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特表2024-540612タンピングマシンの作動方法および当該方法を実施するためのタンピングマシン
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  • 特表-タンピングマシンの作動方法および当該方法を実施するためのタンピングマシン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】タンピングマシンの作動方法および当該方法を実施するためのタンピングマシン
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/04 20060101AFI20241024BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E01B29/04
B61D15/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529954
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022082263
(87)【国際公開番号】W WO2023089023
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】A50929/2021
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク デムル
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ダクスベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ミロス イェリク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン コチュヴァラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン ハルバートシュラーガー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン アウアー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB25
2D057BA12
2D057BA31
2D057CB04
2D057DA07
(57)【要約】
軌道(4)上のタンピングマシン(1)を作動させる方法であって、タンピングマシン(1)には、タンピングユニット(9)と、扛上/整正ユニット(8)と、測定値センサ(14)を備えた測定システム(11)と、開ループ制御/閉ループ制御装置(15)とが含まれており、測定システム(11)を用いて検出した軌道位置に応じて、開ループ制御/閉ループ制御装置(15)により、扛上/整正ユニット(8)を駆動制御して、処理される軌道区間が、扛上時間中に目標レベルに持ち上げられるようにする。ここでは、開ループ制御/閉ループ制御装置(15)に設けられた少なくとも2つの制御器(19,21)の間で選択して、第1の制御器(19)が、標準動作のための第1の扛上モードにおいて作動され、第2の制御器(21)が、分岐器のための第2の扛上モードにおいて作動されるようにする。それぞれの制御器(19,21)は、対応付けられている閉ループ制御システムに対して最適化されている。さらに、本方法を実施するためのタンピングマシンも設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(4)上のタンピングマシン(1)を作動させる方法であって、前記タンピングマシン(1)には、タンピングユニット(9)と、扛上/整正ユニット(8)と、測定値センサ(14)を備えた測定システム(11)と、開ループ制御/閉ループ制御装置(15)とが含まれており、前記測定システム(11)を用いて検出した軌道位置に応じて、前記開ループ制御/閉ループ制御装置(15)により、前記扛上/整正ユニット(8)を駆動制御して、処理される軌道区間が、扛上時間中に目標レベルに持ち上げられるようにする、方法において、
