(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】カーボンブラックの三次元分析のためのシステム、デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20241025BHJP
【FI】
G01N23/04 330
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518648
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022044600
(87)【国際公開番号】W WO2023049395
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506093430
【氏名又は名称】ビルラ カーボン ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー タイラー シー
(72)【発明者】
【氏名】コーフィール キャサリン
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA11
2G001CA03
2G001HA08
2G001HA13
2G001HA14
2G001JA08
2G001LA20
(57)【要約】
カーボンブラック凝集体の三次元(3D)再構成及び再構成された3D凝集体モデルに基づく形態学的特性の分析のための技術が提供される。不明なタイプのカーボンブラック凝集体について判定された形態学的特性は、カーボンブラック凝集体に関連するカーボンブラックのタイプを識別することができる機械学習予測モデルを使用して、分析することができる。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
二次元(2D)透過電子顕微鏡(TEM)画像を使用して、カーボンブラック凝集体を識別することと、
少なくとも前記カーボンブラック凝集体の体積の近似値に基づいて、球体の数を判定することと、
定義された体積内の前記球体のサイズ及び前記球体の位置に基づいて、目的関数に関する最適化問題に対する解を判定することによって、前記カーボンブラック凝集体の三次元(3D)凝集体モデルを生成することであって、前記解は、前記3D凝集体モデルを表す、生成することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記3D凝集体モデルが分析に利用可能であるという通知を提示させることを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記3D凝集体モデルを使用して、前記カーボンブラック凝集体の1つ以上の形態学的特性のそれぞれの値を判定することと、
前記1つ以上の形態学的特性の前記それぞれの値を供給することと、を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記1つ以上の形態学的特性は、凝集体不等長メトリック、凝集体体積、相対3D空隙体積(3DVV)、又は3D比表面積(3DSSA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記供給することは、
前記1つ以上の形態学的特性を示すデータを保持することと、
前記1つ以上の形態学的特性のうちの第1の形態学的特性の値にアクセスするように、アプリケーションプログラミングインターフェースを構成することと、
を含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、
前記球体の現在の配置を更新することであって、球体の前記現在の配置は、前記定義された体積内の前記球体のサイズの分布及び前記球体の位置の分布を含む、更新することと、
それぞれの定義された平面上の前記球体の構成の複数の2D投影を判定することと、
を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記更新することは、
前記球体のうちの第1の球体の位置を修正し、前記球体のうちの第2の球体の第2の位置を維持すること、又は
前記第1の球体のサイズを修正し、前記第2の球体の第2のサイズを維持すること、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、前記複数の2D投影のそれぞれについて複数の適合度メトリックを判定することを更に含み、前記複数の適合度メトリックの各適合度メトリックは、前記カーボンブラック凝集体のそれぞれの二値化された2D画像に基づく、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、前記複数の適合度メトリックの平均に基づいて、前記目的関数を更新することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記目的関数が収束基準を満たすと判定することと、
球体の前記現在の配置を前記3D凝集体モデルとして構成することと、
を更に含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
コンピューティングデバイスであって、
1つ以上のプロセッサと、
コンピュータ実行可能命令を記憶する1つ以上のメモリデバイスと、を備え、前記コンピュータ実行可能命令は、前記1つ以上のプロセッサによる実行に応答して、前記コンピューティングデバイスに、
二次元(2D)透過電子顕微鏡(TEM)画像を使用して、カーボンブラック凝集体を識別することと、
前記カーボンブラック凝集体の体積の近似に少なくとも基づいて、球体の数を判定することと、
定義された体積内の前記球体のサイズ及び前記球体の位置に基づいて、目的関数に関する最適化問題に対する解を判定することによって、前記カーボンブラック凝集体の三次元(3D)凝集体モデルを生成することであって、前記解は、前記3D凝集体モデルを表す、生成することと、
を行わせる、コンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記1つ以上のメモリデバイスは、前記1つ以上のプロセッサによる実行に応答して、前記コンピューティングデバイスに、前記3D凝集体モデルが分析に利用可能であるという通知の提示を更に行わせる、更なるコンピュータ実行可能命令を記憶する、請求項11に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記1つ以上のメモリデバイスは、前記1つ以上のプロセッサによる実行に応答して、前記コンピューティングデバイスに、
前記3D凝集体モデルを使用して、前記カーボンブラック凝集体の1つ以上の形態学的特性のそれぞれの値を判定することと、
前記1つ以上の形態学的特性の前記それぞれの値を供給することと、
を更に行わせる、更なるコンピュータ実行可能命令を記憶する、請求項11に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、
前記球体の現在の配置を更新することであって、球体の前記現在の配置は、前記定義された体積内の前記球体のサイズの分布及び前記球体の位置の分布を含む、更新することと、
それぞれの定義された平面上の前記球体の構成の複数の2D投影を判定することと、
を含む、請求項11に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、前記複数の2D投影のそれぞれについて複数の適合度メトリックを判定することを更に含み、前記複数の適合度メトリックの各適合度メトリックは、前記カーボンブラック凝集体のそれぞれの二値化された2D画像に基づく、請求項14に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、前記複数の適合度メトリックの平均に基づいて、前記目的関数を更新することを更に含む、請求項15に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記1つ以上のメモリデバイスは、前記1つ以上のプロセッサによる実行に応答して、前記コンピューティングデバイスに、
前記目的関数が収束基準を満たすと判定することと、
球体の前記現在の配置を前記3D凝集体モデルとして構成することと、
を更に行わせる、更なるコンピュータ実行可能命令を記憶する、請求項16に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
符号化されたプロセッサ実行可能命令を有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記プロセッサ実行可能命令は、実行に応答して、コンピューティングデバイスに、
二次元(2D)透過電子顕微鏡(TEM)画像を使用して、カーボンブラック凝集体を識別することと、
前記カーボンブラック凝集体の体積の近似に少なくとも基づいて、球体の数を判定することと、
定義された体積内の前記球体のサイズ及び前記球体の位置に基づいて、目的関数に関する最適化問題に対する解を判定することによって、前記カーボンブラック凝集体の三次元(3D)凝集体モデルを生成することであって、前記解は、前記3D凝集体モデルを表す、生成することと、
を行わせる、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記プロセッサ実行可能命令は、更なる実行に応答して、前記コンピューティングデバイスに、前記3D凝集体モデルが分析に利用可能であるという通知の提示を更に行わせる、請求項18に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記プロセッサ実行可能命令は、更なる実行に応答して、前記コンピューティングデバイスに、
前記3D凝集体モデルを使用して、前記カーボンブラック凝集体の1つ以上の形態学的特性のそれぞれの値を判定することと、
前記1つ以上の形態学的特性の前記それぞれの値を供給することと、
を更に行わせる、請求項18に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、
前記球体の現在の配置を更新することであって、球体の前記現在の配置は、前記定義された体積内の前記球体のサイズの分布及び前記球体の位置の分布を含む、更新することと、
それぞれの定義された平面上の前記球体の構成の複数の2D投影を判定することと、
を含む、請求項18に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、前記複数の2D投影のそれぞれについて複数の適合度メトリックを判定することを更に含み、前記複数の適合度メトリックの各適合度メトリックは、前記カーボンブラック凝集体のそれぞれの二値化された2D画像に基づく、請求項21に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
前記最適化問題に対する前記解を前記判定することは、前記複数の適合度メトリックの平均に基づいて、前記目的関数を更新することを更に含む、請求項22に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
前記1つ以上のメモリデバイスは、前記1つ以上のプロセッサによる実行に応答して、前記コンピューティングデバイスに、
前記目的関数が収束基準を満たすと判定することと、
球体の前記現在の配置を前記3D凝集体モデルとして構成することと、
を更に行わせる、更なるコンピュータ実行可能命令を記憶する、請求項23に記載の少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月23日に出願された米国仮特許出願第63/247,327号の利益及び優先権を主張するものであり、その出願の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
二次元(2D)透過電子顕微鏡法(TEM)は、カーボンブラック形態と用途の特性とを結びつけることが可能になっている。同様に、電子断層撮影ベースの三次元(3D)凝集体の再構成により、凝集体の質量分布が明らかとなっている。しかし、カーボンブラックの3D特徴付けは、種々の要因によって妨げられており、その要因の一部は、カーボンブラックの特徴に関連し、他の要因は、カーボンブラック形態を特徴付けるための既存の試みに関与するコンピュータモデリングに関係している。例えば、カーボンブラックの多分散性、カーボンブラックのコンピュータモデリングに概して必要とされる非常に長い経過時間、及び3D凝集体の再構成において生成される曖昧な凝集体表面は、カーボンブラック形態の正確で統計的に有意な3D特徴付けを妨げてきた。したがって、カーボンブラック凝集体の電子顕微鏡画像を使用するカーボンブラック形態のコンピュータ3D分析のための技術において、多くの改善すべき点が残っている。
【発明の概要】
【0003】
以下の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、限定的ではないことを理解されたい。
【0004】
本開示の実施形態は、コンピュータ実装方法を含む。コンピュータ実装方法は、二次元(2D)透過電子顕微鏡(TEM)画像を使用して、カーボンブラック凝集体を識別することと、カーボンブラック凝集体の体積に対する近似に少なくとも基づいて、球体の数を判定することと、を含む。コンピュータ実装方法はまた、球体のサイズ及び定義された体積内の球体の位置に基づいて、目的関数に関する最適化問題に対する解を判定することによって、カーボンブラック凝集体の三次元(3D)凝集体モデルを生成することを含み、解は、3D凝集体モデルを表す。
【0005】
本開示の追加の要素又は利点は、一部は以下の説明に記載され、一部はその説明から明らかになり、又は本開示の実施によって知ることができる。本開示の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組み合わせによって達成することができる。
【0006】
この概要は、本開示の重要な又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、単に特定の特徴及びその変形を要約することを意図するものである。他の詳細及び特徴は、以下のセクションで説明される。更に、前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、本開示の実施形態を限定するものではない。
【0007】
添付の図面は、本開示の不可欠な部分であり、本明細書に組み込まれる。図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明及び特許請求の範囲と併せて、本開示の種々の原理、要素、又は態様を少なくとも部分的に説明する役割を果たす。本開示の実施形態は、添付の図面を参照して以下でより完全に説明される。しかしながら、本開示の種々の要素は、多くの異なる形態で実装され得、本明細書に記載された実装形態に限定されるものと解釈されるべきではない。全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラックの形態の3D分析のためのプロセスフローの例を示す。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラックの形態の3D分析のための動作環境(コンピューティングシステムを含む)の例を示す。動作環境は、電子顕微鏡システム及びコンピューティングシステムを含む。
【
図3】複数のカーボンブラック凝集体のTEM傾斜画像であり、63個のカーボンブラック凝集体がそれぞれの数字でラベル付けされている。選択された30個の凝集体は、それらの凝集体が再構成及び分析グループに属することを示すために、それぞれの閉曲線でマークされている。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、再構成された凝集体についての0°の投影角度でのコスト関数についての適合度メトリックの判定の一例を示す。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、回転軸上に取り付けられた62個の球体からなる3Dプリントされたアセンブリの写真の投影である。3Dプリントされたアセンブリは、巨視的スケールで、カーボンブラック凝集体のモデルを表す。
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、
図5に示された3Dプリントされたアセンブリの3D再構成の図を示す。
【
図7A-C】[
図7A]カーボンブラック凝集体の無傾斜(0°)TEM顕微鏡写真である。[
図7B]従来のTEM断層撮影再構成を使用して判定されるような、
図7Aに示されるカーボンブラック凝集体の無傾斜断層撮影図である。[
図7C]本開示の態様による、カーボンブラック凝集体の無傾斜球体ベースの3D再構成図である。
【
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、30個のN330カーボンブラック凝集体の再構成についての傾斜角間隔及び傾斜角範囲に対する平均再構成目的関数の依存性を示す。
【
図9】
図1に示される30個の選択されたカーボンブラック凝集体のうちの7個の、無傾斜(0°)のTEM画像、並びに0°及び90°の3D凝集体モデル画像を示す。画像は同じスケールではない。
【
図10】本開示の1つ以上の実施形態による、それぞれのN330カーボンブラック凝集体についての265個の3D再構成についての収束した平均目的関数値の分布を示す。
【
図11】本開示の1つ以上の実施形態による、256個のカーボンブラック凝集体についての凝集体の再構成時間の分布を示す。
【
図12】本開示の1つ以上の実施形態による、それぞれのN330カーボンブラック凝集体についての256個の3D再構成から計算された3D比表面積(3DSSA)の分布を示す。256個の3D再構成のサブセットは、
図3にマークされた選択された30個のN330カーボンブラック凝集体の再構成に対応する。
【
図13】本開示の1つ以上の実施形態による、30個のN330カーボンブラック凝集体の再構成についての相対3D空隙体積(3DVV)の関数としての不等長メトリック(「相対Z」と称される)を示す。各再構成は、
図3にマークされた30個のN330カーボンブラック凝集体のそれぞれ1つに対応する。
【
図14】本開示の1つ以上の実施形態による、30個のN330カーボンブラック凝集体の再構成についての3D凝集体体積(ボクセルカウントから)対2D凝集体体積((8/3)A
2/Pから)を示す。各再構成は、
図3にマークされた30個のN330カーボンブラック凝集体のそれぞれ1つに対応する。
【
図15】本開示の1つ以上の実施形態による、30個のN330カーボンブラック凝集体の再構成の比表面積の分布を示す。各再構成は、
図3にマークされた30個のN330カーボンブラック凝集体のそれぞれ1つに対応する。
【
図16】本開示の1つ以上の実施形態による、30個のN330カーボンブラック凝集体の再構成についての3DVVと2DV’/Vとの間の関係を示す。各再構成は、
図3にマークされた30個のN330カーボンブラック凝集体のそれぞれ1つに対応する。
【
図17】本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラックの3D分析及び識別のためのプロセスフローの例を示す。
【
図18】本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体の種類を識別するように構成された予測モデルの生成のためのシステムの例を示す。
【
図19】本明細書に記載の1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体を特定のカーボンブラックであると指定するための動作環境(コンピューティングシステムを含む)の例を示す。
【
図20】本開示の1つ以上の実施形態による方法の一例を示す。
【
図21】本開示の1つ以上の実施形態による方法の別の例を示す。
【
図22】本開示の1つ以上の実施形態による方法の別の例を示す。
【
図23】本開示の1つ以上の実施形態による方法の更に別の例を示す。
【
図24】本開示の1つ以上の実施形態による方法の別の例を示す。
【
図25】本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体の3D再構成及び分析を実装するためのコンピューティングシステムの一例を示す。
【
図26】本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体の3D分析を実装するためのコンピューティングシステムの別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、他の技術的課題の中でも、カーボンブラックの電子顕微鏡画像を使用するカーボンブラック形態の三次元再構成及び分析の問題を認識し、対処する。本開示の実施形態は、個々に又は組み合わせて、カーボンブラック凝集体の質量分布の直接モデリングを、統計的に関連する方法で、実験室における広範な用途に適した時間スケールで可能にすることによって、カーボンブラック凝集体形態のTEMベースの解明を前進させる。より具体的には、本開示の実施形態は、カーボンブラック凝集体の球体ベースの断層撮影再構成及び分析のためのコンピューティングシステム、コンピューティングデバイス、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ実装方法を提供する。より具体的には、本開示の実施形態は、定義された体積内の複数の球体のサイズ及び位置に基づいて、目的関数に関する最適化問題を解くことに依拠する3D再構成アプローチを提供する。かかるアプローチは、モデル内の球体ごとに4タプルに関してコンパクトに定義され得る3D凝集体モデルをもたらし、タプルは、3D位置ベクトルと、球体のサイズを定義するパラメータと、を含む。本開示の実施形態は、個々に又は組み合わせて、カーボンブラック(CB)凝集体の二値化TEM画像に適用することができ、凝集体の質量の空間分布の完全な記述をもたらす。本開示の実施形態は、N330 CB凝集体に関連して示されるが、本開示は、その点において限定されない。実際に、カーボンブラック形態の3D再構成及び分析に関連する本開示の原理及び実際の適用は、他のタイプのカーボンブラック及びその凝集体、例えば、N110カーボンブラック、N220カーボンブラック、N330カーボンブラック、N550カーボンブラック、N660カーボンブラック、N772カーボンブラック、N880カーボンブラック、及びN990カーボンブラックを対象とすることができる。
