(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】複数の動作モードにまたがるGooHYBRID制御システム
(51)【国際特許分類】
B64D 27/33 20240101AFI20241024BHJP
B64D 41/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B64D27/33
B64D41/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529312
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022050229
(87)【国際公開番号】W WO2023091559
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520051953
【氏名又は名称】ヴェルデゴ エアロ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】サンタクルズ,ザビエル ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】スピッツァー,デイヴィッド,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】カリアー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,リチャード,パット
(57)【要約】
航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するためのレバーは、位置の全範囲に亘って移動するように構成されたレバーを含む。レバーの動きにより、ハイブリッド電気パワープラントの出力が少なくとも2つの動作モードの間で調整される。位置の全範囲内の第1の位置サブセットにおいて、ハイブリッド電気パワープラントは、機械出力を有するエンジンを動作させ、エンジンの機械出力によって駆動されるモータ/発電機から第1の電気エネルギーを出力し、及びエンジンの機械出力によって推進機構を駆動するように構成される。位置の全範囲内の第2の位置サブセットにおいて、ハイブリッド電気パワープラントは、機械出力を有するエンジンを動作させ、モータ/発電機で第2の電気エネルギーを受け取り、第2の電気エネルギーを用いてモータ/発電機で機械出力を駆動し、及び機械出力によって推進機構を駆動するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するための制御システムであって、当該制御システムは、
コマンドを受信するように構成されたコントローラの入力を含み、
該コントローラは、前記コマンドに基づいてハイブリッドシステムの動作モードを設定するように構成され、前記動作モードには前記ハイブリッド電気パワープラントの出力モードが含まれ、少なくとも2つの動作モードがあり、
当該制御システムは、前記入力に提供される第1のコマンドをさらに含み、該第1のコマンドによって、前記ハイブリッド電気パワープラントに、
機械出力を有するエンジンを動作させ、
前記エンジンの前記機械出力によって駆動されるモータ/発電機から第1の電気エネルギーを出力させ、及び
前記エンジンの前記機械出力によって推進機構を駆動させ、
第2のコマンドを受信すると、前記ハイブリッド電気パワープラントは、
前記機械出力を有する前記エンジンを動作させ、
前記モータ/発電機で第2の電気エネルギーを受け取り、
該第2の電気エネルギーを用いて前記モータ/発電機で前記機械出力を駆動させ、及び
該機械出力によって前記推進機構を駆動させるように構成される、
制御システム。
【請求項2】
前記入力は、パイロット又は操縦者からの力に応答して移動するように構成されたレバーを含み、異なる位置が、異なるモードに対応するコマンドとして使用される、請求項1の制御システム。
【請求項3】
前記入力は、コンピュータ化した飛行制御システムとの電気的接続を含み、前記コントローラは、前記コンピュータ化した飛行制御システムから、異なるモードに対応する電子コマンドを受信するように構成される、請求項1の制御システム。
【請求項4】
航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するためのレバーであって、当該レバーには、
位置の全範囲に亘って移動するように構成されたレバーが含まれ、
該レバーの動きにより、ハイブリッド電気パワープラントの出力が少なくとも2つの動作モードの間で調整され、
前記位置の全範囲内の第1の位置サブセットにおいて、前記ハイブリッド電気パワープラントは、
機械出力を有するエンジンを動作させ、
該エンジンの前記機械出力によって駆動されるモータ/発電機から第1の電気エネルギーを出力させ、及び
前記エンジンの前記機械出力によって推進機構を駆動させるように構成され、
前記位置の全範囲内の第2の位置サブセットにおいて、前記ハイブリッド電気パワープラントは、
前記機械出力を有する前記エンジンを動作させ、
前記モータ/発電機で第2の電気エネルギーを受け取り、
該第2の電気エネルギーを用いて前記モータ/発電機で前記機械出力を駆動させ、及び
該機械出力によって前記推進機構を駆動させるように構成される、
レバー。
【請求項5】
請求項4に記載のレバーを用いて航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整する方法。
【請求項6】
命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令がコンピュータ装置によって実行されると、請求項4に記載のレバーを用いて航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するための動作を前記コンピュータ装置に実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記第1の位置サブセットは、第1の連続した位置グループを表す、請求項4に記載のレバー。
【請求項8】
前記第2の位置サブセットは、第2の連続した位置グループを表す、請求項7に記載のレバー。
【請求項9】
前記第1の位置サブセットのうちの1つは、前記第2の位置サブセットのうちの1つに隣接している、請求項8に記載のレバー。
【請求項10】
前記レバーの動きによって、前記ハイブリッド電気パワープラントの出力を3つ以上の動作モードの間で調整する、請求項4に記載のレバー。
【請求項11】
航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するための推力制御システムであって、当該推力制御システムは、
コマンドを受信するように構成されたコントローラの入力を含み、
該コントローラは、前記コマンドに基づいてハイブリッドシステムの動作モードを設定するように構成され、該動作モードには前記ハイブリッド電気パワープラントの出力モードが含まれ、少なくとも2つの動作モードがあり、
さらに、前記入力で第1のコマンドを受信すると、前記ハイブリッド電気パワープラントは、
機械出力を有するエンジンを動作させ、
前記エンジンの前記機械出力によって駆動されるモータ/発電機から第1の電気エネルギーを出力するように構成され、前記第1の電気エネルギーは前記航空機の電気推進モータ及び航空機のバッテリに出力され、
前記入力で第2のコマンドを受信すると、前記ハイブリッド電気パワープラントは、
前記モータ/発電機から第2の電気エネルギーを出力するように構成され、前記第2の電気エネルギーは、前記航空機の前記バッテリではなく、前記航空機の前記電気推進モータに出力される、
推力制御システム。
【請求項12】
前記入力は、パイロット又は操縦者からの力に応答して移動するように構成されたレバーを含み、異なる位置が、異なるモードに対応するコマンドとして使用される、請求項11に記載の推力制御システム。
【請求項13】
前記入力は、コンピュータ化した飛行制御システムとの電気的接続を含み、前記コントローラは、前記コンピュータ化した飛行制御システムから、異なるモードに対応する電子コマンドを受信するように構成される、請求項11に記載の推力制御システム。
【請求項14】
前記第1のコマンドを受信すると、前記ハイブリッド電気パワープラントは、前記少なくとも2つの動作モードのうちの第1のモードで動作し、前記第2のコマンドを受信すると、前記ハイブリッド電気パワープラントは、前記少なくとも2つの動作モードのうちの第2のモードで動作する、請求項11に記載の推力制御システム。
【請求項15】
前記第2のモードでは、前記バッテリは、前記航空機の前記電気推進モータに第3の電気エネルギーを出力するように構成される、請求項14に記載の推力制御システム。
【請求項16】
前記第2のモードでは、前記モータ/発電機は、前記モータ/発電機の前記機械出力によって駆動される、請求項14に記載の推力制御システム。
【請求項17】
前記電気推進モータはインバータに接続され、該インバータは直流(DC)バスに接続される、請求項11に記載の推力制御システム。
【請求項18】
前記バッテリは前記DCバスに接続される、請求項17に記載の推力制御システム。
【請求項19】
前記インバータは第1のインバータであり、さらに前記モータ/発電機は第2のインバータに接続される、請求項18に記載の推力制御システム。
【請求項20】
前記第2のインバータは前記DCバスに接続される、請求項19に記載の推力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本願は、2021年11月17日にそれぞれ出願した米国仮特許出願第63/280,589号及び第63/280,560号のそれぞれの利益を主張するものであり、それぞれの全内容は、その全体が参照により本明細書にそのまま組み込まれる。
【0002】
本願は、複数の動作モードにまたがるGooHYBRID制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
プロペラ、タービン又はジェットエンジン、ロケット、又はラムジェット等の異なるタイプの推進機構を用いて推進される様々なタイプの航空機がある。異なるタイプの推進機構は、異なる方法で駆動され得る。例えば、プロペラ等の一部の推進機構は、内燃機関又は電気モータによって駆動され得る。そのため、推進機構とそれらの推進機構に動力を供給する方法との組合せは、多くの場合、特定の航空機専用に設計されており、そのため、推進機構及びそれらの推進機構に動力を供給する方法は、航空機を適切且つ安全に推進するために必要な仕様を満たす。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するための制御システムは、コマンドを受信するように構成されたコントローラの入力を含む。コントローラは、コマンドに基づいてハイブリッドシステムの動作モードを設定するように構成される。動作モードは、ハイブリッド電気パワープラントの出力モードを含む。動作モードは少なくとも2つある。入力に提供される第1のコマンドにより、ハイブリッド電気パワープラントは、機械出力を有するエンジンを動作させ、エンジンの機械出力によって駆動されるモータ/発電機から第1の電気エネルギーを出力させ、エンジンの機械出力によって推進機構を駆動させるように構成される。第2のコマンドを受信すると、ハイブリッド電気パワープラントは、機械出力を有するエンジンを動作させ、モータ/発電機で第2の電気エネルギーを受け取り、第2の電気エネルギーを用いてモータ/発電機で機械出力を駆動させ、及び機械出力によって推進機構を駆動させるように構成される。
【0005】
一実施形態では、航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するためのレバーは、位置の全範囲に亘って移動するように構成されたレバーを含む。レバーの動きにより、ハイブリッド電気パワープラントの出力が少なくとも2つの動作モードの間で調整される。位置の全範囲内の第1の位置サブセットにおいて、ハイブリッド電気パワープラントは、機械出力を有するエンジンを動作させ、エンジンの機械出力によって駆動されるモータ/発電機から第1の電気エネルギーを出力させ、エンジンの機械出力によって推進機構を駆動させるように構成される。位置の全体範囲内の第2の位置サブセットにおいて、ハイブリッド電気パワープラントは、機械出力を有するエンジンを動作させ、モータ/発電機で第2の電気エネルギーを受け取り、第2の電気エネルギーを用いてモータ/発電機で機械出力を駆動させ、及び機械出力によって推進機構を駆動させるように構成される。
【0006】
一実施形態では、航空機のハイブリッド電気パワープラントの出力を調整するための推力制御システムは、コマンドを受信するように構成されたコントローラの入力を含む。コントローラは、コマンドに基づいてハイブリッドシステムの動作モードを設定するように構成される。動作モードは、ハイブリッド電気パワープラントの出力モードを含む。動作モードは少なくとも2つある。入力で第1のコマンドを受信すると、ハイブリッド電気パワープラントは、機械出力を有するエンジンを動作させ、エンジンの機械出力によって駆動されるモータ/発電機から第1の電気エネルギーを出力するように構成され、第1の電気エネルギーは、航空機の電気推進モータ及び航空機のバッテリに出力される。入力で第2のコマンドを受信すると、ハイブリッド電気パワープラントは、モータ/発電機から第2の電気エネルギーを出力するように構成され、第2の電気エネルギーは、航空機のバッテリではなく、航空機の電気推進モータに出力される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャの例を示す図である。
【
図1B】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャの追加の例を示す図である。
【
図2A】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャで使用するための第1の航空機制御システムを表すブロック図である。
【
図2B】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャで使用するための第2の航空機制御システムを表すブロック図である。
【
図3】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用できる第1の航空機の例を示す図である。
【
図4】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用できる第2の航空機の例を示す図である。
【
図5】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用できる第3の航空機の例を示す図である。
【
図6】例示的な実施形態によるメイン推進プロペラを含む航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用する第1の方法の例を示すフローチャートである。
【
図7】例示的な実施形態によるメイン推進プロペラを含む航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用する第2の方法の例を示すフローチャートである。
【
図8】例示的な実施形態によるフライホイールを有する航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例を示す図である。
【
図9】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例を示す斜視図である。
【
図10】例示的な実施形態による
図9の柔軟なアーキテクチャの例を示す上面図である。
【
図11】例示的な実施形態による
図9の柔軟なアーキテクチャの例を示す側面図である。
【
図12】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの別の例を示す斜視図である。
【
図13】例示的な実施形態による航空機を推進するための例示的な下流構成要素及び上流構成要素を示す図である。
【
図14】例示的な実施形態による直流(DC)バスに安定した電圧を供給する例示的なシステムの概略図である。
【
図15】例示的な実施形態による航空機レベルのコントローラからの通信に基づいて、安定したDCバス電圧を維持する方法の例を示すフローチャートである。
【
図16】例示的な実施形態によるハイブリッド発電機セット・レベルのコントローラによる測定に基づいて、安定したDCバス電圧を維持する方法の例を示すフローチャートである。
