(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G01L19/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531162
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2022132796
(87)【国際公開番号】W WO2023093627
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111404667.4
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520001981
【氏名又は名称】ベイジン セブンスター フロー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Sevenstar Flow Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、フェン
(72)【発明者】
【氏名】フー、レイ
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC14
2F055DD20
2F055EE25
2F055FF01
2F055GG11
(57)【要約】
第1のホルダ(1)と電極部材(4)とを備え、第1のホルダ(1)には、電極部材(4)を支持する支持部(11)が設けられ、且つ電極部材(4)と支持部(11)とが対向する2つの面の間に複数の調整部材(51,52)が順次積層され、電極部材(4)、複数の調整部材(51,52)及び第1のホルダ(1)の熱膨張係数は、電極部材(4)から支持部(11)の方向に増加する、圧力センサ。この圧力センサは温度変化による部品間の相対変位の問題を解決することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のホルダと電極部材とを備え、
前記第1のホルダには、前記電極部材を支持する支持部が設けられ、且つ前記電極部材と前記支持部とが対向する2つの面の間に複数の調整部材が順次積層され、
前記電極部材、前記複数の調整部材及び前記第1のホルダの熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加することを特徴とする、
圧力センサ。
【請求項2】
前記調整部材それぞれの熱膨張係数は、以下の式を満たし、
【数1】
C
Mは、前記電極部材に最も近い前記調整部材から数えて、M番目の調整部材の熱膨張係数であり、M=1、2、…、Nであり、Nは前記調整部材の個数であり、Nは2以上であり、dC=Cc-Caであり、Caは、前記電極部材の熱膨張係数であり、Ccは前記第1支持体の熱膨張係数であり、fはプリセット範囲内の数値であり、前記プリセット数値はN/(N+1)以上であり、(N+2)/(N+1)以下であることを特徴とする、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
所定の圧力、摩擦係数及び総厚さの少なくとも1つを大きくすることにより、熱膨張時における各調整部材のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記指定圧力は、前記電極部材に前記電極部材から前記支持部の方向に印加される圧力であり、前記摩擦係数は、前記調整部材と前記電極部材との間の第1の摩擦係数と、前記調整部材と前記支持部との間の第2の摩擦係数と、隣接する2つの前記調整部材の間の第3の摩擦係数とを含み、前記総厚さは、すべての前記調整部材の厚さの和であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記指定圧力は250N以上であり、前記第1の摩擦係数、前記第2の摩擦係数及び前記第3の摩擦係数はいずれも0.1以上であり、前記総厚さは0.4mm以上であることを特徴とする、
請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
接触面積、割合、前記調整部材のせん断弾性率及び前記調整部材の弾性率の少なくとも1つを小さくすることにより、各前記調整部材の熱膨張時のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記接触面積は、前記調整部材と前記電極部材との間の第1の接触面積と、前記調整部材と前記支持部との間の第2の接触面積と、隣接する2つの前記調整部材の間の第3の接触面積とを含み、
各前記調整部材はいずれも円環であり、前記割合は、前記第1の接触面積と前記円環の径方向幅との第1の割合、前記第2の接触面積と前記円環の径方向幅との第2の割合、及び前記第3の接触面積と前記円環の径方向幅との第3の割合を含み、前記径方向幅は、前記調整部材の外周半径と内周半径との差であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記第1の接触面積、前記第2の接触面積及び前記第3の接触面積はいずれも150mm
2以下であり、前記第1の割合、前記第2の割合及び前記第3の割合はいずれも100mm以下であり、前記調整部材のせん断弾性率が100GPa以下であり、前記調整部材の弾性率は250GPa以下であることを特徴とする、
請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
少なくとも1つの調整部材の少なくとも1つの接触面は凹凸面であることを特徴とする、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項8】
各前記調整部材は環状であり、前記凹凸面における凹領域と凸領域とは、前記調整部材の周方向に沿って相互に設けられていることを特徴とする、
