(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】最適な拍動選択のためのアルゴリズム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/367 20210101AFI20241024BHJP
【FI】
A61B5/367
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529982
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 IB2022061027
(87)【国際公開番号】W WO2023089494
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ボッツァー・リオル
(72)【発明者】
【氏名】バル-タル・メイル
(72)【発明者】
【氏名】マルキ・ガイ・デビッド
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127FF02
4C127GG05
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
3Dマッピングのための拍動の最適な選択のためのシステム及び方法が開示される。本開示による方法は、プロセッサ上で行われ、カテーテルから複数の拍動を受信することを含み得る。カテーテルは、心腔などの標的マッピング部位に位置し得る。複数の動的フィルタは、複数の収集された拍動に適用され得る。最適な拍動が判定され、3Dマッピングシステムにおける拍動として統合され得る。この方法は、より包括的な3Dマッピングのためのより多くの拍動の選択、並びに標的解剖学的構造を表すより高い品質の拍動の選択を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的マッピング部位においてカテーテルから複数の拍動を受信することと、
1つ又は2つ以上の第1のフィルタを前記複数の拍動のうちの各拍動に適用して、前記複数の拍動の第1のサブセットを判定することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動の1つ又は2つ以上の特徴を計算することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動に1つ又は2つ以上の第2のフィルタを適用して、前記複数の拍動の第2のサブセットを判定することであって、前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、計算された前記特徴に関連付けられる、判定することと、
前記複数の拍動の前記第2のサブセットから最適な拍動を選択することと、
前記最適な拍動を3Dマッピングに統合することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記標的マッピング部位が、心腔である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は2つ以上の第1のフィルタが、位置安定性、内部距離、カテーテル、サイクル長、心室活動、呼吸、パターンマッチング、及び/又はノイズのうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
計算された前記1つ又は2つ以上の特徴が、局所興奮時間(LAT)信号、双極性電圧信号、分裂信号、及び/又は二重電位(DP)信号のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記計算された1つ又は2つ以上の特徴が、単極性傾斜、相対LAT安定性及び/又は傾斜安定性、組織近接インジケータ(TPI)及び値、並びに/又は分裂安定性のうちの1つ又は2つ以上を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
拍動の前記第1のサブセットの各拍動に適用される前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、それぞれの前記拍動の計算された前記1つ又は2つ以上の特徴に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1つ又は2つ以上の第3のフィルタを適用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は2つ以上の第3のフィルタが、空間密度及び/又は時間密度のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサを備え、前記プロセッサが、
標的マッピング部位においてカテーテルから複数の拍動を受信することと、
1つ又は2つ以上の第1のフィルタを前記複数の拍動のうちの各拍動に適用して、前記複数の拍動の第1のサブセットを判定することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動の1つ又は2つ以上の特徴を計算することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動に1つ又は2つ以上の第2のフィルタを適用して、前記複数の拍動の第2のサブセットを判定することであって、前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、計算された前記特徴に関連付けられる、判定することと、
前記複数の拍動の前記第2のサブセットから最適な拍動を選択することと、
前記最適な拍動を3Dマッピングに統合することと、を行うように構成されている、システム。
【請求項10】
前記3Dマッピングを表示するように構成されたディスプレイを更に備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ディスプレイが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記標的マッピング部位が、心腔である、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ又は2つ以上の第1のフィルタが、位置安定性、内部距離、カテーテルフィルタ、サイクル長、心室活動、呼吸、パターンマッチング、及び/又はノイズのうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
計算された前記1つ又は2つ以上の特徴が、局所興奮時間(LAT)信号、双極性電圧信号、分裂信号、及び/又は二重電位(DP)信号のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記計算された1つ又は2つ以上の特徴が、単極性傾斜、相対LAT安定性、組織近接インジケータ(TPI)、及び分裂安定性のうちの1つ又は2つ以上を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
拍動の前記第1のサブセットの各拍動に適用される前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、それぞれの前記拍動の計算された前記1つ又は2つ以上の特徴に依存する、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、1つ又は2つ以上の第3のフィルタを適用するように更に構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ又は2つ以上の第3のフィルタが、空間密度フィルタ及び/又は時間密度フィルタのうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
