(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】プログラニュリン発現を調節するための化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20241024BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20241024BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61P25/28
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/02
A61K48/00
A61K31/7088
A61K31/712
A61K31/7125
A61K47/02
A61K47/54
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529579
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 US2022080113
(87)【国際公開番号】W WO2023092057
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】509039013
【氏名又は名称】セントルイス ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】ブイ,フィン・ホア
(72)【発明者】
【氏名】ジャファー・ネジャド,ペイマン
(72)【発明者】
【氏名】グエン,アンドリュー・トゥアン・ドゥク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076CC01
4C076CC09
4C076CC26
4C076DD23
4C076EE59
4C084AA12
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA15
4C084ZA16
4C084ZA22
4C084ZA94
4C084ZB21
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA94
4C086ZB21
(57)【要約】
細胞若しくは対象におけるプログラニュリンRNAの発現を調節するための、又はプログラニュリンタンパク質の発現を調節するための、オリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物が提供される。そのような化合物、方法、及び薬学的組成物は、神経系疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は特徴を緩和するのに有用である。そのような神経系疾患又は障害には、前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、及び神経セロイドリポフスチン症を含む、プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が含まれる。そのような症状又は特徴としては、行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の障害若しくは改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいが挙げられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
12~50個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、プログラニュリン核酸の等長部分に少なくとも80%相補的であり、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を有する、オリゴマー化合物。
【請求項2】
前記プログラニュリン核酸が、配列番号1又は配列番号2の核酸塩基配列を有する、請求項1に記載のオリゴマー化合物。
【請求項3】
18、19、又は20個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号12~854の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも16個、少なくとも17個、又は18個の連続する核酸塩基を含み、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【請求項4】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号34、268、345、424、501、579、657、735、800、801、806、812、813、816、821、828、844、及び847の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも16個、少なくとも17個、又は18個の連続する核酸塩基を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項5】
18個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号12~854のうちのいずれかの核酸塩基配列からなり、前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【請求項6】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号34、268、345、424、501、579、657、735、800、801、806、812、813、816、821、828、844、及び847の核酸塩基配列のうちのいずれかの18個の連続する核酸塩基からなる、請求項5に記載のオリゴマー化合物。
【請求項7】
12~50個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号1の核酸塩基8497~8552内の等長部分に相補的な少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、又は18個の連続する核酸塩基を含む、オリゴマー化合物。
【請求項8】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号34、268、345、424、501、579、657、735、800、801、806、812、813、816、821、828、844、及び847のうちのいずれかの核酸塩基配列からなる、請求項7に記載のオリゴマー化合物。
【請求項9】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定された場合に、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれかの核酸塩基配列内の等長部分に少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的であるか、又は100%相補的である、請求項1~8のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項10】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾された糖部分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項11】
前記修飾された糖部分が、二環式糖部分を含む、請求項10に記載のオリゴマー化合物。
【請求項12】
前記二環式糖部分が、-CH
2-O-及び-CH(CH
3)-O-から選択される4’-2’架橋を含む、請求項11に記載のオリゴマー化合物。
【請求項13】
前記修飾された糖部分が、非二環式の修飾された糖部分を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項14】
前記非二環式の修飾された糖部分が、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、又は2’-F修飾された糖部分である、請求項13に記載のオリゴマー化合物。
【請求項15】
前記修飾された糖部分が、糖サロゲートである、請求項10に記載のオリゴマー化合物。
【請求項16】
前記糖サロゲートが、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、又はF-HNAである、請求項15に記載のオリゴマー化合物。
【請求項17】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが、修飾された糖部分を含む、請求項10に記載のオリゴマー化合物。
【請求項18】
各修飾された糖部分が、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、又は2’-F修飾された糖部分である、請求項17に記載のオリゴマー化合物。
【請求項19】
各修飾された糖部分が、2’-MOE修飾された糖部分である、請求項17に記載のオリゴマー化合物。
【請求項20】
各修飾された糖部分が、糖サロゲートである、請求項17に記載のオリゴマー化合物。
【請求項21】
各修飾された糖部分が、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、又はF-HNAである、請求項20に記載のオリゴマー化合物。
【請求項22】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項23】
前記少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項22に記載のオリゴマー化合物。
【請求項24】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合が、修飾されたヌクレオシド間結合である、請求項22に記載のオリゴマー化合物。
【請求項25】
各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項22に記載のオリゴマー化合物。
【請求項26】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、請求項1~23のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項27】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合が、独立して、ホスホジエステルヌクレオシド間結合及びホスホロチオエートヌクレオシド間結合から選択される、請求項22、23、又は26のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項28】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドの少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、又は少なくとも17個のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項22~24、又は26~27のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項29】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、18個の結合されたヌクレオシドからなり、sssssssssssssssss及びsosssssssosssssssから選択されるヌクレオシド間結合モチーフを有する、請求項1~23のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項30】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、18個の結合されたヌクレオシドからなり、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの前記ヌクレオシド間結合モチーフが、sssssssssssssssssである、請求項19に記載のオリゴマー化合物。
【請求項31】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、18個の結合されたヌクレオシドからなり、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの前記ヌクレオシド間結合モチーフが、sosssssssosssssssである、請求項19に記載のオリゴマー化合物。
【請求項32】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項33】
前記修飾された核酸塩基が、5-メチルシトシン又はヒポキサンチンである、請求項32に記載のオリゴマー化合物。
【請求項34】
各シトシンが、5-メチルシトシンである、請求項33に記載のオリゴマー化合物。
【請求項35】
以下の化学表記法(5’から3’に):
G
esT
eo
mC
es
mC
esA
esG
esG
esG
esA
esG
eoA
esA
esT
esT
esT
esG
esG
esT
e;(配列番号855)、
G
esT
eoG
esG
esA
esT
esA
esG
esG
esG
eoA
esA
esA
esA
esG
es
mC
esA
es
mC
e;(配列番号856)、
G
esG
eoG
esT
es
mC
es
mC
esA
es
mC
esT
esG
eoA
esA
esA
es
mC
esG
esG
esG
esG
e;(配列番号857)、
G
esG
eoA
esT
esA
esG
esG
esG
esA
esA
eoA
esA
esG
es
mC
esA
es
mC
es
mC
esT
e;(配列番号858)、
G
esG
eoT
es
mC
es
mC
esA
esG
esG
esG
esA
eoG
esA
esA
esT
esT
esT
esG
esG
e;(配列番号859)、
A
esA
eoA
es
mC
esG
esG
esG
esG
esA
esG
eoG
esG
esG
esA
esT
esG
esG
es
mC
e;(配列番号860)、
G
esA
eoA
esA
es
mC
esG
esG
esG
esG
esA
eoG
esG
esG
esG
esA
esT
esG
esG
e;(配列番号861)、
T
esG
eoA
esA
esA
es
mC
esG
esG
esG
esG
eoA
esG
esG
esG
esG
esA
esT
esG
e;(配列番号862)、
mC
esT
eoG
esA
esA
esA
es
mC
esG
esG
esG
eoG
esA
esG
esG
esG
esG
esA
esT
e;(配列番号863)、
A
es
mC
eoT
esG
esA
esA
esA
es
mC
esG
esG
eoG
esG
esA
esG
esG
esG
esG
esA
e;(配列番号864)、
mC
esA
eo
mC
esT
esG
esA
esA
esA
es
mC
esG
eoG
esG
esG
esA
esG
esG
esG
esG
e;(配列番号865)、又は
G
esG
eoT
es
mC
es
mC
esA
es
mC
esT
esG
esA
eoA
esA
es
mC
esG
esG
esG
esG
esA
e)(配列番号866)のうちのいずれか1つに従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【請求項36】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、薬学的に許容される塩である、請求項1~35のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項37】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムから選択される1つ以上のカチオンを含む、薬学的に許容される塩である、請求項36に記載のオリゴマー化合物。
【請求項38】
前記修飾されたオリゴヌクレオチドからなる、請求項1~37のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項39】
前記オリゴマー化合物が、コンジュゲート基を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項40】
前記コンジュゲート基が、コンジュゲートリンカー及びコンジュゲート部分を含む、請求項39に記載のオリゴマー化合物。
【請求項41】
前記コンジュゲートリンカーが、単結合からなる、請求項40に記載のオリゴマー化合物。
【請求項42】
前記コンジュゲートリンカーが、切断可能である、請求項40又は請求項41に記載のオリゴマー化合物。
【請求項43】
前記コンジュゲートリンカーが、1~3個のリンカーヌクレオシドを含む、請求項40又は請求項41に記載のオリゴマー化合物。
【請求項44】
前記コンジュゲートリンカーが、いかなるリンカーヌクレオシドも含まない、請求項40~42のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項45】
前記コンジュゲート基が、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの5’末端に結合されている、請求項39~44のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項46】
前記コンジュゲート基が、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの3’末端に結合されている、請求項39~44のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項47】
前記オリゴマー化合物が、末端基を含む、請求項39~44のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項48】
前記末端基が、脱塩基糖部分である、請求項47に記載のオリゴマー化合物。
【請求項49】
前記オリゴマー化合物が、一本鎖オリゴマー化合物である、請求項1~48のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項50】
以下の化学表記法:A
es
mC
eoT
esG
esA
esA
esA
es
mC
esG
esG
eoG
esG
esA
esG
esG
esG
esG
esA
e(配列番号864)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【請求項51】
以下の化学表記法:
mC
esA
eo
mC
esT
esG
esA
esA
esA
es
mC
esG
eoG
esG
esG
esA
esG
esG
esG
esG
e(配列番号865)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【請求項52】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【化1】
(配列番号864)、又はその塩。
【請求項53】
ナトリウム塩又はカリウム塩である、請求項52に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項54】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【化2】
(配列番号864)。
【請求項55】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【化3】
(配列番号865)、又はその塩。
【請求項56】
ナトリウム塩又はカリウム塩である、請求項55に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項57】
以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【化4】
(配列番号865)。
【請求項58】
請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物のキラル的に濃縮された集団、又は請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル的に濃縮された集団であって、前記集団が、特定の立体化学的配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴマー化合物について濃縮されている、キラル的に濃縮された集団。
【請求項59】
前記集団が、(Sp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、請求項58に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項60】
前記集団が、(Rp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、請求項58に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項61】
前記集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において特定の独立して選択された立体化学的配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、請求項58に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項62】
前記集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Sp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて、又は各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、請求項61に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項63】
前記集団が、1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有し、かつ残りのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の各々において(Sp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、請求項61に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項64】
前記集団が、5’から3’の方向に、Sp配置、Sp配置、及びRp配置で少なくとも3個の連続するホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、請求項61に記載のキラル的に濃縮された集団。
【請求項65】
請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物の集団、又は請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団であって、前記修飾されたオリゴヌクレオチドの前記ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てが、ステレオランダムである、集団。
【請求項66】
アンチセンス化合物を含むアンチセンス剤であって、前記アンチセンス化合物が、請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物である、アンチセンス剤。
【請求項67】
前記アンチセンス剤が、コンジュゲート基を含み、前記コンジュゲート基が、細胞標的化部分を含む、請求項66に記載のアンチセンス剤。
【請求項68】
請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、又は請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤と、薬学的に許容される希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項69】
前記薬学的に許容される希釈剤が、人工CSF(aCSF)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項68に記載の薬学的組成物。
【請求項70】
前記薬学的組成物が、請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、又は請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤と、aCSFと、から本質的になる、請求項69に記載の薬学的組成物。
【請求項71】
前記薬学的組成物が、請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、又は請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤と、PBSと、から本質的になる、請求項69に記載の薬学的組成物。
【請求項72】
請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤、又は請求項68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項73】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害を治療する方法であって、プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患若しくは障害を有するか、又はそれを発症するリスクのある対象に、治療有効量の請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤、又は請求項68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含み、それによって、プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害を治療する、方法。
【請求項74】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害が、神経系疾患又は障害である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害が、リソソーム蓄積症又はTDP-43プロテイノパチーである、請求項73又は請求項74に記載の方法。
【請求項76】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害が、前頭側索性認知症(FTD)、前頭側索性葉変性(FTLD)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、アルツハイマー病(AD)、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項73~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は特徴が、緩和される、請求項73~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つの症状又は特徴が、行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤、又は請求項68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物の投与が、行動若しくは性格を改善し、行動若しくは性格の悪化を遅らせ、言語能力を改善し、言語能力の悪化を遅らせ、筋肉若しくは運動機能を改善し、筋肉若しくは運動機能の悪化を遅らせ、記憶を改善し、記憶の悪化を遅らせ、認知機能を改善し、認知機能の悪化を遅らせ、振戦を低減し、発作を低減し、又はめまいを低減する、請求項77又は請求項78に記載の方法。
【請求項80】
請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤、又は請求項68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物が、中枢神経系に、又は全身的に投与される、請求項73~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤、又は請求項68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物が、髄腔内、全身的、皮下、又は筋肉内のうちのいずれかに投与される、請求項73~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記対象が、ヒトである、請求項73~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
細胞内のプログラニュリンRNA又は前記プログラニュリンRNAの1つ以上のスプライスバリアントを増加させる方法であって、前記細胞を、請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、又は請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤と接触させることを含む、方法。
【請求項84】
