IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特表2024-540653積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法および測定装置
<>
  • 特表-積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法および測定装置 図1
  • 特表-積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法および測定装置 図2
  • 特表-積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法および測定装置 図3
  • 特表-積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法および測定装置 図4
  • 特表-積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法および測定装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法および測定装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530565
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2022082422
(87)【国際公開番号】W WO2023094278
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130653.1
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン マズーフ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュレーダー
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB11
5H028BB19
5H028CC08
(57)【要約】
複数の電極シート(1,2,3)の積層精度を決定するための方法が提案され、電極シート(1,2,3)は、少なくともそれぞれ1つのアノードシート(1)、1つのカソードシート(2)、および1つのセパレータシート(3)を含み、ここで、電極シート(1,2,3)は、相互に平行な平面(4)内を延在し、相互に積層されて配置され、1つの積層体(5)を形成し、ここで、積層精度は、少なくとも積層体(5)内の電極シート(1,2,3)のうちの1つの電極シートの境界縁部(9)のそれぞれの位置(6,7,8)を表し、ここで、本方法は、少なくとも1つのカメラ(11)と1つの光源(12)とを有する測定装置(10)を用いて実施される。さらに、本方法を実施するための測定装置(10)も提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極シート(1,2,3)の積層精度を決定するための方法であって、
前記電極シート(1,2,3)は、少なくともそれぞれ1つのアノードシート(1)、1つのカソードシート(2)、および1つのセパレータシート(3)を含み、前記電極シート(1,2,3)は、相互に平行な平面(4)内を延在し、相互に積層されて配置され、1つの積層体(5)を形成し、前記積層精度は、少なくとも前記積層体(5)内の前記アノードシート(1)、前記カソードシート(2)、または前記セパレータシート(3)の境界縁部(9)のそれぞれの位置(6,7,8)を表し、前記方法は、少なくとも1つのカメラ(11)と1つの光源(12)とを有する測定装置(10)を用いて実施され、少なくとも以下のステップ:
a)前記積層体(5)を提供し、前記積層体(5)を前記測定装置(10)内に配置するステップであって、前記光源(12)と前記カメラ(11)との間の接続直線(27)は、前記平面(4)に対して実質的に平行に延びているステップと、
b)前記積層体(5)を前記光源(12)を用いて照明し、それによって、光ビーム(13)が少なくとも前記積層体(5)の1つの領域(14)を貫通するか、または当該領域(14)から反射され、前記光ビーム(13)は前記カメラ(11)によって捕捉されるステップと、
c)前記カメラ(11)を用いた少なくとも前記積層体(5)の前記領域(14)の1つの写像(15)を記録するステップと、
d)前記写像(15)を評価し、少なくとも前記アノードシート(1)、前記カソードシート(2)、または前記セパレータシート(3)の前記領域(14)内に配置された前記境界縁部(9)の前記位置(6,7,8)を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記積層体(5)は、前記複数の電極シート(1,2,3)によって形成される複数の側面(16,17,18,19)を有し、前記積層体(5)は、前記ステップa)において、前記接続直線(27)が、相互に180度未満の最小の第1の角度(20)で配置された第1の側面(16)と第2の側面(17)とを通って延びるように前記光源(12)と前記カメラ(11)との間に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の側面(16)と前記第2の側面(17)とが相互に隣接して配置される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記領域(14)は、相互に隣接する側面(16,17)によって形成される前記積層体(5)の縁部(25)を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ステップd)において、少なくとも前記アノードシート(1)と前記カソードシート(2)との境界縁部(9)の位置(6,7,8)が決定される、請求項1~4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記光源(12)は、可視光を生成する、請求項1~5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記光ビーム(13)は、少なくともコヒーレントまたはコリメートされ、前記平面(4)に対して実質的に平行に延びる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