プログラム命令が記憶された有形の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
プロセッサによって読み取られるときに、前記プロセッサに、
標的マッピング部位においてカテーテルから複数の拍動を受信することと、
1つ又は2つ以上の第1のフィルタを前記複数の拍動のうちの各拍動に適用して、前記複数の拍動の第1のサブセットを判定することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動の1つ又は2つ以上の特徴を計算することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動に1つ又は2つ以上の第2のフィルタを適用して、前記複数の拍動の第2のサブセットを判定することであって、前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、計算された前記特徴に関連付けられる、判定することと、
前記複数の拍動の前記第2のサブセットから最適な拍動を選択することと、
前記最適な拍動を3Dマッピングに統合することと、を行わせる、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
拍動の前記第1のサブセットの各拍動に適用される前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、それぞれの前記拍動の計算された前記1つ又は2つ以上の特徴に依存する、請求項19に記載の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、内部体積のモデルを構築することに関する。より具体的には、この開示は、解剖学的構造の3次元(three-dimensional、3D)モデルを構築することに関する。
【背景技術】
【0002】
医学的応用では、心腔などの解剖学的構造のモデルを構築する必要がある場合がある。現在の実装形態では、カテーテルを心腔内で移動させることができ、カテーテルの位置を追跡システムによって連続的に記録することができる。収集された拍動は、心腔を表し得る3Dマッピングに統合され得る。3Dマッピングは、拍動が存在しないギャップとともに、数百、数千、又は数万の電気解剖学的拍動を含む3D電気解剖学的マップであり得る。
【0003】
マッピングを生成するために、心電図(Electrocardiogram、ECG)及び電位図(electrogram、EGM)が使用され得る。ECGは、心臓の活動を記述する、心臓からの電気信号から生成される。ECGは、心臓手術中に利用されて、心臓疾患の潜在的な起点位置を特定する。ECG信号はまた、心臓の一部分をマッピングするために使用され得る。EGMは、体表面ECGからの洞調律におけるP波の発生などの一時的な基準に対して、心臓表面と接触する電極の各々から記録され得る。ECG及びEGM信号は、例えば米国特許公開第2018/0042504号で説明するように、ルールベースのアルゴリズムとともに利用して、心臓マッピングアノテーションを判定し得る。
【0004】
現在のシステムは、拍動が不十分な特性を有する場合であっても、全ての空間位置において第1の信号又は「拍動」を取得及び記録する。しかし、マッピングアノテーションとして各空間位置において最良の拍動を検出し選択することが望ましいだろう。更に、拍動が収集されると、それは、自動的にマッピングに統合され、除去することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より良好な拍動が収集された場合、より良好な拍動をマッピングに統合され得、より劣った拍動を除去され得るように、拍動を動的にフィルタリングすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
3Dマッピングのための拍動の最適な選択のためのシステム及び方法が開示される。本開示による方法は、プロセッサ上で実行され得、カテーテルから複数の拍動を受信することを含み得る。カテーテルは、心腔などの標的マッピング部位に位置し得る。複数の動的フィルタが、複数の収集された拍動に適用され得る。最適な拍動が判定され、3Dマッピングシステムにおける拍動として統合され得る。この方法は、より包括的な3Dマッピングのためのより多くの拍動の選択、並びに標的解剖学的構造を表すより高い品質の拍動の選択を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の前述及び他の特徴と利点は、添付の図面に例解されるように、本発明の好ましい実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。
【
図1】例示的な実施形態による、複数の分岐を有する心臓カテーテルを使用して生体の心臓に対する処置を実行するためのシステムの概略絵図である。
【
図2】例示的な実施形態による、
図1に示されるカテーテルの分岐のうちの1つの詳細図である。
【
図3】例示的な実施形態による、3D解剖学的再構成のための最適な拍動選択のための方法のフローチャートである。
【
図4】実施形態による、心室活動ブランキングフィルタを示す電極活動のグラフである。
【
図5】例示的な実施形態による、LATが検出されない拍動及びLATが検出される拍動を伴う、電気的活動のグラフである。
【
図6】例示的な実施形態による、LATが検出される拍動を伴う電気的活動のグラフである。
【
図7】一実施形態による、相対LAT安定性を示す電気的活動のグラフである。
【
図8】例示的な実施形態による、ノイズを伴う電気的活動のグラフである。
【
図9】例示的な実施形態による、最適な拍動選択のためのアルゴリズムのフローチャートである。
【
図10A】現在の実装形態を使用して生成されたマッピング810である。
【
図10B】例示的な実施形態による、最適な拍動選択のための方法を使用して生成されたマッピング820である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を描示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく、例として、本発明の原理を例解する。この説明は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物、及び使用を説明する。
【0009】
図1は、一実施形態による、生体の心臓12に対して処置を実行するためのシステム10の概略絵図である。システム10は、カテーテル14及び制御コンソール24を含むことができる。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.から市販されている、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0010】
