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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】反応室及び反応装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20241024BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C23C16/44 J
H01L21/205
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529615
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2022130889
(87)【国際公開番号】W WO2023088147
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111361303.2
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524186394
【氏名又は名称】深▲セン▼市納設智能装備股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN NASO TECH CO., LTD
【住所又は居所原語表記】1B, Block A6, China Merchants Guangming Science Park, Guanguang Road, Fenghuang Community, Fenghuang Street, Guangming District, Shenzhen, Guangdong 518107, China
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】▲シャオ▼ ▲ユン▼章
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲キン▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲シュアイ▼▲シュアイ▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 亮輝
(72)【発明者】
【氏名】劉 佳明
(72)【発明者】
【氏名】陳 炳安
(72)【発明者】
【氏名】▲ジォン▼ 国▲ファン▼
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030BA37
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030EA11
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA05
4K030KA12
4K030KA23
4K030KA39
4K030KA46
4K030KA47
4K030LA12
5F045AA03
5F045AB06
5F045BB08
5F045BB15
5F045DP04
5F045DP28
5F045EB02
5F045EB03
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5F045EF02
5F045EF11
5F045EK06
5F045EK24
5F045EM10
5F045GB05
(57)【要約】
本願は、反応室及び反応装置を提供する。反応室は、中空発熱部材と、回転台と、ガードプレートアセンブリと、セパレータと、を含み、前記回転台は前記中空発熱部材のチャンバー内に回動可能に設けられ、ウエハを載置することに用いられ、前記ガードプレートアセンブリは、前記回転台の両側に設けられ、前記セパレータは、前記ガードプレートアセンブリに架設され、前記ガードプレートアセンブリと協働することに用いられ、前記チャンバーの仕切りによって反応キャビティが形成され、前記反応キャビティは前記回転台を取り囲み、かつ、前記チャンバーの表面が前記反応キャビティ内に露出しない。反応キャビティがトレイを取り込むことにより、トレイが、構造が複雑でコストの高い中空発熱部材の内面に露出しないようにする。反応ガスが反応キャビティ内を流れて堆積し、中空発熱部材の表面に堆積することはない。構造が簡単で、コストが低いフロントガードプレート、リアガードプレート及びセパレータのみの交換が必要であり、メンテナンス性が優れ、しかも、反応室のメンテナンスコストが低下する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空発熱部材と、回転台と、ガードプレートアセンブリと、セパレータと、を含み、前記回転台は前記中空発熱部材のチャンバー内に回動可能に設けられ、ウエハを載置することに用いられ、前記ガードプレートアセンブリは、前記回転台の両側に設けられ、前記セパレータは、前記ガードプレートアセンブリに架設され、前記ガードプレートアセンブリと協働することに用いられ、前記チャンバーの仕切りによって反応キャビティが形成され、前記反応キャビティは前記回転台を取り囲み、かつ、前記チャンバーの表面が前記反応キャビティ内に露出しない、反応室。
【請求項2】
前記セパレータは、対向設置された2つの側板と、2つの前記側板を接続する天板と、を含み、2つの前記側板は、それぞれ前記ガードプレートアセンブリの両側に支持されて、前記ガードプレートアセンブリと協働して、前記回転台を前記チャンバーの側壁から分離し、前記天板は前記回転台を前記チャンバーの天壁から分離する、請求項1に記載の反応室。
【請求項3】
前記ガードプレートアセンブリは、フロントガードプレートと、リアガードプレートと、を含み、前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートは、それぞれ前記回転台の両側に設けられ、前記フロントガードプレートの両側に支持面が設けられ、前記リアガードプレートの両側に支え面が設けられ、前記側板の前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートに面する側には、前記支持面及び前記支え面に対する嵌合面が設けられ、前記嵌合面は、前記支持面及び前記支え面と嵌合して、前記側板を前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートに支持する、請求項2に記載の反応室。
【請求項4】
前記フロントガードプレートの両側にある前記支持面は対向する傾斜面であり、前記リアガードプレートの両側にある前記支え面は対向する傾斜面であり、2つの前記側板の嵌合面は対向する傾斜面であり、それにより、2つの前記側板は位置決めされる、請求項3に記載の反応室。
【請求項5】
前記リアガードプレートには案内部がさらに設けられ、前記案内部は、2つの前記支え面の間に設けられ、前記回転台に近い側から前記チャンバーの排気口に近い側へ延びている、請求項3又は4に記載の反応室。
