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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】組合せ医薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20241024BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20241024BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P43/00 121
A61K33/243
A61K47/68
A61K31/537
A61K38/05
A61K38/08
A61K31/404
A61K38/07
A61K31/7034
A61K31/4745
A61P35/00
A61P35/02
C12N15/13 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528617
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 GB2022052913
(87)【国際公開番号】W WO2023089314
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,916
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515114740
【氏名又は名称】オックスフォード バイオセラピューティックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD BIOTHERAPEUTICS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】アーニマ ビーシュト
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ロールフ
(72)【発明者】
【氏名】アブデラヒム ファンディ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA14
4C084BA16
4C084BA17
4C084BA25
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA26
4C085AA27
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086CB22
4C086DA32
4C086EA03
4C086EA08
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、広く、免疫学及び分子生物学の分野に関する。より具体的には、本出願は、LY75に対して指向性を有する抗体又はその抗原結合部分、及びプラチン、を含む組合せ医薬;組合せ医薬を調製するための方法;並びにLY75の発現又は活性によって媒介されるがん等の疾患を治療するための方法、を提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む組合せ医薬:
a)抗-LY75抗体又はその抗原結合部分、及び、
b)プラチン薬物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
請求項1に記載の組合せ医薬、ここで、前記組合せ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするための、組合せた調製物の形体である。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の組合せ医薬、ここで、前記抗体又はその抗原結合部分は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
i)配列番号(SEQ ID NO):5を含む第1のvhCDR;
ii)配列番号(SEQ ID NO):6を含む第2のvhCDR;及び、
iii)配列番号(SEQ ID NO):7を含む第3のvhCDR;並びに、
以下を含む軽鎖可変領域:
i)配列番号(SEQ ID NO):8を含む第1のvlCDR;
ii)配列番号(SEQ ID NO):9を含む第2のvlCDR;及び、
iii)配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR;
任意選択的に、ここで、上記配列番号(SEQ ID NO)のうちの何れか1つ以上は、独立して、1、2、3、4又は5個のアミノ酸の、置換、付加又は欠失、を含む。
【請求項4】
請求項3に記載の組合せ医薬、ここで、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの何れか1つ以上は、独立して、1、2、3、4又は5個の保存的なアミノ酸の置換を含む。
【請求項5】
請求項4に記載の組合せ医薬、ここで、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの何れか1つ以上は、独立して、1又は2個の保存的なアミノ酸の置換を含む。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の組合せ医薬、ここで、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は、以下を含む:
(i)配列番号(SEQ ID NO):1に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域;及び、
(ii)配列番号(SEQ ID NO):2に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の組合せ医薬、ここで、前記抗-LY75抗体は、以下を含む:
(i)配列番号(SEQ ID NO):24に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖;及び、
(ii)配列番号(SEQ ID NO):25に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載の組合せ医薬、ここで、前記抗-LY75抗体は、ヒトIgG1モノクローナル抗体である。
【請求項9】
先行する請求項に記載の組合せ医薬、ここで、前記プラチン薬物は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン及びヘプタプラチン、を含むリストより選択される。
【請求項10】
何れかの先行する請求項に記載の組合せ医薬、ここで、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は、共有結合した部分構造を更に含む。
【請求項11】
請求項10に記載の組合せ医薬、ここで、前記部分構造は、細胞傷害性部分構造、好ましくは、薬物、である。
【請求項12】
請求項11に記載の組合せ医薬、ここで、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン(hemiasterlin)、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン(antheamycin)、チエノインドール、インドリノ-ベンゾジアゼピン、アマトキシン、CC1065又はタキソール及びそれらの誘導体、である。
【請求項13】
請求項12に記載の組合せ医薬、ここで、前記薬物は、DM4又はDM1、からなる群、好ましくは、DM4、より選択されるメイタンシノイドである。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載の組合せ医薬、ここで、前記組合せ医薬は、1種以上の薬学的に許容可能な、希釈剤、賦形剤又は担体、を更に含む。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の組合せ医薬、ここで、前記組合せ医薬は、がんを治療する際の使用をするためのものである。
【請求項16】
請求項15に記載の使用をするための組合せ医薬、ここで、前記がんは、LY75陽性がんである。
【請求項17】
請求項15又は16の何れか一項に記載の使用をするための組合せ医薬、ここで、前記がんは、膵臓がん、卵巣がん、乳がん、子宮内膜がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、結腸直腸がん、食道がん(esophageal cancer)、皮膚がん、甲状腺がん、肺がん(NSCLC及び/又はSCLC)、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん(gastric cancer)、白血病、好ましくは、急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは、多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくは、びまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(DLBCL)、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜-関連リンパ組織のリンパ腫(MALT)、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、及び血管免疫芽球性T-細胞リンパ腫、を含むリストより選択される。
【請求項18】
請求項17に記載の使用をするための組合せ医薬、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、結腸直腸がん、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、食道がん(esophageal cancer)、腎臓がん(renal cancer)、膵臓がん及び肺がん、を含むリストより選択される。
【請求項19】
請求項18に記載の使用をするための組合せ医薬、ここで、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は、LY75を発現する細胞によって、内部に取り込まれる。
【請求項20】
請求項15から19の何れか一項に記載の使用をするための組合せ医薬、ここで、その患者は、ヒトである。
【請求項21】
請求項15から20の何れか一項に記載の使用をするための組合せ医薬、ここで、前記プラチン薬物は、LY75に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、2週、又は3週、好ましくは2日又は3日、に投与される。
【請求項22】
がんを治療するための方法、ここで、前記方法は、それを必要とする患者に、請求項1から14の何れか一項に記載の組合せ医薬の治療有効量を、投与するステップを含む。
【請求項23】
請求項22に記載の方法、ここで、前記がんは、LY75陽性がんである。
【請求項24】
請求項22又は23に記載の方法、ここで、前記がんは、膵臓がん、卵巣がん、乳がん、子宮内膜がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、結腸直腸がん、食道がん(esophageal cancer)、皮膚がん、甲状腺がん、肺がん(NSCLC及び/又はSCLC)、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん(gastric cancer)、白血病、好ましくは、急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは、多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくは、びまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(DLBCL)、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜-関連リンパ組織のリンパ腫(MALT)、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、及び血管免疫芽球性T-細胞リンパ腫、を含むリストより選択される。
【請求項25】
請求項24に記載の方法、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、結腸直腸がん、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、腎臓がん(renal cancer)、膵臓がん及び肺がん、を含むリストより選択される。
【請求項26】
請求項22から25の何れか一項に記載の方法、ここで、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は、LY75を発現する細胞によって、内部に取り込まれる。
【請求項27】
請求項22から26の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者は、ヒトである。
【請求項28】
請求項22から27の何れか一項に記載の方法、ここで、前記プラチン薬物は、LY75に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、2週、又は3週、好ましくは2日又は3日、に投与される。
【請求項29】
がんを治療するための組合せ医薬を生産する際における、抗-LY75抗体又はその抗原結合部分、及びプラチン薬物又はその薬学的に許容可能な塩、の使用。
【請求項30】
請求項29に記載の使用、ここで、前記組合せ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするための、組合せた調製物の形体である。
【請求項31】
請求項29又は請求項30に記載の使用、ここで、前記抗体又はその抗原結合部分は、以下を含む:
以下を含む重鎖可変領域:
i)配列番号(SEQ ID NO):5を含む第1のvhCDR;
ii)配列番号(SEQ ID NO):6を含む第2のvhCDR;及び、
iii)配列番号(SEQ ID NO):7を含む第3のvhCDR;並びに、
以下を含む軽鎖可変領域:
i)配列番号(SEQ ID NO):8を含む第1のvlCDR;
ii)配列番号(SEQ ID NO):9を含む第2のvlCDR;及び、
iii)配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR;
任意選択的に、ここで、上記配列番号(SEQ ID NO)のうちの何れか1つ以上は、独立して、1、2、3、4又は5個のアミノ酸の、置換、付加又は欠失、を含む。
【請求項32】
請求項31に記載の使用、ここで、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの何れか1つ以上は、独立して、1、2、3、4又は5個の保存的なアミノ酸の置換を含む。
【請求項33】
請求項31又は請求項32に記載の使用、ここで、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの何れか1つ以上は、独立して、1又は2個の保存的なアミノ酸の置換を含む。
【請求項34】
請求項29から33の何れか一項に記載の使用、ここで、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は、以下を含む:
(i)配列番号(SEQ ID NO):1に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域;及び、
(ii)配列番号(SEQ ID NO):2に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域。
【請求項35】
請求項29から34の何れか一項に記載の使用、ここで、前記抗-LY75抗体は、以下を含む:
(i)配列番号(SEQ ID NO):24に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖;及び、
(ii)配列番号(SEQ ID NO):25に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖。
【請求項36】
請求項29から35の何れか一項に記載の使用、ここで、前記抗-LY75抗体は、ヒトIgG1モノクローナル抗体である。
【請求項37】
請求項29から36の何れか一項に記載の使用、ここで、前記がんは、LY75陽性がんである。
【請求項38】
請求項33から40の何れか一項に記載の使用、ここで、前記がんは、膵臓がん、卵巣がん、乳がん、子宮内膜がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、結腸直腸がん、食道がん(esophageal cancer)、皮膚がん、甲状腺がん、肺がん(NSCLC及び/又はSCLC)、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん(gastric cancer)、白血病、好ましくは、急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは、多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくは、びまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(DLBCL)、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜-関連リンパ組織のリンパ腫(MALT)、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、及び血管免疫芽球性T-細胞リンパ腫、を含むリストより選択される。
【請求項39】
請求項38に記載の使用、ここで、前記がんは、胃がん(gastric cancer)、子宮内膜がん、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、結腸直腸がん、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、食道がん(esophageal cancer)、腎臓がん(renal cancer)、膵臓がん及び肺がん、を含むリストより選択される。
【請求項40】
請求項29から39の何れか一項に記載の使用、ここで、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は、LY75を発現する細胞によって、内部に取り込まれる。
【請求項41】
請求項29から40の何れか一項に記載の使用、ここで、その患者は、ヒトである。
【請求項42】
請求項29から41の何れか一項に記載の使用、ここで、前記抗-LY75抗体又は抗原結合部分は、共有結合した薬物コンジュゲートを含む。
【請求項43】
請求項29から42の何れか一項に記載の使用、ここで、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分構造は、共有結合した部分構造を更に含む。
【請求項44】
請求項43に記載の使用、ここで、前記部分構造は、細胞傷害性部分構造、好ましくは、薬物、である。
【請求項45】
請求項44に記載の使用、ここで、前記薬物は、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン(hemiasterlin)、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン(antheamycin)、チエノインドール、インドリノ-ベンゾジアゼピン、アマトキシン、CC1065又はタキソール及びそれらの誘導体、である。
【請求項46】
請求項45に記載の使用、ここで、前記薬物は、DM4又はDM1、からなる群、好ましくは、DM4、より選択されるメイタンシノイドである。
【請求項47】
請求項29から46の何れか一項に記載の使用、ここで、前記プラチン薬物は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン及びヘプタプラチン、を含むリストより選択される。
【請求項48】
請求項29から47の何れか一項に記載の使用、ここで、前記プラチン薬物は、LY75に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、2週、又は3週、好ましくは2日又は3日、に投与される。
【請求項49】
請求項29から48の何れか一項に記載の使用、ここで、前記使用は、1種以上の薬学的に許容可能な、希釈剤、賦形剤又は担体、を更に含む。
【請求項50】
請求項1から14の何れか一項に記載の組合せ医薬、ここで、前記組合せ医薬は、治療においての使用をするための、又は薬剤としての使用をするための、ものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序文
本開示は、広く、免疫学及び分子生物学の分野に関する。より具体的には、本出願は、(A) LY75に対して指向性を有する抗体又はその抗原結合部分、及び(B)1種以上の白金ベースの抗-新生物薬物(プラチン)、を含む組合せ医薬;組合せ医薬を調製するための方法;並びにLY75の発現又は活性によって媒介されるがん等の疾患を治療するための方法、を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
併用化学療法は、患者を2種以上の異なる薬物で同時に治療するステップを含む。前記2種以上の薬物は、そのメカニズム及び副作用が異なることがある。これの最大の利点は、何れか1種の薬剤に対する耐性が発現する機会が最小限に抑えられることである。更に、前記薬物は、しばしば、より低い用量で使用することが可能であり、毒性が低減される。
【0003】
しかしながら、がんのための、特に有効な併用療法のための、新しい治療法が依然として必要とされている。
【0004】
リンパ球抗原75は、捕捉した抗原を、細胞外の空間から特殊化した抗原-プロセシング・コンパートメント(antigen-processing compartment)に仕向けるための、エンドサイトーシス・レセプターとして振る舞い、B-リンパ球の増殖の減少を引き起こすと考えられている。リンパ球抗原75の発現は、胃、膀胱、腎臓、膵臓、卵巣、乳房、結腸直腸、食道、皮膚、甲状腺及び肺のがん、並びに多発性骨髄腫、並びにリンパ腫及び白血病の多くの様々なサブタイプ、において観察されてきている。WO2009/061996は、ヒトDEC-205(LY75)に結合する単離されたモノクローナル抗体、並びに関連する抗体ベースの、化合物及び分子、を開示している。前記抗体を含む医薬組成物、並びに前記抗体を使用するための治療方法及び診断方法、も開示されている。WO2008/104806は、がんを治療する又は予防する際における使用をするための、LY75に結合することができるアフィニティー試薬(affinity reagents)を開示している。WO2015/052537は、LY75に結合することができる特異的単離抗体、及び各種がんを治療する際におけるそれらの使用、を開示している。
【0005】
白金化合物は、がん療法において最も広く使用されている薬物のクラスのうちの1種であり、1980年以降、全身性がん療法の根幹であり続けている。抗がん化学療法を受けている全ての患者の約半数が白金薬物で治療を受けている。シスプラチン(シス-ジアミンジクロロ白金(II))は、最も強力な白金化合物であり、広範な固形腫瘍を治療するために米国食品医薬品局によって承認された、第1世代の白金製剤であった。シスプラチンは細胞に取り込まれ、細胞内高分子と反応して、タンパク質、RNA、及びDNA付加物(adduct)を形成する。シスプラチンによる治療は、多くの場合、完全な疾患寛解、部分的応答又は疾患安定化、に関連する初期の治療応答をもたらす。しかしながら、シスプラチン療法は、使用にしばしば関連する副作用(これには、重度の腎障害、感染症に対する免疫の低下、アレルギー反応、消化管障害、及び難聴、特に若年患者において、が挙げられる)を緩和するために、追加の薬物療法を必要とする。これらの副作用にもかかわらず、そして素晴らしい効力のために、シスプラチンは、多数のヒト悪性腫瘍、例えば、膀胱、頭頸部、メラノーマ, リンパ腫、及び骨髄腫、非-小-細胞肺がん(NSCLC);小-細胞肺がん、並びに卵巣がん及び精巣がん等、を治療するために依然として使用されている。シスプラチンが奏功するための主な障害は薬物耐性である。多くの腫瘍は、白金薬物に対して本質的に抵抗性である。更に、多くの感受性腫瘍は、初期の応答後に、徐々に耐性を発現する。
【0006】
シスプラチンの用量-制限毒性を低減するために、第二世代の化合物、例えば、カルボプラチン(シス-ジアミン(1,1-シクロブタンカルボキシレート)白金(II))、が開発された。作用メカニズムはシスプラチンと類似しているが、カルボプラチンは、シスプラチンと比較して、反応性がより低い、及びDNA結合速度がより遅い。がんのタイプに依るが、カルボプラチンは、シスプラチンよりも、8-から45-倍、効力がより低いことがある。毒性プロファイルが低下していて、カルボプラチンは、より積極的な大量化学療法に適している。
【0007】
耐性は、依然として、第1世代の及び第2世代の化合物にある課題であり続けているので、このような耐性を克服するために、第3世代の白金薬物オキサリプラチンが開発された。オキサリプラチンは、(1R,2R)-1,2ジアミノシクロヘキサン(DACH)リガンドを有する白金錯体である。オキサリプラチンは、応答性がより低く、毒性副作用がより少ない。DACHリガンドは、脂溶性がより高く、これにより、オキサリプラチンの受動的な取り込みは、シスプラチン及びカルボプラチンで見られる受動的な取り込みよりも、増加する。5-FU及び葉酸との併用として、オキサリプラチンは、現在、シスプラチンに対して本質的に非感受性である転移性結腸直腸がんのアジュバント治療(treatment of adjuvant and metastatic colorectal cancer that is intrinsically insensitive to cisplatin)に対して広く承認されている。現在までに、臨床試験に入った3種の白金-ベースの薬物のみが、国際的な販売承認を得てきており、一方、別の3種の薬物(ネダプラチン、ロバプラチン、及びヘプタプラチン)が、ある特定の市場で承認を得てきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ある特定の抗-LY75抗体とプラチンとの組合せが、がんを治療する際において、相乗的な結果を示すことが、今回見出された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
一つの態様では、本発明は、以下を含む組合せ医薬:
抗-LY75抗体の、又はその抗原結合部分の、構成要素、及び、プラチン薬物の構成要素、を提供する。
【0010】
一つの実施形態では、前記組合せ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするための、組合せた調製物の形体である。
【0011】
一つの実施形態では、前記プラチン薬物は、シスプラチンである。
【0012】
一つの実施形態では、前記プラチン薬物は、カルボプラチンである。
【0013】
一つの実施形態では、前記プラチン薬物は、オキサリプラチンである。
【0014】
一つの実施形態では、前記プラチン薬物は、ネダプラチンである。
【0015】
一つの実施形態では、前記プラチン薬物は、ロバプラチンである。
【0016】
一つの実施形態では、前記プラチン薬物は、ヘプタプラチンである。
【0017】
一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):5、6及び7を含むCDRからなる群より選択される1、2若しくは3個のCDRを含む重鎖可変領域、並びに/又は配列番号(SEQ ID NO):8、9及び10を含むCDRからなる群より選択される1、2若しくは3個のCDRを含む軽鎖可変領域、を含む。
【0018】
一つの実施形態では、抗-LY75抗体又はその抗原結合部分は:
a)以下を含む重鎖可変領域:
i)配列番号(SEQ ID NO):5を含む第1のvhCDR;
ii)配列番号(SEQ ID NO):6を含む第2のvhCDR;及び、
iii)配列番号(SEQ ID NO):7を含む第3のvhCDR;並びに、
b)以下を含む軽鎖可変領域:
i)配列番号(SEQ ID NO):8を含む第1のvlCDR;
ii)配列番号(SEQ ID NO):9を含む第2のvlCDR;及び、
iii)配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR;
任意選択的に、ここで、上記配列番号(SEQ ID NO)のうちの何れか1つ以上は、独立して、1、2、3、4又は5個のアミノ酸の、置換、付加又は欠失、を含む。
【0019】
一つの実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの何れか1つ以上は、独立して、1、2、3、4又は5個の保存的なアミノ酸の置換を含む。
【0020】
更なる実施形態では、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの何れか1つ以上は、独立して、1又は2個の保存的なアミノ酸の置換を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記抗-LY75抗体はLY75(配列番号(SEQ ID NO):15)に結合し、LY75を発現する細胞によって、内部に取り込まれ得る。
【0022】