請求項7に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記調整部材は2つであり、それぞれ前記電極部材から前記支持部の方向に順次設けられた第1の調整部材と第2の調整部材であり、前記第1の調整部材の少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であり、前記第2の調整部材の2つの接触面はいずれも平面であるか、または少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であることを特徴とする、
請求項7または8に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記電極部材と、各前記調整部材と、前記支持部のうちの任意の隣接する両者の間は、互いに独立しているか、または互いに接続されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記調整部材の熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加することを特徴とする、
請求項1または2に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造分野に関し、具体的には圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体分野において、エッチングなどの方法でチップを生産する場合、通常、プロセスガスの圧力を高精度に監視し、ガスの圧力、流量などを正確に制御し、高品質の製品を生産することが求められている。
【0003】
従来の圧力センサは、上ホルダ、電極部材、下ホルダ、動膜を含み、上ホルダ、動膜、下ホルダは順次積層され、3者はすべて金属導体部材であり、溶接などによって接続されている。ここで、上ホルダの頂部開口部にはトップカバーが設けられ、当該トップカバー、動膜と上ホルダの間は上空間を構成し、動膜と下ホルダの間は下空間を構成し、上空間の圧力は既知であり、一般的には高真空状態にあり、その圧力値はPrとし、下空間は管路を介して被測定空間と連通し、その圧力値はPxとする。Pxが大きくなると、動膜は上向きの力を受けることで上向きに突出する。電極部材は絶縁体であり、その上面と下面はそれぞれ金属層で覆われており、2層の金属層は電極部材に設けられた貫通孔内壁上の金属層を介して電気的に導通しており、これにより、動膜の上面と電極部材の下面上の金属層は平板容量を構成し、この容量の容量値Cは、動膜の上面と電極部材の下面上の金属層との距離dと以下の関係にある。
【0004】
C=εS/d
そのうち、Sは動膜の上面と電極部材の下面上の金属層が互いに対向する面積であり、εは動膜の上面と電極部材の下面との間の物質の誘電率である。Pxが変化すると、動膜が変化し、距離dがそれに伴って変化し、容量値Cもそれに伴って変化する。電極部材の上面の金属層は、導線を介して回路基板に接続され、容量値Cの変化を検出し、Pxの大きさを算出する。
【0005】
上ホルダの内壁には通常、電極部材を支持するための段差が設けられているが、電極部材は絶縁体(例えば、セラミックス)であり、上ホルダは金属であるため、上ホルダの熱膨張係数は絶縁体の熱膨張係数よりも大きく、温度が変化すると両者の膨張の程度が異なり、両者の間でスティックスリップ現象が発生し、一定の相対変位が生じる可能性がある。温度が元の値に戻った後、両者の相対位置はほぼ元の状態に戻るが、極めてわずかながら違いがあり、これらの違いは電極部材と動膜との相対位置に影響を与え、最終圧力の測定精度に影響を与える。
【発明の概要】
【0006】
本発明は少なくとも従来技術に存在する技術課題の1つを解決することを目的としており、温度の変化による部品間の相対変位という問題を解決できる圧力センサを提供する。
【0007】
本発明の目的を実現するために、第1のホルダと電極部材とを備え、前記第1のホルダには、前記電極部材を支持する支持部が設けられ、且つ前記電極部材と前記支持部とが対向する2つの面の間に複数の調整部材が順次積層され、
前記電極部材、前記複数の調整部材及び前記第1のホルダの熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加する、圧力センサを提供する。
【0008】
任意で、前記調整部材それぞれの熱膨張係数は以下の式を満たす。
【0009】
【0010】
そのうち、CMは、前記電極部材に最も近い前記調整部材から数えて、M番目の調整部材の熱膨張係数であり、M=1、2、…、Nであり、Nは前記調整部材の個数であり、Nは2以上であり、dC=Cc-Caであり、Caは、前記電極部材の熱膨張係数であり、Ccは前記第1支持体の熱膨張係数であり、fはプリセット範囲内の数値であり、前記プリセット数値はN/(N+1)以上であり、(N+2)/(N+1)以下である。
【0011】
任意で、所定の圧力、摩擦係数及び総厚さの少なくとも1つを大きくすることにより、熱膨張時における各調整部材のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記指定圧力は、前記電極部材に前記電極部材から前記支持部の方向に印加される圧力であり、前記摩擦係数は、前記調整部材と前記電極部材との間の第1の摩擦係数と、前記調整部材と前記支持部との間の第2の摩擦係数と、隣接する2つの前記調整部材の間の第3の摩擦係数とを含み、前記総厚さは、すべての前記調整部材の厚さの和である。
【0012】
任意で、前記指定圧力は250N以上であり、前記第1の摩擦係数、前記第2の摩擦係数及び前記第3の摩擦係数はいずれも0.1以上であり、前記総厚さは0.4mm以上である。
【0013】
