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特表2024-540540断熱圧縮を用いるCO2動力サイクル
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  • 特表-断熱圧縮を用いるCO2動力サイクル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】断熱圧縮を用いるCO2動力サイクル
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/10 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
F01K25/10 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529593
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2022061111
(87)【国際公開番号】W WO2023089540
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,790
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アラム,ロドニー ジョン
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB07
3G081BC30
(57)【要約】
本開示は、発電に有用なシステムおよび方法に関する。特に、COを作動流体として利用する発電サイクルが第2のサイクルと組み合わされ得、発電サイクルからの圧縮CO流は、加熱、膨張されて、追加動力を生成し追加加熱を発電サイクルに提供することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電サイクルであって、
炭化水素燃料流を酸素流で燃焼して、燃焼生成物を生成することと、
前記燃焼生成物を予熱循環加圧CO流と組み合わせて、混合物を形成することと、
前記混合物を動力タービンに供給して吐出を生成することであって、前記吐出は次いで回収熱交換器内に供給されて前記循環加圧CO流を予熱することと、
を備える、発電サイクルであり、
断熱圧縮システムを用いて、タービン吐出圧力領域からタービン入口圧力領域までの循環COおよび酸素を圧縮し、
前記断熱圧縮システムを離れるCOおよび酸素流は、前記回収熱交換器に入り、そこで、それらは、冷却タービン排気流に対して加熱され、
前記回収熱交換器を離れるタービン排気は、外部源から供給される1つ以上の流体流を加熱する第2の熱交換器に入る、発電サイクル。
【請求項2】
前記第2の熱交換器で加熱された流体流が、ボイラー供給水および蒸気ベース動力サイクルから運ばれたプロセス蒸気を備える、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項3】
前記第2の熱交換器で加熱された流体流が、加圧水流を備える、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項4】
前記断熱圧縮システムが、CO圧縮器および酸素とCOの混合物を備える酸化剤流体流のための圧縮器を備える、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項5】
COの分離流が、前記CO断熱圧縮器の排出から得られ、前記動力タービン内に冷却流体として導入される、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項6】
前記第2の熱交換器を離れるタービン排気が、周囲冷却手段によって周囲温度近くに冷却され、正味生産水とCOが、前記断熱圧縮器に入る前に除去される、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項7】
前記炭化水素燃料流が、前記第2の熱交換器で予熱され、次いで、前記燃焼器に入る前に前記回収熱交換器で加熱される、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項8】
