(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ダイヤモンド粒子を含有する硬化性熱伝導性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20241024BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20241024BHJP
C08K 5/5419 20060101ALI20241024BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241024BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20241024BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241024BHJP
C08K 3/28 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K5/5419
C08K3/04
C08K3/08
C08K3/22
C08K3/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529313
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2021132300
(87)【国際公開番号】W WO2023092255
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チェンシュー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チャオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チェン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP042
4J002CP141
4J002DA016
4J002DA119
4J002DE108
4J002DE147
4J002DF017
4J002EX039
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD018
4J002FD142
4J002FD159
4J002FD209
4J002GQ05
(57)【要約】
硬化性熱伝導性組成物は、(a)1つ以上のビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンと、(b)分子1個当たり少なくとも2個のシリルヒドリド基を有する、シリルヒドリド官能性ポリシロキサンと、(c)フィラー処理剤と、(d)60~150マイクロメートルの範囲のDv50を有するダイヤモンド粒子を含む、94~97重量%の熱伝導性フィラーと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性熱伝導性組成物であって、重量パーセントが硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものとして、
a.複数のビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンのうちの1つ又はそれらの組み合わせであるビニル官能性シリコーンポリマーであって、ガラス毛管キャノン・フェンスケ型粘度計を25℃で、1~4.0重量パーセントの範囲の濃度で使用してASTM D445-21によって測定した場合に30~2000ミリパスカル
*秒の範囲の粘度を有する、ビニル官能性シリコーンポリマーと、
b.1分子当たり少なくとも2個のシリルヒドリド基を有し、組成物におけるシリルヒドリド基とビニル基とのモル比が0.5~1.0の範囲となるような濃度で存在する、少なくとも1つのシリルヒドリド官能性ポリシロキサン架橋剤と、
c.0.1~2.0重量パーセントの範囲の濃度のフィラー処理剤であって、トリアルコキシシリル化合物から選択される複数の化合物のうちのいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせである、フィラー処理剤と、
d.94~97重量%の範囲の濃度の熱伝導性フィラーであって、
i.30~55重量パーセントの範囲の濃度の、60~150マイクロメートルの範囲のDv50を有するダイヤモンド粒子と
ii.25~35重量パーセントの範囲の濃度の、1超~10マイクロメートルの範囲のDv50を有する熱伝導性フィラーと、
iii.10~20重量パーセントの範囲の濃度の、0.1~1マイクロメートルの範囲のDv50を有する熱伝導性フィラーと、
iv.場合により、0~20重量パーセントの範囲の濃度の、20~60マイクロメートルの範囲のDv50を有する熱伝導性フィラーと、を含む、熱伝導性フィラーと、を含む、
硬化性熱伝導性組成物である。
【請求項2】
前記硬化性熱伝導性組成物が、
e.重量パーセントが硬化性熱伝導性組成物の重量に対する白金の重量を指すものとして、0.03~0.4重量パーセントの範囲の濃度の白金系ヒドロシリル化触媒をさらに含む、請求項1に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項3】
前記硬化性熱伝導性組成物が、
