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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】紙フィルター
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20241024BHJP
   A24D 3/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530501
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022082959
(87)【国際公開番号】W WO2023094439
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2116870.3
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524173969
【氏名又は名称】フィルトローナ プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FILTRONA PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】コルビ、ロシ アナ
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン、アリーフ
(72)【発明者】
【氏名】ラマダン、イルハム ファディラ
(72)【発明者】
【氏名】アニンディア、イアン
(72)【発明者】
【氏名】ファフロニ、アグス
(72)【発明者】
【氏名】ギヤント
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA03
4B045BB02
4B045BB03
4B045BC22
4B045BC26
(57)【要約】
紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びるコアと、コアの周囲表面に巻き付けられた第1の包み紙と、第1の包み紙に巻き付けられた第2の包み紙とを備え、第1の包み紙は、少なくとも第2の包み紙と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端から長手方向に延びる複数のチャネル及び/又はマウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端から長手方向に延びる複数のチャネルを画定する、マウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びるコアと、前記コアの周囲表面に巻き付けられた第1の包み紙と、前記第1の包み紙に巻き付けられた第2の包み紙とを備え、前記第1の包み紙は、少なくとも前記第2の包み紙と共に、前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端から長手方向に延びる複数のチャネル及び/又は前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端から長手方向に延びる複数のチャネルを画定する、マウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項2】
紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びるコアと、前記コアの周囲表面に巻き付けられた第1の包み紙と、前記第1の包み紙に巻き付けられた第2の包み紙とを備え、前記第1の包み紙は、少なくとも前記第2の包み紙と共に、前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の長手方向に延びる複数のチャネルであって、(例えば、前記コア長さの一部のみに延び、)前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端又は下流端のいずれからも延びない、複数のチャネルを画定する、マウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項3】
前記チャネルが、前記コアの長さの一部のみに延びる、請求項1又は2に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項4】
前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の少なくとも1つの長手方向に延びる部分が、その断面内にチャネルを含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項5】
前記チャネルが前記コアの全長に延びる、請求項1に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項6】
前記長さ前記チャネルが、5mm~30mm、例えば9mm~25mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項7】
各チャネルの深さが、0.5mm~2.6mm、例えば0.8~2.2mm、例えば1.3~2.1mm、好ましくは1.35~2mm、例えば1.4~1.9mmである、請求項1~6のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項8】
各チャネルの幅(例えば最大幅)が、1.0~3.0mm、例えば1.3~2.1mm、好ましくは1.35~2mm、例えば1.4~1.9mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項9】
前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端から長手方向に延びる5~25個のチャネル、好ましくは10~16個のチャネル、及び/又は前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端から長手方向に延びる5~25個のチャネル、好ましくは10~16個のチャネルを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項10】
前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端及び/又は下流端から長手方向に延びる前記チャネルの総断面積が、前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の全体的な断面積の2~12%、好ましくは4~8%である、請求項1~9のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項11】
前記第1の包み紙が、60~100gsmの坪量の紙(例えばプラグラップ)、例えば70~90gsmの坪量の紙(例えばプラグラップ)、例えば80gsmの坪量の紙(例えばプラグラップ)である、請求項1~10のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項12】