少なくとも前記ステップd)のために、人工知能が使用される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施するための測定装置(10)であって、少なくともカメラ(11)と光源(12)とを含み、相互に平行な平面(4)内を延在する相互に積層された電極シート(1,2,3)からなる積層体(5)が、前記カメラ(11)と前記光源(12)とに対して、当該光源(12)と当該カメラ(11)との間の接続直線(27)が前記平面(4)に対して実質的に平行に延びるように配置可能である、測定装置(10)。
【請求項10】
少なくとも2つのカメラ(11,21)と2つの光源(12,22)とを含み、前記積層体(5)は、複数の電極シート(1,2,3)によって形成された複数の側面(16,17,18,19)を有し、前記カメラ(11,21)および前記光源(12,22)は、第1のカメラ(11)と第1の光源(12)との間の第1の接続直線(27)が、相互に180度未満の最小の第1の角度(20)で配置された前記積層体(5)の第1の側面(16)と第2の側面(17)とを通って延び、かつ第2のカメラ(21)と第2の光源(22)との間の第2の接続直線(27)が、相互に180度未満の最小の角度(20)で配置された前記積層体(5)の第3の側面(18)と第4の側面(19)とを通って延びるように配置されている、請求項9記載の測定装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法ならびに測定装置に関する。電極シートは、相互に平行な平面内を延在し、相互に積層されて配置され、1つの積層体を形成する。積層精度は、積層体内の電極シート相互の境界縁部の位置を表す。
【0002】
自動車の駆動のために、バッテリー、特にリチウムイオン電池がますます使用されている。これらの電池は、通常セルから構成され、ここで、各セルは、アノードシート、カソードシート、および場合によってはセパレータシートもしくはセパレーター材料の複合体を有している。これらのアノードシート、カソードシート、および場合によってはセパレータシートは、以下では電極シートと称する。
【0003】
これらの電極シートは、通常パンチングまたは例えばレーザーカッティングなどの切断技術によって製造される。
【0004】
積層体内の個々の電極シートの積層精度は、リチウムイオン電池セルの安全関連の品質基準とその性能に重大な影響を及ぼす。電池セルの電気化学的性能は、動作中の電極被覆率または活性物質の被覆率が低いほど、より急速に低下する。付加的に、アノードシートとカソードシートとの直接接触により、電池セルの短絡や故障がトリガされる。この理由から、積層体内の基準を、積層体が電池セルのハウジングに収納される前に検査する必要がある。積層精度、つまり個々の電極シート相互の位置のずれは、狭い境界内に維持されなければならない。
【0005】
積層精度を求めるための確立された手法は、コンピュータ断層撮影(CT)である。ここでは、長時間の測定によって積層体の3次元写像が生成される。
【0006】
CTとは対照的に、X線により積層体もしくは検査対象の2次元写像を可能にする検査装置も存在する。これらは、コンピュータ断層撮影法とは対照的に、検査をより迅速に実施することができるものである。ただし、このやり方では、電極シート相互の相対的な位置の直接的な測定は今もなお不可能であり、両手法は、X線の使用に基づき高い投資、運用、および保守コストを用いてしか使用することはできない。その他に、包括的な放射線防護を実現する必要があり、そのため、これらの手法は、生産ラインでの使用については限られた範囲でしか適していない。付加的に、CTを用いた検査は、その長い測定時間に基づきインライン対応向きではない。
【0007】
さらに、電極シートの位置は、既に個々の電極シートの積層プロセス中に記録することができる。ここでは、積層プロセスのサイクルタイムの低下、データ量の増加、張力のかかった積層体の最終位置が不明などの欠点が存在する。
【0008】
米国特許出願公開第2013/0048340号明細書からは、電池セルのための電極と、該電極を製造するための方法が公知である。ここでは、支持体材料上に配置された活性材料の縁部の光学的捕捉も提案されている。ここでは、縁部の位置を識別するために、光の異なる反射が利用されている。
【0009】
米国特許出願公開第2013/0320216号明細書からは、電極上の異物粒子を識別するための方法にスポットが向けられている。ここでは、4μm~10mmの波長を有する光が使用されている。
【0010】
米国特許第6,585,846号明細書からは、電極を製造するための方法が公知である。
【0011】
本発明の課題は、挙げられた問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、積層体内の複数の電極シートの積層精度を決定するための方法が提案されるべきであろう。さらに、積層精度を決定するための測定装置も提案されるべきであろう。
【0012】
請求項1による特徴を有する方法および請求項9による特徴を有する測定装置は、これらの課題の解決に寄与する。好適な発展形態は、従属請求項の対象である。請求項に個別に記載された特徴は、技術的に有意な手法で相互に組み合わせ可能であり、明細書からの事例および/または図面からの詳細によって補足することができ、ここでは、本発明のさらなる実施態様が示される。
【0013】
複数の電極シートの積層精度を決定するための方法が提案される。これらの電極シートは、それぞれ、少なくとも1つのアノードシート(または複数のアノードシート)、1つのカソードシート(または複数のカソードシート)、および1つのセパレータシート(または複数のセパレータシート)を含む。これらの電極シートは、相互に(実質的に)平行な平面内を延在し、相互に積層されて配置される。これらの電極シートは、1つの積層体を形成する。積層精度は、少なくとも積層体内のアノードシート、カソードシート、またはセパレータシートの境界縁部のそれぞれの位置を表す。本方法は、少なくとも1つのカメラと光源とを有する測定装置を用いて実施される。本方法は、少なくとも以下のステップ:
a)積層体を準備し、当該積層体を測定装置内に配置するステップであって、ここで、光源とカメラとの間の接続直線は、当該平面に対して実質的に平行に延びているステップと、
b)積層体を光源を用いて照射し、それによって、光ビームが少なくとも積層体の1つの領域を貫通するか、または当該領域から反射され、ここで、光ビームはカメラによって捕捉されるステップと、
c)カメラを用いた少なくとも積層体の領域の1つの写像(または複数の写像)を記録するステップと、
d)当該写像(または複数の写像)を評価し、少なくともアノードシート、カソードシート、またはセパレータシートの領域内に配置された境界縁部の位置を決定するステップと、を含む。
【0014】
これらの方法ステップのa)~d)への上記の(非最終的な)分類は、区別のためだけに優先的に用いられるべきものであり、順序および/または依存性を強いるものではない。また、例えば本方法の実施中の方法ステップの頻度も変化する可能性がある。同様に、これらの方法ステップが、相互に少なくとも部分的に時間的に重なる可能性もある。とりわけて好適には、方法ステップa)は、ステップb)~d)よりも時間的に先に行われる。特に、ステップb)およびc)は、少なくとも部分的に相互に時間的に並行して行われる。特に、ステップd)は、ステップd)よりも時間的に後に行われる。特に、ステップa)~d)は、指定された順序で実施される。
【0015】
本方法は、特に、電池セルのための製造方法の枠内で使用される。ここでは、適合する形態に適正に切断された電極シート、つまり少なくとも1つのアノードシート、少なくとも1つのカソードシート、および/または少なくとも1つのセパレータシートが、予め定められた順序で1つの積層体に配置されて相互に位置合わせされる。そのように生成された積層体では、個々の(それぞれ同一の)電極シートの境界縁部が相互に可及的に面一に配置されるべきである。
【0016】
これらの電極シートは、特に、相互に平行な平面内を延在し、相互に積層されて配置された1つの積層体を形成する。この積層体は、特に、少なくとも2つの電極シート、つまり少なくとも1つのアノードシート/カソードシートおよび1つのセパレータシートを含む。好適には、積層体は、少なくとも1つのアノードシート、少なくとも1つのカソードシート、および介在的に配置される1つのセパレータシートを含む。
【0017】
電極シートは、特に、それぞれ実質的に矩形の形状を有する。場合によっては、導出ラグがこれらの矩形の形状を超えて延在している。これらは、一般に、未コーティングであり、つまり活性材料でコーティングされずに構成されており、それぞれの電極シート、すなわちアノードシートもしくはカソードシートの電気的接触接続に用いられる。
【0018】
積層精度は、特に、少なくとも積層体内のアノードシート、カソードシートおよび/またはセパレータシートもしくはアノードシート、カソードシート、またはセパレータシートの境界縁部のそれぞれの位置を表す。特に、電極シートは、相互で予め定められた位置に配置されるべきである。アノードシートおよびカソードシート、ならびに場合によっては存在するセパレータシートのサイズは相互に異なる可能性があるので、積層精度は、特に、平面に対して横方向に延在する方向に沿って相互に面一に配置される電極シートの境界縁部において決定される。
【0019】
特に、電極シートの積層精度は、電極シートのそれぞれの1つの境界縁部もしくは1つの箇所でのみ決定される。
【0020】
本方法は、特に、少なくとも1つのカメラと1つの光源とを有する測定装置を用いて実施される。複数の固定設置の光源または可動の光源が設けられていてもよい。また、複数の固定設置のカメラまたは可動のカメラが設けられていてもよい。特に、各光源は、1つのカメラにのみ割り当てられるが、複数の光源が1つのカメラに割り当てられていてもよい。
【0021】
光源は、特に少なくとも可視光を含む光ビームを放射するために用いられる。カメラは、写像を表示するための光ビームを記録するために用いられる。カメラは、特に、少なくとも1つの対物レンズ(例えば、テレセントリック系)と、入射光を電気信号に変換するセンサとを含む。
【0022】
カメラは、特に、光源の光ビームによって照射される積層体の領域の2次元写像の表示を可能にする。
【0023】
ステップa)によれば、積層体を提供し、当該積層体を測定装置内へ、特に光源とカメラとの間に、または光ビームが積層体からカメラに向かって反射されるように配置することが行われ、ここで、光源とカメラとの間の接続直線は(この接続直線は、積層体を貫通するか、または積層体から離間して延びる)、平面に対して実質的に平行に延びている。積層体が別個に形成され、次いで、一緒に測定装置内に配置されることが可能である。しかしながら、積層体自体が測定装置内で(部分的に)形成され、したがって同時に配置されることも可能である。光源は、特に、カメラに向かって位置合わせされ、それによって光ビームが光源からカメラに向かって放射される。代替的に、光源とカメラとが積層体の(同じ)領域に配向され、それによって積層体から反射された光ビームがカメラによって捕捉される。光源およびカメラは、光ビームが(これが配向されて、ひいては相互に並行に光源から出射し、接続直線に沿ってカメラに向かって延びるのであるならば)平面に対して平行に延びるように積層体に対して位置合わせされる。
【0024】
ステップb)によれば、積層体を光源を用いて照明することが行われ、それによって、光ビームが積層体の少なくとも1つの領域を貫通するか、または積層体からカメラに向かって反射される。この光ビームは、カメラによって捕捉される。つまり、積層体は、特に、少なくとも部分的に透過照明される。ここでは、積層体を貫通する光源からの光ビームのみがカメラによって捕捉可能であり、つまり、例えば電極シート間に存在する自由空間を通る光ビームのみがカメラによって捕捉可能である。
【0025】
