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  • 特表-逆流を防止するための組立体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】逆流を防止するための組立体
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
F16K15/04 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529390
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022082297
(87)【国際公開番号】W WO2023089040
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021129947.0
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022101922.5
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ラウホ,グレガー
(72)【発明者】
【氏名】ハネヴァルト,ディーター
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA04
3H058BB04
3H058CC05
(57)【要約】
本発明は、流れ方向の流れを解放し、流れ方向とは反対方向の流れを防止する少なくとも1つの要素(23)を備える逆流を防止するための組立体に関する。要素(23)はチャンバ(20)の中に配置され、チャンバ(20)は、少なくとも1つのストッパ(22、25)を有し、一体型の壁(27)によって形成され、要素(23)は、チャンバ(20)の中に、形状接続の方法で組み込まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ方向の流れを解放し、前記流れ方向とは反対方向の流れを防止する少なくとも1つの要素(23)を備え、前記要素(23)が、少なくとも1つのストッパ(22、25)を有するチャンバ(20)の中に配置されている、逆流を防止するための組立体(30)であって、
前記チャンバ(20)が一体型の壁(27)によって形成されており、前記要素(23)が形状接続の方法で前記チャンバ(20)に組み込まれている
ことを特徴とする、組立体(30)。
【請求項2】
前記壁(27)が前記ストッパ(22、25)と一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記組立体(30)が多数のチャンバ(20)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の組立体。
【請求項4】
前記組立体(30)の前記チャンバ(20)が平行な流れ用に配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項5】
前記組立体(30)が前記チャンバ(20)の対称な配置を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
流れが生じ得るチャネル(19)の中にまたは該チャネル(19)上に前記チャンバ(20)が配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項7】
前記チャネル(19)が、圧力を変化させるための要素を有することを特徴とする、請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記要素(23)が、物体として、特にボールとして設計されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項9】
前記チャンバ(20)が、前記要素(23)用の前記流れ方向のストッパ(25)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項10】
前記流れ方向の前記ストッパ(25)が、完全に流れている状態において前記要素(23)の低流量位置決めを保証するためのセンタリング手段を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項11】
前記ストッパ(25)が支柱型の要素(24)を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項12】
前記チャンバ(20)が空胴(21)を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項13】
