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特表2024-540613がんの治療のためのシタラビン-アミノ酸系プロドラッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】がんの治療のためのシタラビン-アミノ酸系プロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/09 20060101AFI20241024BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 5/072 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C07H19/09
A61K31/7068
A61K38/05
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
C07K5/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529967
(86)(22)【出願日】2022-11-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 IL2022051234
(87)【国際公開番号】W WO2023089617
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,689
(32)【優先日】2021-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518181121
【氏名又は名称】バイオサイト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲングリノヴィッチ、ステラ
(72)【発明者】
【氏名】リドル-ハダス、ラミー
(72)【発明者】
【氏名】シュミロフ、マルガリータ
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057DD03
4C057LL20
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA15
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA35
4C084CA59
4C084MA13
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA15
4C084ZB26
4C084ZB27
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA17
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA15
4C086ZB26
4C086ZB27
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA11
4H045BA72
4H045EA28
4H045FA40
4H045FA50
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、がんの治療における使用のための、アミノ酸シタラビンを含むコンジュゲート、特に、シタラビン、及びアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、又はグルタミンから選択される2つ以上のアミノ酸のコンジュゲートに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(A)又はその異性体の構造によって表される、シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
式中、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
が、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、アミノ酸残基である。
【請求項2】
、R、R、又はRの前記アミノ酸残基が、互いに独立して、α-カルボン酸又はカルボン酸側鎖を介して前記シタラビンに結合している、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
の前記アミノ酸が、α-アミノ、α-カルボン酸、又はカルボン酸側鎖を介してRに結合している、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
、R、及びRのうちの少なくとも2つが、互いに異なる、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
、R、及びRのうちの少なくとも2つが、互いに同一である、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
、R、又はRが、アミノ酸残基である場合、前記アミノ酸残基が、Rと同じである、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
、R、又はRが、アミノ酸残基である場合、前記アミノ酸残基が、Rとは異なる、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
及びRが、互いに同一のアミノ酸残基である、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
及びRが、互いに異なるアミノ酸残基である、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、又はRのうちの少なくとも1つが、Hではなく、Rが、Hである、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、Rが、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である、請求項1に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
下記の式(B)又はその異性体の構造によって表されるように、
が、アスパラギン酸残基(Asp)であり、
、R、R、又はRのうちの少なくとも1つが、Hではない、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、又はRのうちの少なくとも1つが、Hではなく、Rが、Hである、請求項12に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
が、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である、請求項12に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
、R、R、及びRが、互いに独立して、H又はアスパラギン酸残基である、請求項12~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
が、アスパラギン酸残基である、請求項12~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
が、アスパラギン酸残基である、請求項12~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
が、アスパラギン酸残基である、請求項12~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
が、アスパラギン酸残基である、請求項12及び14~15のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
、R、及びRが、Hである、請求項12、14、及び19のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
、R、及びRのうちの少なくとも1つが、アスパラギン酸である、請求項12~15及び19のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
が、Hである、請求項15~18のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
、R、R、及びRのうちの少なくとも2つが、アスパラギン酸である、請求項12~19のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
、R、R、及びRが、互いに独立して、H又はグルタミン酸残基である、請求項12~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
が、グルタミン酸残基である、請求項12~14及び24のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
が、グルタミン酸残基である、請求項12~14及び24のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
が、グルタミン酸残基である、請求項12~14及び24のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
が、グルタミン酸残基である、請求項12~14及び24のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
、R、及びRが、Hである、請求項28に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
、R、及びRのうちの少なくとも1つが、グルタミン酸である、請求項14及び24のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
が、Hである、請求項24~27のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
、R、R、及びRのうちの少なくとも2つが、グルタミン酸である、請求項12~14及び24~29のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
、R、R、及びRが、互いに独立して、H又はアラニン残基である、請求項12~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
が、アラニン残基である、請求項12~14及び33のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
が、アラニン残基である、請求項12~14及び33のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
が、アラニン残基である、請求項12~14及び33のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
が、アラニン残基である、請求項12~14及び33のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
、R、及びRが、Hである、請求項37に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
、R、及びRのうちの少なくとも1つが、アラニン残基である、請求項14及び33のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
が、Hである、請求項33~36のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
、R、R、及びRのうちの少なくとも2つが、アラニン残基である、請求項12~14及び33~37のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
下記の式(C)又はその異性体の構造によって表されるように、
が、グルタミン酸残基(Glu)であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、水素(H)ではない、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、又はRのうちの少なくとも1つが、Hではなく、Rが、Hである、請求項42に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項44】
、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、Rが、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である、請求項42に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項45】
前記薬学的に許容される塩が、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタリン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、硫酸、シクラミン酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンスルホン酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンジスルホン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、グリセロリン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン(イセチオン)酸、メドロン(ビスホスホン)酸、メタリン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、及び硝酸からなる群から選択される有機酸又は無機酸の塩である、請求項1~44のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項46】
前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩である、請求項1~45のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項47】
前記薬学的に許容される塩が、メタンスルホン酸である、請求項1~46のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか一項に記載のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩と、
薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項49】
がん又は前がん性状態若しくは障害の治療を必要とする対象においてがん又は前がん性状態若しくは障害を治療する方法であって、
請求項48に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
【請求項50】
前記がんが、転移性がんである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記がんが、非固形腫瘍若しくは固形腫瘍、又はそれらの組み合わせである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記固形腫瘍が、中枢神経系(CNS)中の腫瘍、肝臓がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部腫瘍、外陰がん、及び皮膚科学的新生物を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記非固形腫瘍が、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記がんが、血液がん及び非血液がんからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記血液がんが、白血病、リンパ腫、骨髄腫、及び骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記白血病が、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、及び慢性リンパ芽球性白血病(CLL)からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記薬学的組成物が、非経口、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脳内、脳室内、髄腔内、皮内、又は吸入投与経路を介して投与される、請求項49~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記薬学的組成物が、経口又は非経口投与される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記薬学的組成物が、静脈内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脳内、脳室内、髄腔内、又は皮内投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
式(I)が、0.1~10g/mの1日用量で投与される、請求項49~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
式(I)が、0.1~0.3g/m、0.3~0.6g/m、0.6~1.0g/m、1.0~1.5g/m、1.5~3g/m、3~5g/m、5~8g/m、又は8~10g/mの1日用量で投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
錠剤、丸剤、ドラジェ、ロゼンジ、カプセル、粉末、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、溶液、エマルジョン、エアロゾルスプレー、及び、徐放性製剤からなる群から選択される剤形で製剤化された、請求項48に記載の薬学的組成物を含む、剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの治療における使用のための薬物の糖及びシトシン部分の両方で置換された、シタラビンと、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、又はグルタミンから選択される少なくとも2つのアミノ酸と、を含む、コンジュゲートの活性プロドラッグに関する。特に、本発明は、がん又は前がん状態若しくは障害の治療における使用のための、シタラビン、アスパラギン酸、及び/又は追加のアミノ酸のプロドラッグコンジュゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
抗増殖性薬物
【0003】
抗代謝産物、抗新生物剤、又は共有結合性DNA結合薬物としても知られる抗増殖性薬物は、重要な代謝経路を阻害することによって作用し、悪性疾患の治療において一般的に使用される。しかしながら、正常細胞に対するそれらの高い毒性及び重度の副作用は、治療剤としてのそれらの使用を制限する。望ましくない副作用には、骨髄中の幹細胞、腸管の上皮細胞、毛包細胞などのような、急速に分裂する正常細胞に対する細胞毒性効果に起因する、貧血、嘔吐、及び脱毛が含まれる。
【0004】
ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体
【0005】