【
図17】例示的な実施形態による複数の動作モードにまたがる例示的なハイブリッド制御システムを示す図である。
【
図18】例示的な実施形態による例示的なハイブリッドアーキテクチャを制御できる例示的な動作モードを示す図である。
【
図19】例示的な実施形態によるコンピューティング環境の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、ハイブリッド発電機セットの複数の動作モードにまたがる推力制御の様々な実施形態について説明する。ハイブリッド発電機セットの様々なタイプの動作モードについて、本明細書で以下の「ハイブリッド発電機セット及びその動作モード」という段落等で説明する。様々な飛行モードは航空機に使用すると有利であり得るが、人間又はコンピュータ/コントローラが動作するには複雑になる可能性がある。例えば、ハイブリッドパワープラントシステムは、直接出力シャフトと発電機出力を組み合わせた並列ハイブリッドモード等の複数のモードを含む場合があり、パイロット又は機内の操縦者が全てのモードを効率的に使用してモード同士の間を切り替えるのは困難又は不可能である可能性がある。換言すれば、パイロット又は他の操縦者(例えば、コンピュータ化したオペレータ又は自動オペレータを含む)は、ミッション又はミッションの特定の段階を満たすために必要な推力に集中する可能性があるため、パイロット又は他の操縦者がパワーレベルについて考えるには精神的な負担が大き過ぎる可能性がある。言い換えれば、自動化システム又は人間のパイロット/操縦者は、複数の動作モードの間の移行を指定する指示を提供する又は入力させたりするのではなく、全体的な推力に関する特定の指示を与えることを好む可能性がある。
【0009】
従って、本明細書では、ハイブリッドパワープラントの少なくとも2つの動作モードにまたがり得るワン(one)レバーの推力レバー設計について説明する。例えば、第1の(低)動作範囲では、単一のレバーの動きによって推力出力のブレンドが生じる可能性があり、ブレンドには、(1)第1の(低)動作範囲内のレバーの位置に応じて、エンジンからの機械シャフト動力が低出力又は0から大部分/全出力までの範囲にあること、及び(2)モータ/発電機によって電気バスに出力される電力であって、発電機は機械シャフト動力によって駆動されるため、生成される電力は、高又は最大出力(例えば、機械シャフト動力の全てが電気エネルギーに変換される場合)から、レバーが第1の(低)動作範囲の上端に近づくにつれて低又は0の電気出力(例えば、電気バス上で生成され供給される電力がより少ないかゼロ)までの範囲であること、が含まれる。
【0010】
レバーが第1の(低)動作範囲から移動すると、レバーは第2の(高)動作範囲に移動することができる。この時点で、発電機は、機械シャフト動力の一部を使用して電力を生成することを停止し、代わりに(例えば、バッテリから)電力を受け取り、機械シャフトをさらに駆動することができる(例えば、機械シャフトへの動力を、エンジンが単独で達成できるものよりも大きくする)。換言すれば、この時点から、レバーがさらに移動すると、推力レベルは自動的にモータ/発電機をモータモードに切り替え、DCバスから電力を引き出し、プロペラ、ファン、又はギアボックスに供給されるシャフト推力に追加する。このような実施形態では、第2の(高)範囲では、エンジン出力は一定の高レベル又は最大レベルにあり、DCバスから引き出される電力は、レバーの第2の(高)範囲の下限のゼロ又は低レベルから、レバーの第2の(高)範囲の上限の高レベル又は最大レベルまでの範囲になり得る。
【0011】
本明細書では物理的なレバーについて説明するが、本明細書の実施形態に従って、コンピュータ化したコントローラ又は自動コントローラも実装できる。例えば、航空機全体のシステムコントローラは、物理的な推力レバーを動かして特定の推力レベルを要求する方法と同様に、特定の推力レベルを要求することができる。本明細書で説明するハイブリッド電気パワープラントは、物理的なレバーに応答するのと同じように、そのような要求に応答できる独自のコントローラを有することができる。換言すれば、航空機全体のシステムコントローラは、特定の発電モードに関連する情報を要求又は提供しないが、代わりに所望の推力のレベルを要求することができ、本明細書で説明するハイブリッド電気パワープラントは、特定の動作モードを要求することなく、複数の動作モードに亘って異なる推力レベルを提供するためにそれに応じて反応することができる。
【0012】
有利には、このような実施形態は、飛行中に性能を発揮するための最大限の柔軟性及びオプションを提供できるハイブリッド電気パワープラントの簡素化した動作を提供する。パイロットのトレーニングとパイロットエラーの可能性とが低減される。このワンレバーシステムは、ハイブリッド電気パワープラントの簡素化した全体的監視コントローラも有利に可能にする可能性があり、そのようなコントローラは、決定論的コーディング技術を使用し、連邦航空局(FAA)認定へのより迅速で負担の少ないパスを提供する。
【0013】
ハイブリッド発電機セット及びその動作モード
航空機は、典型的に、カスタム設計した推進機構と、それらの推進機構に動力を供給する方法を含む。このようにして、推進機構とそれらの推進機構に供給される動力とが、航空機の特定のタイプ及びサイズに必要な量の推進力を提供するように最適化される一方、航空機内の構成要素の重量を最小限に抑えることができる。換言すれば、推進機構及びそれらの推進機構の電力は、多くの場合、特定のタイプ及びサイズの航空機に最適化されているため、ある航空機の構成要素を、直接駆動航空機、並列駆動航空機、及び直列駆動航空機等の異なるタイプの航空機駆動アーキテクチャで容易に使用することはできない。
【0014】
本明細書では、航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ及びその最適化した構成要素の様々な実施形態について説明する。ハイブリッドシステムは、燃料がピストン、ロータリ、タービン、又は他のエンジンで燃焼され、ピストンエンジンの出力が発電機に動作可能に接続され電力を出力するシステムであるか、又はそのようなシステムを含むことができる。本明細書で説明する実施形態は、多くの異なるタイプの航空機及び推進機構に電力を供給できる柔軟なシステムを含む。このようなシステムは、異なるタイプの航空機の設計の複雑さを有利に軽減し、カスタマイズが少ないことでシステムの大量生産における規模の経済性が可能になるため、そのようなシステムの製造コストを削減し、最終的に本明細書で説明するシステムを使用する航空機の複雑さを軽減することができる。
【0015】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、同じ航空機又は異なる航空機のいずれかにおいて、推進機構に異なる方法で電力を供給するためにさらに使用してもよい。例えば、推進機構に動力を供給する柔軟なアーキテクチャは、異なるタイプの推進機構に動力を供給するために、複数の異なるモードで動作することができる。第1の航空機は、柔軟なアーキテクチャが動作することができる複数の異なるモードのうちの1つ、いくつか、又は全てを利用することができる。第2の航空機は、複数の異なるモードのうちの1つ、いくつか、又は全てを利用することができ、第2の航空機が利用するモードは、第1の航空機が利用するモードと異なっていてもよい。
【0016】
従って、異なる航空機は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャによって提供される推進機構に動力(電力)を供給する異なるモードを利用することができる。柔軟なアーキテクチャの使用はこのようにカスタマイズできるが、柔軟なアーキテクチャの物理ハードウェアは、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの物理的構成要素を最小限に変更するか、又はまったく変更せずに、異なる航空機での使用に適合させることができる。代わりに、異なる航空機での異なるモードの使用は、プロセッサ又はコントローラを用いて柔軟なアーキテクチャの構成要素をどのように制御するかに基づいて大いに達成することができる。そのため、コンピュータ可読命令は、プロセッサ又はコントローラに動作可能に結合されたメモリにも記憶され得、命令がプロセッサ又はコントローラによって実行されると、プロセッサ又はコントローラを含むコンピューティング装置は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々な構成要素を制御して、特定の実施態様、航空機、飛行段階等に望ましいあらゆる使用モードを利用できるようになる。
【0017】
航空機の発電及び推進システムは、様々な冷却システムを利用して、航空機の様々な構成要素が動作に安全な温度に保たれるようにするとともに、構成要素をより効率的に動作できる温度範囲内に維持することもできる。さらに、本明細書では、本明細書で説明するハイブリッドアーキテクチャの様々な態様を活用して、航空機の推進機構に動力を供給する柔軟なアーキテクチャの構成要素を効率的に冷却する、有利な冷却システムについて説明する。
【0018】
推進機構に異なる動力モードを提供するハードウェアを含む航空機は、冷却を提供することが望ましい様々な構成要素を有し得る。こうして、異なる動力モードを可能にする様々な構成要素に空気を効率的に移動させる単一の冷却システムにより、航空機の重量と冷却システムの電力消費とを削減できる。
図1~
図8及びそれに伴う以下の説明は、航空機の推進システムに動力を供給するための柔軟なアーキテクチャの例に特に関連しており、
図9~
図21及びそれに伴う以下の説明は、柔軟なアーキテクチャの例の冷却システムの様々な実施形態に関連している。
【0019】
図1Aは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ101の例を示している。本明細書で説明するように、柔軟なアーキテクチャ101は、航空機の要件と飛行段階(例えば、異なるモードで使用される)とに応じて複数の方法で適用できる単一のハイブリッド発電機システムを使用して、幅広いアプリケーションで効率的に使用できる。
【0020】
図1Aの柔軟なアーキテクチャ101は、エンジン105、クラッチ115、発電機/モータ121、及び動力シャフト111を含むハイブリッド発電機である。以下でさらに説明するように、柔軟なアーキテクチャ101は、必要に応じて、特定の航空機設備の要件又は特定の飛行段階に応じて、様々な異なるモードを実現するために使用することができる。エンジン105は、内燃機関等の燃焼エンジンであってもよい。エンジン105は、さらに具体的には、ピストン内燃機関、ロータリエンジン、又はタービンエンジンのいずれかであってもよい。このようなエンジンは、標準ガソリン、ジェット燃料(例えば、ジェットA、ジェットA-1、ジェットB燃料)、ディーゼル燃料、バイオ燃料代替物等を使用してもよい。様々な実施形態において、ドローン実施態様の小型エンジン(例えば、Rotaxガソリンエンジン)等、他のタイプのエンジンも使用してもよい。
【0021】
上述したように、エンジン105はピストン燃焼エンジンであってもよい。ピストン燃焼エンジンは、他のエンジンよりも発電機及び/又は推進機構(例えば、プロペラ)に動力を供給するための直接出力に望ましい可能性がある毎分回転数(RPM)で出力ロータ又はシャフトを有利に回転させることができる。例えば、ピストン燃焼エンジンは、数千RPMのオーダーの出力を有してもよい。例えば、ピストン燃焼エンジンは、プロペラにとって望ましいRPMであり得る2200~2500RPMの出力を有することができる。特に、プロペラは、ピストン燃焼エンジンのRPM出力(例えば、2200~2500RPM)に基づいて、プロペラの望ましい先端速度を生み出すサイズを有するように設計することができる。タービンエンジン等の他のタイプのエンジンは、ピストン燃焼エンジンよりもはるかに高い数万RPMのオーダーの回転動力を出力することができる。別の実施形態では、タービンエンジンのより高いRPMでモータ/発電機を駆動して、効率、動力出力、又は他の重要な因子に利益をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、ギアボックスを高回転エンジンの出力と
図1Aの他の構成要素との間に追加して、エンジン105の出力回転数を下げる。ただし、ギアボックスを追加すると、システムの重量が増大する可能性もあり、これはいくつかの実施形態では望ましくない。ピストン燃焼エンジンは、タービンエンジンと比較して、騒音に関してもさらに有利であり得る。タービンエンジンは、典型的に、ピストン燃焼エンジンよりも騒音が大きく、タービンエンジンから人間が感じる騒音は、典型的に、ピストン燃焼エンジンによって発生する騒音よりも、聞き手にとって不快である。静かなエンジンは、騒音の低減が望まれる都市部又はより密集した環境では、より価値がある場合もある。
【0022】
エンジン105は、クラッチ115に回転力を出力し、クラッチ115は、動力シャフト111を係合又は係合解除するように制御され得る。換言すれば、動力シャフト111は、クラッチ115によってエンジン105の回転出力と係合し、それによって回転力がエンジン105の出力と動力シャフト111との間で伝達され得る。クラッチ115がエンジン105の出力と動力シャフト111とを係合解除すると、動力シャフト111は、エンジン105の出力とは独立して回転し得る。クラッチ115は、物理的にエンジン105と発電機/モータ121との間に配置され得、柔軟なアーキテクチャの全体的な設置面積を減らすために、エンジン105及び発電機/モータ121の反対側に接触することさえあり得る。
【0023】
発電機/モータ121は、動力シャフト111と係合又は係合解除することもできる。換言すれば、発電機/モータ121は、動力シャフト111の回転によって発電機/モータ121が電力を生成しないように、オフに制御することができる。同様に、発電機/モータ121は、動力シャフトの回転によって発電機/モータ121が電力を生成するように、オンに制御することもできる。発電機/モータ121は、発電機又はモータのいずれかとして機能することができるため、発電機/モータと呼ばれる。様々な実施形態において、発電機/モータ121は電気機械と呼ばれることがあり、電気機械は、発電機、電気モータ、又はその両方とすることができる。
【0024】
柔軟なアーキテクチャは、発電機/モータ121に接続された電力入力及び出力(I/O)125をさらに含む。本明細書でさらに説明するように、発電機/モータ121は、電力I/O125を介して出力される動力シャフト111の回転に基づいて電力を生成するか、又は電力I/O125を介して電力を受け取り、これを使用して動力シャフト111を駆動することができる。
【0025】
発電機/モータ121は、動力シャフト111のドライバーとしても機能し得る。システム内の他の場所にあるバッテリ又は他の形式の電気エネルギー貯蔵から電力I/O125を介して電力を受け取ると、発電機/モータ121は、動力シャフト111に回転力を与えて動力シャフト111を駆動することができる。これは、発電機/モータ121が動力シャフト111と係合するようにスイッチをオンにするように制御される限り発生し得る。発電機/モータ121が動力シャフト111と係合しないようにスイッチオフにするように制御される場合に、動力シャフト111は、発電機/モータ121によって回転されない可能性がある。
【0026】
電力I/O125からの電力出力は、電気推進機構(プロペラ等)の電気モータを駆動するために使用できる。電力I/O125からの電力出力は、航空機又は航空宇宙機の他の装置に電力を供給及び/又は充電するためにも使用できる。例えば、電力I/O125からの電力出力は、1つ又は複数のバッテリを充電するために使用できる。電力I/O125からの電力出力は、航空機又は航空宇宙機の他の装置又はアクセサリに電力を供給するためにも使用できる。電力I/O125には入力も有しているため、電力I/O125を介して受け取ったあらゆる電力(1つ又は複数のバッテリからの電力等)によって動力シャフト111を駆動できる。発電機/モータ121によって生成される電力は、交流(AC)電力であってもよい。そのAC電力は、パワーエレクトロニクス(例えば、整流器又はインバータ)によって直流(DC)電力に変換され、DCバスに出力され得る。そのDCバスは、バッテリ及び/又は電気推進機構に接続され得る。このようにして、電気推進機構はDCバスを介して電力を供給してもよい。様々な実施形態において、電気推進機構のモータはAC電力を使用し、従って、DCバスからのDC電力は、電気推進機構によって(例えば、インバータによって)使用する前に、DC電力からAC電力に変換され得る。
