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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】熱伝導性プラスチック
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241024BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20241024BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/08
C01B33/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529859
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022070526
(87)【国際公開番号】W WO2024017478
(87)【国際公開日】2024-01-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン、クネール
【テーマコード(参考)】
4G072
4J002
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072BB05
4G072DD02
4G072DD03
4G072GG02
4G072UU09
4J002AA001
4J002BG021
4J002CD001
4J002DA116
4J002FA086
4J002FD140
4J002FD206
4J002GQ05
(57)【要約】
本発明は、プラスチック組成物(S)5~50体積%及び少なくとも5W/mKの熱伝導率を有する少なくとも一つの熱伝導性フィラー(Z)を50~95体積%含有し、但し、前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)が少なくとも0.6W/mKの熱伝導率を有し、及び、金属シリコン粒子が熱伝導性フィラー(Z)として少なくとも20体積%含まれ、前述の粒子が以下の特徴:a)その平均直径x50が30~200μmに及ぶこと;b)前記粒子が主に丸みを帯び、幅/長さの比(アスペクト比b/l)が少なくとも0.76であること;及びc)前記粒子の分布幅SPAN((x90-x10)/x50)が少なくとも0.28であること、を満たす、熱伝導性プラスチック組成物(Y)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性プラスチック組成物(Y)であって、
- 非シリコーンベースプラスチック組成物(S)を5~50体積%、及び
- 少なくとも5W/mKの熱伝導率を有する少なくとも一つの熱伝導性フィラー(Z)を50~95体積%
含有し、但し、
前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)が少なくとも0.6W/mKの熱伝導率を有し、及び
熱伝導性フィラー(Z)として、以下の特徴:
a)平均直径x50が30~200μmの範囲内にあること;
b)主に丸みを帯びており、幅/長さの比(アスペクト比w/l)が少なくとも0.76であること;
c)分布幅SPAN((x90-x10)/x50)が少なくとも0.28であること
を満たす金属シリコン粒子が少なくとも20体積%存在する、熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項2】
前記プラスチック組成物(S)が、非シリコーンベースエラストマー、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマー、並びにコポリマーから選択される、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項3】
前記プラスチック組成物(S)が、
- 熱可塑性ポリマーからなる群:ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル(ASA)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、ポリカーボネート、ポリウレア、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン、並びにそれらのコポリマー、混合物及び/又はポリマーブレンド、
- 熱硬化性ポリマーからなる群:フェノール樹脂、熱硬化性ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、
- エラストマーからなる群:スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリアクリレートエラストマー、ポリウレタン、
- それらの混合物、及び上記のポリマーのプレポリマー又はモノマーが互いに重合したコポリマー、
から選択される、請求項1又は2に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項4】
前記プラスチック組成物(S)が、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレア、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA、VAE)、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン、並びにそれらの混合物及びコポリマーから選択される、請求項1又は2に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項5】
前記プラスチック組成物(S)が、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシラン変性ポリマー(SMPs)並びにそれらの混合物及びコポリマーから選択される、請求項1又は2に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項6】
前記プラスチック組成物(S)が、熱伝導性フィラー(Z)として金属シリコン粒子を少なくとも25体積%含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項7】
熱伝導性フィラー(Z)として存在する前記金属シリコン粒子が、以下のさらなる条件:
d)2μmより小さいシリコン粒子を1.5質量%以下含有すること
も満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項8】
熱伝導性フィラー(Z)として存在する前記金属シリコン粒子が溶融状態から製造されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項9】
熱伝導性フィラー(Z)として存在する前記金属シリコン粒子が噴霧又はアトマイズによってシリコン融液から固体粒子形状にされる、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項10】
個々の成分を混合することによる、請求項1~9のいずれか一項に記載の前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)の製造方法。
