(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20241024BHJP
F17C 3/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F17C13/00 302E
F17C3/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529912
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2022082536
(87)【国際公開番号】W WO2023089156
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マルタン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ベノワ アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デラノー セバスティアン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB03
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BC01
3E172BD02
3E172CA27
3E172DA01
3E172DA90
(57)【要約】
本発明は、荷重支持壁に組み込まれた流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの壁に関し、二次断熱ブロックと、カバープレート(10)に設けられた凹部内に配置された可動部分(102)を含む一次アンカーシステム(97)によって前記二次断熱ブロックに固定された一次断熱ブロックと、前記カバープレートに固定され、前記凹部内の前記可動部分を厚み方向に保持する固定部分(101)と、備え、前記可動部分は支持面と面一の上面を有し、前記可動部分は、溶接フランジの長手方向と少なくとも平行に移動可能であり、前記可動部分は、本体の少なくとも1つの表面を覆うスライド層(106)を含み、前記スライド層は前記固定部分と接触しており、前記可動部分よりも摩擦係数が低い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯蔵するための密閉断熱タンク(1)であって、
前記タンク(1)は、タンク壁を含み、
前記タンク壁は、前記タンク壁の厚さの方向に、荷重支持壁(3)に固定される二次断熱バリア(2)、前記二次断熱バリア(2)に接する二次密閉メンブレン(4)、前記二次密閉メンブレン(4)に接する一次断熱バリア(5)、及び前記一次断熱バリア(5)に接する一次密閉メンブレン(6)をこの順序で備え、
前記二次断熱バリア(2)は、前記二次密閉メンブレン(4)の支持面を形成するカバープレート(10)を含む二次断熱ブロック(7)を含み、
前記二次密閉メンブレン(4)は、複数の金属ストレーキ(21)を備え、前記金属ストレーキ(21)は、前記タンクの内側に向かって隆起したエッジ(32)を有し、前記金属ストレーキ(21)は、前記隆起したエッジ(32)によって、前記二次断熱ブロック(7)に機械的に固定された溶接フランジの2つの面に対になって溶接されており、前記溶接フランジは、前記カバープレート(10)に形成された長手方向に延びる溝(20)に部分的に係合し、
前記一次断熱バリア(5)は、一次アンカーシステム(97)によって前記二次断熱ブロック(7)に固定された一次断熱ブロック(22)を含み、
前記一次アンカーシステム(97)は、
-前記カバープレートに形成され、前記支持面上に現れる凹部と、
-前記凹部内に配置され、本体を含む可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と、
-前記カバープレート(10)に固定され、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と相互作用して、前記可動部分を前記凹部内で厚さ方向に固定する固定部分(101、201)と、
を備え、
前記凹部及び前記固定部分(101、201)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)が前記金属ストレーキの前記長手方向に少なくとも平行に移動できるように構成され、
前記固定部分(101)は、開口部(103)を有し、前記本体はベース(110、210、310、410、510、610、710)と上部(114、214、314、414、514、614、714)とを含み、前記上部は前記開口部を介して前記固定部分の上面と面一となる上面を有し、前記ベースは前記固定部分(101、201)の前記開口部よりも広い幅を有し、
前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)は、前記本体の前記ベース(110、210、310、410、510、610、710)の少なくとも上面(111、211、311、411、511)を覆うポリマースライド層(106、206、306、406、506、606、706)を含み、前記スライド層(106、206、306、406、506、606、706)は前記固定部分(101、201)と接触し、前記本体よりも低い摩擦係数を有し、
前記カバープレート(10)は、前記凹部のエッジに座ぐりを備え、前記座ぐりは前記固定部分(101)を収容し、前記座ぐりの深さは前記固定部分(101)が前記支持面と面一となるように設定され、前記固定部分(101)は前記凹部及び前記座ぐりを完全に覆い、
前記ポリマースライド層(106、206、306、406、506、606、706)は、前記本体の前記上部の側面(115、215、315、415、515)も覆う、密閉断熱タンク(1)。
【請求項2】
前記ポリマースライド層は、粒子状充填剤が充填されたポリマーから作られ、前記粒子状充填剤は好ましくはナノ充填剤が含む、請求項1に記載の密閉断熱タンク。
【請求項3】
前記粒子状充填剤は、炭素、グラファイト、ガラス、セルロース、及び青銅から選択される少なくとも1つの材料から作られる、請求項2に記載の密閉断熱タンク。
【請求項4】
流体を貯蔵するための密閉断熱タンク(1)であって、
前記タンク(1)は、タンク壁を含み、
前記タンク壁は、前記タンク壁の厚さの方向に、荷重支持壁(3)に固定された二次断熱バリア(2)、前記二次断熱バリア(2)に接する二次密閉メンブレン(4)、前記二次密閉メンブレン(4)に接する一次断熱バリア(5)、及び前記一次断熱バリア(5)に接する一次密閉メンブレン(6)をこの順序で備え、
前記二次断熱バリア(2)は、前記二次密閉メンブレン(4)の支持面を形成するカバープレート(10)を含む二次断熱ブロック(7)を含み、