【請求項6】
前記側板及び前記天板は一体成形される、請求項2~5のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項7】
反応ガスの流動方向において、前記セパレータは少なくとも2つのサブセパレータから構成される、請求項2~6のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項8】
前記中空発熱部材は単一の環状構造であり、かつ、その各位置での厚さが同一である、請求項1~7のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項9】
前記回転台の前記セパレータから離れた側に回転溝が設けられ、前記中空発熱部材には駆動キャビティがさらに設けられ、前記駆動キャビティは前記チャンバーの底壁の下方に設けられ、前記チャンバーの配置方向に沿って前記チャンバーの中央まで延びており、前記回転溝は前記駆動キャビティに連通する、請求項1~8のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項10】
前記中空発熱部材には温度測定キャビティがさらに設けられ、前記温度測定キャビティは前記チャンバーの天壁に設けられ、前記チャンバーの配置方向に沿って前記チャンバーの中央まで延びている、請求項1~9のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項11】
前記中空発熱部材の外に被覆される断熱層をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項12】
前記断熱層は、前記中空発熱部材の外に均一に被覆され、複数のサブ断熱部材から構成される、請求項11に記載の反応室。
【請求項13】
前記反応室にはガスガイド部材がさらに設けられ、前記ガスガイド部材は、前記中空発熱部材の先端に設けられ、前記中空発熱部材の反応キャビティに連通し、前記断熱層の給気口に入った反応ガスを前記反応キャビティ内の前記回転台にガイドすることに用いられる、請求項11又は12に記載の反応室。
【請求項14】
前記ガスガイド部材は、上下に接合された黒鉛構造であり、接触面に絶縁層又は絶縁要素が設けられる、請求項13に記載の反応室。
【請求項15】
前記ガスガイド部材は、単一の環状構造であり、非導電性材料で製造される、請求項13に記載の反応室。
【請求項16】
前記反応キャビティ内に露出した前記回転台、前記ガードプレートアセンブリ及び前記セパレータの表面にコーティングがさらに設けられている、請求項1~15のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項17】
前記コーティングはTaCコーティングである、請求項16に記載の反応室。
【請求項18】
前記中空発熱部材のチャンバーは上下に2つ配列されており、2つの前記チャンバーのそれぞれの内部には、対応する前記回転台、前記ガードプレートアセンブリ及び前記セパレータが設けられる、請求項1~17のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項19】
前記ガードプレートアセンブリは一体構造である、請求項1~18のいずれか1項に記載の反応室。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の反応室を含む反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学気相成長の分野に属し、特に反応室及び反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC:silicon carbide)材料は、高周波、高電圧、高出力デバイスにおける応用が期待できるので、急速に発展している。一方、SiCエピタキシャル層は欠陥が少なく、格子配列が整っているため、SiCデバイスはエピタキシャル層上にのみ作られるのが一般的である。SiCエピタキシャル層の製造に化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)がよく使用され、炭化ケイ素エピタキシャル層の堆積には非常に高い温度が必要であるので、反応室内には高温耐性の黒鉛部材が使用されており、中周波及び高周波の誘導電流の作用により、内部に交番磁場が発生し、黒鉛部材内で交番誘導電流を発生させると、エピタキシャルプロセスに必要な温度に達するまで黒鉛を加熱できる。反応室内の温度分布の均一性を改善し、炭化ケイ素エピタキシャル層の品質と性能を向上させるために、炭化ケイ素エピタキシャル装置の反応室にはホットウォール反応室が使用されることが多く、反応室内は高温壁面となっており、他の形態に比べて反応室内の温度分布が均一になっている。
【0003】
しかし、反応ガスが導入された後、ウエハの表面で起こる化学気相成長に加えて、反応室内及び給気チャネルの高温の壁面でも化学気相成長反応が起こり、他の結晶形の炭化ケイ素粒子が生成され、その結果、一方で、反応に関与するガスは基板に到達する前に大量に消費されるため、反応ガスの利用率が減少し、コストが増加し、他方で、ウエハの上流の高温壁面に堆積した炭化ケイ素粒子の脱落も、ウエハ上に堆積したエピタキシャル層の品質と性能にある程度影響を及ぼす。
【0004】
上記の既存の問題に加えて、一定のバッチの製造後、高温壁面に炭化ケイ素粒子が蓄積するため、反応室内部の定期的なメンテナンスが必要になる。反応室内の高温面に成長した炭化ケイ素粒子を除去するか、内部の黒鉛部材を交換する必要があるが、反応室内の黒鉛アセンブリは形状が複雑で洗浄が不便であるので、反応室のすべての部材を必要に応じて交換する必要もある場合もあり、その結果、反応室のメンテナンスの利便性が悪く、また、修理やメンテナンスに時間がかかり、反応室の黒鉛部材の交換コストも高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の欠点を解決するために、本願は、反応室及び反応装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願による反応室は、中空発熱部材と、回転台と、ガードプレートアセンブリと、セパレータと、を含み、前記回転台は前記中空発熱部材のチャンバー内に回動可能に設けられ、ウエハを載置することに用いられ、前記ガードプレートアセンブリは、前記回転台の両側に設けられ、前記セパレータは、前記ガードプレートアセンブリに架設され、前記ガードプレートアセンブリと協働することに用いられ、前記チャンバーの仕切りによって反応キャビティが形成され、前記反応キャビティは前記回転台を取り囲み、かつ、前記チャンバーの表面が前記反応キャビティ内に露出しない。
【0007】
1つの可能な実施形態では、前記セパレータは、対向設置された2つの側板と、2つの前記側板を接続する天板と、を含み、2つの前記側板は、それぞれ前記ガードプレートアセンブリの両側に支持されて、前記ガードプレートアセンブリと協働して、前記回転台を前記チャンバーの側壁から分離し、前記天板は前記回転台を前記チャンバーの天壁から分離する。