【0010】
本開示の実施形態は、カーボンブラック凝集体の複数の形態学的特性の値を判定することを可能にする3D凝集体モデルをもたらす。形態学的特性の値がカーボンブラックの既存の2D分析と一致するだけでなく、カーボンブラック凝集体を形成する炭素質粒子の位置及びサイズの利用可能性が、従来の断層撮影再構成よりも詳細な分析を可能にする。
【0011】
本開示の実施形態は、カーボンブラック凝集体当たりの球体の固定数及び二値TEM画像に基づく3D再構成を用いて示される。しかしながら、カーボンブラック凝集体の再構成への開示された3D球体ベースのアプローチは、その点に限定されない。実際、一部の実施形態では、カーボンブラック凝集体の3D再構成は、最適化パラメータとして処理される球体の数に基づくことができ、したがって、3D再構成中に動的に変化する。更に、又は他の実施形態では、二値TEM画像及び対応するモデリングされた二値投影を使用するのではなく、開示される3D球体ベースのアプローチは、グレースケールTEM画像及び対応するシミュレートされたグレースケール投影に基づき得る。かかるモデリングされたグレースケール投影は、質量及び/又は利得/オフセット調整の関数としての電子透過強度の適切な推定量に基づいて生成することができる。場合によっては、推定量は、パラメータ化された減衰指数関数に基づくことができ、減衰関数を定義するパラメータは、3D球体ベースの再構成における最適化パラメータとして使用することができる。
【0012】
更に、本開示の実施形態は、球体及びカーボンブラックを参照して例示されるが、本開示の原理及び実際の用途は、それらのいずれか1つに限定されない。実際に、本開示で説明される3D再構成に対する撮像及びアプローチの基礎となる機構は、炭素、有機要素、又は無機要素の他の構造にも、それらの他の構造を3Dでモデリングする際に非球形の幾何学的形状の幾何学的オブジェクトを使用して適用することができる。撮像及び3D再構成へのアプローチは、最終的に、任意の組成の材料に適用することができ、ここで、材料は、幾何学的オブジェクトのグループによってモデリングすることができる1つの構造又は複数の構造を有する。一例として、単層カーボンナノチューブ(CNT)又は多層CNTなどの湾曲管状構造は、直円柱のアセンブリとしてモデリングすることができ、各直円柱は、7つのパラメータ、すなわち、直円柱の第1の円形基部に対応する第1の位置ベクトルrを示す3つのパラメータと、直円柱の第2の円形基部の位置r’を示す3つの他のパラメータと、第1及び第2の円形基部のサイズを示す単一のパラメータとによって記述される。場合によっては、かかる湾曲した管状構造は、切頭円錐のアセンブリとしてモデリングすることができ、各切頭円錐は、8つのパラメータ、すなわち、切頭円錐の第1の円形基部に対応する第1の位置ベクトルrを示す3つのパラメータと、直円柱の第2の円形基部の位置r’を示す3つの他のパラメータと、第1の円形基部のサイズを示すパラメータと、第2の円形基部のサイズを示すパラメータとによって記述される。本開示による3D再構成へのアプローチは、かかる非球形の幾何学的オブジェクトに限定されず、他の幾何学的形状を有するオブジェクトも企図される。
【0013】
図面を参照すると、
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラックの形態の3D分析のためのプロセスフロー100の例を示している。プロセスフロー100は、
図1のそれぞれのブロックによって表される複数の段階を含み、これらの段階は、個々に、又は互いに組み合わせて実装することができる。プロセスフロー100は、少なくとも部分的に、
図2に示される動作環境200において実装され得る。
【0014】
TEMベースの断層撮影は、塊の断面平面に含まれる回転軸の周りの複数の傾斜角で塊を貫通する放射線を含み、その断面平面上に情報を含む投影画像を生成する。次に、コンピュータ断層撮影は、これらの投影画像を処理して、調査対象の質量の3Dモデルを作成することを含む。結果として得られるデータは、断層写真と称され、3Dモデルを3Dベクトル位置の密度関数(ρ(r)=ρ(x,y,z))として定義することができる。したがって、プロセスフロー100は、カーボンブラック凝集体のTEM画像を定義する撮像データにアクセスすることができる画像取得段階110を含む。これらのTEM画像は、カーボンブラック凝集体の一連のTEM 2D画像を含み、各TEM 2D画像は、それぞれの傾斜角で生成される。一連の各TEM 2D画像は、TEM傾斜画像と称されることがある。
【0015】
図2に示されるように、カーボンブラック凝集体の一連のTEM傾斜画像は、撮像システム205によって生成することができる。撮像システム205は、炭素膜上に分散された炭素塊の分布を表す電気信号を生成することができる電子顕微鏡機器210を含む。炭素塊は、溶媒中に超音波で分散させることができ、次いで炭素膜(例えば、グロー放電活性化炭素膜)上に堆積させることができる複数のカーボンブラック凝集体を形成する。そのために、電子顕微鏡機器210は、コリメータ装置に注入することができる電子の供給源として機能する供給源装置を含む。コリメータ装置は、ほぼ同じ運動エネルギーを有する電子のビームを形成することができる。かかるビームは、単色電子ビームと称されることがある。コリメータ装置は、入射方向(
図2のzによって示される)に沿って細長くすることができる。コリメータ装置の出力から、単色電子ビームは、電子顕微鏡機器210内の集束装置に入ることができる。集束装置は、単色電子ビームを、電子顕微鏡機器210の一部でもある試料ホルダ装置に向けることができる。
【0016】
試料ホルダ装置は、炭素膜が付着されたTEMグリッドを含むことができる。試料ホルダ装置は、ゴニオメトリックステージ(単軸又は多軸)で具現化することができる。したがって、炭素膜を含有する試料は、定義された連続的な傾斜角間隔Δθで、定義された傾斜角範囲[-Θ,Θ]にわたって回転させることができる。かかる回転の結果、試料は、定義された傾斜角範囲にわたって一連の傾斜角で順次配置される。各傾斜角において、試料に単色電子ビームを当てることができる。場合によっては、Θ=70°及びΔθ=2°であり、一連の71個の傾斜角を生じる。場合によっては、Θ=70°及びΔθ=10°であり、一連の15個の傾斜角を生じる。制御ユニット215は、ゴニオメトリックステージを、定義された連続的な傾斜角間隔Δθで、定義された傾斜角範囲[-Θ,Θ]にわたって回転させることができる。各傾斜角において、制御ユニット215は、試料に単色電子ビームを当てることもできる。かかる回転及び単色電子ビームへの曝露を引き起こすために、制御ユニット215は、実行されることに応答して、ゴニオメトリックステージを回転させ、単色電子ビームをサンプル上に衝突させる、プロセッサ実行可能命令を有する制御シーケンスを実行することができる。制御シーケンスは、実行されることに応答して、集束装置に、各画像を収集する前に電子ビームを集束(又は再集束)させる更なるプロセッサ実行可能命令を有することができる。
【0017】
電子顕微鏡機器210はまた、TEMグリッドを通過した散乱電子を検出することができるセンサ装置を含むことができる。かかる検出に応答して、センサ装置は、炭素膜内に分散された炭素塊の配置を表す電気信号を生成することができる。電気信号は、定義された傾斜角範囲[-Θ,Θ]内の一連の傾斜角に従って順次生成することができる。すなわち、一連の傾斜角ごとに電気信号が生成される。その結果、一連の傾斜角におけるそれぞれの傾斜角に対して電気信号のバッチを生成することができる。
【0018】
電気信号のバッチは、バスアーキテクチャを介して、電子顕微鏡機器210から撮像サブシステム220に個々に渡すことができる。撮像サブシステム220は、一連の傾斜角における傾斜角で生成された電気信号のバッチを処理することによって、撮像データを生成することができる。その傾斜角について、撮像データは、炭素膜内に分散されたカーボンブラック凝集体のTEM傾斜画像を定義する。一連の傾斜角にわたって生成された電気信号のバッチを処理することによって、撮像サブシステム220は、それぞれの傾斜角で生成されたカーボンブラック凝集体の一連のTEM 2D画像を定義する撮像データを生成することができる。かかる撮像データの生成は、制御ユニット215を介して、ゴニオメトリックステージの回転及び後続の単色電子ビームへの曝露を自動化することによって、自動化することができる。撮像データの自動生成は、自動画像取得と称されることがある。
【0019】
撮像サブシステム220は、次いで、撮像データを1つ又は複数のメモリデバイス230(データストレージ230と称される)内に保持することができる。撮像データは、データストレージ230内に構成されたファイルシステム内の1つ又は複数のファイルに保持することができる。1つ又は複数のファイルの各々は、画像記憶のための適切なフォーマットに従ってフォーマットされ得る。
【0020】
一例として、Δθ=10°間隔で[-70°,70°]の範囲にわたる一連の傾斜角についての自動画像取得は、1時間の何分の1か(例えば、約20分~約40分)で行うことができる。かかる自動画像取得において経過する期間は、それぞれの画像ごとに経過する短い時間間隔と、短い間隔の間に散在するより長い時間間隔と、を含むことができる。より長い時間間隔は、特定の傾斜角で撮像データを取得する前のそれぞれのセットアップ期間に対応する。場合によっては、短い間隔の各々は、約30秒に及ぶことができ、より長い時間間隔の各々は、数分に及ぶことができる。したがって、自動画像取得は、カーボンブラックの2D分析のための既存の技術よりも実質的に速くすることができる。したがって、本開示の実施形態は、多くのΔθ=10°の一連のTEM傾斜画像を効率的に取得及び記憶することができる。複数の一連のTEM傾斜画像の取得及び記憶は、任意の現在又は将来の再構成アプローチに容易に適用することができる、豊富な不変の再使用可能な撮像データをもたらすことができる。
【0021】
単に例示の目的のために、N330カーボンブラック試料をクロロホルム中に超音波分散させ、グロー放電活性化炭素膜グリッド上に堆積させることができる。電子顕微鏡機器210を使用して、N330カーボンブラックの凝集体の一連のTEM傾斜画像を生成することができる。そのために、電子顕微鏡機器210のゴニオメトリックステージは、定義された連続傾斜角間隔Δθ(例えば、2°又は10°)で[-70°,70°]の範囲にわたって試料を回転させることができる。更に、各傾斜角において、試料に120kVの単色電子ビームを当てることができる。更に、上述のように、電子顕微鏡機器210のセンサ装置によって生成された電気信号を使用して、撮像データを生成することができる。センサ装置は、2672×4008ピクセルアレイを有する電荷結合素子(CCD)を含むことができる。撮像解像度は、平均粒子直径当たり約20ピクセルであるように構成され得、これは、N330カーボンブラックについてのピクセル当たり約1.67nmに対応する。その撮像解像度は、カーボンブラックの2D測定に概して使用される平均粒子直径当たり10ピクセルの約2倍である。50~100個の凝集体を含む代表的な凝集体フィールドが、本開示の態様による断層撮影撮像及び再構成のために選択されることができる。最初に取得されたシリーズにおける63個の識別された再構成可能な凝集体のうち、30個を最初の再構成及び方法評価のために選択した。一例として、
図3は、一連のTEM傾斜画像における0°の傾斜角(ゼロ傾斜と称される)に対応するTEM傾斜画像である。本開示の種々の再構成及び分析態様を示すために使用される選択された30個のカーボンブラック凝集体は、
図3において円又は楕円のいずれかで個々にマークされている。選択された30個のカーボンブラック凝集体は、一連のTEM傾斜画像に存在する複数の再構成可能な凝集体のサブセットである。ここで、再構成可能な凝集体とは、一連のTEM傾斜画像の全ての画像で見ることができるカーボンブラック凝集体を指す。選択された炭素凝集体は、再構成可能な凝集体が、定義された傾斜角範囲[-Θ,Θ]を通して任意の傾斜角で視野内の別の再構成可能な凝集体を閉塞しないか、又はそれによって閉塞されないことを指示する非閉塞基準を満たす再構成可能な凝集体であり得る。
【0022】
TEM 2D画像の生成は、画像取得段階110の一部である。画像取得段階110の別の部分は、撮像システム205からの撮像データの転送を含み、モデリングシステム245によって実装することができる。より具体的には、モデリングシステム245の一部であるコンピューティングデバイス250は、それぞれの傾斜角で生成されたカーボンブラック凝集体の一連のTEM 2D画像234にアクセスすることができる。そのために、コンピューティングデバイス250は、データストレージ230から、一連のTEM 2D画像を定義する撮像データにアクセスすることができる取り込みモジュール252を含むことができる。撮像データにアクセスすることは、一連のTEM 2D画像をデータストレージ230からプログラムでダウンロードすることを含むことができる。例えば、取り込みモジュール252は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介してTEM 2D画像をダウンロードすることができる。APIの1つ以上の関数呼び出しを実行することによって、取り込みモジュール252は、一連のTEM 2D画像に対応する画像ファイル234を受信することができ、1つ以上の非揮発性メモリデバイス278(メモリ278と称される)内にファイル234を保持することができる。別の例として、取り込みモジュール252は、スクリプトを実行して、データストレージ230内のファイルシステムからメモリ278に画像ファイル234をコピーすることによって、TEM 2Dをダウンロードすることができる。メモリ278は、コンピューティングデバイス250に統合することができる。コンピューティングデバイス250は、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、メモリ、ディスクスペース、入力帯域幅、及び/若しくは出力帯域幅、インターフェース(複数可)(I/Oインターフェース又はAPI、又は両方など)、コントローラデバイス(複数可)、電源、前述の組み合わせ、及び/若しくは同様のリソースを備える、コンピューティングリソース(図示せず)を含むことができる。
【0023】
カーボンブラック凝集体の各TEM傾斜画像は、複数のカーボンブラック凝集体を描示する。
図3に示されるように、描示されたカーボンブラック凝集体は、十分に分離することができ、互いに容易に区別することができる。プロセスフロー100は、TEM傾斜画像を、それぞれのカーボンブラック凝集体を描示する複数のTEM傾斜画像にセグメント化することを可能にする凝集体画像処理段階120を含むことができる。したがって、一連のTEM傾斜画像について、凝集体画像処理段階120は、一連のTEM傾斜画像内の個々のカーボンブラック凝集体を識別し、複数の他の一連のTEM傾斜画像を生成することを可能にすることができ、複数の他の一連のTEM傾斜画像の各々は、1つのそれぞれのカーボンブラック凝集体に対応する。換言すれば、画像処理段階120の実装形態は、Q個のカーボンブラック凝集体についての複数の一連のTEM傾斜画像をもたらすことができ、複数の一連のTEM傾斜画像のうちの第1の一連のTEM傾斜画像は、Q個のカーボンブラック凝集体の第1のカーボンブラックに対応し、複数の一連のTEM傾斜画像のうちの第2の一連のTEM傾斜画像は、Q個のカーボンブラック凝集体の第2のカーボンブラックに対応し、Q個のカーボンブラック凝集体のj番目のカーボンブラック凝集体についての複数の一連のTEM傾斜画像のj番目の一連のTEM傾斜画像まで継続し、Q個のカーボンブラック凝集体のQ番目のカーボンブラック凝集体についての複数の一連のTEM傾斜画像のQ番目の一連のTEM傾斜画像まで更に継続する。単に例示として、
図3のカーボンブラック凝集体No.21について、凝集体画像処理段階120の実装形態により、その特定のカーボンブラック凝集体についての一連のTEM傾斜画像を得ることができる。更に、例示を続けると、
図3のカーボンブラック凝集体の30番について、凝集体画像処理段階120の実装形態は、その特定のカーボンブラック凝集体についての一連のTEM傾斜画像をもたらすことができる。
【0024】
モデリングシステム245はまた、コンピューティングデバイス250(
図2)を介して、凝集体画像処理段階120を実装することもできる。コンピューティングデバイス250は、TEM傾斜画像内の特定の炭素凝集体を識別することができ、次いで、TEM傾斜画像のセクションを抽出することができるセグメント化モジュール256を含むことができ、セクションは、特定の炭素凝集体と、任意選択的に、画像背景の一部分と、を描示する。画像背景のその部分は、カーボンブラック凝集体を取り囲み、炭素塊を欠くTEM傾斜画像の領域に対応する。セグメント化モジュール256は、1つ以上のマシンビジョン技術を適用して、特定のカーボンブラック凝集体の周辺を示すピクセルを判定することによって、特定のカーボンブラック凝集体を識別することができる。TEM傾斜画像のそのセクションを抽出することは、その周辺内の、及びその周辺を含むピクセルの値を定義する撮像データを選択することを含むことができる。撮像データは、任意選択的に、カーボンブラック凝集体の周囲領域を示すピクセルの値を定義することができる。マシンビジョン技術(複数可)は、本明細書で説明されるようなオブジェクト位置特定のためのテンプレートマッチング技術を含むことができる。
【0025】
セグメント化モジュール256は、それぞれの傾斜角に対応する一連のTEM傾斜画像にわたって特定のカーボンブラック凝集体を識別することができる。そのために、場合によっては、セグメント化モジュール256は、一連のTEM傾斜画像にテンプレートマッチング技術を適用することができる。テンプレートマッチング技術を適用することは、一連のTEM傾斜画像の第1のTEM傾斜画像における特定のカーボンブラックについてのテンプレート(特徴とも称される)を生成することを含むことができる。一例では、第1のTEM傾斜画像は、
図3のような一連の無傾斜TEM画像とすることができる。ここで、例示の目的のために、カーボンブラック凝集体のテンプレート(又は特徴)は、カーボンブラック凝集体の二値TEM傾斜画像中のピクセルの集合を識別するデータ構造を指し、その集合中のピクセルは互いに隣接している。テンプレートマッチング技術を適用することはまた、特定のカーボンブラック凝集体についてのテンプレートを、一連のTEM傾斜画像の次のTEM傾斜画像中の定義された探索領域内のピクセルと比較することを含む。この例を続けると、次のTEM傾斜画像は、傾斜角Δθに対応することができる。
【0026】
更に、特定のカーボンブラック凝集体は、TEM傾斜画像にわたって探索されている凝集体であるため、定義された探索領域は、視野内の傾斜軸(例えば、
図3のx軸)に沿った特定のカーボンブラック凝集体の位置を含み、傾斜軸に沿った視野全体の限定された部分に及ぶ底辺(又は第1の辺)を有する矩形領域であり得る。傾斜軸に沿った特定のカーボンブラック凝集体のその位置は、第1のTEM傾斜画像における特定のカーボンブラック凝集体の位置であり得る。矩形領域は、回転軸に垂直な軸に沿って視野の全長に及ぶことができる。
図3において、回転軸はx軸であり、他の軸はy軸である。定義された探索領域をかかる方式で限定することによって、次のTEM傾斜画像における特定のカーボンブラック凝集体の探索及び識別は、計算的に効率的であり得る。テンプレートを探索領域内のピクセルと比較することは、次のTEM傾斜画像の二値化バージョン内のピクセルをテンプレートと比較することを含むことができる。セグメント化モジュール256は、閾値ピクセル数がテンプレートに対応する(又は一致する)と判定したことに応答して、かかる二値化画像内の特定のカーボンブラック凝集体を識別することができる。対応するピクセルの閾値数以外の他のマッチング基準もまた、企図され得る。次のTEM傾斜画像の二値化バージョンにおいて特定のカーボンブラック凝集体を識別した後、セグメント化モジュール256は、次のTEM傾斜画像の一部をトリミングすることによって、次のTEM傾斜画像の傾斜角におけるカーボンブラック凝集体についての個別化されたTEM傾斜画像を生成することができ、この部分はカーボンブラック凝集体を描示する。
【0027】
更に、セグメント化モジュール256は、一連のTEM傾斜画像内の後続の次のTEM傾斜画像内の特定のカーボンブラック凝集体を探索し続けることができる。上記の例を続けると、後続の次のTEM傾斜画像は、傾斜角2Δθに対応することができる。傾斜軸(
