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特表2024-540686希土修飾モレキュラーシーブ吸着剤を使用した固体酸触媒パラフィンアルキル化
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  • 特表-希土修飾モレキュラーシーブ吸着剤を使用した固体酸触媒パラフィンアルキル化 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】希土修飾モレキュラーシーブ吸着剤を使用した固体酸触媒パラフィンアルキル化
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/62 20060101AFI20241024BHJP
   C01B 39/22 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 29/064 20060101ALI20241024BHJP
   C07C 9/16 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20241024BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C07C2/62
C01B39/22
B01J29/064 Z
C07C9/16
B01J20/18 D
B01J20/30
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547173
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022052903
(87)【国際公開番号】W WO2023064644
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524145830
【氏名又は名称】エグゼラス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EXELUS INC.
【住所又は居所原語表記】264 Passiac Avenue,Fairfield,New Jersey 07004 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミトラジット・ムケルジー
(72)【発明者】
【氏名】バムシ・エム・バドリ
(72)【発明者】
【氏名】ザワー・ウォジョク
(72)【発明者】
【氏名】ナレンドラ・ジョシ
【テーマコード(参考)】
4G066
4G073
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G066AA62B
4G066BA22
4G066BA38
4G066CA51
4G066DA01
4G066FA03
4G066FA11
4G066FA21
4G066FA22
4G066FA34
4G066FA37
4G073BA04
4G073BA17
4G073BA63
4G073CZ04
4G073FA05
4G073FB30
4G073FD08
4G073FF01
4G073UA06
4G073UB39
4G169AA03
4G169BA07A
4G169BC01A
4G169BC41A
4G169BC45A
4G169BC68A
4G169BC72A
4G169BC75A
4G169CB62
4G169GA05
4G169ZA01A
4G169ZC01
4G169ZC04
4G169ZC08
4G169ZF01A
4H006AA02
4H006AA05
4H006AB44
4H006AC21
4H006BA08
4H006BA21
4H006BA63
4H006BA68
4H006BA71
4H006BA81
4H006BA84
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BC31
4H006BC32
4H006BC40
4H006DA15
4H006DA25
4H006DA46
4H006DA50
4H006DA55
4H039CA19
4H039CF10
(57)【要約】
本発明は、結晶性ゼオライト触媒及び希土類修飾モレキュラーシーブ吸着剤(RE-MSA)を含む触媒反応系を含む、イソブタンをアルキル化する方法について記載する。結晶質ゼオライト触媒はソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、Si/Alモル比が20以下であり、アルカリ金属が0.5重量%未満であり、最大5重量%のPt、Pd、又はNiを含み、少なくとも100mole/gmの酸部位密度(ルイス酸部位とブレンステッド酸部位の両方を含む)を有する。希土(RE)修飾モレキュラーシーブ吸着剤(Re-MSA)は、ソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、Si/Alモル比20以下であり、アルカリ金属が1重量%未満、RE(希土類元素)が10~30重量%の範囲であり、9~11族から選択される遷移金属が2重量%~10重量の範囲であり、30mole/gm以下の酸部位密度を有する。本発明はまた、RE-MSAを作製する方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソブタンをアルキル化する方法であって、
過剰のイソブタンとC2~C5オレフィンからなる供給混合物を反応チャンバーに通すことを含み;
前記反応チャンバーは、
ソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、Si/Alモル比が20以下であり、アルカリ金属が0.5重量%未満であり、最大5重量%のPt、Pd、又はNiを含み、少なくとも100μmole/gmの酸部位密度(ルイス酸部位とブレンステッド酸部位の両方を含む)を有する、結晶質ゼオライト触媒と、
ソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、Si/Alモル比20以下であり、アルカリ金属が1重量%未満、RE(希土類元素)が10~30重量%の範囲であり、9~11族から選択される遷移金属が2重量%~10重量%の範囲であり、30μmole/gm以下の酸部位密度を有する、RE修飾モレキュラーシーブ吸着剤(Re-MSA)と
を含む、方法。
【請求項2】
定常状態では、C2~C5オレフィンの少なくとも90%が生成物に変換され、
リサーチオクタン価(RON)は90以上を維持され、再生を行わずに同じ触媒上で2.5以上の触媒年齢のプロセスが実施され、
ここで、定常状態とは、C8異性体に対する選択性が、触媒年齢が測定される全期間にわたって10%以下変化することを意味する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
結晶質ゼオライト触媒は、10~35重量%の範囲の希土類元素を含み、
Re-MSAは、少なくとも8オングストローム、又は8~12Åの範囲の微細孔直径を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