前記組立体(30)が生成的製造用に設計されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項14】
前記要素(23)と、前記ストッパ(22)を有する前記一体型の壁(27)とが、金属表面を有し、前記金属表面の平均粗さRaが、6.4μm未満、好ましくは3.2μm未満、特に1.6μm未満であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項15】
逆流を防止するための組立体(30)を製作するための方法であって、要素(23)が、ビルドアップ材料に対する放射線の選択的な作用によって、チャンバ(20)の中に一体型の壁(27)と同時に製作されることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記要素(23)、および/またはストッパ(22)を有する前記壁(27)が、電解研磨されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか1項に記載の組立体(30)の、流れが生じるシステムにおける、絞りモジュールとしての、および/または分流器としての使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れ方向の流れを解放し、流れ方向とは反対方向の流れを防止する少なくとも1つの要素を備え、当該要素が、チャンバの中に配置され、少なくとも1つのストッパを有する、逆流を防止するための組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
逆流防止器は、パイプ、継手およびポンプにおいて、流体が一方向にのみ流れることを許容する。逆流防止器は、流れ方向が逆になると自動的に閉じ、流れ方向が許容されるときには、同様に自動的に開く。逆流防止器は、高いところにあるパイプやタンクが、休止時間中に空になるのを回避すること、またはポンプを逆流や逆圧波から保護することを目的としたものである。さらに、逆流防止器は、暖房の分野では、望ましくない熱上昇流を防止するため、および異なる加熱回路を分離するために使用される。
【0003】
逆流防止器の例には、逆止弁およびスイング逆止弁ならびにダイアフラム式逆流防止器がある。スイング逆止弁は、主に中位から大きい公称直径において使用され、小さい公称直径向けには、逆止弁がより多く使用される。
【0004】
逆止弁は、たとえばポンプがスイッチをオフにされた後に吸引ラインが空になるのを防止する継手であり、再始動の前にポンプに呼び水を入れることを不要にするものである。
【0005】
DE102020113290A1には、逆流防止器を有する弁であって、流れチャネルに主弁および逆流防止器が配置されており、逆流防止器は、弁座と、弁座を開閉するための閉鎖要素とを有することが記載されている。この弁は、非常に大きな流れの偏向を必然的に伴い、特に高い圧力損失を生じる。
【0006】
ばね荷重の逆止弁は、実質的にあらゆる据付け位置において使用され得る。スイング逆止弁と比べて、ばね荷重の逆止弁は、流れがより偏向されるので、圧力レベルに関する損失がより大きい。ばね荷重の逆止弁は、より小さい公称の直径の場合に一般的に好まれる。
【0007】
DE202010010935U1には、ケーシングと、ケーシング内の中央に配置されたノズル本体と、ノズル本体を同軸状に囲むノズルリングと、を有する気体媒体および液体媒体用の逆流防止器が記載されている。この逆流防止器において、ケーシングとノズル本体との間に形成された環状の流れチャネルが、環状の遮断要素によって閉鎖され得、この遮断要素は、媒体の流れによって、流れチャネルを露出する開放位置と、流れチャネルを閉鎖する遮断位置との間で移動可能なように、少なくとも1つのばね要素によってケーシングの中に取り付けられている。
【0008】
既知の逆流防止器は、一般に、流れ方向とは反対方向の逆流を密封(遮断)するばね要素を有する。そのようなばね要素は、既知のヒステリシス現象を生じやすく、使用時間が長くなるにつれて摩耗する。特に固体を含有し得る流体については、そのような逆流防止器は、閉塞を促進する可能性があるので、あまり適していない。
【発明の概要】
【0009】
この背景技術を所与として、本発明の基礎をなす目的は、広く一般に使用され得て同時に逆流を確実に防止する、逆流を防止するための組立体を明示することである。同時に、この組立体は、可能な限り小さい圧力損失で、流れを可能な限り効果的に真っすぐにするべきである。加えて、この組立体は、可能な限りコンパクトな設計で、高信頼度を保証するべきである。なおまた、この組立体は、簡単な組立体であり得るとともに、保守作業のために容易にアクセスできるべきである。その上、この組立体は、可能な限り低い生産コストを特徴とするとともに、個々の要件に適合できるべきである。
