IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーアイエスティー(コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)の特許一覧 ▶ ケー2ビー セラピューティクス, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-540448標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物
<>
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図1
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図2
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図3
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図4
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図5
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図6
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図7
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図8
  • 特表-標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20241024BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241024BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20241024BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20241024BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241024BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20241024BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K47/64
A61K48/00
A61P31/14
A61P31/12
A61P35/00
A61P43/00 105
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C12N15/12 ZNA
C07K14/47
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528584
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2022080167
(87)【国際公開番号】W WO2023092089
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,370
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/392,323
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524034051
【氏名又は名称】ケーアイエスティー(コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(71)【出願人】
【識別番号】524179167
【氏名又は名称】ケー2ビー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】キム, ホウォン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キム, イン-サン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジェイ エス.
(72)【発明者】
【氏名】キム, スン ファ
(72)【発明者】
【氏名】クウォン, イク チャン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ユ ス
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ホン ヨル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA13
4C084NA13
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA25
4C085BB11
4C085DD59
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA54
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
標的細胞への医薬品有効成分の赤血球媒介送達のための治療化合物が記載される。治療化合物は、赤血球の表面のCD47に結合するように、およびその後、標的細胞の表面のCD47へ移行されるように構成されており、したがって、治療用化合物は、最終的に、エンドサイトーシスによって標的細胞に内在化される。標的細胞は、がん細胞、ウイルス感染細胞、または線維化細胞であり得る。CD47結合タンパク質は、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス相互作用、およびこれらの組合せからなる群から選択される結合により、APIにコンジュゲートされ得る。CD47結合タンパク質は、リンカーによりAPIにコンジュゲートされ得、リンカーは、切断可能であり得る。リンカーは、リソソーム分解酵素により切断されるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、
コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質
を含み;
前記CD47結合タンパク質が、野生型トロンボスポンジン-1(TSP-1)(配列番号7)、野生型SIRPγ(配列番号4)、vSIRPγ-1(配列番号5)、vSIRPγ-2(配列番号6)、ALX148(配列番号962)、TTI-661(配列番号963)、TTI-662(配列番号964)、前述のもののいずれかのホモログ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、前記対象の循環系による前記標的細胞への前記コンジュゲートの輸送を可能にするために前記コンジュゲートを前記対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)前記コンジュゲートを前記赤血球の前記CD47に結合させるように構成されている前記CD47結合タンパク質が、前記標的細胞の前記CD47に結合し、ひいては、前記コンジュゲートを前記赤血球から前記標的細胞へ移行させて、前記標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、前記標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)前記コンジュゲートが、前記コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって前記標的細胞に取り込まれ、それによって、前記標的細胞の前記免疫逃避機構をさらに阻害し、前記APIを前記標的細胞に送達する、
治療化合物。
【請求項2】
CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、
コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質
を含み;
前記CD47結合タンパク質が、野生型SIRPα(配列番号1)、vSIRPα(配列番号3)、野生型トロンボスポンジン-1(TSP-1)(配列番号7)、野生型SIRPγ(配列番号4)、vSIRPγ-1(配列番号5)、vSIRPγ-2(配列番号6)、ALX148(配列番号962)、TTI-661(配列番号963)、TTI-662(配列番号964)、前述のもののいずれかのホモログ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、前記対象の循環系による前記標的細胞への前記コンジュゲートの輸送を可能にするために前記コンジュゲートを前記対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)前記コンジュゲートを前記赤血球の前記CD47に結合させるように構成されている前記CD47結合タンパク質が、前記標的細胞の前記CD47に結合し、ひいては、前記コンジュゲートを前記赤血球から前記標的細胞へ移行させて、前記標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、前記標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)前記コンジュゲートが、前記コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって前記標的細胞に取り込まれ、それによって、前記標的細胞の前記免疫逃避機構をさらに阻害し、前記APIを前記標的細胞に送達する、
治療化合物。
【請求項3】
CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、
コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含み;
前記CD47結合タンパク質が、抗CD47抗体であり、前記抗CD47抗体が、
(a)配列番号932、配列番号933および配列番号934をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号935、配列番号936および配列番号937をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;
(b)配列番号940、配列番号941および配列番号942をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号943、配列番号944および配列番号945をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;
(c)配列番号948、配列番号949および配列番号950をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号951、配列番号952および配列番号953をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;または
(d)配列番号956、配列番号957および配列番号958をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号959、配列番号960および配列番号961をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含み;
前記対象の循環系による前記標的細胞への前記コンジュゲートの輸送を可能にするために前記コンジュゲートを前記対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)前記コンジュゲートを前記赤血球の前記CD47に結合させるように構成されている前記CD47結合タンパク質が、前記標的細胞の前記CD47に結合し、ひいては、前記コンジュゲートを前記赤血球から前記標的細胞へ移行させて、前記標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、前記標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)前記コンジュゲートが、前記コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって前記標的細胞に取り込まれ、それによって、前記標的細胞の前記免疫逃避機構をさらに阻害し、前記APIを前記標的細胞に送達する、
治療化合物。
【請求項4】
前記CD47結合タンパク質が、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス相互作用、およびこれらの組合せからなる群から選択される結合により、前記APIにコンジュゲートされている、前記請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項5】
前記CD47結合タンパク質が、リンカーにより前記APIにコンジュゲートされている、前記請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項6】
前記リンカーが、切断可能である、請求項5に記載の治療化合物。
【請求項7】
前記リンカーが、リソソーム分解酵素により切断されるように構成されている、請求項5および6のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項8】
前記APIが、RNA、DNA、RNA誘導体、DNA誘導体、タンパク質、および小分子からなる群から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項9】
前記APIが、siRNA、shRNA、miRNA、antimiR、およびmRNAからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項10】
前記標的細胞が、がん細胞、ウイルス感染細胞、線維化細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される細胞である、前記請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項11】
前記標的細胞が、がん細胞である、請求項1から8のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項12】
前記標的細胞が、ウイルス感染細胞である、請求項1から8のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項13】
前記標的細胞が、線維化細胞である、請求項1から8のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項14】
前記がん細胞が、脳腫瘍、脊髄腫瘍、網膜芽細胞腫、口腔がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、咽頭がん、喉頭がん、頸部がん、頭頸部がん、黒色腫、皮膚がん、乳がん、甲状腺がん、悪性副腎腫瘍、内分泌がん、肺がん、胸膜腫瘍、気道がん、食道がん、胃がん、小腸がん、結腸がん、肛門がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、絨毛癌、卵巣がん;急性/慢性白血病、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫を含む血液がん;骨腫瘍、軟部組織腫瘍、小児白血病、ならびに小児がんからなる群から選択されるがんに起因する腫瘍におけるものである、請求項11に記載の治療化合物。
【請求項15】
前記がん細胞が、卵巣漿液性嚢胞腺癌、肺腺癌、子宮頸および子宮頸管がん、頭頸部扁平上皮癌、甲状腺癌、子宮体類内膜癌、前立腺癌、中皮腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性白血病、肺扁平上皮癌、急性リンパ性白血病、食道癌、粘液線維肉腫、膵臓腺癌、直腸腺癌、結腸腺癌、急性巨核芽球性白血病、浸潤性乳癌、胃腺癌、膀胱尿路上皮癌、胆管癌、白血病、胸腺癌、平滑筋肉腫、胸腺腫、未分化多形性肉腫、子宮癌肉腫、急性骨髄性白血病、多形性神経膠芽種、肉腫、皮膚黒色腫、腎臓明細胞癌、脱分化型脂肪肉腫、リンパ腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、若年性骨髄単球性白血病、消化管間質腫瘍、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、副腎皮質がん、分化系統不明瞭な急性白血病、褐色細胞腫および傍神経節腫、神経膠腫、精巣胚細胞腫瘍、テント上胎児性腫瘍NOS、神経芽細胞腫、腎臓乳頭細胞癌、肝細胞癌、嫌色素性腎細胞癌、悪性末梢神経鞘腫瘍、上衣腫、副腎皮質癌、上咽頭癌、紡錘細胞/硬化性横紋筋肉腫、黒色腫、脈絡叢癌、未分化紡錘細胞癌、筋上皮癌、肺胞横紋筋肉腫、横紋筋肉腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、線維腫症、滑膜肉腫、ウィルムス腫瘍、筋線維腫症、線維層板型肝細胞癌、未分化肉腫NOS、胎児性横紋筋肉腫、ブドウ膜黒色腫、ユーイング肉腫、肝芽腫、乳児型線維肉腫、INI依存性軟部組織肉腫NOA、未分化肝肉腫、ならびに髄芽腫からなる群から選択されるがんに起因する、請求項11に記載の治療化合物。