任意で、接触面積、割合、前記調整部材のせん断弾性率及び前記調整部材の弾性率の少なくとも1つを小さくすることにより、各前記調整部材の熱膨張時のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記接触面積は、前記調整部材と前記電極部材との間の第1の接触面積と、前記調整部材と前記支持部との間の第2の接触面積と、隣接する2つの前記調整部材の間の第3の接触面積とを含み、
各前記調整部材はいずれも円環であり、前記割合は、前記第1の接触面積と前記円環の径方向幅との第1の割合、前記第2の接触面積と前記円環の径方向幅との第2の割合、及び前記第3の接触面積と前記円環の径方向幅との第3の割合を含み、前記径方向幅は、前記調整部材の外周半径と内周半径との差である。
【0014】
任意で、前記第1の接触面積、前記第2の接触面積及び前記第3の接触面積はいずれも150mm2以下であり、前記第1の割合、前記第2の割合及び前記第3の割合はいずれも100mm以下であり、前記調整部材のせん断弾性率が100GPa以下であり、前記調整部材の弾性率は250GPa以下である。
【0015】
任意で、少なくとも1つの調整部材の少なくとも1つの接触面は凹凸面である。
【0016】
任意で、各前記調整部材は環状であり、前記凹凸面における凹領域と凸領域とは、前記調整部材の周方向に沿って相互に設けられている。
【0017】
任意で、前記調整部材は2つであり、それぞれ前記電極部材から前記支持部の方向に順次設けられた第1の調整部材と第2の調整部材であり、前記第1の調整部材の少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であり、前記第2の調整部材の2つの接触面はいずれも平面であるか、または少なくとも1つの接触面は前記凹凸面である。
【0018】
任意で、前記電極部材と、各前記調整部材と、前記支持部のうちの任意の隣接する両者の間は、互いに独立しているか、または互いに接続されている。
【0019】
任意で、少なくとも1つの前記調整部材の熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加する。
【0020】
本発明は以下の有益な効果を有する。
【0021】
本発明が提供する圧力センサは、電極部材と第1のホルダの支持部が互いに対向する2つの表面の間に複数の調整部材を順次積層することによって、各調整部材は温度変化時に微視的な変形、せん断ひずみ変形を発生させることによって電極部材と支持部の間の少なくとも一部の相対変位を「吸収」することができ、同時に電極部材、複数の調整部材と第1のホルダの熱膨張係数を電極部材から支持部の方向に増加させることによって、複数の調整部材の相対変位を「吸収」する作用を均一化させ、各調整部材に作用を発揮させ、全体的に利用率の最大化を実現することができる。これにより、電極部材と支持部との間の相対変位を効果的に低減または解消し、圧力センサの測定精度が影響を受けないことを保証することができる。また、本発明は、複数の調整部材が電極部材と支持部との間に積層され、いかなる加工も必要なく、構造が簡単であり、部品の加工難度を低減する圧力センサを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態が提供する圧力センサの外部構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態が提供する圧力センサの内部構造分解図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態で用いられた第1のホルダの支持部、電極部材及び調整部材の温度変化前の断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態で用いられた第1のホルダの支持部、電極部材及び調整部材の温度変化後の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態で用いられた第1の調整部材の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者に本発明の技術案をよりよく理解させるために、本発明が提供する圧力センサについて以下に図面と組みわせて詳細に説明する。
【0024】
図1及び
図2を併せて参照すると、本発明の実施の形態は、第1のホルダ1、第2のホルダ2、動膜3、電極部材4、2つの調整部材(51、52)、トップカバー6、管路7、導線8、弾性部材9及び支持リング10を含む圧力センサを提供する。そのうち、第1のホルダ1、動膜3及び第2のホルダ2は、
図1の圧力センサの軸線Aに沿って上から下へ順に設けられ、いずれも導電性の金属材料で作られ、溶接等により接続されている。また、第1のホルダ1の頂部には、第1のホルダ1の頂部開口を封止するためのトップカバー6が設けられており、弾性部材9と支持リング10はいずれもトップカバー6と電極部材4との間に位置し、支持リング10は弾性部材9の下方に位置し、弾性部材9を支持するのに用いられる。当該弾性部材9は、トップカバー6が第1のホルダ1に取り付けられたときに圧縮された状態にあり、
図1中の軸線Aに沿った上から下の方向に圧力を電極部材4に印加することができる。弾性部材9は、例えば圧縮ばねであってもよい。当該トップカバー6、動膜3と第1のホルダ1との間は上空間を構成し、動膜3と第2のホルダ2との間は下空間を構成し、上空間の圧力は既知であり、一般的には高真空状態にあり、その圧力値はPrとし、下空間は管路7を介して被測定空間と連通し、その圧力値はPxとする。Pxが大きくなると、動膜3は上向きの力を受けて大きくなり上向きに突出する。
【0025】