【請求項11】
非シリコーンベースエラストマー、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマー並びにコポリマーから選択される請求項1に記載のプラスチック組成物(S)の熱伝導率を向上させる、前記熱伝導性フィラー(Z)の使用。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)を、充填又は塗布し、その後架橋又は硬化させることにより得られる、プラスチック製品。
【請求項13】
電子機器における発熱体又は放熱体からの放熱のための、熱伝導性ペースト、ギャップフィラー(=熱伝導性要素)、熱伝導性パッド、熱伝導性接着剤及びポッティングコンパウンドとしての、請求項1~9のいずれか一項に記載の前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性プラスチック、その製造及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱伝導性プラスチックは、自動車産業やエレクトロニクス産業における熱管理に広く使用される。重要な使用形態としては、熱伝導性接着剤、熱伝導性パッド、ギャップフィラー、ポッティングコンパウンド、ペーストがある。
【0003】
プラスチックは一般的に低い熱伝導率を示す。プラスチックの一般的な熱伝導率は約0.2~0.3W/mKの範囲内である。
【0004】
先行技術には、プラスチックの熱伝導性を高めるために添加される様々な熱伝導性フィラーが開示されている。しかし、これらには重大な欠点がある。例えば酸化アルミニウムのようなセラミックフィラーは、密度が非常に高いため、部品の重量を著しく増加させる。また、それらは比較的高価でもある。金属フィラー、例えばアルミニウム粉や銀粉は導電性であるため、多くの用途では受け入れられない。多くの金属や合金もまた比較的高価である。
【0005】
さらに多くの高熱伝導性フィラー、例えばカーボンナノチューブ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムは、比較的高価であるため、限られた範囲、少量、あるいは特定の用途でしか採用されない場合がある。
【0006】
先行技術には、熱伝導性フィラーとしてシリコン粒子を含む様々な熱伝導性プラスチック組成物が開示されている。これらは比較的軽量でコスト効率が高い。また、シリコンは半導体であるため、電気伝導率が極めて低い。しかし、先行技術のシリコン粒子は、電気自動車や電子部品への使用には適していない。
【0007】
Si粒子は通常、粉砕処理によって得られる。この欠点は、このような粒子は表面積が大きく、ポリマーを大量に結合することである。これはプラスチック組成物の粘度を非常に著しく増加させる。フィラー含有量が比較的低く、熱伝導率の低い混合物しか製造できない。フィラー含有量が高くなると、組成物は非常に硬くなり、例えばディスペンサーのような古典的なプロセスではもはや吐出できなくなる。粉砕シリコン粒子を含むプラスチック組成物は、比較的可燃性であることも証明されている。
【0008】
30μmより小さいシリコン粒子の使用は不利である。なぜなら、そのような小さな粒子は最小着火エネルギーが比較的低いため、粉塵爆発の危険性があり、工業処理の過程で複雑で費用のかかる安全対策が必要になるからである。
【0009】
特開2019-131669A2号公報は、シリコーンフリー有機樹脂の熱伝導性フィラーとして、電気絶縁性コーティングを有する0.1~200μmの金属Si粒子の使用を教示している。この粒子は、熱分解、溶融、粉砕プロセス、又は研磨、粉砕プロセスによって製造することができる。この粒子は、別の工程段階で電気絶縁性コーティングが施される。特開2019-131669A2号公報の例では、平均粒径32μm、熱伝導率が最大7W/mKの粉砕Si粒子を最大65体積%含む有機樹脂が開示されている。比較的可燃性の粉砕粒子の使用は不利である。開示された加硫物は弾性がないため、リチウムイオン電池のギャップフィラーとしての使用には適さない。
【0010】
CN106753140A号公報は、粒径20μmと27μmの2種類の球状シリコン粒子を含むエポキシ樹脂を請求している。
【0011】
特開2013-221124A2号公報は、1μmより大きく、任意の形状及び製造方法のシリコン粒子を含むポリアリーレンスルフィド樹脂を請求している。この例では、6μmと17μmの不規則な形状のシリコン粒子を使用している。
【0012】
US2015307764A号公報(=EP2935432A1号公報)は、金属シリコン粒子を含み得るプラスチック組成物を請求している。好ましいサイズの範囲は1~50μmである。その形状はこれ以上特定されない。この例では、2.5μmのシリコン粒子を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2019-131669A2号公報
【特許文献2】CN106753140A号公報
【特許文献3】特開2013-221124A2号公報
【特許文献4】US2015307764A号公報
【特許文献5】EP2935432A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
シリコーンは、揮発性のポリジメチルシロキサンを放出し、部品やコーティングの接着性を損なう可能性があるため、多くの用途では好ましくない。
【0015】
従って、本発明の目的は、先行技術の上述の欠点を示さず、低密度、低コスト及び高熱伝導率の特性を併せ持つ、非シリコーンベースの、従ってポリジメチルシロキサンを含まないプラスチック組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、30~200μmの平均粒径を有し、主に丸みを帯びた形状であり、同時に、特に大きな/広い粒径分布を示す比較的大きなSi粒子を含有する、本発明による熱伝導性プラスチック組成物(Y)によって達成される。現在、非常に驚くべきことに、本発明によるこれらの熱伝導性プラスチック組成物(Y)が顕著に低減した燃焼性を示すことが実験により見出されている。
【0017】
本発明の文脈では、「主に丸みを帯びた」Si粒子は、滑らかな表面を有する球形から楕円形の形状を有するものとして理解されたい。また、ポテト状とも表現できる。図1は、例として、これらのSi粒子の本発明による主に丸みを帯びた形状を示している。本発明のSi粒子は、少なくとも0.76の幅/長さ比(アスペクト比w/l)を有する。幅/長さ比(アスペクト比w/l)が0.76より小さい非発明のSi粒子の形状を、図2には「スパッタ状粒子」、図3には「結節状」粒子、図4には「鋭角状」及び「尖鋭状」粒子で示す。当業者であれば、異なる粒子形状の間に広い重複があることを認識している。本発明の金属Si粒子は、少なくとも0.76の幅/長さ比(アスペクト比w/l)を有し、好ましくは実質的に鋭角状でも尖鋭状でもなく、好ましくはスパッタ状でも結節状でも鋭角状でも尖鋭状でもない。しかしながら、これは、前述の本発明の粒子が、その発明の効果を妨げることなく、不純物の文脈でそのような粒子を含んでもよいことを意味すると理解されたい。
【0018】
図1~4によるSi粒子の特性を、以下の表にさらに示す。
