(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20241025BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20241025BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241025BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241025BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241025BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241025BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241025BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241025BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20241025BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P19/00
A61P21/00
A61P29/00
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/10
A61K47/02
A61K31/196
A61K9/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023568258
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022049334
(87)【国際公開番号】W WO2023081539
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523415855
【氏名又は名称】リー・ウェイヨン
(71)【出願人】
【識別番号】523415866
【氏名又は名称】ルオ・チー
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】リー・ウェイヨン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ・チー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA71
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC05
4C076CC09
4C076DD25
4C076DD37
4C076DD38
4C076EE09
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4C076EE24
4C076EE45
4C076FF34
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF63
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB24
4C206FA31
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA52
4C206MA83
4C206NA13
4C206ZA89
4C206ZA94
4C206ZA96
(57)【要約】
薬物を経皮的に患者に送達するシステムは、急性/慢性筋骨格痛の苦痛を軽減するために使用することができる。このシステムは、バッキング層、接着層、局所用アプリケータ、適量の薬剤、および、適量の局所用担体を含む。局所用アプリケータは、接着層によってバッキング層全体にわたり、バッキング層に対して接続される。適量の薬剤と適量の局所用担体は、局所薬として均質に混合され、局所用アプリケータから保持され調剤される。局所用アプリケータは、平らなアプリケータ本体、複数の鈍いスパイク、および、封じ込めリムを含む。平らなアプリケータ本体は局所用アプリケータの構造ベースである。封じ込めリムは局所薬を周囲に閉じ込めるために使用される。鈍いスパイクは、局所薬の保持を改善するために、局所用アプリケータの表面積を増加させるために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキング層と、
接着層と、
局所用アプリケータと、
適量の薬剤と、
適量の局所用担体とを含み、
前記バッキング層は医療用テープであり、
前記局所用アプリケータは、平らなアプリケータ本体と複数の鈍いスパイクと封じ込めリムとを含み、
前記適量の薬剤と前記適量の局所用担体とは局所薬として均一に混合されており、
前記接着層は、前記バッキング層と前記平らなアプリケータ本体の間に配置されており、
前記平らなアプリケータ本体は、前記接着層によって前記バッキング層全体にわたり、前記バッキング層に対して接続されており、
前記封じ込めリムと前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体に隣接して、前記バッキング層と反対側に配置されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体の上に接続されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体上の全体にわたって分布されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体から離れる方向に向いており、
前記封じ込めリムは、前記平らなアプリケータ本体の周辺部に接続されており、
前記封じ込めリムは、前記複数の鈍いスパイクの周りに配置されており、
前記局所薬は、前記封じ込めリム内に保持されており、
前記局所薬は、前記複数の鈍くされたスパイクの間に保持されている、
患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項2】
前記バッキング層が不透過性素材で作られている、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項3】
前記局所用アプリケータが、ポリカーボネート素材で作られている、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項4】
前記平らなアプリケータ本体が、患者の皮膚を通して適量の薬物を最適に送達するようなサイズおよび/または形状である、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項5】
前記平らなアプリケータ本体の外周形状が、正方形形状、長方形形状、円形形状、および、長円形状から成る群から選択されたものである、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項6】
前記平らなアプリケータ本体の封じ込めリムの高さが600マイクロメートルから3500マイクロメートルの範囲である、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項7】
前記複数の鈍いスパイクの総数が、患者の皮膚を介して適量の薬物を最適に送達するように構成されている、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項8】
前記適量の薬物が非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項9】
前記適量の局所用担体が、ゲル、クリーム、フォーム、ローション、および、軟膏から成る群から選択されたものである、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項10】
前記局所用担体は、少なくとも1つの適量のゲル化剤と少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤と少なくとも1つの適量の緩衝剤と少なくとも1つの適量の安定剤と適量の水とを含み、
