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特表2024-540475サブマージアーク溶接用の絶縁スリーブ及び非磁性エンベロープを有する延長部分を有する電極組立体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】サブマージアーク溶接用の絶縁スリーブ及び非磁性エンベロープを有する延長部分を有する電極組立体
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/18 20060101AFI20241024BHJP
   B23K 9/26 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B23K9/18 E
B23K9/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529317
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 US2022050396
(87)【国際公開番号】W WO2023091665
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/264,358
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/370,430
(32)【優先日】2022-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェット,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】レヴィレイン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リヴェット,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ロンギノッティ,ローレン
(72)【発明者】
【氏名】フェアヴァルデ,ロイック
(72)【発明者】
【氏名】アゴスティーニョ,テルモ
(72)【発明者】
【氏名】オプト,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォレ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】カンテ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ジャニー,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】トゥム,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ボルト,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ポルマン,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ブライアン エム.
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB05
4E001DC05
(57)【要約】
開示されている技術は、一般に、溶接技術に関し、且つ、更に詳しくは、例えば、サブマージアーク溶接などのアーク溶接用の電極組立体に関する。一態様において、サブマージアーク溶接用の電極組立体は、接触先端部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有する。溶接の際に、接触先端部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されている。延長部分は、中実絶縁材料が消耗電極を取り囲む状態において、溶接の際に消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブマージアーク溶接(SAW)用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、溶接の際に、前記ヘッド部分は、前記消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、前記延長部分は、前記消耗電極の前記アーキング先端に対して近位となるように配設されており、
前記延長部分は、ワイヤ供給方向において細長くなっており、且つ、絶縁スリーブが前記消耗電極を取り囲んだ状態において、溶接の際に前記消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されており、
前記電極組立体は、自身を通じて挿入された前記消耗電極を伴う溶接の際に、前記ヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と前記消耗電極の前記アーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離と前記消耗電極の直径の間の比率が30を超過するように構成されている、電極組立体。
【請求項2】
前記延長部分は、前記絶縁スリーブを取り囲む実質的に非磁性材料から形成された外側表面を有する、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記絶縁スリーブは、前記延長部分の前記外側表面を形成する実質的に非磁性鋼に基づいたエンベロープによって封入されたセラミック材料から形成されている、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記絶縁スリーブ及び前記非磁性鋼に基づいたエンベロープは、接着剤層によって1つに保持されている、請求項3に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記接着剤層は、金属性フィラー材料を有する蝋付けされた結合部を有する、請求項4に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記延長部分は、100mm超の長さを有する、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記電極組立体は、125mmを超過する前記電気スティックアウト距離のために構成されている、請求項6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記電極組立体は、3mmを超過する前記電極の前記直径のために構成されている、請求項7に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記延長部分は、前記消耗電極の前記先端が前記三角形トレンチの頂点に接触するように4インチを超過する深さを有する且つ16度未満である前記頂点の角度を有する三角形トレンチ内に十分に挿入された際に、前記延長部分のいずれの部分も前記三角形トレンチの側壁に接触しないように、細長い形状を有する、請求項7に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記電極組立体は、溶接の際に0.05ポンド/時間/Aを超過する堆積レート/電流を実現するように構成されている、請求項7に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記電極組立体は、溶接の際に900A未満の電流において35ポンド/時間を超過する堆積レートを実現するように構成されている、請求項7に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記電極組立体は、前記ヘッド部分と前記消耗電極の前記アーキング先端の間の距離に跨って合計電圧降下の少なくとも5%だけ降下するように構成されている、請求項7に記載の電極組立体。
【請求項13】
前記電極組立体は、最大で800℃の温度に前記延長部分内のジュール加熱によって前記消耗電極を加熱するように構成されている、請求項7に記載の電極組立体。
【請求項14】
前記絶縁スリーブは、前記延長部分の外側表面が前記被加工物に接触した際に実質的に伝導することなしに少なくとも5Vの電圧差に耐えるように構成されるように、十分な抵抗値を有する、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項15】
前記絶縁スリーブは、窒化ケイ素、マグネシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、アルミナ、又はジルコニア強化アルミナからなる群から選択されるセラミック材料から形成されている、請求項14に記載の電極組立体。
【請求項16】
前記延長部分に固定状態において装着された且つフラックス供給システムが前記延長部分が挿入される能力を有する被加工物の溝の幅の下限を制限しないように構成されたフラックス供給システムを更に有する、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項17】
サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、
ワイヤ供給方向において前記ヘッド部分と連続的に配置された延長部分であって、前記ヘッド部分及び前記延長部分は、自身を通じて消耗電極を供給するように構成されており、前記延長部分は、前記ヘッド部分との関係において前記消耗電極のアーキング先端に対して相対的に近接した状態において配設されるように構成されており、且つ、
非磁性材料から形成されたエンベロープ、及び、
前記エンベロープ内において配設された且つ前記消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する絶縁スリーブ、
を有する、延長部分と、
を有する、電極組立体。
【請求項18】
前記延長部分は、前記ワイヤ供給方向において分離された反対側の第1及び第2端部を有し、
前記ヘッド部分は、前記消耗電極に電圧を印加するように且つこれに対して電流を通過させるように構成された且つ前記延長部分の前記第1端部に対して近位となるように且つ前記延長部分の前記第2端部に対して遠位となるように構成された接触先端部分を有し、
前記消耗電極が前記電極組立体を通じて供給された際に、前記消耗電極のアーキング先端は、前記延長部分の前記第2端部に対して近位となるように且つ前記延長部分の前記第1端部に対して遠位となるように、構成されており、且つ、
前記延長部分は、前記アーキング先端と前記接触先端部分の間において配設されている、請求項17に記載の電極組立体。
【請求項19】
前記電極組立体は、125mmを超過する前記ヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と前記消耗電極の前記アーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離のために構成されている、請求項18に記載の電極組立体。
【請求項20】
前記電極組立体は、前記ヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と前記消耗電極の前記アーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離と前記電極の直径の間の比率が30を超過するように構成されている、請求項19に記載の電極組立体。
【請求項21】
前記中実絶縁材料は、セラミック材料を有する、請求項17に記載の電極組立体。
【請求項22】
前記絶縁スリーブは、接着剤層によって前記エンベロープに対して固定状態において接着されている、請求項17に記載の電極組立体。
【請求項23】
接着剤層は、蝋付けされた金属性結合部を有する、請求項22に記載の電極組立体。
【請求項24】
サブマージアーク溶接電極組立体のために構成された延長部分であって、
非磁性材料から形成されたエンベロープと、
前記エンベロープ内において配設された且つ消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する絶縁スリーブと、
を有し、
前記延長部分は、前記電極組立体のヘッド部分と連続的に配置されるように且つ前記ヘッド部分から前記消耗電極を受け取るように構成されている、延長部分。
【請求項25】
前記延長部分は、100mm超の長さを有する、請求項24に記載の延長部分。
【請求項26】
前記延長部分は、3mmを超過する前記消耗電極の直径のために構成されている、請求項24に記載の延長部分。
【請求項27】
前記延長部分は、自身を通じて挿入された前記消耗電極を有する溶接の際に、前記ヘッド部分の一端において配設された接触先端部分と前記消耗電極のアーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離と前記電極の前記直径の間の比率が30を超過するように構成されている、請求項26に記載の延長部分。
【請求項28】
前記絶縁スリーブは、セラミック材料から形成されている、請求項24に記載の延長部分。
【請求項29】
前記エンベロープは、実質的に非磁性鋼に基づいた材料から形成されている、請求項24に記載の延長部分。
【請求項30】
前記エンベロープは、ステンレス鋼から形成されている、請求項29に記載の延長部分。
【請求項31】
前記絶縁スリーブ及び前記エンベロープは、接着剤層によって1つに保持されている、請求項24に記載の延長部分。
【請求項32】
