IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-540606医薬品容器の蓋システムのためのキャップデザイン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】医薬品容器の蓋システムのためのキャップデザイン
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20241024BHJP
   A61J 1/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61J1/05 313
A61J1/06 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529930
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022049078
(87)【国際公開番号】W WO2023091319
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,826
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ,デイン アルファンソ
(72)【発明者】
【氏名】サラフィアン,アダム ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジアンタオ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA02
4C047AA05
4C047BB01
4C047BB04
4C047CC04
4C047DD02
4C047DD03
4C047DD06
(57)【要約】
ガラス容器を密閉し、-80℃以下で容器の密閉完全性を維持するための密閉アセンブリ用のキャップが開示されている。キャップ(108)は、環状体(162)および圧着領域(164)を有するキャップスカート(160)を含む。その圧着領域は圧着可能な金属である。キャップスカートの環状体は、アルミニウムからなる金属の熱膨張係数(CTE)より大きいCTE、圧着領域の剛性の2倍以上の剛性、またはその両方を有する。キャップスカートのCTE、剛性、またはその両方が大きいことにより、-80℃以下に冷却されたときの栓とガラス容器との間のシール圧力および接触面積が増加する。そのキャップにより、密閉アセンブリが1.4×10-6cm/秒以下の密閉ガラス容器のヘリウム漏れ速度を-80℃以下で維持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品ガラス容器を密閉するためのキャップであって、
環状体および該環状体の第1の端部にある圧着領域を備えたキャップスカート、および
前記キャップスカートの第2の端部に連結され、中実ディスクまたは環状ディスクを構成する上部カバー、
を含み、
前記圧着領域は、圧着可能な金属から作られ、
前記キャップスカートの環状体は、アルミニウムからなる金属の熱膨張係数(CTE)より大きいCTE、前記圧着領域の剛性の2倍以上の剛性、またはその両方を有し、
前記CTEは、-200℃から300℃の温度範囲に亘るCTEを称し、
前記剛性は、軸方向長さで除算された断面積とヤング率の積として定義される、キャップ。
【請求項2】
前記キャップスカートの環状体のCTEが、アルミニウムからなる金属のCTEより少なくとも100×10-7-1の差だけ大きい、請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
前記キャップスカートの環状体のCTEが、260×10-7-1以上である、請求項1記載のキャップ。
【請求項4】
前記キャップスカートの環状体のCTEが、-45℃以下の温度で、260×10-7-1以上である、請求項1記載のキャップ。
【請求項5】
前記キャップスカートの環状体の剛性が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上である、請求項1記載のキャップ。
【請求項6】
栓をさらに含み、前記キャップスカートの環状体の剛性が、該栓のガラス転移温度Tg以下の温度で圧縮状態にある該栓の剛性の30%以内である、請求項1記載のキャップ。
【請求項7】
前記キャップスカートの環状体が、140GPa以上のヤング率、0.24mm以上の半径方向厚さ、またはその両方を有する、請求項1記載のキャップ。
【請求項8】
前記キャップスカートの環状体のCTEが260×10-7-1より大きく、該環状体の剛性が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍より大きい、請求項1記載のキャップ。
【請求項9】
前記キャップスカートが、高分子金属複合構造を構成する、請求項1記載のキャップ。
【請求項10】
前記キャップスカートの環状体が高分子材料から作られ、前記圧着領域が、該環状体の高分子材料に連結された前記圧着可能な金属から作られる、請求項9記載のキャップ。
【請求項11】
前記キャップスカートの環状体が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の80%以上の剛性を有する、請求項10記載のキャップ。
【請求項12】
前記上部カバーが、該上部カバーの中心に軸方向開口を有する環状体を構成する、請求項1記載のキャップ。
【請求項13】
密閉医薬品容器において、
肩部、該肩部から延在する首部、および該首部から延在するフランジを備えたガラス容器であって、前記フランジは、
前記首部から延在する裏面、
前記裏面から延在し、前記フランジの外径を規定する外面、および
前記外面と前記密閉医薬品容器の開口を画成する内面との間に延在するシール面、
を含む、ガラス容器と、
前記ガラス容器のフランジのシール面の上に延在し、前記開口を覆う栓、および請求項1記載のキャップを含む密閉アセンブリであって、
前記キャップは、前記栓を前記フランジに固定し、
前記密閉アセンブリは、前記密閉医薬品容器が-45℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を維持する、密閉アセンブリと、
を含む密閉医薬品容器。
【請求項14】
前記ガラス容器が、0以上かつ70×10-7-1以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作製される、請求項13記載の密閉医薬品容器。
【請求項15】
前記キャップスカートの環状体のCTEが、前記栓のCTEより大きい、請求項13記載の密閉医薬品容器。
【請求項16】
前記キャップスカートの環状体が、前記栓のガラス転移温度Tg以下の温度での圧縮されたゴム栓の剛性の30%以内の剛性を有する、請求項13記載の密閉医薬品容器。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2021年11月22日に出願された米国仮特許出願第63/281826号の米国法典第35編第119条の優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、医薬製品または生物由来物質を貯蔵するためのガラスまたはプラスチック容器などの、容器蓋システムに関する。
【背景技術】
【0003】
バイアルや注射器などの医薬品容器は、典型的に、収容材料の完全性を維持するために、栓や他の蓋で密閉される。栓などの蓋は、通常は、合成ゴムや他のエラストマーから製造される。栓は、一般に、医薬品容器に圧着されたキャップで適所に保持される。ある生体物質(例えば、血液、血清、タンパク質、幹細胞、および他の腐りやすい生体液)は、-45℃未満、-80℃未満、またさらには-180℃未満などの低温で貯蔵する必要がある。例えば、特定のRNA系ワクチンは、活性状態でいるために、ドライアイス温度(例えば、約-80℃)または液体窒素温度(例えば、約-180℃)で貯蔵する必要があるであろう。そのような低温では、閉鎖部材(例えば、ガラスまたはプラスチック容器、栓、アルミニウムキャップ)に寸法変化が生じ、シールの完全性に問題が発生し、中に貯蔵された物質が潜在的に汚染されるかもしれない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様は、医薬品ガラス容器を密閉するためのキャップを含む。そのキャップは、環状体および環状体の第1の端部にある圧着(crimp)領域を備えたキャップスカートを含む。そのキャップは、キャップスカートの第2の端部に連結された上部カバーをさらに含み、その上部カバーは中実ディスクまたは環状ディスクを構成する。その圧着領域は、圧着可能な金属から作られることがある。キャップスカートの環状体は、アルミニウムからなる金属の熱膨張係数(CTE)より大きいCTE、圧着領域の剛性の2倍以上の剛性、またはその両方を有する。CTEは、20℃でのCTEを称し、剛性は、軸方向長さで除算された断面積とヤング率の積として定義される。
【0005】
本開示の第2の態様は、キャップスカートの環状体のCTEが、アルミニウムからなる金属のCTEより少なくとも100×10-7-1の差だけ大きいことがある、第1の態様を含むことがある。
【0006】
本開示の第3の態様は、キャップスカートの環状体のCTEが、260×10-7-1以上、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、400×10-7-1以上、500×10-7-1以上、またさらには1,000×10-7-1以上であることがある、第1または第2の態様のいずれか一方を含むことがある。
【0007】
本開示の第4の態様は、キャップスカートの環状体のCTEが、-45℃以下など、栓のガラス転移温度以下の温度で、260×10-7-1以上であることがある、第1から第3の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0008】
本開示の第5の態様は、キャップスカートの環状体の剛性が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上であることがある、第1から第4の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0009】
本開示の第6の態様は、栓をさらに含み、キャップスカートの環状体の剛性が、栓のガラス転移温度Tg以下の温度で圧縮状態にある栓の剛性の30%以内であることがある、第1から第5の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0010】
本開示の第7の態様は、キャップスカートの環状体が、140GPa以上のヤング率、0.24mm以上の半径方向厚さ、またはその両方を有することがある、第1から第6の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0011】
本開示の第8の態様は、キャップスカートの環状体のCTEが260×10-7-1より大きいことがあり、その環状体の剛性が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍より大きい、第1から第7の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0012】
本開示の第9の態様は、圧着領域の圧着可能な金属が、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含むことがある、第1から第8の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0013】
本開示の第10の態様は、キャップスカートの環状体が、アルミニウムからなる金属のCTEより大きいCTEを有する金属または金属合金から作られることがある、第1から第9の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0014】
本開示の第11の態様は、キャップスカートが、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅、リチウム、またはこれらの組合せの1つ以上を含む金属または金属合金から作られることがある、第10の態様を含むことがある。
【0015】
本開示の第12の態様は、キャップスカートが、高分子金属複合構造を構成することがある、第1から第11の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0016】
本開示の第13の態様は、キャップスカートの環状体が高分子材料から作られることがあり、圧着領域が、環状体の高分子材料に連結された圧着可能な金属から作られることがある、第12の態様を含むことがある。
【0017】
本開示の第14の態様は、環状体の高分子材料が、260×10-7-1から3,000×10-7-1、例えば、280×10-7-1から3,000×10-7-1、またさらには300×10-7-1から3,000×10-7-1のCTEを有することがある、第13の態様を含むことがある。
【0018】
本開示の第15の態様は、キャップスカートの環状体が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の80%以上の剛性を有することがある、第13または第14の態様のいずれか一方を含むことがある。
【0019】
本開示の第16の態様は、高分子材料が、高密度ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン、またはその組合せを含むことがある、第13から第15の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0020】
本開示の第17の態様は、キャップスカートが、環状体の第2の端部に配置された取付フランジを含むことがあり、上部カバーが、キャップスカートの取付フランジに連結されることがある、第1から第16の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0021】
本開示の第18の態様は、上部カバーがキャップスカートから取り外しできることがある、第17の態様を含むことがある。
【0022】
本開示の第19の態様は、上部カバーが、キャップスカートの環状体と一体成形されて、単一キャップを形成することがある、第1から第18の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0023】
本開示の第20の態様は、上部カバーが、上部カバーの中心に軸方向開口を有する環状体を構成することがある、第1から第19の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0024】
本開示の第21の態様は、第1から第20の態様のいずれか1つを含むことがあり、密閉医薬品容器に関することがある。その密閉医薬品容器は、肩部、肩部から延在する首部、および首部から延在するフランジを備えたガラス容器を含む。そのフランジは、首部から延在する裏面、裏面から延在し、フランジの外径を規定する外面、および外面と密閉医薬品容器の開口を画成する内面との間に延在するシール面を含む。密閉医薬品容器は、ガラス容器のフランジのシール面の上に延在し、開口を覆う栓、および第1から第20の態様のいずれか1つのキャップを含む密閉アセンブリをさらに含む。そのキャップは、栓をフランジに固定する。密閉アセンブリは、密閉医薬品容器が-45℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を維持する。
【0025】
本開示の第22の態様は、栓が、-70℃以上かつ-45℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することがある、第21の態様を含むことがある。
【0026】
本開示の第23の態様は、栓のガラス転移温度(Tg)が-75℃以下であることがある、第21の態様を含むことがある。
【0027】
本開示の第24の態様は、密閉アセンブリが、密閉医薬品容器が-80℃以下、-100℃以下、-120℃以下、またさらには-180℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を維持することがある、第21から第23の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0028】
本開示の第25の態様は、ガラス容器が、0以上かつ70×10-7-1以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作製されることがある、第21から第24の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0029】