前記少なくとも1つの適量のゲル化剤と前記少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤と前記少なくとも1つの適量の緩衝剤と前記少なくとも1つの適量の安定剤と前記適用の量の水とは、均質に混合されている、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項11】
前記適量の薬物が適量のイブプロフェンであり、前記少なくとも1つのゲル化剤が適量のキサンタンガムおよび適量のカルボマーであり、前記少なくとも1つの皮膚浸透促進剤が適量エタノールおよび適量のグリセリンであり、前記少なくとも1つの緩衝剤が適量の炭酸ナトリウムであり、前記少なくとも1つの安定剤が適量のポリエチレングリコールである、
請求項10に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項12】
前記適量のイブプロフェンの量が前記局所薬の約4.0重量パーセントであり、前記適量の水の量が前記局所薬の約41.0重量パーセントであり、前記適量のキサンタンガムの量が前記局所局所薬の約1.0重量パーセントであり、前記適量のカルボマーの量が前記局所薬の約0.2重量パーセントであり、前記適量のエタノールの量が前記局所薬の約40.0重量パーセントであり、前記適量のグリセリンの量が前記局所薬の約10.5重量パーセントであり、前記適量の炭酸ナトリウムの量が前記局所薬の約0.35重量パーセントであり、前記適量のポリエチレングリコールの量が前記局所薬の約3.0重量パーセントである、
請求項11に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項13】
前記適量の薬剤は適量のジクロフェナクであり、前記少なくとも1つの適量のゲル化剤は適量のキサンタンガムと適量のカルボマーであり、前記少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤は適量のエタノールと適量のグリセリンであり、前記少なくとも1つの緩衝剤は適量の炭酸ナトリウムである、
請求項10に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項14】
前記適量のジクロフェナクの量が前記局所薬の約1.0重量パーセントであり、前記適量の水の量が前記局所薬の約37.92重量パーセントであり、前記適量のキサンタンガムの量が前記局所薬の約0.80重量パーセントであり、前記適量のカルボマーの量が前記局所薬の約0.78重量パーセントであり、前記適量のエタノールの量が前記局所薬の約38.8重量パーセントであり、前記適量のグリセリンの量が前記局所薬の約20.0重量パーセントであり、前記適量の炭酸ナトリウムの量が前記局所薬の約0.70重量パーセントである、
請求項13に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、医療機器および実験機器に関する。より具体的には、本発明は、患者への薬剤の経皮送達を容易にするための方法、システム、装置、および機器に関する。
(関連する出願)
本出願は、2022年11月8日に出願された米国仮特許出願(63/277,098)の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
医療機器や検査機器の分野は、複数の産業、企業、個人にとって技術的に重要である。
【0003】
経皮(TD)薬物送達には、TDパッチと外用剤という2つの大きな技術カテゴリーがある。TDパッチは、皮膚との接触面積が確定的であるため、パッチ上の薬物含有媒体から使用者の皮膚を通して、より正確に薬物を投与することができ、さらに、パッチの薬物送達媒体が使用時に保護される。TDパッチの重要な製品には、疼痛管理用のDuragesic(登録商標)(フェンタニル)、Lidoderm(リドカイン)、Burtrans(登録商標)(ブプレノルフィン)、避妊薬としてのOrtho Evra(エチニルエストラジオールとノレルゲストロミン)、ADHD用のDaytrana(登録商標)(メチルフェニデート)、パーキンソン病用のNeupro(登録商標)(ロチゴチン)などがある。
【0004】
外用剤(局所製剤)は皮膚の特定の部分に塗布するものであり、そのほとんどは塗布した局所だけに影響を与えることを目的としている。例としては、局所麻酔薬(リドカイン、プリロカイン)、変形性関節症による痛み止めのペンサイド(ジクロフェナク)、皮膚のかゆみ・腫れ・赤みを抑えるロトリゾン(ベタメタゾン、クロトリマゾール)などがある。例外は、エレストリン(エストラジオール)であり、これは更年期障害による血管運動症状(ほてり)に対する外用剤を用いた経皮薬物送達の例である。しかし、一般に、外用剤には、使用者の皮膚の一定面積を通過する薬物送達速度を制御するメカニズムが欠けている。
【0005】
さらに、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は世界で最も広く処方されている薬である。市販されているNSAIDは20種類以上あり、そのほとんどが経口剤であり、一部は外用剤である。イブプロフェンはNSAIDであり、小児患者の解熱に広く使用されている。小児救急受診の20パーセントは発熱が原因であると推定されている (Alpern ER, Henretig FM. Fever. Fleisher GR, Ludwg S, Henretig FM, eds. Textbook of Pediatric Emergency Medicine. 5th ed. Philadelphia, PA: Lippincott Williams & Wilkins; 2006. 295-306)。したがって、特に乳幼児をターゲットとした、皮膚を通して有効成分を正確に送達できるTDイブプロフェン製剤は、健康維持に大きな利益をもたらす可能性がある。また、ジクロフェナクは米国において局所用鎮痛医療用医薬品として承認されている。
【0006】
長期的な疼痛管理のためにNSAIDを経口投与することにはリスクがある。1998年に発表された経口NSAIDによる胃腸障害に関する報告では、毎年NSAIDを常用している3,000万人のアメリカ人のうち、約10万7,000人がNSAIDによる胃腸合併症で入院していることが報告されている(Singh G. Am J Med. 1998; 105 (1B):31S-8S)。そのうちの16,500人がNSAID関連の合併症で死亡したと推定されている(Singh G, Rosen Ramey D. J Rheumatol Suppl 1998; 51:8-16)。
【0007】
一方、非ステロイド性抗炎症薬外用剤が鎮痛剤として有効であると同時に消化管の副作用を回避できることが臨床結果から証明されている。約8,400人の患者を対象とした61の臨床研究を対象とした2015年のコクラン・レビューによると、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、インドメタシンを含む非ステロイド性抗炎症薬外用製剤は、捻挫、挫傷、過負荷による損傷などの筋骨格系損傷(急性症状)の患者に鎮痛効果をもたらすことが示されている(Derry_S, Moore_RA, Gaskell_H, McIntyre_M, Wi_en_PJ. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 6. Art. No.: CD007402)。これらの研究では、全身性の有害事象は報告されていない。慢性疾患の患者約10,600人が参加した39の臨床研究を対象としたコクラン2016年度の別のレビューでは、ジクロフェナクとケトプロフェンを含む外用剤は、「少数の人々には変形性関節症においてキャリアを超える良好なレベルの鎮痛効果が期待できるが、他の慢性疼痛性疾患についてはエビデンスがない」と結論づけられている。重篤な消化器関連の有害事象に関するデータは得られていない(Derry S, Conaghan P, Da Silva JAP, Wiffen PJ, Moore RA. Cochrane Database of Systematic Reviews 2016, Issue 4. Art. No.: CD007400.)。
【0008】
NSAID外用剤が慢性患者の痛みを和らげるのに十分でないことは、有効成分の一定量が皮膚から浸透し、炎症や痛みの部位に到達しなければ効果がないという事実を考えれば、驚くにはあたらない。