前記接着剤層は、金属性フィラー材料を有する蝋付けされた結合部を有する、請求項31に記載の延長部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願に対する参照による包含
外国及び国内優先権請求項が本出願と共に出願されている出願データシートにおいて識別されている任意の且つすべての出願は、引用により、37CFR1.57の下において本明細書に包含される。
【0002】
本出願は、2021年11月19日付けで出願された「ELECTRODE ASSEMBLY FOR ARC WELDING」という名称の米国仮特許出願第63/264358号及び2022年8月4日付けで出願された「ELECTRODE ASSEMBLY FOR ARC WELDING」という名称の米国仮特許出願第63/370430号に対する米国特許法第119(e)条の下における利益を主張する。これにより、上述の出願のそれぞれは、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0003】
開示されている技術は、一般に、溶接技術に関し、且つ、更に詳しくは、例えば、サブマージアーク溶接などのアーク溶接用の電極組立体に関する。
【背景技術】
【0004】
様々な溶接技術は、金属のソースとして機能する溶接ワイヤを利用している。例えば、金属アーク溶接においては、電圧が被加工物に向かって前進する1つの電極として機能する消耗溶接電極ワイヤと別の電極として機能する被加工物の間において印加された際に電気アークが生成される。アークは、金属ワイヤの先端を溶解させ、これにより、溶接物又は溶接ビードを形成するために被加工物上に堆積される溶融金属ワイヤの液滴を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶接技術に対する技術的且つ経済的需要は、複雑さにおいて成長を継続している。例えば、高降伏強度、延性、及び破壊靱性を含む外観及び機械的プロパティの両方における相対的に高いビード品質に対するニーズが成長を継続している。同時に、相対的に高いビード品質は、しばしば、経済的実現可能性を維持する状態において要求されている。いくつかの溶接技術は、例えば、電極ワイヤの物理的設計及び/又は組成を改善ことによって消耗品を改善することにより、これらの競合する需要に対処することを狙いとしている。
【0006】
サブマージアーク溶接(SAW)は、いくつかの用途の場合に、非常に経済的な解決策を提供することができる。主には、サブマージアークによって実現される大きな堆積レートがプロセスによって実現される経済性の責任を担っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、サブマージアーク溶接(SAW)用の電極組立体は、ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されている。延長部分は、ワイヤ供給方向において細長くなっており、且つ、絶縁スリーブが消耗電極を取り囲む状態において溶接の際に消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されている。電極組立体は、自身を通じて挿入された消耗電極を伴うSAWの際にヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と消耗電極のアーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離と電極の直径の間の比率が30を超過するように構成されている。
【0008】
別の態様において、サブマージアーク溶接用の電極組立体は、ヘッド部分と、ヘッド部分と連続的に配置された延長部分と、を有し、この場合に、ヘッド部分及び延長部分は、自身を通じて消耗電極を供給するように構成されている。延長部分は、ヘッド部分との関係において消耗電極のアーキング先端に相対的に近接した状態で配設されるように構成されており、且つ、非磁性材料から形成されたエンベロープと、エンベロープ内において配設された且つ消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する絶縁スリーブと、を有する。
【0009】
別の態様において、サブマージアーク溶接電極組立体のために構成された延長部分は、非磁性材料から形成されたエンベロープと、エンベロープ内において配設された且つ消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する絶縁スリーブと、を有する。延長部分は、電極組立体のヘッド部分と連続的に配置されるように且つヘッド部分から消耗電極を受け取るように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本技術の実施形態によるサブマージアーク溶接(SAW)システムを概略的に示す。
図2】SAWシステム用の従来の電極組立体を示す。
図3A】浅い溝を有する被加工物上におけるSAWシステム用の従来の電極組立体を示す。
図3B】浅い溝を有する被加工物上におけるSAWシステム用の長スティックアウト(LSO)電極組立体を示す。
図4A】深い溝を有する被加工物上におけるSAWシステム用の従来の電極組立体を示す。
図4B】深い溝を有する被加工物上におけるSAWシステム用のLSO電極組立体を示す。
図5】従来のSAW組立体とLSO-SAW組立体の両方における堆積レート対電流の実験比較を示すグラフである。
図6A-6C】本技術の実施形態による延長部分を有するLSO電極組立体の斜視図を描く。
図7A】本技術の実施形態によるLSO延長部分の等角投影図である。
図7B図7Aにおいて描かれているLSO延長部分の分解図である。
図7C】本技術の実施形態によるLSO延長部分用のエンベロープ又はノズルボディの斜視図である。
図7D】ラインA-Aに沿って取得された図7Cにおいて描かれているエンベロープ又はノズルボディの断面図である。
図7E】本技術の実施形態によるLSO延長部分用の絶縁スリーブの斜視図を描く。
図7F】ラインB-Bに沿って取得された図7Eにおいて描かれているノズルボディの断面図である。
図8】本技術の実施形態によるLSO延長部分の断面図である。
図9A-9B】本技術の実施形態によるマルチアークLSO-SAW組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
消耗電極を使用するプロセスにおいて、電極又はワイヤは、2つの金属被加工物を結合する溶接継手を形成するためにギャップを充填する添加金属を提供するために溶解している。消耗電極を使用する溶接プロセスは、その他のものに加えて、被覆金属アーク溶接(SMAW)、ガス金属アーク溶接(GMAW)又は金属不活性ガス(MIG)溶接、フラックス入りアーク溶接(FCAW)、金属コアアーク溶接(MCAW)、及びサブマージアーク溶接(SAW)を含む。
【0012】
サブマージアーク溶接
図1は、フィラー又は溶接金属を被加工物102上に堆積させるためのサブマージアーク溶接(SAW)システム100を概略的に示している。システム100は、先端106を有する裸金属電極ワイヤ104と、電極104に結合された接触先端110と、接触先端110及び被加工物102に電気的に結合された電源108と、を含む。また、システム100は、SAWプロセスにおいてフラックス114を被加工物102上に分注するように構成されたフラックス供給システム112を含む。電極104は、一般に、金属又は合金を有する一方で、フラックスは、粒状可融性材料を有する。SAWプロセスにおいては、熱がベア金属電極104と被加工物102の間のアーク116から導出されている。アークは、アーク116の前方の結合エリア上において配置されたフラックス114のブランケットによって遮蔽されている。フィラー金属は、主には、フラックス114のブランケットを通じてアーク116及び溶融フラックスのプール122内に継続的に供給される電極ワイヤ104から得られている。更なるフィラー金属は、コールドワイヤを溶接プール122に追加することにより、或いは、フラックス114内において含まれている金属パウダーから、得ることができる。従って、SAWにおいては、その他のフラックスを有するプロセスとは異なり、2つの消耗品(電極ワイヤ104及びフラックス114)が使用されており、且つ、これらの2つの消耗品は、別個に供給することができる。
【0013】
SAWの際立った特徴は、フラックス114であり、これは、溶接エリアをカバーしており、且つ、アーク放射、スパーク、スキャッタ、及び煙気の逃避を防止している。フラックス114は、高い堆積レート及び高品質の溶接堆積特性を実現することを許容している。視野からアーク116を遮蔽することに加えて、フラックス114は、冷却レートを低減するために且つ溶接輪郭の成形を支援するために、自身が冷却するのに伴って溶接金属120を保護し、溶接金属120を脱酸及び精製し、溶接を絶縁するスラグ118を提供している。
【0014】
SAWプロセスにおいて、アーク116の熱は、図1において示されているように、溶接プール122を形成するために、電極104の先端106と共にフラックス114の一部分を溶解させている。電極104の先端106及び溶接ゾーンは、常に、それ自体が溶解していないフラックス114の層によってカバーされている溶融フラックス114によって取り囲まれ且つ遮蔽されている。電極104は、アーク116が電極104と被加工物102の間において形成される状態において、被加工物102の上方の短い距離において保持されている。電極104が結合部に沿って前進するのに伴って、相対的に軽い溶融フラックス114は、スラグ118として、溶接プール122内において溶融金属の上方に浮かび上がる。相対的に高い融点(凝固点)を有する溶接プール122内の溶接金属は、その上方のスラグ118が依然として溶融状態にある状態において固化する。次いで、スラグ118は、新たに固化された溶接金属120上において凝固し、これにより、自身が非常に熱い際に金属120を汚染から保護することを継続し、且つ、雰囲気酸素及び窒素と反応することになろう。再使用のために任意の溶融していないフラックス114を冷却及び除去した後に、固化されたスラグ118は、溶接部から容易に除去することができる。
【0015】
電源108は、システム100用の電圧及び電流を生成しており、且つ、電圧及び電流は、被加工物102及び電極104に印加されている。電流は、接触先端110を介して電極に印加されている。高電流をサブマージアーク溶接において使用することが可能であり、且つ、極めて大きな熱を生成することができる。電流がその先端106上方の短い距離において電極104に印加されていることから、相対的に大きなアンペア数を小直径の電極上において使用することができる。これは、電極の相対的に小さな断面上における極めて大きな電流密度を結果的にもたらす。600アンペア超ほどに大きい又はこれを超過する電流が64’’ほどに小さな電極上において搬送され、これにより、スティック電極上において搬送されるものの6~10倍である100000アンペア/平方インチのレベルの密度を付与することができる。
【0016】
高電流密度に起因して、メルトオフレートが、スティック電極溶接に伴うものよりも所与の電極直径において格段に大きい。メルトオフレートは、電極材料、フラックス114、電流のタイプ、極性、並びに、ガン又はヘッド内の電気的接触の地点を超えたワイヤの長さの影響を受けている。
【0017】
サブマージアーク溶接は、DC又はACパワーによって実行することができる。直流は、ビード形状、貫通、及び溶接速度の相対的に良好な制御を付与し、且つ、開始が相対的に容易である。ビード形状は、通常、DC電極正(DCEP又は逆極性)の場合に最良であり、これは、また、最大貫通をも提供している。最大堆積レート及び最小貫通は、DC電極負(DCEN)によって得ることができる。交流は、アークブローを極小化し、且つ、DCEPとDCENのものの間の貫通を付与している。
【0018】
アーク116の上方のフラックス114の絶縁ブランケットは、熱の迅速な逃避を防止し、且つ、これを溶接ゾーン内において濃縮している。電極104及び被加工物102のベース金属が迅速に溶解されるのみならず、溶融がベース金属内に深くなっている。深い貫通は、小さな溶接溝の使用を許容し、これにより、フィラーの量/結合部の面積を極小化し、且つ、高速溶接速度を許容している。そして、高速溶接は、組立体内への合計熱入力を極小化し、且つ、これにより、熱歪の問題を極小化している。相対的に厚い結合部さえ、サブマージアーク溶接により、ワンパスにおいて溶接することができる。
【0019】
フラックス114の保護層の下において実施される溶接は、良好な延性及び耐衝撃性、並びに、ビード外観における均一性を有する。ベース金属のものに少なくとも等しい機械的プロパティが一貫性を有する方式で得られている。単一パス溶接においては、溶融したベース材料は、使用されるフィラー金属の量との比較において大きい。従って、このような溶接においては、ベース金属が、溶接の化学的且つ機械的プロパティに対して相当に影響し得る。これを理由として、しばしば、低合金鋼の多くを溶接するためにベース金属と同一の組成の電極を使用する必要がない。但し、マルチパス溶接の化学的組成及びプロパティは、相対的にベース金属による影響が少なく、且つ、相対的に大きな程度に、電極の組成、フラックスの活動、及び溶接条件に依存している。
【0020】
電流、電圧、及び移動速度の調節を通じて、操作者は、ハイクラウン補強を伴う深く且つ狭いものから浅い貫通を伴う幅広のほぼフラットなビードまでの範囲を有する任意の深さを提供するために、貫通に対して厳密な制御を実施することができる。深い貫通を有するビードは、溶融したベース金属を70%のレベルで含み得る一方で、浅いビードは、わずかに10%のベース金属を含み得る。いくつかの例において、サブマージアーク溶接の深い貫通プロパティは、エッジ貫通の支出を除去又は低減するために使用することができる。