がんのための現在の化学療法治療のかなりの割合は、代謝及び調節経路を破壊することができる天然プリン又はピリミジンヌクレオシドを模倣する能力を有する抗代謝産物、特に修飾されたヌクレオシド類似体の使用を伴う。ヌクレオシド類似体は、核酸への組み込みについてそれらの生理学的対応物と競合し、白血病の治療において重要な地位を獲得している。これらの分子は、ヌクレオシドトランスポーターによって取り込まれ、次いでそれらの一リン酸塩、二リン酸塩、及び三リン酸塩形態にリン酸化することができ、それらは、例えば鎖停止剤又はリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤として作用することによって、DNA/RNA合成及び修復を妨げることができる。他の注目すべき作用様式には、DNAメチルトランスフェラーゼなどの、DNA調節タンパク質の阻害を通した、エピジェネティック調節が含まれる。化学療法治療レジメンのための承認された抗がんヌクレオシド類似体の選択された現在の例としては、カペシタビン、ゲムシタビン、クロファラビン、及びシタラビン(Ara-C)が挙げられる。後者の化合物は、アラビノースヌクレオシド;元々は海綿Cryptothethya cryptaから単離されたが、ここで合成的に生成された抗代謝産物の特有のクラスに属する。それらは、シトシンとアラビノシド糖との間のN-グリコシル結合と比較して、シス構成における2'-OH基の存在によって、生理学的デオキシリボヌクレオシドとは異なっている。いくつかのアラビノースヌクレオシドは、有用な抗腫瘍及び抗ウイルス効果を有する。このクラスの最も活性な細胞毒性剤は、シトシンアラビノシドAra-Cである。シタラビン(Ara-C)は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、及び骨髄異形成症候群(MDS)などの白血球のがんを治療するための最も効果的な薬物の1つである。しかしながら、シタラビンは、高度に毒性であり、小脳毒性及び骨髄抑制などの重度の副作用を有する。したがって、中間及び高用量シタラビン治療は、高齢の患者及び不健康な患者では限定されており、多くの場合、制限されている。
【0006】
シチジン抗代謝産物の領域における類似体開発の1つの目的は、Ara-Cの生物学的活性を保存するが、急速な脱アミノ化及び不活性化を受けない化合物を見出すことである。いくつかの臨床試験において抗白血病活性を示すが、望ましくない副作用を有する、シクロ-シチジン(Ho DHW,1974)及びN-ベヘノイルAra-C(Kodama et al.,1989)を含む、いくつかのデアミナーゼ耐性類似体が開発されている(Woodcock et al.,1980)。他の代表的な化合物は、N-パルミトイル-Ara-C、2'-アジド-2'-デオキシAra-C、Ara-Cの5'-(コルチゾン21-ホスホリル)エステル、Ara-Cの5'-アシルエステル(例えば、5'-パルミチン酸エステル)、Nベヘノイル-ara-C、ポリ-H(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミンとのAra-Cコンジュゲート、ジヒドロ-5-アザシチジン、5-アザ-アラビノシルシトシン、5-アザ-2'-デオキシシチジン、及び2'-2'-ジフルオロデオキシシチジンである(Hartel et al.,1990及びHeineman et al.,1988)。
【0007】
-アスパルチル-シタラビン又はグルタミン酸(Glu)-(シタラビン)又はN4-グルタミル-シタラビンとしても知られるアスパラギン酸(Asp)-(シタラビン)などのシタラビンのN-アミノ酸誘導体は、安定なアミド結合を形成するアミノ酸の側鎖によるシタラビン-アミンの遮断によるデアミナーゼ耐性類似体である(米国特許第7,989,188号及び同第8,993,278号)。
【0008】
シタラビン代謝
【0009】
シタラビン(Ara-C)などのヌクレオチド系薬物が細胞内で輸送されると、その細胞毒性効果のために活性化が必要となる。第1の代謝ステップは、デオキシシチジンキナーゼによるシタラビンのシタラビン-一リン酸塩(Ara-CMP)への変換である。Ara-CMPは、その後、ピリジン一リン酸塩キナーゼ及びピリジン二リン酸塩キナーゼによって、それぞれ、二リン酸塩(Ara-CDP)及び三リン酸塩(Ara-CTP)にリン酸化される。Ara-CTPは、Ara-Cの活性代謝産物であり、DNAポリメラーゼによるDNA取り込みについて天然基質デオキシシチジン三リン酸塩(dCTP)と競合する。取り込み後、それは、鎖伸長及び修復を妨げるDNA鎖停止剤として機能する。Ara-C細胞毒性は、急速DNA合成の期間中、細胞周期のS期において最も効果的である(書籍:Cancer,Principles&Practice of Oncology,Lippincott,Williams and Wilkins,7th Edition,2000)。
【0010】
Ara-Cの異化は、Ara-C及びAra-CMPを、それぞれ、不活性代謝産物Ara-U及びAra-UMPに変換する2つの主要な酵素、シチジンデアミナーゼ及びデオキシシチジンデアミナーゼを伴う。
【0011】
プロドラッグ及び増殖性疾患
【0012】
増加したバイオアベイラビリティ又は増加した部位特異性などの所望の特徴を付与するためのプロドラッグの使用は、医薬開発の技術分野で認識されている概念である。例えば、抗体への薬物の直接的又は間接的なコンジュゲーションは、薬物の最小限の解離で標的部位に到達することができる安定なコンジュゲートを作製する。薬物標的化は、最大効力のために薬物の選択的放出の機序と組み合わせられ得る。
【0013】
米国特許第4,296,105号は、インビトロでドキソルビシンよりも高い抗腫瘍活性及び低い毒性を有する、アミノ酸残基のヒドロキシ基で任意に置換されたアミノ酸に結合したドキソルビシン誘導体を記載する。
【0014】
米国特許第5,962,216号は、標的細胞によって分泌される1つの因子又は複数の因子によって切断されるまで細胞に入ることができない腫瘍活性化プロドラッグを教示する。
【0015】
米国特許第5,650,386号は、少なくとも1つの活性剤、及び活性剤の担体として作用する、少なくとも1つの修飾された非αアミノ酸又はポリアミノ酸を含む組成物を教示する。アミノ酸修飾は、少なくとも1つの遊離アミン基のアシル化又はスルホン化を含む。
【0016】
米国特許第6,623,731号、同第6,428,780号、及び同第6,344,213号は、生物活性剤のための担体として修飾されたアミノ酸を含む非共有混合物を教示する。
【0017】
米国特許第5,106,951号は、オリゴペプチド上の2つの芳香族側鎖間に非共有結合的にインターカレートされた芳香族薬物と、がん細胞を標的とするためにオリゴペプチドに共有結合した抗体又は抗体断片と、を含む、コンジュゲートを開示する。
【0018】
米国特許第6,617,306号は、治療剤、担体、及びジスルフィド結合によって結合した治療剤のインビボ送達のための担体を教示する。米国特許第6,617,306号によると、担体は、ポリマー、並びにチオール化合物のチオール基及び治療剤のチオール基がジスルフィド結合を形成するように、ポリマーにコンジュゲートされた少なくとも1つのチオール化合物を含む。
【0019】
国際特許出願公開第00/33888号は、標的細胞に入ることができる治療剤、オリゴペプチド、安定化基、及び任意のリンカーを含む、切断可能な抗腫瘍及び抗炎症化合物を教示する。
【0020】
国際特許出願公開第2005/072061号並びに米国特許第7,989,188号及び同第8,993,278号は、アミノ酸側鎖の官能基に共有結合した薬物を含む化合物を開示しており、そのような化合物は、薬物を新生細胞に標的化するのに有用である。
【0021】
Manfredini et al.,(2000)は、CD4陽性細胞を標的とするためのペプチドT-Ara-Cコンジュゲートの合成を開示する。
【0022】
抗腫瘍活性を有するが、正常組織に対する低減した細胞毒性を有するがん患者の化合物に投与することを含む、がんを治療する方法についての満たされていない必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0023】
いくつかの実施形態において、本発明は、下記の式(A)又はその異性体の構造によって表される、シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0024】
【化1】
【0025】
式中、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
が、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、アミノ酸残基である。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明は、下記の式(B)又はその異性体の構造によって表される、シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0027】
【化2】
【0028】
式中、
Aspが、アスパラギン酸残基であり、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、水素(H)ではない。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明は、下記の式(C)又はその異性体の構造によって表される、シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0030】
【化3】
【0031】
式中、
Gluが、グルタミン酸残基であり、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、水素(H)ではない。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載のコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0033】
いくつかの実施形態において、本発明は、錠剤、丸剤、ドラジェ、ロゼンジ、カプセル、粉末、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、溶液、エマルジョン、エアロゾルスプレー、及び、徐放性製剤からなる群から選択される剤形で製剤化された、本明細書に記載の組成物を含む、剤形を提供する。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は、がん又は前がん性状態若しくは障害の治療を必要とする対象においてがん又は前がん性状態若しくは障害を治療する方法であって、本明細書に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。他の実施形態では、がんは、非固形腫瘍若しくは固形腫瘍、又はそれらの組み合わせである。他の実施形態では、固形腫瘍は、中枢神経系(CNS)中の腫瘍、肝臓がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部腫瘍、外陰がん、及び皮膚科学的新生物を含む。他の実施形態では、非固形腫瘍は、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫を含む。他の実施形態では、がんは、血液がん及び非血液がんからなる群から選択される。他の実施形態では、血液がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、及び骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】92.8%の面積純度で、16.6分で生成物のメインピークを示す、247nmで検出された、コンジュゲート1bのHPLC分析を示す。
図2】214、247、及び299nmで生成物の3つのメインピークを示す、分光光度計による2つのアスパラギン酸を有するシタラビンの分析を示す。
図3】生成物の分子量を473g/molとして示す、質量分析計によるコンジュゲート1bの分析を示す。
図4】ヒト及びマウス白血病細胞増殖に対するインビトロでの2つのアスパラギン酸を有するシタラビンの効果を示す。MOLT-4及びL1210の両方の細胞増殖は、2つのアスパラギン酸を有するシタラビンによって阻害される。
図5】RPMI培地中の2つのアスパラギン酸を有するシタラビンの安定性を、その分解生成物:アスパシタラビン及びシタラビンと比較した相対パーセンテージ(%)で示す。2つのアスパラギン酸を有するシタラビンの主な分解生成物は、アスパシタラビンである。
図6】血清を有するRPMI培地中の2つのアスパラギン酸を有するシタラビンの安定性を、その分解生成物:アスパシタラビン(BST-236)及びシタラビンと比較した相対パーセンテージ(%)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、治療剤に共有結合した少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲートの薬学的に許容される塩形態を提供する。特に、本発明は、プリン類似体を含むヌクレオチド薬物、又は抗代謝産物薬物、及び少なくとも2つのアミノ酸残基を含むコンジュゲートの薬学的に許容される塩、これらのコンジュゲートを含む薬学的組成物、並びにがん又は前がん状態若しくは障害の治療のためのそれらの使用に関する。
【0037】
いくつかの実施形態において、式(I)の構造によって表される、ヌクレオチド薬物(D)及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩であって、
(AA3)-AA1-D-(AA2) (I)
式中、
Dが、ヌクレオシド薬物を示し、薬物が、プリン類似体、又は抗代謝産物からなる群から選択され、
AA1が、アミノ酸残基であり、AA1及びDが、アミド、エステル、エーテル、チオアミド、チオエステル、チオエーテル、尿素、アミン、ケトン、アルキルリンカー、及びカルバメートから選択される基を介して結合しており、
(AA2)が、D上でx回繰り返される、アミノ酸残基であり、xが、0~10であり、AA2及びDが、アミド、エステル、エーテル、チオアミド、チオエステル、チオエーテル、尿素、アミン、ケトン、アルキルリンカー、及びカルバメートから選択される基を介して結合しており、
(AA3)が、AA1上でy回繰り返される、アミノ酸残基であり、yが、0~1であり、AA3及びAA1が、アミド、エステル、エーテル、チオアミド、チオエステル、チオエーテル、尿素、アミン、ケトン、アルキルリンカー、及びカルバメートから選択される基を介して結合しており、
x+y≧1である、コンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0038】
別の実施形態では、当該プリン類似体は、チオグアニン、アザチオプリン、メルカプトプリン、クロファラビン、ペントスタチン、クラドリビン、及びフルダラビンから選択される。別の実施形態では、当該プリン類似体は、チオグアニンである。別の実施形態では、当該プリン類似体は、アザチオプリンである。別の実施形態では、当該プリン類似体は、メルカプトプリンである。別の実施形態では、当該プリン類似体は、クロファラビンである。別の実施形態では、当該プリン類似体は、ペントスタチンである。別の実施形態では、当該プリン類似体は、クラドリビンである。別の実施形態では、当該プリン類似体は、フルダラビンである。
【0039】
別の実施形態では、当該抗代謝産物は、5-フルオロウラシル、カペシタビン、シタラビン、フロクスウリジン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ペメトレキセド、及びフォトトレキサートから選択される。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、5-フルオロウラシルである。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、カペシタビンである。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、シタラビンである。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、フロクスウリジンである。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、ゲムシタビンである。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、メトトレキサートである。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、ペメトレキセドである。別の実施形態では、当該抗代謝産物は、フォトトレキサートである。
【0040】
いくつかの実施形態において、式(I)のAA1、AA2、及びAA3は、互いに独立して、当該技術分野で既知のD又はL、天然又は合成アミノ酸残基のいずれかである。別の実施形態では、AA1、AA2、及びAA3のアミノ酸残基は、互いに独立して、アラニン(Ala)、アミノイソ酪酸(Aib)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、シトルリン(Cit)、システイン(Cys)、シスチン、ジアミノブタン酸、ジアミノ酪酸(Dab)、ジアミノプロピオン酸(Dpr)、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジメチルアルギニン、グルタミン酸(Glu)、ピログルタミン酸(p-Glu)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、1-メチル-ヒスチジン、3-メチル-ヒスチジン、ホモセリン(Hse)、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン(Hyp)、リジン(Lys)、メチル-リジン、ジメチルリジン、トリメチルリジン、アジドリジン、メチオニン(Met)、メチオニン-スルホキシド、メチオニン-スルホン、オルニチン(Orn)、サルコシン(Sar)、セレノシステイン(Sec)、セリン(Ser)、ホスホル-セリン、メチル-セリン、アミノセリン(Ams)、チエニルアラニン(Thi)、トレオニン(Thr)、ホスホ-トレオニン、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、メチル-チロシン、ホスホル-チロシン、スルホ-チロシン、α-アミノスベリン酸、3,5-ジヨードチロシン、ペニシラミン(Pen)、4-エチルアミンフェニルグリシン、4-アミノフェニルグリシン、4-スルホフェニルアラニン、4-アミノフェニルアラニン、及び2-アミノ-4[4-(2-アミノ)-ピリミジニル]ブタン酸、3-アミノプロピオン酸、6-アミノヘキサン酸(ε-Ahx)、p-アミノ安息香酸、イソニペコチン酸、スタチン(Sta)、2-アミノ酪酸(Abu)、及び4-アミノ酪酸、並びにそれらの誘導体及び類似体からなる群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0041】
好ましい実施形態では、式(I)のAA1、AA2、及びAA3のアミノ酸残基は、各々個別に、アラニン(Ala)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、及びグルタミン(Gln)からなる群から選択される。別の実施形態では、アミノ酸残基は、Alaである。別の実施形態では、アミノ酸残基は、Asnである。別の実施形態では、アミノ酸残基は、Aspである。別の実施形態では、アミノ酸残基は、Gluである。別の実施形態では、アミノ酸残基は、Glnである。
【0042】
いくつかの実施形態において、式(I)のxは、0~10の整数である。別の実施形態では、xは、0~1、0~2、0~3、0~4、0~5、0~6、0~7、0~8、0~9、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~10の整数である。別の実施形態では、xは、0である。別の実施形態では、xは、1である。別の実施形態では、xは、2である。別の実施形態では、xは、3である。別の実施形態では、xは、4である。別の実施形態では、xは、5である。別の実施形態では、xは、6である。別の実施形態では、xは、7である。別の実施形態では、xは、8である。別の実施形態では、xは、9である。別の実施形態では、xは、10である。
【0043】
いくつかの実施形態において、式(I)のyは、0~1の整数である。別の実施形態では、yは、0である。別の実施形態では、yは、1である。
【0044】
いくつかの実施形態において、式(I)のx+yは、≧1である。別の実施形態では、x+yは、1≧x+y≧2、1≧x+y≧3、1≧x+y≧5、1≧x+y≧7、又は1≧x+y≧11の範囲内であり、各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、X+Yは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11であり、各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0045】
いくつかの実施形態において、下記のコンジュゲート(A)又はその異性体の構造によって表される、コンジュゲート(I)-シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0046】
【化4】
【0047】
式中、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