前記二次密閉メンブレン(4)は、複数の金属ストレーキ(21)を備え、前記金属ストレーキ(21)は、前記タンクの内側に向かって隆起したエッジ(32)を有し、前記金属ストレーキ(21)は、前記隆起したエッジ(32)によって、前記二次断熱ブロック(7)に機械的に固定された溶接フランジの2つの面に対になって溶接されており、前記溶接フランジは、前記カバープレート(10)に形成された長手方向に延びる溝(20)に部分的に係合し、
前記一次断熱バリア(5)は、一次アンカーシステム(97)によって前記二次断熱ブロック(7)に固定された一次断熱ブロック(22)を含み、
前記一次アンカーシステム(97)は、
-前記カバープレートに形成され、前記支持面上に現れる凹部と、
-前記凹部内に配置され、本体を含む可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と、
-前記カバープレート(10)に固定され、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と相互作用して、前記可動部分を前記凹部内で厚さ方向に固定する固定部分(101、201)と、
を備え、
前記凹部及び前記固定部分(101、201)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)が前記金属ストレーキの前記長手方向に少なくとも平行に移動できるように構成され、
前記固定部分(101)は、開口部(103)を有し、前記本体はベース(110、210、310、410、510、610、710)と上部(114、214、314、414、514、614、714)とを含み、前記上部は前記開口部を介して前記固定部分の上面と面一となる上面を有し、前記ベースは前記固定部分(101、201)の前記開口部よりも広い幅を有し、
前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)は、前記固定部分(101、201)と接触し、前記本体よりも低い摩擦係数を有するスライド層(106、206、306、406、506、606、706)を含み、
前記スライド層(106、206、306、406、506、606、706)は、前記本体の少なくとも1つの表面を表面処理することによって得られ、前記スライド層(106、206、306、406、506、606、706)は、前記本体の前記ベース(110、210、310、410、510、610、710)の上面(111、211、311、411、511)と、前記本体の前記上部の側面(115、215、315、415、515)とを形成し、
前記カバープレート(10)は、前記凹部のエッジに座ぐりを備え、前記座ぐりは前記固定部分(101)を収容し、前記座ぐりの深さは前記固定部分(101)が前記支持面と面一となるように設定され、前記固定部分(101)は前記凹部及び前記座ぐりを完全に覆う、密閉断熱タンク(1)。
【請求項5】
前記表面処理は窒化処理である、請求項4に記載の密閉断熱タンク。
【請求項6】
圧縮性材料(105)が、前記固定部分(101、201)と前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)との間、又は前記可動部分と前記凹部の壁との間にある隙間に挿入される、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項7】
前記凹部は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)が前記支持面と面一となるような厚さ方向の深さと、前記可動部分が前記金属ストレーキの前記長手方向と少なくとも平行に移動できるような前記長手方向の長さと横方向の幅とを有する、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項8】
前記スライド層を有する前記上部(114、214、314、414、514、614、714)の幅は、前記開口部の幅と同じである、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項9】
前記固定部分(101、201)は、保持板である、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項10】
前記保持板は、前記カバープレートの周囲に配置されたファスナー(34)によって前記カバープレート(10)に固定され、前記ファスナー(34)は前記凹部の周囲の前記凹部の外側に配置され、及び/又は接着剤ボンディングによって配置される、請求項9に記載の密閉断熱タンク。
【請求項11】
前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)の前記上面に現れるタップ穴(104、204、304、604、704)を含み、
前記一次アンカーシステム(97)は、前記タップ穴(104)にねじ込まれるねじ付き下部を有するスタッド(35)を更に含む、
請求項1~10のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項12】
前記スタッド(35)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)の上方に延びるカラーを備え、前記カラーの周囲は前記二次密閉メンブレン(4)に密封可能に溶接されている、請求項11に記載の密閉断熱タンク。
【請求項13】
前記一次アンカーシステム(97)は、更に、少なくとも1つのワッシャーと、前記スタッド(35)のねじ付き上部と相互作用する少なくとも1つのナットとを備え、前記ワッシャーを前記一次断熱ブロック(22)の底板に押し付けて固定する、請求項11又は12に記載の密閉断熱タンク。
【請求項14】
低温液体製品を輸送するための船であって、ダブルハルと、前記ダブルハル内に配置された請求項1~13のいずれか1項に記載のタンクとを備える船。
【請求項15】
低温液体製品を移送するシステムであって、
請求項14に記載の船と、
前記船のハルに設置された前記タンクを浮体式若しくは陸上の貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプと、
前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備から前記船の前記タンクへ、又は、前記船の前記タンクから前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備へ、前記断熱パイプを通じて前記低温液体製品の流れを運ぶポンプと、
を備えるシステム。
【請求項16】
請求項14に記載の船の積み込み又は積み下ろし方法であって、