【表1】
【0019】
本発明は、熱伝導性プラスチック組成物(Y)であって、
- プラスチック組成物(S)5~50体積%、及び
- 少なくとも5W/mKの熱伝導率を有する少なくとも1種の熱伝導性フィラー(Z)を50~95体積%
含有し、但し、
前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、少なくとも0.6W/mKの熱伝導率を有し、及び
熱伝導性フィラー(Z)として、以下の特徴:
a)平均直径x50が30~200μmの範囲内にあること;
b)主に丸みを帯びており、幅/長さの比(アスペクト比w/l)が少なくとも0.76であること;
c)分布幅SPAN((x90-x10)/x50)が少なくとも0.28であること
満たす金属シリコン粒子が少なくとも20体積%存在する、熱伝導性プラスチック組成物(Y)を提供する。
【0020】
本発明によるプラスチック組成物は、好ましくは特徴:
d)2μmより小さいシリコン粒子を1.5質量%以下含有すること
も満たす。
【0021】
本発明の文脈において、「熱伝導性」(heat-conducting)、「熱伝導性」(thermoconductive)又は「熱伝導性」(thermally conductive)という用語は同義である。
【0022】
本発明の文脈において、「熱伝導性フィラー(Z)」という用語は、少なくとも5W/mKの熱伝導率を有するフィラーを意味するものと理解されたい。
【0023】
本発明の文脈において、「熱伝導性プラスチック組成物(Y)」という用語は、フィラー及び添加剤を含まないプラスチックの熱伝導率、一般的には約0.2~0.3W/mK、を顕著に超えるプラスチック組成物を意味すると理解され、少なくとも0.6W/mKの熱伝導率を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の文脈において、粒子径(パラメータ:平均直径x50)、粒子径分布(パラメータ:標準偏差Sigma及び分布幅SPAN)又は粒子形状(パラメータ:アスペクト比w/l及び球形度SPHT)を記述するすべてのパラメータは、体積基準の分布に関連する。言及された指標は、例えば、ISO 13322-2及びISO 9276-6による動的画像解析によって、例えばレッチェテクノロジーのCamsizer X2装置を用いて測定することができる。
【0025】
当業者は、標準偏差は正規化されておらず、比較試料の平均粒径がほぼ等しい場合にのみ、異なる試料の粒度分布を評価するために有用な特性であることを認識している。したがって、本発明の文脈において、粒度分布の相対的な幅は、粒度分布の平均粒径x50加重幅、次式で定義される無次元分布幅SPANを用いて記載される:SPAN=(x90-x10)/x50。
アスペクト比は粒子形状を表す指標として用いられる。古い先行技術では、アスペクト比を幅に対する長さの比(l/w)で表すことが多い。これは1以上の値を与える。新しい文献、例えばISO 9276-6では、アスペクト比は長さに対する幅の逆比(w/l)で計算される。これは1以下の値を与える。この2つの指標は、逆数を形成することによって相互変換することができる。本発明の文脈において、アスペクト比は粒子の長さに対する幅の比(w/l)として定義される。粒子幅は、粒子投影の測定されたすべての最大の弦の最小値であるx minとして定義され、粒子長さは、粒子の測定されたすべてのフェレ径の最長フェレ径であるxFe maxとして定義される。より詳細な情報は、例えば、「Operating Instructions / Manual Particle Size Analysis System CAMSIZER(R)」、Retsch Technology GmbH、42781 Haan; Doc. No. CAMSIZER V0115に記載されている。これにより、アスペクト比は以下の式で求められる:b/l=x min/xFe max
球形度SPHTは、投影された粒子と同じ円周Pを持つ円の面積に対する解析される粒子の投影面積Aから、以下の式に従って計算される(より詳細な情報は、例えば、「Operating Instructions / Manual Particle Size Analysis System CAMSIZER(R)」、Retsch Technology GmbH、42781 Haan; Doc. CAMSIZER V0115に記載されている。):SPHT=4πA/P
指標SPHTは、ISO 9276-6による円形度Cの2乗に相当する。
【0026】
本発明の説明において過剰なページ数を生じさせないために、個々の特徴の好ましい実施形態のみを以下に明記する。
しかしながら、専門的な読者は、この種の開示は、異なる好適なレベルのあらゆる組み合わせも明示的に開示され、明示的に望まれることを意味するものとして明示的に理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(プラスチック組成物(S))
好適なプラスチックとしては、先行技術に、例えば、Ullmann、第15巻、457頁以降、Verlag VCHに記載されているような、全ての公知の古典的な非シリコーンベースのエラストマー、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0028】
好適な熱可塑性ポリマーは、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル(ASA)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、ポリカーボネート、ポリウレア、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトンならびにそれらのコポリマー、混合物及び/又はポリマーブレンド、例えばPC/ABS、MABSである。
好適な熱硬化性ポリマーは、例えばフェノール樹脂、熱硬化性ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリエステル及びエポキシ樹脂、アクリル樹脂である。
【0029】
好適なエラストマーは、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリアクリレートエラストマー、ポリウレタンである。
【0030】
異なるポリマーの混合物やコポリマーも好適である。コポリマーという用語は、異なる化学構造のプレポリマー又はモノマーが互いに重合された変種を含む。好適な例としては、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA、VAE)が挙げられる。ターポリマーとも呼ばれる2種類以上の物質の混合物も適している。
【0031】
好ましいプラスチックは、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレア、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA、VAE)、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンから選択される。特に好ましいプラスチックは、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シラン変性ポリマー(SMPs)である。