前記第1の包み紙が空気透過性である、請求項1~11のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項13】
前記第1の包み紙が、前記第2の包み紙と共に前記フィルターの長手方向に延びる前記チャネルを画定する長手方向に延びる波形部(例えば、溝及び隆起部)を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項14】
前記第2の包み紙が、坪量25~140gsmの紙(例えばプラグラップ)、例えば坪量70~90gsmの紙(例えばプラグラップ)、例えば坪量80gsmの紙(例えばプラグラップ)である、請求項1~13のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項15】
前記第1の包み紙と少なくとも前記第2の包み紙とによって画定される複数の更なるチャネルであって、前記コアの長手方向に延び、前記コアの長さの一部のみに延びるが、前記コアの上流端又は下流端のいずれからも延びない、複数の更なるチャネルを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項16】
前記紙濾過材料及び/又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料が、標準紙、不織紙、エアレイド紙、炭素含浸紙、又はセルロース/リヨセル/ビスコース系の紙である、請求項1~15のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項17】
前記紙濾過材料及び/又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料が、非プラスチック植物系繊維(例えば、亜麻、麻、ジュート、サイザル麻、マニラ麻、ココナッツ、竹、デンプン若しくは木材パルプ、又はこれらの材料の混合物)である、請求項1~16のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項18】
前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の長さが、12~30mm、例えば15~28mm、例えば18~26mm、例えば20~24mmである、請求項1~17のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項19】
前記マウスピース又はフィルター要素が、ISO14855-1 Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic materials under controlled composting conditions-Method by analysis of evolved carbon dioxide(プラスチック-制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方-発生二酸化炭素の測定による方法)に従って測定されたときに90%を超える生分解性を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のマウスピース又はフィルター要素。
【請求項20】
前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素が、OECD 301B「Ready Biodegradability」法(修正Sturm試験)に従って測定されたときに、「Ready Biodegradability(易生分解性)」レベルの生分解性を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素と、1つ又は複数の別個の更なるセグメントとを備える、マルチセグメントフィルター。
【請求項22】
巻かれたタバコロッドに一端で(例えば、従来の手段によって、すなわち、チップペーパーによって)接合された請求項1~21のいずれか一項に記載のマウスピース、フィルター、フィルター要素又はマルチセグメントフィルターを備える喫煙物品(例えば、紙巻きタバコ、例えば、加熱式タバコ製品、例えば、HNB製品)。
【請求項23】
マウスピース、フィルター又はフィルター要素を作製するための方法であって、紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びる連続コアを提供するステップと、
前記コアの周囲表面に第1の包み紙(例えば、プラグラップ)を巻き付けて固定するステップと、
巻かれた前記コアに第2の包み紙を巻き付けて固定するステップであって、前記第1の包み紙が、少なくとも前記第2の包み紙と共に、前記コアの長手方向に延びる複数のチャネルを画定する、ステップと、
前記連続コアを切断して、個々のマウスピース又はフィルター要素であって、切断された端が前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端及び前記マウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端を形成するように構成される、個々のマウスピース又はフィルター要素を形成するステップと、を含む方法。
【請求項24】
前記第1の包み紙が、その長さの規則的な部分に沿って長手方向に延びる波形部を有するような、輪郭形成された(例えば、波形の)表面を提供するためにエンボス加工される、請求項23に記載のマウスピース、フィルター又はフィルター要素を作製する方法。
【請求項25】
請求項23~24のいずれか一項に記載の方法によって得られる、マウスピース、フィルター又はフィルター要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙巻きタバコ、加熱式タバコ製品、又は非燃焼加熱製品などの喫煙物品と共に使用するためのマウスピース、フィルター又はフィルター要素を提供する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、加熱式タバコ製品、又は非燃焼加熱(heat-not-burn、HNB)製品などの喫煙物品のためのマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、いくつかの異なる材料から製造され得る。現在、市販の紙巻きタバコのフィルターの98%には、セルロースアセテートが含まれている(情報源:Euromonitor International)。しかしながら、セルロースアセテートは生分解性ではなく、結果として、セルロースアセテートを含むタバコフィルター(及びタバコの吸殻)は、環境中に何年も存続し得る。このため、また2021年に施行される(セルロースアセテートフィルターなどの使い捨てプラスチックの使用を減らすことを目的とする)新しいEU法を考慮すると、使い捨てプラスチックを含まず、かつ生分解性であるフィルター要素(マウスピースなど)への関心が高まっている。