浮体式若しくは陸上の貯蔵設備から前記船の前記タンクへ、又は、前記船の前記タンクから前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備へ、断熱パイプを通じて前記低温液体製品を運ぶ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉断熱メンブレンタンクの分野に関する。特に、本発明は、低温で液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンクの分野に関するものであり、例えば、温度が-50℃から0℃の間の液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送するためのタンク、又は大気圧で約-162℃の液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクなどである。これらのタンクは陸上又は浮体構造物に設置できる。浮体構造物の場合、タンクは液化ガスを輸送するため、又は浮体構造物を推進するための燃料として使用される液化ガスを受け取るために使用できる。
【0002】
一実施形態では、液化ガスは大気圧のLNGである。他の液化ガス、特にエタン、プロパン、ブタン、水素、エチレンも想定される。
【背景技術】
【0003】
液化天然ガスを輸送する容器のタンクは、通常、タンクの内側から外側に向かって、一次密閉メンブレン、一次断熱バリア、二次密閉メンブレン、及び二次断熱バリアが順に構成された二重壁で構成されている。二次断熱バリアには、二次密閉メンブレンの支持面を形成するカバープレートを備えた二次断熱ブロックが含まれている。
【0004】
仏国特許出願公開第3090810号明細書には、アンカーシステムによって一次断熱ブロックを二次断熱ブロックに固定できる密閉断熱タンクの壁が記載されている。アンカーシステムは、カバープレートに固定されたベースを備える。可動部分は、壁の厚さ方向にベース内に保持され、ベース内で移動可能に取り付けられている。可動部分には、可動部分の上面に現れるタップ穴が含まれる。可動部分の上面はカバープレートの上面と同一平面であり、可動部分は、溶接フランジの長手方向と少なくとも平行に自由に移動できるようにベースに取り付けられている。
【0005】
しかし、提案されたアンカーシステムは完全に満足できるものではない。可動部分は、特に金属部分の摩擦係数が高すぎることと、未処理の金属部分の表面の摩擦係数が均一でないことにより、固着するおそれがある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の背景にある1つのアイデアは、密閉断熱タンクの一次アンカーシステムに存在する可動部分の固着を制限することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、可動部分のスライドを所望の方向にのみ促進することである。
【0008】
一実施形態によれば、本発明は、流体を貯蔵するための密閉断熱タンクであって、
タンクは、タンク壁を含み、
前記タンク壁は、前記タンク壁の厚さの方向に、荷重支持壁に固定される二次断熱バリア、前記二次断熱バリアに接する二次密閉メンブレン、前記二次密閉メンブレンに接する一次断熱バリア、及び前記一次断熱バリアに接する一次密閉メンブレンをこの順序で備え、
前記二次断熱バリアは、前記二次密閉メンブレンの支持面を形成するカバープレートを含む二次断熱ブロックを含み、
前記二次密閉メンブレンは、複数の金属ストレーキを備え、前記金属ストレーキは、前記タンクの内側に向かって隆起したエッジを有し、前記金属ストレーキは、前記隆起したエッジによって、前記二次断熱ブロックに機械的に固定された溶接フランジの2つの面に対になって溶接されており、前記溶接フランジは、前記カバープレートに形成された長手方向に延びる溝に部分的に係合し、
前記一次断熱バリアは、一次アンカーシステムによって前記二次断熱ブロックに固定された一次断熱ブロックを含み、
前記一次アンカーシステムは、
-前記カバープレートに形成され、前記支持面上に現れる凹部と、
-前記凹部内に配置され、前記支持面と面一な上面を備える本体を含む可動部分と、
-前記カバープレートに固定され、前記可動部分と相互作用して、前記可動部分を前記凹部内で厚さ方向に固定する固定部分と、
を備え、
前記凹部及び前記固定部分は、前記可動部分が前記溶接フランジの前記長手方向に少なくとも平行に移動できるように構成され、
前記可動部分は、前記本体の少なくとも1つの面を覆うスライド層を含み、前記スライド層は前記固定部分と接触し、前記本体よりも低い摩擦係数を有する、
密閉断熱タンクを提供する。
【0009】
これらの特徴により、スライド層により、一次アンカーシステムの耐久性を向上させることができる。スライド層は、前記本体よりも摩擦係数が低いため、可動部分が本体内で移動し、これら2つの部分間の摩擦を最小限に抑え、一次アンカーと二次メンブレンの間の溶接部にかかる力を制限して、一次アンカーシステムの耐用年数を延ばすことができる。これにより、可動部分の移動を所望の方向にのみ維持し、部品が詰まるのを防ぐことも可能になる。
【0010】
実施形態によれば、このようなタンクには、次の機能の1つ以上を含めることができる。
【0011】
一実施形態によれば、前記圧縮性材料は、前記固定部分と前記可動部分との間、又は前記可動部分と前記凹部の壁との間にある隙間に挿入される。圧縮性材料は絶縁性があり、例えばポリマーフォームやミネラルウールから選択される。材料の圧縮性により、可動部分の初期位置を中央位置に調整することができ、稼働開始時に可動部分が一方向又は他方向に自由に動くことができる。
【0012】
一実施形態によれば、圧縮性材料は低力のバネであってもよい。
【0013】
一実施形態によれば、スライド層はポリマーで作られる。
【0014】
一実施形態によれば、スライド層は、以下のポリマーから選択される:PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、POM(ポリオキシメチレン)、好ましくはPOM-H(ホモポリマー)、PEI(ポリエーテルイミド)、PAEK(ポリアリールエーテルケトン)、及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)。
【0015】
一実施形態によれば、ポリマーは、例えばガラス繊維で繊維強化されている。これにより材料のクリープ抵抗が増加し、スライド層の熱収縮係数が減少するという利点がある。
【0016】
一実施形態によれば、ポリマースライド層は、粒子状充填剤が充填されたポリマーから作られ、粒子状充填剤にはナノフィラーが含まれることが好ましい。使用する材料に応じて、ポリマーの硬度又は応力を受けた表面間の接触時のスライド性能のいずれかが増加するという利点がある。ナノフィラーは、1~100ナノメートルのサイズで定義される。粒子状充填剤、特にナノフィラーの形状は、例えば、シート、繊維、顆粒、球から選択することができる。
【0017】
一実施形態によれば、粒状充填剤は、炭素、グラファイト、ガラス、セルロース、及び青銅から選択される少なくとも1つの材料から作られる。
【0018】
一実施形態によれば、スライド層は、本体の少なくとも1つの表面を表面処理することによって得られる。
【0019】