電極部材4は、下面に第1の金属層42が被覆され、上面に第2の金属層43が被覆された絶縁材料(例えばセラミックス)を用いて作製され、第1の金属層42と第2の金属層43は、電極部材4に設けられた貫通孔44の内壁上の金属層(図示せず)を介して電気的に導通し、動膜3と第1の金属層42との間は予め設定された距離を有し、これにより、動膜3と第1の金属層42は平板容量を構成し、この容量の容量値Cは、動膜3と第1の金属層42との間の距離dと以下の関係にある。
【0026】
C=εS/d
そのうち、Sは動膜3と第1の金属層42が互いに対向する面積であり、εは動膜3と第1の金属層42との間の物質の誘電率である。Pxが変化すると、動膜3はそれに伴って変化し(例えば、上向きに突出する)、動膜3と第1の金属層42との間の距離dがそれに伴って変化し、容量値Cもそれに伴って変化する。第2の金属層43は、導線8を介して回路基板(図示せず)に接続されて、容量値Cの変化を検出し、Pxの大きさを算出する。
【0027】
また、第1のホルダ1には、電極部材4を支持するための支持部11が設けられており、具体的には、電極部材4の縁部(第1の金属層42及び第2の金属層43を含まない)に、支持部11に支持される環状ボス41が設けられている。しかしながら、電極部材4は絶縁材料(例えばセラミックス)で作られているのに対し、第1のホルダ1は金属材料で作られているため、第1のホルダ1の熱膨張係数は電極部材4の熱膨張係数よりも大きく、この場合、支持部11が電極部材4に直接接触すると、温度が変化する際に、両者の膨張の程度が異なるために両者の間でスティックスリップ現象が発生し、さらに一定の相対変位が生じる可能性がある。温度が元の値に戻った後、両者の相対位置もほぼ元の状態に戻るが、極めてわずかながら違いがあり、これらの違いは電極部材4と動膜3との相対位置に影響を与え、最終圧力の測定精度に影響を与える。
【0028】
上記問題を解消するために、本実施の形態では、
図3を参照して、電極部材4の環状ボス41と支持部11とが対向する2つの表面(即ち、環状ボス41の下面411と支持部11の上面111)の間に2つの調整部材(51、52)が順次積層され、電極部材4、2つの調整部材(51、52)および第1のホルダ1の熱膨張係数は、電極部材4から支持部11の方向(即ち、
図1中の軸線Aに沿った上から下の方向)に増加し、即ち、電極部材4の熱膨張係数<第1の調整部材51の熱膨張係数<第2調整部材52の熱膨張係数<第1のホルダ1の熱膨張係数である。
【0029】
当然ながら、実際の応用においては、具体的な需要に応じて、例えば電極部材4と動膜3との間の間隔を調整し、電極部材4と支持部11との間の相対変位を減少または除去するなどのために、調整部材の数を3個、4個または5個以上に設定することもでき、本発明はこれに限定されない。
【0030】
いくつかの任意の実施の形態において、本発明は、熱膨張係数が上記条件を満たす限り、各調整部材の材料は特に限定されない。
【0031】
いくつかの任意の実施の形態において、少なくとも1つの調整部材は環状であり、例えば円環である。
【0032】
各調整部材が温度変化時に微視的な変形及びせん断ひずみ変形を生じることにより、電極部材4と第1のホルダ1の支持部11との間の少なくとも一部の相対変位を「吸収」することができ、いわゆる相対変位を「吸収」するとは、各調整部材が自身の変形により、接触した電極部材4又は支持部11又は他の調整部材の少なくとも一部の変位を相殺して、電極部材4と支持部11との間の相対変位を低減又は解消する目的を達成することができる。
【0033】
そして、電極部材4、複数の調整部材及び第1のホルダ1の熱膨張係数を電極部材4から支持部11の方向(即ち、
図1中の軸線Aに沿った上から下の方向)に増加させることによって、電極部材4、複数の調整部材及び支持部11における各隣接部品間の熱膨張係数の差異を小さくし、複数の調整部材が相対変位を「吸収」する作用を均一化することにより、各調整部材が作用を発揮させ、全体として利用率の最大化を図ることができる。例えば、電極部材4と支持部11との間に30単位の相対変位があると仮定すると、3つの調整部材を用いてこれらの相対変位を吸収するならば、最も有効な方法は各調整部材が10単位の相対変位を吸収することで、電極部材4と支持部11との間の相対変位を完全に除去することができるだけでなく、各調整部材が同じ「吸収」作用を発揮し、全体的に利用率を最大化することができる。
【0034】
これにより、本発明の実施の形態は、電極部材4と支持部11との間の相対変位を効果的に低減または解消し、圧力センサの測定精度が影響を受けないことを保証する圧力センサを提供する。また、複数の調整部材が電極部材4と支持部11との間に積層されており、いかなる加工も必要なく、構造が簡単であり、部品の加工難度が低減している。
【0035】
いくつかの任意の実施の形態では、各調整部材の熱膨張係数は、以下の式を満たすことができる。
【0036】
【0037】
そのうち、CMは、電極部材4に最も近い調整部材から数えて、M番目の調整部材の熱膨張係数であり、M=1、2、…、Nであり、Nは調整部材の個数であり、Nは2以上であり、Caは電極部材4の熱膨張係数であり、dC=Cc-Caであり、Ccは第1のホルダ1の熱膨張係数であり、fはプリセット範囲内の数値であり、当該プリセット数値はN/(N+1)以上であり、(N+2)/(N+1)以下である。
【0038】
上記の式により、電極部材4、N個の調整部材及び第1のホルダ1の熱膨張係数が電極部材4から支持部11の方向(即ち、
図1中の軸線Aに沿った上から下の方向)に増加することを満たす条件下で、各調整部材の熱膨張係数は上記の設定範囲内で自由に調整することができ、即ち、各調整部材に対応するf値を個別に調整して具体的な需要を満たすことができ、調整の柔軟性を高めることができる上、熱膨張係数の選択範囲を拡大することができる。
【0039】