【0003】
セルロースアセテートに代わる濾過材料は紙である。濾過材料として紙を含むフィルターは、当該技術分野において周知である。紙フィルターは、向上した生分解性及び所与の圧力低下でのより高い濾過効率の観点において、セルロースアセテートフィルターよりも多くの利点を提供する。しかしながら、紙フィルターはまた、多くの欠点を有し、例えば、紙フィルターは、紙巻きタバコの味に有害な影響を及ぼし得、毒性フェノール化合物の保持が低い。したがって、従来の紙(モノペーパー)フィルターを使用する紙巻きタバコの喫煙体験は、従来のセルロースアセテートフィルターの紙巻きタバコの喫煙体験に及ばない。
【0004】
したがって、セルロースアセテートなどの従来の材料と比較して改善された生分解性を有しながら、許容可能な濾過及び感覚特性を提供する喫煙物品(例えば、紙巻きタバコ、加熱式タバコ製品、非燃焼加熱(HNB)製品)用のマウスピース、フィルター又はフィルター要素を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、第1の態様では、紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びるコアと、コアの周囲表面に巻き付けられた第1の包み紙(例えば、プラグラップ)と、第1の包み紙に巻き付けられた第2の包み紙(例えば、プラグラップ)とを備えるマウスピース、フィルター又はフィルター要素(例えば、紙巻きタバコ、加熱式タバコ製品、HNB製品などの喫煙物品用)が提供され、第1の包み紙は、少なくとも第2の包み紙と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端から長手方向に延びる複数のチャネル及び/又はマウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端から長手方向に延びる複数のチャネルを画定する。
【0006】
本発明によれば、一態様では、紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びるコアと、コアの周囲表面に巻き付けられた第1の包み紙(例えば、プラグラップ)と、第1の包み紙に巻き付けられた第2の包み紙(例えば、プラグラップ)とを備えるマウスピース、フィルター又はフィルター要素(例えば、紙巻きタバコ、加熱式タバコ製品、HNB製品などの喫煙物品用)が提供され、第1の包み紙は、少なくとも第2の包み紙と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の長手方向に延びる複数のチャネルであって、(例えば、コア長さの一部のみに延び、)マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端又は下流端のいずれからも延びない、複数のチャネルを画定する。
【0007】
本発明の長手方向に延びるコアの紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートではない)濾過材料は、生分解性であり、セルロースアセテートと比較して、向上した生分解性を有する。したがって、本発明は、生分解性が向上したマウスピース、フィルター又はフィルター要素を提供し、したがって、より環境に優しく、EU法により適合する。
【0008】
「生分解性」という用語は、紙又は他の生分解性濾過材料、マウスピース、フィルター又はフィルター要素が、制御されたコンポスト条件下で6ヶ月後に少なくとも90%の生分解を示すことができることを指す(ISO14855-1 Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic materials under controlled composting conditions-Method by analysis of evolved carbon dioxide(プラスチック-制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方-発生二酸化炭素の測定による方法)を参照)。
【0009】
好ましくは、紙又は他の生分解性濾過材料、マウスピース、フィルター又はフィルター要素は、「易生分解性」である。「易生分解性」という語句は、紙又は他の生分解性濾過材料、マウスピース、フィルター又はフィルター要素が、水に浸漬されたときに迅速に分解し、完全に生分解することができることを指す。好ましくは、紙又は他の生分解性濾過材料、マウスピース、フィルター又はフィルター要素は、当該技術分野において周知であるOECD 301B「Ready Biodegradability」法(修正Sturm試験)に従って測定される「Ready Biodegradability(易生分解性)」レベルの生分解性を有する。「易生分解性」という語句は、本明細書では、「易生分解性」レベルの生分解性を意味するものと理解される。
【0010】
いくつかの例では、チャネルは、コアの長さの一部のみに延びてもよい。他の例では、チャネルは、コアの全長に延びてもよい。
【0011】
チャネルがコアの長さの一部のみに延び得る場合、チャネルは、チャネルが延びるマウスピース、フィルター又はフィルター要素の端から離れた端で閉鎖又は遮断されることが理解されるであろう。チャネルがコアの全長にわたって延びる場合、チャネルは、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端及び下流端の両方で開いていることが更に理解されるであろう。
【0012】
マウスピース、フィルター又はフィルター要素の少なくとも1つの長手方向に延びる部分は、その断面内にチャネルを含まなくてもよい。部分(複数可)は、マウスピース、フィルター若しくはフィルター要素のいずれかの端又は両方の端(すなわち、下流端及び/若しくは上流端)に位置してもよく、あるいは部分は、マウスピース、フィルター、又はフィルター要素の中央に位置してもよいことが理解されるであろう。
【0013】
その断面内にチャネルを含まないマウスピース、フィルター又はフィルター要素の部分(又は各部分)は、本明細書では棒又は棒部分と呼ばれる。長手方向に延びるチャネル(コアの全長又はコアの長さの一部のみに延びる)を含むマウスピース、フィルター又はフィルター要素の部分(又は各部分)は、本明細書では、溝又は溝付き部分と呼ばれる。
【0014】