カテーテル14は、心臓12の腔の解剖学的マッピングなど、任意の好適な治療及び/又は診断目的に使用することができる。カテーテル14は、各々がマッピング及び位置感知機能を有する複数の分岐37を有する細長い本体を有する多電極カテーテルであってもよい。カテーテル14は、ハンドル20を更に含んでもよく、これは、典型的には医師である操作者16が、必要に応じて、カテーテル14の遠位端を操縦し、分岐37の位置及び方向を位置決めして方向付けることを可能にする制御部を有する。一例では、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,961,602号に説明された、5つの分岐を有するカテーテルが、カテーテル14として使用するのに好適である。このカテーテルは、Biosense WebsterからPentaray(商標)カテーテル又はプローブとして入手可能である。他の例では、これもBiosense WebsterからのOCTARAY(商標)、LASSO(商標)、及びOPTRELL(商標)カテーテルなどの、ラッソタイプ、バスケットタイプ、又はグリッドタイプのカテーテルを含む、任意の数の他のマッピング/診断カテーテルタイプが使用され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、カテーテル14は、近位端、遠位端、及び長手方向に中を通って延びる少なくとも1つの管腔を有する細長い本体と、カテーテル本体の遠位端に取り付けられ、少なくとも2つの分岐37を含むマッピングアセンブリと、を含む。各分岐37は、カテーテル本体の遠位端に取り付けられた近位端と、自由遠位端とを有する。各分岐37は、形状記憶を有する支持アームと、支持アームを取り囲む非導電性カバーと、分岐37の遠位端に装着された少なくとも1つの位置センサ(
図2)と、分岐37の遠位端に装着され、支持アームから電気的に絶縁された1つ又は2つ以上の電極と、非導電性カバー内に延在する1つ又は2つ以上の電極リード線と、を含み、各電極線は、対応する電極に取り付けられている。いくつかの実施形態では、追加の位置センサ(図示せず)を、分岐37の近位にあるカテーテル14のシャフト上に配置され得る。
【0012】
カテーテル14は、操作者16によって、患者の脈管系を通して心臓12の腔又は脈管構造に経皮的に挿入され得る。操作者16は、カテーテルの遠位先端18を所望のマッピング部位で心臓壁と接触させ得る。次いで、カテーテル18の遠位端は、測定信号、又は「拍動」を収集し得る。
【0013】
アブレーションエネルギー及び電気信号は、組織をアブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端に、あるいはその近くに位置する1つ又は2つ以上の任意選択的なアブレーション電極を通じて、コンソール24へのケーブルを介して、心臓12に及び心臓12から伝達され得る。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24からケーブル38及び1つ又は2つ以上のアブレーション電極を介して心臓12に伝達され得る。
【0014】
結線35は、コンソール24を体表面電極30及び位置決めサブシステムの他の構成要素と接続し得る。熱電対又はサーミスタなどの温度センサ43(
図2)は、遠位先端18上に、又はその近くに装着され得る。
【0015】
コンソール24は、1つ又は2つ以上のアブレーション発電機25を含み得る。カテーテル、場合によっては図示されていない別個のカテーテルは、高周波エネルギー、パルス場アブレーション「pulsed-field ablation、PFA」(不可逆電気穿孔又は「irreversible electroporation、IRE」と呼ばれることもある)、超音波エネルギー、及びレーザ生成光エネルギーを含むが、これらに限定されない任意の既知のアブレーション技法を使用して、アブレーションエネルギーを心臓に伝導するように構成され得る。そのような方法は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号、並びに米国特許出願公開第20210196372(A1)号に開示されており、これらは、完全に記載されるように参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
プロセッサ22は、カテーテル14の位置及び方向座標を測定するシステム10の位置決めシステム26の要素であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、位置決めシステム26は、磁場をその近傍における所定の作業体積内に生成し、磁場生成コイル28を使用してカテーテル14においてこれらの磁場を感知することによって、カテーテル14の位置及び方向を判定する磁気位置追跡アレンジメントを備え得、例えば、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,756,576号に教示されているように、インピーダンス測定を含み得る。位置決めシステム26は、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,536,218号に記載されているインピーダンス測定を使用する位置測定によって、強化され得る。
【0018】
上記のように、カテーテル14は、コンソール24に連結されており、これにより操作者16はカテーテル14の機能を観察及び調整することを可能にする。コンソール24は、プロセッサ22を含む。プロセッサ22は、ディスプレイ29に結合され得る。信号処理回路は、上記のセンサ及びカテーテル14上に配置された複数の位置感知電極(図示せず)によって生成された信号を含めて、カテーテル14からの信号を受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化し得る。デジタル化された信号を、コンソール24及び位置決めシステム26によって受信及び使用して、カテーテル14の位置及び配向を計算し、電極からの電気信号を分析し得る。本明細書で使用される場合、「拍動」は、カテーテル14によって測定される信号を指し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセッサ22は、コンピュータであってもよく、本明細書に記載されている機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ22は、中央処理装置(central processing unit、CPU)、グラフィック処理装置(graphics processing unit、GPU)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、ハードドライブ若しくはCD ROMドライブなどの不揮発性二次記憶装置、ネットワークインターフェース、及び/又は周辺デバイスを含むプログラムされたデジタルコンピューティングデバイスである。当技術分野で既知であるように、ソフトウェアプログラムを含むプログラムコード、及び/又はデータは、CPU及び/又はGPUによる実行及び処理のためにRAMにロードされ、表示、出力、送信、又は記憶のために結果が生成される。ソフトウェアコードは、ネットワークを介して電子形式でコンピュータにダウンロードされ得るか、又は磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供及び/又は記憶され得る。
【0020】
図2は、一実施形態による、電極構成を示す