250~400psigの圧力で実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
供給原料中のC2~C5オレフィンの濃度が1重量%~30重量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
触媒床の入口における、C2~C5オレフィンの濃度に対するイソブタンの濃度の比が100~1000モル/モルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
オレフィンの空間速度が0.05/時間~0.5/時間である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒及びRe-MSAは、少なくとも250℃の温度で本質的に水素である流動ガス流中で再生され、前記触媒は、Pt、Pd、Ni、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を0.1重量%~5重量%、又は0.5~4重量%、又は1.0~3.0重量%含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒及びRe-MSAが、少なくとも50体積%の水素であるガス流を用いて再生される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒及びRe-MSAが、少なくとも250℃の温度及び少なくとも500のGHSVで流動水素中で再生される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、触媒又はRe-MSAを再生することなく、2~3.5の触媒年齢にわたって連続的に実行される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応チャンバーが充填触媒床とそれに続くRe-MSA床を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応チャンバーが、充填されたRe-MSA床と、それに続く触媒床を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応チャンバーが、少なくとも2つの触媒床と2つのRe-MSA床を含む触媒とRe-MSAの交互床を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応チャンバーが、触媒とRe-MSAの混合物からなる充填床を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記反応チャンバー内の触媒重量に対するRe-MSA重量の比が0.1~10重量/重量である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応チャンバーが、触媒及びRe-MSAを含む粒子の充填床を含む、前記粒子の少なくとも95重量%が少なくとも0.1mmの粒径を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
45~90℃の温度で実施される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記C2~C5オレフィンが100ppm未満の水を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
2.5の触媒年齢又は3.0の触媒年齢で前記プロセスを実施することを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
RE修飾モレキュラーシーブ吸着剤(Re-MSA)の製造方法であって、
ソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、20以下のSi/Alモル比及び第1の濃度のアルカリ金属を有するモレキュラーシーブ吸着剤(MSA)を提供することと、
前記MSAを、希土類金属を含む溶液と接触させることと、
前記Re-MSAを少なくとも575℃の温度に加熱することによって前記触媒を焼成して、希土類金属と、第1の濃度のアルカリ金属よりも低い第2の濃度のアルカリ金属とを含むRe-MSA中間体を生成することと、
前記RE-MSA中間体を9~11族から選択される遷移金属塩の溶液と接触させること、
乾燥して余分な溶液を除去すること、及び
遷移金属塩を酸化物形態に変換する温度まで加熱すること
を含む方法。
【請求項22】
少なくとも575℃、好ましくは600℃の温度まで焼成するステップにより、アルカリ金属カチオン部位の一部が希土類金属カチオン部位で置換されたRE-MSAが得られ、
遷移金属塩の溶液と接触させるステップにより、アルカリ金属カチオン部位の一部が希土類金属カチオン部位で置換され、アルカリ金属カチオン部位の別の一部が遷移金属カチオン部位で置換された触媒が提供され、
温度ステップへの加熱は450℃を超えず、空気の存在下で行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記希土類金属は、ランタン、セリウム、ネオジム、及びプラセオジムからなる群から選択され、前記希土類金属カチオンは、ランタンカチオン、セリウムカチオン、ネオジムカチオン、及びプラセオジムカチオンからなる群から選択される、請求項21~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記希土類金属がランタンを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記アルカリ金属カチオン部位が少なくとも90重量%のナトリウムカチオン部位を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記触媒が、約2~約35のシリカ対アルミナ比を有する、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記触媒が、約2~約10のシリカ対アルミナ比を有する、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記希土類金属を含む溶液が、La(NO)3水溶液を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記希土類金属を含む溶液が、La2(SO43水溶液を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記希土類金属を含む溶液が、LaCl3水溶液を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記希土類金属を含む溶液は、少なくとも0.1Mのランタンイオン、又は少なくとも0.2MのLa、又は少なくとも0.4MのLa、又は少なくとも0.6MのLa、又は少なくとも0.8MのLa、又は0.2~0.8Mの範囲のLaの水溶液を含む、請求項21~27のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記触媒を60~90℃の温度で希土類金属溶液と接触させる、請求項21~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記触媒を希土類金属溶液と約2時間接触させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記焼成ステップが600℃を超えない、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記焼成ステップが2~8時間行われる、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記焼成ステップ中、Re-MSAは、2.0重量%を超えない、又は0.2重量%を超えない水分含量を有する空気の存在下で加熱される、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