本開示の第26の態様は、キャップスカートのCTEと栓のCTEとの間の差の絶対値が、50×10-7-1以下であることがある、第21から第25の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0030】
本開示の第27の態様は、キャップスカートの環状体のCTEが、栓のCTEより大きいことがある、第21から第26の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0031】
本開示の第28の態様は、キャップスカートの環状体が、栓のガラス転移温度Tg以下の温度での圧縮されたゴム栓の剛性の30%以内の剛性を有することがある、第21から第27の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0032】
本開示の第29の態様は、密閉医薬品容器が、毎分5℃以下の速度で前記温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下のヘリウム漏れ速度を維持することがある、第21から第28の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0033】
本開示の第30の態様は、キャップが、密閉医薬品容器が冷却されたときに、ガラス容器のフランジに対する栓の連続圧縮を維持することがある、第29の態様を含むことがある。
【0034】
本開示の第31の態様は、ガラス容器が、イオン交換可能なアルミノケイ酸塩ガラス、タイプ1Bホウケイ酸ガラス、またはイオン交換可能なホウケイ酸ガラスから作られることがある、第21から第30の態様のいずれか1つを含むことがある。
【0035】
本開示の第32の態様は、第1から第31の態様のいずれか1つを含むことがあり、密閉医薬品容器を密閉する方法に関する。この方法は、肩部、肩部から延在する首部、および首部から延在するフランジを備えた医薬品容器を提供する工程を含む。そのフランジは、首部から延在する裏面、裏面から延在し、フランジの外径を規定する外面、および外面から密閉医薬品容器の内面まで延在する上部シール面を含み、その内面は開口を画成する。その方法は、栓および第1から第20の態様のいずれか1つのキャップを備えた密閉アセンブリを提供する工程をさらに含むことがある。その方法は、医薬品容器に医薬品組成物を入れる工程、栓がフランジの上部シール面の上に延在し、開口を覆うように栓を開口に挿入する工程、および栓の上でフランジに対してキャップを圧着し、それによって、栓を上部シール面に対して圧縮する工程をさらに含むことがある。その方法は、密閉医薬品容器を-45℃以下の温度に冷却する工程をさらに含むことがあり、密閉医薬品容器の冷却後、密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度が前記温度で1.4×10-6cm/秒以下であるように、シール面に圧縮が維持される。
【0036】
ここに記載された装置および方法の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0037】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明と共に、請求項の主題の原理と作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面に示された実施の形態は、実質的に、説明のためであり、例示であり、請求項に定義された主題を限定する意図はない。説明に役立つ実施の形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている、以下の図面と併せて読まれた場合に、理解することができる。
図1】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、密閉医薬品容器の断面図
図2】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、図1の密閉医薬品容器のガラス容器の上部の断面図
図3】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、別のガラス容器の上部の断面図
図4】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、さらに別のガラス容器の上部の断面図
図5】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、図1の密閉医薬品容器の密閉アセンブリの断面図
図6A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、25℃の貯蔵温度での、256×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図6B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、25℃の貯蔵温度での、352×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図6C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、25℃の貯蔵温度での、698×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図7A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、-80℃の貯蔵温度での、256×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図7B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、-80℃の貯蔵温度での、352×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図7C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、-80℃の貯蔵温度での、698×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図8A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、シール圧力の差が陰影パターンの差を使用して注釈に示されている、図7Aのシミュレーションにおけるガラス容器の栓とフランジとの間の界面を示す
図8B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、シール圧力の差が陰影パターンの差を使用して注釈に示されている、図7Bのシミュレーションにおけるガラス容器の栓とフランジとの間の界面を示す
図8C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、シール圧力の差が陰影パターンの差を使用して注釈に示されている、図7Cのシミュレーションにおけるガラス容器の栓とフランジとの間の界面を示す
図9A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、-180℃の貯蔵温度での、256×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図9B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、-180℃の貯蔵温度での、352×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図9C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、-180℃の貯蔵温度での、698×10-7/℃のCTEを有するキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図10A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、シール圧力の差が陰影パターンの差を使用して注釈に示されている、図9Aのシミュレーションにおけるガラス容器の栓とフランジとの間の界面を示す
図10B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、シール圧力の差が陰影パターンの差を使用して注釈に示されている、図9Bのシミュレーションにおけるガラス容器の栓とフランジとの間の界面を示す
図10C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、シール圧力の差が陰影パターンの差を使用して注釈に示されている、図9Cのシミュレーションにおけるガラス容器の栓とフランジとの間の界面を示す
図11】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、第1の冷却速度で冷却されたときの、ガラス容器の密閉アセンブリが、CTEが異なるキャップを有している、一定の冷却速度で冷却された複数の密閉ガラス容器に関する温度(x軸)の関数としてフランジと栓との間の接触面積(y軸)をプロットしたグラフ
図12】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、密閉ガラス容器の密閉アセンブリが、剛性が異なるキャップを有している、一定の冷却速度で冷却された複数の密閉ガラス容器に関する温度(x軸)の関数としてフランジと栓との間の接触面積(y軸)をプロットしたグラフ
図13】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、密閉ガラス容器の密閉アセンブリが、CTEと剛性が異なるキャップを有している、一定の冷却速度で冷却された複数の密閉ガラス容器に関する温度(x軸)の関数としてフランジと栓との間の接触面積(y軸)をプロットしたグラフ
図14】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス容器を密閉するための密閉アセンブリのキャップの別の実施の形態の断面図
図15】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス容器を密閉するための密閉アセンブリのキャップのさらに別の実施の形態の断面図
図16】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス容器を密閉するための密閉アセンブリのキャップのまた別の実施の形態の断面図
図17A】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、キャップスカートが、1264×10-7-1の高いCTEおよび増加した剛性を有している、25℃の貯蔵温度での図16のキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図17B】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、キャップスカートが、1264×10-7-1の高いCTEおよび増加した剛性を有している、-80℃の貯蔵温度での図16のキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図17C】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、キャップスカートが、1264×10-7-1の高いCTEおよび増加した剛性を有している、-180℃の貯蔵温度での図16のキャップによるガラス容器のフランジに対する栓の圧縮のシミュレーションを示す図
図18】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、アルミニウムから作製され、0.2mmの厚さを有する、一定の冷却速度で冷却された従来のキャップと比べた、1264×10-7-1のCTEおよび2.14mmの厚さを有する、一定の冷却速度で冷却された図16のキャップを含む密閉ガラス容器に関する温度(x軸)の関数としてフランジと栓との間の接触面積(y軸)をプロットしたグラフ
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで、低い貯蔵温度(例えば、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下、-70℃以下、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、-180℃以下)で容器の密閉完全性を維持する密閉アセンブリを備えた密閉ガラス容器の実施の形態を詳しく参照する。ここで図1および5を参照すると、密閉ガラス容器100の実施の形態が概略示されている。密閉ガラス容器100は、ガラス容器102および栓106とキャップ108を備えた密閉アセンブリ104を含む。本出願は、極低温貯蔵温度、例えば、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、またさらには-180℃以下の温度で容器密閉完全性(CCI)を維持するために、栓106とガラス容器102のフランジ126に対するキャップ108の収縮を増加させる、キャップ108の剛性を増加させる、またはその両方を増加させる、密閉アセンブリ104のキャップ108のデザインに関する。実施の形態において、キャップ108は、アルミニウムからなる金属の熱膨張係数(CTE)より大きいCTE、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上の剛性、またはその両方を有するキャップスカート160を備える。キャップ108のキャップスカート160の増加したCTE、増加した剛性、またはその両方により、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下、-70℃以下、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、-180℃以下の温度での、栓106とガラス容器102の上部シール面110との間の接触面積、シール圧力、またはその両方が増加することがある。
【0040】
ここに用いられているように、「表面粗さ」という用語は、Ra値またはSa値を称する。Ra値は、フィルタード粗さ(filtered roughness)の中心線からの偏差で決定されるフィルタード粗さプロファイルの算術平均値の尺度である。例えば、Ra値は、関係式:
【0041】
に基づいて決定することができ、式中、Hは表面の表面高度測定値であり、HCLは、フィルタードプロファイルのデータ点の中での中心線(例えば、最大と最小の表面高度値の間の中心)表面高度測定値に対応する。Sa値は、数式1の面積外挿(areal extrapolation)で決定することができる。ここに記載されたRaまたはSa値を決定するためのフィルタ値(例えば、カットオフ波長)は、ISO 25718(2012)に見つかるであろう。表面高度は、光学干渉計、スタイラス系表面形状測定装置、またはレーザ共焦点顕微鏡などの様々な機器で測定することができる。ここに記載された表面(例えば、シール面またはその部分)の粗さを評価するために、実際的に大きい測定領域を使用して、大きい空間規模に亘り生じることのある変動性を評価すべきである。
【0042】
ここに用いられているように、「容器密閉完全性」という用語は、汚染物質の侵入の確率を維持する、またはガス透過率の可能性をガラス容器内に貯蔵される物質に基づく所定の閾値より低く減少させるために、閾値サイズより大きい間隙を含まない、ガラス容器と密閉アセンブリとの間(例えば、ガラス容器のシール面と栓との間)の界面でのシールの維持を称する。例えば、実施の形態において、容器密閉完全性は、USP<1207>(2016)に記載されたヘリウム漏れ試験中にヘリウム漏れ速度が1.4×10-6cm/秒以下に維持されれば、維持される。
【0043】
ここに用いられているように、「極低温貯蔵温度」という用語は、植物または動物細胞などの生体材料を、凍害のレベルを最小にしつつ、細胞に無限の寿命を与えて、貯蔵できる温度を称する。ここに用いられているように、「極低温貯蔵温度」は、-80℃以上の温度を称する。
【0044】
ここに記載されたガラス容器の実施の形態において、ガラス容器を形成するガラス組成物の構成成分(例えば、SiO、Al、Bなど)の濃度は、特に明記のない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で指定される。