前記炭化水素流が、タービン入口領域圧力に圧縮されている天然ガスを備える、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項9】
前記断熱圧縮器の入口圧力が、約4バール(0.4MPa)~約40バール(4MPa)の範囲にある、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項10】
タービン入口温度が、約1000℃~約1600℃の範囲にある、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項11】
タービン入口圧力が、約200バール(20MPa)~約500バール(50MPa)の範囲にある、請求項1に記載の発電サイクル。
【請求項12】
前記動力タービンの圧力比率が、約15~約40の範囲にある、請求項1に記載の発電サイクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CO循環流体を利用する発電サイクルをその効率の点で改良することができる発電システムおよび方法を提供する。特に、発電サイクルからの圧縮CO流を、独立した熱源で加熱することができ、追加動力を生成しかつ1つ以上の二次プロセスに対する追加加熱を提供するように拡張することができる。
【背景技術】
【0002】
天然ガスおよび石炭などの天然由来の炭化水素および炭素質燃料を用いる発電の主な目的は、高熱効率、低資本コストおよび信頼できる動作特性で燃料中に存在する炭素の酸化由来のCOの100%に近い捕捉を達成することである。有害な地球温暖化を防ぐため大気中への人為的CO排出除去の世界的な要求は、原子力および再生可能な風力および太陽熱利用発電の組み合わせ単独で達成することはできない。CO排出除去のための世界的な目的を達するために、100%CO捕捉を伴う高効率化石燃料ベースの発電システムを、大規模なCOの効果的な地質学的貯蔵と一緒に導入することが必要であり得る。
【0003】
動力タービンにおいて作動流体として循環CO流を用いる動力サイクルが、アラム(Allam)らへの米国特許第8,596,075号に記載されており、その開示内容は本明細書中で参照によって援用されている。当該サイクルは、冷却、リサイクル圧縮、およびCO作動流体流を再循環させるための高密度流体ポンピングの組み合わせを有する回収超臨界ブレイトンサイクルである。一実施形態は、約300バール(30MPa)圧力の予熱リサイクルCO流を用い、それは、天然ガス燃料と実質的に純粋な酸素の燃焼生産物と混合することによって加熱されて、動力タービンへの約1150℃の入口流を生産し、動力タービンは約30バール(3MPa)の出口圧力を有する。約720℃のタービン出口流は周囲温度近くに冷却され、一方、高圧リサイクルCOを回収熱交換器で約700℃に加熱する。回収熱交換器を離れる冷却されたタービン排気はさらに、周囲温度近くに冷却され、燃料中の水素の酸化由来の凝縮水は除去される。残っているCOは、約300バール(30MPa)に圧縮され、燃料ガス中の炭素の酸化由来の正味COは、約30バール(3MPa)~約300バール(30MPa)の圧力で運ばれた実質的に純粋なCO生産物として除去される。CO流の残りの部分はリサイクルされる。高熱効率での動作を可能とするサイクルの重要な特徴は、リサイクル高圧CO流に、約400℃を下回る温度レベルで、追加の熱を供給することである。このことは、サイクルが、約5~約12の範囲の相対的に低い圧力比で約200バール(20MPa)~約500バール(50MPa)の範囲の高圧での動作に依存するため、必要である。これらの条件下で、高圧のCOの低圧のCOに対する具体的な熱比率は、温度が、回収熱交換器において周囲近くまで下げられるのにつれて非常に顕著に増大する。約300バール(30MPa)と約30バール(3MPa)圧力でのCOの場合、具体的な熱比率は、約700℃で約1.032であり、約100℃で約1.945である。
【0004】