図1の分岐37のうちの1つの詳細図である。電極構成は、先端電極39、2つのリング電極41及び温度センサ43を含むことができる。他の例では、感知に加えて、先端電極39は、アブレーションのために追加的に構成され得る。そのような例では、温度センサ43は、カテーテル14がアブレーションモードにあるときに使用され得る。2つのリング電極41は、心臓における電気生理学的信号を検出するための感知電極として構成され得る。しかしながら、当業者には理解されるように、感知電極及びアブレーション電極は、多くの組み合わせにおいて、数、構成、及び分布が変動し得る。1つ又は2つ以上のケーブル45は、電極、センサ、及びコンソール24の間で信号を伝達することができる。複数の電極がいくつかの分岐37に分布しているため、多数の位置から同時に信号を収集することが可能である。
【0021】
図1及び
図2に例解されるカテーテル14では、複数の電極が、異なるスパイン上に位置付けられ得る。組織と接触しているときのスパインの分布は、異なるセッションにおいて、又はカテーテル14が操作者によって操作されるのと同じセッションにおいてさえ、変動し得る。結果として、異なるスパイン上の電極間の距離は、変動し得、一般に、信号収集プロセス中に均一ではない。
【0022】
医学的応用では、心腔などの解剖学的構造のモデルを構築する必要がある場合がある。現在の実装形態では、電気解剖学的信号又は「拍動」を収集するために、カテーテルを心腔内で移動させ得る。カテーテルは、Biosense WebsterからのPentaray(商標)カテーテル又はプローブなどの多電極カテーテルであり得る。収集された拍動は、電気解剖学的マップ又は単にマップと呼ばれることもある3Dマッピング内のポイントであるように選択されてもよく、これは、心室の解剖学的構造及び心室内を伝搬する電気信号を表す。本明細書で使用される場合、「ポイント」という用語は、関連付けられた位置を有する拍動として定義される。3Dマッピングは、拍動が存在しないギャップとともに、数百、数千、又は数万の拍動を含んでもよい。
【0023】
現在のマッピング実装形態は、迅速なデータ収集のために最適化されている。例えば、現在の実装形態では、いくつかの所定の基準を満たす第1の拍動が自動的に収集され、マップに組み込まれる。同じ域内の他の拍動は、選択された拍動がより高いノイズレベルを有するか、遠距離場を含むか、又は他の隣接する拍動と一致しないかどうかにかかわらず、選択されない。加えて、拍動の選択は動的ではなく、そのため、拍動が収集されて選択されると、拍動を除去することはできない。更に、現在の実装形態はメモリレスであり、そのため、選択された拍動のみが保持され、全ての他のデータは無視される。
【0024】
上記を考慮すると、最適な拍動選択に向けられた改善されたシステムが有益であろう。マッピングを冗長データで飽和させることなく、マッピングへの統合のための最適な拍動を動的に選択するためのシステムが開示される。開示されたシステム及び方法は、より多くの拍動を収集し得、次いで、これらの拍動が動的にフィルタリングされてもよい。したがって、より多くの拍動がより包括的なマッピングのために選択され得るだけでなく、選択された拍動は、より良い品質であり、標的解剖学的構造をよりよく表す。
【0025】
本開示によるシステムは、上述したように、プロセッサ22と、メモリと、を備え得る。メモリは、命令を含み得、これらの命令は、実行されるときに、プロセッサ22に、マッピングへの統合のために最適な拍動が選択されるように、収集された拍動にアルゴリズムを適用させる。したがって、最も価値のある拍動のみが選択され得る。
【0026】
図3は、例示的な実施形態による、3D解剖学的再構成のための最適な拍動選択のための方法300のフローチャートである。301において、プロセッサ22は、複数の拍動を取得し得る。複数の拍動は、
図1及び
図2に関して上述したカテーテル14などのカテーテルによって取られてもよい。操作者16は、複数の拍動を取得するために、カテーテルの遠位先端18を所望の標的マッピング部位で心臓壁と接触させ得る。いくつかの実施形態では、可能な限り多くの拍動が収集される。302において、プロセッサ22は、最適な拍動選択のためのアルゴリズムを適用し得る。アルゴリズムは、拍動の動的フィルタリングを提供して、所望の解剖学的構造の3Dマッピングのためにどの拍動が選択されるかを判定してもよい。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、複数のフェーズを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、3つのフェーズ、すなわち、フェーズI、フェーズII、及びフェーズIIIを含んでもよい。拍動を動的にフィルタリングするためのアルゴリズムは、以下でより詳細に説明される。いくつかの実施形態では、所望の解剖学的構造は、心腔である。303において、拍動が選択された場合、それは所望の解剖学的構造を表す3Dマッピングに統合される。304において、プロセス終了信号が受信されたかどうかが判定される。プロセス終了信号が受信されていない場合、方法はステップ302に戻り、アルゴリズムは、収集された拍動を動的にフィルタリングし続ける。プロセス終了信号が受信された場合、方法は305において終了する。
【0027】
ここで、収集された拍動を動的にフィルタリングするためのアルゴリズムが、より詳細に論じられる。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、複数のフィルタを適用する。いくつかの実施形態では、複数のフィルタは、位置安定性、空間密度、内部距離、カテーテルフィルタ、サイクル長、サイクル長安定性、心室活動ブランキング、呼吸、パターンマッチング、局所興奮時間(local activation time、LAT)、LAT安定性、単極性傾斜、双極性電圧、組織近接インジケータ(tissue proximity indicator、TPI)又は値、安定性指標を伴う及び/又は伴わない分裂などの特殊臨床特徴を伴う特殊信号の存在、及びノイズレベルのうちの1つ又は2つ以上を含む。しかしながら、このリストは網羅的なものではなく、他のフィルタが利用され得る。
【0028】
アルゴリズムは、上記のように、位置安定性フィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、位置安定性が、アルゴリズムのフェーズIにおいて使用される。いくつかの実施形態では、プロセッサ22は、拍動の収集中にカテーテル14の位置の変化を測定し得る。更なる実施形態では、プロセッサ22は、カテーテル14の位置の変化を測定するときに、呼吸運動を考慮し得る。位置安定性とは、拍動の収集中のカテーテル14の位置の変化の測定を指し得る。いくつかの実施形態では、位置安定性フィルタは、定義された時間ウィンドウにわたるカテーテル14の位置の変動が所定の最大距離以下であることを必要とし得る。この変動は、定義された時間ウィンドウ中の平均位置を中心とする標準偏差に関して測定され得る。位置は、呼吸から生じる人工的な運動を排除しながら、心臓構造に対するその「真の」位置に補正/推定され得る。
【0029】
アルゴリズムは、上記のように、空間密度フィルタを含み得る。同様の特性を有する複数の拍動を選択し、それらを3Dマッピングに追加することを避けるために、空間密度フィルタが使用される。いくつかの実施形態では、空間密度フィルタは、3Dマッピング空間をボクセルに分割し得る。本明細書で使用される場合、「ボクセル」という用語は、規則的に離間された3D次元グリッドの離散要素として定義される。いくつかの実施形態では、ボクセルはサイズが1mm3である。いくつかの実施形態では、電極の位置は、ECG活動が検出されたときに記録されてもよく、単一のボクセル内に収集された拍動の全てが判定されてもよい。空間密度フィルタは、所定の基準に従って拍動のうちの1つのみを選択し得る。