細胞内のプログラニュリンタンパク質を増加させる方法であって、前記細胞を、請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、又は請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤と接触させることを含む、方法。
【請求項85】
前記細胞が、ニューロンである、請求項83又は請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項83~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害を治療するための、請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤、又は請求項68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項88】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害を治療するための医薬の製造における、請求項1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、請求項52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、請求項58~65のいずれか一項に記載の集団、請求項66若しくは請求項67に記載のアンチセンス剤、又は請求項68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【請求項89】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害が、神経系疾患又は障害である、請求項87又は請求項88に記載の使用。
【請求項90】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害が、リソソーム蓄積症又はTDP-43プロテイノパチーである、請求項87又は請求項88に記載の使用。
【請求項91】
プログラニュリンの不十分な発現に関連する前記疾患又は障害が、前頭側索性認知症(FTD)、前頭側索性葉変性(FTLD)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、アルツハイマー病(AD)、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項87~90のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援の声明
本発明は、National Institute of Health/National Institute on Agingによって授与されたAG064069、及びNational Institute of Health/National Center for Advancing Translational Sciencesによって授与されたUL1TR002345の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0002】
配列表
本出願は、電子形式で配列表とともに出願されている。配列表は、サイズが839KBである、2022年11月17日に作成されたBIOL0452WOSEQ.xmlという名称のファイルとして提供される。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
細胞若しくは対象におけるプログラニュリンRNAの発現を調節するための、又はプログラニュリンタンパク質の発現を調節するための、オリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物が提供される。そのような化合物、方法、及び薬学的組成物は、神経系疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は特徴を緩和するのに有用である。そのような神経系疾患又は障害には、前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、及び神経セロイドリポフスチン症を含む、プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が含まれる。そのような症状又は特徴としては、行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の障害若しくは改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいが挙げられる。
【背景技術】
【0004】
ヒト遺伝子GRNは、ヒトプログラニュリンタンパク質をコードする。GRNにおける変異は、前頭側頭型認知症(FTD)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、リソソーム蓄積症、アルツハイマー病(AD)、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む、神経系疾患又は障害を引き起こす。これらの疾患は、GRN及び/又はプログラニュリンハプロ不全と関連している。FTDは、脳の前頭葉又は側頭葉における進行性神経細胞の喪失によって引き起こされる障害の1つの群を指す。FTDによって引き起こされる神経細胞損傷は、前頭葉又は側頭葉の機能の喪失につながり、それらは行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の障害若しくは改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいに関連する。FTDは、TDP-43プロテイノパチーに関連する。
【0005】
現在、不十分な量のプログラニュリンに関連する神経系疾患又は障害を治療するための療法が依然として必要とされている。したがって、そのような疾患又は障害を治療するためのオリゴマー化合物、方法、及び薬学的組成物を提供することが、本明細書の目的である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】修飾されたオリゴヌクレオチドによる治療後のH4細胞溶解物又は馴化培地におけるヒトプログラニュリンレベルを示す。(左から右に)対照スクランブルASO、水、化合物1212637、1212638、1212639、1212641、1212642、1212646、1212647、1212648、1212660、1212661、1212664、1212665、1212667、1212671、1212672、1212673、1212674、1212675、1212676、1212684による治療後の、細胞溶解物におけるELISAアッセイの結果を示す。
【
図1B】修飾されたオリゴヌクレオチドによる治療後のH4細胞溶解物又は馴化培地におけるヒトプログラニュリンレベルを示す。(左から右に)水、対照スクランブルASO、化合物1212637、1212638、1212639、1212640、1212641、1212642、1212646、1212647、1212672、1212674 1212675、1212684による細胞の治療後のH4細胞溶解物のウェスタンブロットである。
【
図1CD】
図1Cは修飾されたオリゴヌクレオチドによる治療後のH4細胞溶解物又は馴化培地におけるヒトプログラニュリンレベルを示す。(左から右に)水、対照スクランブルASO、化合物1212646、1212647、1212660、1212661、1212664、1212665、1212667、1212672、1212674による細胞の治療後のH4細胞溶解物のウェスタンブロットである。
図1Dは修飾されたオリゴヌクレオチドによる治療後のH4細胞溶解物又は馴化培地におけるヒトプログラニュリンレベルを示す。(左から右に)水、対照スクランブルASO、化合物1212676による細胞の治療後のH4細胞溶解物のウェスタンブロットである。
【
図1E】修飾されたオリゴヌクレオチドによる治療後のH4細胞溶解物又は馴化培地におけるヒトプログラニュリンレベルを示す。(左から右に)水、対照スクランブルASO、化合物1212637、1212638、1212639、1212640、1212641、1212642による細胞の治療後のH4細胞溶解物(上パネル)又は馴化培地(下パネル)のウェスタンブロットである。
【
図2A】それぞれ対照スクランブルASO又は化合物1212637、1212638、1212641、1212646、1212647、1212672のいずれかによるH4細胞の治療後の、ELISAによって測定される場合の未治療細胞におけるGRNレベルのパーセントとして提示される、プログラニュリンレベルの用量応答曲線である。
【
図2B】それぞれ対照スクランブルASO又は化合物1212637、1212638、1212641、1212646、1212647、1212672のいずれかによるH4細胞の治療後の、ELISAによって測定される場合の未治療細胞におけるGRNレベルのパーセントとして提示される、プログラニュリンレベルの用量応答曲線である。
【
図2C】それぞれ対照スクランブルASO又は化合物1212637、1212638、1212641、1212646、1212647、1212672のいずれかによるH4細胞の治療後の、ELISAによって測定される場合の未治療細胞におけるGRNレベルのパーセントとして提示される、プログラニュリンレベルの用量応答曲線である。
【
図2D】それぞれ対照スクランブルASO又は化合物1212637、1212638、1212641、1212646、1212647、1212672のいずれかによるH4細胞の治療後の、ELISAによって測定される場合の未治療細胞におけるGRNレベルのパーセントとして提示される、プログラニュリンレベルの用量応答曲線である。
【
図2E】それぞれ対照スクランブルASO又は化合物1212637、1212638、1212641、1212646、1212647、1212672のいずれかによるH4細胞の治療後の、ELISAによって測定される場合の未治療細胞におけるGRNレベルのパーセントとして提示される、プログラニュリンレベルの用量応答曲線である。
【
図2F】それぞれ対照スクランブルASO又は化合物1212637、1212638、1212641、1212646、1212647、1212672のいずれかによるH4細胞の治療後の、ELISAによって測定される場合の未治療細胞におけるGRNレベルのパーセントとして提示される、プログラニュリンレベルの用量応答曲線である。
【
図3】示される濃度(μM)で、対照スクランブルASO又は化合物1212638、1212641、1212646、1212647、及び1212672による治療後の、iPSC由来のニューロン細胞溶解物のウェスタンブロットである。
【
図4】
図4Aは修飾されたオリゴヌクレオチドの投与後の、雄の皮質におけるプログラニュリンレベル(ng/mgタンパク質)のELISAアッセイの結果を示す。ヒトGRNに対してホモ接合性である治療されたトランスジェニックマウスにおけるGRNレベルを、生理食塩水処理されたトランスジェニックGRNマウスにおけるGRNレベル及び未治療の非トランスジェニックマウスにおけるGRNレベルと比較する。(左から右に)未治療の非トランスジェニックマウス、トランスジェニックGRNマウス:生理食塩水、対照スクランブルASO、化合物1557990、1557993、1212647、1557987。
図4Bは修飾されたオリゴヌクレオチドの投与後の、雌の皮質におけるプログラニュリンレベル(ng/mgタンパク質)のELISAアッセイの結果を示す。ヒトGRNに対してホモ接合性である治療されたトランスジェニックマウスにおけるGRNレベルを、生理食塩水処理されたトランスジェニックGRNマウスにおけるGRNレベル及び未治療の非トランスジェニックマウスにおけるGRNレベルと比較する。(左から右に)トランスジェニックGRNマウス:生理食塩水、対照スクランブルASO、化合物1212640、1557993、1557994、1212647、1557987。
図4Cは未治療の非トランスジェニックマウスの皮質、視床、若しくは海馬、又は生理食塩水対照又は化合物1557993で治療されたトランスジェニックGRNマウスにおけるプログラニュリンのウェスタンブロットである。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、細胞又は対象におけるプログラニュリンRNAの量を調節するための、かつ/又はプログラニュリンタンパク質の量を調節するための化合物、方法、及び薬学的組成物が提供される。ある特定の実施形態では、プログラニュリンRNA及び/又はプログラニュリンタンパク質の量を調節するのに有用な化合物は、オリゴマー化合物である。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、細胞内のプログラニュリンRNAの量を増加させる。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、細胞内のプログラニュリンタンパク質の量を増加させる。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、対象は、神経系疾患又は障害を有する。ある特定の実施形態では、対象は、不十分な量のプログラニュリンタンパク質に関連する神経系疾患又は障害を有する。ある特定の実施形態では、対象は、FTDを有する。ある特定の実施形態では、対象は、FTLDを有する。ある特定の実施形態では、対象は、NCLを有する。ある特定の実施形態では、対象は、TDP-43プロテイノパチーを有する。ある特定の実施形態では、対象は、リソソーム蓄積症を有する。いくつかの実施形態では、対象は、アルツハイマー病(AD)を有する。ある特定の実施形態では、対象は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を有する。
【0008】
また、神経系疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は特徴の緩和に有用な方法も提供される。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、不十分な量のプログラニュリンタンパク質に関連する。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、FTDである。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、FTLDである。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、NCLである。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、TDP-43プロテイノパチーである。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、リソソーム蓄積症である。ある特定の実施形態では、疾患又は状態は、ALSである。ある特定の実施形態では、疾患又は状態は、ADである。ある特定の実施形態では、症状又は特徴としては、行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の障害若しくは改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的であるにすぎず、制限するものではないことを理解されたい。本明細書では、単数形の使用は、別途明確に記述されない限り、複数形を含む。本明細書で使用される場合、「又は」の使用は、別途明記されない限り、「及び/又は」を意味する。更に、「含むこと」という用語、並びに「含む」及び「含まれる」などの他の形態の使用は、限定するものではない。また、「要素」又は「構成成分」などの用語は、別途明確に記述されない限り、1つのユニットを含む要素及び構成成分、並びに1つより多いサブユニットを含む要素及び成分の両方を包含する。
【0010】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のためだけのものであり、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。これらに限定されないが、特許、特許出願、論説、書物、及び論文、並びにGenBank、ENSEMBL、及びNCBI参考配列記録を含む、本出願に列挙される全ての文書、又は文書の部分は、本明細書で考察される文書の部分が、並びにそれらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0011】
定義
具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載される分析化学、有機合成化学、並びに医薬品及び創薬化学に関連して使用される命名法、並びにそれらの手順及び技術は、当該技術分野で周知のものであり、一般に使用されているものである。許容される場合、本開示全体において参照される全ての特許、出願、公開された出願、並びに他の出版物及び他のデータは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0012】
別途示されない限り、下記の用語は、以下の意味である。
本明細書で使用される場合、「2’-デオキシリボヌクレオシド」とは、2’-H(H)デオキシリボシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。ある特定の実施形態では、2’-デオキシリボヌクレオシドは、2’-β-Dデオキシリボヌクレオシドであり、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含み、これは、天然に存在するデオキシリボ核酸(DNA)中に見出されるようなβ-D配置を有する。ある特定の実施形態では、2’-デオキシリボヌクレオシドは、修飾された核酸塩基を含み得るか、又はRNA核酸塩基(ウラシル)を含み得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「2’-MOE」とは、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりの2’-O(CH2)2OCH3基を意味する。「2’-MOE糖部分」又は「2’-O-メトキシエチル糖部分」又は「2’-MOE修飾された糖部分」とは、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-O(CH2)2OCH3基を有する糖部分を意味する。別途示されない限り、2’-MOE糖部分は、β-D配置にある。「MOE」は、O-メトキシエチルを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「2’-MOEヌクレオシド」とは、2’-MOE糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「2’-NMA」とは、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりに-O-CH2-C(=O)-NH-CH3基を意味する。「2’-NMA糖部分」又は「2’-NMA修飾された糖部分」は、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-O-CH2-C(=O)-NH-CH3基を有する糖部分である。別途示されない限り、2’-NMA糖部分は、β-D配置にある。「NMA」は、O-N-メチルアセトアミドを意味する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「2’-NMAヌクレオシド」とは、2’-NMA糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「2’-OMe」とは、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-OCH3基を意味する。「2’-OMe糖部分」又は「2’-OMe修飾された糖部分」は、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-OCH3基を有する糖部分である。別途示されない限り、2’-OMe糖部分は、β-D配置にある。「OMe」とは、O-メチルを意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「2’-OMeヌクレオシド」とは、2’-OMe糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「2’-置換ヌクレオシド」とは、2’-置換糖部分を含むヌクレオシドを意味する。糖部分に関して本明細書で使用する場合、「2’-置換」とは、H又はOH以外の少なくとも1つの2’-置換基を含む糖部分を意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「5-メチルシトシン」とは、5位に結合されたメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5-メチルシトシンは修飾された核酸塩基である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「投与すること」は、医薬剤を対象に提供することを意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、治療に関連する「緩和する」とは、治療の不在下で同じ症状又は特徴と比較して、少なくとも1つの症状又は特徴に改善がみられることを意味する。ある特定の実施形態では、緩和は、症状若しくは特徴の重症度若しくは頻度の低下、又は症状若しくは特徴の発症の遅延、又は症状若しくは特徴の重症度若しくは頻度の進行の遅延である。ある特定の実施形態では、症状又は特徴は、行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の障害若しくは改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因し得る任意の検出可能な及び/又は測定可能な変化を意味する。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸又はそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量又は発現の、アンチセンス化合物の不在下での標的核酸又は標的タンパク質の量又は発現と比較した増加である。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アンチセンス剤」とは、アンチセンス化合物、及び任意選択的に、センス化合物などの1つ以上の追加の特徴を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アンチセンス化合物」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及び任意選択的に、コンジュゲート基などの1つ以上の追加の特徴を意味する。「アンチセンス化合物」はまた、少なくとも1つのアンチセンス活性を達成することができるオリゴマー二本鎖であってもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸にハイブリダイズすることができ、少なくとも1つのアンチセンス活性が可能である、アンチセンス化合物のオリゴヌクレオチド部分を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「二環式ヌクレオシド」又は「BNA」とは、二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「二環式糖」又は「二環式糖部分」とは、2つの環を含む修飾された糖部分を意味し、第2の環は、第1の環において原子のうち2つを連結する架橋を介して形成され、それにより、二環式構造を形成する。ある特定の実施形態では、二環式糖部分の第1の環は、フラノシル部分である。ある特定の実施形態では、フラノシル部分は、リボシル部分である。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、フラノシル部分を含まない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「脳脊髄液」又は「CSF」とは、脳及び脊髄の周囲の空間を満たす流体を意味する。「人工脳脊髄液」又は「aCSF」とは、脳脊髄液のある特定の特性(例えば、オスモル濃度、pH、及び/又は電解質)を有し、CSFと生体適合性である調製又は製造された流体を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「cEt」とは、リボシル糖部分の2’OH基の代わりに4’から2’への架橋を意味し、架橋は、4’-CH(CH3)-O-2’の式を有し、架橋のメチル基は、S配置にある。「cEt糖部分」は、リボシル糖部分の2’OH基の代わりに4’から2’への架橋を有する二環式糖部分であり、架橋は、4’-CH(CH3)-O-2’の式を有し、架橋のメチル基は、S配置にある。「cEt」とは、拘束されたエチル(constrained ethyl)を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「cEtヌクレオシド」とは、cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、集団に関して「キラル的に濃縮された」とは、同一の分子式の複数の分子であって、特定のキラル中心で特定の立体化学的配置を含む集団内の分子の数又はパーセンテージが、本明細書に定義されるように、特定のキラル中心がステレオランダムである場合に集団内の同じ特定のキラル中心で同じ特定の立体化学的配置を含むことが予想される分子の数又はパーセンテージよりも大きい、同一の分子式の複数の分子を意味する。各分子内に複数のキラル中心を有する分子のキラル的に濃縮された集団は、1つ以上のステレオランダムキラル中心を含み得る。ある特定の実施形態では、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、分子は、修飾されたオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物である。ある特定の実施形態では、キラル中心は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のリン原子にある。本明細書で使用される場合、ヌクレオシド間結合に関して「キラル的に制御された」とは、その結合のキラリティが特定の立体化学的配置について濃縮されていることを意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドに関連する「相補的」とは、オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列と別の核酸が反対の方向に整列されている場合に、オリゴヌクレオチド又はその1つ以上の部分の核酸塩基と、別の核酸又はその1つ以上の部分の核酸塩基の少なくとも70%が、互いに水素結合することができることを意味する。相補的な核酸塩基とは、互いに水素結合を形成することができる核酸塩基を意味する。相補的な核酸塩基対としては、アデニン(A)及びチミン(T)、アデニン(A)及びウラシル(U)、シトシン(C)及びグアニン(G)、5-メチルシトシン(mC)及びグアニン(G)、並びにヒポキサンチン(イノシン(I)の)及びシトシン(C)、5-メチルシトシン(mC)、ウラシル(U)、又はアデニン(A)が挙げられる。相補的なオリゴヌクレオチド及び/又は標的核酸は、各ヌクレオシドにおいて核酸塩基の相補性を有する必要はない。むしろ、いくつかのミスマッチが許容される。本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチド又はその一部に関連する「完全に相補的」又は「100%相補的」とは、オリゴヌクレオチド又はその一部が、2つのオリゴヌクレオチドのうちの短い方の各核酸塩基で、又はオリゴヌクレオチドが同じ長さである場合、各ヌクレオシドで、別のオリゴヌクレオチド又は標的核酸と相補的であることを意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲート基」とは、オリゴヌクレオチドに直接的又は間接的に結合した原子団を意味する。コンジュゲート基は、コンジュゲート部分、及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合させるコンジュゲートリンカーを含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲートリンカー」とは、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに連結する単結合又は少なくとも1つの結合を含む原子団を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート部分」とは、薬力学、薬物動態学、安定性、結合、吸収、組織分布、細胞分布、細胞取り込み、電荷、及びクリアランスを含むが、これらに限定されない、コンジュゲート部分を欠く同一の分子と比較して、分子の1つ以上の薬理学的特性を修飾する、共有結合された原子団を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドの文脈における「連続する」とは、互いに直接隣接するヌクレオシド、核酸塩基、糖部分、又はヌクレオシド間結合を指す。例えば、「連続する核酸塩基」とは、配列において互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ホットスポット領域」とは、標的核酸の量又は活性のオリゴマー化合物媒介性の増加を生じやすい標的核酸上の核酸塩基の範囲である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション」とは、相補的オリゴヌクレオチド及び/又は核酸の対合又はアニーリングを意味する。特定のメカニズムに限定されないが、ハイブリダイゼーションの最も一般定なメカニズムは、相補的核酸塩基の間のワトソン・クリック、フーグスティーン、又は逆フーグスティーン水素結合であり得る水素結合を伴う。ある特定の実施形態では、相補性核酸分子は、これらに限定されないが、アンチセンス化合物及び核酸標的を含む。ある特定の実施形態では、相補性核酸分子は、これらに限定されないが、オリゴヌクレオチド及び核酸標的を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「イノシン」(I)又は9-β-D-リボシルヒポキサンチンは、ヒポキサンチン核酸塩基を含有するヌクレオシドを意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド間結合」は、オリゴヌクレオチド内の隣接するヌクレオシド間の共有結合である。本明細書で使用される場合、「修飾されたヌクレオシド間結合」とは、ホスホジエステルヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を意味する。「ホスホロチオエートヌクレオシド間結合」又は「PSヌクレオシド間結合」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合の非架橋酸素原子のうちの1つが硫黄原子で置き換えられる修飾されたヌクレオシド間結合である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「結合されたヌクレオシド」とは、連続した配列において連結されている(すなわち、結合されたヌクレオシド間に追加のヌクレオシドが存在しない)ヌクレオシドである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「リンカーヌクレオシド」とは、オリゴヌクレオチドをコンジュゲート部分に直接又は間接的のいずれかで結合するヌクレオシドを意味する。リンカーヌクレオシドは、オリゴマー化合物のコンジュゲートリンカー内に位置する。リンカーヌクレオシドは、それらがオリゴヌクレオチドと連続していても、オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチド部分の一部とはみなされない。