【0045】
「実質的に含まない」という用語は、ガラス組成物中の特定の構成成分の濃度および/または不在を記述するために使用される場合、その構成成分がガラス組成物に意図的に加えられていないことを意味する。しかしながら、そのガラス組成物は、0.05モル%未満の量の汚染物質または混入成分として微量の構成成分を含有することがある。
【0046】
ここに用いられている「CTE」という用語は、特に明記のない限り、25℃の温度での材料の線熱膨張係数を称する。
【0047】
ここに用いられているように、「約」という用語は、量、サイズ、配合物、パラメータ、および他の数量と特徴が、正確ではなく、正確である必要はないが、公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、所望に応じて、近似である、および/またはそれより大きいかまたは小さいこともあることを意味する。値または範囲の端点を記載する上で、「約」という用語が使用される場合、言及される特定値または端点は含まれる。本明細書における数値または範囲の端点に「約」が付いているか否かにかかわらず、2つの実施の形態:「約」で修飾されているもの、および「約」で修飾されていないものが記述される。範囲の各々の端点は、他方の端点と関係してと、他方の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0048】
ここに用いられているような方向を表す用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部-は、描かれている図面に関してのみ使用され、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0049】
ここに用いられているように、名詞は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、成分に対する言及は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、そのような成分を2つ以上有する態様を含む。
【0050】
ここで図1を参照すると、医薬製剤を貯蔵するための密閉ガラス容器100の1つの実施の形態が、断面で概略示されている。密閉ガラス容器100は、ガラス容器102およびガラス容器102の開口105を通じてガラス容器102に連結された密閉アセンブリ104を備える。密閉アセンブリ104は、栓106およびキャップ108を含む。栓106は、挿入部分117およびシール部分119を含むことがある。挿入部分117は、シール部分119がガラス容器102の上部シール面110と接触するまで、ガラス容器102の開口105に挿入されることがある。次いで、シール部分119は、ガラス容器102にキャップ108を圧着することによって、上部シール面110に対して押し付けられて、上部シール面110にシールを形成する。ガラス容器102および密閉アセンブリ104の様々な態様は、ここに記載されたように、低い貯蔵温度でのガラス容器102の容器密閉完全性を確実に維持するように設計される。
【0051】
ガラス容器102は、概して、本体112を備える。本体112は、ガラス容器102の内面114と外面116の間に延在し、中心軸Cを有する。本体112は、ガラス容器102の内部容積118を取り囲む。図1に示されたガラス容器102の実施の形態において、本体112は、壁部分120および床部分122を含む。壁部分120は、踵部分124を通じて床部分122に移行する。実施の形態において、ガラス容器102は、フランジ126、フランジ126から延在する首部128、胴部115、および首部128と胴部115との間に延在する肩部130を含む。床部分122は、踵部分124を通じて胴部115に結合されている。実施の形態において、ガラス容器102は、中心軸Cに対して対称であり、胴部115、首部128、およびフランジ126の各々は、実質的に円筒形である。
【0052】
本体112は、図1に示されるように、内面114と外面116との間の距離として定義される壁厚Tを有する。ガラス容器102の壁厚Tは、実施に応じて様々であってよい。実施の形態において、ガラス容器102の壁厚Tは、6ミリメートル(mm)以下、例えば、4mm以下、2mm以下、1.5mm以下、または1mm以下であることがある。実施の形態において、壁厚Tは、0.1mm以上かつ6mm以下、0.3mm以上かつ4mm以下、0.5mm以上かつ4mm以下、0.5mm以上かつ2mm以下、または0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがある。実施の形態において、壁厚Tは、0.9mm以上かつ1.8mm以下であることがある。壁厚Tは、ガラス容器102内の軸方向位置に応じて、変動することがある。
【0053】
実施の形態において、ガラス容器102は、USP<660>に準拠するタイプ1Bのホウケイ酸ガラス組成物などのホウケイ酸ガラス組成物を含む、USP<660>に定義されたタイプI、タイプIIまたはタイプIIIのガラスから形成されることがある。実施の形態において、ガラス容器102は、ここに全て引用される、Corning Incorporatedに譲渡された「Ion Exchangeable Borosilicate Glass Compositions and Glass Articles Formed from the Same」と題する、2019年8月7日に出願された同時係属出願である米国仮特許出願第16/533954号明細書に記載されたものなど、イオン交換可能なホウケイ酸ガラス組成物から形成されることがある。あるいは、ガラス容器102は、ここに全て引用される米国特許第8551898号明細書に開示されたものなどの、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物、またはここに全て引用される米国特許第9145329号明細書に記載されたものなどのアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス組成物から形成されることがある。実施の形態において、ガラス容器102は、ソーダ石灰ガラス組成物から構成されることがある。実施の形態において、ガラス容器102は、0K-1以上かつ100×10-7-1以下(例えば、30×10-7-1以上かつ70×10-7-1以下)の熱膨張係数を有するガラス組成物から構成される。実施の形態において、ガラス容器102は、0K-1以上かつ70×10-7-1以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作られることがある。
【0054】
ガラス容器102が特定の形状因子(すなわち、バイアル(vial))を有するものとして図1に示されているが、ガラス容器102は、制限なく、Vacutainers(登録商標)、カートリッジ、注射器、アンプル、瓶、フラスコ、バイアル(phials)、管、ビーカーなどを含む他の形状因子を有してもよいことを理解すべきである。さらに、ここに記載されたガラス容器102は、制限なく、医薬品包装、飲料容器などを含む多種多様な用途に使用できることを理解すべきである。
【0055】
再び図1を参照すると、ガラス容器102のフランジ126は、上部シール面110、裏面132、および外面134を有し得る。外面134は、フランジ126の外径を規定することがある。上部シール面110は、栓106と接触して栓106とフランジ126との間に流体密封シールを形成するフランジ126の表面である。図2~4を参照すると、ガラス容器102のフランジ126の上部シール面110は、異なる形状を有することがある。図2を参照すると、実施の形態において、上部シール面110は、傾斜シール面140を含むことがある。傾斜シール面140は、フランジ126の外面134とガラス容器102の内面114との間で少なくとも一部または全てに延在することがある。傾斜シール面140は、開口105の端部154に広がる平面152に対して角度150で延在することがある。平面152は、開口105でガラス容器102の上部にある(例えば、傾斜シール面140の頂部にある)平面であることがある。実施の形態において、平面152は、ガラス容器102の基準点(例えば、床部分122、図1参照)から最も離れた上部シール面110の周りに延在する地点を接続することがある。平面152は、ガラス容器102の中心軸Cに垂直な方向(例えば、図2の座標軸のX-Y平面)にガラス容器102の上部に広がる。実施の形態において、平面152は、開口105を画成する内面114の部分に垂直に延在する。ここに記載された角度150は、「フランジ角度」と称されることがある。実施の形態において、角度150は、5度より大きくかつ45度以下である。
【0056】
ここで図3を参照すると、実施の形態において、ガラス容器102は、ガラス容器102の開口105の端部154に広がる平面152に延在する上部シール面110を含むことがある。実施の形態において、上部シール面110は、ガラス容器102の中心軸Cに対して実質的に垂直(例えば、89.5度以上かつ90.5度以下の角度)に延在することがある。実施の形態において、上部シール面110は、開口105を規定するガラス容器102の内面114に実質的に垂直に延在することがある。そのような上部シール面110は、栓106(図1参照)と上部シール面110との間の接触面積を効果的に増加させることがあり、これにより、シールの完全性を維持する可能性が増すであろう。
【0057】
図3に示されたガラス容器102において、上部シール面110は外面134から内面114まで延在する。上部シール面110は、本開示にしたがう様々な異なる特徴を含んでよいことを認識すべきである。ここで図4を参照すると、実施の形態において、ガラス容器102の上部シール面110は、平らな部分136、面取り部137、隅丸138、またはこれらの組合せを含むことがある。面取り部137は、存在する場合、フランジ126の平らな部分136と外面134との間に延在することがある。隅丸138は、存在する場合、平らな部分136と内面114との間に延在することがある。実施の形態において、平らな部分136は、図3に上部シール面110に関して記載されたように、平面152に延在することがある。他の実施の形態において、平らな部分136は、図2に示された上部シール面110に関して記載されたように、平面152に対して角度が付けられることがある。実施の形態において、面取り部137は、平らな部分136に対して45度の角度で延在することがある。実施の形態において、面取り部137は、栓106が多方向に上部シール面110を被包できることにより、栓106で作られたシールの完全性を増加させることがある。実施の形態において、上部シール面110は、隅丸138の代わりに、平らな部分136と内面114との間に同様に延在する内側面取り部を含むことがあり、その第2の面取り部は、面取り部137について記載されたものと類似の特徴を有する。図4に関してここに記載された特徴(例えば、面取り部137、隅丸138、または他のシール特徴)のいずれも、図2に関してここに記載された傾斜シール面140に組み込まれてもよい(例えば、平面152と角度150を形成する上部シール面110は、傾斜シール面140と外面134との間に延在する面取り部、傾斜シール面140と内面114との間に延在する隅丸138、または面取り部137と隅丸138の両方を含むことがある)ことを認識すべきである。
【0058】
ここで図5を参照すると、密閉ガラス容器100は、少なくとも一部には、ガラス容器102の開口105との係合により、ガラス容器102に取り付けられる密閉アセンブリ104を含む。密閉アセンブリ104は、栓106およびキャップ108を含む。栓106は、挿入部分117およびシール部分119を含むことがある。挿入部分117は、シール部分119がガラス容器102の上部シール面110と接触するまで、ガラス容器102の開口105に挿入されることがある。栓106は、密閉中に、キャップ108で圧縮され得る弾性材料から製造されることがある。実施の形態において、栓106は、合成ゴムまたは他のエラストマーから作られることがある。そのような材料は、栓106をガラス容器102に挿入して、ガラス容器102の内部を密閉するのを促進するための高い透過抵抗と弾性を有益に有する。合成ゴムとしては、以下に限られないが、ブチルゴムや他の合成ゴムが挙げられるであろう。
【0059】
キャップ108は金属含有キャップであることがある。再び図5を参照すると、キャップ108は、キャップスカート160およびキャップスカート160に連結されたキャップカバー170を含むことがある。キャップスカート160は、少なくとも、環状体162および環状体162の一方の軸方向端部に配置された圧着領域164を含むことがある。キャップスカート160は、環状体162の他方の軸方向端部に連結された取付フランジ166をさらに含むことがある。キャップスカート160の環状体162は、内面168および外面169を有することがある。内面168は、ガラス容器102のフランジ126に向かって半径方向内側に面することがあり、密閉アセンブリ104がガラス容器102に取り付けられたときに、フランジ126の外面134の部分、栓106の部分、またはその両方と接触することがある。環状体162の外面169は、ガラス容器102のフランジ126から離れて半径方向外側に面することがある。キャップスカート160の環状体162の厚さtCSは、環状体162の内面168と外面169上の2つの互いに反対の地点の間の距離である。
【0060】
再び図5を参照すると、取付フランジ166は、キャップカバー170と係合して、キャップカバー170をキャップスカート160に連結するように作られることがある。実施の形態において、取付フランジ166は、環状体162からガラス容器102の軸Cに向かって半径方向内側に延在する環状フランジであることがある。取付フランジ166は、圧着領域164を構成する端部と反対にある環状体162の端部に配置されることがある。
【0061】
圧着領域164は、キャップスカート160の環状体162の底端部に配置されることがある。環状体162の底端部は、図5の座標軸の-Z方向に向けられた環状体162の端部を称する。圧着領域164は、アルミニウム金属またはアルミニウムの合金など、圧着可能な金属から作られることがある。任意の他の圧着可能な金属が、キャップスカート160の環状体162を構成するために適していることがある。
【0062】
キャップ108は、栓106の上と、ガラス容器102のフランジ126の周りに配置されることがある。キャップ108はフランジ126に圧着されることがある。キャップ108をフランジ126に圧着する工程は、キャップ108が栓106を圧縮し、それより、栓106のシール部分119がフランジ126の上部シール面110に対して押し付けられて、フランジ126の上部シール面110と栓106のシール部分119との間にシールが形成されるように、キャップスカート160の圧着領域164をフランジ126の裏面132の周りに変形させる工程を含む。実施の形態において、密閉アセンブリ104のキャップ108は、任意の適切な圧着方法(例えば、空気圧圧着装置など)によりガラス容器102のフランジ126の周りに圧着される。密閉プロセス中に、栓106がガラス容器102の開口105に挿入され、圧着中に、キャップ108に圧縮力が印加される。例えば、図5に示されるように、キャップ108は、フランジ126の裏面132と接触して、栓106を圧縮状態のままにし、圧縮プロセス後にシールを形成する圧着領域164を含む。栓106を圧縮すると、キャップ108が適所に圧着された後に、栓106に圧縮を維持する残留シール力がフランジ126内に生じる。実施の形態において、フランジ126の裏面132と直接接触するキャップ108の圧着領域164は、-80℃以下の貯蔵温度で栓106内に残留シール力を維持するのを促進するために1mm以上の長さ111を有する。
【0063】
既存の密閉容器を、例えば、-80℃以下の極低温貯蔵温度に冷却すると、栓とガラス容器との間のシール完全性が損なわれることがある。どの特定の理論で束縛されるものでもないが、-80℃以下の温度でのシール完全性の喪失は、様々な構成部材の間の熱収縮の差、栓を作製する材料のガラス転移温度より低い温度での栓の弾力性の喪失、またはこれらの組合せにより生じるであろうと考えられる。
【0064】