【0009】
現在市販されているTDパッチの、薬物を一定の速度で送達する能力に限界がある。たとえば、有効成分としてのブプレノルフィン、有効成分としてのリチゴチン、有効成分としてのリバスチグミンの24時間における薬物送達量は、それぞれ0.12mg、1mg、4.5mgである。有効成分の性質やその他の要因のため送達量は簡単には上がらない。たとえば、第一に、単一のTDパッチは、薬物と共に、限られた量の薬物送達担体しか送達できない。さらに、薬物送達媒体の選択肢は限られており、通常は接着システム(マトリックス・タイプ)から成る。TDパッチの種類によっては、追加のバリア(たとえば、リザーバー・システム用の膜)が必要となり、薬物送達速度がさらに制限される。これらの特徴から、パッチは、人体内で有効なレベルに達するために高用量を必要とする薬物(24時間あたり10mgから100mgの範囲)に向いた薬物送達システムではないことがわかる。外用剤は、経皮薬物送達システムとしてはさらに成績が悪い。最近の研究では、ジクロフェナクまたはイブプロフェンを含む12種類の外用剤(各6種類)が、ヒトの皮膚に対する実験環境での(in vitro)透過性を試験された。市販の製剤には、ジクロフェナク1%またはイブプロフェン5~10%の乳剤、クリーム、ゲルがあった。皮膚透過性は製剤によって大きく異なる。24時間に皮膚に浸透した薬物の累積量は、ジクロフェナク1%含有製品では119~747ng/cm2、イブプロフェン5%含有製品では5944~9293ng/cm2であった (Pradal J. Journal of Pain Research. 2020:13, 2805-2814)。この結果は、これらの製品では薬剤の浸透が非常に限られていることを示している。
【0010】
以下のように、TD製剤の薬物送達速度を制御するさまざまな要因がある。1) 有効成分の物理的/化学的特性 - TD薬物送達は、薬物分子の分配と拡散のプロセスである。皮膚バリア、すなわち角質層(SC)の存在は、TDデリバリーに適した薬剤の種類の制限要因となる。たとえば、薬剤の分子量は500ダルトン未満でなければならない。2) 剤形-ほとんどの外用剤は、たとえば、ゲル、クリーム、軟膏、乳液などの半固形剤であり、薬物を経皮投与する能力に大きな違いがある。これらの製品では、薬物送達を促進するために透過促進剤がしばしば採用される。3) 薬物の溶解度 - TD薬物送達における薬物の浸透速度は、局所製剤の担体中の有効成分(溶解)の濃度と正の相関がある。4) 患者の皮膚状態 - 皮膚のSC層は乾燥状態にあるとき、人体を最もよく保護するが、それはまた、薬剤が皮膚に浸透するのを妨げる状態でもある。パッチや外用剤を塗布することである程度皮膚の状態が変化し、皮膚のSC層の部分的な水和によって薬物の浸透が促進される。5) 薬物適用環境 - TDパッチは使用時に閉塞環境を作り出し、SC層の水和を引き起こす。外用剤の中には、たとえば軟膏のように、ある程度の閉塞環境を作ることができるものもある。
【0011】
さらに、さまざまな形態のTDパッチが医療用製品として広く受け入れられており、医療界で重要な役割を果たしている。しかし、その商業的製造には高度な設備が必要で、外用剤に比べてコストがかかる。さらに、TDパッチで投与できる薬剤の種類や量は、まだ非常に限られている。
【0012】
したがって、上記の問題や制限の1つ以上を克服し得る、患者への薬剤の送達を容易にするための改良された方法およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
この要約は、「詳細な説明」で後述する概念の一部を簡略化して紹介するものである。本要約は、クレーム対象物の主要な特徴や本質的な特徴を特定することを意図したものではない。また、この要約は、クレームされた主題の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもない。
【0014】
いくつかの実施形態により、患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システムが開示される。さらに、経皮薬物送達システムは、医療用テープのバッキング層に接着層を介して取り付けられたアプリケータと、適量の薬物を含む局所製剤とを含んでよい。さらに、経皮薬物送達システムを患者の皮膚に適用すると、適量の薬物が皮膚に浸透する。さらに、局所製剤は、所定用量の薬物を経皮送達するためのヒドロゲル様担体中の適切な濃度の有効成分と、溶媒/共溶媒としても作用する2種類の皮膚浸透促進剤の存在下で担体のヒドロゲル様物理的特性を規定する2種類のゲル化剤とを含むEthoGel製剤を含んでよい。さらに、局所製剤は、製剤中の有効成分の溶解度を高めるための緩衝剤、安定剤、および、薬物送達媒体の化学的および物理的安定性を維持するために最適化された比率の各種成分を含んでよい。さらに、アプリケータは、密閉された空間を画定する境界とアプリケータの底面に存在する鈍いスパイクからなるリムを含んでよい。さらに、リムの高さは鈍いスパイクの高さより大きくてもよい。さらに、局所製剤は、スパイクとリムとの間のアプリケータの密閉された空間に充填されてもよい。
【0015】
前述の要約も以下の詳細な説明も、例示であり、説明のためのものでしかない。したがって、前述の要約および以下の詳細な説明は、制限的なものであると考えられるべきではない。さらに、本明細書で規定されたものに加えて、特徴やバリエーションが提供されてもよい。たとえば、実施形態は、詳細な説明に記載されている様々な特徴の組み合わせやサブコンビネーションに対するものであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示に組み込まれ、本開示の一部を構成する添付図面は、本開示の様々な実施形態を示す。図面には、出願人が権利を所有する様々な商標や著作物が表現されている。さらに、図面には第三者が所有する他の標章が含まれている場合があり、これは説明の目的のみに使用されている。ここに記載されている各種商標および著作物に関する権利は、それぞれの所有者に帰属するものを除き、すべて出願人に帰属する。出願人は、ここに含まれる商標および著作物に関するすべての権利を保持・留保し、付与された特許の複製に関連する場合に限り、それ以外の目的で複製することを許可する。
【0017】
さらに、図面には、本開示の特定の実施形態を説明するテキスト(キャプション)が含まれていることがある。このテキストは、本開示で詳述する特定の実施形態を例示、非限定、説明する目的で含まれている。
【0018】
【
図5】本発明に係る局所薬の構成を示すブロック図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、アプリケータの構造を示す経皮薬物送達システムの概略図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、医療用テープ片へのアプリケータの配置を示す経皮薬物送達システムの拡大図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、EthoGel製剤の実施例1およびブタの腹部皮膚を用いたイブプロフェンのin vitro皮膚透過を示すグラフ表示である。
【
図9】いくつかの実施形態に従った、EthoGel製剤の実施例1およびブタの腹部皮膚を用いたエタノールのin vitro皮膚透過を示すグラフ図である。
【
図10】いくつかの実施形態に従った、EthoGel製剤の実施例1およびブタの腹部皮膚を用いたグリセリンのin vitro皮膚透過を示すグラフ図である。
【
図11】いくつかの実施形態に従った、EthoGel製剤の実施例2およびブタの腹部皮膚を用いたジクロフェナクのin vitro皮膚透過を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面のすべての図は、本発明の選択されたバージョンを説明するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0020】
本発明は、患者に薬剤を経皮投与するためのシステムである。本発明は、関節炎を患っている患者や、急性または慢性の筋骨格痛に苦しんでいる患者に使用することができる。
