(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】自動車両、特に自動車の車軸用の電動車軸駆動装置、及び自動車両、特に自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 17/16 20060101AFI20241024BHJP
F16H 48/10 20120101ALI20241024BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60K17/16
F16H48/10
B60K17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529438
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022082600
(87)【国際公開番号】W WO2023089171
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021005765.1
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523285085
【氏名又は名称】ダイムラー トラック アーゲー
【氏名又は名称原語表記】DAIMLER TRUCK AG
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェンス, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ルックマン, イェンス
(72)【発明者】
【氏名】シュトルーリン, マーク
(72)【発明者】
【氏名】クライン, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンコン, フロリアン
【テーマコード(参考)】
3D042
3J027
【Fターム(参考)】
3D042AB01
3D042BE01
3J027FA36
3J027FB02
3J027HA01
3J027HA03
3J027HB02
(57)【要約】
本発明は、2つの車両車輪(12,14)を備える自動車両車軸(16)用の電動車軸駆動装置(10)に関し、前記電動車軸駆動装置は、ステータ(20)とロータ(22)とを有する電気機械(18)とを備え、さらに、駆動部(34)として、リングギヤ(30)と、遊星キャリア(32)と、前記ロータ(22)によって提供され得る駆動トルクが遊星歯車セット(26)に導入され得るときに経由する太陽歯車(28)とを有する遊星歯車セット(26)とを備え、車両車輪(12,14)のうちの第1の車輪車両を駆動することができる第1の出力軸(36)が、遊星歯車セット(26)の第1の出力部(38)としてのリングギヤ(30)にトルクを伝達するように接続される。第2の車両車輪(14)を駆動することができる第2の出力軸(40)は、遊星歯車セット(26)の第2の出力部(42)としての遊星キャリア(32)にトルクを伝達するように接続され、遊星歯車セットの出力部(38,42)は、車両車輪(12,14)を駆動するために、駆動トルクから生じる出力トルクを遊星歯車セット(26)から放散させることができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの車両車輪(12,14)を備える自動車両の車軸(16)用の電動車軸駆動装置(10)であって、電動車軸駆動装置(10)が、ステータ(20)とロータ(22)とを有する少なくとも1つの電気機械(18)とを有し、リングギヤ(30)と、遊星キャリア(32)と、駆動ユニット(34)としての太陽歯車(28)とを有する遊星歯車セット(26)を有し、これを介して、前記ロータ(22)によって提供され得る駆動トルクが、前記車両車輪(12,14)を駆動するために前記遊星歯車セット(26)に導入され得、
ここで、
-前記車両車輪(12,14)のうちの第1の車両車輪が駆動され得る起点となる第1の出力軸(36)が、前記第1の出力軸(36)に関連する前記遊星歯車セット(26)の第1の出力部(38)としての前記リングギヤ(30)に、トルクを伝達するように接続され、
-第2の車両車輪(14)が駆動され得る起点となる第2の出力軸(40)が、前記第2の出力軸(40)に関連する前記遊星歯車セット(26)の第2の出力部(42)としての前記遊星キャリア(32)に、前記出力部(38,42)を介してトルクを伝達するように接続され、前記第2の出力軸(40)から、前記それぞれの駆動トルクから生じる前記それぞれの出力トルクが、前記車両車輪(12,14)を駆動するための前記遊星歯車セット(26)から放散され得、かつ、
-前記出力軸(36,40)の一方が、中間要素(44)を介して、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続され、これにより、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)に対して、前記一方の出力軸(36,40)の回転方向の反転が達成され得、
前記第2のロータ(74)が、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)をバイパスして、切替え要素(S1)によって、トルクを伝達するように前記中間要素(44)に接続され得ることを特徴とする
電動車軸駆動装置(10)。
【請求項2】
中間要素(44)が中間歯車(44)として設計される
ことを特徴とする
請求項1に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項3】
-前記一方の出力軸(36,40)が、第1の平歯車段(46)を介して、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続され、
-前記他方の出力軸(40,36)が、第2の平歯車段(49)を介して、前記他方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続される
ことを特徴とする
請求項1又は2に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項4】
前記第1の平歯車段(48)が、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続された第1の平歯車(48)と、第2の平歯車として、前記第1の平歯車(48)と噛み合い、前記第2の平歯車と第3の平歯車(52)とを備える第3の平歯車段(50)において、前記一方の出力軸(36,40)に、トルクを伝達するように接続される前記第3の平歯車(52)と噛み合う前記中間歯車(44)とを有し、前記第3の平歯車段(50)を介して、前記一方の出力軸(36,40)が、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続される
ことを特徴とする
請求項2及び3に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項5】
第2のステータ(72)と、第2の駆動トルクが提供され得る起点となる第2のロータ(74)とを備える第2の電気機械(70)
を特徴とする
請求項1から4のいずれか一項に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項6】
前記第2のロータ(74)が、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)に、トルクを伝達するように接続され得るか、又は接続され、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)を介して、前記第2のロータ(74)によって提供され得る前記第2の駆動トルクが前記遊星歯車セット(26)に導入され得る
ことを特徴とする
請求項5に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項7】
前記電動車軸駆動装置(10)が、前記出力軸(36,40)が前記他方の電気機械(70,18)によって駆動されると、前記出力軸(36,40)が反対方向に回転するように前記電気機械(18,70)の一方を動作させ、それによって遊星歯車セット(26)に影響を与えるように設計される
ことを特徴とする
請求項5又は6に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項8】
前記第2のロータ(74)が、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)に、トルクを伝達するように接続され得る手段となる少なくとも1つの切替え要素(S1)
を特徴とする