前記開ループ制御/閉ループ制御装置(15)に設けられた少なくとも2つの制御器(19,21)の間で選択して、第1の制御器(19)が、標準動作のための第1の扛上モードにおいて作動され、第2の制御器(21)が、分岐器のための第2の扛上モードにおいて作動されるようにすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の制御器(19)として特にP制御器を作動させ、前記第2の制御器(21)としてPD制御器、PI制御器またはPID制御器を作動させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記測定値センサ(14)によって検出した、前記軌道(4)の扛上量と、あらかじめ設定された閾値とを比較し、前記扛上量が前記閾値に達すると直ちに、前記軌道(4)のバラスト道床(7)への前記タンピングユニット(9)の下降のための作動許可を生成することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
作動許可信号を用いて、前記タンピングユニット(9)を下降させるための前記作動許可をオペレータ(27)に通知し、前記オペレータ(27)により、前記タンピングユニット(9)の高さ駆動装置(42)を作動させることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記タンピングユニット(9)の下降の前記作動許可を行うと直ちに、前記タンピングユニット(9)の高さ駆動装置(42)を自動的に作動させることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記タンピングユニット(9)の前記下降の直前に警告信号を生成することを特徴とする、請求項3から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
操作要素を用いて前記第1の扛上モードまたは前記第2の扛上モードを作動させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記扛上/整正ユニット(8)による、また場合によっては補助扛上ユニット(10)による、前記軌道(4)に作用する扛上力および/または扛上持続時間を検出し、閾値に達している場合には、一方の前記扛上モードから他方の前記扛上モードに自動的に切り換えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
比較器(36)を用いて、検出した前記扛上力と扛上力限界値(38)とを比較し、あらかじめ設定された扛上量に到達している場合、前記比較器(36)の出力側に選択信号(25)を生じさせて、扛上力測定値(37)が前記扛上力限界値(38)以下である場合には前記第1の扛上モードを、前記扛上力限界値(38)を上回った場合には前記第2の扛上モードを作動させるようにすることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記開ループ制御/閉ループ制御装置(15)には、一方の扛上モードから他方の扛上モードへの切換えのために前記軌道(4)の位置データをあらかじめ設定することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記タンピングマシン(1)に配置されたセンサ(29,32,33)を用いて、分岐器の始まりまたは終わりを検出し、前記開ループ制御/閉ループ制御装置(15)に、対応する信号を転送することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法を実施するためのタンピングマシン(1)において、前記開ループ制御/閉ループ制御装置(15)に少なくとも2つの制御器(19,21)が設けられており、第1の制御器(19)は、標準動作のための第1の扛上モードに対応付けられており、第2の制御器(21)は、分岐器のための第2の扛上モードに対応付けられていることを特徴とする、タンピングマシン(1)。
【請求項13】
前記開ループ制御/閉ループ制御装置(15)には、前記第1の制御器(19)として特にP制御器が設けられており、前記第2の制御器(21)としてPD制御器、PI制御器またはPID制御器が設けられていることを特徴とする、請求項12記載のタンピングマシン(1)。
【請求項14】
前記第2の制御器(21)には、P素子(22)、I素子(23)およびD素子(24)の並列回路が含まれていることを特徴とする、請求項13記載のタンピングマシン(1)。
【請求項15】
分岐器を識別するためのセンサ、特にカメラ(29)および/または2Dレーザスキャナ(32)および/または3Dレーザスキャナ(33)が配置されていることを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載のタンピングマシン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道上のタンピングマシンの作動方法であって、タンピングマシンには、タンピングユニットと、扛上/整正ユニットと、測定値センサを備えた測定システムと、開ループ制御/閉ループ制御装置とが含まれており、測定システムを用いて検出した軌道位置に応じて、開ループ制御/閉ループ制御装置により、扛上/整正ユニットを駆動制御して、処理される軌道区間が、扛上時間中に目標レベルに持ち上げられるようにする、方法に関する。本発明はさらに、この方法を実施するためのタンピングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