光源の光ビームは、電極シートの相互に重ね合わせて配置された境界縁部を捕捉するため、カメラにより、積層体の境界縁部の2次元写像が捕捉可能でかつ記録可能である。
【0026】
ステップc)によれば、カメラを用いた少なくとも積層体の領域の1つの写像を記録することが行われる。特に、積層体の領域の1つの写像のみの記録が行われる。当該領域のさらなる記録は、特に不要である。場合によっては、(他の側面によって形成される)他の領域のさらなる写像が記録可能でかつ評価可能である。通常はアノードシートおよびカソードシートよりも長いセパレータシートの境界縁部の捕捉のために、光源およびカメラの他の配置も可能である。このケースでは、光ビームは、平面に対して横方向にもしくは角度をつけて(つまり必ずしも平行ではなく)延びる可能性があろう。
【0027】
ステップd)によれば、写像を評価し、アノードシート、カソードシート、および/またはセパレータシートの領域内に配置された境界縁部の位置を決定することが行われる。評価は、特に、データ処理のためのシステムによって行うことができる。特に、積層体について、1つの写像の評価のみが行われ、場合によっては、他の領域の記録によって生成されたさらなる写像の評価が行われる。
【0028】
特に、本方法は、複数回実行され、それによって、個々の電極シートの積層精度が十分正確に決定される。特に、そのためには、積層体の複数の異なる領域を照明し、カメラによって捕捉し、対応する写像を生成して評価する必要がある。それにより、特に、目標位置に対する各電極シートの回転もしくは移送を決定することができる。
【0029】
積層体全体の積層精度を管理して決定するために、特に、少なくとも3つの異なる領域、例えば積層体の縁部などが、測定装置を用いて記録される。
【0030】
特に、積層体の特定の縁部(つまり、直方体形状の積層体における-導出部は考慮しない-4つの最短縁部)では、三角測量を介して縁部の空間座標を決定するために、両方向から1回写像が生成される。特に、積層体は、保持装置によってカメラと光源とに対して回転および方向転換させられる。したがって、前述した縁部の各々は、2つの方向からカメラによって捕捉される。つまり、各積層体は、特に8つの写像が生成される。
【0031】
特に、測定装置は、本方法の実施のために適切に装備され、構成され、またはプログラミングされた手段、もしくは本方法を実行する手段を有するデータ処理のためのシステムを含む。これらの手段は、例えば、プロセッサと、該プロセッサにより実行される命令が格納されたメモリ、ならびに前述した要素間で命令、測定値、データなどの伝送が可能なデータ線路もしくは伝送デバイスを含む。
【0032】
特に、積層体は、複数の電極シートによって形成される複数の側面を有する。積層体は、ステップa)において、接続直線が、相互に180度未満、特に150度未満、好適には120度未満の最小の角度で配置された第1の側面と第2の側面とを通って延びるように光源とカメラとの間に配置される。特に、側面間の最小の角度は、少なくとも70度、好適には少なくとも80度である。
【0033】
つまり、特に、側面は、相互に平行に配置されず、または相互に相対向して配置されない。
【0034】
ここで考慮される積層体の側面は、特に電極シート、特にセパレータシートの境界縁部によって形成される。なぜなら、このセパレータシートは、短絡の回避のために、通常、アノードシートおよびカソードシートよりも長い延在部を有するからである。これらの側面は、特に、電極シートがそれに沿って延在している平面に対して横方向に延在している。
【0035】
特に、第1の側面と第2の側面とが相互に隣接して配置される。
【0036】
特に、領域は、相互に隣接する側面によって形成される積層体の縁部を含む。
【0037】
特に、接続直線は、第1の側面と第2の側面とに対して、90度未満、特に75度未満、好適には60度未満の最小の第2の角度で延びる。特に、それぞれの側面と接続直線との間の最小の第2の角度は、少なくとも25度、好適には少なくとも40度である。
【0038】
特に、ステップd)において、少なくとも1つのアノードシートと少なくとも1つのカソードシートの少なくとも境界縁部の位置が決定される。
【0039】
特に、セパレータシートの境界縁部の決定は必要ではない。なぜなら、この電極シートは、通常、アノードシートおよびカソードシートよりも長く構成されているからである。上述したように、セパレータシートの境界縁部の決定は、光源およびカメラの他の配置を用いて行うことも可能である。
【0040】
少なくとも1つのアノードシートおよび少なくとも1つのカソードシートの境界縁部の決定は、特に必要である。なぜなら、動作中の電池セルの電気化学的性能は、電極被覆率もしくは活性材料の被覆率が低いほどより急速に低下するからである。
【0041】
特に、光源は、好適には少なくとも365~870nm[ナノメートル]の波長を有する可視光を生成する。
【0042】
特に、光ビームはコヒーレントおよび/またはコリメートされている(つまり、相互に平行に位置合わせされる)。代替的に、光ビームは、拡散および/またはコヒーレントされる。主に、特に、平面に対して実質的に平行に延びる光が用いられる。これにより、写像の精度が向上され、評価が簡素化され得る。この精度は、特に、コヒーレントまたはコリメートされた光によりさらに向上させることができる。
【0043】
特に、測定装置は、少なくともステップb)およびステップc)の間に領域にガス流が供給可能であるノズルを含む。特に、ノズルは、電極シートがガス流によって扇状に広がるかもしくは位置合わせされるように位置決めされる。これにより、電極シートを通る光ビームの透過が改善され得る。
【0044】
特に、ガス流は、イオン化していてよく、それにより、電極シートの、特にセパレータシートとアノードもしくはカソードシートとの間の静電的な帯電をトリガすることができる。これにより、電極シートを貫通する光ビームの透過がさらに改善され得る。
【0045】
特に、少なくともステップd)のために、人工知能が使用される。この人工知能を用いることにより、特に、写像内の境界縁部の位置の決定を支援することができる。
【0046】