一例では、本発明によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の一端に9mmの溝部分を含み、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の残りの長さ(すなわち、マウスピース、フィルター又はフィルター要素のもう一方の端)に18mmの棒部分を含む。別の例では、本発明によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端に7mmの溝部分と、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端に7mmの溝部分と、溝付き部分の間に7mmの棒部分とを含む。別の例では、本発明によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、完全に溝付きであり、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の全長にわたって27mmの溝部分を含む。更なる例では、本発明によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端に7mmの棒部分と、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端に7mmの棒部分と、棒部分の間に7mmの溝部分とを含む。したがって、本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、溝付き部分及び/又は棒部分を有することができる。
【0015】
溝付き部分(複数可)の長さは、5~30mm、例えば8~25mm、例えば10~20mm、例えば12~15mmであってもよい。棒部分(複数可)の長さは、5~30mm、例えば8~25mm、例えば10~20mm、例えば12~15mmであってもよい。
【0016】
本出願人らは、溝又は溝及び棒を備えるマウスピース、フィルター又はフィルター要素が、従来の紙(例えば、モノペーパー)フィルターと比較して、特にフェノールに関して、改善された濾過性能を提供し得ることを見出した。理論に束縛されるものではないが、溝付き部分(複数可)のチャネルは、煙濾過に利用可能な表面積を増加させ、その結果、モノペーパーフィルターと比較してフェノール収率を減少させると考えられる。一例では、本発明によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、モノペーパーフィルターと比較して、フェノール収率を最大12%低減することができる。
【0017】
更に、本出願人らは、溝又は溝及び棒を備える他のマウスピース、フィルター又はフィルター要素、例えば、溝を作るために可塑剤と結合されたセルロースアセテートから作製されるCorinthian(商標)フィルター、例えば、CPS(商標)フィルターと比較して、本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、プラスチックを含まず、したがって、生分解性であるが、依然として許容可能な濾過特性及び感覚特性を提供することを見出した。
【0018】
好ましくは、チャネルの長さは、5mm~30mm、例えば9mm~25mmである。一端(上流又は下流)から長手方向に延びるチャネルは、もう一方の端から延びるチャネルと異なる長さであってもよく、又は同じ長さであってもよい。
【0019】
チャネルは、好ましくは、チャネルの長手方向範囲にわたって実質的に均一な深さであるが、例えば、チャネルがコアの長さの一部のみに延び、その結果、閉鎖された端を有する場合、変動があってもよい。各チャネルの深さ(例えば、最大深さ)は、0.5mm~2.6mm、例えば0.8~2.2mm、例えば1.3~2.1mm、好ましくは1.35~2mm、例えば1.4~1.9mmである。
【0020】
各チャネルの幅(例えば最大幅)は、1.0~3.0mm、例えば1.3~2.1mm、好ましくは1.35~2mm、例えば1.4~1.9mmである。
【0021】
マウスピース、フィルター又はフィルター要素は、マウスピース、フィルター若しくはフィルター要素の上流端から長手方向に延びる5~25個のチャネル、好ましくは10~16個のチャネル、及び/又はマウスピース、フィルター若しくはフィルター要素の下流端から長手方向に延びる5~25個のチャネル、好ましくは10~16個のチャネルを含んでもよい。
【0022】
これらのチャネルの総断面積は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の全体的な断面積の2~12%、好ましくは4~8%に相当し得る。
【0023】
本出願人らは、これらの寸法のチャネルを備えるマウスピース、フィルター又はフィルター要素が、標準的な紙(例えば、モノペーパー)及び標準的なセルロースアセテート(例えば、モノアセテート)フィルターと比較して改善された口当たりの良さを提供し得ることを見出した。理論に縛られることを望むものではないが、これらの寸法のチャネルによって提供される追加の通気は、紙フィルターに典型的に関連する「紙の味」を克服するのに役立ち、煙又は蒸気の刺激を低減し、その結果、口当たりの良さを改善すると考えられる。
【0024】
第1の包み紙は、60~100gsmの坪量の紙、例えば、70~90gsmの坪量の紙(例えば、プラグラップ)、例えば、80gsmの坪量の紙(例えば、プラグラップ)であってもよい。好ましくは、第1の包み紙は空気透過性である。
【0025】
第1の包み紙は着色されていてもよい。第1の包み紙は、着色された紙(例えば、プラグラップ)であってもよい。色は、黒、赤、黄、オレンジ、緑、青、ピンク、紫など、又はそれらの様々な色調であってもよい。本明細書において、「着色された」とは、白又はオフホワイト(すなわち、紙の色)とは異なる色(すなわち、色相)を意味する。
【0026】
本出願人らは、第1の包み紙が保持する着色された紙(例えば、プラグラップ)を使用することにより、視覚的に魅力的であり、偽造に対抗するのに役立ち得る、独特な端の外観を提供し得ることを見出した。
【0027】
第1の包み紙は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の長手方向に延びるチャネルを第2の包み紙と共に画定する、長手方向に延びる波形部(例えば、溝及び隆起部)を有してもよい。第1の包み紙は、その長さの規則的な部分に沿って長手方向に延びる波形部(例えば、溝及び隆起部)を有するような、輪郭形成された表面を有するシートであってもよい。第1の包み紙は、輪郭形成された(例えば、波形の)表面が第2の包み紙に面する状態で、コアの周囲表面に巻き付けられてもよい。各チャネルは、第1の包み紙の波形部と第2の包み紙の内面との間に設けられてもよい。紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料のコアは、第1の包み紙の輪郭形成された(例えば、波形の)表面に適合され得る。
【0028】
