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特表2024-540586全波形インバージョンを使用して動く媒体のモーフィング関数及び弾性特性を生成するための超音波システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】全波形インバージョンを使用して動く媒体のモーフィング関数及び弾性特性を生成するための超音波システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61B8/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529804
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 IB2022061296
(87)【国際公開番号】W WO2023089598
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,981
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523215314
【氏名又は名称】イッコー ヘルス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IKKO HEALTH LTD.
【住所又は居所原語表記】3 Shontzino Street 6721603 Tel Aviv (IL)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】アクセルロッド,ラモン
(72)【発明者】
【氏名】ダフニ,ラアアナン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD18
4C601DE03
4C601DE14
4C601EE09
4C601EE10
4C601JB34
4C601JC06
(57)【要約】
動く媒体の超音波画像を作成するためのシステム及び方法が提供される。本方法は、複数のエミッタの一部によって、所定の閾値未満の動く媒体の動作が決定されるまで複数の超音波を発信するステップであって、複数の超音波は動く媒体に向けて出射される、該ステップと、複数のセンサーの一部によって、複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、動く媒体の動作が所定の閾値未満であるときにモーフィング関数のモデルを生成するステップであって、動く媒体の動作は複数の第一の受信信号のうちの少なくとも1つの受信信号に基づいて決定され、モーフィング関数は当初の複数の受信信号から動く媒体のモーフィングを定義する、該ステップと、モーフィング関数のモデルに対して波形インバージョンを実行するステップとを含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーフィング関数を生成することにより、動く媒体の超音波画像を生成する方法であって、
複数のエミッタの一部によって、所定の閾値を下回る前記動く媒体の動作が決定されるまで、複数の超音波を出射するステップであって、前記複数の超音波は、前記動く媒体に向かって出射される、該ステップと、
複数のセンサーの一部によって、前記複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、
前記動く媒体の前記動作が前記所定の閾値を下回るときにモーフィング関数のモデルを生成するステップであって、前記動く媒体の前記動作は、前記第一の複数の受信信号のうちの少なくとも1つの受信信号に基づいて決定され、前記モーフィング関数は当初の複数の受信信号から前記動く媒体のモーフィングを定義する、該ステップと、
前記モーフィング関数の前記モデルに対して波形インバージョンを実行するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記モーフィング関数の前記モデルを先行モデルと比較するステップであって、前記先行モデルは、前記モーフィング関数の前記モデルの生成の前に決定される、該ステップと、
前記比較に基づいて、前記先行モデルと前記モーフィング関数の前記モデルとの間の収束を決定するステップと、
前記収束が所定の値よりも大きいときに、前記モーフィング関数の前記モデルを用いて前記先行モデルを更新するステップと、をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数のエミッタの前記一部は前記複数のエミッタのうちの第一部分であり、前記複数のセンサーの前記一部は前記複数のセンサーのうちの第一部分であり、前記収束は前記所定の値よりも大きく、
前記複数のエミッタの第二部分による前記出射と、前記複数のセンサーの第二部分による前記受信とを繰り返すステップであって、第二の複数の受信信号が受信される、該ステップと、
前記モーフィング関数の前記モデルを生成する前記ステップと、波形インバージョンを実行する前記ステップと、を繰り返すステップであって、前記モーフィング関数は、前記第一の複数の受信信号から前記動く媒体のモーフィングを定義する、該ステップと、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のエミッタの当初の部分によって、前記所定の閾値を下回る前記動く媒体の当初動作が決定されるまで、当初の複数の超音波を出射するステップと、
複数のセンサーの当初の部分によって、当初の複数の超音波に対応する前記当初の複数の受信信号を受信するステップであって、前記媒体の前記当初動作は、少なくとも前記当初の複数の受信信号に基づいて決定される、該ステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モーフィング関数の前記モデルを使用して少なくとも1つの超音波画像を生成するステップをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記モーフィング関数の前記生成されたモデルに基づいて音速モデルを生成するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記複数の受信信号は、反射信号及び屈折信号のうちのいずれか1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記波形インバージョンを実行するステップは、
前記モーフィング関数を使用して前記複数の受信信号をシミュレートするステップであって、前記モーフィング関数は、前記モーフィング関数の前記モデルに基づいて決定される、該ステップと、
少なくとも前記シミュレーションに基づいて、少なくとも、前記動く媒体の弾性特性及び前記モーフィング関数を反復的に更新するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の受信信号の前記シミュレーションは、フォワードシミュレーション及びバックワードシミュレーションのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記波形インバージョンは、全波形インバージョン(FWI)、適応波形インバージョン(AWI)、物理的ベースのディープニューラルネットワーク(DNN)インバージョンのうちのいずれか1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のエミッタの前記一部は少なくとも1つの指定された較正エミッタを含み、前記少なくとも1つの較正エミッタは、前記動く媒体の反射要素の近位に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
動く媒体の超音波イメージングのためのシステムであって、前記システムは、
処理回路、
処理回路の制御下で超音波を出射するように適合された複数の超音波エミッタ、
前記複数の超音波センサーによって受信された前記超音波に対応する読取り値を送信するように適合された複数の超音波センサー、及び
前記処理回路に通信可能に接続されるメモリであって、前記処理回路によって実行されたときに前記システムを、
複数のエミッタの一部によって、所定の閾値を下回る前記動く媒体の動作が決定されるまで複数の超音波を出射するステップであって、前記複数の超音波は、前記動く媒体に向かって出射される、該ステップと、