請求項5から7のいずれか一項に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電動車軸駆動装置(10)を有する自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の総称による、自動車両、特に自動車の車軸用の電動車軸駆動装置に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのそのような電動車軸駆動装置を有する自動車両、特に自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第10 2019 205 750号明細書には、入力軸と、第1の出力軸と、第2の出力軸と、第1の遊星歯車セットと、第1の遊星歯車セットに接続された第2の遊星歯車セットとを備える、公知の歯車ユニットが開示されている。電気自動車用のドライブトレインは、米国特許第5 845 732号明細書で知られている。また、国際公開第2020/216504号には、歯車ユニットが開示されている。
【0003】
さらに、独国特許出願公開第10 2011 102 749号明細書には、電気機械と、2つの遊星歯車を有する変速装置とを有する変速構成が示されている。このような変速構成は、米国特許出願公開第2015/0 152 947号明細書でも知られている。
【0004】
さらに、独国特許出願公開第10 2017 128 448号明細書には、駆動要素と2つの出力要素とを有し、駆動要素が、第1のパワースプリッタを介して第1の出力要素に接続され、かつ、第2のパワースプリッタを介して第2の出力要素に接続され、2つのパワースプリッタ間の速度差は可能になっている、自動車両用の差動装置が開示されている。
【0005】
独国特許出願公開第10 2012 110 269号明細書には、電気機械と、車両車軸に割り当てられた2つの伝達出力軸を有するギヤユニットとを有する電気自動車両のドライブトレインが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2019 205 750号明細書
【特許文献2】米国特許第5 845 732号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/216504号
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2011 102 749号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2015/0 152 947号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10 2017 128 448号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、自動車両用の電動車軸駆動装置及び少なくとも1つのそのような電動車軸駆動装置を有する自動車両を提供し、自動車両の特に有利な駆動装置を特に省スペースかつ軽量で実現可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、特許請求項1の特徴を有する電動車軸駆動装置及び特許請求項9の特徴を有する自動車両によって達成される。本発明の有用なさらなる実施形態を有する有利な実施形態は、残りの特許請求項に記載されている。
【0009】
本発明の第1の態様は、車両車軸とも呼ばれる少なくとも又はちょうど2つの車両車輪を備える自動車両、特に自動車の車軸用の電動車軸駆動装置に関する。これは、好ましくは自動車、特に商用車両として設計される自動車両が、完全に製造された状態で、前記車軸及び前記車軸の前記車両車輪、ならびに電動駆動ユニット、電動駆動装置又は電動駆動システムとも呼ばれる電動車軸駆動装置を有することを意味する。車軸の車両車輪は、電動車軸駆動装置によって電気的に、特に純粋に電気的に駆動され得、それによって自動車両全体が電気的に、特に純粋に電気的に駆動され得る。単に車輪とも呼ばれる、電動駆動システムによって駆動され得る車両車輪は、被駆動車両車輪、駆動可能な車両車輪、被駆動車輪又は駆動可能な車輪とも呼ばれる。特に明記しない限り、「車両車輪」という用語が以下で使用される場合、それは駆動可能な車両車輪を指す。車両車輪は、自動車両の接地要素であり、自動車両は、車両の垂直方向に接地要素を介して地面上で支持又は固定され得る。自動車両が例えば電動車軸駆動装置によって地面に沿って駆動される場合、車両が接地要素(車両車輪)を介して地面上で車両の上方向に支持されている間、車両車輪は特に直接地面上で転動する。車両車輪は、第1の車輪又は第1の車両車輪とも呼ばれ、車軸は、第1の車軸又は第1の車両車軸とも呼ばれる。例えば、完全に製造された状態では、自動車両は、連続して配置され、したがって車両の長手方向に互いに前後して配置された、少なくとも又はちょうど2つの車軸、すなわち、第1の車軸及び少なくとも1つのさらなる車軸を有する。それにより、さらなる車軸は、例えば、さらなる接地要素である少なくとも又はちょうど2つのさらなる車両車輪を有する。車両車輪は、好ましくは、車両の横方向において車軸、したがって自動車両の両側に配置される。それに伴い、他の車両車輪も、好ましくは、車両の横方向において車軸、したがって自動車両の両側に配置される。
【0010】
電動車軸駆動装置は、第1の電気機械、電気モータ又は第1の電気モータとも呼ばれる少なくとも1つの電気機械を有する。第1の電気機械は、第1のステータとも呼ばれるステータを有する。さらに、電気機械は、第1のロータとも呼ばれるロータを有する。特に、ロータは、ステータによって駆動され得、したがって、ステータに対する電気機械の機械回転軸を中心に回転され得る。特に、電気機械は、そのロータを介して駆動トルクを提供して車両車輪を駆動することができる。電動車軸駆動装置はまた、特にちょうど1つの遊星歯車セットを有し、遊星歯車セットは、特にちょうど1つのリングギヤと、特にちょうど1つの遊星キャリアと、特に遊星歯車セットの唯一の駆動ユニットである特にちょうど1つの太陽歯車とを有する。言い換えれば、単に太陽とも呼ばれる太陽歯車は、遊星歯車セットの駆動部、特に唯一の駆動部であり、それによって、車両車輪を駆動するためにロータによって提供され得る駆動トルクは、駆動部を介して、すなわち遊星歯車セットの太陽歯車を介して遊星歯車セットに導入され得る。特に、遊星歯車セットは、簡素な遊星歯車セットとして設計される。遊星キャリアは、スパイダとも呼ばれる。例えば、遊星歯車セットは、遊星キャリアに回転可能に取り付けられた遊星歯車を有する。それぞれの遊星歯車は、太陽歯車、特に同時にリングギヤと噛み合い、それによって好ましくは太陽歯車はリングギヤと噛み合わず、遊星歯車は段のない遊星歯車として設計される。遊星歯車は、遊星歯車のセットを形成する。以下でより詳細に説明するように、車両車輪は、遊星歯車セットを介して、ロータによって、したがって電気機械によって、特にそれぞれの駆動トルクによって駆動され得る。
【0011】
ここで、車両車輪、したがって自動車両の特に有利な駆動部を特に軽量かつ省スペースで実現できるようにするために、電動車軸駆動装置は、車両車輪のうちの第1の車両車輪が駆動され得る起点となるか、又はその手段となる第1の出力軸を有する。例えば、車両車輪は車軸駆動装置の構成要素である。例えば、第1の出力軸は、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように第1の車両車輪に接続され得るか、又は接続される。特に、例えば、第1の出力軸は、トルクを伝達するように恒久的に第1の車両車輪に接続される。第1の車両車輪が駆動され得る起点となる第1の出力軸は、第1の出力軸に属するか又は第1の出力軸に関連付けられた遊星歯車セットの第1の出力部であるリングギヤに、特に恒久的に、トルクを伝達するように接続される。電動車軸駆動装置はまた、第2の車両車輪が駆動され得る起点となる第2の出力軸を備える。この目的のために、例えば、第2の出力軸は、特に恒久的に、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように第2の車両車輪に接続される。さらに、第2の出力軸は、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように第2の車両車輪に接続され得ることが考えられる。したがって、第1の出力軸は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、かつ、特にねじり剛性を有するように第1の車両車輪に接続されることが考えられる。さらに、第1の出力軸は、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように第1の車両車輪に接続され得ることが考えられる。第2の車両車輪が駆動され得る起点となる第2の出力軸は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、遊星歯車セットの遊星キャリアに接続される。遊星キャリアは、遊星歯車セットの第2の出力部として設計され、それによって、第2の出力部は第2の出力軸に属し、したがって、第2の出力軸に属するか、又は第2の出力軸に関連付けられる。言い換えれば、第1の出力部は第1の出力軸に割り当てられ、それによって第1の出力部は第1の出力軸に属する。第2の出力部は第2の出力軸に割り当てられ、それによって第2の出力部は第2の出力軸に属する。車両車輪を駆動するためのそれぞれの駆動トルクから生じるそれぞれの出力トルクは、遊星歯車セットの出力部を介して遊星歯車セットから伝送され得る。特に、遊星歯車セットは、ちょうど2つの出力部、すなわちリングギヤの形態の第1の出力部及び遊星キャリアの形態の第2の出力部を有することが考えられる。特に、それにより、遊星歯車セットにその駆動部を介して導入されたそれぞれの駆動トルクから生じるそれぞれの出力トルクは、遊星歯車セットの出力駆動部を介して遊星歯車セットから放出すなわち伝送され、すなわち、遊星歯車セットによって提供され得る。特に、遊星歯車セットがちょうど1つの駆動部、すなわち太陽歯車の形態の前述の駆動部を有することが考えられ、それによって、例えば、駆動トルクは、遊星歯車セットの駆動部を介して、特に遊星歯車セットのみに導入され得る。