図1から
図5に見られるように、本発明の好ましい実施形態は、バッキング層101、接着層102、局所用アプリケータ103、適量の薬剤108、適量の局所用担体109から成る。バッキング層101は、本発明の他の構成要素を連結するための構造基盤として使用される。バッキング層101は、好ましくは医療用テープであり、薬液がバッキング層101からしみ出すのを防ぐため、好ましくは不透過性である。接着層102は、局所用アプリケータ103をバッキング層101に接着させる。局所用アプリケータ103は、適量の薬剤108を、適量の局所用担体109と共に保持し、分配するために使用される。局所用アプリケータ103は、好ましくはポリカーボネート素材で作られている。適量の薬剤108は、患者の皮膚から局所的に塗布できる任意の薬剤である。適量の薬剤108は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であってよいが、これに限定されない。局所用担体109の量により、外用を容易にし、適量の薬剤108を保持することができる。適量の局所用担体109は、ゲル、クリーム、フォーム、ローション、または、軟膏であってよいが、これらに限定されない。
【0021】
局所用アプリケータ103はまた、適量の薬剤108の容易な局所適用と保持を助けるように構成されている。局所用アプリケータ103は、平らなアプリケータ本体104、複数の鈍いスパイク105、および、封じ込めリム106を含む。平らなアプリケータ本体104は、局所用アプリケータ103の他の構成要素を共に接続する構造基盤として使用される。平らなアプリケータ本体104は、患者の皮膚を通して適切な量の薬剤108を最適に送達するように、サイズや形状が決められてよい。たとえば、平らなアプリケータ本体104の外周形状は、正方形形状、長方形形状、円形形状、または長円形状であってよいが、これらに限定されない。封じ込めリム106は、適量の薬剤108と適量の局所担体109の周囲境界として使用される。平坦なアプリケータ本体104からの封じ込めリム106の高さは、好ましくは600μm(マイクロメートル)から3500μm(マイクロメートル)の間である。複数の鈍いスパイク105は、適切な量の薬剤108と局所用担体109の量を保持するために局所用アプリケータ103の利用可能な表面積を増加させるために使用される。複数の鈍いスパイク105のスパイクの総数は、患者の皮膚を通して適量の薬剤108を最適に送達するように定められてよい。
【0022】
前述の構成要素の一般的構成により、本発明は、患者の皮膚を通して薬剤を効果的かつ効率的に患者に送達することができる。適量の薬剤108と適量の局所用担体109は、局所薬107として均質に混合され、適量の局所用担体109が適量の薬剤108を希釈し、保持し、分配できるようにする。接着層102はバッキング層101と平らなアプリケータ本体104の間に配置され、こうすることで、接着層102は平らなアプリケータ本体104がバッキング層101を横断して、バッキング層101に対して接続することを可能にする。バッキング層101、接着層102、および、平らなアプリケータ本体104の間のこの配置は、局所薬107が本発明を用いて患者に投与されるときに、局所用アプリケータ103に必要な構造的支持を与える。封じ込めリム106および複数の鈍いスパイク105は、平坦なアプリケータ本体104に隣接して、バッキング層101とは反対側に配置され、これにより、封じ込めリム106および複数の鈍いスパイク105は、患者の皮膚の近位に局所薬107を確実に保持し、容易に分注することができる。複数の鈍いスパイク105は、平らなアプリケータ本体104上に接続され、平らなアプリケータ本体104全体に分布し、そして、平らなアプリケータ本体104から離れる方向に向いている。複数の鈍いスパイク105のこの配置は、局所用アプリケータ103がその利用可能な表面積を均一に増加させることを可能にし、その結果、局所用アプリケータ103が複数の鈍いスパイク105の間でより多くの量の局所薬107を保持することを可能にする。封じ込めリム106は、平らなアプリケータ本体104の周辺に接続され、複数の鈍いスパイク105の周囲に配置される。封じ込めリム106のこの配置により、局所用アプリケータ103は、複数の鈍いスパイク105の間に局所薬107を周囲に閉じ込めることができ、その結果、外用アプリケータ103は、封じ込めリム106内に局所薬107を保持することができる。
【0023】
適量の局所用担体109は、好ましくはヒドロゲル状担体から成る。したがって、適量の局所用担体109は、少なくとも1つの所定量のゲル化剤114、少なくとも1つの所定量の皮膚浸透促進剤110、少なくとも1つの所定量の緩衝剤111、少なくとも1つの量の安定剤112、および少なくとも1つの量の水113を含むことができる。さらに、少なくとも1つの所定量のゲル化剤114、少なくとも1つの所定量の皮膚浸透促進剤110、少なくとも1つの所定量の緩衝剤111、少なくとも1つの所定量の安定剤112、および、水113を均質に混合して、ハイドロゲル様担体が構成される。
【0024】
局所薬107の第一の実施形態は、イブプロフェンを有するヒドロゲル状担体であり、したがって、適量の薬剤108は所定量のイブプロフェンである。少なくとも1つのゲル化剤114には、所定量のキサンタンガムと所定量のカルボマーが含まれる。少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤110には、所定量のエタノールと所定量のグリセリンが含まれる。少なくとも1種類の所定量の緩衝剤には、炭酸ナトリウムが含まれる。少なくとも1つの適量の安定剤112は、所定量のポリエチレングリコールである。さらに、第1の実施形態の局所薬107の組成割合は、好ましくは以下の通りである。イブプロフェンの量は、局所薬107の重量に対して約4.0wt%(重量パーセント)である。水113の量は、局所薬107に対して約41.0wt%である。キサンタンガムの量は、局所薬107に対して約1.0wt%である。カルボマーの量は、局所薬107に対して約0.2wt%である。エタノールの量は局所薬107に対して約40.0wt%である。グリセリンの量は、局所薬107に対して約10.5wt%である。炭酸ナトリウムの量は、局所薬107に対して約0.35wt%である。ポリエチレングリコールの量は、局所薬107に対して約3wt%である。局所薬107の第1の実施形態の前述の組成割合に関して、用語「約」(およそ)は、好ましくは、±0.005wt%までの誤差範囲内を意味する。
【0025】
局所薬107の第2の実施形態は、ジクロフェナクを有するヒドロゲル状担体であり、したがって、所定量の薬剤108は所定量のジクロフェナクである。少なくとも1つのゲル化剤114は、所定量のキサンタンガムと所定量カルボマーを含む。少なくとも1つの所定量の皮膚浸透促進剤110は、所定量のエタノールと所定量のグリセリンを含む。少なくとも1種類の緩衝剤には、炭酸ナトリウムが含まれる。さらに、第2の実施形態の局所薬107の組成割合は、好ましくは以下の通りである。ジクロフェナクの量は、局所薬107の約1.0wt%である。水113の量は、局所薬107に対して約37.92wt%である。キサンタンガムの量は、局所薬107に対して約0.80wt%である。カルボマーの量は、局所薬107に対して約0.78 wt%である。エタノールの量は、局所薬107に対して約38.8wt%である。グリセリンの量は、局所薬107に対して約20.0wt%である。炭酸ナトリウムの量は、局所薬107に対して約0.70wt%である。局所薬107の第2の実施形態の前述の組成割合に関して、用語「約」は、好ましくは、±0.005wt%までの誤差範囲内を意味する。
【0026】
(補足説明)