タンピングマシンは以前から知られており、バラスト道床に敷設された軌道の、あらかじめ設定された軌道位置を作製するかまたは修復するために使用される。作動時には、タンピングマシンが軌道を走行し、扛上/整正ユニットにより、2つのレール走行装置間に位置する軌道区間が持ち上げられる。この際に、機械固有の測定システムを用いて、実行された扛上を検出する。開ループ制御/閉ループ制御装置により、扛上/整正ユニットの扛上駆動装置の駆動制御を行い、閉制御ループにおいて、あらかじめ設定された目標レベルに軌道を持ち上げる。このような方法は、例えばオーストリア国特許発明第369455号明細書から公知である。
【0003】
従来技術による軌道扛上のためのこのような閉制御ループにおいて注意しなければならないのは、分岐器の位置を補正する際には、あらかじめ設定された目標レベルに到達するために、比較的大きな重量に起因して、比較的長い扛上持続時間が生じてしまうことである。したがって、所望の軌道位置は、タンピングユニットを用いて扛上を行った後、はじめて固定することができるため、分岐器では、タンピングサイクルが相応して比較的長くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、分岐器においても効率的な扛上プロセスが行えるように、冒頭に述べた形式の方法を改善することである。本発明の課題はさらに、対応するタンピングマシンを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、これらの課題は、独立請求項1および12の特徴的構成によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な実施形態が示されている。
【0006】
ここでは、開ループ制御/閉ループ制御装置に設けられた少なくとも2つの制御器の間で選択して、標準動作のための第1の扛上モードにおいて第1の制御器が作動され、分岐器のための第2の扛上モードにおいて第2の制御器が作動されるようにする。それぞれの制御器は、対応付けられている閉ループ制御システムに対して最適化されている。マクラギと2つのレールとから構成される軌框が持ち上げられる単純な軌道では、第1の制御器を使用する。閉ループ制御システムが別の特性を有する分岐器では、第2の制御器を使用する。これにより、2つの閉ループ制御システムについて、ほぼ同じ扛上持続時間および制御品質が得られる。制御器はさらに、2つの扛上モードにおいて、機械および軌道もしくは分岐器の過負荷が発生しないように設定可能である。例えば、第2の扛上モードでは、単純な軌道では過負荷または強い過振動を引き起こしてしまい得る、より大きな扛上力が発生する。
【0007】
本方法の1つの発展形態では、第1の制御器として特にP制御を作動させ、第2の制御器としてPD制御器、PI制御器またはPID制御器を作動させる。P制御器(比例制御器)は、分岐器間の軌道区間において使用される。P制御器は、設定が容易であり、標準動作には十分に良好な結果をもたらす。しかしながら、分岐器では、この第1の制御器は扛上持続時間を障害的に長時間化してしまう。したがって、第2の扛上モードでは、PD制御器、PI制御器またはPID制御器(比例成分と積分成分とを有する制御器、または積分成分と微分成分とを有する制御器)が使用される。このような制御器は、分岐器に存在する状況に応じて正確に設定可能であり、したがって、同じ品質でありながら、大きな扛上力で、より短い扛上時間が得られる。別の1つの特徴では、第1の制御器をPD制御器、PI制御器またはPID制御器として構成することも有効であり得る。これにより、場合によっては、区間領域においても、扛上/整正ユニットのより正確な駆動制御を保証することができる。
【0008】
別の1つの改善形態では、測定値センサによって検出した、軌道の扛上量と、あらかじめ設定された閾値を比較し、扛上量が閾値に達すると直ちに、軌道のバラスト道床へのタンピングユニットを下降させるための電子的な作動許可を生成する。これにより、タンピングユニットおよび道床の保護が達成される。というのは、実際のタンピングプロセスは、軌道の扛上が十分に進行して初めて、タンピングツールの沈降およびスクイーズで開始されるからである。例えば、所望の扛上量の95%が達成された場合に作動許可が行われる。
