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特表2024-540592リチウム二次電池用電極の製造方法、および電極を含むリチウム二次電池
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  • 特表-リチウム二次電池用電極の製造方法、および電極を含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電極の製造方法、および電極を含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20241024BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241024BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/58
H01M4/1395
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529828
(86)(22)【出願日】2023-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2023006745
(87)【国際公開番号】W WO2023224401
(87)【国際公開日】2023-11-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0061177
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソヨン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イルハ・イ
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK11
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL11
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA17
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB11
5H050DA10
5H050DA11
5H050GA22
5H050HA04
5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
本出願は、電極集電体層、および前記電極集電体層の一面または両面に電極活物質層を形成する段階と;前記電極活物質層上にリチウム金属を転写する段階と;を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法であって、前記リチウム金属を転写する段階は、基材層、離型層、およびリチウム金属が順次積層された転写積層体を用意する段階と;前記リチウム金属の前記離型層と接する面の反対面を前記電極活物質層の前記電極集電体層と接する面の反対面に接するように、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階と;前記基材層を除去する段階と;前記離型層を除去する段階と、を含み、前記ラミネーションする段階は、30℃以下の温度条件で、10kgf/cm以上150kgf/cm以下の圧力でラミネーションする、リチウム二次電池用電極の製造方法、および電極を含むリチウム二次電池に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極集電体層、および前記電極集電体層の一面または両面に電極活物質層を形成する段階と;
前記電極活物質層上にリチウム金属を転写する段階と;
を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法であって、
前記リチウム金属を転写する段階は、基材層、離型層、およびリチウム金属が順次積層された転写積層体を用意する段階と;前記リチウム金属の前記離型層と接する面の反対面を前記電極活物質層の前記電極集電体層と接する面の反対面に接するように、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階と;前記基材層を除去する段階と;前記離型層を除去する段階と、を含み、
前記ラミネーションする段階は、30℃以下の温度条件で、10kgf/cm以上150kgf/cm以下の圧力でラミネーションする、リチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項2】
前記ラミネーションする段階は、30℃以下の温度条件で、10kgf/cm以上100kgf/cm以下の圧力でラミネーションする、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項3】
前記リチウム金属を転写する段階は、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションして、前記電極活物質層を前リチウム化する段階を含み、
前記電極活物質層を前リチウム化する段階以後に前記離型層を除去する段階を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項4】
前記電極活物質層を前リチウム化する時、電極活物質層は5℃/minの発熱量で30秒以上3分以下発熱した後、温度が下がる、請求項3に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項5】
前記基材層を除去する段階は、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階後1時間以内に除去する、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項6】
前記離型層は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリル酸(PAA)、およびポリエステルからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項7】
前記離型層の厚さは、0.1μm以上2μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項8】
前記基材層の厚さは、10μm以上30μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項9】
前記電極集電体層、および前記電極集電体層の一面または両面に電極活物質層を形成する段階は、電極活物質層組成物を含む電極スラリーを前記電極集電体層の一面または両面にコーティングする段階を含み、
前記電極活物質層組成物は、電極活物質;電極導電材;および電極バインダーからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項10】
前記電極活物質は、シリコン系活物質を含み、
前記シリコン系活物質は、SiO(x=0)、SiO(0<x<2)、SiC、およびSi合金からなる群より選択される1つ以上を含む、請求項9に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項11】
リチウム二次電池用正極;
リチウム二次電池用負極;
前記正極と前記負極との間に備えられたセパレータ;および
電解質
を含む、リチウム二次電池であって、
前記リチウム二次電池用正極および前記リチウム二次電池用負極の少なくとも一つは、前記請求項1~10のいずれか一項の方法によって製造されたリチウム二次電池用電極である、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年5月19日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0061177号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本出願は、リチウム二次電池用電極の製造方法、および電極を含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加により代替エネルギーやクリーンエネルギーの使用への要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学反応を用いた発電、蓄電の分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表的な例として二次電池を挙げることができ、その使用領域がますます拡大している趨勢である。