【0030】
アルゴリズムは、上記のように、内部距離フィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、電極の位置は、ECG活動が検出されたときに記録され得る。内部距離は、3Dマッピングの外側表面から、ポイントがマップ上に移動される位置までの距離として定義され得る。いくつかの実施形態では、誤差を低減するために、最小内部距離を有する拍動が好まれ得る。
【0031】
アルゴリズムは、上記のように、カテーテルフィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のカテーテルが、拍動を収集するために利用され得る。これらの実施形態では、カテーテルフィルタを使用して、1つ又は2つ以上の特定のカテーテルから収集された拍動を選択し得る。
【0032】
アルゴリズムは、上記のように、サイクル長フィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、特定のサイクル長さ範囲を伴う拍動のみが、選択のために考慮され得る。サイクル長は、拍動が他の拍動と同じ頻脈を有するかどうかの判定を助ける尺度である。通常、拍動は、既存の頻脈タイプ及び持続時間に基づいて、それらのサイクル長が所定の範囲内にある限り収集される。例えば、所定の範囲は、約300ms~約330msであり得る。しかしながら、この所定の範囲は単なる一例であり、他の所定の範囲が使用され得る。
【0033】
アルゴリズムは、上記のように、心室活動ブランキングフィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、
図4に示すように、心室活動440の1つ又は2つ以上の領域が判定され得る。心室活動440のこれらの1つ又は2つ以上の領域が、拍動431などの目的の拍動と重複する場合、拍動は、心室活動ブランキングフィルタに適合しない可能性があり、したがって、拍動は破棄され得る。更に、心室が収縮するときに、心室活動は遠距離場信号として観察され得る。判定される心室活動の1つ又は2つ以上の領域に加えて、又はその代わりに、信号の遠距離場成分が判定され得る。拍動が信号の遠距離場成分上に位置する場合、拍動は心室活動ブランキングフィルタに適合しない可能性があり、拍動は破棄され得る。
【0034】
アルゴリズムは、上記のように、呼吸フィルタを含み得る。呼吸サイクル指標は、測定が呼吸サイクルのどの時間にあるかを示す値であり得る。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、呼気の終わりに収集された拍動のみを組み込み得る。これは、呼吸がマッピングに及ぼす影響を最小化又は排除し、それによって、マッピングにおける誤差を低減する。呼吸サイクル指標は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第8,456,182号、同第9,414,770号、及び同第9,023,027号に開示されるシステム及び方法を使用して判定され得、これらは、完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0035】
アルゴリズムは、上記のように、パターンマッチングフィルタを含み得る。パターンマッチングフィルタは、2つの拍動が同じ頻脈に由来するかどうかを判定し得る。いくつかの実施形態では、これは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第8,456,182号、同第9,414,770号、及び同第9,023,027号に説明されるように、冠状静脈洞カテーテルなどの基準カテーテルを使用して判定され、これらは、完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0036】
アルゴリズムは、上記のように、LATフィルタを含み得る。所望の位置での電気的活動のLATは、所定の条件を満たす電気的活動に関して定義され得る。
図5は、LATが検出されない拍動410及びLATが検出される拍動420の電気的活動を例解する。いくつかの実施形態では、所定の条件は、その位置における電位図の最大の急速な偏位の発生時間を含み得、LATは、基準事例から、その位置の電位図の最大の急速な偏位が次に発現するまでの時間であると想定される。
図5に例解する実施形態では、LATは、421において、検出される。LATは、正であっても負であってもよい。電位図の最大の急速な偏位の発生時間を判定するための方法、並びにLATを判定するための他の定義及び条件は、当業者にはよく知られているものであり、そのような全ての方法、定義、及び条件は、本発明の範囲内に含まれると想定される。
【0037】
いくつかの実施形態では、拍動がLATを有する場合、以下でより詳細に論じられるように、特定のフィルタが拍動に適用され得る。いくつかの実施形態では、LATを伴う拍動は、LATを伴わない隣接拍動にわたって選択され得る。
【0038】
アルゴリズムは、相対LAT安定性フィルタを含み得る。更なる実施形態では、相対LAT安定性は、アルゴリズムのフェーズIIにおいてフィルタとして使用され得る。
図6は、局所励起対時間のグラフ500である。第1のサイクル501の開始と第1の局所励起510との間の経過時間が判定される。
図6に例解される例では、第1の経過時間は、169msである。第2のサイクル502の開始と第2の位置励起520との間の経過時間が判定される。
図6に例解される例では、第2の経過時間は、161msである。LAT安定性は、式1を使用して計算されてもよく、ここでLAT
(i-1)は、第1のサイクルに対するLAT値であり、LAT
iは、第2のサイクルに対するLAT値である。
LAT
i-LAT
i-1=LAT安定性 式1
【0039】
したがって、
図6に例解される例では、式1を使用して相対LAT安定性を判定する場合、相対LAT安定性は、8msに等しくなる。相対LAT安定性は、フィルタリングするために閾値と比較され得る。例えば、閾値は、3msであり得る。閾値が3msであった場合、拍動は、相対LAT安定性基準に合格せず、したがって、マッピングに組み込まれない。
【0040】
相対LAT安定性はまた、サイクル長(cycle length、CL)変動性を考慮に入れる式2を使用して計算され得る。式2では、LAT(i-1)は、第1のサイクルに対するLAT値であり、CL(i-1)は、第1のサイクルの長さであり、LATiは、第2のサイクルに対するLAT値であり、CLiは、第2のサイクルの長さである。
【0041】
【0042】
したがって、相対LAT安定性フィルタは、より安定した拍動の選択を可能にし、これは、マッピングの精度を向上させる。
【0043】
相対LAT安定性フィルタは、
図7に示すように、目的の拍動(beat of interest、BOI)530の前及び後のいくつかの拍動を調べる。いくつかの実施形態では、相対LAT安定性は、BOIの前及び後の拍動のLATに対して、BOIの各LATについて計算される。例えば、
図7では、BOI530は、5つのLAT531~535からなる。LAT531~535の各々について、BOIの前の3拍動及び後の3悪童に対して相対LAT安定性が計算され、合計で6回の計算が行われる。いくつかの実施形態では、相対LAT安定性は、他の拍動の最も安定なLATに対して計算される。したがって、