【請求項16】
前記ウイルス感染細胞が、SARS-CoV-2ウイルスに感染している、請求項12に記載の治療化合物。
【請求項17】
前記線維化細胞が、嚢胞性線維症に関連する、請求項13に記載の治療化合物。
【請求項18】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項19】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~747および771~824からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項20】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~37からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項21】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号38~39からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項22】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項23】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号44~51からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項24】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項12および16のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項25】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号482~486および748~765からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項12および16のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項26】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項13および17のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項27】
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43および766~770からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項13および17のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項28】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項29】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~747および771~824からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項30】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~37からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項31】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号38~39からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項32】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項33】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号44~51からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項34】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項12および16のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項35】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号482~486および748~765からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項12および16のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項36】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項13および17のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項37】
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43および766~770からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項13および17のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項38】
前記APIが、配列番号825~844、849~851、853、855、857、864、865、および867~883からなる群から選択されるmiRNAである、請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項39】
前記APIが、antimiRであり、前記antimiRが、長さ12~25ヌクレオチドの一本鎖核酸分子であり、前記antimiRが、標的成熟miRNA産物配列における連続するヌクレオチドに相補的である連続する12~25ヌクレオチドの配列を有し、前記成熟miRNA産物配列が、配列番号884~908からなる群から選択され、前記成熟miRNA産物配列における前記連続するヌクレオチドが、5’から3’方向に、前記成熟miRNA産物配列のヌクレオチド2~8を含む、請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項40】
前記APIが、メトトレキサート;ドキソルビシン;ビンカアルカロイド;カンプトテシン類似体;微小管破壊剤;およびDNA損傷剤からなる群から選択される、小分子である、請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項41】
前記APIが、タンパク質であり、前記タンパク質が、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項42】
前記APIが、タンパク質であり、前記タンパク質が、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項43】
前記APIが、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするmRNAであり、前記mRNAが、前記アミノ酸配列を含むタンパク質を産生するように前記標的細胞において翻訳されるように構成されている、請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項44】
前記APIが、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするmRNAであり、前記mRNAが、前記アミノ酸配列からなるタンパク質を産生するように前記標的細胞において翻訳されるように構成されている、請求項11、14および15のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項45】
前記mRNAが、コドン最適化されている、請求項43および44のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項46】
それを必要とする哺乳動物対象におけるがんを処置する方法であって、請求項1から11、14、15、18から23、28から33、および38から45のいずれか一項に記載の治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項47】
それを必要とする哺乳動物対象におけるウイルス感染症を処置する方法であって、請求項1から10、12、16、24、25、34、および35のいずれか一項に記載の治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項48】
それを必要とする哺乳動物対象における線維性疾患を処置する方法であって、請求項1から10、13、17、26、27、36、および37のいずれか一項に記載の治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項49】
前記哺乳動物対象が、ヒトである、請求項1から45のいずれか一項に記載の治療化合物。
【請求項50】
前記哺乳動物対象が、ヒトである、請求項46から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
請求項1から45および49のいずれか一項に記載の治療化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2021年11月19日に出願した米国仮特許出願第63/281,370号および2022年7月26日に出願した米国仮特許出願第63/392,323号に基づく優先権を主張するものであり、前記仮出願の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、CD47に結合するように構成されている治療化合物に関し、より詳細には、赤血球の表面のCD47に結合するように、およびその後、標的細胞の表面のCD47へ移行されるように構成されているそのような化合物、したがって、最終的に、エンドサイトーシスによって標的細胞に内在化される治療用化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
インテグリン関連タンパク質である分化抗原群47(「CD47」)は、ファゴサイトーシスによるクリアランスまたは好中球遊走を阻害するプロセスに関与するマルチスパン形質膜タンパク質である。マクロファージおよび樹状細胞などの自然免疫細胞により発現される膜貫通タンパク質であるシグナル調節タンパク質アルファ(「SIRPα」)が、CD47の主受容体である。CD47へのSIRPαの結合は、SIRPα阻害シグナルを誘発し、このシグナルは、レシピエントマクロファージへの「don’t eat me」シグナルとして作用し、その結果、それらのファゴサイトーシス活性化が防止される。したがって、SIRPα-CD47相互作用は、自然およびその後の適応免疫の負のチェックポイントとして機能する。他のタンパク質、例えば、シグナル調節タンパク質ガンマ(「SIRPγ」)およびトロンボスポンジン-1(「TSP-1」)も、CD47に結合し、それによって免疫応答の態様を阻害し得る。
【0004】
哺乳動物細胞は、典型的には、低レベルのCD47を発現して、それらをファゴサイトーシスから防御する。しかし、がん細胞は、回避機構としてCD47を過剰発現して、免疫監視および食細胞による攻撃から逃避する。いくつかのヒト固形腫瘍は、CD47を過剰発現する。すなわち、これらの固形腫瘍の細胞は、概して正常な細胞より多くのCD47を発現する(Willingham et al. PNAS 109(17):6662-6667 (2012)、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。それ故、CD47は、がん免疫療法の有望な新たな治療標的として浮上した(Willingham et al. PNAS 109(17):6662-6667 (2012);Weiskopf, Eur. J. Cancer 76:100-109 (2017);Weiskopf et al. J Clin Invest 126(7):2610-2620 (2016)、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0005】
加えて、ウイルス感染細胞も、高レベルのCD47を発現する。これらのウイルス感染細胞は、COVID-19を引き起こすウイルスであるSARS-CoV-2に感染した細胞を含む(Cham et al. Cell Rep 14;31(2):107494 (2020) doi:10.1016/j.celrep.2020.03.058およびMcLaughlin et al. bioRxiv 2021.03.01.433404 (2021) doi:10.1101/2021.03.01.433404、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。CD47阻害シグナル伝達の遮断は、ウイルス感染症に対する自然および適応免疫応答を増強することが実証されている。
【0006】
さらに、CD47発現の増加は、線維化線維芽細胞において観察されており、CD47を遮断することは、線維化促進性線維芽細胞のファゴサイトーシスを増加させることにより、および適応免疫に対する抑制効果を消失させることにより、線維症を好転させる(Cui et al. Nat Commun 11:2795 (2020);Wernig et al. PNAS 2017;114(18):4757-62;Boyd J Cyst Fibros Suppl 1:S54-S59 (2020);Lerbs et al. JCI Insight 2020;5(16):e140458 (2020)、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
それ故、CD47は、がん、ウイルス感染症、ならびに線維性疾患、例えば嚢胞性線維症の処置の有望な標的になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Willingham et al. PNAS 109(17):6662-6667 (2012)
【非特許文献2】Weiskopf, Eur. J. Cancer 76:100-109 (2017)
【非特許文献3】Weiskopf et al. J Clin Invest 126(7):2610-2620 (2016)
【非特許文献4】Cham et al. Cell Rep 14;31(2):107494 (2020) doi:10.1016/j.celrep.2020.03.058
【非特許文献5】McLaughlin et al. bioRxiv 2021.03.01.433404 (2021) doi:10.1101/2021.03.01.433404
【非特許文献6】Cui et al. Nat Commun 11:2795 (2020)
【非特許文献7】Wernig et al. PNAS 2017;114(18):4757-62
【非特許文献8】Boyd J Cyst Fibros Suppl 1:S54-S59 (2020)
【非特許文献9】Lerbs et al. JCI Insight 2020;5(16):e140458 (2020)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の概要
