し、EtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、フィルタにかけ、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を分取HPLC(カラム:Welch Ultimate XB-CN 250×50×10μm;移動相:[ヘキサン-EtOH];B%:0%~0%、7分)によって精製すると、標記化合物(7.00g、収率60%、純度86.3%)が白色固体として得られた。1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ=7.10(s,1H),6.94(d,1H),5.24(s,2H),3.73(q,2H),1.39(s,12H),1.22(t,3H).
【0266】
工程G:7-[2-(エトキシメトキシ)-6-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン
【0267】
1,4-ジオキサン(2.81mL)および水(0.7mL)中の7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(70mg、0.24mmol、1.0当量;実施例6、工程D)、上述の2-[2-(エトキシメトキシ)-6-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(201.5mg、0.48mmol、2.0当量)、炭酸カリウム(131.3mg、0.95mmol、4.0当量)およびSPhosPd G3(25.1mg、0.03mmol、0.14当量)の混合物にアルゴンを流し、110℃で3時間撹拌した。さらなる当量のボロン酸および0.1当量のSPhos Pd G3を添加し、反応物を90℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(約30mL)および半飽和NH4Cl水溶液(約0.5mL)で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をさらに精製することなく次の工程に使用した。LCMS m/z:439.3;497.3 [M+H]+,ESI pos.
【0268】
工程H:2-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-3-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0269】
7-[2-(エトキシメトキシ)-6-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-メチル-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(100mg、0.20mmol、1.0当量)およびジクロロメタン(4.1mL)の溶液に、氷冷下で、TFA(689mg、466μL、6.0mmol、30当量)を滴加した。反応混合物を0℃で撹拌し、次いで、撹拌を2時間続けながら室温にした。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物をDCMに溶解し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、有機相を分離し、水およびブラインでもう一度洗浄した。水相をDCMで逆抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(勾配ジクロロメタン中0%~100%(ジクロロメタン:メタノール:NH4OH;110:10:1))によって精製すると、標記化合物(50mg、収率57%)が得られた。LCMS m/z:439.2 [M+H]+,ESI pos.
【0270】
実施例16
2-[4-[(3-ヒドロキシ-3-メチル-シクロブチル)アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【化20】
【0271】
工程A:3-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]-1-メチル-シクロブタノール
【0272】
1,4-ジオキサン(1.0mL)および水(0.10mL)中の4,7-ジクロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン(実施例6、工程C)(130mg、0.61mmol、1.00当量)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(337mg、0.455mL、2.61mmol、4.28当量)およびシス-3-アミノ-1-メチルシクロブタン-1-オール塩酸塩(CAS番号1523606-23-6、125mg、0.91mmol、1.49当量)を添加した。混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、酢酸エチルおよび水で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、12g、勾配ジクロロメタン中0%~5%メタノール)によって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、濃縮すると、標記化合物(57mg、収率33%)が灰白色固体として得られた。LCMS:m/z 268.1 [M+H]+,ESI pos.
【0273】
工程B:2-[4-[(3-ヒドロキシ-3-メチル-シクロブチル)アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェノール
【0274】
1,4-ジオキサン(1.1mL)および水(0.55mL)中の3-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]-1-メチル-シクロブタノール(実施例16、工程A)(54mg、0.19mmol、1.00当量)、[2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(CAS番号1072951-50-8、80mg、0.39mmol、2.03当量)、炭酸カリウム(130mg、0.94mmol、4.91当量)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(20mg、0.02mmol、0.13当量)の混合物にアルゴンを流し、100℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、酢酸エチルおよび半飽和NH4Cl水溶液で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、12g、勾配ジクロロメタン中0%~20%メタノール)によって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で濃縮した。残渣を、酢酸エチルを用いて粉砕すると、標記化合物(25mg、収率32%)が暗褐色粉末として得られた。LCMS:m/z 394.3 [M+H]+,ESI pos.