【0044】
本明細書で使用される場合、「ミスマッチ」又は「非相補的」とは、第1及び第2のオリゴヌクレオチドが整列されている場合に、第2のオリゴヌクレオチド又は標的核酸の対応する核酸塩基と相補的でない第1のオリゴヌクレオチドの核酸塩基を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「修飾されたヌクレオシド」とは、修飾された核酸塩基及び/又は修飾された糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「モチーフ」は、オリゴヌクレオチドにおける修飾されていない及び/又は修飾された糖部分、核酸塩基、及び/又はヌクレオシド間結合のパターンを意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「非二環式の修飾された糖部分」は、第2の環を形成するための糖の2つの原子間に架橋を形成しない、置換基などの修飾を含む修飾された糖部分を意味する。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基」とは、修飾されていない核酸塩基又は修飾された核酸塩基を意味する。核酸塩基は、複素環式部分である。本明細書で使用される場合、「修飾されていない核酸塩基」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)、又はグアニン(G)である。本明細書で使用される場合、「修飾された核酸塩基」とは、少なくとも1つの他の核酸塩基と対合することができる修飾されていないA、T、C、U、又はG以外の原子団である。「5-メチルシトシン」は、修飾された核酸塩基である。ユニバーサル塩基とは、5種類の修飾されていない核酸塩基の任意の1つと対合できる核酸塩基である。本明細書で使用される場合、「核酸塩基配列」とは、任意の糖又はヌクレオシド間結合修飾とは無関係の標的核酸又はオリゴヌクレオチドにおける連続する核酸塩基の順番を意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基及び糖部分を含む化合物又は化合物の断片を意味する。核酸塩基及び糖部分は、各々独立して、修飾されていないか又は修飾されている。
【0050】
本明細書で使用される場合、「オリゴマー化合物」とは、オリゴヌクレオチド、及び任意選択的に、コンジュゲート基又は末端基などの1つ以上の追加の特徴を意味する。オリゴマー化合物は、第1のオリゴマー化合物と相補的な第2のオリゴマー化合物と対になっていてもよく、又は対になっていなくてもよい。「一本鎖オリゴマー化合物」は、不対オリゴマー化合物である。「オリゴマー二本鎖」という用語は、相補的核酸塩基配列を有する2つのオリゴマー化合物によって形成される二本鎖を意味する。オリゴマー二本鎖の各オリゴマー化合物は、「二本鎖オリゴマー化合物」と呼ぶ場合がある。
【0051】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合を介して連結されている結合されたヌクレオシドの鎖を意味し、ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合は各々、修飾されていても修飾されていなくてもよい。別途示されない限り、オリゴヌクレオチドは、8~50個の結合されたヌクレオシドからなる。本明細書で使用される場合、「修飾されたオリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つのヌクレオシド又はヌクレオシド間結合が修飾されているオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用される場合、「修飾されていないオリゴヌクレオチド」とは、いかなるヌクレオシド修飾又はヌクレオシド間修飾も含まないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」とは、対象に投与するのに好適な物質の混合物を意味する。例えば、薬学的組成物は、オリゴマー化合物及び滅菌水溶液を含むことができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体又は希釈剤」とは、動物に投与することにおいて使用するのに好適な任意の物質を意味する。ある特定のそのような担体は、薬学的組成物を、例えば、対象による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁液、及びトローチ剤として製剤化されることを可能にする。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、滅菌水、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝液、又は滅菌人工脳脊髄液である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩は、親化合物の望ましい生物学的活性を保持し、望ましくない毒物学的影響を親化合物に与えない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」とは、対象に投与するのに好適な物質の混合物を意味する。例えば、薬学的組成物は、オリゴマー化合物及び滅菌水溶液を含むことができる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、ある特定の細胞株での自由取り込みアッセイにおいて活性を示す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「RNA」とは、RNA転写産物を意味し、別途定めがない限り、pre-mRNA及び成熟mRNAを含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「プログラニュリンRNA」とは、プログラニュリン遺伝子GRNによってコードされるRNA転写産物を意味し、別途定めがない限り、pre-mRNA及びmRNAを含む。プログラニュリン核酸及びGRN核酸は、互換的に使用され、プログラニュリンタンパク質をコードする核酸を指す。本明細書で使用される場合、「プログラニュリン核酸」及び「GRN核酸」は、互換性があり、別途定めがない限り、プログラニュリンDNA及びプログラニュリンRNAを含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、「立体遮断剤」とは、少なくとも部分的に、標的核酸に直接結合することに起因し、したがって、標的核酸と他の核酸又はタンパク質との相互作用を遮断する、作用するアンチセンス剤を意味する。
【0059】
本明細書で使用される場合、同一の分子式の分子の集団の文脈における「ステレオランダム」又は「ステレオランダムキラル中心」とは、特定の絶対的立体化学的配置のために、合成中に制御されないか、又は合成後に濃縮されたキラル中心を意味する。キラル中心の立体化学的配置は、立体化学的配置を制御するように設計されていない合成法の結果である場合にはランダムである。例えば、ステレオランダムキラル中心を含む分子の集団において、ステレオランダムキラル中心の(S)配置を有する分子の数は、ステレオランダムキラル中心(ラセミ)の(R)配置を有する分子の数と同じであり得るが、必ずしも同じであるとは限らない。ある特定の実施形態では、ステレオランダムキラル中心は、例えば、隣接する糖部分の濃縮された立体化学の近くでの非キラル試薬の作用により、1つの絶対構成が合成後に優勢であるため、ラセミではない。ある特定の実施形態では、ステレオランダムキラル中心は、ステレオランダムホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0060】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、ヒト又は非ヒト動物を意味する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「糖部分」とは、修飾されていない糖部分又は修飾された糖部分を意味する。本明細書で使用される場合、「修飾されていない糖部分」は、RNAに見出されるような2’-OH(H)β-Dリボシル糖部分(「修飾されていないRNA糖部分」)、又はDNAに見出されるような2’-H(H)β-Dデオキシリボシル糖部分(「修飾されていないDNA糖部分」)を意味する。修飾されていない糖部分は1’、3’、及び4’位の各々に1個の水素、3’位に1個の酸素、5’位に2個の水素を有する。本明細書で使用される場合、「修飾された糖部分」又は「修飾された糖」とは、修飾されたフラノシル糖部分又は糖サロゲートを意味する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「糖サロゲート」とは、核酸塩基を、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド間結合、コンジュゲート基、又は末端基などの別の基に結合し得るフラノシル部分以外を有するが、フラノシル糖部分又は二環式糖部分ではない、修飾された糖部分を意味する。糖サロゲートを含む修飾されたヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内で1つ以上の位置に抱合され得、そのようなオリゴヌクレオチドは、相補的オリゴマー化合物又は標的核酸にハイブリダイズすることができる。糖サロゲートの例としては、GNA(グリコール核酸)、FHNA(フルオロヘキシトール核酸)、モルホリノ、及び本明細書に記載され、当該技術分野で知られている他の構造が挙げられる。本明細書で使用される場合、「標準インビトロアッセイ」とは、実施例1に記載されるアッセイ及びその合理的な変形を意味する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「症状又は特徴」とは、疾患又は障害の存在又は程度を示す任意の身体的特徴又は検査結果を意味する。ある特定の実施形態では、症状は、対象又はその対象を診察又は検査する医療専門家に明らかである。ある特定の実施形態では、特徴は、死後検査を含むがこれに限定されない侵襲的診断検査により明らかである。ある特定の実施形態では、特徴は、脳MRIスキャンにより明らかである。
【0064】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」及び「標的RNA」とは、これに作用するようにアンチセンスオリゴマー又はオリゴマー化合物が設計されている核酸を意味する。標的RNAは、RNA転写産物を意味し、別途定めがない限り、pre-mRNA及びmRNAを含む。
【0065】
本明細書で使用される場合、「標的領域」とは、これとハイブリダイズするようにオリゴマー化合物が設計されている標的核酸の一部を意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「末端基」とは、オリゴヌクレオチドの末端に共有結合した化学基又は原子団を意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、対象に治療効果を提供する医薬剤の量を意味する。例えば、治療有効量は、疾患又は障害の症状又は特徴を改善する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「治療すること」とは、本明細書に記載のオリゴマー化合物を投与することによって、対象の疾患又は障害を改善することを意味する。ある特定の実施形態では、対象を治療することは、治療の不在下で同じ症状に対する症状又は特徴を改善する。ある特定の実施形態では、治療は、症状若しくは特徴の重症度若しくは頻度を低減するか、又は症状若しくは特徴の発症を遅延させるか、症状若しくは特徴の進行を遅延させるか、又は症状若しくは特徴の重症度若しくは頻度を遅延させる。
【0069】
特定の実施形態
本開示は、以下の非限定的な番号付けされた実施形態を提供するものである。
実施形態1.12~50個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、プログラニュリン核酸の等長部分に少なくとも80%相補的であり、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を有する、オリゴマー化合物。
【0070】
実施形態2.プログラニュリン核酸が、配列番号1又は配列番号2の核酸塩基配列を有する、実施形態1に記載のオリゴマー化合物。
【0071】
実施形態3.18、19、又は20個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号12~854の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも16個、少なくとも17個、又は18個の連続する核酸塩基を含み、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0072】
実施形態4.修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号34、268、345、424、501、579、657、735、800、801、806、812、813、816、821、828、844、及び847の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも16個、少なくとも17個、又は18個の連続する核酸塩基を含む、実施形態1~3のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0073】
実施形態5.18個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号12~854のうちのいずれかの核酸塩基配列からなり、修飾されたオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシド間結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、オリゴマー化合物。
【0074】
実施形態6.修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号34、268、345、424、501、579、657、735、800、801、806、812、813、816、821、828、844、及び847の核酸塩基配列のうちのいずれかの18個の連続する核酸塩基からなる、実施形態5に記載のオリゴマー化合物。
【0075】
実施形態7.12~50個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号1の核酸塩基8497~8552内の等長部分に相補的な少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、又は18個の連続する核酸塩基を含む、オリゴマー化合物。
【0076】
実施形態8.修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号34、268、345、424、501、579、657、735、800、801、806、812、813、816、821、828、844、及び847のうちのいずれかの核酸塩基配列からなる、実施形態7に記載のオリゴマー化合物。
【0077】
実施形態9.修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定された場合に、配列番号1又は配列番号2のうちのいずれかの核酸塩基配列内の等長部分に少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%相補的であるか、又は100%相補的である、実施形態1~8のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0078】
実施形態10.修飾されたオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾された糖部分を含む、実施形態1~9のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0079】
実施形態11.修飾された糖部分が、二環式糖部分を含む、実施形態10に記載のオリゴマー化合物。
【0080】
実施形態12.二環式糖部分が、-CH2-O-及び-CH(CH3)-O-から選択される4’-2’架橋を含む、実施形態11に記載のオリゴマー化合物。
【0081】
実施形態13.修飾された糖部分が、非二環式の修飾された糖部分を含む、実施形態10~12のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0082】
実施形態14.非二環式の修飾された糖部分が、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、又は2’-F修飾された糖部分である、実施形態13に記載のオリゴマー化合物。
【0083】
実施形態15.修飾された糖部分が、糖サロゲートである、実施形態10に記載のオリゴマー化合物。
【0084】
実施形態16.糖サロゲートが、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、又はF-HNAである、実施形態15に記載のオリゴマー化合物。
【0085】
実施形態17.修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが、修飾された糖部分を含む、実施形態10に記載のオリゴマー化合物。
【0086】
実施形態18.各修飾された糖部分が、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、又は2’-F修飾された糖部分である、実施形態17に記載のオリゴマー化合物。
【0087】
実施形態19.各修飾された糖部分が、2’-MOE修飾された糖部分である、実施形態17に記載のオリゴマー化合物。
【0088】
実施形態20.各修飾された糖部分が、糖サロゲートである、実施形態17に記載のオリゴマー化合物。
【0089】
実施形態21.各修飾された糖部分が、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、又はF-HNAである、実施形態20に記載のオリゴマー化合物。
【0090】
実施形態22.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施形態1~21のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0091】
実施形態23.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態22に記載のオリゴマー化合物。
【0092】
実施形態24.修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合が、修飾されたヌクレオシド間結合である、実施形態22に記載のオリゴマー化合物。
【0093】
実施形態25.各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態22に記載のオリゴマー化合物。
【0094】
実施形態26.修飾されたオリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、実施形態1~23のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0095】
実施形態27.修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合が、独立して、ホスホジエステルヌクレオシド間結合及びホスホロチオエートヌクレオシド間結合から選択される、実施形態22、23、又は26のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0096】
実施形態28.修飾されたオリゴヌクレオチドの少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、又は少なくとも17個のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態22~24、又は26~27のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0097】
実施形態29.修飾されたオリゴヌクレオチドが、18個の結合されたヌクレオシドからなり、sssssssssssssssss及びsosssssssosssssssから選択されるヌクレオシド間結合モチーフを有する、実施形態1~23のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0098】
実施形態30.修飾されたオリゴヌクレオチドが、18個の結合されたヌクレオシドからなり、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合モチーフが、sssssssssssssssssである、実施形態19に記載のオリゴマー化合物。
【0099】
実施形態31.修飾されたオリゴヌクレオチドが、18個の結合されたヌクレオシドからなり、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合モチーフが、sosssssssosssssssである、実施形態19に記載のオリゴマー化合物。
【0100】
実施形態32.修飾されたオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、実施形態1~31のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0101】
実施形態33.修飾された核酸塩基が、5-メチルシトシン又はヒポキサンチンである、実施形態32に記載のオリゴマー化合物。
【0102】
実施形態34.各シトシンが、5-メチルシトシンである、実施形態33に記載のオリゴマー化合物。
【0103】
実施形態35.以下の化学表記法(5’から3’に):
GesTeo
mCes
mCesAesGesGesGesAesGeoAesAesTesTesTesGesGesTe;(配列番号855)、
GesTeoGesGesAesTesAesGesGesGeoAesAesAesAesGes
mCesAes
mCe;(配列番号856)、
GesGeoGesTes
mCes
mCesAes
mCesTesGeoAesAesAes
mCesGesGesGesGe;(配列番号857)、
GesGeoAesTesAesGesGesGesAesAeoAesAesGes
mCesAes
mCes
mCesTe;(配列番号858)、
GesGeoTes
mCes
mCesAesGesGesGesAeoGesAesAesTesTesTesGesGe;(配列番号859)、
AesAeoAes
mCesGesGesGesGesAesGeoGesGesGesAesTesGesGes
mCe;(配列番号860)、
GesAeoAesAes
mCesGesGesGesGesAeoGesGesGesGesAesTesGesGe;(配列番号861)、
TesGeoAesAesAes
mCesGesGesGesGeoAesGesGesGesGesAesTesGe;(配列番号862)、
mCesTeoGesAesAesAes
mCesGesGesGeoGesAesGesGesGesGesAesTe;(配列番号863)、
Aes
mCeoTesGesAesAesAes
mCesGesGeoGesGesAesGesGesGesGesAe;(配列番号864)、
mCesAeo
mCesTesGesAesAesAes
mCesGeoGesGesGesAesGesGesGesGe;(配列番号865)、又は
GesGeoTes
mCes
mCesAes
mCesTesGesAeoAesAes
mCesGesGesGesGesAe)(配列番号866)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【0104】
実施形態36.修飾されたオリゴヌクレオチドが、薬学的に許容される塩である、実施形態1~35のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0105】
実施形態37.修飾されたオリゴヌクレオチドが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムから選択される1つ以上のカチオンを含む、薬学的に許容される塩である、実施形態36に記載のオリゴマー化合物。
【0106】
実施形態38.修飾されたオリゴヌクレオチドからなる、実施形態1~37のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0107】
実施形態39.オリゴマー化合物が、コンジュゲート基を含む、実施形態1~37のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0108】
実施形態40.コンジュゲート基が、コンジュゲートリンカー及びコンジュゲート部分を含む、実施形態39に記載のオリゴマー化合物。
【0109】
実施形態41.コンジュゲートリンカーが、単結合からなる、実施形態40に記載のオリゴマー化合物。
【0110】
実施形態42.コンジュゲートリンカーが、切断可能である、実施形態40又は実施形態41に記載のオリゴマー化合物。
【0111】
実施形態43.コンジュゲートリンカーが、1~3個のリンカーヌクレオシドを含む、実施形態40又は実施形態41に記載のオリゴマー化合物。
【0112】
実施形態44.コンジュゲートリンカーが、いかなるリンカーヌクレオシドも含まない、実施形態40~42のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0113】
実施形態45.コンジュゲート基が、修飾されたオリゴヌクレオチドの5’末端に結合されている、実施形態39~44のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0114】
実施形態46.コンジュゲート基が、修飾されたオリゴヌクレオチドの3’末端に結合されている、実施形態39~44のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0115】
実施形態47.オリゴマー化合物が、末端基を含む、実施形態39~44のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0116】
実施形態48.末端基が、脱塩基糖部分である、実施形態47に記載のオリゴマー化合物。
【0117】
実施形態49.オリゴマー化合物が、一本鎖オリゴマー化合物である、実施形態1~48のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0118】