【0021】
フラックスは、サブマージアーク溶接においていくつかの機能を提供している。これらは、溶融溶接金属を雰囲気から保護するために溶融溶接金属をカバーすることと、酸化物及びその他の非金属性の異物を除去することにより、溶融堆積物を精製するスラグとして機能することと、を含む。フラックスに対する金属添加は、堆積物の合金含有量を増大させることが可能であり、且つ、これを脱酸することができる。
【0022】
溶融されたもの、接合されたもの、凝集されたもの、及び機械的に混合されたもの、というその製造の方法に基づいた4つのタイプのフラックスが存在している。
【0023】
また、フラックスは、アルカリ性、酸性、及び中性としても識別されている。アルカリ性フラックスは、容易に解離する金属の酸化物を含む一方で、酸性フラックは、わずかな程度にしか解離しない酸化物を含む。中性フラックスは、溶接堆積物の組成を増大又は減少させない。1超であるSiOに対するCaO又はMnOの比率を有するフラックスは、アルカリ性と見なされており、1近傍のものは、中性と見なされており、且つ、1未満のものは、酸性である。
【0024】
機器の適切な選択により、サブマージアークは、産業の溶接要件に対して幅広に適用可能である。これは、すべてのタイプの結合部と共に使用することが可能であり、且つ、16ゲージのシートから最も厚いプレートまで、炭素及び低合金鋼のフルレンジの溶接を許容している。また、これは、いくつかの高合金鋼、熱処理済み鋼、及びステンレス鋼に適用可能であり、且つ、再構築及び表面硬化のための好適なプロセスである。ハンドヘルド型の半自動ガンからブーム又はトラックによって搬送される且つフィクスチャヘルド型の複数溶接ヘッドまでの任意の程度の機械化を使用することができる。
【0025】
サブマージアーク溶接の高品質、高堆積レート、深い貫通、フル機械化に対するプロセスの適合可能性、及び快適な特性(グレアなし、スパークなし、スパッタなし、煙なし、又は過度な熱放射なし)は、サブマージアーク溶接を鋼製造における好適なプロセスとしている。これは、広範に、船舶及びはしけの建造、鉄道車両の製作、パイプの製造、並びに、長い溶接部が必要とされる構造的な梁、桁、及び柱の製造において使用されている。また、自動サブマージアーク設備は、反復的な短い溶接部によって結合された大量生産された組立体を製造するプラントの溶接エリアの主要な機能である。
【0026】
堆積レート以外のファクタが溶接費用の引き下げに参画している。60~1000ポンドの重量の範囲を取るコイルからの連続的な電極供給は、高い稼働率に寄与している。プロセスの深い貫通特性が結合部の準備の除去又は低減を許容している場合には、支出が低減される。溶接が実行された後に、保護フラックスによるスパッタの除去を理由として、クリーニング費用が極小化されている。
【0027】
サブマージアーク機器が適切に使用されている際には、溶接ビードは、スムーズ且つ均一であり、その結果、研磨又は機械加工がめったに必要とされない。プロセスの迅速な熱入力が歪を極小化していることから、特に慎重に計画された溶接シーケンスが実行された場合には、完成した組立体をまっすぐにする費用が低減されている。サブマージアーク溶接は、実際には、しばしば、部品の事前機械加工を許容しており、これにより、製造費用の節約を更に増大させている。
【0028】
SAWによって提供されるこれらの及びその他の利点に起因して、更に高い生産性及び溶接品質さえをも含む、SAWの様々な態様を更に改善するための所望及びニーズが存在している。例えば、SAWの技術的利点の1つが消耗電極の事前加熱から導出されていることから、改善された電極組立体設計を通じて事前加熱構成を更に改善するという所望及びニーズが存在している。
【0029】
サブマージアーク溶接用の長スティックアウト電極組立体
図2は、電気スティックアウトを定義する且つ被加工物202上において位置決めされた電極組立体200を示している。電極組立体200は、消耗電極206を受け取るように構成されたヘッド部分204を含む。ヘッド部分204は、接触先端210、電極ガイドチューブ212、及び絶縁されたガイド214を含む。接触先端210は、電極210の周りにおいて半径方向において配設されており、且つ、電源(例えば、図1に示されている電源108)からの電流を電極206に転送するように構成されている。電極206は、ヘッド部分204を超えて延在するように構成された先端部分208を含む。端部部分208とヘッド部分204の端部の間において延在する電極206の部分は、可視スティックアウト218と呼称される一方で、先端部分208と接触先端210の間において延在する電極206の部分は、電気スティックアウト又は電気電極延長部216と呼称されている。そうではない旨が記述されていない限り、本明細書において使用されているスティックアウト長は、電気スティックアウト216の長さを意味しており、これは、電極組立体200の電気応答に対して主に影響するパラメータである。電極組立体200の動作の際に、先端部分208は、被加工物202に隣接した状態において位置決めされており、且つ、接触先端210と被加工物202の間の距離は、接触先端から被加工物までの距離(CTWD)220と呼称されている。
【0030】
電極ワイヤ206の電気スティックアウト216は、ジュール加熱によって事前加熱されている。電気電極延長部216が十分に長くない場合には、電極ワイヤ206は、十分に事前加熱されない場合がある。その一方で、電気スティックアウト216の長さの増大は、回路の電気抵抗を増大させ、そして、これは、加熱と、従って、電極206の先端208の温度と、を増大させ、これにより、溶解及び堆積レートの増大をもたらす。そして、電気スティックアウト216の長さは、溶接ビードの寸法を制御しており、その理由は、フィラーワイヤ延長部の長さがバーンオフレートに影響するからである。更には、電気電極延長部216は、溶接電流に対するその効果を通じて貫通に対して影響を及ぼしている。電気電極延長部216の長さが増大するのに伴って、電極ワイヤ206の事前加熱及びこれに跨る電圧降下が増大する。相対的に大きな電圧降下は、ビード形状が相対的に凸状になることを結果的にもたらす可能性があり、これは、2~5ボルトだけ入力電圧を増大させることにより、克服することができる。電気スティックアウト216の距離の長さは、従来の鋼溶接プロセスの場合には、溶接される鋼のタイプに応じて電極206の直径の約3~10倍になり得る。
【0031】
図3Aは、溝303を有する被加工物302上において位置決めされた電極組立体300Aを描いている。図示の構成において、電極306Aのスティックアウト部分316Aは、接触先端310Aを超えて従来の距離(例えば、電極の直径の3~12倍)だけ延在している。電極組立体300Aは、ヘッド部分304Aが溝303上において位置決めされるように且つ電極308Aの先端308Aが溝303内にあるように位置決めされている。更に詳しくは、ヘッド部分304Aは、先端308Aが、ヘッド部分304Aが被加工物302に接触することなしに、溝303の底部に隣接するように、位置決めされている。図示の実施形態において、先端308Aは、CTWD320Aが約25mmとなるように、溝内において位置決めされている。先端308Aを溝303の底部に緊密に隣接した状態において位置決めすることは、先端308Aと被加工物302の間における相対的に良好な且つ相対的に一貫性を有するアーキングを許容し、これにより、溝303内へのフィラー金属の相対的に一貫性を有する堆積及び改善された溶接品質及び効率を結果的にもたらす。
【0032】
サブマージアーク溶接(SAW)技術を更に改善するために、Lincoln Electric社によって開発された長スティックアウト(LSO)又は延長スティックアウト技術を利用することができる。長スティックアウトSAWは、電極接触先端から突出したワイヤの長さ(「スティックアウト長」)、即ち、接触先端から被加工物までの長さ(CTWD)、が、例えば、約25mmより長いなどのように、従来のSAWプロセスとの関係において増大しているSAWプロセスを意味している。本明細書において使用されているLSOは、電気スティックアウトが電極306Aの直径の約10倍を超過している電極構成を意味している。相対的に長いスティックアウト長は、電極先端における溶解の前に、電極の相対的に大きな長さが事前加熱されることを許容している。事前加熱は、事前加熱された電極ワイヤを所与の電流密度において溶解させることが相対的に容易であることから、メルトオフレートが結果的に増大することを許容している。LSO-SAWプロセスは、生産性における大きな改善を提供することが可能であり、且つ、従来のSAWプロセスとの比較においてサブマージアーク溶接の堆積レートにおける最大で100%の増大を提供することができる。LSO-SAWプロセスは、アーク開始特性の完全な適合を許容することにより、アークストライキング問題を低減又は除去することができる。また、LSO-SAWは、溶接部内へのエネルギーの入力に対する改善された制御、相対的に小さな熱入力(相対的に小さな歪)、フラックス/ワイヤ比率の低減を提供することもできる。
【0033】
図3Bは、被加工物302内の溝303上において位置決めされた電極組立体300Bを描いている。電極組立体300Bは、電極スティックアウト316Bが実質的に接触先端310Aを超えて延在しているスティックアウト316A超だけ、接触先端310Bを超えて延在するように(図3A)、LSO技術を利用している。例えば、いくつかの実施形態において、スティックアウト316Bは、電極308Bの直径の10~40倍の長さを有することができる。いくつかの実施形態において、スティックアウト316Bは、電極308Bの直径の40倍超の長さを有することができる。スティックアウト部分316Bの増大した長さは、電極306Bの相対的に大きな長さが電極先端の溶解の前に事前加熱されることを許容しており、これにより、上述のように、メルトオフ及び堆積レートの増大を許容している。
【0034】
また、LSO-SAWシステムにおけるスティックアウト部分の長さの増大は、LSOシステムが、従来のSAWシステムが充填する能力を有していない又は極めて正確な構成及び高い操作者スキルを使用してのみ充填し得る溝を容易に充填するために使用されることを許容している。具体的には、従来のSAWシステムは、幅広の且つ/又は短い溝と共に使用され得る一方で、従来のSAWシステムは、通常、相対的に深い且つ/又は相対的に狭い溝と共に容易に使用することができない。図4A及び図4Bは、被加工物402上において位置決めされた電極組立体400A、400Bを描いており、この場合に、電極組立体400Aは、図3Aとの関連において以上において示されている組立体300Aに全般的に類似しており、且つ、電極組立体400Bは、図3Bとの関連において以上において示されている組立体300Bに全般的に類似している。被加工物402は、図3A及び図3Bにおいて以上において示されている溝303よりも大幅に深く且つ狭い溝403を有する。従って、組立体400A及び400Bが溝403上において配置された際に、ヘッド部分404A、404Bは、溝の底部から離れた状態において位置決めされ、その結果、CTWD420が25mmよりも格段に長くなる。例えば、いくつかの実施形態において、CTWD又は電気スティックアウトは、125mm以上になり得る。電極組立体400Aが、先端408Aが溝403内にあるように被加工物402上において位置決めされた際に、ヘッド部分404Aのサイズ及び形状は、ヘッド部分404が、被加工物402と接触及び相互作用することなしに、溝403内において離れた状態において位置決めされることを妨げている。この結果、先端408Aは、溝403の底部から過度に遠くに離隔し、これは、電極406Aと被加工物402の間の乏しいアーキングを結果的にもたらし、これにより、乏しいフィラー金属堆積レート及び乏しい溶接品質を結果的にもたらすことになる。従って、電極組立体400Aの従来のスティックアウト長416Aは、電極組立体400Aが深く且つ/又は狭い溝と共に高品質溶接部を形成することを妨げている。対照的に、電極組立体400Bが、先端408Bが溝403内にあるように被加工物402B上において位置決めされた際には、組立体400Bの増大したスティックアウト長は、先端408Bが溝の底部に隣接することを許容している。先端408Bと溝403の底部の間の低減された距離は、電極406Bと被加工物402の間における相対的に良好なアーキングを結果的にもたらす。従って、アーキングの前の電極の更なる事前加熱を許容することに起因した溶接品質及び堆積レートの改善に加えて、LSO-SAW技法は、従来のSAW技法よりも深く且つ狭い溝内へのフィラー金属の堆積をも許容している。
【0035】
