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特表2024-540654エネルギー貯蔵セル、エネルギー貯蔵セルのアレイ、及び製造プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵セル、エネルギー貯蔵セルのアレイ、及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/107 20210101AFI20241024BHJP
   H01M 50/571 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20241024BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/188 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/167 20210101ALI20241024BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M50/107
H01M50/571
H01M50/133
H01M50/184 D
H01M50/193
H01M50/536
H01M50/342 101
H01M10/0587
H01M10/04 W
H01M50/505
H01M50/516
H01M50/566
H01M50/545
H01M50/55 201
H01M50/152
H01M50/188
H01M50/119
H01M50/167
H01M50/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531018
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022083072
(87)【国際公開番号】W WO2023094498
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210297.4
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502350250
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ピュトリク エドゥアルト
(72)【発明者】
【氏名】キニンガー ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】エンスリング ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011AA13
5H011EE04
5H011FF03
5H011GG01
5H011HH02
5H011KK01
5H012AA01
5H012BB02
5H012FF01
5H028AA05
5H028CC12
5H029AJ03
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AM02
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ05
5H029DJ02
5H029DJ06
5H029DJ07
5H043AA04
5H043AA05
5H043BA11
5H043BA15
5H043BA17
5H043CA03
5H043CA12
5H043DA03
5H043EA35
5H043FA04
5H043GA31
5H043HA16D
5H043HA16E
5H043HA16F
5H043HA17D
5H043HA17E
5H043HA17F
5H043JA02D
5H043JA06D
5H043LA02D
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】
エネルギー貯蔵セル(100)は、第1の末端面及び第2の末端面(104a、104b)と、その間に位置する巻線シェル(104c)と、を有する円筒状の巻線の形である電極-セパレータアセンブリ(104)を含む。アセンブリ(104)は、アノード(105)/セパレータ(156)/カソード(108)の順序を有する。さらに、セルは、末端円形開口部を有する金属製のハウジングカップ(101)と、円形開口部を閉鎖する円形縁部(102a)を有する蓋アセンブリ(102)と、を含む気密、且つ液密のハウジングだけでなく、電気絶縁性材料でできた、蓋アセンブリ(102)の円形縁部(102a)を密閉し、ハウジングカップ(101)及び蓋アセンブリ(102)を互いに電気的に絶縁する環状シール(103)もまた含む。ハウジングカップ(101)は、軸方向に順に、底部(101a)、中央区分(101b)、及び閉鎖区分(101c)を含むとともに、中央区分(101b)は円筒状であり、中央区分(101b)では、電極-セパレータアセンブリ(104)の巻線シェル(104c)は、ハウジングカップ(101)の内側と接触しており、閉鎖区分(101c)では、環状シール(103)は、蓋アセンブリ(102)及びハウジングカップ(101)の内側と押圧接触している。閉鎖区分(101c)では、ハウジングカップ(101)は、円形開口部を画定する開口縁部(101d)を有し、開口縁部(101d)は、蓋アセンブリ(102)の縁部(102a)の上方に半径方向に内側へ曲げられており、シール(103)によって密閉されているとともに、開口縁部(101d)は、シール(103)を含む蓋アセンブリ(102)をハウジングカップ(101)の円形開口部でしっかりと固定している。ハウジングカップ(101)の半径方向に内側に曲げられている開口縁部(101d)の壁厚が、中央区分(101b)におけるハウジングカップ(101)の壁厚よりも大きいことが提案されている。さらに、このようなエネルギー貯蔵セルのアレイ、及びこのようなアレイを製造する方法が提案されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵セル(100)であって、以下の特徴、すなわち、
a.前記セルがアノード(105)/セパレータ(156)/カソード(108)の順序を有する電極-セパレータアセンブリ(104)を含むという特徴、
b.前記電極-セパレータアセンブリ(104)が、第1の末端面(104a)及び第2の末端面(104b)と、その間に位置する巻線シェル(104c)と、を有する円筒状の巻線の形であるという特徴、
c.前記セルが末端円形開口部を有する金属製のハウジングカップ(101)と、前記円形開口部を閉鎖する円形縁部(102a)を有する蓋アセンブリ(102)と、を含む気密、且つ液密のハウジングを含むという特徴、
d.前記セルが、電気絶縁性材料でできた、前記蓋アセンブリ(102)の前記円形縁部(102a)を密閉し、前記ハウジングカップ(101)及び前記蓋アセンブリ(102)を互いに電気的に絶縁する環状シール(103)を含むという特徴、
e.前記ハウジングカップ(101)が、軸方向に順に、底部(101a)、中央区分(101b)、及び閉鎖区分(101c)を含むとともに、
- 前記中央区分(101b)が円筒状であり、前記中央区分(101b)では、前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記巻線シェル(104c)が、前記ハウジングカップ(101)の内側と接触しており、且つ
- 前記閉鎖区分(101c)では、前記環状シールが、前記蓋アセンブリ及び前記ハウジングカップの前記内側と押圧接触しているという特徴、
f.前記閉鎖区分(101c)では、前記ハウジングカップ(101)が、前記円形開口部を画定する開口縁部(101d)を有し、前記開口縁部(101d)が、前記蓋アセンブリ(102)の前記縁部(102a)の上方に半径方向に内側に曲げられており、前記シール(103)によって密閉されているとともに、前記開口縁部(101d)が、前記シール(103)を含む前記蓋アセンブリ(102)を前記ハウジングカップ(101)の前記円形開口部でしっかりと固定している、という特徴
を有し、
g.前記ハウジングカップ(101)の前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部(101d)の壁厚が、前記中央区分(101b)における前記ハウジングカップ(101)の壁厚よりも大きいことを特徴とするエネルギー貯蔵セル(100)。
【請求項2】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記ハウジングカップ(101)の前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部(101d)が、前記中央区分(101b)における前記ハウジングカップ(101)よりも1.5倍から2倍の範囲の分だけ厚くなっているという特徴、
b.前記ハウジングカップ(101)が、前記中央区分(101b)において、0.1mmから0.4mmの範囲の、好ましくは、0.25mmから0.3mmの範囲の壁厚を有するという特徴、
c.前記ハウジングカップ(101)の前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部(101d)が、0.15mmから0.8mmの範囲の、好ましくは、0.375mmから0.6mmの範囲の壁厚を有するという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項3】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記ハウジングカップ(101)の前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部(101d)が二重層状であるという特徴、
b.前記二重層状の開口縁部(101d)が、前記開口縁部を折り返すことによって形成されているという特徴、
c.前記二重層状の開口縁部(101d)が、U字形状の断面を有するという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1に記載の、又は請求項2に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項4】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記二重層状の開口縁部(101d)が、前記蓋アセンブリ(102)の前記縁部(102a)を密閉する前記シール(103)と直接接触している第1の層(101e)と、前記第1の層(101e)の前記シール(103)とは反対側に面した面に、前記第1の層に平行な第2の層(101f)と、を有するという特徴、