【0010】
本発明によれば、この目的は、逆流を防止するための組立体によって達成される。好ましい変形形態は、追加の独立請求項、従属請求項、明細書および図面自体に見いだされ得る。
【0011】
本発明によれば、チャンバは一体型の壁から形成され、要素は、形状接続(formschlussig)の方法でチャンバ内に組み込まれる。
【0012】
この、形状接続の組込みは、要素をチャンバ内へ組み込むことによってもたらされる。これにより、チャンバから要素が出ないことが保証される。加えて、チャンバ内へと要素を追加で組み込むことも不可能となる。したがって、チャンバの壁は、少なくとも要素がチャンバから出ることができない範囲内で妨げとなる。
【0013】
要素が、閉じ込められる方式でチャンバ内に導入されることは有利である。これは、要素を追加で組み込んだり、チャンバから要素を取り出したりするのは不可能であることを意味する。
【0014】
この特別な形状接続の組込みは、好ましくは生成的製造(generativen Fertigung)によって達成され得る。この場合、要素とチャンバの壁とが、1つの作業ステップにおいて同時に形成され、その結果として、要素を取り出すことおよび/または後から組み込むことは不可能になる。
【0015】
理想的には、ストッパを含む壁が、同時に一体形成される。結果として、壁と個々のストッパとが、好ましくは、1つの作業サイクルにおいて、分離不能となるように、生成的に製作される。
【0016】
この目的のために、チャンバは、流体を通過させるための2つの開口を有する。流体はチャンバを通って流れ、そのプロセスにおいて、必然的に要素のまわりも同時に流れる。この場合、開口のまわりのチャンバの壁が、形状接続の方法で要素と境界を接し、その結果として、高い抵抗または圧力損失のない流体の流れが達成されるが、要素は、いずれの開口を通ってもチャンバから出ることはできない。
【0017】
特に有利な変形形態では、この組立体は、フランジ間の組立体用のディスクまたはブランキングディスク(Steckscheibe)の形態であり、逆流を防止するための要素を含む少なくとも1つのチャンバを有する。
【0018】
そのようなディスクは、一方向の流れ用の少なくとも1つのチャンバを有し得、その回転軸は、ディスクシリンダの対称軸に対して平行に配列される。
【0019】
本発明の特に有利な変形形態では、逆流を防止するための組立体は、多数のチャンバを備え、その結果として、組立体は流れが生じ得る断面積の割合が大きくなり、結果的に圧力損失が小さくなる。この場合、各チャンバ内に、所望の流れ方向とは反対方向の貫流を遮断する要素が組み込まれる。
【0020】
詳細には、(複数の)チャンバを通る流れは、同時という意味で並行に起こり、区別をつけるために、逐次的なものではない。
【0021】
理想的には、すべてのチャンバが、組立体内の流れ方向に対して平行に配列される。これによって、流動様式への乱流の介入が小さくなり、特に圧力損失が小さくなる。
【0022】
本発明の特に有利な変形形態では、逆流を防止するための組立体は、(複数の)チャンバの対称な配置を有する。この場合、組立体の平面図において、(複数の)チャンバの開口が対称に配置されている。チャンバの配置は、たとえば、円形、長方形、または正方形であり得る。
【0023】
本発明の特に有利な変形形態では、チャンバまたは各チャンバはハニカム構造を有する。そのようなハニカム形状は、好ましくは六角形の断面の形態であり得る。多くのチャンバが互いに隣接して配置される場合、六角形の断面設計によって、空隙のない配置が可能になり、流体の貫流のための最大面積を達成することができ、したがって最大の流体貫流も達成することができる。
【0024】
チャンバは、好ましくは、流れが生じ得るチャネルの中またはチャネル上に配置される。したがって、チャンバは、チャネルの始端、中央、終端、または始端と終端との間の任意の位置に配置され得る。この場合、チャネルの長さは組立体の厚さによって制限される。
【0025】
この目的のために、チャンバは、理想的には、流れが生じ得るチャネルとして設計される。この目的のために、チャンバは、チャネル型コンジット(導管)として具現され得る。この場合、チャンバは、円形、長方形、正方形、台形、多角形もしくはクローバの葉の形の断面、または複雑な形状の断面を有し得る。従来のツール、たとえばドリルでは丸形断面しか作製することができないため、上記の断面形状は生成的製造のために理想的である。本発明の一変形形態では、チャネルの全長にわたって流れチャンバの断面形状が変化し得る。