図3のx軸)に沿った特定のカーボンブラック凝集体の位置は、その軸を中心に回転しても変化しないままであり得るため、セグメント化モジュール256は、以前の探索で使用された同じ矩形領域に探索を限定することができる。後続の次のTEM傾斜画像でのカーボンブラック凝集体の探索において第1のTEM傾斜画像で定義されたテンプレートを利用するのではなく、セグメント化モジュール256は、特定のカーボンブラック凝集体が識別された直前のTEM傾斜画像に基づいて、特定のカーボンブラック凝集体の次のテンプレートを判定することができる。すなわち、一連のTEM傾斜画像にわたって共通のテンプレートを適用するのではなく、セグメント化モジュール256は、TEM傾斜画像の隣接する対ごとにテンプレートを更新することができる。換言すれば、定義された傾斜角での傾斜TEM画像に対して、セグメント化モジュール256は、テンプレートτを使用してテンプレートマッチングを適用し、連続する定義された傾斜角での次の傾斜TEM画像に対して、セグメント化モジュール256は、テンプレートτからテンプレートτ’に更新し、次いで、次の傾斜TEM画像において更新されたテンプレートτ’を使用する。後続の次のTEM傾斜画像の二値化バージョンにおいて特定のカーボンブラック凝集体を識別した後、セグメント化モジュール256は、次のTEM傾斜画像の一部をトリミングすることによって、後続の次のTEM傾斜画像の傾斜角(例えば、2Δθ)におけるカーボンブラック凝集体の個別化されたTEM傾斜画像を生成することができ、この部分は、カーボンブラック凝集体を描示する。
【0028】
場合によっては、一連のTEM傾斜画像内のTEM傾斜画像にわたる探索領域として矩形領域を利用する代わりに、より限定された別の矩形領域内で探索することによって、更なる計算効率を得ることができる。その他の限定された矩形領域はまた、視野内の傾斜軸(例えば、
図3のx軸)に沿った特定のカーボンブラック凝集体の位置を含み、傾斜軸に沿った視野全体の限定された部分に及ぶ底辺(又は第1の辺)を有する。更に、その他の矩形領域は、特定のカーボンブラック凝集体が探索されているTEM傾斜画像に対応する定義された傾斜角について、回転軸に垂直な軸上の特定のカーボンブラックの予想される位置を含む高さ(又は第2の辺)を有することができる。セグメント化モジュール256は、ゼロ傾斜TEM傾斜画像における特定のカーボンブラック凝集体の位置に、定義された傾斜角の余弦に等しい係数を乗じることによって、予想位置を判定することができる。かかる係数を乗じることにより、傾斜軸を中心とした回転時の視野内の特定のカーボンブラック凝集体の位置変化を説明することができる。
【0029】
他の定義された探索領域を利用して、特定のカーボンブラック凝集体を探索することができる。場合によっては、一連のTEM傾斜画像内の各TEM傾斜画像に対して、それぞれの定義された探索領域を定義することができる。それぞれの定義された探索領域の各々1つは、一連のTEM傾斜画像にわたって共通である基準カーボンブラック凝集体に対して定義され得る。より具体的には、基準カーボンブラック凝集体は、一連のTEM傾斜画像の各々において、例えばテンプレートマッチングも使用して、事前に識別することができる。したがって、一連のTEM傾斜画像の各TEM傾斜画像について、セグメント化モジュール256は、基準カーボンブラック凝集体の位置を判定することができる。一連のTEM傾斜画像のうちの1つのTEM傾斜画像内の基準カーボンブラック凝集体の位置は、そのTEM傾斜画像内の定義された探索領域の基準位置として機能することができる。特に、セグメント化モジュール256は、その基準位置を、そのTEM傾斜画像に対して定義された探索領域の幾何学的中心として構成することができる。更に、定義された探索領域は、構成された幾何学的中心を中心とする矩形領域であり得、定義された第1の辺(又は底辺)と、定義された第2の辺(又は高さ)と、を有することができる。したがって、それぞれの定義された探索領域の配置は、一連のTEM傾斜画像にわたって変化することができる。加えて、一連のTEM傾斜画像内のTEM傾斜画像ごとに、セグメント化モジュール256は、前の画像内の第2の辺のサイズに、現在の画像に対応する定義された傾斜角の余弦に等しい係数を乗算することによって、現在の画像の定義された第2の辺のサイズを調整することができる。セグメント化モジュール256が、一連のTEM傾斜画像のうちのTEM傾斜画像内の基準カーボンブラック凝集体に対して探索領域を定義した後、セグメント化モジュール256は、本明細書に記載の態様によるテンプレートマッチングを使用して、そのTEM傾斜画像内の特定のカーボンブラック凝集体を探索し、識別することができる。
【0030】
基準カーボンブラック凝集体に対して定義された探索領域を使用することによって、種々の計算効率を達成することができる。例えば、カーボンブラック凝集体に対して探索領域を定義することは、一連のTEM傾斜画像の2つ以上の画像にわたって傾斜軸(
図3のx軸)に沿った特定のカーボンブラック凝集体の位置に生じ得る変化を容易に説明することができる。
【0031】
一連のTEM傾斜画像内のTEM傾斜画像の各々に対してテンプレートマッチング技術又は他のオブジェクト位置特定技術を適用した結果として、セグメント化モジュール256は、特定のカーボンブラック凝集体を含有するセクションに対応する個別化されたTEM傾斜画像を定義する画像データを生成することができる。その結果、セグメント化モジュール256は、それぞれの傾斜角に対応し、TEM傾斜画像内の他のカーボンブラック凝集体から分離して特定のカーボンブラック凝集体を描示する一連の個別化されたTEM傾斜画像を生成することができる。一連の個別化されたTEM傾斜画像を定義する撮像データは、メモリ278内に保持することができる。セグメント化モジュール256は、それぞれの傾斜角に対応する一連のTEM傾斜画像にわたって他のカーボンブラック凝集体を識別するために、本明細書に記載のテンプレートマッチング技術の適用を繰り返すことができる。その結果、上述したように、セグメント化モジュール256は、個別化されたTEM傾斜画像の複数のシリーズを生成することができ、一連の各々1つは、1つのそれぞれのカーボンブラック凝集体に対応する。
【0032】
セグメント化モジュール256は、マシンビジョン技術を適用することによって一連のTEM傾斜画像にわたって特定のカーボンブラックを識別することができるため、凝集体画像の事前位置合わせは必要ではなかった。したがって、既存の技術とは極めて対照的に、本開示の実施形態では基準マーカは不要である。基準マーカは、電子顕微鏡の視野内に配置することができる不透明なオブジェクトであり、従来の断層撮影において位置合わせを支援するために概して使用される。本開示のTEM画像取得及び処理は、既存の技術に対して簡略化することができる。
【0033】
選択されたカーボンブラック凝集体について、セグメント化モジュール256はまた、選択されたカーボンブラック凝集体に対応する一連の個別化されたTEM傾斜画像中の各TEM画像について二値化画像を生成することができる。したがって、一連の各TEM傾斜画像について、セグメント化モジュール256は、グレースケールのTEM傾斜画像を二値TEM画像に変換することができる。例示として、
図4は、0°のTEM画像(グレースケール)及び対応する0°の二値画像を示している。その結果、セグメント化モジュール256は、選択されたカーボンブラック凝集体について一連の二値化TEM傾斜画像を生成することができる。セグメント化モジュール256は、一連の二値化TEM傾斜画像を定義する撮像データをメモリ278内に保持することができる。セグメント化モジュール256は、2D自動画像分析のための多数の技術のうちの1つを適用することによって、二値化画像を生成することができる。具体的には、例示的な技術は、一連の個別化されたTEM傾斜画像内の(グレースケールの)各TEM傾斜画像について、(i)定義された半径(例えば、3×3ピクセル(又は半径1))を有するメディアンフィルタを適用することによってTEM傾斜画像を平滑化することを含む。例示的な技術は、(ii)ローリングボールアルゴリズムを適用することによって、得られたTEM傾斜画像を(依然としてグレースケールで)平坦化することも含む。平坦化は、画像の背景をレベリングすることができ、ピークをカットすることなく、谷を埋めることができる。グレースケール画像を二値化するための既存の2D画像処理技術は、典型的には、かかる背景レベリングを欠いている。例示的な技術は、(iii)第1のタイプの自動閾値(例えば、IJ_IsoData)を平坦化されたTEM傾斜画像(グレースケールのまま)に適用し、第2のタイプの自動閾値(例えば、Triangle)を平坦化されたTEM傾斜画像に適用することを更に含む。第1及び第2のタイプの自動閾値の適用は、それぞれの閾値をもたらす。グレースケール画像を二値化する既存の2D画像処理技術は、典型的には、より単純な自動閾値アプローチを提供する。(iv)例示的な技術は、それぞれの閾値の平均を平坦化されたTEM傾斜画像に適用することによって、二値TEM傾斜画像を生成することを更に含む。それぞれの閾値の平均を適用することにより、平坦化されたTEM傾斜画像内の一部のグレートーン(又はピクセル値)が黒色を示すピクセル値に割り当てられ、平坦化されたTEM傾斜画像内の他のグレートーン(又はピクセル値)が白色を示すピクセル値に割り当てられる。したがって、平坦化されたTEM傾斜画像内の各ピクセル値は、黒色又は白色のいずれかに変換され、二値TEM傾斜画像をもたらす。例示的な技術はまた、(v)形態学的「オープン」動作(侵食動作とその後の膨張動作との組み合わせ)を二値TEM傾斜画像に適用することを含む。得られた二値画像は、グレースケールの二値化TEM傾斜画像TEM傾斜画像として構成される。「オープン」動作において除去されるピクセルスキンの厚さは、構成可能であり得る。侵食動作中にピクセルがオブジェクトのエッジから除去される前に必要な隣接する背景ピクセルの数も構成可能である。膨張動作中にオブジェクトのエッジにピクセルが追加される前に必要な隣接前景ピクセルの数も構成可能である。
【0034】
プロセスフロー100(
図1)はまた、カーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルを生成することができる3D再構成段階130を含む。モデリングシステム245は、コンピューティングデバイス250(
図2)を介して、3D再構成段階130を実装することができる。コンピューティングデバイス250は、炭素塊のTEM 2D画像に基づいて、再構成される特定のカーボンブラック凝集体を識別することができるセレクタ構成要素262を含む再構成モジュール260を含むことができる。次いで、セレクタ構成要素262は、TEM 2D画像を使用して、特定のカーボンブラック凝集体の3D再構成のための球体の数Nを判定することができる。各球体は、特定のカーボンブラック凝集体の一部である炭素質粒子を表す。TEM 2D画像は、炭素塊の一連のTEM傾斜画像における無傾斜(0°)TEM傾斜画像とすることができる。球体の数Nは、凝集体中の粒子の数の2Dベースの推定値(NPA)として定義することができる。したがって、Nは、凝集体の体積(V
agg)を粒子体積(V
part)で除算した商として判定することができる。すなわち、N=V
agg/V
partである。ここで、V
aggは、凝集体体積推定量(8/3)A
2/Pを使用して判定することができ、これは、ランダムフロックについて導出された面積と周長の関係の近似であり、ここで、Aは凝集体の面積を示し、Pは凝集体の周長を示す。更に、V
partは、粒子サイズ平均弦モデルから判定することができる。より具体的には、粒径は、球体状粒子の直径dによって表すことができ、ここで、dは、d=απ(A/P)としてA及びPから推定される。パラメータαは、13.092(P
2/A)
-0.92又は0.4のうちの大きい方に等しい。次に、V
part=πd
3/6を用いて粒子体積を判定することができる。したがって、Nを判定するために、セレクタ構成要素262は、2D分析をTEM 2D画像に適用して、特定の炭素凝集体についてV
agg及びV
partを判定することができる。
【0035】
Nが判定された後、再構成モジュール260は、N個の球体のサイズ及び三次元空間における定義された体積内のN個の球体の位置に基づいて、目的関数に関する最適化問題に対する解を判定することによって、特定のカーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルを生成することができる。かかる解の判定は、別のタイプの終了基準に収束すること又はそれを満たすことに応答して、3D凝集体モデルを定義するモデルデータをもたらす反復プロセスを介して達成され得る。収束すると、反復プロセスはまた、目的関数の収束値をもたらす。そのプロセスにおける各反復は、再構成ステップと称されることがある。
【0036】
更新構成要素264は、定義された体積内のN個の球体の配置を更新することができる。配置は、定義された体積内の複数の球体の位置の構成及びサイズの構成によって定義される。したがって、配置を更新することは、位置の構成を更新することと、サイズの構成を更新することと、を含むことができる。換言すれば、配置を更新することは、N個の球体の各々のサイズ及び位置を調整することを含むことができる。場合によっては、更新アプローチは、各再構成ステップにおいて単一の球体を更新することと、再構成ステップが実施されるときに球体を通して順番に循環させることと、を含むことができる。具体的には、反復j(又はj番目の再構成ステップ)において、N個の球体のうちの単一の球体Σλ(λは、1、2…N-1、又はNのうちの1つに等しいインデックスである)の位置が更新され得る一方で、他のN-1個の球体の位置及びサイズは不変のままである。その後、反復j+1において、N個の球体のうちの単一の球体Σκ+1の位置を更新することができ、他のN-1個の球体の位置及びサイズは、その次の反復において不変のままである。反復が継続するにつれて、球体の各々は、反復j+N+1において、球体Σλが再び更新されるように、個々に更新されている可能性があり、次の反復が実装され、他の球体の位置が個々に更新されるにつれて、球体のセットをトラバースし続ける。球体の位置の更新は、複数の方法で実装することができる。一例として、更新される球体の位置は、デカルト座標系で定義することができる位置ベクトルrによって表すことができ、したがって、rは、トリプル(x,y,z)とすることができる。その球体の位置を更新することは、xをx+Δxに、yをy+Δyに、zをz+Δzに修正することを含むことができる。ここで、Δρ=λD(ρ=x,y,z)であり、ここで、Dは、変位値であり、λは、区間[0,1]における一様乱数である。場合によっては、変位値D=α<d>であり、ここで、αは、反復jが増加するにつれて最大値から最小値まで指数関数的に減衰するパラメータであり、<d>は、前の反復におけるN個の球体の平均直径である。αは反復が進行するにつれて減衰するため、最適化問題に対する解を判定するために、反復プロセスのより早い段階で、より大きい変位(及びその後のより粗い位置更新)が実装され、反復プロセスのより遅い段階で、その後のより小さい変位(及びその後のより細かい位置更新)が実装される。かかる早期のより粗い位置更新に続くより小さい変位(又はより細かい位置更新)は、目的関数の極小値を緩和又は回避することを可能にすることができる。更に、反復jに基づいて、その単一の球体のサイズも更新することができる。例えば、球体のサイズは、定義された数の再構成ステップが実装された後に修正され始めることができる。球体の直径に対する修正の大きさは、反復jが増加するにつれて指数関数的に減衰させることができる。球体の配置を更新する他のアプローチを実装することができる。例えば、その配置を更新することは、シミュレートされたアニーリング更新を実施すること、遺伝的アルゴリズム更新を実施すること、又は共役勾配最急降下更新を実施することを含むことができる。
【0037】
セレクタ構成要素262は、特定のカーボンブラック凝集体の二値化TEM画像を取得することができる。二値化TEM画像は、メモリ278内に保持することができ、定義された傾斜角で観察された二値化TEM傾斜画像に対応する。観察された二値化TEM傾斜画像は、連続した傾斜角間隔Δθでの傾斜角範囲[-Θ,Θ]にわたる一連の個別化された二値化TEM傾斜画像のうちの1つであり得る。一例では、Θ=70°及びΔθ=10°であり、定義された傾斜角は、集合{-70°、-60°、-50°、-40°、-30°、-20°、-10°、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°}に関係する。
【0038】
セレクタ構成要素262は、再構成モジュール260に含まれる評価構成要素266に二値化TEM画像を渡すことができる。次いで、評価構成要素266は、定義された傾斜角に対応する平面上へのN個の球体の配置の投影を判定することができる。加えて、評価構成要素266はまた、二値化TEM画像及び投影に基づいて適合度メトリックを判定することができる。適合度メトリックは、二値化TEM画像と投影との間のピクセルごとの差から生じる不一致ピクセルの数(又は、場合によっては、その数の関数)であり得る。すなわち、二値化TEM画像におけるカーボンブラックピクセル及びバックグラウンドピクセルに対して、ピクセルごとに、投影において異なるカーボンブラックピクセル及びバックグラウンドピクセルの数である。
図4は、0°の傾斜TEM画像のピクセルごとの差の例を示している。
【0039】
セレクタ構成要素262は、一連の個別化された二値化TEM傾斜画像をトラバースすることができ、評価構成要素266によって受信された二値化TEM傾斜画像の定義された傾斜角における適合度メトリックの判定のために、二値化TEM傾斜画像の各々を評価構成要素266に渡す。
【0040】
一連の個別化された二値化TEM傾斜画像がトラバースされた後、評価構成要素266は、一連の個別化された二値化TEM傾斜画像にわたる適合度メトリックの平均に基づいて目的関数を更新することができる。場合によっては、3D再構成が進むにつれて、評価構成要素266は、更新後の目的関数の値が不十分であると判定することができる。それに応答して、評価構成要素266は、更新構成要素264に、N個の球体の現在の配置を更新するように指示することができる。換言すれば、評価構成要素266は、更新された配置に基づく更新された投影の評価を含む別の再構成ステップを実装させることができる。場合によっては、更新後の目的関数が不十分であることにも応答して、評価構成要素266は、更新構成要素264に、N個の球体の現在の配置をリジェクトし、N個の球体の配置に対する次の更新が実装される前にN個の球体の直前の配置に戻るように指示することができる。N個の球体の現在の配置を、かかる配置についての目的関数の値が不十分であるシナリオにおいてリジェクトすることによって、再構成モジュール260は、目的関数の最適化(例えば、最小化)につながらない目的関数の超曲面における経路を探索することを軽減し、又は更には完全に回避し得る。結果として、N個の球体の配置(複数可)のかかるリジェクトは、処理時間(又はプロセッササイクルの数)及び/又はメモリストレージなどのコンピューティングリソースのより効率的な利用をもたらすことができる。
【0041】
一部の再構成ステップの実装後、評価構成要素266は、目的関数の値が満足のいくものであると判定することができる。そのために、評価構成要素266は、目的関数の値が収束基準を満たすことを判定することができる。収束基準は、目的関数の現在の値と目的関数の直前の判定における前の値との間の差の大きさが閾値以下であることを規定することができる。目的関数の値が満足のいくものである、すなわち、反復3D再構成プロセスが収束したと判定したことに応答して、評価構成要素266は、3D再構成を終了することができ、現在のモデル(N個の球体の配置に対する最後の更新後に得られた)を特定のカーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルとして構成することができる。評価構成要素266は、任意選択的に、収束がない場合であっても、反復3D再構成プロセスを終了することができる。そのために、評価構成要素266は、任意選択的に、終了基準が満たされているかどうかを判定することができる。終了基準は、例えば、実施された更新の閾値数Nmaxとすることができる。場合によっては、閾値数Nmaxは、球体の配置における球体の数(N)の倍数として定義することができ、すなわち、Nmax=qNであり、ここで、qは自然数(例えば、40、50、又は60)である。Nmax更新(又は反復)の後、球体の配置に対する変更を終了することができ、反復3D再構成プロセスを終了することができる。一例では、q=50であり、N=60の場合、反復3D再構成プロセスは、したがって、3000回の再構成ステップを完了すると終了することができる。終了基準を導入することによって、コンピューティングリソースの量が制限され、したがって、それらのリソース(例えば、プロセッサ時間及び/又はメモリ使用量)の非効率的な使用が回避され得る。
【0042】
本明細書に記載される反復再構成アプローチを適用することによって生成されるカーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルは、3D凝集体モデル中の各構成球体の三次元ベクトル位置及びサイズ(例えば、直径又は半径)を含む。すなわち、各球体Σκ(κ=1,2.N-1,N)に対して、3D凝集体モデルは、4タプル(rκ;σκ)を含むことができ、ここで、rκは、3D空間における位置ベクトルであり、σκは、球体Σκのサイズを示すパラメータである。パラメータは、球体Σκの直径又は半径を定義することができる。ベクトル位置は、直交座標系で定義することができる。例えば、位置ベクトルは、デカルト座標系で定義することができ、したがって、rκは、トリプル(xκ、yκ、zκ)とすることができる。再構成モジュール160は、3D凝集体モデルを定義するかかるデータをメモリ278内に保持することができる。