密閉ガラス容器100が-80℃以下(例えば、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、またさらには-180℃以下)の比較的低い貯蔵温度に冷却された場合、密閉ガラス容器100の構成部材の各々は、その構成部材の熱的性質に応じて、体積収縮を経ることがある。図5に示されるように、キャップスカート160の圧着領域164とキャップ108の取付フランジ166または上部カバー170との間に配置された材料の体積は、栓106のシール部分119およびガラス容器102のフランジ126を含む。栓106とフランジ126の組合せがキャップ108の収縮の量より大きい量で収縮した場合、キャップ108により与えられる栓106の圧縮が減少することがあり、これにより、上部シール面110でのシールが損なわれる可能性が増す。
【0065】
再び図5を参照すると、フランジ126(フランジ高さ158)と圧縮された栓106(栓106がキャップ108で圧縮されているときの栓高さ156)の合計高さ154(例えば、図5の座標軸の±Z方向の)は、環状体162の軸方向長さ(例えば、キャップ108のキャップスカート160の圧着領域164と取付フランジ166との間の距離)とほぼ等しい。キャップ108は、圧着されているときに、栓106を上部シール面110に対して圧縮して、シールを形成する。しかしながら、合計高さ154がキャップスカート160の環状体162よりも大きい程度まで収縮すると、栓106の圧縮は減少し、残留シール力が低下するであろう。栓106の圧縮を維持するために、キャップ108の環状体162、栓106のシール部分119、およびガラス容器102のフランジ126の収縮ΔLは、式(1)の関係:
【0066】
【数1】
【0067】
を満たす。式(1)において、各構成部材の収縮ΔLは、式(2)の関係で近似されることがある。
【0068】
【数2】
【0069】
式(2)において、Lは成分の初期寸法であり、α(T)は、キャップ108、栓106、およびガラス容器102の各々を構成する材料の温度依存性CTEである。
【0070】
問題がさらに悪化すると、栓106は、-80℃以下の温度で弾性を失うことがある。栓106は、高分子系材料(例えば、ブチルゴムまたは他の合成ゴム)から作られることがある。これらの材料の各々は、ガラス転移温度(Tg)を有することがある。栓106の材料は、Tg未満では、固体のように挙動し(例えば、弾性の損失)、フランジ126の上部シール面110でのシール力が低下するであろう。例えば、栓106がそのTg以下の温度に冷却された場合、栓106は、上部シール面110とキャップ108の取付フランジ166または上部カバー170との間の間隙の全てを満たさず、それによってシールを損なう可能性が増すことがある。すなわち、栓106は、そのガラス転移温度より低く冷却されると、2つの異なる材料として:転移温度より高い温度では弾性材料として、転移温度より低い温度では固体ガラスとして効果的に挙動する。上記式(2)を使用すると、フランジ126とキャップ108の取付フランジ166または上部カバー170との間に配置された栓106の収縮は、Tgより高い初期温度TからTgより低い最終温度Tに冷却されたときに、式(3)にしたがって近似されることがある。
【0071】
【数3】
【0072】
式(3)において、αガラスは、栓106のゴムがそのガラス転移温度Tgより低く変わるガラス様材料のCTEを称する。
【0073】
実施の形態において、シールを維持するために、キャップ108および栓106は、キャップ108の収縮が、栓106とガラス容器102のフランジ126の合計収縮以上となるように、構成されることがある。ガラス容器のための典型的な市販の密閉アセンブリは、概して、全てがアルミニウム金属からなる金属圧着キャップを含む。アルミニウム圧着キャップは、ゴム栓およびガラス容器のフランジを取り囲む。全てがアルミニウム金属からなる典型的なアルミニウム圧着キャップは、-80℃以下(例えば、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、またさらには-180℃以下)の温度に冷却されたときに、ガラス容器のフランジの上部シール面に対する栓のシール力を維持するのに十分に大きい熱膨張係数(CTE)を有していない。全てがアルミニウム金属からなる典型的な圧着キャップは、20℃で、約255×10-7-1のCTEを有することがある。栓106を作る典型的なゴム(例えば、Butyl 325、Butyl 035など)は、300×10-7-1以上のCTEを有することがある。すなわち、純粋にCTEの差の観点から、全てがアルミニウム金属からなる圧着キャップは、栓より少なく収縮する傾向があり、-80℃以下のより低い貯蔵温度でシール力が減少する。さらに、既存のアルミニウム圧着キャップのヤング率(変形抵抗性)は、ガラス容器のフランジの上部シール面に対する栓のシール力を維持するのに十分に高くない。
【0074】
本出願は、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、またさらには-180℃以下の温度で容器密閉完全性(CCI)を維持するために、栓106とガラス容器102のフランジ126に対するキャップ108の収縮を増加させる、キャップ108の剛性を増加させる、またはその両方を増加させる、密閉アセンブリ104のキャップ108のデザインに関する。実施の形態において、キャップ108のCTEと剛性との間の関係は、-80℃から-180℃、さらには-180℃以下の温度での容器密閉完全性(CCI)を確保するように規定されることがある。そのような関係を満たすのを容易にするために、キャップ108の収縮を増加させてもよい、キャップ108の剛性を増加させてもよい、またはその両方を行ってもよい。実施の形態において、キャップ108、特に、キャップ108のキャップスカート160は、20℃で約225×10-7-1のCTEを有する、アルミニウム金属からなる既存のキャップまたはキャップスカートのCTEより少なくとも100×10-7-1大きいCTEを有することがある。実施の形態において、キャップ108、特に、キャップ108のキャップスカート160は、栓106のガラス転移温度Tg以下の温度(例えば、-45℃以下)で、アルミニウム金属からなる既存のキャップまたはキャップスカートのCTEより少なくとも100×10-7-1大きいCTEを有することがある。実施の形態において、キャップ108、またはキャップ108のキャップスカート160は、140GPa以上の剛性など、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する既存のアルミニウム圧着キャップの剛性の少なくとも2倍の剛性を有することがある。実施の形態において、キャップ108、またはキャップ108のキャップスカート160は、アルミニウムからなる金属のCTEより大きいCTE、およびアルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する既存のアルミニウム圧着キャップの剛性より大きい剛性を有することがある。
【0075】
ここに開示されたキャップ108構造は、密閉医薬品容器100が冷却されたときに、ガラス容器102のフランジ126の上部シール面110に対する栓106の連続圧縮を維持することができる。冷却中にフランジ126に対する栓106の連続圧縮を維持することにより、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、またさらには-180℃以下の温度に冷却されている最中に、容器密閉完全性(CCI)が維持されるであろう。先に述べたように、CCIは、USP<1207>(2016)に記載されたヘリウム漏れ試験を行うことによって、評価することができる。ここに開示されたキャップ108を備えた密閉ガラス容器100は、密閉ガラス容器100が毎分5℃以下の速度で前記温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下のヘリウム漏れ速度を維持することができる。
【0076】
ここに開示されたキャップ108を備えた密閉アセンブリ104は、密閉医薬品容器が-45℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の密閉ガラス容器100のヘリウム漏れ速度を維持することができる。ここに開示されたキャップ108を備えた密閉アセンブリ104は、密閉医薬品容器が-80℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の密閉ガラス容器100のヘリウム漏れ速度を維持することができる。ここに開示されたキャップ108を備えた密閉アセンブリ104は、密閉医薬品容器が-100℃以下、-120℃以下、-150℃以下、またさらには-180℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の密閉ガラス容器100のヘリウム漏れ速度を維持することができる。
【0077】
再び図5を参照すると、先に述べたように、キャップ108は、キャップスカート160および上部カバー170を含む。キャップスカート160は、環状体162、環状体162の底端(例えば、図5の座標軸の-Z方向の環状体162の端部)にある圧着領域164、および圧着領域164と反対の環状体162の上端にある取付フランジ166を備える。上部カバー170は、中実ディスクまたは環状ディスクのような形状であることがあり、高分子材料から作られることがある。実施の形態において、上部カバー170は、上部カバー170を通って軸方向に(例えば、図の±Z方向に)延在する軸方向開口(図示せず)を有する環状ディスクであることがある。その軸方向開口は、ガラス容器102からキャップ108と栓106を取り外さずに、注射器を利用して、栓106を貫通して、密閉ガラス容器100の内容物を取り出せるようにキャップ108を通じた栓106へのアクセスを提供することができる。上部カバー170は、キャップスカート160の取付フランジ166に連結されることがある。
【0078】
圧着領域164は、圧着可能な金属から作られることがある。圧着可能な金属は、市販の圧着装置を使用して圧着することができる金属である。実施の形態において、圧着領域164の圧着可能な金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含むことがある。
【0079】
実施の形態において、キャップスカート160は、アルミニウムからなる金属のCTEより大きいCTEを有することがある。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、アルミニウムからなる金属のCTEより大きいCTEを有することがある。キャップスカート160の環状体162のCTEがより大きいと、密閉ガラス容器100が冷却されたときに、キャップスカート160の収縮が増加することがあり、これにより、密閉ガラス容器100が-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、またさらには-180℃以下の温度に冷却されたときに、キャップ108が栓106により大きいシール力を与えることができる。
【0080】
ここで図6A、6B、および6Cを参照すると、キャップスカート160の異なるCTE値と異なる温度での、栓106とガラス容器102のフランジ126の上部シール面110との間のシール圧力がシミュレーションされている。256×10-7-1のCTE(図6A)、352×10-7-1のCTE(図6B)、および698×10-7-1のCTEを有するキャップスカート160に関する、25℃でのシール圧力がシミュレーションされている。図6A~6Cに示されるように、シミュレーションの各々は、25℃での栓106と上部シール面110との間の全界面に沿った相当なシール圧力を示している。25℃では、キャップスカート160のCTEの関数として、シール圧力に非常にわずかしか差がない。
【0081】
ここで図7A、7B、および7Cを参照すると、-80℃の温度でのキャップスカート160の各々についてシミュレーションが繰り返されている。図8A、8B、および8Cを参照すると、栓106とガラス容器102のフランジ126との間の界面のクローズアップがグラフで示されており、シール圧力と接触面積の差をよりよく示すために、シール圧力が異なる領域が、異なる陰影パターンで示されている。図8Aに示されるように、256×10-7-1のCTEを有するキャップスカート160について、シール圧力は、大幅に減少しているのが示されており、図6Aの25℃でのシミュレーションと比べて、シール圧力がない(例えば、0.0001未満の)領域が増加している。図8Aは、栓106と上部シール面110との間の界面の大部分でシール圧力がゼロであることを示す。図8Bを参照すると、キャップスカート160のCTEが352×10-7-1に増加したときに、栓106と上部シール面110との間の界面のより大きい部分が、正のシール圧力を有し、これらの領域におけるシール圧力は、図8Aの256×10-7-1のCTEを有するキャップスカート160で達成されたシール圧力プロファイルと比べて、-80℃でより大きい。ここで図8Cを参照すると、キャップスカート160のCTEが698×10-7-1に増加したときに、-80℃の温度での図8Aおよび8Bにおけるより低いCTEのシミュレーションと比べて、シール圧力が、上部シール面110の幅のずっと大きい割合に亘り延在している。さらに、698×10-7-1のCTEでは、-80℃の温度で、図8Aおよび8Bにおけるより低いCTEのシミュレーションと比べて、接触圧の大きさがより大きい。
【0082】
ここで図9A、9B、および9Cを参照すると、-180℃の温度でのキャップスカート160の各々についてシミュレーションが繰り返されている。図10A、10B、および10Cを参照すると、栓106とガラス容器102のフランジ126との間の界面のクローズアップがグラフで示されており、シール圧力と接触面積の差をよりよく示すために、シール圧力が異なる領域が、異なる陰影パターンで示されている。図10Aに示されるように、256×10-7-1のCTEを有するキャップスカート160について、図8Aの-80℃でのシミュレーションと比べて、シール圧力がない(例えば、0.0001未満の)領域が増加している。図10Aは、上部シール面110の外縁のみにシール圧力を示しており、これにより、冷却中に容器密閉完全性が失われる可能性が大幅に増加する。図10Bを参照すると、キャップスカート160のCTEが352×10-7-1に増加したときに、栓106と上部シール面110との間の界面のより大きい部分が、正のシール圧力を有し、これらの領域におけるシール圧力は、図10Aの256×10-7-1のCTEを有するキャップスカート160で達成されたシール圧力プロファイルと比べて、-180℃でより大きい。図10Bに示されたシール圧力の2つの領域は、図10Aに示されたシール圧力の一点と比べて、-180℃でのCCI喪失の可能性を大幅に減少させることができる。ここで図10Cを参照すると、キャップスカート160のCTEが698×10-7-1に増加したときに、-180℃の温度での図10Aおよび10Bにおけるより低いCTEのシミュレーションと比べて、シール圧力が、上部シール面110の幅のずっと大きい割合に亘り延在している。さらに、698×10-7-1のCTEでは、-180℃の温度で、図10Aおよび10Bにおけるより低いCTEのシミュレーションと比べて、接触圧の大きさがより大きい。
【0083】
ここで図11を参照すると、温度(x軸)の関数としての栓106と上部シール面110との間の接触面積(y軸)が、236×10-7-1から1160×10-7-1に及ぶ異なるCTEを有するキャップスカート160について、グラフで示されている。図11に示されるように、236×10-7-1のCTEでは、栓106と上部シール面110との間の接触面積は、-90℃未満の温度では、25mm未満である。キャップスカート160のCTEが増加するにつれて、栓106と上部シール面110との間の接触面積が増加する。キャップスカート160のCTEをちょうど352×10-7-1に増加させると、栓106と上部シール面110との間の接触面積は、236×10-7-1のCTEでの接触面積と比べて、2倍を超える。キャップスカート160のCTEが増加するにつれて、接触面積は増え続ける。これらのシミュレーションは、キャップスカート160のCTEを増加させると、少なくとも-180℃まで低下した温度で、栓106とフランジ126の上部シール面110との間のシール圧力と接触面積を増加させられることを示す。キャップスカート160のCTEを増加させることにより生じたシール圧力と接触面積のこの増加により、-80℃未満の温度でのCCIの喪失の可能性を減少させることができる。
【0084】