が、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、アミノ酸残基である。
【0048】
別の実施形態では、コンジュゲート(A)のR、R、R、又はRのアミノ酸残基は、互いに独立して、α-カルボン酸又はカルボン酸側鎖を介してシタラビンに結合している。別の実施形態では、R、R、R、又はRのアミノ酸残基は、互いに独立して、アミド又はエステルを介してシタラビンに結合しており、各々、本発明の異なる実施形態を表す。別の実施形態では、R、R、R、又はRのアミノ酸残基は、互いに独立して、アミド又はエステル基を介してシタラビンに結合している。各々は、本発明の異なる実施形態を表す。
【0049】
別の実施形態では、コンジュゲート(A)のRのアミノ酸は、α-アミノ、α-カルボン酸、又はカルボン酸側鎖を介してRに結合している。別の実施形態では、Rのアミノ酸残基は、アミド基を介してRに結合している。各々は、本発明の異なる実施形態を表す。別の実施形態では、Rのアミノ酸残基は、アミド基を介してRに結合している。各々は、本発明の異なる実施形態を表す。
【0050】
いくつかの実施形態において、アミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アラニン、並びにそれらの誘導体及び類似体からなる群から選択される。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。1つの現在好ましい実施形態では、アミノ酸残基は、アスパラギン酸である。別の現在好ましい実施形態では、アミノ酸残基は、グルタミン酸である。
【0051】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、互いに異なる。
【0052】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、互いに同一である。
【0053】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR、R、又はRが、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である場合、アミノ酸残基は、Rと同じである。別の実施形態では、R、R、R、R、又はそれらの任意の組み合わせは、各々、アスパラギン酸である。別の実施形態では、R、R、R、R、又はそれらの任意の組み合わせは、各々、グルタミン酸である。別の実施形態では、R、R、R、R、又はそれらの任意の組み合わせは、各々、アスパラギンである。別の実施形態では、R、R、R、R、又はそれらの任意の組み合わせは、各々、グルタミンである。別の実施形態では、R、R、R、R、又はそれらの任意の組み合わせは、各々、アラニンである。
【0054】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR、R、又はRが、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である場合、アミノ酸残基は、Rとは異なる。
【0055】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR及びRは、各々、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択される互いに同一のアミノ酸残基である。別の実施形態では、R及びRは、各々、アスパラギン酸である。別の実施形態では、R及びRは、各々、グルタミン酸である。別の実施形態では、R及びRは、各々、アスパラギンである。別の実施形態では、R及びRは、各々、グルタミンである。別の実施形態では、R及びRは、各々、アラニンである。
【0056】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR及びRは、各々、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択される互いに異なるアミノ酸残基である。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0057】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR、R、及びRは、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、R、R、又はRのうちの少なくとも1つは、Hではなく、Rは、Hである。
【0058】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のR、R、及びRは、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。
【0059】
いくつかの実施形態において、下記のコンジュゲート(B)又はその異性体の構造によって表される、コンジュゲート(I)又は(A)-シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0060】
【化5】
【0061】
式中、
Aspが、アスパラギン酸残基であり、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、Hではない。
【0062】
いくつかの実施形態において、下記のコンジュゲート(C)又はその異性体の構造によって表される、コンジュゲート(I)又は(A)-シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0063】
【化6】
【0064】
式中、
Gluが、グルタミン酸残基であり、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、Hではない。
【0065】
いくつかの実施形態において、下記のコンジュゲート(D)又はその異性体の構造によって表される、コンジュゲート(I)又は(A)-シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0066】
【化7】
【0067】
式中、
Alaが、アラニン残基であり、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、Hではない。
【0068】
いくつかの実施形態において、下記のコンジュゲート(E)又はその異性体の構造によって表される、コンジュゲート(I)又は(A)-シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0069】
【化8】
【0070】
式中、
Asnが、アスパラギン残基であり、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、Hではない。
【0071】
いくつかの実施形態において、下記のコンジュゲート(F)はその異性体の構造によって表される、コンジュゲート(I)又は(A)-シタラビン残基及び少なくとも2つのアミノ酸のコンジュゲート又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0072】
【化9】
【0073】
式中、
Glnが、グルタミン残基であり、
、R、R、及びRが、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、Hではない。
【0074】
別の実施形態では、コンジュゲート(B)~(F)のR、R、又はRのアミノ酸残基は、互いに独立して、α-カルボン酸又はカルボン酸側鎖を介してシタラビンに結合している。別の実施形態では、R、R、又はRのアミノ酸残基は、互いに独立して、エステル基を介してシタラビンに結合している。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(B)のAspは、そのα-カルボン酸又はカルボン酸側鎖を介してシタラビンに結合している。別の実施形態では、Asp残基は、アミド又はエステル基を介してシタラビンに結合している。
【0075】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(C)のGluは、そのα-カルボン酸又はカルボン酸側鎖を介してシタラビンに結合している。別の実施形態では、Glu残基は、アミド又はエステル基を介してシタラビンに結合している。
【0076】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(D)のAlaは、そのα-カルボン酸を通してシタラビンに結合している。別の実施形態では、Ala残基は、アミド又はエステル基を介してシタラビンに結合している。
【0077】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(E)のAsnは、α-カルボン酸を通してシタラビンに結合している。別の実施形態では、Asn残基は、アミド又はエステル基を介してシタラビンに結合している。
【0078】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(F)のGlnは、α-カルボン酸を通してシタラビンに結合している。別の実施形態では、Gln残基は、アミド又はエステル基を介してシタラビンに結合している。
【0079】
別の実施形態では、Rのアミノ酸は、α-アミノ、α-カルボン酸、又はカルボン酸側鎖を介してコンジュゲート(B)のAspに結合している。別の実施形態では、Rのアミノ酸残基は、アミド基を介してAspに結合している。
【0080】
別の実施形態では、Rのアミノ酸は、α-アミノ、α-カルボン酸、又はカルボン酸側鎖を介してコンジュゲート(C)のGluに結合している。別の実施形態では、Rのアミノ酸残基は、アミド基を介してGluに結合している。
【0081】
別の実施形態では、Rのアミノ酸は、α-アミノ、α-カルボン酸を通してコンジュゲート(D)のAlaに結合している。別の実施形態では、Rのアミノ酸残基は、アミド基を介してAlaに結合している。
【0082】
別の実施形態では、Rのアミノ酸は、α-アミノ、α-カルボン酸を通してコンジュゲート(E)のAsnに結合している。別の実施形態では、Rのアミノ酸残基は、アミド基を介してAsnに結合している。
【0083】
別の実施形態では、Rのアミノ酸は、α-アミノ、α-カルボン酸を通してコンジュゲート(F)のGlnに結合している。別の実施形態では、Rのアミノ酸残基は、アミド基を介してGlnに結合している。
【0084】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、互いに異なる。
【0085】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、互いに同一である。
【0086】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(B)~(F)のR、R、及びRは、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、R、R、又はRのうちの少なくとも1つは、Hではなく、Rは、Hである。
【0087】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(B)~(F)のR、R、及びRは、互いに独立して、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。
【0088】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギンである。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミンである。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニンである。
【0089】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のRは、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、Hである。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、Rは、グルタミンである。別の実施形態では、Rは、アラニンである。
【0090】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のRは、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、Hである。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、Rは、グルタミンである。別の実施形態では、Rは、アラニンである。
【0091】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のRは、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、Hである。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、Rは、グルタミンである。別の実施形態では、Rは、アラニンである。
【0092】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)のRは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、Rは、グルタミンである。別の実施形態では、Rは、アラニンである。
【0093】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のRは、H、又はアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、Hである。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、Rは、グルタミンである。別の実施形態では、Rは、アラニンである。
【0094】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRは、互いに独立して、H又はアスパラギン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。
【0095】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも3つは、アスパラギン酸残基である。
【0096】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRは、互いに独立して、H又はグルタミン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン酸残基である。
【0097】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも3つは、グルタミン酸残基である。
【0098】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRは、互いに独立して、H又はアラニン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基である。別の実施形態では、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、Rは、アラニン残基である。
【0099】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも3つは、アラニン残基である。
【0100】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRは、互いに独立して、H又はアスパラギン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギンである。別の実施形態では、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン残基である。
【0101】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも3つは、アスパラギン残基である。
【0102】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRは、互いに独立して、H又はグルタミン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン残基である。別の実施形態では、Rは、グルタミン残基である。
【0103】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも3つは、グルタミン残基である。
【0104】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRは、Hであり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、アラニンである。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、グルタミンである。
【0105】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、Hである。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0106】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0107】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン酸残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0108】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン酸残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0109】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基であり、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アラニン残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0110】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基であり、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アラニン残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0111】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン残基であり、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン残基であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、アスパラギン残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0112】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基であり、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0113】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基であり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基であり、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基であり、Rは、グルタミン酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基であり、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、グルタミン残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0114】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミンであり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン残基であり、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン残基であり、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン残基であり、Rは、アラニン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン残基であり、Rは、アスパラギン残基である。別の実施形態では、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、グルタミン残基であり、Rは、グルタミン残基である。