【0275】
実施例17:
5-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【化21】
【0276】
工程A:4-ベンジルオキシ-5-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン
【0277】
5-ブロモクマラン-4-オール(CAS番号2279149-27-6、4.59g、20.26mmol、1.00当量)のアセトニトリル(40mL)中溶液に、炭酸カリウム(5.6g、40.51mmol、2.00当量)、引き続いて臭化ベンジル(4.89g、3.4mL、28.57mmol、1.41当量)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルおよび水で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、220g、勾配ヘプタン中0%~10%酢酸エチル)によって精製すると、標記化合物(6.17g、収率95%)が無色油として得られた。LCMS:m/z 305.1/307.0 [M+H]+,ESI pos.
【0278】
工程B:2-(4-ベンジルオキシ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
【0279】
4-ベンジルオキシ-5-ブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(実施例17、工程A)(6.16g、19.18mmol、1.00当量)および2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(CAS番号61676-62-8、5.47g、6.0mL、29.41mmol、1.53当量)のテトラヒドロフラン(80mL)中溶液に、n-ブチルリチウム、ヘキサン中1.6M溶液(19mL、30.4mmol、1.59当量)を-76℃で40分以内に滴加した。-76℃で2.5時間撹拌させた。反応混合物を-60℃に加温し、飽和NH4Cl水溶液で-60℃でクエンチし、室温に加温し、次いで、酢酸エチルおよび飽和NH4Cl水溶液で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層をブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、120g、勾配ヘプタン中0%~10%酢酸エチル)によって精製すると、標記化合物(5.78g、収率81%)が無色油として得られた。LCMS:m/z 353.1 [M+H]+,ESI pos.
【0280】
工程C:5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0281】
2-(4-ベンゾキシクマラン-5-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(実施例17、工程B)(5.77g、15.56mmol、1.00当量)の酢酸エチル(70mL)中溶液を交互に3回排気し、アルゴンを流した。活性炭担持パラジウム、10%Pd基礎(577mg、0.54mmol、0.03当量)を添加した。反応フラスコを排気し、アルゴンを流し、排気し、水素を流した。反応混合物を水素雰囲気(バルーン)下、室温で3時間撹拌した。メタノール(10mL)を添加した。反応フラスコを交互に3回排気し、アルゴンを流し、排気し、次いで、水素を流した。反応混合物を水素雰囲気(バルーン)下、室温で1時間撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、酢酸エチル/メタノールで十分にすすいだ。濾液を真空中で濃縮すると、標記化合物(4.22g、収率98%)が灰白色固体として得られ、これをさらに精製することなく使用した。LCMS:m/z 263.2 [M+H]+,ESI pos.
【0282】
工程D:5-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール
【0283】
1,4-ジオキサン(6.0mL)および水(3.0mL)中の7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(実施例6、工程D)(300mg、1.02mmol、1.00当量)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(実施例17、工程C)(570mg、1.87mmol、1.84当量)、炭酸カリウム(675mg、4.88mmol、4.80当量)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(126mg、0.15mmol、0.15当量)の混合物にアルゴンを流し、95℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いで、酢酸エチルおよび半飽和NH4Cl水溶液で抽出した。水層を酢酸エチルで2回逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。
【0284】
粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、25g、勾配ジクロロメタン中0%~100%(ジクロロメタン:メタノール:NH4OH 9:1:0.05))によって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で濃縮した。残渣をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(Si-アミン、25g、勾配酢酸エチル中0%~10%メタノール)によって再精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で濃縮した。残渣をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、25g、勾配ジクロロメタン中0%~20%メタノール)によって再精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で濃縮すると、標記化合物(234mg、収率57%)が黄色泡状物として得られた。LCMS:m/z 395.3 [M+H]+,ESI pos.