本発明の一実施形態によれば、CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、コンジュゲートを形成するように医薬品有効成分(「API」)にコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含み;CD47結合タンパク質が、野生型SIRPα(配列番号1)、vSIRPα(配列番号3)、野生型トロンボスポンジン-1(TSP-1)(配列番号7)、野生型SIRPγ(配列番号4)、vSIRPγ-1(配列番号5)、vSIRPγ-2(配列番号6)、ALX148(配列番号962)、TTI-661(配列番号963)、TTI-662(配列番号964)、前述のもののいずれかのホモログ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、対象の循環系による標的細胞へのコンジュゲートの輸送を可能にするためにコンジュゲートを対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)コンジュゲートを赤血球のCD47に結合させるように構成されているCD47結合タンパク質が、標的細胞のCD47に結合し、ひいては、コンジュゲートを赤血球から標的細胞へ移行させて、標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)コンジュゲートが、コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって標的細胞に取り込まれ、それによって、標的細胞の免疫逃避機構をさらに阻害し、APIを標的細胞に送達する、治療化合物。哺乳動物対象は、ヒトであり得る。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含み;CD47結合タンパク質が、野生型トロンボスポンジン-1(TSP-1)(配列番号7)、野生型SIRPγ(配列番号4)、vSIRPγ-1(配列番号5)、vSIRPγ-2(配列番号6)、ALX148(配列番号962)、TTI-661(配列番号963)、TTI-662(配列番号964)、前述のもののいずれかのホモログ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、対象の循環系による標的細胞へのコンジュゲートの輸送を可能にするためにコンジュゲートを対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)コンジュゲートを赤血球のCD47に結合させるように構成されているCD47結合タンパク質が、標的細胞のCD47に結合し、ひいては、コンジュゲートを赤血球から標的細胞へ移行させて、標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)コンジュゲートが、コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって標的細胞に取り込まれ、それによって、標的細胞の免疫逃避機構をさらに阻害し、APIを標的細胞に送達する、治療化合物。哺乳動物対象は、ヒトであり得る。
【0010】
本発明の実施形態によれば、CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含み;CD47結合タンパク質が、抗CD47抗体であり、抗CD47抗体が、(a)配列番号932、配列番号933および配列番号934をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号935、配列番号936および配列番号937をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;(b)配列番号940、配列番号941および配列番号942をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号943、配列番号944および配列番号945をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;(c)配列番号948、配列番号949および配列番号950をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号951、配列番号952および配列番号953をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;または(d)配列番号956、配列番号957および配列番号958をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号959、配列番号960および配列番号961をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含み;対象の循環系による標的細胞へのコンジュゲートの輸送を可能にするためにコンジュゲートを対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)コンジュゲートを赤血球のCD47に結合させるように構成されているCD47結合タンパク質が、標的細胞のCD47に結合し、ひいては、コンジュゲートを赤血球から標的細胞へ移行させて、標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)コンジュゲートが、コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって標的細胞に取り込まれ、それによって、標的細胞の免疫逃避機構をさらに阻害し、APIを標的細胞に送達する、治療化合物。哺乳動物対象は、ヒトであり得る。
【0011】
CD47結合タンパク質は、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス相互作用、およびこれらの組合せからなる群から選択される結合により、APIにコンジュゲートされ得る。CD47結合タンパク質は、リンカーによりAPIにコンジュゲートされ得、リンカーは、切断可能であり得る。リンカーは、リソソーム分解酵素により切断されるように構成され得る。
【0012】
一部の実施形態では、APIは、RNA、DNA、RNA誘導体、DNA誘導体、タンパク質、および小分子からなる群から選択される。RNAは、siRNA、shRNA、miRNA、antimiR、およびmRNAからなる群から選択され得る。
【0013】
標的細胞は、がん細胞、ウイルス感染細胞、線維化細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される細胞であり得る。一部の実施形態では、標的細胞は、がん細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、ウイルス感染細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、線維化細胞である。
【0014】
一部の実施形態では、がん細胞は、脳腫瘍、脊髄腫瘍、網膜芽細胞腫、口腔がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、咽頭がん、喉頭がん、頸部がん、頭頸部がん、黒色腫、皮膚がん、乳がん、甲状腺がん、悪性副腎腫瘍、内分泌がん、肺がん、胸膜腫瘍、気道がん、食道がん、胃がん、小腸がん、結腸がん、肛門がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、絨毛癌、卵巣がん;急性/慢性白血病、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫を含む血液がん;骨腫瘍、軟部組織腫瘍、小児白血病、ならびに小児がんからなる群から選択されるがんに起因する腫瘍におけるものである。
【0015】
一部の実施形態では、がん細胞は、卵巣漿液性嚢胞腺癌、肺腺癌、子宮頸および子宮頸管がん、頭頸部扁平上皮癌、甲状腺癌、子宮体類内膜癌、前立腺癌、中皮腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性白血病、肺扁平上皮癌、急性リンパ性白血病、食道癌、粘液線維肉腫、膵臓腺癌、直腸腺癌、結腸腺癌、急性巨核芽球性白血病、浸潤性乳癌、胃腺癌、膀胱尿路上皮癌、胆管癌、白血病、胸腺癌、平滑筋肉腫、胸腺腫、未分化多形性肉腫、子宮癌肉腫、急性骨髄性白血病、多形性神経膠芽種、肉腫、皮膚黒色腫、腎臓明細胞癌、脱分化型脂肪肉腫、リンパ腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、若年性骨髄単球性白血病、消化管間質腫瘍、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、副腎皮質がん、分化系統不明瞭な急性白血病、褐色細胞腫および傍神経節腫、神経膠腫、精巣胚細胞腫瘍、テント上胎児性腫瘍NOS、神経芽細胞腫、腎臓乳頭細胞癌、肝細胞癌、嫌色素性腎細胞癌、悪性末梢神経鞘腫瘍、上衣腫、副腎皮質癌、上咽頭癌、紡錘細胞/硬化性横紋筋肉腫、黒色腫、脈絡叢癌、未分化紡錘細胞癌、筋上皮癌、肺胞横紋筋肉腫、横紋筋肉腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、線維腫症、滑膜肉腫、ウィルムス腫瘍、筋線維腫症(myofibromytosis)、線維層板型肝細胞癌、未分化肉腫NOS、胎児性横紋筋肉腫、ブドウ膜黒色腫、ユーイング肉腫、肝芽腫、乳児型線維肉腫、INI依存性軟部組織肉腫NOA、未分化肝肉腫、ならびに髄芽腫からなる群から選択されるがんに起因する。
【0016】
一部の実施形態では、ウイルス感染細胞は、SARS-CoV-2ウイルスに感染している。一部の実施形態では、線維化細胞は、嚢胞性線維症に関連する。
【0017】
一部の実施形態では、APIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号22~747および771~824からなる群から選択される。一部の実施形態では、mRNA配列は、配列番号22~37からなる群から選択される。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号38~39からなる群から選択される。一部の実施形態では、mRNA配列は、配列番号40~43からなる群から選択される。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号44~51からなる群から選択される。
【0018】
一部の実施形態では、APIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号482~486および748~765からなる群から選択される。
【0019】
一部の実施形態では、APIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号40~43および766~770からなる群から選択される。
【0020】
APIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号22~747および771~824からなる群から選択される。一部の実施形態では、mRNA配列は、配列番号22~37からなる群から選択される。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号38~39からなる群から選択される。一部の実施形態では、mRNA配列は、配列番号40~43からなる群から選択される。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号44~51からなる群から選択される。
【0021】
一部の実施形態では、APIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号482~486および748~765からなる群から選択される。
【0022】
一部の実施形態では、APIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。他の実施形態では、mRNA配列は、配列番号40~43および766~770からなる群から選択される。
【0023】
一部の実施形態では、APIは、配列番号825~844、849~851、853、855、857、864、865、および867~883からなる群から選択されるmiRNAである。
【0024】
一部の実施形態では、APIは、antimiRであり、antimiRは、長さ12~25ヌクレオチドの一本鎖核酸分子であり、antimiRは、標的成熟miRNA産物配列における連続するヌクレオチドに相補的である連続する12~25ヌクレオチドの配列を有し、成熟miRNA産物配列は、配列番号884~908からなる群から選択され、成熟miRNA産物配列における連続するヌクレオチドは、5’から3’方向に、成熟miRNA産物配列のヌクレオチド2~8を含む。
【0025】
一部の実施形態では、APIは、メトトレキサート;ドキソルビシン;ビンカアルカロイド;カンプトテシン類似体;微小管破壊剤、例えば、アウリスタチン(例えば、MMAEおよびMMAF)およびメイタンシノイド(例えば、DM1およびDM4);ならびにDNA損傷剤、例えば、DNAトポイソメラーゼI阻害剤(例えば、SN-38およびエキサテカン)、二本鎖切断剤(例えば、カリケアマイシン)、架橋剤(例えば、ピロロベンゾジアゼピン二量体-PBD)、およびアルキル化剤(例えば、デュオカルマイシンおよびインドリノベンゾジアゼピン二量体-IGN)からなる群から選択される、小分子である。
【0026】
一部の実施形態では、APIは、タンパク質であり、タンパク質は、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、タンパク質は、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0027】
一部の実施形態では、APIは、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするmRNAであり、mRNAは、アミノ酸配列を含むタンパク質を産生するように標的細胞において翻訳されるように構成されている。他の実施形態では、mRNAは、アミノ酸配列からなるタンパク質を産生するように標的細胞において翻訳されるように構成されている。一部の実施形態では、mRNAは、コドン最適化されている。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、それを必要とする哺乳動物対象におけるがんを処置する方法であって、本明細書に記載される治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む方法。哺乳動物対象は、ヒトであり得る。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、それを必要とする哺乳動物対象におけるウイルス感染症を処置する方法であって、本明細書に記載される治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。哺乳動物対象は、ヒトであり得る。
【0030】
本発明の実施形態によれば、それを必要とする哺乳動物対象における線維性疾患を処置する方法であって、本明細書に記載される治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。哺乳動物対象は、ヒトであり得る。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載される治療化合物を含む医薬組成物。
【0032】
実施形態の上述の特徴は、添付の図面を参照して解釈される、後続の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1Aは、本発明の実施形態によるFAMタグ付きvSIRPα-siRNAコンジュゲートを示す。図1Bは、図1AのFAMタグ付きvSIRPα-siRNAコンジュゲートとの赤血球のインキュベーションの説明図である。図1Cは、図1Aに示されているFAMタグ付きvSIRPα-siRNAコンジュゲートとともにインキュベートしなかった赤血球(左側)、および図1Aに示されているFAMタグ付きvSIRPα-siRNAコンジュゲートとともにインキュベートした赤血球(右側)の蛍光顕微鏡画像を示す。
【0034】
図2図2Aは、本発明の実施形態による、FAMタグ付きvSIRPα-siRNAと結合した赤血球とともにインキュベートする前およびした後のCaCO2細胞のフローサイトメトリー結果を示す。図2Bは、FAMタグ付きvSIRPα-siRNAと結合した赤血球とともにインキュベートする前およびした後のCT26.CL25細胞のフローサイトメトリー結果を示す。
【0035】
図3図3Aは、本発明の実施形態による、Alexa Fluor(登録商標)647抗マウスCD47モノクローナル抗体と結合した赤血球とともにインキュベートする前およびした後のCaCO2細胞のフローサイトメトリー結果を示す。図3Bは、Alexa Fluor(登録商標)647抗マウスCD47モノクローナル抗体と結合した赤血球とともにインキュベートする前およびした後のCT26.CL25細胞のフローサイトメトリー結果を示す。
【0036】
図4図4は、本発明の実施形態による、FAMタグ付きvSIRPα-siRNAと結合した赤血球とともにインキュベートする前(「未染色」)およびした後のCaCO2細胞およびCT26.CL25細胞のフローサイトメトリー結果を示す。
【0037】
図5図5は、本発明の実施形態による、Cy5.5標識vSIRPαと結合した赤血球とともにインキュベートする前(「未染色」)およびした後のCaCO2細胞およびCT26.CL25細胞のフローサイトメトリー結果を示す。
【0038】
図6図6は、本発明の実施形態による、Alexa Fluor(登録商標)647抗マウスCD47モノクローナル抗体と結合した赤血球とともにインキュベートする前(「未染色」)およびした後のCT26.CL25細胞のフローサイトメトリー結果を示す。
【0039】
図7図7は、本発明の実施形態による、CD47mAb-miR21-Cy5コンジュゲートと結合した赤血球とともにインキュベートする前(「未染色」)およびした後のCT26.CL25細胞のフローサイトメトリー結果を示す。
【0040】
図8図8は、本発明の実施形態による、Cy5.5標識マウストロンボスポンジン-1と結合した赤血球とともにインキュベートする前(「未染色」)およびした後のCaCO2細胞およびCT26.CL25細胞のフローサイトメトリー結果を示す。
【0041】
図9図9は、本発明の実施形態による、未処置マウス、蛍光標識siRNAコンジュゲートを注射したマウス、および蛍光標識vSIRPα-siRNAコンジュゲートを注射したマウスから単離した赤血球を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