【0009】
この改善形態の簡単な1つの特徴では、タンピングユニットを下降させるための作動許可を、作動許可信号によってオペレータに通知し、これに続いて直ちに、オペレータにより、タンピングユニットの高さ駆動装置が作動される。例えば、所望の扛上が行われていること、または所望の扛上に応じて、あらかじめ設定された閾値(例えば90%)が達成されたことが、オペレータには音響的および/または光学的に示される。
【0010】
方法の代替的な変化形態では、タンピングユニットを下降させる作動許可を行うと直ちに、タンピングユニットの高さ駆動装置を自動的に作動させる。この変化形態は、自動化されたタンピングプロセスの枠内で、または支援システムを利用して、本方法が使用される場合に有効である。
【0011】
いずれにせよ、タンピングユニットを下降させる直前に警告信号が生成されると有利である。このようにして、機械操作員全員が、タンピングユニットの作動前に音響的かつ/または光学的に警告される。
【0012】
有利には、操作要素を用いて第1の扛上モードまたは第2の扛上モードを作動させる。このようにして、オペレータはいつでも2つの扛上モードの間で一方から他方へ切り換えることができる。この際に好適には、どちらの扛上モードが目下の状況により良好に適しているかがオペレータに示される。
【0013】
これに対して付加的にまたは代替的に、好適には、扛上/整正ユニットによる、また場合によっては追加扛上ユニットによる、軌道に作用する扛上力および/または扛上時間を検出し、閾値に達している場合には、1つの扛上モードから別の1つの扛上モードに自動的に切り換える。このことは、オペレータの負担を軽減し、正しい扛上モードの迅速かつ確実な選択につながる。
【0014】
ここで、目的にかなっているのは、比較器を用いて、検出した扛上力と扛上力限界値とを比較し、あらかじめ設定された扛上量に到達している場合、比較器の出力側に選択信号を生じさせて、扛上力測定値が扛上力限界値以下である場合には第1の扛上モードを、扛上力限界値を上回った場合には第2の扛上モードを作動させるようにする。この際に扛上力は、扛上モードの選択のための確実な量として使用される。タンピングマシンが分岐器領域に進入すると直ちに、必要な扛上力は増大し、これにより、限界値を上回った場合には第2の扛上モードへの切換えが行われる。逆に分岐器領域を離れると、上から限界値に到達し、第1の扛上モードに戻される。
【0015】
本方法をさらに改善するために、開ループ制御/閉ループ制御装置には、1つの扛上モードから別の1つの扛上モードへの切換えのために軌道の位置データをあらかじめ設定する。電子メモリに格納されている位置データと、検出した実際位置との比較とにより、2つの扛上モードの間の切換えを確実に実行可能である。
【0016】
好適には、タンピングマシンに配置されたセンサを用いて、分岐器の始まりまたは終わりを検出し、開ループ制御/閉ループ制御装置に、対応する信号を転送する。これにより、ユーザの負担を大幅に軽減する自動化度が達成される。自動的に経過するプロセスは、監視のためにユーザに示され、場合によっては経過に介入することができる。
【0017】
説明した複数の方法のうちの1つを実施するための本発明に係るタンピングマシンでは、開ループ制御/閉ループ制御装置に少なくとも2つの制御器が設けられており、第1の制御器は、標準動作のための第1の扛上モードに対応付けられており、第2の制御器は、分岐器のための第2の扛上モードに対応付けられている。このようなタンピングマシンにより、軌道位置補正の際に、軌道設備の全ての区間に対して最適な扛上プロセスが実行可能である。
【0018】
有利には、開ループ制御/閉ループ制御装置には、第1の制御器として特にP制御が設けられており、第2の制御器としてPD制御器、PI制御器またはPID制御器が設けられている。2つの制御器は、それぞれの閉ループ制御システムについて、短い扛上時間で高い閉ループ制御品質が達成されるように構成されている。これにより、軌道区間においても分岐器においても、全体としてタンピングサイクル時間が短くなり、また作業時間が短くなる。
【0019】
第2の制御器には好適には、P素子、I素子およびD素子の並列回路が含まれている。これにより、処理対象の分岐器に第2の制御器をフレキシブルに適合させることができる。制御器の個々の素子は、制御器の特性を最適化するために別々に変更可能である。
【0020】
タンピングマシンをさらに改善するために、作業方向において扛上/整正ユニットの前方に、分岐器を認識するためのセンサ、特にカメラ、2Dレーザスキャナ、および/または3Dレーザスキャナが配置されている。これらの補助装置により、タンピングプロセスの大幅な自動化が実現可能である。特に、分岐器の始まりおよび終わりが識別され、これにより、2つの扛上モードの間の切換えが自動的に行われる。