本開示は、患者に経皮的に薬物を送達することを容易にするための方法、システム、装置、および機器について記載している。さらに、開示されたシステムは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および他の薬剤を患者に送達するために開発されたEthoGel-Applicator経皮薬物送達システム(EGATDDS)を含んでよい。さらに、NSAID含有製剤はヒドロゲル様担体を含み、関節炎患者の鎮痛剤や小児患者の解熱剤として使用されることを意図している場合があり、前者の用途では局所的な薬物送達が好まれるのに対し、後者では活性成分が全身循環に到達することが必要とされる。EGATDDSは、最大50%(w/w)(重量比)のエタノール、または最大70%(w/w)のエタノール+グリセリンの組み合わせからなるEthoGel製剤と組み合わせてもよく、これらは担体中の主溶媒/共溶媒として、また、皮膚透過促進剤として利用される。2つの増強剤の含有量と比率を調整することで、皮膚を薬物リザーバーにして局所的に薬物を保持することも、皮膚全体への薬物浸透を最大化して全身的な薬物送達を促進することも可能であろう。経皮薬物送達システムを有効なものとするために、EthoGel製剤は、接着層を介して医療用テープのバッキング層に取り付けられ、EthoGel製剤中の揮発性成分の蒸発を最小限に抑えつつ、薬物送達の所望の速度を確保するための閉塞性微小環境を形成するために患者の皮膚上に適用されるディスク状アプリケータと組み合わせて適用することができる。
【0027】
さらに、開示された経皮薬物送達システムは、エタノールとグリセリンを主溶媒/共溶媒として利用するヒドロゲル状担体による薬物の局所製剤であるEthoGel製剤と、接着層を介して医療用テープのバッキング層に装着されるアプリケータとを含むことができる。さらに、アプリケータは、密閉された空間を画定するためのリムを含むことができ、このリムには、アプリケータの表面上に鈍いスパイクが存在し、EthoGel製剤は、スパイクとリムとの間のアプリケータ上の空間に充填される。
【0028】
さらに、開示される方法は、経皮薬物送達システムを患者の皮膚に適用することにより、EthoGel製剤中の薬物を患者に送達することを含んでよい。
【0029】
さらに、EthoGel-Applicator経皮薬物送達システム(EGATDDS)は、TDパッチや外用剤と比較して、改善され、より制御可能なTD薬物送達を達成するように設計されてよい。インビトロ(試験管内)透過試験を行い、このシステムがイブプロフェンとジクロフェナクをブタの腹部の皮を通して送達できることを実証した。さらに、EthoGel製剤は、ヒドロゲル様担体中に有効成分としてイブプロフェンまたはジクロフェナクを含むんでいてよい。さらに、透過速度は、減衰全反射フーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)や多変量モデリングを用いて判定することができる。開示された方法では、有効成分だけでなく皮膚透過促進剤も同時に定量化できる。さらに、EGATDDSは、ジクロフェナクとイブプロフェンについて、それぞれ、5~324μg/cm2/Hと25~1337μg/cm2/Hのフラックスを達成できる。フラックスの結果は、(0.10cmの皮膚の厚さに相当するように正規化された)ブタの腹部皮膚サンプルを用いた包括的なインビトロ透過試験に基づいて得ることができる。たとえば、イブプロフェン単独では36種類の製剤がテストされ、10cm2以上のアプリケータを使用した場合、1時間当たりミリグラム単位の有効成分を経皮投与できるように製剤を最適化している。
【0030】
現在市販されているNSAID外用剤と比較して、EGATDDSには利点がある。たとえば、EthoGel製剤は、TD薬物送達を速める、複数の皮膚浸透促進剤を高濃度で含有する。さらに、製剤は活性成分に対して高い溶解性を提供する。さらに、製剤は、非常に高濃度の有機溶媒(すなわち、エタノールおよびグリセリン)の存在下でも物理的に安定なゲルを形成しうる。さらに、EGATDDSは閉塞環境を提供するので、皮膚の水和度を制御してSC層のバリア能力を低下させることができ、その結果、薬物の浸透と透過を促進することができる。
【0031】
さらに、薬物投与に適した剤形から有効成分の経皮送達を最適化するためのEthoGel製剤の有効性を、患者またはボランティアを対象とした前臨床試験または臨床試験の前に、インビトロ皮膚透過試験を実施することによって評価することができ、この試験は製剤開発のスクリーニングツールとして使用することができる。皮膚透過試験には、従来のフランツセルの代わりに、1997年にPellettら、2009年にRusseauらによって提唱されたATR-FTIRベースのセットアップを使用することができる。薬物送達システム特有の閉塞環境を作り出すためのこのセットアップに、大きな改良が加えられる可能性もある。独自技術のケモメトリックモデリング法を用いて、スペクトルデータに基づく定量分析を行うことができる。さらに、この方法は、EthoGel製剤に溶解している有効成分の濃度を測定するために使用することもできる。
【0032】
(インビトロ透過)
皮膚透過試験は、2×2mmのダイヤモンド分光窓を備えたBruker ATR-FTIR装置(Model Alpha; Bruker Optics Ltd., MA, USA)を用いて実施することができる。ブタの腹部皮膚サンプルは、地元の食肉業者から入手できる。皮膚サンプルは、真皮側から脂肪と結合組織を除去し、その後2×2cmの大きさに切断し、後で使用するために凍結温度で保存することで処理されてよい。さらに、皮膚の厚さは、皮膚試料を室温まで温め、Material Thickness Meter (Model No. PCE-CT 26; PCE Americas Inc, Jupiter, FL, USA) を用いて実験前に測定可能である。
【0033】
典型的な実験では、皮膚試料を分光計の分光窓の上に、真皮側を窓に向けて置く。さらに、製剤からの蒸発による浸透促進剤(すなわち、エタノール)の損失を最小限に抑えるために、約3.5平方センチメートルの面積のアプリケータで覆うことができる皮膚サンプルの角質層側に、約1gのEthoGel製剤を塗布してよい。さらに、約1グラムのEthoGel製剤を皮膚サンプルの角質層側に塗布してもよく、これは、製剤からの蒸発による浸透促進剤(すなわち、エタノール)の損失を最小化するために、3.5平方線値メートルの面積を有するアプリケータによって覆われてもよい。IRスペクトルを15~60分間隔で測定し、必要に応じて72時間まで実験を続けてもよい。さらに、このスペクトルは、皮膚の真皮側における有効成分(イブプロフェンまたはジクロフェナク)、エタノール、および、グリセリンのw/w%を計算するために使用することができる。ケモメトリックモデリングは、Unscrambler(CAMO Software AS, Oslo, Norway)というソフトウェアを用いて行うことができる。有効成分、エタノール、グリセリンの拡散係数は、以下の数式1で計算できる。ここで、Dは拡散係数(cm2/H)であり、Lはラグタイム(時間)であり、hは皮膚の厚さ(cm)である。ラグタイムは、実施例1(イブプロフェン)および実施例2(ジクロフェナク)に記載されたEthoGel製剤を用いて得られる
図3から
図6のプロットから得ることができる。
【数1】
【0034】
フラックスJ(μg/cm2/H)は、以下の数式2で計算される。ここで、Dは拡散係数、CはEthoGel製剤に溶解した有効成分の濃度(μg/mL)、hは皮膚の厚さである。
【数2】
【0035】
EthoGel製剤の例1
このイブプロフェンのEthoGel製剤を1kgスケールで調製する場合、400gのエタノール、105gのグリセリン、200gの水、および30gのポリエチレングリコールを、適切な容器中で攪拌下に混合してよい。さらに、3.5gの炭酸ナトリウム、40.0gのイブプロフェン、10.0gのキサンタンガム、および2.0gのカルボマーを添加し、混合物を撹拌しながら溶解/分散させてよい。さらに、必要に応じてキサンタンガムおよび/またはカルボマーの分散を助けるためにホモジナイザーを使用してもよい。すべての固形成分の添加が完了したら、30分間攪拌を続け、その後、ゆっくりと攪拌しながら残りの量の水(209.5g)を混合物が均質なゲルになるまで加える。ブタの腹部皮膚(厚さ=0.19cm)を用いた本製剤のin vitro透過試験では、イブプロフェンの透過流束は283μg/cm2/Hであった。さらに、イブプロフェンのEthoGel製剤は、以下の組成と関連づけられてよい:
【表1】
【0036】
EthoGel製剤の例2