前記遷移金属塩の溶液は、少なくとも0.1M、又は少なくとも0.2M、又は少なくとも0.3M、又は少なくとも0.5M、又は少なくとも1Mの金属イオンの水溶液を含む、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
アルカリ金属カチオン部位の一部が遷移金属カチオン部位に置換されたRE-MSAを提供する、遷移金属塩の溶液を接触させるステップは、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩又はシュウ酸塩の水溶液を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記MSAが13Xである、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月15日に提出された米国仮特許出願第63/256,516号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
高オクタン価アルキレートは、製油所で生産される最もクリーンなガソリン混合ストリームである。「アルキレート」という用語は、イソブタンとオレフィンとの反応生成物を指す。アルキレートは汚染が少なく、毒性も低いため、理想的なクリーン燃料成分である。アルキレートは、オクタン価を向上させ、したがってガソリンのアンチノック特性を向上させるために、数十年にわたってガソリンに混合されてきた。精製業者にとってアルキレートの重要性は高まり続けている。現在の北米の燃料の約13%、すなわち日量1,200万バレル以上を占めている。世界中で義務化されている、より厳格な自動車燃料仕様を満たすよう努めている製油所にとって、アルキル化能力への投資は製油所の柔軟性と収益性の向上につながる可能性がある。現在、アルキレートは液体酸触媒を使用して製造されている。精製業者は通常、流出すると致命的となる可能性があるフッ化水素酸(HF)、又は潜在的に有害でリサイクルコストが増大する硫酸(H2SO4)のいずれかを使用する。
【0003】
アルキル化反応では、強酸触媒の存在下で軽質オレフィンとイソパラフィン(通常はイソブタン)が反応する。C2~C5オレフィンによるイソブタンのアルキル化には、カルボカチオン中間体を介して起こる一連の連続的かつ同時の反応が含まれる。最初のステップは、イソブタンにプロトンを付加して、tert-ブチル又はt-ブチルカチオンを形成することである。次に、t-ブチルカチオンをオレフィンに付加して、対応するC8カルボカチオンを生成する。これらのC8カルボカチオンは、水素化物転移及びメチルシフトを介して異性化して、より安定なカチオンを形成することができる。次に、C8カチオンはイソブタンと急速に水素化物移動を起こして目的のイソオクタン分子を形成し、t-ブチルカチオンが再生されて鎖の配列が永続化される。
【0004】
残念ながら、アルキル化中に起こる反応はこれらだけではない。一般に、アルキレートの品質を低下させる傾向のある二次反応が多数ある。重合は、一次反応で形成されたC8+カチオンに2番目のオレフィンを追加することで起こり、それによってC12+カチオンなど、炭素数8を超えるカチオンが形成される。C12+カチオンはオレフィンと反応し続けて、より大きなカチオンを形成することができる。一般に、カルボカチオンへのオレフィンの連続付加、又はオレフィンの重合が、触媒失活への主な経路であると考えられている。オレフィン付加反応は重合ステップと呼ばれることもあるが、水素化物転移反応は主なアルキル化反応と呼ばれる。重合反応により「コークス」が形成される。次に、より重いアルキレート分子が酸部位(acid site)を越えて分解して、より軽いC5~C7炭化水素を形成する可能性がある。その結果、アルキレートは、軽質イソペンタン(C512)からより重質(C1226以上)の炭化水素までのパラフィン系分子で構成される。
【0005】
固体酸触媒は、液体触媒の代替品として30年近く研究されてきた。これらの触媒には、AlC3;タングステン酸塩などのヘテロポリ酸;及びシリカ、ポリマー、又はその他の固体支持体に固定化された液体酸が含まれる。天然又は人工のゼオライトも使用されている。固体酸触媒は選択性を向上させ、製造コストを削減するように調整できるが、アルキル化反応条件下では次の2つのメカニズムにより急速に失活する傾向がある:1)オレフィン重合反応による活性点での「コークス」の形成及び2)重質アルキレート分子による孔口の詰まり。重炭化水素は固体触媒の細孔構造を詰まらせる傾向があり、それによって酸性部位へのアクセスが減少する。
【0006】
改良された固体酸アルキル化触媒の開発には大きな関心が寄せられている。例えば、特表平1-245853号公報、米国特許第3,962,133号及び第4,116,880号明細書、ならびに英国特許第1,432,720号及び第1,389,237号明細書は、H2SO4強化超酸触媒を開示している;米国特許第5,220,095号、第5,731,256号、第5,489,729号、第5,364,976号、第5,288,685号明細書及び欧州特許出願第714,871A号明細書は、CF3SO3H/シリカ触媒を開示している;米国特許第5,391,527号及び第5,739,074号明細書は、Pt-AlCl3-KCl/Al23触媒を開示している;米国特許第5,157,196号、第5,190,904号、第5,346,676号、第5,221,777号、第5,120,897号、第5,245,101号、第5,012,033号、第5,157,197号明細書、及び公開された国際公開第95/126,815号などは、SbF5、BF3及びAlCl3などのルイス酸触媒を開示している;米国特許第5,324,881号及び第5,475,178号明細書は、担持されたヘテロポリ酸触媒を開示している;米国特許第3,917,738号及び第4,384,161号明細書はモレキュラーシーブ触媒を開示している。しかしながら、50年以上にわたる継続的な努力にもかかわらず、改良された安定した経済的な固体酸アルキル化触媒に対するニーズは依然として満たされていない。
【0007】