一実施形態によれば、表面処理は窒化処理である。
【0020】
一実施形態によれば、スライド層は、可動部分と接触する固定部分の表面に配置される。
【0021】
一実施形態によれば、スライド層は、可動部分と接触する固定部分の表面上及び可動部分上に配置される。
【0022】
一実施形態によれば、前記凹部は、前記可動部分が前記支持面と面一となるような厚さ方向の深さと、前記可動部分が前記金属ストレーキの前記長手方向と少なくとも平行に移動できるように前記長手方向の長さと横方向の幅とを有する。
【0023】
一実施形態によれば、前記カバープレートは、前記凹部のエッジに座ぐりを備え、前記座ぐりは前記固定部分を収容し、前記座ぐりの深さは前記固定部分が前記支持面と面一となるように設定され、前記固定部分は前記凹部及び前記座ぐりを完全に覆い、開口部を有し、前記本体の前記上面が前記開口部から現れる。
【0024】
一実施形態によれば、可動部分は、固定部分の開口部よりも幅の広いベースを備える。
【0025】
一実施形態によれば、可動部分は、開口部の幅と等しい幅を有する上部を含み、上部は、固定部分の上面と面一である。
【0026】
一実施形態によれば、少なくとも可動部分のベースは、スライド層を含む。
【0027】
一実施形態によれば、ベースの上面はスライド層で覆われている。これにより可動部分と固定部分の下面との間の摩擦を低減することができる。
【0028】
一実施形態によれば、上部の側面はスライド層で覆われている。これにより可動部分と固定部分の開口部のエッジとの間の摩擦を低減することができる。
【0029】
一実施形態によれば、固定部分は保持板である。一実施形態によれば、固定部分は、ステンレス鋼及び/又は極低温鋼の鋼で作られている。
【0030】
一実施形態によれば、保持板は、保持板の周囲に配置されたファスナーによってカバープレートに固定され、ファスナーは凹部の周囲の凹部の外側に配置され、及び/又は接着剤ボンディングによって固定される。
【0031】
これらの特徴により、ネジやリベットなどの留め具が可動部分に接触する危険はない。
【0032】
一実施形態によれば、前記可動部分は、前記可動部分の前記上面に現れるタップ穴を含み、前記一次アンカーシステムには、前記タップ穴にねじ込まれるねじ付き下部を有するスタッドを更に含む。
【0033】
一実施形態によれば、スタッドには可動部分の上方に延びるカラーが含まれ、カラーの周囲は二次密閉メンブレンに密封可能に溶接されている。
【0034】
このようなタンクは、例えばLNGを貯蔵するために、陸上の貯蔵施設の一部を形成することができ、又は、メタン運搬船、浮体式貯蔵再ガス化施設(Floating Storage and Regasification Unit(FSRU))、浮体式生産貯蔵積出(Floating Production Storage and Offloading(FPSO)Unit)又はその他の構造物などの沿岸又は沖合の浮体構造物に設置することもできる。このようなタンクは、あらゆるタイプの船の燃料タンクとしても使用できる。
【0035】
一実施形態によれば、前記一次アンカーシステムは、更に、少なくとも1つのワッシャーと、前記スタッドのねじ付き上部と相互作用する少なくとも1つのナットとを備え、前記ワッシャーを前記一次断熱ブロックの底板に押し付けて固定する。
【0036】
一実施形態によれば、低温液体製品を輸送するための船は、ダブルハルと、前記ダブルハル内に配置された前述のタンクとを備える。
【0037】
一実施形態によれば、本発明は、低温液体製品を移送するシステムであって、上述の船と、前記に設置された前記タンクを浮体式若しくは陸上の貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプと、前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備から前記船の前記タンクへ、又は、前記船の前記タンクから前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備へ、前記断熱パイプを通じて前記低温液体製品の流れを運ぶポンプと、を備えるシステムを提供する。
【0038】
一実施形態によれば、本発明は、そのような船の積み込み又は積み下ろし方法であって、浮体式若しくは陸上の貯蔵設備から前記船の前記タンクへ、又は、前記船の前記タンクから前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備へ、断熱パイプを通じて低温液体製品を運ぶ方法を提供する。
【0039】
添付の図面を参照して、本発明の複数の特定の実施形態を非限定的な例としてのみ説明する以下の説明から、本発明がよりよく理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2】
図2は、
図1の詳細IIの概略断面図であり、第1の実施形態に従ってスタッドと相互作用するアンカーシステムを示す。
【
図3】
図3は、特に可動部分及び固定部分を含む第1の実施形態によるアンカーシステムの概略上面図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態による可動部分の概略斜視図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態による可動部分の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、第4の実施形態による可動部分の概略斜視図である。
【
図8】
図8は、第5の実施形態による可動部分の概略斜視図である。
【
図9】
図9は、第6の実施形態による可動部分の概略斜視図である。
【
図10】
図10は、第7の実施形態による可動部分の概略斜視図である。
【
図11】
図11は、第1の変形実施形態に係る固定部分の概略斜視図である。
【
図12】
図12は、第2の変形実施形態に係る固定部分の概略斜視図である。
【
図13】
図13は、メタン運搬船タンクとこのタンクの積み込み/積み下ろしターミナルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、液化天然ガス(LNG)などの液化流体を貯蔵するための密閉断熱タンク1の多層構造を示す。タンク1は、概ね多面体形状を有し、複数の壁を備える。タンク1の壁には、タンク1の外側から内側に向かって、その厚さ方向に、荷重支持構造3に固定される二次断熱バリア2、二次断熱バリア2に接する二次密閉メンブレン4、二次密閉メンブレン4に接する一次断熱バリア5、及びタンク1内の液化天然ガスと接触するのに適した一次密閉メンブレン6がこの順序で設けられている。
【0042】
タンク1の荷重支持構造は、特に、船のハル又はダブルハルによって形成することができる。荷重支持構造は、通常多面体形状であるタンクの全体形状を規定する複数の荷重支持壁3を含む。
【0043】