【0005】
モバイル機器に関する技術の開発と需要の増加に伴い、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。かかる二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が常用化されて、広く使用されている。また、かかる高容量のリチウム二次電池用電極として、単位体積当たりのエネルギー密度がより高い高密度の電極を製造するための方法に関する研究が活発に行われている。
【0006】
一般に、二次電池は、正極、負極、電解質、およびセパレータからなる。負極は正極から出たリチウムイオンを挿入して脱離させる負極活物質を含み、前記負極活物質には放電容量の大きいシリコン系粒子が用いられてよい。
【0007】
一般に、リチウム二次電池の負極は、黒鉛などの炭素材料が用いられるが、炭素の理論容量密度は372mAh/g(833mAh/cm)である。したがって、負極のエネルギー密度を向上させるために、リチウムと合金化するケイ素(Si)、錫(Sn)やそれらの酸化物および合金などが負極材料として検討される。その中でも、シリコン系材料は、低価格および高容量(4200mAh/g)により注目されてきた。
【0008】
しかしながら、シリコン系負極活物質を用いる場合、初期不可逆容量が大きいという問題が発生する。リチウム二次電池の充放電反応において、充電時には正極から放出されたリチウムが負極に挿入され、放電時には負極から脱離されて再び正極へと戻るが、シリコン系負極活物質の場合は、体積変化と表面副反応が著しく、初期充電時に負極に挿入されたリチウムの量の多くは再び正極へと戻らず、したがって、初期不可逆容量が大きくなるという問題が発生する。初期不可逆容量が大きくなると、電池容量とサイクルが急激に減少するという問題が発生する。
【0009】
前記のような問題を解決するために、シリコン系負極活物質を含むシリコン負極を前リチウム化する方法が知られている。前リチウム化方法としては、電解鍍金、リチウム金属転写、リチウム金属蒸着などの物理/化学的方法によってリチウム化させた後、電極を製造する方法、および負極を電気化学的に前リチウム化させる方法などが知られている。
【0010】
特に、リチウム金属転写工程において、リチウム金属を安全に、かつ容易に転写しにくく、転写積層体からリチウムが転写されなかったり、転写されても反応性の良いリチウム金属が負極活物質と直ちに反応し始めて負極活物質層の表面で粒子クラック現象などの問題が発生している。
【0011】
また、リチウム金属の反応性および転写性を調節するために、リチウム金属の転写時に、離型層を用いて、リチウム金属の転写時に一緒に転写しているが、前リチウム化工程後に、温度上昇、圧力条件の変化により、離型層の接着力が高くなって、除去しにくい場合が発生している。この場合、離型層は電池での抵抗役割を果たして、抵抗が増加するという問題が発生する。
【0012】
そこで、電極を前リチウム化するにおいて、より安全に、かつ効率的に、電池の抵抗を上昇させることなく、リチウムを電極活物質層内に均一に前リチウム化することができる方法に対する研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
リチウム金属転写工程は、前リチウム化工程において、転写積層体から電極活物質層の上部にリチウム金属を転写する工程が含まれ、前リチウム化の時、電極活物質層の時間当たり発熱量を調節することによって、リチウム金属の転写性の増大、および前リチウム化の完了後に離型層の除去を容易にすることができることを研究によって確認した。そこで、本出願は、リチウム二次電池用電極の製造方法、および電極を含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書の一実施態様は、電極集電体層、および前記電極集電体層の一面または両面に電極活物質層を形成する段階と;前記電極活物質層上にリチウム金属を転写する段階と;を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法であって、前記リチウム金属を転写する段階は、基材層、離型層、およびリチウム金属が順次積層された転写積層体を用意する段階と;前記リチウム金属の前記離型層と接する面の反対面を前記電極活物質層の前記電極集電体層と接する面の反対面に接するように、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階と;前記基材層を除去する段階と;前記離型層を除去する段階と;を含み、
前記ラミネーションする段階は、30℃以下の温度条件で、10kgf/cm以上150kgf/cm以下の圧力で積層する、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0015】
また他の一実施態様において、リチウム二次電池用正極;リチウム二次電池用負極;前記正極と前記負極との間に備えられたセパレータ;および電解質を含むリチウム二次電池であって、前記リチウム二次電池用正極および前記リチウム二次電池用負極の少なくとも一つは、前記の方法によって製造されたリチウム二次電池用電極である、リチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0016】
一般に、離型層は、リチウム金属を転写積層体から電極活物質層の上部に容易に転写するために必ず用いなければならないが、前リチウム化以後に離型層自体が電極に含まれて電池が製造される場合、電池の抵抗が上昇するという問題が発生した。
【0017】
そこで、本発明の一実施態様によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、転写工程の前リチウム化において、離型層を除去する段階を含むことを特徴とする。
【0018】
特に、電極活物質層の前リチウム化工程において、工程条件を調節することによって、離型層を電極活物質層の上部から容易に分離することができる工程に関し、リチウム金属の転写の時、圧力、温度および時間当り発熱量を調節して、前リチウム化された電極上部の離型層を容易に除去する工程に関する。
【0019】
前記のような工程によって製造された電極は、電極活物質層の上部に離型層のような別途の層が具備されないので、セルを組み立てた後に、電池を駆動する時、抵抗が上昇しないという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用電極にリチウム金属を転写する工程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を説明する前に、まずいくつかの用語を定義する。
【0022】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0023】
本明細書において、「p~q」は「p以上、q以下」の範囲を意味する。
【0024】
本明細書において、「比表面積」は、BET法により測定したものであり、具体的には、BEL Japan社製のBELSORP-mini IIを用いて、液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出されたものである。すなわち、本出願において、BET比表面積は、前記測定方法で測定された比表面積を意味することができる。
【0025】
本明細書において、「Dn」は、粒径分布を意味し、粒径による粒子個数累積分布のn%地点での粒径を意味する。すなわち、D50は、粒径による粒子個数累積分布の50%地点での粒径(中心粒径)であり、D90は、粒径による粒子個数累積分布の90%地点での粒径であり、D10は、粒径による粒子個数累積分布の10%地点での粒径である。一方、粒径分布は、レーザ回折法(laser diffraction method)を利用して測定してもよい。具体的には、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザ回折粒度測定装置(例えば、マイクロトラック(Microtrac)S3500)に導入して、粒子がレーザビームを通過するとき、粒子サイズによる回折パターンの差を測定して粒径分布を算出する。
【0026】
本明細書において、重合体がある単量体を単量体単位で含むという意味は、その単量体が重合反応に参加して重合体内で繰り返し単位として含まれることを意味する。本明細書において、重合体が単量体を含むという場合、これは重合体が単量体を単量体単位で含むということと同一に解釈される。
【0027】
本明細書において、『重合体』とは、『単独重合体』と明示されない限り、共重合体を含む広義の意味で使用されることを理解する。
【0028】