様々な実施形態によれば、LSO-SAW電極組立体は、同一の電流の場合において、従来のSAW電極組立体との比較において格段に相対的に大きな堆積レートを実現する能力を有する。溶接プロセスにおいて、電流は、特定のアンペア数及び電圧において接触先端によって電極内に転送されている。電流が電極の先端に向かって電極を通じて流れるのに伴って、電圧は降下し、且つ、電極は加熱する。電極の先端において、電流は、被加工物に対してアーク放電する。LSO-SAW組立体の場合には、電極の増大した長さは、従来のSAW組立体におけるよりも、合計電圧降下の相対的に大きな割合が電極内において発生することを結果的にもたらしている。いくつかの実施形態において、LSO-SAW組立体は、接触先端と消耗電極の先端の間の電圧降下が、合計CTWDに跨る合計電圧降下の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、又は少なくとも20%(或いは、これらの値の任意のものによって定義される範囲内の値)となるように構成することができる。その他の実施形態において、電極組立体は、接触先端と消耗電極の先端の間の電圧降下が、CTWDに跨る合計電圧降下の少なくとも1/30、CTWDに跨る合計電圧降下の1/15、CTWDに跨る合計電圧降下の1/10、CTWDに跨る合計電圧降下の1/7、CTWDに跨る合計電圧降下の1/5、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値を表すように、構成されている。例えば、CTWDに沿った合計電圧降下が30Vである従来のSAW電極組立体においては、合計電圧降下の約1Vのみが消耗電極内において発生し得る一方で、残りの部分(約29V)は、アークの長さに跨って降下し得る。対照的に、30Vの同一の合計電圧降下のLSO-SAWシステムの場合には、その降下の約4VがCTWDに跨って発生し得る一方で、残りの部分(約26V)は、アークの長さに跨って降下し得る。相対的に長い電極を通じた増大した電圧降下は、電極が従来のSAW構成における電極よりも高い温度に加熱されることを結果的にもたらし、且つ、その結果、堆積レートが増大している。
【0036】
実験は、LSO-SAW組立体用の堆積レート/電流が、溶接の際に0.05ポンド/時間/A、0.06ポンド/時間/A、0.07ポンド/時間/A、0.08ポンド/時間/A、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値を超過し得ることを示している。図5は、従来のSAW組立体とLSO-SAW組立体の両方における堆積レート対電流の実験比較を示しており、この場合に、破線は、従来のSAW組立体における堆積レートを表し、且つ、実線は、LSO-SAW組立体における堆積レートを表している。この実験において、従来のSAW組立体におけるCTWDは、1.25’’であり、LSO-SAW組立体におけるCTWDは、5’’であり、且つ、電極の直径は、5/32’’であった。正の一定のDCパワー、均衡した方形波ACパワー、及び25%の均衡した方形波ACパワーという3つの異なるパワー供給方法が使用された。LSO-SAW組立体の場合には、約900A、850A、800A、750A、700A未満の電流により、或いは、例えば、約700A~750Aにおけるなどのこれらの値の任意のものによって定義された範囲内において、35ポンド/時間を超過する堆積レートを実現することができる。但し、従来のSAW電極組立体の場合には、類似の堆積レートは、約900A超の電流において実現されるものと推定されるに過ぎない。有利には、従来のSAW電極との比較における堆積レートにおける改善は、ジュール加熱(IR)が電流の二乗として変化していることから、相対的に大きな電流において増大している。即ち、堆積レートにおける相対的な改善は、電流の増大に伴って増大するものと推定される。
【0037】
LSO-SAWシステムにおいては、消耗電極(例えば、電極306B、406B)は、アーキング先端(例えば、先端308B、408B)が可視状態となるように、ヘッド部分(例えば、ヘッド部分304B、404B)の端部を超えて延在している。上述のように、接触先端部分を超えて延在している電極の部分は、電気スティックアウトと呼称されている。いくつかの実施形態において、電気スティックアウトは、電極の直径に基づいている。SAWにおける電気スティックアウトの長さは、例えば、溶接されている鋼が非鉄元素の約8重量%未満を含む低合金鋼であるのか又は非鉄元素の約8重量%超を含む高合金鋼であるのかなどの溶接されている鋼のタイプに依存し得る。低及び中間合金鋼を溶接するための従来のSAWにおいては、電気スティックアウト長は、電極の直径の約7~10倍であり得る。高合金鋼を溶接するための従来のSAWにおいては、電気スティックアウト長は、電極の直径の約3~5倍であり得る。例えば、電極の直径が5/32’’である実施形態においては、可視状態のスティックアウト長は、約1~1.5インチであり得る。対照的に、様々な実施形態によるLSO-SAWにおいては、スティックアウト対直径比率、又はヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と消耗電極のアーキング先端の間において計測された電気スティックアウト距離と電極の直径の間の比率、は、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60を超過するか又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値を有する。例えば、これらの比率は、125mm、130mm、135mm、140mm、145mm、150mm、155mm、160mm、165mm、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値を超過する電気スティックアウト距離と、2.5mm~5.0mmの任意の値を有する電極の直径と、によって得ることができる。例えば、155mmの電気スティックアウト長及び3.2mmの電極直径の場合に、スティックアウト対直径比率は、約48である一方で、125mmの電気スティックアウト長及び4.0mmの電極直径の場合には、スティックアウト対直径比率は、約31である。
【0038】
増大したスティックアウト長は、有利には、相対的に大きな堆積レートなどの特定の利点を提供し得るが、従来の電極組立体が使用されている場合には、例えば、25mmを超過するスティックアウト長の場合には、様々な問題が生じ得る。例えば、加熱されたワイヤは、スティックアウト距離が増大するのに伴って、アライメント状態から外れるように運動する可能性があり、且つ、溶接溝内において逸脱する可能性がある。LSO溶接電極組立体は、溝の底部に到達するには嵩張り過ぎる可能性があることから、これは、特に厚いセクションを結合する時間及び費用を極小化するために使用され得る深く且つ狭い溝を溶接する際に、問題を課す可能性がある。この及びその他の課題に対処するために、いくつかの電極組立体は、電極用の絶縁されたガイドとして機能する延長部分を含む。延長部分は、その他のものに加えて、電気的且つ熱的絶縁のみならず、加熱された電極に対して機械的剛性をも提供している。但し、いくつかの延長部は、例えば、4インチを超過する深さを有する且つ16度以下である頂点の角度を有する三角形又はU字形状溝などの狭く且つ深い溝を充填するなどのためのいくつかの用途の場合に適さない場合がある。延長部分を含む電極組立体のいくつかの設計は、最適化された垂直方向及び横方向寸法、熱的且つ電気的絶縁、磁気材料によって生成されるアークの不安定性、及びコンパクトなフラックス供給のうちの1つ又は複数との関係において不十分なものになり得る。対照的に、本明細書において記述されているサブマージアーク溶接用の電極組立体の様々な実施形態は、これらの及びその他のニーズに対処している。
【0039】
カバーされた絶縁延長部分を有する長スティックアウト電極組立体
本明細書において開示されているのは、改善されたLSO-SAW用の様々な電極組立体及びこれを製造及び使用する方法である。図6A及び図6Bは、様々な実施形態による長スティックアウトサブマージアーク溶接のために構成された例示用の電極組立体600を描いている。様々な実施形態による電極組立体600は、ヘッド部分602と、延長部分604と、ブラケット612と、を有する。ヘッド部分602及び延長部分604は、連続的に配置されており、且つ、自身を通じて消耗電極606を供給するように構成されている。ブラケット612は、ヘッド部分602及び延長部分604に対して固定状態において装着され且つこれらから電気的に絶縁されており、且つ、延長部分604がヘッド部分602とアライメントされた状態において留まるように延長部分604を堅固に保持するように構成されている。電極606は、溶接プロセスの際に被加工物に対して隣接する状態において位置決めされるように構成された先端を含む。ヘッド部分602は、電極606との電気接触状態にある接触先端610を含み、且つ、溶接の際に電極606にパワーを提供するように構成されている。消耗電極606は、ワイヤガイドにより、ヘッド部分602を通じて供給されており、且つ、接触先端610において離脱している。その後に、消耗電極606は、ワイヤ供給方向において細長くなっている延長部分604を通じて供給されている。SAWの際に、ヘッド部分602は、電極の先端608に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分604は、先端608に対して近位となるように配設されている。
【0040】
図示の例においては、連続的に配置されたヘッド部分602及び延長部分604は、連続的に配置されており、且つ、垂直方向においてオーバーラップする部分を有してはいない。図示の構成において、ヘッド部分602及び延長部分604は、物理的に分離されており、且つ、その間において消耗電極606を露出させているが、実施形態は、このように限定されるものではない。その他の構成においては、接触先端部分と延長部分は、互いに接触していてもよい。また、図示の実施形態においては、ヘッド部分602及び延長部分604の連続的配置に起因して、接触先端610及び延長部分604は、延長部分604のいずれの部分も接触先端610とオーバーラップしないように、連続的に配置されていることを理解されたい。更には、延長部分604の外側表面は、露出された消耗電極606のアーキング先端に隣接した状態の電極組立体600の最も外側の表面を形成している。
【0041】
また、いくつかの実施形態において、電極組立体600は、フラックス供給システム614を含む。フラックス供給システム614は、SAWプロセスの際に被加工物上にフラックスを堆積させるように構成されている。有利には、フラックス供給システム614は、フラックス供給システム614が、延長部分604が内部に挿入される能力を有する被加工物の溝の寸法を制限しないように構成されている。図示の実施形態において、フラックス供給システム614は、ブラケット612により、延長部分604に対して固定状態において装着されている。但し、その他の実施形態においては、フラックス供給システム614は、なんらかのその他の方法で延長部分604に対して固定状態において装着することができる。更にその他の実施形態においては、フラックス供給システム614は、延長部分604に対して固定状態において装着されていなくてもよい。その代わりに、いくつかの実施形態においては、フラックス供給システム614は、電極組立体600のなんらかのその他の部分に対して固定状態において装着されていてもよく又は電極組立体600のいずれの部分にも装着されていなくてもよい。これに加えて、電極組立体600は、SAWのために構成されていることから、電極組立体600の実施形態は、シールドガスの使用を伴うことなしにSAWシステム内において使用されるように構成されている。
【0042】
延長部分604は、消耗電極を取り囲む、例えば、セラミック材料などの中実絶縁材料から形成された絶縁スリーブにより、溶接の際に被加工物から消耗電極606を電気的に絶縁するように構成されている。いくつかの実装形態において、中実絶縁材料は、例えば、複合又は層化セラミックなどの複合又は層化絶縁体であってよい。溶接の際に、消耗溶接電極606は、消耗電極606のアーキング先端608において溶解される前に、ジュール加熱により、絶縁された延長部分604内において事前加熱されている。いくつかの実施形態においては、電極組立体608は、最大で600℃、最大で700℃、最大で800℃、最大で900℃の温度まで又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の温度まで延長部分内において消耗電極を加熱するように構成されている。
【0043】
図6Cは、被加工物618内において形成された溝616内において位置決めされた電極組立体600を描いている。様々な実施形態において、延長部分604は、消耗電極606を被加工物618から電気的に絶縁するように構成されており、且つ、延長部分604が図6Cにおいて示されているように狭い溝616内に挿入される能力を有するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。延長部分604の内側において消耗電極606を取り囲むセラミック材料などの中実絶縁材料から形成された絶縁スリーブは、延長部分604の横方向寸法が電極及び被加工物を短絡させる尤度を増大させることなしに大幅に低減されることを許容している。例えば、いくつかの実施形態においては、接触先端610は、最大で30mm(即ち、約1.18インチ)の幅を有することができる一方で、延長部分604は、約16mm(即ち、約0.79インチ)の幅を有することができる。これに加えて、いくつかの実施形態において、延長部分は、110mm(即ち、約4.33インチ)の長さを有することができる。これらの実施形態において、ヘッド部分602は、溶接の際に、相対的に狭い延長部分604が溝内において配設される状態において、相対的に幅広のヘッド部分602が被加工物618内の溝616の外側において位置決めされ得るように、電極の先端608から十分に遠く離れるように離隔している。この結果、相対的に狭い延長部分604は、消耗電極606の先端608が頂点に接触する状態において、4インチ、5インチ、6インチ、7インチ、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値を超過する深さを有する且つ16度、12度、10度、8度、6度、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値未満である頂点の角度620を有する三角形トレンチなどの狭い溝616の側壁に接触しないように構成されている。溝616が狭いほど、頂点角度620が相対的に狭くなり得ることを理解されたい。例えば、関係は、限定を伴うことなしに、表1において示されているものなどの例示用の依存性を踏襲し得る。溝又はトレンチは、断面において三角形形状を有していなくてもよいことを理解されたい。その代わりに、いくつかの溝は、例えば、矩形又はテーパー化された矩形形状を有することができる。これらの形状においては、「頂点」角度620又は受容角度は、トレンチの深さにおける幅のarctanによって定義することができる。