再び図5を参照すると、実施の形態において、キャップスカート160、特に、キャップスカート160の環状体162は、既存の金属圧着キャップのCTEより大きいCTEを有することがある。キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体は、アルミニウムからなる典型的な圧着キャップのCTEより大きいCTEを有する材料から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160、特に環状体162は、少なくとも100×10-7-1の差だけ、アルミニウム金属からなる(例えば、少なくとも99%のアルミニウム)金属のCTEより大きいCTEを有する材料から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、栓106のCTEより大きいCTEを有する材料から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、キャップスカート160または環状体162のCTEと栓のCTEとの間の差の絶対値が50×10-7-1以下であるようなCTEを有する材料から作られることがある。典型的な栓106は、1311×10-7-1から3134×10-7-1の20℃でのCTEを有し得る。実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、以下の式(4)を満たすCTEを有する材料から作られることがあり、式中、αスカートは、栓106のガラス転移温度でのキャップスカート160のCTEであり、αは、栓106のガラス転移温度での栓106のCTEであり、αフランジは、栓106のガラス転移温度でのフランジ126のCTEであり、hは、キャップスカート160で取り囲まれた栓106の高さであり、hフランジはフランジ126の高さである。
【0085】
【数4】
【0086】
実施の形態において、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162は、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有する材料から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162は、栓106のガラス転移温度以下(例えば、-45℃以下)の温度で、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有する材料から作られることがある。
【0087】
実施の形態において、キャップスカート160の環状体162のより大きいCTEは、キャップスカート160またはその部分を、アルミニウム金属より大きいCTE(例えば、20℃で255×10-7-1より大きい)を有する材料から作ることによって達成されることがある。キャップスカート160、特に環状体162の材料は、金属、金属合金、または高分子金属複合体から選択される材料を含むことがあり、その材料は、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上の高いCTEを有する。
【0088】
実施の形態において、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162は、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEなど、アルミニウム金属(すなわち、アルミニウムからなる金属)のCTEより大きいCTEを有する金属または金属合金から作られることがある。実施の形態において、その金属または金属合金は、栓106のガラス転移温度Tg以下の温度(例えば、約-45℃以下)で、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有することがある。実施の形態において、キャップスカート160は、圧着できる高CTE金属から製造することができる。圧着できる高CTE金属の例としては、以下に限られないが、Li、Li含有合金、Pb、Sb-Pb合金、Zn、Zn含有合金、Zn-Pb-Cd合金、Cd、またはこれらの組合せが挙げられる。しかしながら、これらの高CTE金属のいくつかは、大気中で不安定であることがある、または許容できない健康と安全性のリスクを引き起こすことがある。
【0089】
したがって、実施の形態において、キャップスカート160は、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、またはこれらの組合せの1つ以上を含む高CTE金属合金もしくはアルミニウム金属を含む複合材料から作ることができる。実施の形態において、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162は、アルミニウムに対してキャップのCTEを増加させるために、ZnまたはMgを含むことがある。実施の形態において、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅、またはこれらの組合せの1つ以上を含む金属合金から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162は、Znの合金、例えば、Al、Mg、Cu、およびこれらの組合せからなる群より選択される1種類以上の金属を含むZn合金から作られることがある。Znの合金は、アルミニウムからなる金属のCTEより15%程度大きいことがあり得るCTEを有することがある。実施の形態において、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162の金属合金は、5質量%以下のAlを含むことがある。実施の形態において、金属含有キャップ108は、適切なPb-Sn合金など、他の金属合金から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160の高CTE金属または金属合金は、圧着可能な金属または金属合金であることがある。金属および金属合金は、既存の圧着プロセスに有益に使用できる。それゆえ、現行の瓶詰めプロセスは、ここに記載された改善されたシールを得るために著しく変更する必要がない。
【0090】
実施の形態において、環状体162、圧着領域164、および取付フランジ166を含むキャップスカート160の全体は、本明細書中で先に記載された高CTE金属合金のいずれかなど、高CTE金属合金から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、高CTE金属合金から作られることがあり、圧着領域164、取付フランジ166、またはその両方は、環状体162の高CTE金属合金と異なる金属または金属合金から作られることがある。
【0091】
実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、高分子金属複合材料から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、金属含有コーティングで被覆された高分子マトリクスを含む金属高分子複合体から作られることがある。実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、高分子系補強材が中に配置された金属マトリクスを含む金属高分子複合体から作られることがある。その高分子系補強材は、アルミニウムマトリクス全体に亘り分散されることがある。これらの実施の形態において、その高分子は、高分子金属複合材料のCTEがアルミニウム金属(すなわち、アルミニウムからなる金属)のCTEより大きくなるように、(20℃および/または栓106のガラス転移温度以下の温度で)280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、500×10-7-1以上、またさらには1000×10-7-1以上のCTEなど、高いCTEを有することがある。高分子金属複合材料の金属は、本明細書中で先に記載された金属または金属合金のいずれであってもよい。実施の形態において、高分子金属複合材料の金属は、アルミニウムまたはアルミニウム含有合金であることがある。
【0092】
再び図5を参照すると、実施の形態において、キャップ108は、キャップスカート160の圧着領域164のための高CTEかつ圧着可能な金属を有する、高分子を含む高分子金属複合構造であることがある。詳しくは、キャップ108は、高分子金属複合構造であることがあるキャップスカート160を含むことがある。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、高CTEを有する高分子から作られることがあり、キャップスカート160の圧着領域164は、環状体162の高分子に連結された圧着可能な金属、例えば、アルミニウム含有金属から作られることがある。アルミニウム含有金属は、アルミニウム金属またはアルミニウム含有金属合金を含むことがある。圧着領域164の圧着可能な金属は、アルミニウム金属またはアルミニウム含有金属合金を含むことがある。圧着領域164の圧着可能な金属は、環状体162の底端(例えば、図5の座標軸の-Z方向に向けられた環状体162の端部)で環状体162の高分子材料に直接連結されることがある。実施の形態において、圧着可能な金属から作られた圧着領域164は、環状体162の高分子材料中に成形されることがある。
【0093】
環状体162は、アルミニウムからなる金属のCTEより大きい高CTEを有する高分子から作られることがある。実施の形態において、取付フランジ166も、高CTEを有するその高分子材料から作られることがある。環状体162の高分子材料は、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、500×10-7-1以上、またさらには1000×10-7-1以上のCTEを有することがある。実施の形態において、環状体162の高分子材料は、栓106のガラス転移温度Tg以下の温度(例えば、≦-45℃)で、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、355×10-7-1以上、400×10-7-1以上、500×10-7-1以上、またさらには1000×10-7-1以上のCTEを有することがある。その高分子は、3,000×10-7-1以下、例えば、2500×10-7-1以下、または2000×10-7-1以下のCTEを有することがある。実施の形態において、環状体162の高分子は、255×10-7-1超から3000×10-7-1、260×10-7-1から3000×10-7-1、260×10-7-1から2500×10-7-1、260×10-7-1から2000×10-7-1、300×10-7-1から3000×10-7-1、300×10-7-1から2500×10-7-1、300×10-7-1から2000×10-7-1、350×10-7-1から3000×10-7-1、350×10-7-1から2500×10-7-1、350×10-7-1から2000×10-7-1、400×10-7-1から3000×10-7-1、400×10-7-1から2500×10-7-1、400×10-7-1から2000×10-7-1、500×10-7-1から3000×10-7-1、500×10-7-1から2500×10-7-1、または500×10-7-1から2000×10-7-1のCTEを有することがある。
【0094】
キャップスカート160の環状体162の高分子材料は、以下に限られないが、高密度ポリエチレン(HDPE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリプロピレン(PP)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、または他の高CTE高分子など、先の範囲内の高CTEを有するどの高分子であってもよい。実施の形態において、その高分子材料は、高CTEプラスチックであることがある。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、HDPE、ABS、PP、UHMWPE、およびその組合せからなる群より選択される高分子から作られることがある。
【0095】
最も一般的な高分子材料について、高分子材料のヤング率は、高分子材料が既存の金属圧着キャップに使用される金属と比べてずっと大きいCTEを有し得ても、その金属と比べて非常に低い。高分子材料の減少したヤング率は、キャップスカート160の剛性の低下をもたらすことがあり、これにより、冷却中にキャップスカート160が曲がることがある。冷却中にキャップスカート160が曲がると、栓106に対してキャップ108で印加される力の量が減少し、それによって、密閉ガラス容器100が-80℃未満の温度に冷却されたときに、CCIが損なわれる可能性が増すであろう。それゆえ、高分子材料のCTEの増加により与えられるシール力に対するどのような恩恵も、高分子材料の剛性の低下により、減少するであろう。
【0096】
ここで図14を参照すると、キャップスカート160の高分子部分が、キャップ108が十分なシール力で上部シール面110に対して栓106をきつく保持できるほど十分に強力であることを確実にするために、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162の剛性を増加させてもよい。キャップスカート160の環状体162の剛性は、キャップスカート160の環状体162の半径方向厚さtCSを増加させることによって増加させることができる。環状体162の半径方向厚さtCSは、密閉ガラス容器100の中心軸Cに垂直に、中心軸Cから半径方向外側に延在する放射状の直線に沿った、環状体162の内面168とその環状体の外面169との間の距離であることがある。環状体162の剛性は、以下の式(5):
【0097】
【数5】
【0098】
で定義される。式(5)において、kは剛性であり、Eはヤング率であり、Aはキャップスカート160の環状体162の断面積であり、Lはキャップスカート160の環状体162の軸方向長さである。断面積Aは、密閉ガラス容器100の中心軸Cに垂直な平面で撮られた断面である。環状体162の長さLは、密閉ガラス容器100の中心軸Cに平行な方向(すなわち、図14の座標軸の±Z方向)の環状体162の長さである。
【0099】
キャップスカート160の環状体162は、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さLを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の20%以内の剛性を有することがある。言い換えると、キャップスカート160の高分子環状体162の剛性と、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さLを有する同等のキャップスカート環状体の剛性との間の絶対差は、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さLを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の20%以下である。アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さLを有する同等のキャップスカート環状体の剛性に対するキャップスカート160の環状体162の剛性の比は、0.8より大きい、例えば、0.8から1.2であることがある。
【0100】
実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、栓106のガラス転移温度Tg以下の温度(例えば、≦-45℃)で、圧縮されたゴム栓106の剛性の30%以内の剛性を有することがある。フランジ126の上部シール面110にゴム栓106のシール面の20%を維持する必要性を考えると、キャップスカート160の環状体162の剛性は、以下の式(6)から予測することができる。
【0101】
【数6】
【0102】
式(6)において、E高分子とA高分子は、高分子材料から作られた環状体162の、それぞれ、ヤング率と面積であり、Eは栓106のヤング率であり、Aフランジ上面は、ガラス容器102のフランジ126の上部シール面110のシール表面積であり、Lは栓106の軸方向長さであり、L高分子はキャップスカートの軸方向長さである。ほとんどの場合、高分子材料から作られた環状体162の内側半径は、アルミニウム金属からなる同等のキャップスカート環状体の内側半径とほぼ同じである。それゆえ、剛性を変える方法の1つは、高分子材料から作られた環状体162の厚さδを変えることである。式(6)は、以下の式(7)で近似することができる。
【0103】
【数7】
【0104】