このジクロフェナクのEthoGel製剤を1kgスケールで調製する場合、388gのエタノール、200gのグリセリン、および300gの水を、適切な容器中で攪拌下に混合してよい。さらに、7.0gの炭酸ナトリウム、10.0gのジクロフェナク、8.0gのキサンタンガム、および7.8gのカルボマーを添加し、混合物を撹拌しながら溶解/分散させてよい。さらに、必要に応じて、キサンタンガムおよび/またはカルボマーの分散を助けるためにホモジナイザーを使用してもよい。すべての固形成分の添加が完了したら、30分間攪拌し、その後、ゆっくりと攪拌しながら残りの量の水(79.2g)を混合物が均質なゲルになるまでゆっくりと添加してよい。ブタの腹部皮膚(厚さ=0.20cm)を用いた本製剤のin vitro透過試験では、ジクロフェナクのフラックスは54μg/cm2/Hであった。さらに、ジクロフェナクのEthoGel製剤は、以下の組成物と併用してよい:
【表2】
【0037】
ここで図を参照する。
図6は、いくつかの実施形態による、アプリケータの構造を示す経皮薬物送達システムの概略図である。この図において、アプリケータ6は、医療用テープ4のバッキング層に接着層5を介して外用剤と組み合わせて取り付けられた楕円形のディスクアプリケータを含んでよい。アプリケータ6およびバッキング層は、薬物および他の成分、特に揮発性浸透促進剤が送達システムの表面を通過するのを防止し、支持を提供する。さらに、バッキング層に適した材料としては、たとえば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ある種のナイロン、ポリプロピレン、金属化ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウム箔(Hoeckら、米国特許第6,335,030号)などが挙げられる。さらに、接着層5の好適な材料としては、たとえば、アクリレートポリマーやポリイソブチレンが挙げられ、カルボン酸基の架橋剤としては、酸化亜鉛や酸化マグネシウム等(Burtonら、米国特許第5,948,433号)が用いられる。
【0038】
さらに、いくつかの実施形態において、アプリケータ6は、医薬/医療機器用途に承認されたプラスチックおよび/または金属材料で作られてよい。アプリケータの縁を囲んでリム3が存在し、その高さは、局所製剤7を含み、薬物送達における装置の効果を最適化するために変えられてよい。円形リム3内のアプリケータの表面には、様々な数、大きさ、形状の鈍いスパイク2がある。アプリケータ6は、ある程度の可撓性を提供しながら所望の形状を維持する適当な厚さを有するポリマーおよび金属箔の材料で作ることができる。適切なポリマーとしては、たとえば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。適切な金属箔としては、たとえばアルミニウムやステンレス鋼が挙げられる。リム3の高さは約600~3500マイクロメートルとすることができる。リム3の高さと鈍いスパイク2の高さの比は0.5~1.5の範囲であり、製剤の物理的特性と適用部位に基づいて最適化してよい。適用されると、局所製剤7はアプリケータ上のスパイクの間とリム3内の空間を満たすことができる。
【0039】
図7は、いくつかの実施形態による、医療用テープ片へのアプリケータの配置を示す経皮薬物送達システムの拡大図である。従って、医療用テープ4の一部を使用して、アプリケータ6を使用者/患者の皮膚に貼り付けることができる。この図において、医療用テープ4が、アプリケータ6を使用者/患者の皮膚に貼付するために使用されてよい。
【0040】
図8は、いくつかの実施形態に従った、EthoGel製剤の実施例1およびブタの腹部皮膚を用いたイブプロフェンのインビトロ皮膚透過を示すグラフ表示である。
【0041】
図9は、いくつかの実施形態に従った、EthoGel製剤の実施例1およびブタの腹部皮膚を用いたエタノールのインビトロ皮膚透過を示すグラフ表示である。
【0042】
図10は、いくつかの実施形態に従った、EthoGel製剤の実施例1およびブタの腹部皮膚を用いたグリセリンのインビトロ皮膚透過を示すグラフ表示である。
【0043】
図11は、いくつかの実施形態に従った、EthoGel製剤の実施例2およびブタの腹部皮膚を用いたジクロフェナクのインビトロ皮膚透過を示すグラフ表示である。
【0044】
さらなる実施形態では、薬物を送達するための経皮薬物送達システムが開示される。さらに、経皮薬物送達システムは、医療用テープ4のバッキング層に接着層5を介して装着されるアプリケータ6と、適量の薬物を含む局所製剤7とを含むことができ、適量の薬物は、システムを患者の皮膚に適用した後に、皮膚に浸透する。
【0045】
さらに、いくつかの実施形態において、局所製剤7は、以下を含むEthoGel製剤である。(1) 所定用量の薬物を経皮的に送達するために適切な濃度の、ハイドロゲル様担体中の有効成分、(2)2種類のゲル化剤であって、(3)溶媒/共溶媒としても作用する2種類の皮膚浸透促進剤の存在下で、担体のハイドロゲル様物理的特性を規定するゲル化剤、(4) 製剤中の有効成分の溶解度をさらに高めるための緩衝剤、(5) その他の安定剤、(6) 薬物送達媒体の化学的・物理的安定性を維持するために最適化された比率の各種成分。
【0046】
さらに、いくつかの実施形態では、アプリケータ6は、密閉された空間を画定するリム3と、その表面およびリム3の空間に存在する鈍いスパイク2とを含んでよい。さらに、局所製剤7は、アプリケータ6のスパイクとリム3との間の空間に充填されてよい。さらに、アプリケータ6は、様々な形状およびサイズを有し、適切な量の薬剤を送達するために最適化することができ、鈍いスパイク2は、局所製剤7を保持し、システムが患者に適用されるときに皮膚と接触する総表面積を増加させるという目的を果たす。
【0047】
さらなる実施形態では、薬物の経皮送達方法が開示される。さらに、この方法は、経皮薬物送達システムを患者の皮膚に適用することを含んでよい。さらに、経皮薬物送達システムは、医療用テープ4のバッキング層に接着層5を介して装着されるアプリケータ6を含むことができ、患者の皮膚にシステムを適用した後、適量の薬物からなる局所製剤7が皮膚に浸透する。
【0048】
さらに、いくつかの実施形態において、局所製剤7は、以下を含むEthoGel製剤である。(1) 所定用量の薬物を経皮投与するために適切な濃度の、ハイドロゲル様担体中の有効成分、(2) その化学的/物理的特性と量/比率は、担体がハイドロゲル様物理特性を維持しながら高濃度の有機溶媒/共溶媒の存在に耐えられるように最適化されている、担体のハイドロゲル様物理特性を規定する2種類のゲル化剤、(3) 溶媒/共溶媒としても作用し、経皮薬物送達を促進する上で重要な役割を果たす2つの皮膚浸透促進剤、 (4) その他の安定剤、(5) 製剤のpHを調整することにより、製剤中の有効成分の溶解性をさらに高める緩衝剤、(6) 薬物送達媒体の化学的・物理的安定性を維持するために最適な比率で配合された様々な成分。さらに、ハイドロゲル様担体は、2つのゲル化剤、すなわちキサンタンガムとカルボマー、および当技術分野で公知の様々な成分、たとえば、溶媒/共溶媒としての水、皮膚浸透促進剤、第2の溶媒/共溶媒、防腐剤、緩衝剤、または安定剤を含むことができる。これらは無毒性であり、組成物の他の成分と相互作用しない。
【0049】
さらに、皮膚浸透促進剤には、エタノールとグリセリンが含まれることがあり、その量と比率は、有効成分の局所的または全身的な分布を促進するように調整される。さらに、皮膚浸透促進剤には、たとえば他のアルコール、アゾン化合物、エッセンシャルオイル、スルホキシド、脂肪酸エステル(Hoeck et al、米国特許第6,335,030号)など、当技術分野で知られている他の皮膚浸透促進剤を含めることができる。
【0050】
さらに、いくつかの実施形態では、アプリケータ6は、密閉された空間を画定するリム3と、その表面およびリム3の空間に存在する鈍いスパイク2とを含むことができる。さらに、局所製剤7は、鈍いスパイク2とリム3との間のアプリケータ6の空間に充填される。さらに、アプリケータ6は、様々な形状およびサイズを有し、適切な量の薬剤を送達するために最適化することができ、鈍いスパイク2は、局所製剤7を保持し、システムが患者に適用されるときに皮膚と接触する総表面積を増加させるという目的を果たす。
【0051】