【0027】
エンジン105によって駆動されるか、又は発電機/モータ121によって駆動されるかにかかわらず、動力シャフト111自体のあらゆる回転は、1つ又は複数の推進機構を駆動するためにも使用できる。例えば、動力シャフト111の回転は、プロペラを直接駆動するために使用してもよく、又は推進機構を駆動する電気モータに電力を供給するために使用してもよい。動力シャフト111の回転は、航空機の様々な用途の1つ又は複数のプロペラ、1つ又は複数のロータ、又は他の回転装置等の別の構成要素に動作可能に接続されたギアボックスを動作可能に駆動することもできる。
【0028】
アクセサリパッド131もエンジン105に結合され得、高電圧及び高電力I/O用に構成され得る発電機/モータ121及び電力I/O125とは別の、電力用の低電圧直流(DC)発電機を含むことができる。いくつかの実施形態では、発電機/モータ121は2つの異なる巻線も含み得、電力I/O125は2つの異なる出力(例えば、高電圧及び低電圧)を含む。アクセサリ電源は、アクセサリパッド131の出力に加えて、又はその代わりに、電力I/O125の出力のうちの1つに関連付けられ得る。アクセサリパッド131は、発電機/モータ121が電力I/O125で出力できる高電圧又は高電流出力を必要としない、航空機又は航空宇宙機の装置又はアクセサリに電力を供給するために使用できる。航空機の高電圧(HV)は、例えば400ボルト(V)又は800Vであってもよいが、50V~1200Vの間の任意の値であってもよい。航空機の低電圧(LV)は、12V、14V、28V、又は50V未満の任意の電圧であり得る。
【0029】
図1Bは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ150の追加の例を示す。特に、
図1Bの柔軟なアーキテクチャ150には、エンジン155、クラッチ175、動力シャフト180、及び/又は発電機/モータ185を含む
図1Aに関して上で説明した構成要素と同一又は類似であり得る構成要素がいくつか含まれる。柔軟なアーキテクチャ150は、エンジン155の出力を、出力フランジ165に堅固に接続されたクランクシャフト160の形式でさらに示している。出力フランジ165は、ボルト170によってクラッチ175の一方の側に堅固に接続される。
【0030】
クラッチ175は、動力シャフト180と係合して、クランクシャフト160及び出力フランジ165からの回転運動を動力シャフト180に変換するように構成され得る。クラッチ175は、動力シャフト180を係合解除するようにさらに構成され得、これにより、動力シャフト180は、クランクシャフト160及び出力フランジ165に対して独立して回転することができる。さらに、
図1Bは、柔軟なアーキテクチャ150の回転可能な構成要素を、単一の軸線190に沿って全て整列させることができる方法を示している。
図1Aの回転可能な構成要素は、
図1Bに示されるように、同様に単一の軸線に沿って整列させることができる。さらに、動力シャフト180は、クラッチ175及び発電機/モータ185の内径開口部に嵌合するスプラインシャフトであってもよい。スプライン以外の特徴、例えばテーパも使用してもよい。いずれの場合も、発電機/モータ185及び/又はクラッチ175は、構成要素が互いに適切に係合できるように、動力シャフト180上のスプライン、テーパ、又は他の特徴に適合して接続するように構成され得る。
【0031】
有利には、
図1Bの発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185は、それぞれエンジン105又はエンジン155のスタータとして使用することができる。換言すれば、発電機/モータ185を使用して、クラッチ175を係合する間にクランクシャフト160を回転させてエンジン155を始動することができる。このようなシステムは、例えば、発電機/モータ185がバッテリ又は他の電源によって電力供給を受ける場合に有利であり得る。従って、エンジン155は、本明細書で説明するようなピストン燃焼エンジンであり得るエンジン155は、別個のスタータ構成要素を必要とせず、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの重量及び複雑さを軽減し得る。
【0032】
図2Aは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ201と共に使用される航空機制御システム200を表すブロック図を示す。航空機制御システム200を使用して、例えば、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを使用できる以下で説明する様々なモードの1つ又は複数を実現することができる。柔軟なアーキテクチャ201は、
図1A及び/又は
図1Bの柔軟なアーキテクチャ101及び/又は150と同一、類似であってもよく、又はそれらの構成要素の一部又は全てを有してもよい。航空機制御システム200は、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラ205(以下、コントローラ205という)、メモリ210、メイン航空機コントローラ220、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、アクセサリパッド250、及び1つ又は複数のセンサ260を含むことができる。
図2Aの接続は、航空機制御システム200の構成要素同士の間の制御信号関連の接続を示す。
図2Aに示されていない他の接続は、航空機の高電圧(HV)又は低電圧(LV)電力等の電力を供給するために、航空機及び/又は航空機制御システム200の異なる態様の間に存在してもよい。
【0033】
メモリ210は、命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体であってもよい。このような命令は、本明細書の柔軟なアーキテクチャを使用する様々なモード及びそれらのモードの組合せを含む、本明細書で説明する様々な方法及びシステムを実現するためにコントローラ205によって実行されるコンピュータ実行可能コードであってもよい。コンピュータコードは、本明細書の柔軟なアーキテクチャの異なるモードを実現する様々な方法が、例えば特定の飛行段階(例えば、着陸、離陸、巡航等)を示す様々な入力に基づいて自動的に実現されるように記述され得る。様々な実施形態において、コンピュータコードは、航空機又は航空宇宙機のユーザ又はパイロットからの入力に基づいて本明細書の様々なモードを実現するように記述されるか、又はユーザ入力と非人間入力(例えば、航空機内又は航空機外のセンサからの入力、計画した飛行計画に基づくもの等)に基づく自動実施態様との組合せに基づいて実現され得る。コントローラ205は、アクセサリパッド131、1つ又は複数のバッテリ、電力I/O125の出力、任意の電源によって電力が供給される航空機の電力バス、及び/又は利用可能な他の任意の電源等の、航空機又は航空宇宙機の電源によって電力が供給され得る。
【0034】
コントローラ205は、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、アクセサリパッド250、及び/又はセンサ260のそれぞれと通信することもできる。このようにして、柔軟なアーキテクチャの構成要素は、本明細書で説明する様々なモードを実現するように制御され得る。様々な実施形態において、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、及びアクセサリパッド250は、
図1Aに示され、
図1Aに関して上で説明した構成要素と類似しているか、又は同様の名前の構成要素であり得る。電力I/O245は、例えば、本明細書で説明するように、直流(DC)バスを含む柔軟なアーキテクチャの電気部品を、起動時の過剰な突入電流から保護するためのプリチャージ電子部品も含んでもよい。例えば、高電圧(HV)バスが400Vであり、新しい構成要素が0VでHVバスに接続される場合に、瞬間的な突入電流は非常に高くなり、HVバス及び/又は構成要素に損傷を与える可能性がある。その結果、プリチャージ電子部品はHVバス又は他の電源に完全に接続する前に、構成要素の電圧をゆっくりと上げるのを可能にする。
【0035】
センサ260は、柔軟なアーキテクチャ201の様々な構成要素を監視するための様々なセンサを含み得る。このようなセンサは、温度センサ、タコメータ、流体圧力センサ、電圧センサ、電流センサ、例えばクラッチ250の現在の状態等を決定するための状態センサ、又は他のタイプのセンサを含んでもよい。例えば、電圧センサ及び/又は電流センサは、モータ/発電機の機能及び設定、クラッチに選択した状態、又はシステムの他の構成要素の調整を通知するために使用できる。状態センサは、柔軟なアーキテクチャが使用される特定のモードを示すこともでき、システムは(例えば、パイロットから、自動飛行コントローラから)入力を受信して、今後の飛行の特定の段階に合わせてシステムを異なる状態又はモードに変更することができる。他のセンサは、航空機の対気速度を測定するピトー管、航空機の高度を測定する高度計、及び/又は地面及び/又は既知/マップした構造に対する位置を決定するための全地球測位システム(GPS)又は同様の地理的位置センサを含んでもよい。
【0036】
図2Aの柔軟なアーキテクチャ201の破線内の構成要素は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャに関連付けられ得る一方、メイン航空機コントローラ220は、より広範な航空機システムに関連付けられ得る。換言すれば、メイン航空機コントローラ220は、柔軟なアーキテクチャ201以外の航空機の態様を制御し得る一方、コントローラ205は、柔軟なアーキテクチャ201に関連する航空機の態様を制御する。メイン航空機コントローラ220及びコントローラ205は、航空機の様々な推進機構への電力供給を調整するために相互に通信する。例えば、メイン航空機コントローラ220は、1つ又は複数の特定の推進機構の特定の電力出力レベルを要求する信号をコントローラ205に送信してもよい。コントローラ205は、このような制御信号を受信し、メイン航空機コントローラ220からの制御信号に基づいて、柔軟なアーキテクチャ201を調整して所望の電力レベルを出力する方法(例えば、どのモードに入るか、柔軟なアーキテクチャ201の要素をどのように制御するか)を決定できる。様々な実施形態において、メイン航空機コントローラ220は、柔軟なアーキテクチャ201の特定の態様を制御することに関連する信号を送信できる。換言すると、コントローラ205は、コントローラ205に所望の電力出力信号を送信することに加えて、又はその代わりに、メイン航空機コントローラ220からの制御信号を柔軟なアーキテクチャ201の構成要素に再送信するリレーとして機能し、この制御信号から、コントローラ205は、柔軟なアーキテクチャ201の個々の構成要素を制御する方法を決定する。
【0037】
様々な実施形態において、メイン航空機コントローラ220は、将来の所望の電力出力、将来の飛行段階、又は飛行計画情報等に関連する制御信号も送信することができる。このようにして、コントローラ205は、航空機の予想される電力需要に関する情報を受信して使用し、現在と将来との両方で柔軟なアーキテクチャ201の態様を制御する方法を決定することができる。例えば、飛行計画情報を使用して、バッテリ電力をいつ使用すべきか、バッテリをいつ充電すべきか等を決定することができる。別の例では、電力に対する大きな需要が予想される場合に、コントローラ205は、エンジン230が所望のRPMで動作して、所望のレベルの電力を供給し始めるようにすることができる。
【0038】
様々な実施形態において、コントローラ205は、1つ又は複数のバッテリと通信して、バッテリの充電レベルを監視し、バッテリをいつ充電又は放電するかを制御し、バッテリを使用していつ発電機/モータ235に電力を供給するかを制御し、バッテリを使用していつ航空機の別の態様に直接電力を供給するかを制御することもできる。しかしながら、他の実施形態では、メイン航空機コントローラ220は、航空機のバッテリと通信し、及び/又はバッテリ及びその制御に関連する情報をコントローラ205に中継することができる。同様に、航空機のバッテリがコントローラ205ではなくメイン航空機コントローラ220で制御される場合に、コントローラ205は、バッテリに関連する制御信号をメイン航空機コントローラに送信し、それによって柔軟なアーキテクチャ201の機能に関して必要に応じて又は希望に応じてバッテリを制御できる。
【0039】
様々な実施形態において、電力I/O245は、発電機/モータ235の2つの異なる巻線に関連付けられた2つの異なる出力(例えば、高電圧(HV)出力及び低電圧(LV)出力)を含むことができる。そのため、2つの異なる電圧(例えば、HV及びLV)をコントローラ205及び/又はメイン航空機コントローラ220によって出力及び制御することができる。電力I/O245は、追加又は代替として、電圧変換構成要素(例えば、DC-DCコンバータ)を有することができ、それによって2つ以上の異なる電圧を出力できる。このような実施形態では、2つの別々の巻線を使用せずに2つの異なる出力を実現できる。2つの異なる出力は、例えば、航空機上の異なる電力バス(HVバス及びLVバス等)に出力できる。電力I/O245の2つの出力は、コントローラ205によって個別に制御することもできる。そのため、(例えば、モータ/発電機の界磁電流をオフにして、発電機の動力シャフト及びロータをモータ/発電機の残りの部分に対して回転又はフリーホイールさせることによって)出力をオフにできる。
【0040】
いくつかの実施形態では、アクセサリパッドは、コントローラ205及び/又はメイン航空機コントローラ220によって制御されない場合がある。アクセサリパッドは、エンジン230が動作しているときは常にオンになっているか、又は航空機のアクセサリにいつどのように電力を供給するかを制御するために個別に(例えば、ユーザが切り替える手動スイッチによって)制御され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、コントローラ205は、航空機又は航空宇宙機に搭載され得る無線トランシーバと通信することができ、それによってコントローラ205がシステム200に有線接続されていない他のコンピューティング装置と通信できるようにしてもよい。このようにして、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々なモードを実現するための命令又は入力は、リモート装置のコンピューティング装置からワイヤレスで受信することもできる。他の実施形態では、システム200は、航空機に搭載される構成要素とのみ通信してもよい。
【0042】
図2Bは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャで使用するための第2の航空機制御システム275を表すブロック図を示している。
図2Bの例では、システム275には、
図2Aのような別個のメイン航空機コントローラがない。代わりに、航空機全体に、柔軟なアーキテクチャ及び航空機の全ての態様(例えば、航空機の推進機構255を含む)を制御する単一のメインコントローラ280がある。
【0043】
コントローラ285は、航空機の1つ又は複数の推進機構255と通信して、それら推進器を制御することができる。コントローラ285は、航空機又は航空宇宙機の1つ又は複数のセンサ270とも通信することができ、これらのセンサは、航空機のセンサ及び柔軟なアーキテクチャのセンサであり得る。特に、センサ260は、上述した
図1A及び/又は
図1Bの構成要素のいずれかに埋め込んでもよく、従って、
図1A及び/又は
図1Bの装置をどのように制御するか、及び/又は本明細書で説明するモードが本明細書で説明するようにどのように実装されるかを通知するために使用することができる。
【0044】
図2A又は
図2Bのいずれにおいても、コントローラ205、コントローラ285、及び/又はメイン航空機コントローラ220は、柔軟なアーキテクチャの任意の構成要素、1つ又は複数のバッテリ、又は航空機の他の態様を冷却及び/又は加熱するように構成された冷却システムと通信することもできる。そのため、冷却システムは、本明細書で説明する他のシステム及び方法と連携して制御することもできる。
【0045】
以下では、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々な実施形態(例えば、
図1A、
図1B、
図2A、及び