f.重量パーセントが硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものとして、0.001~0.005重量パーセントの範囲の濃度の硬化抑制剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記ビニル官能性シリコーンポリマーが、平均化学構造(I):
Vi(CH
3)
2SiO-((CH
3)
2SiO)
d-Si(CH
3)
2Vi (I)
[式中、dは、((CH
3)
2SiO)基の平均数であり、25以上かつ同時に350以下の値を有する]を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項5】
粘度が、ガラス毛管キャノン・フェンスケ型粘度計を25℃で使用してASTM D445-21によって決定されるものとして、前記シリルヒドリド官能性ポリシロキサン架橋剤が、(i)14ミリパスカル
*秒の粘度を有し、シリルヒドリド基中に0.36重量パーセントの水素を含有するトリメチル末端ジメチル-co-水素メチルポリシロキサンと、(ii)7~10ミリパスカル
*秒の範囲の粘度を有し、シリルヒドリド基中に0.16重量パーセントの水素を含有するヒドリド末端ポリジメチルシロキサンと、からなる群から選択されるポリマーの一方又は両方の組み合わせである、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項6】
a.1超~5マイクロメートルの範囲のDv50を有する前記熱伝導性フィラーが、窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムからなる群から選択される1つ又は複数であり
b.0.1~1マイクロメートルの範囲のDv50を有する前記熱伝導性フィラーが、酸化亜鉛であり
c.40~60マイクロメートルの範囲のDv50を有する窒化アルミニウム熱伝導性フィラーが存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項7】
重量パーセントが硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものとして、
a.2.7~3.3重量パーセントの範囲の濃度で75~80ミリパスカル
*秒の範囲の粘度を有するビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンと、
b.14ミリパスカル
*秒の粘度を有する0.04重量パーセントのトリメチル末端ジメチル-co-水素メチルポリシロキサンと、7~10ミリパスカル
*秒の範囲の粘度を有する0.5~0.6重量パーセントのヒドリド末端ポリジメチルシロキサンと、のブレンドと、
c.0.2重量パーセントのn-デシルトリメトキシシランと、0.10~0.12重量パーセントの、平均化学構造(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
30Si(OCH
3)
3を有するモノトリメトキシシロキシ及びトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンと、からなるフィラー処理剤と、
d.熱伝導性フィラーであって、
i.120マイクロメートルのDv50を有する34重量%のダイヤモンド粒子、又は120マイクロメートルのDv50を有する30.5重量%のダイヤモンド粒子及び20マイクロメートルのDv50を有する20重量%のダイヤモンド粒子、又は60マイクロメートルのDv50を有する50.4~50.8重量%のダイヤモンド粒子、
ii.2~5マイクロメートルの範囲のDv50を有する30重量%の球状酸化アルミニウム粒子、又は2マイクロメートルのDv50を有する19重量パーセントの球状酸化アルミニウム粒子と、1.5マイクロメートルのDv50を有する10重量パーセントの不規則な窒化アルミニウム粒子と、の組み合わせ、
iii.0.2マイクロメートルのDv50を有する15重量%の不規則な酸化亜鉛粒子、及び
iv.場合により、30~50マイクロメートルの範囲のDv50を有する16.50重量パーセントの球状窒化アルミニウム粒子、からなる熱伝導性フィラーと、
e.0.06重量パーセントの白金ヒドロシリル化触媒と、
f.0.002重量パーセントのメチル(トリス(1,1’-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シランと、
を含む、請求項1に記載の硬化性熱伝導性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物を使用するためのプロセスであって、前記硬化性熱伝導性組成物を2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて塗布することと、次いで、前記硬化性組成物を加熱して、前記構成部品間の所定の位置にある間に前記硬化性組成物を硬化させることと、を含む、プロセス。
【請求項9】