第1の包み紙は、波形部分(すなわち、上述のような長手方向に延びる波形部)と、輪郭形成されていない(すなわち、平坦)部分とを有してもよい。第1の包み紙は、その長さの規則的な部分に沿って長手方向に延びる波形部(例えば、溝及び隆起部)と、その長さの規則的な部分に沿って平坦な部分とを有するような、輪郭形成された表面及び平坦な表面を交互に有するシートであってもよい。上述したように、第1の包み紙の波形部分は、少なくとも第2の包み紙と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の長手方向に延びるチャネル(すなわち、溝付き部分)を画定することができるが、第1の包み紙の平坦部分は、第1の包み紙の平坦部分が周りに巻き付けられるコア(すなわち、棒部分)の長さにおいて[少なくとも第2の包み紙と共に]チャネルを画定しなくてもよい。したがって、第1の包み紙の波形部分及び平坦部分は、少なくとも第2の包み紙と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の溝付き領域及び棒領域をそれぞれ画定することができる。紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料のコアは、第1の包み紙の輪郭形成された(例えば、波形の)及び/又は輪郭形成されていない(すなわち、平坦な)表面に適合されてもよいことが理解されるであろう。
【0029】
本出願人らは、第1の包み紙のための輪郭形成された(例えば、波形の)表面を有する坪量80gsmの紙包み紙を使用することにより、チャネルの構造的一体性及び深さを維持することを見出した。
【0030】
第2の包み紙は、25~140gsmの坪量の紙、例えば、60~100gmの坪量の紙(例えば、プラグラップ)、例えば、80gsmの坪量の紙(例えば、プラグラップ)であってもよい。
【0031】
第2の包み紙は、空気透過性(例えば、最大32000コレスタ単位)であってもよい。あるいは、第2の包み紙は空気不透過性であってもよい。
【0032】
マウスピース又はフィルター又はフィルター要素は、第1の包み紙と少なくとも第2の包み紙とによって画定される複数の更なるチャネルであって、コアの長手方向に延び、コアの長さの一部のみに延びるが、コアの上流端又は下流端のいずれからも延びない、複数の更なるチャネルを含んでもよい。マウスピース又はフィルター又はフィルター要素は、コアの長手方向に延び、コアの長さの一部のみに延びるが、コアの上流端又は下流端のいずれからも延びない、5~25個の更なるチャネル、好ましくは10~16個の更なるチャネルを含んでもよい。そのような例では、チャネルを有さないフィルターの2つ以上の部分(すなわち、2つ以上の棒部分)が存在する。
【0033】
一例では、本発明によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の一端の5mm溝部分と、溝部分に隣接する5mm棒部分と、マウスピースのもう一方の端の5mm溝部分と、溝部分に隣接する5mm棒部分と、棒部分の間に更なる5mm溝部分とを含み、その結果、この部分のチャネルはコアの上流端又は下流端のいずれからも延びない。
【0034】
紙濾過材料及び/又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料は、喫煙物品用のフィルターにおいて従来使用される紙(任意の形態)とすることができる。紙濾過材料及び/又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料は、標準紙、不織紙、エアレイド紙、炭素含浸紙、又はセルロース/リヨセル/ビスコース系紙であってもよい。
【0035】
紙濾過材料及び/又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料は、非プラスチック植物系繊維(例えば、亜麻、麻、ジュート、サイザル麻、マニラ麻、ココナッツ、竹、デンプン、又は木材パルプ又はこれらの材料の混合物)であり得る。
【0036】
本出願人らは、標準的な紙濾過材料の使用が良好な濾過特性を有し、可撓性があるため、第1の包み紙の輪郭形成された(例えば、波形の)及び/又は輪郭形成されていない(すなわち、平坦な)表面に容易に適合することができ、チャネルが第1の包み紙と第2の包み紙との間のみにあることを意味するので、本発明のコアに特に好適であり得ることを見出した。
【0037】
好ましくは、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の長さは、12~30mm、例えば15~28mm、例えば18~26mm、例えば20~24mmである。
【0038】
好ましくは、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の周囲は、14~30mm、例えば16~25mm、例えば24~25mmである。
【0039】
マウスピース又はフィルター要素は、生分解性であってもよく、ISO14855-1 Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic materials under controlled composting conditions-Method by analysis of evolved carbon dioxide(プラスチック-制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方-発生二酸化炭素の測定による方法)に従って測定される生分解性が90%より高くてもよい。
【0040】
好ましくは、マウスピース、フィルター又はフィルター要素は、OECD 301B「Ready Biodegradability」法(修正Sturm試験)に従って測定されたときに「Ready Biodegradability(易生分解性)」レベルの生分解性を有する。
【0041】
マウスピース、フィルター又はフィルター要素は、消費者の体験を改質又は向上させ得る煙改質剤又は蒸気改質剤を含んでもよい。煙改質剤又は蒸気改質剤は、マウスピース又はフィルターを通過する蒸気に追加の味又は芳香を付与することができる、又は特定の風味又は芳香を抑制することができる。煙改質剤又は蒸気改質剤は、紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びるコアの中若しくは上、又は第1及び/若しくは第2の包み紙上に位置してもよい。煙又は蒸気改質剤は、微粒子添加剤であってもよい。微粒子添加剤は、活性炭(例えば、活性炭顆粒)、ゼオライト、イオン交換樹脂(例えば、弱塩基性アニオン交換樹脂)、セピオライト(例えば、セピオライト顆粒)、シリカゲル、アルミナ、モレキュラーシーブ、炭素質ポリマー樹脂及び珪藻土であってもよい。微粒子添加剤は、2つ以上の材料の混合物であってもよい。煙改質剤又は蒸気改質剤は、液体添加剤(例えば、風味向上添加剤、例えば、煙化学効果)であってもよい。風味向上添加剤は、当該技術分野で既知の任意のもの、例えば、好適な担体、例えばプロピレングリコール、植物性グリセリン、中鎖トリグリセリド(medium-chain triglyceride、MCT)油、他の油、を伴うメントール、ペパーミント、果実、ベリー、バニラ、チョコレート、コーヒーなど)であってもよい。煙化学効果のための添加剤は、PG、PEG、トリアセチン又はTECであってもよい。
【0042】