図2Bに示され、それらに関して説明する柔軟なアーキテクチャを含む)を使用して実装できる5つの特定のモードについて説明する。
【0046】
本明細書ではハイブリッド発電機モードと呼ばれ得る第1のモードでは、クラッチ(例えば、
図1Aのクラッチ115及び/又は
図1Bのクラッチ175)を制御して、エンジン(例えば、
図1Aのエンジン105及び/又は
図1Bのエンジン155)を、クラッチと発電機/モータ(例えば、
図1Aの発電機/モータ121及び/又は
図1Bの発電機/モータ185)との間に延びる動力シャフト(例えば、
図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合し、それによってエンジンが発電機/モータ内の動力シャフトを回転させて、電力I/O(例えば、
図1Aの電力I/O125)を介して航空機の他のシステム(推進機構/システム等)に供給される電力を生成することができる。例えば、このような推進機構/システムは、電気モータを使用して駆動され、第1のモードで発電機/モータによって出力される電力は、このような推進機構/システムを駆動するために使用され得る。要するに、第1のモードでは、エンジンは、クラッチを使用して動力シャフトと係合し、発電機/モータを駆動し、発電機/モータから電力を出力することができる。
【0047】
本明細書では直接駆動エンジンモードと呼ばれ得る第2のモードでは、クラッチ(例えば、
図1のクラッチ115及び/又は
図1Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、
図1Aのエンジン105及び/又は
図1Bのエンジン155)の出力を、発電機/モータ(例えば、
図1Aの発電機/モータ121及び/又は
図1Bの発電機/モータ185)を通過する動力シャフト(例えば、
図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合して、航空機のプロペラのような推進機構に機械的な動力を与えることができる。このようなモードでは、発電機/モータから磁場(電場)が除去され(例えば、発電機/モータはオフ又は係合解除されるように制御される)、それによって発電機/モータの動力シャフト及びロータは回転又はフリーホイールし、従って発電機/モータの電力I/O(例えば、
図1Aの電力I/O125)は係合解除され、電力を出力しなくなる。つまり、第2のモードでは、エンジンは動力シャフトを駆動して機械的又は他の方法で推進機構に電力を供給する一方、動力シャフトは発電機/モータ内で回転するが、電力I/Oで電力を受け取る又は出力することない。
【0048】
本明細書では増強推力モードと呼ばれ得る第3のモードでは、クラッチ(例えば、
図1のクラッチ115及び/又は
図1Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、
図1Aのエンジン105及び/又は
図1Bのエンジン155)を、発電機/モータ(例えば、
図1Aの発電機/モータ121及び/又は
図1Bの発電機/モータ185)を通過する動力シャフト(例えば、
図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合することができ、発電機/モータは、バッテリパック等の外部ソースから電力I/O(例えば、
図1Aの電力I/O125)を介して電力を引き込むためのモータとして使用される。これにより、エンジン又は発電機/モータが供給できるよりも高い機械出力が動力シャフトに供給される。つまり、第3のモードでは、エンジンと発電機/モータとの両方を使用して動力シャフトを同時に駆動し、推進機構に電力を送る。
【0049】
本明細書では直接駆動発電機/モータモードと呼ばれ得る第4のモードでは、クラッチ(例えば、
図1のクラッチ115及び/又は
図1Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、
図1Aのエンジン105及び/又は
図1Bのエンジン155)を発電機/モータ(例えば、
図1Aの発電機/モータ121及び/又は
図1Bの発電機/モータ185)から係合解除することができ、それによって電力I/O(例えば、
図1Aの電力I/O125)を介して発電機/モータに電力を供給して、発電機/モータをモータとして駆動し、動力シャフト(例えば、
図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に機械的動力を与えることができる。つまり、第4のモードでは、発電機/モータのみが、電力I/Oで受け取った電力に基づいて推進機構に電力を供給できる。
【0050】
本明細書ではスプリット(split)エンジンパワーモードと呼ばれ得る第5のモードでは、クラッチ(例えば、
図1のクラッチ115及び/又は
図1Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、
図1Aのエンジン105及び/又は
図1Bのエンジン155)を発電機/モータ(例えば、
図1Aの発電機/モータ121及び/又は
図1Bの発電機/モータ185)に係合することができ、それによってエンジンが発電機/モータを発電機として回転させ、電力I/O(例えば、
図1Aの電力I/O125)を介して航空機の他のシステムに電力を供給するとともに、機械的動力を動力シャフト(例えば、
図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に供給してプロペラのようなシステムを駆動することができる。つまり、第5のモードでは、エンジンを使用して動力シャフト及び発電機/モータを駆動し、電力I/O及び動力シャフトを介して電力を出力することができる。
【0051】
本明細書で説明するように、これらの5つのモード(又はそのバリエーション)のいずれも、本明細書で説明する単一の柔軟なアーキテクチャで使用できる。さらに、特定のモード及び/又はモードの組合せは、特定の航空機又は航空宇宙機の種類、特定の推進機構の種類、航空機又は航空宇宙機の特定の飛行段階等に有益であり得る。
【0052】
例えば、電気モータ駆動プロペラを含むハイブリッド電動垂直離着陸(VTOL)航空機では、本明細書の柔軟なアーキテクチャは、電力源としてのみ使用できる。そのため、柔軟なアーキテクチャは、航空機の電力バス又は航空機の1つ又は複数のモータに電力を供給する必要がある飛行段階のどの部分でも、航空機を第1のモード(例えば、ハイブリッド発電機モード)で駆動できる。
【0053】
別の例では、単一の大型のメイン推進(pusher)プロペラ(例えば、航空機の胴体後部)と電気モータ/プロペラのアレイ(例えば、航空機の翼上)とを含む航空機では、離陸時に第5のモード(例えば、スプリットエンジンパワーモード)で柔軟なアーキテクチャを使用して、メイン推進プロペラに機械動力を供給し、翼に取り付けたモータに電気的に電力を供給してもよい。
図3及び
図4は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用することができるこのような航空機300及び400の2つの例を示している。例えば、航空機300はメイン推進プロペラ305を有しており、航空機400はダクト付き推進ファンの形態のメイン推進プロペラ405を有する。両方の例において、本明細書で説明する第5のモードを使用して、動力シャフトからメイン推進プロペラ305及び405に機械動力を供給してもよい。さらに、翼に取り付けられた電気モータ/プロペラ310及び410は、本明細書で説明するように、モータ/発電機からの電力で駆動してもよい。
【0054】
あるいはまた、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを使用して、バッテリパックが翼に取り付けたモータの両方に電力を供給し、メイン推進プロペラを駆動する動力シャフトのエンジンパワーを増強することにより、離陸時に
図3及び4に示されるような構成に第3のモード(例えば、増強推力モード)で電力を供給してもよい。巡航飛行中に、航空機は第2のモード(例えば、直接駆動エンジンモード)を使用して、メイン推進プロペラのみを駆動してもよい。別の例では、巡航飛行中に、航空機には、動力シャフトと推進プロペラとの間にクラッチが装備されており、コントローラは、動力シャフトを推進プロペラから係合解除し、発電機/モータから翼に取り付けたモータに電力を出力することによって、航空機を第1のモード(例えば、ハイブリッド発電機モード)で動作させ、翼に取り付けたモータを駆動することができる。別の例(例えば、エンジン故障等の緊急事態)では、推進プロペラは、1つ又は複数のバッテリ等から電力I/Oに入力された電力を使用して、第4のモード(例えば、直接駆動発電機/モータモード)で駆動できる。
【0055】
別の例では、航空機は、動力付き又は動力なしで動作し得るジャイロコプター型のメインロータを含むVTOL航空機であり得、翼に前方推進モータ及びプロペラが取り付けられ得る。一実施形態では、柔軟なアーキテクチャは、電力入力/出力(及び発電機/モータ)から供給される電力によってジャイロコプター型のメインロータに結合されたモータを駆動し、電力を使用して翼に取り付けたモータを駆動する、第1のモード(例えば、ハイブリッド発電機モード)で完全に使用してもよい。一実施形態では、航空機は、動力シャフトとジャイロコプター型のメインロータとの間にクラッチを含むようにも構成され、それによって柔軟なアーキテクチャは、第2のモード(例えば、直接駆動エンジンモード)又は第3のモード(例えば、増強推力モード)を使用して(例えば、ジャイロコプター型のロータを離陸のための速度まで上げるために)ジャイロコプター型のメインロータを回転させることができる。このような例では、次に、コントローラは、ジャイロコプター型ロータが速度に達した後(例えば、巡航飛行のために第1のモードに切り替える)に、柔軟なアーキテクチャを第1のモード(例えば、ハイブリッド発電機モード)に切り替えることができる。第4のモード(例えば、直接駆動発電機/モータモード)は、エンジン故障の際に、1つ又は複数のバッテリ等の電源からの電力を使用して動力シャフト(従って、ジャイロコプター型ロータ)を駆動するために再び使用され得る。
【0056】
図5は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャが使用され得る別の航空機500の例を示している。例えば、航空機500は、ティルトウィング上に複数(例えば、8個)の電気モータ/プロペラ505を含み、電気モータ/プロペラ505は本明細書で説明する第1のモード(例えばハイブリッド発電機モード)を使用して電力を供給され得、この場合、エンジンはクラッチを使用して動力シャフトと係合され、発電機/モータを駆動し、発電機/モータからティルトウィング上の様々な電気モータ/プロペラ505に電力を出力することができる。
【0057】
従って、本明細書では、推進機構に動力を供給するための様々なモードを実現できる、航空機のための有利な柔軟なアーキテクチャについて説明する。特定の航空機及び推進機構の構成では、柔軟なアーキテクチャが実行できる本明細書で説明する各モードを利用できない場合があるが、柔軟なアーキテクチャは、様々な航空機に実装して様々なモードを実現できる。同様に、推進機構に動力を供給するための5つの異なるモードを含む柔軟なアーキテクチャの例について本明細書で詳しく説明しているが、推進機構に動力を供給するためのモードがより少ない、より多い、又は異なる他の柔軟なアーキテクチャも本明細書で企図される。
【0058】
例えば、柔軟なアーキテクチャは、本明細書で説明するようなクラッチを有さず、エンジン出力をシステムのモータ/発電機及び/又は出力動力シャフトに結合することが望ましい、本明細書で説明する様々なモードを依然として実装できる。例えば、第1のモードでは、エンジンは動力シャフトを回転させて、発電機に電気を生成させることができる。第2のモードでは、エンジンは、例えば機械的な推進構成要素を直接駆動することができるが、モータ/発電機をオフにする、又はモータ/発電機の動力シャフト及びロータをモータ/発電機内でフリーホイールさせることができるため、エンジンをモータ/発電機又は動力シャフトから係合解除する必要はない。第3のモードでは、エンジン及びモータ/発電機を使用して動力シャフトを駆動するため、クラッチを使用してエンジン及びモータ/発電機を係合解除することは望ましくない。第5のモードでは、エンジンは動力シャフトを回転させて、発電機に電気を生成させ、動力シャフトが推進機構に機械的に動力を与えるようにすることができる。そのため、上記の第1、第2、第3、及び第5のモードのいずれかを使用する航空機では、動力シャフトをエンジン出力から係合解除する必要はない。そのため、第1、第2、第3、及び/又は第5のモードのいずれかの組合せを使用する実施態様(第4のモードは使用しない)の場合に、システムではエンジンの出力がモータ/発電機の動力シャフトに常時接続されるため、クラッチを使用しない場合がある。クラッチは重く、信頼性が低い可能性があるため、このような実施形態は有益であり得る。
【0059】
図6は、例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを含む航空機の異なる飛行段階で航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用するための第1の方法300の例を示すフローチャートである。特に、航空機は、単一のより大きな推進プロペラと、翼上の電気モータのアレイ及び対応するより小さなプロペラとを含む航空機であってもよい。602での離陸飛行段階中に、本明細書で説明する第5のモードを使用して、メイン推進プロペラに動力を機械的に供給し、翼に取り付けたモータに電力を供給してもよい。604での巡航飛行段階中に、本明細書で説明する第2のモードを使用して、メイン推進プロペラにのみ動力を機械的に供給し、小型の電気モータ/プロペラには電力を供給しなくてもよい。
【0060】
図7は、例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを含む航空機の異なる飛行段階で航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用するための第2の方法400の例を示すフローチャートである。特に、航空機は、単一の大型の推進プロペラと、翼上の電気モータのアレイ及び対応する小型のプロペラとを含む航空機であってもよい。702での離陸飛行段階中に、本明細書で説明する増強推力と呼ばれる第3のモードを使用して、発電機/モータを介してメイン推進プロペラに電力を供給し(バッテリから電力を引き出す)、エンジンからメイン推進プロペラに動力を機械的に直接供給することができる。さらに、離陸中に、電力(発電機/モータによって生成された電力、及び/又はバッテリから直接得られる電力)を翼上の電気モータに供給することもできる。704での巡航飛行段階中に、本明細書で説明する第2のモードを使用して、メイン推進プロペラにのみ動力を機械的に供給し、小型の電気モータ/プロペラには電力を供給しなくてもよい。
【0061】
図1Aに戻ると、クラッチ115が係合され、エンジン105が動力シャフト111に動力を供給し、発電機/モータ121が動作していない、又はオンになっていない場合に、動力シャフト111は発電機/モータ121内でフリーホイールする可能性がある(例えば、上述の第2のモード)。同様に、
図1Bの動力シャフト180は、様々な実施形態において発電機/モータ185内でフリーホイールする可能性がある。しかしながら、エンジン105及び/又はエンジン155は、クラッチ115及び/又はクラッチ175がそれぞれの動力シャフト111及び/又は180と係合しているときに、動力シャフト111及び/又は動力シャフト180にトルクパルスを発生させる可能性があり、このトルクパルスは、発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185等の発電機にとって危険な場合がある。換言すると、特定の種類のエンジン(例えば、ディーゼルピストン燃焼エンジン)が点火したときに発生し得るものと同様のシャフト上の大きなトルクパルスは、高い角加速度を生じさせる可能性があり、これによって動力シャフト111及び/又は180に結合される発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185の構成要素に疲労又は損傷を引き起こす可能性がある。そのため、フライホイール又は他の強力な減衰システム又はばねカップリングシステム等の構成要素を使用して、動力シャフト111及び/又は180のトルクを平滑化することができる。
【0062】