【0043】
3D凝集体モデルを定義するデータのかかるコンパクトな形態は、従来の断層撮影に対して、本開示の3D再構成アプローチの改良を提供する。実際、球体ベースの3D凝集体の再構成の場合、従来の再構成から導出される表面ボクセル座標を記録するための10,000個以上のパラメータとは対照的に、一般的なカーボンブラック凝集体の場合、球体当たり4つのパラメータが、10~1000個程度のパラメータをもたらす。したがって、本開示の実施形態は、既存の3D再構成技術よりも効率的に、メモリストレージなどのコンピューティングリソースを利用する。
【0044】
上述の反復再構成アプローチは、各再構成ステップについて同じ一連の二値化TEM傾斜画像に依拠するが、本開示はその点において限定されない。実際に、一部の実施形態では、定義された数の再構成ステップが実装された後、現在の一連の二値化TEM傾斜画像を更新して、別の一連の二値化TEM傾斜画像を作成することができる。かかる更新の後、定義された数の再構成ステップが再び実装されるまで、その他の一連の二値化TEM傾斜画像を使用して、後続の再構成ステップを実装することができる。反復再構成アプローチのこの時点で、他の一連の二値化TEM傾斜画像を更新して、次の一連の二値化TEM傾斜画像を生成することができる。後続の再構成ステップは、次の一連の二値化TEM傾斜画像を用いて実装することができる。これらの連続的な更新は、反復再構成アプローチが終了するまで継続することができる。
【0045】
より具体的には、一部の実施形態では、再構成モジュール260及びセグメント化モジュール256は、カーボンブラック凝集体の現在の一連の二値化TEM傾斜画像を更新することができる。再構成モジュール260は、例えば、評価構成要素266を介して、現在の一連の二値化TEM傾斜画像が更新されるべきかどうかを判定することができる。現在の一連の二値化TEM傾斜画像は、カーボンブラック凝集体について観察された一連のTEM傾斜画像に対応する。そのために、再構成モジュール260は、更新基準が満たされているかどうかを判定することができる。更新基準は、定義された数の再構成ステップが実施されたこととすることができる。他の更新基準もまた、企図され得る。一部の例では、再構成モジュール260は、更新基準が満たされていると判定することができ、その結果、再構成モジュール260は、定義された傾斜角でカーボンブラック凝集体の二値化TEM画像を取得することができる。二値化TEM画像は、現在の一連の二値化TEM傾斜画像の一部であり、したがって、定義された傾斜角に対応する。再構成モジュール260はまた、カーボンブラック凝集体の現在の3Dモデルを表すN個の球体の配置の投影を判定するか、又は別様で生成することができる。かかる配置は、それぞれの球体Σκ(κ=1,2.N-1,N)についての現在の4タプルの集合{(rκ;σκ)}によって定義することができる。現在の4タプルは、カーボンブラック凝集体の最適化された、又は別様で収束した3Dモデルを表さない。
【0046】
一部の実施形態では、再構成モジュール260は、更新構成要素264を介して、例えば、二値化TEM画像に変位を適用することができる。他の実施形態では、再構成モジュール260は、セグメント化モジュール256に、かかる変位を適用するように指示することができる。変位を適用するモジュールにかかわらず、変位は、複数の変位ベクトルのセットに関する変位ベクトルdによって表すことができる。複数の変位ベクトルのセットの定義は、例えば、メモリ278内に保持することができる。場合によっては、複数の変位ベクトルのセットの各変位ベクトルは、(2NL+1)×(2NL+1)ピクセルにわたる二次元正方格子内の点であり得、ここで、NLは自然数である。一例では、NL=5であり、121個の変位ベクトルが複数の変位ベクトルのセットを形成する。かかる変位ベクトルdは、正方格子の幾何学的中心に原点を有するデカルト座標系で定義することができる。したがって、変位ベクトルは、対(nx、ny)として表すことができ、ここで、nx及びnyはそれぞれ、区間[-NL、NL]内の整数である。幾何学的中心はピクセルに位置し、このピクセルは、単に命名法のために、中心ピクセルと称されることがある。したがって、変位を適用することは、変位を表す変位ベクトルによって二値化TEM画像を変位させることを含むことができる。変位を適用することにより、変位された二値化TEM画像が得られる。セグメント化モジュール256が変位を適用する場合、再構成モジュール260は、変位された二値化TEM画像を定義する撮像データを受信することができる。変位がどのように適用されるかにかかわらず、再構成モジュール260は、結果として生じる変位された二値化TEM画像をメモリ278内に、例えば、その中のファイルシステム内に保持することができる。
【0047】
再構成モジュール260は、評価構成要素266を介して、例えば、変位された二値化TEM画像及び投影に基づいて適合度メトリックを判定することができる。本明細書で説明されるように、適合度メトリックは、二値化TEM画像と投影との間のピクセル単位の差から生じる不一致ピクセルの数(又は、場合によっては、その数の関数)であり得る。したがって、適合度メトリックを判定することは、不一致ピクセルの数を判定することを含むことができる。再構成モジュール260は、判定された適合度メトリックを追加するためにデータ構造を更新することができる。データ構造は、メモリ278内に保持することができる。
【0048】
再構成モジュール260は、定義された傾斜角でカーボンブラック凝集体の二値化TEM画像に適用されるそれぞれの変位についての適合度メトリックを判定するために、複数の変位ベクトルのセットをトラバースし続けることができる。適合度メトリックが判定された後、再構成モジュール260は、判定された適合度メトリックを追加するために、メモリ278内に保持されたデータ構造を更新することができる。複数の変位ベクトルのセットが完全にトラバースされた後、再構成モジュール260は、満足のいく適合度メトリックに対応する変位された二値化画像を識別するか、又は別様に判定することができる。そのために、再構成モジュール260は、データ構造を使用して、満足のいくメトリックを判定することができ、次いで、メモリ278から変位された二値化画像を識別及び/又は選択することができる。複数の変位ベクトルのセットのトラバース中に判定される各適合度メトリックは、不一致ピクセルの数を示すため、満足のいく適合度メトリックは、最小数の不一致ピクセルを示すことができる。すなわち、識別される変位された二値化画像は、投影に対して最小のピクセル不一致を有することができる。
【0049】
再構成モジュール260は、更新構成要素264を介して、例えば、次の一連の二値化TEM傾斜画像を更新して、識別された変位した二値化画像を組み込むことができる。二値化TEM傾斜画像の次のシリーズを更新することは、かかるシリーズを生成することを含むことができる。他のTEM傾斜画像(二値化されたもの又は他のもの)が識別されると、再構成モジュール260は、メモリ278において次の一連の二値化TEM傾斜画像を更新することができる。したがって、次の一連の二値化TEM傾斜画像は、カーボンブラック凝集体の現在の3D凝集体モデルの定義された角度での投影とのピクセル不一致をそれぞれ最小化する変位された二値化画像によって形成することができる。
【0050】
再構成モジュール260は、現在の一連の二値化TEM傾斜画像のトラバースを継続し、複数の変位ベクトルのセットを現在の一連の二値化TEM傾斜画像の各画像に適用することができる。現在のシリーズがトラバースされた後、再構成モジュール260は、次の一連の二値化TEM傾斜画像を現在の一連の二値化TEM傾斜画像として構成することができる。次いで、本明細書で説明されるように、追加の再構成ステップを実装することができる。
【0051】
本開示の3D再構成アプローチの妥当性を示すために、再構成モジュール260は、62個の重なり合う球体の3Dプリントされたアセンブリの3D凝集体モデルを生成することができる。かかるアセンブリは、巨視的スケールで、炭素凝集体の構造を表す。したがって、かかる場合の3D凝集体モデルは、3D再構成モデルと称されることがある。
図5は、回転軸上に取り付けられた3Dプリントされたアセンブリの写真投影を示している。3Dプリントされたアセンブリについて5つの他の写真投影が判定され、一連の二値画像を作成するために使用される。
図6は、
図5に示される写真投影に対応する3D再構成モデルビューを示している。
図6において、球体のグレーの陰影の色調は、直径の範囲を示し、その範囲は、平均粒径dの倍数に関して定義される。したがって、特定の範囲内の直径を有する球体は、わずかに異なるサイズを有するが、同じグレーの陰影の色調を有するものとして描示され得る。陰影が濃いほど、直径の範囲が小さいことを示す。得られた3D再構成の平均目的関数値は18%であった。解釈及び/又は推測によって拘束されることを意図するものではないが、かかる値は、部分的には、傾斜角の不正確さ、わずかなx-y平面回転不整合、及び可能性として考えられる投影歪曲から生じ得る。
【0052】
更に、セグメント化モジュール256は、3Dプリントされたアセンブリからの球体データ出力に基づいて、本開示の3D再構成アプローチの検証のためにシミュレートされた二値画像を生成することができる。一例では、[-70°,70°]傾斜角範囲及びΔθ=10°について得られた一連の15個のシミュレートされた二値傾斜画像が、3D再構成アプローチに提供される。5つの別個の試行再構成についての3D再構成アプローチの収束(又は別様で終了)時の平均目的関数値は、2.3%~3.1%の範囲であった。試行再構成は、本明細書に記載される態様に従って実装される3D再構成である。したがって、平均目的関数値は、それぞれの3D再構成に対する収束した(又は別様で終端の)目的関数値を平均することによって得られる。平均目的関数のかかる値は、本明細書に説明されるように、定義された体積内の球体のサイズ及び位置の最適化に基づいて、3D再構成アプローチの妥当性を確立する。
【0053】
本開示の3D再構成アプローチを更に検証するために、再構成モジュール260は、従来のTEM断層撮影再構成を使用してモデリングされたカーボンブラック凝集体を再構成することができる。
図7Aは、カーボンブラック凝集体の無傾斜(0°)TEM顕微鏡写真である。
図7Bは、従来のTEM断層撮影再構成を使用して判定された、カーボンブラック凝集体の無傾斜(0°)断層撮影図である。かかる従来の再構成は、ボクセルベースのアプローチ及び制限されたセグメント化時間に依存する。
図7Cは、本開示の態様による、炭素凝集体の非傾斜(0°)球体ベースの3D再構成図である。
図6に関連して上述したように、球体のグレー陰影のトーンは直径範囲を示している。
図7Bから、従来のボクセルベースの再構成は、限られたセグメント化時間で良好な表面定義を達成することができないことが容易に明らかである。従来の断層撮影再構成と球体ベースの3D再構成との間の巨視的特性には、良好な一致が見られる。ここで、巨視的特性の良好な一致は、撮像平面上の第1の面内方向(例えば、x方向)及び第2の面内方向(例えば、y方向)における凝集体の空間範囲の良好な一致を指し、凝集体境界の曲率の良好な一致も指す(連続的な場合、粗い「ボクセル化された」ボクセルベースの再構成の場合)。
【0054】
本明細書に記載されるように、特定のΔθ間隔で傾斜角範囲[-Θ,Θ]を通して取得された一連のTEM傾斜画像は、カーボンブラックの3D再構成に使用することができる。したがって、再構成モジュール260は、
図3にマークされた30個のN330カーボンブラック凝集体を再構成するために、異なる傾斜角間隔及び傾斜角範囲に従って種々の一連のTEM傾斜画像を使用することができる。上述したように、3D再構成プロセスは反復的であり、場合によっては、3D凝集体モデルを定義するモデルデータを収束させて生成する。収束すると、3D再構成プロセスに関与する目的関数の収束値も判定される。
図8は、傾斜角範囲[-70°,70°]において、5つの傾斜角間隔(2°,4°,8°,16°,及び32°)で取得された一連のTEM傾斜画像を使用して、30個のN330カーボンブラック凝集体にわたってそれぞれ平均化された収束した目的関数値の散布
図800を示している。
図8はまた、傾斜角間隔Δθ=2°で、4つの傾斜角範囲([-40°,40°]、[-50°,50°]、[-60°,60°]、[-70°,70°])で取得された一連のTEM傾斜画像を使用して、30個のN330カーボンブラック凝集体にわたってそれぞれ平均化された、収束した目的関数値の散布
図850を示している。平均目的関数の結果は、傾斜角間隔Δθ=8°で取得されたTEM傾斜画像を用いた3D再構成が、傾斜角間隔Δθ=2°で取得されたTEM傾斜画像を使用した3D再構成とほぼ同様に機能することを示す。したがって、取得する画像の数の4分の1で、Δθ=8°シリーズは、Δθ=2°シリーズと比較して、データ取得時間の実質的な低減をもたらすことができる。傾斜角範囲を減少させることによって達成される傾斜TEM画像の数の削減では、同等の性能は得られない。したがって、傾斜角範囲[-70°,70°]にわたる画像取得が望ましい場合がある。
図8に示す結果に基づいて、3D再構成は、傾斜角範囲[-70°,70°]範囲及びΔθ=10°を使用して取得された一連のTEM傾斜画像に基づき得る。
【0055】
図9は、
図3においてマークされた選択された30個のN330カーボンブラック凝集体からの7つの再構成されたカーボンブラック凝集体のサンプルを示している。この場合も、球体のグレー陰影の色調は、直径範囲を示している。7つの凝集体の構造的複雑さは、
図9にわたって左から右に(読み出し方向に)増加する。0°のTEM画像と0°の3Dモデル投影との間のピクセルカバレッジの良好な一致に関して、3Dモデル投影と2D画像との間の良好な一致がある。更に、より低い構造を有する凝集体は、カーボンブラック凝集体の体積及び表面を適切にモデリングするには幾分少なすぎる粒子を有するように見え、より高い構造の凝集体は、適切な数の粒子を有することが観察される。解釈又は推測によって拘束されることを意図するものではないが、かかる観察は、本明細書で説明されるように、既存の2D分析に基づく粒子の数の推定量を使用することから生じ得る。
【0056】
本開示の3D再構成アプローチは、カーボンブラック(例えば、N330カーボンブラック)のTEM傾斜画像の複数の別個のシリーズについて、それらのシリーズに描示される多くの個々のカーボンブラック凝集体について実装することができる。複数の別個のシリーズのうちの第1のシリーズは、
図3に示される無傾斜TEM顕微鏡写真を含むシリーズである。1つの例示的なシナリオでは、再構成モジュール260は、本開示の3D再構成プロセスを合計265個の潜在的に再構成可能な凝集体に適用することができる。ここで、潜在的に再構成可能な凝集体は、一連のTEM傾斜画像にわたる全ての投影において可視であるカーボンブラック凝集体を指し、そのカーボンブラック凝集体について、セグメント化モジュール256は、一連のTEM傾斜画像内の各画像内のテンプレートの満足のいく一致を有する凝集体二値を判定することができる。この場合も、3D再構成プロセスは反復的であり、場合によっては、収束し、3D再構成プロセスに関与する目的関数の収束値をもたらす。収束した平均目的関数の得られた分布を
図10に示す。品質閾値(例えば、25%、26%、27%、又は30%)を定義することによって、再構成が満足のいくものであるか、又は不十分であるかを判定することができる。満足のいく再構成は、品質閾値以下の収束した平均目的関数を有し、一方、不十分な再構成は、品質閾値を超える収束した平均目的関数を有する。
図10に示されるように、256個の再構成が満足のいく再構成である。満足のいく再構成の各々は、統計分析に寄与するのに十分な品質であるとみなされ、26%未満の値の最終平均目的関数を有し、10.8%の値のアンサンブル収束平均目的関数に寄与する。
【0057】
コンピューティングデバイス250(
図2)は、シングルコア又はマルチコアに組み立てられ得る1つ以上のプロセッサ(
図2には描示せず)を含むことができる。本開示の3D再構成アプローチの計算効率の例示として、コンピューティングデバイス250は、48時間のシングルコアプロセッサ計算時間で満足のいく再構成をもたらした256個のカーボンブラック凝集体の3D再構成を実施することができる。相対的に少数の大きなカーボンブラック凝集体の3D再構成は、計算時間の大部分を消費した。
図11は、3D再構成計算時間の分布を示している。
【0058】
それぞれの満足のいく再構成について、コンピューティングデバイス250は、判定された3D凝集体モデルを使用して、満足のいく再構成に対応するカーボンブラック凝集体についての3DSSAを判定することができる分析モジュール270を含むことができる。ここで、例示の目的のために、カーボンブラック凝集体の3D比表面積(3DSSA)は、単位質量当たりの総表面を指し、総表面は、カーボンブラック凝集体内の空隙に接する表面を占める。256個の満足のいく再構成に対する3DSSA分布を
図12に示す。3DSSA分布は、50.0m
2/gの体積加重3DSSAをもたらす。
【0059】
再構成後の分析は、再構成されたカーボンブラック凝集体についての3DSSAを判定することに限定されない。実際に、3D凝集体の再構成が実装された後、再構成されたカーボンブラック凝集体の形態の一般的な分析を、プロセスフロー100(
図1)の再構成後分析段階140において実装することができる。より具体的には、再構成後分析段階140において、再構成されたカーボンブラック凝集体の種々の形態学的特性は、そのカーボンブラック凝集体の3D再構成において判定された3D凝集体モデルを用いて判定することができる。上述したように、3D凝集体モデルは、3D凝集体モデル内の各構成球体の三次元ベクトル位置及びサイズ(例えば、直径又は半径)を含む。
【0060】
モデリングシステム245はまた、コンピューティングデバイス250(
図2)を介して、再構成後分析段階140を実装することもできる。その点に対して、分析モジュール270は、再構成されたカーボンブラック凝集体の種々の構造特性を判定することができ、3D凝集体モデルを使用して判定することができる。構造特性の例としては、3DSSA(上記のような)、凝集体体積、凝集体凸包体積、空隙体積、3DVV、Xにおける凝集体範囲(X
extent)、Yにおける凝集体範囲(Y
extent)、及びZにおける凝集体範囲(Z
extent)、並びに「相対Z」(Z
rel)が挙げられる。ここで、Z
relは、凝集体のx寸法及びy寸法の平均に対する再構成されたカーボンブラック凝集体のz寸法として定義される不等長メトリックであり、すなわち、Z
rel=2Z
extent/(X
extent+Y
extent)である。
【0061】
分析モジュール270は、3Dグリッディング(例えば、ボクセル化)を介して、再構成されたカーボンブラック凝集体の重なり合う球体体積の質量及び比表面積分布を判定することができる。分析モジュール270は、凝集体表面ボクセルを識別及び計数し、異なる角度におけるボクセルの投影された表面積被覆率を補正することによって、重なり合う球体の3DSSAを判定することができる(補正係数は、可変ボクセル半径の球体に対して平均化されることができる)。より具体的には、分析モジュール270は、重なり合う球体の表面積を判定するために、変換(又は補正)係数γを一部の凝集体表面ボクセルに適用することができる。次いで、その表面積を3DSSAの判定に使用することができる。換算係数γは、表面ボクセルの数と球体状粒子の表面積との間の経験的関係を表す。したがって、γは、表面ボクセルを、分析下のあるタイプのカーボンブラック凝集体(例えば、N330カーボンブラック凝集体)中の粒子の平均直径を含む間隔に及ぶ直径の範囲を有する球体の表面積に変換することによって、経験的に判定することができる。このようにして換算係数γ=1.30を取得することができ、これを本開示で使用する。分析モジュール270は、凝集体凸包に対する近似を判定することによって、閉塞体積を判定することができる。凝集体凸包の分析式は、離散的な球体によって囲まれた体積には利用できない。したがって、モデリングによって拘束されることを意図するものではないが、凸包は、デカルト座標系における全ての軸の周囲で定義された角度増分(例えば、6°)だけ変動する回転配向における境界平面の外側の塊を除去し、残りの体積を凸包体積として合計し、凸包境界集合内空隙体積に到達するために、凝集体体積を減算することによって判定されることができる。凝集体内空隙体積を凝集体体積で除算したものが3DVVを定義する。
【0062】
単に例示として、分析モジュール270は、
図3にマークされた30個のN330カーボンブラック凝集体の3D再構成について本明細書に記載された態様に従って、凝集体体積、空隙体積、及び3DSSAを判定することができる。再構成モジュール260は、[±70°,70°]及びΔθ=10°を使用して取得されたTEM傾斜画像を使用して3D再構成を生成した。分析モジュール270は、X、Y、及びZにおける凝集体の寸法範囲を判定した。30個の再構成された凝集体についてのデータを表1に示す。その表において、「Agg.ID」は、
図3のマークされた凝集体に隣接する番号を指す。
【表1】
【0063】
カーボンブラックに関する既存の文献において利用可能なカーボンブラック凝集体の既存の分析によれば、カーボンブラック凝集体の不等長性の程度は、凝集体構造とともに増加する。
図13は、表Iで識別され、
図3でマークされた30個のN330カーボンブラック凝集体についてのZ
relを示している。全ての凝集体は、X及びYよりもZにおいてより少ない程度を有することが観察される。3DVVを介して測定される凝集体構造に対する不等長性のいくらかの依存性も存在し、より高度に構造化された凝集体は、より多くの不等長性を有する傾向がある(すなわち、より低いZ