実施形態50.以下の化学表記法:Aes
mCeoTesGesAesAesAes
mCesGesGeoGesGesAesGesGesGesGesAe(配列番号864)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【0119】
実施形態51.以下の化学表記法:mCesAeo
mCesTesGesAesAesAes
mCesGeoGesGesGesAesGesGesGesGe(配列番号865)に従う修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、オリゴマー化合物であって、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である、オリゴマー化合物。
【0120】
実施形態52.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【0121】
【0122】
(配列番号864)、又はその塩。
【0123】
実施形態53.ナトリウム塩又はカリウム塩である、実施形態52に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0124】
実施形態54.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【0125】
【0126】
(配列番号864)。
【0127】
実施形態55.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【0128】
【0129】
(配列番号865)、又はその塩。
【0130】
実施形態56.ナトリウム塩又はカリウム塩である、実施形態55に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド。
【0131】
実施形態57.以下の化学構造に従う、修飾されたオリゴヌクレオチド:
【0132】
【0133】
(配列番号865)。
【0134】
実施形態58.実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物のキラル的に濃縮された集団、又は実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル的に濃縮された集団であって、集団が、特定の立体化学的配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴマー化合物について濃縮されている、キラル的に濃縮された集団。
【0135】
実施形態59.集団が、(Sp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態58に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0136】
実施形態60.集団が、(Rp)配置を有する少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態58に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0137】
実施形態61.集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において特定の独立して選択される立体化学的配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態58に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0138】
実施形態62.集団が、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Sp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて、又は各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態61に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0139】
実施形態63.集団が、1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合において(Rp)配置を有し、かつ残りのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の各々において(Sp)配置を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態61に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0140】
実施形態64.集団が、5’から3’の方向に、Sp配置、Sp配置、及びRp配置で少なくとも3個の連続するホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている、実施形態61に記載のキラル的に濃縮された集団。
【0141】
実施形態65.実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物の集団、又は実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチドの集団であって、修飾されたオリゴヌクレオチドのホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てが、ステレオランダムである、集団。
【0142】
実施形態66.アンチセンス化合物を含むアンチセンス剤であって、アンチセンス化合物が、実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物である、アンチセンス剤。
【0143】
実施形態67.アンチセンス剤が、コンジュゲート基を含み、コンジュゲート基が、細胞標的化部分を含む、実施形態66に記載のアンチセンス剤。
【0144】
実施形態68.実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、又は実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤と、薬学的に許容される希釈剤と、を含む、薬学的組成物。
【0145】
実施形態69.薬学的に許容される希釈剤が、人工CSF(aCSF)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、実施形態68に記載の薬学的組成物。
【0146】
実施形態70.薬学的組成物が、実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、又は実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤と、aCSFと、から本質的になる、実施形態69に記載の薬学的組成物。
【0147】
実施形態71.薬学的組成物が、実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、又は実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤と、PBSと、から本質的になる、実施形態69に記載の薬学的組成物。
【0148】
実施形態72.実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤、又は実施形態68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法。
【0149】
実施形態73.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害を治療する方法であって、プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患若しくは障害を有するか、又はそれを発症するリスクのある対象に、治療有効量の実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤、又は実施形態68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与することを含み、それによって、プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害を治療する、方法。
【0150】
実施形態74.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が、神経系疾患又は障害である、実施形態73に記載の方法。
【0151】
実施形態75.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が、リソソーム蓄積症又はTDP-43プロテイノパチーである、実施形態73又は実施形態74に記載の方法。
【0152】
実施形態76.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が、前頭側索性認知症(FTD)、前頭側索性葉変性(FTLD)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、アルツハイマー病(AD)、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、実施形態73~75のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
実施形態77.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は特徴が、緩和される、実施形態73~77のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
実施形態78.少なくとも1つの症状又は特徴が、行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいである、実施形態77に記載の方法。
【0155】
実施形態79.実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤、又は実施形態68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物の投与が、行動若しくは性格を改善し、行動若しくは性格の悪化を遅らせ、言語能力を改善し、言語能力の悪化を遅らせ、筋肉若しくは運動機能を改善し、筋肉若しくは運動機能の悪化を遅らせ、記憶を改善し、記憶の悪化を遅らせ、認知機能を改善し、認知機能の悪化を遅らせ、振戦を低減し、発作を低減し、又はめまいを低減する、実施形態77又は実施形態78に記載の方法。
【0156】
実施形態80.実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤、又は実施形態68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物が、中枢神経系に、又は全身的に投与される、実施形態73~79のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
実施形態81.実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤、又は実施形態68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物が、髄腔内、全身的、皮下、又は筋肉内のうちのいずれかに投与される、実施形態73~79のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
実施形態82.対象が、ヒトである、実施形態73~81のいずれか一項に記載の方法。
【0159】
実施形態83.細胞内のプログラニュリンRNA又は上述のプログラニュリンRNAの1つ以上のスプライスバリアントを増加させる方法であって、細胞を、実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、又は実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤と接触させることを含む、方法。
【0160】
実施形態84.細胞内のプログラニュリンタンパク質を増加させる方法であって、細胞を、実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、又は実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤と接触させることを含む、方法。
【0161】
実施形態85.細胞が、ニューロンである、実施形態83又は実施形態84に記載の方法。
【0162】
実施形態86.細胞が、ヒト細胞である、実施形態83~85のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
実施形態87.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害を治療するための、実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤、又は実施形態68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【0164】
実施形態88.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害を治療するための医薬の製造における、実施形態1~51のいずれか一項に記載のオリゴマー化合物、実施形態52~57のいずれか一項に記載の修飾されたオリゴヌクレオチド、実施形態58~65のいずれか一項に記載の集団、実施形態66若しくは実施形態67に記載のアンチセンス剤、又は実施形態68~71のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用。
【0165】
実施形態89.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が、神経系疾患又は障害である、実施形態87又は実施形態88に記載の使用。
【0166】
実施形態90.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が、リソソーム蓄積症又はTDP-43プロテイノパチーである、実施形態87又は実施形態88に記載の使用。
【0167】
実施形態91.プログラニュリンの不十分な発現に関連する疾患又は障害が、前頭側索性認知症(FTD)、前頭側索性葉変性(FTLD)、神経セロイドリポフスチン症(NCL)、アルツハイマー病(AD)、又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、実施形態87~90のいずれか一項に記載の使用。
【0168】
特定の組成物
1. 化合物番号1557993
ある特定の実施形態では、化合物番号1557993は、ACTGAAACGGGGAGGGGA(配列番号781)の核酸塩基配列(5’から3’へ)を有する修飾されたオリゴヌクレオチドであり、各ヌクレオシドが、2’-MOE糖部分を含み、ヌクレオチド2~3、及び10~11の間のヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオチド1~2、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、及び17~18の間のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンが、5-メチルシトシンである、修飾されたオリゴヌクレオチドであることを特徴とする。
【0169】
ある特定の実施形態では、化合物番号1557993は、以下の化学表記法:Aes
mCeoTesGesAesAesAes
mCesGesGeoGesGesAesGesGesGesGesAe(配列番号864)によって表され、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0170】
ある特定の実施形態では、化合物番号1557993は、以下の化学構造によって表される:
【0171】
【0172】
(配列番号864)。
構造1.化合物番号1557993
【0173】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造1によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩又はカリウム塩を含む。
【0174】
ある特定の実施形態では、化合物番号1557993のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される:
【0175】
【0176】
(配列番号864)。
構造2.化合物番号1557993のナトリウム塩
【0177】
2. 化合物番号1557994
ある特定の実施形態では、化合物番号1557994は、CACTGAAACGGGGAGGGG(配列番号80)の核酸塩基配列(5’から3’へ)を有する修飾されたオリゴヌクレオチドであり、各ヌクレオシドが、2’-MOE糖部分を含み、ヌクレオチド2~3、及び10~11の間のヌクレオシド間結合が、ホスホジエステルヌクレオシド間結合であり、ヌクレオチド1~2、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、及び17~18の間のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、各シトシンが、5-メチルシトシンである、修飾されたオリゴヌクレオチドであることを特徴とする。
【0178】
ある特定の実施形態では、化合物番号1557994は、以下の化学表記法:mCesAeo
mCesTesGesAesAesAes
mCesGeoGesGesGesAesGesGesGesGe(配列番号865)によって表され、式中、
Aが、アデニン核酸塩基であり、
mCが、5-メチルシトシン核酸塩基であり、
Gが、グアニン核酸塩基であり、
Tが、チミン核酸塩基であり、
eが、2’-MOE糖部分であり、
sが、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、
oが、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0179】
ある特定の実施形態では、化合物番号1557994は、以下の化学構造によって表される:
【0180】
【0181】
(配列番号865)。
構造3.化合物番号1557994
【0182】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、構造3によって表される修飾されたオリゴヌクレオチドのナトリウム塩又はカリウム塩を含む。
【0183】
ある特定の実施形態では、化合物番号1557994のナトリウム塩は、以下の化学構造によって表される:
【0184】
【0185】
(配列番号865)。
構造4.化合物番号1557994のナトリウム塩
【0186】
ある特定のオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態では、結合されたヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物が、本明細書に提供される。オリゴヌクレオチドは、修飾されていないオリゴヌクレオチド(RNA若しくはDNA)であってもよく、又は修飾されたオリゴヌクレオチドであってもよい。修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていないRNA又はDNAに対して少なくとも1つの修飾を含む。すなわち、修飾されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド(修飾された糖部分及び/又は修飾された核酸塩基を含む)及び/又は少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む。
【0187】
A.ある特定の修飾されたヌクレオシド
修飾されたヌクレオシドは、修飾された糖部分若しくは修飾された核酸塩基又は修飾された糖部分及び修飾された核酸塩基の両方を含む。ある特定の実施形態では、以下の修飾された糖部分及び/又は以下の修飾された核酸塩基を含む、修飾されたヌクレオシドは、修飾されたオリゴヌクレオチドに組み込まれ得る。
【0188】
1. ある特定の糖部分
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、非二環式の修飾された糖部分である。ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、二環式又は三環式糖部分である。ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、糖サロゲートである。そのような糖サロゲートは、修飾された糖部分の他の種類のものに対応する1つ以上の置換を含み得る。
【0189】
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、1つ以上の置換基を有するフラノシル環を含む非二環式の修飾された糖部分であり、その置換基はいずれも、フラノシル環の2つの原子を架橋して二環式構造を形成しない。そのような非架橋置換基は、2’、3’、4’、及び/又は5’位の置換基を含むがこれらに限定されない、フラノシルの任意の位置にあってよい。非二環式の修飾された糖部分に好適な2’-置換基の例には、限定されないが、2’-F、2’-OCH3(「OMe」又は「O-メチル」)、及び2’-O(CH2)2OCH3(「MOE」又は「O-メトキシエチル」)、並びに2’-O-N-アルキルアセトアミド、例えば2’-O-N-メチルアセトアミド(「NMA」)、2’-O-N-ジメチルアセトアミド、2’-O-N-エチルアセトアミド、又は2’-O-N-プロピルアセトアミドが挙げられる。例えば、U.S.6,147,200、Prakash et al.,2003,Org.Lett.,5,403-6を参照されたい。
【0190】
「2’-O-N-メチルアセトアミドヌクレオシド」又は「2’-NMAヌクレオシド」は、以下に示される。
【0191】
【0192】
ある特定の実施形態では、修飾されたフラノシル糖部分及びそのような修飾されたフラノシル糖部分を組み込むヌクレオシドは、異性体配置によって更に定義される。例えば、2’-デオキシフラノシル糖部分は、天然に存在するβ-D-デオキシリボシル配置以外の7つの異性体配置であってもよい。そのような修飾された糖部分は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2019/157531に記載されている。2’-修飾された糖部分は、2’-デオキシフラノシル糖部分と比較して、2’-位置で追加の立体中心を有する。したがって、そのような糖部分は、合計で16個の可能な異性体構成を有する。本明細書に記載される2’-修飾された糖部分は、別途定めがない限り、β-D-リボシル異性体配置にある。
【0193】
ある特定の実施形態では、2’-置換基は、ハロ、アリル、アミノ、アジド、SH、CN、OCN、CF3、OCF3、O-C1~C10アルコキシ、O-C1~C10置換アルコキシ、O-C1~C10アルキル、O-C1~C10置換アルキル、S-アルキル、N(Rm)-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N(Rm)-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N(Rm)-アルキニル、O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリール、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、又はOCH2C(=O)-N(Rm)(Rn)の中から選択され、各Rm及びRnは独立して、H、アミノ保護基、又は置換若しくは非置換C1~C10アルキルであり、2’-置換基は、Cook et al.,U.S.6,531,584、Cook et al.,U.S.5,859,221、及びCook et al.,U.S.6,005,087に記載されている。これらの2’-置換基のある特定の実施形態は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ(NO2)、チオール、チオアルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルの中から独立して選択される1つ以上の置換基で更に置換され得る。非二環式の修飾された糖部分に好適な4’-置換基の例には、これらに限定されないが、アルコキシ(例えば、メトキシ)、アルキル、及びManoharan et al.,WO2015/106128に記載されるものが挙げられる。非二環式の修飾された糖部分に好適な5’-置換基の例には、限定されないが、5’-メチル(R又はS)、5’-ビニル、及び5’-メトキシが含まれる。ある特定の実施形態では、非二環式の修飾された糖部分は、1つより多い非架橋糖置換基、例えば、2’-F-5’-メチル糖部分、並びにMigawa et al.,WO2008/101157及びRajeev et al.,US2013/0203836に記載される修飾された糖部分及び修飾されたヌクレオシドを含む。
【0194】
ある特定の実施形態では、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、NH2、N3、OCF3、OCH3、O(CH2)3NH2、CH2CH=CH2、OCH2CH=CH2、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、O(CH2)ON(CH3)2(DMAOE)、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2(DMAEOE)、及びN置換アセトアミド(OCH2C(=O)-N(Rm)(Rn))から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含み、各Rm及びRnは、独立して、H、アミノ保護基、又は置換若しくは非置換のC1~C10アルキル、例えば、OCH2C(=O)-N(H)CH3(「NMA」)である。
【0195】
ある特定の実施形態では、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、OCF3、OCH3、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(CH3)2、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びOCH2C(=O)-N(H)CH3(「NMA」)から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0196】
ある特定の実施形態では、2’-置換非二環式の修飾されたヌクレオシドは、F、OCH3、OCH2CH2OCH3、及びOCH2C(=O)-N(H)CH3から選択される非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0197】
ある特定の修飾された糖部分は、フラノシル環の2つの原子を架橋して第2の環を形成する置換基を含み、二環式糖部分をもたらす。そのような二環式糖部分を含むヌクレオシドは、二環式ヌクレオシド(BNA)、ロックドヌクレオシド、又は立体構造的に制限されたヌクレオチド(CRN)と呼ばれている。そのようなある特定の化合物は、米国特許公開第2013/0190383号、及びPCT公開第WO2013/036868号に記載されている。ある特定のそのような実施形態では、二環式糖部分は、4’位と2’位のフラノース環原子間の架橋を含む。ある特定のそのような実施形態では、フラノース環は、リボース環である。そのような4’から2’への架橋糖置換基の例には、4’-CH2-2’、4’-(CH2)2-2’、4’-(CH2)3-2’、4’-CH2-O-2’(「LNA」)、4’-CH2-S-2’、4’-(CH2)2-O-2’(「ENA」)、4’-CH(CH3)-O-2’(S構造にある場合、「拘束されたエチル」又は「cEt」と称される)、4’-CH2-O-CH2-2’、4’-CH2-N(R)-2’、4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(「拘束されたMOE」又は「cMOE」)及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.7,399,845、Bhat et al.,U.S.7,569,686、Swayze et al.,U.S.7,741,457、及びSwayze et al.,U.S.8,022,193を参照のこと)、4’-C(CH3)(CH3)-O-2’及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.8,278,283を参照のこと)、4’-CH2-N(OCH3)-2’及びその類似体(例えば、Prakash et al.,U.S.8,278,425)、4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、Allerson et al.,U.S.7,696,345及びAllerson et al.,U.S.8,124,745を参照のこと)、4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Zhou,et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134を参照のこと)、4’-CH2-C(=CH2)-2’及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.8,278,426を参照のこと)、4’-C(RaRb)-N(R)-O-2’,4’-C(RaRb)-O-N(R)-2’,4’-CH2-O-N(R)-2’、並びに4’-CH2-N(R)-O-2’(式中、各R、Ra、及びRbは独立して、H、保護基、又はC1~C12アルキルである)(例えば、Imanishi et al.,U.S.7,427,672を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