上記のCOサイクルにおける高熱効率は、回収熱交換器において低いホットエンド温度差を必要とする。このことは、約400℃を下回る温度レベルでの追加外部供給熱を、高圧リサイクルCO流に導入することによって達成することができる。先に開示した方法は、第1に、COをリサイクルのための最終高圧に冷却およびポンピングする前に、極低温空気分離プラントへのそしてまたCOリサイクル圧縮器における断熱圧縮段への空気供給として用いられる空気の断熱圧縮由来の熱を用いることを含む。第2に、いくらかの予熱後、断熱圧縮により高圧リサイクルCO流の一部に直接熱を供給することができる。
【発明の概要】
【0005】
1つ以上の実施形態で、本開示は、動力サイクルのCOリサイクル流に約400℃を下回る温度レベルで外部供給熱を導入して、簡単かつコスト効率良く高熱効率を与える方法を提供する。本開示はさらに、100%近いCO捕捉を伴う動力サイクルを提供し、地域暖房システムを供給するための燃料ガスからの熱のかなりの部分に、循環する、加熱され、かつ加圧された水または低圧蒸気を提供して、CO排出がゼロに近い大規模な家庭用、商業用、かつ工業用の使用のための天然ガスまたは灯油の使用を置き換える。
【0006】
上記のCO動力サイクルは、全入熱のかなりの部分が約400℃の温度レベルを下回って提供されることを必要とする。提供される熱の量は、サイクルへの全入熱の約30%までであり得る。低温入熱を提供することにより、回収熱交換器に対するホットエンド温度差が減少し、燃焼器に入るリサイクルCO流の温度を上昇させ、ひいては、予熱リサイクル高圧COとオキシ燃料燃焼生成物の混合物の必要とされるタービン入口温度に達するためのオキシ燃料燃焼器で燃焼されなければならない炭化水素燃料の量が減る。
【0007】
本開示は、高熱効率で、高額な高圧熱交換器および複雑な高圧パイピングシステムを用いての熱の外部源からの供給を必要とせず、必要とされる低温入熱を提供する。このことは、循環CO流全体を圧縮加熱、その後の周囲温度近くまでの冷却、および液体水分離の機能を組み合わせることによって達成することができる。リサイクルCO流は、低圧タービン排気システム圧力から高圧タービン入口システム圧力に、断熱圧縮器を用いて圧縮される。断熱圧縮器から離れる高圧COリサイクル流は、リサイクル熱交換器における高圧CO流と低圧CO流の具体的な熱比率が大幅に減少するくらいに高温にある。例として、約300バール(30MPa)と約11バール(1.1MPa)でのCOの具体的な熱の比率は、それぞれ、50℃で約2.13であり、350℃で約1.17である。
【0008】
これらの条件は、断熱COリサイクル圧縮器に対する実際の動作入口および出口条件に近い。断熱COリサイクル圧縮器は、高圧上昇入口温度を回収熱交換器に提供する。入口温度は、タービン入口領域の必要とされる圧力および断熱圧縮器の圧力比率に依存する。回収熱交換器を離れるタービン出口流は、第2の熱交換器で冷却され、利用可能な冷却手段は、外部源に伝達される熱を制御する。圧縮器入口温度は、断熱圧縮器の上流にある直接水冷却熱交換システムなどの周囲冷却手段によって制御される。先のCO動力サイクルで用いられた、回収熱交換器のコールドエンド温度における具体的な熱の比率は、100℃を下回る温度で著しく低い。この差異により、回収熱交換器に対する低いホットエンド温度差が、高圧リサイクルCO流の追加の低温加熱なしで、動力サイクルに対する高熱効率を与えるように容易に達成されることが可能となる。回収熱交換器を離れるタービン排気流は、温度が上昇している。サイクルに対して高い全体効率を達成するために、この熱を効率的に利用しなければならない。少なくとも2つの可能な方法が利用可能であり、本明細書中に記載されるが、開示された方法は、例示的な実施形態であり、以下の論議にやはり組み込まれる開示のさらなる実施形態にまで拡張され得ることが理解される。
【0009】
第1の例示的な実施形態は、回収熱交換器を離れるタービン排気流からの第2の熱交換器の熱を、この熱を利用することができる外部システムに伝達するものである。最良のシステムのうちの一つは、家庭用、商業用、かつ工業用暖房サービスに用いられる循環加圧水加熱システムのための熱源を提供することである。循環加圧水および/または蒸気を用いた地域暖房システムが、北緯の多くの国で一般に用いられる。この熱を提供することは、多くの場合、天然ガスまたは石油燃料を用いる現在の暖房システムを置き換え、このことは、現在大気に排出されている大量のCOを削減する。典型的な水循環システムは、約140℃の温度で温水/蒸気を提供し得、戻り温度は約50℃である。