実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、またさらには400×10-7-1以上、500×10-7-1以上、またさらには1000×10-7-1以上のCTEを有する高分子材料から作られることがある。それに加え、キャップスカート160の環状体162は、栓106のガラス転移温度Tgでの圧縮されたゴム栓106の剛性に対するキャップスカート160の環状体162の剛性の比が0.7以上であるような十分な厚さを有することがある。実施の形態において、環状体162は、0.19mmより大きい、例えば、0.20mm以上、0.21mm以上、0.25mm以上、0.50mm以上、またさらには1mm以上の半径方向厚さtCSを有することがある。
【0105】
キャップ108自体の剛性を増加させても、シール圧力を増加させ、キャップ108を構成する材料のCTEを増加させることとは無関係にCCI喪失の可能性を減少させることができることも分かった。ここで図12を参照すると、20℃で225×10-7-1の一定のCTEおよび増加した剛性を有するキャップスカート160に関する、温度(x軸)の関数としての栓106と上部シール面110との間の接触面積(y軸)がグラフで示されている。図12において、参照番号1202で示された線は、アルミニウム金属からなり、0.19mmの厚さを有する典型的なキャップスカートに関するデータを示す。参照番号1204について、キャップスカート160の剛性は、CTEを一定に維持しつつ、参照番号1202の典型的なキャップスカートの剛性の1.5倍増加した。参照番号1206について、剛性は、典型的なキャップスカート(参照番号1202)の剛性の2倍増加し、参照番号1208について、典型的なキャップスカート(参照番号1202)の剛性の4倍増加した。CTEは、一定に保持された。図12に示されるように、キャップスカート160の剛性が増加するにつれて、栓106と上部シール面110との間の接触面積は、約-100℃未満の温度で増加する。-180℃の温度では、剛性を2倍増加させると、栓106と上部シール面110との間の接触面積がほぼ2倍になる。それゆえ、栓106と上部シール面110との間の接触面積は、キャップスカート160の剛性を増加させることにより、-100℃未満、-110℃未満、-120℃未満、-150℃未満、またさらには-180℃未満の温度で増加させ、それによって、これらの低下した貯蔵温度でのCCI喪失の可能性を減少させることができる。
【0106】
再び図5を参照すると、実施の形態において、キャップスカート160の少なくとも一部または全ては、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上の剛性を有することがある。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162の少なくとも一部または全ては、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上の剛性を有することがある。キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162の剛性は、キャップスカート160を構成する材料のヤング率を増加させることにより、キャップスカート160の形状を変えることにより(例えば、環状体162の厚さtCSを増加させることにより)、またはその両方により、増加させることができる。
【0107】
キャップスカート160のヤング率は、キャップスカート160の少なくとも一部または全て、特にキャップスカート160の環状体162の少なくとも一部を、アルミニウム金属またはアルミニウム合金のヤング率より大きいヤング率を有する金属または金属合金から作ることによって、増加させることができる。実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、アルミニウムまたはアルミニウム系合金からなる金属のヤング率の2倍以上のヤング率を有する金属または金属合金から作られることがあり、ここで、アルミニウム系合金は、少なくとも50質量%のアルミニウムを含む金属合金を称する。アルミニウムおよびアルミニウム系合金は、67GPaから73GPaの範囲のヤング率を有する。実施の形態において、キャップスカート160、特にキャップスカート160の環状体162は、134GPa以上、140GPa以上、145GPa以上、150GPa以上、またさらには160GPa以上のヤング率を有する金属または金属合金から作られることがある。適切な金属の例としては、以下に限られないが、鉄、ニッケル、鋼鉄、および鉄、ニッケル、または鋼鉄の合金が挙げられるであろう。実施の形態において、キャップスカート160および圧着領域164は、134GPa以上のヤング率を有する同じ金属または金属合金から作られることがある。他の実施の形態において、キャップスカート160は、134GPa以上のヤング率を有する金属または金属合金であり得、圧着領域164は、それより小さいヤング率を有するアルミニウムまたはアルミニウム系合金から作ることができる。
【0108】
再び図14を参照すると、キャップスカート160、またはキャップスカート160の環状体162の剛性は、環状体162の形状を変えることによって、増加させることもできる。環状体162の不変の軸方向長さLについて、キャップスカート160の環状体162の剛性は、キャップスカート160の環状体162の少なくとも一部または全ての半径方向厚さtCSを増加させることによって増加させることができる。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162少なくとも一部または全ては、キャップスカート160の環状体162の剛性が、アルミニウム金属から作られた典型的な市販のキャップスカートの剛性の2倍以上であるように、アルミニウム金属から作られた典型的な市販のキャップスカートの半径方向厚さより厚い半径方向厚さtCSを有することがある。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162の少なくとも一部または全ては、アルミニウム金属から作られた典型的な市販のキャップスカートの半径方向厚さの21/3倍以上の半径方向厚さtCSを有することがある。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162の少なくとも一部または全ては、0.22mm以上、0.23mm以上、0.24mm以上、0.25mm以上、またさらには0.30mm以上の半径方向厚さtCSを有することがある。
【0109】
実施の形態において、キャップスカート160の剛性は、キャップスカート160の環状体162を構成する材料のヤング率を増加させること、およびキャップスカート160の環状体162の少なくとも一部の半径方向厚さtCSを増加させることの両方によって増加させてもよい。それゆえ、キャップスカート160の環状体162のヤング率の増加および半径方向厚さtCSの増加の組合せにより、キャップスカート160の剛性を、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上に増加させることができる。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、73GPaより大きい、例えば、73GPaから140GPa、またさらには140GPaより大きいヤング率を有する材料から作られることがあり、キャップスカート160の環状体162の少なくとも一部は、0.19mmより大きい、0.20mm以上、0.21mm以上、またさらには0.22mm以上の半径方向厚さtCSを有することがあり、よって、環状体162のヤング利と半径方向厚さtCSの組合せにより、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上の剛性を有するキャップスカート160が得られることになる。
【0110】
それに加え、本開示の発明者は、キャップスカート160の剛性を増加させることと組み合わせたキャップスカート160のCTEを増加させることにより、CTEを増加させること、または剛性を増加させることの一方のみで達成できるであろう接触面積およびシール圧力を超えて、栓106とフランジ126の上部シール面110との間の接触面積およびシール圧力をさらに改善する相乗効果が生じることも発見した。ここで図13を参照すると、CTEと剛性が異なるキャップスカート160を有する密閉ガラス容器100に関する、温度(x軸)の関数としての栓106と上部シール面110との間の接触面積(y軸)が、グラフで示されている。図13において、参照番号1302で示される線は、キャップスカート160が236×10-7-1のCTEおよび第1の剛性を有している、密閉ガラス容器100に関する、温度の関数としての接触面積を示す。この第1の剛性は、アルミニウムからなり、0.19mmの半径方向厚さを有するキャップスカートの剛性に対応する。参照番号1302のキャップスカートは、-120℃未満の温度で、10mm未満の接触面積を有していた。参照番号1304について、キャップスカート160の剛性は、第1の剛性の1.5倍の剛性まで増加した。図13に示されるように、剛性を第1の剛性の1.5倍に増加させることにより(参照番号1304)、接触面積は増加したが、接触面積はまだ12mm辺りであった。参照番号1306について、キャップスカート160は、第1の剛性と等しい剛性(参照番号1302と同じ)を有したが、キャップスカート160のCTEは352×10-7-1まで増加した。図13に示されるように、剛性を同じに維持し、キャップスカート160のCTEのみを増加させると、接触面積は、-120℃と-180℃の間の温度で25mmと30mmの間の範囲に増加した。
【0111】
参照番号1308について、キャップスカート160のCTEは352×10-7-1まで増加し、キャップスカート160の剛性は、第1の剛性の1.5に増加した。図13に示されるように、CTEと剛性の両方を増加させると(参照番号1308)、-120℃と-180℃の間の温度で50mmと62mmの間に接触面積が増加し、これは、剛性を変化させずに、CTEを352×10-7-1に増加させるだけで達成された接触面積の増加の2倍を上回った。CTEと剛性を増加させることにより生じた接触面積の実際の増加はCTEを増加させること(参照番号1304)および剛性を増加させること(参照番号1306)の個々の効果を単に加えることよりも相当大きいので、この結果は予期せぬものである。参照番号1304と1306に示された効果を単に加えただけでは、-120℃から-180℃の温度で35mmから38mmの範囲の接触面積となると予測されるであろう。しかしながら、キャップスカート160のCTEと剛性を同時に増加させると(参照番号1308)、-120℃から-180℃の温度範囲に亘り55mmから62mmの接触面積が生じ、これは、個々の効果を加えただけ(すなわち、1304と1302との間の差を1306と1302との間の差に加えたこと)により予測される接触面積のほぼ2倍である。
【0112】
実施の形態において、キャップスカート160は、255×10-7-1より大きい、280×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、さらに400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有することがあり、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性より大きい剛性を有することがある。キャップスカート160の剛性は、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、または2.0倍以上であることがある。
【0113】
先に述べたように、キャップスカート160の剛性は、キャップスカート160の環状体162のヤング率を増加させること、キャップスカート160の環状体162の少なくとも一部の厚さを増加させること、またはその両方により、増加させることができる。キャップスカート160の環状体162は、アルミニウム金属からなり、0.19mmの厚さおよび同一の軸方向長さを有する典型的な市販のキャップスカートと比べて、キャップスカート160の増加したCTEおよび増加した剛性の両方をもたらす、本明細書で先に記載された特性、材料、または特徴のいずれを有してもよい。実施の形態において、キャップスカート160は、260×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、さらに400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTE、および73GPaより大きい、80GPa以上、90GPa以上、100GPa以上、120GPa以上、またさらには140GPa以上のヤング率を有する材料から作られた環状体162を含むことがある。実施の形態において、キャップスカート160は、260×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、さらに400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有する材料から作られた環状体162を含むことがあり、その環状体162の少なくとも一部は、0.20mm以上、0.21mm以上、0.22mm以上、0.23mm以上、0.24mm以上、0.25mm以上、0.50mm以上、またさらには1.0mm以上の半径方向厚さtCSを有することがある。実施の形態において、キャップスカート160は、(1)260×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、さらに400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTE、および73GPaより大きい、80GPa以上、90GPa以上、100GPa以上、120GPa以上、またさらには140GPa以上のヤング率を有する材料から作られた環状体162を含むことがあり、(2)環状体162の少なくとも一部は、0.20mm以上、0.21mm以上、0.22mm以上、0.23mm以上、0.24mm以上、0.25mm以上、0.5mm以上、またさらには1.0mm以上の半径方向厚さtCSを有することがある。
【0114】
再び図14を参照すると、キャップ108は、高分子金属複合構造を有するキャップスカート160および上部カバー170を有することがある。キャップスカート160の環状体162の少なくとも一部は、255×10-7-1より大きい、260×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、さらに400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有する高分子材料から作られることがあり、圧着領域164は、アルミニウム金属またはアルミニウム金属合金などの圧着可能な金属から作られることがある。キャップスカート160の環状体162は、半径方向厚さtCSが0.20mm以上、0.21mm以上、0.22mm以上、0.23mm以上、0.24mm以上、0.25mm以上、またさらには0.30mm以上である補強領域180を有することがある。その補強領域180は、環状体162の一部または全てを構成することがある。実施の形態において、補強領域180は、キャップスカート160の環状体162の軸方向長さLの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またさらには少なくとも70%を占めることがある。環状体162の半径方向厚さtCSは、キャップスカート160の剛性を、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、またさらには2倍以上の剛性まで増加させることがある。キャップスカート160は、増加したCTEおよび増加した剛性の両方を有することがあり、これにより、キャップスカート160は、密閉ガラス容器100が-80℃未満の温度に冷却されたときに、栓106とガラス容器102の上部シール面110との間の接触面積およびシール圧力を維持することができる。
【0115】
図14に示されるように、キャップ108は、キャップスカート160とは別の、キャップスカート160に取り外し可能に取り付けられた上部カバー170を有することがある。そのような実施の形態において、上部カバー170は、注射器または他の装置を使用して栓106へのアクセスを提供して密閉ガラス容器100の内容物を抜き取るためなど、密閉ガラス容器100の使用前に、キャップスカート160から取り外されることがある。上部カバー170は、キャップスカート160の取付フランジ166と係合可能であることがある。実施の形態において、上部カバー170は、取付フランジ166を受け入れるような形状のスロット172を含むことがあり、取付フランジ166がスロット172と係合することにより、上部カバー170がキャップスカート160に連結される。実施の形態において、キャップスカート160の環状体162は、上部カバー170の端部174を受け入れるように位置付けられたノッチ182を有することがある。