複数のセンサーの一部によって、前記複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、
前記動く媒体の前記動作が前記所定の閾値を下回るときにモーフィング関数のモデルを生成するステップであって、前記動く媒体の前記動作は、前記第一の複数の受信信号のうちの少なくとも1つの受信信号に基づいて決定され、前記モーフィング関数は当初の複数の受信信号から前記動く媒体のモーフィングを定義する、該ステップと、
前記モーフィング関数の前記モデルに対して波形インバージョンを実行するステップと、を実行するように構成する複数の命令を中に含む該メモリ、を含むシステム。
【請求項13】
前記システムはさらに、
前記モーフィング関数の前記モデルを先行モデルと比較するステップであって、前記先行モデルは、前記モーフィング関数の前記モデルの生成の前に決定される、該ステップと、
前記比較に基づいて、前記先行モデルと前記モーフィング関数の前記モデルとの間の収束を決定するステップと、
前記収束が所定の値よりも大きいとき、前記先行モデルを前記モーフィング関数の前記モデルを用いて更新するステップと、を実行するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数のエミッタの前記一部は前記複数のエミッタのうちの第一部分であり、前記複数のセンサーの前記一部は前記複数のセンサーのうちの第一部分であり、前記収束は前記所定の値よりも大きく、前記システムはさらに、
前記複数のエミッタの第二部分による前記出射と前記複数のセンサーの第二部分による前記受信とを繰り返すステップであって、第二の複数の受信信号が受信される、該ステップと、
前記モーフィング関数の前記モデルを生成するステップと、波形インバージョンを実行するステップと、を繰り返すステップであって、前記モーフィング関数は、前記第一の複数の受信信号から前記動く媒体のモーフィングを定義する、該ステップと、を実行するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムはさらに、
前記複数のエミッタの当初の部分によって、前記所定の閾値を下回る前記動く媒体の当初動作が決定されるまで、当初の複数の超音波を出射するステップと、
複数のセンサーの当初の部分によって、当初の複数の超音波に対応する前記当初の複数の受信信号を受信するステップであって、前記媒体の前記当初動作は、少なくとも前記当初の複数の受信信号に基づいて決定される、該ステップと、を実行するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムはさらに、
前記モーフィング関数の前記モデルを用いて少なくとも1つの超音波画像を生成するステップを実行するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムはさらに、
前記モーフィング関数の前記生成されたモデルに基づいて音速モデルを生成するステップを実行するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の受信信号は、反射信号及び屈折信号のうちのいずれか1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記システムはさらに、
前記モーフィング関数を使用して前記複数の受信信号をシミュレートするステップであって、前記モーフィング関数は、前記モーフィング関数の前記モデルに基づいて決定される、該ステップと、
少なくとも前記シミュレーションに基づいて、少なくとも、前記動く媒体の弾性特性及び前記モーフィング関数を反復的に更新するステップと、を実行するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の受信信号の前記シミュレーションは、フォワードシミュレーション及びバックワードシミュレーションのうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記波形インバージョンは、全波形インバージョン(FWI)、適応波形インバージョン(AWI)、物理的ベースのディープニューラルネットワーク(DNN)インバージョンのうちのいずれか1つを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数のエミッタの前記一部は少なくとも1つの指定された較正エミッタを含み、前記少なくとも1つの較正エミッタは、前記動く媒体の反射要素の近位に位置する、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は2021年11月22日に出願された米国仮出願第63/281,981号の利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、超音波イメージング(又は、撮像化)システムに関し、より詳細には全波形インバージョン(又は、全波形反転/full waveform inversion)処理に関し、さらに詳細には身体組織上で超音波とともにそれらを使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
インバージョン問題(又は、反転問題/逆問題/逆計算/inversion problems)は観測された信号のセットから、それらを生じさせる因果因子を計算することを目的とする。これは、原因で始まり、結果を計算するフォワード問題(又は、順問題/forward problem)の逆である。インバージョン(又は、逆計算/inversion)は、取得されたデータに適合する最良のモデルを見つけることを試みる。地球の地下探査及び医療用超音波の場合、(超)音波がエミッタから出射され、媒体の表面上に配置されたセンサーによって感知される。インバージョンアルゴリズム(又は、反転アルゴリズム)を使用して、媒体の弾性特性及び減衰の高分解能モデルを生成し得る。この精度及び分解能は、高度に局在化されたセンサーアレイの戻りエコーのみに依存するのではなく、広い領域に広がる複数の単純なセンサーによって取得された波形データを利用することによって得られる。
【0004】
地震インバージョン(seismic inversion)は、典型的には測定された地震波のデータ記録を処理することによって地球内部弾性特性のモデルを構築するために適用されるアルゴリズムのセットを指す。ほとんどのアルゴリズムは、受信機位置における地震圧力波動場(seismic pressure wavefield)のシミュレーションに基づいている。シミュレートされたデータは測定されたデータに対してマッチングされ、データ不適合は弾性特性のモデル更新に反転される。アルゴリズムは、それらが波動場をシミュレートする方法、反転のために選択される波動モード、及びそれらが弾性特性のモデルをどのように変更するかが異なる。波動伝搬シミュレーションのためのアルゴリズムは一般に、光線追跡理論(又は光線束)、キルヒホッフ又はボーンモデリング近似、及び1方向又は2方向波動シミュレーションを指す。
【0005】
現在の波形インバージョンアルゴリズムは、媒体がデータ収集中に時間的に静的であることに依存する。しかしながら、様々な用途に対し、この仮定は成立せず、無視することができず、また無視すべきではない短いスケールの動きによって導入される何らかの時間依存性が存在する。例えば、医学的検査を受けている患者は呼吸を続けるか、わずかに動くか、又はねじれる可能性があり、これは、読み取り値の不正確さを潜在的に引き起こし得る。写真測量及びx線補正の分野では、画像処理技術によって動きを補正するアルゴリズムが存在する。そのような補正は、画像内の特徴を見つけ、動きを記述するモーフィング関数を構築し、最終的に画像を補正することによって実行される。現在の解決策は、当初(又は、最初)に画像を必要とする画像処理技術に基づいている。生データは、インバージョン問題のための画像ではないことに留意されたい。画像を構築するためにはモーフィング関数が必要であるが、このようなモーフィング関数はその時点では存在しない。
【0006】