特に、少なくとも1つの写像の評価は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて行われる。畳み込みニューラルネットワークは、ステップc)に従って捕捉された当該積層体の写像から、次いで、(所望の)電極シートの境界縁部の位置を決定するために、電極シートの境界縁部の既知の位置を伴う積層体の合成の、つまり人工的に生成されたデータセットに基づいて学習する。電極シートが例えばたるんでいる場合、つまり水平方向の平面内を理想的に延びていない場合、多項式を用いて境界縁部の適正な位置を計算することができる。
【0047】
畳み込みニューラルネットワークを用いる代わりに、他の機械学習方式で、または自動化されて実施可能な学習法を用いて評価を実施することも可能である。以下では、畳み込みニューラルネットワークと、その際に使用される経過プロセスおよび用語に焦点を当てる。
【0048】
この種のCNNを写像の評価に、つまりカメラの記録撮影に使用することは、基本的に公知である。本発明では、電極シートの(カットされた)境界縁部の品質評価のために、つまり電池構成部品の製造の枠内でCNNを使用することが提案される。
【0049】
CNNを用いた評価の枠内では、自動化されたインライン対応向きの境界縁部の評価を実装するために、特に、最初はトレーニングデータセット、つまり合成データセットが生成され得る。このトレーニングデータセットの各写像に対して、境界縁部の位置が手動でマーキング可能である。それに続いて、この手動のマーキング、つまり境界縁部のマーキングされた位置のツールからの手動のエクスポートが行われる。ピクセルマトリックスとしてコード化された写像内の境界縁部の位置は、トレーニングデータセットのための境界縁部の積層体幾何形状もしくは配置、いわゆるグラウンドトゥルースに写像される。
【0050】
以下では、写像内に表される境界縁部をそれに対応する幾何形状に数学的に写像することを学習するためにCNNが使用される。続いて、そのようにトレーニングされたCNNは、事前に学習されていないカメラの写像について、境界縁部もしくは幾何形状を認識することができる。確定された境界縁部の目標幾何形状との、実質的に同種の本体、ここでは積層された電極シートの境界縁部の異なる写像の分散が低いことと、大量のデータの統計的有意性とに基づいて、この認識は、例えば傾向的縁部認識などの類似の手法よりも正確である。
【0051】
CNNは、公知のように、固定された数のフィルタにより複数の写像区分が離散的に畳み込まれる一連のいわゆる畳み込み層から成っている。それらの各フィルタについて、この層は、いわゆる特徴マップを算出する。この特徴マップは、フィルタパラメータによって定義されたパターンが、それぞれの第2の写像内もしく輪郭内の対応する箇所で認識されたかどうかを表す。これらの特徴マップのサイズは、計算の複雑さを軽減するために、いわゆる最大プーリング層または平均プーリング層を用いて縮小される。この最大プーリングもしくは平均プーリング層は、n×n個の窓を特徴マップ上に押し込み、特に、最大値だけを1つの区分から次の層に転送する。
【0052】
畳み込み層および最大プーリングもしくは平均プーリング層の順序と数、ならびにそれぞれの窓およびフィルタのサイズは、いわゆるハイパーパラメータである。これらのハイパーパラメータの最適化は、特に、モデルパラメータの最適化に影響しない検証データセットによって行われる。
【0053】
最後のステップでは、すべての特徴マップの値が、ベクトルに連結されていわゆるフラット化がなされ、したがって、それらはフィードフォワードニューラルネットワークへの入力として用いられる。このネットワークも、隠れ層の可変の数と、各隠れ層内のニューロンの可変の数とによって特徴付けられる。これらの数はさらなるハイパーパラメータを形成する。
【0054】
フラット化に対して代替的に、転置畳み込みを用いて、圧縮された特徴マップを最初に再び元のサイズに変換し、次いで、その数を畳み込み層を用いて再び1まで低減することができる。
【0055】
その出力層では、ネットワークは、各ピクセルに0または1(「1」)を割り当てることにより、手動で生成された積層体のグラウンドトゥルースの縁部幾何形状を近似することを試みる。
【0056】
トレーニングの開始時では、フィルタパラメータとフィードフォワードニューラルネットワークのパラメータとが(両方合わせてCNNを形成し)、ランダムに初期化可能であり、この場合、このことは、最初は不正確な幾何形状予測につながる。トレーニングの経過中、すべてのモデルパラメータは、いわゆる勾配降下法を用いることにより、誤って分類されたピクセルの数がすべてのトレーニング例を越えて最小化されるように適合化される。
【0057】
トレーニングの終了後、CNNは、例えば、ステップd)の枠内で、未知の積層体もしくは新たに作成された写像について、写像内の少なくとも1つの境界縁部の位置を認識するために使用することができる。
【0058】
特に、さらなるステップでは、ステップd)による積層精度の評価から、それぞれの積層体の製造に使用された少なくとも1つのプロセスパラメータが決定されて変更され、それによって、さらなる積層体についての積層精度が向上する。
【0059】
つまり、特に、例えば限界値の上回りが確定された場合、かつ/または後続の測定の枠内で検証された場合、誤って位置決めされた電極シートと、その目標位置からの偏差とが決定可能である。それに応じて、電極シートの知識からその製造プロセスを追跡することができ、場合によっては設定可能なプロセスパラメータを変更することができる。
【0060】
説明した方法を実施するための測定装置も提案され、本測定装置は、少なくともカメラと光源とを含んでいる。特に、相互に平行な平面内を延在する相互に積層された電極シートからなる積層体は、カメラと光源とに対して、当該光源と当該カメラとの間の接続直線が平面に対して実質的に平行に延びるように配置可能である。特に、光源はカメラに向かって位置合わせされ、積層体は、光源とカメラとの間に配置され、それによって、光ビームが積層体の少なくとも1つの領域を貫通する。代替的に、光源とカメラとが積層体の(同じ)領域に位置合わせされ、ここで、光ビームは当該領域によって反射され、カメラによって捕捉される。
