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特表2024-540463クイックカプラー自動ロック機構および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】クイックカプラー自動ロック機構および方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
E02F3/40 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529273
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022050017
(87)【国際公開番号】W WO2023096788
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】17/533,731
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、マーク ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ステフェック、トレント アール.
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012HA03
(57)【要約】
クイックカプラー自動ロック機構および方法を提供する。クイックカプラー(400)、およびクイックカプラーと作業ツール(500)とを結合および分離する方法が開示される。クイックカプラーは、フレーム(410)、シリンダ(420)、一次ブロック部材(430)、二次ブロック部材(440)、付勢部材(450)、およびコントローラを含む。結合方法は、自動ロック状態(図9B図9D)をアクティブにするステップと、第2ツールピン(520)を(フック412)内に自動的にロックするステップと、第1ツールピン(510)はノッチ(411)に入るステップと、ロック済み状態(図9E)をアクティブにするステップと、を含む。分離方法は、自動ロック状態をアクティブにするステップと、作業ツールを表面に置くステップと、アンロック状態(図9A)をアクティブにするステップと、クイックカプラーと作業ツールを分離するステップと、を含む。有利なことに、クイックカプラーは、シリンダを動作させることなく、第2ツールピンを自動的にロックすることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クイックカプラー(400)であって、
フレーム(410)であって、
チャンバ(4112)を画定し、第1ツールピン(510)を受け入れるように構成された口(4111)を有するノッチ(411)と、
凹部(4122)を画定し、第2ツールピン(520)を受け入れるように構成された入口(4121)を有するフック(412)と、を含む、前記フレーム(410)と、
キャップ端(421)およびロッド端(422)を有するシリンダ(420)と、
前記第1ツールピンを前記ノッチ内でロックおよびアンロックするように構成された一次ブロック部材(430)であって、前記一次ブロック部材は、前記シリンダの前記キャップ端および前記ロッド端の一方に取り付けられている、前記一次ブロック部材と、
前記第2ツールピンを前記フック内でロックおよびアンロックする二次ブロック部材(440)であって、前記二次ブロック部材は、前記シリンダの前記キャップ端および前記ロッド端の他方に取り付けられている、前記二次ブロック部材と、
前記二次ブロック部材をロック位置に向けて付勢する付勢部材(450)と、
コントローラと、を含み、
前記クイックカプラーは、前記シリンダを動作させることなく、前記第2ツールピンを前記フック内で自動的にロックするように構成されている、クイックカプラー(400)。
【請求項2】
前記カプラーは、ロック済み状態(図9E)で動作可能であり、
前記シリンダは伸長しており、
前記一次ブロック部材は、ロック位置にあり、前記第1ツールピンが前記ノッチに出入りするのを防止し、また、
前記二次ブロック部材は前記ロック位置にあり、前記第2ツールピンが前記フックに出入りするのを防止し、
前記カプラーは、アンロック状態(図9A)で動作可能であり、
前記シリンダは後退しており、
前記一次ブロック部材はアンロック位置にあり、前記第1ツールピンが前記ノッチに自由に出入りできるようにし、また、
前記二次ブロック部材はアンロック位置にあり、前記第2ツールピンが前記フックに自由に出入りする、請求項1に記載のクイックカプラー。
【請求項3】
前記クイックカプラーは、自動ロック状態(図9B図9D)で動作可能であり、
前記一次ブロック部材はアンロック位置にあり、また、
前記二次ブロック部材はロック位置にあり、付勢部材の付勢力に打ち勝った場合、二次ブロック部材は第2ツールピンがフックに入るのを許容し、前記二次ブロック部材は、第2ツールピンがフックから出るのを防止する、請求項1に記載のクイックカプラー。
【請求項4】
前記二次ブロック部材はさらに、
ロッカー(4401)と、
前記ロッカーに回転可能に取り付けられ、前記フレームに枢動可能に取り付けられる二次ロック(4402)と、を含み、
前記二次ロックの枢動により、前記二次ブロック部材は前記ロック位置と前記アンロック位置との間で移動し、またその逆も同様である、請求項1に記載のクイックカプラー。
【請求項5】
さらに、
キャップ端、ロッド端、およびタンク(602)を動作可能に接続するフロート位置(図10B)を有する方向制御アセンブリ(610)を含む油圧アセンブリ(600)を含み、
前記方向制御アセンブリは、前記カプラーの前記ロック済み状態、前記アンロック状態、および前記自動ロック状態を動作可能にする、請求項1に記載のクイックカプラー。
【請求項6】
前記油圧アセンブリは、
前記キャップ端、前記ロッド端、前記タンク、およびポンプに動作的に接続された4方向3位置方向制御弁(610a)と、
前記ポンプの下流かつ前記方向制御弁の上流にある第1バネ逆止弁(620)と、
前記制御弁の下流かつ前記キャップ端の上流にある第1パイロット動作逆止弁(640)と、をさらに含む、請求項5に記載のクイックカプラー。
【請求項7】
前記油圧アセンブリは、
前記方向制御弁の下流かつ前記ロッド端の上流にある減圧弁(660)と、
前記ロッド端の下流かつ前記方向制御弁の上流側にあり、前記減圧弁と並列に接続された第2バネ逆止弁(670)と、
前記減圧弁の下流かつ前記ロッド端の上流にある第2パイロット動作逆止弁(650)と、
前記ロッド端の下流かつ前記第2バネ逆止弁の上流にあり、前記第2パイロット逆止弁と並列に接続された圧力リリーフ弁(680)と、をさらに含む、請求項6に記載のクイックカプラー。
【請求項8】
請求項1に記載のクイックカプラーに作業ツール(500)を結合する方法であって、
前記カプラーの自動ロック状態(図9B~9D)をアクティブにするステップと、
前記カプラーを操作して、前記カプラーのシリンダを動作させることなく、前記作業ツールの第2ツールピンを前記カプラーのフック内で自動的にロックし、それにより、
