(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】バッテリーパック及びこれを含む自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241024BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/211
H01M50/291
H01M50/249
H01M50/383
H01M50/55 301
H01M50/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529830
(86)(22)【出願日】2023-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2023010052
(87)【国際公開番号】W WO2024019426
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089813
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0110391
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0036814
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ヨン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ミュン-ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】イン-ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】セ-ユン・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ホ-ジュネ・チ
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ジュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】キョン-ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク-ヒ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】テ-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ハ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ス・ファン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012CC10
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS04
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY10
5H043AA04
5H043AA13
5H043BA17
5H043CA08
5H043DA08
(57)【要約】
本発明の一態様によるバッテリーパックは、少なくとも一方向に積層された複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、前記パックケースの内部空間において、前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むセルカバーと、を含み、前記セルカバーは、包み込まれたパウチ型バッテリーセルとの間に離隔空間を有し、前記セルカバーの内側から延びて前記離隔空間を仕切るように構成された仕切り部材を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方向に積層された複数のパウチ型バッテリーセルと、
内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、
前記パックケースの前記内部空間において、前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むセルカバーと、
を含み、
前記セルカバーは、包み込まれたパウチ型バッテリーセルとの間に離隔空間を有し、前記セルカバーの内側から延びて前記離隔空間を仕切るように構成された仕切り部材を含む、バッテリーパック。
【請求項2】
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルを立てられた状態で支持するように構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上側を覆い、前記仕切り部材は、前記セルカバーの内側の上端から突出して下向きに延びている、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側がパックケースに向かって露出されるように前記パウチ型バッテリーセルを部分的に包み込む、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記パウチ型バッテリーセルは、電極組立体が収容された収容部及び前記収容部の周りに設けられたエッジ部を備え、
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの前記収容部と前記エッジ部の一部を包み込むように構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの前記収容部の両側面と上部側の前記エッジ部を覆うように設けられている、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側の前記エッジ部の上部を包み込むように構成された上側カバー部と、前記上側カバー部の一方の端から下方に向けて延び、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの一方の側の前記収容部の外側を包み込む第1の側面カバー部と、前記上側カバー部の他方の端から下方に向けて延び、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの他方の側の前記収容部の外側を包み込む第2の側面カバー部と、を含む、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記仕切り部材の厚さは、前記上側カバー部の厚さ、前記第1の側面カバー部の厚さ及び第2の側面カバー部の厚さよりも薄い、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記上側カバー部と前記パウチ型バッテリーセルとの間に前記離隔空間が形成される、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記仕切り部材は、前記上側カバー部から前記パウチ型バッテリーセルの上端まで下向きに延びている、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記パウチ型バッテリーセルは、前記第1の側面カバー部及び前記第2の側面カバー部の内側面に密着されるように構成されている、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記仕切り部材は、前記複数のパウチ型バッテリーセルのそれぞれを仕切るように構成されている、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記仕切り部材は、前記複数のパウチ型バッテリーセルの積層方向に沿って前記複数のパウチ型バッテリーセルのそれぞれに対応するベント経路を形成するように構成されている、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記パウチ型バッテリーセルは、電極組立体が収容された収容部及び前記収容部の周りに設けられたエッジ部を備え、
前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの前記収容部と上部側の前記エッジ部を包み込むように構成されており、
前記上部側のエッジ部はシール部であり、
前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記仕切り部材は、いずれか1つのパウチ型バッテリーセルの上部側の前記エッジ部を他のパウチ型バッテリーセルの上部側の前記エッジ部が直接的に対面しないように遮っている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの長手方向に突出している電極リードを露出させ、前記複数のパウチ型バッテリーセルは、前記長手方向に垂直な幅方向に積層されており、前記仕切り部材は、前記長手方向に沿って連設された隔壁が前記幅方向に沿って間隔をあけて配置されるように構成されている、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記離隔空間を通ってベントガスが移動し、前記仕切り部材は、前記ベントガスの移動を阻止するように構成されている、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの長手方向に突出している電極リードを露出させ、前記ベントガスは、前記長手方向に沿って移動し、前記仕切り部材は、前記長手方向に垂直な幅方向に沿って連設された隔壁が前記長手方向に沿って間隔をあけて配置されるように構成されている、請求項16に記載のバッテリーパック。
【請求項18】
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の上部を包み込むように構成された上側カバー部と、前記上側カバー部の一方の端から下方に向けて延びた第1の側面カバー部と、前記上側カバー部の他方の端から下方に向けて延びた第2の側面カバー部と、を含み、
前記隔壁は、前記上側カバー部の内側の表面と、前記第1の側面カバー部の上端の内側の表面及び前記第2の側面カバー部の上端の内側の表面に接するプレートである、請求項17に記載のバッテリーパック。
【請求項19】
前記仕切り部材は、前記セルカバーの内側面に凹凸状に設けられた部分である、請求項16に記載のバッテリーパック。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック及びこれを含む自動車に関し、より詳細には、熱的事象(thermal event)に対する安全性に優れたバッテリーパック及びこれを含む自動車に関する。
【0002】
本出願は、2022年7月20日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0089813号、2022年8月31日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0110391号及び2023年3月21日付け出願の韓国特許出願第10-2023-0036814号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
各種のモバイル機器と電気自動車、エネルギー貯蔵システム(ESS)などに対する技術の開発と需要の増加には目を見張るものがあり、これに伴い、エネルギー源としての二次電池への関心とニーズが急激に伸びている。従来、二次電池としてニッケルカドミウム電池またはニッケル水素イオン電池が多用されていたが、最近には、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きないため充電及び放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いリチウム二次電池が多用されている。
【0004】
この種のリチウム二次電池は、主として、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質及び負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と一緒に封入する外装材、例えば、電池ケースと、を備える。
【0005】
一般に、二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に分類され得る。
【0006】
最近には、電気自動車やエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Starge System)などの中大型装置に駆動用やエネルギー貯蔵用としてバッテリーパックが広く用いられている。従来のバッテリーパックは、パックケースの内部に1つ以上のバッテリーモジュールとバッテリーパックの充放電を制御する制御ユニット、たとえば、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)を含む。ここで、バッテリーモジュールは、モジュールケースの内部に複数のバッテリーセルを含む形態に構成される。すなわち、従来のバッテリーパックの場合、複数のバッテリーセル(二次電池)がモジュールケースの内部に収容されてそれぞれのバッテリーモジュールを構成し、このようなバッテリーモジュールが1つ以上パックケースの内部に収容されてバッテリーパックを構成する。
【0007】