本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、1つ又は複数の別個の更なるセグメントを有する単一セグメントとしてマルチセグメントフィルターにおいて使用されてもよい。フィルター構造体は、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の別個のセグメントであることができよう。別個のセグメントは、例えば、カプセル、炭素、CPS、チューブ、アセテート、紙、メントールなどを含み得る濾過材料(例えば、紙濾過材料及び/又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料)の(例えば、円筒形の)プラグであり得る。マルチセグメントフィルターは、タバコロッド(任意の形態のタバコ(再構成を含む)から作製され得る)に取り付けられ得る。
【0043】
本発明によれば、巻かれたタバコロッドに一端で(例えば、従来の手段によって、すなわち、チップペーパーによって)接合された、本明細書に記載され、以下で特許請求されるマウスピース、フィルター、フィルター要素又はマルチセグメントフィルターを備える喫煙物品(例えば、紙巻きタバコ、例えば、加熱式タバコ製品、例えば、HNB製品)が提供される。
【0044】
一例では、本発明による喫煙物品は、フィルターの一端に9mmの溝部分と、巻かれたタバコロッドに溝付き端において接合された(すなわち、チップペーパーによって)フィルターの残りの長さとして18mmの棒部分と、を含む本発明によるフィルターを備える。別の例では、本発明による喫煙物品は、フィルターの一端に9mmの溝部分と、巻かれたタバコロッドに棒端において接合された(すなわち、チップペーパーによって)フィルターの残りの長さとして18mmの棒部分とを含む本発明によるフィルターを備える。
【0045】
上記の例では、喫煙物品の端の外観は、溝付き端又は棒端が巻かれたタバコロッドに接合されているかどうか、したがって、溝付き端又は棒端が喫煙物品の吸い口端にあり、したがって目に見えるかどうかに応じて、消費者には異なって見えることが理解されよう。本出願人らは、喫煙物品の吸い口端に溝付き部分(棒部分とは対照的に)を配置することによって、消費者に、視覚的に魅力的であり、偽造に対抗するのに役立ち得る、独特な端の外観を提供することができることを見出した。
【0046】
あるいは、喫煙物品の吸い口端において棒部分を配置することは、標準的な単一セグメント(すなわち、モノペーパー)フィルターの印象を与え得る。
【0047】
本発明によれば、別の態様において、マウスピース、フィルター又はフィルター要素を作製するための方法が提供され、方法は、
紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の長手方向に延びる連続コアを提供するステップと、
コアの周囲表面に第1の包み紙(例えば、プラグラップ)を巻き付けて固定するステップと、
巻かれたコアに第2の包み紙を巻き付けて固定するステップであって、第1の包み紙が、少なくとも第2の包み紙と共に、コアの長手方向に延びる複数のチャネルを画定する、ステップと、
連続コアを切断して、個々のマウスピース又はフィルター要素であって、切断された端がマウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端及びマウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端を形成するように構成される、個々のマウスピース又はフィルター要素を形成するステップと、を含む。
【0048】
第1の包み紙は、その長さの規則的な部分に沿って長手方向に延びる波形部(例えば、溝及び隆起部)を有するような、輪郭形成された表面を提供するためにエンボス加工されたシートであってもよい。
【0049】
好ましくは、第1の包み紙は、それらの長手方向範囲にわたって均一な深さ及び幅の溝を提供するように均一にエンボス加工される。溝の深さは、0.5mm~2.6mm、例えば0.8~2.2mm、例えば1.3~2.1mm、好ましくは1.35~2mm、例えば1.4~1.9mmであってもよい。各溝の幅(例えば最大幅)は、1.0~3.0mm、例えば1.3~2.1mm、好ましくは1.35~2mm、例えば1.4~1.9mmであってもよい。
【0050】
第1の包み紙は、エンボス加工された(例えば、波形の)部分及び輪郭形成されていない(すなわち、平坦な)部分を有してもよい。エンボス加工された部分及び平坦な部分は、交互であってもよく、同じ又は異なる長さであってもよい。
【0051】
第1の包み紙の波形部分は、少なくとも第2の包み紙と共に、コアの長手方向に延びるチャネル(すなわち、溝付き部分)を画定することができるが、第1の包み紙の平坦部分は、包み紙の平坦部分が周りに巻き付けられるコア(すなわち、棒部分)の長さにおいて[少なくとも第2の包み紙と共に]チャネルを画定しなくてもよいことが理解されるであろう。したがって、第1の包み紙の波形部分及び平坦部分は、少なくとも第2の包み紙と共に、個々のマウスピース、フィルター又はフィルター要素の溝付き領域及び棒領域をそれぞれ画定することができる(すなわち、切断後)。
【0052】
紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料の連続コアは、連続コアに沿った任意の位置で軸方向に切断されて、個々のマウスピース又はフィルター要素を形成してもよい。切断された端は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の上流端及びマウスピース、フィルター又はフィルター要素の下流端を形成することが理解されるであろう。したがって、連続コアが溝付き部分又は棒部分を通って切断され、あるいは溝付き部分又は棒部分の間で切断されるかどうかに応じて、マウスピース、フィルター又はフィルター要素(すなわち、溝-棒、すなわち溝-棒-煙道、すなわち溝、すなわち棒-溝-棒)の長さ及び配置が決まる。
【0053】
上述の紙又は他の生分解性(例えば、セルロースアセテートを含有しない)濾過材料、第1の包み紙、第2の包み紙及びチャネルの寸法などは、マウスピース、フィルター又はフィルター要素を作製する方法において使用され得ることが理解されるであろう。
【0054】
本発明によれば、本明細書に記載され、以下で特許請求される方法によって得られるマウスピース、フィルター又はフィルター要素が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
次に、添付の図を参照して本発明を更に詳細に説明する。
図1】本発明の一例によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素の斜視図を示す。
図2】本発明の別の例によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素の斜視図を示す。
図3】本発明の別の例によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素の斜視図を示す。
図4】本発明の別の例によるマウスピース、フィルター又はフィルター要素の斜視図を示す。
図5】本発明のフィルターの主流煙送達物と、従来の紙フィルター及びCPSアセテートフィルターとの比較を示す。
【0056】