前記第2ツールピンは、前記二次ブロック部材をロック位置からアンロック位置へ移動させ、
前記第2ツールピンは前記フックに入り、また、
前記二次ブロック部材は前記ロック位置に戻り、
前記第1ツールピンは前記カプラーのノッチに入る、ステップと、
前記カプラーのロック済み状態(図9E)をアクティブにするステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記自動ロック状態をアクティブにする前に、
前記カプラーをカールさせるステップと、
カプラースイッチ(19a)を一時アンロック設定に切り替えるステップと、
前記カプラーのアンロック状態(図9A)をアクティブにするステップと、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
さらに、
前記付勢部材は、前記二次ブロック部材を前記ロック位置に向けて付勢するステップを含み、
前記アンロック状態をアクティブにする前記ステップは、
前記カプラーのシリンダが後退することにより、
前記一次ブロック部材は、前記一次ブロック部材のアンロック位置に移動し、
前記二次ブロック部材は、前記アンロック位置に移動することを含み、
前記自動ロック状態をアクティブにする前記ステップは、
前記シリンダへの油圧を減圧することにより、
前記一次ブロック部材は、前記アンロック位置に留まり、
前記二次ブロック部材は、前記ロック位置に移動することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に作業機械用の付属品および作業ツールに関するものであり、より具体的には、自動ロック機構を有するクイックカプラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クイックカプラーは、作業機械の中間付属品であり、これにより機械が異なる作業ツールを効率的に切り替えることができる。クイックカプラーを作業機械のアームに直接接続することができる。この作業機械は、掘削機、バックホー、フロントエンドローダーであってもよい。カプラーは移動可能であり、作業機械の1つまたは複数の油圧シリンダによって動作することができる。バケット、ハンマー、オーガー、グラップル、その他多くの作業ツールは、カプラーのロック機構を介してクイックカプラーに接続できる。作業ツールは、作業機械によって操作され、および/またはアームに直接接続されているかのように同じ可動範囲を有してもよい。有利なことに、クイックカプラーへの作業ツールの取り付けおよび取り外しは、作業機械への直接の取り付けまたは取り外しよりもはるかに迅速かつ容易であり得る。また、クイックカプラーは、さまざまなメーカーの作業ツールでさえ、幅広い作業ツールとインターフェースすることができる。
【0003】
ピングラバーカプラーは、ピンオン作業ツールと相互作用するように構成されたクイックカプラーの一種である。具体的には、作業ツールの1つまたは複数のツールピンを、ピングラバーカプラーの1つまたは複数のロックゾーンにそれぞれロックすることができる。多くの従来技術の設計では、ロックゾーンおよびその中のロック機構は単一のアクチュエータによって制御され、この構成は単純で効率的ではあるが、欠点がある可能性がある。
【0004】
例えば、多くの従来技術のカプラーは、ツールをカプラーに安全に取り付けるために、作業機械のオペレータが一連の動作を正確に実行することを必要とする。まず、最初にツールを「つかむ」には、ツールを作業機械に関して特定の場所に配置する必要がある場合がある。作業ツールが遠くに位置しすぎたり、高すぎたり、重心やピンの向きに対して角度が不適切な場合、オペレータは最初にツールまたは機械の位置を変更する必要がある場合がある。さらに、いくつかの従来技術の設計によれば、作業ツールが「掴まれた」後、ロック機構が完全にロックされるまでの間、作業ツールが完全に固定されない可能性があり、繊細なオペレータ制御の必要性がさらに強調される。したがって、このようなシングルアクチュエータのカプラーは潜在的に危険な状況を引き起こす可能性があり、作業機械のオペレータ側にエラーの余地がほとんどある。
【0005】
従来技術の他のピングラバーカプラーは、カプラーによって提供されるロック機構およびロックアクチュエータの数を増やすことによって上記の欠点を改善しようと試みている。このような設計において、カプラーは、最初に独立して、作業ツールの第1ツールピンにロックし、その後の結合操作の容易性および安全性を向上させることができる。このような例の1つは、トーマス・フリードリッヒによって発明され、キンショファーGMBHに譲渡された米国特許第10,323,379号に開示されている。具体的には、フリードリッヒは、ツール付属品の第1ロック部および第2ロック部をそれぞれ受け入れるように構成された結合マウントおよびロックマウントを備えた作業機械用のクイックカプラーを教示する。固定要素は、結合マウントに関連付けられており、固定要素調整アクチュエータによって独立して動作してもよい。また、ロック要素はロックマウントに関連付けられており、ロック要素調整アクチュエータによって独立して動作してもよい。このように、フリードリッヒは、作業ツールの第1ロック部分または第2ロック部分のいずれかを独立してカプラーに取り付けることができる。
【0006】
残念ながら、フリードリヒは、固定要素とロック要素の独立した動作を実現するために、追加のアクチュエータと関連する油圧インフラストラクチャも必要とし、それによってそれらの設計のコストと複雑さが増加する。一方、従来技術のシングルアクチュエータカプラーは、設計および製造がはるかに簡単であるが、作業機械のオペレータ側により複雑な操作を要求する。
【0007】
したがって、当該技術分野においては、作業ツールの単一のツールピンに独立して自動的にロックすることができ、それによってカプラーの複雑さとコストを不当に増加させることなく結合を簡素化し、保護することができるシングルアクチュエータクイックカプラーに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様によれば、クイックカプラーが開示される。前記クイックカプラーは、チャンバを画定し、第1ツールピンを受け入れるように構成された口を有するノッチと、凹部を画定し、第2ツールピンを受け入れるように構成された入口を有するフックと、を含むプレームを含む。前記クイックカプラーは、キャップ端およびロッド端を有するシリンダと、前記第1ツールピンを前記ノッチ内でロックおよびアンロックするように構成された一次ブロック部材であって、前記一次ブロック部材は、前記シリンダの前記キャップ端および前記ロッド端の一方に取り付けられている、前記一次ブロック部材と、前記第2ツールピンを前記フック内でロックおよびアンロックするように構成された二次ブロック部材であって、前記二次ブロック部材は、前記シリンダの前記キャップ端および前記ロッド端の他方に取り付けられている、前記二次ブロック部材と、前記二次ブロック部材をロック位置に向けて付勢する付勢部材と、コントローラと、をさらに含む。前記クイックカプラーは、シリンダを動作させることなく、第2ツールピンをフック内で自動的にロックできる。