二次断熱バリア2には、二次アンカーシステム98によって荷重支持壁3に固定される複数の二次断熱ブロック7が含まれている。二次断熱ブロック7は、ほぼ平行六面体の形状をしており、平行な列に配置されている。3つの列は、文字A、B、Cで示されている。二次断熱ブロック7と荷重支持壁3の間には、基準平面に対する荷重支持壁3の偏差を補正するためのシーラントビーズ(図示せず)が挿入されている。必要に応じて、シーラントビーズが荷重支持壁3に付着するのを防ぐために、シーラントビーズと荷重支持壁3の間にクラフト紙を挿入することもできる。
【0044】
二次密閉メンブレン4には、タンクの内側に向かって隆起したエッジ32を備えた金属ストレーキ21の連続シートが含まれていることがわかる。ストレーキ21は、隆起したエッジ32によって、溶接フランジの2つの面にペアで溶接されている。溶接フランジはL字型の断面を持っている。ストレーキ21の隆起したエッジ32はL字型の一方のアームに溶接され、もう一方のアームは二次断熱ブロック7のカバープレート10に作られた溝20に係合される。カバープレート10は、複数の平行な溝20を備え、2つの溝20間の距離はストレーキ21の幅に対応し、ブロックの自由端と隣接する溝20間の距離はストレーキ21の幅に対応し、その結果、ストレーキは、隣接する2つの断熱ブロック7間の接合部を形成する。このようにして、二次密閉メンブレン4は二次断熱バリア2に固定される。溶接フランジと溝20はスライド接合部を形成し、ストレーキ21が二次断熱ブロック7に対して収縮して変形することを可能にする。
【0045】
一次断熱バリア5には、2列の二次断熱ブロック7にまたがって重ねられた複数の一次断熱ブロック22が含まれている。一次断熱ブロック22は、一次アンカーシステム97によって二次断熱ブロック7に固定されている。一次アンカーシステム97は、二次アンカーシステム98から分離され、オフセットされている。一次断熱ブロック22は、ほぼ平行六面体の形状を有し、平行な列に配置されている。更に、それらは、タンク壁1の厚さ方向の厚さを除いて一次断熱ブロック22と同じ寸法を有しており、タンク壁1の厚さ方向の厚さは異なっていてもよく、特に小さくてもよい。一次断熱バリア5の上には、波形の金属シーリングバリアが取り付けられている。或いは、断熱バリア5の上に、ストレーキで構成された金属シーリングバリアを取り付けることもできる。
【0046】
図2は、第1の実施形態による一次アンカーシステム97を示す。一次アンカーシステム97は、固定部分101によって所定の位置に保持される可動部分102を含む。可動部分102は、カバープレート10に形成された凹部108に配置され、固定部分101は、カウンターボア109に配置され、固定部分101は、カバープレート10の上面と面一になる。固定部分101は、ファスナー34及び/又は接着剤ボンディングを使用してカバープレート10に固定される。
【0047】
好ましい実施形態では、カバープレート10は、特に、凹部が形成される厚さ15~24ミリメートルの合板層を含む。
【0048】
可動部分102のタップ穴104に沿って、密閉メンブレン4にスタッド35を貫通させる穴が開けられている。このスタッド35によって、二次断熱ブロック7を一次断熱ブロック22に固定することができる。
【0049】
図3は、第1の実施形態による一次アンカーシステム97を上から見た図である。可動部分102が出てくる開口部103にも、圧縮性断熱材料105で作られた部分が充填されている。
図3では、圧縮性断熱材料部分105が可動部分102の片側にのみ示されているが、可動部分102を開口部103に対して最初に中心に配置するために、別の同部分を反対側に配置することもできる。スライド層106は、可動部分102の少なくとも片側を覆っている。
【0050】
圧縮性断熱材料部分105によって得られる可動部分102の事前位置決め、例えば中央への事前位置決めにより、ストレーキ21の長手方向の一方向又は他方向に一定の可動範囲が存在することが保証される。この可動性により、位置決め公差を補正するために二次密閉メンブレン4を溶接する場合、又は様々な原因による変形を吸収するためにタンクの使用中に、必要に応じてスタッド35の位置を調整することが可能になる。
【0051】
図4~10は、一次アンカーシステムの可動部分102~702の異なる実施形態を示しており、
図11及び12は、固定部分101~201の2つの変形実施形態を示している。
【0052】
図4は、第1実施形態の可動部分102を示す。可動部分102は、上部114と下部110とから構成される。下部110は直方体ベースであり、上部114は長方形の断面を有し、下部110よりも短い。可動部分102は、上部114の上面に形成されたタップ穴104から構成され、このタップ穴104を貫通するスタッド35が設けられる。可動部分102は、ポリマー層であるスライドパッド106に囲まれている。下部110及び上部114は、例えばステンレス鋼で作られる。スライドパッド106は、上部114の上面のエッジ、上部114の側面115、及び上部114によって覆われていない下部110の上面111に配置される。スライドパッド106は、単一のブロックで構成することができる。
【0053】
図示されていない変形実施形態では、スライドパッド106は、可動部分102の上部114の側面115及び下部110の上面111に施された窒化処理に置き換えられてもよい。
【0054】
図5は、第2の実施形態による可動部分202を示す。第2の実施形態は、上部214が円筒形で、タップ穴204が設けられている点で第1の実施形態と異なる。下部210は、断面が長方形のベースである。この実施形態では、下部210の上面211にスライド層が設けられている。上部214の側面215にもスライド層を設けることができる。スライド層206は、上面211(及び必要に応じて側面215)の表面処理によって、又は上面211(及び必要に応じて側面215)をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【0055】
図6は、第3の実施形態による可動部分302を示す。第3の実施形態は、上部314が丸みを帯びたエッジを持つ長方形の断面を有し、下部310よりも縦方向及び横方向の寸法が小さい点で第2の実施形態と区別される。この実施形態では、スライド層306は、下部310の上面311及びオプションとして上部314の側面315の表面処理によって、又は、上面311及びオプションとして側面315をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【0056】
図7は、第4実施形態の可動部分402を示す。第4実施形態は、上部414が長方形の断面を有し、下部410と長手方向の寸法が同じである点で、第2実施形態と異なる。この実施形態では、スライド層406は、下部410の上面411及びオプションとして上部414の側面415の表面処理によって、又は、上面411及びオプションとして側面415をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【0057】