rel値)。したがって、本開示の3D再構成アプローチを用いて取得され、
図13に示される結果は、既存の発見を支持し、凝集体不等長性の直接的な尺度を提供する。すなわち、不等長性は、Z
relによって特徴付けられることができ、そのメトリックは、本開示の側面による3D再構成から直接判定されることができる。カーボンブラック凝集体の既存の分析は、2Dデータに基づいており、単に第3の次元(例えば、z方向)における不等長性を推測するだけであるため、かかる直接的な測定は、カーボンブラック凝集体の既存の分析では利用できない。
【0064】
本開示の態様による3D凝集体モデルの場合、凝集体体積(表1の「Agg.Vol」)は、直接計算することができる。
図14に示されるように、特にその挿入図において、3D凝集体体積は、より低い体積(及び概してより低い構造)の凝集体に関して2Dベースの体積と相関し、2Dベースの体積は、体積が増加するにつれて3Dベースの体積に対して増加する。理論又はモデリングに束縛されることを意図するものではないが、これは、2Dベースの体積測定に対する不等長性の派生効果を考慮することによって理解することができる。具体的には、既存の2D推定量は、凝集体等長性を考慮し、その結果、等長性凝集体の場合に対するZ方向の凝集体範囲の縮小は、2Dベースの計算を、本開示の3D再構成による直接判定された3Dベースの体積よりも大きくする。
【0065】
密度が既知である場合、3DSSAは、(本明細書に記載されるように)3D凝集体モデルのボクセル化から判定することができ、バルクコロイド測定値に直接関連付けることができる。表1に示される個々の凝集体3DSSA値は、30m
2/g~85m
2/gの範囲である。
図15に示されるように、30個の再構成されたN330カーボンブラック凝集体についての3DSSA値の分布は、ほぼ正規分布又は対数正規分布である。3DSSAの体積加重平均は、52.5m
2/gである。この値は、N330カーボンブラック(75m
2/g)の典型的な統計的厚さ表面積(STSA)値よりも約30%小さい。解釈によって拘束されることを意図するものではないが、かかる差は、かなり過剰な質量及びかなり大きい直径の球体状粒子を有する再構成されたカーボンブラック凝集体の内部領域に起因し得る。かかる要因は、個々に及び組み合わせて、モデリングされた比表面積(SSA)を減少させる。分析モジュール270は、炭素凝集体のすぐ内側の境界ピクセルをカウントすることによってSSAを判定することができることに留意されたい。その代わりに、炭素凝集体のすぐ外側の空間境界ボクセルを計数すると、3DSSA値は約55m
2/gに増加し、この値は依然として典型的なSTSA値よりも小さい。
【0066】
既存の2DV’/Vは、OANと相対空隙体積との間の予想される基本的な関係を支持する。かかる関係は、凝集体空隙体積(V’で示す)を凝集体体積(Vで示す)で除算した商である。この関係に関して、カーボンブラック密度に関して概して認められている近似1.9g/cm
3を使用して、体積を質量に変換することができ、OAN単位(cm
3/100g)に調整すると、真の相対空隙体積に対するOANの理論的勾配は100/1.9≒53となる。2DV’/Vは、凝集体吸光係数又は構造因子と称することができ、相対空隙体積を表すことができる。かかる関係は、凝集体によって占有される空間の直径の2Dベースの近似から導かれる。推測に束縛されることを意図するものではないが、3DVVが相対空隙体積の有用な尺度である場合、3DVVは同様の関係に従うと予想される。その点に関して、
図16は、実際に、本開示において測定された30個の凝集体についての線形関係を示す。その線形関係の傾きは1に近く、小さなオフセットがある。3DVV値は、2DV’/V値(単一の0°の凝集体投影から計算される)よりも約0.3単位低い。凸包近似を介して判定された加重空隙体積は、1.39であり、これらの30個のN330カーボンブラック凝集体の1.69の2DV’/V相対空隙体積よりも18%少なかった。
【0067】
解釈又は推測によって拘束されることを意図するものではないが、2D分析からの予想と比較して25%~30%低い比表面積と18%低い3DVVとの組み合わせは、3D凝集体モデルの中心付近に過剰な質量を含むことに起因し得る。隣接する凝集体の質量の重なりのために二値では見えない小さな空間の充填は、質量をわずかに増加させ、表面積を減少させる可能性がある。質量の増加と表面積の減少とを組み合わせた効果は、判定された3DSSA及び3DVVを減少させ得る。
【0068】
カーボンブラックの形態学的特性を利用することにより、これらの特性が閉塞を介してカーボンブラックとゴムとの相互作用にどのように影響を及ぼすかを分析することが可能になる。閉塞体積は、カーボンブラック凝集体を囲む凸包内に含まれる体積として近似することができる。カーボンブラックに関する既存の文献には、カーボンブラック閉塞体積測定値を吸油量(DBPとも称されている)に直接結びつける関係が含まれている。言及したように、OANは、カーボンブラック凝集体に関連する凝集体内空隙をちょうど満たすのに必要な油の量のバルク尺度である。その既存の文献はまた、各凝集体内ゴム体積要素が、その場所における応力遮蔽に応じて、連続体上で測定されるある程度の閉塞を実際に経験し得るため、カーボンブラック凝集体「内」に閉塞された(かつある幾何学的程度まで歪みから遮蔽された)ゴムの概念に関する問題を提起した。
【0069】
どの体積が凝集体「内」にあるかという問題は、カーボンブラック凝集体の3D質量分布を示すデータで対処することができる。かかる分布は、本開示による3D凝集体モデルを形成する球体の空間分布に基づいてモデリングすることができる。かかるデータを使用する分析モジュール270(
図2)は、本開示によるカーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルに近接したゴム変形の有限要素分析(FEA)を含むナノスケール研究を実装することができる。多くの他のアプリケーションの分析もまた、かかるデータを使用して実装され得る。カーボンブラック凝集体はゴム配合中にある程度分解するため、ゴム配合物から単離されたカーボンブラックも分析することができる。したがって、本明細書に記載される3D凝集体モデルを定義するデータは、ゴム中の強化材をモデリングするために、また製品開発努力を導くためにも容易に適用することができる3Dカーボンブラック凝集体形態学的データの豊富な基礎を提供する。
【0070】
閉塞及び強化に加えて、多くの他のゴム特性は、実質的にカーボンブラックの形態に依存する。再び、カーボンブラック凝集体の形態学的特性を示す形態データ及び3Dカーボンブラック質量分布を表すモデルデータへのアクセスを有することは、透過性、導電性、及びヒステリシスなどの特性の態様を解明することができ、また、それらの特性の1つ以上の影響を予測及び/又は設計することを可能にすることができる。単なる例示として、カーボンブラックに関する既存の文献は、シミュレートされた凝集体モデリング及び拡散を介して、透過性に対する充填剤形態の影響を調査している。3Dカーボンブラック形態を示すデータは、その既存の文献における拡散モデルを検証することができ、また、ガス透過に対する炭素質固体バリアの幾何学的最適化を解明することができる。3Dでの凝集体の質量分布、特にカーボンブラック凝集体周辺での凝集体の質量分布を示すデータは、ポリマーの充填剤-充填剤ネットワーク特性を確立することを可能にすることができる。かかるネットワーク化特性は、導電性などの静的特性に影響を及ぼすことができ、ヒステリシス過渡充填剤ネットワーク化(ペイン効果として知られる)にも影響を及ぼすことができる。本開示の3D再構成アプローチによって提供される豊富な形態データは、既存の断層撮影再構成技術からは入手できない。したがって、本開示の実施形態は、かかる現象の理解及びエンジニアリングに適用可能な優れたデータフレームワークを提供することができる。更に、本明細書に記載されるように、かかる優れたデータフレームワークを使用して、機械学習予測モデルに基づいてカーボンブラック凝集体のカーボンブラックのタイプを識別することができる。かかるモデルは、データフレームワークによって供給される豊富なデータを使用して訓練することができる。したがって、本開示の実施形態は、カーボンブラック凝集体の研究のための種々の実用的な分析ツールを提供することができる。
【0071】
図2を更に参照すると、コンピューティングデバイス250はまた、カーボンブラック凝集体の3D凝集体モデル及び/又は形態データを供給することができる報告モジュール274を含むことができる。かかる情報は、多数の方法で供給することができる。一部の実施形態では、3D凝集体モデルを供給するために、報告モジュール274は、1つ以上のメモリデバイス(例えば、メモリ278)内に3D凝集体モデルを保持することができ、3D凝集体モデルにアクセスするためのAPIを構成することができる。加えて、又は場合によっては、報告モジュール274は、ユーザインターフェースにおいて3D凝集体モデルの視覚化の提示を引き起こすことによって、3D凝集体モデルを供給することができる。報告モジュール274は、ディスプレイデバイス280にかかるユーザインターフェースを提示させることができる。
図2に示されるように、ディスプレイデバイス280は、コンピューティングデバイス250に機能的に結合することができる。かかる結合は、有線インターフェース及び/又は無線インターフェース(かかるインターフェースは、開いた矢印を有するセグメントによって表される)によって提供され得る。他の場合には、ディスプレイデバイス280は、コンピューティングデバイス250に統合され得る。同様に、形態データ、例えば、炭素凝集体の形態学的特性の値を供給するために、報告モジュール274は、1つ以上のメモリデバイス(例えば、メモリ278)内に値を保持することができ、特定の形態学的特性の1つ又は複数の値にアクセスするようにAPIを構成することができる。加えて、又は他の実施形態では、かかる値を供給するために、報告モジュール274は、ユーザインターフェースにおいて、1つ以上の形態学的特性の1つ又は複数の値を示す視覚的要素の提示を生じさせることができる。再び、そのユーザインターフェースは、ディスプレイデバイス280に提示されることができる。更に、又は更に他の実施形態では、かかる値を供給するために、報告モジュール274は、1つ以上の形態学的特性の1つ又は複数の値を伝達する電子メッセージ(例えば電子メール)の送信を引き起こすことができる。報告モジュール274はまた、3D凝集体モデルの視覚化を含む、3D凝集体モデルが分析に利用可能であるという通知の提示を引き起こすことができる。
【0072】
カーボンブラック凝集体の3D再構成及びカーボンブラック凝集体の再構成後分析を使用して、カーボンブラック凝集体のカーボンブラックのタイプを識別することができる。そのために、
図17に示されるように、再構成後分析140は、カーボンブラック凝集体の形態学的特性の値に基づいて、カーボンブラック凝集体に対応するカーボンブラックのタイプを識別することを可能にすることができるサブステージを含むように拡張することができる。第1のサブステージ1710において、形態学的特徴を判定することができる。形態学的特徴は、カーボンブラック凝集体の形態学的特性Pの値であり得る。したがって、第1のサブステージ1710において特徴ベクトルfを判定することができ、特徴ベクトルfは、特性P
1、P
2、…P
Mに対応するM個の成分を有することができ、各成分は、本明細書に記載されるように、ステージ130において判定されたカーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルを使用して判定された値を有することができる。場合によっては、M=7であり、形態学的特性は、X
extent、Y
extent、Z
extent、Z
rel、凝集体体積、3DVV、及び3DSSAを含むことができる。本開示は、形態学的特性のその数に限定されず、7つよりも少ない又は多い形態学的特性が企図され得る。第2のサブステージ1720は、予測モデルを特徴ベクトルfに適用することによって、カーボンブラックのタイプを識別することができる。予測モデルは、カーボンブラック凝集体を特定のタイプのカーボンブラックであると指定するように構成された(例えば、訓練された)機械学習モデルとすることができる。例えば、予測モデルは、マルチタスク分類問題を解くように構成された(例えば、訓練された)分類モデルとすることができる。
【0073】
かかる予測モデルを生成するために、動作環境200(
図2)を使用して、既知のタイプのカーボンブラック(例えば、N110カーボンブラック、N220カーボンブラック、N330カーボンブラック、N550カーボンブラック、N660カーボンブラック、N772カーボンブラック、N880カーボンブラック、N990カーボンブラックなど)に関するそれぞれのカーボンブラック凝集体に対応するデータセットを生成することができる。データセットの各データセットは、カーボンブラックのタイプに従ってラベル付けすることができ、特徴ベクトルf=(P
1、P
2、…P
M)のインスタンスを含むことができる。かかるラベル付きデータセットは、ラベル付きデータと称することができ、1つ以上のメモリデバイス(ラベル付きデータリポジトリと称される)内に保持することができる。次いで、予測モデルを訓練して、カーボンブラック凝集体の形態学的特性の複数の値に対応する特徴ベクトルに関するマルチタスク分類問題を解くことができる。
【0074】
図18は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体を特定のタイプのカーボンブラックであると指定するように構成された予測モデルを生成するための例示的なシステム1800を示している。上述したように、予測モデルは、マルチタスク分類問題を解くように構成された分類モデルにおいて具現化され得る。システム1800は、訓練モジュール1810を含むことができる。訓練モジュール1810は、教師あり、教師なし、及び/又は半教師あり(例えば、強化ベースの)機械学習モデルを実装することができる。訓練モジュール1810は、例えば、採集構成要素1814を介して、異なるタイプの訓練データを取得することができる。予測モデルは、カーボンブラック凝集体の形態学的特性の複数の値に対応する特徴ベクトルに関するマルチタスク分類問題を解くように訓練することができるため、採集構成要素1814は、1つ以上のメモリデバイス1804(ラベル付きデータリポジトリ1804と称される)からラベル付きデータ1812を取得することができる。ラベル付きデータ1812は、ラベル付きデータ1808によって定義された複数のラベル付き特徴ベクトルのグループから複数のラベル付き特徴ベクトルを定義することができる。特徴ベクトルは、例えば、既知のタイプのカーボンブラック(例えば、N110カーボンブラック、N220カーボンブラック、N330カーボンブラック、N550カーボンブラック、N660カーボンブラック、N772カーボンブラック、N880カーボンブラック、N990カーボンブラック、又は同様のもの)のカーボンブラック凝集体の3D再構成の一部としてラベル付けされている場合がある。ラベル付けされた特徴ベクトルのラベルは、テキスト要素を含むことができる。ラベル付けされた特徴ベクトルの各ラベルは、カーボンブラックのタイプ、例えば、N110カーボンブラック、N220カーボンブラック、N330カーボンブラック、N550カーボンブラック、N660カーボンブラック、N772カーボンブラック、N880カーボンブラック、N990カーボンブラック、又は同様のものを指定する。
【0075】
訓練モジュール1810はまた、採集構成要素1814によって取得されたデータ1812に対して動作することができるコンストラクタ構成要素1816を含む。データ1812に対して動作することによって、コンストラクタ構成要素1816は、ラベル付けされた画像1808の少なくともサブセットを使用して検出モデルを訓練することができる。上述したように、予測モデルは、マルチタスク分類問題を解決し、カーボンブラック凝集体を複数のカテゴリーのうちの1つに属するものとして指定するように訓練することができる分類モデルとすることができ、各カテゴリーはカーボンブラックのタイプを表す。予測モデルを訓練するために、コンストラクタ構成要素1816は、データ1812を使用して、コスト関数に関する最適化問題に対する解を判定することができる。解は反復的に判定することができ、各反復において、コスト関数は、それぞれのカーボンブラック凝集体についての既知のラベルとそれぞれのカーボンブラック凝集体についての予測されたラベルとの間の差の評価に基づく値をもたらす。予測されたラベルは、分類モデルの現在の反復、すなわち、その現在の反復において定義された分類モデルによって予測されるか、又は別様で判定される。解が判定された後、その解は、コスト関数を最小化するモデルパラメータをもたらす。モデルパラメータは、訓練された予測モデル1820を定義する。訓練モジュール1810は、例えば、コンストラクタ構成要素1816を介して、訓練された予測モデル1820を1つ以上のメモリデバイス1830(モデルリポジトリ1830と称される)内に保持することができる。
【0076】
一部の実施形態では、訓練モジュール1810は、コンピューティングデバイス250によってホストされることができ、ラベル付きデータリポジトリ1804及びモデルリポジトリ1830は、メモリ278の一部であり得る。他の実施形態では、別のコンピューティングデバイス又はコンピューティングデバイス250に機能的に結合されたコンピューティングデバイスのシステムは、訓練モジュール1810、並びにラベル付きデータリポジトリ1804及びモデルリポジトリ1830を含むことができる。
【0077】
訓練された予測モデル(例えば、予測モデル1820)を使用して、カーボンブラック凝集体が関係するカーボンブラックのタイプを識別することができる。その目的のために、カーボンブラック凝集体は、プロセスフロー1700(
図17)に関連して本明細書に記載される態様に従って、電子顕微鏡を使用して調査し、モデリングすることができる。したがって、動作環境1900を利用して、そのカーボンブラック凝集体の3D再構成を判定することによって、カーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルを生成することができる。3D凝集体モデルは、コンピューティングデバイス250(
図19)を介して、プロセスフロー1700の段階110から段階130を実装することによって生成することができる。本明細書に記載されるように、分析モジュール270は、3D凝集体モデルに基づいて、カーボンブラック凝集体のそれぞれの形態学的特性の値を生成することができる。分析モジュール270は、かかる値を特徴ベクトルfとしてキャストすることができ、fの各成分は、カーボンブラック凝集体の形態学的特性Pに対応し、形態学的特性Pについて分析モジュール270によって判定された値に等しい値を有する。本明細書に記載されるように、fは、特性P
1、P
2、…P
Mに対応するM個の成分を有することができ、かかる特性は、予測モデル1920のための訓練データセットを生成するために使用される形態学的特性と同じであり得る。
図19では、特徴ベクトルfのインスタンスを定義するMタプルが特徴1904として示されている。すなわち、プロセスフロー1700に従って調査され、モデリングされ、分析される第1のカーボンブラック凝集体は、第1の特徴1904、例えば、f=(P
1、P
2、…P
M)の例を有し、プロセスフロー1700に従って調査され、モデリングされ、分析される第2のカーボンブラック凝集体は、f=(P
1、P
2、…P
M)の別の例を有する。上述のように、場合によっては、M=7であり、形態学的特性は、X
extent、Y
extent、Z
extent、Z
rel、凝集体体積、3DVV、及び3DSSAを含むことができる。
【0078】
特定のカーボンブラック凝集体について、分析モジュール270は、特徴1904を判定することができ、判定された特徴1904をカーボンブラック(CB)識別モジュール1910に渡すことができる。場合によっては、特徴1904は、特徴1904を示すデータを送信することによって渡され得る。他の場合には、特徴1904は、参照によって渡され得る。すなわち、分析モジュール270は、メモリ278(
図19)内に特徴1904を保持することができ、次いで、CB識別モジュール1910に、特徴1904がメモリ278(
図19)内に保持されるメモリブロックを指すデータ(datum)又はデータ(data)を送信することができる。CB識別モジュール1910は、次いで、メモリ278内のそのメモリブロックから特徴1904を読み出すか、又は別様で取得することができる。
【0079】
CB識別モジュール1910は、予測モデル1920を特徴1904に適用することができる。予測モジュール1920を適用することに応答して、CB識別モジュール1910は、それぞれのタイプのカーボンブラックに対応する複数の数値重みを生成することができる。かかるそれぞれのタイプ及びその数は、予測モデル1920を訓練するために使用されるタイプのグループ及びその数と同じとすることができる。複数の数値重みに基づいて、CB識別モジュール1910は、特徴1904に関連するカーボンブラック凝集体を、あるタイプのカーボンブラックであると指定することができる。例えば、カーボンブラックの種類は、複数の数値重みのうち最大の重みを有することができる。CB識別モジュール1910は、次いで、ディスプレイデバイス280に、カーボンブラックのタイプを示す通知又は印を提示させることができる。
【0080】
一部の実施形態では、カーボンブラック凝集体を個々に分析するのではなく、
