(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】二次電池、二次電池を製造するための方法、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20241025BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241025BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241025BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20241025BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20241025BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20241025BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20241025BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/505
H01M10/0567
H01M4/131
H01M10/058
H01M10/0568
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519096
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2022101117
(87)【国際公開番号】W WO2023245619
(87)【国際公開日】2023-12-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲則▼利
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼昌隆
(72)【発明者】
【氏名】郭▲潔▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼慧玲
(72)【発明者】
【氏名】黄磊
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ08
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050HA02
5H050HA08
(57)【要約】
本出願は、二次電池、二次電池を製造するための方法、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を提供する。前記二次電池は、電解液と正極板とを含み、ここで、前記正極板は、分子式がLi
aNi
bCo
cM1
dM2
eO
fA
gである層状材料を含み、0.8≦a≦1.2、0<b<0.98、0≦c<0.1、0<d<0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦2、0≦g≦2、b+c+d+e=1、f+g=2であり、前記電解液は、テトラフルオロホウ酸リチウムを含み、前記電解液の総質量に基づき、前記電解液における前記テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率は、x%であり、且つ前記二次電池は、x>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たす。本出願は、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させ、その内部のリチウムイオンの拡散速度を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液と正極板とを含む二次電池であって、
前記正極板は、正極集電体と前記正極集電体の表面に位置する正極膜層とを含み、前記正極膜層は、分子式がLi
aNi
bCo
cM1
dM2
eO
fA
gである層状材料を含み、M1は、Mn、Al又はその組み合わせから選択され、M2は、Si、Ti、Mo、V、Ge、Se、Zr、Nb、Ru、Pd、Sb、Ce、Te及びWのうちの一つ又は複数から選択され、Aは、F、N、P及びSのうちの一つ又は複数から選択され、0.8≦a≦1.2、0<b<0.98、0≦c<0.1、0<d<0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦2、0≦g≦2、b+c+d+e=1、f+g=2であり、
前記電解液は、テトラフルオロホウ酸リチウムを含み、前記電解液の総質量に基づき、前記電解液における前記テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率は、x%であり、且つ前記二次電池は、x>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たす、二次電池。
【請求項2】
0.05≦c+x/10≦0.12、及び/又は、
0<x≦1.0である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記正極板の圧密密度は、P g/cm
3であり、且つ前記二次電池は、25≦P/(c+x/10)≦65、任意選択的に30≦P/(c+x/10)≦50を満たし、
任意選択的にPが3.3~3.6である、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電解液は、フルオロエチレンカーボネート、フルオロスルホニルイミドリチウム塩、フルオロスルホン酸リチウム塩のうちの一つ又は複数をさらに含み、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率は、y1%であり、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率は、y2%であり、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率は、y3%であり、いずれも前記電解液の総質量に基づいて計算されたものであり、且つ前記電解液は、y1≧0、y2≧0、y3≧0、且つ0<y1+y2+y3≦15を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の分子式は、LiN(SO
2R
1)(SO
2R
2)であり、R
1、R
2は、それぞれ独立してF又はC
nF
2n+1を表し、nは、1~10の整数であり、任意選択的に、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド又はその組み合わせを含み、及び/又は、
前記フルオロスルホン酸リチウム塩の分子式は、LiSO
3R
3であり、R
3は、F、部分的にフッ素化され又は完全にフッ素化されたC1-C10のアルキル基を表し、任意選択的に、前記フルオロスルホン酸リチウム塩は、フルオロスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はその組み合わせを含む、請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、
0<y1≦2.5、任意選択的に0<y1≦2.0、及び/又は、
0.5≦y1/x≦4.0、任意選択的に0.5≦y1/x≦2.0を満たす、請求項4又は5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、
0<y2≦14、及び/又は、
1≦y2/x≦28を満たす、請求項4~6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
0<b≦0.7のとき、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦5及び/又は1≦y2/x≦10、任意選択的に0<y2≦2.5、任意選択的に1≦y2/x≦5を満たし、
0.7≦b<0.98のとき、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、5≦y2≦14及び/又は10≦y2/x≦28、任意選択的に8≦y2≦14、任意選択的に16≦y2/x≦28を満たす、請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、
0<y3≦1.0、任意選択的に0<y3≦0.5、及び/又は、
0.001≦y3/x≦2.0、任意選択的に0.001≦y3/x≦1.0を満たす、請求項4~8のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記電解液は、フルオロエチレンカーボネート、フルオロスルホニルイミドリチウム塩とフルオロスルホン酸リチウム塩をさらに含み、且つ前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48を満たし、
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10を満たし、
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48を満たす、請求項4又は5に記載の二次電池。
【請求項11】
前記電解液は、フルオロエチレンカーボネート、フルオロスルホニルイミドリチウム塩とフルオロスルホン酸リチウム塩をさらに含み、且つ前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を満たし、
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10、0.1≦x/(y2+y3)≦1.0を満たし、
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦0.1を満たす、請求項4又は5に記載の二次電池。
【請求項12】
0<c<0.1である、請求項1~11のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項13】
c=0である、請求項1~11のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項14】
前記正極膜層の総質量に基づき、前記分子式がLi
aNi
bCo
cM1
dM2
eO
fA
gである層状材料の質量百分率は、80%~99%であり、任意選択的に85%~99%である、請求項1~13のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項15】
前記二次電池は、さらに、前記電解液の質量が前記二次電池の総質量の10%~20%であることを満たす、請求項1~14のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項16】
二次電池を製造するための方法であって、少なくとも、
正極板と、セパレータと、負極板と、電解液とを二次電池に組み立てるステップ1であって、
前記正極板が正極集電体と前記正極集電体の表面に位置する正極膜層とを含み、前記正極膜層が、分子式がLi
aNi
bCo
cM1
dM2
eO
fA
gである層状材料を含み、M1がMn、Al又はその組み合わせから選択され、M2がSi、Ti、Mo、V、Ge、Se、Zr、Nb、Ru、Pd、Sb、Ce、Te及びWのうちの一つ又は複数から選択され、AがF、N、P及びSのうちの一つ又は複数から選択され、0.8≦a≦1.2、0<b<0.98、0≦c<0.1、0<d<0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦2、0≦g≦2、b+c+d+e=1、f+g=2であり、
前記電解液がテトラフルオロホウ酸リチウム、任意選択的なフルオロエチレンカーボネート、任意選択的なフルオロスルホニルイミドリチウム塩と任意選択的なフルオロスルホン酸リチウム塩を含み、前記電解液における前記テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率がx%であり、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率がy1%であり、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率がy2%であり、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率がy3%であり、いずれも前記電解液の総質量に基づいて計算されたものであり、x>0、y1≧0、y2≧0、y3≧0であるステップ1と、
ステップ1で得られた二次電池から0.05≦c+x/10≦0.15を満たす二次電池を選別するステップ2とを含む、方法。
【請求項17】
ステップ2で得られた二次電池から0<x≦1.0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ2で得られた二次電池から25≦P/(c+x/10)≦65を満たす二次電池を選別するステップをさらに含み、P g/cm
3は、前記正極板の圧密密度を表す、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48を満たす二次電池を選別するステップをさらに含み、
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10を満たす二次電池を選別するステップをさらに含み、
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす二次電池を選別するステップをさらに含み、
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10、0.1≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす二次電池を選別するステップをさらに含み、