図8は、第5の実施形態による可動部分502を示す。第5の実施形態は、上部514が丸みを帯びたエッジを有する点で第4の実施形態と区別される。この実施形態では、スライド層506は、下部510の上面511及びオプションとして上部514の側面515の表面処理によって、又は上面511及びオプションとして側面515をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【0058】
図9は、第6の実施形態による可動部分602を示す。第6の実施形態は、ポリマースライドパッド606が、下部610よりも縦方向及び横方向の寸法が大きい点で第1の実施形態と区別される。
【0059】
図10は、第7の実施形態による可動部分702を示す。第7の実施形態は、ポリマースライドパッド706が、丸みを帯びたエッジを有する平行六面体形状を有し、長手方向の寸法が下部710と同じである点で、第2の実施形態と区別される。下部710も、スライドパッド706によって覆われている。
【0060】
図示されていない変形実施形態によれば、スライドパッド606又は706は、下部610又は710の上面及びオプションとして上部614又は714の側面の表面処理によって置き換えることができる。
【0061】
図11は、第1の変形実施形態による固定部分を示している。この第1の変形実施形態では、固定部分101は長方形の保持プレートであり、可動部分102~702が出てくる長方形の開口部と、ファスナー34を固定するための4つのタップ穴119が端部に設けられている。
【0062】
図12は、第2の変形実施形態に係る固定部分を示す。この第2の変形実施形態は、保持プレート201が円形である点で第1の変形実施形態と区別される。
【0063】
2つの保持プレートの変形実施形態は、特に可動部分の全ての実施形態と互換性がある。
【0064】
図示されていない他の変形実施形態では、固定部分は、例えば異なる形状及び異なる数のタップ穴を有するなど、様々な他の方法で作製することができる。
【0065】
図13を参照すると、メタン運搬船70の断面図には、船のダブルハル72内に組み立てられた、ほぼ角柱形状の密閉断熱タンク71が示されている。タンク71の壁には、タンク内のLNGと接触するのに適した一次密閉バリアと、一次密閉バリアと容器のダブルハル72との間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアとの間、及び二次密閉バリアとダブルハル72との間に配置された2つの断熱バリアとが含まれる。
【0066】
それ自体既知の方法で、船の上部デッキに配置された積み込み/積み下ろしパイプ73は、適切なコネクタによって海洋又は港湾ターミナルに接続され、タンク71から又はタンク71へLNGの貨物を移送することができる。
【0067】
図13は、積み込み/積み下ろしステーション75、海底パイプライン76、陸上設備77を含む海洋ターミナルの例を示す。積み込み/積み下ろしステーション75は、移動アーム74と、移動アーム74を支えるタワー78を含む固定された海上設備である。移動アーム74は、積み込み/積み下ろしパイプ73に接続できる断熱フレキシブルホース79の束を保持する。方向転換可能な移動アーム74は、あらゆるサイズのメタン運搬船に適している。接続パイプライン(図示せず)は、タワー78内に伸びている。積み込み/積み下ろしステーション75により、メタン運搬船70を陸上設備77から積み込み及び積み下ろしすることができる。陸上設備77には、液化ガス貯蔵タンク80と、海底パイプライン76によって積み込み/積み下ろしステーション75に接続された接続パイプライン81が含まれる。海底パイプライン76により、液化ガスを積み込み/積み下ろしステーション75と陸上設備77の間で長距離、例えば5kmにわたって移送することが可能になり、これにより、積み込み及び積み下ろし作業中にメタン運搬船70を海岸から遠く離れた場所に保つことが可能になる。
【0068】
液化ガスを移送するために必要な圧力を生成するために、船70に搭載されたポンプ及び/又は陸上設備77に設けられたポンプ及び/又は積み降ろしステーション75に設けられたポンプが実装される。
【0069】
本発明は、幾つかの特定の実施形態を参照して説明されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内であれば、説明されている手段の技術的均等物及びそれらの任意の組み合わせもすべて含むことは明らかである。
【0070】
「有する」("have")、「備える」("comprise")、又は「含む」("include")という動詞及びその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0071】
請求項において、括弧内の参照記号は、請求項を制限するものとして解釈することはできない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
一次断熱バリア5には、2列の二次断熱ブロック7にまたがって重ねられた複数の一次断熱ブロック22が含まれている。一次断熱ブロック22は、一次アンカーシステム97によって二次断熱ブロック7に固定されている。一次アンカーシステム97は、二次アンカーシステム98から分離され、オフセットされている。一次断熱ブロック22は、ほぼ平行六面体の形状を有し、平行な列に配置されている。更に、それらは、タンク壁1の厚さ方向の厚さを除いて一次断熱ブロック22と同じ寸法を有しており、タンク壁1の厚さ方向の厚さは異なっていてもよく、特に小さくてもよい。一次断熱バリア5の上には、波形の金属シーリングバリア55、56が取り付けられている。或いは、断熱バリア5の上に、ストレーキで構成された金属シーリングバリアを取り付けることもできる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
図5は、第2の実施形態による可動部分202を示す。
第1の実施形態と同一又は類似の要素には、第1の実施形態で使用された数字に100を加えた数字が付される。第2の実施形態は、上部214が円筒形で、タップ穴204が設けられている点で第1の実施形態と異なる。下部210は、断面が長方形のベースである。この実施形態では、下部210の上面211にスライド層が設けられている。上部214の側面215にもスライド層を設けることができる。スライド層206は、上面211(及び必要に応じて側面215)の表面処理によって、又は上面211(及び必要に応じて側面215)をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
図6は、第3の実施形態による可動部分302を示す。