別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、本出願に記載される特定の抗体(例えば、本出願では「LY75_A1」と呼ばれる)の、重鎖の及び/若しくは軽鎖の、相補性決定領域(CDR)、若しくは可変領域(VR)、を含む。従って、一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1に示される配列を有する抗体LY75_A1の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに/又は配列番号(SEQ ID NO):2に示される配列を有するLY75_A1の軽鎖可変(VL)領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、を含む。
【0023】
別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、ヒトLY75に結合し、配列番号(SEQ ID NO):1を、及び/又はその保存的な配列改変を、含む重鎖可変領域を含む。前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO):2を、及び/又はその保存的な配列改変を、含む軽鎖可変領域を更に含むことがある。
【0024】
更なる実施形態では、前記抗-LY75抗体は、ヒトLY75に結合し、配列番号(SEQ ID NO):1及び2に示されるアミノ酸配列、をそれぞれ含む重鎖可変領域を及び軽鎖可変領域を含む。
【0025】
一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1、又は配列番号(SEQ ID NO):1に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、同一である配列、を含む重鎖可変領域を含む。
【0026】
別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):2、又は配列番号(SEQ ID NO):2に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、同一である配列、を含む軽鎖可変領域を含む。
【0027】
別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NOS):16、17、18及び19に示される、配列番号(SEQ ID NO):1の重鎖可変領域のフレームワークに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク領域を含む。
【0028】
別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NOS):20、21、22及び23に示される、配列番号(SEQ ID NO):2の軽鎖可変領域のフレームワークに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク領域を含む。
【0029】
更なる実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):24、又は配列番号(SEQ ID NO):24に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、同一である配列、を含む重鎖を含む。別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):25、又は配列番号(SEQ ID NO):25に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、同一である配列、を含む軽鎖を含む。前記重鎖は、配列番号(SEQ ID NO):5から7又は1の配列を含むことがある。前記軽鎖は、配列番号(SEQ ID NO):8から10又は2の配列を含むことがある。
【0030】
一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、LY75への結合について、配列番号(SEQ ID NO):1及び2に示されるアミノ酸配列、をそれぞれ含む重鎖可変領域を及び軽鎖可変領域を、含む抗体(LY75_A1)と、競合する。
【0031】
本発明の他の抗体は、本出願に記載される抗体によって認識されるLY75上の、同じエピトープ又はエピトープ、に結合する。別の特定の実施形態では、前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1及び2に示されるアミノ酸配列、又はそれと、少なくとも80%同一のアミノ酸配列、をそれぞれ含む重鎖可変領域を及び/又は軽鎖可変領域を、含む抗体によって認識されるLY75上のエピトープ、に結合する。別の実施形態では、前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1及び2に示されるアミノ酸配列、を含む重鎖可変領域を及び/又は軽鎖可変領域を、含む抗体(LY75_A1)によって認識されるLY75上のエピトープ、に結合する。
【0032】
更なる実施形態では、前記抗-LY75抗体は、本出願に記載される親抗体と比較して、可変CDRを含む。従って、親抗体のバリアント可変領域を含むバリアント抗体、ここで、前記親抗体は、配列番号(SEQ ID NO):5を含む第1のvhCDR、配列番号(SEQ ID NO):6を含む第2のvhCDR、配列番号(SEQ ID NO):7を含む第3のvhCDR、配列番号(SEQ ID NO):8を含む第1のvlCDR、配列番号(SEQ ID NO):9を含む第2のvlCDR、及び配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR、を含む、並びに、ここで、前記バリアント抗体は、第1のvhCDR、第2のvhCDR、第3のvhCDR、第1のvlCDR、第2のvlCDR、及び第3のvlCDRの組において、合計で1、2。3、4、5又は6個のアミノ酸の置換を有し、1から4個、1から3個又は1から2個の置換の特定の使用を伴う、並びにここで、前記抗体はLY75に対する特異的な結合を保持する。
【0033】
本出願で開示される抗体の全ては、完全長であることがある、例えば、以下のアイソタイプのうちの何れかであることがある:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、及びIgE。或いは、前記抗体は、フラグメント、例えば、抗原結合部分又は単鎖抗体(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、単鎖Fvフラグメント、単離された相補性決定部位(CDR)、又は2つ以上の単離されたCDRの組合せ)であることがある。前記抗体は、任意の種類の抗体、例えば、限定されるものではないが、ヒト、ヒト化、及びキメラ抗体等、であることがある。
【0034】
他の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、免疫コンジュゲートの形体である(即ち、それらは、共有結合した部分構造を更に含む)。好ましくは、前記共有結合した部分構造は、細胞傷害性部分構造である。
【0035】
特定の実施形態では、前記共有結合した部分構造は、薬物、例えば、メイタンシノイド、ドラスタチン、ヘミアステルリン(hemiasterlin)、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、バクテリア免疫毒素、ピラノインドイジノキノリン、カンプトテシン、アントラサイクリン、アンテアマイシン(antheamycin)、チエノインドール、インドリノ-ベンゾジアゼピン、アマトキシン、CC1065又はタキソール及びそれらの誘導体、である。好ましい実施形態では、前記薬物部分構造は、DM1又はDM4である。
【0036】
一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):3及び4をそれぞれ含む核酸配列によって、若しくは上記核酸配列に対して、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有する核酸配列によって、又は遺伝暗号の縮重のために配列番号(SEQ ID NO):3及び4と異なる配列によって、コードされる、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、を含む。
【0037】
更なる態様では、患者におけるがんを治療する方法が提供され、前記方法は、それを必要とする患者に、本発明の組合せ医薬の構成要素の治療有効量を、同時に、連続的に、又は別々に、投与するステップを含む。
【0038】
本発明の更なる態様では、がんを治療する際における使用をするための、本発明の組合せ医薬が提供される。
【0039】
また、がんを治療する際において、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするための組合せ医薬を製造する際における、本出願に記載される抗-LY75抗体又はその抗原結合部分の、及びプラチン薬物又はその薬学的に許容可能な塩の、使用も提供される。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記がんは、膵臓がん、卵巣がん、乳がん、子宮内膜がん、結腸直腸がん、食道がん(esophageal cancer)、皮膚がん、甲状腺がん、肺がん(NSCLC及び/又はSCLC)、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん(gastric cancer)、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、白血病、好ましくは、急性骨髄性白血病又は慢性リンパ性白血病、骨髄腫、好ましくは、多発性骨髄腫及びリンパ腫、好ましくは、びまん性大細胞型B-細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma (DLBCL))、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜-関連リンパ組織のリンパ腫(Mucosa-Associated Lymphoid Tissue (MALT))、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、及び血管免疫芽球性T-細胞リンパ腫、を含むリストより選択される。
【0041】
好ましくは、前記がんは、結腸直腸がん、膵臓がん、胃がん(gastric cancer)、胃食道接合部(gastroesophageal junction)がん、子宮内膜がん、膀胱がん、乳がん、卵巣がん、食道がん(esophageal cancer)、腎臓がん(renal cancer)、及び肺がん、を含むリストより選択される。
【0042】
好ましい実施形態では、前記患者は、ヒトである。
【0043】
当業者は、前記プラチン薬物を、前記抗-LY75抗体又はその抗原結合部分の投与、の前に、と同時に、又はの後に、の何れかで、投与され得ることを理解するであろう。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記プラチン薬物は、LY75に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、2週、又は3週、に投与される。
【0045】
一つの実施形態では、前記プラチン薬物は、LY75に結合する抗体又はその抗原結合部分の投与後、2日又は3日、に投与される。
【0046】
また、本発明の範囲内には、本発明の組合せ医薬を、及び任意選択的に、使用するための指示を、含むキットも含まれる。前記キットは、少なくとも1種の追加的な試薬を、又は1種以上の追加的な抗体を、更に含むことがある。
【0047】
本発明の、他の特徴及び優位性は、以下の詳細な明細書及び特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、LY75_A1重鎖(配列番号(SEQ ID NO):1)、ヒトVH 3-15生殖系列(配列番号(SEQ ID NO):11)及びヒトJH4生殖系列(配列番号(SEQ ID NO):12)のアラインメントを示す。LY75_A1重鎖のCDR領域に下線を付す。
図2図2は、LY75_A1軽鎖(配列番号(SEQ ID NO):2)、ヒトVK O12生殖系列(配列番号(SEQ ID NO):13)及びヒトJK4生殖系列(配列番号(SEQ ID NO):14)のアラインメントを示す。LY75_A1軽鎖のCDR領域に下線を付す。
図3図3aは、HT-29における、DM1とコンジュゲートした抗-LY75モノクローナル抗体の細胞傷害活性を示す、及びほとんどの抗体がLY75に結合するが、わずかな抗体だけが効果を示すことを示す。 図3bは、HT-29における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3cは、RAJI細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3dは、ナマルワ細胞(Namalwa cell)における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3eは、Karpas 299細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3fは、BxPC3細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3gは、HupT4細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3hは、HPAFFII細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3iは、EHEB細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3jは、Mec-1細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3kは、AML-193細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3lは、HCC 70細胞における、DM1又はDM4の何れかに結合した抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3mは、HCC 1806細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3nは、MDA-MB-468細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3oは、RT4細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3pは、5637細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3qは、SW780細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3rは、SCC-9細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3sは、OE 19細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3tは、OVCAR-3細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3uは、SK-OV-3細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3vは、MOLP-8細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。 図3wは、RPMI8226細胞における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。
図4図4aは、ラジ・バーキット・リンパ腫SCIDマウス異種移植片モデル(Raji Burkitt’s lymphoma SCID mouse xenograft model)における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の有効性を示す。 図4bは、ナマルワ・バーキット・リンパ腫SCIDマウス異種移植片モデル(Namalwa Burkitt’s lymphoma SCID mouse xenograft model)における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の有効性を示す。 図4cは、HPAFII膵臓腺がん胸腺欠損ヌード・マウス異種移植片モデル(HPAFII pancreatic adenocarcinoma athymic nude mousexenograft model)における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の有効性を示す。 図4dは、SW780ヒト膀胱がん腫(carcinoma)SCIDマウス異種移植片モデル(SW780 human bladder carcinoma SCID mouse xenograft model)における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の有効性を示す。 図4eは、MDA-MB-468胸腺欠損ヌード・マウス異種移植片モデル(MDA-MB-468 athymic nude mouse xenograft model)における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の有効性を示す。 図4fは、COLO205結腸直腸腺がん腫胸腺欠損ヌード・マウス異種移植片モデル(COLO205 colorectal adenocarcinoma athymic nude mouse xenograft model)における、DM1又はDM4の何れかにコンジュゲートした抗-LY75抗体の有効性を示す。
図5図5Aは、オキサリプラチン単独、又は0.5nM若しくは2nMの抗-LY75_A1で72時間前処置した細胞にオキサリプラチン、の何れかを使った、HT-29細胞の、処置の効果を示す。 図5Bは、シスプラチン単独、又は0.5nM若しくは2nMの抗-LY75_A1で72時間前処置した細胞にシスプラチン、の何れかを使った、HT-29細胞の、処置の効果を示す。 図5Cは、オキサリプラチン単独、又は1nM、3nM若しくは10nMの抗-LY75_A1で72時間前処置した細胞にオキサリプラチン、の何れかを使った、HPAFII細胞の、処置の効果を示す。 図5Dは、オキサリプラチン単独、又は1nM若しくは10nMの抗-LY75_A1で72時間前処置した細胞にオキサリプラチン、の何れかを使った、N87細胞の、処置の効果を示す。 図5Eは、シスプラチン単独、又は1nM若しくは10nMの抗-LY75_A1で72時間前処置した細胞にシスプラチン、の何れかを使った、N87細胞の、処置の効果を示す。
図6図6は、1mg/kgの抗-LY75及び5mg/kgのオキサリプラチンの組合せを投与すると、N87胃がん(gastric cancer)異種移植片を有するマウスにおいて、腫瘍増殖が有意に減少することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
発明の詳細な説明
本開示は、抗-LY75抗体又はその抗原結合部分、及びプラチン薬物又はその薬学的に許容可能な塩、を含む組合せ医薬に関する、ここで、前記組合せ医薬は、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするための、組合せた調製物の形体である。
【0050】
LY75タンパク質の1つの例を、本出願の配列番号(SEQ ID NO):15に示す。用語「抗-LY75抗体」及び「LY75抗体」を、本出願において、互換的に使用する。
【0051】
本出願に開示されるLY75抗体は、LY75レセプターを発現する細胞と接触させた場合に、内部に取り込まれることがある。本出願において議論されるように、LY75レセプターは、ある特定のがん細胞、例えば、結腸直腸がん、乳がん、膀胱がん、胃がん(gastric cancer)、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、食道がん(esophageal cancer)及び腎臓がん(renal cancer)の細胞、上で過剰発現する、及び/又は示差的に発現する。
【0052】
従って、本出願に開示されるLY75抗体が薬物にコンジュゲートする場合(本出願では「抗体-薬物コンジュゲート」又は「ADC」と呼ばれることもある)、これらのADC分子ががん細胞の中へ、内部に取り込まれると、細胞死がもたらされ、それ故に、腫瘍治療がもたらされる。
【0053】
抗-LY75抗体は、特定のアミノ酸配列を有するCDR領域などの特定の構造的特徴を有する。本出願には、LY75への結合を示すアフィニティー試薬、例えば、抗体、を形成することができるCDRのセットが記載される。
【0054】
本発明の抗-LY75抗体は何れも、単離された抗体であることがある。
【0055】
従って、本開示は、抗体、好ましくは単離された抗体(これは、以下に概説するように、多種多様な既知の抗体構造、誘導体、模倣体及びコンジュゲート、を含む)、抗体の組合せをコードする核酸、前記抗体の組合せを作製するために使用される宿主細胞、前記抗体の組合せを作製する方法、並びに前記抗体及び任意選択的に医薬担体を含む組合せ医薬、前記組合せ医薬の使用を含む治療の方法、及びがんを治療するための前記組合せ医薬の使用、を提供する。
【0056】
LY75の発現は、膵臓、膀胱、胃、卵巣、乳房(例えば、トリプル・ネガティブ等)、結腸直腸、食道、皮膚、甲状腺、腎臓、及び肺(非-小-細胞)のがん、並びに多発性骨髄腫、並びにリンパ腫(例えば、DLBCL等)及び白血病の多くの様々なサブタイプ、において観察されている。
【0057】
前記抗-LY75抗体は、ある場合には、ヒト以外の種由来のLY75と交差反応をすることがある。例えば、臨床試験を容易にするために、前記抗-LY75抗体は、マウスの又は霊長類のLY75分子と交差反応をすることがある。或いは、ある特定の実施形態では、前記抗体は、ヒトLY75に対して完全に特異的であることがある、及び種又は他のタイプの非-ヒト交差反応性を示さないことがある。
【0058】
本発明中での使用を見出す抗体は、本出願に記載される多くのフォーマット、例えば、本出願に記載される、従来の抗体、並びに抗体誘導体、フラグメント及び模倣体等、を取ることがある。一つの実施形態では、本発明は、本出願で定義される6つのCDRのセットを含む抗体構造(以下に記載されるように、少数のアミノ酸変化を含む)を提供する。
【0059】
本出願で使用される「抗体」は、多種多様な構造を含み、当業者によって理解されるように、いくつかの実施形態では、本出願で定義される6つのCDRのセットを少なくとも含む;例えば、限定されるものではないが、従来の抗体(例えば、モノクローナル及びポリクローナル抗体等)、ヒト化及び/又はキメラ抗体、抗体フラグメント、操作した抗体(例えば、以下に概説するように、アミノ酸改変を伴う)、マルチスペシフィック抗体(multispecific antibody)(例えば、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)等)、並びに当該技術分野で公知の他の類似体、が挙げられる。
【0060】
本出願で使用される「アイソタイプ」は、それらの定常領域の、化学的特性及び抗原的特性、によって定義される免疫グロブリンのサブクラスのうちの何れかを意味する。既知のヒト免疫グロブリン・アイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM1、IgM2、IgD及びIgE、である。治療抗体はまた、アイソタイプ及び/又はサブクラスの任意の組合せのハイブリッドを含むこともあることを、理解されたい。
【0061】
多くの実施態様では、IgGアイソタイプを本発明において使用し、多くの用途において、特に、IgG1を使用する。
【0062】
それぞれの鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する、約100から110個又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。前記可変領域では、重鎖及び軽鎖のVドメインの各々について、3つのループが集まって、抗原-結合部位が形成される。前記ループの各々は、相補性決定領域(以下、「CDR」という)と呼ばれ、その中では、アミノ酸配列のバリエーションが最も著しい。「可変」は、前記可変領域のある特定のセグメントが配列において、抗体間で、大きく異なることを指す。前記可変領域内の可変性は、均等に分布していない。代わりに、前記V領域は、15から30アミノ酸のフレームワーク領域(framework regions (FRs))と呼ばれる比較的不変な延伸(これらは、著しい可変性のより短い領域[これらは、「超可変領域」と呼ばれ、それぞれ9から15アミノ酸長又はそれより長い]によって隔てられている)からなる。
【0063】
各VH及びVLは、3つの超可変領域(「相補性決定領域」、「CDR」)及び4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端の方に、以下の順序で配列される:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。
【0064】
超可変領域は、一般に、軽鎖可変領域中では、約アミノ酸残基24から34(LCDR1;「L」は軽鎖を示す)、50から56(LCDR2)、及び89から97(LCDR3)、並びに重鎖可変領域中では、約31から35B(HCDR1;「H」は重鎖を示す)、50から65(HCDR2)及び95から102(HCDR3)、のアミノ酸残基を包含する;Kabat et al., SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)、並びに/又は超可変ループを形成するアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変領域中では、残基26-32(LCDR1)、50-52(LCDR2)及び91-96(LCDR3)、並びに重鎖可変領域中では、26-32(HCDR1)、53-55(HCDR2)及び96-101(HCDR3))を包含する;Chothia and Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917。本発明の特定のCDRを以下に記載する。
【0065】
本明細書を通して、前記可変ドメイン中の残基(凡そ、軽鎖可変領域の残基1から107及び重鎖可変領域の残基1から113)を指す場合、Kabat番号付けシステムが一般的に使用される(例えば、Kabatら、前出(1991))。
【0066】
CDRは、抗体の、抗原結合部位、より具体的にはエピトープ結合部位、の形成に寄与する。用語「エピトープ」又は「抗原決定基」は、免疫グロブリン又は抗体が特異的に結合する抗原上の部位、を指す。エピトープは、連続的なアミノ酸、又はタンパク質の三次フォールディングによって並置された非連続的なアミノ酸、の両方から形成され得る。連続的なアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒への曝露時に保持されるが、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒での処理時に失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的コンホメーションにある、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸を含む。本出願に記載されるように、所与の抗体がどのエピトープに結合するかを決定するための方法(即ち、エピトープ・マッピング)は当該技術分野において周知であり、例えば、免疫ブロッティング及び免疫沈降アッセイが挙げられる、その方法では、LY75由来の重複する又は連続的なペプチドを、所与の抗-LY75抗体との反応性について、試験する。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法としては、当該技術分野の技術及び本出願に記載される技術、例えば、x-線結晶学及び2次元核磁気共鳴、が挙げられる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris 編. (1996)、を参照のこと)。用語「エピトープ・マッピング」は、抗体-抗原認識のための分子決定基を同定するプロセスを指す。
【0067】
各々の鎖のカルボキシ-末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を規定する。Kabatらは、重鎖及び軽鎖の可変領域の多数の一次配列を収集した。前記配列の保存の程度に基づいて、彼らは、個々の一次配列を、CDR及びフレームワークに分類し、それらのリストを作成した(SEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST, 第5版, NIH出版, No. 91-3242, E.A. Kabat et al.を参照)。
【0068】
免疫グロブリンのIgGサブクラスでは、その重鎖中に、いくつかの免疫グロブリン・ドメインがある。本出願において、「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、異なる三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。本発明で興味深いことは、定常重(CH)ドメイン及びヒンジ・ドメインを含む重鎖ドメインである。IgG抗体の文脈において、IgGアイソタイプの各々は、3つのCH領域を有する。従って、IgGとの関連における「CH」ドメインは、以下の通りである:「CH1」は、KabatにおけるEUインデックスによる位置118から220を指す。「CH2」は、KabatにおけるEUインデックスによる位置237から340を指し、及び「CH3」は、KabatにおけるEUインデックスによる位置341から447を指す。