【0021】
以下では、添付した図面を参照して、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】軌道上のタンピングマシンを示す概略図である。
図2】比例制御器を示す概略図である。
図3】第1の制御器および第2の制御器を備えた制御器構造を示す概略図である。
図4】扛上モードの自動選択についてのブロック図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示したタンピングマシン1には、レール走行装置3上に支持されて軌道4上を走行可能な機械フレーム2が含まれている。軌道4は、マクラギ5と、マクラギ5に固定されたレール6とから形成される軌框を有し、軌框はバラスト道床7に敷設されている。軌道4の区間は、単純な軌道区間と、分岐器と、クロッシングとに分けられる。このような軌道設備の位置補正では、タンピングマシン1は、様々な軌道区間、特に単純な軌道区間および分岐器を処理しなければならない。
【0024】
タンピングマシン1の機械フレーム2には、扛上/整正ユニット8およびタンピングユニット9が配置されている。補助扛上ユニット10は、分岐器において分岐しているレールセクションを持ち上げるために使用される。扛上/整正ユニット8および場合によっては補助扛上ユニット10による軌道区間または分岐器の扛上は、機械固有の測定システム11に関連して行われる。最も単純なケースでは、この測定システム11には、それぞれのレール6にわたり、軌道4に沿って案内される測定車軸13の間に張設されているワイヤコード12が含まれている。本方法には、別の測定システム11、特に、光学式測定弦と、パターン認識を備えたカメラシステムとを有する光学式測定システムも使用可能である。
【0025】
いずれにせよ、測定システム11には、扛上/整正ユニット8の領域における軌道4の高さ位置を検出する測定値センサ14が含まれている。例えば、別の測定車軸13が配置されており、この測定車軸13により、基準要素として使用されるワイヤコード12に対するレール6の間隔変化が、ロッドを介して特定される。このために、測定値センサ14には回転ポテンショメータが含まれており、この回転ポテンショメータは、フォーク状のガイドを介して形状結合的にそれぞれのワイヤコード12に係合している。光学式測定システムの場合、測定値センサ14は、例えば、光信号を評価するための画像センサである。
【0026】
扛上/整正ユニット8を駆動制御するために、開ループ制御/閉ループ制御装置15が設けられている。これにより、例えば、扛上/整正ユニット8の液圧式の扛上駆動装置16に対応付けられている比例弁が駆動制御される。軌道区間または分岐器を持ち上げるために、閉制御ループが設けられている。軌道または分岐器と扛上装置とから成るシステムは、様々な外乱量が作用し得る閉ループ制御システムを形成している。
【0027】
制御量として特に、測定値センサ14によって検出される扛上量が使用される。扛上量の対応する測定値17は、フィードバックされて、基準量としての目標扛上値18と比較される。目標扛上値18は所望の軌道位置から得られ、開ループ制御/閉ループ制御装置15には、例えばマスタコンピュータを用いてあらかじめ設定されている。測定値17と目標扛上値18とから得られる制御偏差は、例えばP制御器として構成されている制御器19に対する入力として使用される(図2)。制御器19の出力側には、制御信号20、例えば、扛上駆動装置16の液圧弁のための駆動制御電圧が印加される。このようにして、目下、処理している軌道区間は、閉ループ制御される扛上プロセスにおいて目標レベルに持ち上げられる。
【0028】
本発明では、開ループ制御/閉ループ制御装置15に少なくとも2つの制御器19,21が設けられている。対応する実施例は、図3に示されている。図3にあるように、制御器19,21のための入力信号は、測定値17と目標扛上値18とから形成される制御偏差である。第1の制御器19は、例えばP制御器(P素子22)であり、このP制御器により、出力側において、軌道区間を標準処理するための第1の扛上モードのための制御信号20が生成される。
【0029】
第2の制御器21は、例えば、P素子22、I素子23およびD素子24の並列回路を備えたPID制御器である。第2の制御器21のこれらの素子22,23,24は、分岐器の最適な扛上を達成するために互いに調整されている。出力信号の和は、第2の制御器21を用いて生成される操作量20を形成する。
【0030】