【0115】
別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。別の実施形態では、Rは、アスパラギン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸残基である。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも3つは、アスパラギン酸残基である。
【0116】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)~(F)のR、R、及びRは、Hであり、Rは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、及びアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基である。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、アスパラギン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、グルタミン酸である。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、アラニンである。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、アスパラギンである。別の実施形態では、R、R、及びRは、Hであり、Rは、グルタミンである。
【0117】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、又は(F)のR、R、R、及びRのうちの少なくとも2つは、アスパラギン酸である。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲート(B)は、以下のコンジュゲート(表1)によって表される。
【0119】
【表1-1】
【0120】
【表1-2】
【0121】
【表1-3】
【0122】
【表1-4】
【0123】
【表1-5】
【0124】
【表1-6】
【0125】
【表1-7】
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲート(B)は、以下のコンジュゲートB1及びB2又はそれらの異性体の構造によって表される。
【0127】
【化10】
【0128】
いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲート1は、以下のコンジュゲート1a、1b、1c、1d、又はそれらの異性体の構造によって表される。
【0129】
【化11】
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲート2は、以下のコンジュゲート2a、2b、2c、2d、又はそれらの異性体の構造によって表される。
【0131】
【化12】
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲート16は、以下のコンジュゲート16a、16b、16c、16d、又はそれらの異性体の構造によって表される。
【0133】
【化13】
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲート31は、以下のコンジュゲート31a、31b、又はそれらの異性体の構造によって表される。
【0135】
【化14】
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明のコンジュゲート4は、以下のコンジュゲート4a、4b、4c、4d、又はそれらの異性体の構造によって表される。
【0137】
【化15】
【0138】
いくつかの実施形態において、Rが、グルタミン酸である、本発明のコンジュゲートCは、以下のコンジュゲートC1a、C1b、C1c、C1d、又はそれらの異性体の構造によって表される。
【0139】
【化16】
【0140】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(I)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、及びコンジュゲート1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、C1a~C1b、並びにその異性体の薬学的に許容される塩は、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタリン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸、PTSA(パラ-トルエンスルホン酸)、ベンゼンスルホン酸、硫酸、シクラミン酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンスルホン酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンジスルホン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、グリセロリン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン(イセチオン)酸、メドロン(ビスホスホン)酸、メタリン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、及び硝酸からなる群から選択される有機又は無機酸の塩である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0141】
別の実施形態では、コンジュゲート(I)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、及びコンジュゲート1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、C1a~C1b、並びにそれらの異性体の薬学的に許容される塩は、強酸の塩である。別の実施形態では、コンジュゲート(I)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、及びコンジュゲート1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、C1a~C1b、並びにそれらの異性体の薬学的に許容される塩は、塩酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容される塩は、メタンスルホン酸である。
【0142】
本発明に記載の化合物の特定の名称又は頭字語に縛られることを望まないが、化合物は、当業者にとって任意の許容される名称、例えば、(A)アスパラギン酸塩-シタラビン-アスパラギン酸塩(1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4dから選択されるコンジュゲート、又はそれらの異性体のうちの少なくとも1つを含む組成物)は、ジ-アスパルチル-シタラビン、ジ-アスパラギン酸塩-シタラビン、Asp-Ara-C-Asp、ジ-Asp-Ara-C、Ara-Cジ-アスパラギン酸、2つのアスパラギン酸を有するAra-C、ジ-Asp-Cytなどと命名することができる。
【0143】
いかなる理論又は作用機序にも縛られることを望むものではないが、ジ-アミノ酸-シタラビンコンジュゲートは、インタクトな化合物として、又はアミノ酸-シタラビンコンジュゲートへの経時分解後に細胞中に入ることができ、これはがん細胞中に輸送され、細胞内でこれらのコンジュゲートは、細胞増殖を停止するか、又は細胞を殺滅するシタラビンを放出する。がん細胞において遊離シタラビン及び遊離シタラビン代謝産物が検出されたので、本発明のコンジュゲートは、プロドラッグとして機能する。
【0144】
薬学的組成物
【0145】
本発明は、本発明のコンジュゲートのうちの少なくとも1つと、薬学的に許容される担体、可溶化剤、又は希釈剤と、を含み、任意に1つ以上の賦形剤を更に含む、薬学的組成物を提供する。
【0146】
いくつかの実施形態において、本発明で開示される少なくとも1つのコンジュゲート又はその異性体その薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。別の実施形態では、本発明のコンジュゲート又はその異性体又はその薬学的に許容される塩は、(I)、(A)~(F)、コンジュゲート1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1bから選択される。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、コンジュゲート(I)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、コンジュゲート(A)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、コンジュゲート(B)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、コンジュゲート(C)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、コンジュゲート(D)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、コンジュゲート(E)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、コンジュゲート(F)又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、本発明で開示される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。別の実施形態では、組成物は、(I)、(A)~(F)、コンジュゲート1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1b、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのコンジュゲートを含む。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0148】
別の実施形態では、(I)、(A)~(F)、コンジュゲート1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1bからなる群から選択される2つ、3つ以上のコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0149】
別の実施形態では、薬学的組成物は、1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4dからなる群から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲート1~4から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲート1a、1b、1c、及び1dから選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲート2a、2b、2c、及び2dから選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲート4a、4b、4c、及び4dから選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。
【0150】
別の実施形態では、薬学的組成物は、1~4からなる群から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、5~10からなる群から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、1~15からなる群から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、16a~16dからなる群から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。
【0151】
別の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1つのコンジュゲート31a及び31bと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲートC1a~C1bから選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲート1~218から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲート(B)~(F)から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。
【0152】
別の実施形態では、薬学的組成物は、1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4dからなる群から選択される少なくとも2つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は、コンジュゲート1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4dから選択される少なくとも3つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む。
【0153】
いくつかの実施形態において、1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4dからなる群から選択される少なくとも1つのコンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0154】
「薬学的に許容される」という用語は、連邦若しくは州政府の規制機関によって承認されているか、又は動物、特にヒトにおいて使用するための米国薬局方若しくは他の一般に認められた薬局方に列挙されていることを意味する。
【0155】
「担体」という用語は、治療化合物とともに投与される希釈剤、溶媒、アジュバント、可溶化剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。そのような薬学的担体は、水、アルコール、及びピーナッツ油、大豆油、鉱油、ヒマシ油、ゴマ油などのような、石油、動物、植物、若しくは合成由来のものを含む、油などの、滅菌液体、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒であり得る。
【0156】
治療化合物の静脈内投与のために、水、生理食塩水、並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液も使用することができる。
【0157】
特定の実施形態によると、静脈内投与のための本発明のコンジュゲートを含む製剤は、水性等張溶液である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物の薬学的に許容される担体は、3~8のpHを有する緩衝生理食塩水、緩衝デキストロース溶液、又は緩衝グリセロール溶液であり得る。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0158】
特定の実施形態によると、静脈内投与のための本明細書に記載の組成物は、水性等張溶液である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のコンジュゲートの薬学的に許容される担体は、3~8のpHを有する緩衝生理食塩水、緩衝デキストロース溶液、又は緩衝グリセロール溶液であり得る。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0159】
別の実施形態では、本明細書に記載の組成物の緩衝液は、3~8の範囲の任意の薬学的に許容される緩衝液であり得る。別の実施形態では、本発明のコンジュゲートの緩衝液は、3~8の範囲の任意の薬学的に許容される緩衝液であり得る。別の実施形態では、コンジュゲート(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1d、より好ましくはコンジュゲート1~4のpHを調整するために、3~8のpKを有する様々な緩衝液、例えば、ACES(N-(アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、酢酸塩、N-(2-アセトアミド)-2-イミノ二酢酸、BES(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]-2-アミノエタンスルホン酸)、ビシン(2-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸)、ビス-トリスメタン(2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール)、ビス-トリスプロパン(1,3-ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン)、炭酸塩、クエン酸塩、3,3-ジメチルグルタル酸塩、DIPSO(3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、N-エチルモルホリン、グリセロール-2-リン酸塩、グリシン、グリシン-アミド、HEPBS(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-4-ブタンスルホン酸)、HEPES(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸)、HEPPS(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(3-プロパンスルホン酸))、HEPPSO(N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))、ヒスチジン、ヒドラジン、イミダゾール、マレイン酸塩、2-メチルイミダゾール、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOBS(4-(N-モルホリノ)-ブタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)-プロパンスルホン酸)、MOPSO(3-(N-モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、シュウ酸塩、リン酸塩、ピペラジン、PIPES(1,4-ピペラジン-ジエタンスルホン酸)、POPSO(ピペラジン-N,N'-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))、コハク酸塩、亜硫酸塩、TAPS(3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]プロパン-1-スルホン酸)、TAPSO(3-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホン酸)、酒石酸、TES(2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸)、THAM(トリス)(2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール)、及びトリシン(N-(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)グリシン)などの溶液を使用することができる。別の実施形態では、緩衝液は、これらに限定されないが、ACES、BES、DIPSO、HEPBS、HEPES、HEPPS、HEPPSO、MES、MOBS、MOPS、MOPSO、PIPES、POPSO、亜硫酸塩、TAPS、TAPSO、及びTES緩衝液を含む、スルホン酸誘導体緩衝液である。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0160】