【0032】
本発明のプラスチック組成物(S)は、さらなる添加物及び添加剤を含んでもよい。これらは当業者に公知であり、先行技術に記載されている。さらなる添加剤の例は、加工助剤、安定剤、難燃剤、殺菌剤、香料、活性又は不活性フィラー、可塑剤、難燃性付与剤、電気的特性に影響を与えるための薬剤、分散剤、溶剤、顔料、衝撃改質剤、熱安定剤、染料、ネソケイ酸塩、接着促進剤である。
【0033】
本発明の付加架橋性プラスチック組成物(S)は、その粘度を低下させるためのさらなる添加物として、アルキルトリアルコキシシロキサン(F)を含有することができる。それらが存在する場合、それらは、プラスチック組成物(S)の全質量を基準にして、好ましくは0.1~8質量%、より好ましくは0.2~6質量%の量で存在し、ここで、アルキル基は、2~20個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、アルキル基であり、アルコキシ基は、1~5個の炭素原子を含んでいてもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基が挙げられ、メトキシ基及びエトキシ基が特に好ましい。特に好ましいアルキルトリアルコキシシロキサン(F)は、n-オクチルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン及びn-オクタデシルトリメトキシシランである。
【0034】
(熱伝導性フィラー(Z))
本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、少なくとも5W/mKの熱伝導率を有する少なくとも1種の熱伝導性フィラー(Z)を含む。但し、本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、熱伝導性フィラー(Z)として、少なくとも更なる特定の特徴a)~c)も満たす金属シリコン粒子を少なくとも20体積%含み、熱伝導性フィラー(Z)の総量が少なくとも50体積%である。
【0035】
a)これらの本発明の金属シリコン粒子(Z)の平均直径x50は、30~200μmの範囲内、好ましくは35~180μmの範囲内、より好ましくは40~160μmの範囲内にある。
【0036】
b)本発明の金属シリコン粒子(Z)は、主に丸みを帯びており、好ましくは溶融プロセスによって製造される。本発明による粒子の主に丸みを帯びた形状は、幅/長さの比(アスペクト比w/l)が少なくとも0.76、好ましくは少なくとも0.77、より好ましくは少なくとも0.78、特に少なくとも0.79であることを特徴とする。
【0037】
本発明のシリコン粒子(Z)は、少なくとも0.77、好ましくは少なくとも0.78、特に好ましくは少なくとも0.79の球形度SPHTを有する。
特に好ましい実施形態では、本発明のシリコン粒子(Z)は少なくとも0.76のアスペクト比を有し、同時に少なくとも0.77、好ましくは少なくとも0.78、特に好ましくは少なくとも0.79の球形度SPHTを有する。
【0038】
c)粒径の分布幅(SPAN)は、SPAN=(x90-x10)/x50として定義される。本発明の金属シリコン粒子(Z)のSPANは、少なくとも0.28、好ましくは少なくとも0.30、特に好ましくは少なくとも0.35、特に好ましくは少なくとも0.38である。好ましい実施形態では、SPANは0.40~2.5、好ましくは0.41~2.2、特に好ましくは0.5~2.0の間である。
SPANが本発明の範囲にあるシリコン粒子(Z)の単一の画分を使用するか、又は本発明のシリコン粒子(Z)の特徴c)による本発明の粒度分布幅を達成するために2つ以上の画分のシリコン粒子を混合するかは重要ではない。シリコン粒子の2つ以上の画分を混合する場合、これは、本発明の組成物の1つ以上の成分と混合する前に混合してもよいし、シリコン粒子の画分を本発明の組成物の1つ以上の成分と別々に混合してもよい。この添加の順序は重要ではない。
本発明の分布幅を達成するために4つ以下の画分のシリコン粒子が混合されると好ましく、本発明の分布幅を達成するために3つ以下の画分のシリコン粒子と混合されると好ましく、本発明の分布幅を達成するために2つ以下の画分の本発明のシリコン粒子が使用されると特に好ましく、単一の本発明のシリコン粉末のみが使用されると特に好ましい。
【0039】
好ましい実施形態では、シリコン粒子(Z)は以下の特徴d)も満たす:
d)本発明のシリコン粒子(Z)は、いずれの場合においてもシリコン粒子(Z)の総量を基準として、2μmより小さいシリコン粒子を好ましくは1.5質量%以下、好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下含有する。特に好ましいシリコン粒子(Z)は、2μmより小さい粒子画分を実質的に含まない。「実質的に含まない」という用語は、そのような粒子の存在が、本発明の粒子(Z)の「不純物」の文脈において許容され、その発明の効果を妨げないことを意味すると理解されたい。
【0040】
本発明のシリコン粒子(Z)は、20μm以下の直径を有する粒子画分を、いずれの場合においてもシリコン粒子の総量を基準として、好ましくは20質量%未満、好ましくは15質量%未満、特に好ましくは10質量%未満含む。
【0041】
本発明のシリコン粒子(Z)は、10μm以下の直径を有する粒子画分を、いずれの場合もシリコン粒子の総量を基準として、好ましくは15質量%未満、好ましくは10質量%未満、特に好ましくは5質量%未満含む。
【0042】
特に好ましい実施形態では、10μm以下の平均直径を有するシリコン粒子の意図的な添加は行われない。また、15μm以下の粒径を有するシリコン粒子を添加しないことが好ましい。平均直径が20μm以下のシリコン粒子を意図的に添加しないことが特に好ましい。
【0043】
先行技術で採用されているような非常に微細なシリコン粒子又は粉砕されたシリコン粒子は、そのような粒子が比較的大きな表面積を有し、多くのポリマーを結合するという欠点も有する。これは、プラスチック組成物の粘度を非常に著しく増加させるため、比較的低いフィラー含有量、したがって低い熱伝導率を有する混合物しか得られない。フィラー含有量が高くなると、組成物は非常に硬くなり、例えばディスペンサーのような古典的なプロセスではもはや吐出できなくなる。粉砕シリコン粒子を含むプラスチック組成物は、比較的燃焼性があることも証明されている。a)~c)の特徴を同時に満たす本発明の比較的大きく実質的に丸みを帯びたシリコン粒子は、良好な加工性と比較的低い燃焼性を示す、高いフィラー含有率と高い熱伝導率を有する本発明のプラスチック組成物を得ることを可能にするという利点を有する。
【0044】
金属シリコンは、熱伝導性フィラー(Z)として使用するのに非常に有利な特性をいくつか有している。例えば、シリコン粒子(Z)の非常に高い熱伝導率は、そこから製造される熱伝導性プラスチック組成物(Y)の熱伝導率を向上させる。シリコン粒子(Z)の密度が低いため、上記の組成物及びそれから製造される部品の重量が減少し、コスト削減に役立つ。電気伝導率が低いため、電気絶縁性部品の製造が可能であり、絶縁耐力が向上する。シリコン粒子(Z)のモース硬度が低いため、加工時の磨耗が少ない。当業者であれば、シリコンの純度が低下すると、前述の利点の全部又は一部が失われることを認識している。本発明のシリコン粒子(Z)の純度、従ってシリコンの含有量は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%である。