特に、パウチ型電池の場合、軽量であり、積層時にデッドスペース(dead space)が小さいといったように、色々な側面からみて長所を有しているものの、外部の衝撃に弱く、組立性にやや劣っているという問題がある。したがって、まず、複数のバッテリーセルをモジュール化させた後、パックケースの内部に収容される形態にバッテリーパックが製造されるのが普通である。
【0008】
しかしながら、従来のバッテリーパックの場合、モジュール化などによってエネルギー密度と組立性、冷却性などの側面からみて不利になる可能性がある。具体的には、複数のバッテリーセルをモジュールケースの内部に収容してモジュール化させる過程において、モジュールケース又は積層用のフレーム(frame)など色々な構成要素によってバッテリーパックの体積が余計に増えたりバッテリーセルが占める空間が狭まったりする虞がある。まず、複数のバッテリーセルをモジュール化させてバッテリーモジュールを構成した後、バッテリーモジュールをパックケースに収容する過程を経ることを余儀なくされるが故に、バッテリーパックの製造工程が複雑になるという問題がある。パックケースの内部にモジュールケースが収容され、モジュールケースの内部にバッテリーセルが収容されるが故に、モジュールケースの内部に収容されたバッテリーセルの熱を、モジュールケースを経てパックケースの外部に排出する場合に冷却効率が低下し、冷却構造も複雑になる虞がある。
【0009】
また、バッテリーパックの場合、代表的に重要な問題の一つは、安全性である。特に、バッテリーパックに含まれている複数のバッテリーセルのうちのいずれか1つのバッテリーセルにおいて熱的事象が生じた場合、このような事象が他のバッテリーセルに伝播(propagation)されることが抑えられる必要がある。
【0010】
仮に、バッテリーセル同士の間の熱的伝播が正常に抑えられなければ、これは、バッテリーパックに含まれている他のバッテリーセルの熱的事象につながって、バッテリーパックの発火や爆発などさらに大きな問題を引き起こす虞がある。さらに、バッテリーパックにおいて起こった発火や爆発といった事故は、周りの人命や財産上の甚大な被害を蒙らせる虞がある。したがって、このようなバッテリーパックの場合、前述した熱的事象を適切に制御可能な構成が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、前述したような問題を解決するために案出されたものであって、本発明が解決しようとする技術的課題は、エネルギー密度、組立性及び/又は冷却性などに優れたバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、熱的事象が生じたときに優れた安全性を確保することのできるバッテリーパック及びこれを含む自動車を提供することである。
【0013】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によるバッテリーパックは、少なくとも一方向に積層された複数のパウチ型バッテリーセルと、内部空間に前記パウチ型バッテリーセルを収容するパックケースと、前記パックケースの内部空間において、前記複数のパウチ型バッテリーセルのうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に包み込むセルカバーと、を含み、前記セルカバーは、包み込まれたパウチ型バッテリーセルとの間に離隔空間を有し、前記セルカバーの内側から延びて前記離隔空間を仕切るように構成された仕切り部材を含む。
【0015】
ここで、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルを立てられた状態で支持するように構成され得る。
【0016】
そして、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上側を覆い、前記仕切り部材は、前記セルカバーの内側の上端から突出して下向きに延びているものであり得る。
【0017】
また、前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側がパックケースに向かって露出されるように前記パウチ型バッテリーセルを部分的に包み込むように構成され得る。
【0018】
さらに、前記パウチ型バッテリーセルは、電極組立体が収容された収容部及び前記収容部の周りに設けられたエッジ部を備え、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの収容部とエッジ部の一部を包み込むように構成され得る。
【0019】
さらにまた、前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの収容部の両側面と上部側のエッジ部を覆うように設けられ得る。
【0020】
ここで、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の上部を包み込むように構成された上側カバー部と、前記上側カバー部の一方の端から下方に向けて延び、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの一方の側の収容部の外側を包み込む第1の側面カバー部と、前記上側カバー部の他方の端から下方に向けて延び、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの他方の側の収容部の外側を包み込む第2の側面カバー部と、を含み得る。
【0021】
前記仕切り部材の厚さは、前記上側カバー部の厚さ、前記第1の側面カバー部の厚さ及び第2の側面カバー部の厚さよりも薄くてもよい。
【0022】
一実施形態によれば、前記上側カバー部と前記パウチ型バッテリーセルとの間に前記離隔空間が形成される。
【0023】
このとき、前記仕切り部材は、前記上側カバー部から前記パウチ型バッテリーセルの上端まで下向きに延びていることもある。
【0024】
前記パウチ型バッテリーセルは、前記第1の側面カバー部及び第2の側面カバー部の内側面に密着されるように構成され得る。
【0025】
前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記仕切り部材は、前記複数のパウチ型バッテリーセルのそれぞれを仕切るように構成されたものであり得る。
【0026】
また、前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記仕切り部材は、前記複数のパウチ型バッテリーセルの積層方向に沿って前記複数のパウチ型バッテリーセルのそれぞれに対応するベント経路を形成するように構成されたものであり得る。
【0027】
前記パウチ型バッテリーセルは、電極組立体が収容された収容部及び前記収容部の周りに設けられたエッジ部を備え、前記セルカバーは、前記包み込まれたパウチ型バッテリーセルの収容部と上部側のエッジ部を包み込むように構成され、前記上部側のエッジ部はシール部であり、前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記仕切り部材は、いずれか1つのパウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部を他のパウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部が直接的に対面しないように遮っているものであり得る。
【0028】
一実施形態によれば、前記セルカバーは、複数のパウチ型バッテリーセルを包み込んでおり、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの長手方向に突出している電極リードを露出させ、前記複数のパウチ型バッテリーセルは、前記長手方向に垂直な幅方向に積層されており、前記仕切り部材は、前記長手方向に沿って連設された隔壁が前記幅方向に沿って間隔をあけて配置されている。
【0029】
前記離隔空間を通ってベントガスが移動し、前記仕切り部材は、前記ベントガスの移動を阻止するように構成されていることもある。
【0030】
例えば、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの長手方向に突出している電極リードを露出させ、前記ベントガスは、前記長手方向に沿って移動し、前記仕切り部材は、前記長手方向に垂直な幅方向に沿って連設された隔壁が前記長手方向に沿って間隔をあけて配置されるように構成されていることもある。
【0031】
このとき、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの上部側のエッジ部の上部を包み込むように構成された上側カバー部と、前記上側カバー部の一方の端から下方に向けて延びた第1の側面カバー部と、前記上側カバー部の他方の端から下方に向けて延びた第2の側面カバー部と、を含み、前記隔壁は、前記上側カバー部の内側の表面と、前記第1の側面カバー部の上端の内側の表面及び前記第2の側面カバー部の上端の内側の表面に接するプレートであり得る。
【0032】
また、前記隔壁は、前記上側カバー部の内側の表面に対して平面方向が垂直方向となるように配備され得るか、あるいは、鋭角ないし鈍角にて傾いた形状に配備され得る。
【0033】
また、前記仕切り部材は、前記セルカバーの内側面に凹凸状に設けられた部分であり得る。
【0034】
このとき、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの長手方向に突出している電極リードを露出させ、前記ベントガスは、前記長手方向に沿って移動し、前記凹凸状の凹部と凸部は、前記長手方向に沿って交互に位置し得る。
【0035】
前記セルカバーは、折れ曲がった1枚のプレートで形成されたものであり得る。
【0036】
前記セルカバーは、内側面に絶縁コーティング層を含み得る。
【0037】
前記バッテリーパックは、ヒートシンクを備え、前記パウチ型バッテリーセルは、前記ヒートシンクに熱的に結合され得る。
【0038】
そして、前記パウチ型バッテリーセルと前記ヒートシンクとの間にサーマルレジン(thermal resin)が介在していることもある。
【0039】
また、本発明によるバッテリーパックは、前記パックケースの内部空間に収容され、前記パウチ型バッテリーセルの充放電を制御するように構成された制御モジュールをさらに含み得る。
【0040】
さらに、本発明の他の態様による自動車は、本発明によるバッテリーパックを含み得る。
【発明の効果】
【0041】
本発明のバッテリーパックは、セルトゥーパック(CTP:Cell To Pack)コンセプトであって、モジュールケースなどが省略されて、冷却性能とエネルギー密度などが向上することができる。
【0042】
本発明の一態様によれば、プラスチックカートリッジなどの積層用のフレームや別途のモジュールケースなどの構成要素なしでも、複数のパウチ型バッテリーセルをパックケースの内部に安定的に収容することができる。
【0043】
特に、本発明の一実施形態によれば、複数のパウチ型バッテリーセルを上下方向に立てられた状態で水平方向に並ぶように積層する構成が容易に実現されることが可能になる。
【0044】
本発明の一態様によれば、バッテリーパックのエネルギー密度が向上することができる。さらに、本発明の一実施形態によれば、バッテリーセルをモジュール化させることなく、パックケースに直接的に収容するので、バッテリーモジュールのモジュールケースなどが不要になるバッテリーパックを製造することができる。したがって、このようなモジュールケースが占める空間を狭めて、パックケースの内部にさらに多くのバッテリーセルが配置されることが可能になる。そのため、バッテリーパックのエネルギー密度がさらに向上するという効果が奏される。パウチ型バッテリーセルをバッテリーパックのパックケースに直接的に組み付けることにより、バッテリーパックの空間活用率を極大化させ、エネルギー容量を格段に向上させることができる。
【0045】
さらに、本発明の一態様によれば、軟性材質のケースを有するパウチ型バッテリーセルを手軽にかつ強固な形態にして、パックケースの内部において直接的に積層される構成要素がより一層容易に実現されることが可能になる。したがって、バッテリーパックの組立性と機械的な安定性などが向上することができる。
【0046】
また、本発明の一態様によれば、バッテリーパックの冷却効率がより一層向上することができる。特に、本発明の一実施形態の場合、各パウチ型バッテリーセルの一部がパックケースに直接的に露出されるので、各パウチ型バッテリーセルの熱がパックケースを介して外部に有効に排出されることが可能になる。
【0047】
さらに、本発明の一態様によれば、特定のバッテリーセルにおいて熱暴走が生じたとき、熱的事象に有効に対応することができる。特に、本発明の場合、火炎が生じる3要素(燃料、酸素、発火源)のうち、発火源に相当する熱の蓄積や排出を遮断ないし適宜に制御することができる。さらに、本発明の場合、熱の蓄積の遮断及び火炎の排出を防ぐために、ベントガスの排出の制御とディレクショナルベント(directional venting)、及びスパーク(spark)の遮断などを実現することができる。
【0048】
また、本発明の一態様によれば、熱的事象が生じたときであっても、内部短絡や構造崩壊などを有効に防ぐことができる。
【0049】
本発明によれば、熱暴走、火災、爆発などに対する安全性、すなわち、熱的安全性を高めたバッテリーパックが提供される。複数のバッテリーセルを含むバッテリーパックにおいて一部のバッテリーセルが発熱したときに、周りのバッテリーセルへの伝播を安定的に遮断することができる。
【0050】