【0008】
1つの可能な実施形態では、前記ガードプレートアセンブリは、フロントガードプレートと、リアガードプレートと、を含み、前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートは、それぞれ前記回転台の両側に設けられ、前記フロントガードプレートの両側に支持面が設けられ、前記リアガードプレートの両側に支え面が設けられ、前記側板の前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートに面する側には、前記支持面及び前記支え面に対する嵌合面が設けられ、前記嵌合面は、前記支持面及び前記支え面と嵌合して、前記側板を前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートに支持する。
【0009】
1つの可能な実施形態では、前記フロントガードプレートの両側にある前記支持面は対向する傾斜面であり、前記リアガードプレートの両側にある前記支え面は対向する傾斜面であり、2つの前記側板の嵌合面は対向する傾斜面であり、それにより、2つの前記側板は位置決めされる。
【0010】
1つの可能な実施形態では、前記リアガードプレートには案内部がさらに設けられ、前記案内部は、2つの前記支え面の間に設けられ、前記回転台に近い側から前記チャンバーの排気口に近い側へ延びている。
【0011】
1つの可能な実施形態では、前記側板及び前記天板は一体成形される。
【0012】
1つの可能な実施形態では、反応ガスの流動方向において、前記セパレータは少なくとも2つのサブセパレータから構成される。
【0013】
1つの可能な実施形態では、前記中空発熱部材は単一の環状構造であり、かつ、その各位置での厚さが同一である。
【0014】
1つの可能な実施形態では、前記回転台の前記セパレータから離れた側に回転溝が設けられ、前記中空発熱部材には駆動キャビティがさらに設けられ、前記駆動キャビティは前記チャンバーの底壁の下方に設けられ、前記チャンバーの配置方向に沿って前記チャンバーの中央まで延びており、前記回転溝は前記駆動キャビティに連通する。
1つの可能な実施形態では、前記中空発熱部材には温度測定キャビティがさらに設けられ、前記温度測定キャビティは前記チャンバーの天壁に設けられ、前記チャンバーの配置方向に沿って前記チャンバーの中央まで延びている。
【0015】
1つの可能な実施形態では、前記反応室は、前記中空発熱部材の外に被覆される断熱層をさらに含む。
【0016】
1つの可能な実施形態では、前記断熱層は、前記中空発熱部材の外に均一に被覆され、複数のサブ断熱部材から構成される。
【0017】
1つの可能な実施形態では、前記反応室にはガスガイド部材がさらに設けられ、前記ガスガイド部材は、前記中空発熱部材の先端に設けられ、前記中空発熱部材の反応キャビティに連通し、前記断熱層の給気口に入った反応ガスを前記反応キャビティ内の前記回転台にガイドすることに用いられる。
【0018】
1つの可能な実施形態では、前記ガスガイド部材は、上下に接合された黒鉛構造であり、接触面に絶縁層又は絶縁要素が設けられる。
【0019】
1つの可能な実施形態では、前記ガスガイド部材は、単一の環状構造であり、非導電性材料で製造される。
【0020】
1つの可能な実施形態では、前記反応キャビティ内に露出した前記回転台、前記ガードプレートアセンブリ及び前記セパレータの表面にコーティングがさらに設けられている。
【0021】
1つの可能な実施形態では、前記コーティングはTaCコーティングである。
【0022】
1つの可能な実施形態では、前記中空発熱部材のチャンバーは上下に2つ配列されており、2つの前記チャンバーのそれぞれの内部には、対応する前記回転台、前記ガードプレートアセンブリ及び前記セパレータが設けられる。
【0023】
1つの可能な実施形態では、前記ガードプレートアセンブリは一体構造である。
【0024】
本願はまた、上記の反応室を含む反応装置を提供する。
【発明の効果】
【0025】
従来技術と比べて、本願は以下の効果を有する。
【0026】
前記回転台、ガードプレートアセンブリ、及びセパレータは、構造が簡単で、コストが低く、前記セパレータと前記ガードプレートアセンブリにより画定された前記反応キャビティは前記回転台を取り囲み、それによって、前記回転台は、構造が複雑でコストの高い中空発熱部材の内面に露出しない。反応ガスが中空発熱部材内に入るときに、反応キャビティ内のみを流れ、回転台におけるウエハに化学気相成長し、セパレータ、ガードプレートアセンブリで気相成長反応を起こし、余分な堆積物を生成し、また、中空発熱部材の表面に堆積しない。一定のバッチの製造後に、構造が簡単で、コストが低い回転台、ガードプレートアセンブリ及びセパレータのみの交換が必要であり、コストが高く、構造が複雑な中空発熱部材のメンテナンスや交換が不要であり、メンテナンス性が優れ、しかも、反応室のメンテナンスコストが低下する。
【0027】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例に使用する必要がある図面を簡単に説明する。以下の図面は、本発明の一部の実施例にすぎず、範囲を制限するものとしてみなすべきではなく、当業者にとって創造的な労力を払うことなく、これらの図面から他の図面を得ることができることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願の一実施例に係る反応室の構造模式図を示す。
図2図1に係る反応室の分解模式図を示す。
図3図1に係る反応室の正面図を示す。
図4図3に係る反応室のIV-IV断面図を示す。
図5図4に係る反応室のV-V断面図を示す。
図6図1に係る反応室の立体断面図を示す。
図7図3に係る反応室のVII-VII断面図を示す。
図8】本願の別の実施例に係る反応室のV-V断面図を示す。
図9】本願のさらに別の実施例に係る中空発熱部材の模式図を示す。
図10】本願の更なる実施例に係る反応室の構造模式図を示す。
図11図10に係る反応室の分解模式図を示す。
図12図10に係る反応室の正面図を示す。
図13図12に係る反応室のXIII-XIII断面図を示す。
図14図13に係る反応室のXIV-XIV断面図を示す。
図15図10に係る反応室の立体断面図を示す。
図16図12に係る反応室のXVI-XVI断面図を示す。
図17図1に係る反応室の温度シミュレーション図を示す。
図18】本願の一実施例に係る反応装置の構造模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例の一例を図面に示すが、図面を通じて同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子あるいは同一又は類似の機能を有する素子を示す。図面を参照して以下に説明する実施例は、本願を説明するためにのみ使用される例示的なものであり、本願を限定するものと理解すべきではない。
【0030】