【0012】
さらに、本発明によれば、特にちょうど1つの出力軸が、中間要素を介して、特に恒久的に、トルクを伝達するように、1つの出力軸に属する遊星歯車セットの出力部に接続され、それにより、1つの出力軸に属する遊星歯車セットの出力部に対して、1つの出力軸の回転方向の反転を達成できるようになっている。これは、特に以下のように理解されるべきである。電気機械がそのロータを介してそれぞれの駆動トルクを提供し、駆動トルクが駆動部を介して遊星歯車セットに導入される場合、遊星歯車セット、特にその出力部が駆動される。駆動部はロータによって駆動され、駆動部は出力部を駆動する。駆動部、すなわち太陽歯車、ならびに出力部、すなわちリングギヤ及び遊星キャリアは、遊星歯車セットの伝達要素である。それぞれの伝達要素は、特に、それぞれの伝達要素がねじり剛性を有するように電動車軸駆動装置のハウジングに接続されていないとき、特に遊星歯車セットが駆動されるとき、ハウジングに対してそれぞれの遊星歯車セットの回転軸を中心に回転され得る。例えば、それにより、遊星歯車セットがハウジング内に配置される。それによって、好ましくは、伝達要素が互いに同軸に配置され、遊星歯車セットの回転軸が一致するようになっている。ここで、遊星歯車セット、したがって出力部が、特に駆動部を介して駆動される場合、出力部は、特にハウジングに対して、遊星歯車セットの回転軸を中心に、特に一緒に又は同時に、かつ/又は同じ角速度及び/又は回転速度で回転する。それにより、出力部は互いに反対方向に回転する。これは、例えば、第1の出力部がハウジングに対して遊星歯車セットの回転軸を中心に第1の回転方向に回転し、第2の出力部がハウジングに対して遊星歯車セットを中心に第2の回転方向に回転し、第2の回転方向は第1の回転方向とは反対であることを意味する。例えば、仮に第1の出力部及び第1の出力軸が同じ方向に回転し、第2の出力部及び第2の出力軸が同じ方向に回転するとすると、互いに同軸に配置された出力軸は互いに反対方向に回転し、その結果、例えば、車両車輪も互いに反対方向に回転することになってしまう。しかしながら、これは、一方の出力軸及び一方の出力軸に属する出力部が反対方向に回転するようにすることで、中間要素によって回避することができる。その結果、出力軸は、特に遊星歯車セットが駆動されると、特に電動車軸駆動装置のハウジングに対して出力軸に共通の出力軸回転軸を中心に、互いに同じ方向に、すなわち同じ回転方向に回転する。したがって、好ましくは、電動車軸駆動装置は、特に、中間要素を使用して、一方の出力軸に属する遊星歯車セットの出力部に対する一方の出力軸の回転方向を反転させることができ、すなわち、前述した一方の出力軸の回転方向の反転をもたらすことができるという点において、遊星歯車セット、したがって出力部が駆動ユニットを介して駆動されると、出力部が互いに反対方向に回転する一方で、出力軸が互いに同じ方向に回転するように設計されるようになっている。
【0013】
さらに、本発明では、遊星歯車とも呼ばれ、遊星歯車として設計された、単に遊星セットとも呼ばれる遊星歯車セットは、差動歯車、したがって車軸差動装置とも呼ばれる差動装置として機能する。それにより、差動装置として設計され、又はそのように機能する遊星歯車セットは、電気機械によってそのロータを介して提供されるそれぞれの駆動トルクが、遊星歯車セットによって、駆動装置に、したがって側壁とも呼ばれ側壁として設計された出力軸に、特にそれぞれの駆動トルクがそれぞれの出力トルクをもたらすように伝達され、特に分割又は分離されるという、一般的な従来技術から既に十分に知られている機能を有する。さらに、遊星歯車セットは、例えば自動車両がコーナリングしているとき、特に、車両車輪が、遊星歯車セットを介してロータによって駆動され得るか、又は駆動され、すなわち、トルクを伝達するようにロータに接続されている間、特に湾曲部の外側の車両車輪が湾曲部の内側の車両車輪より高速で回転するか、又は回転し得るように、車両車輪が互いに異なる速度で回転することを可能にする。
【0014】
本開示の文脈において、2つの構成要素がねじり剛性を有するように互いに接続されるという特徴は、ねじり剛性を有するように互いに接続された構成要素が互いに同軸に配置され、特に構成要素が駆動されると、特にハウジングに対して同じ角速度で構成要素に共通の構成要素回転軸を中心にして一緒に又は同時に回転することを意味すると理解されるべきである。2つの構成要素がトルクを伝達するように互いに接続されるという特徴は、構成要素間でトルクが伝達され得るように構成要素が互いに結合されることを意味し、それによって、構成要素がねじり剛性を有するように互いに接続されると、構成要素はトルクを伝達するように互いに接続されることにもなる。2つの構成要素がトルクを伝達するように互いに恒久的に接続されるという特徴は、トルクを伝達するように構成要素を互いに接続する結合状態と、構成要素間でトルクを伝達することができない分離状態との間で切り替えられ得る切替え要素が設けられないことを意味するが、構成要素は、トルクを伝達するように、すなわちトルクが構成要素間で伝達され得るように、常に又は恒久的に互いに接続される。これは、例えば、構成要素の一方が他方の構成要素によって駆動され得ること、及びその逆を意味する。特に、構成要素又は構造要素がねじり剛性を有するように互いに恒久的に接続されるという特徴は、構成要素又は構造要素をねじり剛性を有するように互いに接続する結合状態と、構成要素又は構造要素が互いに分離され、互いに対して回転され得る分離状態との間で切り替えられ得る切替え要素が設けられず、むしろ構成要素又は構造要素が常に又は恒久的に互いに接続又は結合されることを意味する。2つの構成要素がねじり剛性を有するように又はトルクを伝達するように互いに接続又は結合され得るという特徴は、特に、少なくとも1つの結合状態と少なくとも1つの分離状態との間で切り替えられ得る切替え要素が構成要素に割り当てられることを意味する。結合状態では、構成要素は、切替え要素によって、ねじり剛性を有するように、又はトルクを伝達するように互いに接続される。分離状態では、構成要素は互いに分離され、その結果、分離状態では、構成要素は、特に構成要素の回転軸を中心に互いに対して回転され得るか、又は構成要素間でトルクは伝達され得ない。
【0015】
本発明は、特に以下の知見及び考察に基づく。電気駆動ユニットの場合、ロータ、したがって電気機械の速度が、例えば、それぞれの出力軸及び/又はそれぞれの車両車輪が回転する速度よりも低い車輪速度に低減される場合に有利となる。典型的には、ギヤユニット段は、この目的のために、特に遊星セット及び/又はギヤ段、特に平歯車段の形態で使用される。車両車輪間の速度補償を達成するために、すなわち異なる車両車輪間で異なる速度を可能にするために、例えば傾斜差動装置として設計された差動装置が通常使用され、それによって差動装置は、通常、ギヤ段に加えて使用される。ここで、本発明は、特に中間要素を使用することによって、遊星歯車セットを、車両車輪間の速度補償を可能にする又は達成する差動装置として、及びギヤ段又はギヤユニットとしての両方で使用することを可能にし、それによって、例えば、特に遊星歯車セットの回転軸を中心にかつ/又はハウジングに対して特に回転速度で回転する駆動ユニットの回転速度は、遊星歯車セットが駆動されると、それぞれの出力部、したがって特にそれぞれの出力軸、したがって例えばそれぞれの車両車輪が回転する回転速度とは異なる車輪速度、特にそれより低い車輪速度に変更され、特に低減され得る。したがって、それぞれのギヤ比が、駆動ユニットから遊星歯車セットのそれぞれの出力部に提供されることが好ましい。これは、追加の差動装置の使用を回避することができ、その結果、電動車軸駆動装置の部品数、重量、コスト及び設置スペース要件を特に低いレベルに保つことができることを意味する。特に、ロータは、ねじり剛性を有するように、特に恒久的に駆動ユニットに接続されるようになっている。さらに、遊星歯車セットは、駆動ユニットから第1の出力部に向かって見たときに第1のギヤ比を有し、駆動ユニットから第2の出力部に向かって見たときに第2のギヤ比を有し、第1のギヤ比及び第2のギヤ比は同じであることが好ましいことが考えられる。さらに、特に第3のギヤ比が、例えば、一方の出力軸に属する出力部から中間要素を介して一方の出力軸に向かう部分で提供され、第3の変速比は好ましくは1である。特に、電動車軸駆動装置は、駆動ユニットが、特に遊星歯車セットの回転軸を中心に、かつ/又はハウジングに対して、それぞれの駆動速度で回転すると、出力軸が、特に一緒に又は同時に、同じ出力軸速度で、特に同じ方向に、特にハウジングに対して、かつ/又は出力軸に共通の出力軸回転軸の一方に対して回転するように設計される。
【0016】
