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特表2024-540554電極組立体およびこれを含む電池セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電極組立体およびこれを含む電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20241024BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529641
(86)(22)【出願日】2023-02-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2023002536
(87)【国際公開番号】W WO2023210941
(87)【国際公開日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0050981
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0022115
(32)【優先日】2023-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、デス
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンドク
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、スーン ヒュン
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029BJ12
5H029BJ27
5H029DJ12
5H029HJ03
5H029HJ04
5H029HJ12
5H029HJ18
(57)【要約】
本発明は、電極組立体およびこれを含む電池セルを含み、本発明の一実施形態による負極、正極、および分離膜を含む複数の単位セルが積層され、前記複数の単位セルの間に位置する分離膜を含む電極組立体は、前記負極の一端部が前記正極の一端部よりも突出した第1単位セル;および前記正極の一端部が前記負極の一端部よりも突出した第2単位セルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極、正極、および分離膜を含む複数の単位セルが積層され、前記複数の単位セルの間に位置する分離膜を含む電極組立体において、
前記負極の端部が前記正極の端部よりも突出した第1単位セル;および
前記正極の端部が前記負極の端部よりも突出した第2単位セル
を含む電極組立体。
【請求項2】
前記第2単位セルは、第2負極、第2正極、および前記第2負極と前記第2正極との間に位置する第2分離膜を含み、
前記第2正極の端部は前記第2負極の端部よりも突出しており、
前記第2正極の長さが前記第2負極の長さよりも長い、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記第2負極の長さと前記第2正極の長さとの差は1%未満である、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第2負極の長さと前記第2正極の長さとの差は0.4%以下である、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第2負極の終端と前記第2分離膜の終端との間の距離は、前記第2正極と前記第2分離膜の終端との間の距離よりも長い、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記第2単位セルは、前記第1単位セルよりも低い電位でリチウムが析出される、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第2単位セルは、前記第2単位セルに加えられる電圧が4.5V以上5.5V以下である時、リチウムが析出される、請求項6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記第2単位セルは、前記第2単位セルの正極の容量発現が前記第2単位セルの負極の容量発現よりも大きい、請求項6に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記第1単位セルは少なくとも一つ以上である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第2単位セルは、前記第1単位セルが複数積層されて積層体を形成する時、前記積層体の積層方向を基準として最外側に位置する前記第1単位セルと隣接するように備えられる、請求項9に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記第2単位セルは、最外側単位セルである、請求項10に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記第2単位セルは、複数の前記第1単位セルの間に位置する、請求項9に記載の電極組立体。
【請求項13】
前記第2単位セルの個数が増加するほど、電池の過充電時に最大電圧が低くなる、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項14】
請求項1に記載の電極組立体を含む電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(ら)との相互引用