本発明の一態様によれば、バッテリーセルに熱暴走が起こったときに、セルカバーの内側の上部を通ってベントガス又は火炎の流れが導かれてセルカバーの開放部を通って外部に排出されることが可能になる。これにより、ベントガス又は火炎の流れをさらに一定の方向に導くことができるのみならず、隣り合うバッテリーセルの間におけるベントガス又は火炎の燃え移りを極力抑えることができる。
【0051】
また、本発明の一態様によれば、バッテリーパックの安全性が向上することができる。特に、本発明の一実施形態によれば、各バッテリーセルから排出されたガスなどが外部に円滑に排出されることが可能になる。さらに、本発明の一実施形態によれば、バッテリーセルから排出されたガスや火炎などの排出方向を制御することができる。したがって、隣り合うバッテリーセル間の熱暴走の伝播が有効に防がれることが可能になる。
【0052】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの一部の構成要素を分解して示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図4】
図2の構成に関する組み立て状態の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるバッテリーパックの一部の断面の構成を概略的に示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるバッテリーパックに含まれ得る他のセルカバーを概略的に示す斜視図である。
【
図10】
図9に示すセルカバーがパウチ型バッテリーセルを包み込んでいる状態でのY軸方向に沿った断面の構成を概略的に示す図である。
【
図11】
図9に示すセルカバーのX軸方向に沿った断面の構成を概略的に示す図である。
【
図12】
図11に対応する図であって、
図9のセルカバーの他の実施形態を示す図である。
【
図13】
図11に対応する図であって、
図9のセルカバーのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態による自動車の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0055】
図中、各構成要素またはその構成要素をなす特定の部分の大きさは、説明のしやすさ及び明確性のためにやや誇張して表現されたり、省略されたり、概略的に示されたりしている。したがって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。関連する公知の機能もしくは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0056】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの一部の構成要素を分解して示す概略斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0057】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーパック10は、パウチ型バッテリーセル100と、パックケース300と、セルカバー200とを含む。
【0058】
パウチ型バッテリーセル100は、電極組立体、電解質及びパウチ外装材を含み得る。このようなパウチ型バッテリーセル100は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。
【0059】
そして、このような複数のパウチ型バッテリーセル100は、少なくとも一方向に積層され得る。例えば、
図1及び
図2に示されているところを参照すると、複数のパウチ型バッテリーセル100は、水平方向、たとえば、左右方向(図中のY軸方向)に積層されて配置され得る。例えば、パウチ型バッテリーセル100の長軸に沿った方向を長手方向(X軸方向)とした場合、パウチ型バッテリーセル100は、このような長手方向に垂直な幅方向(Y軸方向)に積層され得る。また、複数のパウチ型バッテリーセル100は、
図1に示されているように、前後方向(X軸方向)に配置されることもある。さらに、複数のパウチ型バッテリーセル100は、水平方向(Y軸方向)に配置されるが、左右方向及び水平方向に複数の列をなす形状に配置され得る。例えば、
図1に示されているところを参照すると、複数のパウチ型バッテリーセル100は、左右方向に配置されたセル列が前後方向に2つ配備された形状に積層され得る。
【0060】
本発明によるバッテリーパックは、本発明の出願時点における公知の多種多様な形態のパウチ型バッテリーセル100が採用可能であり、したがって、このようなパウチ型バッテリーセル100の構成などについては詳細な説明を省略する。
【0061】
パックケース300は、内部に空き空間(空いたスペース)形成されて、複数のパウチ型バッテリーセル100を収容し得る。例えば、パックケース300は、
図1に示されているように、上ケース310と下ケース320を備え得る。より具体例を挙げると、下ケース320は、上端が開かれたボックス状に形成されて内部空間に複数のバッテリーセルを収容し得る。そして、上ケース310は、下ケース320の上端の開放部を覆う形状に形成され得る。このとき、上ケース310は、下端が開かれたボックス状に形成されることもある。また、このようなパックケース300の内部空間には、複数のパウチ型バッテリーセル100とともにセルカバー200も収容され得る。パックケース300は、プラスチック又は金属材質を備え得る。その他にも、パックケース300は、本発明の出願時点における公知の多種多様なバッテリーパックの外装材の材質が採用可能である。
【0062】
セルカバー200は、パックケース300の内部空間において、パウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成され得る。すなわち、セルカバー200は、バッテリーパック10に含まれている複数のパウチ型バッテリーセル100のうちの少なくとも一つのパウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成され得る。さらに、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100を少なくとも部分的に包み込むように設けられ得る。
【0063】
そして、セルカバー200は、このように、バッテリーセルを包み込む構造を通じて、パックケース300の内部において複数のパウチ型バッテリーセル100の積層状態を支持するように構成され得る。例えば、複数のパウチ型バッテリーセル100は、
図1及び
図2に示されているように、水平方向に積層され得る。このとき、セルカバー200は、このように、水平方向に積層された複数のパウチ型バッテリーセル100の積層状態が安定的に保持されるように構成され得る。
【0064】
本発明のこのような側面によれば、モジュールケースなしに、複数のパウチ型バッテリーセル100がパックケース300の内部に直接的に載置されて収容されることが可能になる。特に、パウチ型バッテリーセル100の場合、外装材がアルミニウムラミネートシートのパウチのように軟質の材料から作製されて外部の衝撃に弱く、しかも、硬度も低いといえる。したがって、モジュールケースに収容せず、パウチ型バッテリーセル100それ自体でもパックケース300の内部に収容することが決して容易ではない。しかしながら、本発明の場合、複数のパウチ型バッテリーセル100は、セルカバー200により少なくとも一部分が包み込まれた状態でセルカバー200と結合されて、パックケース300の内部に直接的に収容され、その積層状態が安定的に保持されることが可能になる。
【0065】
さらに、本発明の場合、パウチ型バッテリーセル100を用いたCTPタイプのバッテリーパックがより一層効率よく実現されることが可能になる。すなわち、本発明の場合、別途のモジュールケースの内部にパウチ型バッテリーセル100を収容し、このようなモジュールケースをパックケース300の内部に収容するわけではなく、パウチ型バッテリーセル100を直接的にパックケース300の内部に収容する形態にバッテリーパック10が設けられ得る。このとき、パウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側が、セルカバー200の外部に露出されて、パックケース300と直接的に対面するように配置され得る。
【0066】
したがって、本発明のこのような側面によれば、バッテリーパック10にモジュールケースや積層用のフレーム、セルの積層状態を保持するためのボルトなどの締結部材などがさらに配備される必要がない。したがって、モジュールケースや積層用のフレームなど他の構成要素が占める空間やそれによる公差の確保のための空間が除去されることが可能になる。そのため、除去された空間に見合う分だけバッテリーセルがさらに空間を占めることができるので、バッテリーパックのエネルギー密度がより一層向上することができる。
【0067】
また、本発明のこのような側面によれば、モジュールケースや積層用のフレーム、ボルトなどが配備されないことから、バッテリーパックの体積や重量が減少し、製造工程が簡素化されることが可能になる。
【0068】
また、本発明のこのような側面によれば、バッテリーセル100の取り扱いをより一層行い易くなる。例えば、複数のバッテリーセル100をパックケース300の内部に収容する場合、治具などによりバッテリーセル100を把持し得る。このとき、治具は、バッテリーセル100を直接的に把持することなく、バッテリーセル100を包み込んでいるセルカバー200を把持し得る。したがって、治具によるバッテリーセル100の損傷や破損が防がれることが可能になる。
【0069】
また、本発明のこのような側面によれば、パウチ型バッテリーセル100にセルカバー200が結合されて、モジュールケースなしでもパウチ型バッテリーセル100を有効に保護することができる。
【0070】
図3は、本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの内部に収容されるパウチ型バッテリーセルとセルカバーの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図2及び
図3に基づいて、セルカバー200についてさらに詳しく述べる。
【0071】
セルカバー200は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込むように構成され得る。一例を挙げると、
図2の実施形態においては、1つのセルカバー200が3つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に示されている。このように、セルカバー200は、2つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を一緒に包み込むように構成され得る。
【0072】
図3の実施形態においては、1つのセルカバー200が1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に示されている。同図に示されているように、1つのセルカバー200は、1つのパウチ型バッテリーセル100のみを包み込むように構成される場合もある。この場合、複数のパウチ型バッテリーセル100のうちのそれぞれのパウチ型バッテリーセル100ごとにセルカバー200がそれぞれ別々に結合されるといえる。
【0073】
セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100の外側の表面に少なくとも部分的に接着され得る。例えば、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100の収容部に内側の表面が接着され得る。接着のための部材は、熱伝導性のものであり得る。このような接着を用いて、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100に強固に結合され、パウチ型バッテリーセル100から発せられる熱をパウチ型バッテリーセル100の外部に排出するのに役立てることができる。
【0074】
セルカバー200は、バッテリーパック10に1つ以上含まれ得る。セルカバー200は、バッテリーパックに含まれている複数のパウチ型バッテリーセル100をグループ化させてユニット化させるように構成され得る。この場合、1つのセルカバー200は、1つのセルユニットを構成するといえる。そして、1つのセルユニットには、1つ又は複数のパウチ型バッテリーセル100が含まれ得る。
【0075】
例えば、
図2には、U1にて示されたように、1つのセルユニットが示されている。バッテリーパック10には、複数のセルユニットU1が含まれ得、セルユニットU1の数を増やす方式によりスケールを容易に広げることができる。このようなセルユニットU1は、複数のパウチ型バッテリーセル100を含むバッテリーパック10の製造過程において、バッテリーセル100の取り扱いと装着を行い易くし、バッテリーセル100の損傷を防ぎながらも、バッテリーセル100の装着に求められる構造体を簡素化及び軽量化させることができるという効果がある。
【0076】
この場合、セルカバー200は、バッテリーパック10に複数含まれるといえる。一例を挙げると、セルカバー200が1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成された場合、バッテリーパック10には、パウチ型バッテリーセル100の数と同数のセルカバー200が含まれ得る。他の例を挙げると、セルカバー200が2つ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成された場合、バッテリーパック10には、パウチ型バッテリーセル100の数よりも少ない数のセルカバー200が含まれ得る。