電気機械のロータは、例えば、特に恒久的に、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように、駆動ユニットに接続される。さらに、ロータは、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように駆動ユニットに接続され得ることが考えられる。これは、電気モータとも呼ばれる電気機械が、駆動ユニットを介して、すなわち太陽歯車を介して、単に遊星セットとしても知られる遊星歯車セットに接続されているか、又は接続され得ることを意味する。単にキャリアとも呼ばれる遊星キャリア及びリングギヤは、特に同時での遊星歯車セットの出力部として使用される。
【0017】
したがって、例えば、一方の出力軸と一方の出力軸に属する出力部とが逆方向に回転している間に、例えば、他方の出力軸と他方の出力軸に属する出力部とが同じ方向に回転するようになっており、それによって、好ましくは、他方の出力軸の回転方向が、他方の出力軸に属する遊星歯車セットの出力部に対して反転しないようにする。例えば、第2の出力部は、特にトルクを伝達するように、特に恒久的に第2の出力軸に接続され、それによって、特に第2の出力部が、第2の出力軸を介して、特にトルクを伝達するように、特に恒久的に第2の車両車輪に接続されることが考えられる。さらに、第1の出力部は、トルクを伝達するように、特に恒久的に第1の出力軸に接続されることが考えられ、それによって、特に第1の出力部は、第1の出力軸と同様に、トルクを伝達するように、特に恒久的に第1の車両車輪に結合されることが考えられる。出力部は出力側とも呼ばれ、それによって、中間要素、したがって中間要素によって移動されるか、又は移動可能な回転方向の反転が出力側の一方に割り当てられる。その結果、2つの出力部は互いに同じ回転方向に駆動する。言い換えれば、出力部は、出力軸、したがって特に車両車輪も駆動し、出力軸、したがって特に車両車輪も、特に一緒に又は同時に、互いに同じ回転方向に回転するようにする。
【0018】
特に、好ましくは、駆動ユニットから第1の出力部を介して第1の出力軸まで、特に第1の車両車輪まで見た全体のギヤ比と、駆動ユニットから第2の出力部を介して第2の出力軸まで、特に第2の車両車輪まで見た第2の全体のギヤ比とが、互いに一致するようになっており、特に同じになっており、駆動ユニットが駆動速度とも呼ばれるそれぞれの速度で回転するか、又は駆動されると、出力軸、特に車両車輪が、出力速度とも呼ばれる速度を同じとし、特に互いに同じ方向に回転するようになっており、好ましくは、それぞれの出力速度が駆動速度の速度よりも小さくなっている。
【0019】
遊星歯車セットを差動装置及びギヤユニットの両方として、特に減速のために使用することにより、特に強力で特に有利な減速を、省スペース、軽量及び費用効果の高い方法で実現することができ、その結果、例えばそれぞれの車両車輪とそれぞれの出力軸との間に追加のギヤ段を必要としなくてもよい。特に、5対10のギヤ比は、例えば、1つのみの遊星歯車セットを使用することによって実現できる。本発明は、例えば、自動車両が完全に組み立てられたとき、遊星歯車セットの回転軸及び/又は機械の回転軸が車両の横方向に、すなわち車両の横方向に平行に延びるような横方向駆動装置、すなわち横方向設置として特に有利である。特に、好ましくは、電気機械が遊星歯車セットと同軸に配置され得るように、機械の回転軸が遊星歯車セットの回転軸と一致するようになっている。さらに、本発明は、特に遊星歯車セットにおいて、ギヤホイール、特に駆動ホイールの横方向の力が互いに打ち消し合うことを可能にし、その結果、特に有利な軸受け及びコンパクトな設計を実現することができる。さらに、本発明は、車両車輪に対する個々のギヤ比の正確な調整を可能にし、それにより、特に自動車両の前車軸と後車軸との間で異なる車軸数を有する長手方向差動装置に関して、従来の解決策と比較して最適化された負荷分配を達成することができる。
【0020】
それにより、特に軽量、省スペース及び省コストで特に有利な駆動ユニットを実現するために、本発明によれば、さらに第2の電気機械の第2のロータが、遊星歯車セットの駆動ユニットをバイパスして、切替え要素によって、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように、中間要素に接続され得るようになっている。そして、第2のロータがそれぞれの第2の駆動要素を提供する場合、駆動ユニットは、それぞれの第2の駆動トルクが第2のロータから中間要素に伝達され得るトルクの流れに関して、第2のロータと中間歯車との間のトルクの流れに配置されないか、又は少なくともトルクの流れにはない。切替え要素による、第2のロータの中間要素への、トルクを伝達し、特にねじり剛性を有するこの接続は、例えば、前述のトルク分配機能の実現、したがって出力軸の逆回転を可能にする。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、中間要素は中間歯車として設計され、特に軽量で費用効果の高い設計を達成することが可能となる。
【0022】
さらなる実施形態は、一方の出力軸が、特にちょうど又は少なくとも第1の平歯車段を介して、一方の出力軸に属する遊星歯車セットの出力部にトルクを伝達するように、特に恒久的に接続されることを特徴とする。それにより、好ましくは、他方の出力軸が、特に少なくとも又はちょうど第2の平歯車段を介して、他方の出力軸に属する遊星歯車セットの出力部にトルクを伝達するように、特に恒久的に接続されるようになっている。これにより、特に遊星歯車セットの軸方向に延びる電動車軸駆動装置の長さが特に短く保たれ得るため、特にコンパクトな設計が可能になる。さらに、ここでは、特に駆動ユニットからそれぞれの出力部を介してそれぞれの出力軸まで、特にそれぞれの車両車輪まで、特にコンパクトに、有利なギヤ比が実現され得る。
【0023】
前述の回転方向の反転を特に省スペースで、軽量で、費用効果の高い方法で実現できるようにするために、本発明のさらなる実施形態では、第1の平歯車段が、特に恒久的に、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように、一方の出力軸に属する遊星歯車セットの出力部に接続された第1の平歯車と、第1の平歯車と噛み合う第2の平歯車としての中間歯車とを有するようになっている。第2の平歯車(中間歯車)はまた、第2の平歯車(中間歯車)と第3の平歯車とを備える第3の平歯車段の第3の平歯車と噛み合い、第3の平歯車は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、特にねじり剛性を有するように、一方の出力軸に接続される。一方の出力軸は、第3の平歯車段を介して、一方の出力軸に属する遊星歯車セットの出力部に、特に恒久的に、トルクを伝達するように接続される。言い換えれば、本実施形態では、一方の出力軸は、第3の平歯車段を介して、特に恒久的に、トルクを伝達するように、第2の平歯車段、したがって一方の出力軸に属する出力部に接続され、第3の平歯車段は、第1の平歯車段を介して、特に恒久的に、トルクを伝達するように、一方の出力軸に属する出力部に接続される。これにより、回転方向を反転させることができ、特に有利なギヤ比を特に省スペースで達成することができる。
【0024】
自動車両の特に有利な運転性を実現できるようにするために、本発明のさらなる実施形態では、電気機械に加えて、第2のステータ及び第2のロータを有する第2の電気機械が設けられる。第2の電気機械は、第2のロータを介して第2の駆動トルクを提供することができる。特に、第2のロータは、第2のステータによって駆動され得、それにより、第2のステータに対する第2の機械回転軸を中心に回転され得る。電気機械、したがってロータは互いに同軸に配置され、機械の回転軸が一致するようになっていることが考えられる。
【0025】
さらなる実施形態は、第2のロータが、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように、遊星歯車セットの駆動ユニットに接続され得るか、又は接続されることを特徴とする。したがって、第2のロータは、トルクを伝達するように、特に恒久的に、かつ、特にねじり剛性を有するように遊星歯車セットの駆動ユニットに接続されることが考えられる。第2のロータ、したがって第2の電気機械によって提供されるか、又は提供され得る第2の駆動トルクは、遊星歯車セットの駆動ユニットを介して遊星歯車セットに導入され得る。それにより、第1の電気機械及び遊星歯車セットに関する前述及び後述の説明は、第2の電気機械及び遊星歯車セットに容易に移転可能であり、逆もまた同様である。特に、第2の駆動トルクが駆動ユニットを介して遊星歯車セットに導入される場合、出力軸、したがって車両車輪は、両方の電気機械によって特に同時に駆動され得、その結果、特に強力な駆動ユニットが特に省スペースで提供され得る。
【0026】
例えば、第1の電気モータは、それぞれの第1の駆動トルクを提供することができ、特に、第2の電気モータは、それぞれの第2の駆動トルクを同時に提供することができる。したがって、第1の駆動トルク及び第2の駆動トルクが、例えば、特に同時に、被駆動遊星歯車セットを介して導入され、その結果、それぞれの出力トルクは、それぞれの第1の駆動トルク及びそれぞれの第2の駆動トルクから生じる。これにより、省スペースで特に強力な駆動を生み出すことが可能になる。
【0027】