b.前記第1の層(101e)が、半径方向に外側を向いた切断端縁(101g)によって境界が定められているという特徴、
c.前記第2の層(101f)が、半径方向に外側を向いた切断端縁(101g)によって境界が定められているという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項3に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項5】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部(101d)、特に、前記二重層状の開口縁部は、第1の、前記シール(103)と直接接触している内側の面(101j)と、前記シール(103)とは反対側に面した第2の面(101h)と、を含むという特徴、
b.前記第2の面(101h)が、円環状平坦面であるか、又は円環状平坦面を含むという特徴、
c.前記円環状部が、1mmから5mmの範囲の、好ましくは、1mmから3mmの範囲の、特に好ましくは、1.2mmから1.3mmの範囲の幅(d)を有するという特徴、
d.前記円環状平坦面が、前記中央区分(101b)における前記ハウジングカップ(101)の前記壁と90°の角度を形成しているという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項6】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記中央区分(101b)及び前記閉鎖区分(101c)が、前記ハウジングカップ(101)の外側を円周状に取り囲む窪み(111)によって分離されているという特徴、
b.前記ハウジングカップ(101)が、前記中央区分(101b)及び前記閉鎖区分(101c)において同一の最大外径を有するという特徴、
c.前記窪み(111)の区域において、前記ハウジングカップ(101)の前記外径が、この区域では前記ハウジングカップ(101)の前記壁厚の4倍から12倍分だけ縮小されているという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項7】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記環状シール(103)が、前記窪み(111)と、前記ハウジングの前記内側に面する前記蓋アセンブリ(102)の面と、の間に配置された第1の環状のセグメント(103a)であって、前記窪み(111)及び前記蓋アセンブリ(102)のこの面を画定する壁区分と押圧接触している第1の環状のセグメントを含むという特徴、
b.前記環状シール(103)が、前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部(101d)と、前記ハウジングの前記内側とは反対側を向いている前記蓋アセンブリ(102)の前記面と、の間に配置された第2の環状セグメント(103b)であって、前記開口縁部(101d)によって前記蓋アセンブリ(102)のこの面に、好ましくは垂直に、押し付けられている第2の環状のセグメントを含むという特徴、
c.前記環状シール(103)が、前記ハウジングカップ(101)と、前記蓋アセンブリ(102)の前記縁部(102a)と、の間に配置された第3の環状セグメント(103c)であって、前記閉鎖ゾーン(101c)内で前記ハウジングカップの前記壁によって前記蓋アセンブリ(102)の前記縁部(102a)に押し付けられている第3の環状セグメントを含むという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1~6のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項8】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記アノード(105)が、第1の長手方向縁部(106a)と、それに平行な第2の長手方向縁部と、を有するアノード集電体(106)を含むという特徴、
b.前記アノード集電体(106)が、負電極材料(107)の層が充填された主領域と、その第1の長手方向縁部(106a)に沿って延びた、前記負電極材料が充填されていない自由縁部ストリップと、を含むという特徴、
c.前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記カソード(108)が、第1の長手方向縁部(109a)と、それに平行な第2の長手方向縁部と、を有するカソード集電体(109)を含むという特徴、
d.前記カソード集電体(109)が、正電極材料(110)の層が充填された主領域と、その第1の長手方向縁部(109a)に沿って延びた、前記電極材料(110)が充填されていない自由縁部ストリップと、を含むという特徴、
e.前記アノード(105)及び前記カソード(108)が、前記アノード集電体(106)の前記第1の長手方向縁部(106a)が前記第1の末端面(104a)から突き出るように、および、前記カソード集電体(108)の前記第1の長手方向縁部(109a)が前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記第2の末端面(104b)から突き出るように、前記電極-セパレータアセンブリ(104)内に配置されているという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1~7のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項9】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記エネルギー貯蔵セルが前記アノード集電体の前記第1の長手方向縁部に置かれて、前記第1の末端面を覆うか、又は前記カソード集電体(109)の前記第1の長手方向縁部(109a)に置かれて、前記第2の末端面(104b)を覆うとともに、溶接によって前記第1の長手方向縁部に接続されている接触板(112)を含むという特徴、
b.前記接触板(112)が、溶接によって前記アノード集電体の前記第1の長手方向縁部、又は前記カソード集電体(109)の前記第1の長手方向縁部(109a)に接続されているという特徴、
c.前記接触板(112)が、特に溶接によって、前記ハウジングカップの前記底部に接続されているという特徴、
d.前記接触板(112)が、前記蓋アセンブリの一部であるか、又は前記蓋アセンブリに直接若しくは間接的に電気接続されているという特徴、
のうちの少なくとも1つを含む請求項8に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項10】
以下の追加の特徴、すなわち、
a.前記アノード集電体(106)の前記第1の長手方向縁部(106a)、又は前記カソード集電体の前記第1の長手方向縁部が、前記ハウジングカップ(101)の前記底部(101a)に直接置かれ、溶接によってそこに接続されているという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項8に記載の、又は請求項9に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項11】
以下の追加の特徴、すなわち:
a.前記蓋アセンブリ(102)が、前記ハウジング内が過剰圧力になった場合に、外側に膨張、又は破裂する金属膜(114)を有するディスク(113)を含むという特徴、
b.前記膜(114)を有する前記ディスク(113)が、前記蓋アセンブリ(102)を外部に対して密封する電極キャップ(117)と電気接触しているという特徴、
c.前記膜(114)を有する前記ディスク(113)が、前記アノード集電体又は前記カソード集電体(109)に電気的に結合された導電体(118)と電気接触しているという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1~10のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項12】
以下の追加の特徴、すなわち:
a.前記シール(103)が、300°Cを超える融点を有するプラスチック材料からなるという特徴、
b.前記プラスチック材料が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であるという特徴、
のうちの少なくとも1つを有する請求項1~11のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項13】
エネルギー貯蔵セルのアレイであって、以下の特徴、すなわち、
a.前記アレイが、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも2つのエネルギー貯蔵セル(100)を含むという特徴、及び
b.前記アレイが、前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵セル(100)の前記ハウジングカップの前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部に溶接によって接続された、少なくとも1つの金属製の導電体(140、141)を含むという特徴、
を有するエネルギー貯蔵セルのアレイ。
【請求項14】
エネルギー貯蔵セルのアレイを製造する方法であって、
a.請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも2つのエネルギー貯蔵セル(100)及び少なくとも1つの金属製の導電体(140、141)が提供されるステップと、
b.前記少なくとも1つの金属製の導電体(140、141)が、前記エネルギー貯蔵セル(100)のうちの一方の前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部と、前記エネルギー貯蔵セル(100)のうちのもう一方の前記半径方向に内側に曲げられている開口縁部と、に溶接されるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
適用分野及び先行技術