2つの調整部材(51、52)を例にとると、温度が変化すると、電極部材4と支持部11はそれぞれ、2つの調整部材(51、52)との間にまず静止摩擦力を発生し、このとき2つの調整部材(51、52)は微視的に変形(即ち、微視的に変形)し、同時に静止摩擦力が2つの調整部材(51、52)において半径方向(即ち、
図4中のX方向)に沿ったせん断応力τを発生し,さらに2つの調整部材(51、52)にはせん断ひずみγがある。せん断応力τとせん断ひずみγの関係は次の式を満たす。
【0040】
τ=Gγ
そのうち、Gは調整部材のせん断弾性率である。
【0041】
図3に示すように、電極部材4が電極部材4から支持部11の方向(即ち、
図1中の軸線Aに沿った上から下の方向)の圧力を受けると、2つの調整部材(51、52)が電極部材4と支持部11との間に挟み込まれ、温度変化の前に、2つの調整部材(51、52)の横断面形状は矩形である。
図4に示すように、温度が上昇すると、第1のホルダ1の熱膨張係数が最も大きくなり、その支持部11径方向外側(即ち、
図4中のX方向)に最も膨張し、このとき、第2の調整部材52と支持部11との接触面、第2の調整部材52と第1の調整部材51との接触面、および第1の調整部材51と電極部材4との接触面には静摩擦力が存在し、2つの調整部材(51、52)はいずれもせん断ひずみ変形を生じ、即ち、2つの調整部材(51、52)の横断面形状は菱形になり、電極部材4と支持部11との相対位置は変化しなかった。ここから分かるように、このようなせん断ひずみ変形は、電極部材4と支持部材11との間のX方向の少なくとも一部の相対変位を「吸収」し、電極4と支持部11との相対位置を一定に保つことができる。
【0042】
しかしながら、温度変化が大きすぎると、2つの調整部材(51、52)の微視的な変形とせん断ひずみ変形がそれぞれ電極部材4と支持部11との間の静摩擦力を支持するのに十分ではなくなる可能性があり、その際に電極部材4と支持部11との間に微小なスティックスリップ現象が発生し、さらに一定の相対変位が生じる。
【0043】
上記課題を解消するため、十分な大きさのせん断ひずみ変形量が調整部材にあれば、電極部材4と支持部11との間の静摩擦力がそれぞれ十分に支持され、したがって電極部材4と支持部11との間に相対変位が生じない。調整部材のせん断ひずみ変形量を大きくする方法は様々であり、例えば、指定圧力、摩擦係数及び総厚さの少なくとも1つを大きくすることにより、各調整部材の熱膨張時のせん断ひずみ変形量を大きくすることができ、そのうち、上記指定圧力は、電極部材4から支持部11の方向(即ち、
図1中の軸線Aに沿った上から下の方向)に電極部材4に印加される圧力Fである。
図2に示すように、弾性部材9は、トップカバー6が第1のホルダ1に取り付けられたときに圧縮された状態にあり、この弾性部材9が電極部材4に印加する圧力が前記圧力Fである。圧力Fを大きくすることにより、調整部材と電極部材4との間の第1の摩擦係数と、調整部材と支持部11との間の第2の摩擦係数と、隣接する2つの調整部材の間の第3の摩擦係数とを含む上記摩擦係数を大きくすることができる。これらの摩擦係数を大きくすることにより、調整部材が受けるせん断応力τを大きくすることができ、せん断応力τとせん断ひずみγに関する上記公式から分かるように、せん断応力τが大きいほどせん断ひずみγは大きくなり、せん断ひずみ変形量を大きくすることができる。さらに、少なくとも1つの部品の接触面の表面粗さを調整することにより、これらの摩擦係数を直接大きくすることもできる。
【0044】
上記総厚さは、すべての調整部材の厚さ(即ち、
図1中の軸線A方向のサイズ)の和である。例えば、調整部材が円環である場合、円環の軸方向寸法は調整部材の厚さであり、円環の軸方向寸法が大きいほど、そのせん断ひずみ変形量が大きくなるので、上記総厚さを大きくすることにより、せん断ひずみ変形量を大きくすることができる。なお、各調整部材の厚さは、完全に同一であってもよく、一部が同一であってもよい。
【0045】
いくつかの任意の実施の形態において、調整部材が十分な大きさのせん断ひずみ変形量を有することを保証するために、上記指定圧力は250N以上であり、前記第1の摩擦係数、前記第2の摩擦係数及び前記第3の摩擦係数はいずれも0.1以上であり、前記総厚さは0.4mm以上である。
【0046】
上記方法を採用して調整部材のせん断ひずみ変形量を増大させた上で、接触面積、割合、調整部材のせん断弾性率、調整部材の弾性係数の少なくとも1つを減少させることにより、各調整部材の熱膨張時のせん断ひずみ変形量を増大させることができる。
【0047】
そのうち、前記接触面積は、調整部材と電極部材4との間の第1の接触面積、調整部材と支持部11との間の第2の接触面積、および隣接する2つの調整部材間の第3の接触面積を含む。各調整部材が円環である場合、前記割合は、第1の接触面積と円環の径方向幅との第1の割合、第2の接触面積と円環の径方向幅との第2の割合、及び第3の接触面積と円環の径方向幅との第3の割合を含む。そのうち、半径方向幅とは、調整部材の外周半径と内周半径との差を指す。
【0048】
いくつかの任意の実施の形態において、調整部材が十分な大きさのせん断ひずみ変形量を有することを保証するために、上記第1の接触面積、第2の接触面積、および第3の接触面積はいずれも150mm2以下であり、前記第1の割合、第2の割合及び第3の割合はいずれも100mm以下であり、調整部材のせん断弾性率は100GPa以下であり、調整部材の弾性率は250GPa以下である。
【0049】