特に有利かつ特に需要志向の自動車両の動作部又は駆動部を特に省スペース、軽量、省コストの方法で実現できるようにするために、本発明のさらなる実施形態では、電動車軸駆動装置は、出力軸が他方の電気機械によって駆動されると、出力軸が互いに反対方向に回転するように電気機械の一方を動作させ、それによって遊星歯車に影響を与えるように設計される。例えば、車軸駆動装置は、車両車輪が他方のロータによって動かされると、すなわち、他方のロータを備える電気機械が他方のロータを介して車両車輪を駆動すると、出力軸が互いに反対方向に回転し、したがって、特に出力軸が互いに反対方向に回転するように、ロータの一方によって提供され得るか又は提供される駆動トルクを出力軸の少なくとも又はちょうど1つに伝達するように、特にそれを遊星歯車セットに導入するように設計される。言い換えれば、好ましくは、電動車軸駆動装置は、他方のロータを有する電気機械が、駆動ユニット、したがって他方のロータを介して遊星歯車セット及び出力軸及び車両車輪を駆動する動作モードで動作され得、それによって、一方の電気機械は、出力軸、したがって好ましくは車両車輪も互いに反対方向に回転するように、動作モードにおいて、出力軸の少なくとも一方に、特に遊星歯車セットを介して影響を与える。出力軸又は車両車輪を互いに反対方向に回転させることは、例えば、一方の出力軸が出力軸回転軸を中心に第1の出力軸回転方向に回転し、他方の出力軸が出力軸回転軸を中心に第2の出力軸回転方向を中心に回転し、第2の出力軸回転方向は第1の出力軸回転方向とは反対であることを意味する。その結果、トルク分配機能、すなわちトルク分配を実現することができるが、トルク分配機能はトルクベクタリング機能とも呼ばれ、トルク分配はトルクベクタリングとも呼ばれる。したがって、動作モードはトルク分配動作モードであり、この動作モードは、例えば、特に小さい旋回円を有する車両のコーナリング又は旋回操縦のために使用され得る。特に、遊星歯車セットは遊星歯車として設計されるため、伝達要素の1つ、特に出力部の一方は、例えば、出力部が特に互いに関してかつ/又は互いに対して回転し、これにより、出力軸が、特に中間要素にもかかわらず互いに反対方向に回転するように、一方のロータによって影響を受け得る。1つのギヤ要素のこの影響は、例えば、一方のロータによって提供されるか、又は提供され得るそれぞれの駆動トルクが、1つのギヤ要素に特に直接的に伝達されるようにして実行される。これにより、例えば、出力部の一方として設計された伝達要素の1つを、伝達要素の少なくとも1つの他の伝達要素に対して、特に出力部に対して、加速又は減速させることができ、これにより、出力軸が互いに反対方向に回転する。本発明の本実施形態は、特に以下の知見及び考察に基づいている。
【0028】
有利には、特に自動車両がトラックとして設計される場合、自動車両の最大旋回円を超えるべきではない。しかしながら、これを保つことは、ホイールベースが増加するにつれて、特にセミトレーラトラクタにおいては、リアアクスルステアリングなどの特別な手段を使用することなしではますます難しくなっている。旋回円を十分に小さく保つために、例えば車両の内輪にブレーキをかけることができるが、これでは限られた程度にしか旋回円を小さく保つことができない。ここで、旋回円を特に省スペースで特に小さく保つことができるようにするために、他方のロータ又は他方のロータを有する電気機械は、例えば、遊星歯車セット、及びこれを介して出力軸、したがって、例えば車両車輪を駆動することができ、それにより、例えば、一方のロータ、したがって一方のロータを有する電気機械は、負荷分配又は負荷分割、すなわち、他方のロータによって提供され、遊星歯車セットに導入され、出力軸を駆動するために使用されるそれぞれの駆動トルクの分配又は分割を、出力軸、特に出力部に対して、特に出力軸が互いに反対方向に回転するように変化させるか、又はそれに影響を与えることができ、すなわち、例えば、両方の電気機械が出力軸を同時に駆動するか、又は電気機械の一方のみが出力軸を駆動して出力軸が互いに同じ方向に回転するようにする通常の動作モードに対し、出力軸が互いに反対方向に回転するように、すなわち、例えば、通常の動作モードにおいて、出力軸回転軸を中心に、第1の出力軸回転方向に回転する出力軸の一方が、動作モードにおいては第2の出力軸回転方向に回転するように、回転方向の反転が達成されるが、ここで、例えば、他方の出力軸は、通常の動作モード及び動作モードの両方において、第1の出力軸回転方向に回転する。例えば、第1の出力軸の回転方向が反転され、又は、第2の出力軸の回転方向が反転され得、それによって、例えばコーナリング時に、湾曲部の内側の車両車輪の回転方向が反転される。これは、特に、例えばコーナリング時に、特に湾曲部の外側の車両車輪が前方に回転される間、湾曲部の内側の車両車輪が後方に回転され、それによって旋回円が特に小さく保たれ得ることを意味する。それぞれの車両車輪が後方に回転されるという事実は、それぞれの車両車輪の後方回転が行われることを意味し、その後方回転は実際に自動車両の後退走行を意図している。これは、車両車輪が後方に、特に同時に回転する場合、車両は後方に移動され得ることを意味する。特に湾曲部の内側での車両車輪のこの種の回転方向の反転又は逆回転は、従来のブレーキ適用では不可能であり、それによって旋回円を特に小さく保つことができる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、第2のロータが、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように、遊星歯車セットの駆動ユニットに接続され得る手段となる切替え要素を特徴とする。
【0030】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による少なくとも1つの電動車軸駆動装置を有する、好ましくは自動車、特に商用車両として設計された自動車両に関する。本発明の第1の態様の利点及び有利な実施形態は、本発明の第2の態様の利点及び有利な実施形態とみなされるべきであり、逆もまた同様である。
【0031】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、好ましい実施形態の以下の説明及び図面から明らかである。本発明の範囲から逸脱することなく、説明において前述した特徴及び特徴の組み合わせ、ならびに図面の説明において後述する、かつ/又は図面のみに示される特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれの場合に示される組み合わせだけでなく、他の組み合わせ、又は単独でも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面は以下のように示されている。
【
図1】自動車両用の電動車軸駆動装置の第1の実施形態の概略図である。
【
図2】車軸駆動装置の第2の実施形態の概略図である。
【
図3】自動車両が直進し、直進しているときに電動車軸駆動装置によって駆動されるときの速度分配の概略図である。
【
図4】自動車両が車軸駆動装置によって駆動されている状態で、自動車両が左の湾曲部周辺を走行しているときの速度分配の概略図である。
【
図5】自動車両が車軸駆動装置によって駆動されている状態で、自動車両が右の湾曲部周辺を走行しているときの速度分配の概略図である。
【
図6】電動車軸駆動装置の第3の実施形態の概略図である。
【
図7】電動車軸駆動装置の第4の実施形態の概略図である。
【
図8】電動車軸駆動装置の第5の実施形態の概略図である。 同一又は機能的に同一の要素は、図面において同じ参照符号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、少なくとも又はちょうど2つの車両車輪12及び14を備える自動車両、特に自動車の車軸16用の電動車軸駆動装置10の概略図を示す。例えば、自動車は商用車として設計される。
図1は、車軸駆動装置10の第1の実施形態を示す。第1の実施形態では、車軸駆動装置10は、ステータ20とロータ22とを有する特にちょうど1つの電気機械18を有する。ロータ22は、ステータ20によって駆動され得るため、
図1に特に概略的に示されている車軸駆動装置10のハウジング24に対して、特に第1の機械回転軸を中心に回転され得る。車軸駆動装置10はまた、簡素な遊星歯車セットとして設計され、遊星セットとも呼ばれる特にちょうど1つの遊星歯車セット26を有する。遊星歯車セット26は、特にちょうど1つの太陽歯車28を有する。さらに、遊星歯車セット26は、特にちょうど1つのリングギヤ30を有する。遊星歯車セット26はまた、特にちょうど、スパイダとも呼ばれる遊星キャリア32を有する。太陽歯車28、リングギヤ30、及び遊星キャリア32は、遊星歯車セット26の伝達要素であり、それによって伝達要素は、遊星歯車セットの回転軸を中心にハウジング24に対して回転され得る。第1の実施形態では、電気機械18は遊星歯車セット26と同軸に配置され、機械の回転軸が遊星歯車セットの回転軸と一致するようになっている。太陽歯車28は、遊星歯車セット26の駆動ユニットであり、第1の実施形態では、ちょうど1つの駆動ユニット、すなわち太陽歯車28として設計された駆動ユニットを有する。駆動ユニットは34と呼ばれる。ロータ22によって、すなわちロータ22を介して電気機械18によって提供されるか、又は利用可能にされる駆動トルクは、車両車輪12及び14を駆動するためのものであり、駆動ユニット34を介して遊星歯車セット26に導入され得る。太陽歯車28は、それぞれの駆動トルクがロータ22から駆動ユニット34に伝達され、したがって遊星歯車とも呼ばれる遊星歯車セット26に導入され得るときに経由する、トルクの流れに対するギヤ要素の最初のものであり、したがって、遊星歯車セット26の他のすべてのギヤ要素の上流に配置される。