【0116】
上部カバー170は、255×10-7-1より大きい、260×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、さらに400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有する高分子など、高分子材料から作られることがある。実施の形態において、上部カバー170は、キャップスカート160の環状体162と同じ高分子材料から作られることがある。実施の形態において、上部カバー170は、キャップスカート160の環状体162と異なる材料であることがある。
【0117】
ここで図15を参照すると、実施の形態において、キャップ108は、キャップスカート160と上部カバー170が共に一体成形されて単体構造を生じる一体構造を構成することがある。実施の形態において、環状体162の補強領域180は、圧着領域164からキャップ108の上部カバー170部分の上部171までずっと延在することがある。一体構造に一体成形されたキャップスカート160と上部カバー170を含むキャップ108は、キャップ108のキャップスカート160部分から下方に(例えば、概して図15の座標軸の-Z方向に)延在する圧着領域164をさらに含むことがある。キャップ108のキャップスカート160の環状体162と上部カバー170は、255×10-7-1より大きい、260×10-7-1以上、300×10-7-1以上、350×10-7-1以上、さらに400×10-7-1以上、またさらには500×10-7-1以上のCTEを有する高分子材料から作られることがある。
【0118】
キャップ108の環状体162は、環状体162について本明細書中で先に記載された特性、材料、または寸法のいずれを有してもよい。実施の形態において、キャップ108の環状体162は、本明細書中で先に記載された実施の形態のいずれによる、増加したCTE、増加した剛性、またはその両方を有してもよい。キャップ108の環状体162の増加したCTE、増加した剛性、またはその両方により、栓106とガラス容器102のフランジ126の上部シール面110との間のシール圧力および接触面積が増加することがある。ここに開示されたキャップ108により与えられる増加したシール圧力および接触面積は、CCI喪失の官能性を減少させることがある。
【0119】
上部カバー170は、一体構造に一体成形された場合、キャップ108のキャップスカート160から取り外しできないことがある。実施の形態において、キャップ108の上部カバー170部分は、上部カバー170部分を軸方向に延在する開口176を含むことがある。開口176は、キャップ108で取り囲まれた栓106へのアクセスを提供することがある。上部カバー170部分の開口176で与えられる栓106へのアクセスにより、栓106を貫通し、キャップ108と栓106を取り除かずに、密閉ガラス容器100の内容物を引き抜く針や他の貫通装置を使用して、密閉ガラス容器100の内容物を取り出すことができる。その針や他の貫通装置は、キャップ108の上部カバー170部分の開口を通過し、次いで、栓106を通過して密閉ガラス容器100に入ることがある。キャップ108の上部カバー170部分の開口176は、密閉ガラス容器100の中心軸Cと同軸であることがある。
【0120】
ここで図16を参照すると、高いCTEと高い剛性を有する環状体162を備えたキャップスカート160を有するキャップ108の実施の形態が概略示されている。図16におけるキャップ108の増加した剛性は、キャップスカート160の環状体162の増加した半径方向厚さtCSで与えられる。ここで図17A、17B、および17Cを参照すると、図16のキャップ108に関する栓106とガラス容器102のフランジ126の上部シール面110との間のシール圧力が、異なる温度でシミュレーションされている。このキャップスカートの環状体は、1.264×10-7-1のCTEおよびたった1GPaのヤング率を有する高密度ポリエチレン(HDPE)から作られている。その剛性は、キャップスカート160の環状体162の厚さを0.2mmから2.14mmに増加させることによって、増加している。栓106とフランジ126の上部シール面110との間のシール圧力を、25℃(図17A)、-80℃(図17B)、および-180℃(図17C)でシミュレーションした。図17A、17B、および17Cに示されるように、キャップスカート160の増加したCTEと剛性は、-180℃に至るまでの温度でさえ、栓106と上部シール面110との間に十分なシール接触面積と圧力を維持することができた。
【0121】
ここで図18を参照すると、20℃で1264×10-7-1のCTEおよび2.14mmの厚さを有する図16のキャップ108を備えた密閉ガラス容器に関する温度(x軸)の関数としてのフランジ126の上部シール面110と栓106との間の接触面積(y軸)が示されており、アルミニウムから作られ、0.2mmの厚さを有する従来のキャップを備えた密閉ガラス容器に関する接触面積と比較されている。図18において、参照番号1802は、アルミニウム金属から作られ、0.2mmの環状体の厚さを有する従来のキャップを備えた密閉容器を指す。参照番号1804は、20℃で1264×10-7-1のCTE、1GPaのヤング率、および2.14mmの厚さを有するHDPEキャップスカートを有する図16のキャップを備えた密閉ガラス容器を指す。図18に示されるように、CTEと剛性がより大きい図16のキャップを備えた密閉ガラス容器の接触面積は、-80℃未満の温度で、アルミニウムから作られた従来のキャップを備えた密閉ガラス容器と比べて、相当大きい接触面積を与えた。具体的に、図16のキャップ(1804)は、-80℃より低い温度で、従来のアルミニウムキャップ(1802)と比べて、10倍近く大きい接触面積を与えた。
【0122】
増加したCTE、増加した剛性、またはその両方を有する、ここに開示されたキャップ108は、栓106とガラス容器102のフランジ126の上部シール面110との間のシール圧力と接触面積を増加させることがある。ここに開示されたキャップ108により得られる増加したシール圧力と接触面積は、CCI喪失の可能性を低下させることがある。詳しくは、ここに開示されたキャップ108は、密閉ガラス容器100に、この密閉ガラス容器が-45℃以下、-80℃以下、-100℃以下、-120℃以下、またさらには-180℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の密閉ガラス容器100のヘリウム漏れ速度を維持させることができる。
【0123】
ここに開示されたキャップ108をガラス容器102、栓106、またはその両方の他の特徴と組み合わせて利用して、-80℃未満の低い貯蔵温度でのCCI喪失の可能性をさらに低下させることがある。再び図1~4を参照すると、ガラス容器102の構造を、既存のガラス容器から逸脱するように改良して、キャップ108を圧着するプロセスの最中に栓106の圧縮をより大きくしてきた。再び図2を参照すると、上部シール面110は、傾斜シール面140を含むことがある。傾斜シール面140は、フランジ126の外面134とガラス容器102の内面114との間に延在する。この傾斜シール面140は、開口105の端部154に広がる平面152に対してある角度150で延在することがある。平面152は、開口105でガラス容器102の上部にある(例えば、傾斜シール面140の頂部にある)平面であることがあり、ガラス容器102の中心軸Cに垂直である(例えば、図1に示されたX方向)。
【0124】
ここに記載された角度150は、「フランジ角度」と称されることがある。平面152に対するフランジ角度は、様々な異なるやり方で測定されることがある。例えば、実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向を判定するために、ガラス容器102の画像を取り込むことがあり、画像処理技術を使用して、傾斜シール面140の角度150(平面152に対する)を決定することがある。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面140の頂部(例えば、裏面132から±Z方向に最大距離を有する)と、傾斜シール面140上の第2の最高地点との間に延在する平面を見つけることによって測定される(例えば、傾斜シール面140の伸張方向は、その傾斜シール面の頂部および平面152に対して頂部より低い傾斜シール面140の別の地点にある平面により測定される)。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、内面114から外側に、外面134から内側に所定の距離(例えば、0.1mm、0.2mm、0.5mm、1.0mmなど)にある傾斜シール面140上の複数の地点を接続することによって測定される(例えば、これらの地点は、内面114と外面134との間に延在する空間地点の均一分布で解釈されることがある)。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面140の全てに亘り分布した複数の異なる地点に線形平面を曲線当てはめすることによって測定される。
【0125】
実施の形態において、角度150は、5度超かつ45度以下(例えば、5度超かつ40度以下、5度超かつ40度以下、5度超かつ30度以下、5度超かつ20度以下、5度超かつ10度以下)であることがある。実施の形態において、角度150は、ガラス容器102の外周で実質的に均一である(例えば、複数の方位角方位で測定した場合、測定値の各々は、互いに0.5度以内にあることがある)。既存のガラス容器において、角度150は、典型的に、おおよそ3度である。それゆえ、ガラス容器102では、平面152に対する上部シール面110の傾斜は、既存のガラス容器を少なくとも50%上回って増加している。
【0126】
上部シール面110の傾斜の増加は、低い貯蔵温度での栓の圧縮を増加させ、それによって、栓106とフランジ126の上部シール面110との間のシール圧力を増加させることがある。角度150は、キャップ108を圧着した結果として、栓106内に圧縮勾配を作るであろう。例えば、実施の形態において、栓106の圧縮は、栓の圧縮が内面114に近いほど大きくなるように、外面134からの半径方向距離が増加すると共に増加することがある。内面114に近接するとそのように大きくなる圧縮により、冷却により栓106が収縮するときに、シールに間隙が形成されるのが防がれることがある。栓106は、フランジ126の外面134近くに配置された栓106の周囲領域よりも大きい程度まで、開口105に近接して圧縮される。そのように圧縮が大きくなると、同じ圧着プロセスを使用して、栓106の圧縮を大きくし、栓106の収縮の耐性を高くする。それに加え、傾斜シール面140は、開口105に近接すると上記式3の項Li、栓を減少させる。これにより、本明細書の式1の関係を維持するのに必要なキャップ108の収縮の量が減る。
【0127】
再び図3を参照すると、実施の形態において、上部シール面110は、ガラス容器102内の開口105の端部154に広がる平面152に延在することがある。実施の形態において、上部シール面110は、ガラス容器102の中心軸Cに対して実質的に垂直(例えば、89.5度以上かつ90.5度以下)に延在することがある。そのような上部シール面110は、栓106(図1参照)と上部シール面110との間の接触面積を増加させることがあり、シールの完全性を維持する可能性を増すであろう。
【0128】
実施の形態において、図2に示された上部シール面110および/または傾斜シール面140の様々な追加の特徴は、-80℃以下の貯蔵温度でシールを維持するために調整されることがある。例えば、実施の形態において、上部シール面110は、閾値(例えば、0.1μm、50nmなど)以下の表面粗さ(例えば、Ra値)を有することがある。そのような低い表面粗さは、冷却の際に栓106が上部シール面110から引き離されるのを有益に防ぐことができる。実施の形態において、上部シール面110は、欠陥(例えば、しわ、突起、畝など)が実質的にないことがある。そのような欠陥は、上部シール面110と栓106との間の界面に間隙の形成をもたらし、それによって、シールの品質を低下させることがある。傾斜シール面140の平坦性は、閾値内に維持されて、栓106と上部シール面110との間の接着性を促進することがある。
【0129】
実施の形態において、上部シール面110は、ガラス容器102と栓106との間の上部シール面110での摩擦を増加させるために、閾値(例えば、3μm、5μm、10μm)以上の表面粗さ(例えば、Sa値)を有する。そのような実施の形態において、上部シール面110の表面粗さは、その全てに亘り比較的均一であることがある。例えば、複数の異なる測定窓(例えば、100μm×100μm)に亘る上部シール面110のSa値は、0.1μm以下しか変動しないことがある。実施の形態において、上部シール面110の粗さは、少なくとも一部には栓106の性質(例えば、表面粗さ)に基づいて決定することができる。実施の形態において、上部シール面110の粗さは、金属含有キャップ108と、フランジ126と栓106との組合せとの間の収縮の差とほぼ等しいことがある。例えば、実施の形態において、上部シール面110の表面粗さは、キャップ108と、栓106とフランジ126の組合せとの間の予測収縮差の閾値以内にあることがある。そのような表面粗さを提供することにより、冷却後に、上部シール面110と栓106との間に少なくともある程度の接触が確実になるであろう。
【0130】
例えば、実施の形態において、フランジ厚さ158(例えば、上部シール面110と裏面132との間の距離)は、既存のガラス容器を上回って増加していることがある。そのような実施の形態において、栓106とキャップ108の圧着プロセスが変更されていなければ、栓106を含有するキャップ108で取り囲まれた材料の合計高さ138の比率は減少し、それによって、ここに記載された式1を満たすのに必要なキャップ108の収縮が減少する。それに代えて、またはそれに加え、栓106のサイズ(例えば、シール部分119の厚さに関する)を減少させてもよい。実施の形態において、フランジ高さ158は、4.0mm以上であり、合計高さ138の少なくとも61%を占める。
【0131】
ここに開示されたキャップ108の特徴は、シール圧力と接触面積をさらに増加させ、CCI喪失の可能性を減少させるために、栓106に対する組成の変更と組み合わせて使用してもよい。実施の形態において、栓106の組成は、そのCTEまたはガラス転移温度を低下させるように選択されることがある。栓106にそのような組成を選択すると、その収縮が減少し、したがって、キャップ108による栓106の圧縮を維持するのに役立つであろう。実施の形態において、栓106の高分子配合は、栓106のガラス転移温度が-45℃以下、-70℃以下、-75℃以下、-80℃以下、またさらには-85℃以下であるように選択される(または栓106に添加物が添加されることがある)。実施の形態において、栓106は、-70℃以上かつ-45℃以下であるガラス転移温度を有する高分子組成物から作られることがある。実施の形態において、栓106のガラス転移温度は、栓106が弾性を維持し、上部シール面110でシールを作るように、密閉ガラス容器100の所望の貯蔵温度より低く(例えば、-80℃辺りのドライアイス貯蔵温度以下に)低下させられることがある。実施の形態において、栓106は、ポリブタジエン、シリコーン、フルオロシリコーン、亜硝酸化合物、およびEPDMエラストマー(例えば、PDMS)、またはその任意の組合せなどの1種類以上の低Tg弾性材料から作られることがある。実施の形態において、その弾性材料は、-100℃以下のガラス転移温度を有する材料を含むことがある。
【0132】