図1は、長さ27mm及び周囲24mmのマウスピース、フィルター又はフィルター要素100を示す。マウスピース、フィルター又はフィルター要素100は、長さ27mmの標準的な紙濾過材料の長手方向に延びるコア101と、コア101の周囲表面に巻き付けられた80gsmの紙の第1の包み紙102と、第1の包み紙102に巻き付けられた100gsmの紙の第2の包み紙103とを備える。第1の包み紙102は、少なくとも第2の包み紙103と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素101の上流端(すなわち、溝付き部分)から長手方向に延びる、深さ1.5mm、幅1.2mm及び長さ9mmの16個のチャネル104を画定する。これらのチャネルの総断面積は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の全体的な断面積の6.1%である。マウスピース、フィルター又はフィルター要素100の長さの残りの18mmは、その断面(すなわち、棒部分)内にチャネルを含まない。
【0057】
マウスピース、フィルター又はフィルター要素100は、
36gsmの標準紙濾過材料の長手方向に延びる連続コアを提供するステップと、
80gsmの紙の第1の包み紙を、エンボス加工された(例えば、波形の)部分と輪郭形成されていない(すなわち、平坦な)部分とが交互になるように、コアの周囲表面に巻き付けて固定するステップと、
巻かれたコアに100gsmの紙の第2の包み紙を巻き付けて固定するステップであって、第1の包み紙が、少なくとも第2の包み紙と共に、コアの長手方向に延びる複数のチャネルを画定する、ステップと、
第1の包み紙のエンボス加工された部分と輪郭形成されていない部分との間で連続コアを切断して、個々のマウスピース、フィルター又はフィルター要素100であって、切断された端がマウスピース、フィルター又はフィルター要素の溝付き上流端及びマウスピース、フィルター又はフィルター要素の棒下流端を形成するように構成される、個々のマウスピース、フィルター又はフィルター要素100を形成するステップと、を含む方法によって、当該技術分野で周知の技法を使用して、作製することができる。
【0058】
図2は、長さ27mm及び周囲24mmのマウスピース、フィルター又はフィルター要素200を示す。マウスピース、フィルター又はフィルター要素200は、長さ27mmの標準的な紙濾過材料の長手方向に延びるコア201と、コア201の周囲表面に巻き付けられた80gsmの紙の第1の包み紙202と、第1の包み紙202に巻き付けられた100gsmの紙の第2の包み紙203とを備える。第1の包み紙202は、少なくとも第2の包み紙203と共に、コア201の全長に沿って長手方向に延びる、深さ1.2mm、幅1.8mm、長さ27mmの16個のチャネル204を画定する。これらのチャネルの総断面積は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の全体的な断面積の4.5%である。
【0059】
上述したマウスピース、フィルター又はフィルター要素100を作製する方法は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素200を作製するために使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、マウスピース、フィルター又はフィルター要素200を作製するための方法において、第1の包み紙は、その長さの規則的な部分に沿って長手方向に延びる波形部(例えば、溝及び隆起部)を有するようにエンボス加工されるだけであり、輪郭形成されていない(すなわち、平坦)部分を含まない。
【0060】
図3は、長さ27mm及び周囲24mmのマウスピース、フィルター又はフィルター要素300を示す。マウスピース、フィルター又はフィルター要素300は、長さ27mmの標準的な紙濾過材料の長手方向に延びるコア301と、コア301の周囲表面に巻き付けられた80gsmの紙の第1の包み紙302と、第1の包み紙302に巻き付けられた100gsmの紙の第2の包み紙303とを備える。第1の包み紙302は、少なくとも第2の包み紙303と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素300の上流端から長手方向に延びる深さ1.35mm、幅1.35mm及び長さ9mmの16個のチャネル304と、マウスピース、フィルター又はフィルター要素300の下流端から長手方向に延びる深さ1.35mm、幅1.35mm及び長さ9mmの12個のチャネル304とを画定する。これらのチャネルの総断面積は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の全体的な断面積の4.8%である。マウスピース、フィルター又はフィルター要素300の長さの残りの9mmは、その断面(すなわち、棒部分)内にチャネルを含まない。
【0061】
上述したマウスピース、フィルター又はフィルター要素100を作製する方法は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素300を作製するために使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、マウスピース、フィルター又はフィルター要素300を作製するための方法では、連続コアは、第1の包み紙のエンボス加工された部分を通って切断され、したがって、切断された端は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素300の溝付き上流端及び下流端を形成する。
【0062】
図4は、長さ27mm及び周囲24mmのマウスピース、フィルター又はフィルター要素400を示す。マウスピース、フィルター又はフィルター要素400は、長さ27mmの標準的な紙濾過材料の長手方向に延びるコア401と、コア401の周囲表面に巻き付けられた80gsmの紙の第1の包み紙402と、第1の包み紙402に巻き付けられた100gsmの紙の第2の包み紙403とを備える。第1の包み紙402は、少なくとも第2の包み紙403と共に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素400の上流端又は下流端のいずれからも延びない、深さ1.35mm、幅1.35mm、長さ7mmの16個のチャネル404を画定する。これらのチャネルの総断面積は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素の全体的な断面積の4.8%である。7mmの溝付き部分の両側の2つの残りの7mmの長さのマウスピース、フィルター又はフィルター要素400は、それらの断面(すなわち、棒部分)内にチャネルを含まない。
【0063】