図19のコンピューティングデバイス250は、カーボンブラック凝集体の群を代表する1つ以上のタイプのカーボンブラックを予測するために、カーボンブラック凝集体の群を分析することができる。そのために、特徴1904のそれぞれのセットは、カーボンブラック凝集体の群を形成するカーボンブラック凝集体について判定することができる。セットの各々について、CB識別モジュール1910は、カーボンブラックのタイプのそれぞれの予測を判定することができる。次いで、CB識別モジュール1910は、それぞれの予測を評価することができ、その評価に基づいて、CB識別モジュール1910は、カーボンブラック凝集体の群についてのカーボンブラックの1つ以上の代表的なタイプを判定することができる。CB識別モジュール1910は、1つ以上のそれぞれのタイプをランク付けすることができ、次いで、ディスプレイデバイス280に、1つ以上のそれぞれのタイプのランク付けを示す通知又は印を提示させることができる。
【0081】
本明細書で説明する態様に鑑みて、本開示に従って実装され得る例示的な方法は、例えば、
図20~
図24のフローチャートを参照してよりよく理解され得る。説明を簡単にするために、本明細書で開示される例示的な方法は、一連のブロックとして提示され、説明される(各ブロックは、例えば、方法におけるアクション又は動作を表す)。しかしながら、一部のブロックは、本明細書に図示及び説明されるものと異なる順序で、及び/又は他のブロックと同時に生じ得るため、例示的な方法は、ブロック及び関連付けられた作用又は動作の順序によって限定されない。更に、本開示の1つ以上の態様による例示的な方法を実装するために、全ての図示されたブロック及び関連するアクション(複数可)が必要とされ得るわけではない。例示的な方法(及び本明細書で開示する任意の他の方法)のうちの2つ又はそれ以上は、互いに組み合わせて実装され得る。例示的な方法(及び本明細書に開示される任意の他の方法)は、代替として、状態図などにおいて、一連の相互関係のある状態又はイベントとして表され得ることに留意されたい。
【0082】
図20は、本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体の3D再構成及び分析を提供するための方法2000の例を示している。コンピューティングデバイス又はコンピューティングデバイスのシステムは、例示的な方法2000を全体的又は部分的に実装することができる。そのために、コンピューティングデバイスの各々は、例示的な方法2000及び本明細書で説明される他の方法に含まれるブロックのうちの少なくとも1つを実装することができるコンピューティングリソースを含む。コンピューティングリソースは、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、メモリ、ディスク空間、入力帯域幅、及び/又は出力帯域幅、インターフェース(複数可)(I/Oインターフェース若しくはAPI、又は両方など)、コントローラデバイス(複数可)、電源、前述の組み合わせ、及び/又は同様のリソースを含む。コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイス250を具現化することができ、したがって、取り込みモジュール252、セグメント化モジュール256、再構成モジュール260、分析モジュール270、及び報告モジュール274のうちの少なくとも1つをホストすることができる。したがって、コンピューティングデバイスは、かかるモジュールの1つ以上のインスタンスを実行することによって例示的な方法2000を実装することができる。
【0083】
ブロック2010において、コンピューティングデバイスは、炭素塊のTEM 2D画像に基づいて、カーボンブラック凝集体を識別することができる。そのために、場合によっては、コンピューティングデバイスは、例えば、本明細書で説明するテンプレートマッチングなどのオブジェクト位置特定技術を含む、1つ以上のマシンビジョン技術を適用することができる。
【0084】
ブロック2020において、コンピューティングデバイスは、カーボンブラック凝集体の3D再構成のための球体の数Nsを判定することができる。そのために、本明細書に記載される態様によれば、コンピューティングデバイスは、カーボンブラック凝集体の体積(Vagg)及び粒子体積(Vpart)を判定することができる。次いで、コンピューティングデバイスは、VaggをVpartで除算した商を判定することによって、Nsを判定することができる。すなわち、Ns=Vagg/Vpartである。
【0085】
ブロック2030において、コンピューティングデバイスは、定義された体積内の球体のサイズ及び球体の位置に基づいて、目的関数に関する最適化問題に対する解を判定することによって、カーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルを生成することができる。場合によっては、かかる方式で3D凝集体モデルを生成するために、コンピューティングデバイスは、
図21に示される例示的な方法2100を実装することができる。
【0086】
ブロック2040において、コンピューティングデバイスは、3D凝集体モデルを使用して、カーボンブラック凝集体の1つ以上の形態学的特性のそれぞれの値を判定することができる。1つ以上の形態学的特性は、凝集体不等長メトリック(例えば、Zrel)、凝集体体積、相対3D空隙体積(3DVV)、又は3D比表面積(3DSSA)のうちの少なくとも1つを含む。
【0087】
ブロック2050において、コンピューティングデバイスは、1つ以上の形態学的特性のそれぞれの値を供給することができる。一部の実施形態では、かかる値を供給することは、1つ以上のメモリデバイスに値を保持することと、1つ以上の形態学的特性のうちの特定の形態学的特性の1つ又は複数の値にアクセスするためのAPIを構成することと、を含むことができる。加えて、又は他の実施形態では、かかる値を供給することは、ディスプレイデバイスに、1つ以上の形態学的特性の1つ又は複数の値を示す視覚的要素を提示させることを含むことができる。更に、又は更に他の実施形態では、かかる値を供給することは、1つ以上の形態学的特性の1つ又は複数の値を伝達する電子メッセージ(例えば、電子メール)を送信することを含むことができる。
【0088】
ブロック2060において、コンピューティングデバイスは、3D凝集体モデルが分析に利用可能であるという通知の提示を引き起こすことができる。分析は、ディスプレイデバイス(例えば、ディスプレイデバイス280)に提示されるユーザインターフェースにおける3D凝集体モデルの視覚化を含むことができる。場合によっては、ディスプレイデバイスは、そのユーザインターフェース又は別のユーザインターフェースにおいて通知を提示することができる。
【0089】
図21は、本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルを反復的に生成するための方法2100の例を示している。コンピューティングデバイス又はコンピューティングデバイスのシステムは、例示的な方法2100を全体的又は部分的に実装することができる。例示的な方法2000を実装するコンピューティングデバイスは、例示的な方法2100も実装することができる。したがって、コンピューティングデバイスは、再構成モジュール260を実行することによって例示的な方法2100を実装することができる。
【0090】
ブロック2110において、コンピューティングデバイスは、定義された体積内の定義された数の球体の配置を更新することができる。球体の定義された数は、例示的な方法2000(
図20)のブロック2020で判定されたN
sとすることができる。配置は、定義された体積内の複数の球体の位置の構成及びサイズの構成によって定義される。したがって、配置を更新することは、本明細書で説明する態様に従って、位置の構成を更新することと、サイズの構成を更新することと、を含むことができる。例えば、配置を更新することは、球体のうちの第1の球体の位置を修正することと、球体のうちの第2の球体の第2の位置を維持することと、を含むことができる。加えて、又は場合によっては(現在の反復又は再構成ステップに基づいて)、第1の球体のサイズを修正し、第2の球体の第2のサイズを維持する。一部の実施形態では、かかる配置を更新することは、シミュレートされたアニーリング更新を実施すること、遺伝的アルゴリズム更新を実施すること、又は共役勾配最急降下更新を実施することを含むことができる。
【0091】
ブロック2120において、コンピューティングデバイスは、カーボンブラック凝集体の二値化TEM画像を取得することができる。二値化されたTEM像は、一連のTEM傾斜像のうち、定義された傾斜角で観察されたTEM傾斜像に対応する。観察されたTEM傾斜画像は、連続した傾斜角間隔Δθでの傾斜角範囲[-Θ,Θ]にわたる一連のTEM傾斜画像のうちの1つとすることができる。一例では、Θ=70°及びΔθ=10°であり、定義された傾斜角は、集合{-70°、-60°、-50°、-40°、-30°、-20°、-10°、0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°}に関係する。
【0092】
ブロック2130において、コンピューティングデバイスは、定義された傾斜角に対応する平面上への定義された数の球体の配置の投影を判定することができる。
【0093】
ブロック2140において、コンピューティングデバイスは、二値化TEM画像及び投影に基づいて適合度メトリックを判定することができる。適合度メトリックは、二値化TEM画像と投影との間のピクセルごとの差から生じる不一致ピクセルの数(又は、場合によっては、その数の関数)であり得る。したがって、適合度メトリックを判定することは、不一致ピクセルの数を判定することを含むことができる。
【0094】
ブロック2150において、コンピューティングデバイスは、一連のTEM傾斜画像における処理のために別の観察されたTEM傾斜画像が利用可能であるかどうかを判定することができる。肯定的な判定(「イエス」分岐)は、ブロック2120、ブロック2130、ブロック2140、及びブロック2150の実装の別の反復のために、例示的な方法2100のフローがブロック2120に向けられることをもたらす。ブロック2150における否定的な判定(「ノー」分岐)は、例示的な方法2100のフローがブロック2160に向けられることをもたらし、ここで、コンピューティングデバイスは、一連のTEM傾斜画像にわたる適合度メトリックの平均に基づいて目的関数を更新することができる。
【0095】
ブロック2170において、コンピューティングデバイスは、目的関数の値が満足のいくものであるかどうかを判定することができる。そのために、コンピューティングデバイスは、目的関数の値が収束基準を満たすかどうかを判定することができる。収束基準は、値と目的関数の直前の判定における前の値との間の差の大きさが閾値以下であることを規定することができる。肯定的な判定(「イエス」分岐)は、収束を示し、例示的な方法2100のフローがブロック2190に向けられることをもたらし、ここで、コンピューティングシステムは、現在のモデルをカーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルとして構成することができる。ブロック2170での否定的な判定(「ノー」分岐)は、例示的な方法2100のフローが任意選択的なブロック2180に向けられることをもたらすことができ、ここで、コンピューティングデバイスは、終了基準が満たされるかどうかを任意選択的に判定することができる。本明細書で説明するように、終了基準は、例えば、更新が実施された定義された数N
maxとすることができる。定義された数N
maxは、例えば、体積内の球体の数(N
s(場合によってはNとも表される))の倍数として定義することができ、すなわち、N
max=qN
sであり、ここで、qは自然数(例えば、40、50、又は60)である。したがって、N
maxの更新(又は反復)の後、定義された数の球体の配置に対する変更を終了することができる。
図21には示されていないが、場合によっては、ブロック2170での否定的な判定に応答して、コンピューティングデバイスは、定義された数の球体の更新された配置をリジェクトすることができる(又はリジェクトさせることができる)。任意選択的なブロック2180における否定的な判定(「ノー」分岐)は、定義された数の球体の現在の配置への次の更新及び目的関数の更新された値のその後の判定のために、例示的な方法2100のフローがブロック2110に向けられることをもたらす。定義された数の球体の現在の配置がリジェクトされた(又はリジェクトのために構成された)シナリオでは、次の更新は、現在の配置の代わりに、定義された数の球体の直前の配置に基づき得る。ブロックオプション2180での肯定的な判定(「イエス」分岐)は、例示的な方法2100のフローがブロック2190に向けられることをもたらし、ここで、コンピューティングシステムは、現在のモデルをカーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルとして構成することができる。
【0096】
例示的な方法2100は、再構成ステップにわたって同じ一連の二値化TEM傾斜画像を使用するものとして説明されているが、本開示はその点に限定されない。本明細書に記載されるように、一部の実施形態では、定義された数の再構成ステップが実装された後、一連の二値化TEM傾斜画像を更新して、別の一連の二値化TEM傾斜画像を作成することができる。定義された数の再構成ステップが再び実装されるまで、その他の一連の二値化TEM傾斜画像を使用して、後続の再構成ステップを実装することができる。反復プロセスのその時点で、その他の一連の二値化TEM傾斜画像を更新して、次の一連の二値化TEM傾斜画像を生成することができる。かかる更新のシーケンスは、例示的な方法2100が終了するまで継続することができる。本明細書で説明されるように、例示的な方法2100に関して、再構成ステップは、ブロック2110~ブロック2160の実装形態に対応する。
【0097】
より具体的には、一部の実施形態では、
図21に示されるように、ブロック2180における否定的な判定は、任意選択的に、
図22に示される例示的な方法2200を行うように、例示的な方法2100のフローを指示することができる。換言すれば、それらの実施形態では、次の再構成ステップを実装する前に、例示的な方法2200を実装することができる。例示的な方法2200は、カーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルを生成するための反復プロセス中に、又はその一部として、一連の二値化TEM傾斜画像を更新するための方法の一例である。例示的な方法2100(
図21)を実装するコンピューティングデバイスはまた、例示的な方法2200を実装することができる。
【0098】
ブロック2205において、コンピューティングデバイスは、カーボンブラック凝集体の現在の一連の二値化TEM傾斜画像が更新されるべきかどうかを判定することができる。
図22に示され、本明細書で説明されるように、場合によっては、ブロック2205は、任意選択的なブロック2180(
図21)からの「ノー」分岐に応答して実装され得る。現在の一連の二値化TEM傾斜画像は、カーボンブラック凝集体について観察された一連のTEM傾斜画像に対応する。一部の例では、コンピューティングデバイスは、更新基準が満たされていないと判定することができ、その結果、コンピューティングデバイスは、現在の一連の二値化TEM傾斜画像が更新されるべきではないと判定することができる。かかる否定的な判定(「ノー」分岐)は、次の再構成ステップを実装するために、例示的な方法2200のブロック2110に向けられている例示的な方法2100のフローをもたらす。他の例では、コンピューティングデバイスは、更新基準が満たされていると判定することができ、その結果、コンピューティングデバイスは、現在の一連の二値化TEM傾斜画像が更新されるべきであると判定することができる。ブロック2205におけるかかる肯定的な判定(「イエス」分岐)は、例示的な方法2200のフローがブロック2210に向けられることをもたらし、ここで、コンピューティングデバイスは、定義された傾斜角におけるカーボンブラック凝集体の二値化TEM画像を取得することができる。二値化TEM画像は、現在の一連の二値化TEM傾斜画像の一部であり、したがって、定義された傾斜角に対応する。
【0099】
ブロック2215において、コンピューティングデバイスは、例示的な方法2100に関連して本明細書に記載されるように、カーボンブラック凝集体の現在の3Dモデルを表す球体の配置の投影を判定するか、又は別様に生成することができる。
【0100】
ブロック2220において、コンピューティングデバイスは、二値化TEM画像に変位を適用することができる。そのために、変位は、複数の変位ベクトルのセットに関する変位ベクトルdによって表すことができる。例えば、複数の変位ベクトルのセットの各変位ベクトルは、(2NL+1)×(2NL+1)ピクセルにわたる二次元正方格子内の点とすることができ、ここで、NLは自然数である。かかる変位ベクトルdは、正方格子の幾何学的中心に原点を有するデカルト座標系で定義することができる。したがって、変位ベクトルは、対(nx、ny)として表すことができ、ここで、nx及びnyはそれぞれ、区間[-NL、NL]内の整数である。幾何学的中心は、ピクセルに位置する。したがって、変位を適用することは、変位を表す変位ベクトルによって二値化TEM画像を変位させることを含むことができる。変位を適用することにより、変位された二値化TEM画像が得られる。
【0101】
ブロック2225において、コンピューティングデバイスは、変位された二値化TEM画像及び投影に基づいて適合度メトリックを判定することができる。適合度メトリックは、例示的な方法2100のブロック2140に関連して本明細書で説明したものと同じ適合度メトリックとすることができる。より具体的には、適合度メトリックは、二値化TEM画像と投影との間のピクセルごとの差から生じる不一致ピクセルの数(又は、場合によっては、その数の関数)であり得る。したがって、適合度メトリックを判定することは、不一致ピクセルの数を判定することを含むことができる。図示されていないが、例示的な方法2200の一部として、コンピューティングデバイスは、判定された適合度メトリックを追加するためにデータ構造を更新することができる。
【0102】
ブロック2230において、コンピューティングデバイスは、現在の一連の二値化TEM傾斜画像内の画像に別の変位を適用すべきかどうかを判定することができる。複数の変位ベクトルのセットが完全にトラバースされていない場合、肯定的な判定(「イエス」分岐)を行うことができ、例示的な方法2200のフローはブロック2220に向けることができる。複数の変位ベクトルのセットが完全にトラバースされた他の例では、否定的な判定(「ノー」分岐)が行われ、例示的な方法2200のフローはブロック2235に向けることができ、ここで、コンピューティングデバイスは、満足のいく適合度メトリックに対応する変位された二値化画像を識別するか、又は別様で判定することができる。ブロック2225において判定される各適合度メトリックは、不一致ピクセルの数を示すため、満足のいく適合度メトリックは、最小数の不一致ピクセルを示すことができる。すなわち、識別される変位された二値化画像は、投影に対して最小のピクセル不一致を有することができる。
【0103】
ブロック2240において、コンピューティングデバイスは、ブロック2235において識別された変位された二値化画像を含むように、次の一連の二値化TEM傾斜画像を更新することができる。したがって、次の一連の二値化TEM傾斜画像は、ブロック2215において判定された(又は別様で生成された)投影とのピクセル不一致をそれぞれ最小化する変位された二値化された画像によって形成され得る。
【0104】
ブロック2245において、コンピューティングデバイスは、現在の一連の二値化TEM傾斜画像内の次の二値化TEM画像が、複数の変位ベクトルのセットを受けるかどうかを判定することができる。現在の一連の二値化TEM傾斜画像が完全にトラバースされていない場合、肯定的な判定(「イエス」分岐)を行うことができ、その結果、例示的な方法2200のフローは、ブロック2210に向けることができる。現在の一連の二値化TEM傾斜画像が完全にトラバースされた他の例では、否定的な判定(「ノー」分岐)を行うことができ、その結果、例示的な方法2200のフローはブロック2250に向けられ、ここで、コンピューティングデバイスは、次の一連の二値化TEM傾斜画像を現在の一連の二値化TEM傾斜画像として構成することができる。次いで、例示的な方法2200のフローは、更なる再構成ステップを実装するために、
図21に示す例示的な方法2100のブロック2110に向けることができる。
【0105】
図23は、本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラック凝集体の3D再構成及び分析を提供するための方法2300の例を示している。例示的な方法2300は、カーボンブラック凝集体のカーボンブラックのタイプを識別するために実装することができる。コンピューティングデバイス又はコンピューティングデバイスのシステムは、例示的な方法2300を全体的又は部分的に実装することができる。そのために、コンピューティングデバイスの各々は、例示的な方法2300及び本明細書で説明される他の方法に含まれるブロックのうちの少なくとも1つを実装することができるコンピューティングリソースを含む。コンピューティングリソースは、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、メモリ、ディスク空間、入力帯域幅、及び/又は出力帯域幅、インターフェース(複数可)(I/Oインターフェース若しくはAPI、又は両方など)、コントローラデバイス(複数可)、電源、前述の組み合わせ、及び/又は同様のリソースを含む。コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイス250(