【0009】
本開示の第2態様によれば、作業ツールとクイックカプラーとを結合する方法が開示される。前記方法は、まず、カプラーの自動ロック状態をアクティブにするステップを含む。前記方法は、前記カプラーを操作して、前記カプラーのシリンダを動作させることなく、前記作業ツールの第2ツールピンを前記カプラーのフック内で自動的にロックし、それにより、前記第2ツールピンは、前記二次ブロック部材をロック位置からアンロック位置に移動させ、前記第2ツールピンは前記フックに入り、また、前記二次ブロック部材は、前記ロック位置に戻るステップをさらに含む。前記方法は、前記第1ツールピンが前記カプラーのノッチに入るステップと、前記カプラーのロック済み状態をアクティブにするステップと、をさらに含む。
【0010】
本開示の第3態様によれば、作業ツールとクイックカプラーとを分離する方法が開示される。前記方法は、カプラーの自動ロック状態をアクティブにするステップを含む。前記方法は、前記ツールを操作して、前記カプラーのシリンダを動作させることなく、前記加ツールを前記表面に置くステップをさらに含み、第1ツールピンは前記カプラーのノッチからが出て、第2ツールピンが前記カプラーのフックから出ることを防止する。前記方法は、前記カプラーのアンロック状態をアクティブにするステップと、カプラーを作業ツールから完全に分離するステップと、をさらに含む。
【0011】
本開示のこれらおよび他の態様および特徴は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を読んだ後に、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態によるクイックカプラーと併せて使用される例示的な作業機械を示す図である。
図2】本開示の別の実施形態によるアンロック状態にあるクイックカプラーの図である。
図3】本開示の一実施形態によるクイックカプラーの油圧アセンブリの概略図である。
図4】本開示の別の実施形態による油圧アセンブリの概略図である。
図5】本開示の別の実施形態による油圧アセンブリの概略図である。
図6】本開示の別の実施形態による油圧アセンブリの概略図である。
図7】本発明の一実施形態による作業ツールをクイックカプラーに結合する方法の概要を示すフローチャートである。
図8】本開示の別の実施形態によるクイックカプラーから作業ツールを分離する方法の概要を示すフローチャートである。
図9A図7に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図9B図7に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図9C図7に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図9D図7に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図9E図7に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図10A図7に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
図10B図7に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
図10C図7に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
図10D図7に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
図11A図8に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図11B図8に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図11C図8に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図11D図8に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図11E図8に示す方法中のクイックカプラーの1つまたは複数の動作を示す図である。
図12A図8に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
図12B図8に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
図12C図8に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
図12D図8に示す方法中の油圧アセンブリの1つまたは複数の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで図面を参照し、特に図1を参照すると、作業機械の図は全体的に参照番号1で示されている。作業機械1は掘削機として示されているが、代わりに、ミニ掘削機、バックホー、フロントローダ、トラクタローダ、または建設、鉱山、土木移動、および/または農業用途で使用される同等の機械であってもよい。作業機械1は、具体的には、フレーム11と、フレーム11によって支持される原動機12またはエンジンと、フレーム11を支持し原動機12によって動作駆動される機関車13とを含んでもよい。
【0014】
作業機械1は、ブーム、スティック、ディッパー、および他の可能な付属品のうちの1つまたは複数を含むインプルメントアーム20をさらに含んでもよい。インプルメントアーム20は、例えば、1つまたは複数の油圧アクチュエータまたはシリンダを介して油圧動力システム30によって動作制御されてもよい。図示の実施形態では、具体的には、インプルメントアーム20は、フレーム11の近位端に枢動可能に取り付けられ、フレーム11に対してブーム21を昇降させるブームアクチュエータ31によって動作可能なブーム21を含んでもよい。また、インプルメントアーム20は、ブーム21の遠位端に近位端で枢動可能に接続され、スティック22をブーム21に対して枢動させるスティックアクチュエータ32によって動作可能なスティック22をさらに含んでもよい。
【0015】
引き続き図1を参照すると、クイックカプラー400は、スティック22の遠位端に接続され、スティック22に対してカプラー400を枢動させる1以上のツールアクチュエータ33によって動作可能であってもよい。より具体的には、カプラー400は、第1スティックピン221によりスティック22に枢動可能に接続されていてもよい。そして、ツールアクチュエータ33は、第2スティックピン222に結合されたパワーリンク23によって前記カプラー400に動作可能に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、クイックカプラー400は、具体的には、ピンオン作業ツールに関連付けられるように構成されたピングラバーカプラー400aであってもよい。
【0016】