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、分子量測定用に市販されている多様な重合度の単分散ポリスチレン重合体(標準試料)を標準物質にして、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によって測定したポリスチレン換算分子量である。本明細書において、分子量とは、特別な記載がない限り、重量平均分子量を意味する。
【0029】
以下、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように、図面を参照して詳しく説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現可能であり、以下の説明に限定されるものではない。
【0030】
本明細書の一実施態様は、電極集電体層、および前記電極集電体層の一面または両面に電極活物質層を形成する段階と;前記電極活物質層上にリチウム金属を転写する段階と;を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法であって、前記リチウム金属を転写する段階は、基材層、離型層、およびリチウム金属が順次積層された転写積層体を用意する段階と;前記リチウム金属の前記離型層と接する面の反対面を前記電極活物質層の前記電極集電体層と接する面の反対面に接するように、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階と;前記基材層を除去する段階と;前記離型層を除去する段階と;を含み、前記ラミネーションする段階は、30℃以下の温度条件で、10kgf/cm以上150kgf/cm以下の圧力で積層する、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0031】
本出願の一実施態様において、前記電極は負極または正極であってもよい。
【0032】
図1は、本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用電極にリチウム金属を転写する工程を示した図である。具体的には、電極集電体層40および電極活物質層30で形成されたリチウム二次電池用電極200に基材層10、離型層35およびリチウム金属20が順次積層された転写積層体100を積層した後、前記転写積層体100の基材層10を除去する工程を確認することができる。
【0033】
以下では、本願発明のリチウム二次電池用電極の製造方法に対する具体的な内容を記述する。
【0034】
本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、電極集電体層、および前記電極集電体層の一面または両面に電極活物質層を形成する段階を含んでもよい。
【0035】
本出願の一実施態様において、前記電極集電体層、および前記電極集電体層の一面または両面に電極活物質層を形成する段階は、電極活物質層組成物を含む電極スラリーを前記電極集電体層の一面または両面にコーティングする段階を含み、前記電極活物質層組成物は、電極活物質、電極導電材、および電極バインダーからなる群より選択される1つ以上を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0036】
この時、前記電極活物質は、シリコン系活物質を含み、前記シリコン系活物質は、SiO(x=0)、SiO(0<x<2)、SiC、およびSi合金からなる群より選択される1つ以上を含む、リチウム二次電池用電極の前リチウム化方法を提供する。
【0037】
本出願の一実施態様において、前記電極は負極であってもよく、以下、リチウム二次電池用負極の製造方法に対する説明を記載する。
【0038】
本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、負極集電体層、および前記負極集電体層の一面または両面に負極活物質層を形成する段階を含んでもよい。
【0039】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体層は、通常1μm~100μmの厚さを有する。このような負極集電体層は、当該電池に化学的変化を誘発せず高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられてもよい。また、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよく、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてもよい。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体層の厚さは、1μm以上100μm以下であり、前記負極活物質層の厚さは、20μm以上500μm以下であってもよい。
【0041】
ただし、厚さは用いられる負極の種類および用途によって多様に変形してもよく、これに限定されない。
【0042】
本出願の一実施態様において、負極集電体層、および前記負極集電体層の一面または両面に負極活物質層を形成する段階は、負極活物質層組成物を含む負極スラリーを前記負極集電体層の一面または両面にコーティングする段階を含み、前記負極活物質層組成物は、負極活物質、負極導電材、および負極バインダーからなる群より選択される1つ以上を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0043】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリーは、負極活物質層組成物、およびスラリー溶媒を含んでもよい。
【0044】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリーの固形分の含量は、5%以上40%以下を満たしてもよい。
【0045】
また他の一実施態様において、前記負極スラリーの固形分の含量は、5%以上40%以下、好ましくは、7%以上35%以下、より好ましくは、10%以上30%以下の範囲を満たしてもよい。
【0046】
前記負極スラリーの固形分の含量とは、前記負極スラリー内に含まれる負極活物質層組成物の含量を意味してもよく、負極スラリー100重量部を基準として、前記負極活物質組成物の含量を意味してもよい。
【0047】
前記負極スラリーの固形分の含量が前記の範囲を満たす場合、負極活物質層の形成時に、粘度が適切で、負極活物質層組成物の粒子のケーキング(caking)現象を最小化して、負極活物質層を効率的に形成することができるという特徴を有する。
【0048】
本出願の一実施態様において、前記スラリー溶媒は、負極活物質層組成物を溶解することができれば、これに限定されないが、具体的には、蒸留水を用いてもよい。
【0049】
本出願の一実施態様による負極は、負極集電体層上に前記負極スラリーをコーティングおよび乾燥して形成してもよい。
【0050】
前記乾燥段階によって、前記負極スラリー内のスラリー溶媒が乾燥されてもよい。
【0051】
本出願の一実施態様において、前記負極活物質層組成物は、負極活物質、負極導電材、および負極バインダーからなる群より選択される1つ以上を含んでもよい。
【0052】
本出願の一実施態様において、前記負極活物質としてシリコン系活物質を用いてもよく、またはシリコン系活物質と炭素系活物質を一緒に含む負極を用いてもよい。この場合、サイクル寿命特性などの諸性能がより向上したリチウム二次電池を製造することができる。
【0053】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiO(x=0)、SiO(0<x<2)、SiC、およびSi合金からなる群より選択される1つ以上を含んでもよい。
【0054】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiO(x=0)およびSiO(0<x<2)からなる群より選択される1つ以上を含み、前記シリコン系活物質100重量部を基準として、前記SiO(x=0)を70重量部以上を含んでもよい。
【0055】
また他の一実施態様において、前記シリコン系活物質100重量部を基準として、前記SiO(x=0)を70重量部以上、好ましくは、80重量部以上、より好ましくは、90重量部以上含んでもよく、100重量部以下、好ましくは、99重量部以下、より好ましくは、95重量部以下含んでもよい。
【0056】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、特に純粋シリコン(Si)をシリコン系活物質として用いてもよい。純粋シリコン(Si)をシリコン系活物質として用いるということは、前記のように、シリコン系活物質全体100重量部を基準とした時、他の粒子または元素と結合されない純粋なSi粒子(SiO(x=0))を前記範囲で含むことを意味してもよい。