前記硬化性熱伝導性組成物を塗布することが、前記硬化性熱伝導性組成物を押し出すことを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性熱伝導性組成物を物品の2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて含む物品であって、前記硬化性熱伝導性組成物が硬化形態又は非硬化形態のいずれかである、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、60~150マイクロメートルの範囲のDv50粒径を有するダイヤモンド粒子を含む熱伝導性フィラーを含有する硬化性熱伝導性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界における電子デバイスの小型化及び強力化の傾向のため、そのようなデバイスで発生する熱を放散するのに有用な熱伝導性組成物に対する需要が増している。例えば、電気通信産業では、5Gネットワークへの世代交代を経験しており、小型の高度に集積化された電気デバイスを必要とされており、必要な電力が倍増している(600ワットから1200ワット)。小型のデバイスにおける高電力によって発生した熱を効率的に放散しなければ、デバイスが損傷してしまう。熱伝導性界面材料は、多くの場合、発熱構成部品と放熱構成部品とを熱的に結合させるために電子機器に使用される。
【0003】
熱伝導性界面材料の課題は、高い熱伝導特性と、小さな構成部品上への熱伝導性材料の正確な塗布を可能とするように容易に押出可能であることの両方の組み合わせを提供することである。詳細には、本明細書で下記に定義される押出速度試験を用いて測定した場合に60グラム/分を上回る押出速度を有し、少なくとも8ワット/メートル*ケルビンの熱伝導率を有する材料に硬化する熱伝導性界面材料を提供することが望ましい。熱伝導性は、熱伝導性フィラーの量を増やすことによって高めることができるが、これにより組成物の押出速度も低下する。したがって、これらの2つの性能パラメータを満たすことは特に困難である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、本明細書で下記に定義される押出速度試験を用いて測定した場合に60グラム/分(g/分)を上回る押出速度を有し、少なくとも8ワット/メートル*ケルビン(W/m*K)の熱伝導率を有する材料に硬化する熱伝導性界面材料を提供する。
【0005】
驚くべきことに、そのような組成物は、60~150マイクロメートルの範囲のDv50を有する30~55重量パーセント(重量%)のダイヤモンド粒子を含む94~97重量パーセント(重量%)の熱伝導性フィラーを含有する硬化性ポリシロキサン組成物から調製できることが見出されており、ただし、重量%は硬化性ポリシロキサン組成物の重量に対するものである。
【0006】
第1の態様において、本発明は、硬化性熱伝導性組成物であって、重量パーセントが硬化性熱伝導性組成物の重量に対するものとして、(a)複数のビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンのうちの1つ又はそれらの組み合わせであるビニル官能性シリコーンポリマーであって、ガラス毛管キャノン・フェンスケ型粘度計を25℃で、1~4.0重量パーセントの範囲の濃度で使用してASTM D445-21によって測定した場合に30~2000ミリパスカル*秒の範囲の粘度を有する、ビニル官能性シリコーンポリマーと、(b)1分子当たり少なくとも2個のシリルヒドリド基を有し、組成物におけるシリルヒドリド基とビニル基とのモル比が0.5~1.0の範囲となるような濃度で存在する、少なくとも1つのシリルヒドリド官能性ポリシロキサン架橋剤と、(c)0.1~2.0重量パーセントの範囲の濃度のフィラー処理剤であって、複数のトリアルコキシシリル化合物のうちのいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせを含む、フィラー処理剤と、(d)94~97重量パーセントの範囲の濃度の熱伝導性フィラーであって、(i)30~55重量パーセントの範囲の濃度の、60~150マイクロメートルの範囲のDv50を有するダイヤモンド粒子と、(ii)25~35重量パーセントの範囲の濃度の1超~10マイクロメートルの範囲のDv50を有する熱伝導性フィラーと、(iii)10~20重量パーセントの範囲の濃度の、0.1~1マイクロメートルの範囲のDv50を有する熱伝導性フィラーと、(iv)場合により、0~20重量パーセントの範囲の濃度の、20~60マイクロメートルの範囲のDv50を有する熱伝導性フィラーと、を含む、熱伝導性フィラーと、を含む、硬化性熱伝導性組成物である。
【0007】
第2の態様において、本発明は、第1の態様の硬化性熱伝導性組成物を使用するためのプロセスであって、硬化性熱伝導性組成物を2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて塗布することと、次いで、硬化性組成物を加熱して、構成部品間の所定の位置にある間に硬化性組成物を硬化させることと、を含む、プロセスである。
【0008】
第3の態様では、本発明は、第1の態様の硬化性熱伝導性組成物を物品の2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて含む物品であって、硬化性熱伝導性組成物が硬化形態又は非硬化形態のいずれかである、物品である。
【0009】
本発明の組成物は、2つの構成部品間で熱を効率的に伝達するための熱伝導性界面材料として有用である。本発明のプロセスは、本発明の組成物を塗布するうえで有用である。本発明の物品は、構成部品間の効率的な熱伝導から利するデバイスとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