【0045】
当業者はさらに、特定の条件下では金属シリコン粒子が可燃性であり、その粉塵が爆発の危険をもたらすことを認識している。当業者はまた、粉塵形成の危険性、金属粉末の可燃性及び爆発の危険性は、粒子径が小さくなるにつれて顕著に増大することも認識している。30μm以下の非常に小さなシリコン粒子が多くの用途に適さないのはこのためである。最小着火エネルギーが低いため、このような粒子は取り扱いが危険であり、工業処理の過程で複雑で費用のかかる安全対策が必要となる。さらに、30μm以下の非常に小さなシリコン粒子を含む組成物は、比較的燃焼性が高いことが判明している。
【0046】
平均粒径が30μmを超えるより大きなシリコン粒子は、比較的高い最小着火エネルギーを示し、したがって工業的工程における処理がより単純で安全である。それにもかかわらず、30μmより大きい非発明の粉砕された鋭角状のシリコン粒子を含む組成物は、比較的可燃性が高いことが証明されている。
【0047】
平均粒径が200μmを超えるシリコン粒子は、熱伝導性プラスチック組成物の多くの用途には適さない。なぜならばこのような大きな粒径のシリコン粒子は、例えばギャップフィラーで充填しようとする小さな隙間には入らないことが多いからである。さらに、このような大きな粒径のシリコン粒子でさえ、比較的高い可燃性を示すことが判明している。
【0048】
充填ポリマーの流動性及び加工性を改善するために球状フィラーを使用することは、先行技術においてよく知られている。しかしながら、先行技術には、熱伝導性プラスチックに球状シリコン粒子を使用した文献はごくわずかしかない。開示された組成物は、30μm未満の平均粒径を有する非常に小さい球状シリコン粒子のみを含んでおり、その欠点は上述した通りである。
【0049】
現在、全く驚くべきことに、本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、本発明の金属シリコン粒子を必要最小限の量で同時に特徴a)~c)を満たすように含有する場合、熱伝導性を有すると同時に低燃焼性を示すことが見出された。
【0050】
本発明のプラスチック組成物(Y)は、このような金属シリコン粒子(Z)を少なくとも20体積%、好ましくは少なくとも25体積%、より好ましくは少なくとも30体積%、特に好ましくは少なくとも35体積%含有する。プラスチック組成物(Y)がより少量の金属シリコン粒子(Z)を含有する場合、金属シリコンの所望の有利な効果、例えば低密度及び高熱伝導性は、もはや十分に明らかではない。
【0051】
先行技術には、丸みを帯びた形状を有する細かく分離された金属粒子を製造するための様々な方法が開示されている。本発明のシリコン粒子(Z)は、好ましくは溶融状態から製造され、その結果、比較的滑らかな表面を示し、破断部位、鋭いエッジ及び鋭い角が実質的にない。このことは、例えば、破砕(crushing)、研削(griding)、粉砕(milling)によって最終形状にされた従来の粉砕粒子とは異なる。粒子が、例えば粉砕によって最初の工程で冷たい状態で粉砕され、その後、例えばプラズマを使用したホットゾーンでの熱処理によって融点以上に加熱されることによって溶融形態にされるか、又はシリコン融液が最初に製造され、その後、例えばアトマイズによって粉砕されるかは重要ではない。本発明のシリコン粒子が、シリコン融液の噴霧又はアトマイズ、及びその後の冷却によって本発明の固体粒子形状にされる場合が好ましい。
【0052】
本発明のシリコン粒子(Z)を製造するための好適な方法は、当業者に公知であり、例えば、「Pulvermetallurgie: Technologien und Werkstoffe, Schatt, Werner, Wieters, Klaus-Peter, Kieback, Bernd, S. 5-48, ISBN 978-3-540-681112-0, E-Book: https://doi.org/10.1007/978-3-540-68112-0_2」の第2章2に記載されている。本発明のシリコン粒子(Z)を製造するための好ましい方法は、ガスアトマイゼーションとしても知られる不活性ガス噴霧、液体アトマイゼーション又は水アトマイゼーションプロセスとしても知られる加圧水噴霧、又は遠心アトマイズゼーションは回転アトマイゼーションとしても知られる溶融紡糸プロセスである。
記載された方法により、非常に異なる粒径範囲、特に数マイクロメートルから数ミリメートルの平均粒径範囲の金属シリコン粒子を製造することが可能になる。さらに、金属シリコン粒子は、非常に異なる粒子形状、例えば「スパッタ状」、すなわち非常に不規則な、楕円体、球状、及び非常に異なる粒度分布幅で製造することができる。
現在、全く驚くべきことに、専ら、主に丸みを帯び、同時に本発明の特徴a)~c)を満たすシリコン粒子が、本発明の有利な特性、特に比較的低い可燃性を示すことが見出されている。
【0053】
本発明の金属シリコン粒子(Z)の製造方法は、好ましくは、粒子がその本発明の主に丸みを帯びた形状で得られ、したがって特徴a)~c)を満たし、鋭角状又は尖鋭状の粒子を実質的に含まないように実施される。本発明の金属シリコン粒子(Z)の製造方法は、好ましくは、粒子が本発明による主に丸みを帯びた形状で得られ、したがって特徴a)~c)を満たし、スパッタ状、結節状、鋭角状又は尖鋭状の粒子を実質的に含まないように実施される。固化した粒子は、例えば、分級(classifying)、篩い分け(sieving)、又は篩い分け(sifting)など、後続の工程で一般的に使用される方法によってサイズ別に分離することができる。これらの方法により、凝集粒子や結合粒子を分離することが可能であり、実質的に粒子は破壊されない。「実質的に丸みを帯びた/実質的に含まない」という用語は、そのような粒子の存在が本発明の粒子(Z)の「不純物」という文脈で許容され、その発明の効果を妨げないことを意味すると理解されたい。
【0054】
これらの金属シリコン粒子(Z)に加えて、本発明のプラスチック組成物(Y)は、5W/mKより大きい熱伝導率を有するさらなる熱伝導性フィラー(Z)を含有してもよい。このようなさらなる熱伝導性フィラー(Z)の例は、酸化マグネシウム、金属アルミニウム粉末、金属銀粉末、酸化亜鉛、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、グラファイト等である。好ましいさらなるフィラーは、アルミニウム粉末、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化アルミニウムである。特に好ましいさらなる熱伝導性フィラー(Z)は、酸化亜鉛、水酸化アルミニウ及び酸化アルミニウムである。前記のさらなるフィラーの形状は原則限定されない。前記の粒子は、例えば、球状、楕円球状、針状、管状、薄片状、繊維状、又は不規則な形状であってよい。これらは、好ましくは、球状、楕円球状又は不規則な形状である。前記のさらなる熱伝導性フィラー(Z)の平均直径は、好ましくは0.01~200μmの範囲内、好ましくは0.1~150μmの範囲内、特に好ましくは0.2~120μmの範囲内、特に0.4~80μmの範囲内にある。