別の実施形態では、緩衝液は、これらに限定されないが、酢酸塩、N-(2-アセトアミド)-2-イミノ二酢酸、2-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸、炭酸塩、クエン酸塩、3,3-ジメチルグルタル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、及び酒石酸緩衝液を含む、カルボン酸誘導体緩衝液である。別の実施形態では、緩衝液は、これらに限定されないが、ビシン、グリシン、グリシン-アミド、ヒスチジン、及びトリシン緩衝液を含む、アミノ酸誘導体緩衝液である。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0161】
別の実施形態では、緩衝液は、これらに限定されないが、グリセロール-2-リン酸塩及びリン酸塩緩衝液を含む、リン酸誘導体緩衝液である。
【0162】
一実施形態において、本明細書に記載の組成物のための緩衝生理食塩水は、例えば、ハンクス平衡塩類溶液、アール平衡塩類溶液、ゲイ平衡塩類溶液、HEPES緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水、Plasma-lyte、リンゲル溶液、酢酸リンゲル液、乳酸リンゲル液、クエン酸食塩水、又はトリス緩衝食塩水であり得る。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0163】
一実施形態において、本発明の組成物の緩衝デキストロース溶液は、例えば、酸-クエン酸塩-デキストロース溶液又はエリオットB溶液であり得る。
【0164】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物の注射のための溶液は、Plasma-Lyte A又は化合物乳酸ナトリウム又は同様のものである。
【0165】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、ナノ粒子、リポソーム、複合体、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、ドラジェ、ロゼンジ、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、エマルジョン、エアロゾルスプレー、徐放性製剤、鼻腔内製剤、経皮製剤、吸入などから選択される形態に製剤化されている。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0166】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、トリグリセリド、微結晶セルロース、トラガカントゴム、又はゼラチンなどの従来の結合剤及び担体とともに、座剤として製剤化することができる。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0167】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、これらに限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含む、薬学的賦形剤を更に含む。別の実施形態では、組成物は、糖アルコール、湿潤剤、又は乳化剤、及びpH調整剤を含有する。別の実施形態では、組成物は、エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤を更に含み、塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張度の調整のための薬剤も想定される。可溶化剤、安定剤、界面活性剤、増量剤、凍結保護剤、乳化剤、錯化剤、分散剤、張度調整緩衝剤、及びポリマーなどの他の賦形剤を薬学的組成物に含めることができる。別の実施形態では、界面活性剤は、ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体)、ポリオキシルグリセリドなどの誘導体から選択される。
他の実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリオキサマー(線形ポリマー)などである。
【0168】
いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、非経口投与のために製剤化されている。別の実施形態では、非経口投与のための薬学的組成物は、活性化合物の懸濁液として製剤化されている。そのような懸濁液は、油性注射懸濁液又は水性注射懸濁液として調製され得る。油性懸濁液注射のために、脂肪油、例えば、ゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル、トリグリセリド、若しくはリポソームを含む、好適な親油性溶媒又はビヒクルを使用することができる。水性注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意に、懸濁液はまた、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために、好適な安定剤、又は化合物の溶解度を増加させる薬剤を含有し得る。
【0169】
いくつかの実施形態において、経粘膜及び経皮投与のために、透過される障壁に適した浸透剤及び透過促進剤が、製剤中で使用され得る。例えば、DMSO又はポリエチレングリコールを含む、そのような浸透剤は、当該技術分野で既知である。
【0170】
いくつかの実施形態において、経口投与のために、本発明の化合物(又はコンジュゲート)は、活性化合物を、当該技術分野で既知の薬学的に許容される担体及び賦形剤と組み合わせることによって容易に製剤化されている。そのような担体は、本発明の化合物又はコンジュゲートが、対象による経口摂取のために、錠剤、丸剤、ドラジェ、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための薬理学的調製物は、固体賦形剤を使用し、任意に得られる混合物を粉砕し、所望の場合には好適な補助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工して、錠剤又はドラジェコアを得て、作製することができる。具体的には、好適な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、若しくはソルビトールを含む、糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボメチルセルロースナトリウムなどの、セルロース調製物;及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容されるポリマーである。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの、崩壊剤が添加され得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、本発明の化合物の胃環境への曝露を予防するのに有用な腸溶性コーティングで更に製剤化されている。
【0172】
いくつかの実施形態において、経口投与のための本発明の薬学的組成物は、ゼラチンで作製されたプッシュフィットカプセル、並びにゼラチン及び、グリセロール又はソルビトールなどの、可塑剤で作製されたソフト密封カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び、任意に、安定剤との混和物中に活性成分を含有し得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、活性化合物が、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの、好適な液体に溶解又は懸濁され得る、ソフトカプセルの形態で製剤化されている。加えて、安定剤が添加され得る。
【0174】
いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、当該技術分野で周知のプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、粉砕、微粉砕、ドラジェ作製、平滑化、乳化、カプセル化、封入、又は凍結乾燥プロセスの手段によって、製造され得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、投与される組成物の投与量は、治療される対象、がんの病期、投与経路、及び処方医の判断を含む多くの因子に依存するであろう。
【0176】
治療的使用
【0177】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるコンジュゲートのいずれか1つ又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0178】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるコンジュゲートの少なくとも1つ又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0179】
いくつかの実施形態において、本発明は、新生物性疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の、以下のコンジュゲート:(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1bのうちの少なくとも1つ、若しくはそれらの組み合わせ若しくはそれらの異性体の構造によって表されるコンジュゲート、又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を投与することを含む、方法を提供する。新生物性疾患は、血液がん又は非血液がんから選択することができる。
【0180】
いくつかの実施形態において、がん又は前がん性状態若しくは障害の治療を必要とする対象においてがん又は前がん性状態若しくは障害を治療する方法であって、治療有効量の、以下のコンジュゲート:(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1bのうちのいずれか1つの構造によって表される本明細書に開示されるコンジュゲートのうちの少なくとも1つ、又は本明細書において上述した、その薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を投与することを含む、方法を提供する。
【0181】
別の実施形態では、がんは、転移性がんである。別の実施形態では、がんは、非固形腫瘍若しくは固形腫瘍、又はそれらの組み合わせである。別の実施形態では、固形腫瘍は、中枢神経系(CNS)中の腫瘍、肝臓がん、結腸直腸がん、乳がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部腫瘍、外陰がん、及び皮膚科学的新生物を含む。別の実施形態では、非固形腫瘍は、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫を含む。
【0182】
別の実施形態では、がんは、血液がん及び非血液がんからなる群から選択される。
【0183】
別の実施形態では、血液がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、及び骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択され、これらに限定されないが、骨髄性白血病、リンパ球性白血病、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、及びワルデンストレームマクログロブリン血症を含む。別の実施形態では、血液がんは、白血病、リンパ腫、骨髄腫、及び骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択される。
【0184】
別の実施形態では、当該白血病は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、及び慢性リンパ芽球性白血病(CLL)からなる群から選択される。別の実施形態では、当該リンパ腫は、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される。
【0185】
別の実施形態では、「骨髄異形成症候群」(MDS)という用語は、血球減少症、無効造血及び過形成性骨髄を特徴とする造血器悪性腫瘍の異種群を指す。MDSは、急性骨髄性白血病(AML)への形質転換が約30~40%の症例で発生する前白血病状態である。同種幹細胞移植を提供することができない限り、MDSは一般に治癒不能な状態であると考えられている。
【0186】
固形腫瘍としても知られる非血液がんには、肉腫、がん腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん、乳頭状腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性肺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、胆管がん、絨毛、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣がん、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮がん、星細胞腫、カポジ肉腫、及び黒色腫が含まれるが、これらに限定されない。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0187】
非血液がんとしては、臓器のがんが挙げられ、臓器のがんは、乳がん、膀胱がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、肺がん、子宮頸がん、膵臓がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、卵巣がん、上衣腫を含む脳がん、神経膠腫、膠芽細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、松果腺の腫瘍、聴神経腫瘍、血管芽腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、及びそれらの転移が挙げられるが、これらに限定されない。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0188】
いくつかの実施形態において、がん又は前がん性状態若しくは障害の治療を必要とする対象においてがん又は前がん性状態若しくは障害を治療する方法であって、治療有効量の、コンジュゲート(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1bのうちの少なくとも1つ、若しくはそれらの組み合わせの構造によって表されるコンジュゲート、若しくはその異性体、又は本明細書において上述した、その薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を投与することを含む、方法を提供する。
【0189】
いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、非経口及び経口投与経路からなる群から選択される任意の好適な投与経路によって投与される。いくつかの実施形態によると、投与経路は、非経口投与を介したものである。様々な実施形態では、投与経路は、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脳内、脳室内、髄腔内、又は皮内投与経路である。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、非経口、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脳内、脳室内、髄腔内、皮内、又は吸入投与経路を介して投与される。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、薬学的組成物は、経口又は非経口投与される。別の実施形態では、薬学的組成物は、静脈内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脳内、脳室内、髄腔内、又は皮内投与される。
【0190】
例えば、薬学的組成物は、例えば、静脈内(i.v.)又は腹腔内(i.p.)注射又は注入によって、全身投与することができる。特定の実施形態によると、薬学的組成物は、30分~2時間にわたって、例えば、1時間にわたって、静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、局所投与される。
【0191】
本明細書に記載の化合物及びコンジュゲートの毒性及び治療有効性は、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、対象化合物についてのIC50(細胞増殖の50%阻害を提供する濃度)及びMTD(試験された動物における最大耐用量)を決定することによって、決定することができる。細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒト対象における使用のための様々な投与量を製剤化することにおいて使用することができる。正確な製剤、投与経路、及び投与量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選択され得る(例えば、Fingl,et al.,1975,"The Pharmacological Basis of Therapeutics",Ch.1 pp.lを参照されたい)。
【0192】
いくつかの実施形態において、コンジュゲート(I)を含む薬学的組成物は、0.1~0.3g/m、0.3~0.6g/m、0.6~1.0g/m、1.0~1.5g/m、1.5~3g/m、3~5g/m、5~8g/m、又は8~10g/mの1日用量で投与される。各実施形態は、本発明の別個の実施形態を表す。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、若しくは(F)、又は1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、C1a~C1dによって表されるコンジュゲートのうちの1つ、又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物は、0.1~0.3g/m、0.3~0.6g/m、0.6~1.0g/m、1.0~1.5g/m、1.5~3g/m、3~5g/m、5~8g/m、又は8~10g/mの1日用量で投与される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0193】
いくつかの実施形態において、(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、C1a~C1d、若しくはそれらの異性体のうちの少なくとも1つの構造によって表されるコンジュゲートのうちの少なくとも1つ、又はその薬学的に許容される塩を含む本発明の薬学的組成物は、対象の表面積の約0.1g/m~約10g/mの範囲の1日用量で投与される。いくつかの実施形態において、コンジュゲート(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、C1a~C1dのうちの少なくとも1つを含む本発明の薬学的組成物は、対象の表面積の約0.3g/m~約10g/mの範囲の1日用量で投与される。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約1g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約1.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約2g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約2.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約3g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約3.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約4g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約4.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.3g/m~約5g/mの範囲である。