【0010】
第2の実施形態は、回収熱交換器を離れるタービン排気からの第2の熱交換器における熱を、凝縮蒸気タービンで動力を生成する過熱高圧蒸気を生成する蒸気ベース動力システムに伝達することである。任意選択的に、回収熱交換器を離れるタービン排気の温度レベルに依って、蒸気サイクルの出力および効率を最大化するため膨張に先立ち再加熱されている追加のより低い圧力の蒸気を用いる再加熱蒸気サイクルが存在し得る。これら2つのシステム間の選択は、経済的要因に影響される。回収熱交換器は、好ましくは、約100バール(10MPa)~約700バール(70MPa)、約150バール(15MPa)~約600バール(60MPa)、または約200バール(20MPa)~約500バール(50MPa)の圧力で、高圧リサイクルCOを用いて動作するだろう。タービン入口温度は、好ましくは、600℃~約1800℃、約800℃~約1700℃、または約1000℃~約1600℃の範囲にあり、入口温度が高くなると、与えられるサイクル効率はより高くなる。現在の技術は、高度な合金、冷却羽根、および保護コーティングを用いて、これらのより高いタービン入口温度での動作を達成するように開発され商業化されてきた。
【0011】
閉サイクルCO動力システムの動作の限界は、ホットエンド条件における回収熱交換器の動作パラメータである。回収熱交換器製造における現在の許容される合金は、ホットエンド温度を、約500バール(50MPa)~約200バール(20MPa)のリサイクルCO動作圧力に対して、約600℃~約800℃の範囲に制限する。より新しい合金は、将来的に、より高い動作温度を可能とし得る。所与の入口圧力に対するタービン入口温度を上昇させることは、温度限界を満たすより高い圧力比、かくして、温度が上昇するにつれてより低い出口圧力を必要とする。
【0012】
例として、約300バール(30MPa)および約1150℃のタービン入口条件ならびに約720℃のタービン出口限界において、かつ、約20℃の回収ホットエンド温度差では、必要とされるタービン出口圧力は、約30バール(3MPa)である。タービン入口条件が約300バール(30MPa)および約1300℃である場合、約720℃タービン出口および約20℃ホットエンド温度差で回収熱交換器ホットエンド条件を維持するのに必要とされるタービンの出口圧力は、約12バール(1.2MPa)である。この差の結論は、断熱リサイクルCO圧力器は、約1150℃のタービン入口温度における約10.5と比べて、約1300℃のタービン入口温度において約29という増加した圧力比を有することである。これは、断熱圧縮器出口温度を上昇させ、したがって、回収熱交換器のコールドエンドを離れるタービン排気の温度を上昇させる。1300℃のタービンの場合、断熱圧縮器の吐出温度は、約358℃である。1150℃のタービンの場合、断熱圧縮器の出口温度は、約240℃である。回収熱交換器に対する約10℃のコールドエンド温度差を可能とすると、約368℃および約11バール(1.1MPa)のCO出口流を用いて、第2の熱交換器における熱を提供して、約360℃に過熱された約70バール(7MPa)の蒸気を生成することができる。この蒸気を、約360℃に加熱された約20バール(2MPa)の再加熱段を有する蒸気サイクルで用いることができる。このサイクルの熱効率は、約36%となろう。
【0013】
魅力的な代替案は、連続する2つの段で動作し得る蒸気タービンを有することである。第1の段は、クラッチを介して、第2の段と結合され、必要であれば第2の段は、第1の段から結合解除することができる。2つの段は、温水を生産することなく最大出力が必要とされたとき、一体となって動作する。第2の段が結合解除されシャットダウンされた状態で最大温水生産が必要とされたとき、第1の段が単独で必要とされる。第1の段を離れる蒸気は、約2バール(0.2MPa)~約10バール(1MPa)、約3バール(0.3MPa)~約8バール(0.8MPa)、または約4バール(0.4MPa)~約6バール(0.6MPa)の圧力にあり、例えば、一部の実施形態では約5バール(0.5MPa)にあり、その蒸気が凝縮して、循環水流を、約30℃~約70℃のまたは約40℃~約16℃(例えば約50℃)の低温から、約120℃~約160℃または約130℃~約150℃(例えば約140℃)の高温に加熱することを可能とする。