【0077】
セルカバー200は、複数のパウチ型バッテリーセル100を立てられた状態で支持するように構成され得る。それぞれのパウチ型バッテリーセル100は、
図2に示されているように、2つの広い表面を有し、2つの広い表面同士をつなぐ狭い端縁の部分にパウチ外装材のシール部や折り畳まれた部分が存在し得る。したがって、パウチ型バッテリーセル100は、一般に、上下方向に立てられた形状に積層し難い。しかしながら、本発明によるバッテリーパックにおいて、セルカバー200は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込みながら、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の立てられた状態、すなわち、起立状態を支持するように構成され得る。
【0078】
特に、セルカバー200は、複数のパウチ型バッテリーセル100が上下方向(図中のZ軸方向)に立てられた状態で水平方向に積層できるように構成され得る。例えば、複数のセルカバー200は、水平方向に互いに積層され、それぞれのセルカバー200は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成され得る。この場合、セルカバー200により、複数のパウチ型バッテリーセル100がそれぞれ立てられた状態で水平方向に並ぶように積層された構成が安定的に保持されることが可能になる。
【0079】
特に、セルカバー200は、パックケース300の内部空間において、自立可能に構成され得る。すなわち、セルカバー200は、パックケース300やパウチ型バッテリーセル100など、バッテリーパック10に配備される他の構成要素の補助なしでも、自ら起立状態を保持するように構成され得る。
【0080】
例えば、セルカバー200は、
図1の実施形態において、下ケース320の底面に直接的に載置され得る。このとき、セルカバー200の一部、たとえば、
図2中にC1にて示されたセルカバー200の下端部が下ケース320の底面に直接的に接触されて載置され得る。そして、セルカバー200は、このように、下端部が載置された場合、載置状態が安定的に保持されるように構成され得る。このとき、セルカバー200は、スチールのように剛性に優れた金属材質、特に、SUS材質から構成される場合、自立状態がより一層安定的に保持されることが可能になる。したがって、この場合、パウチ型バッテリーセル100の起立状態がさらにしっかりと支持されることが可能になる。
【0081】
セルカバー200は、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側が外部に露出されるようにパウチ型バッテリーセル100を部分的に包み込む形状に形成され得る。すなわち、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100を全体的に完全に包み込むことなく、一部分のみを包み込む形状に形成され得る。特に、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側がパックケース300に向かって露出されるように構成され得る。このような側面からみて、セルカバー200は、セルスリーブ(cell sleeve)などの用語として称され得る。
【0082】
例えば、
図3の実施形態を参照すると、セルカバー200は、1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成されるが、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100、すなわち、内部空間に収容されたパウチ型バッテリーセル100の下部は、セルカバー200により包み込まれないこともある。したがって、パウチ型バッテリーセル100の下部は、パックケース300に向かって露出されて、パックケース300に直接的に対面することができる。特に、
図1の実施形態を参照すると、パウチ型バッテリーセル100の下部が下ケース320の底面に向かって露出されることが可能になる。
【0083】
本発明のこのような実施形態によれば、バッテリーパック10の冷却性能がより一層有効に確保されることが可能になる。特に、上記の実施形態によれば、セルカバー200の開かれた端部(開放端)を介してパウチ型バッテリーセル100とパックケース300とが直接的に対面して接触されることができる。すなわち、セルカバー200の開放端(open end)と隣り合うように(adjacent)配置されたパウチ型バッテリーセル100の一方の側面は、パックケース300と直接的に向かい合ったり接触されたりすることができる。したがって、それぞれのパウチ型バッテリーセル100から放出された熱がパックケース300に直接的に伝えられて、冷却性能が向上することができる。また、この場合、パウチ型バッテリーセル100とパックケース300との間に別途の冷却構造が配備されなくても済むので、効率よい冷却性能が実現されることが可能になる。そして、この場合、パウチ型バッテリーセル100の間に空気などの冷媒が流れ込むための空間が設けられないこともある。
【0084】
また、この場合、セルカバー200の少なくとも一側が開かれることにより、バッテリーパックの軽量化に有利になる可能性がある。例えば、セルカバー200がスチールなどの材質からなる場合、セルカバー200の下端部が開かれた形状に形成されれば、下プレートに見合う分だけセルカバー200の重量を減らすことができる。さらに、
図1に示されているように、バッテリーパック10には、多くのセルカバー200が含まれ得、すべてのセルカバー200に対して下プレートが存在せずに開かれた形状に形成されれば、バッテリーパック10の重量は格段に減少することができる。
【0085】
それぞれのパウチ型バッテリーセル100は、
図2及び
図3に示されているように、「R」にて示された収容部及び「E1」~「E4」にて示されたエッジ部を備え得る。ここで、収容部Rは、正極板と負極板とがセパレーターが介在した状態で相互積層された形状に形成された電極組立体が収容された部分であり得る。また、このような収容部Rには、電解液が収容され得る。そして、エッジ部E1~E4は、このような収容部Rの周りを取り囲む形状に配置され得る。
【0086】
特に、エッジ部E1~E4は、パウチ型バッテリーセル100のケースであるパウチ外装材がシールされたシール部であり得る。例えば、
図2及び
図3の実施形態において、エッジ部E1~E4は、4つ配備されて、収容部Rを基準として、それぞれ上部側の辺縁部、下部側の辺縁部、前方側の辺縁部及び後方側の辺縁部に位置するといえる。このとき、4つのエッジ部E1~E4は、いずれもシール部であり得る。あるいは、4つのエッジ部E1~E4のうちの一部は、シール部ではなく、折り畳まれた形状に形成され得る。例えば、
図2及び
図3の実施形態において、上部側のエッジ部E1、前方側のエッジ部E3及び後方側のエッジ部E4は、いずれもシール部であるが、下部側のエッジ部E2は、パウチ外装材が折り畳まれた部分であり得る。例えば、上部側のエッジ部E1は、パウチ型バッテリーセル100のシール部において2回折り畳まれた、いわゆる両面折り(DSF:Double Side Folding)された部分であり得、下部側のエッジ部E2は、パウチ型バッテリーセル100の未シール部であり得る。
【0087】
ここで、4つのエッジ部E1~E4がいずれもシールされたバッテリーセルに対しては4面シールセル、3つのエッジ部E1、E3、E4がシールされたバッテリーセルに対しては3面シールセルと称し得る。
【0088】
このような構成において、セルカバー200は、4面シールセルや3面シールセルであり得るパウチ型バッテリーセル100の収容部Rとエッジ部E1~E4の一部を包み込むように構成され得る。さらに、セルカバー200は、内部に収容されて包み込まれた1つ以上のパウチ型バッテリーセル100に対して、収容部Rの両側面と上部側のエッジ部E1を覆う形状に設けられ得る。
【0089】
例えば、
図3に示されているように、1つのセルカバー200が1つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成された場合、セルカバー200は、同じパウチ型バッテリーセル100の収容部Rの両側の表面、たとえば、同じ収容部Rの左側の表面と右側の表面、及び当該パウチ型バッテリーセル100のエッジ部の一部、特に、上部側の周縁部に位置する上部側のエッジ部E1を外側から包み込むように構成され得る。
【0090】
他の例を挙げると、1つのセルカバー200が複数のパウチ型バッテリーセル100、たとえば、左右方向に配置された複数のバッテリーセルを包み込む形状に形成された場合、最外側のバッテリーセルの収容部の外側の表面と、全体のバッテリーセルの一側のエッジ部を包み込む形状に形成され得る。より具体例を挙げると、
図2に示されているように、1つのセルカバー200が左右方向に積層された3つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成されるとき、セルカバー200は、左側のバッテリーセルの収容部の左側の表面、左側のバッテリーセルの一側のエッジ部と右側のバッテリーセルの一側のエッジ部、そして、右側のバッテリーセルの収容部の右側の表面を包み込む形状に形成され得る。
【0091】
図示の例において、セルカバー200は、包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側、特に、下側がパックケース300に向かって露出される開放部を形成するようにパウチ型バッテリーセル100を部分的に包み込んでいる。このような本発明の一態様によれば、バッテリーパック10の冷却効率がより一層向上することができる。特に、本発明の一実施形態の場合、各パウチ型バッテリーセル100の一部がパックケース300に直接的に露出可能であるので、各パウチ型バッテリーセル100の熱がパックケース300を介して外部に有効に排出されることが可能になる。
【0092】
また、このような実施形態によれば、1つのセルカバー200をもって、1つ以上のパウチ型バッテリーセル100を支持及び保護する構成が容易に実現されることが可能になる。のみならず、上記の実施形態によれば、セルカバー200によって、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を取り扱う工程が手軽にかつ安全に行われることが可能になる。さらに、上記の実施形態によれば、1つのセルカバー200が、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100に対して2つの収容部Rの表面に対面することが可能になる。したがって、収容部Rとセルカバー200との間において冷却性能がさらに向上することができる。特に、この場合、収容部Rの広い表面によって面での冷却が実現されて、冷却効率が良好になる。
【0093】
特に、セルカバー200は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の複数のエッジ部のうち、電極リードが配備されていないエッジ部を包み込む形状に形成され得る。例えば、
図2及び
図3に示す実施形態を参照すると、パウチ型バッテリーセル100は、2つの電極リード110、すなわち、正極リードと負極リードを備え得る。このとき、2つの電極リードは、パウチ型バッテリーセル100の長手方向に突出していることもある。例えば、2つの電極リードは、前方側のエッジ部E3と後方側のエッジ部E4にそれぞれ位置し得る。このとき、セルカバー200は、このような前方側のエッジ部E3と後方側のエッジ部E4を除いた残りの2つのエッジ部E1、E2のうちのどちらか一方を包み込む形状に形成され得る。
【0094】
パウチ型バッテリーセル100は、概ね六面体の形状に形成されるといえる。そして、6面のうちの2つの面に電極リード110、すなわち、負極リードと正極リードがそれぞれ形成され得る。そして、セルカバー200は、6面のパウチ型バッテリーセル100において電極リード110が形成された2面を除いた残りの4面のうちの3面の少なくとも一部を包み込むように設けられる。このように、セルカバー200は、電極リード110に対応する両側部にも開放部が形成されるように構成され得る。
【0095】
本発明のこのような実施形態によれば、セルカバー200の開放部に火炎などの排出方向を誘導することができる。例えば、上記の実施形態によれば、電極リード110が位置するセルカバー200の前方側及び後方側が開かれているので、このような開かれた方向に火炎などが排出されるようにすることができる。特に、上記のように、前方及び後方が開かれた形状にセルカバー200が構成されている場合、サイドディレクショナルベント(Side directional venting)が容易に実現されることが可能になる。あるいは、セルカバー200の下端や上端が開かれた形状に形成されている場合、セルカバー200の下端又は上端の開かれた側面(開放端)に向かってディレクショナルベントが行われることも可能になる。
【0096】