固体酸触媒、例えば、複数のH+又は酸部位を有するゼオライト触媒など、毒性及び危険性が低い。しかし、そのような触媒は液体酸触媒よりもH+、すなわち酸性部位が少なく、そのような酸性部位の一部のみがアルキル化反応を触媒するのに十分な強度を持っている。液体の酸とは基本的に異なり、ゼオライトには、その性質(ブレンステッド酸とルイス酸)及び強度が大きく異なるさまざまな部位の集団がある。ゼオライトの種類、アルミニウム含有量、交換手順に応じて、幅広い強度と濃度のブレンステッド酸サイトとルイス酸サイトが存在する。ゼオライトは、液体の酸よりもかなり低いプロトン(酸部位)濃度を示す。例えば、1gのH2SO4には20×10-3モルのプロトンが含まれているが、Si/Al比が5のゼオライトHY1gには1×10-3モル以下のプロトンが含まれており、そのうち20~30%はアルキル化反応を触媒するのに十分な強度を持っている。その結果、固体酸触媒の耐用年数は通常、液体酸触媒よりも2桁短く、固体酸触媒を使用した商業的に実行可能なパラフィンアルキル化技術の開発が困難になる。
【0008】
改良されたアルキル化特性を有するゼオライト触媒の製造方法は、Lercherらにより米国特許第7,459,412号に記載されている。この特許に記載されている触媒は、シリカ(SiO2)対アルミナ(Al23)のモル比が10未満であり、アルカリ金属含量が0.2重量%以下の結晶性ゼオライトを含む。実施例では、Lercherらは市販のゼオライトXを硝酸ランタン、次に硝酸アンモニウムで処理し、空気流中で450℃で焼成して、アルカリ金属含有量の低いゼオライト触媒を生成した。Lercherらは、触媒は可能な限り高い濃度のブレンステッド酸中心と低濃度の強いルイス酸中心を有するはずであると報告した。ルイス酸中心は触媒的には不活性であるが、オリゴマー化と触媒の失活を促進するオレフィンと結合する。Lercherらは、ルイス酸中心は焼成工程中に結晶格子から放出されるアルミニウムカチオンから生じると報告している。
【0009】
希土類処理と脱アンモニア処理を組み合わせていない従来技術の方法では、少なくとも500℃の脱アンモニア温度が記載されている。米国特許第3,893,942号、第3,851,004号、及び第5,986,158号を参照。
【0010】
ゼオライト結晶格子からのアルミニウムの放出は脱アルミニウムとして知られており、水蒸気の存在下で高温で起こる。例えば、Lutzらは、Investigations of the Mechanism of Dealumination of Zeolite Y by Steam: Tuned Mesopore Formation Versus the Si/Al Ratio,” in the Proceedings of the 14th Int’l Zeolite Conf., pp. 25-30 (2004)において、500℃、600℃、及び700℃での1bar水蒸気でのゼオライトYの脱アルミニウムについては、温度の上昇に伴って脱アルミニウム速度が増加することが示されることを報告した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
モレキュラーシーブ吸着剤を使用してオレフィンをパラフィンから分離できることは文献でよく知られている。分離プロセスで使用される吸着剤は、一般に金属で修飾された結晶性アルミノケイ酸塩である。具体的には、NaXゼオライトは、その強力な骨格極性により、極性基とのより強力な相互作用を生成できるため、分離分野での吸着剤として使用できる。Herdenらは、イオン交換されたXゼオライト上の1-オクテンとオクタンの液相吸着を研究した1。彼らは、おそらく1-オクテンとカチオンの特異的な相互作用により、浸漬熱がオクタンよりも1-オクテンの方が高いことを示した。彼らの結果は、ゼオライト中のカチオンの性質が強い影響を与えていることも示した。例えば、1-オクテンの自己拡散率は、KX>NaX>BaXの順に減少することが示された。しかし、アルカリやアルカリ土類と交換されたゼオライトのような吸着剤は、主にフレームワークとソルベートの間でファンデルワールス相互作用を示し、極性の低い汚染物質を完全に除去するには選択性が十分ではない。多くの場合、吸着剤と吸着質の間のより特異的な相互作用による分離が必要になる。多くの場合、金属はゼオライト上でイオン交換され、一般に不飽和化合物の吸着に対するふるいの能力が増加する。これらの金属のd軌道は、非古典的な方法で不飽和炭化水素との結合形成に関与することができる。このタイプの結合は、広くπ錯体形成と呼ばれる2、3。多くの金属、特にCu、Ag、Co、Niなどの遷移金属がこの目的のために研究されてきた。π錯体形成は、銀又は第一銅イオンを含む溶液を使用したオレフィン/パラフィンの分離にうまく適用されている。4~6液相中でのパラフィンに対するオレフィンの選択的吸着は、さまざまな用途に使用されて成功している。例えば、Liuら7は、CuClとクロロアルミン酸イオン液体の混合物が、純粋なクロロアルミン酸イオン液体よりも効率的にイソブタン/ブテンのアルキル化反応を触媒することを発見した。なぜなら、生成したCuAlCl4はブテンの一部を可逆的に吸着することができ、その結果、反応中のイソブタン/ブテン比が増加し、結果として副反応が減少し、TMPの選択性が向上するからである。
【0012】
気体-固体系でもオレフィン/パラフィン混合物を分離するためにπ錯体化を使用する試みが数多く行われてきた。Padinら8は、単層分散AgNO3/SiO2が1-ブタンよりも1-ブテンに対して高い選択性と容量を示し、優れた分離吸着剤のように作用することを示した。微量の1,3-ブタジエンを除去することによる1-ブテンの精製は、Ag+交換Y-ゼオライトを使用することによって達成された。Ag-Y中の銀含有量の変化が1,3-ブタジエンの吸着に及ぼす影響は、異なるSi/Al比のAg-YとAg+-Na+混合イオン交換ゼオライト(AgNa-Y)を使用して体系的に研究された。9銀含有量が26重量%のAgNa-Yは、この用途に対して優れた精製特性を示すことが報告されている。一方、Takashiら10は、イオン交換ゼオライトYにおけるCu2+のCu+への変換により、1-ブテン/1,3-ブタジエン分離用の新しい吸着剤が生成されることを報告した。彼らは、Cu(I)-Yの性能がAg-Yの性能よりも約1桁優れていることが判明したと報告した。さらに、Cu-Yは、H2S/H2への曝露に関して、Ag-Yよりも優れた耐被毒性も示した。Jinら11は、1-ブテン/n-ブタンを選択的に分離するための新しいメソ多孔質吸着剤、Fe-Cu/MCM-41を開発した。著者らは、MCM-41のメソ細孔内にFe2+イオンとCu+イオンを共含浸させると、おそらくCu-MCM-41と比較して優れた1-ブテン/n-ブタン分離能力が得られると報告した。これは、Fe2+種が一種の酸化還元緩衝剤として機能し、オレフィンとのπ錯体形成の原因となるCu+種の化学的安定性を向上させるためである。π錯体形成に基づく他の吸着剤も選択的オレフィン吸着に関する文献で報告されている:Ag+-交換樹脂、12、13柱状粘土上の単層CuCl、14及び単層AgNO3/SiO2 15~17
【0013】
Denayerら18、19は、異なるトポロジーとSi/Al比を持つ一連の(遷移)金属交換ゼオライトを、1-オクテンからシクロペンタジエン(CPD)を除去する可能性について評価した。Co、Ni、Ag交換高アルミナゼオライトが部位特異的相互作用の候補として選択された。著者らは、試験したすべての材料の中で、最初にカルシウムイオンと交換し、その後焼成し、その後コバルトイオンと交換したゼオライトX(CoCaX50と表記)が最も高い吸着選択性と吸着能力を示したと報告した。