【0026】
特に好ましくは、1つのチャネルおよび/または各チャネルが、圧力、特に静圧を変化させるための要素を有する。これらの要素は、たとえば、追加の断面積を解放することにより、または、好ましくは流れに対する特別な粗さ特性の作用によって、チャネルの断面積を変化させることができる。
【0027】
特に有利な点として、圧力を変化させるための要素は、チャネル自体および/または組立体の後に続く流れ部分におけるキャビテーション現象の回避を達成する。
【0028】
本発明の一変形形態では、チャンバは、湾曲したチャネルとして設計される。この場合、チャネルは、所望の流動様式の生成のために有利なプロファイルを有する。この目的のために、チャンバは、好ましくは複雑な形状を有し、これは、理想的には生成的に製作され得る。従来、湾曲したチャネルは、たとえばドリルでは製作することができない。
【0029】
この要素は、好ましくは物体(立体、Korper)として、特にボールとして設計される。さらに、この要素は、逆流を防止するための組立体の中心的な構成部品として扱われ得る。ボールは、有利には、チャンバの開口の直径よりも少なくとも少し大きい直径を有し、それによって、流れの反転の場合に確実に密封することを可能にする。
【0030】
本発明の代替変形形態では、この要素は、流体の逆流の密封および回避のためにチャンバの開口の断面と有利に相互作用するように、立方体もしくは直方体、または先端を切った円錐体もしくは角錐、または複雑な本体として設計され得る。
【0031】
本発明の代替変形形態では、この要素は、ばね要素をさらに備えることができる。この要素は、好ましくはばね要素と結合される。そのような結合は、好ましくは接続部として具現される。この目的のために、ばね要素を含む要素は、生成的かつ同時に製造され得る。
【0032】
本発明の可能な一実施形態では、この要素は、ばね要素と一体的に形成される。
【0033】
ばね要素は、有利には、スパイラルばねまたは板ばねとして具現され得る。
【0034】
ばね要素は、有利にはチャンバの壁に対する接続部を有する。ばね要素は、それによってガイドを受け、もはやチャンバの内部で自由に移動することはできない。要素は、流れ方向のストッパと流れ方向とは反対方向のストッパとの間のガイドされた経路上のみを、流れとともに移動することができる点において有利である。
【0035】
生成的製造によって、逆流を防止するための組立体の作業に適合された様々なばね剛性レベルを生成することが理想的に可能である。
【0036】
チャンバの中で、逆流を防止するための組立体は、逆流を密封および回避するために、好ましくは、流れ方向とは反対方向の、要素用のストッパを有する。理想的には、流れ方向とは反対方向の、要素用のストッパは、要素のネガティブ(negativ)として成形された接触面を備える。さらに、接触面は、要素がストッパ上の位置を優先的に見つけて逆流を効率的に防止するように、ストッパのまわりに成形され得る。
【0037】
本発明の特に有利な変形形態では、逆流を防止するための組立体のチャンバは、流れ方向の要素用のストッパを有する。理想的には、この要素は、流体流れが流れ分離や乱流なしで要素のまわりを流れることができるように配置される。
【0038】
流れ方向の要素用のストッパは、好ましくは、流れ方向にアーチ形状(Woelbung)の形態のセンタリング手段を有する。この場合、アーチ形状は、有利には凸状の設計であり、その結果として、要素は、流体の流れによってのみストッパの内部で規定の位置をとる。本発明の特に有利な変形形態では、要素は、ボール形状の物体として設計され、流体が流れ方向に流れる限り、流体によって、アーチ状に曲がったストッパの最も外側の部分に位置決めされる。
【0039】
理想的には、流れ方向のストッパは、支柱型の要素を有し、これら支柱型の要素が、中心点において星状に接続されて分流器を形成する。凸状の湾曲を有する3本の支柱は、それぞれ120°オフセットして配置され、好ましくは、流れ方向のストッパを形成する。結果として、要素は、ストッパの内部で中央に配置され、流体は、著しい乱れや圧力損失なしで要素のまわりを流れることができる。
【0040】
本発明の代替変形形態では、凸状の湾曲を有する互いに同一間隔の6本の支柱が、流れ方向のストッパを形成することも可能である。
【0041】
チャンバは、好ましくは空胴を有する。この場合、空胴は、流れが生じ得る中空空間であり、2つのストッパおよびチャンバの一体型の壁によって境界が定められる。空胴は要素を囲み、したがって要素は空胴の内部に配置される。流れが生じ得る中空空間の形状または構造は、生成的設計によって、圧力差または流動様式に対する設定に適合される。