本発明のこのような実施形態によれば、1つのセルカバー200をもって、1つ又はそれ以上のバッテリーセルを支持しかつ保護する構成が容易に実現されることが可能になる。特に、上記の実施形態によれば、下部側のエッジ部E2は、セルカバー200の開放端と隣り合うように位置して、セルカバー200により包み込まれずにパックケース300を向かい合い、パックケース300と直接的に対面して接触されることができる。したがって、セルカバー200により包み込まれたパウチ型バッテリーセル100の熱が下部のパックケース300側に迅速かつ円滑に排出されることが可能になる。したがって、バッテリーパック10の冷却性能がより一層有効に確保されることが可能になる。
【0097】
特に、このような構成は、パックケース300の下部において冷却が主として行われる場合により一層有効に採用されることが可能である。例えば、電気自動車に装着されるバッテリーパックの場合、車体の下部に装着されるので、パックケース300の下部において主として冷却が行われることが可能である。このとき、上記の実施形態のように、各パウチ型バッテリーセル100の下部側のエッジ部E2がパックケース300に対面して接触される場合、各パウチ型バッテリーセル100からパックケース300側へと熱が迅速に伝えられて、冷却性能がより一層向上することができる。
【0098】
また、上記の実施形態によれば、熱暴走などの状況下でパウチ型バッテリーセル100から高温のガスや火炎などが排出される場合、排出されたガスや火炎が上部側へと向かうことを有効に防ぐことができる。特に、電気自動車などといったように、バッテリーパック10の上部側に搭乗者が位置する場合、上記の実施形態によれば、ガスや火炎などが搭乗者側に向かうことを抑えたり遅らせたりすることができる。
【0099】
図4は、
図2の構成に関する組み立て状態の斜視図である。
【0100】
図2及び
図4に示されているように、セルユニットU1は、バスバーフレーム170及び絶縁カバー180をさらに含み得る。
【0101】
バスバーフレーム170は、セルカバー200により覆われる少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100の電極リード110を支持し、このような電極リード110を他のパウチ型バッテリーセル100の電極リード110と電気的に接続するように構成され得る。この場合、バスバーフレーム170は、電極リード110と電気的に接続される端子を備え得る。
【0102】
絶縁カバー180は、電極リード110又はバスバーの短絡を防ぐように構成され得る。このために、絶縁カバー180は、絶縁性を有する高分子合成樹脂から構成され得る。
【0103】
さらに、パウチ型バッテリーセル100において電極リード110が両側に配備された場合、バスバーフレーム170と絶縁カバー180もまた、電極リード110が配備された両側に両方とも含まれ得る。例えば、
図2及び
図4に示されているように、電極リード110が前方側(図中のX軸方向)と後方側(図中の-X軸方向)の両方ともに突出した場合、バスバーフレーム170と絶縁カバー180もまた、前方側と後方側の両方ともに位置し得る。
【0104】
一方、本発明によるバッテリーパックにおいて、互いに異なる構成要素同士の間の熱伝達性能を高めるために、熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)が介在し得る。例えば、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200との間、セルカバー200とパックケース300との間、及び/又はパウチ型バッテリーセル100とパックケース300との間にTIMが充填され得る。この場合、バッテリーパックの冷却性能がさらに向上することができる。TIMは、部材間の接触熱抵抗の減少のためのものである。冷却が重要視されるバッテリーパックにおいては、このように、接触熱抵抗を極力抑えられる材料を用いて全体のシステムの熱性能を改善する必要がある。TIMとしては、放熱グリース(thermally conductive grease)、放熱シート、放熱パッド、熱伝導性接着剤、PCM(相変化物質)など種々のものが採用可能である。具体例を挙げると、TIMは、放熱シリコン系接着剤(thermally conductive silicone-based bond)、放熱シリコンパッド(thermally conductive silicone pad)及び放熱アクリル接着剤(thermally conductive acrylic bond)のうちのいずれか1つであり得る。放熱シリコン系接着剤、放熱アクリル接着剤は、1液型又は2液型として市販されており、塗布又は注入の方法により互いに異なる構成要素の間に適用可能である。放熱シリコンパッドは、両面テープなどの基材フィルムとその上下部の離型紙を含むものであるため、離型紙を引き剥がした後の接着方式により互いに異なる構成要素の間に適用可能である。放熱シリコン系接着剤、放熱シリコンパッド、放熱アクリル接着剤は、通常の接着剤に比べて、熱伝導率が高いので、互いに異なる構成要素の間において熱伝達量及び熱伝達速度などをさらに高めることができる。したがって、本発明のこのような実施形態によれば、パウチ型バッテリーセル100の熱排出性能をさらに向上させて、バッテリーパック10の冷却性能がより一層改善されるようにすることができる。
【0105】
図2~
図4に基づいて述べたように、セルカバー200は、概ねn字と略同じ形状に形成されるといえる。そして、セルカバー200は、このような形状を用いて、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100に対して、電極リード110が突出した前方側と後方側、そして下部側を除いた他の部分を覆うように構成されるといえる。すなわち、セルカバー200は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の収容部Rの外側及び上部側を覆うように設けられ得る。
【0106】
図5は、
図4の断面図である。
図6は、
図2に示すセルカバーの斜視図である。
図2~
図6を結び付けて参照してセルカバー200の好適な実施形態について述べる。
【0107】
より具体的には、セルカバー200は、
図2~
図6に示されているように、上側カバー部220と、第1の側面カバー部230と、第2の側面カバー部240とを含み得る。また、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100との間に離隔空間Sを有し、セルカバー200の内側から延びて離隔空間Sを仕切るように構成された仕切り部材210を含み得る。離隔空間Sにはベントガスが排出され得る。仕切り部材210は、1本以上であり得る。
【0108】
パウチ型バッテリーセル100は、軽量であり、電解液の漏液(Leakage)の可能性が低く、形状に融通性を有することができて、より一層小さい体積及び質量をもって同じ容量の二次電池を実現することができるという長所がある一方、過熱になる場合に爆発のリスクがあるため、安全性を確保することが重要な課題の1つである。パウチ型バッテリーセル100の過熱は、色々な原因によって起こるが、そのうちの1つとして、パウチ型バッテリーセル100を介して限界以上の過電流(overcharge)が流れる場合が挙げられる。過電流が流れると、パウチ型バッテリーセル100がジュール熱により発熱をするため、パウチ型バッテリーセル100の内部の温度が急激に上昇する。温度の急激な上昇は、電解液の分解反応を引き起こしてガスが生じる虞がある。これによるパウチ外装材の内部の圧力の増加によって一種の膨れ上がり現象であるスウェリング(Swelling)現象が生じて二次電池が爆発するなど深刻な問題が生じる虞がある。このような過電流のみならず、高温への曝露、外部からの衝撃などによりパウチ型バッテリーセル100の内部においてガスが生じる場合、ガスを有効に排出して二次電池の安全性を確保する必要がある。二次電池の内部において生じたガスを外部に排出することをベントと称する。本発明の実施形態によるバッテリーパック10に含まれるセルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100との間の離隔空間Sにベントガスが排出可能なように構成されていて、二次電池の安全性を確保することが可能になる。
【0109】
ここで、上側カバー部220は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1の上部を包み込むように構成され得る。特に、セルカバー200において2つの側面カバー部の間に位置する部分(カバー部)とこれに対面するパウチ型バッテリーセル100の側面とは、互いに所定の距離だけ離れ得る。そして、上側カバー部220とパウチ型バッテリーセル100との間に離隔空間Sが形成される。このような離隔空間Sは、中空の形状に形成され得る。
【0110】
例えば、上側カバー部220は、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1に離れる形状に形成され得る。より具体的には、
図5の実施図を参照すると、上側カバー部220の下面(内面)と、このような上側カバー部220と隣り合うように配置されたパウチ型バッテリーセル100の側部とは、互いに所定の距離Dだけ離れ得る。そして、このような離隔空間Sの少なくとも一部は、空き空間として構成され得る。
【0111】
本発明のこのような実施形態によれば、パウチ型バッテリーセル100の側部とセルカバー200との間に形成された空き空間によって、ベントガスなどが移動する経路が提供されることが可能になる。例えば、セルカバー200の内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100において熱暴走などによってベントガスが生じる場合、生じたベントガスは、上側カバー部220と隣り合う上部側のエッジ部E1と上側カバー部220との間の空き空間を通って前後方向(換言すれば、長手方向)に移動することができる。したがって、セルカバー200の内圧が増大されることを防ぎ、ベントガスの排出方向の誘導などの効率よいベントの制御を行うことが可能になる。
【0112】
このような構成のために、特に、セルカバー200は、
図6に示されているように、両側面の高さがパウチ型バッテリーセル100の高さよりもm1に見合う分だけさらに高くなるように形成され得る。ここで、m1は、D以上に設定され得る。
【0113】
例えば、少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100は、セルカバー200の第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240の間に配置されるが、上側カバー部220との間に所定の空間が形成されるように上側カバー部220とm1に見合う分だけ離れるように配置され得る。すると、上側カバー部220とパウチ型バッテリーセル100の側部との間の距離Dは、m1と同じ分だけ上側カバー部220と離れて離隔空間Sを構成することができ、パウチ型バッテリーセル100の下側とセルカバー200の下側は、同じ平面の上に置かれることができる。他の例を挙げると、少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100は、セルカバー200の第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240の間に配置されるが、上側カバー部220との間に所定の空間が形成されるように上側カバー部220とDに見合う分だけ離れるように配置され得る。すると、セルカバー200の下側は、パウチ型バッテリーセル100の下側に比べてm1-Dに見合う分だけさらに突出した状態になり得る。
【0114】
パウチ型バッテリーセル100は、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240の内側面に密着されるように構成され得る。この場合、少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100は、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240の内側面に接着されて固定され得る。接着のための部材は、熱伝導性のものであり得る。このような接着を通じて、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100に強固に結合され、パウチ型バッテリーセル100と熱的な接触をするので、パウチ型バッテリーセル100から発せられる熱をパウチ型バッテリーセル100の外部に排出するのに役立てることができる。また、パウチ型バッテリーセル100と上側カバー部220との間の間隔を保持することができて、離隔空間Sを保持することが可能になる。
【0115】
上側カバー部220は、平面の形状に形成され得る。この場合、上側カバー部220は、断面が水平方向の直線状に形成されて、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1を外側から直線状に包み込み得る。
【0116】
第1の側面カバー部230は、上側カバー部220の一方の端から下方に向けて延びる形状に形成され得る。例えば、第1の側面カバー部230は、上側カバー部220の左側の端部から下方(図中の-Z軸方向)に向けて長尺状に延びた形状に形成され得る。さらに、第1の側面カバー部230は、平面の形状に形成され得る。このとき、第1の側面カバー部230は、上側カバー部220において曲げられた形状に形成され得る。
【0117】