本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、単に、本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであって、係る装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、動作しなければならないことを指示又は示唆するものではなく、したがって、本願を限定するものと理解すべきではない。
【0031】
さらに、「第1」、「第2」等の用語は、説明するためにのみ使用されており、相対的重要性を指示又は示唆したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に指示するものとして理解すべきではない。したがって、「第1」、「第2」に限定される特徴は、1つまたは複数の当該特徴を明示的または暗黙的に含むことができる。本願の説明において、「複数」とは、別段の明示的かつ具体的な限定がない限り、2つ又は2つ以上を意味する。
【0032】
本願において、別段の明示的な規定及び限定がない限り、「取り付ける」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、一体であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接連結、中間媒体を介した間接的連結、2つの要素の内部連通又は2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、本願における上記用語の具体的な意味は、状況に応じて理解してもよい。
【0033】
本願において、別段の明示的な規定及び限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にある場合は、第1特徴と第2特徴とが直接接触すること、又は第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することとしてもよい。さらに、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」、及び「よりも上」にある場合、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上にあるか、又は単に、第1特徴の水平方向の高さが第2特徴の水平方向の高さよりも高いことを示す。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「よりも下」にある場合、第1特徴が第2特徴の直下又は斜め下にあること、又は単に第1特徴の水平方向の高さが第2特徴の水平方向の高さよりも小さいことを示す。
【0034】
図1に示すように、本願の一実施形態は反応室100を提供する。前記反応室100はエピタキシャル層を成長させ、エピタキシャル層を有する生成物を得る。例えばSiCエピタキシャル層デバイスを製造することに用いられる。前記反応室100は、エピタキシャル層の堆積を容易にするために温度が均一な内部環境を提供することができ、また、前記反応室100は、内部構造部材のメンテナンスを容易にし、反応室100のメンテナンスコストを削減させる。
【0035】
また、図2に示すように、前記反応室100は、断熱層10と、中空発熱部材20と、回転台と、ガードプレートアセンブリと、セパレータ70と、を含む。前記回転台、ガードプレートアセンブリ及びセパレータ70は、いずれも前記中空発熱部材20内に設けられる。前記中空発熱部材20は所定の高温を付与するものである。前記断熱層10は、前記中空発熱部材20の外に被覆される。前記断熱層10は、前記中空発熱部材20による熱の損失を減少させることに用いられる。
【0036】
図5及び図6に示すように、前記中空発熱部材20は水平に開口している。前記回転台は回転ベース30とトレイ40を含む。前記回転ベース30は、前記中空発熱部材20の中央に回動可能に設けられ、回転軸は垂直方向に沿って設けられる。前記トレイ40は前記回転ベース30に設けられる。前記トレイ40は、ウエハを載置し、ウエハ上にエピタキシャル層を形成することに用いられる。前記ガードプレートアセンブリは、フロントガードプレート50と、リアガードプレート60と、を含む。前記フロントガードプレート50及びリアガードプレート60は、それぞれ前記トレイ40の両側に設けられ、かつ、それぞれ前記中空発熱部材20の2つの開口部まで延びている。前記セパレータ70は、前記フロントガードプレート50及びリアガードプレート60に架設され、両側がそれぞれ前記中空発熱部材20の2つの開口部まで延びている。前記セパレータ70は、前記中空発熱部材20のチャンバー201を、互いに分離する反応キャビティ202及び発熱キャビティ203に仕切る。前記反応キャビティ202は、前記セパレータ70、前記フロントガードプレート50及びリアガードプレート60により画定されており、また、前記トレイ40を取り囲む。前記反応キャビティ202は、トレイ40へのエピタキシャル反応を行うことに用いられる。前記発熱キャビティ203は、前記中空発熱部材20の内壁及び前記セパレータ70で形成される。前記発熱キャビティ203は、前記中空発熱部材20による熱を受け、前記セパレータ70を介して前記反応キャビティ202に伝達することに用いられる。
【0037】
具体的には、前記中空発熱部材20は、黒鉛材質、好ましくは高純度黒鉛を採用する。中空発熱部材20は、熱伝導や熱放射により熱や温度を内部の他の部材に伝達する。黒鉛は、熱伝導性が良好で、黒さが高いため、反応室100内には、断熱部材で構成される断熱層10以外に、他の各部材は黒鉛材料で製造され、このように、反応室100内の全体の温度がほぼ等しくなり、エピタキシャル堆積が順調に行われることを確保する。
【0038】
さらに、中空発熱部材20は、単一の環状構造であり、各位置での厚さが誘導電力周波数での黒鉛の表皮深さよりも小さく、例えば各位置での厚さが等しく、誘導加熱の際には、中空発熱部材20は、各位置で熱が均一に生じ、温度の一致性が優れる。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記断熱層10は、複数の断熱部材を接合したものであってもよく、また、前記中空発熱部材20の外に均一に被覆されている。
【0040】
図4に示すように、反応の際には、中空発熱部材20の一方の側から反応ガスが導入され、ガスは、反応キャビティ202内からトレイ40のウエハに流れ、ウエハの表面に到達するまでに、中空発熱部材20の先端により所定の温度に加熱され、ウエハの表面に到達してから、所定の機序により良好なエピタキシャル層を生成する。また、反応キャビティ202は、トレイ40、フロントガードプレート50、リアガードプレート60、及びセパレータ70により、中空発熱部材20の内面を露出させる発熱キャビティ203から分離し、それによって、反応ガスが発熱キャビティ203中で反応し、中空発熱部材20の内面における堆積を回避する。
【0041】