1つの試みの分野では、特定のタイプの超音波イメージング中の動作が提案される。そのような場合、例えば、第一超音波画像が撮影され、続いて第二超音波画像が撮影される。2つの画像のデータは、重複領域を決定するために処理される。好ましくは、剛体レジストレーションを用いて互いに画像の画像レジストレーションが実行される。その後、例えば、弾性レジストレーションアルゴリズムを使用して、2つの画像間の非剛体変形が実行される。非剛体変形を用いて各画像の各重複領域にアルファモーフィング(alpha-morphing)を適用し、アルファブレンディング(alpha-blending)を実行することによって重複領域のブレンド領域を得ることによって、動作における明瞭な画像を達成し得る。アルファブレンディングは、アルファモーフィングの結果を使用して、2つの画像ボリュームの相対的寄与を変化させることによって、2つの画像をブレンドする。しかしながら、これは、走査、すなわち、表面上のエミッタ/センサーの動作を必要とする超音波動作モードを制限し、さらに、画像の当初の存在を必要とする。動作の実際の影響は、一般に使用可能な超音波画像、具体的には第一基準超音波画像の生成にとって有害であり得るので、そのような課題は未解決のままである。
【0007】
別の試みの分野では、超音波信号を使用して、身体組織及び内部器官から画像を提供する。超音波送信機及び受信機の使用は、超音波を送受信するトランスポンダのユーザによるある程度の技術的能力を必要とする。覆われた領域は小さく、より大きな身体領域が覆われる必要があるとき、トランスポンダは身体の表面上を前後に動かされる必要がある。そのような移動操作はより広い領域の走査を可能にし、さらに、トランスポンダの動作、ならびにエミッタ及びセンサーの位置の変化を考慮に入れる。
【0008】
しかしながら、従来の全波形インバージョン(FWI)は、身体器官又は組織の動作のオーダーである速度での動作に適応されないので、課題が残っている。分析は、物体(又は媒体)が静止又は静止に近いときには許容範囲内にあり得るが、様々な用途に対しては、静止又は静止に近いというこの仮定は成立しない。無視できない短いスケールでの動きの時間依存性が検出される。例えば、医学的検査を受けている患者は依然として呼吸しているか、又はわずかにねじれており、そのような身体変化は適切に考慮することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、画像の処理に依存しない従来のFWIの欠点を克服する解決策を提供することが有利である。
【0010】
<発明の概要>
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を以下に示す。この概要はそのような実施形態の基本的な理解を提供するために読者の便宜のために提供されるものであり、本開示の広がりを完全に定義するものではない。この概要は、すべての企図される実施形態の包括的な概観ではなく、すべての実施形態の主要又は重要な要素を識別するものでも、いずれか又はすべての態様の範囲を定めるものでもない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、1つ又は複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化された形で提示することである。便宜上、「いくつかの実施形態」又は「特定の実施形態」という用語は、本明細書では本開示の単一の実施形態又は複数の実施形態を指すために使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に開示される特定の実施形態は、モーフィング関数を生成することによって動く媒体の超音波画像を生成するための方法を含む。本方法は、複数のエミッタの一部によって、所定の閾値を下回る動く媒体の動作(又は、移動/モーション/motion)が決定されるまで複数の超音波を出射するステップであって、複数の超音波は動く媒体に向かって出射される、該出射ステップと、複数のセンサーの一部によって、複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、動く媒体の動作が所定の閾値を下回るときにモーフィング関数のモデルを生成するステップであって、動く媒体の動作は第一の複数の受信信号のうちの少なくとも1つの受信信号に基づいて決定され、モーフィング関数は当初の(又は、初期の/最初の)複数の受信信号から動く媒体のモーフィングを定義する、該生成ステップと、モーフィング関数のモデルに対して波形インバージョン(又は、波形反転)を実行するステップと、を含む。
【0012】
本明細書に開示される特定の実施形態はまた、処理回路に、処理を実行させる、コンピュータ上に記憶された非一時的コンピュータ可読媒体を含み、上記処理は、複数のエミッタの一部によって、所定の閾値を下回る動く媒体の動作が決定されるまで複数の超音波を出射するステップであって、複数の超音波は動く媒体に向かって出射される、該出射ステップと、複数のセンサーの一部によって、複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、動く媒体の動作が所定の閾値を下回るときにモーフィング関数のモデルを生成するステップであって、動く媒体の動作は第一の複数の受信信号のうちの少なくとも1つの受信信号に基づいて決定され、モーフィング関数は当初の複数の受信信号から動く媒体のモーフィングを定義する、該生成ステップと、モーフィング関数のモデルに対して波形インバージョンを実行するステップと、を含む。
【0013】
本明細書に開示される特定の実施形態はまた、モーフィング関数を生成することによって動く媒体の超音波画像を生成するためのシステムを含む。このシステムは、処理回路と、メモリとを備え、メモリは処理回路によって実行されたときに、システムを、処理回路と、処理回路の制御下で超音波を出射するように適合された複数の超音波エミッタと、複数の超音波センサーによって受信された超音波に対応する読取り値を送信するように適合された複数の超音波センサーと、処理回路に通信可能に接続され、処理回路によって実行されたときに、システムに、複数のエミッタの一部によって、所定の閾値を下回る動く媒体の動作が決定されるまで複数の超音波を出射するステップであって、複数の超音波は動く媒体に向かって出射されるステップと、複数のセンサーの一部によって、複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、動く媒体の動作が所定の閾値を下回るときにモーフィング関数のモデルを生成するステップであって、動く媒体の動作は、第一の複数の受信信号のうちの少なくとも1つの受信信号に基づいて決定され、モーフィング関数は当初の複数の受信信号からの動く媒体のモーフィングを定義するステップと、モーフィング関数のモデルに対して波形インバージョンを実行するステップと、を実行させるように構成する命令を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書に開示される主題は、本明細書と共に提出した特許請求の範囲において具体的に指摘しかつ明確に特許請求される。開示された実施形態の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0015】
図1図1は、一実施形態による、動く媒体において全波形インバージョンを実行するためのシステムである。
【0016】
図2図2は、一実施形態による、動く媒体の超音波画像を作成するための、取得、モデリング、及び波形インバージョンを実行するフローチャートである。
【0017】
図3図3は、一実施形態による、動く媒体における波形インバージョンの取得段階を実行するフローチャートである。
【0018】
図4図4は、一実施形態による、動く媒体における波形インバージョンのモデル及びモーフィング関数を生成するフローチャートである。
【0019】
図5図5は、一実施形態による、動く媒体における全波形インバージョン(FWI)を実行するフローチャートである。
【0020】
図6図6は、一実施形態による、動く媒体におけるリバースタイムマイグレーション(RTM)を実行するフローチャートである。
【0021】
図7図7は、一実施形態による、動く媒体における最小二乗マイグレーション(least-squares migration/LSM)を実行するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<詳細な説明>
本明細書に開示される実施形態は、本明細書における革新的な教示の多くの有利な使用の例にすぎないことに留意することが重要である。一般に、本出願の明細書においてなされる記述は、必ずしも様々な請求される実施形態のいずれをも限定しない。さらに、いくつかの記述はいくつかの発明の特徴に適用され得るが、他のものには適用されない。一般に、特に明記しない限り、単数の要素は、一般性を失うことなく、複数であってもよく、逆もまた同様である。図面において、同様の番号は、いくつかの図を通して同様の部分を指す。