【0055】
密度が非常に高いフィラーは、それらが部品の重量を非常に著しく増加させるため、例えば航空機や電気自動車に用いるには不利となる。前記のさらなる熱伝導性フィラー(Z)は、好ましくは6.0g/cm以下、好ましくは4.5g/cm以下であり、特に好ましくは3.0g/cm以下の密度を有する。
【0056】
本発明のプラスチック組成物(Y)は、5.0g/cmより大きい密度を有するさらなる熱伝導性フィラー(Z)を、24質量%以下含有していると好ましく、好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは16質量%以下であり、特に好ましくは12質量%以下である。
【0057】
多くの用途において、本熱伝導性組成物の電気伝導性は、例えばショートにつながる可能性があることから望まれない。本発明のプラスチック組成物(Y)は、好ましくは、比抵抗が少なくとも1Ω・mm/mである熱伝導性フィラー(Z)のみを含有する。
【0058】
好ましい本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、本発明の金属シリコン粒子を唯一の熱伝導性フィラー(Z)として、又は3つまでのさらなる熱伝導性フィラー(Z)との組み合わせにより含有する。5%までの不純物は、さらなるフィラー(Z)を構成するとはみなされない。
【0059】
本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)中の熱伝導性フィラー(Z)の総量は50~95体積%であり、好ましくは60~90体積%であり、好ましくは65~88体積%である。該プラスチック組成物(Y)に含まれる熱伝導性フィラー(Z)の量が少ないと熱伝導性が不十分であり、該プラスチック組成物(Y)に含まれる熱伝導性フィラー(Z)の量が多いと、組成物(Y)が高粘度になったり脆くなったりして加工が困難となる。
【0060】
本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、少なくとも0.6W/mKの熱伝導率を示し、好ましくは少なくとも0.8W/mKであり、好ましくは少なくとも1.2W/mKであり、特に少なくとも1.5W/mKである。
【0061】
本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)の粘度は、非常に広い範囲にわたって変化してよく、その用途の要求に合わせることができる。本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)の粘度の調整は、好ましくは、先行技術からの慣用的な方法に従って、熱伝導性フィラー(Z)の含有量及び/又は、プラスチック組成物(S)の組成を介して行われる。これらは当業者に公知である。粘度の調整は、好ましくは、成分(S)及び(Z)の組み合わせの選択及び添加剤の任意添加によって行われる。
【0062】
本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)の密度は4.5g/cm未満であり、好ましくは4.0g/cm未満であり、好ましくは3.5g/cm未満であり、特に3.3g/cm未満である。
【0063】
[熱伝導性プラスチック組成物(Y)の製造方法]
本発明はさらに、個々の成分を混合することによって、本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)を製造する方法を提供する。
本発明の熱伝導性フィラー(Z)の配合は、例えば、マスターバッチを通じて、ペーストを通じて、又は直接的な添加を通じて、配合することにより行うことができる。本発明の組成物(S)は、任意に、本発明の熱伝導性フィラー(Z)の配合中にさらなる添加剤と混和してもよい。前記の成分は、原則、任意の所望の順序で添加してよい。
前記の成分は、従来技術の慣用的な連続式及びバッチ式の方法によって混合することができる。好適な混合装置には、公知の装置全てが含まれる。それらの例としては、一軸又は二軸連続ミキサー、ダブルローラー、Rossミキサー、Hobartミキサー、デンタルミキサー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ニーダー、及びHenschelミキサー又は類似のミキサーがある。それらの好ましい処理方法は、一般的には、使用するポリマー原料に依存する。
【0064】
本発明はさらに、非シリコーンベースのエラストマー、熱可塑性、及び熱硬化性ポリマー及びコポリマーから選択されるプラスチック組成物(S)の熱伝導率を向上するための、熱伝導性フィラー(Z)の使用を提供する。
【0065】
本発明はさらに、充填又は塗布及びその後の架橋又は硬化により得られるプラスチック製品を提供する。前記の硬化されたプラスチック製品(例えば熱伝導性要素)は、優れた熱伝導性及び正確な膜厚を示す。
本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)の硬度は、非常に広い範囲にわたって変化してよく、その用途の要求に合わせることができる。したがって、例えば比較的柔らかくフレキシブルな製品がギャップフィラー用途における使用に好まれる一方、比較的硬く剛性の高い製品は、熱伝導性接着剤用途における使用に好まれる。本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)の硬度の調整は、一般的に、使用するポリマー原料に依存し、従来技術からの慣用的な方法に従って行われる。これらは当業者に公知である。
本発明のプラスチック製品は、少なくとも0.6W/mKの熱伝導率を示し、好ましくは少なくとも0.8W/mKであり、好ましくは少なくとも1.2W/mKであり、特に少なくとも1.5W/mKである。
【0066】
本発明はさらに、前記の熱伝導性プラスチック組成物(Y)の、電子機器における、発熱体又は放熱体からの放熱のための熱伝導性ペースト、ギャップフィラー(=熱伝導性要素)、熱伝導性パッド、熱伝導性接着剤及びポッティングコンパウンドとしての使用を提供する。
前記の熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、発熱体若しくは放熱体に塗布され、又は前述の発熱体若しくは放熱体がそれらでコートされるか、又は既に架橋若しくは硬化された熱伝導性プラスチック組成物(Y)が、発熱体若しくは放熱体の間に、例えば熱伝導性パッドの形態で導入される。
好適な発熱体は、例えば、電気供給装置の電子機器や電子デバイスの中、例えば供給トランジスタ、パワーモジュール、トランジスタ、熱電対、温度センサー;発熱電子部品、例えばCPUのような集積回路部品や電池に見られる。自動車産業では、特にリチウムイオンバッテリー、充電インフラ、制御装置およびセンサーの近傍に発熱体が見られる。好適な放熱器は、ヒートディストリビューター、ヒートシンク、冷却フィンなどの放熱部品から構成される。熱伝導性プラスチック組成物(Y)を発熱体と放熱体の間に導入すると、発熱体から放熱体へ熱が効率よく伝導される。これにより、発熱体を効果的に冷却することができる。本発明の熱伝導性プラスチック組成物(Y)は、例えば電気自動車のリチウムイオン電池のギャップフィラーや、電気自動車の電子部品のポッティングコンパウンドとしての使用に特に適している。