【0057】
リチウム二次電池の充放電反応において、充電時には、正極から放出されたリチウムが負極に挿入され、放電時には、負極から脱離されて再び正極へと戻るが、シリコン系負極活物質の場合は、体積変化および表面副反応が深刻で、初期充電時に、負極に挿入されたリチウムの量の多くは再び正極へと戻ることができない。したがって、初期不可逆容量が大きくなるという問題が発生する。初期不可逆容量が大きくなると、電池容量とサイクルが急激に減少するという問題が発生する。
【0058】
本発明の場合、前記のような問題点を解決するために、リチウム二次電池の負極を前リチウム化して初期不可逆容量問題を解決する。具体的には、前リチウム化工程において、リチウム転写工程を行う時に、リチウム金属が転写積層体から容易に転写され、また、負極活物質層内のリチウムが均一に前リチウム化されることができるように、副産物の生成を抑制し、製造されたセルの抵抗の増加を防止することを特徴とする。
【0059】
一方、本願発明の前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、1μm~10μmであってもよく、具体的には、3μm~8μmであってもよく、より具体的には、3.5μm~7μmであってもよい。前記平均粒径が前記の範囲に含まれる場合、粒子の比表面積が適切な範囲に含まれ、負極スラリーの粘度が適正範囲に形成される。それによって、負極スラリーを構成する粒子の分散が円滑になる。また、シリコン系活物質の大きさが前記範囲の下限値以上の値を有することで、負極スラリー内で導電材とバインダーからなる複合体によって、シリコン粒子、導電材の接触面積が優れて、導電ネットワークが持続される可能性が高くなり、容量の維持率が増加される。一方、前記平均粒径が前記範囲を満たす場合、大きすぎるシリコン粒子が排除されて、負極の表面が滑らかに形成され、これによって、充放電時に電流密度の不均一な現象を防止することができる。
【0060】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、通常特有のBET比表面積を有する。シリコン系活物質のBET比表面積は、好ましくは、0.01m/g~150.0m/g、より好ましくは、0.1m/g~100.0m/g、特に好ましくは、0.2m/g~80.0m/g、最も好ましくは、0.2m/g~18.0m/gである。BET比表面積は(窒素を使用して)DIN66131に従って測定される。
【0061】
本出願の一実施態様において、シリコン系活物質は、例えば結晶または非晶質形態で存在してもよく、好ましくは、多孔性ではない。シリコン粒子は、好ましくは、球状または破片状の粒子である。代替としてシリコン粒子は繊維構造を有してもよいし、またはシリコン含有の薄膜もしくは被膜の形態で存在してもよいが、それほど好ましくない。
【0062】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として、60重量部以上であってよい。
【0063】
また他の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として、60重量部以上、好ましくは、65重量部以上、より好ましくは、70重量部以上含まれてもよく、95重量部以下、好ましくは、90重量部以下、より好ましくは、80重量部以下含まれてもよい。
【0064】
本出願に係る負極活物質層組成物は、容量が顕著に高いシリコン系活物質を前記の範囲で用いても、充放電過程で体積膨張率を制御することができる負極導電材および負極バインダーを一緒に含んで、前記範囲で含んでも負極の性能を低下させず、充電および放電での出力特性に優れるという特徴を有するようになる。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、非球状形態を有しもよく、その球形化度は、例えば、0.9以下、例えば、0.7~0.9、例えば、0.8~0.9、例えば、0.85~0.9である。
【0066】
本出願において、前記球形度(circularity)は、下記式Aで決定され、Aは面積で、Pは境界線である。
【0067】
[式A]
4πA/P
【0068】
従来には、負極活物質として黒鉛系化合物のみを用いることが一般的であったが、最近では高容量電池に対する需要が高くなるにつれて、容量を高めるために、シリコン系活物質を混合して使用しようとする試みが増えている。ただし、シリコン系活物質の場合、充/放電過程で体積が急激に膨脹して、負極活物質層内に形成された導電性経路を毀損させて、電池の性能を却って低下させるという限界が存在し、シリコン系活物質と一緒に用いられる負極導電材の種類が重要である。
【0069】
本出願の一実施態様において、前記負極導電材は、点状導電材、面状導電材、および線状導電材からなる群より選択される1つ以上を含んでもよい。
【0070】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、負極の導電性を向上させるために用いられることができ、化学的変化を誘発せず、導電性を有する導電材を意味する。具体的には、前記点状導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、導電性纎維、フルオロカーボン、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタン、およびポリフェニレン誘導体からなる群より選択された少なくとも1種であってもよく、好ましくは、高い導電性を具現し、分散性に優れるという側面でカーボンブラックを含んでもよい。
【0071】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、BET比表面積が40m/g以上70m/g以下であってもよく、好ましくは、45m/g以上65m/g以下、より好ましくは、50m/g以上60m/g以下であってもよい。
【0072】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材の粒径は10nm~100nmであってもよく、好ましくは、20nm~90nm、より好ましくは、40nm~60nmであってもよい。
【0073】
本出願の一実施態様において、前記負極導電材は、面状導電材を含んでもよい。
【0074】
前記面状導電材は、負極内でシリコン粒子の間の面接触を増加させて導電性を改善し、同時に体積膨脹による導電性経路の断絶を抑制する役割を果たすことができ、バルク(bulk)型導電材または板状導電材を含む概念で用いられる。
【0075】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、板状黒鉛、グラフェン、グラフェンオキサイド、および黒鉛フレークからなる群より選択される少なくともいずれか一つを含んでもよく、好ましくは、板状黒鉛であってもよい。
【0076】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材の平均粒径(D50)は、2μm~7μmであってもよく、具体的には、3μm~6μmであってもよく、より具体的には、4μm~5μmであってもよい。前記の範囲を満たす場合、粒径が十分であるため、負極スラリーの粘度が上昇し過ぎないようにしながらも、分散が容易になる。したがって、同じ設備と時間を用いて分散させる時に分散効果が優れる。
【0077】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、D10が0.5μm以上1.5μm以下であり、D50が2.5μm以上3.5μm以下であり、D90が7.0μm以上15.0μm以下である、負極組成物を提供する。
【0078】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、BET比表面積の高い高比表面積の面状導電材;または低比表面積の面状導電材を用いてもよい。
【0079】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材として、高比表面の面状導電材;または低比表面積の面状導電材を制限なく用いてもよいが、特に、本出願に係る面状導電材は、分散の影響を電極性能である程度受ける場合があって、分散に問題が発生しない低比表面積の面状導電材を用いることが特に好ましい。
【0080】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、BET比表面積が5m/g以上であってもよい。
【0081】