【0069】
前記重鎖のIgドメインの別のタイプは、ヒンジ領域である。本出願において、「ヒンジ」又は「ヒンジ領域」又は「抗体ヒンジ領域」又は「免疫グロブリン・ヒンジ領域」とは、抗体の第1の定常ドメインと第2の定常ドメインとの間のアミノ酸を含む、可撓性ポリペプチドを意味する。構造的には、IgG CH1ドメインは、EU位置220で終わり、IgG CH2ドメインは、残基EU位置237で始まる。従って、IgGについて、前記抗体ヒンジは、本出願において、位置221(IgG1におけるD221)から236(IgG1におけるG236)を含むと定義される、ここで、その番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、例えばFc領域との関連では、下部ヒンジ(lower hinge)が含まれ、「下部ヒンジ(lower hinge)」は一般に位置226又は230を指す。
【0070】
本発明で特に興味深いことは、Fc領域である。本出願で使用される「Fc」又は「Fc領域」又は「Fcドメイン」とは、第1の定常領域免疫グロブリン・ドメインを、及び、場合によっては。ヒンジの一部を、除く、抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。いくつかの実施形態では、より十分に以下で記載するように、前記Fc領域にアミノ酸改変を行い、例えば、1つ以上のFcγRレセプターへの、又はFcRnレセプターへの、結合を変化させる。
【0071】
いくつかの実施形態では、前記抗体は、完全長である。本出願における「完全長抗体」とは、抗体の天然の生物学的形体を構成する構造を意味し、可変領域及び定常領域を含み、本出願に概説されるような1つ以上の改変を含む。
【0072】
或いは、前記抗体は、様々な構造、例えば、限定されるものではないが、抗体フラグメント、モノクローナル抗体、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)、ミニボディ(minibody)、ドメイン抗体、合成抗体(本出願では、「抗体模倣体」と呼ばれることもある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合体(「抗体コンジュゲート」と呼ばれることもある)、及び、それぞれ、各々のフラグメント、であることがある。1セットのCDRを使用することに依存する構造は、「抗体」の前記定義内に含まれる。
【0073】
一つの実施形態では、前記抗体は、抗体フラグメントである。特定の抗体フラグメントとしては、限定されるものではないが、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなるFabフラグメント、(ii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iii)単一抗体のVL及びVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)単一の可変領域からなるdAbフラグメント(Ward et al, 1989, Nature 341:544-546、その全体が参照により取り込まれる)、(v)単離されたCDR領域、(vi)F(ab')2フラグメント、2つの連結されたFabフラグメントを含む二価フラグメント、(vii)単鎖Fv分子(scFv)、ここで、VHドメイン及びVLドメインはペプチド・リンカーによって連結していて、これにより、2つのドメインが会合して抗原結合部位を形成する(Bird et al., 1988, Science 242:423-426, Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879-5883, その全体が参照により取り込まれる)、(viii)バイスペシフィック単鎖Fv(WO 03/11161、本出願に参照により取り込まれる)、及び(ix)「ダイアボディ(diabody)」又は「トリアボディ(triabody)」、遺伝子融合により構築された、多価の又はマルチスペシフィックなフラグメント(Tomlinson et. al., 2000, Methods Enzymol. 326:461-479; WO94/13804; Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6444-6448、その全体が参照により取り込まれる)、が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記抗体は、種々の種に由来する混じり合い、例えば、キメラ抗体及び/又はヒト化抗体、であることがある。即ち、本発明では、本出願の配列によって具体的に記載されたフレームワーク及び定常領域以外の、フレームワーク及び定常領域、と一緒に、前記CDRセットを使用することがある。
【0075】
一般的に、「キメラ抗体」及び「ヒト化抗体」の両方は、2つ以上の種由来の領域を組合せる抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は、通常、マウス(又は、場合によっては、ラット)由来の可変領域、及びヒト由来の定常領域、を含む。「ヒト化抗体」は、一般的に、ヒト抗体において見出される配列に交換した可変-ドメイン・フレームワーク領域を有する、非-ヒト抗体を指す。このような抗体の作製は、例えば、以下に記載されている(WO 92/11018, Jones, 1986, Nature 321:522-525, Verhoeyen et al., 1988, Science 239:1534-1536、その全体が参照により取り込まれる)。その最初に移植して構築した構築物(initial grafted construct)において失われた親和性を回復させるために、アクセプター・フレームワーク残基を選択して、対応するドナー(donor)残基へ「復帰変異(backmutation)」させることが、しばしば必要となる(US 5530101; US 5585089; US 5693761; US 5693762; US 6180370; US 5859205; US 5821337; US 6054297; US 6407213, 全体が参照により取り込まれる)。ヒト化又は非ヒト抗体可変領域の免疫原性を減少させる他の方法としては、再表面化方法(resurfacing methods)が挙げられ、例えば、Roguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:969-973(全体が参照により取り込まれる)に記載されている。一つの実施形態では、親抗体は、当該技術分野で知られているように、親和性成熟をしたものである。構造に基づく方法を、例えば、USSN 11/004,590に記載されているように、ヒト化及び親和性成熟のために使用することがある。選択に基づく方法を、使用して、抗体可変領域をヒト化する及び/又は親和性成熟することがあり、方法は、例えば、限定されるものではないが、Wu et al., 1999, J. Mol. Biol. 294:151-162; Baca et al., 1997, J. Biol. Chem. 272(16):10678-10684; Rosok et al., 1996, J. Biol. Chem. 271(37): 22611-22618; Rader et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 8910-8915; Krauss et al., 2003, Protein Engineering 16(10):753-759(全体が参照により取り込まれる)に記載されている。他のヒト化方法としては、CDRの一部のみを移植すること、が挙げられ、方法は、例えば、限定されるものではないが、USSN 09/810,510; Tan et al., 2002, J. Immunol. 169:1119-1125; De Pascalis et al., 2002, J. Immunol. 169:3076-3084(全体が参照により取り込まれる)に記載されている。
【0076】
本出願に開示される抗体は、単離されることがある、又は組換えであることがある。「単離された」とは、本出願に開示される様々なポリペプチドを記載するために使用する場合、それを発現した、細胞又は細胞培養物、から同定された、並びに分離された、及び/又は回収された、ポリペプチドを意味する。従って、単離された抗体とは、様々な抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すと意図される(例えば、LY75に特異的に結合する単離された抗体は、LY75以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。従って、「単離された」抗体は、天然には通常見出されない形体(例えば、非-天然的に存在する)として見出されるものである。本出願で定義される単離された抗体は、一つの実施形態では、「天然」に存在する抗体中に存在しない少なくとも1つのアミノ酸を含むことがある。このアミノ酸を、付加又は置換によって、導入することがある。導入するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、又は非-天然に存在するアミノ酸、であることがあると、理解されるであろう。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、組換えタンパク質、単離されたタンパク質、又は実質的に不純物が混じっていないタンパク質、である。「単離された」タンパク質は、その天然の状態で、それが通常会合している物質のうちの少なくともいくつかを付随しない、例えば、所与のサンプル中の全タンパク質の少なくとも約5%、又は少なくとも約50重量%を構成する。単離されたタンパク質は、状況に応じて、総タンパク質含有量の5から99.9重量%を構成し得ることが理解される。例えば、前記タンパク質を、誘導性プロモーターを又は高発現プロモータを使用することにより、有意により高い濃度で作製することができ、その結果、前記タンパク質は、増加したレベルで作製される。組換えタンパク質の場合では、その定義は、天然に抗体を産生しない、当該技術分野で公知の多種多様な生物体及び/又は宿主細胞において、その抗体を産生すること、を含む。通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。「単離された抗体」は、様々な抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。例えば、LY75に特異的に結合する単離された抗体は、LY75以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。単離された抗-LY75抗体は、もちろん、1種以上のプラチンと会合することがある。
【0077】
異なった特異性を有する単離されたモノクローナル抗体を、明確に規定した構成で、組合せることがある。従って、例えば、以下で更に議論するように、本発明の抗体を、任意選択的に、個々に、製剤中に、含めることがある、又は除外することがある。
【0078】
本発明の抗-LY75抗体は、LY75(例えば、配列番号(SEQ ID NO):15)に特異的に結合する。「特異的な結合」、又は特定の抗原若しくはエピトープに、「特異的に結合する」、若しくは「特異的」、とは、非-特異的相互作用とは異なって測定することができる結合を意味する。特異的な結合は、例えば、分子の結合を、一般的に結合活性を有さない同様の構造の分子であるコントロール分子の結合と比較して、決定することによって、測定することができる。例えば、特異的な結合を、前記ターゲットに類似するコントロール分子との競合によって決定することがある。
【0079】
特定の抗原又はエピトープに対する特異的な結合を、例えば、少なくとも約10-4 M、少なくとも約10-5 M、少なくとも約10-6 M、少なくとも約10-7 M、少なくとも約10-8 M、少なくとも約10-9 M、あるいは少なくとも約10-10 M、少なくとも約10-11M、少なくとも約10-12 M、又はより大きい、抗原又はエピトープに対するKDを有する抗体が示すことがある、ここで、KDは、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指す。典型的には、抗原に特異的に結合する抗体は、抗原又はエピトープに対して、コントロール分子の、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、又はより大きいKDを有する。しかしながら、本発明では、本発明のLY75抗体のADCを投与する場合、重要なことは、KDが、内部に取り込まれ、その結果、重大な副作用も無く、細胞死を可能にするのに充分である、ということである。
【0080】
また、特定の抗原又はエピトープに対する特異的な結合を、例えば、コントロールと比較して、エピトープに対して少なくとも20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍、又はより大きい、抗原又はエピトープに対するKA又はKaを有する抗体が示すことがある、ここで、KA又はKaは、特定の抗体-抗原相互作用の結合速度を指す。
【0081】
LY75(配列番号(SEQ ID NO):15)に結合するLY75抗体は、細胞表面上でLY75を発現する細胞と接触させると、内部に取り込まれることがある。これらの抗体を、本出願において、「抗-LY75」抗体、又は、記載を簡単にするために、「LY75抗体」、と称する。両方の用語を、本出願において、互換的に使用する。
【0082】
薬物コンジュゲートも含む、本出願で定義されるLY75抗体は、腫瘍細胞によって内部に取り込まれ、薬物の放出及びその後の細胞死をもたらし、LY75の発現を示すがんの治療を可能にする。この文脈における内部取り込みを、いくつかの方法で測定することができる。一つの実施形態では、前記LY75抗体を、MAbZap等の通常のアッセイを用いて、細胞(例えば、本出願に概説される細胞株等)と接触させる。前記MAbZapアッセイが、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を使って、見られると予想される作用に関する代表的なものであることは、当業者にとって、明らかであろう。後者のケースでは、前記ADCは、内部に取り込まれ、それ故に、薬物が細胞の中に取り込まれる。毒性薬物は、細胞を死滅させる、即ち、ターゲット化したがん細胞を死滅させる、ことができる。MabZapアッセイによるデータが、ADCアッセイの代表的なものであると、当業者は容易に認める(Kohls, M and Lappi, D., [2000] Biotechniques, vol. 28, no. 1, 162-165)。
【0083】
これらのin vitroアッセイの実施形態では、前記LY75抗体を、毒素を含む抗-LY75抗体と同時に、添加する;例えば、前記LY75抗体は、マウス又はヒト化であることがあり、前記抗-LY75抗体は、抗-マウス又は抗-ヒト化であることがあり、且つサポリン等の毒素を含有することがある。[LY75抗体]-[抗-LY75抗体-薬物コンジュゲート]複合体が形成されると、前記複合体は内部に取り込まれ、前記薬物(例えば、サポリン)が放出され、その結果、細胞死に到る。内部に取り込まれた際にのみ、前記薬物は放出され、従って、内部に取り込まれないと、細胞は生存可能であり続ける。以下に概説するように、理論に束縛されるものではないが、治療用途において、前記抗-LY75抗体は、前記毒素を含有し、内部に取り込まれると、前記抗体と前記毒素との間の結合が切断され、前記毒素を放出し、前記細胞を傷害する。
【0084】
一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、本明細書に記載される特定の抗体(例えば、本出願において「LY75_A1」と称される)の、重鎖の、及び軽鎖の、相補性決定領域(CDR)又は可変領域(VR)、を含む。従って、一つの実施形態では、前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1に示される配列を有する、抗体LY75_A1の重鎖可変(VH)領域の、CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに、配列番号(SEQ ID NO):2に示される配列を有する、抗体LY75_A1の軽鎖可変(VL)領域の、CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、を含む。
【0085】
別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):5を含む第1のvhCDR;配列番号(SEQ ID NO):6を含む第2のvhCDR;及び配列番号(SEQ ID NO):7を含む第3のvhCDR、を含む重鎖可変領域;並びに、配列番号(SEQ ID NO):8を含む第1のvlCDR;配列番号(SEQ ID NO):9を含む第2のvlCDR;及び配列番号(SEQ ID NO):10を含む第3のvlCDR、を含む軽鎖可変領域、を含む。
【0086】
別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、ヒトLY75に結合し、配列番号(SEQ ID NO):1を含むアミノ酸配列を、及びその保存的な配列改変を、含む重鎖可変領域を含む。前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO):2を含むアミノ酸配列を、及びその保存的な配列改変を、含む軽鎖可変領域を更に含むことがある。
【0087】
更なる実施形態では、前記抗-LY75抗体は、ヒトLY75に結合し、配列番号(SEQ ID NO):1及び/又は2に示されるアミノ酸配列をそれぞれ、並びにその保存的な配列改変を、含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、を含む。
【0088】
更なる実施形態では、前記抗-LY75抗体は、ヒトLY75に結合し、配列番号(SEQ ID NO):24及び/又は25に示されるアミノ酸配列をそれぞれ、並びにその保存的な配列改変を、含む重鎖及び軽鎖、を含む。
【0089】
本出願で使用される場合、保存的な配列改変という用語は、例えば、類似の特徴を有するアミノ酸による、アミノ酸の置換、を指す。このような置換が保存的であると考えられ得ることは、当業者にとって一般的な知識である。保存的な配列改変であると考えることができる他の改変としては、例えば、グリコシル化が挙げられる。
【0090】
任意選択的に、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの1つ以上は、独立して、1、2、3、4、又は5個の保存的なアミノ酸の置換を含み;任意選択的に、配列番号(SEQ ID NO):5から10のうちの1つ以上は、独立して、1個又は2個の保存的なアミノ酸の置換を含む。
【0091】
好ましくは、用語「保存的な配列改変」は、そのアミノ酸配列を含む抗体の結合の特徴、に大きな影響を及ぼさない、又は、を大きく変化させない、アミノ酸改変を含むことが意図される。このような保存的な改変としては、アミノ酸の置換、付加及び欠失、が挙げられる。改変を、当該技術分野で公知の標準的な技術(例えば、部位-特異的変異誘発及びPCR-媒介変異誘発等)によって、本発明の抗体に導入することがある。保存的なアミノ酸の置換は、前記アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で、置換されたものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において規定されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ-分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸、を含む。従って、本発明の抗体のCDR領域内の1個以上のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリー由来の他のアミノ酸残基で置き換えることができ、その改変した抗体を、本出願に記載される機能アッセイを使用して、保持される機能について、試験をすることがある。
【0092】
上記配列の何れかに対して、少なくとも80%、若しくは少なくとも85%、若しくは少なくとも90%、若しくは少なくとも91%、若しくは少なくとも92%、若しくは少なくとも93%、若しくは少なくとも94%、若しくは少なくとも95%、若しくは少なくとも96%、若しくは少なくとも97%、若しくは少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、又はそれ以上、の配列同一性を有する、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、を含む単離された抗体もまた、本発明に含まれる。上記の数値の中間の範囲、例えば、上記配列の何れかに対して、少なくとも80から85%、85から90%、90から95%、又は95から100%、の配列同一性を有する、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、もまた、本発明に包含されることが意図される。一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1、又は配列番号(SEQ ID NO):1に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、同一である配列、を含む重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):2、又は配列番号(SEQ ID NO):2に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、同一である配列、を含む軽鎖可変領域を含む。別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):16、17及び18を含む配列番号(SEQ ID NO):1の重鎖可変領域のフレームワークに対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク領域を含む。別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):19、20及び21を含む配列番号(SEQ ID NO):2の軽鎖可変領域のフレームワークに対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク領域を含む。
【0093】
更なる実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):24、又は配列番号(SEQ ID NO):24に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、同一である配列を含む重鎖を含む。別の実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):25、又は配列番号(SEQ ID NO):25に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、同一である配列を含む軽鎖を含む。前記重鎖は、配列番号(SEQ ID NO):5から7又は1の配列を含むことがある。前記軽鎖は、配列番号(SEQ ID NO):8から10又は2の配列を含むことがある。
【0094】
一つの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、「LY75_A1抗体」と本出願において称され、以下のCDR、並びに限られた数のアミノ酸バリアントを含むバリアント、を含む:
【表1】
【0095】
本出願にはまた、本発明のCDRセットを含む可変重鎖及び可変軽鎖、並びに全長重鎖及び全長軽鎖(例えば、定常領域も含む)も開示される。当業者によって理解されるように、前記抗-LY75抗体のCDRセットは、マウスの、ヒト化した又はヒトの定常領域(フレームワーク領域を含む)の中に取り込まれることがある。従って、本発明は、本出願に開示される配列番号に対して、少なくとも約90%から99%、同一である、可変重鎖及び可変軽鎖、並びに全長重鎖及び全長軽鎖、を提供し、90、91、92、93、94、95、96、97、98、及び99%全てが、本発明において、使用される。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記抗-LY75抗体は、配列番号(SEQ ID NO):1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):2に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む抗体と、ヒトLY75への結合について、競合する抗体である。結合について競合する抗体は、ルーチンな技術を用いて同定することができる。このような技術としては、例えば、ある抗体が、ターゲット抗原に対する別の抗体の結合を遮断することができることを示すイムノアッセイ、即ち、競合結合アッセイ、が挙げられる。競合阻害を、試験免疫グロブリンの存在下で、固体表面に、又は細胞に、結合した標識の量を決定することによって、測定する。通常、前記試験免疫グロブリンは、過剰に存在する。通常、競合する抗体が過剰に存在する場合、それは、少なくとも50から55%、55から60%、60から65%、65から70%、70から75%、75から80%、80から85%、85から90%、90から95%、95から99%、又はそれ以上、共通抗原に対するレファレンス抗体(reference antibody)の特異的な結合を阻害する。
【0097】
モノクローナル抗体は、様々な公知の技術を用いて、LY75への結合について、特徴付けることができる。一般的に、前記抗体は、ELISAによって、まず最初に特徴付ける。
【0098】
ELISAアッセイを用いて、抗体、及び、それ故に、LY75免疫原とポジティブな反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマ、をスクリーニングすることができる。次いで、LY75に、好ましくは高い親和性で、結合するハイブリドーマをサブクローニングし、更に特徴付けることがある。次いで、親細胞の反応性を保持する(ELISAによる)、各々のハイブリドーマ由来の1つのクローンを、細胞バンクを作製するために、及び抗体精製のために、選択することがある。
【0099】
抗-LY75抗体を精製するために、選択したハイブリドーマを、ローラー・ボトル、2リットルのスピナー-フラスコ、又は他の培養システムで、増殖させることがある。上清を濾過し、濃縮した後、プロテインA-セファロース(Pharmacia, Piscataway, NJ)のアフィニティー・クロマトグラフィーで、前記タンパク質を精製することがある。PBSへのバッファー交換後、1.43の吸光係数を用いたOD280 によって、又は好ましくは比濁解析によって、濃度を決定することができる。IgGを、ゲル電気泳動及び抗原特異的方法によって、チェックすることがある。
【0100】
選択した抗-LY75モノクローナル抗体が固有のエピトープに結合するかどうかを決定するために、各々の抗体を、市販の試薬剤(Pierce, Rockford, IL)を用いてビオチン化することがある。ビオチン化MAb結合を、ストレプトアビジン標識したプローブを用いて検出することができる。精製抗体のアイソタイプを決定するために、アイソタイプELISAを、当該技術分野で認識されている技術を用いて、実施することがある。
【0101】
LY75を発現する生細胞へのモノクローナル抗体の結合を試験するために、フロー・サイトメトリーを使用することがある。この方法によって、個々の細胞の可視化が可能になるが、抗原の密度に応じて、感度が減少することがある。
【0102】
抗-LY75 IgGを、LY75抗原との反応性について、ウエスタンブロット法によって、更に試験することがある。
【0103】
様々な抗-LY75抗体の、結合親和性、交差-反応性、及び結合動態、を解析するための方法としては、当該技術分野で公知の標準的なアッセイ、例えば、BiacoreTM 2000 SPR装置(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を使用するBiacoreTM表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance (SPR))解析、が挙げられる。
【0104】
一つの実施形態では、前記抗体は、配列番号(SEQ ID NO):15)を含むヒトLY75に特異的に結合する。好ましくは、前記抗-LY75抗体は、ヒトLY75に高い親和性で結合する。
【0105】
好ましくは、前記抗-LY75抗体は、5×10-8 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、2×10-8 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、5×10-9 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、4×10-9 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、3×10-9 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、2×10-9 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、1×10-9 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、5×10-10 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する、又は1×10-10 M以下のKDでLY75タンパク質に結合する。