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦0.1を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか一項に記載の二次電池、又は請求項16~20のいずれか一項に記載の方法で得られた二次電池を含む、電池モジュール。
【請求項22】
請求項1~15のいずれか一項に記載の二次電池、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法で得られた二次電池、請求項21に記載の電池モジュールのうちの一つを含む、電池パック。
【請求項23】
請求項1~15のいずれか一項に記載の二次電池、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法で得られた二次電池、請求項21に記載の電池モジュール、請求項22に記載の電池パックのうちの少なくとも一つを含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に属し、具体的には二次電池、二次電池を製造するための方法、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、リチウムイオンが正極と負極との間で吸蔵と脱離を繰り返すことによって充放電し、それは、エネルギー密度が高く、サイクル寿命が長く、汚染がなく、記憶効果がないなどの優れた特徴を有する。そのため、二次電池は、クリーンエネルギーとして、電子製品から水力、火力、風力と太陽光発電所などのエネルギー貯蔵電源システム、及び電動工具、電動自転車、電動バイク、電気自動車、軍事装備、航空宇宙などの多くの分野に普及が進んでいる。コバルトは、二次電池の正極活物質の重要な構成元素であるが、地殻におけるコバルトの含有量が少なく、採掘が困難で、価格が高いため、低コバルト又はコバルト無しが正極活物質の必然的な発展傾向となる。しかしながら、コバルトが正極活物質のリチウムイオンの拡散速度に大きく貢献し、低コバルト又はコバルト無しは、正極活物質のリチウムイオンの拡散速度を低減させ、二次電池のサイクル寿命に影響を与えるおそれがある。
【発明の概要】
【0003】
本出願の目的は、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させ、その内部のリチウムイオンの拡散速度を向上させるための二次電池、二次電池を製造するための方法、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を提供することである。
【0004】
本出願の第1の態様によれば、電解液と正極板とを含む二次電池を提供し、前記正極板は、正極集電体と前記正極集電体の表面に位置する正極膜層とを含み、前記正極膜層は、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料を含み、M1は、Mn、Al又はその組み合わせから選択され、M2は、Si、Ti、Mo、V、Ge、Se、Zr、Nb、Ru、Pd、Sb、Ce、Te及びWのうちの一つ又は複数から選択され、Aは、F、N、P及びSのうちの一つ又は複数から選択され、0.8≦a≦1.2、0<b<0.98、0≦c<0.1、0<d<0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦2、0≦g≦2、b+c+d+e=1、f+g=2であり、前記電解液は、テトラフルオロホウ酸リチウムを含み、前記電解液の総質量に基づき、前記電解液における前記テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率は、x%であり、且つ前記二次電池は、x>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たす。
【0005】
本出願の発明者は、鋭意研究の結果、電解液がテトラフルオロホウ酸リチウムを含有し、且つテトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%と低コバルト又はコバルト無しの正極活物質におけるコバルト元素の含有量cとがx>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たすようにすることによって、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させ、その内部のリチウムイオンの拡散速度を向上させることができ、さらに二次電池に著しく改善されたサイクル性能を備えさせることができることを意外に見出した。なお、本出願の二次電池は、良好な保存性能と動力学的性能をさらに備えることができる。
【0006】
本出願の任意の実施形態では、0.05≦c+x/10≦0.12である。
【0007】
本出願の任意の実施形態では、0<x≦1.0である。
【0008】
本出願の任意の実施形態では、前記正極板の圧密密度は、P g/cm3であり、且つ前記二次電池は、25≦P/(c+x/10)≦65、任意選択的に30≦P/(c+x/10)≦50を満たす。これにより、二次電池は、改善されたサイクル性能と高エネルギー密度を備える前提で、改善されたパワー性能を備えることができる。
【0009】
本出願の任意の実施形態では、前記正極板の圧密密度P g/cm3は、Pが3.3~3.6であることを満たす。これにより、二次電池が高エネルギー密度を備えることに寄与する。
【0010】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネート、フルオロスルホニルイミドリチウム塩、フルオロスルホン酸リチウム塩のうちの一つ又は複数をさらに含み、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率は、y1%であり、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率は、y2%であり、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率は、y3%であり、いずれも前記電解液の総質量に基づいて計算されたものであり、且つ前記電解液は、y1≧0、y2≧0、y3≧0、且つ0<y1+y2+y3≦15を満たす。これにより、正極及び/又は負極においてより安定した界面膜を形成することに寄与し、それによって二次電池の電気化学的性能をさらに改善する。
【0011】
本出願の任意の実施形態では、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の分子式は、LiN(SO2R1)(SO2R2)であり、R1、R2は、それぞれ独立してF又はCnF2n+1を表し、nは、1~10の整数であり、任意選択的に、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド又はその組み合わせを含む。
【0012】
本出願の任意の実施形態では、前記フルオロスルホン酸リチウム塩の分子式は、LiSO3R3であり、R3は、F、部分的にフッ素化され又は完全にフッ素化されたC1-C10のアルキル基を表し、任意選択的に、前記フルオロスルホン酸リチウム塩は、フルオロスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はその組み合わせを含む。
【0013】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、0<y1≦2.5、任意選択的に0<y1≦2.0を満たす。これにより、負極の界面膜を安定化させ、二次電池のサイクル性能を効果的に向上させることができる。
【0014】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、0.5≦y1/x≦4.0、任意選択的に0.5≦y1/x≦2.0を満たす。これにより、テトラフルオロホウ酸リチウムとフルオロエチレンカーボネートとの相乗効果を十分に発揮することができる。
【0015】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、0<y1≦2.5と0.5≦y1/x≦4.0を満たす。
【0016】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦14を満たす。これにより、二次電池のレート性能と低温性能を著しく改善することができる。
【0017】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、1≦y2/x≦28を満たす。これにより、テトラフルオロホウ酸リチウムとフルオロスルホニルイミドリチウム塩との相乗効果を十分に発揮することができる。
【0018】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦14と1≦y2/x≦28を満たす。
【0019】
本出願の任意の実施形態では、0<b≦0.7のとき、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦5及び/又は1≦y2/x≦10を満たす。任意選択的に、0<y2≦2.5であり、任意選択的に、1≦y2/x≦5である。
【0020】
本出願の任意の実施形態では、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、5≦y2≦14及び/又は10≦y2/x≦28を満たす。任意選択的に、8≦y2≦14であり、任意選択的に、16≦y2/x≦28である。
【0021】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、0<y3≦1.0、任意選択的に0<y3≦0.5を満たす。これにより、二次電池の高温性能を大いに改善することができる。
【0022】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、0.001≦y3/x≦2.0、任意選択的に0.001≦y3/x≦1.0を満たす。これにより、テトラフルオロホウ酸リチウムとフルオロスルホン酸リチウム塩との相乗効果を十分に発揮することができる。
【0023】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、0<y3≦1.0と0.001≦y3/x≦2.0を満たす。
【0024】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネート、フルオロスルホニルイミドリチウム塩とフルオロスルホン酸リチウム塩をさらに含み、且つ前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48を満たす。このとき、二次電池の総合的性能は、さらに改善される。
【0025】
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10を満たす。
【0026】
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48を満たす。
【0027】
本出願の任意の実施形態では、前記電解液は、以下のことを満たし、即ち、前記電解液がフルオロエチレンカーボネート、フルオロスルホニルイミドリチウム塩とフルオロスルホン酸リチウム塩をさらに含み、且つ前記電解液が、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす。これにより、正極と負極において性能が優れた無機/有機複合界面膜を形成することに寄与し、それによって二次電池の総合的性能をさらに改善することができる。
【0028】
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10、0.1≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす。
【0029】
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦0.1を満たす。
【0030】
本出願の任意の実施形態では、0<c<0.1である。
【0031】
本出願の任意の実施形態では、c=0である。
【0032】
本出願の任意の実施形態では、前記正極膜層の総質量に基づき、前記分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料の質量百分率は、80%~99%であり、任意選択的に85%~99%である。
【0033】
本出願の任意の実施形態では、前記二次電池は、さらに、前記電解液の質量が前記二次電池の総質量の10%~20%であることを満たす。これにより、正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成することに有利である。
【0034】
本出願の第2の態様によれば、二次電池を製造するための方法を提供し、この方法は、少なくとも、正極板と、セパレータと、負極板と、電解液とを二次電池に組み立てるステップ1であって、前記正極板が正極集電体と前記正極集電体の表面に位置する正極膜層とを含み、前記正極膜層が、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料を含み、M1がMn、Al又はその組み合わせから選択され、M2がSi、Ti、Mo、V、Ge、Se、Zr、Nb、Ru、Pd、Sb、Ce、Te及びWのうちの一つ又は複数から選択され、AがF、N、P及びSのうちの一つ又は複数から選択され、0.8≦a≦1.2、0<b<0.98、0≦c<0.1、0<d<0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦2、0≦g≦2、b+c+d+e=1、f+g=2であり、前記電解液がテトラフルオロホウ酸リチウム、任意選択的なフルオロエチレンカーボネート、任意選択的なフルオロスルホニルイミドリチウム塩と任意選択的なフルオロスルホン酸リチウム塩を含み、前記電解液における前記テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率がx%であり、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率がy1%であり、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率がy2%であり、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率がy3%であり、いずれも前記電解液の総質量に基づいて計算されたものであり、x>0、y1≧0、y2≧0、y3≧0であるステップ1と、ステップ1で得られた二次電池から0.05≦c+x/10≦0.15を満たす二次電池を選別するステップ2とを含む。