いくつかの任意の実施の形態において、上記接触面積を減少させる方法は、少なくとも1つの調整部材の少なくとも1つの接触面が凹凸面であるというものであってもよい。この接触面は調整部材の支持部11、電極部材4または他の調整部材に対向する表面であり、凹凸面であるため、凸領域のみが支持部11、電極部材4または他の調整部材に接触するため、この凹凸面により、前記接触面積を小さくすることができるだけでなく、凹凸面の凹領域とそれに隣接する他の表面との間に隙間があり、圧力センサの上空間を真空引きする際に、この隙間は上空間中のガスの流通に役立ち、上空間中のガスをより徹底的に排出させ、さらに上空間の真空度を高めることができる。好ましくは、少なくとも1つの調整部材の2つの接触面はいずれも凹凸面であり、これにより、上空間におけるガスの流通性をさらに高めることができる。実際に使用する際には、同じ調整部材上の2つの凹凸面は対称であっても非対称であってもよい。
【0050】
具体的な一実施の形態として、各調整部材は環状であり、前記凹凸面における凹領域と凸領域は調整部材の円周方向に沿って相互に配置されている。例えば、
図5に示すように、第1の調整部材51を例にとると、第1の調整部材51が円環である場合、その円環の2つの接触面(即ち、
図5における上向きおよび下向きの環状端面)のうちの少なくとも1つが上記凹凸面であり、その凹凸面における凹み領域と凸領域とが円環の円周方向に沿って相互に配置される。例えば、
図5に示す第1調整部材51の上端面と下端面はいずれも凹凸面であり、上端面511を例として、この上端面51は、3つの凹領域511aと3つの凸領域511bとを含み、凹領域511aと凸領域511bは相互に配置され、即ち、いずれか2つの凹領域511aが隣接しておらず、いずれか2つの凸領域511bが隣接していない場合、各凸領域511bだけが支持部11、電極部材4または他の調整部材に接触することができ、凹領域511aは接触しないので、上記接触面積を小さくすることができる。当然ながら、実際の応用では、上記接触面積を小さくすることができれば、他の任意の構造の凹凸面を採用することもできる。
【0051】
上記実施の形態に加えて、さらに、調整部材は2つであり、2つの調整部材はそれぞれ電極部材4から支持部11の方向に順次設けられた第1の調整部材51と第2の調整部材52であり、第1の調整部材51の少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であり、第2の調整部材52の2つの接触面はいずれも平面であるか、または少なくとも1つの接触面は上記凹凸面である。このように、調整部材の厚さを調整する必要がある場合には、上方に位置する第1の調整部材51のみを交換することができ、これにより、取り外しプロセスを簡略化し、交換効率を高めることができる。
【0052】
いくつかの任意の実施の形態において、電極部材4、各調整部材、および支持部11のうちの任意の隣接する2つの間は、互いに独立しているか、または互いに接続されている。接続方法は、例えば、接着、溶接、印刷などである。互いに独立しているとは、電極部材4、各調整部材及び支持部11のうち任意の隣接する両者が重なっているが、互いに拘束されないことを意味する。
【0053】
いくつかの任意の実施の形態において、少なくとも1つの調整部材の異なる位置における熱膨張係数は不均一である。好ましくは、少なくとも1つの調整部材の熱膨張係数は、電極部材4から支持部11の方向(即ち、
図1中の軸線Aに沿った上から下の方向)に増加する。これにより、軸線Aにおける同一調整部材の熱膨張係数に差を生じさせることができ、同様に相対変位を「吸収」する作用の均一化を図ることができる。このような調整部材は、例えば複合材料から作られる。
【0054】
いくつかの任意の実施の形態において、各調整部材の熱膨張係数は、20℃の温度で0.000005/K以上、0.000002/K以下である。
【0055】
いくつかの任意の実施の形態において、本発明の実施の形態によって提供される圧力センサは、真空ゲージや圧力制御装置など、圧力を検出する必要がある任意の製品に適用することができる。
【0056】
以上のことから、本発明の実施の形態は、電極部材と第1のホルダの支持部が互いに対向する2つの表面の間に複数の調整部材を順次積層することにより、各調整部材は温度変化時に微視的な変形、せん断ひずみ変形により電極部材と支持部との間の少なくとも一部の相対変位を「吸収」することができ、同時に電極部材、複数の調整部材と第1のホルダの熱膨張係数を電極部材から支持部の方向に増加させることにより、複数の調整部材の相対変位を「吸収」する作用を均一化することができ、それにより各調整部材すべてに作用を発揮させ、全体的に利用率の最大化を実現することができる圧力センサを提供する。これにより、電極部材と支持部との相対変位を効果的に低減または解消し、圧力センサの測定精度が影響を受けないことを保証することができる。また、本発明は、複数の調整部材が電極部材と支持部との間に積層され、いかなる加工も必要なく、構造が簡単であり、部品の加工難度を低減する圧力センサを提供する。
【0057】
以上の実施の形態は、本発明の原理を説明するために採用された例示的な実施形態にすぎず、本発明はこれに限定されないことが理解される。当業者にとっては、本発明の精神及び本質を逸脱することなく、様々な変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の請求範囲とみなされる。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のホルダと電極部材とを備え、
前記第1のホルダには、前記電極部材を支持する支持部が設けられ、且つ前記電極部材と前記支持部とが対向する2つの面の間に複数の調整部材が順次積層され、
前記電極部材、前記複数の調整部材及び前記第1のホルダの熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加
し、