図3及び図5に示すように、前記反応キャビティ202の内部の空間が小さく、前記中空発熱部材20の外に被覆された前記断熱層10及び前記中空発熱部材20内の前記セパレータ70の両方の作用により、反応キャビティ202内、特にウエハの表面の温度の均一性がより実現されやすい。前記トレイ40、フロントガードプレート50、リアガードプレート60、及びセパレータ70は、構造が簡単で、コストが低く、前記セパレータ70、前記フロントガードプレート50及びリアガードプレート60により画定される前記反応キャビティ202が前記トレイ40を取り囲むことによって、前記トレイ40は、構造が複雑でコストが高い中空発熱部材20の内面に露出しない。反応ガスが中空発熱部材20内に入るときに、反応キャビティ202内のみを流れ、トレイ40上のウエハで化学気相成長し、セパレータ70、フロントガードプレート50又はリアガードプレート60で気相成長反応を起こし、余分な堆積物を生成し、発熱キャビティ203に流れないため、中空発熱部材20の表面に堆積しない。一定のバッチの製造後に、構造が簡単で、コストが低いトレイ40、フロントガードプレート50、リアガードプレート60及びセパレータ70のみの交換が必要であり、コストが高く、構造が複雑な中空発熱部材20のメンテナンスや交換が不要である。この反応室は、内部の温度の均一性に優れ、反応ガスの利用率がより高く、反応室内の各部材のメンテナンスや交換の頻度がより低く、メンテナンス性が優れ、しかも、反応室100のメンテナンスのコストが低下する。
【0042】
図17には、前記反応室の温度シミュレーション図が示されており、図から分かるように、本願の反応室100内において、ウエハの表面の温度均一性に優れるため、厚さが均一なフィルムを成長させ、生成物の品質を向上させることができる。
【0043】
図1図7に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例1と比べて、以下の点は相違する。
【0044】
前記断熱層10内には、断熱キャビティ101、給気口102及び排気口103が設けられる。前記中空発熱部材20は前記断熱キャビティ101内に設けられる。前記給気口102及び排気口103は、それぞれ前記断熱キャビティ101の両側に位置し、かつ前記断熱キャビティ101に連通する。前記給気口102及び排気口103は、それぞれ前記中空発熱部材20の2つの開口部に対向する。
【0045】
前記中空発熱部材20の開口部は略面取り長方形の形状をしており、前記回転ベース30、フロントガードプレート50、リアガードプレート60は、それぞれ前記チャンバー201の底壁に設けられる。
【0046】
図1図7に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1及び実施例2の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例1と比べて、以下の点は相違する。
【0047】
前記フロントガードプレート50、リアガードプレート60及び前記トレイ40の表面の高さが同じである。
【0048】
具体的には、前記回転ベース30及びトレイ40は円形である。前記フロントガードプレート50及びリアガードプレート60の前記トレイ40に面する側は、それぞれ前記トレイ40の形状に合わせる半円形である。前記フロントガードプレート50及びリアガードプレート60は、それぞれ前記チャンバー201の底壁に設けられ、これらは円形の反応槽(符号付与せず)を画定し、前記回転ベース30及びトレイ40は、ほぼ完全に前記反応槽内に埋め込まれ、前記トレイ40の回転ベース30から離れた面と、前記フロントガードプレート50及びリアガードプレート60の前記チャンバー201の底壁から離れた側の面とは、高さが同じである。
【0049】
前記チャンバー201の底壁には、フロントガードプレート50及びリアガードプレート60を制限する部材(図示せず)、例えば制限ピン、凸起、凹溝などの構造が加工されており、これらの構造は回転軸31及び回転軸溝206と協働して、フロントガードプレート50、リアガードプレート60及び回転ベース30を取り付けるときの相対位置を一定にする。
【0050】
前記回転ベース30の前記トレイ40に面する側に支持部33が設けられる。前記支持部33は前記トレイ40を支えることに用いられる。本実施例では、前記支持部33は、前記回転ベース30の中央にある円形の凸起であり、前記トレイ40は、前記円形の凸起上に配置される。
【0051】
本実施例では、前記支持部33の前記トレイ40に面する側に位置決め溝34が設けられる。前記位置決め溝34は前記トレイ40を位置決めすることに用いられる。前記トレイ40の前記回転ベース30に面する側に位置決め部41が設けられ、前記トレイ40は、位置決め部41と位置決め溝34との嵌合により、前記回転ベース30に位置決めされる。本実施例では、前記位置決め溝34は、前記支持部33の中央にある円形の凹溝であり、前記位置決め部41は円形の凸起であるが、これに限定されるものではなく、他の実施例では、前記位置決め溝34及び前記位置決め部41は、互いにマッチングする他の形状としてもよい。
【0052】
前記トレイ40の前記回転ベース30から離れた側に載置部42が設けられる。前記載置部42は、ウエハを載置し、ウエハ上にエピタキシャル層を形成することに用いられる。本実施例では、前記載置部42は、前記トレイ40の中央にある円形の凹溝である。
【0053】
いくつかの実施例では、前記回転ベース30及び前記トレイ40は、同一部材として一体成形されてもよく、すなわち、前記回転台は、ウエハを載置するウエハ載置溝が中央に開けられた一体のものである。
【0054】
前記セパレータ70は略U字形であり、前記中空発熱部材20とは長さが同じである。前記セパレータ70は、対向設置された2つの側板71と、2つの側板71を接続する天板72と、を含む。2つの前記側板71は、それぞれ前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60の両側に支持されて、前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60と協働して、トレイ40をチャンバー201の側壁から分離し、前記天板72は、トレイ40をチャンバー201の天壁から分離し、それによって、前記トレイ40は分離される。
【0055】
U字形のセパレータ70では、ウエハの表面及び内部に正対する側辺はいずれも非常に平坦であり、また、U字形のセパレータ70の各位置での温度も均一であり、ウエハの表面及びウエハの縁部に近い位置に対して放射作用を与え、それに加えて、回転ベース30及びトレイ40によるウエハの表面への熱伝導により、ウエハの表面の温度均一性がよりよくなり、すなわち、ウエハの表面の各位置での温度差がより小さくなる。
【0056】