図19)を具現化することができ、したがって、取り込みモジュール252、セグメント化モジュール256、再構成モジュール260、分析モジュール270、CB識別モジュール1910、及び報告モジュール274のうちの少なくとも1つをホストすることができる。したがって、コンピューティングデバイスは、かかるモジュールの1つ以上のインスタンスを実行することによって例示的な方法2300を実装することができる。
【0106】
例示的な方法2300は、
図20に示され、上記で説明された例示的な方法2000に関連して説明されたブロック2010、ブロック2020、及びブロック2030を含む。例示的な方法2300を実装するコンピューティングデバイスは、上記で説明したように、ブロック2010、ブロック2020、及びブロック2030の各々を実装することができる。ブロック2010、ブロック2020、及びブロック2030の実装の結果として、カーボンブラック凝集体の3D凝集体モデルが生成される。ブロック2310において、コンピューティングデバイスは、3D凝集体モデルを使用して、カーボンブラック凝集体の複数の形態学的特性のそれぞれの値を判定することができる。上述したように、複数の形態学的特性は、凝集体不等長メトリック(例えば、Z
rel)、凝集体体積、相対3D空隙体積(3DVV)、又は3D比表面積(3DSSA)を含むことができる。かかる値を判定することの一部として、又はそれに加えて、コンピューティングデバイスは、値が判定された複数の形態学的成分の数に等しい数Mの成分を有する特徴ベクトルを生成することができる。
【0107】
ブロック2320において、コンピューティングデバイスは、それぞれの値を予測モデル(例えば、予測モデル1920(
図19))に供給することができる。そのために、コンピューティングデバイスの構成要素(例えば、分析モジュール270(
図19))は、予測モデル1920を有する別の構成要素(例えば、CB識別モジュール1910)に特徴ベクトルを渡すことができる。
【0108】
ブロック2330において、コンピューティングデバイスは、それぞれの値を含む特徴ベクトルに予測モデルを適用することによって、カーボンブラック凝集体のカーボンブラックのタイプを判定することができる。場合によっては、予測モデルを適用することは、手順への引数として特徴ベクトルを有する予測に対応する定義された手順を適用することを含むことができる。
【0109】
ブロック2340において、コンピューティングデバイスは、カーボンブラックのタイプの通知を提示させることができる。通知は、コンピューティングデバイスに機能的に結合又は統合されたディスプレイデバイス(例えば、ディスプレイデバイス280(
図19))に提示され得る。
【0110】
図23には示されていないが、一部の実施形態では、カーボンブラック凝集体を個々に分析するのではなく、例示的な方法2300は、カーボンブラック凝集体の群について実装することができる。そのために、ブロック2010~2030、ブロック2310~2330を、カーボンブラック凝集体の群中の各カーボンブラック凝集体について実装することができる。次いで、コンピューティングデバイスは、カーボンブラック凝集体の群中のそれぞれのカーボンブラック凝集体についての種々の予測を評価することができ、評価に基づいて、コンピューティングデバイスは、カーボンブラック凝集体の群についてのカーボンブラックの1つ以上の代表的なタイプを判定することができる。場合によっては、コンピューティングデバイスは、1つ以上のそれぞれのタイプをランク付けすることができ、次いで、1つ以上のそれぞれのタイプのランク付けを示す通知又は印を提示させることができる。通知及び/又は印は、ディスプレイデバイスに提示することができる。
【0111】
図24は、本開示の1つ以上の実施形態による、予測モデルを生成するための訓練方法2400の一例を示している。例示的な訓練方法2400は、教師あり学習方法の一例であり、訓練方法のこの例の変形形態が以下で説明されるが、他の訓練方法を同様に実装して、教師なし及び/又は半教師あり機械学習(予測)モデルを訓練することができる。訓練モジュール1810をホストするコンピューティングデバイスは、訓練モジュール1810を介して例示的な訓練方法2400を実装することができる。かかるコンピューティングデバイスは、例示的な方法2000及び本明細書で説明される他の方法に含まれるブロックのうちの少なくとも1つを実装し得るコンピューティングリソースを含むことができる。コンピューティングリソースは、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、メモリ、ディスク空間、入力帯域幅、及び/又は出力帯域幅、インターフェース(複数可)(I/Oインターフェース若しくはAPI、又は両方など)、コントローラデバイス(複数可)、電源、前述の組み合わせ、及び/又は同様のリソースを含む。場合によっては、かかるコンピューティングデバイスは、本明細書で説明されるコンピューティングデバイス250であり得る。
【0112】
ブロック2410において、例示的な訓練方法2400は、カーボンブラック凝集体の形態学的特性を判定する情報を判定することができる。かかる情報は、1つ以上のデータセットを含み得る。各データセットは、ラベル付けされたベースラインデータを含み得る。
【0113】
例示的な訓練方法2400は、ブロック2420において、訓練データセット及び試験データセットを生成することができる。訓練データセット及び試験データセットは、それぞれがカーボンブラック凝集体の複数の形態学的特性のそれぞれの値を含む、ラベル付けされた特徴ベクトルを構成することによって生成することができる。場合によっては、本明細書で説明されるように、M個の形態学的特性が特徴ベクトルを定義することができる。M個の形態学的特性のそれぞれの値は、特徴ベクトルのインスタンスを具体化するMタプルを定義する。訓練データセット及び試験データセットは、特徴ベクトルとしてフォーマットされたデータを訓練データセット又は試験データセットのいずれかにランダムに割り当てることによって生成され得る。一部の例では、訓練サンプル又は試験サンプルとしてのデータの割り当ては、完全にランダムではない場合がある。一部の例では、カーボンブラック凝集体の形態学的特性に関連するデータから抽出された特定の特徴についてのラベル付けされたベースラインデータのみを使用して、訓練データセット及び試験データセットを生成することができる。一部の例では、カーボンブラック凝集体の形態学的特性に関連するデータから抽出されたラベル付けされたベースラインデータの大部分を使用して、訓練データセットを生成することができる。例えば、ラベル付けされたベースラインデータの75%が訓練データセットを形成することができ、そのラベル付けされたデータの25%が試験データセットを形成することができる。任意の方法又は技術が、訓練及び試験データセットを作成するために使用され得る。
【0114】
例示的な訓練方法2400は、ブロック2430において、例えば、カーボンブラック凝集体を特定のタイプのカーボンブラックに関するものとして指定するために分類器によって使用することができる1つ以上の特徴を判定(例えば、抽出、選択など)することができる。例示的な訓練方法2400は、訓練データセットから訓練ベースライン特徴のセットを判定することができる。
【0115】
例示的な訓練方法2400は、ブロック2440において、1つ以上の特徴を使用して1つ以上の機械学習モデルを訓練することができる。一部の例では、機械学習モデルは、教師あり学習を使用して訓練され得る。別の実施形態では、教師なし学習及び半教師ありを含む他の機械学習技術が採用され得る。ブロック2440において訓練された機械学習モデルは、訓練データセットにおいて利用可能な異なる基準及び/又はデータに基づいて選択され得る。例えば、機械学習分類器は、異なる程度のバイアスに悩まされ得る。したがって、2つ以上の機械学習モデルを、ブロック2440において訓練し、2450において最適化し、改善し、相互検証することができる。
【0116】
例示的な訓練方法2400は、2460において、予測エンジン(例えば、機械学習分類器、予測モデルなど)を構築するために1つ以上の機械学習モデルを選択することができる。予測エンジンは、試験データセットを使用して評価することができる。予測エンジンは、ブロック2470において、試験データセットを分析し、分類値及び/又は予測値を生成することができる。分類及び/又は予測値は、かかる値が所望の精度レベルを達成したかどうかを判定するために、ブロック2480において評価され得る。予測エンジンの性能は、予測エンジンによって示される複数のデータ点の一部の真陽性、偽陽性、真陰性、及び/又は偽陰性分類に基づいて、一部の方法で評価することができる。例えば、予測エンジンの偽陽性は、予測エンジンが空中病原体への曝露及び/又は曝露のリスクなどを誤って判定した回数を指すことができる。逆に、予測エンジンの偽陰性は、実際には、判定された空気中の病原菌などへの曝露及び/又は曝露のリスクが実際の曝露及び/又は曝露のリスクと一致する場合に、機械学習モデルが空気中の病原菌などへの曝露及び/又は曝露のリスクを不正確に判定した回数を指すことができる。真陰性及び真陽性は、予測エンジンが空中病原体への曝露及び/又は曝露のリスクなどを正しく判定した回数を指すことができる。これらの測定に関連するのは、再現率及び精度の概念である。概して、再現率は、真陽性と偽陰性の和に対する真陽性の比を指し、予測エンジンの感度を定量化する。同様に、精度は、真陽性と偽陽性の和に対する真陽性の比を指す。
【0117】
かかる所望の精度レベルに達すると(「イエス」分岐)、訓練段階は終了し、2490において予測エンジンを出力することができる。所望の精度レベルに達していない場合(「ノー」分岐)、例示的な訓練方法2400のその後の反復は、例えば、カーボンブラック凝集体の形態学的特性に関するデータのより大きな集合を考慮するなどの変形を伴って、ブロック2410から開始して実施することができる。
【0118】
本明細書に記載される態様によるカーボンブラックの3D分析は、
図25に示され、以下に記載されるコンピューティングシステム2500上で実装することができる。本明細書で開示されるコンピュータ実装方法、デバイス、及びシステムは、1つ以上のコンピューティングデバイスを利用して、1つ以上の場所で1つ以上の機能を実施することができる。
図25は、開示された方法を実施し、及び/又は開示されたシステムを実装するための例示的なコンピューティングシステム2500を描示するブロック図である。コンピューティングシステム2500は、動作環境の一例にすぎず、動作環境アーキテクチャの使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することも意図していない。また、動作環境は、例示的な動作環境に示された構成要素のいずれか1つ又は組み合わせに関連する依存性又は要件を有するものと解釈されるべきではない。
図25に示されるコンピューティング環境2500は、例示的な動作環境200(
図2)を具体化することができ、又は構成することができる。コンピューティングシステム2500は、カーボンブラック凝集体のTEMベースの3D再構成及び分析に関連して本明細書に記載される種々の機能を実装することができる。例えば、コンピューティングシステム2500を形成するコンピューティングデバイスのうちの1つ以上は、取り込みモジュール252、セグメント化モジュール256、再構成モジュール260、分析モジュール270、及び報告モジュール274を含むことができる。加えて、又は一部の実施形態では、本明細書に説明されるように、コンピューティングシステム2500を形成する1つ以上のコンピューティングデバイスはまた任意選択的に、CB識別モジュール1910を含むことができる。更に、又は他の実施形態では、コンピューティングシステム2500を形成する1つ以上のコンピューティングデバイスはまた、訓練モジュール1810を任意選択的に含む。
【0119】
本開示によるコンピュータ実装方法、デバイス、及びシステムは、多数の他の汎用又は専用コンピューティングシステム環境又は構成で動作可能であり得る。システム及び方法とともに使用するのに適し得る周知のコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の例は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ラップトップデバイス、及びマルチプロセッサシステムを含むが、これらに限定されない。追加の例は、セットトップボックス、プログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などを含む。
【0120】
開示されるコンピュータ実装方法、デバイス、及びシステムの処理は、ソフトウェア構成要素によって行われ得る。開示されるシステム、デバイス、及びコンピュータ実装方法は、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で説明することができる。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データ型を実装するコンピュータコード、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含む。開示された方法はまた、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実施されるグリッドベース及び分散コンピューティング環境において実施され得る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリストレージデバイスを含むローカルとリモートの両方のコンピュータ記憶媒体に位置し得る。
【0121】
更に、本明細書で開示されるシステム、デバイス、及びコンピュータ実装方法は、コンピューティングデバイス2501の形態の汎用コンピューティングデバイスを介して実装され得る。コンピューティングデバイス2501の構成要素は、1つ以上のプロセッサ2503と、メインメモリ2512と、1つ以上のプロセッサ2503を含む種々のシステム構成要素をメインメモリ2512に結合するシステムバス2513と、を備え得る。システムは、並列コンピューティングを利用し得る。コンピューティングデバイス2501は、本明細書に記載のコンピューティングデバイス250を具現化することができる。
【0122】
システムバス2513は、メモリバス若しくはメモリコントローラ、周辺バス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、又は種々のバスアーキテクチャのいずれかを使用するローカルバスを含む、複数の可能なタイプのバス構造のうちの1つ以上を表す。システムバス2513、及び本明細書で指定される全てのバスは、有線又は無線ネットワーク接続を介して実装することもでき、1つ以上のプロセッサ2503、大容量ストレージデバイス2504、オペレーティングシステム2505、ソフトウェア2506、データ2507、ネットワークアダプタ2508、システムメモリ2512、入出力インターフェース2510、ディスプレイアダプタ2509、ディスプレイデバイス2511、及びヒューマンマシンインターフェース2502を含むサブシステムの各々は、この形態のバスを介して接続された、物理的に離れた場所にある1つ以上のリモートコンピューティングデバイス2514a、b、c内に含めることができ、実際には完全な分散システムを実装する。
【0123】
コンピューティングデバイス2501は、通常、種々のコンピュータ可読媒体を備える。例示的な可読媒体は、コンピューティングデバイス2501によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができ、例えば、揮発性媒体と不揮発性媒体の両方、リムーバブル媒体と非リムーバブルメディア媒体の両方を含む。メインメモリ2512は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、及び/又は読み出し専用メモリ(ROM)などの非揮発性メモリの形態のコンピュータ可読媒体を含む。メインメモリ2512は、通常、データ2507などのデータ、並びに/又は、1つ以上のプロセッサ2503によって直ちにアクセス可能であり、かつ/若しくは現在操作されているオペレーティングシステム2505及びソフトウェア2506などのプログラムモジュールを含む。例えば、ソフトウェア2506は、取り込みモジュール252、セグメント化モジュール256、再構成モジュール260、分析モジュール270、及び報告モジュール274を含み得る。加えて、又は他の実施形態では、ソフトウェア2506は、CB識別モジュール1910若しくは訓練モジュール1810、又は両方を含むことができる。オペレーティングシステム2505は、例えば、Windowsオペレーティングシステム、Unix、又はLinuxのうちの1つで具現化され得る。
【0124】
別の態様では、コンピューティングデバイス2501は、他の取外し可能/取外し不能、揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体を備えることもできる。例えば、
図25は、コンピューティングデバイス2501のためのコンピュータコード、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、及び他のデータの不揮発性記憶を提供し得る大容量ストレージデバイス2504を示している。例えば、大容量ストレージデバイス2504は、ハードディスク、リムーバブルディスク、リムーバブル光学ディスク、磁気カセット又は他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリカード、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光学ストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)などであり得るが、これらに限定されない。
【0125】
例として、オペレーティングシステム2505及びソフトウェア2506を含む、任意の数のプログラムモジュールが、大容量ストレージデバイス2504上に記憶され得る。オペレーティングシステム2505及びソフトウェア2506の各々(又はそれらの何らかの組み合わせ)は、プログラミング及びソフトウェア2506の要素を含み得る。データ2507はまた、大容量ストレージデバイス2504に記憶され得る。データ2507は、当技術分野で知られている1つ以上のデータベースのいずれかに記憶され得る。かかるデータベースの例は、DB2(登録商標)、Microsoft(登録商標)Access、Microsoft(登録商標)SQL Server、Oracle(登録商標)、mySQL、PostgreSQL、SQLiteなどを含む。データベースは、複数のシステムにわたって集中化又は分散され得る。
【0126】
別の態様では、ユーザは、入力デバイス(図示せず)を介してコンピューティングデバイス2501にコマンド及び情報を入力することができる。かかる入力デバイスの例は、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、「マウス」)、マイクロフォン、ジョイスティック、スキャナ、グローブなどの触覚入力デバイス、及び他の身体カバーなどを含むが、それらに限定されない。これら及び他の入力デバイスは、システムバス2513に結合されたヒューマンマシンインターフェース2502を介して1つ以上のプロセッサ2503に接続され得るが、パラレルポート、ゲームポート、IEEE 1394ポート(Firewireポートとしても知られる)、シリアルポート、又はユニバーサルシリアルバス(USB)などの他のインターフェース及びバス構造によって接続され得る。
【0127】
更に別の態様では、ディスプレイデバイス2511はまた、ディスプレイアダプタ2509などのインターフェースを介してシステムバス2513に接続され得る。コンピューティングデバイス2501は、2つ以上のディスプレイアダプタ2509を有し得、コンピューティングデバイス2501は、2つ以上のディスプレイデバイス2511を有し得ることが企図される。例えば、ディスプレイデバイス2511は、モニタ、LCD(液晶ディスプレイ)、プロジェクタであり得る。ディスプレイデバイス2511に加えて、他の出力周辺デバイスは、入出力インターフェース2510を介してコンピューティングデバイス2501に接続され得るスピーカ(図示せず)及びプリンタ(図示せず)などの構成要素を備え得る。方法の任意の動作及び/又は結果は、任意の形態で出力デバイスに出力され得る。かかる出力は、限定はしないが、テキスト、グラフィカル、アニメーション、オーディオ、触覚などを含む、任意の形態の視覚的表現であり得る。ディスプレイデバイス2511及びコンピューティングデバイス2501は、1つのデバイス又は別個のデバイスの一部であり得る。
【0128】