試験方法は、日付が試験方法の番号とともに示されていない場合、本文書の優先日に直近の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含有する。本明細書では、以下の試験方法の略語及び識別子が適用される。ASTMは、ASTM国際方法を指し、ENは、European Normを指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institut fur Normung)を指し、ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standards)を指し、ULは、米国保険業者安全試験所(Underwriters Laboratory)を指す。
【0011】
商品名で識別される製品は、本文書の優先日において、それらの商品名で入手可能な組成物を指す。
【0012】
「複数の」とは、2つ以上を意味する。「及び/又は」とは、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。
【0013】
粒径(「平均粒径」及び「Dv50」と互換的に使用される)は、Malvern Instruments製のMastersizer(商標)(Malvern Instruments Limitedの商標)3000レーザー回折粒径分析装置を使用して、粒度分布(Dv50)の体積加重中央値として決定する。
【0014】
粘度は、特に明記しない限り、ASTM D445-21に従って、ガラス毛管キャノン・フェンスケ型粘度計を25℃で使用して測定する。
【0015】
ISO22007-2を満たすHot Disk TPS 2500S装置を硬化試料に使用して、硬化組成物試料の熱伝導率を測定する。センサは、モデル5465(3.189ミリメートルカプトンセンサ)である。25ミリメートル×25ミリメートル平方×8ミリメートル厚の寸法を有する試料を摂氏120度(℃)で60分間硬化させることによって、熱伝導率評価のための硬化試料を調製する。
【0016】
Nordson EFD分配装置を使用した以下の押出速度試験を用いて組成物の押出速度(ER)を測定する。試料材料を、2.54ミリメートルの開口部を有する30ミリリットルのシリンジ(Nordson Company製のEFDシリンジ)にパッケージングする。シリンジのプランジャに0.62メガパスカルの圧力を加えることによって、開口部から試料を分注する。1分間に2.54ミリメートルの開口部から排出される試料の質量をグラム単位で記録して、押出速度値を1分当たりのグラム数(g/分)として得る。
【0017】
本発明は、一態様において、硬化性熱伝導性組成物である。その点で、本発明は「硬化性組成物」である。硬化性組成物は、架橋反応(「硬化反応」)を行うことができる。本組成物において、架橋反応は、ビニル官能性シリコーンポリマー成分とシリル-ヒドリド(Si-H)官能性ポリシロキサン架橋剤との間のヒドロシリル化反応である。
【0018】
ビニル官能性シリコーンポリマーは、ビニル官能性シリコーンポリマーが30~2000ミリパスカル*秒(mPa*s)の範囲の粘度を有するものとして、複数のビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンのうちの1つ又は任意の組み合わせを含むか、又はそれらからなる。ビニル官能性シリコーンポリマーが複数のビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンの組み合わせである場合、粘度はビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンを組み合わせた粘度である。ビニル官能性シリコーンポリマーの粘度は、30mPa*s以上であり、40mPa*s以上、50mPa*s以上、60mPa*s以上、70mPa*s以上、75mPa*s以上、78mPa*s以上、80mPa*s以上、100mPa*s以上、125mPa*s以上、150mPa*s以上、175mPa*s以上、さらには200mPa*s以上であってよく、同時に2000mPa*s以下、1500mPa*s以下、1000mPa*s以下、500mPa*s以下であり、望ましくは400mPa*s以下、300mPa*s以下、200mPa*s以下、150mPa*s以下、100mPa*s以下、90mPa*s以下、さらには80mPa*s以下である。
【0019】
各ビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンは、平均化学構造(I)を有することができる。
Vi(CH3)2SiO-((CH3)2SiO)d-Si(CH3)2Vi (I)
式中、下付文字dは、1分子当たりの((CH3)2SiO)基の平均の数であり、25以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、120以上、140以上、160以上、180以上、200以上、220以上、240以上、260以上、280以上、300以上、320以上、さらには340以上、かつ同時に350以下、340以下、320以下、300以下、280以下、260以下、240以下、240以下、220以下、200以下、180以下、160以下、140以下、120以下、100以下、80以下、60以下、さらには40以下の値を有する。例えば、ビニル官能性シリコーンポリマーは、SMS-V21の製品名でGelestより販売されるものなど、78mPa*sの粘度を有し、分子量に対して1.25重量パーセント(wt%)のビニル基を含有するビニルジメチル末端ポリジメチルシロキサンであり得る。