以下で説明する本発明は、エネルギー貯蔵セル、エネルギー貯蔵セルのアレイ、及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学エネルギー貯蔵素子は、酸化還元反応を通して、貯蔵された化学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。電気化学エネルギー貯蔵素子の最も単純な形態は、電気化学セルである。電気化学セルは、セパレータによって互いに分離された正電極及び負電極を含む。放電の間、電子は、酸化プロセスの結果として負電極で放出される。これにより、外部の電気消費者により引き出すことが可能な電子流が得られるが、そのために電気化学セルはエネルギー供給源としての役割を果たす。同時に、電極反応に対応するイオン流が、セル内で生じる。このイオン流は、セパレータを横切り、イオン伝導電解質によって可能になる。
【0003】
放電が可逆的な場合、すなわち、放電の間、化学エネルギーの電気エネルギーへの変換を逆転し、セルを再び充電することが可能である場合には、これは、二次セルであると言われる。二次セルにおける一般的なアノードとしての負電極という名称、及びカソードとしての正電極という名称は、電気化学セルの放電機能を指す。
【0004】
二次リチウムイオンセルは、高電流を供給することができ、比較的高エネルギー密度であることを特徴とするので、現在多くの用途にエネルギー貯蔵素子として使用される。それらはリチウムの使用に基づき、それはイオンの形でセルの電極間を行ったり来たり移動することができる。リチウムイオンセルの負電極及び正電極は、概して、いわゆる複合電極によって形成されているが、それは、電気化学的に活性の成分だけでなく、電気化学的に不活性の成分も含む。
【0005】
原則として、リチウムイオンを吸収し、放出することができる材料はすべて、電気化学的に活性の成分(活性材料)として、二次リチウムイオンセルに使用することができる。例えば、グラファイト炭素などの炭素系粒子が負電極用に使用される。正電極用の活性材料は、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、又はそれらの誘導体とすることができる。電気化学的に活性の材料は、概して、電極に粒子形態で含まれている。
【0006】
電気化学的に不活性の成分として、複合電極は、概して、それぞれの活性材料の担体としての役割を果たす平坦な、及び/又はストリップ状の集電体、例えば、金属製のホイルを含む。負電極用の集電体(アノード集電体)は、例えば、銅又はニッケルで作ることができ、正電極用の集電体(カソード集電体)は、例えば、アルミニウムで作ることができる。さらに、電極は、電極結合剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又は別のポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロース)、伝導性を向上させる添加剤、及び電気化学的に不活性の成分として、その他の添加剤を含むことができる。電極結合剤は、電極の機械的安定性を確保し、多くの場合、活性材料の集電体への接着もまた確保する。
【0007】
電解質として、リチウムイオンセルは、概して、有機溶媒(例えば、炭酸のエーテル及びエステル)中にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)などのリチウム塩の溶液を含む。
【0008】
複合電極を1つ又は複数のセパレータと組み合わせて、リチウムイオンセルを製造するときにアセンブリを形成する。この目的のために、電極及びセパレータは、圧力の下で、場合によっては、薄層構造又はボンディングによってもまた、相互に接合させることができる。電極とセパレータとを巻線機の中で組み合わせる場合も非常に多い。その後、セルの基本的な機能性は、電解質をアセンブリに含浸させることによって確立することができる。
【0009】
多くの実施形態では、アセンブリは巻線の形で生産されるか、又は巻線に加工される。アセンブリは、概して、正電極/セパレータ/負電極の順序を含む。アセンブリは、可能な順序、負電極/セパレータ/正電極/セパレータ/負電極又は正電極/セパレータ/負電極/セパレータ/正電極を有するいわゆるバイセルとして生産される場合が多い。
【0010】
自動車分野における用途、電動自転車用途、又は工具における用途など、高エネルギー要件を有する他の用途には、充電及び放電の間、高電流に耐えることもまた可能な、出来る限り高いエネルギー密度を有するリチウムイオンセルが必要とされる。
【0011】
前述の用途のためのセルは、例えば、形状因子が21×70(mmを単位とする直径*高さ)である円筒状の丸いセルとして設計されている場合が多い。このタイプのセルは、巻線の形をしたアセンブリを常に含む。現代のこの形状因子のリチウムイオンセルは、270Wh/kgまでのエネルギー密度をすでに実現することが可能である。しかしながら、このエネルギー密度は、中間段階にすぎないと考えられる。市場は、すでに、さらにもっと高いエネルギー密度を有するセルを必要としている。
【0012】
国際公開第2017/215900A1号パンフレットでは、円筒状の丸いセルが記載されており、電極-セパレータアセンブリは、巻線の形をしているとともに、リボン状の電極を含む。電極はそれぞれ、電極材料が充填された集電体を有する。反対に極性が与えられた電極を電極-セパレータアセンブリ内に互いにずらして配置することで、正電極の集電体の長手方向縁部が、一方の側の巻線から突き出て、負電極の集電体の長手方向縁部が、もう一方の側の巻線から突き出るようにしている。集電体の電気的接触のために、セルは、巻線の一方の端面に接触板が置かれており、集電体の一方の長手方向縁部に溶接されている。これにより、集電体を、したがって、関連付けされた電極も同様に、その全長にわたって電気的に接触させることが可能になる。これにより、上述したセル内の内部抵抗が大幅に低減される。その結果、大きな電流の発生をはるかに良く吸収することができ、熱もまた、より良好に巻線から放散することができる。
【0013】
国際公開第2017/215900A1号パンフレットに記載されているような円筒状の丸いセルは、いくつかのセルが直列で、及び/又は並列で接続されているセルアレイの一部として使用される場合が多い。電圧をタップするために、それらの端面の一方でのみセルを接触させることが望ましい。したがって、セルの正電極に接続された接続極と、セルの負電極に接続された接続極との両方を、端面の一方に設けることが有利である。
【0014】
円筒状の丸いセルのハウジングは、概して、巻回された電極-セパレータアセンブリを収容するハウジングカップと、ハウジングカップの開口部を閉鎖する蓋アセンブリと、を含む。シールが蓋アセンブリとハウジングカップとの間に配置されており、一方でセルのハウジングを密封する役割を果たすだけでなく、蓋アセンブリと、ハウジングカップとを互いに電気的に絶縁する機能もまた有する。シールは、通常、蓋アセンブリの縁部に装着される。丸いセルを閉鎖するために、ハウジングカップの開口縁部は、概して、シールがその上に装着(かしめ加工)されている蓋アセンブリの縁部の上方に半径方向に内側に曲げられており、これにより、シールを含む蓋アセンブリがハウジングカップの開口部でしっかりと固定される(positively fixed in the opening of the housing cup)ようにする。
【0015】
このような丸いセルの一例が、欧州特許出願公開第3188280A1号明細書の図3に示されている。図示されているセルをセルアレイに組み込むために、蓋アセンブリ(参照番号270)を適切な導体レールに溶接することは比較的容易である。突き出ている電極キャップ(参照番号217)が、このために最良の状態を提供する。しかしながら、ハウジングカップの電気接続は困難さが増す。ハウジングカップを蓋アセンブリが位置するのと同じ端面上で接触させたい場合、導体レールは、ハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部(参照番号213)だけにしか溶接することができない。このことに伴う問題は、曲げられている開口縁部と直接接触しているシールは、溶接の間に通常生じる熱応力の影響を受け易いので、溶接により容易に破損する可能性がある、ということである。したがって、欧州特許出願公開第3188280A1号明細書の図3で説明されているような従来のセルのハウジングを有する丸いセルは、開口縁部に導電体を溶接するために意図されたものではない。
【0016】
欧州特許出願公開第3537496A1号明細書及び特開2012-174523号公報は、蓋アセンブリがハウジングカップの開口部の中に挿入され、ハウジングカップの縁部を端部でU字形に折り返して、腐食から保護するリチウムイオンセルを開示している。
【0017】
特開2007-234305号公報は、縁部を肉厚化して補強したハウジングカップを含むアルカリセル用のセルのハウジングを開示している。かしめ加工によって機械的にセルを閉鎖する間に、縁部が破損するのを防ぐために、カップの縁部はカップの他の部分よりも厚くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
目的及び解決策
本発明の目的は、高エネルギー密度を特徴とし、且つセルアレイに効率的に組み込むことが可能なエネルギー貯蔵セルを提供することである。さらに、本発明の目的は、安全性が向上されたことを特徴とするエネルギー貯蔵セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有するエネルギー貯蔵セルによって実現される。請求項13に記載の特徴を有するエネルギー貯蔵セルのアレイ、及び請求項14に記載の特徴を有する製造方法もまた、本発明の目的である。本発明の好適な実施形態が、従属請求項2~12に定義されている。
【0020】
本発明によるエネルギー貯蔵セル
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、以下の特徴a.からf.を常に有する。
a.セルは、アノード/セパレータ/カソードの順序を有する電極-セパレータアセンブリを含む。
b.電極-セパレータアセンブリは、第1の末端面及び第2の末端面を有し、その間に巻線シェルがある円筒状の巻線の形である。
c.セルは、末端の円形開口部を有する金属製のハウジングカップと、円形開口部を閉鎖する円形縁部を有する蓋アセンブリと、を含む気密、且つ液密のハウジングを含む。
d.セルは、電気絶縁性材料でできた、蓋アセンブリの円形縁部を密閉し、ハウジングカップ及び蓋アセンブリを互いに電気的に絶縁する環状シールを含む。
e.ハウジングカップは、軸方向に順に、底部、中央区分、及び閉鎖区分を含むとともに、
-中央区分は円筒状であり、中央区分では、電極-セパレータアセンブリの巻線シェルは、ハウジングカップの内側と接触しており、