【0106】
本発明は、「抗体誘導体」又は「抗体類似体」と、時には呼ばれることもある、バリアント抗体も包含する。即ち、本出願に開示される抗体に対してなされ得る多くの改変が存在し、例えば、限定されるものではないが、CDRにおけるアミノ酸改変(親和性成熟)、フレームワーク領域におけるアミノ酸改変、Fc領域におけるアミノ酸改変、グリコシル化バリアント、他のタイプの共有結合的な改変(例えば、薬物コンジュゲートのアタッチメント(attachment)のため等)が挙げられる。
【0107】
本出願において「バリアント」とは、少なくとも1つのアミノ酸改変によって、親ポリペプチドのポリペプチド配列とは異なるポリペプチド配列、を意味する。この場合では、親ポリペプチドは、完全長可変重鎖若しくは完全長可変軽鎖(例えば、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO):1若しくは2にリストされる)、又は、重鎖及び軽鎖のCDR領域又はフレームワーク領域(LY75について、配列番号(SEQ ID NO):5から10及び16から21、にリストされる)、の何れかである。アミノ酸改変としては、置換、挿入及び欠失、が挙げられ、多くの場合に、前者が好ましい。アミノ酸の置換は、保存的な置換又は非-保存的な置換、であることがあり、保存的な置換が好ましい、ことが理解される。更に、前記置換は、天然に存在するアミノ酸、又は非-天然に存在するアミノ酸、の何れかによる置換であってもよい。
【0108】
一般的に、バリアントは、本出願に記載されるように、前記抗体の機能が依然として存在する限り、任意の数の改変を含むことがある。即ち、LY75_A1は、例えば、前記抗体が依然としてヒトLY75に特異的に結合するべきである。アミノ酸バリアントがFc領域を用いて生成される場合、例えば、そのバリアント抗体は、前記抗体の、特定用途又は特定指標のために必要とされるレセプター結合機能を維持すべきである。
【0109】
この場合における「バリアント」を、本抗体の、リスト化した、CDR配列、フレームワーク又はFc領域において、作製することがある。
【0110】
しかしながら、一般的に、多くの場合、最小数の改変で機能を変化させることが目的であるので、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸の置換が、一般的に利用される。いくつかの場合において、1から5個の改変(例えば、個々のアミノ酸の置換、挿入又は欠失)が存在し、1から2個、1から3個、及び1から4個もまた、多くの実施態様において、使用される。改変の数は、改変される領域のサイズに依存することがある;例えば、一般的に、より少ない改変がCDR領域において所望される。当業者は、CDR領域内であっても、改変の位置によって、その効果が著しく変化し得ることを理解するであろう。一つの実施形態では、前記改変を、前記重鎖の、及び/又は軽鎖の、CDR1、CDR2、又はCDR3、のうちの何れかの中に、行うことがある。更なる実施形態では、前記改変は、前記重鎖の、及び/又は軽鎖の、CDR1、又はCDR2のうちの何れかの中に、行う。又更なる実施形態では、前記改変は、前記重鎖の、及び/又は軽鎖の、CDR1の中に位置する。
【0111】
アミノ酸改変の個数は、機能的ドメイン内にあり得ることに留意すべきである:例えば、野生型又は操作したタンパク質のFc領域には1から5個の改変、並びに、例えば、Fv領域には1から5個の改変、を有することが望ましい場合がある。バリアント・ポリペプチド配列は、好ましくは。親配列(例えば、LY75_A1の、可変領域、定常領域、並びに/又は重鎖配列及び軽鎖配列、並びに/又はCDR)に対して、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する。前記配列のサイズに応じて、同一性パーセントは、アミノ酸の数に依存することに留意すべきである。
【0112】
「アミノ酸の置換」又は「置換」とは、本出願において、親ポリペプチド配列中の特定の位置のアミノ酸を、別のアミノ酸(これは、天然に存在するアミノ酸であることがある、又は非-天然に存在するアミノ酸であることがある)で置き換えることを意味する。例えば、置換S100Aは、位置100のセリンをアラニンで置換しているバリアント・ポリペプチドを指す。本出願で使用される「アミノ酸の挿入」又は「挿入」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置でのアミノ酸の付加を意味する。本出願で使用される「アミノ酸の欠失」又は「欠失」とは、親ポリペプチド配列中の特定の位置でのアミノ酸の除去を意味する。
【0113】
「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「前駆体ポリペプチド」、又は「前駆体タンパク質」は、本出願で使用される場合、未改変のポリペプチドを意味し、これは、その後に改変をしてバリアントを生成する。一般的に、本出願における親ポリペプチドは、LY75_A1である。従って、本出願で使用される「親抗体」は、バリアント抗体を生成するために改変される抗体を意味する。
【0114】
「野生型」又は「WT」又は「生来の(native)」とは、本出願において、対立遺伝子バリエーション(allelic variation)を含む、自然に見られる、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列、を意味する。WTの、タンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgG 等は、意図的に改変を受けていない、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列、を有する。
【0115】
「バリアントFc領域」とは、本出願において、少なくとも1つのアミノ酸改変によって、野生型Fc配列とは異なるFc配列、を意味する。Fcバリアントは、Fcポリペプチド自体、Fcバリアント・ポリペプチドを含む組成物、又はそのアミノ酸配列、を指すことがある。
【0116】
いくつかの実施形態では、LY75_A1の1つ以上のCDR中に、1個以上のアミノ酸改変がなされる。一般的に、任意の単一のCDR中に、1若しくは2又は3個のアミノ酸のみが置換される、及び一般的に、4、5、6、7、8、9、又は10個以下の変化が、6つのCDRのセット内に、なされる。しかしながら、任意のCDR中に、0個の置換、1、2、又は3個の置換、の任意の組合せを、独立して、及び任意選択的に、任意の他の置換と、組合せることができることを理解されたい。6つのCDRのうちの何れの中においても、置換を行うことができることは明らかであろう。一つの実施形態では、前記重鎖の、及び/又は軽鎖の、CDR1中に、置換がなされる。
【0117】
いくつかの場合では、前記CDR中のアミノ酸改変は、「親和性成熟」と称される。「親和性成熟した」抗体は、1つ以上のCDR中に、1個以上の変更を有する抗体であり、これは、それらの変更を有さない親抗体と比較して、抗原に対して、その抗体の親和性の改善がもたらされる。いくつかの場合では、稀ではあるが、その抗原に対する抗体の親和性を低下させることが望ましいことがあるが、これは、一般的には、好ましくない。
【0118】
或いは、アミノ酸改変を、「サイレント(silent)」(例えば、抗原に対する抗体の親和性を有意に変化させない)である本発明の抗体の1つ以上のCDR中に、行うことがある。これらを、多くの理由のために[例えば、発現を最適化するため等(本発明の抗体をコードする核酸に対して行うことがある)]、なすことがある。
【0119】
従って、本出願に開示されるCDR及び抗体の定義の中には、バリアントの、CDR及び抗体、が含まれる;即ち、前記抗体は、LY75_A1の1つ以上のCDR中に、アミノ酸改変を含むことがある。更に、アミノ酸改変をまた、独立して、及び任意選択的に、CDRの外部の任意の領域、例えば、本明細書に記載されるような、フレームワーク及び定常領域等、の中に、なすことがある。
【0120】
いくつかの実施形態では、本出願に開示される抗-LY75抗体は、バリアントFcドメインから構成される。当該技術分野で知られているように、抗体のFc領域は、多くのFcレセプター及びリガンドと相互作用し、エフェクター機能と呼ばれる一連の重要な機能的能力を付与する。これらのFcレセプターとしては、限定されるものではないが、(ヒトでは) 、FcγRI(CD64)、例えば、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、及びFcγRIc等;FcγRII (CD32)、例えば、アイソフォームFcγRIIa(例えば、アロタイプH131及びR131等)、FcγRIIb(例えば、FcγRIIb-1及びFcγRIIb-2等)、及びFcγRIIc;並びに、FcγRIII(CD16)、例えば、アイソフォームFcγRIIIa[例えば、アロタイプV158及びF158等、抗体-依存性細胞細胞毒性(antibody-dependent cell cytotoxicity (ADCC))に関連する]及びFcγRIIIb(例えば、アロタイプFcγRIIIb-NA1及びFcγRIIIb-NA2等)、FcRn(新生児レセプター)、C1q[補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity (CDC))に関与する補体タンパク質]及びFcRn(血清半減期に関与する新生児レセプター)、が挙げられる。適切な改変を、1つ以上の位置でなすことがある。
【0121】
上記で概説した改変に加えて、他の改変を行うことがある。例えば、前記分子は、VH及びVLドメインを連結するジスルフィド架橋を取り込むことによって、安定化することがある(Reiter et al., 1996, Nature Biotech. 14:1239-1245、全体が参照により取り込まれる)。
【0122】
更に、システインでの改変は、以下に更に記載する抗体-薬物コンジュゲート(antibody-drug conjugate (ADC))の用途において、特に有用である。いくつかの実施形態では、前記抗体の定常領域を操作して、特に「チオール反応性」である1個以上のシステインを含むようにすることがあり、それにより、薬物部分構造を、より特異的で且つ制御された配置にすることが可能になる。例えば、米国特許第7,521,541号を参照されたい(全体が本出願に参照により取り込まれる)。
【0123】
更に、以下に概説するように、作製することができる、抗体の様々な共有結合的な改変が存在する。
【0124】
抗体の共有結合的な改変は、本発明の範囲内に含まれ、一般的に、しかし必ずしもいつもというわけではないが、翻訳後に行われる。例えば、前記抗体の特定のアミノ酸残基を、選択した側鎖又はN-若しくはC-末端残基と反応することができる有機誘導体化薬剤と反応させることによって、前記抗体の共有結合的な数タイプの改変を前記分子の中に導入する。
【0125】
加えて、当業者によって理解されるように、標識(例えば、蛍光標識、酵素標識、磁気標識、放射性標識、等)を、全て、前記抗体(並びに、本発明の他の組成物)に加えることができる。
【0126】
別のタイプの共有結合的な改変は、グリコシル化における変更である。いくつかの実施形態では、本出願に開示される抗体を、完全に又は部分的に、アグリコシル化、例えばアフコシル化、することがある。
【0127】
前記抗体の別のタイプの共有結合的な改変は、前記抗体を、様々な非-タンパク質性ポリマー(例えば、限定されるものではないが、ポリエチレン・グリコール、ポリプロピレン・グリコール、又はポリオキシアルキレン等の様々なポリオール)に連結することを含む。更に、当該技術分野で知られているように、前記抗体内の様々な位置に、アミノ酸の置換を行って、PEG等のポリマーの付加を容易にすることがある。例えば、米国特許出願公開第2005/0114037A1号を参照されたい(全体が参照により取り込まれる)。
【0128】
更なる実施形態では、前記抗体は、標識を含むことがある。「標識された」とは、本出願において、化合物が、前記化合物の検出を可能にするために結合された、少なくとも1つの、要素、同位体又は化合物、を有することを意味する。一般的に、標識は以下の3つのクラスに分類される: a) 同位体標識、これは、放射性同位体又は重同位体であることがある; b)磁気標識、電気標識、熱標識;及びc)着色又は発光色素;ただし、標識は、酵素及び磁性粒子などの粒子も含む。好ましい標識としては、限定されるものではないが、蛍光性のランタニド錯体(例えば、ユウロピウム及びテルビウムの錯体等)、並びに、蛍光標識、例えば、限定されるものではないが、量子ドット、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、マラカイト・グリーン、スチルベン、ルシファー・イエロー、カスケード・ブルー、テキサス・レッド、Alexa色素類、Cy色素類、及びRichard P. HauglandのMolecular Probes Handbookの第6版(本出願に明確に参照により取り込まれる)に記載の他のもの、が挙げられる。
【0129】
抗体-薬物コンジュゲート
いくつかの実施形態では、本出願に開示される抗-LY75抗体は、薬物とコンジュゲートして、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を形成する。一般的に、ADCは、腫瘍学の用途において使用される、ここで、細胞傷害性の又は細胞増殖抑制性(cytostatic)の薬剤を局所デリバリーするために抗体-薬物コンジュゲートを使用すると、その薬物部分構造を腫瘍にターゲット化してデリバリーすることが可能になり、これにより、より高い有効性、より低い毒性等、が可能になることがある。このテクノロジーの概要は、Ducry et al., Bioconjugate Chem., 21:5-13 (2010), Carter et al., Cancer J. 14(3):154 (2008) 及び Senter, Current Opin. Chem. Biol. 13:235-244 (2009)、に記載されている(これらの全ては、その全体が本出願に参照により取り込まれる)。
【0130】
従って、本発明は、とりわけ、薬物にコンジュゲートした抗-LY75抗体、を含む組合せ医薬を提供する。一般的に、コンジュゲーションを、以下に更に記載するように、前記抗体への共有結合アタッチメント(attachment)によって行い、一般的に、リンカー、多くの場合、ペプチド結合(これは、以下に記載するように、ターゲット部位でのプロテアーゼによる切断に対して、感受性であるように設計することがある、又は感受性ではないように設計することがある)、に依る。更に、上記のように、リンカー-薬物ユニット(LU-D)の連結を、前記抗体内のシステインへのアタッチメント(attachment)によって行うことがある。当業者によって理解されるように、抗体あたりの薬物部分構造の数は、その反応の条件に応じて変化することがあり、1:1から10:1までの薬物:抗体で変化することがある。当業者によって理解されるように、実際の数は平均である。
【0131】
従って、前記抗-LY75抗体は、薬物にコンジュゲートすることがある。以下に記載されるように、前記ADCの薬物は、任意の数の薬剤であることがあり、例えば、限定されるものではないが、細胞傷害性薬剤、例えば、化学療法薬剤、増殖阻害性薬剤、毒素類(例えば、バクテリア、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素学的に活性な毒素、又はそれらのフラグメント)、又は放射性同位体(即ち、放射性コンジュゲート)、が提供される。他の実施形態では、本発明は、ADCを使用する方法を、更に提供する。
【0132】
本発明における使用のための薬物としては、細胞傷害性薬物、特にがん治療に使用する細胞傷害性薬物、が挙げられる。そのような薬物としては、一般的に、DNA損傷薬剤、抗-代謝産物、天然物、及びそれらの類似体、が挙げられる。細胞傷害性薬剤の例示的なクラスとしては、酵素阻害剤、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤、及びチミジル酸合成酵素阻害剤、DNAインターカレーター、DNA切断剤、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリン・ファミリーの薬物、ビンカ薬物(vinca drugs)、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞傷害性ヌクレオシド、プテリジン・ファミリーの薬物、ジインエン(diynenes)、ポドフィロトキシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、分化誘導剤、及びタキソール、が挙げられる。
【0133】
これらのクラスのメンバーとしては、例えば、タキソール、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、シトシン・アラビノシド、メルファラン、ロイロシン(leurosine)、ロイロシデイン(leurosideine)、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシン及びポドフィロトキシン誘導体、例えば、エトポシド又はリン酸エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキサン類、例えば、タキソール、タキソテール・レチノイン酸、酪酸、N8-アセチル・スペルミジン、カンプトテシン、カリケアマイシン、エスペラミシン、エン-ジイン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、カリケアマイシン、カンプトテシン、ヘミアステルリン類(hemiasterlins)、メイタンシノイド類(例えば、DM1又はDM4等)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、及びそれらの類似体、が挙げられる。
【0134】
毒素類を、抗体-毒素コンジュゲートとして使用することがあり、前記毒素類としては、例えば、ジフテリア毒素などのバクテリア毒素類、リシンなどの植物毒素類、ゲルダナマイシンなどの低分子毒素類(Mandler et al (2000) J. Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581; Mandler et al (2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028; Mandler et al (2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド類(EP 1391213;Liu et al., (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、及びカリケアマイシン(Lode et al (1998) Cancer Res. 58:2928; Hinman et al (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)、ヘミアステルリン類(hemiasterlins)(WO2004/026293; Zask et al., (2004) J. Med. Chem, 47: 4774-4786)、が挙げられる。毒素類は、チューブリン結合、DNA結合、又はトポイソメラーゼ阻害等のメカニズムによって、その細胞傷害性及び細胞増殖抑制性効果を発揮することがある。
【0135】
抗-LY75抗体と、メイタンシノイド類、ドラスタチン類、アウリスタチン類、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン類、ピロロベンザジアゼピン類(pyrrolobenzadiazepines)及びCC1065などの1種以上の低分子毒素類、並びに毒素活性を有するこれらの毒素類の誘導体との、コンジュゲートを使用することもある。
【0136】
好ましくは、前記抗-LY75抗体を、DM1又はDM4、最も好ましくはDM4、にコンジュゲートさせる。メイタンシノイド薬物部分構造としての使用に適したメイタンシン化合物は、当該技術分野において周知であり、公知の方法に従って天然源から単離することができ、遺伝子工学技術(Yu et al (2002) PNAS 99:7968-7973、を参照)又は公知の方法に従って合成的に調製されたメイタンシノール及びメイタンシノール類似体、を用いて産生することができる。以下に記載するように、薬物を、前記抗体へのコンジュゲーションのための、チオール又はアミン基などの機能的に活性な基、を取り込ませることによって、改変することがある。
【0137】
例示的なメイタンシノイド薬物部分構造としては、改変した芳香環を有するもの、例えば: C-19-デクロロ(米国特許第4,256,746号)(アンサミトシンP2の水素化アルミニウム・リチウム還元(lithium aluminum hydride reduction)により調製); C-20-ヒドロキシ(又はC-20-デメチル)+/-C-19-デクロロ(米国特許第4,361,650号及び第4,307,016号)(ストレプトマイセス若しくはアクチノマイセスを用いた脱メチル化、又はLAHを用いた脱塩素、により調製);及びC-20-デメトキシ、C-20-アシルオキシ(-OCOR)、+/-デクロロ(米国特許第4,294,757号)(塩化アシルを用いたアシル化により調製)、並びに他の位置に修飾を有するもの、が挙げられる。
【0138】
例示的なメイタンシノイド薬物部分構造としてはまた、以下のような改変を有するものが挙げられる: C-9-SH(米国特許第4,424,219号)(メイタンシノールをH2S又はP2S5と反応させることにより調製); C-14-アルコキシメチル(デメトキシ/CH2 OR)(米国特許第4,331,598号); C-14-ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CH2OH又はCH2OAc)(米国特許第4,450,254号)(ノカルディア(Nocardia)から調製); C-15-ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの転換によって調製); C-15-メトキシ(米国特許第4,313,946号及び第4,315,929号)(トレウィア・ヌドロフローラ(Trewia nudlflora)から単離); C-18-N-デメチル(米国特許第4,362,663号及び第4,322,348号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの脱メチル化によって調製);及び4,5-デオキシ(米国特許第4,371,533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元により調製)。
【0139】
特に使用されるのは、DM1(米国特許第5,208,020号に開示され、参照により取り込まれる)及びDM4(米国特許第7,276,497号に開示され、参照により取り込まれる)である。5,416,064, WO/01/24763, 7,303,749, 7,601,354, USSN 12/631,508, WO02/098883, 6,441,163, 7,368,565, WO02/16368 及び WO04/1033272、に記載された、多くの更なるメイタンシノイド誘導体及び方法もまた参照のこと(これらは全て、その全体が明確に参照により取り込まれる)。
【0140】
メイタンシノイド類を含むADC、その製造方法、及びそれらの治療的な使用は、例えば、米国特許5,208,020;5,416,064; 6,441,163及び欧州特許EP 0 425 235 B1(これらの開示は、本出願に明確的に参照により取り込まれる) 、に開示されている。Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623 (1996)は、ヒト結腸直腸がんに対するモノクローナル抗体C242に連結したDM1と称されるメイタンシノイドを含むADCを記載する。前記コンジュゲートは、培養結腸がん細胞に対して、極めて細胞傷害性であることが見出され、in vivo 腫瘍増殖アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。
【0141】
Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992)は、メイタンシノイドが、ジスルフィド・リンカーを介して、ヒト結腸がん細胞株上の抗原に結合するマウス抗体A7、又はHER-2/neuがん遺伝子に結合する別のマウス・モノクローナル抗体TA.1、にコンジュゲートしたADCを記載している。TA.1-メイタンソノイド(maytansonoid)・コンジュゲートの細胞毒性を、ヒト乳がん細胞株SK-BR-3(これは、1細胞当たり3×105個のHER-2表面抗原を発現する)で、in vitroで、試験した。前記薬物コンジュゲートは、遊離メイタンシノイド薬物と同様の程度の細胞傷害性を達成し、これは、抗体分子当たりのメイタンシノイド分子の数を増加させることによって、増加させることができた。A7-メイタンシノイド・コンジュゲートは、マウスにおいて、低い全身性細胞傷害を示した。
【0142】
複数の抗体を含む組成物の場合、薬物搭載(drug loading)は、1抗体あたりの薬物分子の平均個数であるpで表される。薬物搭載(drug loading)は、1抗体あたり1から20個までの範囲の薬物(D)であることがある。コンジュゲーション反応での調製における、抗体あたりの薬物の平均個数を、マス・スペクトロスコピー、ELISAアッセイ、及びHPLC等の従来の方法によって、同定することがある。また、pに関する抗体-薬物コンジュゲートの定量的分布を決定することもある。
【0143】
いくつかの例では、均一な抗体-薬物-コンジュゲート(pはある特定の値である)を、他の薬物搭載(drug loading)である抗体-薬物-コンジュゲートから、分離すること、精製すること、及び特性評価することを、逆相HPLC又は電気泳動などの方法によって、行うことがある。例示的な実施形態では、pは、2、3、4、5、6、7、若しくは8、又はそれらの端数(fraction)である。
【0144】
抗体-薬物コンジュゲート化合物の生成を、当業者に公知の任意の技術によって行うことができる。簡潔に述べると、前記抗体-薬物コンジュゲート化合物は、抗体ユニットとしての抗-LY75抗体、薬物、及び、任意選択的に、薬物と結合薬剤とを連結するリンカー、を含むことがある。
【0145】
薬物を、及び/又はリンカーを、結合薬剤に、共有結合アタッチメント(attachment)するために、いくつかの種々の反応を、利用することができる。これを、結合薬剤、例えば、抗体分子、のアミノ酸残基、例えば、リジンのアミン基、グルタミン酸及びアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、並びに芳香族アミノ酸の様々な部分構造等、を反応させることによって、達成することがある。一般的に使用される共有結合アタッチメント(attachment)の非-特異的な方法は、化合物のカルボキシ(又はアミノ)基を抗体のアミノ(又はカルボキシ)基に連結するカルボジイミド反応である。更に、ジアルデヒド又はイミドエステルなどの二官能性薬剤が、化合物のアミノ基を抗体分子のアミノ基に連結するために使用されている。
【0146】
また、薬物を結合薬剤にアタッチメント(attachment)させるために、シッフ塩基反応を利用することもできる。この方法は、グリコール又はヒドロキシ基を含む薬物の過よう素酸塩酸化(periodate oxidation)を含み、その結果、アルデヒドが形成され、次いで、アルデヒドが前記結合薬剤と反応する。アタッチメント(Attachment)は、結合薬剤のアミノ基とのシッフ塩基の形成を介して起こる。イソチオシアネートを、薬物を結合薬剤に共有結合させるためのカップリング剤(coupling agents)として使用することもある。他の技術は当業者に知られており、本発明の範囲内である。
【0147】
いくつかの実施形態では、中間体(これは、リンカーの前駆物質である)を、適切な条件下で、前記薬物と反応させる。他の実施形態では、反応基を、薬物及び/又は中間体上で、使用する。薬物と中間体との間の反応の産物、又は誘導体化した薬物を、続いて、適切な条件下で、本発明の抗-LY75抗体と反応させる。
【0148】
本発明のコンジュゲートを調製する目的のために、所望の化合物に対して、その化合物の反応をより都合良くするために、化学的な改変を行うこともあること、が理解されよう。例えば、官能基、例えば、アミン、水酸基、又はスルフヒドリル、を、薬物の活性又は他の特性に対する効果が最小限である又は許容可能である位置で、前記薬物に付加することがある。
【0149】
典型的には、抗体-薬物コンジュゲート化合物は、薬物ユニットと抗体ユニットとの間に、リンカー・ユニットを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、細胞内の又は細胞外の条件下で、切断可能であり、その結果、リンカーの切断によって、適切な環境下で、前記抗体から、前記薬物ユニットが放出される。例えば、ある特定のプロテアーゼを分泌する固形腫瘍は、切断可能なリンカーのターゲットとして働くことがあり、他の実施形態では、利用されるのは細胞内プロテアーゼである。更に他の実施形態では、前記リンカー・ユニットは切断可能ではなく、前記薬物は、例えば、リソソームにおける抗体の分解によって、放出される。