図8は、例示的な実施形態による、振動トルクを吸収するためのフライホイールを有する航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ800の例を示している。特に、柔軟なアーキテクチャ800は、
図1Bに示され、
図1Bに関して説明したものと同様又は同じ構成要素を含むが、ボルト170によって出力フランジ165に堅固に接続されたフライホイール195を含む。フライホイール195は、ボルト198によってクラッチ175の一方の側にさらに堅固に接続される。従って、回転運動は、エンジン155からクランクシャフト160、出力フランジ165、及びフライホイール195を介してクラッチ175に伝達され得る。クラッチ175は、次に、動力シャフト180と係合又は係合解除して、フライホイール195から受け取った回転運動を動力シャフト180に選択的に伝達することができる。フライホイール195は、さらに、例えば、デュアル質量フライホイール又はばねカップリングであってもよい。
【0063】
他の様々な実施形態において、フライホイールを使用しない場合がある。例えば、本明細書では、動力シャフト(例えば、動力シャフト111)のトルクを減衰できるがフライホイールを含まない減衰システム及び機器の更なる実施形態について説明する。さらに、様々な実施形態において、フライホイールと他の減衰システム又は構成要素とを組み合わせて使用して、動力シャフトに適用されるトルクを減衰又は平滑化することができる。
【0064】
例えば、発電機/モータ自体内の動力シャフト又はロータは、発電機/モータのクランクシャフトに堅固に結合され得る。このようにして、クランクシャフト及びロータは一緒に動力シャフト又はロータ上のトルクパルスを減衰することができ、エンジンからのトルクパルスによる接線方向の加速を低減することができる。このような実施形態では、クラッチを省略してもよい。そのため、減衰システムは発電機/モータの内部にあり、減衰システムの設置面積及び重量は、発電機/モータの外部にあり得るフライホイール又は他の減衰システムよりも小さくなり得る。特に、動力シャフト又はロータとクランクシャフトの堅固な結合は、動力シャフト又はロータの慣性を増大させ、それによって、追加の慣性は、動力シャフトが減速する、又はエンジンのトルクパルスによる加速の影響を受けやすくなるような回転を防ぐのに役立つ。このような実施形態では、動力シャフト又はロータ及びクランクシャフトは、フライホイールと同様に機能してもよい。
【0065】
様々な実施形態において、静的な内側部分と回転する外側部分とを有する発電機/モータが使用され得る。これにより、回転部分の慣性が増大し、発電機/モータ内の磁石が回転してトルク・スパイクによって外れないようにすることができる。換言すれば、磁石は外側部分で既に回転しており、従って、トルク・スパイクの加速による接線方向の慣性力に加えて、一定の安定した半径方向力が適用される可能性がある。
【0066】
トルク減衰システムは、エンジンの出力を発電機/モータに接続する動力シャフト又はロータの一部として構成することもできる。例えば、発電機/モータの動力シャフト又はロータの間のハブには、ねじりばね及び/又は減衰特性を含むカップリングが含まれる場合がある。ねじり減衰カップリングには、潜在的に有害なトルクインパルスがエンジン出力から発電機の動力シャフト又はロータに渡されるのを軽減するエラストマー部品又はばね(例えば、鋼又は他の金属で作製される)が含まれる場合がある。ねじり減衰カップリングは、共振減衰カップリングに類似していてもよく、又は共振減衰カップリングとも呼ばれ得る。例えば、このようなねじり減衰カップリングは、フライホイール又は他の大型減衰システムを使用するシステムとは対照的に、システム全体の重量及びサイズを低減することができる。1つ又は複数のねじり減衰カップリングを、エンジン内、エンジンとクラッチとの間、クラッチ内、クラッチと発電機との間、及び/又は発電機内のいずれか1つ又は複数に取り付けて、動力シャフト又はロータが発電機自体の構成要素を損傷する前に減衰を達成することができる。
【0067】
発電機の動力シャフト又はロータのトルクを減衰する他の方法も使用することができる。例えば、発電機の磁場を制御してパルスを発生させ、それによってそのパルスを発電機の動力シャフト又はロータに作用させて、エンジンによって動力シャフト又はロータに与えられたトルクパルスの一部又は全部を打ち消すことができる。発電機の磁場のこのようなパルスは、エンジンによって加えられたトルクパルスの測定に基づいて制御することができ、その結果、ディーゼルエンジンによって発電機の構成要素が損傷を受けないようにすることができる。例えば、エンジンと発電機/モータとの両方が動力シャフトに電力を供給する上述の第3のモードでは、発電機から動力シャフトにパルスを印加することで、動力シャフトに電力を供給すると同時に、発電機の部品が損傷するのを防ぐことができる。本明細書で説明する他のモードでは、動力シャフトがエンジンによって部分的に又は全体的に駆動されるときはいつでも、発電機を使用して動力シャフトにパルスを印加することができる。こうして、このような方法で発電機の部品を適切に保護するために、発電機の磁場によって動力シャフト又はロータに印加されるパルスは、エンジンのトルクパルスと相関するように構成され、それらのトルクパルスを適切に打ち消すことができる。
【0068】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを実際の航空機にパッケージ化及び/又は使用する方法の例を以下でさらに説明する。例えば、特定の航空機は電気モータを使用して推進システムを駆動することができ、従って、それらの推進システムを駆動するために十分な機内電気エネルギー又はそのような機内電気エネルギーを生成する方法を含む必要がある。さらに、所与の管轄区域の規制では、航空機の運用規制に準拠するために十分な予備エネルギーも要求される場合がある。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、そのような推進システムのための電気エネルギー及び/又は予備エネルギーを供給することができ、それによって本明細書で説明するシステムが様々な電気航空機で動作できるようにする。例えば、本明細書の実施形態は、ジェット燃料(又は他の液体又はガス燃料)を電気に効率的に変換し、それによって広く入手可能な燃料供給源を使用して電気航空機に電力を供給できるようにする。
【0069】
図9は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャ900の例の斜視図を示す。このハイブリッドユニットは、様々な航空機タイプ及び実施態様のコア・パワープラントとして使用することができる。
図9のハイブリッドユニットは、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、及び/又は
図8に示され、それらに関して説明した一部、全て、及び/又は追加の要素を含むことができる、緊密に統合したパワープラントである。
【0070】
さらに、ハイブリッドユニットは、ハイブリッドユニットの様々な態様、ハイブリッドユニットに関連する熱交換器、又はハイブリッドユニットの任意の態様のためのフィン付きアタッチメント等のヒートシンクを冷却する統合冷却システム905を含んでもよい。電力出力910は、動力シャフト(例えば、
図1Aの動力シャフト110、
図1B又は
図8の動力シャフト180)であるか、又は動力シャフトに接続され得、それによってハイブリッドユニットから航空機の推進システム又は他の態様に回転動力を出力できる。電気コネクタ915は、本明細書で説明するように、電力を出力(又は電力を入力)するためにも使用できる。電気コネクタ915は、例えば、Amphenol Surlok Plus(登録商標)コネクタ又は同等品であるか、又は他の任意のタイプの適切なコネクタであってもよい。このようにして、ハイブリッドユニットの直流(DC)バス等のメインバスは、電気コネクタ915(例えば、
図1の電力入力/出力125、
図2A又は
図2Bの電力I/O245)を介して接続できる。これらのコネクタ又は他のコネクタは、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス、CAN2.0バス、及び/又はSAE J1939バス等を使用して、ハイブリッドユニットの構成要素への接続及び制御を容易にすることもできる。このような通信バスは、250キロバイト/秒(kbps)、500kbps、1000kbps等の様々な速度で動作できる。様々な実施形態において、電気コネクタ915及び/又は他のコネクタは、様々なタイプの航空機及びそれらの航空機が使用する通信及び電力システム等の特定のアプリケーションに合わせてカスタマイズできる。
【0071】
電力出力910及び電気コネクタ915のおかげで、
図9のハイブリッドユニットは、パワー出力910を介して機械的動力を出力し、及び/又は電気コネクタ915及びハイブリッドユニット内のDCバス(例えば、
図1の電力入力/出力125、
図2A又は
図2Bの電気I/O電力245)を介して電力を出力してもよい。同様に、機械的動力をパワー出力910を介して受け取って電気コネクタ915を介して出力のための電気を生成するのと同様に、電力を電気コネクタ915を介して受け取ってパワー出力910を駆動してもよい。例えば、航空機が1つ又は複数のバッテリを含む場合に、バッテリからの追加電力を電気コネクタ915を介して受け取ってパワー出力910に適用される電力を増強し、それによってパワー出力910は、本明細書で説明するように、エンジンと航空機のバッテリからの電力との両方によって駆動されるようにしてもよい。
【0072】
図9のハイブリッドユニットは、エンジンを燃料供給源に接続するためのコネクタ925をさらに含んでもよい。コネクタ925は、AN6クイック燃料コネクタ等のクイック燃料コネクタであってもよい。このようにして、エンジンに燃料を供給して、パワー出力910に電力を供給し、及び/又は電気コネクタ915を介して出力される電気を生成することができる。
図9のハイブリッドユニットは、ハイブリッドユニットを航空機に取り付けるための取付けハードウェア920をさらに含んでもよい。
図9では、取付けハードウェア920はハイブリッドユニットの上部に示されるが、他の実施形態では、取付けハードウェアは、ハイブリッドユニットの上部、下部、側部等のいずれかに追加的又は代替的に配置することができ、それによってハイブリッドユニットを必要に応じて航空機に取り付けることができる。
【0073】
【0074】
従って、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、電気航空機又はハイブリッド電気航空機に電力を供給するために使用することができ、バッテリパックのみの場合よりも優れた電力を提供することができる。例えば、
図9~
図11に示されるハイブリッドユニットは、バッテリよりも優れたエネルギー密度(例えば、5~7倍優れたエネルギー密度)を提供することができる。例えば、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、600~1200ワット時/キログラム(Wh/kg)相当のエネルギー密度を有することができる。本明細書で説明するハイブリッドユニットは、他のシステムよりも燃費が優れているという利点もあり得(例えば、タービンエンジンよりも40%燃費が優れている)、ジェットA、ディーゼル、灯油、バイオ燃料代替物、又は他の適切な燃料又は所望の燃料等の容易に入手できる燃料を使用することができる。換言すれば、本明細書のハイブリッドユニットは、コンパクトなパッケージに、エンジン、発電機、インバータ、及び空冷を使用した熱管理を含むことができるため、柔軟なアーキテクチャを搭載した航空機は、これらの構成要素をパワープラントとして有利に利用することができる。様々な電圧(例えば、400ボルト(V)、800V、1000V、1200V等)の出力がハイブリッドアーキテクチャから供給され、他のアクセサリ又はシステム電源(例えば、28V)のための接続も有している。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、他のシステムよりも静か(例えば、タービンエンジンシステムよりも静か)であり得る。例えば、現在のシステムから100フィート以内の距離では、騒音は70デシベル(dB)未満であり得る。
【0075】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、拡張可能でもある。例えば、大型の航空機では、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを2つ以上使用してもよい。柔軟なアーキテクチャは、様々な機能及び目的に合わせて設計した様々な航空機で使用することもできる。例えば、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、電動垂直離着陸(eVTOL)航空機、電動短距離離着陸(eSTOL)航空機、電動従来型離着陸(eCTOL)航空機等の都市航空モビリティ(UAM)システムで有用である可能性がある。
図9~
図11に示されるような柔軟なアーキテクチャの一例は、以下の表1に示される仕様を有し得る。
【表1】
*最大バーストシャフトパワーはバッテリ構成に依存する。
**乾燥質量には、エンジン、発電機、インバータ、及び熱システムが含まれる。
【0076】
上に示されるように、185kWのハイブリッドユニットが提供され得る。従って、2つのハイブリッドユニットを所与の航空機に提供して、370kWの電力を供給することができる。
【0077】
図12は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの別の例の斜視
図1200を示す。
図12の柔軟なアーキテクチャには、エンジン1205及び発電機が含まれるが、発電機は、システムの冷却ダクト等の他の構成要素によって隠れているか、又は見えない。しかしながら、
図9~
図11のハイブリッドユニットと同様に、機械出力パワー1210及び電気出力パワー1220(両方ともオプションで電力を受け取ることもできる)が供給される。
【0078】
このように、本明細書の様々な実施形態は、航空宇宙市場の様々な異なるタイプの航空機に組み込むことができるハイブリッド電気パワープラントを提供する。そうすることで、航空機メーカーは、それらの航空機に電力を供給するために、エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムで構成される独自のシステムを構築する必要がなくなる。パワープラントシステムを形成し、それを航空宇宙規格に認定するための開発プロセスは4年以上かかり、1,000万ドルを超える費用がかかり得るため、これは有利になり得る。
【0079】
このように、本明細書で説明するハイブリッドパワープラント又は柔軟なアーキテクチャは、航空機の設計とは別に設計、製造等することができる。柔軟なアーキテクチャのいくつかの態様は、航空機メーカーの希望に応じてカスタマイズすることができるが、システム全体の再設計又は再構成を生じさない方法でカスタマイズすることができる。従って、本明細書の実施形態は、航空機に搭載される1つのパッケージにエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムを含む統合ユニットを提供する。これらの要素を単一のスタンドアロンユニットに組み合わせると、さらに有利には、そのユニットはシステムとして連邦航空局(FAA)の認証プロセスを通ることができる。その後、複数の航空機メーカーが認証システムを使用できるため、航空機開発者の認証の負担と開発の負担とが軽減されるだけでなく、複数の航空機メーカーが自社の航空機用に特別に設計する多くの異なるパワープラントシステムの認証を取得する必要がなくなり、効率が向上する。
【0080】
エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムを含む複合ユニットを提供することで、本明細書で説明するハイブリッド式の柔軟なアーキテクチャは、個々の構成要素としてではなく、システム全体として最適化でき、部品の最適化ではなく、システム全体として最適化できる。さらに、このようなハイブリッドユニットは複数の航空機設計で使用できるが、航空機設計プロセスの一部として設計したシステムは、他の場所に再適用することが難しいように構成される。複数の市場セグメント及び共通の電力要件を有する航空機設計に適用できるハイブリッドユニットがあれば、航空機の主要構成要素(ハイブリッドユニット又は柔軟なアーキテクチャ等)が既に認証され、生産される場合に、航空機の開発が迅速化される。