【0034】
自動車両の特に有利な駆動ユニットを特に省スペース、軽量かつ省コストで実現できるようにするために、電動車軸駆動装置10は、第1の車両車輪とも呼ばれる車両車輪12が駆動され得る起点となるか、又はその手段となる第1の出力軸36を有する。第1の出力軸36は、リングギヤ30にトルクを伝達するように接続される。リングギヤ30は、遊星歯車セット26の第1の出力部38である。出力軸36は、リングギヤ38がトルクを伝達するように、特に恒久的に出力部38に接続されるように、リングギヤ30によって、したがって出力部38によって駆動され得るため、出力部38は出力軸36に属する。車軸駆動装置10は、第2の車両車輪と呼ばれる車両車輪14が駆動され得る起点となるか、又はその手段となる第2の出力軸40を有する。例えば、車両車輪12は、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように、出力軸36に特に恒久的に接続されるか、又は接続され得る。さらに、車両車輪14は、例えばトルクを伝達するように、特に恒久的に、かつ、特にねじり剛性を有するように、出力軸40に接続されるか、又は接続され得る。第2の出力軸40は、出力軸40が遊星キャリア32によって駆動され得るように、トルクを伝達するように、特に恒久的に遊星キャリア32に接続される。したがって、遊星キャリア32は、遊星歯車セット26の第2の出力部42であり、遊星歯車セット26は、ちょうど2つの出力部、すなわち出力部38及び42を有する。出力軸40は、特に、出力軸40がトルクを伝達するように、特に恒久的に出力部42に接続されるという事実によって、出力部42によって駆動され得るため、出力部42は出力軸40に属する。車両車輪12及び14を駆動するためのそれぞれの駆動トルクから生じるそれぞれの出力トルクは、遊星歯車セット26の出力駆動部38及び42を介して遊星歯車セット26から伝送され得、すなわち、遊星歯車セット26(遊星歯車)から外へ伝送され得る。言い換えれば、遊星歯車は、その出力駆動部を介して出力トルクを提供することができる。車両車輪12は出力軸36を介して出力部38によって駆動され得、車両車輪14は出力軸40を介して出力部42によって駆動され得ることが分かる。出力軸36及び40は、互いに同軸に配置され、したがって、ハウジング24に対する共通の出力軸回転軸を中心に回転され得る。
【0035】
第1の実施形態では、出力軸36、したがって出力部38には、単に中間歯車とも呼ばれる、中間ギヤホイール44として設計された中間要素が割り当てられる。したがって、出力軸36は、特に恒久的に、トルクを伝達するように中間歯車44を介して出力部38に接続される。出力軸36に属する出力部38に対する出力軸36の回転方向の反転は、中間歯車44によって達成することができ、遊星歯車が駆動されると、出力部38及び42が、ハウジング24に対する遊星歯車セットの回転軸を中心に反対方向に回転し、それによって、又はその間、出力軸36及び40が、ハウジング24に対する出力軸の回転軸を中心に同じ方向に回転し、その結果、車両車輪12及び14も同じ方向に回転するようになっている。その結果、遊星歯車セット26は、特に自動車両がコーナリングしているときに車両車輪12及び14の異なる速度を可能にする差動装置としても機能し、特に車両車輪12及び14は、電気機械18によって遊星歯車セット26を介して駆動され得るか、又は駆動される。さらに、遊星歯車セット26は、特に、機械の回転軸を中心にハウジング24に対して入力速度で回転するロータ22によって車両車輪12及び14が駆動されると、出力軸36及び40が、出力軸の回転軸を中心に、ハウジング24に対してそれぞれの出力速度で回転するように、速度の変化、特に減速を実現するためのギヤユニット又はギヤ段として使用され得、好ましくは、出力速度は駆動速度よりも低く、好ましくは、出力軸36及び40は、特に通常動作モードにおいて、同じ出力速度で、特に同じ方向に回転する。
【0036】
図1から分かるように、第1の実施形態では、出力軸36は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、第1の平歯車段46を介して出力部38に接続される。出力軸40は、特に恒久的に、トルクを伝達するように、特にちょうど1つの第2の平歯車段49を介して出力部42に接続される。第1の実施形態では、第1の平歯車段46は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、かつ特にねじり剛性を有するように、出力部38に接続された第1の平歯車48と、平歯車48と噛み合う第2の平歯車としての中間歯車44とを備える。第3の平歯車段50も設けられ、これを介して出力軸36が、トルクを伝達するように、特に恒久的に出力部38に接続される。第3の平歯車段50は、中間歯車44(第2の平歯車)と、中間歯車44と噛み合う第3の平歯車52とを備える。第3の平歯車52は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、かつ、特にねじり剛性を有するように、出力軸36に接続される。第2の平歯車段49は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、かつ、特にねじり剛性を有するように、出力部42に接続される第4の平歯車54を有する。さらに、平歯車段49は、平歯車54と噛み合い、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように、出力軸40に特に恒久的に接続される第5の平歯車56を備える。
【0037】
第1の実施形態では、リングギヤ30、又は、リングギヤ30に特に恒久的に、ねじり剛性を有するように接続されたリングギヤシャフト58は、遊星キャリア32、又は、遊星キャリア32に特に恒久的に、ねじり剛性を有するように接続された遊星キャリアシャフト60が通る中空軸として設計される。例えば、それにより、平歯車54は、ねじり剛性を有するように、特に恒久的に遊星キャリアシャフト60に接続される。したがって、遊星歯車セット26の軸方向に見て、平歯車段49は、太陽歯車28の第1の側面、特に平歯車段46及び50に配置され、電気機械18は、遊星歯車セット26の軸方向において、第1の側面とは反対側に面する太陽歯車28の第2の側面に配置され、又は太陽歯車28は、遊星歯車セット26の軸方向に見て、平歯車段46及び50の、第1の側面とは反対側に面する第2の側面に配置される。言い換えれば、平歯車段46,50は、遊星歯車セット26の軸方向に見て、平歯車段49と太陽歯車28との間に配置される。それにより、電気機械18が車両車輪12側に配置され、平歯車段49が車両車輪14側に配置される。
【0038】
図2は、車軸駆動装置10の第2の実施形態を示す。第2の実施形態では、平歯車段46,49,50及び電気機械18は、遊星歯車セット26の軸方向に見て、遊星歯車セット26の同じ側に配置され、平歯車段49は、遊星歯車セット26の軸方向に見て、電気機械18と平歯車段46又は50との間に配置され、かつ、平歯車段46又は50は、平歯車段49と遊星歯車セット26との間に配置される。
【0039】
第2の出力部42の回転方向は逆にはならず、それによって、出力部38及び42は反対方向に回転するが、遊星歯車、及びこれを介して出力軸36及び40が電気機械18によって駆動されると、出力軸36及び40は同じ方向に回転することも分かる。
【0040】
図3は、自動車両が車両の長手方向に直進しているときの速度分配の概略図を示す。リングギヤ30のリングギヤ回転速度及びリングギヤ30の回転方向は、矢印62で示される。遊星キャリア32のキャリア速度及び遊星キャリア32の回転方向は、矢印64で示される。また、駆動ユニット34(太陽歯車28)の上述した駆動速度及び駆動ユニット34の回転方向は、矢印66で示される。
図1~
図3から特に明確に分かるように、遊星歯車セット26はまた、特にそのすべてが段のない遊星歯車として設計される遊星歯車68を有する。それぞれの遊星歯車68は、太陽歯車28(駆動ユニット34)と噛み合う。また、それぞれの遊星歯車68は、リングギヤ30(出力部38)と噛み合う。それぞれの遊星歯車68はまた、遊星キャリア32(出力部42)に回転可能に取り付けられる。
【0041】
図4は、左湾曲部、すなわち自動車両が左湾曲部を通って駆動されるときの遊星歯車セット26の速度分配を示す。例えば、左湾曲部では、車両車輪12が湾曲部の内側の車両車輪であるため、車両車輪14が湾曲部の外側の車両車輪である。
図5はまた、右湾曲部、すなわち自動車両が残りの湾曲部を通って駆動されるときの遊星歯車セット26の速度分配を示す。例えば、右湾曲部では、車両車輪14が湾曲部の内側の車両車輪であり、車両車輪12が湾曲部の外側の車両車輪である。遊星歯車セット26の差動機能は、
図3~5において特に明確に分かる。言い換えれば、特に自動車両がコーナリングしているとき、遊星歯車は差動装置すなわちディファレンシャルギヤとして作用することが、
図3~5から特に良く認識できる。特に、例えば、駆動ユニット34(太陽歯車28)の駆動速度は、
図4に示す左湾曲部と
図5に示す右湾曲部とで同じである。