そして、第1の側面カバー部230は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の一方側の収容部Rの外側を包み込むように構成され得る。例えば、セルカバー200に1つのパウチ型バッテリーセル100が収容された場合、第1の側面カバー部230は、収容されたパウチ型バッテリーセル100の収容部Rの左側の表面を左側から包み込むように構成され得る。ここで、第1の側面カバー部230は、収容部Rの外側の表面に直接的に接触され得る。
【0118】
第2の側面カバー部240は、第1の側面カバー部230から水平方向に離れるように位置し得る。そして、第2の側面カバー部240は、上側カバー部220の他方の端から下方に向けて延びる形状に形成され得る。例えば、第2の側面カバー部240は、上側カバー部220の右側の端部から下方に向けて長尺状に延びた形状に形成され得る。さらに、第2の側面カバー部240もまた、第1の側面カバー部230と同様に、平面の形状に形成され得る。このとき、第2の側面カバー部240と第1の側面カバー部230とは、水平方向に離れている状態で互いに平行になるように配置されているといえる。
【0119】
そして、第2の側面カバー部240は、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100の他方の側の収容部Rの外側を包み込むように構成され得る。例えば、セルカバー200に1つのパウチ型バッテリーセル100が収容された場合、第2の側面カバー部240は、収容されたパウチ型バッテリーセル100の収容部Rの右側の表面を右側から包み込むように構成され得る。ここで、第2の側面カバー部240は、収容部Rの外側の表面に直接的に接触され得る。
【0120】
上記の実施形態において、上側カバー部220と、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240により内部空間が限定され得る。そして、セルカバー200は、このようにして限定された内部空間に1つ又はそれ以上のバッテリーセル100を収容し得る。
【0121】
また、上記の実施形態において、セルカバー200は、互いに平行な形状に上下方向に立てられた形状の第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240との間の内部空間に対して、一側の面が閉じられ、残りの側の面は開かれた形状に形成され得る。例えば、第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240との間の空間は、上側カバー部220により上部側が閉じられ、前方側、後方側及び下部側は開放端を形成し得る。このとき、電極リード110が位置する前方側のエッジ部E3と後方側のエッジ部E4は、前方側の開放端及び後方側の開放端とそれぞれ隣り合うように配置され、下部側のエッジ部E2は、下部側の開放端と隣り合うように配置され得る。
【0122】
また、上記の実施形態において、
図2及び
図6中にC1にて示されたように、第1の側面カバー部230の端部のうちの上側カバー部220と接続されていない端部C1と第2の側面カバー部240の端部のうちの上側カバー部220と接続されていない端部C1が、パウチ型バッテリーセル100の下側がパックケース300に向かって露出される開放部を形成する。
【0123】
第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240の下側の端部C1は、パックケース300の底面に接触され得る。特に、このような第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240の下側の端部C1とパックケース300との接触構成は、前後方向に長尺状に延びた形状に形成され得る。このような実施形態によれば、内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100を立てられた状態で保持可能なセルカバー200の自立構成がより一層安定的に実現されることが可能になる。
【0124】
さらに、第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240は、互いに同じ高さを有し得る。すなわち、第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240は、上側カバー部220から下方に向けて延びた長さが同じであり得る。この場合、セルカバー200の自立構成がさらに容易に成し遂げられる。
【0125】
一方、本発明の一実施形態によるセルカバー200とパウチ型バッテリーセル100について再び説明すれば、上側カバー部220は、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1を向かい合い得、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240とともに上部側のエッジ部E1を包み込み得る。
【0126】
また、第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240の断面積は、第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240とが向かい合うパウチ型バッテリーセル100の断面積よりもさらに大きくなるように配備されて収容部Rが外部に露出されることを防いで、安全性を最大限に確保することができる。
【0127】
特に、パウチ型バッテリーセル100は、エッジ部E1~E4としてシール部及び未シール部を含み得る。セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100を包み込むが、エッジ部E1~E4の中で、シール部の少なくとも一部は包み込みながら、未シール部の少なくとも一部は包み込まずに外部に露出されるように構成され得る。例えば、
図2の実施形態を参照すると、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100のシール部の一部である上部側のエッジ部E1を覆う形状に形成され得る。この場合、セルカバー200の内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100は、シール部である上部側のエッジ部E1が上側カバー部220と向かい合うように構成されるといえる。また、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100の未シール部である下部側のエッジ部E2に対しては外部に露出されるようにパウチ型バッテリーセル100を包み込み得る。この場合、パウチ型バッテリーセル100において未シール部である下部側のエッジ部E2は、セルカバー200の開放面に配置されるといえる。
【0128】
バッテリーセル100において、シール部としての上部側のエッジ部E1は、未シール部である下部側のエッジ部E2よりも相対的に高温のガスや火炎の排出にさらに脆弱である可能性がある。ところが、上記の実施形態によれば、シール部である上部側のエッジ部E1が上側カバー部220を向かい合うように配置されてディレクショナルベントにより一層有利になる可能性がある。
【0129】
また、パウチ型バッテリーセル100において未シール部としての下部側のエッジ部E2は、シール部である上部側のエッジ部E1よりも相対的に断面積がさらに広く、平らな形状に配備されてセルカバー200の開放面に配置され得、後述するサーマルレジンに直接的に接触されて冷却効率が増大されることが可能になる。
【0130】
さらに、下ケース320が車体の片面に載置される場合、第1の側面カバー部230と第2の側面カバー部240は、上側カバー部220から車体の片面に向かって延び得、上部側のエッジ部E1は、下部側のエッジ部E2よりも車体の片面からさらに遠く配置され得る。すなわち、下ケース320が車体の片面に載置される場合、セルカバー200は、車体の片面に相対的に近づくように配置された面が開かれる形状に形成され得る。
【0131】
セルカバー200は、一体に形成され得る。この場合、セルカバー200は、板状構造の金属プレートを折り曲げる方式により形成され得る。すなわち、セルカバー200は、折れ曲がった1枚のプレートで形成されたものであり得る。
【0132】
セルカバー200は、1枚の板材に対して両端部を同じ方向に曲げることにより、1つ以上のパウチ型バッテリーセル100を包み込む形状に形成され得る。特に、1つのセルカバー200に上側カバー部220と、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240が配備された場合、上側カバー部220と、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240は、1枚のプレートからなり得る。この場合、セルカバー200は、複数の構成要素が一体形に作製されているといえる。
【0133】
ここで、それぞれの構成要素は、折り曲げ部を介して区分けされ得る。特に、1枚のプレートにおいて折り曲げ部は、2つ形成され得る。そして、このような2つの折り曲げ部を基準として、上側カバー部220、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240が区分けされ得る。特に、1枚のプレートにおいて中央部分が上側カバー部220を形成し、そのような上側カバー部220を中心として両側が下方に向けて曲げられるか、または、折り畳まれることにより、第1の側面カバー部230及び第2の側面カバー部240が形成され得る。このように、セルカバー200を形成するために1枚のプレートに折り曲げ部を形成する構成は、プレス(press)又はロールフォーミング(roll forming)などの様々な方式により実現され得る。
【0134】
本発明のこのような実施形態によれば、セルカバー200の製造がより一層簡単になる。また、簡素化された構造のセルカバー200は、パウチ外装材などのパウチ型バッテリーセル100のケースよりもさらに高い剛性をもった金属材質から構成されて、セルカバー200により覆われる少なくとも1つのパウチ型バッテリーセル100を外部の衝撃や振動から保護することができる。のみならず、この場合、セルカバー200を介した熱伝導性能がより一層向上して、冷却性能がさらに改善されることが可能になる。
【0135】
一方、セルカバー200は、剛性の確保のために、多種多様な材質から構成され得る。特に、セルカバー200は、金属材質から構成され得る。このような金属材質の場合、バッテリーセル100の積層状態をより一層安定的に保持し、外部の衝撃からバッテリーセル100をより一層安全に保護することができる。特に、セルカバー200は、スチール材質、さらには、ステンレス鋼(SUS)材質を備え得る。例えば、セルカバー200は、全体的にSUS材質からなり得る。SUS材質のセルカバー200は、概ね2mmの厚さを有し得る。例えば、
図5に示されているように、セルカバー200が上側カバー部220と、第1の側面カバー部230と、第2の側面カバー部240とを含む場合、上側カバー部220の厚さd2、第1の側面カバー部230の厚さd3及び第2の側面カバー部240の厚さd4は互いに同じであり、かつ、概ね2mmであり得る。
【0136】
このように、セルカバー200がスチール材質からなる場合、機械的な強度ないし剛性に優れているので、パウチ型バッテリーセル100の積層状態をより一層安定的に支持することができる。また、この場合、外部の衝撃、たとえば、針状体などからパウチ型バッテリーセル100の損傷や破損をより一層有効に防ぐことができる。のみならず、この場合、パウチ型バッテリーセル100の取り扱いがさらに行われ易くなる。
【0137】
また、上記の実施形態のように、セルカバー200がスチール材質からなる場合、高い溶融点によって、パウチ型バッテリーセル100から火炎が発生したとき、全体的な構造が安定的に保持されることが可能になる。特に、スチール材質の場合、アルミニウム材質に比べて融点が高いので、パウチ型バッテリーセル100から噴出された火炎にも溶融されず、その形態が安定的に保持されることが可能になる。したがって、パウチ型バッテリーセル100の間の火炎の伝播の防止ないし遅延の効果、ベント制御の効果などが良好に確保されることが可能になり、熱的事象が生じたときであっても、内部短絡や構造崩壊を防ぐことができて構造的な安全性が増大されることが可能になる。
【0138】
セルカバー200は、内側面に絶縁コーティング層(図示せず)を含み得る。前記絶縁コーティング層は、シリコン樹脂、ポリアミド(Polyamide)及びゴムのうちのいずれか1つの絶縁性素材をコーティング、塗布又は貼着したものであり得る。このような本実施形態によるセルカバー200の絶縁コーティング層の構成によれば、最小限のコーティング量にて絶縁コーティング効果を極大化させることができる。また、絶縁コーティング層(図示せず)がセルカバー200の内側面に適用されていることから、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200との絶縁性が強化されることが可能になる。
【0139】