【0044】
【表1】
【0045】
様々な実施形態において、延長部分は、消耗電極を取り囲む実質的に非磁性材料から形成された外側表面を有する状態において、溶接の際に被加工物から消耗電極を電気的に絶縁するように構成されている。図7Aは、延長部分700を描いており、且つ、図7Bは、延長部分700の分解図を描いている。延長部分700は、反対側の第1及び第2端部702A、702Bと、第1端部702Aと第2端部702Bの間において延在する開口部704と、を有する。延長部分700は、エンベロープ又はノズルボディ706、ノズルボディ706内において配設された絶縁スリーブ708、c-クランプ710、及びナット712を更に含む。本出願のどこか別の場所において更に詳細に記述されているように、絶縁スリーブ708は、開口部704を定義するほぼ円筒形の形状を有することができる。延長部分700は、第2端部702Bが接触先端に対して遠位となる状態において、第1端部702Aがヘッド部分内の接触先端(例えば、接触先端610)に対して近位となるように、電極組立体のヘッド部分(例えば、図6A図6Cに示されている電極組立体600のヘッド部分602)に対して固定状態において装着されるように構成されている。SAWプロセスの際に、延長部分700は、ヘッド部分から消耗電極(例えば、図6図6Cの電極606)を受け取っており、且つ、電極は、延長部分700の第1及び第2端部702A、702Bの間において延在するように開口部704内において配設されている。絶縁スリーブ708は、空気以外の介在構造又は特徴を伴うことなしに消耗電極を直接的に取り囲むように構成されている。
【0046】
いくつかの実施形態において、延長部分700は、ブラケット(例えば、図6Bのブラケット612)により、ヘッド部分に対して固定状態において装着されており、且つ、c-クランプ710及びナット712は、延長部分700をブラケットに対して固定状態において装着するように使用することができる。但し、これは、延長部分700をヘッド部分に対して固定状態において装着する1つの可能な方法であるに過ぎず、且つ、その代わりに、その他の適切な装着メカニズムを使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、延長部分700は、ノズルボディ706をブラケットに溶接することにより、ブラケットに対して固定状態において装着することができる。これらの実施形態においては、延長部分700は、c-クランプ710及びナット712を含んでいなくてもよい。
【0047】
図7Cは、エンベロープ又はノズルボディ706の斜視図であり、且つ、図7Dは、ラインA-Aに沿って取得されたエンベロープ又はノズルボディ706の断面図である。エンベロープ又はノズルボディ706は、第1及び第2端部714A、714Bと、第1及び第2端部714A、714Bの間において延在する且つその内部において絶縁スリーブ708を受け入れ且つ収容するように構成された空洞又は開口部716と、を含む。様々な実施形態において、エンベロープ又はノズルボディ706は、内向きに第2端部714Bに向かってテーパー化された少なくとも一部分を有するほぼ円筒形の形状を有することができる。本出願のどこか別の場所において更に詳しく記述されているように、テーパー化された第2端部714は、有利には、マルチアーク構成において使用される際に、複数の電極組立体が互いに相対的に近接した隣接状態において位置決めされることを許容している。
【0048】
実施形態によれば、エンベロープ又はノズルボディ706は、延長部分700のための外側エンベロープとして機能しており、且つ、非磁性材料から形成することができる。エンベロープ706が磁性材料から形成されている際には、これが、その近傍の磁界に影響を及ぼすか又はこれを変更し、これにより、アークプラズマを劣化させる、変更する、又は吹き飛ばす可能性がある。更には、磁性材料は、時間に伴って磁化された又は消磁された状態になり、これにより、アーク特性のドリフトを結果的にもたらす可能性もある。これらの及びその他の懸念に対処するために、いくつかの実施形態においては、エンベロープ706は、非磁性鋼などの非性材料から形成されている。本明細書において記述されているように、非磁性鋼は、例えば、約8未満のフェライト番号(FN)を有する鋼などのように、低フェライト含有量及び高オーステナイト含有量を有する鋼を意味している。例えば、非磁性鋼は、ステンレス鋼などの高Cr含有鋼であり得る。非磁性材料からノズルボディ706を形成することは、有利には、消耗電極の周りの磁界の一貫性を改善し且つアーク不安定性及び溶接欠陥を低減している。また、非磁性材料は、時間に伴う延長部分706の磁化によってもたらされ得る溶接パラメータのなんらかの不安定性をも低減している。
【0049】
図7Eは、絶縁スリーブ708の斜視図であり、且つ、図7Fは、ラインB-Bに沿って取得された絶縁スリーブ708の断面図である。絶縁スリーブ708は、第1及び第2端部718A、718Bを含み、且つ、消耗電極が通過する開口部704を形成するほぼ円筒形の形状を有する。代表的な実施形態において、絶縁スリーブ708は、延長部分700を通過するのに伴って電極を熱的且つ電気的に絶縁する絶縁材料から形成されている。有利には、絶縁材料から絶縁スリーブ708を形成することは、溶接プロセスの際の消耗電極の事前加熱の増大を許容しており、その理由は、絶縁材料が事前加熱電極によって生成された熱の周囲への散逸を低減しているからである。その代わりに、絶縁スリーブ708は、延長部分700内においてトラップされた状態において留まる熱の相対的な量を増大させ、これにより、電極の事前加熱の効率を増大させ、これにより、その結果、相対的に大きな堆積及びメルトオフレート及び相対的に大きな生産性がもたらされている。
【0050】
更には、絶縁スリープ708は、延長部分700が電極と被加工物の間の電気的短絡のリスクを伴うことなしに被加工物の溝側壁に接触することを許容している。電極が溶接の際に上述の温度に加熱された際に、絶縁材料は、その抵抗率の一部分を喪失し得る。このような接触によって生成される電圧降下が相対的に小さな状態において留まることを保証するために、中実絶縁材料は、絶縁材料から形成されており、且つ、延長部分700の外側表面が被加工物に接触した際に実質的に伝導することなしに少なくとも5V、10V、15V、20V、25V、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値の電圧差に耐えるように構成されている。
【0051】
いくつかの実施形態において、絶縁スリーブ708は、絶縁セラミック材料から形成されている。例えば、いくつかの実施形態において、絶縁スリーブ708は、アルミナ(Al)又は炭化ケイ素(SiC)から形成されている。但し、その他の実施形態においては、その他の絶縁材料を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、絶縁スリーブ708は、窒化ケイ素、マグネシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、酸化マグネシウム、又はジルコニア強化アルミナを有する。セラミック絶縁スリーブ708は、パウダー加圧、冷間静水圧加圧、高温加圧、射出成形、及び鋳込み成形などの様々な方法を使用して製造することができる。これに加えて、いくつかの実施形態において、セラミック絶縁スリーブ708は、機械加工されてはいない。
【0052】
様々な実施形態において、延長部分700は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されており、且つ、接触先端部分(例えば、図6A図6Cに示されている接触先端610)と消耗電極(例えば、図6A図6Cに示されている電極606)の先端の間の電気スティックアウト長が従来のSAW電極組立体におけるものよりも格段に長くなるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。例えば、いくつかの実施形態において、延長部分700は、本明細書において記述されている電気スティックアウト長を支持するための適切な長さを有する。例えば、上述のように、電気スティックアウトは、125mm以上であり得る。従って、延長部分700は、最大で約110mmであり得る長さを有する。延長部分700を超えて延在する消耗電極の部分に対応する可視スティックアウトは、これら2つの値の間の差である長さを有することができる。この構成によれば、延長部分700内の電極の部分及び可視スティックアウトを含む電気スティックアウトの長さは、可視スティックアウト長と延長部分700の長さの合計と少なくとも同じほどに大きくなり得る。従って、溶接の際に、延長部分700は、電気スティックアウトが、例えば、150~160mmなどのように、100mm、125mm、150mm、175mm、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の長さを超過するようにすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、電極組立体は、約155mmの電気スティックアウトを有することができる。有利には、相対的に長い電気スティックアウトは、延長部分700によって提供される相対的に長いジュール加熱領域に起因して、所与の電流密度における堆積レートを格段に改善している。
【0053】
これに加えて、絶縁スリーブ708は、その他のものに加えて、延長部分700の形状及び幅が、本明細書において記述されているように狭い溝内に延長部分700を挿入するために最適化されることをも可能にしている。様々な実施形態によれば、その上部のテーパー化されていない部分における延長部分700の最大幅は、20mm、18mm、16mm、14mm、12mm、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値未満であり得る。これに加えて、いくつかの実施形態において、延長部分700は、第2端部714Bにおける延長部分700の幅が延長部分700の最大幅未満となるように、第2端部714Bに向かって内向きにテーパー化された少なくとも一部分を有するほぼ円筒形の形状を有することができる。図示の構成において、延長部分700は、その下部部分においてテーパー化されている一方で、延長部分700の上部部分は、実質的にまっすぐである。但し、実施形態は、このように限定されるものではなく、且つ、その他の構成においては、延長部分700は、その全体長の全体を通じて実質的にテーパー化させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、延長部分700は、第2端部714Bにおける10.8mmの幅にまでテーパー化される16mmの最大幅を有することができる。但し、その他の実施形態においては、テーパー化された第2端部714Bは、異なる幅を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、第2端部714Bにおける延長部分700の幅は、12mm、11mm、10mm、9mm、8mm、8mm未満、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値であり得る。いくつかの実施形態において、延長部分700は、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、8°超、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値の角度において第2端部714Bにおいて内向きにテーパー化させることができる。例示を目的としてのみ、図示の延長部分700の長さのほぼ3分の1がテーパー化されている。但し、例えば、20%、40%、60%、又は80%、100%、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値超などの全体長さを実質的に含む長さの任意の適切な割合がテーパー化され得ることを理解されたい。テーパー化された側壁は、まっすぐでなくてもよく、且つ、テーパー化の程度は、長さに伴って変化し得ることを更に理解されたい。例えば、テーパー化の程度は、例えば、テーパー化された部分の全体を通じて連続的に又は不連続的に変化し得る。このように構成されることにより、延長部分700は、本出願のどこか別の場所において記述されているように、ほぼ三角形のトレンチなどの狭い溝の側壁に接触しないように構成することができる。テーパー化された部分の任意の部分は、外部側壁の接線が16度、12度、10度、8度、6度、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値未満である頂点の角度を有する三角形又はコーンを形成するように構成することができる。有利には、記述されている延長部分700の形状及び寸法は、その側壁への接触を伴わない狭い溝内へのその挿入を可能にすることができる。これに加えて、本出願のどこか別の場所において更に詳細に記述されているように、テーパー化された第2端部714Bは、有利には、複数の電極組立体が、マルチアーク構成において使用される際に、互いに相対的に近接した隣接状態において位置決めされることをも許容している。