引き続き図1を参照すると、クイックカプラー400は、作業ツール500を受け入れるように構成されていてもよく、作業ツール500は、カプラー400を介して、インプルメントアーム20と油圧動力システム30とによって動作可能に操作されてもよい。いくつかの実施形態では、作業ツール500は、具体的には、ピングラバーカプラー400aに関連付けられるように構成されたピンオン作業ツール500aであってもよい。また、作業ツール500は、バケットとして図示されているが、これは単なる例であり、ツール500は、代わりに、グラップル、ハンマー、コンパクター、爪、ブレード、または当技術分野で一般的な多くの他のツールおよび付属品のうちの1つであってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、インプルメントアーム20およびその付属品の他の構成、およびクイックカプラー400を接続および操作する他の方法も可能である。
【0017】
次に、図2に移行して、クイックカプラー400の図をより詳細に説明する。クイックカプラー400は、フレーム410と、シリンダ420と、一次ブロック部材430と、二次ブロック部材440と、付勢部材450と、コントローラ(図示しない)とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カプラー400は、油圧アセンブリ600をさらに含んでもよい。フレーム410は、一対のポート401と、ノッチ411と、フック412とを含んでもよい。ポート401は、作業機械1の第1スティックピン221および第2スティックピン222を受け入れるように構成されてもよい。ノッチ411は、口4111を有し、チャンバ4112を画定してもよい。さらに、ノッチ411は、作業ツール500の第1ツールピン510を受け入れるように構成されてもよい。フック412は、入口4121を有し、凹部4122を画定してもよい。さらに、フックは、作業ツール500の第2ツールピン520を受け入れるように構成されてもよい。
【0018】
クイックカプラー400は、キャップ端421およびロッド端422を有するシリンダ420をさらに含んでもよい。シリンダ420のキャップ端421またはロッド端422のいずれかには、一次ブロック部材430が取り付けられてもよい。そして、前記第1ツールピン510を前記フレーム410のノッチ411内でロックおよびアンロックするように構成されてもよい。キャップ端421およびロッド端422の他方には、二次ブロック部材440が取り付けられてもよい(すなわち、前記一次ブロック部材430に取り付けられていない端部と、前記フレーム410のフック412内の前記第2ツールピン520をアンロックするように構成されてもよい。一次ブロック部材430はロッド端422に取り付けられるように示され、二次ブロック部材440はキャップ端421に取り付けられるように示されるが、他の実施形態では、これらの取り付けは逆にすることができ、すなわち、シリンダ420を逆にすることができる。
【0019】
一実施形態では、一次ブロック部材430は、具体的には、ウェッジ4301とタブ4302とを含んでもよく、前記シリンダ420の端部に回転可能に取り付けられてもよい。図2に示す実施形態では、ウェッジ4301は、回転軸W1を中心に回転可能にロッド端422に取り付けてもよく、前記タブ4302は、前記第1ツールピン510を前記ノッチ411内でロックおよびアンロックするように構成されていてもよい。しかしながら、一次ブロック部材430の他の構成も可能であることは理解されるべきである。限定されないが、一次ブロック部材430は、代わりに、または追加的に、ロッカー、フック、キャッチ、および他の可能なロック機構を含んでもよく、代わりに、一次ブロック部材430は、シリンダ420のキャップ端421に接続されてもよい。一次ブロック部材430は、フレーム410との接続部を含んでもよい。
【0020】
一実施形態では、二次ブロック部材440は、具体的には、ロッカー4401と、二次ロック4402とを含んでもよく、前記シリンダ420の他端に回転可能に取り付けられてもよい。図2に示す実施形態では、ロッカー4401は、回転軸R1を中心に回転可能にキャップ端421に取り付けられ、かつ、枢動軸R2を中心に枢動可能にフレーム410に取り付けられていてもよい。同じまたは他の実施形態では、二次ロック4402は、回転軸S1を中心に回転可能にロッカー4401に取り付けられ、かつ、枢動軸S2を中心に枢動可能にフレーム410に取り付けられていてもよい。前記二次ロック4402は、前記第2ツールピン520を前記フック412内でロックおよびアンロックするように構成されていてもよい。より具体的には、二次ロック4402の枢動により、二次ブロック部材440をロック位置とアンロック位置との間で移動させてもよい(またその逆も同様)。しかしながら、二次ブロック部材440の他の構成も可能であることは理解されるべきである。限定されないが、二次ブロック部材440は、代わりに、または追加として、くさび、タブ、フック、キャッチ、および他の可能なロック機構を含んでもよく、代わりに、二次ブロック部材440をシリンダ420のロッド端422に接続してもよく、および/または二次ブロック部材440は、フレーム410との代替接続を含んでもよい。
【0021】
引き続き図2を参照すると、付勢部材450は、二次ブロック部材440をロック位置に向けて付勢してもよい。図示の実施形態例では、付勢部材450は、フレーム410に取り付けられ、ロッカー4401に付勢力を伝達するように構成されたバネ450aであってもよいが、他の付勢装置および設計も可能である。
【0022】
クイックカプラー400は、ロック済み状態、アンロック状態、および自動ロック状態を含む少なくとも3つの状態のうちの1つで動作可能であってもよい。各状態については、それぞれ図9E図9A図9B図9Dを参照してより詳細に説明する。
【0023】
ロック済み状態において、図9Eで最もよく示されているように、シリンダ420は部分的にまたは完全に伸長してもよい。したがって、一次ブロック部材430はロック位置にあってもよく、第1ツールピン510がノッチ411に出入りするのを防止してもよい。図示の実施形態では、一次ブロック部材430は、ロッド端422に接続されたウェッジ4301とタブ4302とを含んでもよい。したがって、シリンダ420は、タブ4302がノッチ411の口4111をブロックするように伸長してもよい。同様に、ロック済み状態において、二次ブロック部材440はロック位置にあり、第2ツールピン520がフック412に出入りするのを防止してもよい。図示の実施形態では、二次ブロック部材440は、ロッカー4401と、キャップ端421に接続された二次ロック4402とを含んでもよい。したがって、シリンダ420は、ロッカー4401が枢動軸R2を中心に反時計回り(CCW)に枢動し、二次ロック4402が枢動軸S2を中心に時計回り(CW)に枢動して、フック412の入口4121をブロックするように伸長されてもよい。回転方向(すなわち、CW、CCW)は、明確にするためにのみ示されており、図9A図9Eに示されている基準フレームに関してのみ行われており、他の基準フレームでは他の方向および回転も可能であることを理解されたい。