【0020】
ビニル官能性シリコーンポリマーの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に対して1重量%以上であり、2.0重量%以上、2.5重量%以上、2.7重量%以上、さらには3.0重量%以上であってよく、同時に4.0重量%以下であってよく、3.5重量%以下、さらには3.3重量%以下であってよい。
【0021】
硬化性熱伝導性組成物は、少なくとも1種のシリルヒドリド(SiH)官能性ポリシロキサン架橋剤をさらに含む。SiH官能性架橋剤は、1分子当たり少なくとも2個のSiH基を含有する。SiH基は、ペンダント基、末端基、又はペンダント基と末端基の両方の組み合わせであり得る。「末端」基は、分子の末端シロキサン基上にある。「末端」シロキサン基は、1個のみの他のシロキサン基に結合している。「ペンダント」基は、分子の内部シロキサン基(少なくとも2個の他のシロキサン基に結合したシロキサン基)上にある。「シロキサン基」は、SiOの酸素を介して別のSiに結合しているSiOを含む基である。
【0022】
SiH官能性ポリシロキサン架橋剤は、平均化学構造(II)を有することができる。
R(3-h)HhSiO-(HRSiO)a-(R2SiO)b-SiHh’R(3-h’) (II)
式中、
Rは、それぞれの場合で1~6個の炭素原子を有するアルキル及びアリール基から独立して選択される。R基は、1個以上の炭素、2個以上の炭素、3個以上の炭素、4個以上の炭素、さらには5個以上の炭素を有することができ、同時に、6個以下の炭素、5個以下の炭素、4個以下の炭素、3個以下の炭素、又はさらには2個以下の炭素を有することができる。望ましくは、R基は、独立してそれぞれの場合でメチル基及びフェニル基から選択される。
【0023】
Hは、水素原子である。
【0024】
下付き文字h及びh’は、いずれかの末端の末端水素原子の平均数を指し、それぞれは独立してそれぞれの場合で0~3の範囲の値から選択されるが、ただし、a、h及びh’の組み合わせは少なくとも2である。好ましくは、h及びh’は、独立してそれぞれの場合で0以上、1以上、さらには2以上であり、同時に、3以下、2以下、又はさらには1以下である。より好ましくは、hとh’は同じ値を有する。最も好ましくは、h及びh’はどちらも0である。
【0025】
下付き文字aは、分子1個当たりの(HRSiO)基の平均数である。h及びh’がどちらも0である場合、aは2以上である。h及びh’がどちらも0でない場合、a、h及びh’の組み合わせが2以上であるものとして、下付き文字aは0であり得る。好ましくは、下付き文字aは1以上であり、2以上であってよく、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、さらには9以上であってよく、同時に、典型的には10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、さらには2以下である。
【0026】
下付き文字bは、分子1個当たりの(R2SiO)基の平均数である。一般的に、下付き文字bは、5以上、10以上、20以上、25以上、30以上、40以上、50以上であり、75以上、100以上、125以上、150以上、175以上、さらには190以上であってよく、同時に典型的には200以下、175以下、150以下、125以下、100以下、75以下、50以下、40以下、30以下、さらには25以下、又はさらには20以下である。
【0027】
SiH官能性ポリシロキサン架橋剤は、(i)14ミリパスカル*秒の粘度を有し、シリルヒドリド基中に0.36重量パーセントの水素を含有するトリメチル末端ジメチル-co-水素メチルポリシロキサン、及び(ii)7~10ミリパスカル*秒の範囲の粘度を有し、シリルヒドリド基中に0.16重量パーセントの水素を含有するヒドリド末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択されるポリマーの一方又は両方の組み合わせであり得る。
【0028】
SiH官能性ポリシロキサン架橋剤の濃度は、SiH基とビニル基とのモル比(SiH/Vi比)として、0.5以上であり、0.6以上、0.7以上、0.8以上、さらには0.9以上であってよく、同時に1.0以下であり、0.9以下、0.8以下、0.7以下、又はさらには0.6以下であってよい値を与えるのに十分である。SiH/Vi比は、硬化性熱伝導性組成物が硬化する際に生じる架橋度を決定する。SiH/ビニル比が低すぎると、組成物は十分に硬化せず、十分な垂直安定性が得られない。SiH/ビニル比が高すぎると、組成物は硬化しすぎて脆くなり、表面割れが生じやすくなる。
【0029】
硬化性熱伝導性組成物は、フィラー処理剤を含む。フィラー処理剤は、トリアルコキシシリル化合物であるが、これは、-Si(OR)3基を有する化合物である。ただし、各Rは、独立してそれぞれの場合で、本明細書でRについて上記で記載した通りである。