特定の実施形態の詳細な説明
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、以下の用語は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、示される意味を有するものとする。
【0043】
本発明を説明する文脈において(特に、特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および類似の言及は、本明細書中で別段の指示がない限り、または文脈上明らかな矛盾がある場合を除き、単数形と複数形の両方に及ぶと解釈されたい。本明細書における値の範囲の記述は、範囲内に入る別々の値各々に個々に言及する省略表現法として役立つことを目的としたものに過ぎない。本明細書中で別段の指示がない限り、個々の値各々は、それが本明細書で個々に述べられているかのごとく本明細書に組み込まれる。本発明の実施に不可欠な何らかの請求項不記載要素を示すと解釈すべき言葉は、本明細書には存在しない。
【0044】
「セット」は、少なくとも1つのメンバーを含む。
【0045】
用語「哺乳動物」などは、哺乳綱の任意の動物種を指す。哺乳動物の例としては、ヒト;実験動物、例えば、ラット、マウス、サルおよびモルモット;飼育動物、例えば、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、ウマ、ブタなどが挙げられる。
【0046】
「医薬品有効成分」、「API」などは、生物活性である、本発明の実施形態による、治療用化合物の非CD47結合タンパク質部分および非リンカー部分を意味する。好適な医薬品有効成分(「API」)としては、RNA(siRNA、miRNA、shRNA、およびmRNA)、DNA、antimiRオリゴヌクレオチド(RNA、DNA、およびその誘導体)、RNAおよびDNA誘導体(改変された骨格、糖および/または塩基を含む、改変RNAおよびDNAを含むが、これらに限定されない)、タンパク質、ならびに小分子が挙げられる。
【0047】
本明細書で使用される場合、所与のタンパク質などの「ホモログ」は、所与のタンパク質と少なくとも95%の配列同一性を有するタンパク質を意味するものとする。
【0048】
「相補性」は、核酸配列に関して本明細書で使用される場合、ワトソン-クリック塩基対合またはゆらぎ塩基対合により別の核酸配列と水素結合を形成する核酸の能力を指す。パーセント相補性は、第2の核酸配列のヌクレオチドと水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対合)を形成することができる、核酸分子におけるヌクレオチドのパーセンテージ(例えば、10のうちの5、6、7、8、9、10は、50%、60%、70%、80%、90%および100%相補性である)を示す。「完全に相補的」などは、核酸配列の連続するヌクレオチドの全てが、第2の核酸配列における同数の連続するヌクレオチドと水素結合することになる(すなわち、核酸配列が100%相補性を有する)ことを意味する。「相補的」は、さらなるただし書きなしに本明細書で使用される場合、核酸配列の連続するヌクレオチドが、核酸配列の12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、またはそれより多くのヌクレオチド数の領域にわたって、第2の核酸配列の連続するヌクレオチドと、95%、96%、97%、98%、99%および100%相補性からなる群から選択されるパーセント相補性を有することを意味する。例えば、長さ19ヌクレオチドであり、第2の核酸配列の14ヌクレオチドに相補的である、核酸配列は、核酸配列の連続する14ヌクレオチドが、第2の核酸配列の連続するヌクレオチドと、95%、96%、97%、98%、99%および100%相補性からなる群から選択されるパーセント相補性を有することを意味する。長さ19ヌクレオチドであり、第2の核酸配列における連続するヌクレオチドに相補的である、核酸配列は、核酸配列の連続する19ヌクレオチドが、第2の核酸配列の連続するヌクレオチドと、95%、96%、97%、98%、99%および100%相補性からなる群から選択されるパーセント相補性を有することを意味する。
【0049】
「コドン最適化された」は、mRNA転写物のコード配列が、コード配列のコドンの少なくとも60%について、所与の標的細胞/宿主細胞の種にとって最も好ましいまたは2番目に好ましいコドンを含有することを意味し、したがって、コドン最適化された配列は、標的細胞/宿主細胞において、最適化されていない配列と比べて効率的に翻訳される。
【0050】
用語「抗体」は、1本の「重」(H)鎖および1本の「軽」(L)鎖を各対が有する、同一の2対のポリペプチド鎖で典型的に構成される、免疫グロブリン分子を指す。ヒト軽鎖は、カッパ(κ)およびラムダ(λ)として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして規定する。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域から構成される。IgD、IgGおよびIgAの重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3という3つのドメインから構成され、IgMおよびIgEの重鎖定常領域は、CH1、CH2、CH3およびCH4という4つのドメインから構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインから構成される。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより高度に保存される領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域に、さらに細分され得る。VHおよびVL各々は、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配列されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖/軽鎖対(VH/VL)各々の可変領域は、典型的に、抗体の抗原結合部位を形成する。用語「抗体」は、抗体を産生するいずれかの特定の方法により限定されない。例えば、それは、モノクローナル抗体、組換え抗体、およびポリクローナル抗体を含む。
【0051】
用語「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリン配列のみのアミノ酸配列からなる抗体を指す。ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、またはマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生された場合、マウス糖鎖を含有し得る。ヒト抗体は、当技術分野において公知の様々な方法で調製され得る。
【0052】
用語「ヒト化抗体」は、抗体のフレームワークおよび定常領域が、ヒト抗体配列に由来するアミノ酸残基を含有する一方で、非ヒト動物抗体からのCDRの一部または全てを含有する、抗体を指す。ヒト化抗体は、マウス抗体からのCDRをヒトフレームワーク配列にグラフトし、続いて、ある特定のヒトフレームワーク残基での、起源抗体からの対応するマウス残基の復帰置換を行うことにより、典型的に産生される。用語「ヒト化抗体」は、典型的には1つまたは複数の可変領域における、ヒトT細胞および/またはB細胞エピトープを構成する傾向が強い1つまたは複数のエピトープが、免疫原性を低下させる目的で除去された、非ヒト起源の抗体も指す。エピトープのアミノ酸配列を完全にまたは部分的に除去することができる。しかし、典型的には、アミノ酸配列は、エピトープを構成するアミノ酸のうちの1つまたは複数で、1つまたは複数の他のアミノ酸を置換し、それによって、アミノ酸配列を、ヒトT細胞および/またはB細胞エピトープを構成しない配列に変化させることにより、変更される。アミノ酸は、場合によっては、対応するヒト可変重鎖または可変軽鎖における対応する位置に存在するアミノ酸により置換される。
【0053】
用語「薬学的に許容される担体」は、医薬化合物の投与に通常使用される、溶媒、担体剤、希釈剤などを意味する。
【0054】
CD47は、様々ながん細胞に、ウイルス感染細胞に、および線維化細胞に過剰発現され、したがって、様々ながん、ウイルス感染症、および線維性疾患の処置の有望な標的になる。これらの細胞におけるCD47シグナル伝達およびさらにはCD47自体の発現を遮断することにより、これらの細胞の免疫系回避を抑制することができ、それらの消失、および患者の疾患からのその後の回復が可能になる。
【0055】
例えば、CD47に対する高い親和性を有し、プローブにコンジュゲートされた、バリアントSIRPα(「vSIRPα」)の静脈内注射が、マウスの腫瘍形成性細胞に取り込まれることが判明している。加えて、CD47を標的とするsiRNAにコンジュゲートされたvSIRPαが、培養下でCT26.CL25がん細胞のファゴサイトーシスを増強することが示されている(Ko et al. Control Release 323:376-386 (2020)および米国特許出願公開第2021/0015931号、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0056】
本発明者らは、赤血球(「RBC」)の細胞表面にならびにがん細胞、ウイルス感染細胞および線維化細胞などの標的細胞の細胞表面に存在するCD47を利用して、様々なAPIを前記標的細胞に新規機構によって送達することができることを、意外にも見出した。
【0057】
ここで、本発明者らは、哺乳動物対象におけるCD47を発現する標的細胞へのAPIのRBC媒介送達のための新規治療化合物を説明する。治療化合物は、APIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含むコンジュゲートである。コンジュゲートのCD47結合タンパク質は、コンジュゲートを対象の赤血球の表面に存在するCD47に結合させ、それによって、対象の循環系による標的細胞へのコンジュゲートの輸送を可能にする。コンジュゲートは、RBCから標的細胞の表面に存在するCD47へ移行される。コンジュゲートが標的細胞のCD47に結合すると、対象の免疫系による攻撃を回避する標的細胞の能力は、低下する。さらに、コンジュゲートが標的細胞のCD47に結合すると、コンジュゲート-CD47複合体は、エンドサイトーシスによって内在化され、その結果、対象の免疫系による攻撃を回避する標的細胞の能力がさらに低下し、APIが標的細胞に送達される。驚くべきことに、コンジュゲートがRBCの表面のCD47に結合しても、コンジュゲート-CD47は、RBCに内在化されない。一部の実施形態では、哺乳動物対象は、ヒトである。
【0058】
CD47結合タンパク質は、リンカーによりAPIにコンジュゲートされ得る。リンカーは、CD47結合タンパク質をAPIに接続する。リンカーは、標的細胞によりコンジュゲートが内在化されると切断され、それによってAPIをCD47結合タンパク質から放出する、切断可能なリンカーであり得る。
【0059】
一部の実施形態では、標的細胞は、がん細胞であり、治療化合物は、哺乳動物対象におけるがんを処置するために使用され得る。
【0060】
がん細胞は、脳腫瘍、脊髄腫瘍、網膜芽細胞腫、口腔がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、咽頭がん、喉頭がん、頸部がん、頭頸部がん、黒色腫、皮膚がん、乳がん、甲状腺がん、悪性副腎腫瘍、内分泌がん、肺がん、胸膜腫瘍、気道がん、食道がん、胃がん、小腸がん、結腸がん、肛門がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、絨毛癌、卵巣がん;急性/慢性白血病、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫を含む血液がん;骨腫瘍、軟部組織腫瘍、小児白血病、ならびに小児がんからなる群から選択されるがんに起因する腫瘍におけるものであり得る。
【0061】
がん細胞は、卵巣漿液性嚢胞腺癌、肺腺癌、子宮頸および子宮頸管がん、頭頸部扁平上皮癌、甲状腺癌、子宮体類内膜癌、前立腺癌、中皮腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性白血病、肺扁平上皮癌、急性リンパ性白血病、食道癌、粘液線維肉腫、膵臓腺癌、直腸腺癌、結腸腺癌、急性巨核芽球性白血病、浸潤性乳癌、胃腺癌、膀胱尿路上皮癌、胆管癌、白血病、胸腺癌、平滑筋肉腫、胸腺腫、未分化多形性肉腫、子宮癌肉腫、急性骨髄性白血病、多形性神経膠芽種、肉腫、皮膚黒色腫、腎臓明細胞癌、脱分化型脂肪肉腫、リンパ腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、若年性骨髄単球性白血病、消化管間質腫瘍、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、副腎皮質がん、分化系統不明瞭な急性白血病、褐色細胞腫および傍神経節腫、神経膠腫、精巣胚細胞腫瘍、テント上胎児性腫瘍NOS、神経芽細胞腫、腎臓乳頭細胞癌、肝細胞癌、嫌色素性腎細胞癌、悪性末梢神経鞘腫瘍、上衣腫、副腎皮質癌、上咽頭癌、紡錘細胞/硬化性横紋筋肉腫、黒色腫、脈絡叢癌、未分化紡錘細胞癌、筋上皮癌、肺胞横紋筋肉腫、横紋筋肉腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、線維腫症、滑膜肉腫、ウィルムス腫瘍、筋線維腫症、線維層板型肝細胞癌、未分化肉腫NOS、胎児性横紋筋肉腫、ブドウ膜黒色腫、ユーイング肉腫、肝芽腫、乳児型線維肉腫、INI依存性軟部組織肉腫NOA、未分化肝肉腫、ならびに髄芽腫からなる群から選択されるがんに起因し得る。Gupta et al. Cancer Drug Resist 3:550-62 (2020)を参照されたく、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
他の実施形態では、標的細胞は、ウイルス感染細胞であり、治療化合物は、哺乳動物対象におけるウイルス感染症を処置するために使用され得る。ウイルス感染細胞は、SARS-CoV-2ウイルスに感染していることがある。
【0063】
一部の実施形態では、標的細胞は、線維化細胞であり、治療化合物は、哺乳動物対象における線維性疾患を処置するために使用され得る。線維化細胞は、線維化線維芽細胞であり得る。一部の実施形態では、線維性疾患は、嚢胞性線維症である。
【0064】
CD47結合タンパク質
【0065】
本明細書に記載されるコンジュゲートに好適なCD47結合タンパク質は、野生型(「wt」)SIRPα(配列番号1)、バリアントSIRPα(「vSIRPα」)(配列番号3)、wt TSP-1(配列番号7)、wt SIRPγ(配列番号4)、バリアントSIRPγ-1(「vSIRPγ-1」)(配列番号5)、バリアントSIRPγ-2(「vSIRPγ-2」)(配列番号6)、および前述のもののいずれかのホモログを含む。ALX148(配列番号962)、TTI-661(配列番号963)、TTI-662(配列番号964)、およびこれらのホモログも、本明細書に記載されるコンジュゲートに好適なCD47結合タンパク質である。ALX148は、Fcドメイン単量体に融合されたSIRPα D1バリアントである。例えば、米国特許第10,696,730号を参照されたく、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。TTI-661は、ヒトIgG1抗体の定常領域に融合されたヒトSIRPαバリアント2のIgVドメインであり、TTI-662は、ヒトIgG4抗体の定常領域に融合されたヒトSIRPαバリアント2のIgVドメインである。例えば、米国特許第9,969,789号を参照されたく、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
他の好適なCD47結合タンパク質としては、抗CD47抗体が挙げられる。
【0067】
一部の実施形態では、抗CD47結合タンパク質は、抗CD47抗体、例えば、米国特許第9,017,675号および同第9,623,079号に記載されているB6H12、5F9、8B6、C3、およびHu5F9-G4であり、前記参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号930を含む重鎖可変領域、および配列番号931を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号938を含む重鎖可変領域、および配列番号939を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号946を含む重鎖可変領域、および配列番号947を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号954を含む重鎖可変領域、および配列番号955を含む軽鎖可変領域を含む。
【0069】
一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号932、配列番号933および配列番号934をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号935、配列番号936および配列番号937をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0070】