さらに、本明細書に記載のEthoGel-Applicator経皮薬物送達システム(EGATDDS:EthoGel-Applicator transdermal drug delivery system)は、以下の理由により、従来のTDパッチおよび/または従来の外用剤と比較して、はるかに高い速度で薬物を送達するように構成され得る。1) EthoGel製剤の担体は、従来のハイドロゲルが主溶媒として水を利用するのに対し、効果的な皮膚浸透促進剤である高濃度のエタノールとグリセリンが存在するため、「オルガノゲル」(有機ゲル)である。2) 最適化されたEthoGel製剤が、皮膚SC層(角質層)の生理学的特性を可逆的に変化させ、薬物の迅速な浸透を可能にする。3)アプリケータ6が、閉塞性の微小環境を作り出し、担体中のエタノール濃度を長時間維持する。4) アプリケータ6は、より大量または調節可能な量の薬物送達システム(すなわち、EthoGel製剤)を取り扱うことができる。5) 媒体の選択は、接着剤システムの種類に限定されるものではない(供給システムの不可欠な一部ではないため)。6)特別に設計されたアプリケータ6は、皮膚接触面積を増加させると共に、有効成分の浸透距離を減少させるさらなる機会を提供する。
【0052】
さらに、イブプロフェンまたはジクロフェナクのEthoGel製剤7はゲルの形で調製され、前者は乳幼児の解熱に、後者は関節炎患者の急性または慢性疼痛の管理に使用される。異なる有効成分の他の局所製剤は、たとえば、クリーム、フォーム、ローション、軟膏の形で調製することができ、これらは異なる病気、たとえばアルツハイマー病の患者に使用することができる。
【0053】
本明細書(原文)で使用される"a"または"an"は、1つ以上(または少なくとも1つ)を意味する。たとえば、外用剤7は安定剤(a stabilizer)と緩衝剤(a buffering agent)から成り、この場合、外用剤7は複数の安定剤と複数の緩衝剤を含むことができる。「約」または「およそ」("About")は、本明細書では、目標点の20%の範囲にあるという意味で使用される。たとえば、「約600マイクロメートルから約3500マイクロメートル」は、480マイクロメートルから720マイクロメートルの範囲から2800マイクロメートルから4200マイクロメートルの範囲を意味する。
【0054】
本開示の特定の実施形態について説明したが、他の実施形態が存在してもよい。さらに、開示された方法のステップは、本開示から逸脱することなく、ステップの順序変更および/またはステップの挿入もしくは削除を含む任意の方法で変更されてよい。
【0055】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明したが、以下に請求する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の多くの可能な修正および変形を行うことができることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキング層と、
接着層と、
局所用アプリケータと、
適量の薬剤と、
適量の局所用担体とを含み、
ハイドロゲルホモジナイザーとを含み、
前記バッキング層は医療用テープであり、
前記局所用アプリケータは、平らなアプリケータ本体と複数の鈍いスパイクと封じ込めリムとを含み、
前記適量の薬剤と前記適量の局所用担体とは局所薬として均一に混合されており、
前記接着層は、前記バッキング層と前記平らなアプリケータ本体の間に配置されており、
前記平らなアプリケータ本体は、前記接着層によって前記バッキング層全体にわたり、前記バッキング層に対して接続されており、
前記封じ込めリムと前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体に隣接して、前記バッキング層と反対側に配置されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体の上に接続されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体上の全体にわたって分布されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体から離れる方向に向いており、
前記封じ込めリムは、前記平らなアプリケータ本体の周辺部に接続されており、
前記封じ込めリムは、前記複数の鈍いスパイクの周りに配置されており、
前記局所薬は、前記封じ込めリム内に保持されており、
前記局所薬は、前記複数の鈍くされたスパイクの間に保持されて
おり、
前記適量の局所用担体は、少なくとも1つの適量のゲル化剤と、少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤と、少なくとも1つの適量の緩衝剤と、少なくとも1つの適量の安定剤と、適量の水とを含む局所用担体であって、前記適量の水が前記局所薬の約41.0重量パーセントであり、
前記少なくとも1つの適量のゲル化剤と、前記少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤と、前記少なくとも1つの適量の緩衝剤と、前記少なくとも1つの適量の安定剤と、前記適量の水とが、前記ハイドロゲルホモジナイザーにより均一に混合され、
前記適量の薬剤は適量のイブプロフェンであり、前記適量のイブプロフェンの量は前記局所薬の約4.0重量パーセントであり、
前記少なくとも1つのゲル化剤は、適量のキサンタンガムと適量のカルボマーであり、前記適量のキサンタンガムの量は前記局所薬の約1.0重量パーセントであり、前記適量のカルボマーの量は前記局所薬の約0.2重量パーセントであり、
前記少なくとも1つの適量N皮膚浸透促進剤は、適量のエタノールおよび適量のグリセリンであり、前記適量のエタノールの量が前記局所薬の約40.0重量パーセントであり、前記適量のグリセリンが前記局所薬の約10.5重量パーセントであり、
前記少なくとも1つの適量の緩衝剤は、適量の炭酸ナトリウムであり、前記適量の炭酸ナトリウムの量が前記局所薬の約0.35重量パーセントであり、
前記少なくとも1つの適量の安定剤は液量のポリエチレングリコールであり、前記適量のポリエチレングリコールの量は前記局所薬の約3.0重量パーセントである、
患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項2】
前記バッキング層が不透過性素材で作られている、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項3】
前記局所用アプリケータが、ポリカーボネート素材で作られている、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項4】
前記平らなアプリケータ本体が、患者の皮膚を通して適量の薬物を最適に送達するようなサイズおよび/または形状である、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項5】
前記平らなアプリケータ本体の外周形状が、正方形形状、長方形形状、円形形状、および、長円形状から成る群から選択されたものである、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項6】
前記平らなアプリケータ本体の封じ込めリムの高さが600マイクロメートルから3500マイクロメートルの範囲である、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項7】
前記複数の鈍いスパイクの総数が、患者の皮膚を介して適量の薬物を最適に送達するように構成されている、
請求項1に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項8】
バッキング層と、
接着層と、
局所用アプリケータと、
適量の薬剤と、
適量の局所用担体とを含み、
ハイドロゲルホモジナイザーとを含み、
前記バッキング層は医療用テープであり、
前記局所用アプリケータは、平らなアプリケータ本体と複数の鈍いスパイクと封じ込めリムとを含み、
前記適量の薬剤と前記適量の局所用担体とは局所薬として均一に混合されており、
前記接着層は、前記バッキング層と前記平らなアプリケータ本体の間に配置されており、
前記平らなアプリケータ本体は、前記接着層によって前記バッキング層全体にわたり、前記バッキング層に対して接続されており、