【0023】
動く媒体(又は、動く媒体/可動媒体/moving medium)の超音波画像の生成のために、モーフィング関数を生成するように適合された超音波システムが使用される。複数のエミッタ及びさらに複数のセンサーは、両方とも、動く媒体の周りに適用される表面上にまばらに配置される。複数のエミッタのグループを変えて、複数のセンサーのグループを変えることによって捕捉される超音波を繰り返し出射する。経時的な媒体の動作の変化を説明するために、モーフィング関数と弾性特性の当初モデル(又は、最初のモデル/initial model)を生成する。インバージョンプロセス中、モーフィング関数及び弾性特性は、超音波画像の生成前に、その精度が所定の精度閾値を超えるような時間まで継続的に精緻化される(又は、改良される/refined)。モーフィング関数及び弾性特性は、超音波画像の生成プロセスにおいて使用し得る。この目的のために、開示された実施形態は媒体内の動作を考慮し、超音波イメージングを改善する。媒体内の動作は小さな動作であり、例えば、腸の動き、血管の拡張、肋骨ケース(又は、肋骨構造/rib case)の隆起など、及びそれらの任意の組合せなどであるが、これらに限定されないことに留意されたい。さらに、モデル及びモーフィング関数の改良(refinement)は超音波画像の生成前に弾性特性モデルの作成を可能にし、超音波画像がモーフィング分析を実行する必要性を排除する。
【0024】
開示される実施形態によれば、エミッタ、センサーなどの構成要素の一部は動く媒体と共に超音波を出射し、受信するように作動される。構成要素の一部を作動させることによって、検証及び精度の向上のために、同じ領域の測定値が取得され得る。さらに、モデル及びモーフィング関数を生成するプロセスは、所定の閾値を下回る小さな動作(motion)を検出すると実行される。すなわち、システムの処理負担を軽減するために、小さな動き(又は、移動/movement)を示すデータの許容範囲が受信されるまで、処理は実行されなくてもよい。構成要素のそのような部分的及び/又は条件付きの起動は、限定はされないが、エミッタ、センサー、制御器など、超音波システムの様々な構成要素における電力及び資源の節約のための手段を提供することに留意されたい。
【0025】
本明細書に記載の開示される実施形態は、全波伝播(例えば、FWI及びその変形、最小二乗マイグレーション(LSM)、一方向又は二方向波動方程式マイグレーション、リバースタイムマイグレーション(RTM)、他の地震マイグレーションバリアントなど)を内部で使用する様々な方法に適用されるが、主にFWIに関して実証される。当業者はマイグレーションバリアントが例えば、最小二乗マイグレーション(LSM)、リバースタイムマイグレーション(RTM)などを含むが、これらに限定されず、インバージョンバリアントが例えば、FWI、適応可能な波動方程式(adaptive wave equation/AWI)、物理的ベースのディープニューラルネットワーク(DNN)インバージョン、及び他の同様のバリアントを含むが、これらに限定されないことを理解するであろう。しかしながら、これらの実施例は、開示された実施形態の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0026】
FWIは、超音波の適用によって高分解能弾性モデルを生成するための方法である。精度は、高度に局在化されたセンサーアレイの戻りエコーのみではなく、広い領域にわたって広がる複数の単純なセンサーによって取得される全波形の使用によって得られる。当初モデル推定及びエミッタ信号が与えられると、FWI法は、波動方程式を解いて、そのモデルに対し複数のセンサーで期待される信号を見つける。次いで、計算された信号と実際に取得された信号との間のミスフィットを低減するために、モデルを反復的に更新する。開示される実施形態によれば、FWIは、データ取得の時間にわたって静的でない媒体に適応するように修正される。すなわち、一実施形態では、媒体内の動作を考慮するために、モーフィング関数が生成され、FWIに組み込まれる。さらに、モーフィング関数は、モーフィング関数のモデルの反復修正によって連続的に精緻化される。修正されたFWIは、事前に必要な画像なしで、改善された精度のために、超音波画像の生成の前に、モーフィング関数のモデル、音速モデル、及び減衰モデルを精緻化することに留意されたい。
【0027】
図1は、一実施形態による、動く媒体において全波形インバージョン(FWI)を実行するための例示的なシステム100を示す。システム100は、一実施形態による、センサー112(センサー112-1~112-i、ここで「i」は「1」よりも大きい整数)、エミッタ113(エミッタ113-1~113-j、ここで「j」は「1」よりも大きい整数)、及びマーカ114(マーカ114-1~114-k、ここで「k」は「1」よりも大きい整数)が埋め込まれた超音波感知衣服(USG)110を備える。例示的な実施形態は、共通の譲受人に譲渡され、本明細書では「474特許出願」と称し、それを含むすべてのものについて参照により本明細書に組み込まれている、「不正確なセンサー位置を用いる全波インバージョン(Full Wave Inversion)のための超音波検知及びその方法に適合されるウェアラブルガーメント」という名称の国際出願第PCT/IB2021/061474号にさらに詳細に記載されている。センサー112、エミッタ113、及びマーカ114の埋め込みは限定はしないが、製織(weaving)、接着、機械的取り付けなど、及びそれらの任意の組合せなどの種々の技法によって達成され得る。USG110は、超音波信号を送受信し、次いで超音波信号を処理して、スキャンされた身体部分の高解像度の3次元(3D)画像を生成する撮像ソリューションを提供するように設計され、コネクタ115、例えば、115-1及び115-2は、動く媒体、例えば、身体部分の周りにUSG110を固定する能力を提供する。
【0028】
一実施形態では、USG110がUSG110の構成要素(センサー112、エミッタ113、及び/又はマーカ114)による消費のための電力を提供するように適合された電子回路116をさらに備えることができる。さらに、電子回路116はUSG110の適切な動作のために必要とされ得るような、デジタル構成要素、アナログ構成要素、及び光学構成要素の組合せを含み得る。センサー112から受信された信号は電子回路116によって局所的に処理されてもよいし、又は、当初のもしくは最小の処理の後に、有線又は無線で、信号をさらに処理し、処理された信号に対応する画像をディスプレイデバイス(図示せず)上に表示し得る処理回路(図示せず)に送信されてもよい。
【0029】
USG110及びその埋め込まれた構成要素は、処理回路(PC)180、メモリ120、センサー制御インターフェース(SCI)、エミッタ制御インターフェース(ECI)140、電力制御ユニット(PCU)、通信インターフェースユニット(CIU)、及び任意選択でマーカ制御インターフェース(MCI)を含むコントローラ101に通信可能に接続される(有線、無線、又はそれらの任意の許容可能な組合せ)。一実施形態では、コントローラ101の構成要素が通信可能に接続され得る。コントローラ101はUSG110及びその埋め込まれた構成要素、例えば、エミッタ113(これに限定されない)を制御するように構成される。例示的な実施形態では、コントローラ101が所定の閾値を下回る動作を決定すると、出射を停止するようにエミッタ113に指示する。別の例示的な実施形態では、コントローラ101が媒体に超音波を出射するために特定のエミッタ113を作動させるように適合される。
【0030】
処理回路(PC)180は、1つ又は複数のハードウェア論理構成要素及び回路として実現され得る。例えば、限定ではないが、使用し得る例示的なタイプのハードウェア論理構成要素には、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)など、又は情報の計算又は他の操作を実行し得る任意の他のハードウェア論理構成要素が含まれる。
【0031】