【0150】
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、細胞内環境(例えば、リソソーム又はエンドソーム又はカベオラ(caveolea))内)に存在する切断剤によって、切断可能である。前記リンカーは、例えば、細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素、例えば、限定されるものではないが、リソソーム・プロテアーゼ又はエンドソーム・プロテアーゼ、によって切断されるペプチジル・リンカー、であることがある。いくつかの実施形態では、前記ペプチジル・リンカーは、少なくとも2アミノ酸長、若しくは少なくとも3アミノ酸長、又はそれ以上、である。
【0151】
切断剤としては、限定されるものではないが、カテプシンB及びD並びにプラスミン、が挙げられ、これらの全ては、ジペプチド薬物誘導体を加水分解して、ターゲット細胞内部で、活性薬物の放出をもたらすことが知られている(例えば、Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123を参照されたい)。ペプチジル・リンカーは、LY75発現細胞中に存在する酵素によって、切断可能であることがある。例えば、がん性組織において高度に発現しているチオール-依存性プロテアーゼ・カテプシン-Bによって切断可能なペプチジル・リンカーを使用することがある(例えば、Phe-Leu又はGly-Phe-Leu-Glyリンカー(配列番号(SEQ ID NO):46))。そのようなリンカーの他の例は、例えば、米国特許第6,214,345号(その全体が、あらゆる目的のために、本出願に参照により取り込まれる)に記載されている。
【0152】
いくつかの実施形態では、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチジル・リンカーは、Val-Citリンカー又はPhe-Lysリンカー、である(例えば、米国特許第6,214,345号を参照されたい、これは、val-citリンカーが付いたドキソルビシンの合成を記載する)。
【0153】
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、pH感受性であり、即ち、ある特定のpH値での加水分解に感受性である。典型的には、pH-感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソーム中で加水分解可能な酸-不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス-アコニット・アミド、オルトエステル、アセタール、ケタール等)を用いることがある。(例えば、米国特許第5,122,368号;第5,824,805号;第5,622,929号; Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123; Neville et al., 1989, Biol. Chem. 264:14653-14661、を参照されたい)。そのようなリンカーは、中性pH条件下、例えば、血中の条件下、では、比較的安定であるが、pH 5.5又は5.0未満、リソソームの凡そのpH、では不安定である。ある特定の実施形態では、加水分解可能なリンカーは、チオエーテル・リンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療薬剤に結合したチオエーテル等)である(例えば、米国特許第5,622,929号を参照されたい)。
【0154】
更に他の実施形態では、前記リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィド・リンカー)。様々なジスルフィド・リンカーが当該技術分野で知られていて、例えば、SATA(N-スクシンイミジル-5-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)酪酸塩)及びSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)-、SPDB及びSMPT、を用いて形成することができるジスルフィド・リンカー、が挙げられる(例えば、Thorpe et al., 1987, Cancer Res. 47:5924-5931; Wawrzynczak et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987、を参照のこと、 米国特許第 4,880,935号も参照のこと)。
【0155】
他の実施形態では、前記リンカーは、マロン酸リンカー(Johnson et al., 1995, Anticancer Res. 15:1387-93)、マレイミドベンゾイル・リンカー(Lau et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1299-1304)、又は3'-N-アミド類似体(Lau et al., 1995, Bioorg-Med-Chem. 3(10):1305-12)、である。
【0156】
更に他の実施形態では、前記リンカー・ユニットは、切断可能ではなく、前記薬物は、抗体の分解によって放出される。(米国公開第2005/0238649号を参照のこと、これは、その全体が、あらゆる目的のために、本出願に参照により取り込まれる)。
【0157】
多くの実施態様では、前記リンカーは、自壊性である。本出願で使用される場合、用語「自壊性スペーサ」は、2つの離間した化学的な部分構造を共有結合させてまとめ、安定な3つの部分の分子にすることができる、2官能性の化学的な部分構造、を意味する。それは、第1の部分へのその結合が切断されると、第2の化学的な部分構造から自発的に分離する。例えば、WO 2007/059404A2, WO06/110476A2, WO05/112919A2, WO2010/062171, WO09/017394, WO07/089149, WO 07/018431, WO04/043493 及び WO02/083180、を参照のこと、これらは、薬物及び切断可能な基質が、任意選択的に、自壊リンカーを介して連結している、薬物-切断可能な基質コンジュゲート、に関するもので、これらの全ては、明確に参照により取り込まれる。
【0158】
しばしば、前記リンカーは、細胞外環境に対して実質的に感受性ではない。本出願で使用される場合、リンカーの文脈において、「細胞外環境に対して実質的に感受性でない」とは、抗体-薬物コンジュゲート化合物が細胞外環境(例えば、血漿中)に存在する場合に、前記抗体-薬物コンジュゲート化合物のサンプル中のリンカーの、約20%、15%、10%、5%、3%以下が、又は約1%以下が、切断されることを意味する。
【0159】
リンカーが細胞外環境に実質的に感受性でないかどうかは、例えば、前記抗体-薬物コンジュゲート化合物を血漿と共に所定の時間期間(例えば、2、4、8、16、又は24時間)インキュベートし、次いでその血漿中に存在する遊離薬物の量を定量することによって、決定することができる。
【0160】
他の非-相互排他的な実施形態では、前記リンカーは、細胞内在化を促進する。ある特定の実施形態では、前記リンカーは、治療薬剤にコンジュゲートした場合(即ち、本出願に記載される抗体-薬物コンジュゲート化合物の、リンカー-治療薬剤部分構造の状態下では)、細胞での内部への取り込みを促進する。更に他の実施形態では、前記リンカーは、アウリスタチン化合物及び本発明の抗-LY75抗体の両方にコンジュゲートした場合、細胞での内部への取り込みを促進する。
【0161】
本発明の組成物及び方法と共に使用することができる様々な例示的なリンカーは、WO 2004/010957、米国特許出願公開第2006/0074008号、米国特許出願公開第20050238649号、及び米国特許出願公開第2006/0024317号(これらの各々は、その全体が、あらゆる目的のために、本出願に参照により取り込まれる)に記載されている。好ましくは、前記リンカーは、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)酪酸塩)である。
【0162】
薬物搭載(drug loading)は、pで表され、1分子中の1抗体あたりの薬物部分構造の平均個数である。薬物搭載(drug loading)(「p」)は、1抗体当たり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、又はそれ以上の部分構造(D)であることがあるが、多くの場合、前記平均個数は、端数(fraction)又は小数である。一般的に、1から4の薬物搭載(drug loading)がしばしば有用であり、1から2も有用である。本発明のADCは、1から20個、例えば1から15個、1から10個、2から9個、3から8個、4から7個、5から6個、の範囲の薬物部分構造とコンジュゲートした抗体の集まり(collections)を含む。コンジュゲーション反応によってADCを調製した際における、1抗体あたりの薬物部分構造の平均個数を、従来の方法、例えば、マス・スペクトロスコピー及びELISAアッセイ等、によって、同定することができる。
【0163】
pに関するADCの定量的分布を決定することもある。いくつかの例では、均一なADC(pはある特定の値である)を、他の薬物搭載(drug loading)であるADCから、分離すること、精製すること、及び特性評価することを、電気泳動などの方法によって、行うことがある。
【0164】
いくつかの抗体-薬物コンジュゲートについて、pは、前記抗体上のアタッチメント(attachment)部位の個数によって制限され得る。例えば、アタッチメント(attachment)がシステイン・チオールである場合、上記の例示的な実施形態のように、抗体は、1個だけの又は数個のシステイン・チオール基を有することがある、又はリンカーがアタッチメントし得る、1個だけの又は数個の十分に反応性のチオール基を有することがある。ある特定の実施形態では、より高い薬物搭載(drug loading)、例えば、p>5は、ある特定の抗体-薬物コンジュゲートの、凝集、不溶性、毒性、又は細胞透過性の喪失、を引き起こすことがある。ある特定の実施形態では、本発明のADCの薬物搭載(drug loading)は、1から約8まで;約2から約6まで;約3から約5まで;約3から約4まで;約3.1から約3.9まで;約3.2から約3.8まで;約3.2から約3.7まで;約3.2から約3.6まで;約3.3から約3.8まで;又は約3.3から約3.7まで、の範囲である。実際、ある特定のADCについて、抗体あたりの薬物部分構造の最適比率は、8未満であることがある、約2から約5までであることがある、ということが示されている。US 2005/0238649 A1を参照のこと(その全体が、本出願に参照により取り込まれる)。
【0165】
ある特定の実施形態では、薬物部分構造の理論上の最大個数未満が、コンジュゲーション反応中に抗体にコンジュゲートする。抗体は、例えば、後述するように、薬物-リンカー中間体又はリンカー剤と反応しない、リジン残基を含むことがある。一般的に、抗体は、薬物部分構造に連結することができる、多くの遊離及び反応性システイン基、を含有しない;実際、抗体中のほとんどのシステイン残基は、ジスルフィド架橋として存在する。ある特定の実施形態では、抗体は、部分的な又は完全な還元条件下で、ジチオトレイトール(DTT)又はトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)などの還元剤で還元されて、反応性システイン・チオール基を生成することがある。ある特定の実施形態では、抗体を、変性条件下に置いて、リジン又はシステイン等の反応性求核基を表面に出させる。
【0166】
ADCの搭載(薬物/抗体の比率)を、種々の方法、例えば、(i)抗体に対して、薬物-リンカー中間体又はリンカー剤のモル過剰を制限すること、(ii)コンジュゲーション反応の時間又は温度を制限すること、(iii)システイン・チオール改変のための、部分的な又は制限的な還元条件、(iv)リンカー-薬物アタッチメント(attachment)の数及び/又は位置をコントロールするために、システイン残基の数及び位置を改変するように、組換え技術により、前記抗体のアミノ酸配列を操作すること(例えば、本出願及びWO 2006/034488 (その全体が、本出願に参照により取り込まれる)に開示されるように調製されるthioMab又はthioFab等)、によってコントロールすることがある。
【0167】
2つ以上の求核基が、薬物-リンカー中間体と反応する場合、又はリンカー剤と反応し、続いて薬物部分構造の試薬と反応する場合、得られる生成物は、抗体に結合した薬物部分構造が1個以上の分布であるADC化合物の混合物であることが理解されるべきである。デュアルELISA抗体法(これは、抗体に特異的であり、薬物に特異的である)により、1抗体あたりの薬物の平均個数を算出することがある。個々のADC分子を、マス・スペクトロスコピーによって混合物中で同定することがあり、HPLC、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィ、によって、分離することがある。
【0168】
いくつかの実施形態では、単一の搭載値を有する均一なADCを、電気泳動又はクロマトグラフィによって、コンジュゲーション混合物から単離することがある。
【0169】
ADCの細胞傷害性効果を決定する方法
薬物又は抗体-薬物コンジュゲートが、細胞に対して、細胞増殖抑制性の及び/又は細胞傷害性の効果を及ぼすかどうかを決定する方法は公知である。一般的に、抗体薬物コンジュゲートの、細胞傷害性の又は細胞増殖抑制性の活性を、細胞培養培地中で、前記抗体薬物コンジュゲートのターゲット・タンパク質を発現する哺乳類動物細胞を曝露するステップ;約6時間から約5日間、前記細胞を培養するステップ;及び細胞生存性を測定するステップ、によって、測定することがある。細胞-ベースのin vitroアッセイを用いて、抗体薬物コンジュゲートの、生存性(増殖性)、細胞傷害性、及びアポトーシスの誘導(カスパーゼ活性化)、を測定することがある。
【0170】
抗体薬物コンジュゲートが、細胞増殖抑制性効果を発揮するかどうかを決定するために、チミジン取り込みアッセイを使用することがある。例えば、96-ウェルのプレートに5,000細胞/ウェルの密度で、ターゲット抗原を発現するがん細胞を、72時間培養し、72時間のうちの最後の8時間、0.5 μCiの3H-チミジンに曝露することがある。前記培養の細胞の中に3H-チミジンが取り込まれることを、抗体薬物コンジュゲートの、存在下及び非存在下で、測定する。
【0171】
細胞傷害性を決定するために、ネクローシス又はアポトーシス(プログラムされた細胞死)を測定することがある。ネクローシスは、典型的には、細胞膜の透過性の増加;細胞の膨張、及び細胞膜の破裂、を伴う。アポトーシスは、典型的には、膜ブレビング、細胞質の凝縮、及び内因性エンドヌクレアーゼの活性化、を特徴とする。がん細胞に対するこれらの効果の何れかを決定することは、抗体薬物コンジュゲートががんの治療に役立つことを示す。
【0172】
細胞の生存性を、ニュートラル・レッド、トリパン・ブルー、又はALAMARTMブルー等の色素の取り込みを、細胞で決定することによって、測定することがある(例えば、Page et al., 1993, Intl. J. Oncology 3:473-476を参照されたい)。そのようなアッセイでは、前記細胞を、前記色素を含む培地中で、インキュベートし、前記細胞を洗浄し、そして、残っている色素(前記色素の細胞取り込みを反映する)を分光光度法で測定する。タンパク質-結合色素であるスルホローダミンB(SRB)を使用して、細胞傷害性を測定することもある(Skehan et al., 1990, J. Natl. Cancer Inst. 82:1107-12)。
【0173】
或いは、生きていて、死んでいない、細胞を検出することによる、哺乳類動物細胞の、生存及び増殖の、定量的比色分析において、テトラゾリウム塩(例えば、MTT)を使用する(例えば、Mosmann, 1983, J. Immunol. Methods 65:55-63を参照のこと)。
【0174】
アポトーシスを、例えば、DNAフラグメント化を測定することによって、定量することがある。DNAフラグメント化を定量的にin vitro測定するための、市販の測光方法を利用することがある。そのようなアッセイの例[例えば、TUNEL (これは、フラグメント化したDNA中の、標識化されたヌクレオチドの取り込みを検出する)及びELISA-ベースのアッセイ等]は、Biochemica, 1999, no. 2, pp. 34-37 (Roche Molecular Biochemicals)、に記載されている。
【0175】
アポトーシスを、細胞の形態学的変化を測定することによって、決定することもある。例えば、ネクローシスと同様に、細胞膜の健全性が喪失することを、ある特定の色素(例えば、アクリジン・オレンジ又はエチジウム・ブロマイド等の蛍光色素)の取り込みを測定することによって、決定することがある。アポトーシス細胞の数を測定するための方法は、Duke 及び Cohen, Current Protocols in Immunology (Coligan et al. eds., 1992, pp. 3.17.1-3.17.16)に記載されている。細胞を、DNA色素(例えば、アクリジン・オレンジ、エチジウム・ブロマイド、又はヨウ化プロピジウム)で標識化することもあり、前記細胞を、クロマチン凝縮及び核内膜に沿った縁取り(margination)について、観察する。アポトーシスを決定するために測定することができる他の形態学的変化としては、例えば、細胞質凝縮、膜ブレビングの増加、及び細胞収縮、が挙げられる。
【0176】
アポトーシス細胞の存在を、その培養物の、付着区画及び「浮遊」区画の両方において、測定することがある。例えば、両方の区画を、上清を除去するステップ、付着した細胞をトリプシン処理するステップ、その調製物を、遠心分離洗浄(例えば、2000rpmで10分間)後に合わせるステップ、によって回収し、アポトーシスを決定する(例えば、DNAフラグメント化を測定することによる)。(Piazza et al., 1995, Cancer Research 55:3110-16、を参照のこと)。
【0177】
In vivoでは、本発明の抗-LY75抗体の治療用組成物の効果を、適当な動物モデルにおいて評価することがある。例えば、異種がんモデル(このモデルでは、がんの外植片又は継代を受けた異種移植組織を、免疫不全動物[例えば、ヌード・マウス又はSCIDマウス等]に導入する)を使用することがある(Klein et al., 1997, Nature Medicine 3: 402-408)。有効性を、腫瘍形成の阻害、腫瘍の退縮又は転移等を測定するアッセイを用いて、測定することがある。
【0178】
前記の方法を実施する際において使用される治療用組成物を、所望のデリバリー方法に適した担体を含む医薬組成物に製剤化することがある。好適な担体としては、前記治療用組成物と組合せた場合に、前記治療用組成物の抗-腫瘍機能を保持し、一般的に、患者の免疫システムと非-反応性である、任意の物質が挙げられる。例としては、限定されるものではないが、多くの標準的な医薬担体のうちの何れか、例えば、無菌リン酸緩衝生理食塩水溶液、静菌水、等、が挙げられる(一般的なことは、Remington's Pharmaceutical Sciences 第16版, A. Osal., 編 1980を参照のこと)。
【0179】
抗体の製造方法
本出願に開示される抗体を、任意の好適な方法によって、作製することがある。これらの方法は、抗体をコードする単離された核酸を含む宿主細胞を培養するステップを含む。当業者によって理解されるように、これを、前記抗体の性質に応じて、様々な方法で行うことがある。前記抗体が全長の従来の抗体である場合、例えば、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、抗体が産生され、単離され得る条件下にある。
【0180】
LY75_A1の可変重鎖及び可変軽鎖が、本出願において開示される(タンパク質及び核酸配列の両方);当業者に理解されるように、これらを、全長の重鎖及び軽鎖を産生するように、容易に増加させることができる。即ち、本出願に概説されるVH及びVKセグメントをコードするDNAフラグメントが提供されれば、これらのDNAフラグメントを、標準的な組換えDNA技術によって更に操作し、例えば、可変領域遺伝子を、全長抗体連鎖遺伝子に、Fabフラグメント遺伝子に、又はscFv遺伝子に、変換することができる。これらの操作において、VK-又はVH-エンコーディング(encoding)DNAフラグメントを、別のタンパク質(例えば、抗体定常領域又は可撓性リンカー等)をコードする別のDNAフラグメントに、機能可能に(operatively)連結する。用語「機能可能に連結(operatively linked)」は、この文脈で使用され場合、2つのDNAフラグメントによってコードされるアミノ酸配列がイン-フレーム(in-frame)のままであるように、2つのDNAフラグメントを連結すること、を意味することが意図される。
【0181】
VH-エンコーディングDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2及びCH3)をコードする別のDNA分子に、機能可能に連結することによって、VH領域をコードする単離されたDNAを、全長重鎖遺伝子に変換することがある。マウス重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で公知であり[例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, US Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照のこと]、これらの領域を包含するDNAフラグメントを、標準的なPCR増幅によって取得することがある。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD、の定常領域であることがあるが、最も好ましくは、IgG1又はIgG4、の定常領域である。Fabフラグメント重鎖遺伝子については、VH-エンコーディングDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に、機能可能に連結することがある。
【0182】
VL / VK領域をコードする単離されたDNAは、VL-エンコーディングDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に、機能可能に連結することによって、VL / VK領域をコードする単離されたDNAを、完全長軽鎖遺伝子(並びにFab軽鎖遺伝子)に変換することがある。マウス軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で公知であり[例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, US Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照のこと]、これらの領域を包含するDNAフラグメントを、標準的なPCR増幅によって取得することがある。好ましい実施形態では、前記軽鎖定常領域は、カッパ又はラムダ定常領域であることがある。
【0183】
scFv遺伝子を作製するために、VH-及びVL/ VK-をエンコーディングDNAフラグメントを、可撓性リンカーをコードする(例えば、アミノ酸配列(Gly4 - Ser)3をコードする)別のフラグメントに、機能可能に連結させ、その結果、前記VL/ VK領域と前記VH領域とが前記可撓性リンカーによって連結した、連続する単鎖タンパク質として、VH及びVL / VK配列を発現させることができる[例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., (1990) Nature 348:552-554、を参照のこと]。
【0184】
本出願に開示される抗体をコードする核酸が提供される。そのようなポリヌクレオチドは、重鎖及び軽鎖の各々の可変及び定常領域の両方をコードするが、他の組合せも、本出願に記載される化合物によって、企図される。
【0185】
前記ポリヌクレオチドは、RNA又はDNAの形体であることがある。DNA、cDNA、ゲノムDNA、核酸類似体、及び合成DNA、の形体のポリヌクレオチドを、使用することもできる。前記DNAは、二本鎖又は一本鎖であってもよく、一本鎖の場合、コーディング(coding)(センス(sense))鎖又はノン-コーディング(non-coding)(アンチセンス(anti-sense)鎖、であることがある。前記ポリペプチドをコードするコーディング配列は、本出願で提供されるコーディング配列と同一であることがある、又は別のコーディング配列(これは、遺伝コードの冗長性又は縮退のために、本出願で提供されるDNAと同じポリペプチドをコードする)であることがある。
【0186】
いくつかの実施形態では、本出願に開示される抗体をコードする核酸を、発現ベクター(これは、染色体外であることがある、又はそれが導入される宿主細胞のゲノムの中に組み込まれるように設計されることがある)の中に組み込む。発現ベクターは、任意の数の適切な調節配列(例えば、限定されるものではないが、転写及び翻訳制御配列、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、複製起点、等)、又は他の構成要素(選択遺伝子等)、を含むことがあり、これら全ては、当該技術分野で周知のように、機能可能に連結される。いくつかの場合において、2つの核酸を使用し、各々は、異なる発現ベクターの中に入れられる(例えば、重鎖は第1の発現ベクターの中、軽鎖は第2の発現ベクターの中)、或いは、それらは、同じ発現ベクターの中に入れられることがある。発現ベクターの設計(例えば、調節配列の選択等)は、宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の要因に依存し得ることを、当業者は理解するであろう。
【0187】
一般的に、核酸及び/又は発現を、選択した宿主細胞に相応しい任意の方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)を用いて、適した宿主細胞の中に導入して組換え宿主細胞を作製することがある。そのようなものとして、核酸分子(複数可)は、(例えば、ベクター中の、細胞中のプロセスによって作製された構築物中の、宿主細胞ゲノム中に組み込まれた)1種以上の発現制御エレメントに機能可能に連結される。得られる組換え宿主細胞を、発現に適した条件下(例えば、インデューサーの存在下、適した非-ヒト動物中、適当な塩類、増殖因子類、抗生物質類、栄養補助剤等を補充した適した培養培地中)で維持することがあり、それによって、コードされたポリペプチドが産生される。いくつかの場合では、重鎖はある細胞で産生され、軽鎖は別の細胞で産生される。
【0188】
発現のための宿主として利用可能な哺乳類動物細胞株は当該技術分野で公知であり、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection (ATCC))、Manassas, VA、から入手可能な多くの不死化細胞株が挙げられ、例えば、限定されるものではないが、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK 293細胞、NSO細胞、HeLa細胞、ベビー・ハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞がん腫(carcinoma)細胞(例えばHep G2)、及び多数の他の細胞株、が挙げられる。非-哺乳類動物細胞、例えば、限定されるものではないが、バクテリア、酵母、昆虫、及び植物、を使用して組換え抗体を発現させることもある。いくつかの実施形態では、前記抗体を、ウシ又はニワトリ等のトランスジェニック動物において産生することがある。
【0189】
抗体の、分子生物学、発現、精製、及びスクリーニング、のための全般的な方法は周知であり、例えば、米国特許第4,816,567, 4,816,397, 6,331,415 及び7,923,221, 並びに Antibody Engineering, Kontermann & Dubel編集, Springer, Heidelberg, 2001 及び 2010 Hayhurst & Georgiou, 2001, Curr Opin Chem Biol 5:683-689; Maynard & Georgiou, 2000, Annu Rev Biomed Eng 2:339-76; 並びに Morrison, S. (1985) Science 229:1202、を参照のこと。
【0190】
本組合せ医薬は、プラチン又はその薬学的に許容可能な塩、を含む。プラチンは、長年にわたって、がんを治療する際に使用されてきており、当業者にとって周知である。本発明で使用することができるプラチンとしては、限定されるものではないが、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン及びヘプタプラチン、が挙げられる。
【0191】
医薬組成物
本発明の組合せ医薬は、好ましくは、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするための、組合せた調製物の形体である。同様に、本発明の方法において、前記組合せ医薬を、同時に、別々に、又は連続的に、患者に投与することがある。
【0192】
用語「組合せた調製物」又は「組合せ」は、固定された組合せ、及び固定されていない組合せ、の両方を含む。
【0193】
用語「固定された組合せ」は、活性成分が単一の実体又は投与量の形体であることを意味する。言い換えれば、前記活性成分は、単一の組成物又は製剤中に存在する。
【0194】