【0081】
航空のためのハイブリッド電気システムは、歴史的に、各アプリケーション/航空機のためにゼロから設計されてきた。このようなプロセスは非効率的であり、本明細書の実施形態によって対処される。例えば、一部の航空機には、航空機専用に設計した固有のパワープラントがある。このようなソリューションには、カスタムエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム、冷却システム、バッテリパック、推進モータ、及び/又はプロペラが含まれる場合がある。本明細書の実施形態は、航空機の電力及び推進システム内の2つの異なる半分、すなわちパワートレイン(本明細書で説明するハイブリッドパワートレイン等)の上流端と下流端の半分を構成する航空機のためのコンパクトなハイブリッドシステムを提供する。
【0082】
図13は、例示的な実施形態による航空機1300を推進するための例示的な下流構成要素及び上流構成要素を示す。例えば、航空機システムの下流構成要素1310は、航空機の特定の設計にさらに関連するモータ、ロータ/プロペラ、姿勢制御構成要素等を含んでもよい。異なる航空機内で繰り返し使用できる航空機の上流構成要素1305は、エンジン、発電機、バッテリ、パワー分配、燃料、発電機の騒音低減等を含んでもい。
【0083】
具体的には、パワートレインの上流端には、電力の生成を担うハイブリッドパワートレイン要素が含まれ得る。このような上流構成要素1305は、エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム(上流電力生成構成要素用)、冷却システム(上流構成要素用)、バッテリパック、及び/又は燃料を含んでもよい。パワートレインの下流端には、電力を推力、姿勢制御、及び/又は空気力学のアクティブ制御に変換するハイブリッドパワートレイン要素が含まれ得る。これらの下流構成要素1310は、電気モータ、プロペラ、モータコントローラ、及び/又は推進システムの制御システムをさらに含んでもい。
【0084】
このため、サイズ及び総電力要件が類似する、非常に異なる電気航空機設計の間で、共通の上流パワートレインのニーズが存在し得る。しかしながら、下流パワートレインは航空機同士の間で一貫性が殆どないため、これらの構成要素は、上流構成要素のように多くの航空機設計で動作するように標準化されていない可能性がある。さらに、標準化に適した上流要素には、電力要件に関連付けられているが総エネルギー要件に関連付けられていない構成要素が含まれる可能性がある。エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムの場合に、上流パワートレインのこれらの要素は、航空機の特定の電力要件(kW又はhp)に合わせてサイズ設定され得る。ただし、燃料の量とバッテリパックのサイズとは総エネルギー要件(kWh又はhp hr)によって決まり、航空機毎に異なる場合がある。このような実施形態では、燃料タンクのサイズを変更して航空機の設計要件に合わせることで燃料の量を増減することができ、バッテリパックの容量(kWh)は、バッテリパック内のセルの並列スタックの数を調整するか、又は追加のバッテリパックを追加することで増減することができる。
【0085】
従って、本明細書では、エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム(発電システム用)、及び/又は冷却システムを重量効率及びスペース効率に優れた方法で緊密に統合したハイブリッドパワープラントを提供する実施形態が提供され、このハイブリッドパワープラントは、航空機から分離可能な、推進力を提供するように設計したスタンドアロンユニットとして認定を受けることができる。
【0086】
さらに、本明細書で説明するように、発電機内のロータは、ハイブリッドパワープラントのコンテキストで複数の目的を果たすように最適化することができる。従来の燃焼エンジンは、動作の滑らかさを向上させるために回転シャフトにフライホイール質量が取り付けられる場合がある。しかしながら、航空宇宙システムのコンテキストでは、余分な質量を追加することは魅力的ではない場合がある。本明細書で説明するように、ハイブリッドパワープラントにおいてエンジンを発電機に結合する場合に、発電機のロータは、エンジンからのトルクインパルスに耐えるように設計され、エンジンが動作をスムーズにするために利用する回転質量になるように設計され得る。
【0087】
さらに、補助動力ユニットが従来技術で知られているが、これらのシステムは、航空機の推進力の主な供給源としてではなく、異なる目的で設計される場合があり、従って、推進に使用するために必要な基準に認定可能な制御システムを有さない可能性がある。さらに、このようなシステムは、冷却システムなしで設計される場合があり、その態様は機体設計者に任される。そのため、これらのシステムは、パート33(航空機パワープラントに関するFAA規制)に認定されていない。また、これらの補助動力ユニットシステムは、飛行の全ての段階で使用される高効率推進システム用ではなく、断続的に使用される軽量の補助システムとして設計される。さらに、補助動力ユニットは交流(AC)電力を生成するように設計され得るが、本明細書で説明するハイブリッド電気パワープラントは直流(DC)電力を生成でき、バッテリパックはDC電力を供給し、DC電力を使用して充電されるため、ハイブリッド電気パワープラントは大型推進バッテリパックと結合することができる。
【0088】
ターボ発電機は、ハイブリッド電力用に提案される適応型補助動力ユニットの一種である。このようなシステムには、ハイブリッドパワープラントの一部である冷却システムを機体開発者に提供する冷却システムの統合が欠けている。そのため、機体開発者は、ターボ発電機の使用に伴う独自の冷却システムを設計しなければならない可能性がある。本明細書の実施形態を使用すると、本明細書で説明するハイブリッドパワープラントを冷却するための個別の冷却システムは特定の機体用に設計又は開発する必要がないという利点がある。なぜなら、そのような冷却システムは、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャに既に含まれるからである。
【0089】
このように、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド電気パワープラントは、液体燃料(又は気体燃料)を回転機械動力に変換するエンジン、回転機械動力を電気に変換するように構成されたエンジンに結合された発電機、及び/又は発電機に結合された、発電機の直接AC出力を高電圧DC電力に変換するように構成された電力エレクトロニクスを有利に提供する。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド電気パワープラントは、さらに、航空機の電力需要を満たすために、航空機の主推進電気バスの電力需要に合わせてエンジンの動力出力を変化させるように構成された制御システムを有利に提供する。
【0090】
本明細書で説明するハイブリッドパワープラント制御システム、パワーエレクトロニクス、発電機、及び/又はエンジン設計は、推進航空宇宙システムの信頼性に関する規制要件(例えば、故障の確率が10-6又は10のマイナス6乗未満であるべき)にもさらに準拠することができる。柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド電気パワープラントは、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッドパワープラントが車両レベルの飛行制御システムと通信して、車両レベルの飛行制御システムからハイブリッドパワープラント制御システムに推進力コマンドを提供できるようにする制御インターフェイスをさらに含むことができ、制御インターフェイスは、有利には、ハイブリッドパワープラント制御システムが車両レベルの飛行制御システムに状態メッセージ(例えば、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッドパワープラントの制御に使用するフィードバック)を送り返すようにもする。柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド電気パワープラントは、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド電気パワープラントの動作パワー出力の全範囲に亘って発電機、パワーエレクトロニクス、及び/又はエンジンの温度範囲を維持する冷却システムをさらに含むことができる。
【0091】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド電気パワープラントの様々な実施形態は、エンジントルクを変化させることによって出力を変化させ、及び/又はパワー出力のかなりの範囲に亘って毎分回転数(RPM)を実質的に一定に保つ制御システムをさらに含んでもよい。このような実施形態は、スロットルラグを排除し、システムの回転慣性に関連する応答時間を長くすることで、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド電気パワープラントの応答を高速化することができる。
【0092】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド電気パワープラントの様々な実施形態は、エンジンのパワー出力の一部を機械シャフト動力として提供し、一部をDC電力として提供するオプションをさらに含んでもよい。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド電気パワープラントの様々な実施形態は、エンジンがピストンエンジン、ディーゼルピストンエンジン、タービンエンジン、ロータリエンジン、又は他の形式の燃焼エンジンであってもよいことをさらに含んでもよい。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド電気パワープラントの様々な実施形態は、発電機のロータがエンジンのフライホイールとなるように設計される例をさらに含んでもよい。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド電気パワープラントの様々な実施形態には、エンジンと発電機との間にクラッチがさらに含まれ、本明細書で説明する一部のタイプの並列ハイブリッド設備において、エンジンが停止している間に発電機を動作させることができるモータとして動作できるようにする。
【0093】
DCバス構成要素
本明細書では、ハイブリッド電気航空機を実現するための様々な実施形態について説明する。このような航空機は、航空機の推進機構のためのモータ等、航空機の様々な構成要素に電力を分配するために高電圧電気バスを利用することができる。このようなハイブリッド電気航空機では、推進モータが適切に動作できるように、高電圧電気バスを特定の所定の電圧範囲(例えば、公称電圧レベル付近)内で安定させることが望ましい場合がある。本明細書で説明する様々な実施形態は、特に直流(DC)バスを使用する可能性があるため、所望のDC電圧範囲を維持することが望ましい場合がある。有利には、本明細書の様々な実施形態は、少なくとも1つのバッテリ又はスーパーキャパシタをDCバスに直接接続することにより、DCバス上の所望のDC電圧範囲を効率的に維持し、さらに、少なくとも1つのバッテリ又はスーパーキャパシタに対して十分な電荷を維持して、DCバス上の所望のDC電圧範囲を維持することを可能にする。このような実施形態は、ハイブリッド電気又は電気航空機の構成要素(例えば、推進のための電気モータ及びインバータ)に損傷を与える可能性のある電圧スパイクを防ぎ、航空機又は航空機のシステムの信頼性及び/又は性能及び安全性に悪影響を与え得る電圧スパイク又は電圧低下を回避することができる。
【0094】
電動航空機では、全体的なアーキテクチャの様々な実施形態には、低インピーダンス接続を介して高電圧DCバスに接続され、そのバスに電力及びエネルギーを供給する1つ又は複数の電力生成装置(例えば、発電機)が含まれ得る。同じ車両内に、その同じDCバスに、そのDCバスから電力及びエネルギーを受け取る1つ又は複数の電力消費装置(例えば、電気モータ)が接続される場合がある。電動航空機の様々な実施形態には、バス電圧及びバッテリパックの電圧に応じて必要に応じて電力を受け取る又は供給できるバッテリパック又はコンデンサ(例えば、スーパーコンデンサ)等のエネルギー貯蔵装置も含まれる場合がある。
【0095】
例えば、高電圧発電機が直接DC電力を生成している場合、又は受動整流器を介して動作している場合に、モータによって生成されるDC電圧は、発電機を回転させるシャフトの毎分モータ回転数(RPM)の一次関数である可能性がある。例えば、永久磁石電気モータは、回転速度(RPM)に基づいて電圧を生成し得る。多くの用途では、電圧とRPMの結合により、システム内のその電気モータの価値を制限するモータ制御の問題が発生する可能性がある。永久磁石のないブラシレスモータから更なる有用性を得るために、外部電圧基準を使用して、所望の電圧レベルを維持することができる。航空における特有の問題は、飛行の安全性のために、寄与物(電気ブラシレス発電機等)の特性と一致しない可能性がある広範囲の飛行条件に亘って電力消費装置(ファン、プロペラ、又は他の装置を駆動する電気モータ)を正確に制御する必要があることである。使用する高電圧発電機が何らかの理由で予想よりも遅く回転している場合に、バス電圧が所望よりも低く、そのバス上のモータが予想を下回るパフォーマンスを発揮する可能性があり、安全でない、又は望ましくない状態につながる可能性がある。このような高電圧発電機が予想よりも速く回転している場合に、バス電圧が高くなり、モータの性能が再び予想値又は目標値から外れる場合がある。そのため、共通のバスを共有する発電機及びモータのアプリケーションでは、使用する発電機及びモータをそれに応じて設計することが望ましい場合がある。電動航空機の場合に、航空機の揚力、推力、航空機姿勢等を提供するために、モータを正確に制御することが望ましい。そのため、他の非航空関連の実施態様と比較して、モータに供給される電力を、モータが所望の性能レベルで動作し続ける電圧に維持することにより、モータに供給される電力(例えば、DCバス経由)をより適切に制御することが望ましい。さらに、モータに供給される電力は、航空機のパイロット又は制御システムが必要に応じて広範囲に亘ってモータを制御できるように、迅速に調整可能であってもよい(例えば、パイロット又は制御システムに、モータを制御できる柔軟で広範囲な範囲を提供する)。様々な実施形態において、インバータを使用して上流の発電機の出力電圧を調整し、これを使用して高電圧バスに電力を供給することができる。インバータを使用して、変化する負荷条件下で下流のモータを正確に制御することもできる。
【0096】
インバータを使用すると、システム設計者は、電流を制御することで、任意のモータ及び/又は発電機の動作範囲を拡大することができる。これらのインバータが適切に機能するためには、インバータに電力を供給するバス電圧を、モータRPM以外の方法で設定及び維持することが有利である(モータRPMのみが使用される場合、バス上の電圧を正確に制御することが難しい場合があるため)。バス電圧の維持は、全てのシステム動作条件下で存在する静電容量及び負荷の予想される変動に関係する。例えば、そのバスの負荷が急激に変化する、又は静電容量(類似の機械システムで慣性のように作用する)が低過ぎる場合に、高電圧バスと電力電子システムが不安定になる可能性がある。
【0097】
様々な実施形態において、バス電圧は、バッテリパック、コンデンサ、又はこれらの任意の組合せを使用して確立及び維持することができる。このような装置は、バスに静電容量及び/又は電気慣性を追加することができ、受動的であり、つまり、それらの意図した機能は完全に物理法則によって支配されることを意味し、制御又は介入(例えば、コントローラ又は制御システムによる)を必要としない場合がある。スーパーキャパシタ(又はウルトラキャパシタ)は、高静電容量という望ましい特徴をさらに有しているが、典型的に、大きなエネルギー貯蔵能力はない。スーパーキャパシタは、非常に急速な変動に非常に大きな電力(例えば、経時的なエネルギー)で応答することができる。つまり、それらスーパーキャパシタは、比較的短い持続時間、低い振幅、又はこれら2つの値の積が比較的低い変動に対してバスに安定性を提供することができる。バッテリは、バスの安定性のために大きな静電容量を有し、高エネルギーを貯蔵することもできるため、望ましい場合もある。バッテリは、スーパーキャパシタほど迅速に電圧の変化に対応できない場合がある。これは、バッテリが、特に充電時に電力印加のレートが制限されることが多いためである(放電電力容量は、充電容量の10倍以上になることがよくある)。例えば、バスから電流を引き出して所望の電圧レベルを維持する必要がある場合(例えば、バッテリを充電する場合)に、バッテリは、特定の実施形態では、その電流を所望のほど迅速に吸収できない場合がある(選択したバッテリの特定の特性によって異なる)。ただし、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバッテリパックだけで、バスで所望の電圧レベルを維持できる場合がある。