また、セルカバー200は、絶縁部材をさらに含み得る。絶縁部材は、電気的な絶縁性材質から構成されてパウチ型バッテリーセル100が収容されるセルカバー200の内側の表面に配備され得る。特に、絶縁部材は、少なくとも一側面に接着層を備えて、セルカバー200の内側の表面に接着され得る。また、絶縁部材は、両側面に接着層を備えて、セルカバー200の内側の表面に接着されるのみならず、パウチ型バッテリーセル100と接着されることもある。のみならず、絶縁部材は、耐熱性を有する材質から構成され得る。例えば、絶縁部材は、耐熱性を有するセラミックシートの表面に接着剤が塗布された耐熱性テープの形状に形成され得る。絶縁部材は、ポリイミド(PI:polyimide)材質のフィルムであり得る。絶縁部材の厚さは、概ね0.5mmであり得る。また、絶縁部材は、セルカバー200の内側の表面及び外側の表面、すなわち、両側に位置することもある。
【0140】
また、本発明によるバッテリーパック10は、
図1に示されているように、パックケース300の内部空間に収容された制御モジュール400をさらに含み得る。このような制御モジュール400は、バッテリー管理システム(BMS)を含み得る。制御モジュール400は、パックケース300の内部空間に装着され、パウチ型バッテリーセル100の充放電動作やデータの送受信動作などを全般的に制御するように構成され得る。制御モジュール400は、モジュール単位ではなく、パック単位で配設され得る。より具体的には、制御モジュール400は、パック電圧及びパック電流を用いてパウチ型バッテリーセル100の充放電状態、電力状態及び性能状態などを制御するように設けられ得る。制御モジュール400は、バッテリーパック10内のパウチ型バッテリーセル100の状態を推定し、推定した状態情報を用いてバッテリーパック10を管理する。例えば、バッテリーパック10の充電状態(SOC:State Of Charge)、健康状態(SOH:State Of Health)、最大の入出力電力の許容量、出力電圧などバッテリーパック10の状態情報を推定しかつ管理する。そして、このような状態情報を用いてバッテリーパック10の充電又は放電を制御し、さらにバッテリーパック10の取り替え時期をも推定可能である。
【0141】
また、本発明によるバッテリーパック10は、
図1に示されているように、バッテリー遮断ユニットをさらに含み得る。バッテリー遮断ユニット500(BDU:Battery Disconnect Unit)は、バッテリーパック10の電力容量と機能を管理するためにバッテリーセルの電気的な接続を制御するように構成され得る。このために、バッテリー遮断ユニット500は、パワーリレーと電流センサー、ヒューズなどを含み得る。バッテリー遮断ユニット500もまた、モジュール単位ではなく、パック単位で配設される構成要素であって、本発明の出願時点における公知の様々な遮断ユニットが採用可能である。
【0142】
この他にも、本発明によるバッテリーパック10は、本発明の出願時点における公知の様々なバッテリーパックの構成要素をさらに含み得る。例えば、本発明の一実施形態によるバッテリーパック10の場合、オペレーターが手作業でサービスプラグを抜き取って電源を遮断可能なマニュアルサービスディスコネクター(MSD:Manual Service Disconnector)をさらに含み得る。また、少なくとも1つのセルユニットブロック同士を繋ぎ合わせるためのフレキシブルバスバーやケーブルをさらに含むこともある。
【0143】
仕切り部材210についてさらに詳しく述べるために、
図5に戻ると、セルカバー200は、パウチ型バッテリーセル100の上側を覆い、仕切り部材210は、セルカバー200の内側の上端から突出して下向きに延びている。
【0144】
仕切り部材210の厚さd1は、上側カバー部220の厚さd2、第1の側面カバー部230の厚さd3及び第2の側面カバー部240の厚さd4よりも薄い場合もある(d1<d2, d3、d4)。仕切り部材210の厚さd1を薄くすることにより、仕切り部材210を含むセルカバー200の全体の重量を最小限に抑えながら、ディレクショナルベント効果を発揮することができる。したがって、本発明によれば、バッテリーパック10の全体の重量と体積を軽減することができ、製造コストを節減することができる。
【0145】
セルカバー200が複数のパウチ型バッテリーセル100を包み込む本実施形態において、仕切り部材210は、複数のパウチ型バッテリーセル100のそれぞれを仕切るように構成されたものであり得る。例えば、図示のごとく、セルカバー200が3つのパウチ型バッテリーセル100を包み込む場合、このようなパウチ型バッテリーセル100のそれぞれを仕切るようにするために、仕切り部材210は、2本含まれ得る。すなわち、セルカバー200が包み込むパウチ型バッテリーセル100の数に対応して仕切り部材210の本数も調整され得る。好ましくは、仕切り部材210は、パウチ型バッテリーセル100の積層方向(図中のY軸方向)に沿って1本以上配置され得る。
【0146】
好ましくは、仕切り部材210は、いずれか1つのパウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1を他のパウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1が直接的に対面せずに遮っている。このために、仕切り部材210は、上側カバー部220からパウチ型バッテリーセル100の上端まで下向きに延びている。
【0147】
これにより、離隔空間Sがしっかりと仕切られ、仕切られたそれぞれの離隔空間Sにパウチ型バッテリーセル100をそれぞれ別々に収容するという効果がある。このような構成を用いて、隣り合う他のパウチ型バッテリーセル100への熱の伝播やベントガスの移動を抑えることができる。また、仕切り部材210を2つのパウチ型バッテリーセル100の間にしっかりと挟み込む場合、仕切られた離隔空間Sの間の隔離と併せて、離隔空間Sの幅方向への密閉性が向上して、ベントガスが長手方向に排出される効果が増大されることが可能になる。すなわち、セルユニット単位でディレクショナルベントをするセルカバー200の内部においてもパウチ型バッテリーセル100ごとにディレクショナルベント経路を確保するという効果がある。
【0148】
以上において説明したように、パウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1は両面折り(DSF)された部分であり得、本実施形態によれば、仕切り部材210は、隣り合うパウチ型バッテリーセル100に対して相互の両面折り(DSF)された部分を隔離させるという効果がある。パウチ型バッテリーセル100の両面折り(DSF)された部分からはベントガス又は火炎が排出されることができ、このような仕切り部材210の構成によれば、隣り合うパウチ型バッテリーセルの間の同時多発的な発火をさらにしっかりと抑えることができる。
【0149】
【0150】
図7を参照すると、仕切り部材210は、複数のパウチ型バッテリーセル100の積層方向に沿って複数のパウチ型バッテリーセル100のそれぞれに対応するベント経路を形成するように構成されている。このようなベント経路は、セルカバー200の内部においてパウチ型バッテリーセル100から排出されたベントガス又は火炎が流動可能な空間を提供し得る。
【0151】
好ましくは、仕切り部材210は、隔壁である。本実施形態において、このような隔壁は、パウチ型バッテリーセル100の長手方向に沿って連設されたものでありながら、パウチ型バッテリーセル100の幅方向に沿って間隔をあけて配置された構成要素であり得る。隔壁は、ベントガスが排出される方向(前後方向)と並ぶように形成され得、このとき、隔壁を横断する方向(左右方向)へのガスの移動や熱の伝達を抑えることができる。したがって、熱的事象が生じたとき、隣り合うパウチ型バッテリーセル100への行き渡りを低減することができ、これを含むバッテリーパック10は、熱的事象に対する優れた安全性を確保することができる。
【0152】
セルカバー200は、電極リード110に対応する両側部にも開放部が形成されるように構成され得るので、離隔空間S内のベントガスは、セルカバー200の両側部に抜け出ることができる。これにより、離隔空間S内におけるベントガスの流れは、パウチ型バッテリーセル100の長手方向と並ぶように前後方向である。このような長手方向と並ぶように隔壁を形成すれば、パウチ型バッテリーセル100の熱暴走の際にセルカバー200の内側の上部を通ってベントガス又は火炎の流れが導かれてセルカバー200の開放部を通って外部に排出されることが可能になる。これにより、ベントガス又は火炎の流れをさらに一定の方向に導くことができる。
【0153】
図8は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックの一部の断面の構成を概略的に示す図である。
【0154】
図8に示されているように、バッテリーパック10は、ヒートシンク330を備えるように構成され得る。ここで、ヒートシンク330とは、直間接的な熱接触をすることで、他の物体から熱を吸収しかつ発散させる物体のことを意味する。このようなヒートシンク330は、パックケース300の底面に配置され得る。特に、バッテリーパック10は、軽量化及び構成要素の簡素化のために、下ケース320の底板が、冷却水が流れる流路を備えたヒートシンクの形状に設けられることもある。
【0155】
パウチ型バッテリーセル100は、ヒートシンク330に熱的に結合される。パウチ型バッテリーセル100とヒートシンク330とが直接的に熱接触をし得る。パウチ型バッテリーセル100は、直接的に熱接触をせずに、パウチ型バッテリーセル100と熱的に結合されたセルカバー200がヒートシンク330と直接的に熱接触をする方式により熱的に結合されることもある。この場合、セルカバー200がヒートシンク330にパウチ型バッテリーセル100の熱を伝える冷却フィンの役割を果たすことにより、バッテリーパックの製造工程を簡素化及び効率化させながらも、パウチ型バッテリーセル100の冷却性能を改善することができる。
【0156】
本実施形態のセルカバー200の構成によれば、パウチ型バッテリーセル100は、下部側のエッジ部がセルカバー200の下側の開放部を通してセルカバー200の下に露出されて下ケース320の底板を向くように配置され得る。このようなパウチ型バッテリーセル100の下部側のエッジ部と下ケース320の底板との間には、サーマルレジン340が配備され得る。したがって、本発明の他の実施形態によるバッテリーパック10は、各パウチ型バッテリーセル100の熱が各パウチ型バッテリーセル100の下部側のエッジ部及び/又はセルカバー200→サーマルレジン340→ヒートシンク330として機能する下ケース320に放熱されることが可能になる。
【0157】
このような実施形態において、ヒートシンク330は、複数のパウチ型バッテリーセル100との間にサーマルレジン340が介在している。ヒートシンク330の上部の表面には、サーマルレジン340が塗布され得る。そして、このように、サーマルレジン340が塗布されたヒートシンク330の上部の表面に、複数のセルユニットU1、すなわち、複数のパウチ型バッテリーセル100と複数のセルカバー200が載置され得る。
【0158】
ここで、サーマルレジン340は、熱を伝導し、接着性を有する物質からなり得る。サーマルレジン340は、パウチ型バッテリーセル100から発せられた熱がヒートシンク330を介して放熱されるようにヒートシンク330に熱を伝え得る。のみならず、サーマルレジン340は、接着性を有するので、セルカバー200をヒートシンク330に構造的に結合されることができる。
【0159】
このような実施形態において、セルカバー200が結合された複数のパウチ型バッテリーセル100は、サーマルレジン340が塗布されたヒートシンク330の上面に直接的に載置され得る。この場合、複数のセルユニットU1は、サーマルレジン340によりヒートシンク330の上面に安定的に結合固定されることが可能になる。特に、それぞれのセルユニットU1に含まれているパウチ型バッテリーセル100とセルカバー200は、上下方向の長さが左右方向の幅に比べて長くなるように形成され得る。したがって、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー200は、ヒートシンク330の上面に立てられた状態、すなわち、起立状態で載置されているといえる。このとき、サーマルレジン340は、セルカバー200の起立状態がより一層安定的に保持されるようにし得る。
【0160】
他の例を挙げると、セルカバー200の下側の端部が嵌入されて固定されるようにする固定溝のような手段がヒートシンク330の上端に設けられて、ここにセルカバー200が嵌め込まれて固定され得る。このような例によれば、セルカバー200とヒートシンク330との結合性がさらに向上することができる。したがって、バッテリーパック10に振動や衝撃が加えられたとき、又はパウチ型バッテリーセル100にスウェリングが生じたときなどといった状況下でも、セルカバー200とその内部に収容されたパウチ型バッテリーセル100との積層状態が安定的に保持されることが可能になる。さらに、このような例によれば、セルカバー200が左右方向に移動することを有効に防ぐことができる。また、セルカバー200とヒートシンク330との嵌合構成を用いて、セルカバー200の組み立て位置が導かれることが可能になる。したがって、この場合、バッテリーパック10の組立性がさらに向上することができる。
【0161】
セルカバー200は、バッテリーパック10に複数含まれ得る。複数のセルカバー200を含む場合、複数のセルカバー200同士は、