上述したマウスピース、フィルター又はフィルター要素100を作製する方法は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素400を作製するために使用されてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、マウスピース、フィルター又はフィルター要素400を作製するための方法では、連続コアは、第1の包み紙の輪郭形成されていない(すなわち、平坦)部分を通って切断され、したがって、切断された端は、マウスピース、フィルター又はフィルター要素400の棒上流端及び下流端を形成する。
【0064】
マウスピース、フィルター又はフィルター要素100、200、300及び400は、1つ又は複数の別個の更なるセグメントを有する単一セグメントとして、マルチセグメントフィルターにおいて使用されてもよいことが理解されるであろう。更に、マウスピース、フィルター又はフィルター要素100、200、300及び400、あるいは100、200、300又は400を備えるマルチセグメントフィルターは、喫煙物品(例えば、紙巻きタバコ、例えば、加熱式タバコ製品、例えば、HNB製品)として使用するために、巻かれたタバコロッドに一端で接合されてもよいことが理解されるであろう。
【0065】
煙及び感覚実験1
図1に示されるような)本発明のフィルターAは、上述の方法によって作製された。フィルターを、従来の紙フィルター(すなわち、モノペーパー)及び従来のセルロースアセテートフィルター(すなわち、モノアセテート)と比較して試験した。
【0066】
フィルターA、モノペーパーフィルター及びモノアセテートフィルターを、巻かれたタバコロッドに一端で各フィルターを接合して紙巻きタバコを形成することによって、煙試験用に組み立てた。次いで、各紙巻きタバコの吸い口端を、紙巻きタバコを喫煙するように構成された喫煙機に挿入した。実験は、標準的な室温及び湿度で行った。
【0067】
フィルターAを備える紙巻きタバコの煙中のフェノールの量(30.8mg/紙巻きタバコ)は、モノペーパーフィルターを備える紙巻きタバコの煙中のフェノールの量(34.7mg/紙巻きタバコ)よりも低い。したがって、本発明のフィルターは、モノペーパーフィルターと比較して、フェノールの量を12%まで減少させることができる。
【0068】
フィルターA、モノペーパーフィルター及びモノアセテートフィルターを、巻かれたタバコロッドに一端で各フィルターを接合して紙巻きタバコを形成することによって、感覚試験用に組み立てた。予備的な喫煙パネルの結果は、本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素が、モノペーパーフィルター及びモノアセテートフィルターと比較して口当たりの良さを改善し得ることを示唆する。
【0069】
煙及び感覚実験2
図1に示されるような)本発明のフィルターAは、上述の方法によって作製された。フィルターを、可塑剤によって互いに結合された高品質の圧着されたセルロースアセテート繊維を有する同じ構造のセルロースアセテートフィルター(すなわち、Essentra plc.から入手可能なCombined Performance Superior(商標)(CPS(商標))フィルター)と比較して試験した。このフィルターはCPSアセテートと呼ばれる。
【0070】
フィルターA及びCPSアセテートフィルターを、巻かれたタバコロッドに一端で各フィルターを接合して紙巻きタバコを形成することによって、煙試験用に組み立てた。次いで、各紙巻きタバコの吸い口端を、紙巻きタバコを喫煙するように構成された喫煙機に挿入した。実験は、標準的な室温及び湿度で行った。
【0071】
図5は、各フィルター付き紙巻きタバコの煙中のフェノール、ニコチンフリー乾燥粒子状物質(NFDPM)、ニコチン、一酸化炭素及び水の量を示す。比較用に、煙及び感覚実験1からのモノペーパーフィルター付き紙巻きタバコの結果を図5に含めた。
【0072】
フィルターAは、CPSアセテートフィルター(13.69mg/紙巻きタバコ)よりも低いニコチンフリー乾燥粒子状物質(NFDPM)収率(11.4mg/紙巻きタバコ)を有する。したがって、本発明のフィルターは、CPSアセテートフィルターと比較してNFDPMの量を低減することができる。フィルターAはまた、CPSフィルターに匹敵するニコチン、一酸化炭素及び水収率を有し、本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素が同じ構造のセルロースアセテートフィルターに匹敵することを示す。したがって、本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素は、同等の濾過特性を有するCPSアセテートフィルターの生分解性代替物を提供することができる。
【0073】
フィルターA及びCPSアセテートフィルターを、巻かれたタバコロッドに一端で各フィルターを接合して紙巻きタバコを形成することによって、感覚試験用に組み立てた。喫煙パネルの結果は、本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素が、モノペーパー及びCPSアセテートフィルターと比較して口当たりの良さを改善することを示唆する。実験において、フィルターAは、モノペーパーフィルターよりも滑らかな煙を提供し、両方ともCPSアセテートよりも滑らかな煙を提供した。
【0074】
生分解性実験
本発明のマウスピース、フィルター又はフィルター要素で使用される紙濾過材料及び/又は他の生分解性(例えば、非セルロースアセテート含有)濾過材料の生分解性を、既知のセルロースアセテートフィルター及びセルロースアセテートを含有するフィルターの生分解性と比較した。
【0075】
生分解性は、ISO14855-1 Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic materials under controlled composting conditions-Method by analysis of evolved carbon dioxide(プラスチック-制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方-発生二酸化炭素の測定による方法)に従って測定した。この試験は、最適な酸素、温度及び湿度条件下での180日間にわたる材料の生分解性の尺度(百分率として表される)を提供する。
【0076】
表1は、ISO14855-1の方法に従って試験した際の、従来のセルロースアセテート(CA)フィルターロッドと比較した、モノアセテートフィルター、エアレイド紙フィルター(Genia)、木材パルプ紙フィルター及び麻紙フィルターについての生分解性結果を示す。フィルターは、購入するか、又は当該技術分野で既知の方法に従って作製した。
【0077】
【表1】
【0078】
表1は、木材パルプ紙及び麻紙が全ての濾過材料の中で最も高い生分解性を有することを示している。更に、エアレイド紙(Genia)も、CAと比較して良好な生分解性を示す。
【0079】
したがって、本発明のマウスピース又はフィルター要素に使用される紙濾過材料及び/又は他の生分解性フィルター材料は、セルロースアセテートよりも速く、より広範囲に分解する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】