ある特定の実施形態では、そのような4’から2’への架橋は独立して、-[C(Ra)(Rb)]n-、-[C(Ra)(Rb)]n-O-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-C(=NRa)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-O-、-Si(Ra)2-、-S(=O)x-、及び-N(Ra)-から独立して選択される1~4個の結合された基を含み、
式中、
xは、0、1、又は2であり、
nが、1、2、3、又は4であり、
各Ra及びRbは独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C1~C12アルキル、置換C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換C2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換C5~C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C5~C7脂環式ラジカル、置換C5~C7脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、COOJ1、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)2-J1)、又はスルホキシル(S(=O)-J1)であり、
各J1及びJ2は独立して、H、C1~C12アルキル、置換C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、置換C2~C12アルケニル、C2~C12アルキニル、置換C2~C12アルキニル、C5~C20アリール、置換C5~C20アリール、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C1~C12アミノアルキル、置換C1~C12アミノアルキル、又は保護基である。
更なる二環式糖部分は、当該技術分野で既知であり、例えば、Freier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429-4443、Albaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731-7740、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630、Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633-5638、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8362-8379、Elayadi et al.,Curr. Opinion Invens. Drugs,2001,2,558-561、Braasch et al.,Chem.Biol.,2001,8,1-7、Orum et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.,2001,3,239-243、Wengel et al.,U.S.7,053,207、Imanishi et al.,U.S.6,268,490、Imanishi et al.U.S.6,770,748、Imanishi et al.,U.S.RE44,779、Wengel et al.,U.S.6,794,499、Wengel et al.,U.S.6,670,461、Wengel et al.,U.S.7,034,133、Wengel et al.,U.S.8,080,644、Wengel et al.,U.S.8,034,909、Wengel et al.,U.S.8,153,365、Wengel et al.,U.S.7,572,582、及びRamasamy et al.,U.S.6,525,191、Torsten et al.,WO2004/106356、Wengel et al.,WO1999/014226、Seth et al.,WO2007/134181、Seth et al.,U.S.7,547,684、Seth et al.,U.S.7,666,854、Seth et al.,U.S.8,088,746、Seth et al.,U.S.7,750,131、Seth et al.,U.S.8,030,467、Seth et al.,U.S.8,268,980、Seth et al.,U.S.8,546,556、Seth et al.,U.S.8,530,640、Migawa et al.,U.S.9,012,421、Seth et al.,U.S.8,501,805、Allerson et al.,US2008/0039618、及びMigawa et al.,US2015/0191727を参照されたい。ある特定の実施形態では、二環式糖部分及びそのような二環式糖部分を組み込むヌクレオシドは、異性体配置によって更に定義される。例えば、LNAヌクレオシド(本明細書に記載される)は、α-L配置又はβ-D配置にあり得る。
【0199】
【0200】
α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)又はα-L-LNA二環式ヌクレオシドは、アンチセンス活性を示したオリゴヌクレオチドに組み込まれている(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。本明細書において、二環式ヌクレオシドの一般的説明は、両方の異性体配置を含む。特定の二環式ヌクレオシド(例えばLNA又はcEt)の位置が、本明細書における例示的な実施形態で特定されるとき、それらは、別途定めがない限り、β-D配置にある。
【0201】
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、1つ以上の非架橋糖置換基及び1つ以上の架橋糖置換基(例えば、5’-置換及び4’-2’架橋糖)を含む。
【0202】
ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、糖サロゲートである。ある特定のそのような実施形態では、糖部分の酸素原子は、例えば、硫黄、炭素、又は窒素原子で置き換えられる。ある特定のそのような実施形態では、そのような修飾された糖部分はまた、本明細書に記載されるような架橋及び/又は非架橋置換基も含む。例えば、ある特定の糖サロゲートは、4’-硫黄原子並びに2’位での置換(例えば、Bhat et al.,U.S.7,875,733及びBhat et al.,U.S.7,939,677を参照のこと)及び/又は5’位での置換を含む。
【0203】
ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、5個の原子以外を有する環を含む。例えば、ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、6員のテトラヒドロピラン(「THP」)を含む。そのようなテトラヒドロピランは、更に修飾又は置換されてもよい。そのような修飾されたテトラヒドロピランを含むヌクレオシドは、これらに限定されないが、ヘキシトール核酸(「HNA」)、アニトール核酸(「ANA」)、マンニトール核酸(「MNA」)(例えば、Leumann,CJ.Bioorg.&Med.Chem.2002,10,841-854を参照のこと)、フルオロHNA:
【0204】
【0205】
(「F-HNA」、例えば、Swayze et al.,U.S.8,088,904、Swayze et al.,U.S.8,440,803、Swayze et al.,U.S.8,796,437、及びSwayze et al.,U.S.9,005,906を参照のこと;F-HNAはまた、F-THP又は3’-フルオロテトラヒドロピランとも称され得る)、及び以下の式を有する追加の修飾されたTHP化合物を含むヌクレオシドを含み、
【0206】
【0207】
式中、独立して、修飾されたTHPヌクレオシドの各々について、
Bxは、核酸塩基部分であり、
T3及びT4は各々独立して、修飾されたTHPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残りに結合するヌクレオシド間結合基であるか、又はT3及びT4の一方は、修飾されたTHPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残りに結合するヌクレオシド間結合基であり、T3及びT4の他方は、H、ヒドロキシル保護基、結合されたコンジュゲート基、又は5’若しくは3’-末端基であり、
q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7は各々独立して、H、C1~C6アルキル、置換C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、置換C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、又は置換C2~C6アルキニルであり、
R1及びR2の各々は、独立して、水素、ハロゲン、置換又は非置換アルコキシ、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2、及びCNの中から選択され、Xは、O、S、又はNJ1であり、各J1、J2、及びJ3は独立して、H又はC1-C6アルキルである。
【0208】
ある特定の実施形態では、修飾されたTHPヌクレオシドが提供され、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7は、Hである。ある特定の実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7のうちの少なくとも1つは、H以外である。ある特定の実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6、及びq7のうちの少なくとも1つは、メチルである。ある特定の実施形態では、修飾されたTHPヌクレオシドが提供され、R1及びR2のうちの1つは、Fである。ある特定の実施形態では、R1は、Fであり、R2は、Hであり、ある特定の実施形態では、R1は、メトキシであり、R2は、Hであり、ある特定の実施形態では、R1は、メトキシエトキシであり、R2は、Hである。
【0209】
ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、5個よりも多くの原子及び1個よりも多くのヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドにおけるそれらの使用が報告されている(例えば、Braasch et al.,Biochemistry,2002、41,4503-4510及びSummerton et al.,U.S.5,698,685、Summerton et al.,U.S.5,166,315、Summerton et al.,U.S.5,185,444、並びにSummerton et al.,U.S.5,034,506を参照のこと)。本明細書で使用する場合、「モルホリノ」という用語は、以下の構造を有する糖サロゲートを意味する。
【0210】
【0211】
ある特定の実施形態では、モルホリノは、例えば、上記のモルホリノ構造から種々の置換基を付加するか又は変更することによって、修飾されてもよい。そのような糖サロゲートは、本明細書で「修飾されたモルホリノ」と称される。
【0212】
ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、非環式部分を含む。そのような非環式糖サロゲートを含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの例には、ペプチド核酸(「PNA」)、非環式ブチル核酸(例えば、Kumar et al.,Org. Biomol. Chem.,2013,11,5853-5865を参照のこと)、並びにManoharan et al.,WO2011/133876に記載されるヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
修飾されたヌクレオシドに使用され得る多くの他の二環式糖及び三環式糖並びに糖サロゲート環系は、当該技術分野で既知である。
【0214】
2. ある特定の修飾された核酸塩基
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾されていない核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含む1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、脱塩基ヌクレオシドと称される、核酸塩基を含まない1つ以上のヌクレオシドを含む。修飾された核酸塩基の例としては、5-メチルシトシンが挙げられる。
【0215】
ある特定の実施形態では、修飾された核酸塩基は、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、アルキル又はアルキニル置換ピリミジン、アルキル置換プリン、並びにN-2、N-6、及びO-6置換プリンから選択される。ある特定の実施形態では、修飾された核酸塩基は、2-アミノプロピルアデニン、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-N-メチルグアニン、6-N-メチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-プロピニル(-C≡C-CH3)ウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-リボシルウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、8-アザ及び他の8-置換プリン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、5-ハロウラシル、及び5-ハロシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、2-N-イソブチリルグアニン、4-N-ベンゾイルシトシン、4-N-ベンゾイルウラシル、5-メチル4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチル4-N-ベンゾイルウラシル、一般的な塩基、疎水性塩基、無差別塩基、サイズ拡張された塩基、並びにフッ素化塩基から選択される。更なる修飾された核酸塩基には、1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン、1,3-ジアザフェノチアジン-2-オン、及び9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン(G-クランプ)などの三環式ピリミジンが含まれる。修飾された核酸塩基は、プリン又はピリミジン塩基が他の複素環、例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン、及び2-ピリドンで置き換えられるものも含み得る。更なる核酸塩基は、Merigan et al.,U.S.3,687,808に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,Kroschwitz,J.I.,Ed.,John Wiley&Sons,1990,858-859、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、Sanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,CRC Press,1993,273-288に開示されるもの、及びChapters 6 and 15,Antisense Drug Technology,Crooke S.T.,Ed.,CRC Press,2008,163-166及び442-443に開示されるものを含む。
【0216】
上記の修飾された核酸塩基、並びに他の修飾された核酸塩基のある特定の調製を教示する出版物には、Manoharan et al.,US2003/0158403、Manoharan et al.,US2003/0175906、Dinh et al.,U.S.4,845,205、Spielvogel et al.,U.S.5,130,302、Rogers et al.,U.S.5,134,066、Bischofberger et al.,U.S.5,175,273、Urdea et al.,U.S.5,367,066、Benner et al.,U.S.5,432,272、Matteucci et al.,U.S.5,434,257、Gmeiner et al.,U.S.5,457,187、Cook et al.,U.S.5,459,255、Froehler et al.,U.S.5,484,908、Matteucci et al.,U.S.5,502,177、Hawkins et al.,U.S.5,525,711、Haralambidis et al.,U.S.5,552,540、Cook et al.,U.S.5,587,469、Froehler et al.,U.S.5,594,121、Switzer et al.,U.S.5,596,091、Cook et al.,U.S.5,614,617、Froehler et al.,U.S.5,645,985、Cook et al.,U.S.5,681,941、Cook et al.,U.S.5,811,534、Cook et al.,U.S.5,750,692、Cook et al.,U.S.5,948,903、Cook et al.,U.S.5,587,470、Cook et al.,U.S.5,457,191、Matteucci et al.,U.S.5,763,588、Froehler et al.,U.S.5,830,653、Cook et al.,U.S.5,808,027、Cook et al.,6,166,199、及びMatteucci et al.,U.S.6,005,096が含まれるが、これらに限定されない。
【0217】
3. ある特定の修飾されたヌクレオシド間結合
RNA及びDNAの天然発生型ヌクレオシド間結合は、3’~5’ホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を使用して一緒に結合されてもよい。ヌクレオシド間結合基の2つの主要なクラスは、リン原子の存否によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、ホスホジエステル結合(「P(O2)=O」)(非修飾又は天然に存在する結合とも称される)を含むホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、メトキシプロピルホスホネート(「MOP」)、ホスホロアミデート、ホスホロチオエート(P(O2)=S)、及びホスホロジチオエート(HS-P=S)が含まれるが、これらに限定されない。代表的な非リン含有ヌクレオシド間結合基には、メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル、チオノカルバメート(-O-C(=O)(NH)-S-)、シロキサン(-O-SiH2-O-)、及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が含まれるが、これらに限定されない。修飾されたヌクレオシド間結合は、天然型ホスホジエステルヌクレオシド間結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を改変、典型的には増加するために使用され得る。ある特定の実施形態では、キラル原子を有するヌクレオシド間結合が、ラセミ混合物として、又は別個のエナンチオマーとして調製され得る。リン含有及びリン非含有ヌクレオシド間結合の調製方法は、当業者に周知である。
【0218】
キラル中心を有する代表的なヌクレオシド間結合には、アルキルホスホネート及びホスホロチオエートが含まれるが、これらに限定されない。キラル中心を有するヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、ステレオランダムヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として、又は特定の立体化学的配置にあるホスホロチオエート又は他のヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドの集団として調製され得る。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含み、全てのホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ステレオランダムである。そのような修飾されたオリゴヌクレオチドは、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の立体化学的配置のランダム選択をもたらす合成方法を使用して生成され得る。それにもかかわらず、各個々のオリゴヌクレオチド分子の各個々のホスホロチオエートは、定義される立体配置を有する。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、特定の独立して選択される立体化学的配置にある1つ以上の特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも65%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも70%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも80%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも90%の分子に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の特定の配置は、集団中の少なくとも99%の分子に存在する。修飾されたオリゴヌクレオチドのそのようなキラル的に濃縮された集団は、当該技術分野で既知の合成方法、例えば、Oka et al.,JACS,2003,125,8307、Wan et al.Nuc.Acid.Res.,2014,42,13456及びWO2017/015555に記載される方法を使用して生成され得る。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Sp)配置にある少なくとも1つの示されるホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、(Rp)配置にある少なくとも1つのホスホロチオエートを有する修飾されたオリゴヌクレオチドについて濃縮されている。ある特定の実施形態では、(Rp)及び/又は(Sp)ホスホロチオエートを含む修飾されたオリゴヌクレオチドは、それぞれ、以下の式のうちの1つ以上を含み、式中、「B」は、核酸塩基を示す。
【0219】
【0220】
別途示されない限り、本明細書に記載される修飾されたオリゴヌクレオチドのキラルヌクレオシド間結合は、ステレオランダムであり得るか、又は特定の立体化学的配置にあり得る。
【0221】
中性ヌクレオシド間結合には、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI(3’-CH2-N(CH3)-O-5’)、アミド-3(3’-CH2-C(=O)-N(H)-5’)、アミド-4(3’-CH2-N(H)-C(=O)-5’)、ホルムアセタール(3’-O-CH2-O-5’)、メトキシプロピル(MOP)、及びチオホルムアセタール(3’-S-CH2-O-5’)が含まれるが、これらに限定されない。更なる中性ヌクレオシド間結合は、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボキシレートエステル、カルボキサミド、スルフィド、スルホネートエステル、及びアミドを含む非イオン結合を含む(例えば、Carbohydrate Modifications in Antisense Research;Y.S.Sanghvi and P.D.Cook,Eds.,ACS Symposium Series 580;Chapters 3 and 4,40-65を参照されたい)。更なる中性ヌクレオシド間結合には、混合N、O、S、及びCH2構成要素部分を含む非イオン結合が含まれる。
【0222】
B.ある特定のモチーフ
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分を含む1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を含有する1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。そのような実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾された、修飾されていない、及び異なって修飾された糖部分、核酸塩基、及び/又はヌクレオシド間結合は、パターン又はモチーフを定義する。ある特定の実施形態では、糖部分、核酸塩基、及びヌクレオシド間結合のパターンは各々、互いに独立している。したがって、修飾されたオリゴヌクレオチドは、その糖モチーフ、核酸塩基モチーフ、及び/又はヌクレオシド間結合モチーフにより説明され得る(本明細書で使用される場合、核酸塩基モチーフは、核酸塩基の配列に依存しない核酸塩基に対する修飾を説明する)。
【0223】
1. ある特定の糖モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されるパターン又は糖モチーフにおいてオリゴヌクレオチド又はその一部に沿って配列される1つ以上の種類の修飾された糖及び/又は修飾されていない糖部分を含む。ある特定の例では、そのような糖モチーフは、本明細書で論じられる糖修飾のうちのいずれかを含むが、これらに限定されない。
【0224】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド、又はその一部は、2’-置換糖部分、二環式糖部分、糖サロゲート、又は2’-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、2’-置換糖部分は、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、及び2’-F修飾された糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、PNA、THP、及びF-HNAから選択される。
【0225】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分を含む少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20個のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾された糖部分は、2’-置換糖部分、二環式糖部分、又は糖サロゲートから独立して選択される。ある特定の実施形態では、2’-置換糖部分は、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、及び2’-F修飾された糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。
【0226】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド全体の各ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む(「完全に修飾されたオリゴヌクレオチド」)。ある特定の実施形態では、完全に修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-置換糖部分、二環式糖部分、又は糖サロゲートを含む。ある特定の実施形態では、2’-置換糖部分は、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、及び2’-F修飾された糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。ある特定の実施形態では、完全に修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、同じ修飾された糖部分(「均一に修飾された糖モチーフ」)を含む。ある特定の実施形態では、均一に修飾された糖部分は、7~20ヌクレオシド長である。ある特定の実施形態では、均一に修飾された糖モチーフの各ヌクレオシドは、2’-置換糖部分、二環式糖部分、又は糖サロゲートを含む。ある特定の実施形態では、2’-置換糖部分は、2’-MOE修飾された糖部分、2’-NMA修飾された糖部分、2’-OMe修飾された糖部分、及び2’-F修飾された糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖サロゲートは、モルホリノ、修飾されたモルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの完全に修飾された糖モチーフを有する修飾されたオリゴヌクレオチドはまた、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、又は少なくとも4個の2’-デオキシリボヌクレオシドを含んでもよい。