また他の一実施態様において、前記面状導電材は、BET比表面積が5m/g以上500m/g以下であってもよく、好ましくは、5m/g以上300m/g以下、より好ましくは、5m/g以上250m/gであってもよい。
【0082】
また他の一実施態様において、前記面状導電材は、高比表面積の面状導電材であり、BET比表面積が50m/g以上500m/g以下、好ましくは、80m/g以上300m/g以下、より好ましくは、100m/g以上300m/g以下の範囲を満たしてもよい。
【0083】
また他の一実施態様において、前記面状導電材は、低比表面積の面状導電材であり、BET比表面積が5m/g以上40m/g以下、好ましくは、5m/g以上30m/g以下、より好ましくは、5m/g以上25m/g以下の範囲を満たしてもよい。
【0084】
その他に、導電材としては、カーボンナノチューブなどの線状導電材があり得る。カーボンナノチューブは、バンドル型カーボンナノチューブであってもよい。前記バンドル型カーボンナノチューブは、複数のカーボンナノチューブ単位体を含んでもよい。具体的には、ここで、『バンドル型(bundle type)』とは、他に言及されない限り、複数個のカーボンナノチューブ単位体がカーボンナノチューブ単位体の長手方向の軸が実質的に同じ配向で平行に配列され、もしくは捻られた束(bundle)或いはロープ(rope)状の2次形状を指す。前記カーボンナノチューブ単位体は、黒鉛シート(graphite sheet)がナノサイズ直径のシリンダ状を有し、sp2結合構造を有する。この時、前記黒鉛シートが巻かれる角度および構造に応じて導体または半導体の特性を示すことができる。前記バンドル型カーボンナノチューブは、エンタングル型(entangled type)カーボンナノチューブに比べて、負極の製造時に均一に分散されることができ、負極内の導電性ネットワークを円滑に形成して、負極の導電性が改善されることができる。
【0085】
本出願の一実施態様において、前記負極導電材は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として、10重量部以上40重量部以下であってもよい。
【0086】
また他の一実施態様において、前記負極導電材は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として、10重量部以上40重量部以下、好ましくは、10重量部以上30重量部以下、より好ましくは、15重量部以上25重量部以下含まれてもよい。
【0087】
本出願に係る負極導電材の場合、正極に適用される正極導電材とは全く別途の構成を有する。すなわち、本出願に係る負極導電材の場合、充電および放電によって、電極の体積膨脹が非常に大きいシリコン系活物質の間の接点を制御する役割を果たすもので、正極導電材は、圧延される時、緩衝作用のバッファの役割を果たしながら、一部導電性を付与する役割で、本願発明の負極導電材とはその構成および役割が全く異なる。
【0088】
また、本出願に係る負極導電材は、シリコン系活物質に適用されるもので、黒鉛系活物質に適用される導電材とは全く異なる構成を有する。すなわち、黒鉛系活物質を有する電極に用いられる導電材は、単純に活物質に比べて小さい粒子を有するため、出力特性の向上および一部の導電性を付与する特性を有するもので、本願発明のように、シリコン系活物質とともに適用される負極導電材とは構成および役割が全く異なる。
【0089】
本出願の一実施態様において、前記の負極導電材として用いられる点状導電材は、通常、負極活物質として用いられる炭素系活物質と異なる構造および作用を有する。具体的には、負極活物質として用いられる炭素系活物質は、人造黒鉛または天然黒鉛であってもよく、リチウムイオンの貯蔵および放出を容易にするために、球状または点状の形態に加工して用いる物質を意味する。
【0090】
一方、負極導電材として用いられる面状導電材は、通常、面または板状の形態を有する物質で、板状型黒鉛で表現され得る。すなわち、負極活物質層内で導電性経路を維持するために含まれる物質で、リチウムの貯蔵および放出の役割ではない負極活物質層の内部で面状で導電性経路を確保するための物質を意味する。
【0091】
すなわち、本出願において、板状黒鉛が導電材に用いられたということは、面状または板状に加工されて、リチウムの貯蔵または放出の役割ではない導電性経路を確保する物質として用いられたということを意味する。この時、一緒に含まれる負極活物質は、リチウムの貯蔵および放出に対する容量特性が高く、正極から伝達されるすべてのリチウムイオンを貯蔵および放出することができる役割を果たす。
【0092】
一方、本出願において、炭素系活物質が活物質として用いられたということは、点状または球状に加工されて、リチウムを貯蔵または放出する役割を果たす物質として用いられたということを意味する。
【0093】
すなわち、本出願の一実施態様において、炭素系活物質である人造黒鉛または天然黒鉛は、BET比表面積が0.1m/g以上4.5m/g以下の範囲を満たしてもよい。また、面状導電材である板状黒鉛は面状で、BET比表面積が5m/g以上であってもよい。
【0094】
本出願の一実施態様において、前記負極バインダーは、ポリビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-co-HFP)、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン―プロピレンージエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)、およびこれらの水素をLi、NaまたはCaなどで置換した物質からなる群より選択される少なくともいずれか一つを含んでもよく、またこれらの多様な共重合体を含んでもよい。
【0095】
本出願の一実施態様による負極バインダーは、シリコン系活物質の体積膨脹および緩和において、負極構造の捻れ、構造の変形を防止するために、負極活物質および負極導電材を制御する役割をするもので、前記の役割を満たす場合、通常の負極バインダーを全て適用することができ、具体的には、水系バインダーを用いてもよく、さらに具体的には、PAM系バインダーまたはSBRバインダーを用いてもよい。
【0096】
本出願の一実施態様において、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として、前記負極バインダー30重量部以下、好ましくは、25重量部以下、より好ましくは、20重量部以下を含んでもよく、1重量部以上、好ましくは、3重量部以上を含んでもよい。
【0097】
本出願の一実施態様において、前記電極は正極であってもよく、以下では、リチウム二次電池用正極の製造方法に対する説明を記載する。この時、前記のリチウム二次電池用負極の製造方法と同じ説明が適用されてもよく、ただし、正極という差が存在する。
【0098】
本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、正極集電体層、および前記正極集電体層の一面または両面に正極活物質層を形成する段階を含んでもよい。
【0099】
本出願の一実施態様において、前記正極集電体層は、電池に化学的変化を誘発せず、導電性を有するものであれば、特に制限されず、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、塑性炭素またはアルミニウムやステンレススチール表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられてもよい。また、前記正極集電体層は、通常3μm~500μmの厚さを有してもよく、前記正極集電体層の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてもよい。
【0100】
前記正極集電体層の厚さは用いられる正極の種類および用途によって多様に変形してもよく、これに限定されない。
【0101】
本出願の一実施態様において、正極集電体層および前記正極集電体層の一面または両面に正極活物質層を形成する段階は、正極活物質層組成物を含む正極スラリーを前記正極集電体層の一面または両面にコーティングする段階を含み、前記正極活物質層組成物は、正極活物質、正極導電材、および正極バインダーからなる群より選択される1つ以上を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0102】
本出願の一実施態様において、前記正極スラリーに対する内容は前記の負極スラリーに対する内容が同一に適用されてもよく、ただし、正極という差が存在する。
【0103】
本出願の一実施態様において、前記正極活物質層組成物は、正極活物質、正極導電材、および正極バインダーからなる群より選択される1つ以上を含んでもよい。
【0104】