【0194】
別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.5g/m~約2.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約1g/m~約2.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約1g/m~約3.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約1g/m~約5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約2g/m~約5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約5g/m~約10g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.5g/m~約5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.5g/m~約4.5g/mの範囲である。別の実施形態では、1日用量は、対象の表面積の約0.5g/m~約1.5g/m、約1.5g/m~2.5g/m、約2.5g/m~約3.5g/m、約3.5g/m~約4.5g/m、約4.5g/m~約5.5g/m、約0.5g/m~約10g/m、約1g/m~約10g/mの範囲である。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0195】
一実施形態では、コンジュゲート1~5を含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.3g/m~約10g/mの範囲の1日用量で投与される。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0196】
別の実施形態では、コンジュゲート1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4d、又はそれらの異性体のうちの少なくとも1つを含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.5g/m~約5g/mの範囲の1日用量で投与される。別の実施形態では、コンジュゲート1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4d、又はそれらの異性体のうちの少なくとも1つを含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.5g/m~約5g/mの範囲の1日用量で投与される。別の実施形態では、コンジュゲート1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4d、又はそれらの異性体のうちの少なくとも1つを含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.5g/m~約4.5g/mの範囲の1日用量で投与される。
【0197】
別の実施形態では、コンジュゲート1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4d、又はそれらの異性体のうちの少なくとも1つを含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.5g/m~約2.5g/mの範囲の1日用量で投与される。
【0198】
いくつかの実施形態によると、コンジュゲート(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1bのうちの少なくとも1つ、若しくはそれらの組み合わせ、若しくはそれらの異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物は、対象の表面積の約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10g/mの1日用量で投与される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0199】
別の実施形態では、少なくとも1つのコンジュゲート1、2、3、4、1a、1b、1c、1d、2a、2b、2c、2d、4a、4b、4c、4d、若しくはそれらの異性体、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.3、0.5、0.8、1、1.5、2、2.3、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10g/mの1日用量で投与される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
他の実施形態によると、1、2、3、4、1a、1b、1c、1d、2a、2b、2c、2d、4a、4b、4a、4b、4c、4d、若しくはそれらの異性体から選択される少なくとも2つのコンジュゲート、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物は、対象の表面積の約0.3、0.5、0.8、1、1.5、2、2.3、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10g/mの1日用量で投与される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。他の実施形態によると、ジ-Asp-Ara-Cを含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.3、0.5、0.8、1、1.5、2、2.3、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10g/mの1日用量で投与される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0200】
いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、少なくとも0.1g/mの1日用量で投与される。
【0201】
いくつかの実施形態によると、(I)、(A)~(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、31a、31b、16a~16d、4a~4d、及びC1a~C1bの構造によって表されるコンジュゲート、若しくはそれらの異性体のうちの少なくとも1つ、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物は、対象の表面積の0.3g/m~10.0g/mの範囲の1日用量での静脈内注入によって投与される。
【0202】
別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、対象の表面積の0.3g/m~10g/m、0.3g/m~1g/m、0.3g/m~1.5g/m、0.3g/m~2g/m、0.3g/m~2.5g/m、0.3g/m~3g/m、0.3g/m~3.5g/m、0.3g/m~4.5g/m、0.3g/m~5g/m、0.5g/m~1g/m、0.5g/m~1.5g/m、0.5g/m~2g/m、0.5g/m~2.5g/m、0.5g/m~3.5g/m、0.5g/m~4.5g/m、0.5g/m~5g/m、0.3g/m~5.5g/m、0.3g/m~6g/m、0.5g/m~6g/m、0.5g/m~7g/m、0.5g/m~8g/m、0.5g/m~9g/m、0.5g/m~10g/m、1g/m~3g/m、1g/m~5g/m、1g/m~6g/m、1g/m~7g/m、1g/m~8g/m、1g/m~9g/m、1g/m~10g/mの範囲の1日用量での静脈内注入によって投与される。
【0203】
一実施形態によると、少なくとも1つのコンジュゲート1、2、3、4、1a、1b、1c、1d、2a、2b、2c、2d、又はそれらの異性体を含む薬学的組成物は、対象の表面積の約0.3g/m~約10.0g/mの範囲の1日用量での静脈内注入によって投与される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0204】
いくつかの実施形態によると、本発明の薬学的組成物は、少なくとも1ヶ月に1回投与される。追加の実施形態によると、薬学的組成物は、少なくとも1ヶ月に2回投与される。更なる実施形態によると、薬学的組成物は、少なくとも1週間に1回投与される。また更なる実施形態によると、薬学的組成物は、少なくとも1週間に2回投与される。また更なる実施形態によると、薬学的組成物は、少なくとも1週間に3回投与される。なお更なる実施形態によると、薬学的組成物は、少なくとも1週間にわたって1日1回投与される。更なる実施形態によると、薬学的組成物は、対象が治癒するまで少なくとも1週間にわたって少なくとも1日1回投与される。
【0205】
いくつかの実施形態によると、本発明に開示される薬学的組成物は、1ヶ月に1回、連続した少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、又は少なくとも14日にわたって1日1回投与される。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、1ヶ月に2回、少なくとも2、3、4、5、6、若しくは12日にわたって1日1回投与され、又は更に代替的に、薬学的組成物は、患者が治癒するまで毎日若しくは1週間に2回投与される。いくつかの実施形態によると、薬学的組成物は、1ヶ月に1回、連続した少なくとも2、3、4、5、6、8、10、12、又は少なくとも14日にわたって1日1回投与される。代替的に、薬学的組成物は、1ヶ月に2回、少なくとも2、3、4、5、6、若しくは12日にわたって1日1回投与され、又は更に代替的に、薬学的組成物は、患者が治癒するまで毎日若しくは1週間に2回投与される。
【0206】
薬学的組成物ががんの再発を予防するために使用されるいくつかの実施形態において、薬学的組成物は、医師の指示に従って、長期間にわたって定期的に投与され得る。
【0207】
場合によっては、大きな負荷用量、続いて治療期間にわたる定期的な(例えば、毎週の)維持用量を投与することが有利であり得る。化合物はまた、徐放送達系、ポンプ、及び持続注入のための他の既知の送達系によって送達することができる。投与レジメンは、その薬物動態に基づいて、所望の循環レベルの特定の化合物を提供するように変動し得る。したがって、用量は、治療剤の所望の循環レベルが維持されるように計算される。
【0208】
典型的には、有効用量は、化合物の活性及び有効性、並びに対象の状態、並びに治療される対象の体重又は表面積によって決定される。用量及び用量レジメンはまた、特定の対象における化合物の投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によって決定される。
【0209】
追加の実施形態によると、治療されている対象は、60、70、75歳以上などの、50歳以上の対象である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0210】
更なる実施形態によると、本発明の化合物は、シタラビン単独の最大標準治療用量よりも、少なくとも2、3、5、10、15、20、又は少なくとも30倍高い1日投与量で投与される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。以下の例は、単に本質的に例示的かつ非限定的とみなされるものである。本発明が関係する当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正、置換、及び変形が行われ得ることが明らかであろう。
【0211】
薬学的組成物ががんの再発を予防するために使用されるいくつかの実施形態において、薬学的組成物は、医師の指示に従って、長期間にわたって定期的に投与され得る。
【0212】
場合によっては、大きな負荷用量、続いて治療期間にわたる定期的な(例えば、毎週の)維持用量を投与することが有利であり得る。化合物はまた、徐放送達系、ポンプ、及び持続注入のための他の既知の送達系によって送達することができる。投与レジメンは、その薬物動態に基づいて、所望の循環レベルの特定の化合物を提供するように変動し得る。したがって、用量は、治療剤の所望の循環レベルが維持されるように計算される。
【0213】
典型的には、有効用量は、化合物の活性及び有効性、並びに対象の状態、並びに治療される対象の体重又は表面積によって決定される。用量及び用量レジメンはまた、特定の対象における化合物の投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によって決定される。
【0214】
薬学的塩
【0215】
本明細書で使用される「薬学的塩」という用語は、IUPAC慣例に従った原薬の「薬学的に許容される塩」を指す。薬学的塩は、薬物と組み合わせた塩形態の不活性成分である。本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、一般式(I)、(A)~(F)、1~218のコンジュゲート、コンジュゲート1a~1d、2a~2d、4a~4d、16a~16d、31a、31b、及びC1a~C1d、若しくはそれらの異性体の塩、又は、生体に対して実質的に非毒性である、一般式によって包含される任意の他の塩形態を指す。典型的な薬学的に許容される塩としては、本発明の化合物と、本明細書に記載の薬学的に許容される鉱物、塩基、酸、又は塩との反応によって調製される塩が挙げられる。酸性塩は、酸付加塩としても知られている。
【0216】
その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、当該技術分野で既知のもの(Stahl and Wermuth,2011,Handbook of pharmaceutical salts,second edition)などの薬学的塩は、本明細書において以下にいくつかの非限定的な実施形態で例示される。
【0217】
一実施形態では、薬学的に許容される塩形態は、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタリン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、硫酸、シクラミン酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンスルホン酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンジスルホン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、グリセロリン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン(イセチオン)酸、メドロン(ビスホスホン)酸、メタリン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、及び硝酸からなる群から選択される、有機若しくは無機酸又は酸の残基から作製される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0218】
別の実施形態では、本発明のコンジュゲートの薬学的に許容される塩は、強酸の塩である。別の実施形態では、コンジュゲート(I)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、1~218、1a~1d、2a~2d、4a~4d、16a~16d、31a、31b、C1a~C1dの薬学的に許容される塩は、強酸の塩である。別の実施形態では、薬学的に許容される塩は、塩酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容される塩は、メタンスルホン酸である。
【0219】
定義
【0220】
利便性及び明確さのため、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いられる特定の用語を、本明細書で説明する。
【0221】
本明細書で使用される場合、任意の「アミノ酸」は、アミノ酸残基を指す。
【0222】
「アミノ酸残基」という用語は、アミノ酸-薬物コンジュゲート、又はアミノ酸-シタラビン、又はアミノ酸-アミノ酸コンジュゲートを形成することにおいてアミノ酸を結合するために使用された官能基を除くアミノ酸を指す。
【0223】
「Ara-C」という用語は、シタラビンを指す。
【0224】
「BST-236」、「アスタラビン」、又は「アスパシタラビン」という用語は、(S)-2-アミノ-4-((1-((2R,3S,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸を指している。
【0225】
「2つのアスパラギン酸を有するAra-C」、「2つのアスパラギン酸を有するシタラビン」、「ジ-アスパラギン酸シタラビン」、「ジ-アスパルチル-シタラビン」、「ジ-アスパラギン酸塩-シタラビン」、「Asp-Ara-C-Asp」、「ジ-Asp-Ara-C」、「Ara-Cジ-アスパラギン酸」、又は「ジ-Asp-Cyt」という用語は、1~4、1a~1d、2a~2d、4a~4d、又はそれらの異性体から選択される少なくとも1つのコンジュゲートを含む組成物を指す。
【0226】
「治療有効量」の化合物という用語は、化合物が投与される対象に有益な効果を提供するのに十分な量の化合物である。有効量の化合物は、個体の病状、年齢、性別、及び体重などの因子に従って変動し得る。
【0227】
「治療」、「治療する」、「治療すること」などの用語は、疾患の進行を遅延、停止、又は逆転することを含むことを意味する。これらの用語はまた、疾患が実際に排除されていない場合でさえ、疾患の進行自体が遅延又は逆転されていない場合でさえ、疾患の1つ以上の症状を軽減、緩和、減衰、排除、又は低減することを含む。対象は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。
【0228】
「薬物の残基」という用語は、アミノ酸-薬物コンジュゲートの形成のためにアミノ酸を結合するために使用される官能基を除く薬物を指す。
【0229】
「アミノ酸」という用語は、市販されているか、又は通常の合成方法によって入手可能である、天然又は合成、L又はDアミノ酸を指す。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0230】
一実施形態によると、本発明のアミノ酸は、L配置、D配置、又はそれらの混合物である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0231】
アミノ酸AA1、AA2、及びAA3は、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、δ-アミノ酸、又はε-アミノ酸であり得、各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0232】
本明細書で使用される「エステル」という用語は、-C=(O)-O-又は-O-C=(O)-を指し、結合点は、C原子及びO原子の両方を通っている。エステル基の一方又は両方の酸素原子は、硫黄原子で置き換え、それによって「チオエステル」、すなわち、-C=(O)-S-、-C=(S)-O-、又は-C=(S)-S-基を形成することができる。
【0233】
「アミド」という用語は、基-C=(O)-N-、-N-C=(O)-を指し、結合点は、一方では炭素原子を通っており、他方では窒素原子を通っている。
本明細書で使用される場合、単独で、又は別の基の一部として使用される、「アミン」という用語は、任意の一級、二級、三級、又は四級アミンを指す。
【0234】
本明細書で使用される場合、「それらの異性体」という用語は、同じ結合によって結合しているが、交換可能ではない、異なる三次元構造を有する同じ原子からなる化合物を指す。三次元構造は、配置と呼ばれる。したがって、コンジュゲート(I)、(A)~(F)、及び1~218、1a~1d、2a~2d、4a~4d、31a、31b、16a~16d、C1a~C1b、又はそれらの異性体の構造のいずれか1つは、単一エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物、シス配置、又はトランス配置を含む。