【0014】
Ag-Yによる1,3-ブタジエン/1-ブテンの吸着に対するH2及びH2S曝露の影響は、文献で調査された9、20。XPS分析に基づくと、Ag-Y内のAg+がH2Sと反応してAg2Sを形成し、吸着容量の低下を引き起こしたと考えられる。しかし、1,3-ブタジエン/1-ブテンの分離係数は、精製用途を実行できるほど十分に高かった。一方、Ag-YへのH2曝露は、Ag+からAg0への還元により有害であり、その結果、π錯体形成が著しく悪化した。解決策として酸化による再生が提案され、これが実証され、オレフィンの吸着に関する最適な酸化条件が特定された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第一の態様では、本発明は、イソブタンをアルキル化する方法を提供し、前記方法は、
過剰のイソブタンとC2~C5オレフィンからなる供給混合物を反応チャンバーに通すことを含み;前記反応チャンバーは、ソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、Si/Alモル比が20以下であり、アルカリ金属が0.5重量%未満であり、最大5重量%のPt、Pd、又はNiを含み、少なくとも100μmole/gmの酸部位密度(ルイス酸部位とブレンステッド酸部位の両方を含む)を有する、結晶質ゼオライト触媒と、ソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、Si/Alモル比20以下であり、アルカリ金属が1重量%未満、RE(希土類元素)が10~30重量%の範囲であり、9~11族から選択される遷移金属が2重量%~10重量%の範囲であり、30μmole/gm以下の酸部位密度を有する、希土(RE)修飾モレキュラーシーブ吸着剤(molecular sieve adsorbent、MSA)とを含む。これらの値はゼオライトに関するものであり、バインダー、充填剤、又はその他の構造成分に関するものではないことに注意されたい。酸部位密度は、ASTM D4824-94(1998年に再承認)に定義されているような従来の手段によって測定できる。好ましくは、触媒及び吸着剤はペレット又はビーズの形態である。
【0016】
本発明は同様に、上で定義した触媒及び吸着剤を含む触媒反応システムを含む。このシステムは、装置と反応条件の特徴によってさらに特徴付けることができる。
【0017】
本発明はさらに、以下の特徴の1つ又は任意の組み合わせによって特徴付けることができる:定常状態では、C2~C5オレフィンの少なくとも90%が生成物に変換され、リサーチオクタン価(Research Octane Number、RON)は90以上を維持され、再生を行わずに同じ触媒上で2.5以上の触媒年齢のプロセスが実施され、ここで、定常状態とは、C8異性体に対する選択性が、触媒年齢が測定される全期間にわたって10%以下変化することを意味する;結晶質ゼオライト触媒は、10~35重量%の範囲の希土類元素を含み、Re-MSAは、少なくとも8オングストローム、又は8~12Åの範囲の微細孔直径を有する;前記方法は250~400psigの圧力で実施される;供給原料中のC2~C5オレフィンの濃度が1重量%~30重量%である;触媒床の入口における、C2~C5オレフィンの濃度に対するイソブタンの濃度の比が100~1000モル/モルである;オレフィンの空間速度が0.05/時間~0.5/時間である;前記触媒及びRe-MSAは、少なくとも250℃の温度で本質的に水素である流動ガス流中で再生される;前記触媒は、Pt、Pd、Ni、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される元素を0.1重量%~5重量%、又は0.5~4重量%、又は1.0~3.0重量%含む;前記触媒及びRe-MSAが、少なくとも50体積%の水素であるガス流を用いて再生される;前記触媒及びRe-MSAが、少なくとも250℃の温度及び少なくとも500のGHSVで流動水素中で再生される;前記方法が、触媒又はRe-MSAを再生することなく、2~3.5の触媒年齢にわたって連続的に実行される;前記反応チャンバーが充填触媒床とそれに続くRe-MSA床を含む;前記反応チャンバーが、充填されたRe-MSA床と、それに続く触媒床を含む;前記反応チャンバーが、少なくとも2つの触媒床と2つのRe-MSA床を含む触媒とRe-MSAの交互床を含む;前記反応チャンバーが、触媒とRe-MSAの混合物からなる充填床を含む;前記反応チャンバー内の触媒重量に対するRe-MSA重量の比が0.1~10重量/重量である;前記反応チャンバーが、触媒及びRe-MSAを含む粒子の充填床を含む、前記粒子の少なくとも95重量%が少なくとも0.1mmの粒径を有する;前記方法は45~90℃の温度で実施される;前記C2~C5オレフィンが100ppm未満の水を含む;少なくとも2.5の触媒年齢又は少なくとも3.0又は2.5から5.0若しくは4.0の範囲の触媒年齢で前記プロセスを実施することを含む;及び/又はMSAが13Xモレキュラーシーブである。
【0018】
別の態様では、本発明は、RE修飾モレキュラーシーブ吸着剤(Re-MSA)を製造する方法を提供し、この方法は、ソーダライトケージ及びスーパーケージを含み、20以下のSi/Alモル比及び第1の濃度のアルカリ金属を有するモレキュラーシーブ吸着剤(MSA)を提供することと;前記MSAを、希土類金属を含む溶液と接触させることと;前記Re-MSAを少なくとも575℃の温度に加熱することによって前記触媒を焼成して、希土類金属と、第1の濃度のアルカリ金属よりも低い第2の濃度のアルカリ金属とを含むRe-MSA中間体を生成することと;前記RE-MSA中間体を9~11族から選択される遷移金属塩の溶液と接触させること、乾燥して余分な溶液を除去すること、及び遷移金属塩を酸化物形態に変換する温度まで加熱することを含む。
【0019】
本発明はさらに、以下の特徴の1つ又は任意の組み合わせによって特徴付けることができる:少なくとも575℃、好ましくは600℃の温度まで焼成するステップにより、アルカリ金属カチオン部位の一部が希土類金属カチオン部位で置換されたRE-MSAが得られる;遷移金属塩の溶液と接触させるステップにより、アルカリ金属カチオン部位の一部が希土類金属カチオン部位で置換され、アルカリ金属カチオン部位の別の一部が遷移金属カチオン部位で置換された触媒が提供される;温度ステップへの加熱は450℃を超えず、空気の存在下で行われる;前記希土類金属は、ランタン、セリウム、ネオジム、及びプラセオジムからなる群から選択され、前記希土類金属カチオンは、ランタンカチオン、セリウムカチオン、ネオジムカチオン、及びプラセオジムカチオンからなる群から選択される;前記希土類金属がランタンを含む;前記アルカリ金属カチオン部位が少なくとも90重量%のナトリウムカチオン部位を含む;前記触媒が、約2~約35のシリカ対アルミナ比を有する;前記触媒が、約2~約10のシリカ対アルミナ比を有する;前記希土類金属を含む溶液が、La(NO)3水溶液を含む;前記希土類金属を含む溶液が、La2(SO4)3水溶液を含む;前記希土類金属を含む溶液が