コンピューティングデバイス2501は、1つ以上のリモートコンピューティングデバイス2514a、b、cへの論理接続を使用して、ネットワーク化された環境で動作し得る。例えば、リモートコンピューティングデバイスは、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、スマートフォン、サーバデバイス、ルータデバイス、ネットワークコンピュータ、ピアデバイス又は他の共通ネットワークノードなどであり得る。コンピューティングデバイス2501とリモートコンピューティングデバイス2514a、b、cとの間の論理接続は、LAN及び/又は一般的なWANなどのネットワーク2515を介して行われ得る。かかるネットワーク接続は、ネットワークアダプタ2508を介し得る。ネットワークアダプタ2508は、有線環境と無線環境の両方で実装され得る。ネットワーク2515は、例えば、ネットワーク240(複数可)(
図2)を具現化し得るか、又は構成することができる。
【0129】
例示のために、オペレーティングシステム2505などのアプリケーションプログラム及び他の実行可能プログラム構成要素は、本明細書では別個のブロックとして示されているが、かかるプログラム及び構成要素は、種々の時点でコンピューティングデバイス2501の異なる記憶構成要素に存在し、コンピュータの1つ以上のプロセッサ2503によって実行されることが認識される。ソフトウェア2506の実装形態は、何らかの形態のコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、又はそれにわたって送信され得る。開示された方法のいずれも、コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータ可読命令によって実施することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体は、「コンピュータ記憶媒体」及び「通信媒体」を含み得る。「コンピュータ記憶媒体」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術で実装された、揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブルメディアを含む。例示的なコンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気ストレージデバイス、又は所望の情報を記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。
【0130】
図26は、本開示の1つ以上の実施形態による、カーボンブラックの3D分析を実装することができるコンピューティングシステム2600の一例の概略ブロック図である。コンピューティングシステム2600は、動作環境200(
図2)又は動作環境1900(
図19)に含まれるモデリングシステム245を具現化することができるか、又は含むことができる。したがって、例示的なコンピューティングシステム2600は、動作環境200において実装され、本明細書で説明されるカーボンブラック凝集体のTEMベースの3D再構成及び分析に関連して本明細書で説明される機能を提供することができる。
【0131】
例示的なコンピューティングシステム2600は、2つのタイプのサーバデバイス、すなわち計算サーバデバイス2610及びストレージサーバデバイス2620を含む。計算サーバデバイス2610のサブセットは、個々に又は集合的に、本明細書に記載される態様によるカーボンブラック凝集体のTEMベースの3D再構成及び分析を実装することを可能にする種々のモジュールをホストすることができる。したがって、計算サーバデバイス2610のかかるサブセットは、カーボンブラック凝集体のTEMベースの3D再構成及び分析に関連して本明細書に記載される機能に従って動作することができる。例示のために、かかるサブセット内の計算サーバデバイス2612は、それらのモジュール、例えば、取り込みモジュール252、セグメント化モジュール256、再構成モジュール260、分析モジュール270、及び報告モジュール274をホストするものとして概略的に描示されている。計算サーバデバイス2612はまた、CB識別モジュール1910(
図19)若しくは訓練モジュール1810(
図18)、又は両方を任意選択的に含むことができる。コンピューティングデバイス2401(
図24)と同様に、計算サーバデバイス2612のアーキテクチャは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のメモリデバイスと、プロセッサ(複数可)及びメモリデバイス(複数可)を機能的に結合するバスアーキテクチャと、を備える。場合によっては、計算サーバデバイス2612によってホストされるモジュールは、かかるメモリデバイス(複数可)のうちの少なくとも1つに記憶され得る。計算サーバデバイス2610の少なくともサブセットは、ストレージサーバデバイス2620のうちの1つ又は複数に機能的に結合することができる。その結合は、直接的であり得るか、又はゲートウェイデバイス2630のうちの少なくとも1つによって媒介され得る。ストレージサーバデバイス2620は、カーボンブラック凝集体のTEMベースの3D再構成及び分析に関連して本明細書に記載される機能を実装するために使用することができるデータ及び/又はメタデータを含む。ストレージサーバデバイス2620の一部又は全部は、メモリ278を具現化することができ、又は構成することができる。加えて、又は一部の実施形態では、ストレージサーバデバイスのうちの一部又は全ては、ラベル付きデータリポジトリ1804及びモデルリポジトリ1830を具現化することができるか、又は構成することができる。
【0132】
ゲートウェイデバイス2630の各々は、計算サーバデバイス2610及びストレージサーバデバイス2620へのアクセスのためのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)及び/又は他のタイプのプログラムコードを保持することができる1つ又は複数のメモリデバイスに機能的に結合された1つ又は複数のプロセッサを含むことができる。かかるアクセスは、例えば、適切な関数呼び出しを介して、プログラム的であり得る。取り込みモジュール252、セグメント化モジュール256、再構成モジュール260、分析モジュール270、及び報告モジュール274のうちの1つ又は組み合わせをホストする計算サーバデバイス2610のサブセットはまた、本明細書に記載される態様によるカーボンブラック凝集体のTEMベースの3D再構成及び分析に関連して本明細書に記載される機能を実施した結果を提供するために、ゲートウェイデバイス2630によって供給されるAPI(複数可)を使用することができる。
【0133】
本明細書で説明される方法及びシステムは、説明される特定の動作、プロセス、構成要素、若しくは構造、又は説明されるようなかかる動作若しくは構成要素の順序若しくは特定の組み合わせに限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、例示的な実施形態を説明するためのものにすぎず、制限的又は限定的であることを意図するものではないことを理解されたい。
【0134】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形は、文脈が別途明確に指示しない限り、単数及び複数の指示対象の両方を含む。「約(about)」又は「およそ(approximately)」などの先行詞を使用することによって近似値として表される値は、参照値からの妥当な変動を含むものとする。かかる近似値が範囲とともに含まれる場合、端点が近似値と考えられるだけでなく、範囲の大きさも近似値と考えられるものとする。リストは、例示的であると考えられるべきであり、文脈上他に明確に指示されない限り、リストを構成する要素又は要素が列挙されている順序に制限又は限定されない。
【0135】
本開示の明細書及び特許請求の範囲全体を通して、以下の用語は、記載される意味を有する。「含む(comprise)」並びに「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」などのその語の変形は、限定はしないが、含むことを意味し、例えば、他の付加物、構成要素、整数、又は動作を除外するものではない。「含む(include)」及び「含んでいる(including)」などの語の変形は、含まれていると示されているものに制限又は限定される何かを意味すること、又は示されていないものを除外することを意図するものではない。「~し得る(may)」は、許容的であるが、制限的又は限定的ではないものを意味する。「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、結果又は記載されているものを変更することなく含まれる場合、又は含まれない場合がある何かを意味する。「好む(prefer)」及び「好ましい(preferred)」又は「好ましくは(preferably)」などの語の変形は、例示的であり、より理想的であるが、必須ではないものを意味する。「など(such as)」は、単に例として役立つものを意味する。
【0136】
開示される方法を実施し、開示されるシステムを構築するために使用されるものとして本明細書で説明される動作及び構成要素は、文脈が別途明確に指示しない限り、例示的である。これらの動作及び構成要素の組み合わせ、サブセット、対話、グループなどが開示されるとき、これらの各々の種々の個々の及び集合的な組み合わせ及び置換の具体的な言及は明示的に開示されないことがあるが、各々は、全ての方法及びシステムについて、本明細書で具体的に企図され、説明されることを理解されたい。これは、限定はしないが、開示される方法における動作及び/又はシステムにおいて開示される構成要素を含む、本出願の全ての態様に適用される。したがって、実施され得る種々の追加の動作又は追加され得る構成要素がある場合、これらの追加の動作の各々が実施され得、開示されるシステム及び方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせとともに構成要素が追加され得ることを理解されたい。
【0137】
本開示の実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた一実施形態の形態を採り得る。更に、方法及びシステムは、記憶媒体内に具現化されたコンピュータ可読プログラム命令(例えば、コンピュータソフトウェア)を有するコンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態を採り得る。ハードディスク、CD-ROM、光学ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、メムレジスタ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、又はそれらの組み合わせを含む、任意の好適なコンピュータ可読記憶媒体が、内部、ネットワーク化、又はクラウドベースにかかわらず、利用され得る。
【0138】
本開示の実施形態は、コンピュータ実装方法、システム、装置、及びコンピュータプログラム製品の図、フローチャート、及び他の例証を参照して説明されている。ブロック図及びフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及びフローチャート図のブロックの組み合わせは、それぞれ、プロセッサアクセス可能命令によって実装され得る。かかる命令は、例えば、コンピュータプログラム命令(例えば、プロセッサ可読命令及び/又はプロセッサ実行可能命令)を含み得る。プロセッサアクセス可能命令は、1つ又は複数のメモリデバイス又は1つ若しくは多くの他のプロセッサアクセス可能非一時的記憶媒体内に、プロセッサ実行可能形式で構築(例えば、リンク及びコンパイル)及び保持され得る。これらのコンピュータプログラム命令(構築されたもの、又はそうでないもの)は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードされて、マシンを生成することができる。ロードされたコンピュータプログラム命令は、1つ又は複数のプロセッサ又は他のタイプの処理回路によってアクセスされ、実行され得る。実行に応答して、ロードされたコンピュータプログラム命令は、フローチャートブロック(個々に又は特定の組み合わせで)又はブロック図内のブロック(個々に又は特定の組み合わせで)に関連して説明した機能を提供する。したがって、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置上で実行されるかかる命令は、フローチャートブロック(個々に又は特定の組み合わせで)又はブロック図中のブロック(個々に又は特定の組み合わせで)において指定された機能を実装するための手段を作成する。
【0139】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶され得、その結果、コンピュータ可読メモリに記憶された命令は、フローチャートのブロック(個々に又は特定の組み合わせで)又はブロック図のブロック(個々に又は特定の組み合わせで)で指定された機能を実装するためのプロセッサアクセス可能命令(例えば、プロセッサ可読命令及び/又はプロセッサ実行可能命令)を含む製造品を生成する。コンピュータプログラム命令(構築された、又は別様の)はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置上にロードされ、一連の動作をコンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実施させ、コンピュータ実装プロセスを生成し得る。一連の動作は、1つ以上のプロセッサ又は他のタイプの処理回路による実施に応答して実施され得る。したがって、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行するかかる命令は、フローチャートのブロック(個々に又は特定の組み合わせで)又はブロック図のブロック(個々に又は特定の組み合わせで)で指定された機能を実装するための動作を提供する。
【0140】
したがって、ブロック図及びフローチャート図のブロックは、かかる図及び/又はフローチャート図に関連して指定された機能を実施するための手段の組み合わせ、指定された機能を実施するための動作の組み合わせ、並びに指定された機能を実施するためのプログラム命令手段をサポートする。ブロック図及びフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及びフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは動作を実施する専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装され得る。
【0141】
本明細書及び添付の図面で使用される場合、「モジュール」、「構成要素」、「システム」、「プラットフォーム」などの用語は、コンピュータ関連のエンティティ、若しくは1つ以上の特定の機能を有する動作可能な機械に関連するエンティティを指すことができ、かつ/又は含むことができる。かかるエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア(例えば、プログラムコード又は実行可能プログラムコード)、又は実行中のソフトウェアのいずれかとすることができる。一例では、構成要素は、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル(例えば、二値ソフトウェア)、実行スレッド、コンピュータプログラム、及び/又はコンピューティングデバイスであり得る。単なる例示として、サーバデバイス上で実行されるソフトウェアアプリケーションは構成要素であってよく、サーバデバイスも構成要素であってよい。1つ以上のモジュールは、プロセス及び/又は実行スレッド内に存在することができる。1つ以上の構成要素は、プロセス及び/又は実行スレッド内に常駐することもできる。モジュール及び構成要素の各々は、1つのコンピューティングデバイス上に局所化され、及び/又は2つ以上のコンピューティングデバイス間に分散され得る。別の例では、それぞれの構成要素(又はモジュール)は、種々のデータ構造を記憶した種々のコンピュータ可読記憶媒体から実行することができる。構成要素(又はモジュール)は、1つ以上のデータパケット(例えば、信号を介して、ローカルシステム、分散システム内の別の構成要素と、及び/又はインターネットなどのネットワークを介して他のシステムと対話する1つの構成要素からのデータ)を有する信号に従うなど、ローカルプロセス及び/又はリモートプロセスを介して通信することができる。別の例示として、場合によっては、構成要素は、例えばクラウドコンピューティングシステム内で、仮想マシン接続を介して電子構成要素をエミュレートすることができる。「モジュール」及び「構成要素」という用語(及びそれらの複数形)は、場合によっては、文脈から明らかである場合、互換的に使用され得る。
【0142】
本明細書及び添付の図面で使用されるように、「プロセッサ」という用語は、シングルコアプロセッサ、ソフトウェアマルチスレッド実行能力を有するシングルプロセッサ、マルチコアプロセッサ、ソフトウェアマルチスレッド実行能力を有するマルチコアプロセッサ、ハードウェアマルチスレッド技術を有するマルチコアプロセッサ、並列プラットフォーム、及び分散共有メモリを有する並列プラットフォームを含む、実質的に任意のコンピューティング処理ユニット又はコンピューティングデバイスを指すことができる。更に、プロセッサは、コード命令を実行し、及び/又はデータ及びシグナリングに対して動作するように組み立てられて設計された電子回路を指すことができる。かかる電子回路は、例えば、チップセットに組み込むことができる。したがって、場合によっては、プロセッサは、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、ディスクリートゲート若しくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア構成要素、又は本明細書で説明される機能を実施するように設計され組み立てられたそれらの任意の組み合わせで具現化されることができるか、又はそれらを含むことができる。更に、場合によっては、プロセッサは、空間使用を最適化するか、又はコンピューティングデバイスの性能を高めるために、分子及び量子ドットベースのトランジスタ、スイッチ、及びゲートなどのナノスケールアーキテクチャを利用することができる。プロセッサは、コンピューティング処理ユニットの組み合わせとして実装することもできる。
【0143】
更に、本明細書及び添付の図面では、「ストレージ」、「データストレージ」、「リポジトリ」、並びにシステム、サブシステム、モジュール、及び構成要素の動作及び機能に関連する実質的に任意の他の情報ストレージ構成要素などの用語は、「メモリ構成要素」、「メモリ」に組み込まれたエンティティ、又はメモリを含む構成要素を指すために利用される。本明細書で説明するように、本開示のメモリ及び/又はメモリ構成要素は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリのいずれかであり得るか、又は揮発性メモリと不揮発性メモリとの両方を含むことができる。単なる例示として、不揮発性メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリは、例えば、外部キャッシュメモリとして機能することができるRAMを含むことができる。限定ではなく例示として、RAMは、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambus RAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)、及びRambusダイナミックRAM(RDRAM)などの多くの形態で利用可能である。本開示の実施形態は、これらのタイプのメモリに限定されず、他のタイプのメモリデバイスが企図され得る。
【0144】
本方法及びシステムは、機械学習及び反復学習などの人工知能技術を採用し得る。かかる技術の例は、エキスパートシステム、事例ベース推論、ベイジアンネットワーク、挙動ベースAI、ニューラルネットワーク、ファジーシステム、進化的計算(例えば、遺伝的アルゴリズム)、群知能(例えば、antアルゴリズム)、及びハイブリッド知的システム(例えば、ニューラルネットワークを通して生成されるエキスパート推論規則又は統計的学習からの生成規則)を含むが、それらに限定されない。
【0145】
コンピュータ実装方法、装置、デバイス、及びシステムが、好ましい実施形態及び具体的例と関連して説明されたが、本明細書の実施形態は、あらゆる点において、限定的ではなく、例証的であることが意図されるため、範囲が、記載される特定の実施形態に限定されることは意図されない。
【0146】
他に明示的に述べられない限り、本明細書に記載される任意の方法が、その動作が特定の順序で行われることを必要とすると解釈されることは決して意図されない。したがって、方法の請求項が、その動作が従うべき順序を実際に列挙していない場合、又は動作が特定の順序に限定されるべきであることが請求項又は説明において別段具体的に述べられていない場合、いかなる点においても、順序が推測されることは決して意図されていない。これは、動作又は動作フローの配置に関する論理の問題、文法構成又は句読点から導出される平易な意味、本明細書に記載される実施形態の数又はタイプを含む、解釈のための任意の可能な非明示的根拠に当てはまる。
【0147】
当業者には、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、種々の修正及び変形を行うことができることが明らかであろう。他の実施形態は、本明細書に開示される明細書及び慣行の考慮から、当業者には明らかであろう。明細書及び例は、例示のみと考えられ、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【国際調査報告】