【0035】
本出願の製造方法で得られた二次電池は、いずれも著しく改善されたサイクル性能及び良好な保存性能と動力学的性能を備えることができる。
【0036】
本出願の任意の実施形態では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<x≦1.0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。このとき、製造された二次電池は、さらに改善されたサイクル性能を備える。
【0037】
本出願の任意の実施形態では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から25≦P/(c+x/10)≦65を満たす二次電池を選別するステップをさらに含み、P g/cm3は、前記正極板の圧密密度を表す。このとき、製造された二次電池は、著しく改善されたサイクル性能と高エネルギー密度を備える前提で、改善されたパワー性能を備えることができる。
【0038】
本出願の任意の実施形態では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。このとき、製造された二次電池の総合的性能は、さらに改善される。
【0039】
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0040】
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0041】
本出願の任意の実施形態では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。このとき、製造された二次電池の総合的性能は、さらに改善される。
【0042】
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10、0.1≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0043】
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦0.1を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0044】
本出願の第3の態様によれば、本出願の第1の態様の二次電池又は本出願の第2の態様の方法で製造された二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【0045】
本出願の第4の態様によれば、本出願の第1の態様の二次電池、本出願の第2の態様の方法で製造された二次電池、本出願の第3の態様の電池モジュールのうちの一つを含む電池パックを提供する。
【0046】
本出願の第5の態様によれば、本出願の第1の態様の二次電池、本出願の第2の態様の方法で製造された二次電池、本出願の第3の態様の電池モジュール、本出願の第4の態様の電池パックのうちの少なくとも一つを含む電力消費装置を提供する。
【0047】
本出願の二次電池は、著しく改善されたサイクル性能及び良好な保存性能と動力学的性能を備える。本出願の電池モジュール、電池パックと電力消費装置は、本出願による二次電池を含むため、少なくとも前記二次電池と同じ優位性を備える。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介する。自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0049】
【
図1】本出願の二次電池の一実施形態の概略図である。
【
図2】
図1の二次電池の実施形態の分解概略図である。
【
図3】本出願の電池モジュールの一実施形態の概略図である。
【
図4】本出願の電池パックの一実施形態の概略図である。
【
図5】
図4に示す電池パックの実施形態の分解概略図である。
【
図6】本出願の二次電池が電源として用いられる電力消費装置の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を適当に参照しながら、本出願の二次電池、二次電池を製造するための方法、電池モジュール、電池パック及び電力消費装置を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。しかしながら、必要のない詳細な説明を省略する場合がある。例えば、周知の事項に対する詳細な説明、実際に同じである構造に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に長くなることを回避し、当業者に容易に理解させるためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者に本出願を十分に理解させるために提供するものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するものではない。
【0051】
本出願に開示された「範囲」は、下限と上限の形式で限定され、与えられた範囲は、一つの下限と一つの上限を選定することで限定されるものであり、選定された下限と上限は、特定の範囲の境界を限定した。このように限定される範囲は、端値を含むか又は含まないものであってもよく、且つ任意の組み合わせが可能であり、即ち任意の下限は、任意の上限と組み合わせて、一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対して60~120と80~110の範囲がリストアップされている場合、60~110と80~120の範囲も想定できると理解される。なお、最小範囲値として1と2がリストアップされており、最大範囲値として3、4及び5がリストアップされている場合、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4と2~5という範囲がすべて想定できる。本出願では、特に断りのない限り、「a~b」という数値範囲は、a~bの任意の実数の組み合わせの短縮表現を表し、ここで、aとbはいずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は、本明細書で「0~5」の間のすべての実数がリストアップされていることを意味し、「0~5」は、これらの数値の組み合わせの短縮表現だけである。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現すると、このパラメータが例えば、整数2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などであることを開示していることに相当する。
【0052】
特に説明しない場合、本出願のすべての実施形態及び任意選択的な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができるとともに、このような技術案は、本出願の開示内容に含まれるとみなされるべきである。
【0053】
特に説明しない場合、本出願のすべての技術的特徴及び任意選択的な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成することができるとともに、このような技術案は、本出願の開示内容に含まれるとみなされるべきである。
【0054】
特に説明しない場合、本出願のすべてのステップは、順番に行われてもよく、ランダムに行われてもよく、好ましくは、順番に行われる。例えば、前記方法がステップ(a)と(b)とを含むことは、前記方法が、順番に行われるステップ(a)と(b)とを含んでもよく、順番に行われるステップ(b)と(a)とを含んでもよいことを表す。例えば、以上で言及した前記方法がステップ(c)をさらに含んでもよいことは、ステップ(c)が任意の順序で前記方法に追加されてもよいことを表し、例えば前記方法は、ステップ(a)、(b)及び(c)を含んでもよく、ステップ(a)、(c)及び(b)を含んでもよく、ステップ(c)、(a)及び(b)などを含んでもよい。
【0055】
特に説明しない場合、本出願で言及した「含む」と「包含」は、開放型を表し、閉鎖型であってもよい。例えば、前記「含む」と「包含」は、リストアップされていない他の成分をさらに含み又は包含してもよく、リストアップされている成分のみを含み又は包含してもよいことを表してもよい。
【0056】
特に説明しない場合、本出願では、用語である「又は」は、包括的である。例を挙げると、「A又はB」というフレーズは、「A、B、又はAとBとの両方」を表す。より具体的には、Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)条件と、Aが偽である(又は存在しない)が、Bが真である(又は存在する)条件と、AとBがいずれも真である(又は存在する)条件とのいずれも「A又はB」という条件を満たしている。
【0057】
本出願では、用語である「複数」、「複数種」は、二つ又は二種以上を意味する。
【0058】
二次電池は、充電電池又は蓄電池とも呼ばれ、電池が放電した後に充電の方式によって活物質を活性化して使用し続けることが可能な電池を指す。二次電池は、一般的には、正極板と、負極板と、セパレータと、電解液とを含む。二次電池の充放電中において、リチウムイオンは、正極板と負極板との間で往復して吸蔵し脱離する。セパレータは、正極板と負極板との間に設置され、主に正負極の短絡を防止する役割を果たすとともに、リチウムイオンを通過させることができる。電解液は、正極板と負極板との間でリチウムイオンを伝導する役割を果たす。
【0059】
二次電池の充電時に、リチウムイオンが優先的に正極活物質の表面から脱離し、その後、正極活物質バルク相内のリチウムイオンがタイムリーに表面へ補充される。正極活物質におけるコバルト元素は、以下のように正極活物質のイオン伝導特性に影響を与える。(1)正極活物質におけるコバルト元素の含有量が高いとき、バルク相内のリチウムイオンは、タイムリーに正極活物質の表面に補充することができ、(2)正極活物質におけるコバルト元素の含有量が低いとき、バルク相内のリチウムイオンは、タイムリーに正極活物質の表面に補充することができないが、表面のリチウムイオンは、すでに脱離してしまい、これにより、正極活物質表面の過剰なリチウム脱離を引き起こし、それによって正極活物質の結晶構造に影響を与え(例えば、正極活物質の不可逆的な歪みと格子欠陥数の増加)、二次電池のサイクル性能を低下させる。
【0060】
なお、コバルト元素は、さらに、正極活物質の結晶構造を安定化させることができる。正極活物質におけるコバルト元素の含有量が低減し、又はコバルト元素を含まないとき、正極活物質における金属イオン、特にマンガンイオンの溶出速度は、速くなる。溶出したマンガンイオンは、負極に移動した後に、金属マンガンに還元される。形成されたこれらの金属マンガンは、「触媒」に相当し、負極表面のSEI膜(solid electrolyte interphase、固体電解質界面膜)の分解を触媒することができ、生成した副生成物の一部は、気体であり、電池の膨張を引き起こしやすく、二次電池の安全性に影響を与え、もう一部は、負極の表面に堆積し、リチウムイオンが負極に出入する通路を阻害し、二次電池のインピーダンス増加をもたらし、二次電池の動力学的性能に影響を与える。なお、SEI膜の損失を補うために、電解液と電池内部の活性リチウムイオンが絶えず消耗され、これにより、二次電池の容量維持率に不可逆的な影響を及ぼす。
【0061】
そのため、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させ、その内部のリチウムイオンの拡散速度を向上させることは、重要で現実的な意味を持つ。研究者らは、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質のリチウムイオンの拡散速度を向上させることに努力を続けてきたが、現時点でまだ望ましい解決案はない。
【0062】
本出願の発明者は、鋭意研究の結果、電解液が適量のテトラフルオロホウ酸リチウムを含有するとともにテトラフルオロホウ酸リチウムの含有量と正極活物質におけるコバルト元素の含有量とが特定の関係式を満たすようにすることによって、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させ、その内部のリチウムイオンの拡散速度を向上させることができることを意外に見出した。
【0063】
二次電池
具体的に、本出願の実施形態は、二次電池を提供し、それは、電解液と正極板とを含む。前記正極板は、正極集電体と前記正極集電体の表面に位置する正極膜層とを含み、前記正極膜層は、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料を含み、M1は、Mn、Al又はその組み合わせから選択され、M2は、Si、Ti、Mo、V、Ge、Se、Zr、Nb、Ru、Pd、Sb、Ce、Te及びWのうちの一つ又は複数から選択され、Aは、F、N、P及びSのうちの一つ又は複数から選択され、0.8≦a≦1.2、0<b<0.98、0≦c<0.1、0<d<0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦2、0≦g≦2、b+c+d+e=1、f+g=2であり、前記電解液は、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)を含み、前記電解液の総質量に基づき、前記電解液における前記テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率は、x%であり、且つ前記二次電池は、x>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たす。