【0042】
図6は、電動車軸駆動装置10の第3の実施形態の概略図である。第3の実施形態では、電動車軸駆動装置10は、第2のステータ72と第2のロータ74とを有する第2の電気機械70を有する。第2のロータ74は、第2のステータ72によって駆動され得、したがって、ステータ72に対する第2の機械回転軸を中心に回転され得る。機械の回転軸は、互いに平行に延び、互いに距離を置いて離間していることが考えられる。例えば、電気機械70及び18が互いに同軸に配置され得るように、機械の回転軸が一致していることも考えられる。電気機械18及び70、したがってそれらのロータ22及び74の他の位置又は向きも、基本的に考えられる。電気機械70は、その第2のロータ74を介して第2の駆動トルクを提供することができ、それによって、例えば、上述の通常動作モードでは、車両車輪12及び14が、両方の電気機械18及び70によって特に同時に駆動され、出力軸36及び40、したがって特に車両車輪12及び14も同じ方向に、すなわち同じ車輪回転方向又は同じ出力軸回転方向に回転するようになっている。例えば、電気機械18及び70の両方によって遊星歯車を駆動し、これを介して車両車輪12及び14を駆動できるようにするために、特に通常動作モードでは、特に自動車両を前方に、特に真っ直ぐ前方に駆動するために、第2のロータ74は、例えば、第2のロータ74によって、すなわち第2のロータ72を介して電気機械70によって提供され得るか、又は提供される第2の駆動トルクが、駆動ユニット34を介して遊星歯車セット26に導入され得るように、特に恒久的に、トルクを伝達するように、駆動ユニット34(太陽歯車28)に接続され得るか、又は接続される。
【0043】
代替的又は追加的に、電動車軸駆動装置10は、例えば、特にロータ22及び74の一方、特にロータ74によって提供されるか、又は提供され得る駆動トルク、特に第2の駆動トルクを、出力軸36及び40の少なくとも一方に伝達するように、電気機械18及び70を動作させるように設計され、出力軸36及び40、したがって車両車輪12及び14が他方のロータ74、22、特にロータ22によって駆動されると、出力軸36及び40は反対方向に回転し、すなわち出力軸36及び40は反対方向に回転するようになっている。特に、電動車軸駆動装置は、例えば、任意選択的に第1のコーナリングモード又は第2のコーナリングモードで動作され得、それぞれのコーナリングモードはそれぞれのトルク分配モードである。第1のコーナリングモードでは、例えば、ロータ22、74の一方によって提供される駆動トルクは、少なくとも一方の出力軸36、40に伝達され、例えば、出力軸36、したがって車両車輪12が、出力軸の回転軸を中心に第1の車輪回転方向又は第1の出力軸回転方向に回転し、出力軸40、したがって車両車輪14が、第2の車輪回転方向又は第2の出力軸回転方向に回転し、第2の出力軸回転方向又は第2の車輪回転方向は、第1の出力軸回転方向又は第1の車輪回転方向とは反対であるようになっている。通常動作モードにおいて、かつ/又は自動車両が前方に、特に真っ直ぐ前方に駆動され、電気機械18及び70の少なくとも一方によって、又は電気機械18及び70の両方によって同時に駆動されると、出力軸36及び40、したがって車両車輪12及び14は、例えば第1の出力軸回転方向、したがって第1の車輪回転方向に回転する。第2のコーナリングモードでは、例えば、ロータ22、74の一方によって提供され得るか、又は提供される駆動トルクは、少なくとも一方の出力軸36、40に伝達され、出力軸40、したがって車両車輪14が、第1の出力軸回転方向、したがって車軸回転ではない第1の車輪回転方向に回転し、出力軸36、したがって車両車輪12が、第2の出力軸回転方向又は第2の車輪回転方向に回転するようになっている。第1のコーナリングモードは、例えば、自動車両が右に曲がっている、すなわち右湾曲部を通って走行しているときに実行又は設定され、それによって、車両車輪12は湾曲部の外側の車両車輪であり、車両車輪14は湾曲部の内側の車両車輪となっている。第2のコーナリングモードは、例えば、自動車両が左にうまく曲がっている、すなわち左湾曲部を通って走行しているときに実行又は設定され、車両車輪12は湾曲部の内側の車両車輪であり、車両車輪14は湾曲部の外側の車両車輪となっている。したがって、例えば、それぞれのコーナリングモードにおいて、湾曲部の内側のそれぞれの車両車輪が後方に回転し、したがって、通常の動作モードに対して、すなわち、例えば、自動車両を前方に、特に真っ直ぐ前方に駆動するために、出力軸36及び40、したがって車両車輪12及び14が同時に回転し、それによって前方に回転する動作状態に対して、回転方向の反転を経るようになっている。回転方向の反転を実現するために、例えば、第2のロータ74は、駆動ユニット34又は出力部の一方に接続され得るか、又は接続され、したがって、駆動ユニット34又は出力部38及び42の特にちょうど1つに、トルクを伝達するように、特にねじり剛性を有するように接続されるか、又は接続され得る。これは、例えば、特に小さい線の場合に、電気機械18及び70の一方における負荷点が上昇し得ること、及び、特に、電気機械70又は18が発電機モードで同時に動作され得、したがって電力を吸収し得ることを意味する。
【0044】
より一般的な条件では、代替的又は追加的に、電動車軸駆動装置10は、車両車輪12及び14、したがって出力軸36及び40が、他方の電気機械70、18、特に電気機械18、したがって他方のロータ74、22、特にロータ22によって駆動されると、出力軸36及び40が反対方向に、特に出力軸回転軸を中心に、かつ/又はハウジング24に対して回転するように、電気機械18及び70の一方、特に電気機械70、したがってロータ22及び44の一方、特にロータ74を動作させ、したがって遊星歯車(遊星歯車セット26)に影響を与えるように設計される。第3の実施形態では、ロータ74は、トルクを伝達するように、特に恒久的に、かつ、特にねじり剛性を有するように、太陽歯車28に接続される。
【0045】
図7は、車軸駆動装置10の第4の実施形態を示す。第4の実施形態では、少なくとも2つの切替え状態L及びNの間で切り替えられ得、特にハウジング24に対してかつ/又は並進して移動され得る切替え要素S1が設けられる。第4の実施形態では、切替え要素S1が電気機械70に関連付けられており、それによって、電気機械70に関連する切替え要素S1に関する前述及び後述の説明は、電気機械18に関しても容易に適用することができ、逆もまた同様である。したがって、切替え要素S1は、代替的に電気機械18に割り当てられ得る。さらに、切替え要素S1などの切替え要素が電気機械18にも割り当てられ得ることが考えられる。
【0046】
切替え要素S1は、2つの切替え状態L及びNの間で切り替えられ得、特にハウジング24に対してかつ/又は並進して移動され得る。切替え状態Lでは、ロータ74は、切替え要素S1によって太陽歯車28(駆動ユニット34)にねじり剛性を有するように接続される。切替え状態Nでは、ロータ74は太陽歯車28から切り離され、それによって、切替え要素S1は、特に遊星歯車セットの回転軸を中心に、ロータ74と太陽歯車28との間の相対回転を可能にし、特に、トルクは太陽歯車28とロータ74との間で伝達され得ない。このようにして、例えば通常動作モードの第1の変形例を表すために使用され得る切替え状態Lにおいて、2モータ動作が実現され得る。2モータモードでは、出力軸36及び40、したがって車両車輪12及び14は、電気機械18及び70の両方によって、特に同時に駆動され得る。切替え状態Nでは、例えば通常運転モードの第2の変形例である、単一モータ運転が可能である。単一モータモードでは、出力軸36及び40、したがって車両車輪12及び14は、電気機械18及び70に対して電気機械18のみによって駆動される。出力軸36及び40、したがって好ましくは車両車輪12及び14も、単一モータモード及び2モータモードにおいては、同じ方向に回転することが好ましい。切替え要素S1は、特に、電気機械18及び70の一方のみ、例えば部分負荷動作において車両車輪12及び14を駆動するために、特に電気機械18を使用することを可能にする。非常に好ましくは、切替え要素S1は、確動ロック切替え要素、特に爪式切替え要素であり、それにより、ロータ74は、切替え状態Lにおいてねじり剛性を有するように太陽歯車28に確動状態で接続される。特に、例えば、電気機械70又はそのロータ74は、切替え状態Nにおいては静止しており、駆動されないことが好ましい。差動装置としての遊星歯車セット26は、トルクを左側の車両車輪12及び右側の車両車輪14に分配する。古典的な遊星歯車セットのトルクは同じように挙動せず、この組み合わせでは異なる回転方向を有するため、回転方向の反転がトルク経路内又はトルク経路上で用いられ、この反転は中間歯車44によって達成されるか、達成され得る。この場合、回転方向の反転は、遊星キャリア32上で行われるが、代替的にリングギヤ30上でも可能である。両方の位置が、特にそれぞれのコーナリングモードを達成するために、それぞれの電気機械18又は70の接続に関して可能である。言い換えれば、それぞれのコーナリングモードを実現するために、電気機械18又は70を出力部38又は出力部42に接続することが考えられる。コーナリングモードを実行するためには、例えば、コーナリングモードを発生させるそれぞれの電気機械18、70の回転方向のみが調整される。例えば、出力軸36及び40へのそれぞれの駆動トルクの分配、特にちょうど半分のトルクの分配を達成するためのトルク補償は、例えば、それぞれの出力軸36、40と遊星歯車セット26との間の異なる変速段を介して、例えば、遊星歯車セット26と出力軸36との間の平歯車段46及び50によって、ならびに出力軸40と遊星歯車セット26との間の平歯車段49によって達成される。