実施の形態において、栓106は、典型的に使用されるゴム材料より低いCTEを有する高分子系複合材料から作られることがある。実施の形態において、栓106は、ゴムと充填剤の混合物から作られることがある。例えば、実施の形態において、栓106は、高分子またはゴム材料および15体積%までの充填材料を含むことがある。実施の形態において、栓106は、40質量%以下の充填材料(例えば、30質量%以下の充填材料)を含むことがある。充填材料が40質量%を超えると、栓106の弾性を低下させることによって、シールの品質が低下するであろう。その充填材料は、栓を典型的に作るゴムのCTEより低いCTE(例えば、50×10-7-1以下、20×10-7-1以下、10×10-7-1以下、5×10-7-1以下)を有することがある。実施の形態において、充填剤はケイ素を含むことがある。例えば、実施の形態において、充填材料は、10nm以上かつ100nm以下の粒径を有するSiOガラス粒子を含むことがある。実施の形態において、SiOガラス粒子は、栓106の弾性材料内の粒子分散状態を調整するために、オルガノシランで官能化されることがある。実施の形態において、充填材料は、ケイ酸塩(例えば、コージエライト、β-ユークリプタイト、β-スポジュメン)を含むことがある。実施の形態において、充填材料は、高融点金属(例えば、Ir、W、Ti、Si)であることがある。実施の形態において、充填材料は、MgPOを含むことがある。実施の形態において、充填材料は、SiO、TiドープSiO、ZrW、またはAM族の他のセラミックなどの酸化物を含むことがある。実施の形態において、充填材料は、比較的低いまたは負のCTEを有するどの他の適切な材料を含んでもよい。実施の形態において、充填材料を含有する栓106のCTEは、300×10-7-1以下(例えば、290×10-7-1以下、280×10-7-1以下、270×10-7-1以下)であることがある。ここに記載された充填材料を栓106に添加することによって、栓106のCTEは、金属キャップ108のCTEに対して減少し、それによって、密閉ガラス容器100が-80℃以下の貯蔵温度に冷却されたときに、栓106の減圧の傾向を低下させることがある。
【0133】
上述した手法(例えば、キャップ108のCTEおよび/または剛性を増加させること、栓106のCTEおよび/またはTgを低下させること、ここに記載されたやり方のいずれかでのガラス容器102を構造的に変えること)のどの組合せを密閉ガラス容器100に使用してもよい。実施の形態において、260×10-7-1以上の高いCTEおよび/または140GPa以上の高い剛性を有するキャップ108(例えば、高分子アルミニウム複合体から作られた)および低CTE栓106(例えば、ゴムSiO複合体から作られた)の両方を使用してもよい。そのような実施の形態において、金属含有キャップ108と栓106との間の収縮差は組成配合で減少することを考慮すると、ガラス容器102の構造の変更が避けられるであろう。
【0134】
ここに開示されたキャップ108は、密閉医薬品容器を密閉する方法など、ガラス容器を密閉する方法に組み込まれることがある。再び図5を参照すると、実施の形態において、密閉医薬品容器を密閉する方法は、肩部130、肩部130から延在する首部128、および首部128から延在するフランジ126を備えたガラス容器102を提供する工程を含むことがある。そのガラス容器102は、医薬品容器であることがあり、ガラス容器102について本明細書で先に記載された特性、組成、または特徴のいずれを含んでもよい。フランジ126は、首部128から延在する裏面132、裏面132から延在し、フランジ126の外径を規定する外面134、および外面134と密閉ガラス容器100の内面114との間に延在する上部シール面110を含むことがある。内面114は、ガラス容器102に開口105を画成する。この方法は、ガラス容器102に医薬品組成物を入れる工程、および栓106とキャップ108を含む密閉アセンブリ104を提供する工程をさらに含むことがある。栓106とキャップ108は、それぞれ、栓106とキャップ108について本明細書で先に記載された特性、材料、または特徴のいずれを有してもよい。
【0135】
前記方法は、栓106がフランジ126の上部シール面110の上に延在し、開口105を覆うように、栓106をガラス容器102の開口105に挿入する工程をさらに含むことがある。この方法は、キャップ108を栓106の上にフランジ126に対して圧着し、それによって、栓106を上部シール面110に対して圧縮する工程をさらに含むことがある。この方法は、密閉ガラス容器100を-45℃以下、例えば、-80℃以下、-100℃以下、-120℃以下、またさらには-180℃以下の温度に冷却する工程を含むことがある。密閉ガラス容器100を冷却した後、密閉ガラス容器100のヘリウム漏れ速度がその温度で1.4×10-6cm/秒以下に維持されるように、上部シール面110上で圧縮が維持される。
【0136】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程を特定の順序で行うことを必要とすると解釈されることも、またはどの装置についても、特定の向きが要求されていることも決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に挙げていない場合、または装置の請求項が、個々の構成部材に対する順序または向きを実際に列挙していない場合、もしくはそれらの工程が特定の順序に限定されるべきことが、請求項または説明において他に具体的に述べられていない場合、もしくは装置の構成部材に対する特定の順序または向きが列挙されていない場合、順序または向きがいかようにも暗示されることは決して意図されていない。このことは、工程の配列、操作の流れ、構成部材の順序、または構成部材の向き;文法構成または句読法に由来する明白な意味;および明細書に記載された実施の形態の数またはタイプに関する論理事項を含む、解釈に関するどの可能性のある非表現基準にも適用される。
【0137】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0138】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0139】
実施形態1
医薬品ガラス容器を密閉するためのキャップであって、
環状体および該環状体の第1の端部にある圧着領域を備えたキャップスカート、および
前記キャップスカートの第2の端部に連結され、中実ディスクまたは環状ディスクを構成する上部カバー、
を含み、
前記圧着領域は、圧着可能な金属から作られ、
前記キャップスカートの環状体は、アルミニウムからなる金属の熱膨張係数(CTE)より大きいCTE、前記圧着領域の剛性の2倍以上の剛性、またはその両方を有し、
前記CTEは、-200℃から300℃の温度範囲に亘るCTEを称し、
前記剛性は、軸方向長さで除算された断面積とヤング率の積として定義される、キャップ。
【0140】
実施形態2
前記キャップスカートの環状体のCTEが、アルミニウムからなる金属のCTEより少なくとも100×10-7-1の差だけ大きい、実施形態1に記載のキャップ。
【0141】
実施形態3
前記キャップスカートの環状体のCTEが、260×10-7-1以上である、実施形態1に記載のキャップ。
【0142】
実施形態4
前記キャップスカートの環状体のCTEが、-45℃以下の温度で、260×10-7-1以上である、実施形態1に記載のキャップ。
【0143】
実施形態5
前記キャップスカートの環状体の剛性が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍以上である、実施形態1に記載のキャップ。
【0144】
実施形態6
栓をさらに含み、前記キャップスカートの環状体の剛性が、該栓のガラス転移温度Tg以下の温度で圧縮状態にある該栓の剛性の30%以内である、実施形態1に記載のキャップ。
【0145】
実施形態7
前記キャップスカートの環状体が、140GPa以上のヤング率、0.24mm以上の半径方向厚さ、またはその両方を有する、実施形態1に記載のキャップ。
【0146】
実施形態8
前記キャップスカートの環状体のCTEが260×10-7-1より大きく、該環状体の剛性が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の2倍より大きい、実施形態1に記載のキャップ。
【0147】
実施形態9
前記圧着領域の圧着可能な金属が、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、実施形態1に記載のキャップ。
【0148】
実施形態10
前記キャップスカートの環状体が、アルミニウムからなる金属のCTEより大きいCTEを有する金属または金属合金から作られる、実施形態1に記載のキャップ。
【0149】
実施形態11
前記キャップスカートが、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅、リチウム、またはこれらの組合せの1つ以上を含む金属合金から作られる、実施形態10に記載のキャップ。
【0150】
実施形態12
前記キャップスカートが、高分子金属複合構造を構成する、実施形態1に記載のキャップ。
【0151】
実施形態13
前記キャップスカートの環状体が高分子材料から作られ、前記圧着領域が、該環状体の高分子材料に連結された前記圧着可能な金属から作られる、実施形態12に記載のキャップ。
【0152】
実施形態14
前記環状体の高分子材料が、260×10-7-1から3,000×10-7-1のCTEを有する、実施形態13に記載のキャップ。
【0153】
実施形態15
前記キャップスカートの環状体が、アルミニウム金属からなり、0.19mmの半径方向厚さおよび同一の軸方向長さを有する同等のキャップスカート環状体の剛性の80%以上の剛性を有する、実施形態13に記載のキャップ。
【0154】
実施形態16
前記高分子材料が、高密度ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン、またはその組合せを含む、実施形態13に記載のキャップ。
【0155】
実施形態17
前記キャップスカートが、前記環状体の第2の端部に配置された取付フランジを含み、前記上部カバーが、該キャップスカートの取付フランジに連結されている、実施形態1に記載のキャップ。
【0156】
実施形態18
前記上部カバーが前記キャップスカートから取り外しできる、実施形態17に記載のキャップ。
【0157】
実施形態19
前記上部カバーが、前記キャップスカートの環状体と一体成形されて、単一キャップを形成する、実施形態1に記載のキャップ。
【0158】
実施形態20
前記上部カバーが、該上部カバーの中心に軸方向開口を有する環状体を構成する、実施形態1に記載のキャップ。
【0159】
実施形態21
密閉医薬品容器において、
肩部、該肩部から延在する首部、および該首部から延在するフランジを備えたガラス容器であって、前記フランジは、
前記首部から延在する裏面、
前記裏面から延在し、前記フランジの外径を規定する外面、および
前記外面と前記密閉医薬品容器の開口を画成する内面との間に延在するシール面、
を含む、ガラス容器と、
前記ガラス容器のフランジのシール面の上に延在し、前記開口を覆う栓、および実施形態1に記載のキャップを含む密閉アセンブリであって、
前記キャップは、前記栓を前記フランジに固定し、
前記密閉アセンブリは、前記密閉医薬品容器が-45℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を維持する、密閉アセンブリと、
を含む密閉医薬品容器。
【0160】
実施形態22
前記栓が、-70℃以上かつ-45℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0161】
実施形態23
前記栓のガラス転移温度が-75℃以下である、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0162】
実施形態24
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-80℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を維持する、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0163】
実施形態25
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-100℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を維持する、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0164】
実施形態26
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-120℃以下の温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下の該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を維持する、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0165】
実施形態27
前記ガラス容器が、0以上かつ70×10-7-1以下の熱膨張係数を有するガラス組成物から作製される、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0166】
実施形態28
前記キャップスカートのCTEと前記栓のCTEとの間の差の絶対値が、50×10-7-1以下である、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0167】
実施形態29
前記キャップスカートの環状体のCTEが、前記栓のCTEより大きい、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0168】
実施形態30
前記キャップスカートの環状体が、前記栓のガラス転移温度Tg以下の温度での圧縮されたゴム栓の剛性の30%以内の剛性を有する、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0169】
実施形態31
前記密閉医薬品容器が、毎分5℃以下の速度で前記温度に冷却されたときに、1.4×10-6cm/秒以下のヘリウム漏れ速度を維持する、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0170】
実施形態32
前記キャップが、前記密閉医薬品容器が冷却されたときに、前記ガラス容器のフランジに対する前記栓の連続圧縮を維持する、実施形態31に記載の密閉医薬品容器。
【0171】
実施形態33
前記ガラス容器が、イオン交換可能なアルミノケイ酸塩ガラス、タイプ1Bホウケイ酸ガラス、またはイオン交換可能なホウケイ酸ガラスから作られる、実施形態21に記載の密閉医薬品容器。
【0172】
実施形態34
密閉医薬品容器を密閉する方法において、
肩部、該肩部から延在する首部、および該首部から延在するフランジを備えた医薬品容器であって、前記フランジは、
前記首部から延在する裏面、
前記裏面から延在し、前記フランジの外径を規定する外面、および
前記外面から前記密閉医薬品容器の開口を画成する内面まで延在する上部シール面、
を含む、医薬品容器を提供する工程、
前記医薬品容器に医薬品組成物を入れる工程、
栓および実施形態1に記載のキャップを備えた密閉アセンブリを提供する工程、
前記栓が前記フランジの上部シール面の上に延在し、前記開口を覆うように該栓を該開口に挿入する工程、
前記栓の上で前記フランジに対して前記キャップを圧着し、それによって、該栓を前記上部シール面に対して圧縮する工程、および
前記密閉医薬品容器を-45℃以下の温度に冷却する工程であって、該密閉医薬品容器の冷却後、該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度が該温度で1.4×10-6cm/秒以下であるように、前記シール面に圧縮が維持される、工程、
を含む方法。
【符号の説明】
【0173】
100 密閉ガラス容器
102 ガラス容器
104 密閉アセンブリ
105 開口
106 栓
108 キャップ
110 上部シール面
112 本体
114 ガラス容器の内面
115 胴部
116 ガラス容器の外面
117 挿入部分
118 内部容積
119 シール部分
120 壁部分
122 床部分
124 踵部分
126 フランジ
128 首部
130 肩部
134 フランジの外面
136 平らな部分
137 面取り部
138 隅丸
140 傾斜シール面
150 平面に対する傾斜シール面の角度
152 平面
154 開口の端部
160 キャップスカート
162 環状体
164 圧着領域
166 取付フランジ
168 環状体の内面
169 環状体の外面
170 キャップカバー、上部カバー
172 スロット
174 カバーの端部
176 カバーの開口
180 補強領域
182 ノッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18
【国際調査報告】