【0042】
理想的には、要素と、少なくとも1つのストッパを含む一体型の壁とが、金属表面を有する。逆流の回避については、金属表面は、密封を達成することができる平均粗さを有する。この場合、ボール形状の要素が、非常に円滑かつ密封的にストッパ内に留まるので、優れた密封を達成することができる。ここで、平均粗さRaは、6.4μm未満であり、好ましくは3.2μm未満であり、特に1.6μm未満である。
【0043】
特に滑らかな金属表面は、好ましくは電解研磨によって達成される。表面の平均粗さは、電解研磨によって小さくなる。鉱酸混合物内で電解研磨するときには、表面の前に、粗さの山の除去を促進する搬送制限研磨層(transportlimitierende Polierschicht、不動態化研磨層)が形成されるので、粗さの山は粗さの谷よりも迅速に摩耗する。ナノ粗さも同様に小さくなる。この場合、研磨は電気化学的に実行される。光沢は、可視光の波長の数分の1の範囲内の粗さの結果である。
【0044】
理想的には、金属表面の平均粗さは、電解研磨の持続時間によって目標どおりに設定することができ、したがって組立体の作業に適合され得る。
【0045】
理想的には、要素は、統合的な、したがって生成的な製造によって、チャンバ内に、形状接続の方法で組み込まれる。付加的な製造の状況では、一体型の壁と2つのストッパとを有するチャンバが、好ましくは、要素のまわりに、複雑な形状で同時に形成される。好ましい変形形態では、ケーシング内へと要素を追加装着するのは不可能な従来の製造とは対照的に、チャンバのケーシングは一体化して製作され、ケーシングの内部の要素は、生成的に製作され得るものであり、2つのストッパよりも大きな直径を有する。
【0046】
特に好ましい変形形態では、チャンバの空胴の内部にボール状の要素が組み込まれる。このチャンバの空洞は、たとえば楕円形の気泡の形態であり、チャネルが開口する流れ方向とは反対方向のストッパによって境界が定められ、さらに、3本の星状の支柱を有する分流器の形態の流れ方向のストッパによって境界が定められる。
【0047】
理想的には、それぞれが1つの要素を含む多数のチャンバを有する組立体の全体が、生成的に製造される。付加的な製造によって、逆流を防止するための組立体の複雑な設計が有利な方法で実施され得る。さらに、個々に適合された個々の部品が、要求に応じて非常に迅速に用意され得る。
【0048】
逆流を防止するための組立体を製作するための方法において、要素は、本発明により、ビルドアップ材料に対する放射線の選択的な作用によって、チャンバの中に一体型の壁と同時に製作される。
【0049】
理想的には、逆流を防止するための構造は付加的に製造される。この特別な製造技術によって、それぞれが1つの要素を有する1つまたは複数のチャンバが、材料の非常に少ない消費量で非常に迅速かつ柔軟に製作され得る。詳細には、望ましい1つの方向にのみ流体が流れることを保証するように空胴の内部で移動可能な要素が、付加製造技術によって有利に達成され得る。
【0050】
付加的に製造される逆流を防止するための組立体は、付加製造方法によって製作される。「付加製造方法」という用語は、材料が層単位で与えられるすべての製造方法を含み、このようにして3次元の要素および一体型の壁が製作される。ここで、層単位のビルドアップは、1つまたは複数の液体または固体の材料から、所定の寸法および形状に応じてコンピュータ制御の下で行われる。ビルドアップ中に、物理的硬化もしくは化学的硬化、または溶融プロセスが行われる。3D印刷用の一般的な材料には、プラスチック、合成樹脂、セラミックス、金属、炭素材料およびグラファイト材料がある。
【0051】
組立体を形成するために、特に、堆積溶接とも称される選択的レーザ溶融およびクラッディングが使用される。本発明の代替変形形態では、可溶性プラスチックの適用と組み合わせた押出しも、使用され得る方法である。
【0052】
選択的レーザ溶融において、逆流を防止するための組立体は、まずビルドアップ材料の層が基板に与えられる方法によって製作される。組立体を製作するためのビルドアップ材料は、好ましくは金属粉末粒子である。本発明の変形形態では、この目的のために鉄含有粉末粒子および/またはコバルト含有粉末粒子が使用される。これらは、クロム、モリブデンまたはニッケルなどの添加剤を含有し得る。金属のビルドアップ材料は、板に対して薄い層の粉末形態で与えられる。次いで、粉末材料は、放射線によって、所望の位置の局部領域において完全に溶融され、固化した後に固体材料層が形成される。次いで、基板は1つの層の厚さの量だけ引き下げられ、さらなる粉末が与えられる。このサイクルは、すべての層が形成されて完成した組立体が製作されるまで、繰り返される。