前記封じ込めリムと前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体に隣接して、前記バッキング層と反対側に配置されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体の上に接続されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体上の全体にわたって分布されており、
前記複数の鈍いスパイクは、前記平らなアプリケータ本体から離れる方向に向いており、
前記封じ込めリムは、前記平らなアプリケータ本体の周辺部に接続されており、
前記封じ込めリムは、前記複数の鈍いスパイクの周りに配置されており、
前記局所薬は、前記封じ込めリム内に保持されており、
前記局所薬は、前記複数の鈍くされたスパイクの間に保持されており、
前記適量の局所用担体は、少なくとも1つの適量のゲル化剤と、少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤と、少なくとも1つの適量の緩衝剤と、適量の水とを含む局所用担体であって、前記適量の水が前記局所薬の約37.92重量パーセントであり、
前記少なくとも1つの適量のゲル化剤と、前記少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤と、前記少なくとも1つの適量の緩衝剤と、前記適量の水とが、前記ハイドロゲルホモジナイザーにより均一に混合され、
前記適量の薬剤は適量のジクロフェナクであり、前記適量のジクロフェナクの量は前記局所薬の約1.0重量パーセントであり、
前記少なくとも1つのゲル化剤は、適量のキサンタンガムと適量のカルボマーであり、前記適量のキサンタンガムの量は前記局所薬の約0.80重量パーセントであり、前記適量のカルボマーの量は前記局所薬の約0.78重量パーセントであり、
前記少なくとも1つの適量N皮膚浸透促進剤は、適量のエタノールおよび適量のグリセリンであり、前記適量のエタノールの量が前記局所薬の約38.8重量パーセントであり、前記適量のグリセリンが前記局所薬の約20.0重量パーセントであり、
前記少なくとも1つの適量の緩衝剤は、適量の炭酸ナトリウムであり、前記適量の炭酸ナトリウムの量が前記局所薬の約0.35重量パーセントである、
患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項9】
前記バッキング層が不透過性素材で作られている、
請求項8に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項10】
前記局所用アプリケータが、ポリカーボネート素材で作られている、
請求項8に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項11】
前記平らなアプリケータ本体が、患者の皮膚を通して適量の薬物を最適に送達するようなサイズおよび/または形状である、
請求項8に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項12】
前記平らなアプリケータ本体の外周形状が、正方形形状、長方形形状、円形形状、および、長円形状から成る群から選択されたものである、
請求項8に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項13】
前記平らなアプリケータ本体の封じ込めリムの高さが600マイクロメートルから3500マイクロメートルの範囲である、
請求項8に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【請求項14】
前記複数の鈍いスパイクの総数が、患者の皮膚を介して適量の薬物を最適に送達するように構成されている、
請求項8に記載の患者に薬物を送達するための経皮薬物送達システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
局所薬107の第一の実施形態は、イブプロフェンを有するヒドロゲル状担体であり、したがって、適量の薬剤108は所定量のイブプロフェンである。少なくとも1つのゲル化剤114には、所定量のキサンタンガムと所定量のカルボマーが含まれる。少なくとも1つの適量の皮膚浸透促進剤110には、所定量のエタノールと所定量のグリセリンが含まれる。少なくとも1種類の所定量の緩衝剤には、炭酸ナトリウムが含まれる。少なくとも1つの適量の安定剤112は、所定量のポリエチレングリコールである。さらに、第1の実施形態の局所薬107の組成割合は、好ましくは以下の通りである。イブプロフェンの量は、局所薬107の重量に対して約4.0wt%(重量パーセント)である。水113の量は、局所薬107に対して約41.0wt%である。キサンタンガムの量は、局所薬107に対して約1.0wt%である。カルボマーの量は、局所薬107に対して約0.2wt%である。エタノールの量は局所薬107に対して約40.0wt%である。グリセリンの量は、局所薬107に対して約10.5wt%である。炭酸ナトリウムの量は、局所薬107に対して約0.35wt%である。ポリエチレングリコールの量は、局所薬107に対して約3wt%である。局所薬107の第1の実施形態の前述の組成割合に関して、用語「約」(およそ)は、好ましくは、±0.5wt%までの誤差範囲内を意味する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
局所薬107の第2の実施形態は、ジクロフェナクを有するヒドロゲル状担体であり、したがって、所定量の薬剤108は所定量のジクロフェナクである。少なくとも1つのゲル化剤114は、所定量のキサンタンガムと所定量カルボマーを含む。少なくとも1つの所定量の皮膚浸透促進剤110は、所定量のエタノールと所定量のグリセリンを含む。少なくとも1種類の緩衝剤には、炭酸ナトリウムが含まれる。さらに、第2の実施形態の局所薬107の組成割合は、好ましくは以下の通りである。ジクロフェナクの量は、局所薬107の約1.0wt%である。水113の量は、局所薬107に対して約37.92wt%である。キサンタンガムの量は、局所薬107に対して約0.80wt%である。カルボマーの量は、局所薬107に対して約0.78 wt%である。エタノールの量は、局所薬107に対して約38.8wt%である。グリセリンの量は、局所薬107に対して約20.0wt%である。炭酸ナトリウムの量は、局所薬107に対して約0.70wt%である。局所薬107の第2の実施形態の前述の組成割合に関して、用語「約」は、好ましくは、±0.5wt%までの誤差範囲内を意味する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
典型的な実験では、皮膚試料を分光計の分光窓の上に、真皮側を窓に向けて置く。さらに、製剤からの蒸発による浸透促進剤(すなわち、エタノール)の損失を最小限に抑えるために、約3.5平方センチメートルの面積のアプリケータで覆うことができる皮膚サンプルの角質層側に、約1gのEthoGel製剤を塗布してよい。さらに、約1グラムのEthoGel製剤を皮膚サンプルの角質層側に塗布してもよく、これは、製剤からの蒸発による浸透促進剤(すなわち、エタノール)の損失を最小化するために、3.5平方線値メートルの面積を有するアプリケータによって覆われてもよい。IRスペクトルを15~60分間隔で測定し、必要に応じて72時間まで実験を続けてもよい。さらに、このスペクトルは、皮膚の真皮側における有効成分(イブプロフェンまたはジクロフェナク)、エタノール、および、グリセリンのw/w%を計算するために使用することができる。ケモメトリックモデリングは、Unscrambler(CAMO Software AS, Oslo, Norway)というソフトウェアを用いて行うことができる。有効成分、エタノール、グリセリンの拡散係数は、以下の数式1で計算できる。ここで、Dは拡散係数(cm2/H)であり、Lはラグタイム(時間)であり、hは皮膚の厚さ(cm)である。ラグタイムは、実施例1(イブプロフェン)および実施例2(ジクロフェナク)に記載されたEthoGel製剤を用いて得られる
図8から図11のプロットから得ることができる。
【数1】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】