【0067】
<測定方法>
<熱伝導率ラムダの測定>
熱伝導率は、ASTM D5470-12に準拠し、TIM Tester(Steinbeis Transferzentrum Waermemanagement in der Elektronik, Lindenstr. 13/1、72141、ヴァドルフヘスラッハ、ドイツ)を使用して測定する。2つの試験シリンダーの間に置かれた試料の熱抵抗を、一定の熱流によって測定する。該試料の膜厚を使用して、試料の有効熱伝導率を計算する。
測定には、ステンシルを用いて試料を塗布し、測定シリンダーを手動で1.9~2.0mmの厚さにし、過剰な材料を除去する。熱伝導率の測定は、1.8-1.6-1.4-1.2-1.0mmの一定のギャップで行う。評価は、統合報告ユニットによって行う。妥当性試験(直線決定係数>0.998)後、熱伝導率ラムダは、有効熱伝導率W/(m*K)として報告される。
【0068】
<粒径及び粒子形状の解析>
粒径(平均直径x50)、粒度分布(パラメータ:標準偏差シグマ及び分布幅SPAN)及び粒子形状(パラメータ:アスペクト比w/l及び球形度SPHT)の解析を、ISO 13322-2及びISO 9276-6に準拠して、Retsch Technology社製のCamsize X2(測定原理:動的画像解析)を用いて行った(解析タイプ:粉末及び顆粒の乾式測定;測定範囲:0.8μm~30mm;X-Jetを用いる圧縮空気分散、分散圧力=0.3バール)。評価は、x minモデルに準拠した体積基準で行った。
【実施例
【0069】
以下の例は、本発明をどのように実施することができるかを原理的に説明するものであるが、これらは上述の発明をそこに開示されるものに限定するものではない。
【0070】
以下の例において、部及びパーセンテージで報告される全ての量は、特に断りのない限り質量に基づいている。特に断りのない限り、以下の例は、常圧、すなわち約1000hPaで、室温、すなわち約20℃、又はさらなる加熱若しくは冷却を行わずに、室温で反応物を組み合わせて確立される温度で、実施される。
【0071】
<使用した本発明及び非発明のシリコン粉末及びシリコン粉末混合物の概要>
表1は、本例で使用した本発明及び非発明のシリコン粉末の特性をまとめたものである。
発明例1は、不活性ガスアトマイゼーションによって得られ、そのため主に丸みを帯び、さらに比較的広い、本発明の粒度分布を有する本発明のシリコン粉末を使用する。
非発明の比較例C1は、不活性ガスアトマイゼーションによって得られ、したがって主に丸みを帯びているが、比較的狭い、非発明の粒度分布を有し、本発明の特徴c)を満たさない非発明のシリコン粉末を使用する。
非発明の比較例C2は、比較的広い、本発明の粒度分布を有するが、粉砕処理によって得られ、そのため、実質的に鋭角状で角張った、本発明の特徴b)を満たさない非発明のシリコン粉末を使用する。
【0072】
<略語>
Ex. 例
C 比較例
PS 粒子形状
r 主に丸みを帯びている
a 角張っている
I 本発明
NI 非発明
n.d. 測定されない
【0073】
表1:使用したシリコン粉末の概要
【表2】
【0074】
<1成分型硬化型熱伝導性シリコン粉末含有プラスチック成形品の一般的な製造手順1(GP1)(発明例2及び非発明例C3~C5)>
[ステップ1:1成分型硬化型熱伝導性シリコン粉末含有プラスチック組成物の製造]
1成分型硬化型熱伝導性プラスチック組成物及びシリコン粉末を、SpeedMixer DAC 400 FVZ(Hauschild&Co KG,Waterkamp 1,59075 Hamm、ドイツ)を用いて2350rpmの速さで25秒間混合した。前記のシリコン粒子含有プラスチック組成物を、容器の縁からのシリコン粉末の残りが撹拌されるよう、スパチュラで撹拌した。その後、前記の混合物を、SpeedMixerを用いて2350rpmでさらに25秒間均一化し、室温まで冷却した。投入した原料と分量は表2に示す。
ペースト状の塊が得られた。
[ステップ2:硬化型熱伝導性シリコン粉末含有プラスチック成形品の製造]
ステップ1からの前記のシリコン粉末含有プラスチック組成物の硬化を、製造業者の仕様書に従い、使用したプラスチック組成物の特定の硬化条件に従って行った。用いた条件は表2に示す。
【0075】
<熱伝導性シリコン粉末含有2成分型プラスチック組成物の一般的な製造手順2(GP2)(発明例3及び非発明例C6~C8)>
[ステップ1:2成分型熱伝導性シリコン粉末含有プラスチック組成物の製造]
2成分型プラスチック組成物のA成分及びB成分をそれぞれ個別に、シリコン粉末と、SpeedMixer DAC 400 FVZ(Hauschild&Co KG,Waterkamp 1,59075 Hamm、ドイツ)を用いて2350rpmの速さで25秒間混合した。前記のシリコン粒子含有プラスチック組成物を、容器の縁からのシリコン粉末の残りが撹拌されるよう、それぞれスパチュラで撹拌した。その後、前記の混合物をそれぞれ、SpeedMixerを用いて2350rpmでさらに25秒間均一化し、室温まで冷却した。投入した原料と分量は表3に示す。
それぞれのペースト状の塊が得られた。
[ステップ2:架橋された熱伝導性シリコン粉末含有プラスチック成形品の製造]
ステップ1で製造した前記のシリコン粉末含有A成分及びB成分を、混ぜ合わせてSpeedMixerを用いて2350rpmで25秒間均一化した。前記の2成分型シリコン粉末含有プラスチック組成物の硬化を、製造業者の仕様書に従い、使用したプラスチック組成物の特定の硬化条件に従って行った。用いた条件は表3に示す。
【0076】
<例4:燃焼性試験>
燃焼性試験を、UL 94 HBに基づく簡易試験で行う。
例2及び3による本発明のプラスチック組成物、並びに比較例C3~C6による非発明のプラスチック組成物を、長さ150mm、幅10mm、及び厚さ2mmのアルミニウムプレートに2mm厚の層で塗布し、表2及び表3の詳細に従って硬化させる。前記のプレートを、前記のアルミニウム支持体が下に向き、及びナイフコートされた試料が上に向くように、右側の長辺を垂直にして固定する。バーナーを、青色火炎が325mmの長さで形成されるように調整する。前記の炎を、青色火炎の先端が試験片の左端から20mm離れた試験片の前面に向くよう、試験片に水平に向ける。前記の炎は、30秒照射した後に取り除く。
燃焼性試験及び評価:前記の火炎を当てている間、火炎パターン及び光っている火炎の高さを測定する。試験片の残炎時間(残炎(afterburn)及び残じん(afterglow)からなる総時間)を記録する。
【0077】
表2:シリコン粉末含有1成分型プラスチック組成物の組成及び燃焼性
【表3】
【0078】
非発明の比較試験C3は、比較例C2による、特に特徴b)を満たさない、非発明の、粉砕シリコン粒子を64.6体積%含み、その結果、非常に高粘度のプラスチック組成物となり、均一な層で塗布することができず、試験できなかった。
【0079】
表3:シリコン粉末含有2成分型プラスチック組成物の組成及び燃焼性
【表4】
【0080】
非発明の比較試験C6は、比較例C2による、特に特徴b)を満たさない、非発明の、粉砕シリコン粒子を73.4体積%含み、その結果、非常に高粘度のプラスチック組成物となり、均一な層に塗布することができず、試験できなかった。
【0081】