【0024】
アンロック状態では、図9Aで最もよく示すように、シリンダ420は部分的にまたは完全に後退してもよい。したがって、一次ブロック部材430は、アンロック位置にあり、第1ツールピン510がノッチ411に自由に出入りしてもよい。図示の実施形態では、一次ブロック部材430は、ロッド端422に接続されたウェッジ4301とタブ4302とを含んでもよい。したがって、タブ4302がノッチ411の口4111のブロックを解除するように、シリンダ420を後退させてもよい。同様に、アンロック状態において、二次ブロック部材440は、アンロック位置にあり、第2ツールピン520がフック412に自由に出入りしてもよい。図示の実施形態では、二次ブロック部材440は、ロッカー4401と、キャップ端421に接続された二次ロック4402とを含んでもよい。したがって、ロッカー4401が枢動軸R2を中心に時計回りに枢動され、二次ロック4402が枢動軸S2を中心に反時計回りに枢動されて、フック412の入口4121のブロックが解除されるように、シリンダ420を後退させてもよい。
【0025】
本開示は、自動ロック状態を説明する前に、油圧アセンブリ600について簡単に説明することが有益である。様々な実施形態では、特定の用途要件に応じて、カプラー400内に配置されてもよく、(図2に見られるように)カプラー400内に部分的に配置されてもよく、またはカプラー400の外部に配置されてもよい。図3を参照すると、油圧アセンブリ600は、具体的には、キャップ端421、ロッド端422、ポンプ601、およびタンク602のうちの1つまたは複数に制御可能に接続された方向制御アセンブリ610を含んでもよい。方向制御アセンブリ610は、カプラー400のロック済み状態に対応して、それを動作可能にする第2位置、カプラー400のアンロック状態に対応し、それを動作可能にする第3位置、カプラーの自動ロック状態に対応してカプラーの自動ロック状態を動作可能にするフロート位置で動作可能であってもよい。図示の実施形態では、方向制御アセンブリ610は、4方向3位置方向制御弁610aを含んでもよい。また、同じまたは他の実施形態では、方向制御弁610aは、電磁制御されてもよい。他の実施形態では、4方向4位置方向制御弁、4方向5位置方向制御弁、2つの4方向2位置方向制御弁などを用いて代替的に構成されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、さらに他の可能な設計も可能である。
【0026】
カプラー400のロック済み状態において、方向制御アセンブリ610は第2位置で動作してもよい。したがって、ポンプ601をキャップ端421に接続し、タンク602をロッド端422に接続してシリンダ420を伸長させてもよい。
【0027】
カプラー400のアンロック状態において、方向制御アセンブリ610は、第3位置で動作してもよい。したがって、ポンプ601をロッド端422に接続し、タンク602をキャップ端421に接続して、シリンダ420を後退させることができる。
【0028】
カプラー400の自動ロック状態において、図9で最もよく示すように、方向制御アセンブリ610は、図3に示すフロート位置で動作してもよい。したがって、方向制御アセンブリ610は、キャップ端421、ロッド端422、およびタンク602を動作可能に接続し、それによって、シリンダ420に付与される油圧のすべてではないにしても、ほとんどを除去してもよい。このような条件では、外力がなければ、シリンダ420は自動ロック状態が作動する前の位置と同様の位置に留まり、一次ブロック部材430および二次ブロック部材440も同様に以前の位置に留まってもよい。
【0029】
しかしながら、自動ロック状態において、付勢部材450は、二次ブロック部材440をロック位置に移動させるように二次ブロック部材440を付勢する。付勢部材450は、カプラー400のすべての動作状態において付勢力を与えてもよいが、ロック済み状態およびアンロック状態においては、油圧によってその力を消滅させてもよいと理解できる。一実施形態では、付勢部材450は、バネ450aであり、二次ブロック部材は、ロッカー4401と、二次ロック4402とを含んでもよい。したがって、バネ450aは、ロッカー4401を付勢して枢動軸R2を中心に反時計回りに回転させ、二次ロック4402が枢動軸S2を中心に時計方向に枢動してフック412の入口4121をブロックしてもよい。
【0030】
さらに、付勢部材450の付勢力に打ち勝った場合、二次ブロック部材440は、第2ツールピン520がフック412に入るのを可能にしてもよい。言い換えれば、オペレータは、カプラー400を移動させて第2ツールピン520をフック412内に強制的に受け入れることによって、二次ブロック部材440を強制的に開いてもよい。第2ツールピン520がフック412に入ると、二次ブロック部材440はロック位置に戻り、第2ツールピン520がフック412から出るのを防止してもよい。言い換えれば、カプラー400は、自動ロック状態において、シリンダ420の動作を行わずに、第2ツールピン520をフック412内で自動的にロック可能であってもよい。いくつかの実施形態では、二次ブロック部材440は、出る方向にどのような力が加わっても二次ブロック部材440をアンロック位置に移動させることができないように構成されてもよい。
【0031】
自動ロック状態において、カプラー400が自動ロック状態に入る前に、一次ブロック部材430はその位置を保持してもよい。例えば、前の状態がアンロック状態であった場合、一次ブロック部材430は、アンロック位置にとどまってもよい。いくつかの実施形態では、自動ロック状態において、一次ブロック部材430が常にアンロック位置になるように、自動ロック状態の前に常にアンロック状態が行われてもよい。さらに他の実施形態では、一次ブロック部材430は、カプラー400の以前の状態に関係なく、自動ロック状態の間、アンロック位置にあってもよい。
【0032】
次に、図3図6を参照して、油圧アセンブリ600のいくつかの実施形態についてより詳細に説明する。前述したように、アセンブリ600は、カプラー400の内部に部分的または完全に配置されてもよい。本開示の目的において、「下流」および「上流」という用語は、各コンポーネントの方向性を指す場合があり、つまり、逆止弁は「下流」方向への流体の流れのみを許可する場合がある。
【0033】
図3に示すように、油圧アセンブリ600は、キャップ端421、ロッド端422、ポンプ601およびタンク602に動作可能に接続された方向制御アセンブリ610を含んでもよい。一実施形態では、方向制御アセンブリ610は、具体的には、4方向3位置方向制御弁610aを含んでもよい。加えて、油圧アセンブリ600は、ポンプ601の下流かつ方向制御アセンブリ610の上流にある、バネ逆止弁であってもよい第1逆止弁620を含んでもよい。一実施形態では、固定オリフィスであってもよい流量制御要素630が、第1逆止弁620と方向制御アセンブリ610の上流との間に配置されてもよい。アセンブリ600は、方向制御アセンブリ610の下流かつキャップ端421の上流で第1パイロット動作(PO)逆止弁640をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、図3に示す油圧アセンブリ600は、ピングラバーカプラー型のクイックカプラー用の自動ロック機構を実現するのに適していてもよい。