、LaCl3水溶液を含む;前記希土類金属を含む溶液は、少なくとも0.1Mのランタンイオン、又は少なくとも0.2MのLa、又は少なくとも0.4MのLa、又は少なくとも0.6MのLa、又は少なくとも0.8MのLa、又は0.2~0.8Mの範囲のLaの水溶液を含む;前記触媒を60~90℃の温度で希土類金属溶液と接触させる;前記触媒を希土類金属溶液と約2時間接触させる;前記焼成ステップが600℃を超えない;前記焼成ステップが2~8時間行われる;前記焼成ステップ中、Re-MSAは、2.0重量%を超えない、又は0.2重量を超えない水分含量を有する空気の存在下で加熱される;前記遷移金属塩の溶液は、少なくとも0.1M、又は少なくとも0.2M、又は少なくとも0.3M、又は少なくとも0.5M、又は少なくとも1Mの金属イオンの水溶液を含む;アルカリ金属カチオン部位の一部が遷移金属カチオン部位に置換されたRE-MSAを提供する、遷移金属塩の溶液を接触させるステップは、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩又はシュウ酸塩の水溶液を含む;前記MSAが13Xである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、吸着剤のスクリーニングに使用される試験ユニットを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
用語集
触媒年齢-「触媒年齢」とは、反応器に供給されたオレフィンの質量を、触媒の質量+吸着剤の質量で割ったものである。
【0022】
触媒寿命-オレフィン変換率が90%を下回る触媒使用年齢が「触媒寿命」と定義される。
【0023】
焼成温度-「焼成温度」という用語は、ランタンイオンから水和球を除去し、ソーダライト及びスーパーケージ内のランタンとナトリウムカチオン間の固相交換を可能にすることを目的とした、触媒合成手順の中間ステップとして利用される最高温度を指す。
【0024】
再生温度-固体酸触媒は、より重い炭化水素を水素化分解してゼオライト構造から除去するために、高温で水素ガスを流しながら再生できる。このステップで使用される最高温度を「再生温度」と呼ぶ。
【0025】
変換-「反応物の変換」という用語は、反応器に流入する材料と反応器から流出する材料の間の反応物のモル又は質量の変化を、反応器に流入する材料中の反応物のモル又は質量で割ったものを指す。例えば、100グラムのオレフィンが反応器に供給され、10グラムのオレフィンが反応器から出た場合、変換率は[(100-10)/100]=オレフィンの変換率90%となる。
【0026】
「結晶性ゼオタイプ材料」とは、その材料がX線回折によって検出でき、材料内に開いたチャネルを持つ3次元シリカ骨格を有することを意味する。この材料はゼオライト構造とも呼ばれる。多数のゼオライト構造の説明は、Webサイトhttp://helios.princeton.edu/zeomics/のZeomics構造概要で見つけることができる。ただし、特定の触媒のチャネル開口部の測定は従来の技術によって決定される必要がある。典型的なゼオライトはアルミノケイ酸塩であるが、本発明で使用される触媒にはアルミニウムは必要ない(好ましくは1重量%未満のAl、好ましくは0.5重量%未満又は0.1重量%未満又は0.01重量%未満のAlを含有する)。特に明記しない限り、これらの組成物は結合剤を含む触媒を指すか、又はいくつかの好ましい実施形態では結晶相内の組成物を指す。メタン及び/又はDMEをオレフィンに変換するために使用される結晶質ゼオタイプ触媒は、ゼオライトSi-O骨格中のTiを示すSi/Tiゼオタイプ触媒と呼ぶことができる。
【0027】
「RON」はリサーチオクタン価の略で、燃料品質のよく知られた尺度である。
【0028】
オレフィン-本明細書で使用するとき、「オレフィン」という用語は、当該技術分野における通常の意味を有し、二重結合によって結合された1対以上の炭素原子を含む任意の不飽和炭化水素を指すのに使用される。軽質オレフィンという用語は、C2~C6オレフィンを指す。本発明において、C2~C6オレフィンは、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、及びペンテン及びヘキセンの様々な異性体を指す。「C2~C6オレフィン」という語句は、C2~C6範囲のオレフィンの任意の組み合わせを包含する標準的な意味を有し、C2~C6化合物のいずれについても最低要件はない。
【0029】
当業者であれば、触媒中の細孔径(例えば、最小細孔径、最小細孔径の平均)を決定する方法を理解できる。例えば、X線回折(XRD)を使用して原子座標を決定できる。細孔径を決定するためのXRD技術は、例えば、Pecharsky,V.K.らの“Fundamentals of Powder Diffraction and Structural Characterization of Materials, ” Springer Science+Business Media, Inc., New York, 2005に記載されている。細孔径(例えば、ゼオライト細孔径)を決定するのに有用であり得る他の技術には、例えば、ヘリウムピクノメトリー又は低圧アルゴン吸着技術が含まれる。これら及びその他の手法については、Magee,J.S.らの“Fluid Catalytic Cracking: Science and Technology, ” Elsevier Publishing Company, July 1, 1993, pp. 185-195に記載されている。メソポーラス触媒の細孔径は、例えば窒素吸着技術を使用して決定でき、Gregg, S.J.らの“Adsorption, Surface Area and Porosity,” 2nd Ed., Academic Press Inc., New York, 1982、及びRouquerol, F.らの“Adsorption by powders and porous materials. Principles, Methodology and Applications,” Academic Press Inc., New Yorkに記載されている。
【0030】
従来のように、「5.1~5.6Åの分子寸法を有する」(又は同様のもの)という表現は、MFI構造内の最大のチャネル開口部を指し(最大のキャビティサイズではない)、これにより、ゼオライトの内部から漏れ出る化合物のサイズが制限される。これは、細孔制限直径としても知られている。MFI構造の存在は、X線回折(XRD)、N2吸脱着等温線によって特徴付けることができる。Silvestre-Alberoらの“Desilication of TS-1 zeolite for the oxidation of bulky molecules,” Cat. Comm. 44 (2014) 35-39によって例が示されている。従来理解されているように、「四面体チタニア」という語句は、チタニアが正確に四面体であることを必要とするものではなく、Silvestre-Alberoらの論文に関連して言及されているようなTi置換ゼオライトの特性値を満たすことを意味する。従来から知られているように、結晶構造内の記載された分子寸法は、既知の技術、特に、Silvestre-Alberoらの論文に記載されているような従来のガス吸着/脱離技術によって決定することができる。細孔構造を決定する手法は同じ値に収束する必要がある。ただし、大きな不一致がある場合は、Silvestre-Alberoらの論文に記載されているガス吸着/脱離技術が決定的なものとなる。