いくつかの実施例では、前記側板71及び前記天板72は一体成形されるが、これに限定されるものではなく、前記側板71及び前記天板72は、2つの個別の部材を互いに接合したものであってもよい。具体的には、2つの前記側板71をそれぞれ前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60に設けてから、前記天板72を2つの前記側板71のトップに設けるか、又は、まず、2つの前記側板71を前記天板72に接合してから、前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60上にセットしてもよい。前記側板71及び前記天板72が前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60と協働して、前記中空発熱部材20のチャンバー201を、互いに分離する反応キャビティ202及び発熱キャビティ203に仕切ることができればよい。
【0057】
具体的には、前記フロントガードプレート50では、前記反応槽の両側に支持面51が設けられ、前記リアガードプレート60では、前記反応槽の両側に支え面61が設けられる。前記側板71の前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60に面する側には、前記支持面51及び支え面61に対する嵌合面711が設けられる。嵌合面711と前記支持面51及び支え面61との嵌合により、前記側板71は前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60に支持される。
【0058】
両側にある前記支持面51及び支え面61は、それぞれ、対向する傾斜面であり、前記支持面51は、対向する支え面61とは傾きが同じである。2つの前記側板71の嵌合面711は同様に対向する傾斜面であり、また、嵌合面711は、対応する支持面51及び支え面61とは、傾斜方向が反対し、かつ傾斜角度が同じであり、それによって、支持作用が果たされるとともに、前記側板71に対する位置決め作用もある。
【0059】
いくつかの実施例では、前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60は、同一部材として一体成形されてもよく、すなわち、前記ガードプレートアセンブリは、前記回転ベース30及び前記トレイ40を載置するための円形の反応溝が中央に開けられた完全な板材である。
【0060】
図1図7に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1~実施例3の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例3と比べて、以下の点は相違する。
【0061】
反応中の副成物と壁面との結合力を大きくし、ガスが反応室100内に堆積して生成した副成物が壁面から脱落してウエハの表面に堆積したエピタキシャル層の品質及び效果に悪影響を与えることを回避するために、前記反応室100には、コーティングがさらに設けられる。
【0062】
前記コーティングは、中空発熱部材20及び回転ベース30以外の他の部材上に塗布されてもよい。
【0063】
具体的には、前記トレイ40、フロントガードプレート50、リアガードプレート60やセパレータ70などの、堆積し得る位置の表面に、コーティングを均一に塗布して処理してもよい。これらの部分の部材は、構造が比較的簡単で、コストが低く、塗布しやすく、後続のメンテナンスが簡単で、メンテナンスコストが大幅に低い。
【0064】
いくつかの実施例では、前記コーティングにはSiCコーティングが使用される。限定されるものではないが、別のいくつかの実施例では、前記コーティングにはTaCコーティングが使用される。
【0065】
図1図7に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1~実施例4の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例4と比べて、以下の点は相違する。
【0066】
前記セパレータ70は、反応ガスの流動方向における少なくとも2つのサブセパレータから構成される。複数のサブセパレータは、それぞれ前記フロントガードプレート50の両側、又は前記リアガードプレート60の両側、又は前記フロントガードプレート50及び前記リアガードプレート60の両方の両側に支持され、それによって、共同で前記チャンバー201を反応キャビティ202及び発熱キャビティ203に仕切る。
【0067】
反応キャビティ202において、トレイ40の給気口102に近い側にある反応ガスの濃度が、トレイ40の排気口103に近い側の濃度よりも遥かに高いため、給気口102に近い側にあるセパレータ70には、多くの堆積物が生じる。セパレータ70が複数のサブセパレータに分けられることによって、メンテナンスの際には、給気口102に近い側にあるサブセパレータだけを交換したり、給気口102に近い側にあるサブセパレータの交換頻度を排気口103に近い側にあるサブセパレータよりも高くしたりすることができ、それによって、メンテナンスの効率化を図ることができ、メンテナンスのコストをさらに削減させることができる。
【0068】
図1図7に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1~実施例5の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例5と比べて、以下の点は相違する。
【0069】
前記トレイ40の両側は、それぞれ前記チャンバー201の両側と面一であり、すなわち、前記チャンバー201はほぼ完全に前記トレイ40に覆われている。
【0070】
具体的には、チャンバー201の横断面は略正方形の形状、トレイ40は正方形に内接する円形としてもよい。実施例1~実施例6では、反応ガスがフロントガードプレート50に多く堆積されるため、トレイ40を最大にし、フロントガードプレート50及びリアガードプレート60を、チャンバー201の横断面が内接する円形のトレイ40と重ならない領域の形状にすることによって、チャンバー201に入った反応ガスはほぼすべてチャンバー201に入ると、チャンバー201の上流に直接堆積し、すなわち、トレイ40の給気口102に近い側に堆積し、また、トレイ40が均一に回転するため、反応ガスはトレイ40のウエハの各部分に均一に堆積され、そして、反応ガスがほぼトレイ40のウエハの表面にしか堆積できないため、副成物を減少させ、それによっても、反応室100内の各部のメンテナンスの頻度を低下させることができる。
【0071】
図1図7に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1~実施例6の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例6と比べて、以下の点は相違する。
【0072】
前記反応室100には、ガスガイド部材80がさらに設けられる。前記ガスガイド部材80は、中空発熱部材20の給気口102に近い側の先端に位置し、かつ、前記ガスガイド部材80は、前記断熱層10の給気口102に挿通され、前記中空発熱部材20の反応キャビティ202に連通する。前記ガスガイド部材80は、前記給気口102に入るべき反応ガスを前記反応キャビティ202内のトレイ40にガイドする管状構造である。