【0034】
ここで図4を参照すると、油圧アセンブリ600の別の実施形態が示されている。具体的には、油圧アセンブリ600は、少なくとも図3に示す要素を含んでもよく、ロッド端422の下流かつ方向制御アセンブリ610の上流に配置され、キャップ端421からパイロット圧力を受ける第2PO逆止弁650をさらに含んでもよい。アセンブリ600は、ロッド端422の下流かつ方向制御アセンブリ610の上流に位置し、第2PO逆止弁650と並列に接続された圧力リリーフ弁680をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2PO逆止弁650は、方向制御アセンブリ610の移行中にシリンダ420のロッド端422からの圧力の瞬間的なブリードを防止してもよい。また、いくつかの実施形態では、図4に示す油圧アセンブリ600は、ピングラバーカプラー型のクイックカプラーの自動ロック機構を実現するのに適していてもよい。
【0035】
ここで図5を参照すると、油圧アセンブリ600の別の実施形態が示されている。具体的には、油圧アセンブリ600は、少なくとも図3に示す要素を含んでもよい。また、アセンブリ600は、方向制御アセンブリ610の下流かつロッド端422の上流で減圧弁660を含んでもよく、ロッド端422の下流かつ方向制御アセンブリ610の上流にある、バネ逆止弁であってもよい、減圧弁660と並列に接続された第2逆止弁670をさらに含む。いくつかの実施形態では、図5に示される油圧アセンブリ600は、あらゆる形式のクイックカプラーの自動ロック機構を実装するのに適してもよい。
【0036】
ここで図6を参照すると、油圧アセンブリ600のさらに別の可能な実施形態が提供されている。アセンブリ600は、少なくとも図5に示す要素を含んでもよい。また、アセンブリ600は、減圧弁660の下流かつロッド端422の上流に位置する第2PO逆止弁650をさらに含んでもよい。さらに、圧力リリーフ弁680は、ロッド端422の下流かつ第2逆止弁670の上流に配置され、第2PO逆止弁650と並列に接続されていてもよい。いくつかの実施形態では、図6に示す油圧アセンブリ600は、あらゆる形式のクイックカプラーの自動ロック機構を実装するのに適してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、圧力リリーフ弁680は、方向制御アセンブリ610がフロート位置で動作しているとき、すなわち、前記カプラー400が自動ロック状態にあるとき、一次ブロック部材430が誤ってドリフトするのを防止してもよい。より具体的には、ロック済み状態と自動ロック状態との間での移行時に、圧力リリーフ弁680は、一次ブロック部材430がロック位置にドリフトするのを防止するためにロッド端422の圧力開放を許容するように構成されてもよいが、付勢部材450が二次ブロック部材440をロック位置に付勢することを可能にする。
【0038】
他の実施形態では、ロック済み状態と自動ロック状態との間での移行時に、図3および図5に示す実施形態のように、摩擦力のみにより一次ブロック部材430を前の位置に保持してもよい。さらに他の実施形態では、ノッチ411がブロックされない状態である限り、自動ロック状態において、一次ブロック部材430が前の位置から若干離れて移動することが許容されてもよい。
【0039】
油圧アセンブリ600は、プロセッサと、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の形でメモリを有するコントローラ(図示せず)によって管理されてもよい。コントローラは、制限なく、ゲートウェイコンピュータ、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、作業機械1のエンジン制御ユニット(ECU)、または油圧アセンブリ600への入力および出力コマンドを受信することができる同等のコンピューティングデバイスであってもよい。コントローラは、作業機械1のオペレータと動作可能に通信してもよく、作業機械1の任意の数の入力デバイス19、例えば、ボタン、ダイヤル、スイッチ、ペダル、ノブ、タッチスクリーン等を介してオペレータからの指示を受け取ってもよい。
【0040】
コントローラは、オペレータおよび/または入力デバイス19から受信された入力に応じて、カプラー400の状態(例えば、ロック済み、アンロック、または自動ロック)を操作的に制御してもよい。一実施形態では、入力デバイス19は、カプラースイッチ19aを含んでもよい。また、同じまたは他の実施形態では、カプラースイッチ19aは、以下の1つまたは複数の設定を含んでもよい。「一時アンロック」、「永久アンロック」、「永久ロック」、および「自動ロック」は、それぞれは以下でより詳細に説明する。
【0041】
開示された設計を採用することにより、追加のアクチュエータを必要とせずに、自動ロック機構を備えたクイックカプラーを改良することができ、それによって、基礎的なコストを増加させることなく、ツール結合プロセスの容易さと安全性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示は、異なるツール付属品の間で切り替えるためにクイックカプラーを採用する任意の数の作業機械において産業上の利用可能性を見出し得る。特定の実施形態では、作業機械は掘削機として示されているが、本開示は、同様に、ミニ掘削機、バックホー、フロントエンドローダー、林業機械、マテリアルハンドラー、および建設、鉱山、土木移動、および/または農業用途で使用される他の同等の車両および機械に適用することができる。さらに、特定の実施形態では作業ツールはバケットとして示されているが、クイックカプラーは、オーガー、ブレード、ベールグラブ、コンパクター、フォーク、ハンマー、グラップル、粉砕機、リッパなどを含むがこれらに限定されない任意の作業ツールのいずれかに取り付けるように構成されてもよい。また、カプラーは、作業機械やさまざまなメーカーや製品ラインの作業ツールと連動してもよい。
【0043】
本明細書に開示された設計を採用することにより、クイックカプラーは、作業ツールの1つのツールピンに自動的にロックされ、ツール取り付けプロセスの全体的な困難性が軽減され、全体的な安全性が向上する。より具体的には、カプラーの自動ロック機構は、作業機械に対してより近い距離および/またはより遠い位置にある作業ツールを「つかむ」ことができ、作業機械に対してより低い標高および/または高い標高に位置し、ツールの重心またはツールピンの向きに対してより大きな角度範囲に位置する作業ツールを「つかむ」ことができる。第1(または第2)ツールピンを固定すると、その後の結合操作中にカプラーと作業ツールとの間が外れる可能性が排除されない場合でも、自動ロック機能が低下する可能性があり、プロセスが機器と作業者の両方にとってより簡単かつ安全になる。さらに、作業ツールをクイックカプラーから分離するとき、オペレータの容易さ、手順の安全性、および機械の可動範囲に関して同じ利点が得られる。