-閉鎖区分では、環状シールは、蓋アセンブリ及びハウジングカップの内側と押圧接触している。
f.閉鎖区分では、ハウジングカップは、円形開口部を画定する開口縁部を有し、開口縁部は、蓋アセンブリの縁部の上方に半径方向に内側に曲げられており、シールによって密閉されているとともに、開口縁部は、シールを含む蓋アセンブリをハウジングカップの円形開口部でしっかりと固定している。
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、特に、
g.ハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部の壁厚が、中央区分におけるハウジングカップの壁厚よりも大きいという特徴を、特徴とする。
【0021】
この措置により、シールに問題を有することなく、ハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部に導体レールを確実に溶接することができる。開口縁部の厚さが増したことにより、溶接の間に生じた熱の分散を確実に改善することができ、これにより、シールの局所的な過熱及び溶融を回避することができるようになる。
【0022】
電極-セパレータアセンブリは、ハウジングカップの内側と直接接触していることが好ましい。ハウジングカップの内側と直接接触していることが特に好ましい。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、ホイルを用いて内側を電気的に絶縁するようにしてもよい。この場合、電極-セパレータアセンブリは、ホイルを介して内壁と接触している。
【0023】
ハウジングカップの底部は、円形であることが好ましい。ハウジングカップは、通常、深絞り加工によって形成される。しかしながら、底部を管状の半部品の中に溶接することによって、カップを形成することもまた可能である。
【0024】
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、円筒状の丸いセルであることが好ましい。それに応じて、電極-セパレータアセンブリは、リボンの形態をしたアノード及びカソードを含むことが好ましい。加えて、1つのリボン状のセパレータ又は2つのリボン状のセパレータを含むことが好ましい。端面は、円形縁部によって境界が定められることが好ましい。
【0025】
本発明によるエネルギー貯蔵セルの高さは、円筒状の丸いセルとして設計される場合、50mmから150mmの範囲にあることが好ましい。その直径は、15mmから60mmの範囲にあることが好ましい。これらの形状因子を有する円筒状の丸いセルは、自動車における電気駆動への動力供給に特に適している。
【0026】
リチウムイオンセルとしての実施形態
本発明の特に好適な実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、リチウムイオンセルである。基本的に、二次リチウムイオンセル用に既知の電極材料はすべて、エネルギー貯蔵セルの電極に使用することが可能である。
【0027】
リチウムをインターカレーションすることが可能なグラファイト炭素又は非グラファイト炭素材料など、炭素系粒子は、粒子形態においてもまた、負電極で活性材料として使用可能であることが好ましい。代替的に、又は追加的に、チタン酸リチウム(LiTi12)又はその誘導体が、好ましくは、粒子形態においてもまた、負電極に含まれていることもまたあり得る。さらに、負電極は、ケイ素、アルミニウム、スズ、アンチモン、又は、リチウムを可逆的に貯蔵及び放出することが可能なこれらの材料の化合物若しくは合金、例えば、酸化ケイ素(特に、SiO、なお、0<x<2である)を含む群から少なくとも1つの材料を、任意に炭素系の活性材料と組み合わせて、活性材料として含有することができる。スズ、アルミニウム、アンチモン、及びケイ素は、リチウムと金属間位相を形成することができる。リチウムを吸収する能力は、とりわけ、ケイ素の場合、グラファイト又はそれに匹敵する材料の能力を何倍も上回る。ケイ素と炭素系の貯蔵材料との混合物が使用される場合が多い。金属リチウム製の薄型のアノードもまた適している。
【0028】
正電極に適した活性材料には、LiCoO及びLiFePOなど、リチウム金属酸化物化合物及びリチウム金属リン酸塩化合物が含まれる。化学式LiNiMnCo(式中、x+y+zは典型的には1である)を有する酸化リチウムニッケルマンガンコバルト(NMC)、化学式LiMnを有するリチウムマンガンスピネル(LMO)、又は化学式LiNiCoAl(式中、x+y+zは典型的には1である)を有するリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)もまた、特に適している。それらの誘導体、例えば、化学式Li1.11(Ni0.40Mn0.39Co0.16Al0.050.89を有するリチウムニッケルマンガンコバルトアルミニウム酸化物(NMCA)、若しくはLi1+xM-O化合物、及び/又は前述した材料の混合物もまた、使用することができる。カソードの活性材料もまた、微粒子形態で使用されることが好ましい。
【0029】
加えて、本発明によるエネルギー貯蔵セルの電極は、電極結合剤、及び/又は導電性を高める添加剤を含有していることが好ましい。活性材料は、電極結合剤のマトリクスに埋め込まれていることが好ましく、マトリクス中の隣接した粒子が、互いに直接接触していることが好ましい。導電剤は、電極の導電性を高める機能を有する。一般的な電極結合剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリル酸(リチウム)、スチレン-ブタジエンゴム又はカルボキシメチルセルロース系のものであるか、異なる結合剤の混合物である。一般的な導電剤は、カーボンブラック、微細グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ及び金属粉末である。
【0030】
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、リチウムイオンセルの場合、電解質、特に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)などの、有機溶媒中(例えば、有機炭酸塩の混合物、又はTHF若しくはニトリルなどの環状エーテル中)に溶解されて存在する少なくとも1つのリチウム塩をベースにした電解質を含むことが好ましい。他のリチウム塩、例えば、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及びリチウムビス(オキサラト)ホウ酸(LiBOB)を使用することができる。
【0031】
円筒状の丸いセルとして設計された、本発明によるリチウムイオン系のエネルギー貯蔵セルの公称容量は、15000mAhまでであることが好ましい。形状因子が21×70の場合、リチウムイオンセルとしての一実施形態におけるエネルギー貯蔵セルは、1500mAhから7000mAhの範囲の公称容量を有することが好ましく、3000から5500mAhの範囲が特に好ましい。形状因子が18×65の場合、リチウムイオンセルとしての一実施形態におけるセルは、1000mAhから5000mAhの範囲の公称容量を有することが好ましく、2000から4000mAhの範囲が特に好ましい。
【0032】
欧州連合では、製造者の二次電池の公称容量についての情報は、厳密に規制されている。例えば、二次ニッケル-カドミウム電池の公称容量についての情報は、IEC/EN61951-1規格及びIEC/EN60622規格に準拠した測定値に基づいていなければならず、二次ニッケル水素電池の公称容量についての情報は、IEC/EN61951-2規格に準拠した測定値に基づいていなければならず、二次リチウム電池の公称容量についての情報は、IEC/EN61960規格に準拠した測定値に基づいていなければならず、二次鉛蓄電池の公称容量についての情報は、IEC/EN61056-1規格に準拠した測定値に基づいていなければならない。本出願における公称容量についてのすべての情報もまた、これらの規格に基づくことが好ましい。
【0033】
ナトリウムイオン系の実施形態
さらなる実施形態では、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、ナトリウムイオンセル、カリウムイオンセル、カルシウムイオンセル、マグネシウムイオンセル、又はアルミニウムイオンセルであってもまたよい。これらの変形形態の中でもとりわけ、ナトリウムイオンセルの化学性質を有するエネルギー貯蔵セルが、本発明によれば特に好適である。
【0034】
本発明によるナトリウムイオン系のエネルギー貯蔵セルは、以下の溶媒のうちの少なくとも1つ、及び以下の導電性塩のうちの少なくとも1つを含む電解質を含むことが好ましい。
【0035】
有機カーボネート、エーテル、ニトリル及びその混合物が、溶媒として特に適している。好適な例は、以下の通りである。
-カーボネート:プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート-プロピレンカーボネート(EC-PC)、プロピレンカーボネート-ジメチルカーボネート-エチルメチルカーボネート(PC-DMC-EMC)、エチレンカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DEC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート(EC-DMC)、エチレンカーボネートエチルメチルカーボネート(EC-EMC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-エチルメチルカーボネート(EC-DMC-EMC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DMC-DEC)
-エーテル:テトラヒドロフラン(THE)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルエーテル(OME)、1,4-ジオキサン(DX)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)、テトラエチルグリコールジメチルエーテル(TEGDME)。-ニトリル:アセトニトリル(ACN)、アジポニトリル(AON)、y-ブチロラクトン(GBL)
リン酸トリメチル(TMP)及びトリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスファート(TFP)もまた使用することができる。