本出願は、2022年4月25日付韓国特許出願第10-2022-0050981号および2023年2月20日付韓国特許出願第10-2023-0022115号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体およびこれを含む電池セルに関し、より具体的に過電圧条件で短絡を発生させて電池セルの安定性確保が可能な電極組立体およびこれを含む電池セルに関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加することに伴いエネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加している。そのため、多様な要求に応えることができる二次電池に対する多くの研究が行われている。
【0004】
二次電池は、携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコンなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0005】
最近、二次電池のエネルギー貯蔵源としての活用をはじめとして大容量二次電池構造に対する必要性が高まりつつ、多数の二次電池が直列/並列に連結された電池モジュールを集合させた中大型モジュール構造の電池パックに対する需要が増加している。
【0006】
現在、商用化された二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうちリチウム二次電池は、充放電が自由であり、自己放電率が低く、エネルギー密度が高いという長所のため、最も多い注目を浴びつつある。
【0007】
二次電池は、電池ケースの形状により、電極組立体が円筒型または角型の金属カンに内蔵されている円筒型電池および角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類される。
【0008】
また、二次電池は、正極、負極、および正極と負極との間に介される分離膜が積層された構造の電極組立体が如何なる構造からなっているのかにより分類されたりもする。代表的には、長いシート形の正極と負極を分離膜が介された状態で巻き取った構造のジェリーロール型(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位で切り取った多数の正極と負極を分離膜を介した状態で順次に積層したスタック型(積層型)電極組立体などが挙げられる。最近は、前記ジェリーロール型電極組立体およびスタック型電極組立体が有する問題点を解決するために、前記ジェリーロール型とスタック型の混合形態であるスタック/フォルディング型電極組立体が開発されたりもした。
【0009】
図1は従来の電極組立体の側面図である。
【0010】
図1を参照すれば、電極組立体は、スタック型電極組立体であって、主に負極11、第1分離膜13、正極12が積層されるか、または正極12、第1分離膜13、負極11が順次に積層された単位セルが第2分離膜30を間に置いて積層されることによって形成される。
【0011】
通常、第1分離膜13は、正極12または負極11の長さよりも長く形成されるため、電極組立体で第1分離膜13の終端は正極12または負極11と接着されていない状態で存在する。ここで、第1分離膜13と第2分離膜30は、実質的に同一の構成である。
【0012】
また、通常、負極11の一端部は正極12の一端部よりも突出している。このような構造を有する単位セルにおいて、電池の作動範囲が4.5V以上である過電圧状態では、電解質の追加的な分解や正極における酸素脱離などの問題によって、バッテリーが爆発する可能性が高くなる。したがって、電池が過充電される場合、電池を短絡させて電圧が急激に上昇することを防止する技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、安全性が改善された電極組立体およびこれを含む電池セルを提供することにある。
【0014】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態による負極、正極、および分離膜を含む複数の単位セルが積層され、前記複数の単位セルの間に位置する分離膜を含む電極組立体は、前記負極の端部が前記正極の端部よりも突出した第1単位セル;および前記正極の端部が前記負極の端部よりも突出した第2単位セルを含む。
【0016】
前記第2単位セルは、第2負極、第2正極、および前記第2負極と前記第2正極との間に位置する第2分離膜を含み、前記第2正極の端部は前記第2負極の端部よりも突出しており、前記第2正極の長さが前記第2負極の長さよりも長くてもよい。
【0017】
前記第2負極の長さと前記第2正極の長さとの差は1%未満であり得る。
【0018】
前記第2負極の長さと前記第2正極の長さとの差は0.4%以下であり得る。
【0019】
前記第2負極の終端と前記第2分離膜の終端との間の距離は、前記第2正極と前記第2分離膜の終端との間の距離よりも長くてもよい。
【0020】
前記第2単位セルは、前記第1単位セルよりも低い電位でリチウムが析出され得る。
【0021】
前記第2単位セルは、前記第2単位セルに加えられる電圧が4.5V以上5.5V以下である時、リチウムが析出され得る。
【0022】
前記第2単位セルは、前記第2単位セルの正極の容量発現が前記第2単位セルの負極の容量発現よりも大きくてもよい。
【0023】
前記第1単位セルは少なくとも一つ以上であり得る。
【0024】
前記第2単位セルは、前記最外側の第1単位セルと隣接するように備えられ得る。