用語「固定されていない組合せ」は、例えば、複数部品のキットとして、活性成分が異なる実体又は投与量(例えば、別々の組成物又は製剤として)で存在することを意味する。次いで、その独立した構成要素(それらの所望の組成物又は製剤中にある)を、別々に、又は連続的に、同じ時間時点で、又は異なる時間時点で、投与することがある。
【0195】
投与が連続的である場合、第2の構成要素を投与する際の遅延は、前記組合せを使用することから生じる効果の利益を喪失するようなものであってはならない。従って、一つの実施形態では、連続的な治療としては、前記組合せの各々の構成要素を、11日間の期間内に投与すること、が挙げられる。別の実施形態では、この期間は、10日間である。別の実施形態では、この期間は、9日間である。別の実施形態では、この期間は、8日間である。別の実施形態では、この期間は、7日間である。別の実施形態では、この期間は、6日以内である。別の実施形態では、この期間は、5日以内である。別の実施形態では、この期間は、4日以内である。別の実施形態では、この期間は、3日以内である。別の実施形態では、この期間は、2日以内である。別の実施形態では、この期間は、24時間以内である。別の実施形態では、この期間は、12時間以内である。
【0196】
本発明の組合せ医薬の構成要素を、任意の順序で、例えば、最初に抗体又はその抗原結合部分を、次にプラチン薬物を;又はその逆で、投与することがある。
【0197】
前記組合せた調製物として投与される構成要素の総量の比率は、例えば、治療を受ける患者サブ集団のニーズに、又は単一の患者のニーズに、対処するために(様々なニーズが、患者の年齢、性別、体重などに起因し得る)、変動することがある。
【0198】
本発明の構成要素を、単一の組成物中に存在するか、又は別々の組成物中に存在するかにかかわらず、独立して、1種以上の薬学的に許容可能な担体を用いて、製剤化することがある。本発明の組合せ医薬はまた、少なくとも1つの他の抗-腫瘍剤、又は抗-炎症性の若しくは免疫抑制性の薬剤、を含むことがある。併用療法て使用することがある治療剤の例を、本出願に開示される抗体の使用に関するセクションにおいて、以下により詳しく記載する。
【0199】
本出願で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」としては、生理学的に相容れることが可能な、任意の及び全ての、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤(antibacterial)及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤、等が挙げられる。好ましくは、前記担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮投与(例えば、注射又は点滴による)に適している。投与経路に応じて、活性化合物(即ち、抗体、免疫コンジュゲート、又はバイスペシフィック分子(bispecific molecule))は、前記化合物を不活性化し得る酸及び他の自然条件の作用から、前記化合物を保護するための物質でコーティングされることがある。
【0200】
本発明の構成要素は、1種以上の薬学的に許容可能な塩の形体であることがある。「薬学的に許容可能な塩」とは、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、且ついかなる望ましくない毒物学的効果も与えない、塩を指す[例えば、Berge, S.M., et al. (1977) J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと]。そのような塩の例としては、酸付加塩及び塩基付加塩、が挙げられる。酸付加塩としては、非毒性無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等、並びに非毒性有機酸、例えば、脂肪族モノ-カルボン酸及びジカルボン酸、フェニル-置換アルカン酸、ヒドロキシ・アルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等、から誘導される酸付加塩、が挙げられる。塩基付加塩としては、アルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等、並びに、非毒性の有機アミン、例えば、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等、から誘導される塩基付加塩、が挙げられる。
【0201】
本発明の組合せ医薬又はその一部はまた、薬学的に許容可能な抗-酸化剤を含むこともある。薬学的に許容可能な抗酸化剤の例としては: (1) 水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2) 油-溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル(ascorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等;及び(3) 金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等、が挙げられる。
【0202】
本発明の組合せ医薬において使用することがある、好適な、水性担体及び非-水性担体としては、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール等)、及びそれらの好適な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、並びに注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、が挙げられる。適切な流動性を、コーティング物質、例えば、レシチン等、の使用をすることによって、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持することによって、及び界面活性剤の使用をすることによって、維持することがある。
【0203】
これらの組合せ又はその一部は、アジュバント、例えば、防腐剤, 湿潤剤、乳化剤及び分散剤等、を含むこともある。上記の滅菌法によって、及び様々な抗菌剤(antibacterials)及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール・ソルビン酸等、を含めることによって、微生物の存在を確実に防ぐことができる。また、糖、塩化ナトリウム等の等張剤を、前記組成物中に含めることが望ましい場合もある。更に、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによって、注射投与可能な医薬形体を持続的に吸収されるようにすることがある。
【0204】
薬学的に許容可能な担体としては、無菌の水溶液又は分散液、及び無菌の注射可能な溶液又は分散液を即時調製するための無菌の粉末、が挙げられる。薬学的に活性な物質のためにそのような媒体及び薬剤を使用することは、当該技術分野において公知である。何れかの従来の媒体又は薬剤が前記活性化合物と相容れない場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が企図される。補助的な活性化合物を、前記組成物の中に取り込ませることもある。
【0205】
治療用組成物は、典型的には、製造及び貯蔵の条件下で、無菌且つ安定でなければならない。前記組成物を、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高い薬物濃度に適した他の秩序化した構造、として製剤化することがある。前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレン・グリコール、及び液状ポリエチレン・グリコール等)、並びにそれらの好適な混合物、を含む溶媒又は分散媒体、であることがある。適切な流動性を、例えば、レシチン等のコーティングの使用をすることによって、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズを維持することによって、及び界面活性剤の使用をすることによって、維持することがある。多くの場合、前記組成物中に、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。前記組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等、を含めることによって、注射投与可能な前記組成物を持続的に吸収されるようにすることがある。
【0206】
無菌の注射可能な溶液を、必要な量の活性化合物を、上記に列挙した成分の1種又は組合せと共に、適切な溶媒に、取り込ませ、必要な場合、続いて滅菌マイクロ濾過することによって、調製することがある。一般的に、分散剤は、活性化合物を、基本的な分散媒体、及び上に列挙したものからの必要な他の成分、を含有する無菌媒体の中に取り込ませることによって、調製する。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌粉末の場合では、調製に関する好ましい方法は、減圧乾燥及び凍結乾燥(freeze-drying)(凍結乾燥(lyophilization))(この方法は、活性成分+任意の追加的な所望の成分、の粉末を、既に無菌濾過した溶液から産生する)である。
【0207】
担体物質と組合せて単一の投薬形体を生成することができる活性成分の量は、治療を受ける対象、及び特定の投与様式に応じて、変化する。担体物質と組合せて単一の投薬形体を生成することができる活性成分の量は、一般的に、治療効果を生じる組成物の量である。一般的に、この量は、薬学的に許容可能な担体と組合せて、100%のうち、約0.01%から約99%の範囲の活性成分、好ましくは、約0.1%から約70%、最も好ましくは、約1%から約30%の範囲の活性成分、である。
【0208】
投薬レジメンを調節して、最適な所望の応答(例えば、相乗的な組合せ、治療応答)を提供する。例えば、単回ボーラスを投与することがある、数回に分割した用量を経時的に投与することがある、又は治療状況が緊急性を示す場合、用量を比例的に減少させることがある、若しくは増加させることがある。投与を容易にし、用量を均一化するために、非経口の組成物を投薬単位形体に製剤化することは、特に有用である。本出願で使用される投薬単位形体は、治療を受ける対象のための、単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指す;各々の単位は、必要とされる薬学的な担体と関連して、所望の治療効果を生じるように計算された、所定量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形体の詳細は、(a)前記活性化合物の特有の特徴、及び達成するべき特定の治療効果、並びに(b)個体における過敏症の処理のために、そのような活性化合物を配合する技術分野における、固有の制限、によって決まる、及び、に直接的に依存する。
【0209】
抗-LY75抗体の投与については、投薬量は、宿主体重の、約0.5から5mg/kg、例えば、1から3mg/kg、最も好ましくは、3mg/kg、の範囲である。例えば、投薬量は、1 mg/kg体重、2 mg/kg体重、3 mg/kg体重、4 mg/kg体重、5 mg/kg体重、であることがある。例示的な治療レジメンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、の投与を伴う。本発明の抗-LY75抗体のための好ましい投薬レジメンは、静脈内投与による3 mg/kg体重、が挙げられ、前記抗体を、3から4週間毎に、投与する。好ましい一つの実施形態では、本発明の抗-LY75抗体を、3mg/kg体重で、21日間毎に、投与する。
【0210】
いくつかの実施形態では、プラチン(又はその薬学的に許容可能な塩)を、50から250mg/m2の投薬量で、投与する。当業者は、個々の患者について、その患者の大きさ及び体重、並びに治療するべきがん、に基づいて、プラチン薬物、例えば、シスプラチン、カルボプラチン又はオキサリプラチン、の正確な投薬レジメンを計算することができるであろう。
【0211】
好ましくは、本発明の組合せは、相乗的な組合せである。当業者は、相乗的な組合せは、組合せの効果が個々の構成要素の効果の合計よりも大きい組合せ、であることを理解するであろう。
【0212】
特に、患者におけるがんを治療する方法、ここで、前記方法は、それを必要とする患者に、本発明の組合せ医薬の構成要素の、治療的に有効で相乗的な量を、同時に、連続的に、又は別々に、投与するステップを含む。
【0213】
がんを治療する際の使用をするための、本発明の組合せ医薬、も提供される、ここで、本発明の組合せ医薬の構成要素の相乗的な量を、前記がんを治療するために、前記患者に、同時に、別々に、又は連続的に、投与する。
【0214】
また、がんを治療するための、同時に、別々に、又は連続的に、使用をするための、組合せ医薬を製造する際における、本発明の組合せ医薬の構成要素の相乗的な量の使用も、提供される。また、治療に使用するための、又は薬剤として使用するための、相乗的な本発明の組合せ医薬も、提供される。
【0215】
いくつかの方法では、様々な結合特異性を有する2種以上の抗-LY75モノクローナル抗体を、同時に投与し、その際、投与される各々の抗体の投薬量は、示した範囲内にある。抗体を、通常、何回か投与する。単回投与間の間隔は、例えば、週1回、2週間に1回、3週間に1回、月1回、であることがある。前記患者において、ターゲット抗原に対する抗体の血中レベルを測定することによって示されるように、間隔は不規則であることがある。いくつかの方法では、投薬量を調節して、約1から1000 μg/ml、5から750 μg/ml、10から600 μg/ml、15から500 μg/ml、20から400 μg/ml、及び、いくつかの方法では、約25から300 μg/mlの、血漿抗体濃度を達成する。
【0216】
或いは、前記抗-LY75抗体を、徐放性製剤として投与することがあり、その場合、必要とされる投与の頻度は、より少なくなる。投薬量及び頻度は、前記患者における、前記抗体の半減期に応じて変化する。一般的に、ヒト抗体は、最も長い半減期を示し、次いでヒト化抗体、キメラ抗体、及び非ヒト抗体、である。投与の投薬量及び頻度は、前記治療が、予防的であるか、又は治療的であるか、に依存して、変動することがある。予防的な用途では、比較的低い投薬量を、比較的稀な頻度の間隔で、長期間にわたって、投与する。一部の患者は、残りの人生の間、治療を受け続ける。治療的な用途では、前記疾患の進行が、低減するまで、又は終了するまで、好ましくは、前記患者が疾患の症状(symptom)の、部分的な又は完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投薬量を、時には、必要とすることがある。その後、前記患者は、予防的なレジメンを処方されることがある。
【0217】
本発明の組合せ医薬中の活性成分の実際の投薬レベルを変化させ、患者に毒性を示すことなく、特定の患者、組成物、及び投与様式のための、所望の治療応答を達成するのに効果的な活性成分の量、とすることができる。選択した投薬レベルは、様々な薬物動態学的因子、例えば、使用する本発明の特定の組成物、又はそのエステル、塩若しくはアミド、の活性、投与経路、投与時期、使用する特定の化合物の排泄速度、治療の期間、使用する特定の組成物と併用する他の薬物、化合物、及び/又は物質、治療を受ける患者の、年齢、性別、体重、状態、全身の健康及び以前の病歴、並びに医学分野で周知の同様の因子等、に依存するであろう。
【0218】
抗-LY75抗体の「治療的に有効な投薬量」によって、好ましくは、疾患症状(symptom)の重症度の低下、疾患症状が無い時期の頻度及び期間の増大、又は疾患の苦痛による機能的障害(impairment)又は身体障害(disability)の予防、がもたらされる。例えば、LY75媒介性腫瘍を治療するために、「治療的に有効な投薬量」は、好ましくは未治療の対象と比較して、少なくとも約20%、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、少なくとも約50%、更により好ましくは少なくとも約60%、少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、細胞増殖又は腫瘍増殖、を阻害する。化合物が腫瘍増殖を阻害する作用能を、ヒト腫瘍における有効性を予測する動物モデル・システムで、評価することがある。或いは、化合物のこの特性を、前記化合物が細胞増殖を阻害する作用能を試験することによって、評価することがあり、そのような阻害を当業者に公知のアッセイによって、in vitroで測定することがある。治療用化合物の治療的に有効な量は、腫瘍サイズを減少させることがある、又はそうではない場合、対象における症状(symptom)を改善することがある。そのような量を、当業者であれば、対象の大きさ、対象の症状(symptom)の重症度、及び選択した特定の組成物又は投与経路等、の因子に基づいて、決定することができるであろう。
【0219】
本発明の組合せ医薬を、当該技術分野で公知の様々な方法のうちの1種以上を使用して、1種以上の投与経路を介して、投与することがある。本発明の組合せ医薬の構成要素を、同じ経路で投与してもよいし、又は異なる経路で投与してもよい。当業者によって理解されるように、投与の経路及び/又は様式は、所望の結果に応じて変化する。本発明の抗体の好ましい投与経路としては、例えば、注射又は点滴による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口の投与経路、が挙げられる。語句「非経口投与」は、本出願で使用される場合、経腸投与及び局所投与以外の投与様式を意味し、通常、注射によるものであり、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔(intrathecal)、関節包内(intracapsular)、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管(transtracheal)、皮下、表皮下(subcuticular), 関節内(intraarticular)、被膜下(subcapsular)、くも膜下(subarachnoid)、髄腔内(intraspinal)、硬膜外及び胸骨内の、注射投与及び点滴、が挙げられる。
【0220】
或いは、前記抗-LY75抗体を、非-経口経路、例えば、局所、表皮又は粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下又は局所の投与により、投与することがある。
【0221】
好ましくは、プラチン又はその薬学的に許容可能な塩を、静脈内投与する。
【0222】
前記活性化合物は、前記化合物が急速に放出されないようにする担体、例えば、制御放出製剤、例えば、インプラント(implant)、経皮貼付剤、及びマイクロカプセル化デリバリー・システム等、を使って調製することがある。生分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレン・ビニル酢酸塩、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸等、を使用することがある。そのような製剤の調製のための多くの方法は、特許を受けているか、又は当業者に一般的に知られている[例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems (1978) J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., N.Yを参照のこと]。
【0223】
治療的組成物を、当該技術分野で公知の医療デバイスを用いて、投与することがある。例えば、好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物の構成要素を、無針皮下注射デバイス、例えば、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;又は 第4,596,556号、に開示されているデバイス、を用いて投与することがある。本発明において有用な周知のインプラント及びモジュールの例としては、以下が挙げられる:米国特許第4,487,603号、これは、制御された速度で医薬品を投薬するための移植可能な微小-注入ポンプを開示する;米国特許第4,486,194号、これは、皮膚を通して医薬品を投与するための治療デバイスを開示する;米国特許第4,447,233号、これは、正確な注入速度で医薬品をデリバリーするための医薬品注入ポンプを開示する;米国特許第4,447,224号、これは、連続的な薬物デリバリーのための、可変流の移植可能な注入装置を開示する;米国特許第4,439,196号、これは、マルチ-チャンバ区画を有する浸透圧薬物デリバリー・システムを開示する;及び米国特許第4,475,196号、これは、浸透圧薬物デリバリー・システムを開示する。これらの特許は、本出願に参照により取り込まれる。多くの他のそのようなインプラント(implants)、デリバリー・システム、及びモジュールが、当業者に知られている。
【0224】
ある特定の実施形態では、前記抗-LY75抗体を製剤化して、確実にin vivoで適切に分布するようにすることがある。例えば、血液脳関門(BBB)は、高度に親水性の化合物の多くを排除する。治療化合物がBBBを通過することを確実にするために(所望であれば)、それらを、例えば、リポソーム中に製剤化することがある。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;及び第5,399,331号を参照のこと。前記リポソームは、特定の細胞又は臓器に選択的に輸送される1種以上の部分構造を含むことがあり、その結果、ターゲット化した薬物デリバリーが増強される[例えば、V.V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685を参照のこと]。例示的なターゲティング部分構造としては、以下が挙げられる:葉酸又はビオチン(例えば、米国特許第5,416,016号を参照のこと);マンノシド[Umezawa et al. (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038];抗体[P.G. Bloeman et al. (1995) FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180]; 界面活性剤プロテインAレセプター[Briscoe et al. (1995) Am. J. Physiol. 1233:134]; p120 [Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090]; K. Keinanen; M.L. Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler (1994) Immunomethods 4:273、も参照のこと。
【0225】
使用と方法
本出願で使用される場合、用語「対象」は、ヒト及び非-ヒト動物を含むことが意図される。非-ヒト動物には、全ての脊椎動物、例えば、哺乳類動物及び非-哺乳類動物、例えば、非-ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類及び爬虫類、が含まれる。好ましい対象としては、LY75活性によって媒介される障害を有するヒト患者が挙げられる。
【0226】
前記方法は、異常なLY75発現に関連する障害を有するヒト患者を治療するのに特に適している。腫瘍細胞上でLY75が発現すると、本発明の組合せ及び方法を、腫瘍形成性の障害、例えば、LY75を発現する腫瘍細胞の存在を特徴とする障害、を有する対象を治療するために、使用することがある、又はそのような障害(例えば、膵臓がん、卵巣がん、乳がん、結腸直腸がん、食道がん(esophageal cancer)、皮膚がん、甲状腺がん、肺がん(NSCLC及び/又はSCLC)、腎臓がん(kidney cancer)、肝臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、胃がん(gastric cancer)、骨髄腫、好ましくは、多発性骨髄腫、白血病、例えば、慢性リンパ性白血病及び急性骨髄性白血病、非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)、例えば、DLBCL、B-細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜-関連リンパ組織のリンパ腫(MALT)、T-細胞/組織球豊富型B-細胞リンパ腫、バーキット・リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T-細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫及び血管免疫芽球性T-細胞リンパ腫等)を治療するための医薬品を製造する際に使用することがある。LY75は、以下の実施例5及び7に例示されるように、抗体が結合すると、内部に取り込まれることが実証されている。それ故に、前記抗-LY75抗体を、任意のペイロード(payload)の作用メカニズム、例えば、ADCアプローチ、ラジオイムノコンジュゲート、又はADEPTアプローチ、において、使用することが、可能になる。
【0227】
前記抗-LY75抗体(一般にADCとして投与される)は、LY75機能を、阻害するために、又は遮断するために、使用することがあり、これは、次に、ある特定の疾患症状(symptom)を、予防すること、又は改善すること、に繋がることがあり、それによって、LY75は、疾患のメディエーター(mediator)として、含意される。これは、サンプル及びコントロール・サンプルを、抗-LY75抗体と、前記抗体とLY75との間で複合体が形成されることが可能な条件下で、接触させることによって、達成されることがある。前記抗体とLY75との間に形成された任意の複合体を検出し、サンプル及びコントロールにおいて比較する。
【0228】
in vivo及びin vitroでの、抗体組成物(例えば、モノクローナル抗体、及び免疫コンジュゲート)を投与する好適な経路は、当該技術分野において周知であり、当業者によって選択され得る。例えば、抗体組成物を、注射投与(例えば、静脈内又は皮下)によって投与することがある。使用する分子の好適な投薬量は、対象の年齢及び体重、並びに抗体化合物の濃度及び/又は配合、に依存する。
【0229】
本発明の組合せ医薬を、血清及び/又は補体(complement)と共に投与することもある。これらの組成物は、前記補体(complement)が前記抗体のすぐ近くに位置する場合に、有利であることがある。或いは、前記抗体、及び前記補体(complement)又は血清を、別々に投与することがある。
【0230】
また、本発明の組合せ医薬の構成要素を、使用の為の指示と共に、含むキットも、本発明の範囲内である。前記キットは、1種以上の更なる薬剤、例えば、免疫抑制剤、細胞傷害性薬剤若しくは放射性毒性薬剤、又は1種以上の更なる抗体(例えば、第1の抗体とは異なる、LY75抗原中のエピトープ、に結合する、相補的な活性を有する抗体)等、を更に含むことがある。
【0231】
従って、本発明の組合せ医薬を使って治療を受ける患者は、別の治療的薬剤、例えば、前記抗体の治療効果を、増強する又は高める、細胞傷害性薬剤又は放射性毒性薬剤、と一緒に、更に(本出願に開示される抗体の投与、の前に、と同時に、又は、の後に)投与されることがある。
【0232】
他の実施形態では、前記対象を、Fcγ又はFcγレセプターの発現又は活性を調節する、例えば、増強する、又は阻害する、薬剤で、例えば、サイトカインで前記対象を処置することによって、更に処置することがある。マルチスペシフィック分子(multispecific molecule)を用いた治療中に投与するための好ましいサイトカインとしては、顆粒球コロニー-刺激因子(G-CSF), 顆粒球-マクロファージ・コロニー-刺激因子(GM-CSF)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、及び腫瘍壊死因子(TNF)、が挙げられる。
【0233】
この明細書において引用される全ての参考文献、例えば、限定されるものではないが、全ての論文、刊行物、特許、特許出願、プレゼンテーション、教科書、レポート、原稿、パンフレット、書籍、インターネットでのポスティング、ジャーナル記事、定期刊行物、製品のファクト・シート(product fact sheets)等は、それらの全体が本出願に参照により取り込まれる。本出願における参考文献に関する検討は、その著者による主張を単に要約することを意図したものであり、いかなる参考文献も先行技術であることを認めるものではなく、出願人は、その引用文献の正確性及び妥当性に異議を唱える権利を留保する。
【0234】
上記の発明は、理解を明確にするために、説明及び実施例によってある程度詳しく記載されているが、本発明の教示に照らして、従属する特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び改変を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0235】
本発明を、以下の実施例によって更に説明するが、これらの実施例を、更なる限定として解釈するべきではない。
【実施例
【0236】
実施例1:LY75に対するモノクローナル抗体の構造の特性評価
LY75_A1モノクローナル抗体の、重鎖可変領域を及び軽鎖可変領域を、コードするcDNA配列を、標準的なPCR技術を用いて取得し、標準的なDNAシークエンシング技術を用いてシークエンシングをした。
【0237】
抗体配列に変異を入れて、1つ以上の残基で、生殖系列残基に復帰させることがある。
【0238】