前記正極活物質は、通常用いられる正極活物質であってもよい。具体的には、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;LiFeなどのリチウム鉄酸化物;化学式Li1+c1Mn2-c1(0≦c1≦0.33)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-c2c2(ここで、Mは、Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B、およびGaからなる群より選択された少なくともいずれか一つで、0.01≦c2≦0.3を満たす)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-c3c3(ここで、Mは、Co、Ni、Fe、Cr、Zn、およびTaからなる群より選択された少なくともいずれか一つで、0.01≦c3≦0.1を満たす)またはLiMnMO(ここで、Mは、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnからなる群より選択された少なくともいずれか一つである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMnなどを挙げることができるが、これらのみに限定されるものではない。前記正極は、Li金属(Li-metal)であってもよい。
【0105】
この時、前記正極導電材は、電極に導電性を付与するために用いられるものであって、構成される電池において、化学的変化を引き起こすことなく電子伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてよい。
【0106】
また、前記正極バインダーは、正極活物質粒子の間の付着、および正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体的な例としては、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0107】
その他、正極活物質層組成物に含まれる正極活物質、正極導電材、および正極バインダーの含量は、前記の負極活物質層組成物に適用される内容が同一に適用されてもよい。
【0108】
本出願の一実施態様において、前記電極活物質層上にリチウム金属を転写する段階を含む、リチウム二次電池用電極の前リチウム化方法を含んでもよい。
【0109】
一般に、前リチウム化工程は、化学的または物理的にリチウム金属を電極に前リチウム化することで、具体的には、リチウム金属転写工程、リチウム金属パウダー蒸着、電気/化学的工程、またはリチウム金属蒸着工程で行われてもよく、本出願に係る前リチウム化工程は、リチウム金属転写工程を含んでもよい。
【0110】
リチウム金属転写工程の場合、反応性が非常に大きいリチウム金属をより安定的に電極活物質層の上部に転写することができるという特徴を有する。この時、転写積層体からリチウム金属を容易に電極活物質層の上部に転写することができる工程が必要である。
【0111】
本出願の一実施態様において、前記の転写積層体を用意する段階と;前記リチウム金属の前記離型層と接する面の反対面を前記電極活物質層の前記電極集電体層と接する面の反対面に接するように、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階と;前記基材層を除去する段階と;前記離型層を除去する段階と;を含んでもよい。
【0112】
本出願の一実施態様において、前記転写積層体を用意する段階は、前記基材層上に離型層をコーティングして積層する段階と;乾燥段階と;前記離型層上に前記リチウム金属を積層する段階と;を含み、前記乾燥段階での乾燥温度は、30℃~90℃の条件で、5分~1時間乾燥する段階を含んでもよい。
【0113】
すなわち、前記のような乾燥段階の条件を調節して、前記離型層の接着力の範囲を特定範囲に形成して、転写工程での前リチウム化の時、リチウム金属の転写を容易にすることができるという特徴を有する。
【0114】
本出願の一実施態様において、前記基材層は、リチウム金属を蒸着させる段階での高い温度のような工程条件に耐えることができ、蒸着されたリチウム金属を転写するための巻取工程におけるリチウム金属が基材層上に転写される逆剥離問題を防止することができるという特徴を有するものであれば、制限なく使用可能である。
【0115】
具体的には、本出願の一実施態様において、前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリメチルメタクリル酸(poly(methylmethacrylate)、PMMA)、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリエチレン(Polyethylene)、およびポリカーボネート(Polycarbonate)からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0116】
本出願の一実施態様において、前記基材層の厚さは、1μm以上300μm以下であってもよく、5μm以上200μm以下、10μm以上30μm以下の範囲を満たしてもよい。
【0117】
本出願の一実施態様において、前記リチウム金属の厚さは、1μm以上10μm以下であってもよく、好ましくは、3μm以上10μm以下を満たしてもよい。
【0118】
前記基材層およびリチウム金属の厚さが前記範囲を満たすことによって、リチウム金属の電極活物質層側への転写が効率的に行われることができ、逆転写を防止することができるという特徴を有する。
【0119】
本出願の一実施態様において、リチウム金属の剥離性を向上させ、電極活物質層への転写性を確保し、リチウム金属の転写後保護層の役割を果たすために、前記転写積層体の基材層およびリチウム金属が接する面に離型層を含む。
【0120】
すなわち、前記基材層は、少なくとも一面に離型層が形成されたものであってもよく、両面に離型層が形成されたものであってもよい。前記離型層によって蒸着されたリチウム金属を電極に転写するための巻取工程においてリチウム金属が基材層上に転写される逆剥離問題を防止することができ、また、リチウム金属を電極活物質層上に転写させた後、基材層を容易に分離させることができる。
【0121】
本出願の一実施態様において、前記離型層は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリル酸(PAA)、およびポリエステルからなる群より選択される1つ以上を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0122】
本出願の一実施態様において、前記離型層の厚さは、0.1μm以上2μm以下である、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0123】
離型層の厚さが前記範囲を満すことで、転写積層体からリチウム金属を容易に電極活物質層に転写することができ、また前リチウム化以後に、離型層を電極活物質層の上部で除去する時、切れたりまた剥がれたりすることなく、容易に除去されることができる。
【0124】
本出願の一実施態様において、前記リチウム金属を前記離型層が形成された基材層に蒸着するための蒸着方法としては、真空蒸着法(evaporation deposition)、化学気相蒸着(CVD、chemical vapor deposition)、および物理蒸着法(physical vapor deposition)のうちから選択されてもよいが、これに限定されるものではなく、当業界で用いられる蒸着法を多様に使用可能である。
【0125】
本出願の一実施態様において、前記リチウム金属を前記離型層が形成された基材層に蒸着するための蒸着方法としては、物理蒸着法(physical vapor deposition)が用いられてもよい。
【0126】
この時、前記転写積層体が積層されたリチウム二次電池用電極を5kgf/cm~500kgf/cmの荷重を印加してロールプレス(Roll Pressing)によってラミネーション工程を行うことができる。その後、基材層を除去する工程が含まれ、除去する時、本出願に係る離型層を含むことによって、リチウム金属の逆転写などの問題が発生しないという特徴を有する。
【0127】
本出願の一実施態様において、前記離型層は、コーティング法によって形成されてもよく、例えば、前記コーティング法は、ディップコーティング(dip coating)、スプレーコーティング(spray coating)、スピンコーティング(spin coating)、ダイコーティング(die coating)、およびグラビアコーディング(Gravure coating)、マイクロ-グラビアコーディング(Micro-Gravure coating)、コンマコーティング(Comma coating)、およびロールコーティング(roll coating)からなる群より選択される方法であってもよいが、これに限定されるものではなく、当業界でコーティング層を形成するために使用可能なコーティング法を多様に使用することができる。