一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号940、配列番号941および配列番号942をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号943、配列番号944および配列番号945をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0071】
一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号948、配列番号949および配列番号950をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号951、配列番号952および配列番号953をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0072】
一部の実施形態では、抗CD47抗体は、配列番号956、配列番号957および配列番号958をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号959、配列番号960および配列番号961をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0073】
一部の実施形態では、抗CD47抗体は、ヒト抗体である。一部の実施形態では、抗CD47抗体は、ヒト化抗体である。
【0074】
これらの抗CD47結合タンパク質の各々は、標的細胞の表面に存在するCD47に結合する。
【0075】
一部の実施形態では、CD47結合タンパク質は、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス相互作用、およびこれらの組合せからなる群から選択される結合により、APIにコンジュゲートされている。CD47結合タンパク質をAPIに共有結合させるリンカーの例は、下に記載される。
【0076】
リンカー
【0077】
好適なリンカーとしては、切断可能なリンカー、例えば、ヒドラゾンリンカー、イミンリンカー、オキシムリンカー、カーボネートリンカー、アセタールリンカー、オルトエステルリンカー、シリルエーテルリンカー、ジスルフィドリンカー、トリオキソランリンカー、ベータ-グルクロニドリンカー、ベータ-ガラクトシドリンカー、ピロホスフェートリンカー、ホスホロアミデートリンカー、アリールスルフェートリンカー、ヘプタメチンシアニンリンカー、ニトロベンジルリンカー、アリールボロン酸リンカー、ボロネートリンカー、チオエーテルリンカー、マレイミドカプロイル含有リンカー、酵素により切断可能なペプチドリンカー、およびパラ-アミノベンジルカルバメート含有リンカー、ならびに切断可能ではないリンカー、例えば、ポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書に記載されるCD47結合タンパク質-APIコンジュゲートは、カップリング反応、例えば、ビス(ビニルスルホニル)ピペラジン-ジスルフィドカップリング、N-メチル-N-フェニルビニルスルホンアミド-システインカップリング、白金(II)化合物-ヒスチジンカップリング、およびテトラジン-trans-シクロオクテンカップリングを使用して、CD47結合タンパク質をAPIにリンカーを介して連結させることにより、作製することができる。好適なリンカーおよびカップリング反応は、当業者に公知である。例えば、Su et al. Acta Pharmaceutica Sinica B (2021), ISSN 2211-3835;Pan et al. Med Res Rev. 40:2682- 2713 (2020);Khongorzulet al. Mol Cancer Res 18:3-19 (2020);Bargh et al. Chem Soc Rev 48:4361-4374 (2019);およびSmith et al. Pharm Res 32:3526-3540 (2015)を参照されたく、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
本発明の実施形態に従って、下で説明されるものなどの様々な、酵素により切断可能なペプチドリンカーを使用してCD47結合タンパク質をAPIとカップリングさせてCD47結合タンパク質-APIコンジュゲートを形成することができる。これらのリンカーは、アミノ酸残基を含み、細胞内の特定の酵素、例えばリソソーム分解酵素、により切断される。例えば、Kong et al. J Biol Chem 290:7160-7168 (2015);Poreba FEBS J 287:1936-1969 (2020);およびSingh et al., Current Medicinal Chemistry 15(18) (2008)を参照されたく、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態による使用に好適な例示的なペプチドリンカーは、下で説明される。
【0080】
例えば、ジペプチドリンカーは、2つのアミノ酸残基から構成され、これらの残基は、2番目のアミノ酸残基の後ろでカルボニルとアミンとのアミド結合を切断する酵素カテプシンBによる切断のための認識モチーフとして役立つ。カテプシンBにより切断されるジペプチドリンカーとしては、Phe-Arg、Phe-Cit、Phe-Lys、Ala-Arg、Ala-Cit、Val-Ala、Val-Arg、Val-Lys、Val-Cit、およびArg-Argが挙げられる。カテプシンBは、同様に、テトラペプチドリンカーGly-Phe-Leu-GlyおよびAla-Leu-Ala-Leuを4番目のアミノ酸残基の後ろで認識し、切断する。
【0081】
加えて、トリペプチドリンカーAla-Ala-Asnは、最後のアミノ酸残基の後ろで酵素レグマインにより切断される。テトラペプチドリンカーLys-Ala-Gly-Gly、Leu-Arg-Gly-Gly、およびArg-Lys-Arg-Argは、パパイン様プロテアーゼ酵素により切断される。
【0082】
ペプチドリンカーArg-Arg-X、Ala-Leu-X、Gly-Leu-Phe-Gly-X、Gly-Phe-Leu-Gly-X、およびAla-Leu-Ala-Leu-X(これらの式中、Xは、任意のアミノ酸である)は、酵素カテプシンB、HおよびLにより切断される。カテプシンB、HおよびLは、タンパク質のリソソーム分解に関与する。
【0083】
ペプチドリンカーPhe-Ala-Ala-Phe(NO)-Phe-Val-Leu-OM4P-XおよびBz-Arg-Gly-Phe-Phe-Pro-4mβNA(これらの式中、Xは、任意のアミノ酸である)は、酵素カテプシンDにより切断される。
【0084】
血清プラスミノーゲン活性化因子は、多くの腫瘍細胞において産生される。プラスミノーゲンは、プラスミンに変換され、その結果として、腫瘍細胞において高レベルのプラスミンを生じさせる。このプラスミンは、血漿中で迅速に分解されるため、腫瘍から遠い組織は、プラスミンに曝露されない。プラスミンは、線維素溶解および血漿タンパク質の分解に関与し、ペプチドリンカーD-Val-Leu-Lys-X、D-Ala-Phe-Lys-X、およびD-Ala-Trp-Lys-X(これらの式中、Xは、任意のアミノ酸である)を切断する。
【0085】
組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)およびウロキナーゼ(uPA)は、プラスミン形成の活性化に関与し、各々が、ペプチドリンカーGly-Gly-Gly-Arg-Arg-Arg-Val-X(式中、Xは、任意のアミノ酸である)を切断することができる。
【0086】
前立腺特異抗原は、精液の液化に関与し、ペプチドリンカーモルホリノカルボニル-His-Ser-Ser-Lys-Leu-Gln-Leu-X(式中、Xは、任意のアミノ酸である)を切断する。
【0087】
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-2およびMM-9)は、細胞外基質およびコラーゲンの分解に関与し、ペプチドリンカーAc-Pro-Leu-Gln-Leu-XおよびGly-Pro-Leu-Gly-Ile-Ala-Gly-Gln-X(これらの式中、Xは、任意のアミノ酸である)を切断する。
【0088】
API
【0089】
一部の実施形態によれば、APIは、小分子であり得る。例えば、がんの処置において有用な小分子APIとしては、メトトレキサート;ドキソルビシン;ビンカアルカロイド;カンプトテシン類似体;微小管破壊剤、例えば、アウリスタチン(例えば、MMAEおよびMMAF)およびメイタンシノイド(例えば、DM1およびDM4);ならびにDNA損傷剤、例えば、DNAトポイソメラーゼI阻害剤(例えば、SN-38およびエキサテカン)、二本鎖切断剤(例えば、カリケアマイシン)、架橋剤(例えば、ピロロベンゾジアゼピン二量体-PBD)、およびアルキル化剤(例えば、デュオカルマイシンおよびインドリノベンゾジアゼピン二量体-IGN)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Khongorzulet al. Mol Cancer Res 18:3-19 (2020);Salomon et al. Mol Pharm 16(12):4817-4825 (2019);およびDrago et al. Nat Rev Clin Oncol 18, 327-344 (2021)を参照されたく、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
他の部の実施形態によれば、APIは、低分子干渉RNA(「siRNA」)であり得る。siRNAは、特定の遺伝子の発現を、二本鎖siRNA分子の鎖と部分的相補性を共有するその遺伝子のmRNA転写物の分解を引き起こすことにより低下させることができる、二本鎖RNA分子である。siRNAを使用して遺伝子の発現を低下させるプロセスは、RNA干渉(「RNAi」)と呼ばれる。例えば、米国特許第7,056,704号、同第7,078,196号、同第8,372,968号を参照されたく、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
いくつかの遺伝子は、様々な機構によってがんの進行およびがん細胞の増殖を促進することに関係している。これらの遺伝子、およびそれらのmRNA転写物は、表1に収載されている。表1からの1つまたは複数の遺伝子の発現を低下させることにより、がんの進行およびがん細胞の増殖を阻害することができる。したがって、表1に収載されている遺伝子の転写物は、siRNA媒介RNAiを使用するがんの処置の肝要な標的に相当する。
【0092】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0093】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号22~747および771~824からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0094】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号22~37からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0095】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号38~39からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0096】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号40~43からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0097】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号44~51からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0098】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【0099】
siRNA媒介RNAiを使用して遺伝子の発現を低下させることは、ウイルス感染症の処置においても有用である。例えば、感染細胞が宿主の免疫系を回避することを可能にする遺伝子セット、またはウイルス複製に必要な遺伝子セットの発現を低下させることは、宿主におけるウイルスの増殖を妨げる。そのような遺伝子、およびそれらのmRNA転写物は、表2に収載されている。したがって、表2に収載されている遺伝子の転写物は、siRNA媒介RNAiを使用するウイルス感染症の処置の肝要な標的である。
【0100】
したがって、一部の実施形態では、哺乳動物におけるウイルス感染症の処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0101】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるウイルス感染症の処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、cDNA配列は、配列番号482~486および748~765からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0102】
【表2】
【0103】
CD47発現の増加は、線維化線維芽細胞において観察されており、CD47を遮断することは、線維化促進性線維芽細胞のファゴサイトーシスを増加させることにより、および適応免疫に対する抑制効果を消失させることにより、線維症を好転させる。CD47に加えて、表3に収載さている他の遺伝子の発現は、線維症の促進に関連付けられている。siRNA媒介RNAiを使用してこれらの遺伝子の発現を低下させることは、線維性疾患の処置においても有用である。そのような遺伝子、およびそれらのmRNA転写物は、表3に収載されている。したがって、表3に収載されている遺伝子の転写物は、siRNA媒介RNAiを使用する線維性疾患の処置の肝要な標的に相当する。
【0104】
一部の実施形態では、哺乳動物における線維性疾患の処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0105】
一部の実施形態では、哺乳動物における線維性疾患の処置に有用なAPIは、siRNAであり、siRNAは、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、(a)アンチセンスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号40~43および766~770からなる群から選択され、(b)センスRNA鎖は、長さ19~29ヌクレオチドであり、アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、(c)二本鎖RNA分子は、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する。
【0106】
【表3】
【0107】
一部の実施形態によれば、APIは、短鎖ヘアピンRNA(「shRNA」)であり得る。短鎖ヘアピンRNAは、ステムループ構造を形成する一本鎖RNA分子であって、特定の遺伝子の発現を、shRNA分子の領域と部分的相補性を共有するその遺伝子のmRNA転写物の分解を引き起こすことにより低下させることができる、一本鎖RNA分子である。siRNAと同様に、shRNAを使用して遺伝子の発現を低下させるプロセスは、RNAiと呼ばれる。一般に、Rao et al. Adv Drug Deliv Rev 61(9):746-59 (2009)を参照されたく、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
いくつかの遺伝子は、様々な機構によってがんの進行およびがん細胞の増殖を促進することに関係している。これらの遺伝子、およびそれらのmRNA転写物は、表1に収載されている。表1からの1つまたは複数の遺伝子の発現を低下させることにより、がんの進行およびがん細胞の増殖を阻害することができる。したがって、表1に収載されている遺伝子の転写物は、shRNA媒介RNAiを使用するがんの処置の肝要な標的に相当する。
【0109】