【0235】
本明細書に記載の数値に関する「約」という用語は、記載値+/-10%として理解されるものである。
【0236】
薬物の「薬学的に許容される塩」という用語は、IUPAC慣例に従った塩を指す。薬学的に許容される塩は、薬物と組み合わせた塩形態の不活性成分である。典型的な薬学的に許容される塩としては、本発明の化合物と、薬学的に許容される鉱物、塩基、酸、又は塩との反応によって調製される塩が挙げられる。酸性塩は、酸付加塩としても知られている。
【0237】
「薬学的に許容される」という用語は、連邦若しくは州政府の規制機関によって承認されているか、又は動物、特にヒトにおいて使用するための米国薬局方若しくは他の一般に認められた薬局方に列挙されていることを意味する。
【0238】
「担体」という用語は、治療化合物とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。そのような薬学的担体は、水及び、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などのような、石油、動物、植物、又は合成由来のものを含む、油などの、滅菌液体、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒であり得る。
【0239】
合成方法
【0240】
コンジュゲートにおいて、本発明によると、薬物は、アミノ酸又はアミノ酸類似体に共有結合している。当業者であれば、化合物内の薬物部分の適切な結合及び位置を最適化することができるであろう。この決定において当業者を誘導するために、特定の薬物の選択、誘導体の選択、薬物種への結合位置の選択、及び薬物活性化のための宿主細胞内酵素に関する要件などの、様々な関心事が考慮されるべきである。
【0241】
よって、別の態様によると、本発明は、コンジュゲート(I)を調製するための方法を提供し、プロセスは、
(i)アミノ酸を溶媒中のカップリング試薬と混合することと、
(ii)Dを(i)の混合物に添加し、撹拌することと、
(iii)任意に、別のアミノ酸(又は(i)と同じもの)を溶媒中のカップリング試薬と添加することと、を含む。
【0242】
いくつかの実施形態において、本発明は、コンジュゲート(I)を調製するための方法を提供し、プロセスは、
(i)アミノ酸を溶媒中のカップリング試薬と混合することと、
(ii)Dを(i)の混合物に添加し、撹拌することと、
(iii)任意に、保護されたアミノ酸((i)と同じ又は異なるアミノ酸)を、溶媒中のカップリング試薬と添加することと、
(iv)保護基を脱保護して、生成物を得ることと、を含む。
【0243】
いくつかの実施形態において、本発明は、コンジュゲート(I)を調製するための方法を提供し、プロセスは、
(i)保護されたアミノ酸を溶媒中のカップリング試薬と混合することと、
(ii)Dを(i)の混合物に添加し、撹拌することと、
(iii)任意に、アミノ酸((i)と同じ又は異なるアミノ酸)を、溶媒中のカップリング試薬と添加することと、
(iv)保護基を脱保護して、生成物を得ることと、を含む。
【0244】
よって、別の態様によると、本発明は、コンジュゲート(I)を調製するための方法を提供し、プロセスは、
(i)保護されたアミノ酸を溶媒中のカップリング試薬と混合することと、
(ii)Dを(i)の混合物に添加し、撹拌することと、
(iii)任意に、別の保護されたアミノ酸(又は(i)と同じもの)を溶媒中のカップリング試薬と添加することと、
(iv)保護基を脱保護して、生成物を得ることと、を含む。
【0245】
別の実施形態では、保護されたアミノ酸は、アミノ酸上での保護に利用可能な任意の官能基に結合した少なくとも1つの保護基を指す。
【0246】
別の実施形態では、ステージ(ii)のDは、本発明の保護された薬物であり、保護された薬物は、アミノ酸の保護に利用可能な任意の官能基に結合している少なくとも1つの保護基を指す。別の実施形態では、ステージ(i)及び(ii)の溶媒は、有機又は無機溶媒である。別の実施形態では、溶媒は、有機溶媒である。別の実施形態では、溶媒は、無機溶媒である。別の実施形態では、溶媒は、DMF(ジメチルホルムアミド)、DCM(ジクロロメタン)、DMA(ジメチルアセトアミド)、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、2-ピロリドン、又はDMI(1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン)である。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、溶媒は、DMFである。
【0247】
いくつかの実施形態において、アミノ及びCOOH保護基の脱保護ステップは、H下、有機溶媒若しくは水性溶液、又はそれらの混合物中で実施される。
【0248】
別の実施形態では、脱保護ステップは、有機溶媒と酸性水相との混合物中、H下で行われる。
【0249】
別の実施形態では、脱保護ステップは、有機又は無機酸によって行われる。別の実施形態では、脱保護ステップは、有機又は無機塩基によって行われる。
【0250】
別の実施形態では、脱保護ステップは、有機溶媒と水相との混合物中で行われる。
【0251】
いくつかの実施形態において、本発明は、コンジュゲート(A)~(F)及び1~15を調製するための方法1を提供し、Rは、R及び/又はR及び/又はR及び/又はRと同じであり、プロセスは、
(i)保護されたアミノ酸(少なくとも2当量)を溶媒中のカップリング試薬と混合することと、
(ii)シタラビン(1当量)を(i)の混合物に添加し、撹拌することと、
(iii)保護基を脱保護して、生成物を得ることと、を含み、
保護されたアミノ酸は、少なくとも1つの保護基を含む。
【0252】
いくつかの実施形態において、本発明は、コンジュゲート(A)~(F)及び1~218を調製するための方法2を提供し、プロセスは、
(i)保護されたアミノ酸を溶媒中のカップリング試薬と混合することと、
(ii)シタラビンを(i)の混合物に添加することと、
(iii)同じ又は異なる保護されたアミノ酸の別の部分を、溶媒中のカップリング試薬と添加することと、
(iv)保護基を脱保護して、生成物を得ることと、を含み、
保護されたアミノ酸は、少なくとも1つの保護基を含む。
【0253】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートIの調製のための方法並びに本明細書に記載の方法1及び2は、シタラビンを添加するステップを含む。一実施形態では、シタラビンは、保護されたシタラビンであり、保護されたシタラビンは、アミノ酸上の保護に利用可能な任意の官能基に結合した少なくとも1つの保護基を指す。
【0254】
いくつかの実施形態において、方法(I)、(1)、及び(2)の保護基の除去は、任意のステップの後であり得る。
【0255】
いくつかの実施形態において、コンジュゲートIの調製のための方法並びに本明細書に記載の方法1及び2における混合ステップは、室温で行われる。
【0256】
別の実施形態では、コンジュゲートIの調製のための方法、並びに本明細書に記載の方法1及び方法2で使用される溶媒は、有機又は無機溶媒である。別の実施形態では、溶媒は、有機溶媒である。別の実施形態では、溶媒は、DMF(ジメチルホルムアミド)、DCM(ジクロロメタン)、DMA(ジメチルアセトアミド)、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)、2-ピロリドン、又はDMI(1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン)から選択される。各々は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、溶媒は、DMFである
【0257】
いくつかの実施形態において、本発明のプロセスにおいて使用されるカップリング試薬は、これらに限定されないが、EDC・HCl、HOBt x-水和物、BOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩)、CDI(N,N'-カルボニルジイミダゾール)、COMU(1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウロニウムヘキサフルオロリン酸塩)、DCC(N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DIC(N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド)、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、DEPBT(3-(ジエトキシ-ホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾ[d]トリアジン-4(3H)-オン)、HATU、HBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩)、HCTU(O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩)、MSNT(1-(メシチレン-2-スルホニル)-3-ニトロ-1H-1,2,4-トリアゾール)、PyBOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩)、PyBroP(ブロモ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩)、TBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロホウ酸塩)、TFFH(テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩)、及びTOTU(O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N',N',-テトラメチルウロニウム)から選択される。
【0258】
例えば、限定ではなく、例示の目的のために、コンジュゲート(1)(アスパラギン酸-シタルビン-アスパラギン酸コンジュゲート)又は16(アスパラギン酸-シタルビン-グルタミン酸コンジュゲート)は、アミン及びカルボキシル上で保護されるアスパラギン酸又はグルタミン酸を、カップリング試薬の存在下でシタラビン又はその活性化及び/若しくは保護された誘導体と反応させ、続いて脱保護することによって調製することができる。
【0259】
シタラビンは、保護されていなくても、又は本明細書に記載の保護基のうちのいずれか1つで、任意の利用可能な官能基(例えば、OH、NH、カルボキシルなど)で保護されていてもよい。
【0260】
別の実施形態では、コンジュゲートIの調製のための方法、並びに本明細書に記載の方法1及び2における脱保護ステップは、保護基(複数可)を除去することができる試薬を含む。
【0261】
別の実施形態では、コンジュゲートIの調製のための方法並びに本明細書に記載の方法1及び方法2における脱保護ステップは、保護基(複数可)を除去することができる試薬を含み、得られたコンジュゲートの塩を更に形成する。
【0262】
アミノ酸又はシタラビンなどの薬物で使用される保護基は、当業者に既知の任意の保護基であり得る。「保護基」という用語は、化学合成中に反応部位を遮断するために使用される化学残基を指し、化学反応が多官能性化合物中の1つの反応部位で選択的に行われることを可能にし、他の反応部位は、一時的に遮断されなければならない。これらの反応部位を遮断するために使用される残基は、保護基と呼ばれる。
【0263】
保護基は、ヒドロキシル保護基、アミノ保護基、カルボキシ保護基などであり得る。本明細書で使用される場合、「OH保護基」又は「ヒドロキシ保護基」という用語は、ヒドロキシル基に結合した容易に切断可能な基を指す。本明細書で使用される場合、「NH保護基」又は「アミノ保護基」という用語は、アミノ基に結合した容易に切断可能な基を指す。本明細書で使用される場合、「カルボキシ保護基」という用語は、カルボキシ基に結合した容易に切断可能な基を指す。
【0264】
一実施形態によると、保護基は、アセトアミドメチル(Acm)、アセチル(Ac)、アセトニド、アダマンチルオキシ(AdaO)、アルファ-アリル(OAll)、Alloc、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシ(BzlO)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、ベンジルオキシメチル(Bom)、ビス-ジメチルアミノ(NMe)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(2-Br-Z)、t-ブトキシ(tBuO)、t-ブトキシカルボニル(Boc)、t-ブトキシメチル(Bum)、t-ブチル(tBu)、t-ブチルチオ(tButhio)、2-クロロベンジルオキシカルボニル(2-Cl-Z)、2-クロロトリチル(2-Cl-Trt)、シクロヘキシルオキシ(cHxO)、1-シクロプロピル-1-メチル-エチル(Dmcp)、2,6-ジクロロベンジル、4,4'-ジメトキシベンズヒドリル(Mbh)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)-3-メチルブチル(ivDde)、4{N-[1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)-3-メチルブチル]-アミノ}ベンジルオキシ(ODmab)、2,4-ジニトロフェニル(Dnp)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、ホルミル(For)、メシチレン-2-スルホニル(Mts)、4-メトキシベンジル、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)、4-メトキシトリチル(Mmt)、4-メチルベンジル(MeBzl)、3-メチルペンタ-3-イル(Mpe)、1-メチル-1-フェニル-エチル(PhiPr)、メチル、4-メチルトリチル(Mtt)、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル(Npys)、2,2,4,6,7-ペンタメチル-ジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、2,2,5,6,8-ペンタメチル-クロマン-6-スルホニル(Pmc)、トシル(Tos)、トリフルオロアセチル(Tfa)、トリメチルアセトアミドメチル(Tacm)、トリフェニルメチル(トリチル、Trt)、及びキサンチル(Xan)の群から選択される。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0265】
ヒドロキシル保護基の非限定的な例は、アシル基(式中、R=アルキル、アリールなどのCOR)である。現在好ましいアシル基は、アセチル基(すなわち、OR'=酢酸塩、OAc)である。ヒドロキシ保護基の別の例は、アルキル(トリアルキルシリル)、アリール(トリアリールシリル)、又はそれらの組み合わせ(例えば、ジアルキルフェニルシリル)で置換され得るシリル基である。シリル保護基の好ましい例は、トリメチルシリル(TMS)又はジ-t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリエチルシリル(TES)である。ヒドロキシ保護基の他の例としては、例えば、C~Cアルキル、-CO-(C~Cアルキル)、-SO-(C~Cアルキル)、-SO-アリール、-CO-Ar(Arは上記で定義されるアリール基である)、及び-CO-(C~Cアルキル)-Ar(例えば、カルボキシベンジル(Bz)基)が挙げられる。
【0266】
アミノ保護基の例としては、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、及び9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)としてのカルバミン酸塩、並びにアセトアミド及びベンズアミドとしてのアミドが挙げられる。ヒドロキシ保護基の例としては、メチル、メトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、及びベンジル(Bn)などのエーテル、ギ酸塩、酢酸塩、及び安息香酸塩などのエステル、並びにアルキル(トリアルキルシリル)で、アリール(トリアリールシリル)、又はそれらの組み合わせ(例えば、ジアルキルフェニルシリル)で置換され得るシリルエーテル、例えば、トリメチルシリル(TMS)又はt-ブチルジメチルシリル(TBDMS)が挙げられる。ヒドロキシ保護基の他の例としては、例えば、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、-CHPh(ベンジル又はBn)、アリル(All)、(アリル)-CO-(C~Cアルキル)、-SO-(C~Cアルキル)、-SO-アリール-CO-Ar(Arは上記で定義されるアリール基である)、及び-CO-(C~Cアルキル)Ar(例えば、カルボキシベンジル(Bz)など)が挙げられる。ヒドロキシ保護基の他の例としては、テトラヒドロピラニル(THP)、メトキシメチル(MOM)、トリフェニルメチル(トリチル)、及びジメトキシトリチル(DMT)などの酸感受性保護基が挙げられる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0267】
代表的なカルボキシ保護基としては、メチル、エチル、t-ブチル、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルメチル(Fm)、トリメチルシリル(TMS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)などが挙げられるが、これらに限定されない。保護基は、本発明の原理に従って、好ましくは薬学的塩部分と同じである、脱保護剤によって除去され得る。特定の実施形態では、酸不安定保護基の除去に適した薬学的酸は、酢酸、アセツル酸、4-アセトアミド-安息香酸、アジピン酸、アミノ馬尿酸、4-アミノ-サリチル酸、アスコルビン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、炭酸、クエン酸、カンファー酸、カンファースルホン酸、カプリル酸(オクタン酸)、シクラミン酸、桂皮酸、2,2-ジクロロ酢酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンスルホン酸、ジ(t-ブチル)-ナフタレンジスルホン酸、デヒドロ酢酸、ジアトリゾ酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エデト酸、エタンスルホン酸、2-エチル-ヘキサン酸、エリソルビン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸(ムチン酸)、ゲンチジン酸、グルカリン酸、グルコヘプタン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿症、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)-安息香酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸(イセチオン酸)、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、ヨードキサム酸、イソステアリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メドロン酸、メタンスルホン酸、メタリン酸、メチルボロン酸、ミリスチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、2-オキソ-グルタル酸(ケトグルタル酸)、パルミチン酸、パモ酸(エンボン酸)、ペンテト酸、プロピオン酸、プロパン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、リン酸、サッカリン、サリチル酸、セバシン酸、ソルビン酸、ステアリン酸(オクタデカン酸)、スベリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、チアゾキシミン酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及びウンデシレン(ウンデカ-10-エン)酸である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0268】