図7におけるBOI530のLAT531の相対LAT安定性を計算するときに、相対LAT安定性は、拍動540における全てのLAT541~544についてコンピューティングされ、最も安定したもののみが、BOI530の各LATと比較される。
図7に例解される例では、拍動540の最も安定したLATは、LAT541である。したがって、拍動530の各LAT531~535は、相対LAT安定性を計算するときに拍動540のLAT541と比較される。
【0044】
相対LAT安定性値を計算した後、相対LAT安定性フィルタが適用され得る。いくつかの実施形態では、LATは、特定の数の拍動(例えば、調べられた6つの拍動のうちの2つ)に対するその相対LAT安定性値が特定の閾値未満である場合、相対LAT安定性フィルタを通過する。他のLATは、拒絶され得る。いくつかの実施形態では、拍動が、相対LAT安定性フィルタを通過する少なくとも1つのLATを有する場合、それは選択され、そうでない場合、それは破棄される。
図7に例解される例では、LAT532及び533は相対LAT安定性フィルタを通過し、拍動530は3Dマッピングに統合されるように選択される。
【0045】
拍動の単極性傾斜は、上記のように、アルゴリズムにおけるフィルタとして使用され得る。単極性傾斜は、定義された時間ウィンドウ内で測定され得る。単極性傾斜は、信号がローカルであるか遠距離場であるかを示し得る。いくつかの実施形態では、0.03mV/ms以上の単極性傾斜は、拍動が局所的であり、したがって、より正確であることを示し得る。したがって、いくつかの実施形態では、0.03mV/ms以上の単極性傾斜を含む拍動のみが、選択のために考慮され得る。0.03mV/msの傾斜値は単なる一例であり、他の傾斜閾値がアルゴリズムにおいて利用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、拍動の安定性が更に分析され、使用され得る。例えば、そのような安定性は、形態的(ピアソン相関など)であってもよいし、又は拍動が別の拍動と同様のLATで同様の傾斜を有することを必要とする単純な傾斜測定であってもよい。
【0047】
アルゴリズムは、上記のように、双極性電圧フィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、上述のように、信号がスパイン上の2つの隣接する電極間で測定される双極性構成を有するBiosense WebsterからのPentaray(商標)カテーテル又はプローブを利用し得る。より高い双極性電圧は、より強い信号を示し得るので、より望ましくあり得る。いくつかの実施形態では、0.1mV以上の電圧を含む拍動が、選択のために考慮され得る。電圧が比較的低い(例えば、0.1mV未満)場合、TPIなどの追加のフィルタが考慮され得る。
【0048】
TPIは、上記のように、アルゴリズムにおいて利用されるフィルタであり得る。TPIは、カテーテル14が組織に近接しているかどうかを示し得る。いくつかの実施形態では、TPIは、正又は負であり得、カテーテル14が組織に近接しているかどうか、組織に近接していないか、又はそれが不明であるかどうかを示し得る。いくつかの実施形態では、カテーテル14が組織と接触しているか、又は組織に近接しているときに収集される拍動が好ましい。いくつかの実施形態では、カテーテル14が組織に接触している場合、拍動は、組織の特性を示し得る。例えば、拍動が収集されたときにカテーテル14が組織に近接していたことをTPIが示し、拍動が弱い場合、カテーテル14と接触している組織が瘢痕化していると判定され得る。瘢痕組織は、色、テクスチャ、パターンなどによって3Dマップ上に示され得る。更に、TPI値は、システムに提供される新しい情報を使用し、接触の十分な証拠を元々有していなかった拍動を選択して再計算され得る。更に、接触の可能性が高い拍動の選択を可能にするために、二値接触又は非接触判定の代わりにTPI値が使用され得る。
【0049】
アルゴリズムは、上記のように、分裂安定性フィルタを含み得る。分裂信号は、当技術分野で既知の技術を使用して識別され得る。いくつかの実施形態では、分裂信号は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第9,380,953号に記載される方法を使用して識別され得、これは、完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、分裂信号を含む拍動が目的であり得、したがって、3Dマッピングにおける統合のために選択され得る。更なる実施形態では、分裂安定性は、分裂信号について考慮され得る。
【0050】
アルゴリズムは、上記のように、ノイズレベルフィルタを含み得る。いくつかの実施形態では、ノイズレベルは、連続的に監視され得、ノイズレベルフィルタは、特定の閾値を下回るノイズレベルを伴う拍動のみを選択し得る。
図8は、拍動601及び拍動602を含む複数の拍動の電気的活動600のグラフである。
図8では、拍動601と拍動602の両方がノイズを有する。いくつかの実施形態では、拍動601はノイズ閾値を満たしてもよく、拍動602はノイズ閾値を満たさなくてもよい。他の実施形態では、拍動601と拍動602の両方がノイズ閾値を満たさなくてもよい。ノイズに対するフィルタリングは、遠距離場信号を有する拍動を低減し得る。いくつかの実施形態では、ノイズ閾値は、リアルタイムで適用され得る。加えて又はその代わりに、ノイズ閾値は、遡及的に適用され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、3つのフェーズ、すなわち、フェーズI、フェーズII、及びフェーズIIIを含んでもよい。フェーズIにおいて、1つ又は2つ以上の「共通」フィルタが、全ての収集された拍動に適用され得る。共通フィルタは、位置安定性、内部距離、カテーテルフィルタ、サイクル長、心室活動、呼吸サイクル指標、パターンマッチング、及び/又はノイズを含み得るが、これらに限定されない。アルゴリズムの3つのフェーズは、単なる一例として提供され、より多くの又はより少ないフェーズがアルゴリズムにおいて利用され得る。更に、いくつかの実施形態では、フェーズは、新しいデータが受信されるときに連続的に実行され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、フェーズIのフィルタが適用された後、基準を満たすフィルタはフェーズIIに移動する。フェーズIIフィルタは、限定はしないが、LATを含まない、LATと高電圧、LATと低電圧、二重電位、及び分裂を含む拍動を含む拍動の特定のサブグループのための特定のフィルタであり得る。これらのサブグループ、及びそれらの所定のフィルタは、ユーザによって定義され得る。フェーズII中に適用され得る追加のフィルタは、以下のフィルタ、すなわち、相対LAT安定性、単極性傾斜、双極性電圧、TPI、及び分裂安定性のうちの1つ又は2つ以上を含み得る。フェーズIIは、新たな追加データが受信されるときに連続的に実行され得る。
【0053】
フェーズIIIの間、空間密度フィルタ及び/又は時間密度フィルタが、適用され得る。空間密度フィルタを適用することによって、空間内の最適な拍動が、判定され得る。時間密度フィルタを適用することによって、時間範囲内の最適な拍動が、判定され得る。
【0054】
図9は、例示的な実施形態による、3D解剖学的再構成のための最適な拍動選択のためのアルゴリズム700のフローチャートである。