【0036】
好適な電導性塩は、以下の通りである。
NaPF、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(NaBOB)、NaBF、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、ナトリウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾール(NaTDI)、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)、NaAsF、NaBF、NaClO、NaB(C、NaP(C、NaCFSO、ナトリウムトリフラート(NaTf)、及びEtNBF
【0037】
好適な実施形態では、添加剤を電解質に加えることができる。特に安定化のための、好適な添加剤の例は、以下の通りである。
【0038】
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、トランスジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、エチレンサルファイト(ES)、ビニレンカーボネート(VC)、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル(BTFE)、ナトリウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾール(NaTDI)、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、塩化アルミニウム(AlCl)、硫酸エチレン(DTD)、ジフルオロリン酸ナトリウム(NaPO)、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(NaODFB)、ナトリウムジフルオロビスオキサラトホスファート(NaDFOP)、及びトリス(トリメチルシリル)ボレート(TMSB)。
【0039】
ナトリウムイオン系のエネルギー貯蔵セルの負電極材料は、以下の材料のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい:
-炭素、特に、硬質炭素(純粋な炭素、又は窒素及び/若しくはリンがドープされた)若しくは軟質炭素、又はグラフェン系材料(N型ドープされた)、カーボンナノチューブ、グラファイト
-リン又は硫黄(変換アノード)
-ポリアニオン:NaTi、NaTi(PO、TiP、TiNb、Na-Ti-(PO、Na-V-(PO
-プルシアンブルー:低Na変異体(水性電解質を用いるシステムの場合)
-遷移金属酸化物:V、MnO、TiO、Nb、Fe、NaTi、NaCrTiO、NaTi12
-M=Ti、V、Cr、Mo又はNbであり、A=Al、Si、及びGaであり、X=C及び/又はNであるMXenes、例えば、TiC32
-有機物:例えば、Na-テレフタレート(Na
代替的に、Na金属アノードをアノード側で使用することもまた可能である。
【0040】
本発明によるナトリウムイオン系のエネルギー貯蔵セルの正電極材料は、例えば、以下の材料のうちの少なくとも1つを含む:
-ポリアニオン:NaFePO(トリフィライトタイプ)、NaFe(P)、NaFe(PO(P)、NaFePOF、Na/Na[Fe1/2Mn1/2]POF、Na(PO、Na(PO、Na(CoMnNi)(PO、NaCoPO、NaCoPO
-ケイ酸塩:NaMnSiO、NaFeSiO
-層状酸化物:NaCoO、NaFeO、NaNiO、NaCrO、NaVO、NaTiO、Na(FeCo)O、Na(NiFeCo)、Na(NiFeMn)O、及びNa(NiFeCoMn)O、Na(NiMnCo)O
【0041】
加えて、本発明によるエネルギー貯蔵セルの電極は、電極結合剤、及び/又は導電性を高める添加剤を含有していることが好ましい。活性材料は、電極結合剤のマトリクスに埋め込まれていることが好ましく、これにより、活性材料は、微粒子の形態で使用されることが好ましく、マトリクス中の隣接する粒子が、互いに直接接触していることが好ましい。導電剤は、電極の導電性を高める機能を有する。一般的な電極結合剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリル酸(ナトリウム)、スチレン-ブタジエンゴム、アルギン酸(ナトリウム)又はカルボキシメチルセルロース、又は、異なる結合剤の混合物をベースにしている。一般的な導電剤は、カーボンブラック、微細グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ及び金属粉末である。
【0042】
ナトリウムイオン技術に基づくエネルギー貯蔵セルでは、アノード集電体及びカソード集電体の両方が、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることが特に好ましい。ハウジング及び接触板だけでなく、ハウジング内のいかなる他の導電体も同様に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることが可能である。
【0043】
ハウジングカップの好適な壁厚
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からc.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.ハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部は、中央区分におけるハウジングカップよりも1.5倍から2倍の範囲の分だけ厚くなっている。
b.ハウジングカップは、中央区分において、0.1mmから0.4mmの範囲の、好ましくは、0.25mmから0.3mmの範囲の壁厚を有する。
c.ハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部は、0.15mmから0.8mmの範囲の、好ましくは、0.375mmから0.6mmの範囲の壁厚を有する。
【0044】
直前に記載されている特徴a.及びb.だけでなく、a.及びc.もまた、組み合わせて実現されることが好適である。直前に記載されている3つの特徴a.からc.はすべて、組み合わせて実現されることが特に好適である。ハウジングカップの底部は、0.2mmから2mmの範囲の厚さを有することが好ましい。
【0045】
より大きな壁厚の開口縁部に関する好適な実施形態
より大きな壁厚の開口縁部を実現するために、ハウジングカップの生産において出発原料を既に使用し、開口縁部を形成しようとする区域を厚くすることができる。しかしながら、ハウジングカップの壁を適宜曲げるか、又は折り返すことによって開口縁部を補強して、より大きな壁厚を実現することが特に好ましい。
【0046】
したがって、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からc.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが好ましい:
a.ハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部は、二重層状になっている。
b.二重層状の開口縁部は、開口縁部を折り返すか、又は曲げることによって形成されている。
c.二重層状の開口縁部は、特に、直前に記載されている特徴b.による折り返し、又は曲げの結果として得られたU字形状の断面を有する。
【0047】
直前に記載されている特徴a.及びb.、特に好ましくは、直前に記載されている3つの特徴a.からc.はすべて、組み合わせて実現されることが好適である。
【0048】
二重層の開口縁部を形成するために折り返すこと、又は曲げることは、外側に向けて行うこともできるし、内側に向けて行うこともできる。この結果、異なる変形形態の二重層状の開口縁部が得られる。
【0049】
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からc.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.二重層状の開口縁部は、蓋アセンブリの縁部を密閉するシールと直接接触している第1の層と、第1の層のシールとは反対側に面した面に、第1の層に平行な第2の層と、を有する。
b.第1の層は、半径方向に外側を向いた切断端縁によって境界が定められている。
c.第2の層は、半径方向に外側を向いた切断端縁によって境界が定められている。
【0050】
直前に記載されている特徴a.及びb.、又は直前に記載されている特徴b.及びc.は、組み合わせて実現されることが好適である。
【0051】
特徴a.及びb.を有する変形形態では、第2の層及びカップの外壁によってセルの周囲から遮蔽されているので、外側に向いている切断端縁が腐食から保護されることが特に有利である。
【0052】
ハウジングカップは、アルミニウム、アルミニウム合金又はシート鋼、例えば、ニッケルめっきシート鋼からなることが好ましい。
【0053】
ハウジングカップに適したアルミニウム合金は、例えば、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)、及びGM55のAl合金である。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg、及びAlMgもまた適している。これらの合金のアルミニウム含有量は、99.5%を上回ることが好ましい。
【0054】
導体のための接触面
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からd.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.半径方向に内側に曲げられている開口縁部、特に、二重層状の開口縁部は、第1の、内側の、シールと直接接触している面と、シールとは反対側に面した第2の面と、を含む。
b.第2の面は、円環状平坦面であるか、又は円環状平坦面を含む。
c.円環状平坦面は、1mmから5mmの範囲の幅、好ましくは、1mmから3mmの範囲の幅、特に好ましくは、1.2mmから1.3mmの範囲の幅を有する円環を形成している。
d.円環状平坦面は、中央区分におけるハウジングカップの壁と90°の角度を形成している。
【0055】
直前に記載されている特徴a.及びb.及びc.、又は直前に記載されている特徴a.及びb.及びd.、又は直前に記載されている特徴a.からd.は、組み合わせて実現されることが好適である。