【0064】
電解液は、二次電池の性能に影響する重要な要素の一つであり、現在、商業的に最も広く応用されている電解液体系は、ヘキサフルオロリン酸リチウムの混合カーボネート溶液である。しかし、ヘキサフルオロリン酸リチウムは、高温環境での熱安定性が低く、高温で分解してPF5を生成する。PF5は、高いルイス酸性を有し、有機溶媒分子における酸素原子上の孤立電子対と作用して有機溶媒を分解し、なお、PF5は、電解液における微量の水分に対しても高い感受性を有し、水と接するとHFを生成し、それによって電解液の酸度を増加させ、さらに正極活物質と正極集電体を腐食させ、正極活物質における遷移金属イオンの溶出を引き起こしやすくなる。これにより、ヘキサフルオロリン酸リチウムは、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質のリチウムイオンの拡散速度を向上できないだけでなく、正極活物質を腐食させ、その結晶構造を破壊しやすい。そのため、電解液を改良する必要がある。
【0065】
本出願の発明者は、鋭意研究の結果、電解液がテトラフルオロホウ酸リチウムを含有し、且つテトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%と低コバルト又はコバルト無しの正極活物質におけるコバルト元素の含有量cとがx>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たすようにすることによって、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させ、その内部のリチウムイオンの拡散速度を向上させることができ、さらに二次電池に著しく改善されたサイクル性能を備えさせることができることを意外に見出した。なお、本出願の二次電池は、良好な保存性能と動力学的性能をさらに備えることができる。
【0066】
メカニズムがまだよく分からないが、発明者の推測では、その可能性のある原因として、以下の点が考えられる。
【0067】
第1に、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%と低コバルト又はコバルト無しの正極活物質におけるコバルト元素の含有量cとがx>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たすとき、テトラフルオロホウ酸リチウムは、正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成することができ、そしてテトラフルオロホウ酸リチウムにおけるB原子は、正極活物質におけるO原子と十分に結合することができ、これにより、正極活物質の電荷移動インピーダンスを低減させ、リチウムイオンの正極活物質バルク相内での拡散抵抗力を低減させ、正極活物質表面における過剰なリチウム脱離を回避し、正極活物質の結晶構造を安定化させることができる。本出願の正極活物質の結晶構造がより安定し、それによって、表面における過剰なリチウム脱離のために正極活物質の構造的性質、化学的性質又は電気化学的性質が不安定になるなどの問題が発生する確率は、さらに低くなる。そのため、本出願の二次電池は、改善された電気化学的性能を備えることができ、特に、著しく改善されたサイクル性能を備えることができる。
【0068】
第2に、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%と低コバルト又はコバルト無しの正極活物質におけるコバルト元素の含有量cとがx>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たすとき、テトラフルオロホウ酸リチウムは、正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成することができ、正極活物質と電解液との直接接触を効果的に減少できる一方、正極活物質の表面酸素活性を低減させることができる。これにより、電解液の正極での酸化分解を低減させ、遷移金属イオンの溶出量を減少することができ、さらに二次電池の電気化学的性能を改善することができ、例えば活性リチウムイオンの不可逆的な消耗を減らし、電池の体積膨張率を低減させ、正極界面インピーダンスを低減させるなどである。そのため、本出願の二次電池は、良好な保存性能と動力学的性能をさらに備えることができる。
【0069】
第3に、テトラフルオロホウ酸リチウムは、高い熱安定性を有し、且つ水分に対する感受性が低く、これにより、二次電池の高温安定性を向上させることができる。
【0070】
c+x/10<0.05のとき、電解液におけるテトラフルオロホウ酸リチウムの含有量は、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成するには不十分であり、且つテトラフルオロホウ酸リチウムは、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の電荷移動インピーダンスを効果的に低減させることができず、リチウムイオンの低コバルト又はコバルト無しの正極活物質バルク相内での拡散抵抗力を効果的に低減させて低コバルト又はコバルト無しの正極活物質表面の過剰なリチウム脱離を抑制することができない。そのため、二次電池は、著しく改善されたサイクル性能を備えにくい。c+x/10>0.15のとき、電解液におけるテトラフルオロホウ酸リチウムの含有量が高過ぎになり、その電解液における溶解度が低いため、電解液には完全に解離していない分子状態のテトラフルオロホウ酸リチウムが存在するようになり、それは、電解液において析出しやすく、特に低温環境下での析出度合いが激しく、さらにセパレータ突き抜けなどの安全上のリスクを増加させるため、二次電池の安全性能とサイクル性能がいずれも悪く、なお、析出したテトラフルオロホウ酸リチウムは、さらに電極の界面を破壊し、これにより二次電池の自己放電の増加を引き起こす。いくつかの実施例では、任意選択的に、0.05≦c+x/10≦0.14、0.05≦c+x/10≦0.13、0.05≦c+x/10≦0.12、0.05≦c+x/10≦0.11、又は0.05≦c+x/10≦0.10である。
【0071】
本出願では、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%は、x>0を満たす。テトラフルオロホウ酸リチウムの含有量が高いとき、その電解液における溶解度が低いため、電解液には完全に解離していない分子状態のテトラフルオロホウ酸リチウムが存在するようになり、それは、電解液において析出しやすく、特に低温環境下での析出度合いが激しく、さらにセパレータ突き抜けなどの安全上のリスクを増加させる。そのため、テトラフルオロホウ酸リチウムの含有量が高いとき、二次電池の安全性能とサイクル性能は、悪くなる可能性がある。なお、析出したテトラフルオロホウ酸リチウムは、さらに電極の界面を破壊し、これにより二次電池の自己放電の増加を引き起こす。いくつかの実施例では、任意選択的に、0<x≦1.0である。
【0072】
本出願の発明者のさらなる研究によると、正極活物質におけるコバルト元素の含有量は、さらに以下のように正極活物質の電子伝導特性に影響を与える。(1)正極活物質におけるコバルト元素の含有量が高いとき、正極活物質は、良好な電子伝導特性を有し、(2)正極活物質におけるコバルト元素の含有量が低いとき、正極活物質の電子伝導特性が悪くなり、さらに二次電池のパワー性能が悪くなる。また、正極板の圧密密度が大きいほど、二次電池のパワー性能が悪くなり、これにより、二次電池の良好なパワー性能を確保するために、従来技術において一般的に採用する対策は、正極板の圧密密度を下げることであるが、これにより二次電池のエネルギー密度の損失をもたらす。
【0073】
本出願の発明者の意外な発見によると、正極板の圧密密度P g/cm3、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%と低コバルト又はコバルト無しの正極活物質におけるコバルト元素の含有量cが、さらに25≦P/(c+x/10)≦65を満たすとき、二次電池は、改善されたサイクル性能と高エネルギー密度を備える前提で、改善されたパワー性能を備えることができ、例えば二次電池の初期パワー及びサイクル中のパワー増加は、いずれも顕著に改善される。メカニズムがまだよく分からないが、発明者の推測では、以下の可能性のある原因が考えられる。第1に、テトラフルオロホウ酸リチウムの含有量が適切な範囲内にあるとき、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させることができ、これにより良好な電子伝導特性を備えさせ、第2に、適切な圧密密度は、正極板において良好な電子導電ネットワークを形成することに寄与する。
【0074】
そのため、25≦P/(c+x/10)≦65のとき、二次電池は、改善されたサイクル性能と高エネルギー密度を備える前提で、改善されたパワー性能を備えることができる。そして以下の状況を効果的に回避することができる。P/(c+x/10)<25のとき、正極板の圧密密度が低い可能性があり、これにより正極板における電子導電ネットワークが悪くなり、二次電池のパワー性能を効果的に改善することができず、それとともに二次電池のエネルギー密度を犠牲し、又はテトラフルオロホウ酸リチウムの含有量が高い可能性があり、これにより負極界面膜の安定性の低下を引き起こす可能性があり、さらに電池内部抵抗の上昇、パワー性能の劣化を引き起こすが、P/(c+x/10)>65のとき、テトラフルオロホウ酸リチウムの含有量は、正極板の圧密密度の増加による二次電池パワー性能の劣化を補うには不十分である可能性があり、これにより二次電池のパワー性能も悪くなる。任意選択的に、25≦P/(c+x/10)≦60、25≦P/(c+x/10)≦55、25≦P/(c+x/10)≦50、25≦P/(c+x/10)≦45、25≦P/(c+x/10)≦40、30≦P/(c+x/10)≦65、30≦P/(c+x/10)≦60、30≦P/(c+x/10)≦55、30≦P/(c+x/10)≦50、又は30≦P/(c+x/10)≦45である。
【0075】
いくつかの実施例では、任意選択的に、前記正極板の圧密密度P g/cm3は、Pが3.3~3.6であり、さらに任意選択的に3.4~3.5であることを満たす。これにより、二次電池が高エネルギー密度を備えることに寄与する。
【0076】
[電解液]
いくつかの実施例では、前記電解液は、テトラフルオロホウ酸リチウム以外に、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、フルオロスルホニルイミドリチウム塩、フルオロスルホン酸リチウム塩のうちの一つ又は複数をさらに含んでもよく、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率は、y1%であり、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率は、y2%であり、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率は、y3%であり、いずれも前記電解液の総質量に基づいて計算されたものであり、且つ前記電解液は、y1≧0、y2≧0、y3≧0、且つ0<y1+y2+y3≦15を満たす。テトラフルオロホウ酸リチウムは、正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成することができるが、テトラフルオロホウ酸リチウムにより負極で形成される界面膜の長期安定性が低い。そのため、電解液がさらに上記化合物を含有するとき、正極及び/又は負極においてより安定した界面膜を形成することに寄与し、それによって二次電池の電気化学的性能をさらに改善する。
【0077】
いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネートをさらに含んでもよい。任意選択的に、前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、0<y1≦2.5を満たす。例えば、y1は、0.10、0.20、0.50、0.75、1.0、1.25、1.50、1.75、2.0、2.5、又は以上の任意の数値で構成された範囲であってもよい。さらに任意選択的に、0<y1≦2.0、0<y1≦1.75、0<y1≦1.5、0<y1≦1.25、0<y1≦1.0、0<y1≦0.75、又は0<y1≦0.5である。
【0078】
二次電池にとって、フルオロエチレンカーボネートは、高い電位で還元分解反応が起こり、負極活物質の表面において一定の延性を有するSEI膜を形成できると同時に、低い電位の有機溶媒の還元分解を抑制し、有機溶媒の負極活物質への吸蔵を抑制することができる。そのため、電解液にフルオロエチレンカーボネートがさらに含まれるとき、負極の界面膜を安定化させることができ、それによって二次電池のサイクル性能を効果的に向上させる。なお、フルオロエチレンカーボネートは、高圧酸化に耐性があり、高電圧の正極活物質との整合に有利であり、それによって二次電池のエネルギー密度を向上させることに有利である。しかし、フルオロエチレンカーボネートが高温下で分解する時にHFを形成し、HFは、電解液の酸度を増加させ、正極活物質の構造安定性を破壊し、二次電池のガス発生量を増加させ、これにより二次電池の高温保存性能を劣化させる。そのため、フルオロエチレンカーボネートの含有量は、高過ぎになってはならない。