したがって、一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0110】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号22~747および771~824からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0111】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号22~37からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0112】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号38~39からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0113】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号40~43からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0114】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号44~51からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0115】
shRNA媒介RNAiを使用して遺伝子の発現を低下させることは、ウイルス感染症の処置においても有用である。例えば、感染細胞が宿主の免疫系を回避することを可能にする遺伝子セット、またはウイルス複製に必要な遺伝子セットの発現を低下させることは、宿主におけるウイルスの増殖を妨げる。そのような遺伝子、およびそれらのmRNA転写物は、表2に収載されている。したがって、表2に収載されている遺伝子の転写物はまた、shRNA媒介RNAiを使用するウイルス感染症の処置の肝要な標的である。
【0116】
したがって、一部の実施形態では、哺乳動物におけるウイルス感染症の処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0117】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるウイルス感染症の処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号482~486および748~765からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0118】
上述のとおり、CD47発現の増加は、線維化線維芽細胞において観察されており、CD47を遮断することは、線維化促進性線維芽細胞のファゴサイトーシスを増加させることにより、および適応免疫に対する抑制効果を消失させることにより、線維症を好転させる。CD47に加えて、表3に収載さている他の遺伝子の発現は、線維症の促進に関連付けられている。shRNA媒介RNAiを使用してこれらの遺伝子の発現を低下させることは、線維性疾患の処置においても有用である。そのような遺伝子、およびそれらのmRNA転写物は、表3に収載されている。したがって、表3に収載されている遺伝子の転写物はまた、shRNA媒介RNAiを使用する線維性疾患の処置の肝要な標的に相当する。
【0119】
したがって、一部の実施形態では、哺乳動物における線維性疾患の処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0120】
一部の実施形態では、哺乳動物における線維性疾患の処置に有用なAPIは、shRNAであり、shRNAは、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および第3の領域に直接隣接する、一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域を有し、(a)第1の領域は、第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、(b)第3の配列は、第1の配列の逆相補配列であり、(c)第3の領域は、哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、mRNA配列は、配列番号40~43および766~770からなる群から選択され、(d)一本鎖RNA分子は、第1の領域が第3の領域と塩基対合してステムを形成し、第2の領域がループを形成し、第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている。
【0121】
マイクロRNA(「miRNA」)ベースの治療薬は、miRNA(およびmiRNA模倣物)、およびmiRNAの阻害剤(「antimiR」)を含む。
【0122】
miRNAは、ステム-ループ構造を有する一本鎖RNA前駆体として転写され、その後、サイトゾル中でダイサー酵素によりプロセシングされ、その結果、成熟二本鎖産物(「成熟miRNA産物」)が産生される。これらの成熟miRNA産物は、mRNAとのそれらの相補性によって、RNAサイレンシングおよび遺伝子発現の転写後調節を含む、調節的な役割を有すると考えられる。
【0123】
表4に示されているmiRNAの発現は、様々ながんにおいて下方制御されることが公知であり、下方制御されたmiRNAの補充は、がんの処置のための有望な治療法になる。
【0124】
したがって、一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、配列番号825~844、849~851、853、855、857、864、865、および867~883からなる群から選択されるmiRNAである。
【0125】
【表4-1】
【表4-2】
【0126】
miRNAとは対照的に、antimiR(「antagomir」としても公知)は、標的成熟miRNA産物の領域の配列に相補的である配列を有する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド(「ASO」)である。成熟miRNA産物は、miRNA分子がサイトゾル中でプロセシングされた後に産生される、短い一本鎖RNA分子である。典型的には、5p RNA分子(これは、miRNAのステムとして形成された二重鎖の5’アームからプロセシングされるため、そう名付けられた)および3p RNA分子(これは、miRNAのステムとして形成された二重鎖の3’アームからプロセシングされるため、そう名付けられた)という2つの成熟miRNA産物が、miRNA分子から産生される。5Pおよび3p分子は、互いに塩基対合して二重鎖を形成し得、各々の分子は、mRNAとのそれらの相補性によって細胞内で、機能性であり得る-実際には、別々の機能を果たし得る。一部の事例では、miRNA分子がプロセシングされ、その結果、単一の機能性成熟miRNA産物のみが産生される。
【0127】
それらの標的成熟miRNA産物に相補的塩基対合によって結合することにより、antimiRは、成熟miRNA産物によるその標的への結合を遮断することができ、それによって、成熟miRNA産物が機能することを阻害することができる。成熟miRNA産物を阻害するためにantimiRを使用することは、miRNAノックダウンと呼ばれる。一般に、Quemener et al. Wiley Interdiscip Rev RNA (5):e1594 (2020)を参照されたく、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
antimiRは、長さ12~25ヌクレオチドであり、標的成熟miRNA産物の連続ヌクレオチドに相補的である。異なるタイプの核酸を使用して、antimiRを生成することができる。好ましくは、antimiRは、RNA/RNAハイブリッドが非常に安定しているので、RNAを含む。加えて、antimiRは、DNAを含むことがあり、またはRNAヌクレオチドとDNAヌクレオチドの両方(本明細書では「キメラ」と呼ばれる)を含むことがある。antimiRは、成熟miRNA産物の5’末端からヌクレオチド2~8にわたる、成熟miRNA産物の「シード領域」に、相補的塩基対合によって、高い親和性で結合するはずである(Lennox et al. Gene Therapy 18: 1111-20 (2011)、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0129】
長年にわたって、antimiRの結合親和性、安定性および標的モジュレーション効果の有意な改善が、オリゴヌクレオチド骨格への化学的改変によって達成されてきた。それ故、antimiRは、RNA誘導体またはDNA誘導体であり得る。一部の実施形態では、antimiRは、追加の特性、例えば、エンドヌクレアーゼおよびRNaseHに対する耐性、安定性(例えば、体液中での)、ならびに毒性低下、をantimiRに備えさせる改変を含む。一部の実施形態では、改変は、2’-O-メチル-ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド改変、2’-O-メトキシエチルオリゴヌクレオチド改変、およびこれらの組合せである。一部の実施形態では、antimiRは、ペプチド核酸、ロックド核酸、またはモルホリノホスホロジアミデートを含む。一般に、Wahlestedt et al. PNAS 97, 5633-5638 (2000);Elayadi et al. Curr Opin Investig Drugs 2, 558-61 (2001);Larsen et al. Biochim Biophys Acta 1489, 159-166 (1999);Braasch et al. Biochemistry 41, 4503-4510 (2002);Summerton et al. Antisense Nucleic Acid Drug Dev 7, 187-195 (1997)を参照されたく、これらの参考文献の各々は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
表5に示されているmiRNAの発現は、様々ながんにおいて上方制御されることが公知であり、表6に示されているようなそれらの成熟miRNA産物は、がんの処置のためのmiRNAノックダウンの好ましい標的である。
【0131】
したがって、一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、antimiRであり、antimiRは、長さ12~25ヌクレオチドの一本鎖核酸分子であり、antimiRは、標的成熟miRNA産物配列における連続するヌクレオチドに相補的である連続する12~25ヌクレオチドの配列を有し、成熟miRNA産物配列は、配列番号884~908からなる群から選択され、成熟miRNA産物配列における連続するヌクレオチドは、5’から3’方向に、成熟miRNA産物配列のヌクレオチド2~8を含む。
【0132】
【表5】
【0133】
【表6】
【0134】
他の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に有用なAPIは、抗がん特性を有するタンパク質である。抗がん特性としては、がん細胞の増殖を阻害すること、腫瘍の増殖を阻害すること、がん細胞の死を引き起こすこと、腫瘍のサイズを低下させること、または腫瘍の消失を引き起こすことが挙げられる。表7に収載されているタンパク質は、抗がん特性を有する。したがって、配列番号909~929およびそのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質は、本発明の実施形態による使用に好適なAPIである。他の実施形態では、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列からなるタンパク質は、本発明の実施形態による使用に好適なAPIである。
【0135】
一部の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に好適なAPIは、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするmRNAであり、mRNAは、アミノ酸配列を含むタンパク質を産生するように哺乳動物の標的細胞において翻訳されるように構成されている。他の実施形態では、哺乳動物におけるがんの処置に好適なAPIは、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするmRNAであり、mRNAは、アミノ酸配列からなるタンパク質を産生するように哺乳動物の標的細胞において翻訳されるように構成されている。mRNAは、哺乳動物の標的細胞における翻訳のためにコドン最適化され得る。
【0136】
【表7】
【実施例
【0137】
(実施例1)
vSIRPα-siRNAコンジュゲートは赤血球に結合する
【0138】
FAMタグ付きsiRNA(図1A)(配列番号965(センス鎖)および配列番号966(アンチセンス鎖))をvSIRPαと1:1のモル比(50pmolのvSIRPαと50pmolのsiRNA)で混合した。siRNAをその3’末端においてマレイミドによって改変した。vSIRPαをそのC末端の付近にシステインを有するように設計した。システインからのチオールとマレイミドとを中性pHでクリックケミストリーによって反応させた。反応物を、一晩、4℃のシェーカーの中で保持し、その結果、図1Aに示すvSIRPα-siRNAコンジュゲートを得た。
【0139】
製造業者のプロトコールを使用してNAP-5カラムを使用して、vSIRPα-siRNAコンジュゲートを単離した。
【0140】
赤血球(「RBC」)に結合するvSIRPα-siRNAコンジュゲートの能力を評価するために、vSIRPα-siRNAコンジュゲートを、図1Bに描示するようにマウスRBCと混合した。この実験については、2μlの体積のリン酸緩衝食塩水(「PBS」)中の6×10の赤血球を、vSIRPα-siRNAコンジュゲートを含有する2.5μlのPBS(合計50pmolのvSIRPα-siRNAコンジュゲート)、および5.5μlのPBSと混合した。陰性対照を、2μlの体積のPBS中の6×10の赤血球を8μlのPBSと混合することにより作製した。次いで、各混合物を室温(20~25℃)で2時間、インキュベートした(図1B)。
【0141】
インキュベーション後、5μlの各混合物をPBSで20倍希釈して混合物ごとに100μlの総体積にし、各希釈物をガラス底の皿に入れ、顕微鏡(488nmの励起波長)を用いて494~567nmで蛍光イメージングした。
【0142】
図1Cから明らかなように、陰性対照は、蛍光を示さないが、その一方でvSIRPα-siRNAコンジュゲートを含有する混合物は、赤血球に関連する強い蛍光シグナルを示し、これは、vSIRPα-siRNAコンジュゲートがRBCに結合することを示す。
【0143】
(実施例2)
vSIRPα-siRNAコンジュゲートはフローサイトメトリーにより実証されるようにRBCからがん細胞へ移行される
【0144】
実施例1からの500pmolのvSIRPα-siRNAコンジュゲートを、ダルベッコリン酸緩衝食塩水(「DPBS」)中の5×10のマウスRBCとともに、20μlの総体積で、30分間、室温(20~25℃)でインキュベートした。
【0145】
30分後、混合物を500×gの遠心分離により10分間、DPBSで洗浄し、上清を除去した。次いで、vSIRPα-siRNAコンジュゲートと結合したRBCを20μlのPBSに再懸濁させた。
【0146】
CT26.CL25(ATCC CRL-2639)およびCaCO2(ATCC HTB-37)という2つの細胞系を使用した。CT26.CL25は、マウス結腸癌細胞系である。CaCO2は、CD47の発現が欠損しているヒト大腸腺癌細胞系であり、したがって、これを陰性対照として使用した(Liu et al. J Biol Chem 276(43):40156-66 (2001)、この参考文献は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0147】
細胞培養皿で独立して成長させた各細胞系を、トリプシン-EDTAによって皿から剥離させた。次いで、各皿からの細胞をDPBSで洗浄し、計数し、10細胞/100μl PBSに希釈した。4μlのFAM-vSIRPα-siRNA/RBC再懸濁液(合計10のRBCおよび100pmolのvSIRPα-siRNA)を、独立して、CT26.CL25細胞およびCaCO2細胞の各々100μlの希釈物と混合した。各混合物を30分間、室温(20~25℃)でインキュベートした。
【0148】
30分後、各混合物を遠心分離し、上清を除去した。細胞ペレットを、フローサイトメーター解析用の200μlのフローサイトメトリー緩衝液を用いて再懸濁させた。
【0149】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、CaCO2細胞およびCT26.CL25細胞についてのフローサイトメトリー結果を示す。フローサイトメトリーは、FAMタグの励起のために488nmのレーザーを使用して行い、525~565nmの波長で検出した。FAMタグ付きvSIRPα-siRNAと結合したRBCとのインキュベーション後、各がん細胞系は、異なるレベルの蛍光シフトを示した。これらの結果は、CT26.CL25についてはRBCとのインキュベーション後に有意な蛍光シフトを示し、CaCO2についてはRBCとのインキュベーション後にほとんどシフトを示さず、したがって、蛍光シフトの程度が、がん細胞上のCD47のレベルに依存していることを示す。これらの結果は、FAMタグ付きvSIRPα-siRNAがRBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されたことを強く示唆している。
【0150】
(実施例3)