【0053】
放射線として、たとえば、個々の粉末層から組立体を生成するレーザビームが使用され得る。レーザビームを誘導するためのデータは、3D CADボディに基づいてソフトウェアによって製作される。選択的レーザ溶融に対する代案として、電子ビーム(EBN)を使用することも可能である。
【0054】
堆積溶接またはクラッディングにおいて、組立体は、開始部品を溶接によってコーティングする方法によって製作される。堆積溶接は、組立体の特に複雑で最適化された形状を与えるボリュームを構築するために、ワイヤまたは粉末の形態の溶接フィラー材を使用する。
【0055】
本発明の一変形形態では、組立体は、表面に対して可溶性プラスチックから成る複数の点の格子が与えられる付加製造方法によって製作される。ノズルによる押出しおよびそれに続く所望位置における冷却による硬化によって、耐荷重構造が製作される。組立体は、通常、作業面をライン単位で繰り返し横断し、次いで、積層効果で作業面を上方へ移動することによって組み立てられ、少なくとも1つのチャンバを有する組立体が生成される。
【0056】
本発明によれば、組立体は、流体が流れるシステムにおける、絞りモジュール(Drosselmodul)として、および/または分流器として使用される。
【0057】
好ましい一変形形態では、組立体は、フランジ間の組立体用のブランキングディスク(Steckeinsatz)として具現される。これによって、組立体の組立ておよび分解が、特に迅速かつ確実に行われ得る。
【0058】
本発明の有利な変形形態では、組立体は、圧力勾配の橋渡しをするため、および/またはパイプの中で渦なしの対称な流れプロファイルを生成するために使用される。
【0059】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面の参照を伴う例示的な実施形態の説明および図面自体か得られる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】例示の実施形態におけるフランジ間の組立体を通る断面を示す図である。
図2】チャンバを通る断面を示す図である。
図3】配置された要素とともに流れ方向のストッパを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、フランジ間の組立体の変形形態における逆流を防止するための組立体30を通る断面を示す。パイプ1,5はそれぞれ断面2,3を有し、これらの断面を通って流れが生じ得、これら断面はそれぞれフランジ4,6において終端する。フランジ4とフランジ6との間に逆流を防止するための組立体30が取り付けられている。
【0062】
図示された断面領域において、組立体30は、中心部に対称に配置された5つのチャンバ20を有する。それぞれのチャンバ20は、流れが生じ得る短いチャネル19の終端に配置されている。ここで、組立体30は、流体の一方向のみの流れを保証する。チャンバ20の対称な配置は、そこを流れる流体の、均一で渦のない流れをもたらす。
【0063】
図2は、逆流を防止するように設計されたチャンバ20を通る断面を示す。チャンバ20は、流れが生じ得る中空としての空胴21を備え、その中に要素23が配置されている。この例示的な変形形態では、要素23はボールとして具現されている。
【0064】
コンジット型チャネル19は、流れ方向とは反対方向のストッパ22を介してチャンバ20内に開口している。空胴21は、流入開口を囲む、流れ方向とは反対方向のストッパ22から、流出開口を囲む、流れ方向のストッパ25まで延在する。流れ方向のストッパ25は支柱型の要素24によって形成され、これら要素24は、流れ方向にアーチ形の形状を有し、したがって、流体が流れるとき、要素23を流れ最適化された位置に保持する。
【0065】
流れ出口26は、流れ方向のストッパ25に隣接する。本発明の図示された変形形態では、チャンバ20はチャネル19の終端に配置されている。
【0066】
要素23は、生成的製造によって空胴21の中に閉じ込められている。付加的な製造の状況で、一体型の壁27によって囲まれた空胴21には2つのストッパ22および25が形成され、同時に要素23が形成される。要素23の直径は2つのストッパ22、25の直径よりも大きいので、空胴21内へと要素23を後から嵌めこむことは不可能であり、したがって、複雑な形状のチャンバ20が、生成的製造によって有利に製作され得る。
【0067】