【0056】
これらの好適な実施形態では、半径方向に内側に曲げられている開口縁部の表面が特に拡大され、平坦であるため、金属導電体、例えば、金属アレスタバーに溶接することが容易になる。したがって、円環状平坦面は、金属導電体に溶接するために使用されることが好ましい。
【0057】
溶接される導電体に関しては、円環状表面が高い平坦度を特徴とする場合に特に有利である。本発明によるエネルギー貯蔵セルは、特に、直後に記載されている特徴a.を特徴とする:
a.円環状平坦面の最高点と最低点との間に、最大0.08mmの高さの差がある。
【0058】
したがって、二重層状の開口縁部の第2の側に位置する円環状平面は、円環状平坦面の最高点と最低点との間の最大高さ差0.08mmによって、画定されることが好ましい。すなわち言いかえれば、この平坦度が円環状表面を画定することが好ましい。
【0059】
直径が幅26mm以下であるセルの場合、円環状平坦面は、円環の幅が0.5mm~1.5mmの範囲であり、好ましくは、1mmから1.5mmである円環を形成することが好ましい。
【0060】
直径が幅26mmよりも大きいセルの場合、円環状平面は、円環の幅が0.8mm~3.5mmの範囲であり、好ましくは、1mmから2.5mmである円環を形成することが好ましい。
【0061】
特に好適な実施形態では、ハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部は、円環状平坦面の全区域で壁厚が大きくなっている。円環状表面は導体への溶接に使用されるので、これによりこの繊細な区域のシールが確実に遮蔽される。
【0062】
ハウジングの好適な実施形態
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からc.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.中央区分及び閉鎖区分は、ハウジングカップの外側を円周状に取り囲む窪みによって分離されている。
b.ハウジングカップは、中央区分及び閉鎖区分において同一の最大外径を有する。
c.窪みの区域において、ハウジングカップの外径は、この区域ではハウジングカップの壁厚の4倍から12倍分だけ縮小されている。
【0063】
少なくとも直前に記載されている特徴a.及びb.は、組み合わせて実現されることが好適である。直前に記載されている3つの特徴a.からc.はすべて、組み合わせて実現されることが特に好適である。
【0064】
シーリング区域の好適な実施形態
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からc.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.環状シールは、窪みと、ハウジングの内側に面する蓋アセンブリの面と、の間に配置された第1の環状セグメントであって、窪み及び蓋アセンブリのこの面を画定する壁区分と、好ましくは押圧接触で、接触している第1の環状セグメントを含む。
b.環状シールは、半径方向に内側に曲げられている開口縁部と、ハウジングの内側とは反対側に面した蓋アセンブリの面と、の間に配置された第2の環状セグメントであって、開口縁部によって蓋アセンブリのこの面に、好ましくは垂直に、押し付けられている第2の環状のセグメントを含む。
c.環状シールは、ハウジングカップと蓋アセンブリの縁部との間に位置する第3の環状セグメントであって、閉鎖部ゾーン内でハウジングカップの壁によって蓋アセンブリの縁部に押し付けられている第3の環状セグメントを含む。
【0065】
直前に記載されている3つの特徴a.からc.はすべて、組み合わせて実現されることが好適である。
【0066】
環状シールは、閉鎖区分内で圧縮されることが好ましい。蓋アセンブリの縁部に数か所の面から押し付けられていることが好ましい。
【0067】
電極の電気的接触
冒頭で述べたように、本発明は、高エネルギー密度を特徴とするエネルギー貯蔵セルを提供することを意図している。これは、例えば、国際公開第2017/215900 A1号パンフレットに記載されているように、電極巻線がハウジングに効率的に接続されている場合には、特に可能である。
【0068】
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からe.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.電極-セパレータアセンブリのアノードは、第1の長手方向縁部と、それに平行な第2の長手方向縁部と、を有するアノード集電体を含む。
b.アノード集電体は、負電極材料の層が充填された主領域と、その第1の長手方向縁部に沿って延びている、負電極材料が充填されていない自由縁部ストリップと、を含む。
c.電極-セパレータアセンブリのカソードは、第1の長手方向縁部と、それに平行な第2の長手方向縁部と、を有するカソード集電体を含む。
d.カソード集電体は、正電極材料の層が充填された主領域と、その第1の長手方向縁部に沿って延びている、電極材料が充填されていない自由縁部ストリップと、を含む。
e.アノード及びカソードは、アノード集電体の第1の長手方向縁部が第1の末端面から突き出るように、および、カソード集電体の第1の長手方向縁部が電極-セパレータアセンブリの第2の末端面から突き出るように、電極-セパレータアセンブリ内に配置されている。
直前に記載されている5つの特徴a.からe.はすべて、組み合わせて実現されることが好適である。
【0069】
この好適な実施形態の可能な発展形態では、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に述べる以下の特徴a.からd.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが好適である:
a.エネルギー貯蔵セルは、アノード集電体の第1の長手方向縁部に置かれて、第1の末端面を覆うとともに、アノード集電体の第1の長手方向縁部に溶接される接触シート金属部材か、又はカソード集電体の第1の長手方向縁部に置かれて、第2の末端面を覆うとともに、カソード集電体の第1の長手方向縁部に溶接される接触シート金属部材を含む。
b.接触シート金属部材は、アノード集電体の第1の長手方向縁部、又はカソード集電体の第1の長手方向縁部に溶接される。
c.接触シート金属部材は、特に溶接によって、ハウジングカップの底部に接続されている。
d.接触シート金属部材は、蓋アセンブリの一部であるか、又は蓋アセンブリに直接若しくは間接的に電気接続されている。
【0070】
少なくとも直前に記載されている特徴a.からc.、又は特徴a.及びb.及びd.は、組み合わせて実現されることが好適である。
【0071】
いくつかの特に好適な実施形態では、エネルギー貯蔵セルは、アノード集電体の第1の長手方向縁部に置かれ、そこに溶接された接触シート金属部材と、カソード集電体の第1の長手方向縁部に置かれ、そこに溶接されたさらなる接触シート金属部材と、を含む。
【0072】
可能なさらなる発展形態では、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に述べる以下の特徴a.を特徴とすることが好適である:
a.アノード集電体の第1の長手方向縁部、又はカソード集電体の第1の長手方向縁部は、ハウジングカップの底部に直接置かれ、溶接によってそこに接続されている。
【0073】
この実施形態では、集電体のうちの1つは、したがって、ハウジング又はハウジングカップに直接接続されている。この実施形態の好適なさらなる発展形態では、接触シート金属部材は、もう一方の集電体の長手方向縁部に置かれている。これが、次に、蓋アセンブリに電気接続される。
【0074】
接触シート金属部材の好適な実施形態
本発明の特に好適な実施形態では、アノード集電体に電気接続された接触シート金属部材は、直後に記載されている特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つを特徴とする:
a.接触シート金属部材は、ニッケル若しくは銅若しくはチタン、又はニッケル若しくは銅若しくはチタン合金、又は例えば、タイプ1.4303若しくは1.4404若しくはタイプSUS304のステンレス鋼、又はニッケルめっき銅からなる。
b.接触シート金属部材は、アノード集電体と同じ材料からなる。
【0075】
本発明のさらなる特に好適な実施形態では、カソード集電体に電気接続された接触シート金属部材は、直後に記載されている特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つを特徴とする:
a.接触シート金属部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
b.接触シート金属部材は、アノード集電体と同じ材料からなる。
【0076】
アノード集電体に電気接続された接触シート金属部材、及び/又はカソード集電体に電気接続された接触シート金属部材は、直後に記載されている特徴a.からg.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.接触シート金属部材は、50μmから600μmの範囲の、好ましくは、150μmから350μmの範囲の、好ましくは均一な厚さを有する。
b.接触シート金属部材は、2つの対向する平坦な面を有するとともに、本質的に1次元方向にのみ広がっている。
c.接触シート金属部材は、ディスク又は多角形の板である。
d.接触シート金属部材の寸法は、第1の末端面又は第2の末端面の少なくとも60%、好ましくは、少なくとも70%、特に好ましくは、少なくとも80%を覆うようになっている。
e.接触シート金属部材は、少なくとも1つのアパーチャ、特に、少なくとも1つの穴、及び/又は少なくとも1つのスロットを有する。
f.接触シート金属部材は、接触シート金属部材の一方の平坦な面では長尺状の凹みとして現われ、反対側の平坦な面では長尺状の隆起として現われる少なくとも1つのビードを有し、接触シート金属部材は、長尺状の隆起がある方の平坦な面がそれぞれの集電体の第1の長手方向縁部に載置される。
g.接触シート金属部材は、特に、ビードに配置された1つ又は複数の溶接継ぎ目を介して、ビードの区域で、それぞれの集電体の第1の長手方向縁部に溶接される。
【0077】
直前に記載されている特徴a.及びb.及びd.は、互いに組み合わせて実現されることが特に好適である。好適な実施形態では、特徴a.及びb.及びd.は、特徴c.若しくはe.、又は特徴f.及びg.のうちの1つと組み合わせて実現される。特徴a.からg.はすべて、互いに組み合わせて実現されることが特に好ましい。