【0227】
2. ある特定の核酸塩基モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されるパターン又はモチーフにおいてオリゴヌクレオチド又はその一部に沿って配列される修飾された及び/又は修飾されていない核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、各核酸塩基は、修飾されている。ある特定の実施形態では、核酸塩基のうちのいずれも修飾されていない。ある特定の実施形態では、各プリン又は各ピリミジンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各アデニンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各グアニンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各チミンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各ウラシルが、修飾されている。ある特定の実施形態では、各シトシンが、修飾されている。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドのシトシン核酸塩基のうちのいくつか又は全ては、5-メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、シトシン核酸塩基の全ては、5-メチルシトシンであり、修飾されたオリゴヌクレオチドの他の核酸塩基の全ては、修飾されていない核酸塩基である。
【0228】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基のブロックを含む。ある特定のそのような実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端から3ヌクレオシド以内にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端から3ヌクレオシド以内にある。
【0229】
3. ある特定のヌクレオシド間結合モチーフ
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、定義されるパターン又はモチーフにおいてオリゴヌクレオチド又はその一部に沿って配列される修飾された及び/又は修飾されていないヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシド間結合基は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合基は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合及びホスホジエステルヌクレオシド間結合から独立して選択される。ある特定の実施形態では、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は独立して、ステレオランダムホスホロチオエート、(Sp)ホスホロチオエート、及び(Rp)ホスホロチオエートから選択される。
【0230】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、又は少なくとも19個のホスホジエステルヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、又は少なくとも19個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、又は少なくとも5個のホスホジエステルヌクレオシド間結合を含み、ヌクレオシド間結合の残りは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’へ)sssssssssssssssssのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表す。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’へ)sosssssssosssssssのヌクレオシド間結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。
【0231】
C.ある特定の長さ
オリゴヌクレオチドの長さを、活性を排除することなく増加又は減少させることが可能である。例えば、Woolf et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1992,89,7305-7309,1992)では、13~25核酸塩基長の一連のオリゴヌクレオチドが、卵母細胞注射モデルにおける標的核酸の切断を誘導するそれらの能力について試験された。オリゴヌクレオチドの末端付近に8個又は11個のミスマッチ塩基を有する25核酸塩基長のオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含まないオリゴヌクレオチドよりも低い程度ではあるが、標的核酸の特異的切断を誘導することができた。同様に、標的特異的切断は、1つ又は3つのミスマッチを有するものを含む13個の核酸塩基のオリゴヌクレオチドを使用して達成された。
【0232】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾されたオリゴヌクレオチドを含む)は、様々な長さ範囲のうちのいずれかを有し得る。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、X~Y個の結合されたヌクレオシドからなり、但し、Xは、その範囲の最小数のヌクレオシドを表し、Yは、その範囲の最大数のヌクレオシドを表す。ある特定のそのような実施形態では、X及びYは、各々独立して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50から選択されるが、但し、XがY以下であることを条件とする。例えば、ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~13、12~14、12~15、12~16、12~17、12~18、12~19、12~20、12~21、12~22、12~23、12~24、12~25、12~26、12~27、12~28、12~29、12~30、13~14、13~15、13~16、13~17、13~18、13~19、13~20、13~21、13~22、13~23、13~24、13~25、13~26、13~27、13~28、13~29、13~30、14~15、14~16、14~17、14~18、14~19、14~20、14~21、14~22、14~23、14~24、14~25、14~26、14~27、14~28、14~29、14~30、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、15~25、15~26、15~27、15~28、15~29、15~30、16~17、16~18、16~19、16~20、16~21、16~22、16~23、16~24、16~25、16~26、16~27、16~28、16~29、16~30、17~18、17~19、17~20、17~21、17~22、17~23、17~24、17~25、17~26、17~27、17~28、17~29、17~30、18~19、18~20、18~21、18~22、18~23、18~24、18~25、18~26、18~27、18~28、18~29、18~30、19~20、19~21、19~22、19~23、19~24、19~25、19~26、19~27、19~28、19~29、19~30、20~21、20~22、20~23、20~24、20~25、20~26、20~27、20~28、20~29、20~30、21~22、21~23、21~24、21~25、21~26、21~27、21~28、21~29、21~30、22~23、22~24、22~25、22~26、22~27、22~28、22~29、22~30、23~24、23~25、23~26、23~27、23~28、23~29、23~30、24~25、24~26、24~27、24~28、24~29、24~30、25~26、25~27、25~28、25~29、25~30、26~27、26~28、26~29、26~30、27~28、27~29、27~30、28~29、28~30、又は29~30個の結合されたヌクレオシドからなる。
【0233】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16個の結合されたヌクレオシドからなる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、17個の結合されたヌクレオシドからなる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、18個の結合されたヌクレオシドからなる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、19個の結合されたヌクレオシドからなる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、20個の結合されたヌクレオシドからなる。
【0234】
D.ある特定の修飾されたオリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態では、上記の修飾(糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合)は、修飾されたオリゴヌクレオチドに組み込まれる。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、それらの修飾モチーフ及び全長によって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、そのようなパラメータは、各々、互いに独立している。したがって、別途示されない限り、特定の糖モチーフを有するオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、修飾されていても、又は修飾されていなくてもよく、糖修飾の修飾パターンに従う場合も、従わない場合もある。別途示されない限り、いずれの修飾も、核酸塩基配列とは独立している。
【0235】
E.修飾されたオリゴヌクレオチドのある特定の集団
集団の修飾されたオリゴヌクレオチドが全て同じ分子式を有する修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、ステレオランダム集団又はキラル的に濃縮された集団であり得る。全ての修飾されたオリゴヌクレオチドのキラル中心は全て、ステレオランダム集団においてステレオランダムである。キラル的に濃縮された集団において、少なくとも1つの特定のキラル中心は、集団の修飾されたオリゴヌクレオチドにおいてステレオランダムではない。ある特定の実施形態では、キラル的に濃縮された集団の修飾されたオリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分について濃縮されており、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全ては、ステレオランダムである。ある特定の実施形態では、キラル的に濃縮された集団の修飾されたオリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分、及び特定の立体化学的配置にある少なくとも1つの特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合の両方について濃縮されている。
【0236】
F.核酸塩基配列
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾されていない又は修飾されたオリゴヌクレオチド)は、それらの核酸塩基配列によって更に説明される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチド又は標的核酸などの特定されている参照核酸に相補的な核酸塩基配列を有する。ある特定のそのような実施形態では、オリゴヌクレオチドの一部は、第2のオリゴヌクレオチド又は標的核酸などの特定されている参照核酸に相補的な核酸塩基配列を有する。ある特定のそのような実施形態では、オリゴヌクレオチドの一部は、第2のオリゴヌクレオチド又は標的核酸などの特定されている参照核酸に相補的な核酸塩基配列を有する。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの一部又は全長の核酸塩基配列は、第2のオリゴヌクレオチド又は標的核酸などの核酸と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%相補的である。
【0237】
II. ある特定のオリゴマー化合物
ある特定の実施形態では、(修飾された又は修飾されていない)オリゴヌクレオチドと、任意選択的に、1つ以上のコンジュゲート基及び/又は末端基と、からなるオリゴマー化合物が、本明細書に提供される。コンジュゲート基は、1つ以上のコンジュゲート部分及びコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合するコンジュゲートリンカーからなる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端若しくは両端及び/又は任意の内部位置に結合され得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端又は両端に結合されたコンジュゲート基は、末端基である。ある特定のそのような実施形態では、コンジュゲート基又は末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/又は5’末端に結合される。ある特定のそのような実施形態では、コンジュゲート基(又は末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの3’末端付近に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基(又は末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの5’末端付近に結合される。
【0238】
末端基の例には、コンジュゲート基、キャッピング基、ホスフェート部分、保護基、脱塩基ヌクレオシド、修飾された又は修飾されていないヌクレオシド、及び独立して修飾された又は修飾されていない2つ以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0239】
A.ある特定のコンジュゲート基
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のコンジュゲート基に共有結合している。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、薬力学、薬物動態学、安定性、結合、吸収、組織分布、細胞分布、細胞取り込み、電荷、及びクリアランスを含むが、これらに限定されない、結合したオリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を改変する。
【0240】
ある特定の実施形態では、1つ以上の炭水化物部分の修飾されたオリゴヌクレオチドへのコンジュゲーションは、修飾されたオリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を最適化することができる。ある特定の実施形態では、炭水化物部分は、修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾されたサブユニットに結合される。例えば、修飾されたオリゴヌクレオチドの1つ以上のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが結合している非炭水化物(好ましくは環状)担体で置き換えることができる。サブユニットのリボース糖がそのように置き換えられているリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書では、修飾された糖部分であるリボース置換修飾サブユニット(RRMS)と称される。環状担体は、炭素環系であり得、すなわち、1つ以上の環原子は、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄であり得る。環状担体は、単環式環系であり得るか、又は2つ以上の環、例えば縮合環を含み得る。環状担体は、完全に飽和した環系であり得るか、又は1つ以上の二重結合を含み得る。
【0241】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合したオリゴヌクレオチドに新たな特性、例えばオリゴヌクレオチドの検出を可能にするフルオロフォア又はレポーター基を付与する。ある特定のコンジュゲート基及びコンジュゲート部分は、以前に説明されており、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306-309、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20、533-538)、脂肪族鎖、例えば、ド-デカン-ジオール又はウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロール又はトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969-973)、又はアダマンタン酢酸パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミン又はヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol. Exp. Ther.,1996,277,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220、及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、又はGalNAcクラスター(例えば、WO2014/179620)である。
【0242】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C17アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、C5アルキル、C22アルケニル、C20アルケニル、C16アルケニル、C10アルケニル、C21アルケニル、C19アルケニル、C18アルケニル、C17アルケニル、C15アルケニル、C14アルケニル、C13アルケニル、C12アルケニル、C11アルケニル、C9アルケニル、C8アルケニル、C7アルケニル、C6アルケニル、又はC5アルケニルのうちのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得る。
【0243】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C17アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、又はC5アルキルのうちのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得、アルキル鎖は、1つ以上の不飽和結合を有する。
【0244】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、以下の構造を有する脂質である。
【0245】
【0246】
1. コンジュゲート部分
コンジュゲート部分には、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、親油基、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア、及び色素が含まれるが、これらに限定されない。
【0247】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、活性薬原薬、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ薬、抗糖尿病薬、抗菌薬、又は抗生物質を含む。
【0248】
2. コンジュゲートリンカー
コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合している。ある特定のオリゴマー化合物では、コンジュゲートリンカーは、単一の化学結合である(すなわち、コンジュゲート部分は、単結合を介してオリゴヌクレオチドに直接結合している)。ある特定のオリゴマー化合物では、コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを構成するサブユニットである、1つ以上のコンジュゲートリンカー部分を含むより複雑なコンジュゲートリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ヒドロカルビル鎖などの鎖構造、又はエチレングリコール、ヌクレオシド、若しくはアミノ酸単位などの繰り返し単位のオリゴマーを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ピロリジンを含む。
【0249】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノから選択される1つ以上の基を含む。ある特定のそのような実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル基、アミノ基、オキソ基、アミド基、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びアミド基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン酸基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つの中性結合基を含む。
【0250】
ある特定の実施形態では、上述のコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲートリンカーは、二官能性結合部分、例えば、コンジュゲート部分を本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドなどの化合物に結合させるのに有用であることが当該技術分野で知られているものである。一般に、二官能性結合部分には少なくとも2つの官能基が含まれる。官能基のうちの一方は、化合物の特定の部位と反応するように選択され、他方は、コンジュゲート部分と反応するように選択される。二官能性結合部分に使用される官能基の例としては、これらに限定されるものではないが、求核性基と反応するための求電子基及び求電子基と反応するための求核性基が挙げられる。ある特定の実施形態では、二官能性結合部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル、及びアルキニルから選択される1つ以上の基を含む。
【0251】
コンジュゲートリンカーの例としては、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、及び6-アミノヘキサン酸(AHEX又はAHA)が挙げられるが、これらに限定されない。他のコンジュゲートリンカーには、限定されないが、置換若しくは非置換C1~C10アルキル、置換若しくは非置換C2~C10アルケニル、又は置換若しくは非置換C2~C10アルキニルが挙げられ、好ましい置換基の非限定的一覧には、限定されないが、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルが挙げられる。
【0252】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1~10個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2~5個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1~3個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ちょうど3個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、TCAモチーフを含む。ある特定の実施形態では、そのようなリンカーヌクレオシドは、修飾されたヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、そのようなリンカーヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、修飾されていない。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジン、又は置換ピリミジンから選択される、任意選択的に保護される複素環式塩基を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン、及び2-N-イソブチリルグアニンから選択されるヌクレオシドである。リンカーヌクレオシドは、標的組織に到達した後、オリゴマー化合物から切断されることが典型的には望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは典型的には、切断可能な結合を介して互いにかつオリゴマー化合物の残部に結合される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0253】
本明細書において、リンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一部であるとはみなされない。したがって、オリゴマー化合物が、特定の数又は範囲の結合されたヌクレオシド及び/又は参照核酸との特定のパーセントの相補性からなるオリゴヌクレオチドを含み、かつオリゴマー化合物が、リンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲート基も含むような実施形態では、これらのリンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの長さにカウントされず、参照核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補性パーセントの決定に用いられない。例えば、オリゴマー化合物は、(1)8~30個のヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドと、(2)修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシドと連続する1~10個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲート基と、を含み得る。そのようなオリゴマー化合物における連続する結合されたヌクレオシドの総数は、30個を超える。あるいは、オリゴマー化合物は、8~30個のヌクレオシドからなり、かつコンジュゲート基が存在しない修飾されたオリゴヌクレオチドを含み得る。そのようなオリゴマー化合物における連続する結合されたヌクレオシドの総数は、30個以下である。別途示されない限り、コンジュゲートリンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1個以下のリンカーヌクレオシドを含む。
【0254】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基がオリゴヌクレオチドから切断されることが望ましい。例えば、特定の状況において、特定のコンジュゲート部分を含むオリゴマー化合物は、特定の細胞型により取り込まれやすいが、オリゴマー化合物が取り込まれた後、コンジュゲート基が切断されて、非コンジュゲート又は親オリゴヌクレオチドが放出されることが望ましい。したがって、ある特定のコンジュゲートリンカーは、1つ以上の切断可能な部分を含み得る。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、少なくとも1つの切断可能な結合を含む原子団である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ、2つ、3つ、4つ、又は4つよりも多くの切断可能な結合を有する原子団を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リソソームなどの細胞又は細胞内コンパートメントの内側で選択的に切断される。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼなどの内在性酵素によって選択的に切断される。