メモリ120の一部はコード125を含むことができ、コード125がPC180によって実行されるとき、その中に格納される(又は、メモリ120の一部はコード125を含むことができ、コード125はPC180によって実行される)。本明細書に記載される方法は、動く(又は、動作する/moving)身体組織又は器官を考慮するように適合され、本明細書でより詳細に説明されるような、FWIを実施することの利益を提供する。SCI130は、センサー112から、センサー112によって感知される信号を少なくとも受信するように適合される。SCI130は、センサー112のすべて、一部、又はただ1つから並列に信号を受信し得る。ECI140は少なくともエミッタ113に制御信号を送り、エミッタ113を作動させるように適合されている。ECI140は、エミッタ113のすべて、一部、又はただ1つに並列に信号を送信し得る。
【0032】
任意選択のMCI150は、アクティブマーカ114のために使用されてもよく、アクティブマーカ114を少なくとも作動させるように適合される。MCI150は、アクティブマーカ114のすべて、一部、又はただ1つに並列に制御信号を送信し得る。PCU160はUSG110の要素(例えば、センサー112、エミッタ113、マーカ114など)に必要な動作電力を提供するように適合され、これは、USG110の一部、又は単一の要素のみで、並列に行うことができる。
【0033】
さらに、CIU170は、USG110との間の通信を提供するように適合される。例えば、限定はしないが、CIU170はa)USG110を起動するための通信手段を提供し、b)USG110を制御する外部装置(図示せず)から信号を受信し、c)本明細書に記載の実施形態のいずれかに従ってセンサー112によって捕捉された処理済み又は未処理の信号を送信し得る。PC180は、本開示の範囲から逸脱することなく、1つ又は複数の処理回路を含み得る。
【0034】
インバージョン処理の開始時に、表面下音速モデル(単に速度モデルとも呼ばれる)及び減衰モデルは未知である。フォワードシミュレーション(又は、順方向シミュレーション/forward simulation)は入力信号(医療用超音波の場合、体内に送られた)を取り込み、当初の仮想モデル上でそれらの伝播をシミュレートする。このフォワードシミュレーションの出力は、各センサーで測定された圧力を表す。フォワードシミュレーション結果は実際の測定値と比較され、その間の誤差は音速モデル及び減衰を修正するために使用される。このプロセスは、シミュレーションの収束基準及び実際の結果が合うまで、反復的に繰り返される。この時点で、モデルは、表面下構造の有効なレプリカであると仮定される。モーフィングモデルを改善するためには、音速モデルを更新する必要があり、その逆も同様である。音速モデルという用語は一般に、各点における音速の3Dデータの反転を指す。
【0035】
表面下構造は例えば、限定されないが、動く媒体上の部分又は位置、媒体のタイプ、患者の身体の年齢、特定の状態など、及びそれらの任意の組合せに応じて異なることに留意されたい。この目的のために、正確なモデルは、超音波画像を作成する際の精度を高め、さもなければ無視され得る軽微な動作にも対応する。
【0036】
波が伝搬する動く媒体は、時間tにおける媒体の各点x′を時間0におけるその元の位置xにマッピングする(モーフィングする)関数:
によって記述され得る。例示的な実施形態では、媒体が測定中に移動し、その形状を変更する物体である。波が移動する媒体は、その媒体中の音速に対して時間的にゆっくりと移動すると仮定される。
【0037】
開示された実施形態は、密度がゆっくり変化する媒体における音波方程式を使用して説明される。しかしながら、開示された実施形態は、適切な方程式項を加えることによって、可変密度の場合、弾性の場合、及び粘弾性の場合に等しく適用されることを理解されたい。動く媒体基準系における波動方程式は、曲線系(curvilinear system)におけるラプラシアン
に関して、以下のように書かれる:
【0038】
式1:
【0039】
ここで、Pは媒体の点x′(実空間点xではない)での圧力であり、cは媒体の点x′(実空間点xではない)での音速であり、fはその点で作用する外力密度である。その力は、以下の議論において無視される。
【0040】
波が移動する媒体の変化は、空間ワーピング変換(spatial warping transformation)と弾性の変化との組み合わせとして記載し得る。典型的には動き中の密度及び弾性(又は剛性)の変化は小さく、したがって、ワーピングが主に、媒体内の音速に影響を及ぼす。具体的には、上記のマッピング関数
を用いると、式2に示すように、元の点xでの速度と弾性変化による音速変化とを用いて、点x′での音速c(x′,t)を線形近似し得る。
【0041】
式2:
【0042】
一実施形態ではさらに、暴露(exposure)にかかる時間Tは弾性定数の変化が無視できるほど十分に短いと仮定される。さらに、変換は、当初の位置から最終位置への変化が起こるに伴い、時間の線形関数によって近似され得る。これは、式3によって示される。
【0043】
式3:
【0044】
したがって、
、及び媒体の各単位体積の最終位置として
である。一実施形態では、マッピング関数G(x)が二重微分可能であるとさらに仮定される。したがって、開示された実施形態は例えば、生体組織を含む超音波イメージングの分野におけるFWIの使用にモーフィングを関連付けることを理解されたい。
【0045】
正確なFWIのためのデータ収集は、一連の曝露で行われる。各曝露において、超音波エミッタのサブセットはパルス又は一連のパルスを生成し、複数のセンサーは、所定の期間にわたって感知された圧力を記録する。暴露は比較的高速であり得るが、取得プロセス全体、すなわち、多くの暴露及びその処理のセットははるかに低速であり得る。
【0046】
マッピング関数G(x)が与えられると、モデルパラメータは、わずかに修正されたFWIスキームを使用して計算される。まず、時間依存モデルのパラメータを用いてフォワードシミュレーションを行う。第二に、各FWI反復におけるモデルに対するミスフィット勾配(misfit gradient)の計算は、モーフィング変化を反映するように変化する。これは、本明細書でさらに説明される。修正されたフォワードシミュレーションは、変化した運動方程式を反映する。具体的には、式1の離散バージョンが式4に示される。
【0047】
式4:
【0048】
ここで、Δt、Δhはそれぞれ時間と空間のステップであり、
は時刻t=nΔtにおけるグリッドセルi,jでの圧力であり、
は曲線座標における積分のための有限差分定数(finite-difference constant)であり、G(x)及び時間の関数である。
【0049】
センサーにおける実際の測定された圧力は、シミュレートされた圧力とマッチングされて、ミスフィット誤差関数を評価する。この誤差は媒質中に逆投入され、ミスフィット誤差に及ぼす媒質中のすべての単一点の影響を計算するために、随伴波動方程式(adjoint wave equation)を使用することによって時間的に逆伝搬される。そして、モデルパラメータc(x)に対するミスフィット誤差勾配を算出することができ、式6が導かれる:
【0050】
式6:
【0051】
Jは
のヤコビアンであり、
は随伴波動場(adjoint wavefield)であり、c(x)は時刻t=0における音速である(式2参照)。式6は、追加の項を有する従来の勾配と同様の形態を有する。
【0052】
本明細書で説明する開示の実施形態は、時間的に連続的であり、データ取得セッション全体の間に変化する変換関数
に焦点を当てている。しかしながら、多くの実用的な用途及びその実施形態では、この制約はさらに緩和され得る。本明細書で述べるように、FWIのためのデータ取得は多くの「ショット実験(shot experiment)」を含み、各ショット時間中に、エミッタのサブセットが作動され、測定される。単一ショットの時間は比較的短く、したがって、変換関数は各ショット時間中に一定であり、ショット間でのみ変化すると考えることができる。すなわち、特定のショット実験内では、変換関数
が式7に示されるように一定である。
【0053】
式7:
【0054】
一実施形態によれば、変化は当初画像(すなわち、開始モデル)から最終画像(すなわち、終了モデル)への単純なモーフィングとして見られる。したがって、x′=G(x)は、時刻t=0における空間の各点xを、時刻Tにおける空間の別の点x’にマッピングする。モーフィング関数は、時間において線形であると仮定する。すなわち、マッピングされた点は、開始位置から終了位置まで直線的に進む。別の仮定は、変化が体内を移動するのに要する時間の間の波長未満であることである。本開示に従って、FWIシーケンス全体をより長くし、処理し得ることに留意されたい。