【0061】
特に、本測定装置は、少なくとも2つのカメラと2つの光源とを含み、ここで、積層体は、複数の電極シートによって形成された複数の側面を有する。カメラおよび光源は、第1のカメラと第1の光源との間の第1の接続直線が、相互に180度未満の最小の第1の角度で配置された積層体の第1の側面と第2の側面とを通って延び、かつ第2のカメラと第2の光源との間の第2の接続直線が、相互に180度未満、特に150度未満、好適には120度未満の最小の第1の角度で配置された積層体の第3の側面と第4の側面とを通って延びるように配置される。特に、側面間の最小の第1の角度は、少なくとも70度、好適には少なくとも80度である。
【0062】
特に、測定装置は、3つまたは4つのカメラさえも含み、比較可能なもしくは要件に適合化された数の光源を含む。これにより、すべての電極シートの積層精度の決定をさらに加速することができる。なぜなら、異なるまたは同一の領域の(場合によっては他の方向からも記録された)写像を同時に生成し、評価することができるからである。
【0063】
特に、データ処理のためのシステムが提案され、このシステムは、本方法の実施のために適切に装備され、構成され、またはプログラミングされた手段、もしくは本方法を実行する手段を有する。
【0064】
この手段は、例えば、プロセッサと、該プロセッサにより実行される命令が格納されたメモリ、ならびに前述した要素間で命令、測定値、データなどの伝送が可能なデータ線路または伝送デバイスを含む。
【0065】
さらに、コンピュータプログラムが提案され、該コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、説明された本方法もしくは説明された本方法のステップを実行させる命令を含んでいる。
【0066】
さらに、コンピュータ可読記憶媒体が提案され、該コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、説明された本方法もしくは説明された方法のステップを実行させる命令を含んでいる。
【0067】
特に、本方法に対する実施形態は、データ処理のためのシステムおよび/またはコンピュータ実装方法(つまり、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体)に転用可能であり、その逆も可能である。
【0068】
特に特許請求の範囲およびそれを再現する明細書における不定冠詞(「1つの」)の使用は、表記の数詞として理解されるべきではない。したがって、それに応じて導入された用語もしくは構成部品は、それにより、これらが少なくとも1度は存在しているが、特に、何度も存在していてもよいことを理解すべきである。
【0069】
予防的に述べておくが、本明細書で使用される数詞(「第1の」、「第2の」、...)は、主に複数の同種の対象、サイズ、またはプロセスの区別のために(だけ)用いられ、つまり、必ずしもこれらの対象、サイズ、またはプロセス相互の依存性および/または順序を予め定めるものではないことに留意すべきであろう。依存性および/または順序が必要とされるべき場合ならば、このことは本明細書で明示的に示されるか、または当業者にとって、具体的に説明された実施形態の学習の際に明らかになるであろう。構成部品が(「少なくとも1つ」など)複数回出現する可能性がある限り、これらの構成部品のうちの1つに関する説明が、これらの構成部品のすべてに、または複数のうちの一部に同じように適用可能であるが、このことは必ずしも必須ではない。
【0070】
以下では、本発明ならびに技術的な背景を添付の図面に基づきより詳細に説明する。本発明は、記載された実施例によって限定されるべきものではないことを言及しておく。特に、明示的に他が示されていない限り、図面において説明された事項の一部態様を抽出し、本明細書からの他の構成部品および知見と組み合わせることも可能である。特に、これらの図面、特に表されているサイズ比は概略的なものにすぎないことを言及しておく。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】保持装置内の積層体を示す斜視図である。
図2図1による積層体を示す側面図である。
図3】積層体の写像と、積層体がそこに配置されている測定装置とを示す図であり、該測定装置を用いて写像が生成可能である。
図4】積層体がそこに配置されたさらなる測定装置を示す平面図である。
図5】積層体がそこに配置された他の測定装置を示す平面図である。
【0072】
図1は、保持装置23内の積層体5を斜視図で示す。図2は、図1による積層体5を側面図で示す。図1および図2は、以下で一緒に説明する。
【0073】
電極シート1,2,3は、アノードシート1、カソードシート2、およびセパレータシート3を含む。電極シート1,2,3は、相互に平行な平面4内を延在し、相互に積層されて配置されている。電極シート1,2,3は、1つの積層体を形成する。積層精度は、積層体5内のアノードシート1、カソードシート2、またはセパレータシート3の境界縁部9のそれぞれの位置6,7,8を表す。電極シート1,2,3は、相互に平行な平面4内を延在し、相互に積層されて積層体5を形成する。
【0074】
電極シート1,2,3は、それぞれ実質的に矩形の形状を有する。積層体5は、複数の電極シート1,2,3によって形成された複数の側面16,17,18,19を有する。積層体5のこれらの側面16,17,18,19は、電極シート1,2,3、ここではセパレータシート3の境界縁部9によって形成される。なぜなら、このセパレータシート3が、短絡の回避のために、通常、アノードシート1およびカソードシート2よりも長く延在しているからである。側面16,17,18,19は、電極シート1,2,3がそれに沿って延在している平面4に対して横方向に延在している。
【0075】
導出部(導出ラグ)24は、電極シート1,2,3のこの矩形の形状を超えて延在している。これらの導出部24は、一般に、未コーティングであり、つまり活性材料でコーティングされずに構成されており、それぞれの電極シート1,2、つまりアノードシート1もしくはカソードシート2の電気的接触接続に用いられる。
【0076】