【0079】
いくつかの実施例では、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%とフルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、さらに0.5≦y1/x≦4.0を満たしてもよい。本出願の発明者の意外な発見によると、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%とフルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%との間の関係を合理的に制御して、0.5≦y1/x≦4.0を満たすようにするとき、テトラフルオロホウ酸リチウムとフルオロエチレンカーボネートとの相乗効果を十分に発揮することができ、これにより、二次電池のガス発生量を顕著に増加させないだけでなく、二次電池のサイクル性能をさらに改善する。可能性のある原因として以下のことが考えられ、即ち、テトラフルオロホウ酸リチウムが正極活物質の安定剤として、その構造におけるB原子が正極活物質表面のO原子と相互作用する機能を有し、これにより、HFによる正極活物質の構造への破壊を抑制することができる。任意選択的に、0.5≦y1/x≦3.5、0.5≦y1/x≦3.0、0.5≦y1/x≦2.5、0.5≦y1/x≦2.0、0.5≦y1/x≦1.5、0.5≦y1/x≦1.0である。
【0080】
いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロスルホニルイミドリチウム塩をさらに含んでもよい。前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の分子式は、LiN(SO2R1)(SO2R2)であってもよく、R1、R2は、それぞれ独立してF又はCnF2n+1を表し、nは、1~10の整数である。任意選択的に、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)又はその組み合わせを含む。
【0081】
任意選択的に、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦14を満たす。例えば、y2は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は以上の任意の数値で構成された範囲であってもよい。
【0082】
フルオロスルホニルイミドアニオンは、Nを中心とする弱配位性アニオンであり、共役基と高い電子吸引性の-F又は-CnF2n+1を含有し、アニオン電荷が高度に非局在化し、アニオンとリチウムイオンとの間の作用力が弱い。そのため、フルオロスルホニルイミドリチウム塩は、低い格子エネルギーを有し、解離しやすく、それによって電解液のイオン電気伝導率を高め、電解液の粘度を低減させ、二次電池のレート性能と低温性能を向上させることができる。それとともに、フルオロスルホニルイミドリチウム塩は、さらに熱安定性が高く、加水分解しにくいという特性を有し、それによって、負極活物質の表面においてより薄く、インピーダンスがより低く、且つ熱安定性がより高いSEI膜を形成することができ、これにより負極活物質と電解液との間の副反応を減らすことができる。そのため、電解液にフルオロスルホニルイミドリチウム塩がさらに含まれるとき、二次電池のレート性能と低温性能を著しく改善することができる。しかし、フルオロスルホニルイミドリチウム塩は、高圧に耐えられず、高い電位で正極集電体(例えば、アルミニウム箔)を腐食させ、正極活物質と電解液との間の副反応を増加させることがあり、二次電池のサイクル性能に影響を与えやすい。そのため、フルオロスルホニルイミドリチウム塩の含有量は、高過ぎになってはならない。
【0083】
いくつかの実施例では、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%とフルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、さらに1≦y2/x≦28を満たしてもよい。本出願の発明者の意外な発見によると、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%とフルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%との間の関係を合理的に制御して、1≦y2/x≦28を満たすようにするとき、テトラフルオロホウ酸リチウムとフルオロスルホニルイミドリチウム塩との相乗効果を十分に発揮することができ、二次電池のサイクル性能を顕著に劣化させないだけでなく、二次電池のレート性能と低温性能をさらに改善することができる。可能性のある原因として以下のことが考えられ、即ち、テトラフルオロホウ酸リチウムが正極活物質の安定剤として、正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成し、正極活物質と電解液との間の副反応を抑制することができ、テトラフルオロホウ酸リチウムが正極集電体に対して不動態化作用を有し、それは優先的に正極集電体の表面において酸化分解されて一層の不動態化膜を形成することができ、それによってフルオロスルホニルイミドリチウム塩による正極集電体の腐食を効果的に改善する。
【0084】
発明者のさらなる研究によると、正極活物質におけるニッケル元素の含有量bは、フルオロスルホニルイミドリチウム塩の二次電池性能に対する改善効果に影響を与える。ニッケル元素の含有量が高いとき、正極活物質の熱安定性が低く、高温容量減衰が速くなり、これにより、より高い含有量のフルオロスルホニルイミドリチウム塩を採用するとき、その二次電池の高温性能に対する改善効果がより顕著であり、ニッケル元素の含有量が低いとき、正極活物質の熱安定性が高く、そして電解液におけるフルオロスルホニルイミドリチウム塩含有量の増加に伴って、その二次電池の高温性能に対する改善効果が持続的に増加することはない。
【0085】
いくつかの実施例では、0<b≦0.7のとき、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦5及び/又は1≦y2/x≦10を満たす。
【0086】
任意選択的に、0<y2≦4.5、0<y2≦4、0<y2≦3.5、0<y2≦3、0<y2≦2.5、0<y2≦2、0<y2≦1.5、又は0<y2≦1である。
【0087】
任意選択的に、1≦y2/x≦9、1≦y2/x≦8、1≦y2/x≦7、1≦y2/x≦6、1≦y2/x≦5、1≦y2/x≦4、1≦y2/x≦3、又は1≦y2/x≦2である。
【0088】
いくつかの実施例では、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、5≦y2≦14及び/又は10≦y2/x≦28を満たす。
【0089】
任意選択的に、5≦y2≦13、5≦y2≦12、5≦y2≦11、5≦y2≦10、6≦y2≦14、6≦y2≦13、6≦y2≦12、6≦y2≦11、6≦y2≦10、7≦y2≦14、7≦y2≦13、7≦y2≦12、7≦y2≦11、7≦y2≦10、8≦y2≦14、8≦y2≦13、8≦y2≦12、8≦y2≦11、又は8≦y2≦10である。
【0090】
任意選択的に、12≦y2/x≦28、12≦y2/x≦26、12≦y2/x≦24、12≦y2/x≦22、12≦y2/x≦20、14≦y2/x≦28、14≦y2/x≦26、14≦y2/x≦24、14≦y2/x≦22、14≦y2/x≦20、16≦y2/x≦28、16≦y2/x≦26、16≦y2/x≦24、16≦y2/x≦22、又は16≦y2/x≦20である。
【0091】
いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロスルホン酸リチウム塩をさらに含んでもよい。前記フルオロスルホン酸リチウム塩の分子式は、LiSO3R3であってもよく、R3は、F、部分的にフッ素化され又は完全にフッ素化されたC1-C10のアルキル基を表し、任意選択的に、前記フルオロスルホン酸リチウム塩は、フルオロスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はその組み合わせを含む。
【0092】
任意選択的に、前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、0<y3≦1.0を満たす。例えば、y3は、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.0、又は以上の任意の数値で構成された範囲であってもよい。さらに任意選択的に、0<y3≦0.9、0<y3≦0.8、0<y3≦0.7、0<y3≦0.6、0<y3≦0.5、0<y3≦0.4、0<y3≦0.3、又は0<y3≦0.2である。
【0093】
フルオロスルホン酸リチウム塩は、負極活物質の表面において界面膜を形成できるだけでなく、正極活物質の表面に界面膜を形成することもでき、それとともに、その熱安定性が高く、これにより二次電池の高温での充放電特性を大きく改善し、二次電池の高温サイクル容量維持率を高め、ガスの発生を抑制することができる。しかし、フルオロスルホン酸リチウム塩のイオン電気伝導率が低く、二次電池の動力学的性能に影響を与えやすい。そのため、フルオロスルホン酸リチウム塩の含有量、高過ぎになってはならない。
【0094】
いくつかの実施例では、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%とフルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、さらに0.001≦y3/x≦2.0を満たしてもよい。本出願の発明者の意外な発見によると、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%とフルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%との間の関係を合理的に制御して、0.001≦y3/x≦2.0を満たすようにするとき、テトラフルオロホウ酸リチウムとフルオロスルホン酸リチウム塩との相乗効果を十分に発揮することができ、それによって、正極と負極において緻密で、安定し且つインピーダンスが低い界面膜を形成することに寄与し、これにより二次電池の高温性能をさらに改善することができ、例えば高温サイクル性能と高温保存性能を改善するとともに、二次電池の動力学的性能を顕著に劣化させない。任意選択的に、0.001≦y3/x≦1.5、0.001≦y3/x≦1.25、0.001≦y3/x≦1.0、0.001≦y3/x≦0.75、0.001≦y3/x≦0.5、又は0.001≦y3/x≦0.25である。
【0095】
いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネート、フルオロスルホニルイミドリチウム塩、フルオロスルホン酸リチウム塩のうちのいずれか二種をさらに含んでもよい。
【0096】
例えば、いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネートとフルオロスルホニルイミドリチウム塩の組み合わせを含んでもよい。任意選択的に、前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、0<y1≦2.5を満たし、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦14を満たし、且つ0<y1+y2≦15である。
【0097】
任意選択的に、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%、フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%とフルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、さらに0.5≦y1/x≦4.0及び/又は1≦y2/x≦28を満たす。これにより、二次電池は、著しく改善されたサイクル性能を備えると同時に、改善されたレート性能と低温性能を備える。
【0098】
任意選択的に、フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%とフルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、さらに0.5≦y2/y1≦48を満たしてもよい。
【0099】
さらに任意選択的に、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%、フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%とフルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、同時に0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.5≦y2/y1≦48を満たす。フルオロエチレンカーボネートは、二次電池のサイクル性能を効果的に向上させることができ、フルオロスルホニルイミドリチウム塩は、二次電池のレート性能と低温性能を改善することができ、テトラフルオロホウ酸リチウムは、正極活物質の安定剤として、正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成し、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質のリチウムイオンの拡散速度を著しく改善するとともに、正極活物質と電解液と間の副反応を抑制し、HFによる正極活物質の構造への破壊を抑制することができる。そのため、三つの成分間の含有量関係をさらに合理的に調節して、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.5≦y2/y1≦48を同時に満たすようにするとき、三者間の相乗効果を十分に発揮し、各成分を単独で使用する時の欠陥を十分に抑制することに有利であるとともに、緻密で、安定し且つインピーダンスが低い正極界面膜と負極界面膜を形成することができる。