【0055】
G(x)は2つのステップで構築される:第一に、当初推定(initial estimation)がデータから生成される;第二に、モデルは、反復FWI段階中に改善される。当初G(x)(又は、初期G(x)/initial G(x))は、動きの開始時刻及び終了時刻における特定の点に対する所定の制約から推定される。点は、FWIデータ収集に混在する特定の信号及び特定の出射から計算される。
【0056】
当初G(x)を生成するために使用し得る所定の制約のいくつかのソース(又は、原因/source)がある:a)絶対位置は大きな誤差を含むが、信号の飛行時間(time of flight)の変化に起因する変化はかなり小さな誤差を有することに留意しての、エミッタ及びセンサーのそれらの元の位置に対する相対的な動き;b)撮像された身体内部のある表面、例えば、筋肉骨界面は大きなエコーを生成し、したがって、それらの表面上の点は、逆時間移動などの従来の撮像技術を使用して構造的に解釈し得る;及びc)信号のパターンの機械学習(ML)を使用することによって、呼吸などのある種の動作を推定し得る、経時的な信号の追跡からの蓄積された知識。
【0057】
G(x)は、本明細書に記載されるような使用に適合される弾性レジストレーション(又は、弾性位置合わせ/elastic registration)及び形状変形の様々な方法によって、これらの制約から再構成されるか、又はさもなければ補間され得る。一実施形態では、制約が建物(building)G(x)に組み込まれる必要があるより大きな不確実性(正確ではない)を有すると見なされ、FWI中の後でのみ精緻化される(又は、建物(building)G(x)に組み込まれる必要がある制約が、より大きな不確実性(正確ではない)を有すると見なされ、FWI中の後でのみ精緻化される)。さらに、取得時間全体はG(x)が小さな動きの変化を記述するのに十分に短いという仮定の下で、G(x)は、制約点の近傍で局所的に線形であると見なすことができる。したがって、G(x)は、式8のように表すことができる。
【0058】
式8:
【0059】
ここで、pはi番目の制約点であり、g=(x-p)・A+Bはその点の線形変換である。定数A,Bベクトルは、最小化によって見つけることができる。
【0060】
図2は、一実施形態による、動く媒体においてデータ取得、モデリング、及び全波形インバージョン(FWI)を実行する例示的なフローチャート200である。一実施形態では、FWI反復への入力がモーフィング関数及び弾性特性のモデルであり、出力は更新されたモーフィング関数及び弾性特性のモデルである。一実施形態によれば、モーフィング関数G(x)及びモデルを見つけるための3つの別個の部分があり、つまり、a)システムは生信号を使用してG(x)のいくつかの当初近似(又は、初期近似)を見つけ、b)FWIなどのインバージョン技法を使用して、当初モーフィング関数を与えて弾性特性の近似モデルを計算し、c)システムは、弾性特性のモデルを与えられてG(x)の逆問題を解くことによって、G(x)を改善する。上記の最後の2つのステップは、G(x)と弾性特性のモデルの両方が収束するまで繰り返される。システムレベルでは、信号取得中、大きな動きが記録された場合には、生信号からG(x)の第一近似を見つけて取得プロセスを再開するために、コードが使用される。(又は、コードを用いて生信号からG(x)の第一近似を見つけて、大きな動きが記録された場合には取得プロセスを再開する。)
【0061】
S210において、超音波信号が取得されるが、これについては図3においてより詳細に説明される。ここでは、センサーデータが収集され、動く媒体の動きが推定される。収集されたデータが次の処理ステップによる使用のための所定の範囲内にある場合、実行はS220に続く。一実施形態では、所定の範囲は推定された動きの偏差として定義される。
【0062】
S220において、初期弾性特性モデル(又は、当初弾性特性モデル)及びG(x)(すなわち、モーフィング関数)が生成される。モデル及びモーフィング関数は、開示される実施形態の原理に従ってFWIを実行するために後で使用される。一実施形態では、モーフィング関数のモデルが弾性特性及びモーフィング関数を説明する。この生成については、図4でさらに説明する。G(x)が利用可能になると、実行はS230に進む。
【0063】
S230において、FWI処理が実行される。FWIは例えば、限定されないが、身体組織、器官などの動く媒体の動作を考慮する。一実施形態では、モデルパラメータが図5に関してさらに説明するように更新され得る。FWIは必要に応じて反復することができ、反復が完了すると、実行はS240に進む。一実施形態では、FWIプロセスが弾性特性の生成されたモデル及びG(x)に対して実行され、生成されたモデル及びモーフィング関数を精緻化する。
【0064】
S240において、収束(convergence)が達成されたかどうか、すなわち、変化が所定の閾値を下回るかどうかがチェックされ、そうである場合、実行は完了し、そうでなければ、実行はS250に続く。収束は、生成されたモデルと先行モデルとの間、及び生成されたG(x)と先行G(x)との間の少なくとも1つにおいて決定される。一実施形態では、閾値がモデル及びG(x)それぞれについて予め決定される。小さな収束は、比較されたモデル間の類似性が高いことを示す。一実施形態では、生成されたモデルは、実行がS250に進む前に、先行モデル(precedent model)として指定される。「先行」モデルは、前回のラウンドの生成及びインバージョンにおいて生成されたモデルであり、これは、「先行」モーフィング関数に同様に適用される。一実施形態では、先行モデルはステップS220~S240の反復から、生成されたモデルによって更新又は置換される。
【0065】
S250において、超音波信号の追加の取得が必要であるかどうかがチェックされ、必要である場合、実行はS210に続き、そうでなければ、実行はS220に続く。例示的な実施形態では、S240の変化が実質的に大きいとき、たとえば、事前定義された標準値を上回るとき、追加の取得が行われる。
【0066】
一実施形態では、生成された弾性特性モデル及びモーフィング関数が動く媒体内の小さな動きを補償する当初超音波画像(又は、初期超音波画像)を生成するために利用される。さらなる実施形態では、モーフィングの考慮事項(morphing considerations)を含むように作成された当初超音波画像に基づいて、後続の超音波画像が生成される。当初超音波画像を有する前に、開始(onset)からモーフィングモデルが生成されることを理解されたい。したがって、超音波信号取得の前に画像を確立する必要はない。さらなる実施形態では、モーフィングモデルは、生成されている当初超音波画像の精度を改善するために連続的に更新されてもよい。
【0067】
図3は、一実施形態による、動く媒体における全波インバージョン(FWI)の取得段階を実行する例示的なフローチャートS210である。本方法は、超音波信号を取得するための方法を示す図2のS210をさらに説明する。
【0068】
S210-10において、1つ又は複数のエミッタが作動される。一実施形態ではエミッタ(例えば、エミッタ113、図1)はより低い範囲及びより高い範囲の超音波周波数の両方を使用して作動される。一実施形態では、エミッタの選択された部分が作動される。さらなる実施形態では、エミッタの選択された部分が、モーフィング関数とモデルを生成する連続するラウンド間で異なり得る。例えば、エミッタ1~10は第一のG(x)及びモデル生成のための信号を取得するために超音波を出射するように作動され、エミッタ11~20は第二のG(x)及びモデル生成のために超音波を出射するように作動される。
【0069】
S210-20において、超音波データが収集される。超音波データはセンサー(例えば、図1のセンサー112)によって収集される反射及び/又は屈折超音波信号である。一実施形態では、センサーの選択された部分がエミッタの選択された部分によって放出される信号を収集するために利用され得る。さらなる実施形態では、センサーの選択された部分がG(x)及びモデル生成の連続サイクルに対して事前定義され得る。
【0070】