【0025】
前記第2単位セルは、最外側単位セルであり得る。
【0026】
前記第2単位セルは、前記複数の第1単位セルの間に位置することができる。
【0027】
前記第2単位セルの個数が増加するほど、電池の過充電時に最大電圧が低くなることができる。
【0028】
本発明の他の一実施形態による電池セルは、前述した電極組立体を含む。
【発明の効果】
【0029】
実施形態によれば、負極の一端部と正極の一端部との長さ差を利用して電極組立体およびこれを含む電池セルの安全性を向上させることができる。
【0030】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来の電極組立体の側面図である。
図2】本発明の一実施形態による電極組立体の側面図である。
図3】(a)は本発明の一実施形態による電極組立体を構成する第1単位セルの斜視図であり、(b)は本発明の一実施形態による電極組立体を構成する第2単位セルの斜視図である。
図4】過充電状態での本発明の一実施形態による第2単位セルを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による電極組立体を構成する単位セルの側面図である。
図6】電池の過充電時、電池に加えられる電圧を示すグラフである。
図7】過充電状態での従来の単位セルを示す写真である。
図8】過充電状態での本発明の一実施形態による単位セルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0034】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0035】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0036】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0037】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0038】
図2は本発明の一実施形態による電極組立体の側面図である。図3の(a)は本発明の一実施形態による電極組立体を構成する第1単位セルの斜視図である。図3の(b)は本発明の一実施形態による電極組立体を構成する第2単位セルの斜視図である。
【0039】
図2を参照すれば、電極組立体1000は、スタック型電極組立体であって、第1単位セル100、第2単位セル200および第3分離膜300を含む。図2の電極組立体1000は、電極組立体1000の中心部をz軸方向に切断した時の一領域を概略的に示したものである。
【0040】
より詳しくは、図2および図3の(a)を参照すれば、第1単位セル100は、第1正極120、第1分離膜130および第1負極110が積層された構造である。具体的に、第1単位セル100は、第1負極110の端部が第1正極120の端部よりも突出した構造である。つまり、第1単位セル100の第1負極110の長さは、第1正極120の長さよりも長くてもよい。ただし、第1負極110および第1正極120の長さは、第1分離膜130の長さよりも短くてもよい。したがって、第1分離膜130の終端は第1負極110または第1正極120と接着されていない状態で存在する。
【0041】
図2および図3の(b)を参照すれば、第2単位セル200は、第2正極220、第2分離膜230および第2負極210が積層された構造である。より具体的に、第2単位セル200は、第2正極220の端部が第2負極210の端部よりも突出した構造である。つまり、第2単位セル200の第2正極220の長さは、第2負極210の長さよりも長くてもよい。この場合、第2負極210の長さと第2正極220の長さとの差は1%未満であり得る。
【0042】
ただし、第2負極210および第2正極220の長さは、第2分離膜230の長さよりも短くてもよい。したがって、第2分離膜230の終端は、第2負極210または第2正極220と接着されていない状態で存在する。
【0043】
この時、第2負極210の長さは、第2正極220の長さよりも短いため、第2負極210の終端と第2分離膜230の終端との間の距離は、第2正極220と第2分離膜230の終端との間の距離よりも長くてもよい。
【0044】
図2を参照すれば、第3分離膜300は、第1単位セル100と第2単位セル200との間に位置して積層され、最外側に位置した第1単位セル100と第2単位セル200の一面とも接して位置する。
【0045】
つまり、第3分離膜300は、第1単位セル100と第2単位セル200との間に位置して、第1単位セル100と第2単位セル200とを絶縁させる役割を果たす。また、第3分離膜300は、第1単位セル100の第1分離膜130および第2単位セル200の第2分離膜230と同一の役割を果たし、同一の素材で形成されたものであり得る。
【0046】
図2で、本発明の一実施形態による電極組立体1000を構成する第1単位セル100と第2単位セル200は、それぞれ一つ以上であり得る。つまり、第1単位セル100と第2単位セル200の個数の合計は2以上であり得る。
【0047】
一例として、電極組立体1000を構成する第1単位セル100と第2単位セル200の個数の合計は20個であり得、具体的に、19個の第1単位セル100と1個の第2単位セル200で構成され得る。この場合、第2単位セル200は、第1単位セル100が複数個積層されて積層体を形成する時、前記積層体の積層方向を基準として最外側に位置した第1単位セル100と隣接して備えられ得る。つまり、第2単位セル200は、前記積層体の最外側単位セルであり得る。