【0128】
本出願の一実施態様において、前記リチウム金属の前記離型層と接する面の反対面を前記電極活物質層の前記集電体層と接する面の反対面に接するように、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階を提供し、この時、前記ラミネーションする段階は、30℃以下の温度条件で、10kgf/cm以上150kgf/cm以下の圧力でラミネーションしてもよい。
【0129】
前記ラミネーションする段階以後に反応性の良いリチウム金属と電極活物質層の前リチウム化が行われることができる。
【0130】
また他の一実施態様において、前記ラミネーションする段階は、30℃以下の温度条件、好ましくは、25℃以下の温度条件であってもよく、10℃以上の温度条件、好ましくは、15℃以上の温度条件で行われてもよい。
【0131】
すなわち、前記のように、電極内で発生した熱を容易に放出することができる条件でラミネーションを行い、前記温度条件範囲に対応する場合、ラミネーションを行う際に、前リチウム化反応速度が適切であり、これによって熱が蓄積されず、後に離型層を除去することが容易な状態を形成することができる。
【0132】
本出願の一実施態様において、前記ラミネーションする段階は、10kgf/cm以上150kgf/cm以下の圧力でラミネーションしてもよい。
【0133】
また他の一実施態様において、前記ラミネーションする段階は、150kgf/cm以下、好ましくは、100kgf/cm以下であってもよく、より好ましくは、50kgf/cm以下であってもよく、10kgf/cm以上の範囲を満たしてもよい。
【0134】
前記のように、ラミネーションする段階で前記の圧力範囲を満たし、リチウム金属を転写するための適切な圧力条件に対応し、また、電極表面部の脱離を防止することができるという特徴を有する。さらに、前記のような圧力および温度条件を満たして、後に離型層を容易に除去することができ、これによって、セルの組立て時に、抵抗の上昇を防止することができるという特徴を有する。
【0135】
具体的には、前記ラミネーションする段階で150kgf/cmを超える圧力でラミネーションする場合、リチウム金属に対する離型層の接着力が増加して、離型層の除去が難しくなる可能性があり、強制的に離型層を除去する場合、電極の脱離現象が発生する可能性があるという問題点がある。また、10kgf/cm未満の圧力でラミネーションする場合、リチウム金属の電極活物質層への転写がよく行われない可能性がある。
【0136】
本出願の一実施態様において、前記リチウム金属を転写する段階は、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションして、前記電極活物質層を前リチウム化する段階を含み、前記電極活物質層を前リチウム化する段階は、リチウム金属を転写した後、30分~24時間以内に前リチウム化される、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0137】
前記電極活物質層を前リチウム化する時、電極活物質層は、5℃/minの発熱量で30秒以上3分以下発熱した後、温度が下がる、リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0138】
前記電極活物質層を前リチウム化する段階は、25℃、1atmの条件で30分~24時間以内に前リチウム化される、リチウム二次電池用電極製造方法を提供する。
【0139】
前記前リチウム化段階は、リチウム金属が電極活物質層の内部に拡散する条件を設定する段階で、前リチウム化が完了されたか否かは、電極活物質層の上部のリチウムが完全に消えたか否かで判断することができる。
【0140】
本出願の一実施態様において、前記活性化反応時間は、30分~48時間、好ましくは、1時間~2時間であってもよい。
【0141】
本出願の一実施態様において、前記リチウム金属を転写する段階は、前記基材層を除去する段階を含む。
【0142】
従来のリチウム金属の転写工程において、転写積層体の積層後、前リチウム化が行われる過程で基材層を剥離しにくいという問題があった。これによって、基材層が除去されない状態で前リチウム化が行われ、前リチウム化の時発生した熱が基材層に遮られて放出されず、リチウム金属の前リチウム化の時、表面に副産物が形成され、これにより、離型層のポリマー架橋が発生して、離型層の除去が容易でなかった。
【0143】
しかしながら、前記のラミネーション圧力、温度および前リチウム化工程での時間当り発熱量を適正範囲に調節して、転写積層体を積層した後に基材層の剥離が容易になり、それにより、離型層のポリマー架橋が発生せず離型層を容易に除去することができた。
【0144】
本出願の一実施態様において、前記基材層を除去する段階は、前記転写積層体を前記電極活物質層上にラミネーションする段階後、1時間以内に除去してもよく、ラミネーションする段階後30分以内に除去することが好ましく、ラミネーション段階直後に基材層を除去することが最も好ましい。
【0145】
基材層を除去する段階は、前記時間範囲内に除去することが好ましく、特に、ラミネーション段階以後に1時間が経ってから基材層を除去する場合、リチウム副反応生成物が急激に多量に生じ、これによって離型層と電極活物質層の接着力が増大されて、離型層の除去が難しくなる。
【0146】
本出願の一実施態様において、前記リチウム金属を転写する段階は、前記離型層を除去する段階を含み、具体的には、前記のように、前リチウム化が行われた後、前リチウム化された電極活物質層の上部で離型層を除去する工程を含む。
【0147】
この時、前記の工程条件を満たして離型層のポリマー架橋が発生しなくなり、これによって、離型層の除去が容易になる。前記条件を満たさない場合、離型層の架橋が発生して離型層が除去されず、除去に必要な力が増えて、電極の脱離現象などの問題が発生する可能性がある。
【0148】
すなわち、本出願に係るリチウム二次電池用電極の前リチウム化方法は、前記のような工程条件を調節することによって、転写積層体をラミネーションした後、直ちに基材層を容易に剥離することができて、前リチウム化の時、副産物の生成を抑制することができ、さらに、離型層と前リチウム化された電極活物質層の接着力の増加を防止して、離型層を容易に除去することができるという特徴を有する。
【0149】
この時、前リチウム化時に用いられた離型層35は、前述のように除去されることができ、これによって、電極の上部に残らず、不要な抵抗の増加を防止することができる。すなわち、前記離型層は転写力を向上させ、また、前リチウム化の前にリチウム金属を保護する役割として用いられることができ、電解質の注液前に除去されてもよい。
【0150】
本出願の一実施態様において、前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
具体的に、前記電解質は、非水系有機溶媒と金属塩を含んでもよい。
【0152】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられてよい。
【0153】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち、環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高く、リチウム塩をよく解離させるため、好ましく用いられることができ、このような環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の線状カーボネートを適切な比率で混合して用いると、高い電気伝導率を有する電解質を製造することができるので、より好ましく用いられることができる。
【0154】
前記金属塩は、リチウム塩を用いてもよく、前記リチウム塩は、前記非水電解液に溶解されやすい物質であって、例えば、前記リチウム塩の陰イオンとしては、F、Cl、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCNおよび(CFCFSOからなる群より選択される1種以上を用いてもよい。
【0155】
前記電解液には、前記電解液の構成成分以外にも、電池寿命特性の向上、電池容量減少の抑制、電池放電容量の向上などを目的に、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。