【0100】
特に、0<b≦0.7のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5と0<y2≦5を満たしてもよく、任意選択的に、前記電解液は、さらに0.5≦y1/x≦4.0と1≦y2/x≦10を満たしてもよく、さらに任意選択的に、前記電解液は、さらに0.5≦y2/y1≦10を満たしてもよい。
【0101】
特に、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5と5≦y2≦14を満たしてもよく、任意選択的に、前記電解液は、さらに0.5≦y1/x≦4.0と10≦y2/x≦28を満たしてもよく、さらに任意選択的に、前記電解液は、さらに6≦y2/y1≦48を満たしてもよい。
【0102】
例えば、いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネートとフルオロスルホン酸リチウム塩の組み合わせを含んでもよい。任意選択的に、前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、0<y1≦2.5を満たし、前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、0<y3≦1.0を満たす。さらに任意選択的に、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%、フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%とフルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、さらに0.5≦y1/x≦4.0及び/又は0.001≦y3/x≦2.0を満たす。これにより、二次電池は、著しく改善されたサイクル性能を備えると同時に、改善された高温性能を備える。
【0103】
例えば、いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロスルホニルイミドリチウム塩とフルオロスルホン酸リチウム塩の組み合わせを含んでもよい。任意選択的に、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦14を満たし、前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、0<y3≦1.0を満たし、且つ0<y2+y3≦15である。
【0104】
任意選択的に、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%、フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%とフルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、さらに1≦y2/x≦28及び/又は0.001≦y3/x≦2.0を満たす。これにより、二次電池は、著しく改善されたサイクル性能を備えると同時に、改善されたレート性能、低温性能と高温性能を備える。さらに任意選択的に、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%、フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%とフルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、同時に1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす。これにより、正極と負極において性能が優れた無機/有機複合界面膜を形成することに寄与し、それによって二次電池の総合的性能をさらに改善することができる。
【0105】
特に、0<b≦0.7のとき、前記電解液は、0<y2≦5と0<y3≦1.0を満たしてもよく、任意選択的に、前記電解液は、さらに1≦y2/x≦10と0.001≦y3/x≦2.0を満たしてもよく、さらに任意選択的に、前記電解液は、さらに0.1≦x/(y2+y3)≦1.0を満たしてもよい。
【0106】
特に、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液は、5≦y2≦14と0<y3≦1.0を満たしてもよく、任意選択的に、前記電解液は、さらに10≦y2/x≦28と0.001≦y3/x≦2.0を満たしてもよく、さらに任意選択的に、前記電解液は、さらに0.036≦x/(y2+y3)≦0.1を満たしてもよい。
【0107】
いくつかの実施例では、前記電解液は、フルオロエチレンカーボネートと、フルオロスルホニルイミドリチウム塩と、フルオロスルホン酸リチウム塩とを同時に含んでもよい。任意選択的に、前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%は、0<y1≦2.5を満たし、前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率y2%は、0<y2≦14を満たし、前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率y3%は、0<y3≦1.0を満たし、且つ0<y1+y2+y3≦15である。
【0108】
任意選択的に、前記電解液は、さらに0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28と0.001≦y3/x≦2.0を満たす。これにより、二次電池は、著しく改善されたサイクル性能を備えると同時に、改善されたレート性能、低温性能と高温性能を備える。さらに任意選択的に、前記電解液は、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48を同時に満たす。このとき、二次電池の総合的性能は、さらに改善される。さらに任意選択的に、前記電解液は、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を同時に満たす。これにより、正極と負極において性能が優れた無機/有機複合界面膜を形成することに寄与し、それによって二次電池の総合的性能をさらに改善することができる。
【0109】
特に、0<b≦0.7のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、0<y2≦5と0<y3≦1.0を満たしてもよく、任意選択的に、前記電解液は、さらに0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10と0.001≦y3/x≦2.0を満たしてもよく、さらに任意選択的に、前記電解液は、さらに0.5≦y2/y1≦10及び/又は0.1≦x/(y2+y3)≦1.0を満たしてもよい。
【0110】
特に、0.7≦b<0.98のとき、前記電解液は、0<y1≦2.5、5≦y2≦14と0<y3≦1.0を満たしてもよく、任意選択的に、前記電解液は、さらに0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28と0.001≦y3/x≦2.0を満たしてもよく、さらに任意選択的に、前記電解液は、さらに6≦y2/y1≦48及び/又は0.036≦x/(y2+y3)≦0.1を満たしてもよい。
【0111】
いくつかの実施例では、前記電解液は、リチウム塩と有機溶媒をさらに含む。本出願では、前記リチウム塩と前記有機溶媒の種類は、具体的に限定されず、実際の需要に応じて選択することができる。
【0112】
例として、前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF6)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiDFOB)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LiDFOP)とテトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム(LiTFOP)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。任意選択的に、前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウムを含む。
【0113】
例として、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、エチルメチルスルホン(EMS)とジエチルスルホン(ESE)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0114】
本出願の二次電池の実施形態では、前記電解液は、上記成分以外の他の成分を排除するものではない。いくつかの実施例では、前記電解液には、任意選択的に他の添加剤、例えば、電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温パワー性能を改善する添加剤などがさらに含まれてもよい。
【0115】
いくつかの実施例では、前記電解液の質量は、前記二次電池の総質量の10%~20%であってもよい。これにより、正極活物質の表面において緻密でインピーダンスが低い界面膜を形成することに有利である。そして以下の状況を効果的に回避することができる。電解液の質量分率が10%未満のとき、正極と負極の電解液の浸潤性が低く、界面インピーダンスが高く、且つサイクル後のインピーダンス増加が速く、これにより二次電池の容量発揮が低くなり、サイクル性能が悪くなることを引き起こす可能性があり、電解液の質量分率が20%を超えるとき、電解液と正極、及び電解液と負極との界面副反応が増加し、活性リチウムイオンの不可逆的な消耗が増加し、且つ電池体積の膨張がひどくなり、これにより二次電池のサイクル性能が悪くなることを引き起こす可能性もある。
【0116】
前記電解液は、当該分野の一般的な方法に従って製造されてもよい。例えば、有機溶媒、リチウム塩、テトラフルオロホウ酸リチウム、任意選択的なフルオロエチレンカーボネート、任意選択的なフルオロスルホニルイミドリチウム塩、任意選択的なフルオロスルホン酸リチウム塩などの成分を均一に混合して、電解液を得ることができる。各物質の添加順番に対して特に制限がなく、例えば、リチウム塩、テトラフルオロホウ酸リチウム、任意選択的なフルオロエチレンカーボネート、任意選択的なフルオロスルホニルイミドリチウム塩、任意選択的なフルオロスルホン酸リチウム塩などの成分を有機溶媒に加えて均一に混合して電解液を得てもよく、又は、まずリチウム塩を有機溶媒に加え、それからテトラフルオロホウ酸リチウム、任意選択的なフルオロエチレンカーボネート、任意選択的なフルオロスルホニルイミドリチウム塩、任意選択的なフルオロスルホン酸リチウム塩などの成分を有機溶媒に加えて均一に混合して電解液を得てもよい。
【0117】
本出願では、電解液における各成分及びその含有量は、当該分野の既知の方法に従って測定されてもよい。例えば、ガスクロマトグラフ-質量分析法(GC-MS)、イオンクロマトグラフ法(IC)、液体クロマトグラフ法(LC)、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)などによって測定されてもよい。
【0118】
説明すべきこととして、本出願の電解液をテストするとき、二次電池から電解液を取得してもよい。二次電池から電解液を取得する一例示的な方法として以下のステップを含む。二次電池を放電カットオフ電圧まで放電してから(安全のために、一般的には電池を完全放電状態にする)遠心処理を行い、そして遠心処理で得られた液体を適量取って電解液とする。二次電池の注液口から直接に電解液を取得してもよい。
【0119】
[正極板]
本出願の正極板は、正極集電体と前記正極集電体の表面に位置する正極膜層とを含む。例えば、前記正極集電体は、それ自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、前記正極膜層は、前記正極集電体の対向する二つの表面のいずれか一方又は両方上にある。
【0120】
前記正極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。金属箔シートの例として、アルミニウム箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも一つの表面上に形成された金属材料層とを含んでもよい。例として、前記金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、銀合金のうちの一つ又は複数を含んでもよい。例として、前記高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリステレン(PS)、ポリエチレン(PE)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0121】
前記正極膜層は、一般的には正極活物質及び任意選択的な接着剤と任意選択的な導電剤を含む。正極膜層は、一般的には、正極スラリーを正極集電体上に塗布して、乾燥、冷間プレスを経て形成される。正極スラリーは、一般的には、正極活物質と、任意選択的な導電剤と、任意選択的な接着剤と、任意の他の成分とを溶媒に分散させて均一に撹拌して形成される。溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよいが、これに限らない。例として、正極膜層に用いる接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ素含有アクリレート樹脂のうちの一つ又は複数を含んでもよい。例として、正極膜層に用いる導電剤は、超電導カーボン、導電黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0122】