【0030】
フィラー処理剤は、アルキルトリアルコキシシラン及びモノ-トリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンからなる群から選択される1つの成分又は複数の成分の任意の組み合わせであることが望ましい。
【0031】
適当なアルキルトリアルコキシシランとしては、化学式Ra(RbO)3Siを有するものが挙げられる(式中、Ra及びRbのそれぞれは、独立してそれぞれの場合で1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、さらには11個以上の炭素原子を有し、同時に、典型的には20個以下、18個以下、16個以下、14個以下、12個以下の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有し得るアルキルである)。Rbは、ケイ素原子に結合したメトキシル基を形成するようにメチルであることが望ましい。特に望ましいアルキルトリアルコキシシランは、n-デシルトリメトキシシランである。
【0032】
適当なモノトリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンとしては、平均化学式Rc
3SiO[R]d
2[SiO]gSi(ORe)3を有するものが挙げられる(式中、各Rc、Rd及びReは、独立してそれぞれの場合で、1個以上の炭素原子を有し、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、さらに8個以上の炭素原子を有することができ、同時に、典型的には10個以下、8個以下、6個以下、4個以下、さらには2個以下の炭素原子を有するヒドロカルビルから選択され、下付き文字gは、典型的には20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、さらには110以上の値を有し、同時に、典型的には200以下、150以下、125以下、120以下、又はさらには110以下の値を有する)。特に望ましいモノトリアルコキシシロキシ末端ジオルガノポリシロキサンは、平均化学式(CH3)3SiO[(CH3)2[SiO]30Si(OCH3)3を有する。
【0033】
フィラー処理剤の濃度は、硬化性組成物の重量に対する重量%で、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1.0重量%以上、1.2重量%以上、1.3重量%以上、さらには1.4重量%以上であり、同時に、典型的には2.0重量%以下、1.8重量%以下、1.6重量%以下、1.4重量%以下、1.3重量%以下、又はさらには1.2重量%以下である。
【0034】
例えば、硬化性組成物は、n-デシルトリメトキシシラン及び(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]30Si(OCH3)3のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせを含むことができる。好ましくは、硬化性組成物は、0.2重量パーセントのn-デシルトリメトキシシランと、0.10~0.12重量パーセントの、平均化学構造(CH3)3SiO[(CH3)2SiO]30Si(OCH3)3を有するモノトリメトキシシロキシ及びトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンと、を含むことができる。
【0035】
硬化性熱伝導性組成物は、熱伝導性フィラーをさらに含む。熱伝導性フィラーの濃度は、硬化性組成物の重量に対する重量%で、94重量%以上であり、94.5重量%以上、95重量%以上、さらには95.5重量%以上であってよく、同時に、典型的には97重量%以下であり、96重量%以下、95.5重量%以下、さらには95重量%以下であってよい。
【0036】
熱伝導性フィラーは、少なくとも3つ、場合により4つの異なる熱伝導性フィラーの組み合わせを含み、それらからなってもよい。
【0037】
第1の熱伝導性フィラーは、60マイクロメートル以上のDv50を有し、70マイクロメートル以上、80マイクロメートル以上、90マイクロメートル以上、100マイクロメートル以上、110マイクロメートル以上、120マイクロメートル以上、130マイクロメートル以上、さらには140マイクロメートル以上のDv50を有してよく、同時に150マイクロメートル以下のDv50を有し、140マイクロメートル以下、130マイクロメートル以下、120マイクロメートル以下、110マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、90マイクロメートル以下、80マイクロメートル以下、又はさらには70マイクロメートル以下のDv50を有してよい、ダイヤモンド粒子である。第1の熱伝導性フィラーの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に対する重量%で、30重量%以上、34重量%以上であり、35重量%以上、40重量%以上、さらには50重量%以上であってよく、同時に55重量%以下であり、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、又はさらには35重量%以下であってよい。
【0038】