図9は、一実施形態であり、他のフィルタの組み合わせが利用され得る。アルゴリズムを使用して、
図3における動的フィルタリング302を実行し得る。
図9に例解される実施形態では、アルゴリズムは、3つのフェーズ、フェーズI 710、フェーズII 720、及びフェーズIII 730を含む。
【0055】
フェーズI 710の間、711において、収集された拍動に1つ又は2つ以上の第1のフィルタが適用され得る。
図7に例解される実施形態では、第1のフィルタは、上述したように、位置安定性、内部距離、カテーテルフィルタ、サイクル長、心室活動、呼吸、パターンマッチング、及び/又はノイズのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。フェーズI 710は、列挙されたフィルタの全てを含まなくてもよく、及び/又は列挙されていない追加のフィルタを含み得る。712において、フェーズI 710のフィルタを通過した拍動は、フェーズII 720に進んでもよい。フェーズIのフィルタを通過しない拍動は、713において破棄され得る。いくつかの実施形態では、拍動は、フェーズII 720に進むために特定の数の基準を満たす必要があるだけであってもよい。例えば、単なる一例として、拍動は、フェーズII 720に進むために8つの基準のうちの5つを満たす必要があるだけであってもよい。5つの基準は、列挙された8つの基準のうちのいずれであってもよい。
【0056】
フェーズII 720では、以下のフィルタ、すなわち、LAT、相対LAT安定性、単極性傾斜、双極性電圧、TPI、及び分裂安定性のうちの1つ又は2つ以上が計算され得、その後分析され得る。いくつかの実施形態では、拍動は、フェーズII 720において特定の数の基準を満たす必要があるだけであってもよい。
【0057】
拍動の特性に応じて異なるフィルタが適用され得る。例えば、フェーズII 720では、拍動が分析されて、721において、信号がLATを有するか否かを判定し得る。拍動がLATを有する場合、双極性電圧が、722において、計算及び分析され得る。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、双極性電圧が高いか又は低いかを判定する。いくつかの実施形態では、拍動は、双極性電圧が0.1mV以上である場合、「高い」双極性電圧を有し、双極性電圧が0.1mV未満である場合、「低い」双極性電圧を有するとみなされ得る。しかしながら、当業者によって理解されるように、双極性電圧の「高い」及び「低い」閾値は、変動し得る。LATを有する拍動が「高い」双極性電圧を有すると判定される場合、724において、拍動の単極性傾斜及び相対LAT安定性が計算及び分析され得る。LATを有する拍動が「低い」双極性電圧を有すると判定される場合、725において、拍動の単極性傾斜、相対LAT安定性及びTPIが計算及び分析され得る。
【0058】
拍動がLATを有さない場合、アルゴリズムは、723において、拍動が分裂信号を含むかどうかを判定し得る。拍動が分裂信号を含まない場合、アルゴリズムは、726において、信号に対するTPIを計算し得る。拍動が分裂信号を含む場合、アルゴリズムは、727において、拍動に対するTPI及び分裂安定性を計算し得る。
【0059】
728において、複数の第2のフィルタが、第1のフィルタを通過した拍動に適用され得る。いくつかの実施形態では、各拍動に適用される第2のフィルタは、各拍動の特徴に基づく。例えば、以下の特徴、すなわち、0.03mV/ms以上の単極性傾斜及び3msの相対LAT安定性信号のうちの1つ又は2つ以上を有するように、以下のフィルタが、LAT及び高電圧を有すると判定された拍動に適用され得る。提供された閾値は、単なる一例であり、様々な他の閾値がアルゴリズム内で利用され得る。更に、0.03mV/ms以上の単極性傾斜及び3msの相対LAT安定性を有することに加えて、LAT及び低電圧を有すると判定された拍動はまた、カテーテル14が組織と接触して第2のフィルタを通過したときに拍動が収集されたことを示すTPIを必要とし得る。
【0060】
単なる一例として、いかなるLATも有さず、かつ分裂していないと判定された拍動は、第2のフィルタを通過するために組織とカテーテル14が接触したときにその拍動が収集されたことを示すTPIを必要とし得る。接触を示すTPIを有することに加えて、いかなるLATも有さず、かつ分裂していると判定された拍動は、第2のフィルタを通過するために満足な分裂安定性を必要とし得る。
【0061】
第2のフィルタを通過しない拍動は、729において、破棄され得る。いくつかの実施形態では、第2のフィルタを通過する拍動が、選択され得る。他の実施形態では、第2のフィルタを通過する拍動が、フェーズIII 730に進み得る。731において、空間密度フィルタ及び/又は時間密度フィルタが、適用され得る。
【0062】
最適な拍動選択及びマップ構築を提供するために、拍動フィルタリング及びマップ構築プロセスがより動的になるように、フィルタが利用され得る。例えば、拍動がマッピングのために選択され、マッピングのために選択解除され、マッピングのために別の拍動と置換され得る。選択、選択解除及び置換のための特定の基準があり得る。例えば、LATを有する拍動は、上述したように、マッピングにおいてLATを有さない拍動を置換し得る。
【0063】
上述のシステム及び方法を使用して、より良い品質及び代表的な拍動が3Dマッピングに統合されてもよく、それによって、より正確で包括的なマッピングを達成し得る。結果として得られるマッピングは、システムのディスプレイ上に表示され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、グラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)である。拍動の特性(例えば、高い双極性電圧)は、マッピング内の色、パターンなどによって示され得る。
【0064】
図10Aは、現在の実装形態を使用して生成されたマッピング810であり、
図10Bは、本明細書で開示される方法及びシステムを使用して生成されたマッピング820である。現在の実装形態を使用して生成されたマッピング810は、約5,000拍動を使用して生成される。一方で、本明細書で開示される方法及びシステムを使用して生成されるマッピング820は、約10,000拍動を使用する。より包括的なマッピングのためにより多くの拍動が選択されるだけでなく、選択された拍動は、より良い品質であり、標的解剖学的構造をよりよく表す。例えば、現在の実装形態を使用して生成されたマッピング810は、比較的大きい空白領域811を有する。開示される方法及びシステムを使用して生成されるマッピング820は、この空白を含まず、対応する領域821は、正確にマッピングされることが可能である。
【0065】
本明細書に記載の方法はまた、コンピュータシステム(例えば、汎用コンピュータ又はCartoシステムなどの専用コンピュータ)における全体的な方法の実装に必要な段階的なコンピュータコードを生成するために、熟練したソフトウェアエンジニアによって利用され得るアルゴリズムを含み得る。
【0066】
本開示は主に心腔に関するが、本明細書に記載の技術はまた、任意の他の解剖学的構造又は非解剖学的構造をモデル化するために使用できることに留意されたい。例えば、本明細書に記載の技術は、深さ感知用途において使用されてもよい。
【0067】