図2は、電極シート1,2,3の境界縁部9がどのように目標配置に配置されているかを詳細図で表している。電極シート1,2,3は、(平面4に対して横方向に延びる)積層方向に沿って交互に配置されている。カソードシート2の第2の位置7は、最も内側に、つまり第1の側面16に対して最大の距離に配置されている。アノードシート1の第1の位置6は、第2の位置7とセパレータシート3の第3の位置8との間に配置されている。積層体5の第1の側面16は、セパレータシート3の境界縁部9によって形成される。
【0077】
保持装置23は、ここでは2つのプレートを含み、それらの間に積層体5が配置されている。これらの保持装置23を介して、電極シート1,2,3は、それらの位置6,7,8に確定もしくは固定され、それによって、積層体5は、測定装置10内に配置可能になる。
【0078】
図3は、積層体5の写像(左方)と、積層体5がそこに配置された測定装置10(右方)とを示しており、この測定装置10を用いて写像15が生成可能である。図1および図2に対する実施形態が参照される。
【0079】
測定装置10は、カメラ11と光源12とを有する。積層体5は、ステップa)において、接続直線27(ここでは、コリメートされた光ビーム13に対して平行に延びる)が、相互に90度の最小の第1の角度20で配置され、相互に隣接する第1の側面16および第2の側面17を通って延びるように光源12とカメラ11との間に配置される。
【0080】
ステップb)によれば、積層体5を光源12を用いて照明することが行われ、それによって、光ビーム13が積層体5の領域14を貫通し、カメラ11によって捕捉される。この領域14は、隣接する側面16,17によって形成される積層体5の縁部25を含む。
【0081】
接続直線27は、第1の側面16および第2の側面17に対して約45度の最小の第2の角度26で延びている。
【0082】
つまり、積層体5は少なくとも部分的に透過照明される。ここでは、積層体5を貫通する光源12の光ビーム13のみがカメラ11によって捕捉可能であり、つまり、例えば、電極シート1,2,3間に存在する自由空間を通る光ビームのみがカメラによって捕捉可能である。
【0083】
光源12の光ビーム13は、電極シート1,2,3の重ね合わせて配置された境界縁部9を捕捉し、それによって、カメラ11により、積層体5の境界縁部9の2次元写像15が捕捉可能でかつ記録可能である。
【0084】
ステップc)によれば、カメラ11を用いた少なくとも積層体5の領域14の1つの写像15を記録することが行われる。積層体5の領域14の写像15の記録が行われる。領域14もしくは他の領域14のさらなる記録が、積層精度の決定のために場合によっては必要になり、積層体5の位置の変更により、またはカメラ11もしくは光源12の位置の変更により生成することができる。それによって(他の側面18,19によって形成される;図4参照)少なくとも1つの他の領域14のさらなる写像15が記録可能でかつ評価可能になる。
【0085】
ステップd)によれば、写像15を評価し、少なくともアノードシート1およびカソードシート2の領域14内に配置された境界縁部9の位置6,7,8を決定することが行われる。評価は、データ処理のためのシステム28によって行われる。
【0086】
図4は、積層体5がそこに配置されたさらなる測定装置10を平面図で示す。図1図3に対する実施形態が参照される。
【0087】
電極シート1,2,3は、それぞれ実質的に矩形の形状を有する。積層体5は、複数の電極シート1,2,3によって形成された複数の側面16,17,18,19を有する。積層体5のこれらの側面16,17,18,19は、電極シート1,2,3、ここではセパレータシート3の境界縁部9によって形成される。側面16,17,18,19は、電極シート1,2,3がそれに沿って延在している平面4に対して横方向に延在している。導出部(導出ラグ)24は、電極シート1,2,3のこの矩形の形状を超えて延在している。積層体5は、保持装置23内に配置されている。
【0088】
測定装置10は、第1のカメラ11および第1の光源12と、第2のカメラ21および第2の光源22とを含んでいる。積層体5は、ステップa)では、それぞれの接続直線27が第1の側面16と第2の側面17とを通って、もしくは第3の側面18と第4の側面19とを通って延びるように、第1の光源12と第1のカメラ11との間、ならびに同時に第2の光源22と第2のカメラ21との間に配置される。
【0089】
第1の側面16と第2の側面17とが相互に90度の最小の第1の角度20で配置され、相互に隣接している。ステップb)によれば、第1の光源12を用いた積層体5の照明が行われ、それによって、光ビーム13が積層体5の領域14を貫通し、第1のカメラ11によって捕捉される。この領域14は、隣接する側面16,17によって形成される積層体5の縁部25を含む。接続直線27は、第1の側面16に対して約30度の第2の角度26で、かつ第2の側面17に対して約60度の最小の第2の角度26で延びる。
【0090】
第3の側面18と第4の側面19とが相互に90度の最小の第1の角度20で配置され、相互に隣接している。ステップb)によれば、(また)第2の光源22を用いた積層体5の照明が行われ、それによって、光ビーム13が積層体5のさらなる領域14を貫通し、第2のカメラ21によって捕捉される。この領域14は、隣接する側面18,19によって形成される積層体5の縁部25を含む。接続直線27は、第3の側面18に対して約30度の最小の第2の角度26で、かつ第4の側面19に対して約60度の最小の第2の角度26で延びる。
【0091】
ステップc)によれば、それぞれのカメラ11,21を用いた積層体5の2つの領域14の写像15を記録することが行われる。積層体5の2つの領域14の2つの写像15のみの記録が行われる。これらの領域14のさらなる記録は、積層精度の決定のために相前後してまたは同時に生成することができる。
【0092】
ステップd)によれば、写像15を評価し、少なくともアノードシート1およびカソードシート2のそれぞれの領域14内に配置された境界縁部9の位置6,7,8を決定することが行われる。評価は、データ処理のためのシステム28によって行われる。
【0093】