【0044】
上記の改良は、カプラーの複雑さやコストを増大させることなく得られる。より具体的には、本開示のクイックカプラーは、両方のロックゾーン、すなわちノッチとフックを制御する単一の油圧シリンダだけで、第2ツールピンの自動ロック、そして実際には独立したロックを可能にしてもよい。有利なことに、いくつかの実施形態では、既存のクイックカプラーは、その油圧アセンブリへのわずかな修正および/または油圧アセンブリを制御するロジックへの修正を通じて、開示された設計で改造することができる。
【0045】
ここで図7を参照すると、作業ツールをクイックカプラーに結合する方法が全体的に参照番号700で示されている。方法700は、図9A図9Eおよび図10A図10Dを考慮すると最もよく理解され、前者は結合プロセス全体にわたる油圧アセンブリの動作を示す。方法700は、カプラーの自動ロック状態をアクティブにすること(ブロック701)、カプラーを操作して、第2ツールピンをカプラーのフック内で自動的にロックすること(ブロック702)、第1ツールピンがカプラーのノッチに入るステップ(ブロック702)(ブロック703)、カプラーのロック済み状態をアクティブにすること(ブロック704)を含んでもよく、各ステップについては、以下でより詳細に説明する。
【0046】
この方法は、まずカプラーの自動ロック状態を起動すること(ブロック701)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、自動ロック状態は、作業機械1上に配置されてもよく、または遠隔に配置されてもよいカプラースイッチを操作することによってアクティブにされてもよい。例えば、カプラースイッチを「自動ロック」設定に切り替えることにより、自動ロック状態をアクティブにしてもよい。
【0047】
他の実施形態では、自動ロック状態は、オペレータが特定の順序のアクションを実行する場合にアクティブにされてもよい。例えば、オペレータが最初にカプラーをカールさせてカプラースイッチを「一時アンロック」設定に切り替えて、まずカプラーのアンロック状態をアクティブにする場合にのみ、自動ロック状態をアクティブにしてもよい。このような実施形態では、作業機械の車載コンピュータ、カプラーのコントローラ、または別のシステムが、カプラーに自動ロック状態をアクティブにするよう効果的に命令する動作の順序を検出してもよい。他の実施形態では、自動ロック状態をアクティブにするために代替スイッチ、入力、および一連のアクションがプログラムされてもよいが、本明細書では限定を意図しない。最後に、同じまたは他の実施形態では、カプラーは、自動ロック状態をアクティブにする前に、常にアンロック状態に入ってもよい。
【0048】
アンロック状態において、図10Aで最もよく示されるように、方向制御アセンブリは、シリンダのロッド端をポンプに、シリンダのキャップ端をタンクに動作可能に接続する第3位置で動作してもよい。シリンダは、図9Aで最もよく示されるように、一次ブロック部材と二次ブロック部材とがアンロック位置に移動するように後退してもよい。同時に、付勢部材は、前記二次ブロック部材をロック位置に向けて付勢してもよい。しかしながら、カプラーがアンロック状態の場合、付勢部材による力はシリンダの油圧によって打ち消される可能性がある。
【0049】
シリンダを完全に後退させる必要がある時間など、アンロック状態での所定の期間の後、カプラーは自動ロック状態に入ってもよい。したがって、図10Bで最もよく示されるように、方向制御アセンブリは、ロッド端とキャップ端とをタンクに動作可能に接続するフロート位置で動作してもよい。これにより、シリンダへの油圧が低下し、バネの付勢力が消失しなくなる可能性がある。したがって、図9Bで最もよく示されるように、二次ブロック部材は付勢部材によって付勢されてロック位置に移動し、一方、一次ブロック部材はアンロック位置に留まってもよい。
【0050】
ここで図7に戻ると、方法700は、オペレータがカプラーを操作して第2ツールピンをフック内に自動的にロックすること(ブロック702)を含んでもよい。より具体的には、第2ツールピンがフックに入り、第2ブロック部材がロック位置に戻るように、第2ツールピンがロック位置からアンロック位置に移動するようにカプラーを操作してもよい。図9Cに示す実施形態では、第2ツールピンは、ロッカーに回転可能に取り付けられた二次ロックに対して進入力を作用させ、二次ロックを回転させて、二次ブロッキング部材をロック位置からアンロック位置に押し込んでもよい。第2ツールピンがフックに入ると、付勢部材は、二次ブロック部材をロック位置に戻してもよい。いくつかの実施形態では、カプラーは、第2ツールピンによって及ぼされる出口力がどれほどであっても二次ブロック部材をロック状態からアンロック状態に移動させることができないように構成されてもよい。さらに、方法700のブロック702全体を通して、方向制御アセンブリは、図10Bに見られるように、フロート位置で動作し続けてもよい。したがって、シリンダを作動させることなく、第2ツールピンをフック内で自動的にロックしてもよい。
【0051】
再び図7を参照すると、方法700は、第1ツールピンがカプラーのノッチに入ること(ブロック703)をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、このステップは、オペレータが作業ツールを表面から持ち上げてカプラーをカールさせる、すなわち、作業機械のインプルメントアームに対してカプラーを枢動させることを含んでもよい。作業ツールが表面から持ち上げられると、表面によって加えられる法線力が失われ、第2ツールピンによってカプラーのフックからぶら下がる可能性がある。さらに、カプラーがカールすると、カプラーは第2ツールピンの回転軸T1を中心に作業ツールに対して回転するが、作業ツールの向きは重力により比較的変化しないままである。図9Dで最もよく示されるように、第1ツールピンがノッチに自在に入るように、カプラーを作業ツールに対して回転させてもよい。また、ブロック703を通じて、方向制御アセンブリは、再びシリンダをさらに作動させることなく、図10Cに見られるように、フロート位置で動作し続けてもよい。
【0052】
再び図7に戻ると、方法700は、最後に、クイックカプラーのロック済み状態をアクティブにすること(ブロック704)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、カプラースイッチを動作させることにより、例えば「永久ロック」の設定に切り替えることにより、ロック済み状態をアクティブにしてもよい。同じまたは他の実施形態では、ロック済み状態が作動すると、方向制御アセンブリは、図10Dで最もよく示されるように、シリンダのキャップ端をポンプに接続し、シリンダのロッド端をタンクに接続する第2位置で動作してもよい。したがって、図9Eで最もよく示されるように、一次ブロック部材と二次ブロック部材とがロック位置に移動するように、シリンダの一部または全部が延びてもよい。したがって、作業ツールの第1ツールピンと第2ツールピンの両方をカプラーにしっかりと取り付けてもよく、それによって結合プロセスが完了する。