【0078】
可能な限り多くの端面を覆うことは、エネルギー貯蔵セルの熱管理に重要である。覆いが大きいほど、それぞれの集電体の第1の長手方向縁部をその全長にわたって接触させることが容易になる。したがって、電極-セパレータアセンブリ内で形成された熱は、接触板を介して良好に放散させることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、接触シート金属部材を上に置く前に集電体の長手方向縁部を前処理することが、有利であると分かった。特に、少なくとも1つの凹みは、第1の末端面に面している接触シート金属部材の平坦な面の上の少なくとも1つのビード又は長尺状の隆起に対応する長手方向縁部の中に折り返すことができる。
【0080】
集電体の長手方向縁部は、前処理によって方向性形成を行ってもまたよい。例えば、決められた方向に曲げることができる。
【0081】
接触シート金属部材の少なくとも1つのアパーチャは、例えば、電極-セパレータアセンブリに電解質を含浸させるのに有用な場合がある。
【0082】
集電体及びセパレータの好適な実施形態
本発明によるセルのアノード集電体、カソード集電体、及び1つ又は複数のセパレータは、以下の寸法を有することが好ましい。
- 0.5mから25mの範囲の長さ
- 40mmから145mmの範囲の幅
【0083】
リボン状のアノード、リボン状のカソード、及びリボン状のセパレータ(複数も可)は、巻線として形成された電極-セパレータアセンブリにおいて螺旋状に巻回されることが好ましい。電極-セパレータアセンブリを生産するために、リボン状の電極、及びリボン状のセパレータ(複数も可)は、捲回装置に送給され、そこで巻回軸を中心として螺旋状に巻回されることが好ましい。電極とセパレータとを高温でボンディング又は接触させることは、通常必要ではない。いくつかの実施形態では、電極、及び1つ又は複数のセパレータは、円筒状、又は中空円筒状の巻線コア上に巻回され、この巻線コアは巻線マンドレルに置かれ、巻回後も巻線に留まる。
【0084】
巻線シェルは、例えば、プラスチックフィルム又は接着テープによって形成することができる。巻線シェルは、1つ又は複数のセパレータ巻線によって形成することもまた可能である。
【0085】
本発明によるエネルギー貯蔵セルの集電体は、それぞれの電極材料に含まれている電気化学的活性成分を、可能な限り大きな区域にわたって電気的に接触させるという機能を有する。集電体は金属からなるか、又は少なくとも表面上で金属化されていることが好ましい。
【0086】
本発明によるリチウムイオンセルとして設計されたエネルギー貯蔵セルの場合、アノード集電体に適した金属には、銅又はニッケル又は他の導電性材料、特に、銅合金及びニッケル合金、又はニッケルでコーティングされた金属が含まれる。特に、少なくとも99.9%の銅の含有量を有するタイプEN CW-004A又はEN CW-008Aの材料を銅合金として使用することができる。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr、及びNiCrFeの合金は、ニッケル合金として特に適している。タイプNiFe、NiCu、CuNi、NiCr、及びNiCrFeの合金は、ニッケル合金として特に適している。ステンレス鋼、例えば、タイプ1.4303又は1.4404又はタイプSUS304もまた、考慮に入れることができる。
【0087】
本発明によるリチウムイオンセルとして設計されたエネルギー貯蔵セルの場合、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む他の導電性材料が、カソード集電体用の金属として特に適している。
【0088】
カソード集電体に適したアルミニウム合金は、例えば、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)、及びGM55のAl合金である。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg、及びAlMgもまた適している。これらの合金のアルミニウム含有量は、99.5%を上回ることが好ましい。
【0089】
アノード集電体及び/又はカソード集電体はそれぞれ、4μmから30μmの範囲の厚さを有するリボン状の金属ホイルであることが好ましい。
【0090】
しかしながら、ホイルに加えて、金属製不織布若しくは金属化された不織布、又は開放細孔の金属製発泡体、又はエキスパンデッドメタルなど、他のストリップ状の基板もまた、集電体として使用することができる。
【0091】
集電体には、それぞれの電極材料が両面に充填されることが好ましい。
【0092】
1つ又は複数のセパレータの長手方向縁部は、巻線として形成された電極-セパレータアセンブリの端面を形成することが好適である。
【0093】
蓋アセンブリの可能な実施形態
本発明によるセルは、蓋アセンブリの中に組み込まれたCID機能を特徴とすることが好ましい。CID機能により、セル内の圧力が高すぎる場合に、圧力をハウジングから確実に逃がすことができ、同時に、蓋アセンブリと電極-セパレータとの間の電気接触を切断することができる。
【0094】
したがって、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に記載されている特徴a.からc.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが特に好ましい:
a.蓋アセンブリは、ハウジング内部が過剰圧力になった場合に、外側に膨張、又は破裂する金属膜を有する金属ディスクを含む。
b.膜を有するディスクは、蓋アセンブリを外部に対して密封する金属電極キャップと電気接触している。
c.膜を有するディスクは、アノード集電体又はカソード集電体に電気的に結合された導電体と電気接触している。
直前に記載されている特徴a.からc.は、組み合わせて実現されることが好適である。
【0095】
シールの可能な実施形態
溶接加工のシールに対する影響をさらに制限するために、本発明によれば、特に耐熱性のプラスチックをシーリング材料として使用することが好適である。
【0096】
この好適な実施形態のさらなる発展形態では、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直後に述べる以下の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つを特徴とすることが相応して好適である:
a.シールは、200°Cを超える融点、好ましくは、300°Cを超える融点、特に好ましくは、300°Cを超え、且つ、350°C未満の融点を有するプラスチック材料からなる。
b.プラスチック材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
直前に記載されている特徴a.及びb.は、組み合わせて実現されることが好適である。
【0097】
エネルギー貯蔵セルのアレイ
本発明によるエネルギー貯蔵セルのアレイは、以下の特徴を常に特徴とする:
a.アレイは、上述したエネルギー貯蔵セルのうちの少なくとも2つを含み、
b.アレイは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵セルのハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部に溶接された、少なくとも1つの金属製の導電体を含む。
【0098】
この少なくとも1つの導体は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製の導体、特にレールとすることができる。
【0099】
導体に適したアルミニウム合金には、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)、及びGM55のAl合金が含まれる。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg、及びAlMgもまた適している。これらの合金のアルミニウム含有量は、99.5%を上回ることが好ましい。
【0100】
いくつかの好適な実施形態では、導体は、特にアルミニウム製の、2から5mmの範囲の厚さ、特に好ましくは、3.5mmの厚さを有する金属シートストリップである。
【0101】
本発明による方法
本発明による方法は、以下の特徴を常に特徴とする:
a.上述したエネルギー貯蔵セルのうちの少なくとも2つ、及び少なくとも1つの金属製の導電体が提供され、
b.少なくとも1つの金属製の導電体は、溶接によって、エネルギー貯蔵セルのうちの一方の半径方向に内側に曲げられている開口縁部と、エネルギー貯蔵セルのうちのもう一方の半径方向に内側に曲げられている開口縁部と、に接続されている。
【0102】
溶接は、レーザを使用して行われることが好ましい。しかしながら、抵抗溶接を用いての溶接もまた可能である。
【0103】
好適なさらなる発展形態では、入熱を低減するために、互いに平行に延びているいくつかの個別の線からなる溶接継ぎ目が、少なくとも1つのレーザを用いて形成され、この溶接継ぎ目は、金属導体と、内側に曲げられている開口縁部とを互いに接続する。これは、溶融温度が低いシール、例えば、対応するポリブチレンテレフタレート又はペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)でできたシールを使用することもまた可能にし得る。
【0104】
溶接継ぎ目は、金属導体と、内側に曲げられている開口縁部との間の接触区域に凝固溶融ゾーンを含む。
【0105】
上述した溶接継ぎ目又は個別の線は、1列に並んだ多数の隣接した点で構成することもまた可能であり、これらもまた、レーザを使用して形成されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
本発明のさらなる特徴及び利点は、特許請求の範囲から、及び図面と併せて以下の本発明の好適な実施形態の説明から、明らかである。図示されている特徴は、別々に実現される場合もあれば、他の特徴と組み合わせて実現される場合もある。図面では、以下を概略的に示している。
図1】本発明によるエネルギー貯蔵セルの第1の実施形態(断面図)。
図2図1に示されているエネルギー貯蔵セルの全体図(断面図)。
図3】本発明によるエネルギー貯蔵セルの第2の実施形態(断面図)。
図4】本発明によるエネルギー貯蔵セルの第3の実施形態(断面図)。
図5図1から図4に示されているような、本発明によるエネルギー貯蔵セルの実施形態において使用されるような蓋アセンブリ(断面図)。