【0048】
ただし、電極組立体1000は、前記構造に限定されるのではない。また、第1単位セル100および第2単位セル200の個数も前述の内容に限定されるのではなく、使用者が任意に変更可能である。例えば、複数の第1単位セル100が積層された積層体の両最外側に第2単位セル200が位置することもでき、第1単位セル100の間に少なくとも一つ以上の第2単位セル200が位置して電極組立体1000を構成することもできる。つまり、第2単位セル200の個数は少なくとも一つ以上であり得る。この場合、第2単位セル200の個数が増加するほど、過充電時に電池の最大電圧が低くなることができる。
【0049】
図4は過充電状態での本発明の一実施形態による第2単位セルを示す斜視図である。
【0050】
図4を参照すれば、電池に過電圧が加えられて過充電された状態で、本発明の一実施形態による第2単位セル200はリチウム(Li)を析出して、電池を短絡させる。
【0051】
通常、リチウム二次電池の作動範囲は4.5Vを超えない。しかし、充電器あるいはBMS(Battery Management System)の作動異常により、4.5V以上の電圧で電池が過充電されるイシューが発生したりもする。
【0052】
電池が過充電される場合、第2単位セル200の第2正極220端部は第2負極210の端部よりも突出しているため、第2負極210が第2正極220よりも過充電されてリチウムの析出が発生しやすい。
【0053】
より具体的に、第2単位セル200の第2負極210でリチウムの析出が発生する理由は次のとおりである。第2正極220の端部が第2負極210の端部よりも突出していれば、局部的に突出している第2正極220の容量発現が第2負極210の容量発現よりも大きい状態となる。この場合、充電時に第2負極210に挿入されなかった余分のリチウムイオンはリチウムが析出される形態で発生するようになる。
【0054】
つまり、第1単位セル100と第2単位セル200に同一の電圧が加えられた時、第1単位セル100はリチウムが析出されないが、第2単位セル200ではリチウム211が析出され得る。この場合、第2単位セル200で析出されたリチウム211により、電池の短絡が発生することができるため、電圧が上昇することを防止して電池の安定性が向上することができる。
【0055】
つまり、第2単位セル200を含む本発明の一実施形態による電極組立体は、第1単位セル100のみで構成された従来の電極組立体と比較して、より低い電位でリチウム211の析出が発生する。このようなリチウム211の析出により負極では短絡が発生するようになり、これによって、電池の電圧が上昇することを防止するため、電池の安定性が向上することができる。
【0056】
図5は本発明の一実施形態による電極組立体を構成する単位セルの側面図である。
【0057】
図5では、図2から4で説明した第2単位セル200を構成する第2負極210、第2正極220および第2分離膜230について詳しく説明する。第1単位セル100は、第2単位セル200とは正極と負極の長さ差のみがあり、それ以外は全ての構成が同一であるため、ここでは第2単位セル200を中心に説明する。
【0058】
図5を参照すれば、第2負極210は、負極集電体211に負極コーティング層212がコーティングされて形成される。負極集電体211は、一般に銅(Cu)で構成され、負極コーティング層212は、負極集電体211の一面および他面に位置する。負極コーティング層212は、負極活物質、導電剤およびバインダーが混合されて負極集電体211上にコーティングされる。
【0059】
第2正極220は、正極集電体221に正極コーティング層222がコーティングされて形成される。正極集電体221は、一般にアルミニウム(Al)で構成され、正極コーティング層222は、正極集電体221の一面および他面に位置する。正極コーティング層222は、正極活物質、導電剤およびバインダーが混合されて正極集電体221上にコーティングされる。
【0060】
第2分離膜230は、第2負極210と第2正極220との間に位置する。具体的に、第2分離膜は、第2負極210の負極コーティング層212と第2正極220の正極コーティング層222との間に位置する。第2負極210の負極コーティング層212と正極コーティング層222とが互いに接すれば電池の短絡(short)が起こるため、これを防止するためにこれらの間に第2分離膜230が位置する。
【0061】
【表1】
【0062】
図6は電池の過充電時、電池に加えられる電圧を示すグラフである。表1は電池の過充電時、比較例と実験例にそれぞれ加えられる最大電圧を示す。
【0063】
前記比較例は、図1の従来の電極組立体を含む電池であり、前記実験例は、図2および図3の第1単位セル100および第2単位セル200を含む電極組立体1000を含む電池である。詳しくは、前記実験例は、第1単位セル100積層体の最外側に位置する第2単位セル200を含む電極組立体1000であって、第2単位セル200を構成する第2負極210と第2正極220との長さ差が0.4%である電極組立体1000であり得る。
【0064】
図6および表1を参照すれば、電池が過充電された場合、電池に加えられる最大電圧は、本発明の一実施形態による電池である実験例がより低いことが分かる。
【0065】
具体的に、前記実験は、前記電流を電池に対して1Cの充電速度で8Vまで加えた時、短絡が発生する最大電圧を測定するものである。
【0066】