【0054】
電極組立体700の別の利益は、フラックス対ワイヤ消費量比率が従来のSAW組立体よりも小さいという点にあり、その理由は、電極堆積レートが増大している一方で、フラックス消費量が一定に留まっているからである。
【0055】
上述のように、絶縁スリーブ708は、エンベロープ又はノズルボディ706内において配設されている。いくつかの実施形態において、絶縁スリーブ708は、ノズルボディ706の内側表面と絶縁スリーブ708の外側表面の間に存在し得る任意のギャップが空気によって充填されるように且つ絶縁スリーブ708がエンベロープ又はノズルボディ706との関係において運動又は回転し得るように、接着剤又はその他の材料を伴うことなしにノズルボディ706内において配置されている。但し、その他の実施形態においては、絶縁スリーブ708は、介在する材料により、ノズルボディ706に対して堅固に装着することができる。例えば、いくつかの実施形態において、絶縁スリーブ608は、適切なシーラント又は接着剤と共にノズルボディ706内において配設されている。これらの実施形態においては、適切なシーラントは、絶縁ノズル708がノズルボディ706との関係において不動化されるように、シーラントがノズルボディ706の内側表面と絶縁スリーブの外側表面の間に存在し得る任意のギャップを充填するように、ノズルボディ606と絶縁スリーブ708の間において配設することができる。これらの実施形態においては、適切なシーラントは、相対的にソフトな材料であってもよく、且つ、機械又は熱応力下における絶縁スリーブ708の亀裂が抑制又は防止されるように、絶縁スリーブ708とノズルボディ706の間の衝撃吸収層として機能することができる。その他の実施形態においては、ノズルボディ706内において絶縁スリーブ708を堅固に装着するために、異なる材料を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、絶縁スリーブ708及びエンベロープ又はノズルボディ706は、蝋付けされた金属性結合部を使用して装着することができる。その他の実施形態においては、絶縁スリーブ708及びエンベロープ又はノズルボディ706は、ポリマー接着剤材料又はエポキシなどの非金属性シーラント又は接着剤を使用して装着することができる。
【0056】
図8は、延長部分800の平面断面図である。延長部分800は、消耗電極が摺動自在に通過するように構成された開口部802と、エンベロープ又はノズルボディ804と、エンベロープ又はノズルボディ804内において配設される絶縁スリーブ806と、を含む。図示の実施形態において、絶縁スリーブ806は、シーラント層808を使用してエンベロープ804に装着されている。シーラント層808は、相対的にソフトな材料であり得る適切なシーラントから形成されており、且つ、機械又は熱応力下における絶縁スリーブ806の亀裂が抑制又は防止されるように、絶縁スリーブ806とエンベロープ又はノズルボディ804の間の衝撃吸収層として機能することができる。更には、絶縁スリーブ806に亀裂が生じた際にも、適切なシーラントは、遊離断片が外れ且つ被加工物上に落下することを事実上防止することができる。いくつかの実装形態においては、絶縁スリーブ806は、エンベロープ又はノズルボディ804内に蝋付けされており、且つ、適切なシーラントは、適切な蝋付け材料を有する。適切な蝋付け材料は、エンベロープ又はノズルボディ804の溶解温度よりも格段に低い溶解温度を有する。限定を伴うことなしに、適切な蝋付け金属は、Cu/Su合金などの銅に基づいた合金を含む。いくつかのその他の実装形態において、適切なシーラントは、金属性シースの溶解温度よりも格段に低いガラス遷移温度を有する適切なガラスシーラントを有する。限定を伴うことなしに、適切なシーラントは、例えば、ドープアルミノシリケートガラス又はヘビードープナトリウムシリケートガラスなどのドープシリカを含む。例えば、絶縁スリーブの外側温度に耐え得る高温エポキシなどのその他のシーラントが可能であり得る。有利には、適切なシーラントを使用して絶縁スリーブ806をエンベロープ804に固定することは、延長部分800の耐久性、信頼性、及び寿命を改善している。
【0057】
本明細書において記述されているように相対的に狭い延長部分を利用する1つの更なる利点は、マルチアークセットアップにおいて複数の電極組立体を使用することを促進しているという点にある。金属の大きな断片を1つに溶接する際には、フィラー金属の堆積レートを更に増大させるために同時に複数の電極組立体を使用することがしばしば望ましい。マルチアーク溶接の際には、複数の電極の先端は、電極先端のそれぞれが同一の溶接プール内において配設されるように互いに密接に隣接した状態において位置決めされることを要する。但し、マルチアークセットアップにおいて従来のSAW電極組立体を使用することは、しばしば、困難である。その理由は、従来の電極組立体のヘッド部分(例えば、ヘッド部分204(図2)、304A(図3A)、304B(図3B))の大きな直径が、複数の電極組立体がマルチアーク溶接を促進するように互いに十分に近接した状態において配置されることを困難にしているからである。これに加えて、従来のSAW組立体において使用されている電極スティックアウト部分(例えば、スティックアウト部分316A、416A)の短い長さは、溶接トーチが、個々の電極のアーキング先端が同一の溶接プール内において位置決めされるように互いに十分に近接することを許容するために、互いとの関係において大きな角度において配置されることを必要とし得る。従って、マルチアークセットアップにおいて従来のSAW電極組立体を使用することは困難であり、その理由は、ヘッド部分の大きなサイズ及び短いスティックアウト長が、溝内において溶接するように試みた際のトーチの位置決めをも困難にしつつ、マルチアークセットアップにおいて使用され得る電極組立体の数を制限しているからである。これらの及びその他の問題は、本明細書において記述されているように、相対的に狭い延長部分を有する実施形態による延長部分によって軽減することができる。
【0058】
図9Aは、第1及び第2電極組立体902A、902Bを有するマルチアークSAWシステム900Aを描いている。第1電極組立体902Aは、接触先端906Aを有するヘッド部分904Aと、先端910Aを有する電極908Aと、延長部分912Aと、フラックス供給システム914Aと、を含む。同様に、電極組立体902Bも、接触先端906Bを有するヘッド部分904Bと、先端910Bを有する電極908Bと、延長部分912Bと、フラックス供給システム914Bと、を含む。電極組立体902A、902Bは、図6A図6Cとの関連において上述した電極組立体600にほぼ類似しており、且つ、延長部分912A、912Bも、図7A図7F及び図8との関連において上述した延長部分700及び800にほぼ類似し得る。上述のように、接触先端906A、906Bは、最大で30mm(即ち、約1.18インチ)の幅を有することができる一方で、延長部分912A、912Bは、約16mm(即ち、約0.79インチ)の幅及び約110mm(即ち、約4.33インチ)の長さを有することが可能であり、これは、電極組立体902A、904Aがそれぞれ125mm(即ち、約4.92インチ)超の電気スティックアウトを有することを許容している。
【0059】
この構成によれば、第1及び第2電極組立体902A、902Bは、電極908A、908Bの先端910A、910Bの間の距離916が効率的なマルチアーク溶接を許容するために十分に小さくなるように位置決めすることができる。具体的には、本明細書において記述されている延長部分912A、912Bの形状、長さ、及び幅は、先端910A、910Bが延長部分が溝の側壁に接触することなしにSAWプロセスの際に同一の溶接プール内において配設されるように、延長部分912A、912Bが狭い且つ深い溝内において同時に位置決めされることを許容している。例えば、いくつかの実施形態において、第1及び第2電極組立体902A、902Bは、溶接の際に、先端910A、910Bの間の距離916が15mmである一方で、電極組立体902A、902Bの間の角度920が20度になるように、位置決めすることができる。但し、これは、一例であるに過ぎない。その他の実施形態においては、電極組立体902A、902Bは、マルチアーク溶接動作の際に、先端910A、910Bの間の距離916が30mm、25mm、20mm、15mm、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値未満となるように、位置決めすることが可能であり、且つ、電極組立体902A、902Bは、電極組立体902A、902Bの間の角度920が40度、35度、30度、25度、20度、15度、10度、5度、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値未満となるように、方向付けられている。
【0060】
図9Bは、3つの電極組立体902A、902B、及び902Cを有する別のマルチアークSAWシステム900Bを描いており、この場合に、電極組立体902A、902B、及び902Cのそれぞれは、図9Aとの関連において上述したように構成されている。本明細書において記述されている電極組立体902A、902B、902C用の延長部分912A、912B、912Cのサイズ、形状、及び幅は、電極先端910A、910B、910Cがいずれも延長部分が溝の側壁に接触することなしにSAWの際に同一の溶接プール内において配設されるように、延長部分912A、912B、912Cが狭い且つ深い溝内において同時に位置決めされることを許容している。例えば、図示の実施形態において、電極組立体902A、902B、902Cは、第1及び第2先端910A、910Bの間の距離916が26mmとなるように、第2及び第3先端910B、910Cの間の距離918が15mmだけ互いから離隔されるように、第1及び第2電極組立体902A、902Bの間の角度920が5度になるように、且つ、第2及び第3電極組立体902B、902Cの間の角度922が20度となるように、位置決めされている。但し、これは、一例であるに過ぎない。その他の実施形態においては、電極組立体902A、902B、902Cは、マルチアーク溶接動作の際に、隣接する先端910A、910B、910Cの間の距離916、918が30mm、25mm、20mm、15mm、又はこれらの値の任意のものによって定義される範囲内の値未満となるように、位置決めすることが可能であり、且つ、電極組立体902A、902B、902Cは、隣接する電極組立体902A、902B、902Cの間の角度920、922が40度、35度、30度、25度、20度、15度、10度、5度、又はこれらの値の任意のものによって定義された範囲内の値未満となるように方向付けられている。
【0061】
図9A及び図9Bを更に参照すれば、実施形態によれば、第1、第2(並びに、第3)電極組立体902A、902B(並びに、902C)のそれぞれは、複数の電極のそれぞれが専用の電源(例えば、図1に示されている電源108)から独立的にパワーを受け取るように構成されている。この構成によれば、電極組立体のそれぞれは、制御されたパワーを独立的に受け取ることが可能であり、これは、フィラー材料の相対的に一貫性を有する且つ効率的な堆積を許容している。これに加えて、それぞれの電極組立体に提供される電流は、個々の電極組立体が異なる電流を受け取り得るように、それぞれの電極組立体ごとに変更することができる。但し、その他の実施形態においては、マルチアークセットアップにおいて使用される電極組立体のそれぞれは、電極組立体のそれぞれが同一の電流を共有するように並列において1つに結合することができる。
【0062】
更なる例
1.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、溶接の際に、中実絶縁材料が消耗電極を取り囲む状態において、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されている。
【0063】
2.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されており、且つ、消耗電極の先端が頂点に接触しつつ、延長部分が、4インチを超過する深さを有する且つ16度未満である頂点の角度を有する三角形トレンチの側壁に接触しない能力を有するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0064】
3.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を取り囲む実質的に非磁性材料から形成された外側表面を有する状態において、溶接の際に消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されている。
【0065】