流体が逆流する場合には、要素23は、流れ方向のストッパ25の位置から、空洞21を通って流れ方向とは反対方向のストッパ22まで移動され、このプロセスにおいて、流れチャネル19への流体用の経路を閉じる。それによって流体の逆流が防止される。
【0068】
図3は、要素23が配置された状態の流れ方向のストッパ25の例示図を示す。流れ方向のストッパ25は、流れ方向の支柱型の要素24を3本有し、これら要素24は、中心点において星状に接続されて分流器を形成する。3本の支柱型の要素24は、流れ方向に凸状の湾曲を有し、いずれも120°オフセットして配置されている。結果として、要素23は、ストッパ25の内部で中央に配置され、流体は、著しい乱れや圧力損失なしで要素23のまわりを流れることができる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ方向の流れを解放し、前記流れ方向とは反対方向の流れを防止する少なくとも1つの要素(23)を備え、前記要素(23)が、少なくとも1つのストッパ(22、25)を有するチャンバ(20)の中に配置されている、逆流を防止するための組立体(30)であって、
前記チャンバ(20)が一体型の壁(27)によって形成されており、前記要素(23)が形状接続の方法で前記チャンバ(20)に組み込まれている
ことを特徴とする、組立体(30)。
【請求項2】
前記壁(27)が前記ストッパ(22、25)と一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記組立体(30)が多数のチャンバ(20)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記組立体(30)の前記チャンバ(20)が平行な流れ用に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記組立体(30)が前記チャンバ(20)の対称な配置を有することを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
流れが生じ得るチャネル(19)の中にまたは該チャネル(19)上に前記チャンバ(20)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記チャネル(19)が、圧力を変化させるための要素を有することを特徴とする、請求項6に記載の組立体。
【請求項8】
前記要素(23)が、物体として、特にボールとして設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
前記チャンバ(20)が、前記要素(23)用の前記流れ方向のストッパ(25)を有することを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
前記流れ方向の前記ストッパ(25)が、完全に流れている状態において前記要素(23)の低流量位置決めを保証するためのセンタリング手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項11】
前記ストッパ(25)が支柱型の要素(24)を有することを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項12】
前記チャンバ(20)が空胴(21)を有することを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項13】
前記組立体(30)が生成的製造用に設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項14】
前記要素(23)と、前記ストッパ(22)を有する前記一体型の壁(27)とが、金属表面を有し、前記金属表面の平均粗さRaが、6.4μm未満、好ましくは3.2μm未満、特に1.6μm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の組立体。
【請求項15】
逆流を防止するための組立体(30)を製作するための方法であって、要素(23)が、ビルドアップ材料に対する放射線の選択的な作用によって、チャンバ(20)の中に一体型の壁(27)と同時に製作されることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記要素(23)、および/またはストッパ(22)を有する前記壁(27)が、電解研磨されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか1項に記載の組立体(30)の、流れが生じるシステムにおける、絞りモジュールとしての、および/または分流器としての使用法。
【国際調査報告】