【0053】
上記の実施形態の一部またはすべてにおいて、方法700の各ステップは、作業機械のオペレータによって動作可能に実行され得ることが理解される。
【0054】
ここで図8を参照すると、クイックカプラーから作業ツールを分離する方法が全体的に参照番号800で示されている。方法800は、図11A~11Eおよび図12A~12Dを考慮すると最もよく理解され、前者はプロセス全体にわたる油圧アセンブリの動作を示す。方法800は、カプラーの自動ロック状態をアクティブにすること(ブロック801)、作業ツールを操作して表面に置くこと(ブロック802)、カプラーのアンロック状態をアクティブにすること(ブロック803)、およびカプラーを作業ツールから完全に分離すること(ブロック804)を含んでもよく、各ステップについては、以下で詳しく説明する。なお、方法800は、図11Aに示すように、カプラーに作業ツールを取り付ける開始構成を想定する。
【0055】
この方法は、まず、クイックカプラーの自動ロック状態をアクティブにすること(ブロック801)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カプラースイッチを「自動ロック」設定に切り替えることにより、カプラースイッチを操作することにより、自動ロック状態をアクティブにしてもよい。
【0056】
他の実施形態では、自動ロック状態は、オペレータが特定の順序のアクションを実行する場合にアクティブにされてもよい。例えば、オペレータが最初にカプラーをカールしてカプラースイッチを「一時アンロック」設定に切り替えて、まずカプラーのアンロック状態をアクティブにする場合にのみ、自動ロック状態をアクティブにしてもよい。このような実施形態では、作業機械の車載コンピュータ、カプラーのコントローラ、または別のシステムが、カプラーに自動ロック状態をアクティブにするよう効果的に命令する動作の順序を検出してもよい。
【0057】
アンロック状態において、図12Aで最もよく示されるように、シリンダのロッド端をポンプに接続し、シリンダのキャップ端をタンクに接続する第3位置で動作してもよい。したがって、図11Bで最もよく示されるように、一次ブロック部材と二次ブロック部材とがいずれもアンロック位置に移動するようにシリンダが後退してもよい。同時に、付勢部材は、前記二次ブロック部材をロック位置に向けて付勢してもよい。しかしながら、カプラーがアンロック状態の場合、付勢部材による力がシリンダの油圧によって打ち消される場合がある。
【0058】
シリンダを完全に後退させる必要がある時間など、アンロック状態での所定の期間の後、カプラーは自動ロック状態に入ってもよい。方向制御アセンブリは、図12Bで最も良く示されるように、ロッド端とキャップ端をタンクに接続するフロート位置で動作してもよい。これにより、シリンダへの油圧が低下し、スプリングの付勢力が打ち消されなくなる可能性がある。したがって、図11Cで最もよく示されるように、二次ブロック部材は付勢部材によって付勢されてロック位置に移動し、一方、一次ブロック部材はアンロック位置に留まってもよい。
【0059】
次に、図8に戻ると、方法800は、オペレータが作業機械を操作して作業ツールを移動させて表面に置くこと(ブロック802)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、図11Cで最もよく示されるように、作業ツールは、カプラーのフックから吊り下げられ、二次ブロック部材によって前記フックから出ることが防止される第2ツールピンによってのみカプラーに取り付けられてもよい。そして、前述したように、カプラーは、第2ツールピンによって及ぼされる出口力がどれだけであっても二次ブロック部材をロック部材から分離することができないように構成されてもよい。一方、作業ツールの第1ツールピンは、カプラーのノッチから自由に出てもよい。より具体的には、作業者が作業ツールを操作する際に、カプラーは、第2ツールピンの回転軸T1を中心に作業ツールに対して回転し、第1ツールピンがノッチから自由に出るようにしてもよい。さらに、ブロック802全体を通じて、方向制御アセンブリは、図12Cに見られるように、フロート位置で動作し続けてもよい。したがって、ブロック802中の作業ツールの操作は、シリンダを作動させることなく行ってもよい。
【0060】
引き続き図8を参照すると、方法800は、最後に、カプラーのロック済み状態をアクティブにすること(ブロック803)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カプラースイッチを動作させることにより、例えば「永久アンロック」設定に切り替えることにより、アンロック状態をアクティブにしてもよい。「永久アンロック」設定は、「一時アンロック」設定とは、自動ロック状態が続かない点で異なる場合がある。同じまたは他の実施形態では、アンロック状態が作動すると、方向制御アセンブリは、図12Dで最もよく示されるように、シリンダのロッド端をポンプに接続し、キャップ端をタンクに接続する第3位置で動作してもよい。したがって、図11Dで最もよく示されるように、シリンダは、一次ブロック部材がアンロック位置に留まり、二次ブロック部材がアンロック位置に移動するように後退してもよい。付勢部材は依然として二次ブロック部材に付勢力を提供することができるが、前記力はシリンダの油圧によって打ち消される可能性がある。
【0061】
アンロック状態では、第1ツールピンがまだノッチから出ていなければ、自由にノッチから出ることができる。また、第2ツールピンはフックから自由に出ることができる。したがって、方法800の最終ステップにおいて、図11Eに示すように、オペレータは、カプラーを作業ツールから完全に分離してもよい(ブロック804)。2つのコンポーネントはもはや連動していないため、オペレータは作業機械を操作してカプラーをツールから物理的に遠ざけるだけで、分離プロセスが完了する。
【0062】
上記の実施形態の一部またはすべてにおいて、方法800の各ステップは、作業機械のオペレータによって動作可能に実行され得ることが理解される。
【0063】
前述では、多くの異なる実施形態の詳細な説明が述べられているが、法的保護範囲は、本特許の末尾に記載された特許請求の範囲によって定義されることを理解すべきである。詳細な説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、考えられるすべての実施形態を説明することは不可能ではないにしても非現実的であるため、考えられるすべての実施形態を説明するものではない。現在の技術またはこの特許の出願日以降に開発された技術を使用して、多くの代替実施形態を実施することができ、それらは依然として保護範囲を定義する特許請求の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図12D
【国際調査報告】