比較例の場合、過充電時、6.243Vまで電圧が上昇した後、短絡が発生して電圧が再び下降する。これに対し、実験例の場合は、過充電時、5.369Vまで電圧が上昇した後、短絡が発生して電圧が再び下降する。具体的に、実験例に加えられる電圧が4.5V以上5.5V以下である時、短絡が発生することができる。前記実験結果を参照すれば、実験例の最大電圧は、比較例の最大電圧より約1V程度より低いことが分かる。
【0067】
したがって、同一の実験条件で、本発明の一実施形態による実験例が比較例に比べて電圧上昇の程度が小さく、最大電圧の大きさも小さいため、電池の安定性の側面で優位にあることがわかる。
【0068】
図7は過充電状態での従来の単位セルを示す写真である。図8は過充電状態での本発明の一実施形態による単位セルの写真である。
【0069】
従来の単位セルは、図2および図3の第1単位セルであり、本発明の一実施形態による単位セルは、図2および図3の第2単位セルであり得る。
【0070】
図7および図8を参照すれば、同一の過充電状態で、第1単位セルではリチウムが析出されないが、第2単位セルではリチウムが析出される。つまり、第2単位セルを含む電池セルは、第1単位セルのみで構成された電池セルに比べて、同一の電位でリチウムが析出される。また、第2単位セルを含む電池セルは、第1単位セルのみで構成された電池セルに比べてより低い電位でリチウムが簡単に析出される。具体的に、第2単位セルは、第2単位セルに加えられる電圧が4.5V以上5.5V以下である時、リチウムが析出され得る。
【0071】
本発明の一実施形態による単位セルを含む電池セルは、一定の電圧以上でリチウムが析出され、これによって電圧の上昇が抑制されるため、従来の電池セルに比べて安定性が向上する。
【0072】
前述した電極組立体およびこれを含む電池セルは、電池モジュール、電池パックおよび多様なデバイスに適用され得る。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用され得るが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の範囲に属する。
【0073】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0074】
1000:電極組立体
100:第1単位セル
110:第1負極
120:第1正極
130:第1分離膜
200:第2単位セル
210:第2負極
220:第2正極
230:第2分離膜
300:第3分離膜
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極、正極、および分離膜を含む複数の単位セルが積層され、前記複数の単位セルの間に位置する分離膜を含む電極組立体において、
前記負極の端部が前記正極の端部よりも突出した第1単位セル;および
前記正極の端部が前記負極の端部よりも突出した第2単位セル
を含む電極組立体。
【請求項2】
前記第2単位セルは、第2負極、第2正極、および前記第2負極と前記第2正極との間に位置する第2分離膜を含み、
前記第2正極の端部は前記第2負極の端部よりも突出しており、
前記第2正極の長さが前記第2負極の長さよりも長い、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記第2負極の長さと前記第2正極の長さとの差は1%未満である、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第2負極の長さと前記第2正極の長さとの差は0.4%以下である、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第2負極の終端と前記第2分離膜の終端との間の距離は、前記第2正極と前記第2分離膜の終端との間の距離よりも長い、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記第2単位セルは、前記第1単位セルよりも低い電位でリチウムが析出される、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第2単位セルは、前記第2単位セルに加えられる電圧が4.5V以上5.5V以下である時、リチウムが析出される、請求項6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記第2単位セルは、前記第2単位セルの正極の容量発現が前記第2単位セルの負極の容量発現よりも大きい、請求項6に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記第1単位セルは少なくとも一つ以上である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第2単位セルは、前記第1単位セルが複数積層されて積層体を形成する時、前記積層体の積層方向を基準として最外側に位置する前記第1単位セルと隣接するように備えられる、請求項9に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記第2単位セルは、最外側単位セルである、請求項10に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記第2単位セルは、複数の前記第1単位セルの間に位置する、請求項9に記載の電極組立体。
【請求項13】
前記第2単位セルの個数が増加するほど、電池の過充電時に最大電圧が低くなる、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の電極組立体を含む電池セル。
【国際調査報告】