前記正極活物質は、上記分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料を含む。
【0123】
いくつかの実施例では、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料は、任意選択的にM2カチオンによりドープ改質され、Aアニオンによりドープ改質され又はM2カチオンとAアニオンと同時によりドープ改質され、ドープ後に得られた層状材料の結晶構造がより安定し、二次電池の電気化学的性能、例えばサイクル性能、レート性能などをさらに向上させることができる。
【0124】
いくつかの実施例では、Aは、Fから選択される。Fによりドープ改質された後に、LiaNibCocM1dM2eOfAgの構造がより安定し、二次電池により良好なサイクル性能とレート性能を備えさせることができる。
【0125】
いくつかの実施例では、M1は、Mnから選択される。
【0126】
いくつかの実施例では、M1は、Alから選択される。
【0127】
いくつかの実施例では、M1は、MnとAlの組み合わせから選択される。MnとAlのモル比に対して特に限定せず、実際の需要に応じて選択することができる。
【0128】
いくつかの実施例では、0.50≦b<0.98である。任意選択的に、0.55≦b<0.98、0.60≦b<0.98、0.65≦b<0.98、0.70≦b<0.98、0.75≦b<0.98、又は0.80≦b<0.98である。
【0129】
いくつかの実施例では、c=0である。
【0130】
いくつかの実施例では、0<c<0.1である。任意選択的に、0<c≦0.09、0<c≦0.08、0<c≦0.07、0<c≦0.06、0<c≦0.05、0<c≦0.04、0<c≦0.03、0<c≦0.02、又は0<c≦0.01である。
【0131】
いくつかの実施例では、0<d≦0.45である。任意選択的に、0<d≦0.40、0<d≦0.35、0<d≦0.30、0<d≦0.25、0<d≦0.20、0<d≦0.15、又は0<d≦0.10である。
【0132】
いくつかの実施例では、e=0である。
【0133】
いくつかの実施例では、0<e≦0.5である。任意選択的に、0<e≦0.45、0<e≦0.40、0<e≦0.35、0<e≦0.30、0<e≦0.25、0<e≦0.20、0<e≦0.15、0<e≦0.10、又は0<e≦0.05である。
【0134】
いくつかの実施例では、f=2、g=0である。
【0135】
いくつかの実施例では、f=0、g=2である。
【0136】
いくつかの実施例では、0<f<2、0<g<2、且つf+g=2である。
【0137】
例として、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料は、LiNi0.7Mn0.3O2、LiNi0.69Co0.01Mn0.3O2、LiNi0.68Co0.02Mn0.3O2、LiNi0.65Co0.05Mn0.3O2、LiNi0.63Co0.07Mn0.3O2、LiNi0.61Co0.09Mn0.3O2のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0138】
LiaNibCocM1dM2eOfAgは、当該分野の一般的な方法に従って製造されてもよい。例示的な製造方法は、以下のとおりである。リチウム源、ニッケル源、コバルト源、M1元素前駆体、任意選択的なM2元素前駆体、任意選択的なA元素前駆体を混合してから焼結して得られる。焼結雰囲気は、酸素含有雰囲気、例えば、空気雰囲気又は酸素雰囲気であってもよい。焼結雰囲気のO2濃度は、例えば70%~100%である。焼結温度と焼結時間は、実際の状況に応じて調節してもよい。例として、リチウム源は、酸化リチウム(Li2O)、リン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸二水素リチウム(LiH2PO4)、酢酸リチウム(CH3COOLi)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(Li2CO3)及び硝酸リチウム(LiNO3)のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例として、ニッケル源は、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、シュウ酸ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例として、コバルト源は、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、シュウ酸コバルト及び酢酸コバルトのうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例として、M1元素前駆体は、M1元素の酸化物、硝酸化合物、炭酸化合物、水酸化物及び酢酸化合物のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例として、M2元素前駆体は、M2元素の酸化物、硝酸化合物、炭酸化合物、水酸化物及び酢酸化合物のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。例として、A元素の前駆体は、フッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フッ化水素、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化水素、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫化水素アンモニウム、硫化水素、硫化リチウム、硫化アンモニウム及び単体硫黄のうちの一つ又は複数を含むが、それらに限らない。
【0139】
いくつかの実施例では、LiaNibCocM1dM2eOfAgの表面は、被覆層、例えば炭素被覆層をさらに有してもよい。炭素被覆層は、正極活物質の表面を安定化させ、正極活物質の電荷移動インピーダンスをさらに低減させ、リチウムイオンの正極活物質バルク相内での拡散抵抗力を低減させることに有利である。任意選択的に、前記炭素被覆層は、無定形炭素、例えばソフトカーボン、ハードカーボン又はその組み合わせを含む。
【0140】
いくつかの実施例では、前記正極活物質は、LiaNibCocM1dM2eOfAg以外の他の成分を排除するものではなく、例えば、前記正極活物質は、リチウム含有リン酸塩及びその改質化合物のうちの一つ又は複数をさらに含んでもよい。例として、前記リチウム含有リン酸塩は、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料、及びそれぞれの改質化合物のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0141】
いくつかの実施例では、前記正極膜層の総質量に基づき、前記分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料の質量百分率は、80%~99%である。例えば、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料の質量百分率は、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は以上の任意の数値で構成された範囲である。任意選択的に、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料の質量百分率は、85%~99%、90%~99%、95%~99%、80%~98%、85%~98%、90%~98%、95%~98%、80%~97%、85%~97%、90%~97%、又は95%~97%である。
【0142】
[負極板]
本出願による二次電池は、負極板をさらに含む。いくつかの実施例では、前記負極板は、負極集電体と前記負極集電体の表面に位置する負極膜層とを含む。例えば、前記負極集電体は、それ自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、前記負極膜層は、前記負極集電体の対向する二つの表面のいずれか一方又は両方上にある。
【0143】
前記負極集電体は、金属箔シート又は複合集電体を採用してもよい。金属箔シートの例として、銅箔を採用してもよい。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも一つの表面上に形成された金属材料層とを含んでもよい。例として、前記金属材料は、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀、銀合金のうちの一つ又は複数を含んでもよい。例として、前記高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリステレン(PS)、ポリエチレン(PE)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。
【0144】
前記負極膜層は、一般的には負極活物質、任意選択的な接着剤、任意選択的な導電剤、及び他の任意選択的な助剤を含む。前記負極膜層は、一般的には、負極スラリーを負極集電体上に塗布して、乾燥、冷間プレスを経て形成される。前記負極スラリーは、一般的には、負極活物質と、任意選択的な導電剤と、任意選択的な接着剤と、他の任意選択的な助剤とを溶媒に分散させて均一に撹拌して形成される。溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)又は脱イオン水であってもよいが、これらに限らない。例として、負極膜層に用いる接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水溶性不飽和樹脂SR-1B、水性アクリル樹脂(例えば、ポリアクリル酸PAA、ポリメタクリル酸PMAA、ポリアクリル酸ナトリウムPAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)とカルボキシメチルキトサン(CMCS)のうちの一つ又は複数を含んでもよい。例として、負極膜層に用いる導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンスポット、カーボンナノチューブ、グラフェンとカーボンナノファイバーのうちの一つ又は複数を含んでもよい。他の任意選択的な助剤は、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムCMC-Na)、PTCサーミスタ材料などを含んでもよい。
【0145】
前記負極活物質は、当分野でよく知られている二次電池用の負極活物質を採用してもよい。例として、前記負極活物質は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコーン系材料、スズ系材料とチタン酸リチウムのうちの一つ又は複数を含んでもよい。前記シリコーン系材料は、シリコーン単体、シリコーン酸化物、シリコーン炭素複合体、シリコーン窒素複合体とシリコーン合金材料のうちの一つ又は複数を含んでもよい。前記スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物とスズ合金材料のうちの一つ又は複数を含んでもよい。本出願は、これらの材料に限定されず、さらに二次電池の負極活物質として使用可能な他の従来周知の材料を使用してもよい。これらの負極活物質は、単独で一つのみを使用してもよく、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0146】
[セパレータ]
本出願による二次電池は、セパレータをさらに含んでもよい。前記セパレータは、前記正極板と前記負極板との間に設置されて、隔離する役割を果たす。本出願は、前記セパレータの種類に対して特に限定せず、良好な化学的安定性と機械的安定性を有する任意の公知の多孔質構造の膜を選択してもよい。
【0147】
いくつかの実施例では、前記セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリビニリデンフルオライドのうちの一つ又は複数を含んでもよい。前記セパレータは、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよい。前記セパレータが多層複合フィルムであるとき、各層の材料は、同じであり、又は異なる。
【0148】
いくつかの実施例では、前記正極板、前記セパレータと前記負極板は、捲回プロセス及び/又は積層プロセスによって電極アセンブリを製造することができる。
【0149】
いくつかの実施例では、前記二次電池は、外装体を含んでもよい。該外装体は、上記電極アセンブリ及び電解液のパッケージングに用いられてもよい。二次電池の外装体は、硬質ケース、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼製ケースなどであってもよい。二次電池の外装体は、パウチ、例えば袋状パウチであってもよい。パウチの材質は、プラスチック、例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)などのうちの一つ又は複数であってもよい。
【0150】
本出願は、二次電池の形状に対して特に限定せず、それは、円筒型、四角形又は他の任意の形状であってもよい。
図1は、一例としての四角形構造の二次電池5である。
【0151】
いくつかの実施例では、