本明細書の開示に基づいて、多くの変形が可能であることを理解されたい。特徴及び要素は、特定の組み合わせで上述されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素なしで単独で、又は他の特徴及び要素を伴う若しくは伴わない様々な組み合わせで使用することができる。
【0068】
〔実施の態様〕
(1) 標的マッピング部位においてカテーテルから複数の拍動を受信することと、
1つ又は2つ以上の第1のフィルタを前記複数の拍動のうちの各拍動に適用して、前記複数の拍動の第1のサブセットを判定することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動の1つ又は2つ以上の特徴を計算することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動に1つ又は2つ以上の第2のフィルタを適用して、前記複数の拍動の第2のサブセットを判定することであって、前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、計算された前記特徴に関連付けられる、判定することと、
前記複数の拍動の前記第2のサブセットから最適な拍動を選択することと、
前記最適な拍動を3Dマッピングに統合することと、を含む、方法。
(2) 前記標的マッピング部位が、心腔である、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記1つ又は2つ以上の第1のフィルタが、位置安定性、内部距離、カテーテル、サイクル長、心室活動、呼吸、パターンマッチング、及び/又はノイズのうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 計算された前記1つ又は2つ以上の特徴が、局所興奮時間(LAT)信号、双極性電圧信号、分裂信号、及び/又は二重電位(DP)信号のうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記計算された1つ又は2つ以上の特徴が、単極性傾斜、相対LAT安定性及び/又は傾斜安定性、組織近接インジケータ(TPI)及び値、並びに/又は分裂安定性のうちの1つ又は2つ以上を更に含む、実施態様4に記載の方法。
【0069】
(6) 拍動の前記第1のサブセットの各拍動に適用される前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、それぞれの前記拍動の計算された前記1つ又は2つ以上の特徴に依存する、実施態様1に記載の方法。
(7) 1つ又は2つ以上の第3のフィルタを適用することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記1つ又は2つ以上の第3のフィルタが、空間密度及び/又は時間密度のうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) プロセッサを備え、前記プロセッサが、
標的マッピング部位においてカテーテルから複数の拍動を受信することと、
1つ又は2つ以上の第1のフィルタを前記複数の拍動のうちの各拍動に適用して、前記複数の拍動の第1のサブセットを判定することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動の1つ又は2つ以上の特徴を計算することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動に1つ又は2つ以上の第2のフィルタを適用して、前記複数の拍動の第2のサブセットを判定することであって、前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、計算された前記特徴に関連付けられる、判定することと、
前記複数の拍動の前記第2のサブセットから最適な拍動を選択することと、
前記最適な拍動を3Dマッピングに統合することと、を行うように構成されている、システム。
(10) 前記3Dマッピングを表示するように構成されたディスプレイを更に備える、実施態様9に記載のシステム。
【0070】
(11) 前記ディスプレイが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)である、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記標的マッピング部位が、心腔である、実施態様9に記載のシステム。
(13) 前記1つ又は2つ以上の第1のフィルタが、位置安定性、内部距離、カテーテルフィルタ、サイクル長、心室活動、呼吸、パターンマッチング、及び/又はノイズのうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様9に記載のシステム。
(14) 計算された前記1つ又は2つ以上の特徴が、局所興奮時間(LAT)信号、双極性電圧信号、分裂信号、及び/又は二重電位(DP)信号のうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様9に記載のシステム。
(15) 前記計算された1つ又は2つ以上の特徴が、単極性傾斜、相対LAT安定性、組織近接インジケータ(TPI)、及び分裂安定性のうちの1つ又は2つ以上を更に含む、実施態様14に記載のシステム。
【0071】
(16) 拍動の前記第1のサブセットの各拍動に適用される前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、それぞれの前記拍動の計算された前記1つ又は2つ以上の特徴に依存する、実施態様9に記載のシステム。
(17) 前記プロセッサが、1つ又は2つ以上の第3のフィルタを適用するように更に構成されている、実施態様9に記載のシステム。
(18) 前記1つ又は2つ以上の第3のフィルタが、空間密度フィルタ及び/又は時間密度フィルタのうちの1つ又は2つ以上を含む、実施態様17に記載のシステム。
(19) プログラム命令が記憶された有形の非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
プロセッサによって読み取られるときに、前記プロセッサに、
標的マッピング部位においてカテーテルから複数の拍動を受信することと、
1つ又は2つ以上の第1のフィルタを前記複数の拍動のうちの各拍動に適用して、前記複数の拍動の第1のサブセットを判定することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動の1つ又は2つ以上の特徴を計算することと、
前記複数の拍動の前記第1のサブセットの各拍動に1つ又は2つ以上の第2のフィルタを適用して、前記複数の拍動の第2のサブセットを判定することであって、前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、計算された前記特徴に関連付けられる、判定することと、
前記複数の拍動の前記第2のサブセットから最適な拍動を選択することと、
前記最適な拍動を3Dマッピングに統合することと、を行わせる、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(20) 拍動の前記第1のサブセットの各拍動に適用される前記1つ又は2つ以上の第2のフィルタが、それぞれの前記拍動の計算された前記1つ又は2つ以上の特徴に依存する、実施態様19に記載の有形の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】