第1の実施形態と同一又は類似の要素には、第1の実施形態で使用された数字に200を加えた数字が付される。第3の実施形態は、上部314が丸みを帯びたエッジを持つ長方形の断面を有し、下部310よりも縦方向及び横方向の寸法が小さい点で第2の実施形態と区別される。この実施形態では、スライド層306は、下部310の上面311及びオプションとして上部314の側面315の表面処理によって、又は、上面311及びオプションとして側面315をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
図7は、第4実施形態の可動部分402を示す。
第1の実施形態と同一又は類似の要素には、第1の実施形態で使用された数字に300を加えた数字が付される。第4実施形態は、上部414が長方形の断面を有し、下部410と長手方向の寸法が同じである点で、第2実施形態と異なる。この実施形態では、スライド層406は、下部410の上面411及びオプションとして上部414の側面415の表面処理によって、又は、上面411及びオプションとして側面415をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
図8は、第5の実施形態による可動部分502を示す。
第1の実施形態と同一又は類似の要素には、第1の実施形態で使用された数字に400を加えた数字が付される。第5の実施形態は、上部514が丸みを帯びたエッジを有する点で第4の実施形態と区別される。この実施形態では、スライド層506は、下部510の上面511及びオプションとして上部514の側面515の表面処理によって、又は上面511及びオプションとして側面515をスライドパッドで覆うことによって得られる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
図9は、第6の実施形態による可動部分602を示す。
第1の実施形態と同一又は類似の要素には、第1の実施形態で使用された数字に500を加えた数字が付される。第6の実施形態は、ポリマースライドパッド606が、下部610よりも縦方向及び横方向の寸法が大きい点で第1の実施形態と区別される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
図10は、第7の実施形態による可動部分702を示す。
第1の実施形態と同一又は類似の要素には、第1の実施形態で使用された数字に600を加えた数字が付される。第7の実施形態は、ポリマースライドパッド706が、丸みを帯びたエッジを有する平行六面体形状を有し、長手方向の寸法が下部710と同じである点で、第2の実施形態と区別される。下部710も、スライドパッド706によって覆われている。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯蔵するための密閉断熱タンク(1)であって、
前記タンク(1)は、タンク壁を含み、
前記タンク壁は、前記タンク壁の厚さの方向に、荷重支持壁(3)に固定される二次断熱バリア(2)、前記二次断熱バリア(2)に接する二次密閉メンブレン(4)、前記二次密閉メンブレン(4)に接する一次断熱バリア(5)、及び前記一次断熱バリア(5)に接する一次密閉メンブレン(6)をこの順序で備え、
前記二次断熱バリア(2)は、前記二次密閉メンブレン(4)の支持面を形成するカバープレート(10)を含む二次断熱ブロック(7)を含み、
前記二次密閉メンブレン(4)は、複数の金属ストレーキ(21)を備え、前記金属ストレーキ(21)は、前記タンクの内側に向かって隆起したエッジ(32)を有し、前記金属ストレーキ(21)は、前記隆起したエッジ(32)によって、前記二次断熱ブロック(7)に機械的に固定された溶接フランジの2つの面に対になって溶接されており、前記溶接フランジは、前記カバープレート(10)に形成された長手方向に延びる溝(20)に部分的に係合し、
前記一次断熱バリア(5)は、一次アンカーシステム(97)によって前記二次断熱ブロック(7)に固定された一次断熱ブロック(22)を含み、
前記一次アンカーシステム(97)は、
-前記カバープレートに形成され、前記支持面上に現れる凹部と、
-前記凹部内に配置され、本体を含む可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と、
-前記カバープレート(10)に固定され、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と相互作用して、前記可動部分を前記凹部内で厚さ方向に固定する固定部分(101、201)と、
を備え、
前記凹部及び前記固定部分(101、201)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)が前記金属ストレーキの前記長手方向に少なくとも平行に移動できるように構成され、
前記固定部分(101)は、開口部(103)を有し、前記本体はベース(110、210、310、410、510、610、710)と上部(114、214、314、414、514、614、714)とを含み、前記上部は前記開口部を介して前記固定部分の上面と面一となる上面を有し、前記ベースは前記固定部分(101、201)の前記開口部よりも広い幅を有し、
前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)は、前記本体の前記ベース(110、210、310、410、510、610、710)の少なくとも上面(111、211、311、411、511)を覆うポリマースライド層(106、206、306、406、506、606、706)を含み、前記スライド層(106、206、306、406、506、606、706)は前記固定部分(101、201)と接触し、前記本体よりも低い摩擦係数を有し、
前記カバープレート(10)は、前記凹部のエッジに座ぐりを備え、前記座ぐりは前記固定部分(101)を収容し、前記座ぐりの深さは前記固定部分(101)が前記支持面と面一となるように設定され、前記固定部分(101)は前記凹部及び前記座ぐりを完全に覆い、
前記ポリマースライド層(106、206、306、406、506、606、706)は、前記本体の前記上部の側面(115、215、315、415、515)も覆う、密閉断熱タンク(1)。
【請求項2】
前記ポリマースライド層は、粒子状充填剤が充填されたポリマーから作られ、前記粒子状充填剤は好ましくはナノ充填剤が含む、請求項1に記載の密閉断熱タンク。
【請求項3】
前記粒子状充填剤は、炭素、グラファイト、ガラス、セルロース、及び青銅から選択される少なくとも1つの材料から作られる、請求項2に記載の密閉断熱タンク。
【請求項4】
流体を貯蔵するための密閉断熱タンク(1)であって、
前記タンク(1)は、タンク壁を含み、
前記タンク壁は、前記タンク壁の厚さの方向に、荷重支持壁(3)に固定された二次断熱バリア(2)、前記二次断熱バリア(2)に接する二次密閉メンブレン(4)、前記二次密閉メンブレン(4)に接する一次断熱バリア(5)、及び前記一次断熱バリア(5)に接する一次密閉メンブレン(6)をこの順序で備え、