LY75_A1の重鎖可変領域の、塩基配列及びアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO):3及び1、に示す。LY75_A1の軽鎖可変領域の、塩基配列及びアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO):4及び2、に示す。
【0239】
LY75_A1の重鎖の、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO):24及び26、に示す。LY75_A1の軽鎖の、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO):25及び27、に示す。
【0240】
既知のヒト生殖系列免疫グロブリン重鎖配列に対して、LY75_A1重鎖免疫グロブリン配列を比較すると、LY75_A1重鎖は、ヒト生殖系列VH 3-15由来のVHセグメント、及びヒト生殖系列JH JH4由来のJHセグメント、を利用することが実証された。CDR領域決定に関するカバット(Kabat)システムを用いて、LY75_A1 VH配列を更に解析すると、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3領域は、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO):5、6及び7、として示された。生殖系列VH 3-15及び生殖系列JH JH4配列に対する、LY75_A1 CDR1、CDR2及びCDR3 VH配列のアラインメントを、図1に示す。
【0241】
既知のヒト生殖系列免疫グロブリン軽鎖配列に対して、LY75_A1軽鎖免疫グロブリン配列を比較すると、LY75_A1軽鎖は、ヒト生殖系列VK O12由来のVKセグメント、及びヒト生殖系列JK JK4由来のJKセグメント、を利用することが実証された。CDR領域決定に関するカバット(Kabat)システムを用いて、LY75_A1 VK配列を更に解析すると、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3領域は、それぞれ、配列番号(SEQ ID NO):8、9及び10、として示された。生殖系列VK O12及び生殖系列JK JK4配列に対する、LY75_A1 CDR1、CDR2及びCDR3 VK配列のアラインメントを、図2に示す。
【0242】
実施例2:LY75に対するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学
LY75に対して特異的なヒト・モノクローナル抗体を用いて、FFPE HT-29及びA549細胞ペレット、FFPE非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)及び膵臓がんアレイ、並びに新鮮凍結リンパ腫/白血病腫瘍、卵巣がん、膵臓がん、及び乳がんの切片、並びに正常組織アレイ、について免疫組織化学を実施した。
【0243】
材料と方法
材料
キシレン(X5P-1gal) [Fisher Scientific、PA、USA]
Histoprep 100%エタノール(HC-800-1GAL) [Fisher Scientific、PA、USA]
加熱誘発エピトープ回復用の10X クエン酸バッファー(AP9003125) [Thermo Scientific, MA, USA]
Thermo Scientific* Pierce* ペルオキシダーゼ・サプレッサー(35000) [Thermo Scientific, MA, USA]
無血清タンパク質ブロック(X909) [Dako, CA, USA]
二次抗体:ヤギ抗-ヒトIgG Fab-FITCコンジュゲート (109-097-003) [Jackson Immunoresearch, PA, USA]
Chrome pure ヒト IgG、全分子(09-000-003) [Jackson Immunoresearch, PA, USA ]
三次抗体:マウス抗-FITC(ab10257) [Abcam, MA, USA]
精製済みヒトIgG アイソタイプ・コントロール(1-001A) [R&D Systems, MN, USA]
Tween-20 (BP337-100) [Fisher Scientific, PA, USA]
アセトン(BP2403-4) [Fisher Scientific, PA, USA]
Dual Link EnVision+ HRP-コンジュゲート化ポリマー、マウス及びウサギ(K4063) [Dako, CA, USA]
DAB 2-溶液キット(882014) [Invitrogen, NY, USA]
ハリス・ヘマトキシリン(Harris Hematoxylin) (23-245-677) [Fisher Scientific, PA, USA]
Faramount マウンティング培地(S302580) [Dako, CA, USA]
【0244】
組織切片及びアレイを、US Biomax Inc., MD, USA 、又は Origene, MD, USA、より購入した。
【0245】
FFPEスライドの調製:脱パラフィン化及び再水和化
FFPEスライドを、キシレン中で脱パラフィン化し(2× 3分)、次いで、1:1のキシレン:100%エタノール(1× 3分)、100%エタノール(2× 3分)、95%エタノール(1× 3分)、70%エタノール(1× 3分)、50%エタノール(1× 3分)、及び水道水(1× 3分)、によって、再水和化した。
【0246】
FFPEスライドの調製:抗原回復(マイクロ波)。
LY75抗原を、マイクロ波加熱(コプリン・ジャー(Coplin jar)中の50mLの1xクエン酸バッファー中で、沸騰するまでは高出力、次いで低出力で10分間)を用いて、回復させた。次いで、更に15分間、スライドを放置して室温まで冷却し、次いで水道水で3分間洗浄した。疎水性バリアのペンを用いて、各組織切片/TMAの周りに円を描き、次いでスライドをPBS中で3回、各洗浄につき3分間、洗浄した。
【0247】
FFスライドの調製
スライドを、-80℃の保管庫から取り出し、20から30分間、ドラフト内で、室温で乾燥させた。前記スライドを、氷冷アセトン中-20℃で、10分間、固定し、次いで、ドラフト内で、室温で、20分間、乾燥させた。スライドを洗浄し、PBS中で再水和化し、各3分間の洗浄を3回行った。疎水性バリアのペンを用いて、切片の輪郭を描いた。
【0248】
抗体複合体の調製
一次抗-LY75抗体を、無血清タンパク質ブロック(serum free protein block (SFPB))で希釈して、最終的な所望の濃度よりも20-倍高い濃度(1 μg/mLの最終濃度について20 μg/mL)を有する溶液とした。二次抗体、ヤギ抗-ヒト免疫グロブリンG(IgG)抗原-結合フラグメント(Fab)を、SFPB中で同様に調製して、等濃度の溶液を作製した。
【0249】
等量の一次及び二次抗体を、標識を付けたチューブ中で合わせ、穏やかに混合し、室温で、3分間、インキュベートして、所望の最終濃度よりも10倍高い一次抗体濃度(1 μg/mLの最終濃度について10 μg/mL)とした。この混合物を、SFPBを用いて、1:5に希釈し、穏やかに混合し、室温で、30分間、インキュベートして、所望の最終濃度の2倍の一次抗体濃度(1 μg/mL最終濃度について2 μg/mL)を得た。
【0250】
最終的な染色複合体を産生するために、ヒトIgGの1%(10 μg/μL)液を、SFPB中で調製し、等量を、前記一次/二次抗体混合物に添加した。この混合物を穏やかに混合し、室温で、30分間、インキュベートし、前記一次/二次抗体混合物の一次抗体濃度が半分になるように希釈し、所望の最終一次抗体濃度(1 μg/mL)とした。
【0251】
免疫染色
一方、組織を、ペルオキシダーゼ・サプレッサーと共に、5から10分間、室温で、加湿チャンバー中でインキュベートすることによって、内因性組織ペルオキシダーゼ活性を、ブロックした。次いで、スライドを、PBS中で、3× 各洗浄につき3分間、洗浄した。組織を、加湿チャンバー中、室温で、30分間、SFPB中で、インキュベートした。最終的な染色複合体を、各組織切片及び/又はマイクロアレイに適用し、前記スライドを、加湿チャンバー中、室温で、30分間、インキュベートした。次いで、スライドを、PBS中で1回洗浄し、PBST(PBS+0.125% Tween-20)中で1回洗浄し、各洗浄を3分間行った。3次抗体マウス抗-FITCを、2 μg/mL濃度で、30分間、室温で、加湿チャンバー中で、適用した。次いで、切片をPBS中で1回、そしてPBST中で1回、各洗浄につき3分洗浄した。次いで、Dual Link EnVision+抗-マウス/ウサギ-HRP-コンジュゲート化ポリマーを、前記組織に適用し、前記スライドを、加湿チャンバー中、室温で、30分間、インキュベートした。次いで、スライドを、PBS中で1回、PBST中で1回、各洗浄について3分洗浄した。組織を、製造業者の指示に従って調製したDAB溶液中、室温で、10分間、インキュベートした。次いで、スライドを、水道水の流水中で、2分間、1回洗浄し、PBS中で、3分間、1回洗浄した。前記スライドを、ヘマトキシリンを用いて、室温で、30秒間、カウンター染色し(counterstained)、水道水の流水で洗浄した。前記スライドを、室温で、30分間、乾燥させ、次いで、Faramountマウンティング培地を用いて、カバースリップをスライド上に置いた。
【0252】
結果
LY75_A1は、FFPEトリプル・ネガティブ(Triple Negative)乳がんサンプルにおいて、陽性を示した、ここで、前記切片の77%は、陽性染色を示し、55%が、しっかりとした(+++)染色を示した。
【0253】
FF正常組織におけるLY75の染色は、概して、見られない、から、低い、ものであった。乳房の、唾液腺の、及び膵臓の、乳管上皮では、顕著に低い、から中等度の、染色が示され、脾臓は、低陽性の染色であった。従って、LY75に対して指向性のある抗体は、試験したがんのいくつかにおいて、及びLY75の発現を示す他のがんのタイプにおいておそらく、治療薬及び診断薬としての有用性を有する。
【0254】
実施例3:HT-29細胞における、DM1-コンジュゲート化した抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0255】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0256】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0257】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0258】
結果
図3aに示した結果は、HT-29細胞の細胞傷害を誘導することができる、LY75に結合することが知られている、抗体の亜集団を示す。これによれば、抗体は、LY75に結合することができるが、DM1にコンジュゲートした場合に、ほんの僅かのみが、有効性を示す、ということが示唆される。その後、更なる細胞傷害活性解析のために、前記亜集団から、抗体を選択する。
【0259】
実施例4:結腸直腸がん細胞における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0260】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0261】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0262】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0263】
結果
図3bは、HT-29抗体に対するDM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度及び毒素にコンジュゲートした他の抗-LY75抗体(実施例1より選択)に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0264】
実施例5:リンパ腫細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0265】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0266】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0267】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0268】
結果
図3cは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、RAJI細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3dは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、ナマルワ(Namalwa)細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3eは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、カーパス(Karpas)299細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度、並びにDM1及びDM4にコンジュゲートした他の抗-LY75抗体(実施例1より選択)に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0269】
実施例6:膵臓がん細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0270】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0271】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0272】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0273】
結果
図3fは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、BxPC3細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3gは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、HupT4細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3hは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、HPAFFII細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度、並びにDM1及びDM4にコンジュゲートした他の抗-LY75抗体(実施例1より選択)に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0274】
実施例7:慢性リンパ性白血病細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0275】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0276】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0277】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0278】
結果
図3iは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、EHEB細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3jは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、Mec-1細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度、並びにDM1及びDM4にコンジュゲートした他の抗-LY75抗体(実施例1より選択)に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0279】
実施例8:急性単球性白血病細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0280】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0281】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0282】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0283】
結果
図3kは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、AML-193細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度、並びにDM1及びDM4にコンジュゲートした他の抗-LY75抗体(実施例1より選択)に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0284】
実施例9:乳がん細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0285】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0286】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0287】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0288】
結果
図3lは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、HCC 70(ERネガティブ(negative)、PRネガティブ(negative)及びHer2ネガティブ(negative))細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3mは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、HCC 1806(ERネガティブ(negative)、PRネガティブ(negative)及びHer2ネガティブ(negative))細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3nは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、MDA-MB-468細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0289】
実施例10:膀胱がん細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0290】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0291】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0292】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0293】
結果
図3oは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、RT4細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3pは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、5637細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3qは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、SW780細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0294】
実施例11:頭頸部がん細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0295】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0296】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0297】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0298】
結果
図3rは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、SCC-9細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0299】
実施例12:食道がん細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0300】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0301】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0302】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0303】
結果
図3sは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、OE 19細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0304】
実施例13:卵巣がん細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0305】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0306】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0307】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0308】
結果
図3tは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、OVCAR-3細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3uは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、SK-OV-3細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0309】
実施例14:多発性骨髄腫細胞株における、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
材料
細胞ストリッパ(cell stripper)(非-酵素的に細胞を剥離させる)(MT-25-056CI) [Fisher Scientific, PA, USA]
PBS pH 7.4 (1X) (SH30028LS) [Fisher Scientific, PA, USA]
RPMI 1640 培地(MT-10-041-CM) [Fisher Scientific, PA, USA]
Cell Titer Glo (G7572) [Promega, WI, USA]
【0310】
方法
細胞ストリッパを用いて、細胞を剥離させ、計数した。5e3細胞/ウェルを、スピン・ダウンしてペレットにした(懸濁細胞として、細胞の倍加時間に応じて、より多く[例えば、10e3細胞/ウェル等]を使用することができる)。前記ペレットを培養液に再懸濁して、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0311】
50 ul/ウェルの細胞懸濁液を、96-ウェルの、側壁が白色で、底が透明な、ウェルに加えた。抗体を希釈し、0から20 nM(試験濃度の2倍)の間の濃度に対応する8点(3-倍毎の希釈系列)の希釈系列とした。希釈した抗体又は培地(未処置サンプル用)(50 ul/ウェル)を適切なウェルに添加した。余分な培地(200ul/ウェル)を、蒸散を防止するために、前記プレートの外寄りの行及び列に加えた。前記プレートを、37℃で、72時間、インキュベートした。
【0312】
前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。前記プレートを、100 ul/ウェルのPBSで、1回、軽くたたいて洗浄した(懸濁細胞については、プレートを最初に遠心分離して細胞を沈殿させた)。100ul/ウェルのPBS及び100ulのCell Titer Gloを、各ウェルに加えて、細胞を練和して混合した。前記プレートを、暗所、室温で、15分間、インキュベートし、顕微鏡によって可視化して、細胞が効率良く溶解していることを確認した。次いで、前記プレートを、Glomaxルミノメーターで読み取った。
【0313】
結果
図3vは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、MOLP-8細胞に対する細胞傷害活性を示す。図3wは、DM1及びDM4にコンジュゲートした抗-LY75抗体の、RPMI8226細胞に対する細胞傷害活性を示す。これらの結果によれば、抗体濃度に比例して、細胞傷害活性が増大することが示される。
【0314】
実施例15:ラジ(Raji)異種移植片モデルにおける、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
LY75_DM1及びLY75_DM4の有効性を、Rajiバーキット・リンパ腫を皮下に接種したSCIDマウス異種移植片モデルにおいて、試験した。
【0315】
免疫不全SCIDマウスに、Raji(ヒト・バーキット・リンパ腫)腫瘍細胞を、皮下接種した。腫瘍を確立させ、マウスを、1群あたり3から6匹のマウスからなる5つの治療群に選り分けた。平均腫瘍体積が、1群あたり129から132 mm3の平均サイズに達したとき、各群を、以下の化合物のうちの1つで治療し、示した投薬量で、静脈内投与した:群1(媒体;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));群2(LY75_DM1;10 mg/kg)、群3(アイソタイプ・コントロール-DM1;10 mg/kg)、群4(LY75_DM4;5 mg/kg)、群5(アイソタイプ・コントロール-SPBDDM4;5 mg/kg)。第2の用量を、1週間後に、投与した。体重(BW)をモニターし、前記マウスを、頻繁に、健康及び有害な副作用について検査し、腫瘍を週2回測定した。その腫瘍が2000 mm3という腫瘍体積エンドポイントに達したとき、又は60日後、のうちの何れか早い方で、マウスを安楽死させた。有効性は、ADC-治療したマウス対PBS-治療したマウスにおける、腫瘍増殖遅延(tumour growth delay (TGD))、エンドポイントまでの時間(time-to-endpoint (TTE))のメジアンの増加、及びカプラン-マイヤー生存曲線の差のログランク解析(logrank analysis)、から決定した。エンドポイントに達する最初の5匹の媒体-治療したコントロール・マウスを、腫瘍についてサンプリングし、ホルマリン固定及びパラフィン包埋によって処理した。
【0316】
結果
図4aは、LY75_DM1及びLY75_DM4がそれぞれ、コントロールと比較して、Rajiバーキット・リンパ腫SCIDマウス異種移植片モデルにおいて、有意な抗-腫瘍活性、及び有意な生存期間の延長、を示したことを示す;しかしながら、5 mg/kgのLY75_DM4用量は、10 mg/kgのLY75_DM1用量よりも、有意に効果的であり、6匹のマウスのうちの5匹で、完全ではあるが一過性に、腫瘍が退縮した。全ての治療は良好な忍容性であり、毒性に関する臨床的な徴候は観察されなかった。これらのデータによれば、LY75に対して指向性のあるADC、例えば、LY75_DM1及びLY75_DM4、が、ヒト非-ホジキン・リンパ腫がん患者の治療において、臨床的な有益性を提供することが可能である、と示唆される。
【0317】
実施例16:ナマルワ(Namalwa)異種移植片モデルにおける、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
LY75_DM1及びLY75_DM4の有効性を、Namalwaバーキット・リンパ腫を皮下に接種したSCIDマウス異種移植片モデルにおいて、試験した。
【0318】
免疫不全SCIDマウスに、Namalwa (ヒト・バーキット・リンパ腫)腫瘍細胞を、皮下接種した。腫瘍を確立させ、マウスを、1群あたり6匹のマウスからなる5つの治療群に選り分けた。平均腫瘍体積が、1群あたり114mm3の平均サイズに達したとき、各群を、以下の化合物のうちの1つで治療し、示した投薬量で、静脈内投与した:群1(媒体;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));群2(LY75_DM1;10 mg/kg)、群3(アイソタイプ・コントロール-DM1;10 mg/kg)、群4(LY75_DM4;5 mg/kg)、群5(アイソタイプ・コントロール-SPBDDM4;5 mg/kg)。体重(BW)をモニターし、前記マウスを、頻繁に、健康及び有害な副作用について検査し、腫瘍を週2回測定した。その腫瘍が2000mm3という腫瘍体積エンドポイントに達したとき、又は60日後、のうちの何れか早い方で、マウスを安楽死させた。有効性は、ADC-治療したマウス対PBS-治療したマウスにおける、腫瘍増殖遅延(tumour growth delay (TGD))、エンドポイントまでの時間(time-to-endpoint (TTE))のメジアンの増加、及びカプラン-マイヤー生存曲線の差のログランク解析(logrank analysis)、から決定した。エンドポイントに達する最初の5匹の媒体-治療したコントロール・マウスを、腫瘍についてサンプリングし、ホルマリン固定及びパラフィン包埋によって処理した。