図5は、積層体5がそこに配置された他の測定装置10を平面図で示している。図1図4、特に図3および図4に対する実施形態が参照される。
【0094】
測定装置10は、2つのノズル29を含み、これらにより、それぞれの領域14に少なくともステップb)およびステップc)の間にガス流30が供給可能である。ノズル29は、それぞれ、電極シート1,2,3がガス流30によって扇状に広がるかもしくは位置合わせされるように位置決めされている(図5の右下の詳細を参照)。これにより、電極シート1,2,3を通る光ビーム13の透過が改善され得る。
【符号の説明】
【0095】
1 アノードシート(電極シート)
2 カソードシート(電極シート)
3 セパレータシート(電極シート)
4 平面
5 積層体
6 第1の位置
7 第2の位置
8 第3の位置
9 境界縁部
10 測定装置
11 (第1の)カメラ
12 (第1の)光源
13 光ビーム
14 領域
15 写像
16 第1の側面
17 第2の側面
18 第3の側面
19 第4の側面
20 第1の角度
21 第2のカメラ
22 第2の光源
23 保持装置
24 導出部
25 縁部
26 第2の角度
27 接続直線
28 システム
29 ノズル
30 ガス流
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極シート(1,2,3)の積層精度を決定するための方法であって、
前記電極シート(1,2,3)は、少なくともそれぞれ1つのアノードシート(1)、1つのカソードシート(2)、および1つのセパレータシート(3)を含み、前記電極シート(1,2,3)は、相互に平行な平面(4)内を延在し、相互に積層されて配置され、1つの積層体(5)を形成し、前記積層精度は、少なくとも前記積層体(5)内の前記アノードシート(1)、前記カソードシート(2)、または前記セパレータシート(3)の境界縁部(9)のそれぞれの位置(6,7,8)を表し、前記方法は、少なくとも1つのカメラ(11)と1つの光源(12)とを有する測定装置(10)を用いて実施され、少なくとも以下のステップ:
a)前記積層体(5)を提供し、前記積層体(5)を前記測定装置(10)内に配置するステップであって、前記光源(12)と前記カメラ(11)との間の接続直線(27)は、前記平面(4)に対して実質的に平行に延びているステップと、
b)前記積層体(5)を前記光源(12)を用いて照明し、それによって、光ビーム(13)が少なくとも前記積層体(5)の1つの領域(14)を貫通するか、または当該領域(14)から反射され、前記光ビーム(13)は前記カメラ(11)によって捕捉されるステップと、
c)前記カメラ(11)を用いた少なくとも前記積層体(5)の前記領域(14)の1つの写像(15)を記録するステップと、
d)前記写像(15)を評価し、少なくとも前記アノードシート(1)、前記カソードシート(2)、または前記セパレータシート(3)の前記領域(14)内に配置された前記境界縁部(9)の前記位置(6,7,8)を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記積層体(5)は、前記複数の電極シート(1,2,3)によって形成される複数の側面(16,17,18,19)を有し、前記積層体(5)は、前記ステップa)において、前記接続直線(27)が、相互に180度未満の最小の第1の角度(20)で配置された第1の側面(16)と第2の側面(17)とを通って延びるように前記光源(12)と前記カメラ(11)との間に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の側面(16)と前記第2の側面(17)とが相互に隣接して配置される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記領域(14)は、相互に隣接する側面(16,17)によって形成される前記積層体(5)の縁部(25)を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ステップd)において、少なくとも前記アノードシート(1)と前記カソードシート(2)との境界縁部(9)の位置(6,7,8)が決定される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記光源(12)は、可視光を生成する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記光ビーム(13)は、少なくともコヒーレントまたはコリメートされ、前記平面(4)に対して実質的に平行に延びる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
少なくとも前記ステップd)のために、人工知能が使用される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施するための測定装置(10)であって、少なくともカメラ(11)と光源(12)とを含み、相互に平行な平面(4)内を延在する相互に積層された電極シート(1,2,3)からなる積層体(5)が、前記カメラ(11)と前記光源(12)とに対して、当該光源(12)と当該カメラ(11)との間の接続直線(27)が前記平面(4)に対して実質的に平行に延びるように配置可能である、測定装置(10)。
【請求項10】
少なくとも2つのカメラ(11,21)と2つの光源(12,22)とを含み、前記積層体(5)は、複数の電極シート(1,2,3)によって形成された複数の側面(16,17,18,19)を有し、前記カメラ(11,21)および前記光源(12,22)は、第1のカメラ(11)と第1の光源(12)との間の第1の接続直線(27)が、相互に180度未満の最小の第1の角度(20)で配置された前記積層体(5)の第1の側面(16)と第2の側面(17)とを通って延び、かつ第2のカメラ(21)と第2の光源(22)との間の第2の接続直線(27)が、相互に180度未満の最小の角度(20)で配置された前記積層体(5)の第3の側面(18)と第4の側面(19)とを通って延びるように配置されている、請求項9記載の測定装置(10)。
【国際調査報告】