1150℃のタービンは、追加発電のための蒸気サイクルの追加を経済的とするのに十分に高い蒸気温度および圧力を生成しないだろう。1150℃のタービンの場合に対する理想的な解決策は、循環加圧水の地域暖房システムを加熱し、天然ガスまたは灯油を用いる現在のシステムを置き換えるために回収熱交換器を離れるタービン排気における利用可能な熱全てを用いることである。このバージョンの典型的なCO動力サイクルは、約1250℃~約1600℃の範囲のより高いタービン入口温度を支持することが明らかである。非常に大量の利用可能な熱の経済的利用に関する決定は、経済状況および利用可能なタービン入口温度に依存するだろう。一般に、断熱CO圧縮器入口圧力は、タービン入口条件に依って、約4バール(0.4MPa)~約30バール(3MPa)の範囲にあるだろう。一部の状況では、第2の熱交換器を離れるタービン排気は、約30℃~約70℃または約40℃~約60℃の温度範囲にあり得る。この熱を用いて、断熱リサイクルCO圧縮器への入口流を予熱して、より高い吐出温度を達成することができる。断熱リサイクルCO圧縮器への入口流のこの予熱は、断熱COリサイクル圧縮器の動力を増大させるだろうが、一部の状況では、回収熱交換器のコールドエンドを離れるタービン排気の温度を有益に増加させて、発電の増加を可能とし、または、産業顧客のための高圧過熱蒸気の生成を可能とするだろう。
【0014】
このように、前述の一般用語で本開示を記述してきたが、ここで、必ずしも縮尺通りに描画されていない添付図面に対して参照がなされることになる。。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示による発電の例示的なシステムおよび方法の流れ線図である。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本主題は、ここで、その例示的な実施形態を参照して、下文でより十分に記載されることになる。これらの例示的な実施形態は、この開示が全体的かつ完全となり主題の範囲を当業者に完全に伝達するように記載される。実際、主題は、多くの様々な形で具現化することができ、本明細書中で記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が、適用可能な法的要件を満たすように提供される。明細書でかつ添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「一」、「一つ」、「その」は、別途明確に文脈で指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0017】
様々な実施形態で、本開示は、追加の加熱を1つ以上の二次プロセスに対して提供する発電サイクルを記載する。例えば、一実施形態では、炭素質または炭化水素燃料流を、酸化剤流と燃焼して燃焼生成物を生成することと、燃焼生成物を、予熱循環加圧CO流と組み合わせて混合物を形成することと、混合物を動力タービンに供給して吐出を生成することとを備え、吐出は次いで、回収熱交換器に供給されて、循環加圧CO流を予熱するものであり、断熱圧縮システムを用いて、タービン吐出圧力領域からタービン入口圧力領域までの循環COと酸化剤を圧縮し、断熱圧縮システムを離れるCOおよび酸素流は、回収熱交換器に入り、そこで、それらは冷却タービン排気流に対して加熱され、回収熱交換器を離れるタービン排気は、外部源から供給される1つ以上の流体流を加熱する第2の熱交換器に入る、発電サイクルが記載される。
【0018】