【0098】
従って、DCバスで所望の電圧を維持するために適切な設計のバッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクを追加することで、1つ又は複数の上流の発電機と下流のモータとを独立して制御できる様々な実施形態について本明細書で説明する。これらの貯蔵要素の電圧及び静電容量がバス上のメインモーター制御要素に直接電気的に接続される(他のスイッチ、充電器、又は同様の装置によってシールドされていない)アーキテクチャでは、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、高電圧DCバスの軽量で効果的なアンカー又はセットポイントを提供する。
【0099】
航空機のバッテリパックは、飛行物品に適用されるシステム安全基準をサポートするために、ハイブリッド電気発電システムとともに展開される場合がある。これらのバッテリパック及び/又はスーパーキャパシタが、必要な電力又はエネルギーを提供するだけでなく、正しい又は望ましい電圧に設定され、高電圧モータコントローラに接続されるように選択される場合に、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクをDCバスに直接接続することにより、バスの安定化という2つ目の貴重な利点を提供できる。バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、バスの実際の電圧が充電状態(SOC)及び変化する電気負荷によって当然多少変動する可能性があるものの、所与の航空機に対して目標電圧を有するように選択することも有利である。バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、実際の電圧が所望の範囲から外れることのないように有利に選択してもよい。実際の電圧が所望の範囲から外れた場合、又は所望の範囲から外れることが予想される場合に、航空機のコントローラ又は航空機内のハイブリッド発電機セットは、発電機に供給される電力(例えば、トルク)を調整して、DCバスに供給される電力を増減し、電圧を適切な所望の範囲内に維持することができる。さらに、RPMは、一定又は比較的一定のレベルに維持されるか、又は所定の範囲内に維持され得る。従って、発電機に供給される電力、又は動力シャフトに出力される電力は、エンジンの出力のRPMを調整するのではなく、エンジンによって出力されるトルクを調整することによって調整することができる。さらに、実際の電圧設定点を、電気モータ又は航空機の他の構成要素を動作させるために望ましい許容範囲内にとどまる範囲で変動し得るように維持することが望ましい場合がある。さらに、バッテリパックは、ハイブリッド発電機セットの発電機又は他の構成要素に障害が発生した場合に、航空機のモータ又は他の構成要素を駆動するための補助電源として有利に機能することができる。これにより、システムの安全性と障害許容範囲のレベルが向上する。
【0100】
図14は、例示的な実施形態による、直流(DC)バスに安定した電圧を供給するための例示的なシステム1460の概略図である。システム1460は、コントローラ1462を含むハイブリッド発電機セット1461、シャフト1464によって発電機1465に接続されたエンジン1463、インバータ1466、及び直流(DC)バス1467を含む。エンジン1463は、シャフト1464を介して発電機1465に機械的(例えば、回転)動力を供給し、それによって発電機1465が電力(例えば、交流(AC)電力)を生成することができる。発電機1465からのAC電力は、インバータ1466によってDC電力に変換され、DCバス1467に供給される。インバータ1466は、DCバス1467からのAC電力を、発電機1465がシャフトにパワー出力を供給するために使用できるAC電力に変換することもできる(例えば、発電機1465がモータとして機能し、推進機構等の航空機の構成要素に電力を供給する場合)。コントローラ1462は、ハイブリッド発電機セット1461の任意の構成要素を制御することができる(例えば、発電機1465に出力されるRPMを制御する)。コントローラ1462は、DCバス1467の特性、例えばDCバスの電圧及び/又はDCバス1467を流れる電流も測定できる。
【0101】
システム1460には、DCバス1467に接続されたインバータ1472及び1476、インバータ1472及び1476に接続された電気モータ1474及び1478、コントローラ1480、及びバッテリパック1482及び1484等の航空機部品も含まれる。様々な実施形態において、航空機部品は、バッテリパック1482及び1484の代わりに、又はバッテリパック1482及び1484に加えてスーパーキャパシタを含んでもよい。様々な実施形態において、航空機部品が個別のバッテリ及び/又はスーパーキャパシタを含むかどうかに関係なく、1つ又は複数のバッテリパック及び/又はスーパーキャパシタは、ハイブリッド発電機セット1461の一部として含まれ、ハイブリッド発電機セット1461内のDCバスに直接接続され得る。
図14は、ハイブリッド発電機セット1461のDCバス1467から航空機部品1470への複数の接続を示しているが、航空機部品1470の別のバスへの単一の接続、又はDCバス1467自体が航空機部品1470の一部である場合等、他の構成も本明細書では企図される。コントローラ1480は、コントロール1462と通信することができる。このようにして、コントローラ1480は、インバータ1472及び1476、電気モータ1474及び1478が現在どのように制御/使用されるか、又はコントローラがこれらの部品を将来どのように使用する予定であるかに関する情報をコントローラ1462に送信することができる。コントローラ1480は、バッテリパック1482及び1484の状態を監視及び測定し、その状態に関連する情報(例えば、充電状態、電圧、バッテリに流入又は流出する電流等に関連する測定値)をコントローラ1462に送信することもできる。ハイブリッド発電機セット1461にバッテリ又はスーパーキャパシタが含まれる実施形態では、コントローラ1462は、同様の情報を得るためにそのような構成要素を監視する。
【0102】
様々な実施形態において、
図14に示される要素よりも少ない、追加の、又は異なる要素を航空機に含めてもよい。
【0103】
図15は、例示的な実施形態による、航空機レベルのコントローラからの通信に基づいて、安定したDCバス電圧を維持するための方法1500の例を示すフローチャートである。動作1502では、コントローラ(例えば、
図14のコントローラ1462)は、航空機コントローラ(例えば、
図14のコントローラ1480)から、電力消費又はバッテリ状態情報を含む通信を受信することができる。電力消費情報は、例えば航空機のインバータ又は電気モータによって電力が現在どのように使用されるかに関連し得る。電力消費情報は、航空機のインバータ又は電気モータによって電力がどのように使用されるか(例えば、コントローラが将来の特定の時間にモータに供給される電力をどのように増大又は減少させるかに関する情報)に関連し得る。バッテリ状態情報には、システムのバッテリ又はスーパーキャパシタの充電状態、実際の電圧、及び/又は流入又は流出する電流が含まれ得る。
【0104】
従って、動作1504では、コントローラは、ハイブリッド発電機の電力出力をDCバス上の所望の電圧範囲を維持するためにどのように調整すべきかを決定できる。例えば、バッテリの充電レベルが低過ぎて所望の電圧を維持できない危険がある場合に、動作1506で、コントローラは指示を送信して、バッテリを充電するのに十分な電力があるようにハイブリッド発電機の電力出力を増大することができる。別の例では、航空機のモータが現在使用している電力よりも大幅に多くの電力を使用しているか、又は多くの電力を必要とすると予想される場合に、動作1506で、コントローラは指示を送信して、ハイブリッド発電機の電力出力を増大することができる。同様に、パワー出力を減少させることもできる。いずれの場合も、コントローラは、エンジンによって発電機に供給されるRPMを変更することによって、DCバスへのこの全体的なパワー出力を調整することができる。そのため、バッテリパック及びスーパーキャパシタは、ハイブリッド発電機セットのパワー出力をリアルタイムで調整する必要性を低下させる可能性があるが、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタはDCバスを所望の電圧レベルに維持することができるため、様々な実施形態において、RPM及びそれによるDCバスへの出力パワーの何らかの制御又は調整が依然として望ましい場合がある。
【0105】
図16は、例示的な実施形態による、ハイブリッド発電機セット・レベルのコントローラによる測定に基づいて、安定したDCバス電圧を維持するための方法1600の例1600を示すフローチャートである。方法1600は、方法1600に類似しているが、別のコントローラ(例えば、
図14のコントローラ1480等の航空機システム全体のコントローラ)からそのような測定値又は情報を受信するのではなく、ハイブリッド発電機セットコントローラ自体(例えば、コントローラ1462)によって実行され得る測定を考慮している点が異なる。
【0106】
動作1602では、DCバスで利用可能な電力又はDCバスを流れる電力の態様がコントローラによって測定される。DCバスがシステム全体の航空機コントローラによって測定可能である場合に、動作1602はシステム全体の航空機コントローラによっても実行され得る。同様に、バッテリ及び/又はスーパーキャパシタが、航空機システム全体の一部として位置付けされるのではなく、ハイブリッド発電機セットの一部としてパッケージ化される場合に、動作1602で、コントローラは、バッテリ/スーパーキャパシタの状態(例えば、充電状態、電流、電圧等)も測定し得る。動作304(1604)では、コントローラは、測定に基づいてハイブリッド発電機の電力出力をどのように調整すべきかを決定する。例えば、DCバス電圧が所望の範囲外に近づきつつある場合に、動作306(1606)で、ハイブリッド発電機セットの構成要素に指示を送信して、動作304(1604)での決定に基づいてハイブリッド発電機セットの電力出力を調整し、DCバス電圧が所望の電圧範囲内に留まるようにすることが望ましい場合がある。
【0107】
複数の動作モードにまたがる推力制御
本明細書で説明するように、ハイブリッド電気パワープラントの例には、エンジンと、モータ/発電機と、高電圧バッテリパックと、プロペラ、ファン、又はギアボックスに動作可能に接続された並列ハイブリッド出力シャフトと、エンジンの動力出力を直列電力生成と直接シャフト動力との間で分割又は混合できるようにする高電圧接続と、がある。本明細書でも説明するように、このようなアーキテクチャは、複数の異なる動作モードを提供する。いくつかの実施形態では(例えば、
図14に示されるように)、航空機の推進機構のプロペラ、ファン、ギアボックス等に機械的動力を与えるために使用される並列ハイブリッド出力シャフトの代わりに、出力シャフトは発電機(例えば、本明細書で説明する発電機/モータ121、185、235、1465)に動力を供給することができる。そのため、様々な実施形態において、本明細書で説明する推力制御は、そのようなシステムに関連する使用可能な範囲を有し得る。
【0108】
航空ベースのシステムでは、精神的であれ肉体的であれ、パイロットの作業負荷を軽減することが望ましい場合がある。航空機の操縦には相当の集中力が必要であり得、作業負荷の軽減、判断力の軽減、記憶又はチェックリストの使用の必要性の低減等を提供できるシステムであれば、パイロット又は操縦者がミスをする可能性は低くなる。ハイブリッド電気パワープラントのコントローラが航空機のシステム全体のコントローラから推力の要求を受信する自動又は手動レバーシステムでは、本明細書で説明するような方法は、航空機のコントローラが、ハイブリッド電気パワープラントによって利用可能になる様々な飛行モードを理解するように航空機のコントローラをプログラムする必要なく、単に所与の推力レベルを要求することができるため、シンプルな設計及び/又はより多くの航空機との相互運用性も提供する。
【0109】
パイロットは、推力レバーを使用するのが有利である場合もある。航空機のコックピットのレバーには、1つ又は複数のエンジンからの出力パワーを指示するために使用されるスロットルレバーが含まれ得る。レバーはプロペラの推力にも関係し、前進すると推力が高まり、上昇が速くなり、及び/又は巡航速度が速くなる。こうして、物理的なレバーを含む実施形態では、パイロットは、本明細書で説明するハイブリッド電気パワープラントの複数の動作モードについてパイロットを再訓練する必要なく、パワープラントを制御して推力を高めるメカニズムに既に精通しているという利点がある。
【0110】
こうして、本明細書で説明する実施形態では、直列/並列ハイブリッドパワープラントの少なくとも2つの動作モードにまたがる推力レバーの物理的レイアウト、及びこのシステムの基盤となるコントローラの態様についても説明する。例えば、
図2Aに示されるように、柔軟なアーキテクチャ201のコントローラ205は、レバーの物理的位置に関連している場合もあれば、メイン航空機コントローラ220又は別のコンピューティング装置によって計算される場合もある、所与の推力レベルの要求を示す信号をメイン航空機コントローラ220から受信することができる。
【0111】
第1の範囲(例えば、位置の全範囲における第1の位置サブセット)(例えば、並列ハイブリッド発電モード)において、第1の範囲の下限に向けて、システムは、高電圧バスに高電圧電流(電力)を供給して分散電気推進を駆動することで開始することができる。エンジンRPMは、最大のエンジン効率を提供する高い設定点にあり、モータ/発電機はバス電圧を維持するように制御され得る。つまり、電気出力は航空機の負荷に一致し、電圧は安定している。エンジン出力は、低電力から最大電力までの範囲にあり得、HVバスの負荷のみによって決定される。第1の範囲は、例えば、
図17の範囲1705で示され得る。
【0112】
この状態から、パイロットが出力シャフトを係合させて推進プロペラ又はギアボックス等の機械装置を回転させ、ロータを駆動したい場合に、パイロットは、推力レバーを前方に動かし始め、直接駆動シャフトに推力を出力するように要求することができる。電気負荷がそれまでにエンジンの全出力を必要としない場合に、及び要求されるシャフト動力の追加もエンジンの全出力を必要としない限り、システムに存在する他の自動化がバス電圧(従って、DC出力電流)を維持している間にレバーを前方に動かすと、電力ブレンドが開始される。HVバスを維持するために必要な電力はそのままで、出力シャフトにも電力が流れ始め、エンジンは機械シャフトと電気出力との両方を同時に供給する。
【0113】
これは、エンジンから利用可能な最大電力が要求されたポイント(例えば、
図17のポイント1715)(推力レバーと、DC電流負荷が存在する場合のバス電圧の決定論的自動制御及び維持との両方を介して)に達するまで続く。この推力要求では、全開スロットル、最大機械燃料ラック、又は他のそのようなエンジン制御範囲のいずれかによって、並列ハイブリッドシステムの出力が最大化される場合がある。これは、
図17でモードスイッチとしてラベル付けされた推力レバー範囲の中間点と一致する。
【0114】
分散型電気推進からのDC電流負荷が軽減されていない場合に、追加の推力要求(推進プロペラ又はギアボックスへのシャフトパワーの増大)には、バッテリパックからHVバスに電力を流す必要がある場合がある。この段階(例えば、
図17の範囲1710)では、補助電力モードと表示され、より多くのエンジン電力が出力シャフトに供給され、HVバスの電力需要は発電機によって部分的に満たされ、バッテリパックによって部分的に満たされる。
【0115】