抗CD47抗体はフローサイトメトリーにより実証されるようにRBCからがん細胞へ移行される
【0151】
先ず、0.1μgのAlexa Fluor(登録商標)647抗マウスCD47モノクローナル抗体(Biolegend、#127510)を100μlの総体積のDPBS中で4×10のマウスRBCとともに30分間、室温でインキュベートした。インキュベーション後、RBC-抗体混合物を500gで5分間、遠心分離した。次いで、上清をデカントし、細胞を20μlのDPBSに再懸濁させた。
【0152】
次いで、本発明者らは、2×10のCT26.CL25細胞(100μlのDPBS中)を10μlの再懸濁RBC-抗体混合物と混合して110μlの総体積にした(混合物#1)。同様に、2×10のCaCO2細胞(100μlのDPBS中)を10μlの再懸濁RBC-抗体混合物と混合して110μlの総体積にした(混合物#2)。
【0153】
混合物#1および混合物#2を30分間、室温でインキュベートした。インキュベーション後、1mlのDPBSを各混合物に添加し、続いて、500gで5分間の遠心分離を行った。混合物ごとに、遠心分離後、上清をデカントし、残存細胞を100μlのDPBSに再懸濁させ、フローサイトメトリー(Beckman、レーザー488nm、検出650~670nm)に供した。
【0154】
図3Aおよび3Bは、それぞれ、CaCO2細胞およびCT26.CL25細胞についてのこれらのフローサイトメトリー結果を示す。実施例2で観察された蛍光シフトほどは顕著でなかったが、RBCとのインキュベーション後のCT26.CL25細胞について、RBCとのインキュベーション後のCaCO2細胞についての蛍光シフトと比較して大きい蛍光シフトが観察された。これは、この場合もやはり、蛍光シフトの程度が、がん細胞上のCD47のレベルに依存していることを示す。これらの結果は、Alexa Fluor(登録商標)647抗マウスCD47モノクローナル抗体がRBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されたことを示唆している。
【0155】
(実施例4)
vSIRPα-siRNAコンジュゲートはフローサイトメトリーにより実証されるようにRBCからがん細胞へ移行される
【0156】
実施例1のvSIRPα-siRNA-FAMコンジュゲートを、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されるその能力について、さらに試験した。実験は、500pmolではなく100pmolのコンジュゲートをRBCとともにインキュベートしたことを除き、実施例2の場合と同様に行った。
【0157】
図4のフローサイトメトリー結果で示されるように、CaCO2細胞と比較してCT26.CL25細胞の有意に大きいパーセンテージがFAM蛍光を示しており、これは、この場合もやはり、FAMタグ付きvSIRPα-siRNAが、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されたことを強く示唆している。
【0158】
(実施例5)
Cy5.5標識vSIRPαはフローサイトメトリーにより実証されるようにRBCからがん細胞へ移行される
【0159】
Cy5.5で標識したvSIRPαを、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されるその能力について試験した。実験は、500pmolのコンジュゲートではなく200pmolの標識vSIRPαをRBCとともにインキュベートしたことを除き、実施例2の場合と同様に行った。
【0160】
図5のフローサイトメトリー結果で示されるように、CaCO2細胞と比較してCT26.CL25細胞の有意に大きいパーセンテージがCy5.5蛍光を示しており、これは、Cy5.5で標識したvSIRPαが、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されたことを強く示唆している。
【0161】
(実施例6)
抗CD47抗体はフローサイトメトリーにより実証されるようにRBCからがん細胞へ移行される
【0162】
Alexa Flour(登録商標)647で標識した抗マウスCD47モノクローナル抗体(Biolegend、#127510)を、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されるその能力について試験した。実験は、0.1μgではなく1μgの標識抗体をRBCとともにインキュベートしたことを除き、実施例3の場合と同様に行った。
【0163】
図6のフローサイトメトリー結果で示されるように、未染色細胞と比較してCT26.CL25細胞の有意に大きいパーセンテージがAlexa Fluor(登録商標)647蛍光を示しており、これは、Alexa Flour(登録商標)647にコンジュゲートした抗CD47抗体が、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されたことを強く示唆している。この実験は、CD47に対するモノクローナル抗体がRBCからがん細胞の表面に存在するCD47へ移行され得ることも実証する。
【0164】
(実施例7)
抗体-miR21コンジュゲートはフローサイトメトリーにより実証されるようにRBCからがん細胞へ移行される
【0165】
Cy5標識miR21(配列番号878)にコンジュゲートした抗CD47モノクローナル抗体(Bioxcell、#BE0270)を、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されるその能力について試験した。実験は、0.1μgではなく15.8μgの抗体コンジュゲートをRBCとともにインキュベートしたことを除き、実施例3の場合と同様に行った。
【0166】
図7のフローサイトメトリー結果で示されるように、未染色細胞と比較してCT26.CL25細胞のより大きいパーセンテージがCy5蛍光を示しており、これは、CD47mAb-miR21-Cy5コンジュゲートが、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されたことを強く示唆している。
【0167】
(実施例8)
トロンボスポンジン-1はフローサイトメトリーにより実証されるようにRBCからがん細胞へ移行される
【0168】
トロンボスポンジン-1(TSP-1)は、血管新生および内皮細胞増殖を阻害するマトリックス細胞タンパク質である。TSP-1は、CD47に結合する。TSP-1シグナル伝達経路は、腎疾患、心血管疾患、炎症およびがんなどの様々な状態に関与することが判明している。TSP-1の基礎をなす機構および経路は、まだ十分に解明されていない。しかし、いくつかの肝要な受容体CD36/VEGFおよびCD47に対するTSP-1の機能は、実証されている。特にがんにおいて、活性化されたTSP-1およびCD47経路は、腫瘍成長および転移を低減させることが判明している。Kale et al. Int J Mol Sci, 22(8) (2021)およびKaur et al. J Biol Chem, 285(50), 38923-38932 (2010)を参照されたい。ここで、本発明者らは、標識マウスTSP-1がRBCからCT26.CL25がん細胞へ移行されることを示す。
【0169】
Cy5.5で標識したマウスTSP-1(7859-TH、R&D Systems)を、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されるその能力について試験した。実験は、500pmolのコンジュゲートではなく5μgのCy5.5標識TSP-1をRBCとともにインキュベートしたことを除き、実施例2の場合と同様に行った。
【0170】
図8のフローサイトメトリー結果で示されるように、CaCO2細胞と比較してCT26.CL25細胞の有意に大きいパーセンテージがCy5.5蛍光を示しており、これは、Cy5.5標識TSP-1が、RBCからCT26.CL25細胞の表面に存在するCD47へ移行されたことを強く示唆している。
【0171】
(実施例9)
vSIRPα-siRNAコンジュゲートはin vivoでRBCに結合する
【0172】
実施例1からの5nmolのvSIRPα-siRNAコンジュゲート、および実施例1からの5nmolのコンジュゲートしていないsiRNAを、各々、120μlの総体積のRNAseフリー水中、1:1のモル比でインターカレーティング色素YOYO(商標)-1ヨウ化物によって染色した。30分間、室温でのインキュベーション後、染色されたコンジュゲートおよびsiRNAを、下で詳述するようにマウスに注射した。
【0173】
3匹のBalb/cマウスを実験に使用した:1匹の未処置マウスを陰性対照として使用し;1匹のマウスには5nmolのコンジュゲートしていない染色されたsiRNAを尾静脈に静脈内注射し;1匹のマウスには5nmolの染色されたvSIRPα-siRNAコンジュゲートを尾静脈に静脈内注射した。
【0174】
注射の45分後、血液をマウスから採取した。各試料からの50μlの全血を500×gでの遠心分離により10分間、1mlのDPBSで2回洗浄し、DPBSに再懸濁させた。再懸濁血液を、共焦点皿(SPL 100350)を使用して共焦点顕微鏡法によってイメージングし、RBC会合YOYO(商標)-1ヨウ化物蛍光シグナルを異なる群(対照、siRNA、およびコンジュゲート)間で比較した。488nmのレーザーを使用した(YOYO(商標)-1ヨウ化物は、491nmの励起波長を有する)。
【0175】
図9に示すように、vSIRPα-siRNAコンジュゲートを注射したマウスからのRBCは、蛍光輝点を示し(図9の矢印)、これは、vSIRPα-siRNAコンジュゲートとRBCとの結合がin vivoで起こることを示す。
【0176】
可能性のある特許請求の範囲
【0177】
本発明の様々な実施形態は、この段落の後に続く(および本願の最後に提供する実際の特許請求の範囲の前の)段落に列挙する、可能性のある特許請求の範囲を特徴とする可能性がある。これらの可能性のある特許請求の範囲は、本願の書面による明細の一部をなす。したがって、以下の可能性のある特許請求の範囲の主題は、本願に関わる、または本願に基づいて優先権を主張する任意の出願に関わる、後の手続きにおいて、実際の特許請求の範囲として提示される可能性がある。そのような可能性のある特許請求の範囲を含めることを、実際の特許請求の範囲が可能性のある特許請求の範囲の主題をカバーしないという意味に解釈すべきではない。したがって、後の手続きにおいてこれらの可能性のある特許請求の範囲を提示しないという決定を、主題を公衆に提供することと解釈すべきでない。
【0178】
これらに限定されるものではないが、請求する可能性がある、可能性のある主題(下に提示する実際の特許請求の範囲との混同を避けるために文字「P」で始める)は、以下を含む:
(P1)
CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、
コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含み;
前記CD47結合タンパク質が、野生型SIRPα(配列番号1)、vSIRPα(配列番号3)、野生型トロンボスポンジン-1(TSP-1)(配列番号7)、野生型SIRPγ(配列番号4)、vSIRPγ-1(配列番号5)、vSIRPγ-2(配列番号6)、ALX148(配列番号962)、TTI-661(配列番号963)、TTI-662(配列番号964)、前述のもののいずれかのホモログ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、前記対象の循環系による前記標的細胞への前記コンジュゲートの輸送を可能にするために前記コンジュゲートを前記対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)前記コンジュゲートを前記赤血球の前記CD47に結合させるように構成されている前記CD47結合タンパク質が、前記標的細胞の前記CD47に結合し、ひいては、前記コンジュゲートを前記赤血球から前記標的細胞へ移行させて、前記標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、前記標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)前記コンジュゲートが、前記コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって前記標的細胞に取り込まれ、それによって、前記標的細胞の前記免疫逃避機構をさらに阻害し、前記APIを前記標的細胞に送達する、
治療化合物。
(P2)
CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、
コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含み;
前記CD47結合タンパク質が、野生型トロンボスポンジン-1(TSP-1)(配列番号7)、野生型SIRPγ(配列番号4)、vSIRPγ-1(配列番号5)、vSIRPγ-2(配列番号6)、ALX148(配列番号962)、TTI-661(配列番号963)、TTI-662(配列番号964)、前述のもののいずれかのホモログ、およびこれらの組合せからなる群から選択され、前記対象の循環系による前記標的細胞への前記コンジュゲートの輸送を可能にするために前記コンジュゲートを前記対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)前記コンジュゲートを前記赤血球の前記CD47に結合させるように構成されている前記CD47結合タンパク質が、前記標的細胞の前記CD47に結合し、ひいては、前記コンジュゲートを前記赤血球から前記標的細胞へ移行させて、前記標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、前記標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)前記コンジュゲートが、前記コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって前記標的細胞に取り込まれ、それによって、前記標的細胞の前記免疫逃避機構をさらに阻害し、前記APIを前記標的細胞に送達する、
治療化合物。
(P3)
CD47を発現する標的細胞への哺乳動物対象におけるRBC媒介送達のための治療化合物であって、
コンジュゲートを形成するようにAPIにコンジュゲートされているCD47結合タンパク質を含み;
前記CD47結合タンパク質が、抗CD47抗体であり、前記抗CD47抗体が、
(a)配列番号932、配列番号933および配列番号934をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号935、配列番号936および配列番号937をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;
(b)配列番号940、配列番号941および配列番号942をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号943、配列番号944および配列番号945をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;
(c)配列番号948、配列番号949および配列番号950をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号951、配列番号952および配列番号953をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含むか;または
(d)配列番号956、配列番号957および配列番号958をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号959、配列番号960および配列番号961をそれぞれ含む相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む軽鎖可変領域とを含み;
前記対象の循環系による前記標的細胞への前記コンジュゲートの輸送を可能にするために前記コンジュゲートを前記対象の赤血球のCD47に結合させるように構成されており、したがって、(i)前記コンジュゲートを前記赤血球の前記CD47に結合させるように構成されている前記CD47結合タンパク質が、前記標的細胞の前記CD47に結合し、ひいては、前記コンジュゲートを前記赤血球から前記標的細胞へ移行させて、前記標的細胞上にコンジュゲート-CD47複合体を形成するようにし、それによって、CD47を遮断し、前記標的細胞の免疫逃避機構としてのCD47活性を阻害し、かつ(ii)前記コンジュゲートが、前記コンジュゲート-CD47複合体のエンドサイトーシスによって前記標的細胞に取り込まれ、それによって、前記標的細胞の前記免疫逃避機構をさらに阻害し、前記APIを前記標的細胞に送達する、
治療化合物。
(P3.5)
前記抗CD47抗体が、ヒト化抗体である、請求項P3に記載の治療化合物。
(P4)
前記CD47結合タンパク質が、共有結合、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス相互作用、およびこれらの組合せからなる群から選択される結合により、前記APIにコンジュゲートされている、前記請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P5)