4.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、溶接の際のヘッド部分と消耗電極の先端の間の接触先端から被加工物までの距離(CTWD)が125mmを超過するような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0066】
5.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分及び連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分であって、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
延長部分は、溶接の際に消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されている、ヘッド部分及び延長部分と、
延長部分に固定状態において装着された且つフラックス供給システムが延長部分がその内部に挿入される能力を有する被加工物の溝の寸法を制限しないように構成されたフラックス供給システムと、
を有する。
【0067】
6.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が溶接の際に0.05ポンド/時間/Aを超過する堆積レート/電流を実現するように構成されている。
【0068】
7.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が溶接の際に900A未満の電流において35ポンド/時間を超過する堆積レートを実現するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0069】
8.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が、ヘッド部分と消耗電極の先端の間の接触先端から被加工物までの距離(CTWD)に跨って合計電圧降下の少なくとも5%を降下させるように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0070】
9.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が、ヘッド部分と消耗電極の先端の間の接触先端から被加工物までの距離(CTWD)に跨って合計電圧降下の2Vを超過する割合を降下させるように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0071】
10.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が、最大で800℃の温度まで延長部分内のジュール加熱によって消耗電極を加熱するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0072】
11.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、溶接の際に中実絶縁材料によって消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、この場合に、中実絶縁材料は、延長部分の外側表面が被加工物に接触した際に実質的に伝導することなしに少なくとも5Vの電圧差に耐えるように構成されるような十分な抵抗を有する。
【0073】
12.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、消耗電極を取り囲むことにより、溶接の際に消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成された中実絶縁材料から形成された絶縁先端部分を有する。
【0074】
13.上述の例のいずれか1項に記載の電極組立体であって、この場合に、中実絶縁材料は、セラミック材料を有する。
【0075】
14.上述の例のいずれか1項に記載の電極組立体であって、この場合に、中実絶縁材料は、自身を通じて消耗電極を通過させるように構成された絶縁スリーブを有する。
【0076】
15.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、窒化ケイ素、マグネシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、アルミナ、又はジルコニア強化アルミナからなる群から選択された材料から形成されている。
【0077】
16.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、消耗電極の先端が頂点に接触した状態において、延長部分が、4インチを超過する深さを有する且つ16度未満である頂点の角度を有する三角形トレンチの側壁に接触しない能力を有するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0078】
17.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を取り囲む実質的に非磁性材料から形成された外側表面を有する状態において、溶接の際に消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成されている。
【0079】
18.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、溶接の際の接触先端部分と消耗電極の先端の間の接触先端から被加工物までの距離(CTWD)が125mmを超過するような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0080】
19.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、延長部分に固定状態において装着された且つフラックス供給システムが延長部分が内部に挿入される能力を有する被加工物の溝の寸法を制限しないように構成されたフラックス供給システムを更に有する。
【0081】
20.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が、溶接の際に0.05ポンド/時間/Aを超過する堆積レート/電流を実現するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0082】
21.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が、溶接の際に900A未満の電流において35ポンド/時間を超過する堆積レートを実現するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0083】
22.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、消耗電極が、接触先端部分と消耗電極の先端の間の接触先端から被加工物までの距離(CTWD)に跨って合計電圧降下の少なくとも5%を降下させるような形状、長さ、及び横方向距離を有する。
【0084】
23.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、消耗電極のスティックアウト部分が、接触先端部分と消耗電極の先端の間の接触先端から被加工物までの距離(CTWD)に跨って合計電圧降下の少なくとも2Vを降下させるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0085】
24.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、且つ、電極組立体が、最大で800℃の温度に延長部分内のジュール加熱によって消耗電極を加熱するように構成されるような形状、長さ、及び横方向寸法を有する。
【0086】
25.上述の例のいずれか1項の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、中実絶縁スリーブにより、溶接の際に消耗電極を被加工物から電気的に絶縁するように構成され、この場合に、中実絶縁スリーブは、延長部分の外側表面が被加工物に接触した際に実質的に伝導することなしに少なくとも5Vの電圧差に耐えるように構成されるような十分な抵抗を有する。
【0087】
26.サブマージアーク溶接(SAW)用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、この場合に、溶接の際に、ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設されており、
この場合に、延長部分は、ワイヤ供給方向において細長くなっており、且つ、絶縁スリーブが消耗電極を取り囲む状態において、溶接の際に被加工物から消耗電極を電気的に絶縁するように構成されており、且つ、
この場合に、電極組立体は、自身を通じて挿入された消耗電極を有する溶接の際に、ヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と消耗電極のアーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離と電極の直径の間の比率が30を超過するように、構成されている。
【0088】
27.例26の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、絶縁スリーブを取り囲む実質的に非磁性材料から形成された外側表面を有する。
【0089】
28.例27の電極組立体であって、この場合に、絶縁スリーブは、延長部分の外側表面を形成する実質的に非磁性鋼に基づいたエンベロープによって封入されたセラミック材料から形成されている。
【0090】
29.例28の電極組立体であって、この場合に、絶縁スリーブ及び非磁性鋼に基づいたエンベロープは、接着剤層によって1つに保持されている。
【0091】
30.例29の電極組立体であって、この場合に、接着剤層は、金属性フィラー材料を有する蝋付けされた結合部を有する。
【0092】
31.例26の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、100mm超の長さを有する。
【0093】
32.例31の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、125mmを超過する電気スティックアウト距離のために構成されている。
【0094】
33.例32の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、3mmを超過する電極の直径のために構成されている。
【0095】
34.例32の電極組立体であって、この場合に、延長部分は、消耗電極の先端が三角形トレンチの頂点と接触するように4インチ超の深さを有する且つ16度未満の頂点の角度を有する三角形トレンチ内に十分に挿入された際に、延長部分のいずれの部分も三角形トレンチの側壁と接触しないように、細長い形状を有する。
【0096】
35.例32の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、溶接の際に0.05ポンド/時間/Aを超過する堆積レート/電流を実現するように構成されている。
【0097】
36.例32の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、溶接の際に900A未満の電流において35ポンド/時間を超過する堆積レートを実現するように構成されている。
【0098】
37.例32の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、ヘッド部分と消耗電極のアーキング先端の間の距離に跨って合計電圧降下の少なくとも5%だけ降下するように構成されている。
【0099】
38.例32の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、最大で800℃の温度まで延長部分内のジュール加熱によって消耗電極を加熱するように構成されている。
【0100】
39.例26の電極組立体であって、この場合に、絶縁スリーブは、延長部分の外側表面が被加工物に接触した際に実質的に伝導することなしに少なくとも5Vの電圧差に耐えるように構成されるように十分な抵抗値を有する。
【0101】
40.例39の電極組立体であって、この場合に、絶縁スリーブは、窒化ケイ素、マグネシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、アルミナ、又はジルコニア強化アルミナから構成された群から選択されたセラミック材料から形成されている。
【0102】
41.例26の電極組立体であって、延長部分に装着された且つフラックス供給システムが延長部分が挿入される能力を有する被加工物の溝の幅の下限を制限しないように構成されたフラックス供給システムを更に有する。
【0103】
42.サブマージアーク溶接用の電極組立体であって、
ヘッド部分と、
ワイヤ供給方向においてヘッド部分と連続的に配置された延長部分と、を有し、この場合に、ヘッド部分及び延長部分は、自身を通じて消耗電極を供給するように構成され、この場合に、延長部分は、ヘッド部分との関係において消耗電極のアーキング先端に対して相対的に近接した状態において配設されるように構成されており、且つ、
非磁性材料から形成されたエンベロープと、
エンベロープ内において配設された且つ消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する絶縁スリーブと、