S210-30において、動作推定(motion estimation)が計算されて、起こり得た実際の動きが決定される。実際の動きは例えば、組織、骨、筋肉、器官など、及びこれらの任意の組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
【0071】
S210-40において、動作が十分に小さいかどうかがチェックされる。一実施形態では、十分に小さい動作とは所定の変位よりも小さい動作である。そうである場合、実行はS210-50に続き、そうでなければ、実行は終了し、図2のS220に続く。
【0072】
S210-50において、十分に小さい動作を考慮するFWIが実行される。実行は終了し、本明細書で説明されるように図2のS220に続く。
【0073】
一実施形態によれば、FWI取得中、例えば、限定するものではないが、約100m秒毎に、較正ショット(calibration shot)が差し挟まれる(又は、インターリーブされる)。例示的な実施形態では、受信された感知信号は、較正ショットに基づいて身体が動かなかったと判定されたときには、当初感知信号(又は、最初の感知信号)と同様であるとして記録される。較正プロセスのための選択されたエミッタは、明確な反射信号を提供し、動きに対してより敏感で骨縁の近傍にあるUSG110の表面上の所定の位置にある。一実施形態では、収集された超音波データ(すなわち、信号)は較正中に検出された動きが閾値を超えたときに破棄される。さらなる実施形態では、超音波データを破棄すると取得サイクルが継続する。したがって、S210-10におけるエミッタの作動は、指定されたエミッタからの較正信号も含み得る作動として理解されるべきである。
【0074】
図4は、一実施形態による、動く媒体におけるFWIの当初モデル及びモーフィング関数G(x)を生成するための方法を示す例示的なフローチャートS220である。
【0075】
S220-10では、外周上のx(又は、xの周辺/on perimeter)のG(x)が、センサー(例えば、図1のセンサー112)の相対位置によって収集された信号に基づいて決定される。
【0076】
S220-20において、臓器面上のG(x)が従来の撮像技術に基づくエコー(例えば、超音波信号)に基づいて決定される。
【0077】
S220-30において、任意選択的に、ドップラー信号成分を分析して、より高い撮像精度を提供し得る。
【0078】
S220-40において、G(x)が決定される。一実施形態では、G(x)が所与の制約から補間される。別の実施形態では、G(x)が以前のG(x)推定値及び受信信号データに基づいて、アルゴリズム、例えば機械学習アルゴリズムを適用することによって決定される。G(x)を決定する方法は、組み合わせることなく、自動的に又は手動で選択し得る。
【0079】
図5、6、及び7は、FWIを実行するための図2のS230の異なる実施形態の例を示す。図5は、一実施形態による、動く媒体において全波形インバージョン(FWI)を実行する例示的なフローチャート500である。S230-510において、放出された信号の前進波(又は、前方波、順方向波/forward wave)シミュレーション(FWI)が実行される。S230-520では、センサー位置におけるシミュレーション信号(シミュレートされた信号/simulated signal)が読み取られる。S230-530において、誤差の後進波(又は、後方波、逆方向波/backward wave)シミュレーションが実行される。S230-540において、モデルの勾配が計算される。S230-550において、モデルパラメータ及びG(x)が更新される。S230-560において、ミニサイクルが完了しているかどうかがチェックされ、完了していない場合、実行はS230-510に続き、そうでなければ、実行は終了し、本明細書に記載されるように図2のS240に続く。例示的な実施形態では、ミニサイクルの終了(又は、完成したミニサイクル/complete mini-cycle)はFWIプロセスの入力及び出力モデルの収束が所定の標準値を下回ると決定することによって識別される。
【0080】
図6は、別の実施形態による、動く媒体においてリバースタイムマイグレーション(RTM)を実行する例示的なフローチャート600である。S230~610において、放出された信号の前進波シミュレーションが実行される。このフォワード(又は、順方向/forward)シミュレーションは、G(x)を使用して、式1に従って曲線座標で行われる。S230~620において、受信信号の後進波シミュレーションが実行される。このバックワード(又は、逆方向/backwards)シミュレーションは、やはりG(x)を使用して動きに対処する。S230~630において、モデルの勾配は、式6のように計算される(ただし、
はここでは誤差ではなく逆伝搬された(back propagated)受信信号)。S230~640において、モデルパラメータの摂動(perturbation)が更新される。その後、S230の実行が終了し、図2のS240が本明細書で説明されるように行われる。
【0081】
図7は、さらに別の実施形態による、動く媒体において最小二乗マイグレーション(LSM)を実行する例示的なフローチャート700である。S230-710において、放出された信号の前進波シミュレーションが実行される。このフォワードシミュレーションは、G(x)を使用して、式1に従って曲線座標で行われる。S230-720において、受信信号の後進波シミュレーションが実行される。このバックワードシミュレーションは、動きを補償するためにやはりG(x)を使用する。S230~730において、モデルの勾配は、式6のように計算される(
はここでは誤差ではなく逆伝搬された受信信号)。S230~640において、モデルパラメータの摂動が更新される。S230-750で、ミニサイクルが完了したかどうかがチェックされ、完了していない場合、実行はS230-710に続き、そうでなければ、実行は終了し、図2のS240が本明細書で説明されるように行われる。
【0082】
したがって、開示される実施形態の態様は、動く媒体の超音波画像の作成に使用するためのモーフィング関数を生成するためのコンピュータ化された方法であって、この方法は、第一の複数のエミッタによって、患者の身体に向けて第一の複数の超音波を出射するステップと、第一の複数のセンサーによって、第一の複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、第一の複数の受信信号のうち、少なくとも第一の受信信号に基づいて、媒体の動作が所定の閾値を下回ると判断し、その場合継続し、又はそうでなければ、第一の複数の受信信号を破棄し、第一の複数のエミッタによる出射を繰り返して、第一の複数のセンサーによって受信するステップと、第二の複数のエミッタによって、第二の複数の超音波を患者の身体に向けて出射するステップと、第二の複数のセンサーによって、第二の複数の超音波に対応する第二の複数の受信信号を受信するステップと、第二の複数の受信信号のうち、少なくとも第二受信信号に基づいて、媒体の動作が所定の閾値下回ると判断し、その場合継続し、又はそうでなければ、第二の複数の受信信号を破棄し、第二の複数のエミッタによる出射を繰り返して、第二の複数のセンサーによって受信するステップと、モーフィング関数のモデルを生成するステップと、を含み、モーフィング関数は、第一の複数の受信信号と第二の複数の受信信号との間の動く媒体のモーフィングを確立する。
【0083】