【0255】
ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方若しくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバメート、又はジスルフィドの中から選択される。ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、ホスホジエステルの一方又は両方のエステルである。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ホスフェート又はホスホジエステルを含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分又はコンジュゲート基との間のリン酸結合である。
【0256】
ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ以上のリンカーヌクレオシドを含むか、又はそれからなる。ある特定のそのような実施形態では、1つ以上のリンカーヌクレオシドは、切断可能な結合によって、互いに及び/又はオリゴマー化合物の残りに結合される。ある特定の実施形態では、そのような切断可能な結合は、修飾されていないホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ホスフェートヌクレオシド間結合によってオリゴヌクレオチドの3’又は5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合しており、かつホスホジエステル結合又はホスホロチオエートヌクレオシド間結合によってコンジュゲートリンカー又はコンジュゲート部分の残りの部分に共有結合している2’-デオキシリボヌクレオシドである。ある特定のそのような実施形態では、切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0257】
1. 細胞標的化部分
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の一般式を有し、
【0258】
【0259】
式中、nは1~約3であり、nが1の場合mは0であり、nが2以上の場合mは1であり、jは1又は0であり、kは1又は0である。
【0260】
ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、1である。
【0261】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合された2つのテザーリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合された3つのテザーリガンドを含む。
【0262】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各リガンドは、標的細胞上の少なくとも1つの受容体型に対して親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、哺乳動物の肝臓細胞の表面上の少なくとも1つの受容体型に親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)に親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、炭水化物である。
【0263】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化コンジュゲート部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の一般式を有し、
【0264】
【0265】
式中、nは1~約3であり、nが1の場合mは0であり、nが2以上の場合mは1であり、jは1又は0であり、kは1又は0である。
【0266】
ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、1であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2であり、jは、1であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、0である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、0であり、kは、1である。ある特定の実施形態では、nは、3であり、jは、1であり、kは、1である。
【0267】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合された2つのテザーリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合された3つのテザーリガンドを含む。
【0268】
B.ある特定の末端基
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、1つ以上の末端基を含む。ある特定のそのような実施形態では、オリゴマー化合物は、安定化された5’-ホスフェートを含む。安定化された5’-ホスフェートには、これらに限定されないが、5’-ビニルホスホネートを含むがこれらに限定されない5’-ホスファネート(5’-phosphanate)が含まれる。ある特定の実施形態では、末端基は、1つ以上の脱塩基糖部分及び/又は逆ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、末端基は、1つ以上の2’-結合されたヌクレオシド又は糖部分を含む。ある特定のそのような実施形態では、2’-結合された基は、脱塩基糖部分である。
【0269】
C.オリゴマー二本鎖
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるオリゴマー化合物は、標的核酸の配列と相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は第2のオリゴマー化合物と対合してオリゴマー二本鎖を形成する。そのようなオリゴマー二本鎖は、標的核酸に相補的な部分を有する第1のオリゴマー化合物と、第1のオリゴマー化合物に相補的な部分を有する第2のオリゴマー化合物とを含む。ある特定の実施形態では、オリゴマー二本鎖の第1のオリゴマー化合物は、(1)修飾された又は修飾されていないオリゴヌクレオチド及び任意選択的にコンジュゲート基と、(2)第2の修飾された又は修飾されていないオリゴヌクレオチド及び任意選択的にコンジュゲート基と、を含むか、又はそれらからなる。オリゴマー二本鎖の一方又は両方のオリゴマー化合物は、コンジュゲート基を含み得る。オリゴマー二本鎖の各オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドは、非相補的な突出ヌクレオシドを含み得る。
【0270】
D.アンチセンス活性
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物及びオリゴマー二本鎖は、標的核酸にハイブリダイズすることで少なくとも1つのアンチセンス活性を与えることができる。そのようなオリゴマー化合物及びオリゴマー二本鎖は、アンチセンス化合物である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、それらが標準インビトロアッセイにおいて標的核酸の量又は活性を25%以上低減するか、調整するか、又は増加させる場合に、アンチセンス活性を有する。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸に選択的に作用する。そのようなアンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸にハイブリダイズして1つ以上の所望のアンチセンス活性を与え、かつ1つ以上の非標的核酸にはハイブリダイズしないか、又は重大な望ましくないアンチセンス活性をもたらすような形で1つ以上の非標的核酸にハイブリダイズしない核酸塩基配列を含む。
【0271】
ある特定のアンチセンス活性では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、RNaseHを介した標的核酸の切断をもたらす。RNaseHは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。そのようなRNA:DNA二本鎖のDNAは、修飾されていないDNAである必要はない。ある特定の実施形態では、RNase H活性を誘発するのに十分に「DNA様」であるアンチセンス化合物が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、ギャップマーのギャップ内の1つ以上の非DNA様ヌクレオシドが許容される。
【0272】
ある特定のアンチセンス活性では、アンチセンス化合物又はアンチセンス化合物の部分は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれ、最終的に標的核酸の切断をもたらす。例えば、ある特定のアンチセンス化合物は、アルゴノートによる標的核酸の切断をもたらす。RISCに取り込まれたアンチセンス化合物は、RNAi化合物である。RNAi化合物は、二本鎖(siRNA若しくはdsRNAi)又は一本鎖(ssRNA)であり得る。
【0273】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、その標的核酸を切断するタンパク質の動員をもたらさない。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸のスプライシングの変化をもたらす。ある特定の実施形態では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、標的核酸とタンパク質又は他の核酸との結合相互作用の阻害をもたらす。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸の翻訳の変化をもたらす。ある特定の実施形態では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、エクソンの包含をもたらす。ある特定の実施形態では、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、標的核酸の量又は活性の増加をもたらす。ある特定の実施形態では、標的核酸に相補的なアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションは、スプライシングの変化をもたらし、mRNAへのエクソンの包含又は除外をもたらす。
【0274】
アンチセンス活性は、直接的又は間接的に観察することができる。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性の観察又は検出は、標的核酸若しくはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量の変化、核酸若しくはタンパク質のスプライス変異体の比の変化、及び/又は細胞若しくは対象の表現型の変化の観察又は検出を行う。
【0275】
III. ある特定の標的核酸
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的な部分を含むオリゴヌクレオチドを含むか、又はそれからなる。ある特定の実施形態では、標的核酸は、内因性RNA分子である。ある特定の実施形態では、標的核酸は、タンパク質をコードする。ある特定のそのような実施形態では、標的核酸は、イントロン、エクソン、及び非翻訳領域を含む成熟mRNA及びpre-mRNAから選択される。ある特定の実施形態では、標的核酸は、成熟mRNAである。ある特定の実施形態では、標的核酸は、pre-mRNAである。ある特定の実施形態では、標的領域は、完全にイントロン内にある。ある特定の実施形態では、標的領域は、イントロン/エクソン接合部にまたがる。ある特定の実施形態では、標的領域は、少なくとも50%がイントロン内にある。
【0276】
A.標的核酸との相補性/ミスマッチ
活性を消失させることなくミスマッチ塩基を導入することが可能である。例えば、Gautschi et al(J.Natl.Cancer Inst.93:463-471,March 2001)は、bcl-2 mRNAとの100%相補性を有し、bcl-xL mRNAとの3つの不適合を有し、インビトロ及びインビボでbcl-2及びbcl-xLの両方の発現を低減するオリゴヌクレオチドの能力を示した。更に、このオリゴヌクレオチドはインビボで強力な抗腫瘍活性も示した。Maher and Dolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341-3358,1988)は、一連のタンデム14核酸塩基オリゴヌクレオチド、並びに、それぞれ、タンデムオリゴヌクレオチドの2つ又は3つの配列から構成される28及び42核酸塩基オリゴヌクレオチドを、ウサギ網赤血球アッセイにおいてヒトDHFRの翻訳を停止するそれらの能力について試験した。3つの14核酸塩基オリゴヌクレオチドの各々は単独で、28又は42核酸塩基オリゴヌクレオチドよりも適度なレベルではあるが、翻訳を阻害することができた。
【0277】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの全長にわたって標的核酸に相補的である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸と99%、95%、90%、85%、又は80%相補的である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さ全体にわたって標的核酸と少なくとも80%相補的であり、標的核酸と100%又は完全に相補的な部分を含む。ある特定の実施形態では、完全相補性の部分は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20核酸塩基長である。
【0278】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して1つ以上のミスマッチな核酸塩基を含む。ある特定のそのような実施形態では、ミスマッチは、オリゴヌクレオチドの5’-末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20位にある。
【0279】
B.プログラニュリン
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、プログラニュリンをコードする標的核酸、又はその一部と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドを含むか、又はそれからなる。ある特定の実施形態では、標的核酸は、配列番号1(ヌクレオチド44342001~44356000から切断されたGENBANK受託番号NC_000017.11)、配列番号2(GENBANK受託番号NM_002087.3)、又はその両方に示される配列を有する。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、18個、19個、又は20個の結合されたヌクレオシドからなる修飾されたオリゴヌクレオチドを含むか、又はそれからなり、修飾されたオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、配列番号12~854の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも16個、少なくとも17個、又は18個の連続する核酸塩基を含む。
【0280】
ある特定の実施形態では、細胞をオリゴマー化合物と接触させることで、細胞内のプログラニュリンRNAの量を調節する。ある特定の実施形態では、細胞をオリゴマー化合物と接触させることで、細胞内のプログラニュリンRNAの量を増加させる。ある特定の実施形態では、細胞をオリゴマー化合物と接触させることで、細胞内のプログラニュリンタンパク質の量を調節する。ある特定の実施形態では、細胞をオリゴマー化合物と接触させることで、細胞内のプログラニュリンタンパク質の量を増加させる。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾されたオリゴヌクレオチドからなる。
【0281】
ある特定の実施形態では、対象における細胞をオリゴマー化合物と接触させることにより、神経系疾患又は障害の1つ以上の症状又は特徴を緩和する。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、FTDである。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、FTLDである。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、NCLである。ある特定の実施形態では、神経系疾患又は障害は、TDP-43プロテイノパチーである。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、リソソーム蓄積症である。いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、ALSである。ある特定の実施形態では、症状又は特徴は、行動及び性格の悪化、言語障害、筋肉若しくは運動機能の障害若しくは改変、記憶喪失、認知機能障害、振戦、発作、又はめまいのうちのいずれかである。
【0282】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標準的なインビトロアッセイに従って試験されたときに、インビトロでプログラニュリンRNAを少なくとも5倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍増加させることができる。
【0283】
C.ある特定の組織中のある特定の標的核酸
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴマー化合物は、標的核酸と相補的な部分を含むオリゴヌクレオチドを含むか、又はそれからなり、標的核酸は、薬理学的に関連する組織中に発現される。ある特定の実施形態では、薬理学的関連する組織は、中枢神経系(CNS)を含む細胞及び組織である。そのような組織には、皮質、視床下部、海馬、小脳、及び冠状脳組織などの脳組織が含まれる。
【0284】
IV. ある特定の薬学的組成物
ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー化合物を含む薬学的組成物が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー化合物は、各々、修飾されたオリゴヌクレオチドからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物には、薬学的に許容される希釈剤又は担体が含まれる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、滅菌生理食塩水及び1つ以上のオリゴマー化合物を含むか、又はそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌生理食塩水は、医薬品グレードの生理食塩水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び滅菌水を含むか、又はそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌水は、医薬品グレードの水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むか、又はそれらからなる。ある特定の実施形態では、滅菌PBSは、医薬品グレードのPBSを含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び人工脳脊髄液(「人工CSF」又は「aCSF」)を含むか、又はそれらからなる。ある特定の実施形態では、人工脳脊髄液は、医薬品グレードである。
【0285】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及び人工脳脊髄液を含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及び人工脳脊髄液からなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及び人工脳脊髄液から本質的になる。ある特定の実施形態では、人工脳脊髄液は、医薬品グレードの人工脳脊髄液である。
【0286】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及びPBSを含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及びPBSからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、修飾されたオリゴヌクレオチド及びPBSから本質的になる。ある特定の実施形態では、PBSは、医薬品グレードのPBSを含む。
【0287】
ある特定の実施形態では、aCSFは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸二無水ナトリウム二水和物、塩化カルシウム二水和物、及び塩化マグネシウム六水和物を含む。ある特定の実施形態では、aCSF溶液のpHは、適切なpH調整剤、例えば、塩酸などの酸及び水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いて、約7.1~7.3、又は約7.2の範囲に調節される。
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物及び1つ以上の賦形剤を含む。ある特定の実施形態では、賦形剤は、水、食塩水、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、滑石、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選択される。
【0288】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、薬学的組成物又は配合物の調製のために薬学的に許容される活性及び/又は不活性物質と混合されてもよい。薬学的組成物の製剤化のための組成物及び方法は、投与の経路、疾患の程度、又は投与される用量を含むがこれらに限定されない、複数の基準に依存する。
【0289】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物を含む薬学的組成物は、オリゴマー化合物の任意の薬学的に許容される塩、オリゴマー化合物のエステル、又はこのようなエステルの塩を包含する。ある特定の実施形態では、1つ以上のオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を含む薬学的組成物は、ヒトを含む対象に投与される際、生物学的に活性な代謝物又はその残渣を(直接的又は間接的に)与えることができる。したがって、例えば、本開示は、オリゴマー化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的等価物も対象とする。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される塩は、一価又は二価の無機塩などの無機塩を含む。好適な薬学的に許容される塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、プロドラッグは、修飾されたオリゴヌクレオチドに結合された1つ以上のコンジュゲート基を含み、このコンジュゲート基は、体内の内因性ヌクレアーゼによって切断される。ある特定の実施形態では、プロドラッグは、修飾されたオリゴヌクレオチドに結合された1つ以上のコンジュゲート基を含み、このコンジュゲート基は、体内の内因性ヌクレアーゼによって切断される。
【0290】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、凍結乾燥され、ナトリウム塩として単離される。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物のナトリウム塩は、薬学的に許容される希釈剤と混合される。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、滅菌食塩水、滅菌水、PBS、又はaCSFを含む。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物のナトリウム塩は、PBSと混合される。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物のナトリウム塩は、aCSFと混合される。
【0291】
脂質部分は、様々な方法で核酸療法において使用されている。ある特定のそのような方法において、オリゴマー化合物のような核酸は、カチオン性脂質と中性脂質との混合物から調製された予め形成されたリポソーム又はリポプレックスに導入される。ある特定の方法において、モノ又はポリカチオン性脂質とのDNA複合体は、中性脂質の非存在下で形成される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、特定の細胞又は組織への医薬剤の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、脂肪組織への医薬剤の分布を増加させるように選択される。ある特定の実施形態では、脂質部分は、筋組織に対する医薬剤の分布を増加させるように選択される。
【0292】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、送達系を含む。送達系の例としては、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の送達系は、疎水性化合物を含むものを含む特定の薬学的組成物の調製に有用である。ある特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドなどのある特定の有機溶媒が使用される。
【0293】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、特定の組織又は細胞型に本明細書で提供されるオリゴマー化合物を含む1つ以上の医薬剤を送達するように設計された、1つ以上の組織特異的送達分子を含む。例えば、ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。
【0294】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、共溶媒系を含む。ある特定のそのような共溶媒系は、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水相を含む。ある特定の実施形態では、そのような共溶媒系は、疎水性化合物に使用される。そのような共溶媒系の非限定的な例は、VPD共溶媒系であり、それは、3%w/vベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤Polysorbate 80(商標)、及び65%w/vポリエチレングリコール300を含む無水エタノールの溶液である。そのような共溶媒系の割合は、それらの溶解性及び毒性特性を著しく改変することなく、かなり変化し得る。更に、共溶媒構成成分の同一性は、変化してもよく、例えば、他の界面活性剤が、Polysorbate80(商標)の代わりに使用されてもよく、ポリエチレングリコールの画分サイズは変化してもよく、他の生体適合性ポリマーが、ポリエチレングリコール、例えば、ポリビニルピロリドンを置き換えてもよく、他の糖又は多糖類が、デキストロースを置換してもよい。
【0295】
ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、経口投与のために調製される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、口腔内投与のために調製される。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内(IT)、脳室内(ICV)、神経内、神経周囲など)による投与のために調製される。ある特定のそのような実施形態では、薬学的組成物は、担体を含み、水などの水溶液中、又はハンクス溶液、リンガー溶液、若しくは生理食塩水緩衝剤などの生理学的に適合する緩衝剤中で製剤化される。ある特定の実施形態では、他の成分が含まれる(例えば、溶解性を補助するか、又は防腐剤として役立つ成分)。ある特定の実施形態では、注射可能な懸濁液は、適切な液体担体、懸濁液などを使用して調製される。注射用のある特定の薬学的組成物は、単位剤形、例えば、アンプル又は複数回投与容器内にある。注射用のある特定の薬学的組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又はエマルジョンであり、懸濁液、安定化剤、及び/又は分散剤などの処方剤を含み得る。注射用の薬学的組成物での使用に好適なある特定の溶媒には、ゴマ油などの親油性溶媒及び脂肪油、オレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、並びにリポソームが含まれるが、これらに限定されない。