燃焼器で循環されるCO流は、約100バール(10MPa)~約600バール(60MPa)または200バール(20MPa)~約400バール(40MPa)の圧力および約400℃~約800℃または約500℃~約700℃の温度を有し得る。燃料は、炭素質燃料または炭化水素燃料であり得るが、水素などの他の燃料も用いられ得る。酸化剤は、約15%~約60%または約20%~約40%モルの酸素を備え得、残りの部分は、実質的に純粋なCOなどの希釈剤で形成されている。燃焼器に入る燃料と酸化剤は、好ましくは、約400℃~約800℃または約550℃~約700℃の温度に予熱される。燃焼器を離れる燃焼生成物は、COリサイクル入口圧力に実質的に近い圧力かつ約900℃~約1600℃または約1100℃~約1500℃の温度にあり、約0.1%~約4.0%モルの小量の残留酸素とともに、主にはCOおよびHOを備える。タービンは、約8バール(0.8MPa)~約30バール(3MPa)または約10バール(1MPa)~約20バール(2MPa)での膨張流を提供するように動作される。膨張流は、回収熱交換器で、約200℃~約600℃または約300℃~約500℃の温度まで冷却され、放出された熱は、循環高圧CO入口流に伝えられる。熱はまた、燃料ガス入口流および酸化剤入口流に提供される。
【0019】
タービン排気流23は、熱回収熱交換器を通過させられ、そこで、約40℃~約80℃の温度、例えば、一部の実施形態では約60℃まで冷却され、熱を、燃料ガス入口流および二次流に提供する。二次流は、例えば、約25℃~約80℃または約30℃~約60℃の温度ならびに約40バール(4MPa)~約100バール(10MPa)または約60バール(6MPa)~約80バール(8MPa)の圧力でのボイラー供給水流であり得、それは加熱されて、約360℃などの、約200℃~約500℃または約300℃~約450℃での過熱蒸気流を生成する。燃料ガス流は、約150バール(15MPa)~約500バール(50MPa)または約250バール(25MPa)~約400バール(40MPa)の圧力に断熱的に圧縮される。タービン排気は、約8バール(0.8MPa)~約20バール(2MPa)または約9バール(0.9MPa)~約15バール(1.5MPa)の圧力で回収熱交換器を離れ、直接接触水冷却器に入る。水直接接触冷却器の上部を離れる、冷却されたタービン排気流は、2つの流に分割され得る。第1の流は、断熱圧縮器に入り得、そこで、約100バール(10MPa)~約600バール(60MPa)または200バール(20MPa)~約400バール(40MPa)の圧力に圧縮され、約250℃~約500℃または約300℃~約450℃の温度で離れる。約10.5バール(1.05MPa)などの、約8バール(0.8MPa)~約15バール(1.5MPa)および約21℃などの約15℃~約35℃の温度での第2の流は、炭素燃料ガスの燃焼由来のCOを備える。この流の一部は、隔離または他の用途のためシステムから除去され得、残りの部分は、燃焼器用の酸化剤のために酸素と混合され得る。酸化剤流は、断熱圧縮器に入り、そこで、約150バール(15MPa)~約500バール(50MPa)または約250バール(25MPa)~約400バール(40MPa)の圧力に圧縮される。
【0020】
一部の実施形態では、第2の熱交換器で加熱される流体流は、ボイラー供給水および蒸気ベース動力サイクルから運ばれたプロセス蒸気を備える。一部の実施形態では、第2の熱交換器で加熱された流体流は、加圧水流を備える。一部の実施形態では、断熱圧縮システムは、CO圧縮器、および酸素とCOの混合物を備える酸化剤流体流に対する圧縮器を備える。一部の実施形態では、COの分離流は、CO断熱圧縮器の吐出から得られ、冷却流体として動力タービン内に導入される。
【0021】
一部の実施形態では、第2の熱交換器を離れるタービン排気は、周囲冷却手段により周囲温度近くに冷却され、正味生産水およびCOは、断熱圧縮器に入る前に除去される。一部の実施形態では、炭素質または炭化水素燃料流は、第2の熱交換器で予熱され、次いで、燃焼器に入る前に、回収熱交換器で加熱される。一部の実施形態では、炭素質または炭化水素流は、天然ガス、合成ガス、および/または、タービン入口領域圧力に圧縮されている一酸化炭素を備える。一部の実施形態では、断熱圧縮器の入口圧力は、約2バール(0.2MPa)~約60バール(6MPa)または約4バール(0.4MPa)~約40バール(4MPa)の範囲にある。一部の実施形態では、タービン入口温度は、約500℃~約1800℃、約700℃~約1700℃、または約1000℃~約1600℃の範囲にある。一部の実施形態では、タービン入口圧力は、約80バール(8MPa)~約800バール(80MPa)、約150バール(15MPa)~約600バール(60MPa)、または約200バール(20MPa)~約500バール(50MPa)の範囲にある。一部の実施形態では、動力タービンの圧力比は、約10~約60、約12~約50、または約15~約40の範囲にある。