【0031】
選択性-「選択性」という用語は、反応から生じるすべての生成物のパーセントとして、特定の生成物(又は複数の生成物)の生成量を指す。例えば、反応で100グラムの生成物が生成され、これらの生成物中に80グラムのオクタンが含まれる場合、すべての生成物中のオクタンの選択率は80/100=80%になる。選択性は、前述の例のように質量ベースで計算することも、特定の生成物のモルを全生成物のモルで割ることによって計算されるモルベースで計算することもできる。他に指定しない限り、選択性は質量ベースである。
【0032】
収量-「収量」という用語は、本明細書では、反応器から流出する生成物の量を反応器に流入する反応物の量で割ったものを指し、通常はパーセンテージ又は分率で表される。質量収量は、特定の製品の質量を、その製品を調製するために使用した飼料の重量で割ったものである。
【0033】
特に明記しない場合、「%」は質量%を意味し、重量%と同義である。理想的なガスの挙動は、気相中のモル%と体積%が同じであると仮定される。
【0034】
標準的な特許用語と同様に、「含む」という用語は「備える」という意味であり、追加のコンポーネントを排除するものではない。「含む」という用語に関連して説明される本発明の態様のいずれも、「含む」という用語がより狭義の用語「から本質的になる」又は「からなる」に置き換えられるより狭義の実施形態も含む。本明細書で使用される「備える」又は「備えている」という用語は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ例示的な構成要素を列挙するものとして解釈されるべきである。標準用語として、「システム」には、装置及び材料(反応物や生成物など)及び装置内の状態が含まれる。
【0035】
本発明は、以下の実施例でさらに説明される。いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、実施例から任意に選択された説明、例えば、実施例、表、又は図のいずれかの値の±20%以内(又は±10%以内)によってさらに特徴付けられ得る。しかしながら、本発明の範囲は、より広い観点において、これらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例
【0036】
例1
出発物質は、2.8のSiO2/Al2O3モル比(1.4のSi/Al)及び15重量%のナトリウム含有量を有する、Sigma Aldrichからの市販の13Xモレキュラーシーブであった。この吸着剤を吸着剤Aとする。
【0037】
例2
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーを150mLの0.2M硝酸ランタン溶液に懸濁することによってイオン交換し、2時間撹拌しながら80℃に加熱した。ランタン溶液をデカントし、新しい溶液と置き換えした。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Bとする。
【0038】
例3
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.2M硝酸ニッケル溶液中に懸濁することによってイオン交換し、2時間撹拌しながら80℃に加熱した。溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Cとする。
【0039】
例4
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.2M硝酸銅溶液に懸濁し、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Dとする。
【0040】
例5
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.2M硝酸バリウム溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。
【0041】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.5M硝酸アンモニウム溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。アンモニウム溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Eとする。
【0042】
例6
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.2M硝酸カルシウム溶液に懸濁し、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。
【0043】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.5M硝酸アンモニウム溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。アンモニウム溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Fとする。
【0044】
例7
アルキル化活性実験は、図1に示す等温充填層反応器のセットアップを使用して、dT/dP>10及びL/dP>50となるように実行された。加熱は、オメガ温度制御ユニットとセラミック発熱体を使用して制御された。原料は反応器に入る前に長さ約75cmの予熱器を通って送られた。
【0045】
ExSact-3000触媒(15グラム)と目的の吸着剤(10グラム)を最初に反応器に装填し、1LPMの窒素を350℃で4時間流すことによって活性化し、その後45℃の反応温度まで冷却した。次いで、反応器をイソブタンで300psigまで加圧した。過剰のイソブタンと1-ブテンの反応供給混合物を、1/時間のWHSVで反応器に供給した。リサイクル率は40vol/volに維持した。製品サンプルを1時間ごとに採取し、PetrocolDH100mカラムを備えたガスクロマトグラフを使用して分析した。イソブタンによる1-ブテンのアルキル化におけるExSact3000触媒の性能に対する吸着剤の影響を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1は、吸着剤としてRE交換モレキュラーシーブを使用する利点を示している。
【0048】
例8
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0049】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2M硝酸バリウム溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Gとする。
【0050】
例9