【0156】
本発明の一実施態様において、リチウム二次電池用正極;リチウム二次電池用負極;前記正極と前記負極との間に備えられたセパレータ;および電解質を含むリチウム二次電池であって、前記リチウム二次電池用正極および前記リチウム二次電池用負極の少なくとも一つは、本出願によって前リチウム化されたリチウム二次電池用電極である、リチウム二次電池を提供する。
【0157】
本発明の一実施態様は、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュール、およびこれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュールおよび電池パックは、高容量、高いレート特性およびサイクル特性を有する前記二次電池を含むので、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車および電力貯蔵用システムからなる群より選択される中大型デバイスの電源として用いられてよい。
【実施例
【0158】
以下、本発明の理解を助けるために、好ましい実施例を提示するが、該実施例は本記載を例示するだけのものであり、本記載の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者に明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然である。
【0159】
<実施例>
<転写積層体の製造>
基材層としてPET(25um)層の上部に転写力を向上させることができるアクリレート系ポリマー離型層をコーティングして形成した。この後、リチウム金属をPVD方式を利用して、前記PET基材の上部に6μm水準で蒸着して、転写積層体を製造した。
【0160】
<負極の製造>
シリコン系活物質としてSi(平均粒径(D50):3.5μm)、導電材としてdenka black、バインダーとしてSBR、および増粘剤としてCMCを、それぞれ80:15.8:3:1.2の重量比で、負極スラリー形成用溶媒としての蒸溜水に添加して負極スラリーを製造した(固形分濃度25重量%)。
【0161】
ミキシング方法としては、前記導電材、バインダーおよび増粘剤と水とをホモミキサーを用いて、2500rpmで、30分間分散させた後、活物質を添加し、その後、2500rpmで、30分間分散させてスラリーを製作した。
【0162】
負極集電体として、銅集電体(厚さ:8μm)の両面に前記負極スラリーを85mg/25cmのローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層(厚さ:33μm)を形成して、これを負極にした(負極の厚さ:41μm、負極の気孔率40.0%)。
【0163】
実施例1
その後、前記転写積層体を負極活物質層に転写させるために、前記転写積層体のリチウム金属を負極活物質層の上部に位置させた後、外部加圧条件で表1の荷重および温度条件を印加し、圧延(roll pressing)して、リチウム金属と負極活物質層を接合した。ラミネーション直後に転写積層体のPET層を除去し、負極を前リチウム化させた。
【0164】
前リチウム化時の条件は、下記表1の通りであり、前記負極を前リチウム化した後、負極活物質層の表面に残った前記離型層を除去した。離型層の除去は、スコッチテープ(scotch tape)(3M tape)を用いて除去した。
【0165】
実施例2および実施例3
実施例2は、前記実施例1より外部加圧条件をやや高くしたことを除いては、前記実施例1と同じ方法で負極を前リチウム化し、実施例3は前記実施例1のリチウム金属を前記PET基材の上部に8μm水準で蒸着したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で負極を前リチウム化した。
【0166】
比較例1~比較例4
比較例1は、ラミネーションが行われた1時間後にPET基材を除去したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で負極を前リチウム化し、比較例2は、外部加圧条件を180kgf/mmと高く設定し、ラミネーション直後にPET基材を除去したが、離型層を除去せず、比較例3は、外部加圧条件を180kgf/mmと高く設定し、ラミネーションが行われた1時間後にPET基材を除去したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で負極を前リチウム化し、比較例4は、外部加圧条件を5kgf/mmと低く設定したことを除いては、前記実施例1と同じ方法で負極を前リチウム化した。
【0167】
この時、前記実施例1~実施例3および比較例1~比較例4の離型層と電極活物質層の接着力は、下記表1の通りであり、前リチウム化後の評価結果は、下記表2の通りである。
【0168】
【表1】
【0169】
前記表1で接着力は、ガラス(glass)(22mm幅)の上に3M両面テープを貼り付けた後、電極を20mm幅で切って貼り付けた。その後、接着力測定設備に90゜角度でサンプルをおき、所定の速度で剥がしながら、その時の力を測定した。測定単位はgfであり、試料の幅が20mmであるので、単位はgf/20mmを用いた。下記表2の物性の測定は、前記で製造した負極と正極であるNCMを対極にしてバイセルタイプの電池を製作して評価した。この電池に用いる電解質としては、1M LiPFが溶けているエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカボネート(EMC)=3/7(体積比)を用いた。
【0170】
前記で製造したバイセルタイプの電池を電気化学充/放電器を利用して容量を確認した。1Cの電流密度で0.05Cまで4.2V(vs.Li/Li+)充電、2.5Vまで0.5C(vs.Li/Li+)放電した。その後、再び4.2Vまで充電後SOC50まで放電し、その時2.5C電流パルス(pulse)を30秒間印加して電圧変化を観察し、この時、抵抗を下記表2のように、0.1秒、0.1秒~30秒、および0秒~30秒にそれぞれ分けて計算した。その結果を下記表2に示した。
【0171】
【表2】
【0172】
前記表1および表2の実施例1~実施例3で確認できるように、本出願に係る電極活物質層の前リチウム化工程において、工程条件を調節することによって、離型層を電極活物質層の上部から容易に分離することができることを確認できた。特に、離型層が容易に除去されて、前記のような工程で製造された電極は、電極活物質層の上部に離型層のような別途の層が具備されないので、セルの組立て後、電池の駆動時に抵抗が上昇しないという特徴を有すことを前記表2で具体的に確認することができた。
【0173】
前記実施例3の場合、リチウムの厚さを実施例1および実施例2に比べて厚く変更した場合で、リチウムの厚さが厚いほど、電極に入るリチウムの量が多く空間を確保するので、電極の厚さが厚くなり、これは一部活物質に挿入されなかったリチウムの副反応生成物による抵抗増加の要因となり得る。しかしながら、前記表2で確認できるように、離型層が容易に除去され、これによって比較例1および比較例2に比べて抵抗の上昇率が高くないことを確認することができた。
【0174】
前記比較例1の場合、前リチウム化後、PETフィルムを直ちに除去せず発熱が行われないため、リチウム副反応生成物が急激に多量に発生する。これによって、離型層と電極活物質層の接着力が増大され、これによって離型層が除去されないことを確認することができた。特に、離型層を強制的に除去する場合、電極の脱離現象が発生して問題が発生し、抵抗が増加されることを確認することができた。
【0175】
前記比較例2の場合、離型層を除去しなかったので、電極の駆動時に、表2のように、実施例1~実施例3に比べて抵抗が増加されることを確認することができた。
【0176】
前記比較例3の場合、ラミネーション段階での圧力が高く、離型層と電極活物質層との接着力が増大され、これによって、離型層が除去されず、前記比較例4の場合、ラミネーション段階での圧力が低すぎて前リチウム化がうまく行われず、それによって、比較例3および比較例4の電極抵抗が増加されることを確認することができた。
【0177】
結局、前記比較例1~比較例4に比べて、前記実施例1~実施例3の場合、前リチウム化工程においてラミネーション段階の所定の加圧条件を満たして、離型層の除去が容易になり、離型層が除去された電極の駆動時に、表2のように、抵抗が減少することを確認することができた。
【符号の説明】
【0178】
10 ・・・基材層
20 ・・・リチウム金属
30 ・・・電極活物質層
35 ・・・離型層
40 ・・・電極集電体層
100 ・・・転写積層体
200 ・・・リチウム二次電池用電極
図1
【国際調査報告】