所定の圧力、摩擦係数及び総厚さの少なくとも1つを大きくすることにより、熱膨張時における各調整部材のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記所定の圧力は、前記電極部材に前記電極部材から前記支持部の方向に印加される圧力であり、前記摩擦係数は、調整部材と前記電極部材との間の第1の摩擦係数と、別の調整部材と前記支持部との間の第2の摩擦係数と、隣接する2つの調整部材の間の第3の摩擦係数とを含み、前記総厚さは、すべての前記調整部材の厚さの和であることを特徴とする、
圧力センサ。
【請求項2】
前記調整部材それぞれの熱膨張係数は、以下の式を満たし、
【数1】
C
Mは、前記電極部材に最も近い前記調整部材から数えて、M番目の調整部材の熱膨張係数であり、M=1、2、…、Nであり、Nは前記調整部材の個数であり、Nは2以上であり、dC=Cc-Caであり、Caは、前記電極部材の熱膨張係数であり、Ccは前記第1
のホルダの熱膨張係数であり、fはプリセット範囲内の数値であり、前記プリセット
範囲はN/(N+1)以上であり、(N+2)/(N+1)以下であることを特徴とする、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記
所定の圧力は250N以上であり、前記第1の摩擦係数、前記第2の摩擦係数及び前記第3の摩擦係数はいずれも0.1以上であり、前記総厚さは0.4mm以上であることを特徴とする、
請求項
1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
少なくとも1つの調整部材の少なくとも1つの接触面は凹凸面であることを特徴とする、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項5】
各前記調整部材は環状であり、前記凹凸面における凹領域と凸領域とは、前記調整部材の周方向に沿って相互に設けられていることを特徴とする、
請求項
4に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記調整部材は2つであり、それぞれ前記電極部材から前記支持部の方向に順次設けられた第1の調整部材と第2の調整部材であり、前記第1の調整部材の少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であり、前記第2の調整部材の2つの接触面はいずれも平面であるか、または
前記第2の調整部材の接触面のうちの少なくとも1
つは前記凹凸面であることを特徴とする、
請求項
4または
5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記電極部材と、各前記調整部材と、前記支持部のうちの任意の隣接する両者の間は、互いに独立しているか、または互いに接続されていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項8】
少なくとも1つの前記調整部材の熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加することを特徴とする、
請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項9】
第1のホルダと電極部材とを備え、
前記第1のホルダには、前記電極部材を支持する支持部が設けられ、且つ前記電極部材と前記支持部とが対向する2つの面の間に複数の調整部材が順次積層され、
前記電極部材、前記複数の調整部材及び前記第1のホルダの熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加し、
接触面積、割合、前記調整部材のせん断弾性率及び前記調整部材の弾性率の少なくとも1つを小さくすることにより、各前記調整部材の熱膨張時のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記接触面積は、調整部材と前記電極部材との間の第1の接触面積と、別の調整部材と前記支持部との間の第2の接触面積と、隣接する2つの調整部材の間の第3の接触面積とを含み、
各前記調整部材はいずれも円環であり、前記割合は、前記第1の接触面積と前記円環の径方向幅との第1の割合、前記第2の接触面積と前記円環の径方向幅との第2の割合、及び前記第3の接触面積と前記円環の径方向幅との第3の割合を含み、前記径方向幅は、前記調整部材の外周半径と内周半径との差であることを特徴とする、
圧力センサ。
【請求項10】
前記調整部材それぞれの熱膨張係数は、以下の式を満たし、
【数2】
C
M
は、前記電極部材に最も近い前記調整部材から数えて、M番目の調整部材の熱膨張係数であり、M=1、2、…、Nであり、Nは前記調整部材の個数であり、Nは2以上であり、dC=Cc-Caであり、Caは、前記電極部材の熱膨張係数であり、Ccは前記第1のホルダの熱膨張係数であり、fはプリセット範囲内の数値であり、前記プリセット範囲はN/(N+1)以上であり、(N+2)/(N+1)以下であることを特徴とする、
請求項9に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記第1の接触面積、前記第2の接触面積及び前記第3の接触面積はいずれも150mm
2
以下であり、前記第1の割合、前記第2の割合及び前記第3の割合はいずれも100mm以下であり、前記調整部材のせん断弾性率が100GPa以下であり、前記調整部材の弾性率は250GPa以下であることを特徴とする、
請求項9に記載の圧力センサ。
【請求項12】
少なくとも1つの調整部材の少なくとも1つの接触面は凹凸面であることを特徴とする、
請求項9に記載の圧力センサ。
【請求項13】
各前記調整部材は環状であり、前記凹凸面における凹領域と凸領域とは、前記調整部材の周方向に沿って相互に設けられていることを特徴とする、
請求項12に記載の圧力センサ。
【請求項14】