【0296】
ある特定の条件下では、本明細書で開示する特定の化合物は、酸として機能する。そのような化合物は、プロトン化(遊離酸)形態で、又はイオン化されカチオンと会合した(塩)形態で図示又は記載され得るが、そのような化合物の水溶液は、そのような形態の間で平衡状態で存在する。例えば、水溶液中のオリゴヌクレオチドのリン酸結合は、遊離酸、アニオン、及び塩形態の間で平衡状態で存在する。別途示されない限り、本明細書に開示される化合物は、全てのそのような形態を含むよう意図されている。更に、ある特定のオリゴヌクレオチドは、いくつかのそのような結合を有し、その各々は均衡状態にある。したがって、溶液中のオリゴヌクレオチドは、複数の位置で全て平衡状態である、形態の集合として存在する。「オリゴヌクレオチド」という用語は、全てのそのような形態を含むことが意図される。図示される構造は、必然的に単一の形態が描かれる。それにもかかわらず、別途示されない限り、そのような描写は、同様に対応する形態を含むよう意図されている。本明細書では、化合物の遊離酸の後に「又はその塩」又は「又はその薬学的に許容される塩」という用語が後に続く構造は、完全又は部分的にプロトン化されている/脱プロトン化されている/カチオン又はカチオンの組み合わせと会合し得る全てのそのような形態を明らかに含む。ある特定の実施形態では、1つ以上のある特定のカチオンが、特定される。カチオンとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、化合物の遊離酸の後に「又はその薬学的に許容される塩」という用語が後に続く構造は、完全又は部分的にプロトン化されている/脱プロトン化されている/ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムから選択される、1つ以上のカチオンと会合し得る全てのそのような形態を明らかに含む。
【0297】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物は、ナトリウムを含む水溶液中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物は、カリウムを含む水溶液中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物は、PBS中にある。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物は、水中にある。ある特定のそのような実施形態では、溶液のpHは、NaOH及び/又はHClで調整され、所望のpHを達成する。
【0298】
本明細書において、ある特定の用量が記載される。用量は、投薬単位の形態であり得る。説明を明確にするため、ミリグラム単位の修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物の用量(又は投与単位)は、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物の遊離酸形態の質量を示す。上記のように、水溶液中では、遊離酸はアニオン型及び塩型の平衡状態にある。しかしながら、用量を計算する目的のために、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物が、無溶媒、無酢酸ナトリウム、無水、遊離酸として存在すると仮定される。例えば、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物がナトリウムを含む溶液中にある場合(例えば、生理食塩水)、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物は、部分的又は完全に脱プロトン化され、Na+イオンと会合し得る。しかしながら、それでも、プロトンの質量は、用量の重量に計数され、Na+イオンの質量は、用量の重量に計数されない。したがって、例えば、10mgの化合物番号1557993の用量又は投薬単位は、10mgの重量を有する完全にプロトン化された分子の数に等しい。これは、無溶媒、無酢酸ナトリウム、無水ソディエーションした(sodiated)化合物番号1557993の10.51mgに相当する。オリゴマー化合物がコンジュゲート基を含む場合、コンジュゲート基の質量は、そのようなオリゴマー化合物の用量の計算に含まれる。コンジュゲート基がまた酸を有する場合、コンジュゲート基も同様に、用量を計算する目的で完全にプロトン化されていると仮定される。
【0299】
ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムを含むaCSFなどの溶液中にある場合、修飾されたオリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物は、部分的又は完全に脱プロトン化され、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及び/又はマグネシウムと会合し得る。しかしながら、それでも、プロトンの質量は、用量の重量に計数され、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムイオンの質量は、用量の重量に計数されない。
【0300】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物がコンジュゲート基を含む場合、コンジュゲート基の質量は、そのようなオリゴマー化合物の用量の計算に含まれる。コンジュゲート基がまた酸を有する場合、コンジュゲート基も同様に、用量を計算する目的で完全にプロトン化されていると仮定される。
【0301】
V.ある特定のホットスポット領域
ある特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基8,497~8,552は、ホットスポット領域を含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、配列番号1の核酸塩基8,497~8,552内の一部と相補的である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、18核酸塩基長である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチド全体の各ヌクレオシドは、2’-MOE糖部分を含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドは、(5’から3’へ)sosssssssosssssssのヌクレオシド間結合モチーフを含む。
【0302】
配列番号34、268、345、424、501、579、657、735、800、801、806、812、813、816、821、828、844、及び847の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基8,497~8,552の一部と相補的である。
【0303】
化合物番号1212177、1212178、1212179、1212180、1212181、1212182、1212183、1212184、1366757、1366758、1366763、1366769、1366770、1366773、1366778、1366785、1366801、及び1366804の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基8,497~8,552内の一部と相補的である。
【0304】
ある特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基8,497~8,552内の一部と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドは、標準インビトロアッセイにおいてプログラニュリンRNAの少なくとも100%の発現を達成する。ある特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基8,497~8,552内の一部と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドは、標準インビトロアッセイにおいて平均でプログラニュリンRNAの147%の発現を達成する。
【0305】
非限定的な開示及び参照による組み込み
本明細書に列記される文献及び特許公開は各々、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書に記載されるある特定の化合物、組成物、及び方法が、ある特定の実施形態に従って具体的に記載されているが、以下の実施例は、本明細書に記載される化合物を例証するものにすぎず、それを限定するようには意図されていない。本出願に列挙される参考文献、GenBank受託番号、ENSEMBL識別子などは各々、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0306】
本出願に添付している配列表は、各配列を必要に応じて「RNA」又は「DNA」のいずれかとして特定しているが、実際には、これらの配列は化学修飾の任意の組み合わせで修飾され得る。当業者は、修飾されたオリゴヌクレオチドを説明するための「RNA」又は「DNA」としての指定は、ある特定の例では、任意であることを容易に理解するであろう。例えば、2’-OH糖部分及びチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分を有するDNA(DNAの1つの2’-Hの代わりに2’-OH)として、又は修飾された塩基を有するRNA(RNAのウラシルの代わりのチミン(メチル化ウラシル))として記載され得る。したがって、配列表にあるものを含むがこれらに限定されない、本明細書に提供される核酸配列は、別途明記されない限り、修飾された核酸塩基を有するそのような核酸を含むがこれらに限定されない、天然若しくは修飾されたRNA及び/又はDNAの任意の組み合わせを含む核酸を包含するよう意図されている。更なる例として、限定することなく、核酸塩基配列「ATCGATCG」を有するオリゴマー化合物は、修飾されているか又は修飾されていないかにかかわらず、これらに限定されないが、配列「AUCGAUCG」を有するもの並びに「AUCGATCG」などのいくつかのDNA塩基及びいくつかのRNA塩基を有するものなどのRNA塩基を含むそのような化合物と、「ATmCGAUCG」などの他の修飾された核酸塩基を有するオリゴマー化合物と、を含む、そのような核酸塩基配列を有する任意のオリゴマー化合物を包含し、mCは、5-位置でメチル基を含むシトシン塩基を示す。最後に、明確にするために、別途示されない限り、「配列番号Xの核酸塩基配列」という語句は、そのような配列番号Xにも記載されている任意の糖修飾又はヌクレオシド間結合修飾とは無関係である、その配列番号Xの核酸塩基の配列のみを指す。
【0307】
本明細書に記載されるある特定の化合物(例えば、修飾されたオリゴヌクレオチド)は、1つ以上の不斉中心を有し、したがってエナンチオマー、ジアステレオマー、及び(R)又は(S)として、糖アノマーなどのα若しくはβとして、又はアミノ酸などの(D)若しくは(L)として、絶対立体化学に関して定義され得る他の立体異性体配置を生じさせる。ある特定の立体異性体配置を有するとして描写又は記載される本明細書に提供される化合物は、示される化合物のみを含む。定義されていない立体化学で描写又は記載される本明細書に提供される化合物には、別途定めがない限り、全てのそのような可能な異性体(それらのステレオランダム及び光学的に純粋な形態を含む)が含まれる。同様に、別途示されない限り、本明細書の化合物の全てのシス異性体及びトランス異性体並びに互変異性形態も含まれる。本明細書に記載されるオリゴマー化合物は、キラル的に純粋な又は濃縮された混合物、並びにラセミ混合物を含む。例えば、複数のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有するオリゴマー化合物は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のキラリティが制御されるか、又はランダムである、そのような化合物を含む。別途示されない限り、本明細書に記載の化合物は、対応する塩形態を含むことを意図している。
【0308】
本明細書に記載される化合物は、1個以上の原子が示される元素の非放射性同位体又は放射性同位体と置き換えられている変形形態を含む。例えば、水素原子を含む本明細書の化合物は、1H水素原子の各々に対して全ての可能な重水素置換を包含する。本明細書における化合物によって包含される同位体置換には、1Hの代わりに2H又は3H、12Cの代わりに13C又は14C、14Nの代わりに15N、16Oの代わりに17O又は18O、及び32Sの代わりに33S、34S、35S、又は36Sが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、非放射性同位体置換は、オリゴマー化合物に治療又は研究ツールとしての使用に有益な新しい特性を与え得る。ある特定の実施形態では、放射性同位体置換は、化合物をイメージングなどの研究目的又は診断目的に好適なものにし得る。
【実施例】
【0309】
以下の実施例は、本開示のある特定の実施形態を例証するものであり、限定するものではない。更に、具体的な実施形態が提供される場合、発明者らは、それらの具体的な実施形態の一般的適用を企図した。例えば、特定のモチーフを有するオリゴヌクレオチドの開示は、同じ又は類似のモチーフを有する追加のオリゴヌクレオチドに対する合理的な裏付けを提供する。更に、例えば、特定の高親和性修飾が特定の位置に出現する場合、同じ位置での他の高親和性修飾は、別途示されない限り、好適であるとみなされる。
【0310】
実施例1:インビトロ、単回投与でのヒトプログラニュリンに対する均一なホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する均一にMOE修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
ヒトプログラニュリン核酸と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドを設計し、インビトロでプログラニュリンRNAに対するそれらの効果について試験した。修飾されたオリゴヌクレオチドを、同様の培養条件を有した一連の実験で試験した。
【0311】
「開始部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も5’側のヌクレオシドを示す。「終結部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に列挙される各修飾されたオリゴヌクレオチドは、配列番号1(ヌクレオチド44342001~44356000から切断されたGENBANK受託番号NC_000017.11)、配列番号2(GENBANK受託番号NM_002087.3)、又はその両方に対して100%相補的である。「N/A」は、修飾されたオリゴヌクレオチドが、その特定の標的核酸配列と100%相補的でないことを示す。
【0312】
以下の表の修飾されたオリゴヌクレオチドは、18ヌクレオシド長であり、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、(5’から3’へ)eeeeeeeeeeeeeeeeeeであり、「e」は、2’-MOE糖部分を表す。修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’へ)sssssssssssssssssであり、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0313】
1ウェル当たり10,000個の細胞の密度で培養したA-431細胞を、6,000nMの濃度で修飾されたオリゴヌクレオチドで、自由取り込みによって治療した。約48時間の治療期間後、RNAを細胞から単離し、プログラニュリンRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトプライマープローブセットRTS42426(配列番号3として本明細書で指定されるフォワード配列AGGACTAACAGGGCAGTGG、配列番号4として本明細書で指定されるリバース配列CAGCAGCCATACTTCCCA、配列番号5として本明細書で指定されるプローブ配列TTGTCCAGCTCGGTCATGTGTCC)を使用して、プログラニュリンRNAのアップレギュレーションを測定した。プログラニュリンRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)によって測定した総RNA含有量に対して正規化した。未治療の対照細胞中の量に対するプログラニュリンRNAのパーセント(%UTC)として結果を提示する。この実施例で説明される各個別の実験は、「AID」とラベル付けされた表列のアッセイ識別文字によって識別される。
【0314】
「†」で印付けられた値は、RNAi化合物が、プライマープローブセットのアンプリコン領域と相補的であることを示す。「N.D.」と印付けられた値は、定義されていない。この実施例で説明される各個別の実験は、「AID」とラベル付けされた表列のアッセイ識別文字によって識別される。
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
実施例2:インビトロ、単回投与でのヒトプログラニュリンに対する均一なホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する均一にMOE修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
ヒトプログラニュリン核酸と相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドを設計し、インビトロでプログラニュリンRNAに対するそれらの効果について試験した。修飾されたオリゴヌクレオチドを、同様の培養条件を有した一連の実験で試験した。
【0333】
「開始部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も5’側のヌクレオシドを示す。「終結部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に列挙される各修飾されたオリゴヌクレオチドは、配列番号1(ヌクレオチド44342001~44356000から切断されたGENBANK受託番号NC_000017.11)、配列番号2(GENBANK受託番号NM_002087.3)、又はその両方に対して100%相補的である。「N/A」は、修飾されたオリゴヌクレオチドが、その特定の標的核酸配列と100%相補的でないことを示す。
【0334】
以下の表の修飾されたオリゴヌクレオチドは、18ヌクレオシド長であり、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、(5’から3’へ)eeeeeeeeeeeeeeeeeeであり、「e」は、2’-MOE糖部分を表す。修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’へ)sssssssssssssssssであり、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0335】
1ウェル当たり10,000個の細胞の密度で培養したA-431細胞を、4,000nMの濃度で修飾されたオリゴヌクレオチドで、自由取り込みによって処理した。約48時間の治療期間後、RNAを細胞から単離し、プログラニュリンRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトプライマープローブセットRTS42426(本明細書で上記)を使用して、プログラニュリンRNAのアップレギュレーションを測定した。プログラニュリンRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)によって測定した総RNA含有量に対して正規化した。未治療の対照細胞中の量に対するプログラニュリンRNAのパーセント(%UTC)として結果を提示する。
【0336】
【0337】
【0338】
実施例3:インビトロ、複数回投与でのヒトプログラニュリンへの修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
上の実施例から選択された修飾されたオリゴヌクレオチドを、A-431細胞において試験した。修飾されたオリゴヌクレオチドを、同じ培養条件を使用する一連の実験で試験した。各実験の結果を以下に示す別個の表に示す。
【0339】
1ウェル当たり10,000個の細胞の密度でプレーティングしたA-431細胞を、以下の表に示されるように、様々な用量で自由取り込みによって治療した。約48時間の治療期間後、全RNAを細胞から単離し、プログラニュリンRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRによって測定した。ヒトプログラニュリンプライマープローブセットRTS42426(本明細書で上記)を使用して、プログラニュリンRNAを測定した。プログラニュリンRNAレベルを、RIBOGREEN(登録商標)によって測定した総RNA含有量に対して正規化した。未治療の対照細胞中の量に対するプログラニュリンRNAのパーセント(%UTC)として、以下の表に結果を提示する。未治療の対照細胞に対する20μMでのプログラニュリンRNAの量の倍率増加を計算し、以下の表に提示する。
【0340】
【0341】
【0342】
【0343】
【0344】
【0345】
実施例4:ヒトプログラニュリンRNAに相補的な混合されたPS/POヌクレオシド間結合を有する均一なMOE修飾されたオリゴヌクレオチドの設計
ヒトプログラニュリンRNAに相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドを、以下の表8に記載されるように設計した。
【0346】
以下の表の修飾されたオリゴヌクレオチドは、18ヌクレオシド長であり、修飾されたオリゴヌクレオチドの糖モチーフは、(5’から3’へ)eeeeeeeeeeeeeeeeeeであり、「e」は、2’-MOE糖部分を表す。修飾されたオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’へ)sosssssssosssssssであり、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「o」は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0347】
「開始部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も5’側のヌクレオシドを示す。「終結部位」は、標的核酸配列において修飾されたオリゴヌクレオチドが相補的である最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に列挙される各修飾されたオリゴヌクレオチドは、配列番号1(本明細書で上記)、配列番号2(本明細書で上記)、又はその両方に対して100%相補的である。「N/A」は、修飾されたオリゴヌクレオチドが、その特定の標的核酸配列と100%相補的でないことを示す。
【0348】
【0349】
実施例5:単回用量でのH4細胞におけるヒトGRNと相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
上の実施例から選択された修飾されたオリゴヌクレオチドを、インビトロでプログラニュリンタンパク質レベルへのそれらの効果について試験した。また、対照スクランブルされた修飾されたオリゴヌクレオチド(「対照スクランブルASO」)(均一に2’MOE修飾された、核酸塩基配列(5’から3’へ)TTAGTTTAATCACGCTCG(配列番号10)を有するホスホロチオエート骨格)を試験した。
【0350】
H4ヒト神経膠腫細胞(ATCC HTB-148)を、5000nMの濃度の修飾されたオリゴヌクレオチドで24時間治療した。プログラニュリンレベルを、ELISAによって細胞溶解物中で測定した。プログラニュリン濃度を、サンドイッチELISAアッセイ(R&D Systems、DPGRN0)を使用して、ウェル当たり10~15μlの溶解物(典型的には、ウェル当たり8~20μgの総タンパク質)を使用して、二連で決定した。データは、平均+/-SDとして
図1Aに提示され、Dunnett事後検定を用いた一元配置分散分析によって決定される場合、*はp<0.05を示し、**はp<0.01を示し、***はp<0.001を示し、****はp<0.0002を示す。
【0351】
H4ヒト神経膠腫細胞を、10μMの濃度の修飾されたオリゴヌクレオチドで24時間治療した。ウェスタンブロットによって、細胞溶解物中のプログラニュリンレベルを測定した(
図1B、
図1C、及び
図1D)。別個の実験では、H4細胞を10μMの修飾されたオリゴヌクレオチドで24時間治療し、細胞溶解物中のプログラニュリンレベル、並びに馴化培地中の分泌されたプログラニュリンレベルをウェスタンブロットによって評価した。細胞プログラニュリンレベルを増加させる修飾されたオリゴヌクレオチド(
図1Eの上パネル)は、培地中の分泌されたプログラニュリンレベルも増加させた(
図1Eの下パネル)。
【0352】
免疫ブロット分析に使用される一次抗体としては、アミノ酸497~515間のエピトープを認識する抗ヒトプログラニュリンリンカー5ポリクローナル抗体#614(Nguyen,A.D.,et al.,J.Biol.Chem.288,8627-8635(2013))、抗ヒトビンクリンモノクローナル抗体(タンパク質レベルのためのローディング対照)(Cell Signaling Technology,13901)が挙げられる。
【0353】
実施例6:複数回用量でのインビトロでのヒトGRNと相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
上の実施例から選択された修飾されたオリゴヌクレオチド、及び上述の対照スクランブルASOを、H4細胞においてプログラニュリンタンパク質レベルへのそれらの効果について試験した。細胞を、
図2A~2Fに示される用量で、修飾されたオリゴヌクレオチドで24時間治療した。プログラニュリンレベルを、実施例5のように、ELISAによって細胞溶解物中で測定した。データは、示されるEC
50値を用いて、平均±SDとして提示される。
【0354】
実施例7:iPSC由来ニューロンにおけるヒトGRNと相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
上の実施例から選択された修飾されたオリゴヌクレオチド、及び上述の対照スクランブルASOを、iPSC由来ニューロンにおいてプログラニュリンタンパク質レベルへのそれらの効果について試験した。i3皮質ニューロンへの分化のためのドキシサイクリン応答性ニューロゲニン-2(NGN2)発現を有するヒトiPSCを、記載されているように調製した(Fernandopulle,M.S.,et al.,Curr. Protoc. Cell Biol.79,e51(2018))。2週間の分化の後、i3ニューロンを、示される濃度(μM)で3~4日間、修飾されたオリゴヌクレオチドで治療した。ウェスタンブロット分析を実施例5と同様に実施し、データを
図3に示す。
【0355】
実施例8:インビボでのヒトGRNと相補的な修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
ヒトGRNについてのマウスにおけるホモ接合性ノックを、ヘテロ接合性C57BL/6Jブリーダーペアから調製した(Petkau et al.,Neurobiol.Dis.153,105314(2021))。これらのトランスジェニックGRNマウスを、右側脳室へのボーラス脳室内注射によって500μgの修飾されたオリゴヌクレオチドで治療した(Jafar-Nejad,P.,et al.,Nucleic Acids Res.49,657-673(2021)、Farr,S.A.,et al.,J.Alzheimers Dis.40,1005-1016(2014))。投与から3週間後、マウスを安楽死させ、タンパク質分析のために脳組織を収集した。ELISAにより決定した、示される修飾されたオリゴヌクレオチドで治療されたマウス、上述の対照スクランブルASO、及び生理食塩水で治療したマウスの皮質におけるヒトプログラニュリンレベル(プログラニュリンレベルは二連で決定した)を、
図4B及び
図4Cに示す。スクランブル対照ASOを受けた同性のマウスと比較して、化合物1557993で治療された雄マウス及び雌マウスにおいて、ヒトプログラニュリンレベルは、それぞれ53%及び55%増加した。データは、平均±SEMとして提示され、Dunnett事後検定を用いた一元配置分散分析によって決定される場合、*はp<0.05を示す。非Tg=未治療の非トランスジェニックマウスであって、トランスジェニックマウスの同腹仔であり、ヒトGRN対立遺伝子を保有しない、非トランスジェニックマウス。対照、又は化合物1557993(
図4C)で治療された雄マウスの皮質、視床、及び海馬におけるヒトプログラニュリンのウェスタンブロットを実施例5と同様に実施し、化合物で治療された雄マウスの皮質、視床、及び海馬におけるヒトプログラニュリンの増加を示している。
【配列表】
【国際調査報告】