【0285】
実施例18:
3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オール
【化22】
【0286】
工程A:2-[(3-ブロモ-2-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)オキシメトキシ]エチル-トリメチル-シラン
【0287】
3-ブロモビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5トリエン-2-オール(国際公開第2021150574号パンフレット、195mg、0.98mmol、1.0当量)のDMF(5mL)中溶液に、炭酸カリウム(302mg、2.19mmol、2.20当量)を室温で添加した。得られた混合物を超音波処理し、次いで、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(200μL、1.13mmol、1.15当量)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、炭酸カリウム(140mg、1.01mmol、1.03当量)、引き続いて2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(0.1mL、0.570mmol、0.58当量)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(50mL)および50v%ブライン(100mL)で希釈し、分離した水層をEtOAc(2×50mL)でさらに抽出した。合わせた有機層を50v%ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、フィルタにかけ、濃縮した。粗反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40g、0~20%MTBE:イソヘキサン)によって精製すると、標記化合物(345.0mg、収率100%)が無色油として得られた。1H NMR(500 MHz,DMSO)δ 7.39(d,1H),6.67(d,1H),5.27(s,2H),3.72(dd,2H),3.28(dd,2H),3.05(dd,2H),0.91-0.85(m,2H),-0.05(s,9H).LCMS イオン化なし。
【0288】
工程B:トリメチル-[2-[[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル]オキシメトキシ]エチル]シラン
【0289】
酢酸イソプロピル(8mL)中の2-[(3-ブロモ-2-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル)オキシメトキシ]エチル-トリメチル-シラン(103.0mg、0.270mmol、1当量)、ビス(ピナコラト)ジボロン(81.0mg、0.320mmol、1.2当量)および酢酸カリウム(111.0mg、1.13mmol、4.25当量)を、スパージした(超音波処理しながら窒素を10分間バブリングした)。XPhos Pd G3(46.0mg、0.05mmol、0.05当量)およびXPhos(11.0mg、0.02mmol、0.02当量)を添加し、反応混合物を90℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(40g、0~20%MTBE:イソヘキサン)によって精製すると、標記化合物(199mg、収率41%)が淡黄色油として得られた。1H NMR(500 MHz,CDCl3)δ 7.57(d,1H),6.71(d,1H),5.25(s,2H),3.81-3.71(m,2H),3.30(dd,2H),3.18-3.05(m,2H),1.33(s,12H),0.97-0.92(m,2H),-0.03(s,9H).LCMS イオン化なし。
【0290】
工程C:N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-7-[2-(2-トリメチルシリルエトキシメトキシ)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエニル]ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン
【0291】
1,4-ジオキサン(1.4mL)および水(0.70mL)中の7-クロロ-N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(実施例6、工程D)(48mg、0.16mmol、1.00当量)、上述のトリメチル-[2-[[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1,3,5-トリエニル]オキシメトキシ]エチル]シラン(93mg、0.22mmol、1.37当量)、炭酸カリウム(108mg、0.78mmol、4.80当量)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(20mg、0.02mmol、0.150当量)の混合物にアルゴンを流し、95℃で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルおよび水で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、12g、勾配ジクロロメタン中0%~100%(ジクロロメタン:メタノール:NH4OH 9:1:0.05))によって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で濃縮すると、標記化合物(33mg、収率38%)が暗緑色油として得られた。LCMS:m/z 509.4 [M+H]+,ESI pos.
【0292】
工程D:3-[4-[[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]アミノ]-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-7-イル]ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエン-2-オール
【0293】
N-[(3R)-1-エチル-3-ピペリジル]-1-メチル-7-[2-(2-トリメチルシリルエトキシメトキシ)-3-ビシクロ[4.2.0]オクタ-1(6),2,4-トリエニル]ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-アミン(実施例18、工程A)(33mg、0.06mmol、1.00当量)のジクロロメタン(1.6mL)およびメタノール(0.40mL)中溶液に、ジオキサン中4M HCl(192mg、0.160mL、0.64mmol、10.39当量)を滴加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン/メタノール(19:1)で希釈し、1mLの氷冷水および4mLの飽和NaHCO3水溶液の混合物に慎重に添加し、次いで、ジクロロメタン/メタノール(19:1)で抽出した。有機層をブラインで洗浄した。水層をジクロロメタン/メタノール(19:1)で2回逆抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮すると、標記化合物(25mg、収率96%、純度90%)が褐色泡状物として得られた。LCMS:m/z 379.3 [M+H]+,ESI pos.