同時に特徴a)~c)を満たす例2及び3による本発明のプラスチック組成物が、比較的低い燃焼性を示すことが驚くほど明らかになる。
【0082】
<例5:シリコン粉末のイン・サイチュ混合物を含む熱伝導性プラスチック組成物の製造(本発明)>
本発明の熱伝導性プラスチック組成物を、一般的な手順GP1に従って製造した。ここで、プラスチック組成物として用いたのはサウダル社「Transpacryl」(透明アクリル)46.0gであり、シリコン粉末として個別に添加して本発明のシリコン粉末混合物をイン-サイチュ形成するために混合したものを次に示す:x50が68.6μm、SPANが0.20、w/lが0.85、及びSPHTが0.84である非発明のシリコン粉末18.4g、比較例C2からの非発明のシリコン粉末36.8g、x50が105.4μm、SPANが0.24、w/lが0.83、及びSPHTが0.92である非発明のシリコン粉末73.6g、x50が133.8μm、SPANが0.25、w/lが0.82、及びSPHTが0.94である非発明のシリコン粉末36.8g、並びにx50が162.1μm、SPANが0.22、w/lが0.82、及びSPHTが0.94である非発明のシリコン粉末18.4g。
これにより、本発明のシリコン粒子を64.6体積%含む、本発明のプラスチック組成物が得られた。本発明のペースト状の塊は良好な加工容易性を有する。例4による燃焼性試験の結果として、中程度の火炎パターンが生じ、火炎の高さは9cm、及び残炎時間は10秒であったため、基準として同じプラスチック組成物を用いた比較例C3~C5よりも著しく弱い燃焼性を示す。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性プラスチック組成物(Y)であって、
- 非シリコーンベースプラスチック組成物(S)を5~50体積%、及び
- 少なくとも5W/mKの熱伝導率を有する少なくとも一つの熱伝導性フィラー(Z)を50~95体積%
含有し、但し、
前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)が少なくとも0.6W/mKの熱伝導率を有し、及び
熱伝導性フィラー(Z)として、以下の特徴:
a)平均直径x50が30~200μmの範囲内にあること;
b)主に丸みを帯びており、幅/長さの比(アスペクト比w/l)が少なくとも0.76であること;
c)分布幅SPAN((x90-x10)/x50)が少なくとも0.28であること
を満たす金属シリコン粒子が少なくとも20体積%存在する、熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項2】
前記プラスチック組成物(S)が、非シリコーンベースエラストマー、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマー、並びにコポリマーから選択される、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項3】
前記プラスチック組成物(S)が、
- 熱可塑性ポリマーからなる群:ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル(ASA)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、ポリカーボネート、ポリウレア、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン、並びにそれらのコポリマー、混合物及び/又はポリマーブレンド、
- 熱硬化性ポリマーからなる群:フェノール樹脂、熱硬化性ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、
- エラストマーからなる群:スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリアクリレートエラストマー、ポリウレタン、
- それらの混合物、及び上記のポリマーのプレポリマー又はモノマーが互いに重合したコポリマー、
から選択される、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項4】
前記プラスチック組成物(S)が、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレア、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA、VAE)、シラン変性ポリマー(SMPs)、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレン、並びにそれらの混合物及びコポリマーから選択される、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項5】
前記プラスチック組成物(S)が、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシラン変性ポリマー(SMPs)並びにそれらの混合物及びコポリマーから選択される、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項6】
前記プラスチック組成物(S)が、熱伝導性フィラー(Z)として金属シリコン粒子を少なくとも25体積%含有する、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項7】
熱伝導性フィラー(Z)として存在する前記金属シリコン粒子が、以下のさらなる条件:
d)2μmより小さいシリコン粒子を1.5体積%以下含有すること
も満たす、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項8】
熱伝導性フィラー(Z)として存在する前記金属シリコン粒子が溶融状態から製造されている、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項9】
熱伝導性フィラー(Z)として存在する前記金属シリコン粒子が噴霧又はアトマイズによってシリコン融液から固体粒子形状にされる、請求項1に記載の熱伝導性プラスチック組成物(Y)。
【請求項10】
個々の成分を混合することによる、請求項1~9のいずれか一項に記載の前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)の製造方法。
【請求項11】
非シリコーンベースエラストマー、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマー並びにコポリマーから選択される請求項1に記載のプラスチック組成物(S)の熱伝導率を向上させる、前記熱伝導性フィラー(Z)の使用。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)を、充填又は塗布し、その後架橋又は硬化させることにより得られる、プラスチック製品。
【請求項13】
電子機器における発熱体又は放熱体からの放熱のための、熱伝導性ペースト、ギャップフィラー(=熱伝導性要素)、熱伝導性パッド、熱伝導性接着剤及びポッティングコンパウンドとしての、請求項1~9のいずれか一項に記載の前記熱伝導性プラスチック組成物(Y)の使用。
【国際調査報告】