【0073】
チャンバー201が中空発熱部材20により画定されるので、中空発熱部材20が交番磁場による作用を受けて発熱すると、チャンバー201の内部の温度が高温に上昇し、反応ガスは、給気口102からチャンバー201に入ると、チャンバー201の給気口102に近い側に堆積されて多く消費され、その結果として、原料ガスの浪費や生産速度の低下を招く。
【0074】
いくつかの実施例では、前記ガスガイド部材80は、上下に接合された黒鉛デバイスである。上下に接合された黒鉛デバイスにおける接触面に互いに絶縁である絶縁層又は絶縁要素が追加されることによって、交番磁場で交番誘導電流が生じることによる熱を回避し、トレイ40上にあるウエハに到達するまでに消費される反応ガスの量を減らし、ウエハの表面に到達する反応ガスを増加させ、それによって、エピタキシャル層の成長速度を速め、反応ガスの利用率を向上させることができる。また、ガスガイド部材80の温度が低く、その内面が反応ガスの反応による粒子堆積のための温度よりも低温であるため、ガスガイド部材80を流れて消費される反応ガスが少なく、それへのガスの堆積速度も遅くなり、反応ガスのウエハの表面での反応の利用率が高まり、ガスガイド部材80の内面に生成された粒子が脱落してウエハの表面の品質に影響を与える可能性がほぼ解消され、それによって、ガスガイド部材80のメンテナンスの頻度が低下する。また、フロントガードプレート50及び中空発熱部材20の先端への反応ガスの堆積を減少させ、当該部分に堆積された粒子の脱落によるウエハの表面の破壊をある程度低減させ、ウエハ成長の欠陥を減らし、ウエハの特性及び品質を向上させることができる。
【0075】
別のいくつかの実施例では、前記ガスガイド部材80は、他の非導電性材料で製造され、同様に、交番誘導電流が発生して熱を生じさせ、温度の上昇を引き起こすことを回避できる。この場合、前記ガスガイド部材80は、一体的に加工された環状構造であってもよい。例えば高温耐性の多結晶炭化ケイ素で製造されたガスガイド部材80を採用する。
【0076】
図1図8に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1~実施例7の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例7と比べて、以下の点は相違する。
【0077】
前記チャンバー201は、上下に2つ配列され、2つのウエハにエピタキシャル層を成長させることを可能にし、生産効率を高める。
【0078】
具体的には、図8に示すように、2つのチャンバー201内には、それぞれ回転ベース30、トレイ40、フロントガードプレート50、リアガードプレート60及びセパレータ70が設けられ、2つのチャンバー201は、それぞれ、反応キャビティ202及び発熱キャビティ203に仕切られる。
【0079】
さらに、図9に示すように、トレイ40におけるウエハの表面の温度の均一性を向上させるために、いくつかの実施例では、中空発熱部材20は多層で分布している構造として設計されてもよい。誘導加熱の際には、ウエハが設けられた回転ベース30及びトレイ40の底部にある中空発熱部材20の黒鉛層のいずれも発熱せず、外周にある環状の黒鉛層の発熱による高温だけによって、トレイ40及びウエハへの熱伝達が行われること、及びウエハの上方にある不発熱層がウエハの表面へ熱を放射することを組み合わせることによって加熱が行われ、それによって、2つのウエハの表面の温度の均一性が向上する。
【0080】
図10図16に示すように、本実施例による反応室100は、エピタキシャル層の成長に用いられ得る。本実施例は、上記の実施例1~実施例8の技術を基にして改良したものであり、上記の実施例1と比べて、以下の点は相違する。
【0081】
前記中空発熱部材20には、温度測定キャビティ204がさらに設けられる。前記温度測定キャビティ204は前記チャンバー201の天壁に設けられ、前記チャンバー201の配置方向に沿って前記チャンバー201の中央まで延びている。前記断熱層10では、前記温度測定キャビティ204に対応して温度測定孔104が設けられる。エピタキシャル堆積の際には、温度測定孔104及び温度測定キャビティ204を介して、温度測定装置を前記反応室100内に配置し、エピタキシャル反応中のトレイ40付近の温度を監視し、プロセス温度と一致させることができ、これはエピタキシャル層の堆積に有利である。
【0082】
前記回転ベース30はガスによって駆動されて回動する。前記回転ベース30は回転軸31を介して前記チャンバー201の底壁に設けられる。前記回転ベース30の前記トレイ40から離れた側に回転溝32が設けられる。前記回転溝32へガスが噴射されることによって、前記回転ベース30は前記回転軸31の周りに回転するように駆動される。
【0083】
具体的には、中空発熱部材20には、駆動キャビティ205がさらに設けられる。前記駆動キャビティ205は、前記チャンバー201の底壁の下方に設けられ、前記チャンバー201の配置方向に沿って前記チャンバー201の中央まで延びており、前記チャンバー201の中央で前記チャンバー201に連通する。前記チャンバー201の底壁には回転軸溝206がさらに設けられる。前記回転軸31は前記回転軸溝206内に回動可能に設けられる。前記回転溝32は、前記駆動キャビティ205に連通して、前記回転ベース30を回転駆動することができる。前記断熱層10には、前記駆動キャビティ205に対応して駆動孔105が設けられる。エピタキシャル堆積の際には、駆動孔105及び駆動キャビティ205から、前記回転溝32へ駆動ガスを導入して、回転ベース30を回転させてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記回転溝32は少なくとも2つ設けられ、前記少なくとも2つの回転溝32は、前記回転ベース30の回転軸を中心として回転対称である。前記駆動キャビティ205と前記チャンバー201との連通部位は少なくとも2つ設けられ、前記少なくとも2つの連通部位は前記回転軸溝206を中心として回転対称であり、それによって前記回転溝32に対応する。
【0085】
他の実施例では、前記回転ベース30は、電気的伝動、機械的伝動などの他の手段によって回転駆動されてもよい。中空発熱部材20のチャンバー201の底壁に孔を開け、モータや回転シリンダなどの駆動軸を中空発熱部材20に通して回転ベース30と接続すればよい。
【0086】
図14図16に示すように、前記リアガードプレート60には案内部62がさらに設けられる。前記案内部62は、前記トレイ40を着脱するための着脱装置の出入りを案内するものである。いくつかの実施例では、前記着脱装置はマニピュレータである。案内部62は、2つの前記支え面61の間に設けられ、前記トレイ40に近い側から前記中空発熱部材20の排気口に近い側へ延びており、このようにして、前記着脱装置が前記反応キャビティ202に出入りして、ウエハ付きのトレイ40を入れたり取り出したりすることを容易にする。