【0047】
中間歯車44は回転方向を反転させるために使用されるため、この中間歯車44は、コーナリングモード又は両方のコーナリングモードを実現できるようにするための追加のトルク経路として適している。50/50のトルク分配は、1つのトルク経路又は車輪の片側のみに介入することによって変更できる。例えば、中間歯車44の制動トルクは、この歯車のトルクを低減させる。駆動トルクは、中間歯車の車輪の車輪トルクを増加させる。車輪トルクは、トルクフリーで、又は駆動ユニットによって反対方向に駆動され得る。車輪は、このトルクインターフェースを用いて異なる方向に駆動され得る。この結果、湾曲部の内側の車輪が後方に移動し、湾曲部の外側の車輪が前方に移動又は回転すると、車両の湾曲半径が減少する。
【0048】
最後に、
図8は第5の実施形態を示す。第5の実施形態では、切替え要素S1は、第3の切替え状態Rに切り替えられ得、特に移動され得る。第3の切替え状態では、電気機械18のロータ22は、駆動ユニット34のトルク伝達をバイパスして中間歯車44に結合される。この目的のために、中間歯車44は、特に恒久的に、ねじり剛性を有するように、中間軸76に接続され、中間軸76には、特に平歯車として設計されたギヤホイール78も、特に恒久的に、ねじり剛性を有するように接続される。ギヤホイール78は、例えば平歯車として設計されたギヤホイール80と噛み合っている。第3の切り換え状態では、ロータ22は、切替え要素S1によってギヤホイール80にねじり剛性を有するように接続され、したがって、ギヤホイール78及び80を介して、かつ中間軸76を介してトルクを伝達するように中間歯車44に接続される。切替え状態L及び切替え状態Nでは、ロータ22はギヤホイール80から切り離される。特に、切替え状態Rでは、ロータ22、したがって電気機械18は、ギヤホイール78及び80を介して、かつ中間軸76を介して、中間歯車44に、かつ、例えば、これを介して出力部42、したがって遊星歯車セット26に影響を与えることができ、電気機械70が、ロータ74を介して、出力軸36及び40、したがって車両車輪12及び14を駆動すると、出力軸36及び40、したがって車両車輪12及び14が反対方向に回転し、それによって第1のコーナリングモード又は第2のコーナリングモードが所望に応じて実行され得るようになっている。したがって、各コーナリングモードを選択的に実行するために切替え状態Rが設けられる。
【符号の説明】
【0049】
10 電動車軸駆動装置
12 車両車輪
14 車両車輪
16 車軸
18 電気機械
20 ステータ
22 ロータ
24 ハウジング
26 遊星歯車セット
28 太陽歯車
30 リングギヤ
32 遊星キャリア
34 駆動ユニット
36 出力軸
38 第1の出力部
40 出力軸
42 第2の出力部
44 中間歯車
46 平歯車段
48 平歯車
49 平歯車段
50 平歯車段
52 平歯車
54 平歯車
56 平歯車
58 リングギヤ軸
60 遊星キャリア軸
62 矢印
64 矢印
66 矢印
68 遊星歯車
70 第2の電気機械
72 第2のステータ
74 第2のロータ
76 中間軸
78 ギヤホイール
80 ギヤホイール
L 切替え状態
N 切替え状態
R 切替え状態
S1 切替え要素
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの車両車輪(12,14)を備える自動車両の車軸(16)用の電動車軸駆動装置(10)であって、電動車軸駆動装置(10)が、ステータ(20)とロータ(22)とを有する少なくとも1つの電気機械(18)とを有し、リングギヤ(30)と、遊星キャリア(32)と、駆動ユニット(34)としての太陽歯車(28)とを有する遊星歯車セット(26)を有し、これを介して、前記ロータ(22)によって提供され得る駆動トルクが、前記車両車輪(12,14)を駆動するために前記遊星歯車セット(26)に導入され得、
ここで、
-前記車両車輪(12,14)のうちの第1の車両車輪が駆動され得る起点となる第1の出力軸(36)が、前記第1の出力軸(36)に関連する前記遊星歯車セット(26)の第1の出力部(38)としての前記リングギヤ(30)に、トルクを伝達するように接続され、
-第2の車両車輪(14)が駆動され得る起点となる第2の出力軸(40)が、前記第2の出力軸(40)に関連する前記遊星歯車セット(26)の第2の出力部(42)としての前記遊星キャリア(32)に、前記出力部(38,42)を介してトルクを伝達するように接続され、前記第2の出力軸(40)から、前記それぞれの駆動トルクから生じる前記それぞれの出力トルクが、前記車両車輪(12,14)を駆動するための前記遊星歯車セット(26)から放散され得、かつ、
-前記出力軸(36,40)の一方が、中間要素(44)を介して、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続され、これにより、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)に対して、前記一方の出力軸(36,40)の回転方向の反転が達成され得、
前記第2のロータ(74)が、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)をバイパスして、切替え要素(S1)によって、トルクを伝達するように前記中間要素(44)に接続され得ることを特徴とする
電動車軸駆動装置(10)。
【請求項2】
中間要素(44)が中間歯車(44)として設計される
ことを特徴とする
請求項1に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項3】
-前記一方の出力軸(36,40)が、第1の平歯車段(46)を介して、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続され、
-前記他方の出力軸(40,36)が、第2の平歯車段(49)を介して、前記他方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続される
ことを特徴とする
請求項1に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項4】
前記第1の平歯車段(48)が、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続された第1の平歯車(48)と、第2の平歯車として、前記第1の平歯車(48)と噛み合い、前記第2の平歯車と第3の平歯車(52)とを備える第3の平歯車段(50)において、前記一方の出力軸(36,40)に、トルクを伝達するように接続される前記第3の平歯車(52)と噛み合う前記中間歯車(44)とを有し、前記第3の平歯車段(50)を介して、前記一方の出力軸(36,40)が、前記一方の出力軸(36,40)に属する前記遊星歯車セット(26)の前記出力部(38,42)にトルクを伝達するように接続される
ことを特徴とする
請求項2
又は3に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項5】
第2のステータ(72)と、第2の駆動トルクが提供され得る起点となる第2のロータ(74)とを備える第2の電気機械(70)
を特徴とする
請求項1から
3のいずれか一項に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項6】
前記第2のロータ(74)が、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)に、トルクを伝達するように接続され得るか、又は接続され、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)を介して、前記第2のロータ(74)によって提供され得る前記第2の駆動トルクが前記遊星歯車セット(26)に導入され得る
ことを特徴とする
請求項5に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項7】
前記電動車軸駆動装置(10)が、前記出力軸(36,40)が前記他方の電気機械(70,18)によって駆動されると、前記出力軸(36,40)が反対方向に回転するように前記電気機械(18,70)の一方を動作させ、それによって遊星歯車セット(26)に影響を与えるように設計される
ことを特徴とする
請求項5に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項8】
前記第2のロータ(74)が、前記遊星歯車セット(26)の前記駆動ユニット(34)に、トルクを伝達するように接続され得る手段となる少なくとも1つの切替え要素(S1)
を特徴とする
請求項5に記載の電動車軸駆動装置(10)。
【請求項9】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電動車軸駆動装置(10)を有する自動車両。
【国際調査報告】