第2の熱伝導性フィラーは、1マイクロメートル以上のDv50を有し、2マイクロメートル以上、3マイクロメートル以上、4マイクロメートル以上、さらには5マイクロメートル以上のDv50を有してよく、同時に10マイクロメートル以下のDv50を有し、9マイクロメートル以下、8マイクロメートル以下、7マイクロメートル以下、6マイクロメートル以下、又はさらには5マイクロメートル以下のDv50を有してよい。第2の熱伝導性フィラーの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に対する重量%で、25重量%以上であり、26重量%以上、28重量%以上、30重量%以上、32重量%以上、さらには34重量%以上であってよく、同時に35重量%以下であり、33重量%以下、31重量%以下、29重量%以下、さらには27重量%以下であってよい。
【0039】
第3の熱伝導性フィラーは、0.1以上のDv50を有し、0.3以上、0.5以上、0.7以上、さらには0.9以上のDv50を有してよく、同時に1以下のDv50を有し、0.8以下、0.6以下、0.4以下、又はさらには0.2以下のDv50を有してよい。第3の熱伝導性フィラーの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に対する重量%で、10重量%以上であり、12重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、さらには18重量%以上であってよく、同時に20重量%以下であり、19重量%以下、17重量%以下、15重量%以下、13重量%以下、又はさらには11重量%以下であってよい。
【0040】
第4の熱伝導性フィラーは、20マイクロメートル以上のDv50を有し、25マイクロメートル以上、30マイクロメートル以上、35マイクロメートル以上、40マイクロメートル以上、45マイクロメートル以上、さらには50マイクロメートル以上のDv50を有してよく、同時に、60マイクロメートル以下のDv50を有し、55マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、又はさらには45マイクロメートル以下のDv50を有してよい。第4の熱伝導性フィラーの濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に対する重量%で、0重量%以上であり、2重量%以上、4重量%以上、6重量%以上、8重量%以上、10重量%以上、12重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、さらには18重量%以上であってよく、同時に20重量%以下であり、19重量%以下、17重量%以下、15重量%以下、13重量%以下、又はさらには11重量%以下であってよい。
【0041】
熱伝導性フィラーは、これらの4つの熱伝導性フィラーに加えてフィラーを含んでもよく、又はこれら4つ以外の熱伝導性フィラーを含まなくともよい。
【0042】
粒子は、球状、不規則、破砕形状又は板状などの任意の形状を有することができる。望ましくは、第2の熱伝導性フィラーは、球状酸化アルミニウム及び不規則な窒化アルミニウムの一方又は両方である。望ましくは、第3の熱伝導性フィラーは粉砕酸化亜鉛である。望ましくは、第4の熱伝導性フィラーは、球状窒化アルミニウムである。
【0043】
望ましくは、各熱伝導性フィラーは、ダイヤモンド粒子、窒化アルミニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化亜鉛粒子、及び窒化ホウ素粒子からなる群から独立して選択される。好ましくは、第1の熱伝導性フィラーは、120マイクロメートルのDv50を有する34重量パーセントのダイヤモンド粒子、又は120マイクロメートルのDv50を有する30.5重量%のダイヤモンド粒子及び20マイクロメートルのDv50を有する20重量%のダイヤモンド粒子、又は60マイクロメートルのDv50を有する50.4~50.8重量%のダイヤモンド粒子から選択される。
【0044】
望ましくは、第2の熱伝導性フィラーは、窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムの一方又は両方の組み合わせである。好ましくは、第2の熱伝導性フィラーは、2~5マイクロメートルの範囲のDv50を有する30重量パーセントの球状酸化アルミニウム粒子、又は2マイクロメートルのDv50を有する19重量パーセントの球状酸化アルミニウム粒子と、1.5マイクロメートルのDv50を有する10重量パーセントの不規則な窒化アルミニウム粒子との組み合わせから選択される。
【0045】
望ましくは、第3の熱伝導性フィラーは酸化亜鉛である。好ましくは、第3の熱伝導性フィラーは、0.2マイクロメートルのDv50を有する15重量パーセントの不規則な酸化亜鉛粒子である。
【0046】
望ましくは、第4の熱伝導性フィラーは、窒化アルミニウムである。好ましくは、第4の熱伝導性フィラーは、存在する場合、30~50マイクロメートルの範囲のDv50を有する16.50重量パーセントの球状窒化アルミニウム粒子である。
【0047】