【0087】
さらに、前記案内部62は、前記リアガードプレート60に設けられた2つの平行な凹溝であり、2つの凹溝は、それぞれ、対応する1つの前記支え面61に近い。前記案内部62によれば、前記回転ベース30を回転させるガスが回転溝32から流れ出してから、前記反応室100から流れ出し、それによって、このガスがウエハの表面への反応ガスの堆積に与える影響を回避する。
【0088】
前記リアガードプレート60には、校正部63がさらに設けられる。前記校正部63は、着脱装置について移動距離校正を行い、その相対位置を決定するものである。いくつかの実施例では、前記校正部63は、前記案内部62の凹溝の傍に開けられた溝であり、案内部62と嵌合して段差構造を構成する。それに限定されるものではなく、他の実施例では、前記校正部63は、凸起、ピンや他の構造であってもよい。
【0089】
図1図18に示すように、本実施例はまた、エピタキシャル層を加工するための反応装置200を提供する。前記反応装置200は、実施例1~実施例9のいずれかの実施例に記載の反応室100を含む。
【0090】
前記反応装置200は、石英管211と誘導コイル212をさらに含む。前記反応室100は前記石英管211内に位置する。前記石英管211外には前記誘導コイル212が設けられる。前記誘導コイル212に交番電流が流れると、中空発熱部材20の内部でジュール熱が発生し、反応室100内の温度が上昇する。
【0091】
具体的には、前記石英管211は二重ケーシングであり、前記二重ケーシングの中間層内に冷却水が導入されており、前記石英管211の最外側の壁面の温度を50℃以下に維持し、それによって火傷事故を避ける。
【0092】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を参照して説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の概略的な表現は、同じ実施例又は例を対象としていなければならないものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例もしくは例において、適切な方法で組み合わされてもよい。さらに、当業者は、互いに矛盾することなく、本明細書に記載された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合したり組み合わせたりしてもよい。
【0093】
本願の実施例が以上で示され、説明されているが、上記の実施例は例示的なものであり、本願を限定するものとは理解されず、当業者であれば、本願の範囲内で上記の実施例を変更、修正、置換、及び変形してもよいことが理解される。
【符号の説明】
【0094】
100 反応室
10 断熱層
101 断熱キャビティ
102 給気口
103 排気口
104 温度測定孔
105 駆動孔
20 中空発熱部材
201 チャンバー
202 反応キャビティ
203 発熱キャビティ
204 温度測定キャビティ
205 駆動キャビティ
206 回転軸溝
30 回転ベース
31 回転軸
32 回転溝
33 支持部
34 位置決め溝
40 トレイ
41 位置決め部
42 載置部
50 フロントガードプレート
51 支持面
60 リアガードプレート
61 支え面
62 案内部
63 校正部
70 セパレータ
71 側板
711 嵌合面
72 天板
80 ガスガイド部材
200 反応装置
211 石英管
212 誘導コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空発熱部材と、
前記中空発熱部材のチャンバー内に回動可能に設けられ、ウエハを載置することに用いられる回転台と、
前記回転台の両側に設けられるガードプレートアセンブリと、
前記ガードプレートアセンブリと協働することに用いられるセパレータと、を含み、
記チャンバーの仕切りによって前記回転台を取り囲む反応キャビティが形成され、かつ、前記チャンバーの表面が前記反応キャビティ内に露出しない、反応室。
【請求項2】
前記セパレータは、対向設置された2つの側板と、2つの前記側板を接続する天板と、を含み、2つの前記側板は、前記ガードプレートアセンブリと協働して、前記回転台を前記チャンバーの側壁から分離し、前記天板は前記回転台を前記チャンバーの天壁から分離する、請求項1に記載の反応室。
【請求項3】
前記ガードプレートアセンブリは、フロントガードプレートと、リアガードプレートと、を含み、前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートは、それぞれ前記回転台の両側に設けられ、前記フロントガードプレートの両側に支持面が設けられ、前記リアガードプレートの両側に支え面が設けられ、前記側板の前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートに面する側には、前記支持面及び前記支え面に対する嵌合面が設けられ、前記嵌合面は、前記支持面及び前記支え面と嵌合して、前記側板を前記フロントガードプレート及び前記リアガードプレートに支持する、請求項2に記載の反応室。
【請求項4】
前記フロントガードプレートの両側にある前記支持面は対向する傾斜面であり、前記リアガードプレートの両側にある前記支え面は対向する傾斜面であり、2つの前記側板の嵌合面は対向する傾斜面であり、それにより、2つの前記側板は位置決めされる、請求項3に記載の反応室。
【請求項5】
前記リアガードプレートには案内部がさらに設けられ、前記案内部は、2つの前記支え面の間に設けられ、前記回転台に近い側から前記チャンバーの排気口に近い側へ延びている、請求項3に記載の反応室。
【請求項6】
前記回転台の前記セパレータから離れた側に回転溝が設けられ、前記中空発熱部材には駆動キャビティがさらに設けられ、前記駆動キャビティは前記チャンバーの底壁の下方に設けられ、前記チャンバーの配置方向に沿って前記チャンバーの中央まで延びており、前記回転溝は前記駆動キャビティに連通する、請求項1に記載の反応室。
【請求項7】
前記中空発熱部材には温度測定キャビティがさらに設けられ、前記温度測定キャビティは前記チャンバーの天壁に設けられ、前記チャンバーの配置方向に沿って前記チャンバーの中央まで延びている、請求項1に記載の反応室。
【請求項8】
前記反応室は断熱層をさらに含み、前記反応室にはガスガイド部材がさらに設けられ、前記ガスガイド部材は、前記中空発熱部材の先端に設けられ、前記中空発熱部材の反応キャビティに連通し、前記断熱層の給気口に入った反応ガスを前記反応キャビティ内の前記回転台にガイドすることに用いられる、請求項7に記載の反応室。
【請求項9】
前記中空発熱部材のチャンバーは上下に2つ配列されており、2つの前記チャンバーのそれぞれの内部には、対応する前記回転台、前記ガードプレートアセンブリ及び前記セパレータが設けられる、請求項1に記載の反応室。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の反応室を含む反応装置。
【国際調査報告】