【0022】
実施例
本開示の実施形態はさらに以下の例によって例示され、それは、現在開示されている主題を例示するように記載されるものであり、限定的と解釈されるものではない。以下では、図1に示すように、断熱圧縮を伴う発電システムおよび方法の例示的な実施形態が記載される。
【0023】
図1に示される、リサイクルCO流全体の断熱圧縮を用いる、提案されたCO動力サイクルの特徴は、燃料ガスとしてメタンを用いる例で記載されるが、合成ガスおよび/または一酸化炭素などの他の燃料源が可能である。一部の実施形態では、燃料は、補完され得、または、信頼できる水素源が利用可能となる場合水素で置換もし得る。約305バール(30.5MPa)および約660℃のCO流21が、オキシ燃料燃焼器3の混合部分に入り、そこで、約660℃に加熱されている、約305バール(30.5MPa)の約75%モルCOと混合された約25%モル酸素を備える酸化剤流20中で燃焼している約305バール(30.5Mpa)および約550℃のメタン流18からの燃焼生成物と混合する。OをCOと混合すると、燃焼器の断熱火炎温度が、燃焼酸化剤として空気を用いて示されるレベルと匹敵可能なレベルまで低減する。約300バール(30MPa)および約1300℃の流19は、オキシ燃料燃焼器/混合器3からの、流21と燃焼生成物、COとHOの混合物である。流19は、燃焼器3における炭化水素の完全燃焼を促進するように、約0.5%~約2.0%酸素含量を有する。流19は、発電器47を駆動している動力タービン2に入り、そこで、約300バール(30MPa)から約11.2バール(1.12MPa)圧力に膨張し、約670℃の温度で流22としてタービンを離れる。流22は、回収熱交換器4のホットエンドに入り、そこで、約379.4℃まで冷却され、流23として離れる。タービン吐出流が冷却されるにつれて放出された熱が、循環高圧CO入口流24に伝えられ、流21として離れ、酸化剤入口流25が流20として離れ、CH燃料ガス入口流44が、流18として離れる。流24、25、および44の3つ全ては、約357.8℃で回収熱交換器4に入る。回収熱交換器4は、Meggitt Ltd.のHeatric部製造のもののようなマルチチャネル拡散接合型コンパクト熱交換器であり得る。これらのユニットは、熱交換器における温度と圧力の組み合わせに依って、Specialty Metals grade 617合金のようなステンレス鋼と高ニッケル合金のグレードを用いる。
【0024】
タービン排気流23は、熱回収熱交換器5を通過させられ、そこで、約60℃に冷却され、流28として離れる。熱交換器5における冷却タービン排気流から放出された熱が用いられ、約305バール(30.5MPa)および約221℃のCH燃料ガス流43ならびに約370℃の温度で流27として離れる外部供給流26を加熱する。CH燃料ガス流17は、約15℃および約40バール(4MPa)圧力でパイプラインから発電所に入る。それは、中間点で熱交換器5に入る前に、モータ9によって駆動される圧縮器1において約305バール(30.5MPa)に断熱的に圧縮される。一実施形態では、流26は、約40℃および典型的には約70バール(7MPa)のボイラー供給水流であり得、それは加熱されて、約360℃の過熱蒸気流を生成する。任意選択的に、約360℃に加熱されたさらなる再加熱蒸気流が在り得(図1に図示せず)、それは、蒸気動力サイクルの出力および効率を増大させるように機能する。この温度レベルで蒸気動力サイクルに伝えられた熱は、約36%の熱効率で動力に変換され得る。
【0025】