選択信号25およびスイッチ素子26を用いて、2つの制御器19,21の出力部のうちの1つの出力部がイネーブルされ、これにより、標準動作のための第1の扛上モードまたは分岐器のための第2の扛上モードのいずれかが作動される。最も単純なケースでは、選択信号25は操作要素を用いて決定される。このために、オペレータ27には、処理対象の区間が遮られることなく見える。
【0031】
有利には、オペレータ27を支援するために、または選択プロセスを自動化するために、タンピングマシン1に技術的な装置が設けられている。例えば、作業方向28において扛上/整正ユニット8の前方には、軌道4を検出するためのカメラ29が配置されている。分析ソフトウェアが設けられているコンピュータ30にリアルタイムで記録画像が伝送される。パターン認識を用いて、分岐器領域がどこで始まり、これがどこで終わるのかが自動的に識別される。距離測定装置31を介して、扛上/整正ユニット8および補助扛上ユニット10の、識別した分岐器に対する目下の位置が既知である。
【0032】
分岐器を識別するためのセンサとして、例えば、レール6上に位置決めされている2Dレーザスキャナ32も使用される。これにより、トングレール、分岐するレール、または轍叉が識別される。タンピングマシン1の端面に配置された3Dレーザスキャナ(回転スキャナ)33により、走行した軌道領域の3次元画像が検出され、この3次元画像から同様に分岐器の始まりおよび終わりを求めることができる。
【0033】
別の補助手段は、GNSS受信器34であり、このGNSS受信器34により、ナビゲーション衛星システムを介してタンピングマシン1の正確な位置が求められる。開ループ制御/閉ループ制御装置15には分岐器の位置データが格納されており、これにより、目下の位置と比較することによって、機械1が分岐器に進入した時点または分岐器から離れた時点が識別される。
【0034】
扛上モードの自動切換えのために有効であるのは、扛上/整正ユニット8による、また場合によっては補助扛上ユニット10による、軌道または分岐器に作用する扛上力および/または扛上持続時間を検出することである。あらかじめ設定された限界値に達すると、一方の扛上モードから他方の扛上モードへの切換えが自動的に行われる。扛上力を測定するために、例えば力測定セルが配置されている。扛上力を検出するためのセンサとして、扛上/整正ユニット8の液圧式扛上駆動装置における液圧を測定する圧力センサ35も適している。例えば、標準動作では扛上力は約100kNになる。これは、約100barの液圧に対応する。これにより、単純な軌道区間において扛上持続時間は0.5~1秒になる。分岐器では、扛上力は約2倍になり、扛上持続時間は1~4秒になる。
【0035】
図4を参照して、自動切換えを詳細に説明する。比較器36により、扛上力測定値37と扛上力限界値38とを比較する。ステータス信号39により、あらかじめ設定された目標扛上値18に達したことが示される。対応する通知が行われると直ちに、扛上モードを決定する。この時点において、扛上力測定値37が扛上力限界値38以下である場合、比較器36により、標準動作のための第1の扛上モードを作動させるための選択信号25が生成される。しかしながら、この時点で、扛上力測定値37が扛上力限界値38よりも大きい場合、比較器36の出力側には、分岐器のための第2の扛上モードを作動させるための選択信号25が加えられる。あらかじめ設定された扛上力限界値38は、例えば100kN~130kNの範囲にあり、好適には110kNである。
【0036】
オペレータキャビン40には付加的に表示器41が配置されており、この表示器41には、センサ29,32,33,35の結果および扛上モードの自動選択が表示される。オペレータ27は、音響メッセージによっても特定のプロセスに注意を向けることができる。
【0037】
さらに、扛上量があらかじめ設定された閾値(例えば95%)に達した時点がオペレータ27に表示され、タンピングユニット9の作動許可が行われる。この場合、タンピングユニット9の高さ駆動装置42は、オペレータ27によってまたは自動的に作動される。これにより、タンピングユニット9は、扛上が十分に進行して初めて、バラスト道床7に沈降する。これにより、沈降プロセスにタンピングツール43のスクイーズプロセスが直に続く連続的なタンピングプロセスが保証される。このようにして、タンピングユニット9もバラスト道床7も共に保護される。
【0038】
タンピングユニット9の作動を別の操作オペレータに警告するために、タンピングマシン1には音響警告装置44が配置されている。さらに、光学式警告装置45が取り付けられていてよい。これにより、タンピングプロセスの自動化された経過により、軌道4にいる人員が危険に晒されないことが保証される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】