【0319】
結果
図4bは、LY75_DM1及びLY75_DM4がそれぞれ、コントロールと比較して、Namalwaバーキット・リンパ腫SCIDマウス異種移植片モデルにおいて、有意な抗-腫瘍活性、及び有意な生存期間の延長、を示したことを示す;しかしながら、5 mg/kgのLY75_DM4用量は、10 mg/kgのLY75_DM1用量よりも、有意に効果的であり、腫瘍体積が、短い期間、減少した。全ての治療は良好な忍容性であり、毒性に関する臨床的な徴候は観察されなかった。これらのデータによれば、LY75に対して指向性のあるADC、例えば、LY75_DM1及びLY75_DM4、が、ヒト非-ホジキン・リンパ腫がん患者の治療において、臨床的な有益性を提供することが可能である、と示唆される。
【0320】
実施例17:膵臓がん異種移植片モデルにおける、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
LY75_DM1及びLY75_DM4の有効性を、HPAFII膵臓腺がん腫を皮下に接種した胸腺欠損ヌード・マウス異種移植片モデルにおいて、試験した。
【0321】
免疫不全胸腺欠損ヌード・マウスに、HPAFII(ヒト膵臓腺がん腫)腫瘍細胞を、皮下接種した。腫瘍を確立させ、マウスを、1群あたり6匹のマウスからなる5つの治療群に選り分けた。平均腫瘍体積が、1群あたり~114 mm3の平均サイズに達したとき、各群を、以下の化合物のうちの1つで治療し、示した投薬量で、静脈内投与した:群1(媒体;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));群2(LY75_DM1;10 mg/kg)、群3(アイソタイプ・コントロール-DM1;10 mg/kg)、群4(LY75_DM4;5 mg/kg)、群5(アイソタイプ・コントロール-SPBDDM4;5 mg/kg)。体重(BW)をモニターし、前記マウスを、頻繁に、健康及び有害な副作用について検査し、腫瘍を週3回測定した。その腫瘍が2000 mm3という腫瘍体積エンドポイントに達したとき、又は90日後、のうちの何れか早い方で、マウスを安楽死させた。有効性は、ADC-治療したマウス又はPBS-治療したマウスにおける、腫瘍体積に対する治療の効果、及びカプラン-マイヤー生存曲線の差のログランク解析(logrank analysis)、から決定した。腫瘍を、媒体-治療したコントロール・マウスからサンプリングし、ホルマリン固定及びパラフィン包埋によって処理した。
【0322】
結果
図4cは、LY75_DM1及びLY75_DM4が、コントロールと比較して、HPAFIIヌード・マウス異種移植片モデルにおいて、有意に且つ同様に強力な抗-腫瘍活性及び生存期間延長を示したことを、示す。全ての治療は良好な忍容性であり、毒性に関する臨床的な徴候は観察されなかった。これらのデータによれば、LY75に対して指向性のあるADC、例えば、LY75_DM1及びLY75_DM4、が、ヒト膵臓がん患者の治療において、臨床的な有益性を提供することが可能である、と示唆される。
【0323】
実施例18:膀胱がん異種移植片モデルにおける、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
LY75_DM1及びLY75_DM4の有効性を、SW780ヒト膀胱がん腫(carcinoma)を皮下に接種したSCIDマウス異種移植片モデルにおいて、試験した。
【0324】
免疫不全胸腺欠損ヌード・マウスに、HPAFII(ヒト膵臓腺がん)腫瘍細胞を、皮下接種した。腫瘍を確立させ、マウスを、1群あたり6匹のマウスからなる5つの治療群に選り分けた。平均腫瘍体積が、1群あたり~114 mm3の平均サイズに達したとき、各群を、以下の化合物のうちの1つで治療し、示した投薬量で、静脈内投与した:群1(媒体;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));群2(LY75_DM1;1 mg/kg)、群3(LY75_DM1;2.5 mg/kg)、群4(LY75_DM1;5 mg/kg)、群5(LY75_DM4;1 mg/kg)、群6(LY75_DM4;2.5 mg/kg)、群7(LY75_DM4;5 mg/kg)、群8(アイソタイプ・コントロール-SPBDDM4;5 mg/kg)。体重(BW)をモニターし、前記マウスを、頻繁に、健康及び有害な副作用について検査し、腫瘍を週3回測定した。その腫瘍が2000 mm3という腫瘍体積エンドポイントに達したとき、又は90日後、のうちの何れか早い方で、マウスを安楽死させた。有効性は、ADC-治療したマウス又はPBS-治療したマウスにおける、腫瘍体積に対する治療の効果、及びカプラン-マイヤー生存曲線の差のログランク解析(logrank analysis)、から決定した。腫瘍を、媒体-治療したコントロール・マウスからサンプリングし、ホルマリン固定及びパラフィン包埋によって処理した。
【0325】
結果
図4dは、LY75_DM1及びLY75_DM4が、コントロールと比較して、SW780ヌード・マウス異種移植片モデルにおいて、有意に且つ同様に強力な抗-腫瘍活性及び生存期間延長を示したことを、示す。全ての治療は良好な忍容性であり、毒性に関する臨床的な徴候は観察されなかった。これらのデータによれば、LY75に対して指向性のあるADC、例えば、LY75_DM1及びLY75_DM4、が、ヒト膀胱がん患者の治療において、臨床的な有益性を提供することが可能である、と示唆される。
【0326】
実施例19:乳がん異種移植片モデルにおける、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
LY75_DM1及びLY75_DM4の有効性を、MDA-MB-468を皮下に接種した胸腺欠損ヌード・マウス異種移植片モデルにおいて、試験した。
【0327】
免疫不全胸腺欠損ヌード・マウスに、MDA-MB-468 (ヒト・トリプル・ネガティブ乳房腺がん腫)腫瘍細胞を、皮下接種した。腫瘍を確立させ、マウスを、1群あたり10匹のマウスからなる7つの治療群に選り分けた。平均腫瘍体積が、1群あたり167 mm3の平均サイズに達したとき、各群を、以下の化合物のうちの1つで治療し、示した投薬量で、静脈内投与した:群1(媒体;20 mMコハク酸ナトリウム、pH 5.0、6%トレハロース、0.04%ポリソルベート);群2(LY75_DM1;5 mg/kg)、群3(LY75_DM1;10 mg/kg)、群4(LY75_DM4;5 mg/kg)、群5(LY75_DM4;2.5 mg/kg)、群6(LY75_DM4;1 mg/kg)、群7(アイソタイプ・コントロール-DM4;5 mg/kg)。体重(BW)をモニターし、前記マウスを、頻繁に、健康及び有害な副作用について検査し、腫瘍を週2回測定した。腫瘍を接種した82日後、マウスを安楽死させた。有効性は、ADC-治療したマウス対PBS-治療したマウスにおける、抗-腫瘍活性(治療群における平均腫瘍サイズ/コントロール群における平均腫瘍サイズ×100)、及び平均のエンドポイントまでの時間(time-to-endpoint (TTE))の増大、から決定した。接種後71日目の媒体-治療コントロール・マウスにおける5つの最も大きい腫瘍をサンプリングし、ホルマリン固定及びパラフィン包埋によって処理した。
【0328】
結果
図4eは、LY75_DM1及びLY75_DM4がそれぞれ、コントロールと比較して、MDA-MB-468ヌード・マウス異種移植片モデルにおいて、劇的な抗-腫瘍活性を示したことを、示す。用量依存的な活性がLY75_DM4で観察された、そこでは、2.5及び5mg/kgは、1 mg/kgよりもはるかに強力であった。5 mg/kgでは、LY75_DM1及びLY75_DM4は、同様に有効であった。平均腫瘍体積において持続的な退縮が、10及び5 mg/kgのLY75_DM1、並びに5及び2.5 mg/kgのLY75_DM4、について観察された。全ての治療は良好な忍容性であり、毒性に関する臨床的な徴候は観察されなかった。これらのデータによれば、LY75に対して指向性のあるADC、例えば、LY75_DM1及びLY75_DM4、が、ヒト・トリプル・ネガティブ乳がん患者の治療において、臨床的な有益性を提供することが可能である、と示唆される。
【0329】
実施例20:結腸直腸がん異種移植片モデルにおける、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の有効性
LY75_DM1及びLY75_DM4の有効性を、COLO205結腸直腸腺がん腫を皮下に接種した胸腺欠損ヌード・マウス異種移植片モデルにおいて、試験した。
【0330】
免疫不全胸腺欠損ヌード・マウスに、COLO205(ヒト結腸直腸腺がん腫)腫瘍細胞を、皮下接種した。腫瘍を確立させ、マウスを、1群あたり6匹のマウスからなる5つの治療群に選り分けた。平均腫瘍体積が、1群あたり117 mm3の平均サイズに達したとき、各群を、以下の化合物のうちの1つで治療し、示した投薬量で、静脈内投与した:群1(媒体;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));群2(LY75_DM1;10 mg/kg)、群3(アイソタイプ・コントロール-DM1;10 mg/kg)、群4(LY75_DM4;5 mg/kg)、群5(アイソタイプ・コントロール-DM4;5 mg/kg)。体重(BW)をモニターし、前記マウスを、頻繁に、健康及び有害な副作用について検査し、腫瘍を週2回測定した。その腫瘍が1000 mm3という腫瘍体積エンドポイントに達したとき、又は60日後、のうちの何れか早い方で、マウスを安楽死させた。有効性は、ADC-治療したマウス対PBS-治療したマウスにおける、腫瘍増殖遅延(tumour growth delay (TGD))、エンドポイントまでの時間(time-to-endpoint (TTE))のメジアンの増加、及びカプラン-マイヤー生存曲線の差のログランク解析(logrank analysis)、から決定した。エンドポイントに達する最初の5匹の媒体-治療したコントロール・マウスを、腫瘍についてサンプリングし、ホルマリン固定及びパラフィン包埋によって処理した。
【0331】
結果
図4fは、LY75_DM1及びLY75_DM4が、コントロールと比較して、COLO205結腸直腸腺がん腫ヌード・マウス異種移植片モデルにおいて、同様に中程度の抗-腫瘍活性及び生存期間延長を示したことを、示す。全ての治療は良好な忍容性であり、毒性に関する臨床的な徴候は観察されなかった。これらのデータによれば、LY75に対して指向性のあるADC、例えば、LY75_DM1及びLY75_DM4、が、ヒト結腸直腸がん患者の治療において、臨床的な有益性を提供することが可能である、と示唆される。
【0332】
実施例21:カニクイザルにおける、DM1-コンジュゲート化した、及びDM4-コンジュゲート化した、抗-LY75モノクローナル抗体の毒性
6匹の雄サルを、2匹のサル/群で、本試験に割り当てた。媒体(PBS)、LY75_DM4(切断可能)又はLY75_DM1(非-切断可能)の何れかを、2回(1日目及び29日目)、15分間の静脈内注入により、0 mg/kg/用量(PBS、媒体)、5 mg/kg/用量(LY75_DM4、切断可能)又は10 mg/kg/用量(LY75_DM1、非-切断可能)で、投与した。用量開始(1日目)前、並びに各々の用量の1、2、3、7、14、21及び28日後に、毒性動態を評価するために、血液サンプルを集めた。用量開始(1日目)前、並びに各々の用量の1、3、7、14、21、及び28日後に(1回目の用量の28日後は、2回目の用量の用量前時点ともした)に、臨床病態の解析のために、血液サンプルを集めた。全ての試験動物は、57日目の最終血液採取後に、安楽死させ、剖検した。各々の血液から分離した血漿を単離し、凍結し、Oxford BioTherapeutics、Inc.に輸送し、ELISAにより、ADC濃度を分析した。
【0333】
治療-関連の臨床病態の所見としては、軽い再生性貧血及び血中白血球プロファイルが一過性に低下すること(最も顕著には、好中球数が低下する)、が挙げられた。貧血は、5 mg/kgのLY75_DM4で治療した両方の動物において、及び10 mg/kgのLY75_DM1で治療した2匹の動物のうちの1匹において、観察された。投与後1週間で最低値を示す重度の好中球減少症、及び計数における急速な回復、が全ての動物で観察された;絶対好中球計数の最低値は、LY75_DM4治療した動物で、より低かった。APTT及びPT凝固パラメータに対する、被験物質-関連の作用は認められなかった。血清化学的変化としては、5 mg/kgのLY75_DM4及び10 mg/kgのLY75_DM1の投与後の、AST、CK、LDH(各治療群の2匹中の1匹において)、及びグロブリンの、一過的な増加、が挙げられた。更に、肝臓特異的な酵素ALTが一過的に増加することが、LY75_DM4治療した動物においてのみで観察された。血清化学パラメータの増加が短期間であることから、及び/又はその大きさから、それらが有害ではないことが示唆される。被験物質-関連の尿試験所見はなかった。4週間の回復期後の剖検時の検査では、治療-関連の肉眼的病理所見、又は絶対的な及び相対的な臓器重量の変化、は認められなかった。組織病変の所見は、甲状腺(濾胞のコロイド形体の変化)及び腎臓(外側皮質における尿細管の拡張)だけにあり、これらは、最小の重症度としてグレード付けをした;他の試験パラメータの変化とは関連していなかった;及び、有害ではなく、毒性学的重要性は最小であった。結論:5 mg/kgのLY75_DM4又は10 mg/kgのLY75_DM1、の2回の用量での反復用量の治療は、カニクイザルにおいて、良好な忍容性であった。治療-関連の毒性所見は全て、4週間の回復期間後に、可逆的であった。
【0334】
実施例22:LY75_DM4とプラチンとの相乗的な組合せ。
方法
細胞を過剰な培地で希釈し、スピン・ダウンした。3000-10000 細胞/ウェルを、白壁で、透明底の、TC-処理済み96ウェル・プレート(Falcon: 353377)中に、100ul培地/ウェルで、播種した。前記プレートを、24時間、37℃で、インキュベートして、細胞を付着させ、薬物を加える前に馴化させた。前記培地を細胞から取り除き、適切に希釈したLY75_A1を100ul/ウェルで、図に示すように添加した。前記プレートを、72時間、37℃で、インキュベートした。72時間後、前記培地を除去し、様々な濃度のシスプラチン又はオキサリプラチン(図参照) の何れかを含む100ul培地と交換した後、更に48時間インキュベートした。
【0335】
インキュベーション期間後、前記プレートをインキュベーターから取り出し、室温で、30分間、放置した。培地を前記プレートから取り除き、前記プレートを、200ulのPBSで2回洗浄した。次いで、前記プレートを、製造業者のプロトコルに従って、cell-titer glo(CTG)で処理した(プロメガ、カタログ番号G9681)。簡潔に述べると、200ul CTG溶液/ウェルを加えた後、室温で、プレート・ローテーター(plate rotator)上で、低速で、2分間、インキュベートし、その後、暗所で、更に10分間、インキュベートした。
【0336】
前記プレートを取り出し、様々な条件下での生存率を計算した。
【0337】
結果
表1は、CRC、膵臓及び胃の細胞株において、プラチン及びLY75_DM4の組合せが相乗的であったことを示す。
【表2】
【0338】
図5Aは、オキサリプラチン単独、又は0.5nM若しくは2nMの抗-LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞に対するオキサリプラチン、の何れかによる、HT-29細胞の処置の効果を示す。約10uMのオキサリプラチンでは、2nMのLY75_A1で前-処置した細胞の生存率は、細胞死を示さない前-処置していない細胞の生存率よりも、有意に低いことが分かる。
【0339】
表2は、HT29細胞において、LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞では、オキサリプラチンのIC50(μM)値が半減したことを示す。
【表3】
【0340】
図5Bは、シスプラチン単独、又は0.5nM若しくは2nMの抗-LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞に対するシスプラチン、の何れかによる、HT-29細胞の処置の効果を示す。約10uMのシスプラチンでは、2nMのLY75_A1で前-処置した細胞の生存率は、細胞死を示さない前-処置していない細胞の生存率よりも、有意に低いことが分かる。
【0341】
表3は、HT29細胞において、LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞では、シスプラチンのIC50(μM)値が半分超、小さくなったことを示す。
【表4】
【0342】
図5Cは、オキサリプラチン単独、又は1nM、3nM若しくは10nMの抗-LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞に対するオキサリプラチン、の何れかによる、HPAFII細胞の処置の効果を示す。約50uMのオキサリプラチンでは、LY75_A1で前-処置した細胞の生存率は、全ての濃度で、細胞死を示さない前-処置していない細胞の生存率よりも、有意に低いことが分かる。
【0343】
表4は、HPAFII細胞において、LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞では、オキサリプラチンのIC50(μM)が約4倍減少したことを示す。
【表5】
【0344】
図5Dは、オキサリプラチン単独、又は1nM若しくは10nMの抗-LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞に対するオキサリプラチン、の何れかによる、N87細胞の処置の効果を示す。約10uMのオキサリプラチンでは、1又は10nMのLY75_A1で前-処置した細胞の生存率は、細胞死を示さない前-処置していない細胞の生存率よりも、有意に低いことが分かる。
【0345】
表5は、N87細胞において、LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞では、オキサリプラチンのIC50(μM)が44倍減少したことを示す。
【表6】
【0346】
図5Eは、シスプラチン単独、又は1nM若しくは10nMの抗-LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞に対するシスプラチン、の何れかによる、N87細胞の処置の効果を示す。約3uMのシスプラチンでは、1又は10nMのLY75_A1で前-処置した細胞の生存率は、細胞死を示さない前-処置していない細胞の生存率よりも、有意に低いことが分かる。
【0347】
表6は、N87細胞において、LY75_A1で、72時間、前-処置した細胞では、シスプラチンのIC50(μM)が10倍減少したことを示す。
【表7】
【0348】
見て分かるように、全ての細胞株において、LY75_A1による前-処置によって、プラチンに対する感受性が有意に増加した。これは、単一の薬剤に起因する細胞傷害性を合わせたものが、両方の薬物を併用する場合と比較して、より低いため、相乗的であると見ることができる。
【0349】
実施例23:皮下NCI-N87胃がん(Gastric Cancer)異種移植片モデルの治療における、OBT076及びオキサリプラチンの効果に関する、In Vivo有効性試験
材料及び方法
マウス
GemPharmatech Co、Ltd(南京、中国)に注文した雌の胸腺欠損ヌード・マウス(Balb-C)は、本試験の1日目で、6から8週齢であり、17.5 - 24.8 gの体重範囲であった。前記動物には、水(逆浸透、1ppm Cl)及び標準的なげっ歯類飼料からなるNIH 31 改変済み、放射線照射済み、ラボ・ダイエット(NIH 31 Modified and Irradiated Lab Diet (登録商標))、を自由に摂水・摂餌できるようにして、与えた。前記マウスを、粉砕したトウモロコシの芯の床敷きの上(オートクレーブをかけ;毎週交換した)、12時間の光周期、摂氏20から22度(華氏68から72度)、及び40から60%の湿度、で飼育した。
【0350】
腫瘍細胞培養
NCI-N87腫瘍細胞を、in vitro、10%ウシ胎仔血清を補充したRMPI 1640培地、37oC、5% CO2の大気中、で維持した。指数増殖期の細胞を回収し、細胞カウンターで定量した後、腫瘍接種を行った。
【0351】
腫瘍の移植と成長
マトリゲルと混合したPBS中(1:1)のNCI-N87腫瘍細胞(1×107)を、腫瘍形成のために、それぞれのマウスに、右上脇腹領域に、皮下接種した。腫瘍接種後、罹病率及び死亡率について、前記動物を毎日チェックした。通常のモニタリングの間、行動、例えば、運動性、摂餌量及び摂水量、体重の増加/減少(体重は、無作為化後、1週間に2回測定する)、眼/毛の艶の無さ(eye/hair matting)、及び任意の他の異常、への、腫瘍増殖の及び治療の効果について、前記動物をチェックした。個々の動物について、死亡率及び観察された臨床的な徴候を、詳細に記録した。
【0352】
腫瘍体積は、無作為化後、1週間に2回、ノギスを用いて2次元で測定し、前記体積を、以下の公式を用いて、mm3で表した:V=(L×W×W)/2[式中、Vは腫瘍の体積であり、Lは腫瘍の長さ(最も長い腫瘍の寸法)であり、Wは腫瘍の幅(Lに対して垂直な、最も長い腫瘍の寸法)]。投与、並びに腫瘍及び体重の測定を、ラミナー・フロー・キャビネット(Laminar Flow Cabinet)の中で行った。
【0353】
体重及び腫瘍体積を、Study Director TMソフトウェア(バージョン3.1.399.19)を用いて測定した。
【0354】
平均腫瘍サイズが約183 mm3に達した時点で、無作為化を開始した。全部で35匹のマウスを本試験に登録し、表7に示すように、5つの試験群に無作為に割り付け、1群あたり7匹のマウスを用いた。「マッチド分布(Matched distribution)」方法(Study Director TMソフトウェア、バージョン3.1.399.19)に基づいて、無作為化を行った。無作為化した日を、1日目として示した。
【0355】
被験物質
投与溶液は、試験ごとに1回調製し、遮光して、4℃で保存した。投与体積を、10 mL/kg(0.200mL/20gマウス)とし、実際の体重に応じて体積を調整した。
【0356】
処置
治療プランを表7に示す。被験物質及びコントロールを、それぞれ、OBT076についてはD1に、オキサリプラチンについてはD1、D2及びD3に、静脈注射投与(i.v.)を介して投与した。投与体積=10 μL/gを、個々の動物の直近の重量に合わせた。
【0357】
【表8】
【0358】
腫瘍増殖遅延(tumor growth delay)
各々の動物を、その腫瘍が3000 mm3体積エンドポイントに達したとき、腫瘍進行(tumor progression (TP))を理由に安楽死させた。各々のマウスについてのエンドポイントまでの期間(time to endpoint(TTE))を、以下の式で計算した: TTE = log(エンドポイント体積)-b/m。ここで、bは、対数変換された腫瘍増殖データ・セットの線形回帰によって得られた線の切片であり、mは、その傾きである。前記データ・セットは、本試験のエンドポイント体積を超えた最初の観察と、前記エンドポイント体積を達成する直前の3つの連続した観察とから、構成される。エンドポイントに達しなかった動物は、本試験の終了時に安楽死させ、本試験の最終日に等しいTTE値を割り当てた。治療-関連(treatment- related (TR))の原因から死亡したと決定された動物は何れも、死亡日に等しいTTE値を割り当てた。非-治療-関連(non-treatment-related (NTR))の原因から死亡した動物は何れも、本解析から除外した。
【0359】
治療アウトカム(treatment outcome)を、腫瘍増殖遅延(tumor growth delay (TGD))(これは、コントロール群と比較した治療群についての、TTEのメジアンの増加、として定義される:TGD = T-C、日にちとして表される、として、又はコントロール群のTTEのメジアンのパーセンテージ %TGD = T-C/C x 100、として、定義される、ここで、T = 治療群のTTEのメジアン、C = コントロール群のTTEのメジアン、である)から評価した。
【0360】
腫瘍体積のメジアン及び退縮応答の基準
治療有効性を、最終日に、本試験で残っている動物の腫瘍体積から、及び退縮応答の数から、決定することがある。MTV(n)を、腫瘍が体積エンドポイントに達していない、残っている動物数nにおける、腫瘍体積のメジアン、として定義した。
【0361】
治療によって、動物において、腫瘍の、部分的退縮(partial regression (PR))、又は完全退縮(complete regression (CR))が引き起こされることがある。PR応答では、前記腫瘍体積は、本試験の過程の中での3回の連続した測定の間、そのD1体積の50%以下であり、且つこれらの3回の測定のうちの1回以上について13.5 mm3以上である。CR応答では、前記腫瘍体積は、本試験の過程の中での3回の連続した測定の間、13.5 mm3 未満である。
【0362】
毒性
動物の体重を、毎日、1から5日目に測定し、その後、本試験の終了まで週2回測定した。群の平均BWの最低値を、群内の動物の50%超が本試験を終了する前に、決定した。前記マウスを、健康、及び顕性化した任意の有害なTR副作用の徴候、について頻繁に観察し、観察された場合には、臨床的観察を記録した。許容可能な毒性を、本試験中での群平均BWの20%未満の減少、及び10%以下のTR死、として定義した。これより大きな毒性をもたらす投薬レジメンは、最大忍容用量(maximum tolerated dose (MTD))を上回るものとして見なされる。死亡は、臨床的徴候及び/又は剖検によって証明されるような治療副作用に起因する場合、又は投与期間中若しくは最終投与後14日以内の良く分からない要因による場合、TRとして分類した。1回の測定で30%を超える、又は3回の測定で25%を超える、体重喪失があった全ての動物を、TR死亡として、健康のために安楽死させた。死亡は、前記死亡が治療副作用に関連するという証拠、及び前記死亡が投与後14日を超えて起こったという証拠、が無い場合、NTRとして分類した。NTR死亡を、更に、NTRa(事故又はヒューマン・エラーによる)、NTRm(剖検により確認された、浸潤又は転移による、腫瘍の播種による)、又はNTRu(良く分からない要因による)、に分類した。
【0363】
【表9】
【0364】
統計解析
事前に指定された日の異なる群の腫瘍体積を比較するために、我々は、まず、バートレット(Bartlett)検定を使用して、全ての群間での分散の均一性の仮定をチェックした。バートレット(Bartlett)検定のp値が≧0.05である場合、我々は、一元配置ANOVAを行って、全ての群間での全体的な平均の同一性を検定した。一元配置分散分析のp値が<0.05である場合、全てのペアワイズ(pairwise)比較についてのテューキー(Tukey)HSD(真の有意差(honest significant difference))検定、及び各々の治療群を媒体群と比較するためのダネット(Dunnett)検定、を実行することによって、ポスト・ホックな検定(post hoc testing)を更に実施した。バートレット(Bartlett)検定のp値が<0.05の場合、我々は、クラスカル-ワリス(Kruskal-Wallis)検定を実施し、全ての群間での全体的なメジアンの同一性を検定した。クラスカル-ワリス(Kruskal-Wallis)検定のp値が<0.05であった場合、我々は、更に、全てのペアワイズ(pairwise)比較についての、又は各々の治療群を媒体群と比較するための、両方とも単一ステップのp値調整を行って、コノバー(Conover)ノン-パラメトリック検定、を実行することによって、ポスト・ホックな検定(post hoc testing)を更に実施した。全ての統計解析を、統計計算とグラフィックスのための、R-a言語と環境 (バージョン3.3.1)、で行った。特に断りのない限り、全ての試験は、両側試験であり、<0.05というp値は、統計的に有意であるとみなした。
【0365】
表8及び図6から分かるように、OBT076(抗LY75)及びオキサリプラチンの組合せを投与したマウスは、OBT076又はオキサリプラチンの何れか単独を投与したマウスと比較して、腫瘍増殖遅延が有意に改善した。
【0366】
更に、下表9から分かるように、OBT076及びオキサリプラチンの組合せを投与したマウスは、本試験を終了した81日目まで、全て生存したが、OBT076又はオキサリプラチンの何れかを単独で投与したマウス群では、それぞれ、~29%及び~71%が死亡した。
【表10】
【0367】
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図3-6】
図3-7】
図3-8】
図3-9】
図3-10】
図3-11】
図3-12】
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6
【配列表】
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【国際調査報告】