または、熱交換器5における冷却タービン排気流から利用可能な余剰熱は、生活住居、病院、商業ビルを温めるのにかつ産業加熱用途に用いられる循環加圧水システムに伝えることができ、天然ガスおよび現在用いられている灯油を置き換え、CO排出を回避する。典型的なシステムは、循環加圧水流を約50℃から約140℃に加熱し得る。タービン排気は、熱交換器5を約10.7バール(1.07MPa)および約60℃で離れ、直接接触水冷却器13に入り、そこで、パック柱状部分14において下降流冷却水流34と接触する。タワーの基部を離れる温水流30は、2つの流に分割される。CH燃料からの水素の燃焼に由来する生成水流32は、システムから除去される。水流31の残りの容量は、循環ポンプ16でポンプされ、吐出流33は次いで、熱交換器15で、約19℃での冷却水流35に対して、流34としてパック部分14の上部に入る前に、約28℃での流36に冷却される。約21℃で水直接接触冷却器13の上部を離れる冷却タービン排出流29は、2つの流に分割される。流37は、断熱圧縮器11に入り、そこで、約305バール(30.5MPa)に圧縮され、約357.8℃で流46として離れる。流46は、流45に分割され、それは、タービン刃および内部ケーシングに対する内部冷却流として動力タービン2および回収熱交換器4に入る流24に入る。断熱圧縮器11は、任意選択的に、タービン発電器47に直接結合され得る。約10.5バール(1.05MPa)および約21℃の流38は、2つの流に分割される。流42は、CH燃料ガスの炭素の燃焼に由来する正味CO生産物である。全CH供給流17における炭素の実質的に100%は、流42で捕捉される。生産CO流42は、隔離のためCOパイプラインに運ぶための約100バール(10MPa)~約200バール(20MPa)の範囲の便利な圧力に圧縮され得、または、液化され、約6バール(0.6MPa)~約7バール(0.7MPa)圧力での飽和液体として運ばれ得る。残りのCO流48は、極低温空気分離プラント6からの約10.5バール(1.05MPa)圧力および約20℃の99.5%モルの純O流39と混合されて、モル組成約25%Oプラス約75%COを有する酸化剤流40を生成する。流40は、モータ12によって駆動される断熱圧縮器10に入り、そこで、約305バール(30.5MPa)に圧縮され、流25として離れる。極低温ポンプ酸素空気分離プラント6は、モータ8によって駆動される中間冷却圧縮器7において約5.7バール(0.57MPa)圧力に圧縮された空気供給流41を有する。圧縮空気流49は、空気分離領域6に入り、それは、例えば、空気冷却器、二重床吸着空気清浄機、ブースター空気圧縮器、極低温空気分離ユニット、液体酸素ポンプ、極低温冷凍タービン、ならびに液体酸素貯蔵およびバックアップシステムなどの、空気から酸素を分離するのに必要な構成要素のいずれかを備える。
【0026】
例示的な実施形態の性能概要は、以下の表1~3に示される(全ての計算は、燃料ガスとして純メタン(CH)を用いることに基づく)。
【表1】
【表2】
【表3】
【0027】
本明細書中で用いられる「約」または「実質的に」という用語は、特定の挙げられた値または条件が、明確に挙げられた値または条件そしてそれに相対的に近い値または相対的にそれに近いと認識されている条件をも含むとして閲読されることが意図されることを示し得る。例えば、本明細書中で別途記載されない限り、「約」特定の数字の値または「実質的に」特定の値は、具体的な数字または値に加えて、それから(+または-)で5%以下、または4%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下から変動する数値または値を示し得る。同様に、本明細書中で別途記載されない限り、実質的に存在する条件は、条件が、記載または請求される通りに完全に満たされるかまたは典型的な製造公差内にあるかまたは必要とされる条件を完全に満たさない場合でも通り一遍の観察で必要とされる条件を満たすように見えることを示し得る。一部の実施形態では、値または条件は、明確なものとして定義され得、かくして、用語「約」または「実質的に」(このように指摘された変動)は明確な値から除外され得る。
【0028】
現在開示されている主題の多くの変形および他の実施形態は、前述の記載および関連する図面に提示される教示の利益を有するこの主題が関連する当業者が想到するだろう。したがって、本開示は本明細書中に記載される具体的な実施形態に限定されるものではないこと、ならびに変形および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されよう。具体的な用語が本明細書中で用いられるが、それらは、一般的かつ記述的な意味のみで用いられ、限定的な目的ではない。
図1
【国際調査報告】