コンピュータ化された方法の他の態様は、少なくとも、較正エミッタとして指定された複数のエミッタのうちの第一エミッタから出射された超音波と、複数のエミッタのうちの第一エミッタの指定は第一エミッタが反射要素に近接しているとの決定に基づいていることと、反射要素が体内の骨の縁であることと、反射要素から受信された反射に基づいて動作が決定されることと、生成されたモーフィングモデルに基づいて音速モデルを生成することと、複数の受信信号が、反射信号、屈折信号、及びそれらの組合せのうちの1つであることと、生成されたモーフィングモデルを使用して少なくとも当初超音波画像を生成することと、第一の複数のエミッタによって出射するステップと、第一の複数のセンサーによって受信するステップと、少なくとも第一の受信信号に基づいて決定するステップと、第二の複数のエミッタによって出射するステップと、第二の複数のセンサーによって受信するステップと、少なくとも第二受信信号に基づいて決定するステップと、モーフィング関数のモデルを生成するステップと、を繰り返すことを含むが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書の教示は、さらに、処理要素と、処理要素の制御下で超音波を出射するように適合された複数の超音波エミッタであって、複数の超音波エミッタは着用可能な衣服内に取り付けられている超音波エミッタと、複数の超音波センサーであって、複数の超音波センサーによって受信された超音波に対応する読取り値を送信するように適合されており、複数の超音波センサーは着用可能な衣服内に取り付けられ、複数の超音波エミッタの間に配置される複数の超音波センサーと、処理要素に通信可能に接続され、複数の命令を中に含むメモリと、を備えるシステムにおいて具現化され得、前記複数の命令は、処理要素によって実行されると、前記システムに、複数の超音波エミッタのうちの第一の複数のエミッタによって患者の身体に向けて第一の複数の超音波を出射するステップと、複数の超音波センサーのうちの第一の複数の超音波センサーによって、第一の複数の超音波に対応する第一の複数の受信信号を受信するステップと、第一の複数の受信信号のうちの少なくとも第一の受信信号に基づいて、媒体の動作が所定の閾値を下回ることを決定し、そうであれば継続し、そうでなければ第一の複数の受信信号を破棄して、第一の複数のエミッタによる出射と第一の複数のセンサーによる受信を繰り返すステップと、複数の超音波エミッタのうちの第二の複数の超音波エミッタによって患者の身体に向けて第二の複数の超音波を出射するステップと、複数の超音波センサーのうちの第二の複数の超音波センサーによって、第二の複数の超音波に対応する第二の複数の受信信号を受信するステップと、第二の複数の受信信号のうちの少なくとも第二受信信号に基づいて、媒体の動作が所定の閾値を下回ることを決定し、そうであれば継続し、そうでなければ第二の複数の受信信号を破棄して、第二の複数のエミッタによる出射と第二の複数のセンサーによる受信を繰り返すステップと、モーフィング関数のモデルを生成するステップと、を実行させ、モーフィング関数は、第一の複数の受信信号と第二の複数の受信信号との間の動く媒体のモーフィングを確立する。
【0085】
システムの他の態様は、複数の超音波エミッタが着用可能な衣服上にまばらに配置され、複数の超音波センサーが着用可能な衣服上にまばらに配置され、複数の超音波エミッタのうちの少なくとも1つと複数の超音波センサーが単一のデバイス内に具現化され、複数の超音波が、較正エミッタとして指定された複数のエミッタのうちの第一エミッタから出射された超音波を少なくともさらに含み、複数のエミッタのうちの第一エミッタの指定は第一エミッタが反射要素に近接しているとの決定に基づいており、反射要素が身体内の骨の縁であり、動作が反射要素から受信された反射に基づいて決定され、メモリは、処理要素によって実行されたときに、生成されたモーフィングモデルに基づいて音速モデルを生成する命令をさらに含み、複数の受信信号が、反射信号、屈折信号、及びそれらの組合せのうちの一つであり、メモリが、処理要素によって実行されたときに生成されたモーフィングモデルを用いて少なくとも当初超音波画像を生成する命令をさらに含み、メモリが、前記処理要素によって実行されたときに、第一の複数のエミッタによる出射を繰り返し、第一の複数のセンサーによって受信し、少なくとも第一の受信信号に基づいて決定し、第二の複数のエミッタによって出射し、第二の複数のセンサーによって受信し、少なくとも第二受信信号に基づいて決定し、モーフィング関数のモデルを生成する命令をさらに含む、ことを含むが、これに限定されない。
【0086】
動く媒体から受信された超音波を分析するためのインバージョン方法のさらなる態様は、複数の超音波センサーから超音波データを受信することと、少なくともモーフィング関数を使用して動く媒体中の超音波をシミュレートすることと、少なくともシミュレーションに基づいて移動体の少なくとも弾性特性を更新することとを含むが、これらに限定されない。さらに別の態様では、シミュレーションが、フォワードシミュレーション及びバックワードシミュレーションのうちの少なくとも1つをさらに含む。本発明のさらに別の態様では、シミュレーションが全波形インバージョン(FWI)、適応波形インバージョン(adaptive waveform inversion/AWI)、物理的ベースのディープニューラルネットワーク(DNN)インバージョン、最小二乗マイグレーション(LSM)、一方向波動方程式マイグレーション、二方向波動方程式マイグレーション、リバースタイムマイグレーション(RTM)、及びそれらの任意の組合せを含む。
【0087】
本明細書に開示される様々な実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組合せとして実装し得る。さらに、ソフトウェアは、好ましくは部分、又は特定のデバイス及び/又はデバイスの組合せからなるプログラム記憶ユニット又はコンピュータ可読媒体上で有形に具現化されるアプリケーションプログラムとして実装される。アプリケーションプログラムは、任意の適切なアーキテクチャを備えるマシンにアップロードされ、マシンによって実行され得る。好ましくは、マシンが1つ又は複数の中央処理装置(「CPU」)、グラフィック処理装置(「GPU」)などの汎用計算加速装置、メモリ、及び入力/出力インターフェースなどのハードウェアを有するコンピュータプラットフォーム上で実装される。コンピュータプラットフォームは、オペレーティングシステム及びマイクロ命令コードを含むこともできる。本明細書で説明される様々なプロセス及び機能は、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、CPU又はGPUによって実行され得る、マイクロ命令コードの一部又はアプリケーションプログラムの一部、又はそれらの任意の組合せのいずれかであり得る。加えて、様々な他の周辺ユニットが、追加のデータ記憶ユニット及び印刷ユニットなどのコンピュータプラットフォームに接続され得る。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体は、一時的な伝播信号を除いて、任意のコンピュータ可読媒体である。
【0088】
本明細書に列挙されるすべての例及び条件付き言語は開示された実施形態の原理、及び当技術分野を促進するために本発明者によって寄与された概念を読者が理解するのを助けるための教育的目的のためのものであり、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、開示された実施形態の原理、態様、及び実施形態、ならびにそれらの特定の例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、それらの構造的及び機能的等価物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような等価物は現在知られている等価物及び将来開発される等価物、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行する開発された任意の要素の両方を含むことが意図される。
【0089】
「第一」、「第二」などの名称を使用する本明細書における要素へのいかなる言及も、それらの要素の量又は順序を一般に限定しないことを理解されたい。むしろ、これらの呼称は一般に、2つ以上の要素又は要素のインスタンスを区別する便利な方法として本明細書で使用される。したがって、第一及び第二要素への言及は、2つの要素のみがそこで使用され得ること、又は第一要素が何らかの方法で第二要素に先行しなければならないことを意味しない。また、特に明記しない限り、要素のセットは、1つ又は複数の要素を含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、句「のうちの少なくとも1つ」の後に、列挙された項目のいずれかが個別に利用され得ることを意味する項目のリストが続くか、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組合せが利用され得る。例えば、システムが「A、B、及びCの少なくとも1つ」を含むと記載されている場合、システムは、A単独、B単独、C単独、2A、2B、2C、3A、A及びBの組み合わせ、B及びCの組み合わせ、A、B及びCの組み合わせ、2A及びCの組み合わせ、A、3B、及び2Cの組み合わせ、及び同様のものを含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】