前記CD47結合タンパク質が、リンカーにより前記APIにコンジュゲートされている、前記可能性のある請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P6)
前記リンカーが、切断可能である、請求項P5に記載の治療化合物。
(P7)
前記リンカーが、リソソーム分解酵素により切断されるように構成されている、請求項P5およびP6のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P8)
前記APIが、RNA、DNA、RNA誘導体、DNA誘導体、タンパク質、および小分子からなる群から選択される、前記可能性のある請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P9)
前記APIが、siRNA、shRNA、miRNA、antimiR、およびmRNAからなる群から選択される、請求項P1からP7のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P10)
前記標的細胞が、がん細胞、ウイルス感染細胞、線維化細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される細胞である、前記可能性のある請求項のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P11)
前記標的細胞が、がん細胞である、請求項P1からP9のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P12)
前記標的細胞が、ウイルス感染細胞である、請求項P1からP9のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P13)
前記標的細胞が、線維化細胞である、請求項P1からP9のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P14)
前記がん細胞が、脳腫瘍、脊髄腫瘍、網膜芽細胞腫、口腔がん、鼻腔がん、副鼻腔がん、咽頭がん、喉頭がん、頸部がん、頭頸部がん、黒色腫、皮膚がん、乳がん、甲状腺がん、悪性副腎腫瘍、内分泌がん、肺がん、胸膜腫瘍、気道がん、食道がん、胃がん、小腸がん、結腸がん、肛門がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、絨毛癌、卵巣がん;急性/慢性白血病、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫を含む血液がん;骨腫瘍、軟部組織腫瘍、小児白血病、ならびに小児がんからなる群から選択されるがんに起因する腫瘍におけるものである、請求項P11に記載の治療化合物。
(P15)
前記がん細胞が、卵巣漿液性嚢胞腺癌、肺腺癌、子宮頸および子宮頸管がん、頭頸部扁平上皮癌、甲状腺癌、子宮体類内膜癌、前立腺癌、中皮腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性白血病、肺扁平上皮癌、急性リンパ性白血病、食道癌、粘液線維肉腫、膵臓腺癌、直腸腺癌、結腸腺癌、急性巨核芽球性白血病、浸潤性乳癌、胃腺癌、膀胱尿路上皮癌、胆管癌、白血病、胸腺癌、平滑筋肉腫、胸腺腫、未分化多形性肉腫、子宮癌肉腫、急性骨髄性白血病、多形性神経膠芽種、肉腫、皮膚黒色腫、腎臓明細胞癌、脱分化型脂肪肉腫、リンパ腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、若年性骨髄単球性白血病、消化管間質腫瘍、胚芽異形成性神経上皮腫瘍、副腎皮質がん、分化系統不明瞭な急性白血病、褐色細胞腫および傍神経節腫、神経膠腫、精巣胚細胞腫瘍、テント上胎児性腫瘍NOS、神経芽細胞腫、腎臓乳頭細胞癌、肝細胞癌、嫌色素性腎細胞癌、悪性末梢神経鞘腫瘍、上衣腫、副腎皮質癌、上咽頭癌、紡錘細胞/硬化性横紋筋肉腫、黒色腫、脈絡叢癌、未分化紡錘細胞癌、筋上皮癌、肺胞横紋筋肉腫、横紋筋肉腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、線維腫症、滑膜肉腫、ウィルムス腫瘍、筋線維腫症、線維層板型肝細胞癌、未分化肉腫NOS、胎児性横紋筋肉腫、ブドウ膜黒色腫、ユーイング肉腫、肝芽腫、乳児型線維肉腫、INI依存性軟部組織肉腫NOA、未分化肝肉腫、ならびに髄芽腫からなる群から選択されるがんに起因する、請求項P11に記載の治療化合物。
(P16)
前記ウイルス感染細胞が、SARS-CoV-2ウイルスに感染している、請求項P12に記載の治療化合物。
(P17)
前記線維化細胞が、嚢胞性線維症に関連する、請求項P13に記載の治療化合物。
(P18)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P19)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~747および771~824からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P20)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~37からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P21)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号38~39からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P22)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P23)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号44~51からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P24)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P12、およびP16のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P25)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号482~486および748~765からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P12、およびP16のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P26)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P13、およびP17のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P27)
前記APIが、siRNAであり、前記siRNAが、アンチセンスRNA鎖とセンスRNA鎖とを含む二本鎖RNA分子であり、
(a)前記アンチセンスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43および766~770からなる群から選択され、
(b)前記センスRNA鎖が、長さ19~29ヌクレオチドであり、前記アンチセンスRNA鎖からの14~29ヌクレオチドに相補的であり、
(c)前記二本鎖RNA分子が、長さ14~29ヌクレオチドの二本鎖領域と長さ0~5ヌクレオチドの3’オーバーハング領域とを有する、
請求項P1からP7、P10、P13、およびP17のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P28)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~747および771~824からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P29)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~747および771~824からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P30)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号22~37からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P31)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号38~39からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P32)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P33)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号44~51からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P34)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、482~486、および748~765からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P12、およびP16のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P35)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号482~486および748~765からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P12、およびP16のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P36)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号8~21、40~43、および766~770からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P13、およびP17のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P37)
前記APIが、shRNAであり、前記shRNAが、長さ44~71ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、5’から3’方向に:
前記一本鎖RNA分子の5’末端における19~29ヌクレオチドの第1の領域であって、第1の配列を有する第1の領域;
前記第1の領域に直接隣接する4~11ヌクレオチドの第2の領域であって、第2の配列を有する第2の領域;
前記第2の領域に直接隣接する19~29ヌクレオチドの第3の領域であって、第3の配列を有する第3の領域;および
前記第3の領域に直接隣接する、前記一本鎖RNA分子3’末端における2ヌクレオチドの第4の領域であって、第4の配列を有する第4の領域
を有し、
(a)前記第1の領域が、前記第3の領域と同数のヌクレオチドを有し、
(b)前記第3の配列が、前記第1の配列の逆相補配列であり、
(c)前記第3の領域が、標的哺乳動物mRNA配列における連続するヌクレオチドに相補的であり、前記mRNA配列が、配列番号40~43および766~770からなる群から選択され、
(d)前記一本鎖RNA分子が、前記第1の領域が前記第3の領域と塩基対合してステムを形成し、前記第2の領域がループを形成し、前記第4の領域が3’オーバーハングを形成する、ステムループ構造を形成するように構成されている、
請求項P1からP7、P10、P13、およびP17のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P38)
前記APIが、配列番号825~844、849~851、853、855、857、864、865、および867~883からなる群から選択されるmiRNAである、請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P39)
前記APIが、antimiRであり、前記antimiRが、長さ12~25ヌクレオチドの一本鎖核酸分子であり、前記antimiRが、標的成熟miRNA産物配列における連続するヌクレオチドに相補的である連続する12~25ヌクレオチドの配列を有し、前記成熟miRNA産物配列が、配列番号884~908からなる群から選択され、前記成熟miRNA産物配列における前記連続するヌクレオチドが、5’から3’方向に、前記成熟miRNA産物配列のヌクレオチド2~8を含む、請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P40)
前記APIが、メトトレキサート;ドキソルビシン;ビンカアルカロイド;カンプトテシン類似体;微小管破壊剤、例えば、アウリスタチン(例えば、MMAEおよびMMAF)およびメイタンシノイド(例えば、DM1およびDM4);ならびにDNA損傷剤、例えば、DNAトポイソメラーゼI阻害剤(例えば、SN-38およびエキサテカン)、二本鎖切断剤(例えば、カリケアマイシン)、架橋剤(例えば、ピロロベンゾジアゼピン二量体-PBD)、およびアルキル化剤(例えば、デュオカルマイシンおよびインドリノベンゾジアゼピン二量体-IGN)からなる群から選択される、小分子である、請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P41)
前記APIが、タンパク質であり、前記タンパク質が、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P42)
前記APIが、タンパク質であり、前記タンパク質が、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P43)
前記APIが、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするmRNAであり、前記mRNAが、前記アミノ酸配列を含むタンパク質を産生するように前記標的細胞において翻訳されるように構成されている、請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P44)
前記APIが、配列番号909~929およびこれらのホモログからなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするmRNAであり、前記mRNAが、前記アミノ酸配列からなるタンパク質を産生するように前記標的細胞において翻訳されるように構成されている、請求項P1からP7、P10、P11、P14、およびP15のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P45)
前記mRNAが、コドン最適化されている、請求項P43およびP44のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P46)
それを必要とする哺乳動物対象におけるがんを処置する方法であって、請求項P1からP11、P14、P15、P18からP23、P28からP33、およびP38からP45のいずれか一項に記載の治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
(P47)
それを必要とする哺乳動物対象におけるウイルス感染症を処置する方法であって、請求項P1からP10、P12、P16、P24、P25、P34、およびP35のいずれか一項に記載の治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
(P48)
それを必要とする哺乳動物対象における線維性疾患を処置する方法であって、請求項P1からP10、P13、P17、P26、P27、P36、およびP37のいずれか一項に記載の治療化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
(P49)
前記哺乳動物対象が、ヒトである、請求項P1からP45のいずれか一項に記載の治療化合物。
(P50)
前記哺乳動物対象が、ヒトである、請求項P46からP48のいずれか一項に記載の方法。
(P51)
請求項P1からP45およびP49のいずれか一項に記載の治療化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【0179】
上で説明した本発明の実施形態は単に例となることを意図したものであり、非常に多くの変形形態および改変形態が当業者には明らかであろう。全てのそのような変形形態および改変形態を、いずれかの添付の請求項において定義される本発明の範囲内であると考えている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
2024540448000001.xml
【国際調査報告】