他の好適な保護基は、例えば、Wuts and Greene,2007,"Greene's protective groups in organic synthesis",Fourth editionに記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0269】
特定の実施形態では、ステップ(iii)、(vi)、又は(x)の前駆体化合物と反応して保護基を除去する薬学的に許容される酸は、メタンスルホン酸、塩酸、リン酸、トルエンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及び硫酸からなる群から選択される。そのような実施形態によると、得られる塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、リン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸塩からなる群から選択され、各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0270】
特定の実施形態では、塩基不安定保護基の除去に好適な薬学的塩基は、水酸化アルミニウム、アンモニア、アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、ベタイン、t-ブチルアミン(エルブミン)、水酸化カルシウム、水酸化コリン、デアノール、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノ-エタノール、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヒドラバミン、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン(エポラミン)、イミダゾール、水酸化リチウム、リジン、N-メチルグルカミン(メグルミン)、水酸化マグネシウム、4-フェニルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トロメタミン、及び水酸化亜鉛である。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0271】
他の実施形態では、保護基が、例えば、ベンジル又はトリチルであるとき、H Pd/Cは、脱保護剤として使用され得る。
【0272】
保護基は、薬学的塩作製化合物によって除去されることが好ましいが、本発明は、そのような実施形態に限定されない。当業者には、保護基が他の脱保護剤によって除去され得、薬物の塩形態が別個の後続ステップで生成され得ることが明らかである。
【実施例
【0273】
実施例では、以下の略語が使用される。
BOC:t-ブチルオキシカルボニル
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HOBt:N-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
MS:質量分析
MTT:3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド
OtBu:t-ブチルエステル
MTBE:メチル三級ブチルエーテル
TEAB:重炭酸トリエチルアンモニウム
TFA:トリフルオロ酢酸
【0274】
実施例1(方法A)
【0275】
コンジュゲート1a-(S)-2-アミノ-4-(((2R,3S,4S,5R)-5-(4-((S)-3-アミノ-3-カルボキシプロパンアミド)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸(N,5'-O-ジアスパルチル-シタラビン)の合成
【0276】
【化17】
【0277】
Boc-Asp-OtBu(579mg、2mmol)、EDC・HCl(479mg、2.5mmol)、及びHOBt水和物(306mg、2mmol)を、DMF(8ml)に溶解し、室温で1時間撹拌した。Ara-C(243mg、1mmol)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。混合物を蒸発させて油性残渣を残し、これを酢酸エチル(40ml)に溶解した。有機相を5%NaHCO(3×15ml)で抽出し、続いてHCl溶液(0.1M、15ml)及び5M NaCl(15ml)で洗浄した。酢酸エチル層を分離し、乾燥させて(MgSO)、蒸発させた。残渣を、切断溶液(2.5%HOを有する20mlのTFA)でのBoc及びt-Bu基脱保護に供した。反応混合物を3時間混合し、次いで60mlの溶液をゆっくりと240mlの氷冷MTBEに移し、白色の粉末の沈殿をもたらした。沈殿物を濾過し(焼結ガラス)、MTBEで洗浄し、乾燥させた。生成物をAcOHに溶解し、MTBEの添加によって再沈殿させ、収集し、MTBEで洗浄した。粉末を乾燥させ、HPLC及びMSによって分析した。0.1%TFAを有するアセトニトリル/HOの勾配を使用したPrimesep 100カラムでのHPLC分析は、20~21分の保持時間でピークを示す。分光光度計測定は、波長:214、247、299nmでの光学密度を示す。m/z:473.14
【0278】
方法B
【0279】
Boc-Asp-OtBu(289mg、1mmol)、EDC・HCl(230mg、1.2mmol)、及びHOBt水和物(153mg、1mmol)を、DMF(4ml)に溶解し、室温で1時間撹拌した。Ara-C(243mg、1mmol)を添加し、反応物を室温で12時間撹拌した。反応混合物に、DMF(4ml)中のBoc-Asp-OtBu(289mg、1mmol)、EDC・HCl(230mg、1.2mmol)、及びHOBt水和物(153mg、1mmol)の第2の部分を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。混合物を油性残渣まで蒸発させ、酢酸エチル(40ml)で溶解し、5%NaHCO(3×15ml)、0.1M HCl(15ml)、及び5M NaCl(15ml)で抽出した。酢酸エチルを蒸発させ、残渣をジオキサン中の4.0M HClに溶解し、1時間撹拌して、Boc及びt-Bu基除去を可能にした。水を添加し、反応混合物を一晩撹拌し、その後、生成物を白色の結晶として沈殿させ、焼結ガラス上で濾過し、ジオキサンで洗浄し、乾燥させ、HPLC及びMSによって分析した。方法Aにおいて行われたようなPrimesep 100カラムでのHPLC分析は、同じ生成物を示した。
【0280】
実施例2
【0281】
コンジュゲート16a-(S)-2-アミノ-5-(((2R,3S,4S,5R)-5-(4-((S)-3-アミノ-3-カルボキシプロパンアミド)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-5-オキソペンタン酸の合成。(N-アスパルチル-5'-O-グルタミル-シタラビン)
【0282】
【化18】
【0283】
Boc-Asp-OtBu(289mg、1mmol)、EDC・HCl(192mg、1mmol)、及びHOBt水和物(153mg、1mmol)を、DMF(4ml)に溶解し、室温で1時間撹拌した。Ara-C(243mg、1mmol)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。混合物を油性残渣まで蒸発させ、酢酸エチル(40ml)に溶解し、5%NaHCO(3×15ml)で抽出し、続いて0.1M HCl(15ml)で抽出し、5M NaCl(15ml)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて残渣を残し、これを4mlのDMFに溶解した。Boc-Glu-OtBu(303mg、1mmol)、EDC・HCl(191mg、1mmol)、及びHOBt水和物(153mg、1mmol)を4mlのDMFに溶解し、室温で1時間撹拌し、その後、それを反応混合物に添加し、室温で12時間撹拌した。反応混合物を油性残渣まで蒸発させ、酢酸エチル(40ml)に溶解し、5%NaHCO(3×15ml)及び0.1M HCl(15ml)で抽出し、5M NaCl(15ml)で洗浄した。酢酸エチル相を蒸発させ、残渣を、2.5%HOを含有するTFAでの3時間のBoc及びtBu基脱保護に供した。得られた溶液(60ml)を、撹拌しながら240mlの氷冷MTBE中にゆっくりと移し、白色の固体の沈殿をもたらし、これを焼結ガラス上に収集し、MTBEで洗浄し、乾燥させた。m/z:487.16
【0284】
実施例3
【0285】
コンジュゲート31a-N-(1-((2R,3S,4S,5R)-5-(((L-アラニル)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)-L-アスパラギン(N-アスパルチル-5'-O-アラニル-シタラビン)の合成
【0286】
【化19】
【0287】
Boc-Asp-OtBu(289mg、1mmol)、EDC・HCl(191mg、1mmol)、及びHOBt水和物(153mg、1mmol)を、4mlのDMFに溶解し、室温で1時間撹拌した。Ara-C(243mg、1mmol)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。Boc-Ala-OH(378.4mg、2mmol)、EDC・HCl(479mg、2.5mmol)、及びHOBt水和物(306mg、2mmol)を、8mlのDMFに溶解し、1時間撹拌し、その後混合物を反応混合物に添加し、室温で12時間撹拌した。混合物を油性残渣まで蒸発させ、酢酸エチル(40ml)に溶解し、5%NaHCO(3×15ml)で抽出し、続いて0.1M HCl(15ml)で抽出し、5M NaCl(15ml)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて残渣を残し、これを、2.5%HOを含有するTFAでの3時間のBoc及びtBu基脱保護に供した。得られた溶液(60ml)を、撹拌しながら240mlの氷冷MTBE中にゆっくりと移し、白色の固体の沈殿をもたらし、これを焼結ガラス上に収集し、MTBEで洗浄し、乾燥させた。粉末を乾燥させ、HPLC及びMSによって分析した。0.1%TFAを有するアセトニトリル/HOの勾配を使用したPrimesep 100カラムでのHPLC分析は、21~22分の保持時間でピークを示す。分光光度計測定は、波長:213、246、300nmでの光学密度を示す。m/z:429.14
【0288】
実施例4
【0289】
コンジュゲートC1a-(S)-2-アミノ-5-(((2R,3S,4S,5R)-5-(4-((S)-4-アミノ-4-カルボキシブタンアミド)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-5-オキソペンタン酸(N,5'-O-グルタミル-シタラビン)の合成
【0290】
【化20】
【0291】
Boc-Glu-OtBu(303mg、1mmol)、EDC・HCl(191mg、1mmol)、及びHOBt(153mg、1mmol)を、4mlのDMFに溶解し、室温で1時間撹拌した。Ara-C(243mg、1mmol)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。Boc-Glu-OtBu(303mg、1mmol)、EDC・HCl(191mg、1mmol)、及びHOBt(153mg、1mmol)の第2の部分を、4mlのDMFに溶解し、室温で1時間撹拌し、この後混合物を第1の反応混合物に添加し、室温で12時間撹拌した。混合物を油性残渣まで蒸発させ、酢酸エチル(40ml)に溶解し、5%NaHCO(3×15ml)で抽出し、続いて0.1M HCl(15ml)で抽出し、5M NaCl(15ml)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて残渣を残し、これを、2.5%HOを含有するTFAでの3時間のBoc及びtBu基脱保護に供した。得られた溶液(60ml)を、撹拌しながら240mlの氷冷MTBE中にゆっくりと移し、白色の固体の沈殿をもたらし、これを焼結ガラス上に収集し、MTBEで洗浄し、乾燥させた。粉末を乾燥させ、HPLC及びMSによって分析した。0.1%TFAを有するアセトニトリル/HOの勾配を使用したPrimesep 100カラムでのHPLC分析は、20~21分の保持時間でピークを示す。m/z:501.17
【0292】
実施例5
【0293】
コンジュゲート1bの合成
【0294】
(S)-2-アミノ-4-(((2R,3S,4S,5R)-5-(4-((S)-2-アミノ-3-カルボキシプロパンアミド)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-4-オキソブタン酸
【0295】
【化21】
【0296】
シタラビンを、過剰な4.2当量のBoc-Asp-OtBuと、EDC・HCl及びHOBtの存在下でカップリングさせ、反応物をワークアップし、得られた粗残渣をシリカゲル上で精製し、続いて、TFA中でのBoc及びOtBu脱保護を行い、分取HPLC精製は、RRT約1.15、約2.7、約3.2、及び約3.3で、同じ分子量-473Daを有する、4つの化合物をもたらした。そのうちの1つは、実施例1の化合物である。
【0297】
実施例6
【0298】
コンジュゲート2aの合成
【0299】
(S)-2-アミノ-4-(((2R,3S,4S,5R)-5-(4-((S)-2-アミノ-3-カルボキシプロパンアミド)-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)-4-オキソブタン酸
【0300】
【化22】
【0301】
コンジュゲート2aを、実施例5のクロマトグラフィー分離から得た。
【0302】
実施例7
【0303】
コンジュゲート4aの合成
【0304】
(S)-3-アミノ-4-(((S)-1-カルボキシ-3-((1-((2R,3S,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)アミノ)-4-オキソブタン酸
【0305】
【化23】
【0306】
コンジュゲート4aを、実施例5のクロマトグラフィー分離から得た。
【0307】
実施例8
【0308】
ジ-アスパラギン酸塩-シタラビンのHPLC精製
【0309】
ジ-アスパラギン酸塩-シタラビンの精製は、L4000UV検出器で検出された半分取Merck Hitachi HPLCで逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用して行った。使用されたカラムは、Primesep 100カラム、寸法10×250mm、粒子-5μm、100A、以下に示されるアセトニトリル/HO勾配であった。注射体積:1ml(1mlのHO中の100mgのジ-アスパルチル-シタラビン)、画分収集:各画分3ml、波長:240nm、流量:3ml/分。
HPLC溶液組成:
溶液A:HO:0.1% TFA
溶液B:9:1アセトニトリル:HO:0.1%TFA
【0310】
【表2】
【0311】
ジ-アスパルチル-シタラビンの予想保持時間は、66~70分の範囲である。
【0312】
実施例9
【0313】
ジ-アスパラギン酸塩-シタラビンの分析方法
【0314】
A.HPLC分析
【0315】
合成完了後、バッチの試料を、Merck Hitachi HPLCでの逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用して分析した。240nmでL4000UV検出器を用いて、分析HPLC上で分析を行った。試料を、Primesep 100カラム、寸法4.6×250mm、5μm、100Aで分析し、以下に示されるアセトニトリル/HO勾配、流量:0.75ml/分で分析を行った。
【0316】
溶液組成:
溶液A:HO:0.1% TFA
溶液B:9:1アセトニトリル:HO:0.1%TFA
【0317】
【表3】
【0318】
いくつかの実施形態において、図1において、コンジュゲート1bのHPLC分析が示される。BST-236(RT 5.444分)及び1b(RT 16.643分)のHPLCクロマトグラム。コンジュゲート1bは、92.8%の面積純度で、247nmで検出される。
【0319】
B.分光光度計分析
【0320】
UV分析は、V-630(Jasco、日本)分光光度計で実施した。1mgのジ-アスパラギン酸塩-シタラビンを、1mlのHOに溶解し、この溶液をHO中1:100の比まで希釈した。190~340nmの走査によってスペクトル測定を行った。分析は、214、247、299nm(図2)で予想される光学密度(O.D.)ピークを示す。
【0321】
C.質量分析計分析
【0322】
いくつかの実施形態において、図3は、生成物の分子量を473g/molとして示す、質量分析計によるコンジュゲート1bの分析を示す。ジ-アスパラギン酸塩-シタラビンのM.S.分析を、MALDI-TOF質量分析計で行った。MS分析は、予想されるMW=473g/mol[474=473+1H]を示す。
【0323】
実施例10
【0324】
白血病細胞株に対するアスパラギン酸塩-シタラビン-アスパラギン酸塩の効果
【0325】
異なる細胞株に対する実施例8からの精製試料-アスパラギン酸塩-シタラビン-アスパラギン酸塩(ジ-アスパラギン酸塩-シタラビン)の効果を評価した。簡潔には、様々な細胞株を、ATCC又はECACCから得た。血液細胞を、10~20%のFBS及び1%のグルタミンを含有するRPMI培地中で増殖させた。細胞を、96ウェルプレート中に、50,000細胞/ml、ウェル当たり0.2mlで播種した。試験物質を食塩水又はPBS中に希釈し、20μlの体積中、0.1nM~10μΜの最終濃度で添加した。試験を3通りに行い、PBSを対照として使用した。プレートを、37℃、5%CO2で72時間インキュベートした。曝露期間の終了時、MTT試薬[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)2,5ジフェニルテトラゾリウムブロミド]を使用するMTTアッセイを行った。MTTを、0.02mlの体積中5mg/mlの濃度で各ウェルに添加した。プレートを、37℃で3時間インキュベートした。プレートを3500rpmで5分間遠心分離し、上清を吸引した。MTT結晶を含有するペレットを各々、0.2mlのDMSO中に溶解した。570nmの波長でELISAリーダーを使用して、吸光度を決定した。
【0326】
図4は、ヒト及びマウス白血病細胞増殖に対するインビトロでの2つのアスパラギン酸を有するAra-Cの効果を示す。MOLT-4及びL1210の両方の細胞増殖は、2つのアスパラギン酸を有するAra-Cによって阻害される。
【0327】
結果は、ヒト及びマウス白血病細胞の両方がジ-アスパルチル-シタラビンに感受性であることを実証した。Molt-4ヒト白血病細胞における2つのアスパラギン酸を有するAra-Cの活性は、アスパシタラビンプロドラッグと同様である。
【0328】
実施例11
【0329】
培地中のアスパラギン酸塩-シタラビン-アスパラギン酸塩の安定性
【0330】
2つのアスパラギン酸(実施例8からの試料)有する7mgのAra-Cを計量し、1.4mlの培地RPMI1640溶液で溶解した。混合物を、37℃で以下の時間にわたってインキュベートした:0時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、48時間。インキュベーション時間の終了時に、分析のために200μlの試料を採取し、200μlの試料を1mlの酢酸アンモニウム緩衝液中に溶解し、(実施例7に記載)HPLCによって分析した。結果を図5及び図6に示す。図5における結果は、2つのアスパラギン酸を有するAra-Cの主な分解生成物が、更にシタラビンへと代謝し続けるアスパシタラビンであることを示す。これは、2つのアスパラギン酸を有するAra-Cがシタラビンのプロドラッグであることを示し、図6での結果は、その分解生成物:アスパシタラビン及びシタラビンと比較した相対パーセンテージ(%)で、血清を有するRPMI培地中の2つのアスパラギン酸Cを有するAra-Cの安定性を示す。
【0331】
開示される特定の特徴は本明細書に例示及び記載されているが、多くの修正、置換、変更、及び均等物は、今後当業者に生じるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に開示される化合物及び使用の方法の真の趣旨に該当する全てのそのような修正及び変更を網羅することが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】