この動作は、パイロットがバッテリパックの性能及び安全性に関する警告を受け取るまで継続される場合がある。このような警告は、充電状態(SOC)、HVバス電圧(バッテリが放電すると低下する)、又は長時間放電によるバッテリ温度に関連し得る。制限が検出されて報告されると、パイロット又は操縦者は、出力シャフトからの推力要求を減らす選択を行うことができる。その後、パイロット又は操縦者は、推力レバーの位置を下げてシステムのバランスを取り直し、ハイブリッドパワープラントシステムからバッテリパックを自動的に充電するフェーズ(例えば、並列ハイブリッド発電モードと呼ばれる第1の範囲)に潜在的に戻ることができる。様々な実施形態において、特定の選択は、機上のプロセッサ又はコントローラによって自動的に行うこともできる。例えば、HVバス電圧がしきい値を下回る場合、バッテリ温度が所定のしきい値を上回る場合、充電状態(SOC)が所定のしきい値を下回る場合等に、プロセッサ又はコントローラは、パイロット又は他のコントローラによって操作される物理コントローラが特定の範囲内にあるかどうかに関係なく、システムがどの動力出力モード(又は
図17の範囲)にあるかを自動的に制御することができる。
【0116】
様々な実施形態において、レバーによって、及び/又はコントローラからの推力レベルの要求に応じて、ハイブリッド電気パワープラントの追加又は異なる動作モードが、動作に組み込まれることがある。例えば、そのような実施形態は、3つ以上の異なるモードを組み込むことができるか、又は
図17に示され、
図17に関して説明したモード以外のモードを組み込むことができる。例えば、第3のモードは、エンジンが動作せず、モータ/発電機がバッテリパックによって電力供給されて機械出力シャフトを駆動するウィスパーモードと呼ばれ得る。このようなモードでは、上記の2つのモードよりも全体的な電力が低く出力される場合がある。こうして、このようなモードは、レバー又は推力要求の最低範囲で適用され、1つ又は複数の他のモードがレバー又は推力要求の他の動作範囲に関連付けられる。
【0117】
例えば、
図18は、ハイブリッドアーキテクチャの例を制御できる動作モード1800の例を示している。
図17は2つのモードを示しているが、
図18は少なくとも3つのモードを示しており、破線は実施形態で実装できる可能性のある第4のモードを示している。第1のしきい値1808、第2のしきい値1810、及び第3のしきい値1812は、システムの望ましい総出力の異なるレベルを表すことができ、これは電気出力又は機械出力の形式であり得る。例えば、システムが
図14のハイブリッド発電機セット1461を含む場合に、総出力は、発電機1465とバッテリパック1482、1484との組合せによってバス1467に供給される電力の総量であり得る。出力パワーの所望量が第1のしきい値1808を超えると、システムは第1の動作モード1802から第2の動作モード1804に移行する。同様に、所望量の電力が第2のモード1804から第3の動作モード1806に向けて移動すると(第1のモード1802に最も近い第2のモード1804の領域で供給される電力量が少なくなり、第3のモード1806に近い第2のモード1804の領域で供給される電力量が多くなる)、第2のしきい値1810で、システムは第3の動作モード1806に移行することができる。所望の電力量が第3のしきい値を超えた場合にも同様の効果が生じ、システムは第4のモード1806に移行することができる。
【0118】
様々な実施形態において、モードは、本明細書で説明するように、異なる出力又はモードに関連付けられ得る。例えば、第1のモード1802は、バッテリ電力のみを使用して電力を出力するモードであり得る。第2のモード1804は、エンジンからの動力がバス(例えば、バッテリを充電するため)と機械的に推進機構との両方に出力されるモードであり得る。
図14の例では、このような第2のモード1804では、エンジン1463及び発電機1465からの全ての電力がバス1467に出力され、電力の一部が電気モータ1474、1478によって使用され、その電力の一部がバッテリ1482、1484の充電に使用され得る。第3のモードでは、エンジンからの動力とバッテリからの電力との両方が推進装置に電力を供給するために使用される(例えば、エンジン1463及び発電機1465とバッテリ1482、1484が電気モータ1474、1478に電力を供給する場合)。
【0119】
本明細書で説明する他のモードは、様々な実施形態において、
図14の第1、第2、第3、第4等のモードのいずれかと関連付けることができる。例えば、モードは、本明細書で説明するハイブリッド発電機モードを含むことができ、このモードでは、エンジンはクラッチを使用して動力シャフトと係合し、発電機/モータを駆動し、発電機/モータから電力を出力することができる。別のモードは、本明細書で説明する直接駆動エンジンモードであり得、このモードでは、エンジンが動力シャフトを駆動して機械的に又は他の方法で推進機構に動力を与える一方、動力シャフトは発電機/モータ内で回転し、発電機/モータの電力入力/出力で電力を受け取ったり出力したりしない。別のモードは、本明細書で説明する増強推力モードであり、このモードでは、エンジンと発電機/モータとの両方を使用して動力シャフトを同時に駆動し、推進機構に電力を送る。別のモードは、本明細書で説明するように、直接駆動発電機/モータモードであり得、このモードでは、発電機/モータのみが、(例えば、バッテリパックから)電力入力/出力で受け取った電力に基づいて推進機構に動力を供給することができる。別のモードは、本明細書で説明するように、スプリットエンジンパワーモードであり得、このモードでは、エンジンを使用して動力シャフト及び発電機/モータを駆動し、電力入力/出力及び動力シャフトを介して電力を出力することができる。
【0120】
図19は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、又は非一時的なコンピュータ可読媒体内に格納される命令等を実行する機能を有する他の装置等の汎用コンピューティングシステム環境100を含むコンピューティング環境の例の概略図である。本明細書で開示する様々なコンピューティング装置(例えば、プロセッサ/コントローラ205、コントローラ220、プロセッサ/コントローラ280、ハイブリッド発電機セットコントローラ1462、航空機メインコントローラ1480、又は航空機の他の構成要素の一部であり得るコントローラと通信する他のコンピューティング装置)は、コンピューティングシステム100に類似しているか、コンピューティングシステム100の一部の構成要素を含む場合がある。さらに、単一のコンピューティングシステム100のコンテキストで説明及び図示されるが、当業者であれば、以下で説明する様々なタスクが、ローカル又はワイドエリアネットワークを介してリンクされた複数のコンピューティングシステム100を含む分散環境で実行できることも理解でき、この分散環境では、実行可能命令が、複数のコンピューティングシステム100のうちの1つ又は複数に関連付けられ、及び/又はそれらの複数のコンピューティングシステム100によって実行される場合がある。
【0121】
最も基本的な構成では、コンピューティングシステム環境100には、典型的に、少なくとも1つの処理ユニット102及びと少なくとも1つのメモリ104が含まれ、これらは、バス106を介してリンクされ得る。コンピューティングシステム環境の正確な構成及びタイプに応じて、メモリ104は、揮発性(RAM110等)、不揮発性(ROM108、フラッシュメモリ等)、又はこれら2つの組合せであってもよい。コンピューティングシステム環境100には、追加の特徴及び/又は機能があり得る。例えば、コンピューティングシステム環境100には、磁気ディスク又は光ディスク、テープドライブ、及び/又はフラッシュドライブ等(ただしこれらに限定されない)を含む追加のストレージ(消去可能及び消去不可能)も含まれ得る。このような追加のメモリ装置は、例えば、ハードディスク駆動インターフェイス112、磁気ディスク駆動インターフェイス114、及び/又は光ディスク駆動インターフェイス116によって、コンピューティングシステム環境100にアクセス可能とすることができる。理解されるように、システムバス306にそれぞれリンクされるこれらの装置は、ハードディスク118の読取り及び書込み、消去可能な磁気ディスク120の読取り及び書込み、及び/又はCD/DVD ROM又は他の光媒体等の消去可能な光ディスク122の読取り及び書込みを可能にする。駆動インターフェイス及びそれらに関連するコンピュータ可読媒体は、コンピューティングシステム環境100のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、及び他のデータを不揮発性で保存することを可能にする。当業者は、データを保存できる他の種類のコンピュータ可読媒体をこの同じ目的で使用できることも理解するだろう。このような媒体装置の例としては、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリ、ナノドライブ、メモリスティック、他の読取り/書込みメモリ及び/又は読取り専用メモリ、及び/又はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、他のデータ等の情報を格納するための他の方法又は技術等があるが、これらに限定されない。このようなコンピュータ記憶媒体は、コンピューティングシステム環境100の一部であり得る。
【0122】
多数のプログラムモジュールが、1つ又は複数のメモリ/メディア装置に格納され得る。例えば、起動時等にコンピューティングシステム環境100内の要素同士の間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)124は、ROM108に格納され得る。同様に、RAM110、ハードドライブ118、及び/又は周辺メモリ装置は、オペレーティングシステム126、1つ又は複数のアプリケーションプログラム128(例えば、本明細書で開示する機能を含み得る)、他のプログラムモジュール130、及び/又はプログラムデータ122を含むコンピュータ実行可能命令を格納するために使用され得る。さらに、コンピュータ実行可能命令は、必要に応じて、例えばネットワーク接続を介してコンピューティング環境100にダウンロードされ得る。
【0123】
エンドユーザは、キーボード134及び/又はポインティング装置136等の入力装置を介して、コンピューティングシステム環境100にコマンド及び情報を入力できる。図示していないが、他の入力装置には、マイク、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナ等が含まれ得る。これらの入力装置及び他の入力装置は、典型的に、周辺インターフェイス138を介して処理ユニット102に接続され、周辺インターフェイス138はバス106に結合される。入力装置は、例えば並列ポート、ゲームポート、ファイアワイヤ、又はユニバーサルシリアルバス(USB)等のインターフェイスを介してプロセッサ102に直接又は間接に接続できる。コンピューティングシステム環境100からの情報を表示するには、ビデオアダプタ132等のインターフェイスを介して、モニタ140又は他のタイプのディスプレイ装置をバス106に接続することもできる。モニタ140に加えて、コンピューティングシステム環境100には、スピーカ及びプリンタ等の他の周辺出力装置(図示せず)も含まれ得る。
【0124】
コンピューティングシステム環境100は、1つ又は複数のコンピューティングシステム環境への論理接続を利用することもできる。コンピューティングシステム環境100とリモートコンピューティングシステム環境との間の通信は、ネットワークルーティングを担当するネットワークルータ152等の別の処理装置を介して交換される。ネットワークルータ152との通信は、ネットワークインターフェイス要素154を介して実行できる。こうして、このようなネットワーク環境、例えばインターネット、ワールドワイドウェブ、LAN、又は他の同様のタイプの有線又は無線ネットワーク内では、コンピューティングシステム環境100に関連して示されたプログラムモジュール又はその一部が、コンピューティングシステム環境100のメモリストレージ装置に格納され得ることは理解されよう。
【0125】
コンピューティングシステム環境100には、コンピューティングシステム環境100の位置を特定するための位置特定ハードウェア186も含まれ得る。場合によっては、位置特定ハードウェア156には、例えばGPSアンテナ、RFIDチップ又はリーダー、WiFiアンテナ、又はコンピューティングシステム環境100の位置を特定するために使用できる信号をキャプチャ又は送信するために使用できる他のコンピューティングハードウェアが含まれ得る。
【0126】
この開示では特定の実施形態について説明したが、請求項は、請求項に明示的に記載される場合を除き、これらの実施形態に限定されることを意図していないことが理解されよう。むしろ、本開示は、本開示の精神及び範囲内に含まれ得る代替物、修正物、及び同等物を網羅することを意図している。さらに、本開示の詳細な説明では、開示した実施形態を完全に理解できるように、多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、本開示と一致するシステム及び方法は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本開示の様々な態様を不必要に不明瞭にしないために、周知の方法、手順、構成要素、及び回路は詳細に説明していない。
【0127】
本開示の詳細な説明の一部は、手順、論理ブロック、処理、及びコンピュータ又はデジタルシステムメモリ内のデータビットに対する動作の他の記号表現の観点から提示される。これらの説明及び表現は、データ処理技術の当業者が、その作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。手順、論理ブロック、プロセス等は、本明細書及び一般に、所望の結果につながる自己矛盾のない一連のステップ又は命令であるとみなされる。ステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。通常、これらの物理的操作は、必ずしもそうではないが、コンピュータシステム又は同様の電子コンピューティング装置で保存、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気データ又は磁気データの形態をとる。便宜上、及び一般的な使用法を参照して、このようなデータは、現在開示する様々な実施形態を参照して、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数値等と呼ばれる。
【0128】
ただし、これらの用語は物理的な操作及び量を指すものとして解釈すべきであり、単に便宜的なラベルであり、当該技術分野で一般的に使用される用語を考慮してさらに解釈すべきであることに留意すべきである。特に明記しない限り、本明細書の議論から明らかなように、本実施形態の議論全体を通じて、「決定」又は「出力」又は「送信」又は「記録」又は「位置特定」又は「保存」又は「表示」又は「受信」又は「認識」又は「利用」又は「生成」又は「提供」又は「アクセス」又は「確認」又は「通知」又は「配信」等の用語を使用する議論は、データを操作及び変換するコンピュータシステム又は同様の電子コンピューティング装置の動作及びプロセスを指すことが理解される。データは、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理量(電子量)として表され、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ内、又は本明細書で説明するか、又は当業者に理解されるような他の情報ストレージ、伝送、又はディスプレイ装置内で同様に物理量として表される他のデータに変換される。
【0129】
例示的な実施形態では、本明細書で説明する動作のいずれも、少なくとも部分的に、コンピュータ可読媒体又はメモリに格納したコンピュータ可読命令として実装できる。プロセッサによってコンピュータ可読命令が実行されると、コンピュータ可読命令によって、コンピューティング装置が動作を実行できる。
【0130】
例示的な実施形態の上述した説明は、例示及び説明の目的で提示される。開示した正確な形式に関して網羅的又は限定的であることを意図したものではなく、上記の教示に照らして、又は開示した実施形態の実践から、修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、本明細書に添付された請求項及びその同等物によって規定されることを意図している。
【国際調査報告】