図6】本発明によるエネルギー貯蔵セルの一部である電極-セパレータアセンブリ、及びその構成要素。
図7】2つの溶接された導電体を有する本発明によるエネルギー貯蔵セル。
図8】溶接継ぎ目の拡大図。
図9図2に示されているような本発明によるセルの蓋の構成要素の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0107】
図1及び図2は、本発明による、末端円形開口部を有する金属製のハウジングカップ101と、円形開口部を閉鎖する円形縁部102aを有する蓋アセンブリ102と、を含む気密、且つ液密のハウジングを有するエネルギー貯蔵セル100を示す。セルは、電気絶縁性材料でできた、蓋アセンブリ102の円形縁部102aを密閉し、ハウジングカップ101及び蓋アセンブリ102を互いに電気的に絶縁する環状シール103をさらに含む。ハウジングカップ101は、軸方向に順に、底部101a、中央区分101b、及び閉鎖区分101cを含み、中央区分101bは円筒状である。中央区分101bでは、巻線として形成された電極-セパレータアセンブリ104の巻線シェル104cは、ハウジングカップ101の内側と接触しており、閉鎖区分101cでは、環状シール103は、蓋アセンブリ102及びハウジングカップ101の内側と接触している。閉鎖区分101cでは、ハウジングカップ101は、円形開口部を画定する開口縁部101dを有し、この開口縁部は、蓋アセンブリ102の縁部102aの上方に半径方向に内側へ曲げられており、シール103によって密閉されているとともに、開口縁部は、シール103を含む蓋アセンブリ102をハウジングカップ101の円形開口部でしっかりと固定している。ハウジングカップ101の半径方向に内側に曲げられている開口縁部101dは、壁厚が中央区分101bにおけるハウジングカップ101よりも大きくなっている。その結果、シール103を破損せずに、開口縁部101dで溶接加工を行うことが可能である。
【0108】
セル100は、アノード/セパレータ/カソードの順序を有する円筒状の巻線の形である電極-セパレータアセンブリ104をさらに含む。ただし、これは、本明細書では詳しく示されていない。電極-セパレータアセンブリ104の端面104aから突き出たアノード集電体106の長手方向縁部106a、及び電極-セパレータアセンブリ104の端面104bから突き出たアノード集電体109の長手方向縁部109aのみを、見ることができる。長手方向縁部106aは、ハウジング底部101aに、特にその全長にわたって直接溶接されることが好ましい。長手方向縁部109aは、接触板112に、特にその全長にわたって直接溶接されることが好ましい。接触板112は、次には導電体118を介して蓋アセンブリ102に接続されるが、これについては以下でより詳細に説明することにする。
【0109】
セル100は、通常、60mmから10mmの範囲の高さを有し、その直径は、20mmから50mmの範囲にあることが好ましい。ハウジングカップ101は、通常、中央区分101bにおいて0.1mmから0.3mmの範囲の壁厚を有する。ハウジングカップ101の半径方向に内側に曲げられている開口縁部101dは、中央区分101bにおけるハウジングカップ101よりも1.5倍から2倍の範囲の分だけ厚くなっている。この開口縁部は、第1の、シール103と直接接触している内側の面と、シール103とは反対側に面した第2の面と、を含む。第2の面は、円環状の平坦面101pを含む。この平坦面の形は、0.8mmから3mmの範囲の好適な環幅を有する円環状部として作られている。平坦面は、中央区分101bにおけるハウジングカップ101の壁と90°の角度を形成していることが好ましい。円環状平坦面の最高点と最低点との間に、最大0.08mmの高さの差がある。
【0110】
図3に示されているセル100は、開口縁部101dが折り返されている結果として2つ層状に形成され、U字形状の断面を有しているという点においてのみ、図1及び図2に示されているセルとは異なっている。二重層状の開口縁部101dは、蓋アセンブリ102の縁部102aを密閉するシール103と直接接触している第1の層101eと、第1の層101eのシール103とは反対側に面した面に、第1の層に平行に広がる第2の層101fと、を有する。第1の層101eは、半径方向に外側に向いている切断端縁101gによって境界が定められ、したがって、腐食から非常に良好に保護される。この二重層状の開口縁部101dは、第1の、シール103と直接接触している内側の面101jと、シール103とは反対側に面した第2の面101hと、を含む。この第2の面101hは、環状の、平坦面101pを含み、1.2mmから4mmの範囲の環幅dを有する。この平坦面は、中央区分101bにおけるハウジングカップ101の壁と90°の角度を形成している。
【0111】
図4に示されているセル100は、開口縁部101dが折り返されている結果として2つ層状に形成され、U字形状の断面を有しているという点においてのみ、図1及び図2に示されているセルとは異なっている。二重層状の開口縁部101dは、蓋アセンブリ102の縁部102aを密閉するシール103と直接接触している第1の層101eと、第1の層101eのシール103とは反対側に面した面に、第1の層101eに平行に広がる第2の層101fと、を有する。第2の層101fは、半径方向に外側を向いた切断端縁101gによって区切られている。
【0112】
ハウジングカップ101の半径方向に内側に曲げられた開口縁部101dは、第1の、シール103と直接接触している内側の面と、シール103とは反対側に面した第2の面と、を含む。第2の面は、円環状平坦面101pを含む。円環状部の円環は、0.8mmから3mmの範囲の好適な環幅を有し、中央区分101bにおけるハウジングカップ101の壁と90°の角度を形成している。円環状平坦面の最高点と最低点との間に、最大0.08mmの高さの差がある。
【0113】
図5は、図1から図4に示されているような本発明によるエネルギー貯蔵セル100の実施形態において使用される蓋アセンブリ102を示す。これは、ハウジング内が過剰圧力になった場合に、外側に膨張、又は破裂する金属膜114を有するディスク113を含む。膜114を有するディスク113は、蓋アセンブリ102を外部に対して閉鎖する電極キャップ117と、電気接触し、且つ、直接接触している。ディスクは、内側接触ディスク115とも電気接触しているが、膜114のみを介している。それ以外の場合、ディスク113と、ディスク115とは、絶縁体116によって互いに電気的に絶縁される。アパーチャ115aを介して膜に直接作用する可能性がある過剰圧力の結果、膜114が外側に膨張した場合には、ディスク113とディスク115との間の電気的接触が遮断される。高圧では、膜が破裂する可能性もある。
【0114】
図6を参照しながら、電極-セパレータアセンブリ104の構造を説明する。アセンブリ104は、ストリップ状のアノード105を含み、このアノードは、第1の長手方向縁部106aと、それに平行な第2の長手方向縁部と、を有するストリップ状のアノード集電体106を有する。アノード集電体106は、銅又はニッケル製のホイルである。これは、負電極材料107の層が充填されたストリップ状の主領域と、その第1の長手方向縁部106aに沿って延びた、電極材料107が充填されていない自由縁部ストリップ106bと、を含む。さらに、アセンブリ104は、リボン状のカソード108を含み、このカソードは、第1の長手方向縁部109aと、それに平行な第2の長手方向縁部と、を有するリボン状のカソード集電体109を有する。カソード集電体109は、アルミホイルである。それは、正電極材料110の層が充填されたストリップ状の主領域と、その第1の長手方向縁部109aに沿って延びた、電極材料110が充填されていない自由縁部ストリップ109bと、を含む。電極は両方とも、巻回されていない状態で示されている。
【0115】
アノード105及びカソード108は、アノード集電体106の第1の長手方向縁部106aが第1の末端面104aから突き出るように、また、カソード集電体109の第1の長手方向縁部109aが電極-セパレータアセンブリ104の第2の末端面104bから突き出るように、互いにずらして、電極-セパレータアセンブリ104内に配置されている。ずらせた配置は、左側下の図解で見ることができる。そこには2つのリボン状のセパレータ156及び157もまた示されており、それらは、巻線内で電極105及び108を互いに分離している。
【0116】
右側下の図解では、電極-セパレータアセンブリ104は、図1から図4のうちの1つによるエネルギー貯蔵セルにおいて使用することができるので、それは巻回された形で示されている。端面104a及び104bから突き出ている縁部106a及び109aが、はっきりと分かる。巻線シェル104cは、プラスチックフィルムによって形成されている。
【0117】
図7は、2つの導電体140及び141が上に溶接された、図2に示されているような本発明によるエネルギー貯蔵セル100を示す。導電体140及び141はそれぞれ、金属からなり、エネルギー貯蔵セル100のハウジングカップの半径方向に内側に曲げられている開口縁部に溶接されている。導電体140及び141は両方とも、開口縁部の円環状平坦面101pの上に溶接されている。エネルギー貯蔵セル100は、導電体140及び141を介して同じタイプの隣接するセルに接続させることができる。
【0118】
分析により、平坦面101pの下に位置するシールが溶接加工によって破損されなかったことが示されている。
【0119】
図8は、本発明に従って導電体がその上側に溶接された、ハウジングカップの内側に曲げられている開口縁部の下側を示す。2つの溶接継ぎ目(142a及び142b、並びに142c及び142d)が、互いに平行に配置されていることが分かる。また、溶接継ぎ目がそれぞれ、互いに平行に延びているいくつかの個別の溶接継ぎ目から形成されていることも分かる。このような溶接継ぎ目は、レーザを使用して特に効率的に形成することができる。
【0120】
図9は、図2に示されているような本発明によるエネルギー貯蔵セルの蓋の構成要素の上面図を示す。円環状平坦面101pだけでなく、シール103の縁部、及び電極キャップ117も見える。円環状平坦面101pの区域では、円環状平坦面の最高点と最低点との間に、最大0.08mmの高さの差がある。表面101pは、内側に曲げられている開口縁部の内側縁部まで広がり、その下にシール103が突き出ている。外側に向かって、平坦面101pは、湾曲区域101kに隣接する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】