を有する。
【0104】
43.例42の電極組立体であって、この場合に、
延長部分は、ワイヤ供給方向において分離された反対側の第1及び第2端部を有し、
ヘッド部分は、消耗電極に電圧を印加するように且つこれに電流を通過させるように構成された且つ延長部分の第1端部に対して近位となるように且つ延長部分の第2端部に対して遠位となるように構成された接触先端部分を有し、
消耗電極が電極組立体を通じて供給された際に、消耗電極のアーキング先端は、延長部分の第2端部に対して近位となるように且つ延長部分の第1端部に対して遠位となるように構成されており、且つ、
延長部分は、アーキング先端と接触先端部分の間において配設されている。
【0105】
44.例43の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、125mmを超過するヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と消耗電極のアーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離のために構成されている。
【0106】
45.例44の電極組立体であって、この場合に、電極組立体は、ヘッド部分の端部において配設された接触先端部分と消耗電極のアーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離と電極の直径の間の比率が30を超過するように構成されている。
【0107】
46.例42の電極組立体であって、この場合に、中実絶縁材料は、セラミック材料を有する。
【0108】
47.例42の電極組立体であって、この場合に、絶縁スリーブは、接着剤層により、エンベロープに対して固定状態において装着されている。
【0109】
48.例47の電極組立体であって、この場合に、接着剤層は、蝋付けされた金属性結合部を有する。
【0110】
49.サブマージアーク溶接電極組立体のために構成された延長部分であって、
非磁性材料から形成されたエンベロープと、
エンベロープ内において配設された且つ消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する絶縁スリーブと、
を有し、
この場合に、延長部分は、電極組立体のヘッド部分と連続的に配置されるように且つヘッド部分から消耗電極を受け取るように構成されている。
【0111】
50.例49の延長部分であって、この場合に、延長部分は、100mm超の長さを有する。
【0112】
51.例49の延長部分であって、この場合に、延長部分は、3mmを超過する消耗電極の直径のために構成されている。
【0113】
52.例51の延長部分であって、この場合に、延長部分は、自身を通じて挿入された消耗電極を有する溶接の際に、ヘッド部分の一端において配設された接触先端部分と消耗電極のアーキング先端の間において計測される電気スティックアウト距離と電極の直径の間の比率が30を超過するように構成されている。
【0114】
53.例49の延長部分であって、この場合に、絶縁スリーブは、セラミック材料から形成されている。
【0115】
54.例49の延長部分であって、この場合に、エンベロープは、実質的に非磁性鋼に基づいた材料から形成されている。
【0116】
55.例54の延長部分であって、この場合に、エンベロープは、ステンレス鋼から形成されている。
【0117】
56.例49の延長部分であって、この場合に、絶縁スリーブ及びエンベロープは、接着剤によって1つに保持されている。
【0118】
57.例56の延長部分であって、この場合に、接着剤層は、金属性フィラー材料を有する蝋付けされた結合部を有する。
【0119】
58.被加工物を溶接する方法であって、
サブマージアーク溶接電極組立体を提供するステップであって、電極組立体は、
ヘッド部分と、連続的に配置された且つ自身を通じて消耗電極を供給するように構成された延長部分と、を有し、
ヘッド部分は、消耗電極のアーキング先端に対して遠位となるように配設され、且つ、延長部分は、消耗電極のアーキング先端に対して近位となるように配設され、
延長部分は、中実絶縁材料が消耗電極を取り囲む状態において、溶接の際に被加工物から消耗電極を電気的に絶縁するように構成されている、ステップと、
アーキング先端が被加工物に隣接するように被加工物上において電極組立体を位置決めするステップと、
溶接の際のヘッド部分と消耗電極のアーキング先端の間の距離が125mmを超過するように電極組立体を調節するステップと、
電流を電極組立体に提供するステップと、
を有する。
【0120】
59.例58の方法であって、この場合に、延長部分は、100mm超の長さを有する。
【0121】
60.例58の方法であって、この場合に、
被加工物は、4インチ超の深さを有する且つ16度未満である頂点の角度を有する三角形トレンチを有し、
被加工物上において電極組立体を位置決めするステップは、延長部分が溝内に位置するように且つアーキング先端が頂点に接触するように電極組立体を位置決めするステップを有する。
【0122】
61.例60の方法であって、
アーキング先端が頂点に接触する状態において、延長部分が三角形トレンチの側壁に接触することなしに溝を通じて電極組立体を運動させるステップを更に有する。
【0123】
62.例58の方法であって、この場合に、電極組立体は、0.05ポンド/時間/Aを超過する堆積レート/電流を実現するように構成されている。
【0124】
63.例58の方法であって、この場合に、電極組立体は、900A未満の電流において35ポンド/時間を超過する堆積レートを実現するように構成されている。
【0125】
64.例58の方法であって、この場合に、電極組立体は、ヘッド部分と消耗電極のアーキング先端の間の距離に跨って合計電圧降下の少なくとも5%だけ降下するように構成されている。
【0126】
65.例58の方法であって、この場合に、電極組立体は、溶接の際に最大で800℃の温度に延長部分内のジュール加熱によって消耗電極を加熱するように構成されている。
【0127】
66.被加工物上の溝内におけるサブマージアーク溶接用のマルチアーク溶接システムであって、この場合に、溝は、4インチを超過する深さと、16度未満である頂点の角度と、を有する、システムにおいて、
第1電極組立体であって、
第1ヘッド部分、及び、
第1ヘッド部分と連続的に配置された第1延長部分であって、第1ヘッド部分及び第1延長部分は、自身を通じて第1消耗電極を供給するように構成されており、この場合に、第1延長部分は、非磁性材料から形成された第1ノズルボディと、ノズルボディ内において配設された且つ第1消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する第1絶縁スリーブと、を有する、第1延長部分、
を有する第1電極組立体と、
第2電極組立体であって、
第2ヘッド部分、及び、
第2ヘッド部分と連続的に配置された第2延長部分であって、第2ヘッド部分及び第2延長部分は、自身を通じて第2消耗電極を供給するように構成されており、この場合に、第2延長部分は、非磁性材料から形成された第2ノズルボディと、第2ノズルボディ内において配設された第2絶縁スリーブと、を有し、この場合に、第2絶縁スリーブは、第2消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有する、第2延長部分、
を有する第2電極組立体と、
を有し、
この場合に、溶接の際に、第1及び第2電極組立体は、第1及び第2消耗電極の先端が、第1及び第2延長部分が溝の側壁に接触することなしに、溝の頂点に対して近接した状態において隣接するように、且つ、互いに近接した状態において隣接するように、溝内において位置決めされるように、構成されている。
【0128】
67.例66のシステムであって、この場合に、溶接の際に、第1及び第2電極組立体は、第1及び第2消耗電極の先端が30mm未満となるように且つ第1及び第2電極組立体の間の角度が40度未満となるように、溝内において位置決めされるように構成されている。
【0129】
68.例66のシステムであって、
第3電極組立体であって、
第3ヘッド部分、及び、
第3ヘッド部分と連続的に配置された第3延長部分、
を有する、第3電極組立体、
を更に有し、
この場合に、第3ヘッド部分及び第3延長部分は、自身を通じて第3消耗電極を供給するように構成されており、
この場合に、第3延長部分は、非磁性材料から形成された第3ノズルボディと、第2ノズルボディ内において配設された第3絶縁スリーブと、を有し、
この場合に、第3絶縁スリーブは、第3消耗電極を取り囲むように構成された中実絶縁材料を有し、且つ、
この場合に、溶接の際に、第3電極組立体は、第3消耗電極の先端が、第3延長部分が溝の側壁に接触することなしに、第1及び第2消耗電極の先端に近接状態において隣接するように、溝内において位置決めされるように構成されている。
【0130】
69.例66のシステムであって、この場合に、
第1電極組立体は、第1ヘッド部分に堅固に装着された第1フラックス供給システムを有し、
第2電極組立体は、第2ヘッド部分に堅固に装着された第2フラックス供給システムを有し、
第1及び第2フラックス供給システムは、フラックスを溝内に堆積させるように構成されており、且つ、
溶接の際に、第1及び第2フラックス供給システムは、溝の側壁に接触してはいない。
【0131】
70.例66のシステムであって、この場合に、第1及び第2延長部分は、それぞれ、100mm超の長さを有する。
【0132】
文脈がそうではないことを明瞭に必要としない限り、説明及び請求項の全体を通じて、「有する(comprise)」、「有する(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」という用語及びこれらに類似したものは、排他的ではなく包括的な意味において又は網羅的意味において、即ち、「限定を伴うことなしに含む」の意味において、解釈することを要する。本明細書において一般的に使用されている「結合された(coupled)」という用語は、直接的に接続され得る又は1つ又は複数の中間要素を介して接続され得る2つ以上の要素を意味している。同様に、本明細書において一般的に使用されている「接続された(connected)」という用語も、直接的に接続され得る又は1つ又は複数の中間要素を介して接続され得る2つ以上の要素を意味している。これに加えて、「本明細書において(herein)」、「以上の(above)」、「以下の(below)」という用語、並びに、類似の取り込みの用語は、本出願において使用された際に、本出願の任意の特定の一部分ではなく、全体として本出願を意味することになる。また、文脈が許容している場合に、単数又は複数を使用する上述の「詳細な説明」における用語は、それぞれ、複数又は単数を含み得る。2つ以上の項目のリストを参照する「又は(or)」という用語は、リスト内の項目の任意のもの、リスト内の項目のすべて、及びリスト内の項目の任意の組合せという用語の解釈のすべてをカバーしている。
【0133】
更には、その他のものに加えて、「できる(can)」、「できるであろう(could)」、「であってもよいであろう(might)」、「であってもよい(may)」、「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「などの(such as)」、及びこれらに類似したものなどの本明細書において使用されている条件付き言語は、そうではない旨が具体的に主張されていない限り、或いは、使用されている文脈内においてそうではない方式で理解されない限り、その他の実施形態が包含しない状態において、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は状態を含むことを伝達することを一般的に意図している。従って、このような条件付き言語は、一般的に、特徴、要素、及び/又は状態が任意の方式で1つ又は複数の実施形態のために必要とされていること、或いは、これらの特徴、要素、及び/又は状態が含まれるかどうか又は任意の特定の実施形態において実行されることを要するかどうか、を意味することを意図してはいない。
【0134】
特定の実施形態が記述されているが、これらの実施形態は、例示を目的としてのみ提示されており、且つ、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。実際に、本明細書において記述されている新規の装置、方法、及びシステムは、様々なその他の形態において実施されてもよく、更には、本開示の精神を逸脱することなしに、本明細書において記述されている方法及びシステムの形態における様々な省略、置換、及び変更を実施することができる。例えば、ブロックは、所与の構成において提示されているが、代替実施形態は、異なるコンポーネント及び/又は回路トポロジーを伴って類似の機能を実行することができると共に、いくつかのブロックの削除、移動、追加、サブ分割、組合せ、及び/又は変更を実行することができる。これらのブロックのそれぞれは、様々な異なる方法によって実装することができる。更なる実施形態を提供するために、上述の様々な実施形態の要素及び行為の任意の適切な組合せを組み合わせることができる。上述の様々な特徴及びプロセスは、互いに独立的に実装されてもよく、或いは、様々な方法で組み合わせられてもよい。本開示の特徴のすべての可能な組合せ及びサブ組合せは、本開示の範囲に含まれるものと解釈されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9A
図9B
【国際調査報告】