前記二次断熱バリア(2)は、前記二次密閉メンブレン(4)の支持面を形成するカバープレート(10)を含む二次断熱ブロック(7)を含み、
前記二次密閉メンブレン(4)は、複数の金属ストレーキ(21)を備え、前記金属ストレーキ(21)は、前記タンクの内側に向かって隆起したエッジ(32)を有し、前記金属ストレーキ(21)は、前記隆起したエッジ(32)によって、前記二次断熱ブロック(7)に機械的に固定された溶接フランジの2つの面に対になって溶接されており、前記溶接フランジは、前記カバープレート(10)に形成された長手方向に延びる溝(20)に部分的に係合し、
前記一次断熱バリア(5)は、一次アンカーシステム(97)によって前記二次断熱ブロック(7)に固定された一次断熱ブロック(22)を含み、
前記一次アンカーシステム(97)は、
-前記カバープレートに形成され、前記支持面上に現れる凹部と、
-前記凹部内に配置され、本体を含む可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と、
-前記カバープレート(10)に固定され、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)と相互作用して、前記可動部分を前記凹部内で厚さ方向に固定する固定部分(101、201)と、
を備え、
前記凹部及び前記固定部分(101、201)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)が前記金属ストレーキの前記長手方向に少なくとも平行に移動できるように構成され、
前記固定部分(101)は、開口部(103)を有し、前記本体はベース(110、210、310、410、510、610、710)と上部(114、214、314、414、514、614、714)とを含み、前記上部は前記開口部を介して前記固定部分の上面と面一となる上面を有し、前記ベースは前記固定部分(101、201)の前記開口部よりも広い幅を有し、
前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)は、前記固定部分(101、201)と接触し、前記本体よりも低い摩擦係数を有するスライド層(106、206、306、406、506、606、706)を含み、
前記スライド層(106、206、306、406、506、606、706)は、前記本体の少なくとも1つの表面を表面処理することによって得られ、前記スライド層(106、206、306、406、506、606、706)は、前記本体の前記ベース(110、210、310、410、510、610、710)の上面(111、211、311、411、511)と、前記本体の前記上部の側面(115、215、315、415、515)とを形成し、
前記カバープレート(10)は、前記凹部のエッジに座ぐりを備え、前記座ぐりは前記固定部分(101)を収容し、前記座ぐりの深さは前記固定部分(101)が前記支持面と面一となるように設定され、前記固定部分(101)は前記凹部及び前記座ぐりを完全に覆う、密閉断熱タンク(1)。
【請求項5】
前記表面処理は窒化処理である、請求項4に記載の密閉断熱タンク。
【請求項6】
圧縮性材料(105)が、前記固定部分(101、201)と前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)との間、又は前記可動部分と前記凹部の壁との間にある隙間に挿入される、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項7】
前記凹部は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)が前記支持面と面一となるような厚さ方向の深さと、前記可動部分が前記金属ストレーキの前記長手方向と少なくとも平行に移動できるような前記長手方向の長さと横方向の幅とを有する、請求項1~
5のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項8】
前記スライド層を有する前記上部(114、214、314、414、514、614、714)の幅は、前記開口部の幅と同じである、請求項1~
5のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項9】
前記固定部分(101、201)は、保持板である、請求項1~
5のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項10】
前記保持板は、前記カバープレートの周囲に配置されたファスナー(34)によって前記カバープレート(10)に固定され、前記ファスナー(34)は前記凹部の周囲の前記凹部の外側に配置され、及び/又は接着剤ボンディングによって配置される、請求項9に記載の密閉断熱タンク。
【請求項11】
前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)の前記上面に現れるタップ穴(104、204、304、604、704)を含み、
前記一次アンカーシステム(97)は、前記タップ穴(104)にねじ込まれるねじ付き下部を有するスタッド(35)を更に含む、
請求項1~
5のうちいずれか1項に記載の密閉断熱タンク。
【請求項12】
前記スタッド(35)は、前記可動部分(102、202、302、402、502、602、702)の上方に延びるカラーを備え、前記カラーの周囲は前記二次密閉メンブレン(4)に密封可能に溶接されている、請求項11に記載の密閉断熱タンク。
【請求項13】
前記一次アンカーシステム(97)は、更に、少なくとも1つのワッシャーと、前記スタッド(35)のねじ付き上部と相互作用する少なくとも1つのナットとを備え、前記ワッシャーを前記一次断熱ブロック(22)の底板に押し付けて固定する、請求項1
1に記載の密閉断熱タンク。
【請求項14】
低温液体製品を輸送するための船であって、ダブルハルと、前記ダブルハル内に配置された請求項1~
5のいずれか1項に記載のタンクとを備える船。
【請求項15】
低温液体製品を移送するシステムであって、
請求項14に記載の船と、
前記船のハルに設置された前記タンクを浮体式若しくは陸上の貯蔵設備に接続するように配置された断熱パイプと、
前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備から前記船の前記タンクへ、又は、前記船の前記タンクから前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備へ、前記断熱パイプを通じて前記低温液体製品の流れを運ぶポンプと、
を備えるシステム。
【請求項16】
請求項14に記載の船の積み込み又は積み下ろし方法であって、
浮体式若しくは陸上の貯蔵設備から前記船の前記タンクへ、又は、前記船の前記タンクから前記浮体式若しくは陸上の貯蔵設備へ、断熱パイプを通じて前記低温液体製品を運ぶ方法。
【国際調査報告】