典型的には、硬化性熱伝導性組成物は、白金系ヒドロシリル化触媒をさらに含む。白金系ヒドロシリル化触媒としては、化合物及び錯体、例えば、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(カルステット触媒)、H2PtCl6、ジ-μ.-カルボニルジ-.π.-シクロペンタジエニルジニッケル、白金-カルボニル錯体、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金アセチルアセトナート(acac)、白金黒、白金化合物、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトナート)、二塩化白金、及び白金化合物とオレフィン若しくは低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、又はマトリックス若しくはコアシェル型構造でマイクロカプセル化された白金化合物が挙げられる。ヒドロシリル化触媒は、白金との1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を含む、白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体を含む溶液の一部であり得る。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。触媒は、白金との1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体であり得る。典型的には、白金系ヒドロシリル化触媒は、硬化性熱伝導性組成物の重量に対する重量%で、0.03重量%以上、0.04重量%以上、0.05重量%以上、さらには0.06重量%以上、同時に、典型的には0.4重量%以下、又は0.3重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.09重量%以下、0.08重量%以下、0.07重量%以下、0.06重量%以下、0.05重量%以下、又はさらには0.04重量%以下の白金濃度を与えるうえで十分な濃度で存在する。
【0048】
硬化性熱伝導性組成物は、硬化抑制剤をさらに含むことができる。硬化抑制剤は、硬化性熱伝導性組成物を早期の硬化から安定化させ、組成物に保存安定性を与える役割を果たすことができる。適当な硬化抑制剤の例としては、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、1,1-ジメチル-2-プロピニル)オキシ)トリメチルシラン、及びメチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シランなどのアセチレン系化合物;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、及び3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インなどのエン-イン化合物;ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール;ヒドラジン系化合物;ホスフィン系化合物;メルカプタン系化合物;1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン及び1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンなどのメチルビニルシクロシロキサンを含むシクロアルケニルシロキサンのうちのいずれか1つ又は複数の組み合わせが挙げられる。
【0049】
硬化抑制剤の濃度は、硬化性熱伝導性組成物の重量に対する重量%で、0重量%以上であり、0.001重量%以上、0.002重量%以上、さらには0.003重量%以上であってよく、同時に、典型的には0.5重量%以下、又はさらには0.3重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、又はさらには0.005重量%以下、0.004重量%以下、又はさらには0.003重量%以下である。
【0050】
本発明はまた、硬化性熱伝導性組成物を使用するためのプロセスであって、硬化性熱伝導性組成物を2つの構成部品の間に、かつそれらと接触させて塗布することと、次いで、硬化性組成物を加熱して、構成部品間の所定の位置にある間に硬化性組成物を硬化させることと、を含む、プロセスも含む。
【0051】
本発明は、硬化性熱伝導性組成物と少なくとも2つの構成部品とを含む物品であって、硬化性熱伝導性組成物が2つの構成部品の間にあり、かつそれらと接触している物品をさらに含む。硬化性熱伝導性組成物は、硬化形態又は非硬化形態のいずれかであってよい。
【実施例】
【0052】
表1に、以下の実施例(実施例)及び比較例(比較例)に使用される材料を示す。
【0053】
【0054】
押出速度試験を使用して押出速度について、及び本明細書で上述した方法を使用して熱伝導率について各試料の特性評価を行う。60g/分を上回る押出速度及び少なくとも8W/m*Kの熱伝導率を得ることを目的とする。表2に各試料組成物の特性評価の結果を示す。
【0055】
【0056】
60~150マイクロメートルの範囲のDv50を有するダイヤモンドフィラーを有さない試料は、試料がダイヤモンドフィラー(60~150マイクロメートルより小さいダイヤモンドフィラーのみ)を含む場合であっても、60g/分を上回るER及び少なくとも8W/m*Kの熱伝導率(TC)のいずれも達成できない。
【国際調査報告】