前記調整部材は2つであり、それぞれ前記電極部材から前記支持部の方向に順次設けられた第1の調整部材と第2の調整部材であり、前記第1の調整部材の少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であり、前記第2の調整部材の2つの接触面はいずれも平面であるか、または前記第2の調整部材の接触面のうちの少なくとも1つは前記凹凸面であることを特徴とする、
請求項12または13に記載の圧力センサ。
【請求項15】
前記電極部材と、各前記調整部材と、前記支持部のうちの任意の隣接する両者の間は、互いに独立しているか、または互いに接続されていることを特徴とする、
請求項9または10に記載の圧力センサ。
【請求項16】
少なくとも1つの前記調整部材の熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加することを特徴とする、
請求項9または10に記載の圧力センサ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
以上の実施の形態は、本発明の原理を説明するために採用された例示的な実施形態にすぎず、本発明はこれに限定されないことが理解される。当業者にとっては、本発明の精神及び本質を逸脱することなく、様々な変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の請求範囲とみなされる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第1のホルダと電極部材とを備え、
前記第1のホルダには、前記電極部材を支持する支持部が設けられ、且つ前記電極部材と前記支持部とが対向する2つの面の間に複数の調整部材が順次積層され、
前記電極部材、前記複数の調整部材及び前記第1のホルダの熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加することを特徴とする、
圧力センサ。
[2] 前記調整部材それぞれの熱膨張係数は、以下の式を満たし、
【数3】
C
M
は、前記電極部材に最も近い前記調整部材から数えて、M番目の調整部材の熱膨張係数であり、M=1、2、…、Nであり、Nは前記調整部材の個数であり、Nは2以上であり、dC=Cc-Caであり、Caは、前記電極部材の熱膨張係数であり、Ccは前記第1支持体の熱膨張係数であり、fはプリセット範囲内の数値であり、前記プリセット数値はN/(N+1)以上であり、(N+2)/(N+1)以下であることを特徴とする、 [1]に記載の圧力センサ。
[3] 所定の圧力、摩擦係数及び総厚さの少なくとも1つを大きくすることにより、熱膨張時における各調整部材のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記指定圧力は、前記電極部材に前記電極部材から前記支持部の方向に印加される圧力であり、前記摩擦係数は、前記調整部材と前記電極部材との間の第1の摩擦係数と、前記調整部材と前記支持部との間の第2の摩擦係数と、隣接する2つの前記調整部材の間の第3の摩擦係数とを含み、前記総厚さは、すべての前記調整部材の厚さの和であることを特徴とする、
[1]または[2]に記載の圧力センサ。
[4] 前記指定圧力は250N以上であり、前記第1の摩擦係数、前記第2の摩擦係数及び前記第3の摩擦係数はいずれも0.1以上であり、前記総厚さは0.4mm以上であることを特徴とする、
[3]に記載の圧力センサ。
[5] 接触面積、割合、前記調整部材のせん断弾性率及び前記調整部材の弾性率の少なくとも1つを小さくすることにより、各前記調整部材の熱膨張時のせん断ひずみ変形量を大きくし、前記接触面積は、前記調整部材と前記電極部材との間の第1の接触面積と、前記調整部材と前記支持部との間の第2の接触面積と、隣接する2つの前記調整部材の間の第3の接触面積とを含み、
各前記調整部材はいずれも円環であり、前記割合は、前記第1の接触面積と前記円環の径方向幅との第1の割合、前記第2の接触面積と前記円環の径方向幅との第2の割合、及び前記第3の接触面積と前記円環の径方向幅との第3の割合を含み、前記径方向幅は、前記調整部材の外周半径と内周半径との差であることを特徴とする、
[1]または[2]に記載の圧力センサ。
[6] 前記第1の接触面積、前記第2の接触面積及び前記第3の接触面積はいずれも150mm
2
以下であり、前記第1の割合、前記第2の割合及び前記第3の割合はいずれも100mm以下であり、前記調整部材のせん断弾性率が100GPa以下であり、前記調整部材の弾性率は250GPa以下であることを特徴とする、
[5]に記載の圧力センサ。
[7] 少なくとも1つの調整部材の少なくとも1つの接触面は凹凸面であることを特徴とする、
[1]に記載の圧力センサ。
[8] 各前記調整部材は環状であり、前記凹凸面における凹領域と凸領域とは、前記調整部材の周方向に沿って相互に設けられていることを特徴とする、
[7]に記載の圧力センサ。
[9] 前記調整部材は2つであり、それぞれ前記電極部材から前記支持部の方向に順次設けられた第1の調整部材と第2の調整部材であり、前記第1の調整部材の少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であり、前記第2の調整部材の2つの接触面はいずれも平面であるか、または少なくとも1つの接触面は前記凹凸面であることを特徴とする、
[7]または[8]に記載の圧力センサ。
[10] 前記電極部材と、各前記調整部材と、前記支持部のうちの任意の隣接する両者の間は、互いに独立しているか、または互いに接続されていることを特徴とする、
[1]または[2]に記載の圧力センサ。
[11] 少なくとも1つの前記調整部材の熱膨張係数は、前記電極部材から前記支持部の方向に増加することを特徴とする、
[1]または[2]に記載の圧力センサ。
【国際調査報告】