【0294】
実施例19:
(3S,5R)-1-エチル-5-[[7-(4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]アミノ]ピペリジン-3-オール
【化23】
【0295】
工程A:tert-ブチル(3R,5S)-3-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]-5-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシレート
【0296】
1,4-ジオキサン(1.2mL)中の4,7-ジクロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン(実施例6、工程C)(200mg、0.94mmol、1.00当量)およびtert-ブチル(3R,5S)-3-アミノ-5-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシレート(CAS番号1932513-59-1、306mg、1.41mmol、1.51当量)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(366mg、0.494mL、2.83mmol、3.02当量)を添加した。反応混合物を100℃で2日間撹拌し、次いで、室温で3日間放置した。反応混合物を酢酸エチルおよび水で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。残渣をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、25g、勾配ジクロロメタン中0%~5%メタノール)によって精製すると、標記化合物(210mg、収率56%)が灰白色固体として得られた。LCMS:m/z 383.2 [M+H]+,ESI pos.
【0297】
工程B:(3S,5R)-5-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]ピペリジン-3-オール塩酸塩
【0298】
tert-ブチル(3R,5S)-3-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]-5-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシレート(実施例19、工程A)(205mg、0.51mmol、1.00当量)のジクロロメタン(1.0mL)およびメタノール(0.50mL)中溶液に、ジオキサン中4M HCl(1.2mL、4.8mmol、9.44当量)を滴加した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮すると、標記化合物(162mg、収率95%)が灰白色固体として得られた。LCMS:m/z 283.2 [M+H]+,ESI pos.
【0299】
工程C:(3S,5R)-5-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]-1-エチル-ピペリジン-3-オール
【0300】
(3S,5R)-5-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]ピペリジン-3-オール塩酸塩(実施例19、工程B)(160mg、0.48mmol、1.00当量)のジクロロメタン(3.0mL)中懸濁液に、氷浴冷却下でアセトアルデヒド(47mg、0.06mL、1.06mmol、2.23当量)、引き続いて酢酸ナトリウム(79mg、0.96mmol、2.02当量)を添加した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(152mg、0.72mmol、1.51当量)を0℃で3回に分けて添加した。添加が完了した後、氷浴を除去し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液で慎重にクエンチし、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、12g、勾配ジクロロメタン中0%~10%メタノール)によって精製すると、標記化合物(102mg、収率65%)が淡黄色泡状物として得られた。LCMS:m/z 311.2 [M+H]+,ESI pos.
【0301】
工程D:(3S,5R)-1-エチル-5-[[7-(4-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル]アミノ]ピペリジン-3-オール
【0302】
1,4-ジオキサン(1.6mL)および水(0.80mL)中の(3S,5R)-5-[(7-クロロ-1-メチル-ピラゾロ[3,4-d]ピリダジン-4-イル)アミノ]-1-エチル-ピペリジン-3-オール(実施例19、工程C)(90mg、0.28mmol、1.00当量)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-オール(実施例17、工程C)(140mg、0.51mmol、1.84当量)、炭酸カリウム(170mg、1.23mmol、4.47当量)および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(34mg、0.04mmol、0.15当量)の混合物にアルゴンを流し、95℃で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルおよび半飽和NH4Cl水溶液で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をISOLUTE HM-Nに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、12g、勾配ジクロロメタン中0%~100%(ジクロロメタン:メタノール:NH4OH 9:1:0.05))によって精製した。生成物を含有する全ての画分を合わせ、真空中で濃縮すると、標記化合物(58mg、収率49%)が褐色泡状物として得られた。LCMS:m/z 411.3 [M+H]+,ESI pos.
【0303】
実施例A
式Iの化合物は、以下の組成の錠剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用され得る。
錠剤あたり
有効成分 200mg
微結晶セルロース 155mg
コーンスターチ 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0304】
実施例B
式Iの化合物は、以下の組成のカプセル剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用され得る。
カプセル剤あたり
有効成分 100.0mg
コーンスターチ 20.0mg
ラクトース 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg
【0305】
実施例A’
式Ibの化合物は、以下の組成の錠剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用され得る。
錠剤あたり
有効成分 200mg
微結晶セルロース 155mg
コーンスターチ 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0306】
実施例B’
式Ibの化合物は、以下の組成のカプセル剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用され得る。
カプセル剤あたり
有効成分 100.0mg
コーンスターチ 20.0mg
ラクトース 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg
【国際調査報告】