図8に示されているように、互いに離れ得る。例えば、複数のセルカバー200同士は、Y軸方向に離れ得る。離れた空間によってセルカバー200同士の間の直接的な熱の伝達を遮断することができる。また、離れた空間によってバッテリーパック10を構成するのに必要な別途の部材を嵌入し得る。あるいは、複数のセルカバー200同士の間の少なくとも一部には、断熱パッドや火炎抑制パッドなどが介在することもある。このような断熱パッドや火炎抑制パッドは、いずれか1つのセルカバー200内において生じ得る熱や火炎が他のセルカバー200側に伝えられて他のパウチ型バッテリーセル100に影響を与えることを防ぐことができる。火炎抑制パッドは、塩化ビニール樹脂などの耐熱性樹脂、シリコンやセラミックなどの素材、もしくは、耐熱性樹脂とセラミックもしくはガラスフィラーとの錯体、又は絶縁被覆を施した金属板などから形成され得るが、これらは単なる例示的なものに過ぎず、難燃性の素材であればよい。少なくともパウチ型バッテリーセル100が熱暴走となる温度(例えば、150℃~200℃)までは分解、溶解、着火されない材料から構成されることが好ましい。
【0162】
また、バッテリーパック10に複数のセルカバー200が積層されて含まれている場合、セルカバー200同士の間には、接着部材が介在することもある。例えば、2つのセルカバー200が互いに対面し合うことになる部分には、接着部材が介在して、これらを接着固定することができる。このような接着構成を用いて、複数のセルカバー200同士の間の接続構成をさらに強固にすることができる。
【0163】
図9は、本発明の一実施形態によるバッテリーパックに含まれ得る他のセルカバーを概略的に示す斜視図である。
図10は、
図9に示すセルカバーがパウチ型バッテリーセルを包み込んでいる状態でのY軸方向に沿った断面の構成を概略的に示す図である。
図11は、
図9に示すセルカバーのX軸方向に沿った断面の構成を概略的に示す図である。
【0164】
図9~
図11を参照すると、セルカバー200内において離隔空間Sを通ってベントガスが移動する。ここで、仕切り部材210は、前記ベントガスの移動を阻止するように構成されている。特に、仕切り部材210は、前記ベントガスの水平方向への移動を阻止するように構成され得る。また、この場合、仕切り部材210は、前記ベントガスの流れ方向に沿って1本以上配置され得る。
【0165】
前記ベントガスは、
図9中に太い点線の矢印にて示されたように、パウチ型バッテリーセルの長手方向もしくは前後方向に沿って移動する。このとき、仕切り部材210は、前記ベントガスの移動経路に位置し得る。したがって、ベントガスの移動の際に仕切り部材210により移動が抑制できる。好適な仕切り部材210は、隔壁である。隔壁は、パウチ型バッテリーセル100の幅方向に沿って連設されたものでありながら、長手方向に沿って間隔をあけて配置された構成要素であり得る。このように、隔壁タイプの仕切り部材210を含むセルカバー200は、上部の内面に隔壁を含むセルカバーと呼ばれる。特に、本実施形態において、隔壁は、ベントガスの移動方向を横切るように配設されて前記ベントガスの直進性を低下させる。
【0166】
好ましくは、隔壁は、セルカバー200がパウチ型バッテリーセル100の上部側のエッジ部E1を包み込んでいる部分に配備され得る。セルカバー200が上側カバー部220、第1の側面カバー部230、及び第2の側面カバー部240を含む実施形態において、このような隔壁は、上側カバー部220の内側の表面、第1の側面カバー部230の上端の内側の表面及び第2の側面カバー部240の上端の内側の表面に接するプレートであり得る。プレートとは、概ね直方体の形状であり、広い面の横、縦の長さに比べて高さが小さい構造のことをいう。このようなプレートは、セルカバー200の上側カバー部220の内側面において立てられた形状に配置され得る。特に、隔壁の広い面は、前記ベントガスに対面するように配置され得る。
【0167】
セルカバー200に収容されたパウチ型バッテリーセル100においてベントガスが生じる場合、ベントガスは、高温の特性からみて、上側カバー部220側に移動して前後方向に移動し易い。このとき、上側カバー部220の内側の表面に隔壁が位置する場合、火炎ないしスパークなどの遮断効果がしっかりと発揮できる。
【0168】
図11に示すように、隔壁は、上側カバー部220の内側の表面に対して平面方向が垂直方向となるように配備され得る。この場合、ベントガスが前後方向に移動する過程において、隔壁によりスパークなどの阻止効果がさらに向上することができる。
【0169】
図12は、
図11に対応する図であって、
図9のセルカバーの他の実施形態を示す図である。
【0170】
図12を参照すると、隔壁は、上側カバー部220の内側の表面に対して傾いた形状に配備され得る。図示のものは、隔壁が上側カバー部220の内側の表面に対して平面方向がベントガスの進行方向側に傾いて鋭角αにて傾いたものである。これとは逆に、隔壁が上側カバー部220の内側の表面に対して平面方向が鈍角にて傾いた形状に形成されることもある。
【0171】
このような隔壁タイプの仕切り部材210は、パウチ型バッテリーセル100の上部からベントガスが長手方向に沿って排出されるとき、火炎、スパーク、粒子などを遮断するという効果がある。パウチ型バッテリーセル100の一部に火災や爆発が起きた場合、高温の電極組立体の破片と火炎が高温のベントガスとともに排出され得る。この場合、ベントガスの直進性が強ければ、高温の破片と火炎が勢いよく排出されて、例えば、パックケース300を直接的に打撃することが懸念される。隔壁タイプの仕切り部材210は、ベントガスの移動方向に邪魔物として働いてベントガスの直進性を減らして火炎、スパークなどの勢いよい排出を抑えることができる。したがって、バッテリーパック10の安全性を大幅に向上させることができる。このような実施形態によれば、直進性の強い火炎やスパークなどの排出を抑制ないし遅延させるのみならず、ベントガスがさらに長くなった移動経路に沿って排出される間にベントガスの温度を下げるのにも寄与することができる。
【0172】
図13は、
図11に対応する図であって、
図9のセルカバーのさらに他の実施形態を示す図である。
【0173】
仕切り部材210は、セルカバー200の内側面に凹凸状に設けられた部分であり得る。
【0174】
図13を参照すると、凹凸状の凹部210aと凸部210bとは、パウチ型バッテリーセル100の長手方向に沿って交互に位置し得る。
【0175】
図示の例において、凹部210aと凸部210bの断面は、角張った形状となっているが、例えば、断面が波うち模様といったように凹部と凸部の断面は曲線状である場合もある。角張った形状の断面は、火炎やスパーク、遮断に対する確実な物理的バリアーとなって遮断効果が抜群である。曲線状の断面は、仕切り部材210にぶつかって起こり得る渦流の生成が角張った形状の断面であるときよりはあまり盛んに行われないので、ベントガスの排出の側面からみて有利になる可能性がある。
【0176】
また、セルカバー200の内側面に形成される凹凸は、セルカバー200それ自体の形状により設けられ得るが、メッシュ構造の小板をセルカバー200の内側面に接着したり結合したりする方式により設けられることもある。
【0177】
メッシュ構造は、金属網又は金属板の上に多数本の孔を設けたものであり得る。孔は、打ち抜きやエッチングにより金属板を一部切り欠いたり切り抜いたりして形成し得る。金属網は、多数本の金属線を織り合わせていわゆる鉄網状に形成したものである。好適な例を挙げると、メッシュ構造は、2メッシュ以上の金属網を1重以上、好ましくは、多重に形成したものである。メッシュとは、網の目(mesh)の大きさをもって等級を付ける方法であって、長さ1インチ当たりの網目(マス目)の数で示す。すなわち、メッシュとは、ふるいの孔や粒子の粒径を示す単位のことをいい、1インチの四角形の中に入る網目の数であるといえる。例えば、200メッシュといえば、直径2/1000インチずつの鉄線を3/1000インチずつ間隔を隔てて張ったものであって、長さ1インチにつき200メッシュがあることを示す。したがって、NメッシュはN/25.4mmであり、例えば、2メッシュ以上の金属網を用いるとしたとき、1本の孔の孔径は12.7x12.7mm2以下となる。消炎のみを考慮すれば、メッシュ間隔が小さければ小さいほど好ましいが、間隔が狭すぎると、塵埃などの異物により閉塞される場合が多いため、適度な数にする。
【0178】
メッシュ構造は、不燃材であり得る。このような材質は、火に燃えにくいものであれば、いかなるものであっても構わない。具体的には、銅、アルミニウム、鋳鉄、モネル(Ni+Cu)、SUS及びスチールのうちのいずれか1つの材質が使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。なお、メッシュ構造の材質としては、火炎を阻止する消炎能のみならず、爆発圧力に耐える機械的な特性を有する材質を選定することが好ましい。
【0179】
メッシュ構造は、それ自体で純粋に用いられ得るか、あるいは、高分子樹脂層と積層されて用いられ得るが、これに何ら限定されるものではない。前記高分子樹脂層としては、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニールピロリドン、ポリビニールアセテート、ポリエチレン-ビニールアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニールアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイミド及びこれらの混合物よりなる群から選択されたいずれか1種が使用可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0180】
このようなメッシュ構造は、火炎を通過させながら、細かく割るのみならず、火炎のエネルギーを吸収する吸熱反応を引き起こして温度の落ち込み及び消炎の効果をもたらす。より具体的には、メッシュ構造は小さい孔を有するため、ガスや蒸気などの気体は通過可能であるが、火炎は通過し難い。また、メッシュ構造は、二次電池の内部の可燃性の気体と空気との混合物に点火されたとき、燃焼される気体混合物から発せられる熱を吸収して発散させることにより、反対側にある気体が自然発火温度に上がらないように燃焼温度を下げる。これは、加熱された高い熱を有する気体がメッシュ構造を通過しながらメッシュ構造を構成している材質に熱を奪われるからである。メッシュ構造は、数多くの孔を含む金属材質からなるため、非常に広い断面積を有する吸熱板となる。
【0181】
したがって、火炎がメッシュ構造を通過しながら、それ以上火炎が保持できないほどの熱量を奪われて爆発が鎮静されることもできる。
【0182】
メッシュ構造は、薄肉の小板から作製され得るので、セルカバー200内の離隔空間Sに適切に配置可能であり、セルユニットのサイズの増加を抑えることができる。また、メッシュ構造は、多数本の孔を有しているので、重量の増加も抑えることができる。このように、本発明によれば、バッテリーパック10のサイズや重量の増加を抑えながら、二次電池から火炎が噴出されるという事態が生じた場合であっても、外部への火炎の噴出を防いで、安全性を向上させる。本発明のこのような実施形態によれば、ベントガスに含まれているスパークや火炎、高温の活物質粒子などの外部への排出を抑えることができる。したがって、火災抑制性能がさらに向上することができる。このように、本発明によれば、スパークの遮断などを実現することができる。軽量化のために、パックケース300をアルミニウムから構成した場合、仮にスパークが飛び散ってパックケース300に直接的に衝突するのであれば、パックケース300を溶かして構造崩壊が生じる虞がある。本発明の実施形態によれば、スパークが飛び散ってパックケース300側に直接的に衝突することを防ぐことができるので、このような構造崩壊を防ぐことができる。
【0183】
図14は、本発明の一実施形態による自動車の構成を概略的に示す図である。
【0184】
図14を参照すると、本発明の一実施形態による自動車Vは、前述した本発明の一実施形態によるバッテリーパック10を含み得る。ここで、自動車Vは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などといったように、電気を駆動源として使用する所定の自動車を含み得る。また、自動車Vは、本発明によるバッテリーパック10の他に、自動車に含まれる他の様々な構成要素、たとえば、車体やモーターなどをさらに含み得る。
【0185】
バッテリーパック10は、自動車V内の所定の位置に配設され得る。バッテリーパック10は、電気自動車のモーターに駆動力を提供して自動車Vを駆動する電気エネルギー源として使用可能である。この場合、バッテリーパック10は、100V以上の高い公称電圧を有する。
【0186】
バッテリーパック10は、モーター及び/又は内燃機関の駆動に応じて、インバーターにより充電されたり放電されたりし得る。バッテリーパック10は、ブレーキ(brake)と結合された回生充電装置により充電され得る。バッテリーパック10は、インバーターを介して自動車Vのモーターに電気的に接続され得る。
【0187】
一方、本明細書においては、上、下、左、右、前、後などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【0188】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0189】
10 バッテリーパック
100 パウチ型バッテリーセル
110 電極リード
170 バスバーフレーム
180 絶縁カバー
200 セルカバー
210 仕切り部材
220 上側カバー部
230 第1の側面カバー部
240 第2の側面カバー部
300 パックケース
330 ヒートシンク
340 サーマルレジン
S 離隔空間
U1 セルユニット
V 自動車
【国際調査報告】