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0051】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2M硝酸リチウム溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Hとする。
【0052】
例10
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0053】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2M硝酸カルシウム溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Iとする。
【0054】
例11
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.2M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。
【0055】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.8M硝酸アルミニウム溶液に懸濁し、2時間撹拌しながら80℃に加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、600℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Jとする。
【0056】
例12
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0057】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2Mリン酸溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃に2時間加熱した。酸溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Kとする。
【0058】
例13
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0059】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2M硝酸ランタン溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Lとする。
【0060】
例14
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0061】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2Mホウ酸溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。酸溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Mとする。
【0062】
例15
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0063】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2M硝酸ニッケル溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Nとする。
【0064】
例16
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0065】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2M硝酸銅溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Oとする。
【0066】
例17
13Xモレキュラーシーブを、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.8M硝酸ランタン溶液に懸濁させ、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で600℃の温度で4時間焼成した。
【0067】
イオン交換したモレキュラーシーブを0.2M硝酸コバルト溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃で2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Pとする。
【0068】
例18
アルキル化活性実験は、実施例7に記載されているように実施した。結果を表2に要約する。
【0069】
【表2】
【0070】
表2は、吸着剤としてRE交換モレキュラーシーブを使用する場合に、コバルト(9族)、ニッケル(10族)、又は銅(11族)のいずれかで2回目のイオン交換を行う利点を示している。
【0071】
例19
開始材料は、5.2のSiO2/Al2O3モル比と13重量%のナトリウム含有量を有するSigma Aldrichからの市販のNaYモレキュラーシーブであった。この吸着剤を吸着剤Qとする。
【0072】
例19
NaYモレキュラーシーブは、15グラムのモレキュラーシーブを150mLの0.2M硝酸ランタン溶液に懸濁し、2時間撹拌しながら80℃に加熱することによってイオン交換した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。イオン交換をさらに2回繰り返し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次いで、モレキュラーシーブを室温で乾燥させた。イオン交換後、モレキュラーシーブをマッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。
【0073】
RE交換したNaYモレキュラーシーブを0.2M硝酸銅溶液に懸濁し、撹拌しながら80℃まで2時間加熱した。硝酸塩溶液をデカントし、新しい溶液と交換した。このイオン交換を3回実施し、その後、それぞれ75mLの水で2回洗浄した。次に、イオン交換したモレキュラーシーブを乾燥させ、450℃で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Rとする。
【0074】
例20
吸着剤は、初期湿潤技術によって高表面積のg-アルミナ担体上に硝酸銅溶液を添加することによって調製された。次いで、吸着剤を室温で乾燥させた。含浸に続いて、吸着剤を乾燥させ、マッフル炉内で450℃の温度で4時間焼成した。この吸着剤を吸着剤Sとする。
【0075】
例21
アルキル化活性実験は、実施例7に記載されているように実施した。結果を表3に要約する。
【0076】
【表3】
【0077】
表3は、銅で再交換されたYゼオライトも、g-アルミナに含浸された銅も、パラフィンのアルキル化に対する吸着剤としての利点を提供しないことを示している。
【0078】
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図1
【国際調査報告】