図2に示すように、外装体は、ケース51とカバープレート53とを含んでもよい。ケース51は、底板と、底板上に接続された側板とを含んでもよく、底板と側板とで取り囲んで収容キャビティを形成する。ケース51は、収容キャビティに連通する開口を有し、カバープレート53は、前記開口をカバーして設けられることによって前記収容キャビティを閉鎖するためのものである。正極板と負極板とセパレータは、捲回プロセス又は積層プロセスによって電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、前記収容キャビティにパッケージングされる。電解液は、電極アセンブリ52に浸潤する。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、一つ又は複数であってもよく、需要に応じて調節することができる。
【0152】
本出願のいくつかの実施形態では、本出願による二次電池は、電池モジュールに組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は、複数であってもよく、具体的な数は、電池モジュールの応用と容量に基づいて調節することができる。
【0153】
図3は、一例としての電池モジュール4の概略図である。
図3に示すように、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設置されてもよい。無論、任意の他の方式に従って配置されてもよい。さらに、該複数の二次電池5を締め具で固定してもよい。
【0154】
任意選択的に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよく、複数の二次電池5は、該収容空間に収容される。
【0155】
いくつかの実施例では、上記電池モジュールは、さらに電池パックに組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの応用と容量に基づいて調節することができる。
【0156】
図4と
図5は、一例としての電池パック1の概略図である。
図4と
図5に示すように、電池パック1には、電池ボックスと、電池ボックスに設置された複数の電池モジュール4とが含まれてもよい。電池ボックスは、上部筐体2と下部筐体3とを含み、上部筐体2は、下部筐体3をカバーして設けられて、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成するために用いられる。複数の電池モジュール4は、任意の方式に従って電池ボックスの中に配置されてもよい。
【0157】
製造方法
本出願の実施形態は、二次電池を製造するための方法をさらに提供し、前記方法は、少なくともステップ1とステップ2とを含む。
【0158】
正極板と、セパレータと、負極板と、電解液とを二次電池に組み立てるステップ1であって、前記正極板は、正極集電体と前記正極集電体の表面に位置する正極膜層とを含み、前記正極膜層は、分子式がLiaNibCocM1dM2eOfAgである層状材料を含み、M1は、Mn、Al又はその組み合わせから選択され、M2は、Si、Ti、Mo、V、Ge、Se、Zr、Nb、Ru、Pd、Sb、Ce、Te及びWのうちの一つ又は複数から選択され、Aは、F、N、P及びSのうちの一つ又は複数から選択され、0.8≦a≦1.2、0<b<0.98、0≦c<0.1、0<d<0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦2、0≦g≦2、b+c+d+e=1、f+g=2であり、前記電解液は、テトラフルオロホウ酸リチウム、任意選択的なフルオロエチレンカーボネート、任意選択的なフルオロスルホニルイミドリチウム塩と任意選択的なフルオロスルホン酸リチウム塩を含み、前記電解液における前記テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率は、x%であり、前記電解液における前記フルオロエチレンカーボネートの質量百分率は、y1%であり、前記電解液における前記フルオロスルホニルイミドリチウム塩の質量百分率は、y2%であり、前記電解液における前記フルオロスルホン酸リチウム塩の質量百分率は、y3%であり、いずれも前記電解液の総質量に基づいて計算されたものであり、x>0、y1≧0、y2≧0、y3≧0である。
【0159】
ステップ2であって、ステップ1で得られた二次電池から、0.05≦c+x/10≦0.15を満たす二次電池を選別する。
【0160】
二次電池がx>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たすとき、低コバルト又はコバルト無しの正極活物質の結晶構造を安定化させ、その内部のリチウムイオンの拡散速度を向上させることができる。そのため、本出願の製造方法で得られた二次電池は、いずれも著しく改善されたサイクル性能及び良好な保存性能と動力学的性能を備えることができる。
【0161】
いくつかの実施例では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<x≦1.0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。このとき、製造された二次電池は、さらに改善されたサイクル性能を備える。任意選択的に、二次電池は、0.05≦c+x/10≦0.12を満たす。
【0162】
いくつかの実施例では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から25≦P/(c+x/10)≦65を満たす二次電池を選別するステップをさらに含み、P g/cm3は、前記正極板の圧密密度を表す。このとき、製造された二次電池は、著しく改善されたサイクル性能と高エネルギー密度を備える前提で、改善されたパワー性能を備えることができる。任意選択的に、二次電池は、30≦P/(c+x/10)≦50を満たす。
【0163】
いくつかの実施例では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から、以下の条件(1)~(3)のうちの少なくとも一つを満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0164】
(1)0<y1≦2.5、0.5≦y1/x≦4.0、任意選択的に0.5≦y1/x≦2.0であり、
(2)0<y2≦14、1≦y2/x≦28であり、
(3)0<y3≦1.0、0.001≦y3/x≦2.0、任意選択的に0.001≦y3/x≦1.0である。
【0165】
このとき、製造された二次電池は、さらに改善されたサイクル性能、保存性能、レート性能、低温性能と高温性能のうちの少なくとも一つを備える。
【0166】
いくつかの実施例では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。このとき、製造された二次電池の総合的性能は、さらに改善される。
【0167】
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0168】
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0169】
いくつかの実施例では、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。このとき、製造された二次電池の総合的性能は、さらに改善される。
【0170】
任意選択的に、0<b≦0.7のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、0<y2≦5、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦10、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦10、0.1≦x/(y2+y3)≦1.0を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0171】
任意選択的に、0.7≦b<0.98のとき、前記方法は、ステップ2で得られた二次電池から0<y1+y2+y3≦15、0<y1≦2.5、5≦y2≦14、0<y3≦1.0、0.5≦y1/x≦4.0、10≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、6≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦0.1を満たす二次電池を選別するステップをさらに含む。
【0172】
電力消費装置
本出願の実施形態は、電力消費装置をさらに提供し、前記電力消費装置は、本出願の二次電池、電池モジュール又は電池パックのうちの少なくとも一つを含む。前記二次電池、電池モジュール又は電池パックは、前記電力消費装置の電源として用いられてもよく、前記電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記電力消費装置は、移動体機器(例えば携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、それらに限らない。
【0173】
前記電力消費装置として、その使用上の需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0174】
図6は、一例としての電力消費装置の概略図である。該電力消費装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。該電力消費装置の高パワーと高エネルギー密度に対する需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを採用することができる。
【0175】
別の例としての電力消費装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどであってもよい。該電力消費装置は、一般的には軽量化が求められており、二次電池を電源として採用することができる。
【0176】
実施例
下記実施例は、本出願に開示された内容をより具体的に記述するものであり、これらの実施例は、単に例示的な説明のためにのみ使用され、本出願に開示された内容の範囲内で様々な修正及び変更が行われることは、当業者にとって自明である。特に指摘のない限り、以下の実施例に報告されているすべての部数、百分率、及び比の値は、いずれも重量基準であり、実施例に使用されるすべての試薬は、いずれも市販で購入でき、又は一般的な方法によって合成して得られるものであり、さらに処理する必要はなく、直接使用することができ、そして実施例に使用される器具は、いずれも市販で購入することができる。
【0177】
実施例1-1
正極板の製造
正極活物質のLiNi0.65Co0.05Mn0.3O2と、導電剤のカーボンブラックと、接着剤のポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、97.5:1.4:1.1の質量比で適量の溶媒NMPにおいて十分に撹拌して混合し、均一な正極スラリーを形成し、正極スラリーを均一に正極集電体のアルミニウム箔の表面上に塗覆し、乾燥、冷間プレスを経て、正極板が得られた。正極板の圧密密度は、3.5g/cm3である。
【0178】
負極板の製造
負極活物質の黒鉛と、接着剤のスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)と、導電剤のカーボンブラック(Super P)とを、96.2:1.8:1.2:0.8の質量比で適量の溶媒脱イオン水において十分に撹拌して混合し、均一な負極スラリーを形成し、負極スラリーを均一に負極集電体の銅箔の表面上に塗覆し、乾燥、冷間プレスを経て、負極板が得られた。
【0179】
セパレータ
多孔質ポリエチレン(PE)膜をセパレータとして採用した。
【0180】
電解液の製造
エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とを、1:1:1の体積比で混合して、有機溶媒が得られ、LiPF6とLiBF4とを上記有機溶媒中に均一に溶解させて、電解液が得られ、電解液の総質量に基づき、LiPF6の質量百分率は、12.5%であり、LiBF4の質量百分率は、0.1%である。
【0181】
二次電池の製造
正極板と、セパレータと、負極板とを順に積層して捲回し、電極アセンブリが得られ、電極アセンブリを外装体に入れ、上記電解液を加えて、パッケージング、静置、化成、エージングなどの工程を経て、二次電池が得られた。電解液の質量は、二次電池の総質量の15%である。
【0182】
実施例1-2ないし1-16及び比較例1-1ないし1-7
二次電池の製造方法は、実施例1と類似しているが、相違点として、正極活物質の種類及び電解液の製造パラメータが調整されており、具体的なパラメータは、表1に示すとおりである。「/」は、対応する成分が電解液に添加されていないことを表す。
【0183】
テスト部分
(1)二次電池の常温サイクル性能テスト
25℃で、二次電池を1Cの定電流で4.3Vまで充電し、引き続いて定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、この時、二次電池は、満充電状態であり、この時の充電容量を記録して、1回目の充電容量とし、二次電池を5min静置してから、1Cの定電流で2.8Vまで放電し、これは、一つのサイクル充放電過程であり、この時の放電容量を記録して、1回目の放電容量とした。二次電池に対して上記方法でサイクル充放電テストを行い、毎回サイクル後の放電容量を記録した。二次電池の25℃における600回サイクルの容量維持率(%)=600回サイクル後の放電容量/1回目の放電容量×100%である。
【0184】
(2)二次電池の高温サイクル性能テスト
45℃で、二次電池を1Cの定電流で4.3Vまで充電し、引き続いて定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、この時、二次電池は、満充電状態であり、この時の充電容量を記録して、1回目の充電容量とし、二次電池を5min静置してから、1Cの定電流で2.8Vまで放電し、これは、一つのサイクル充放電過程であり、この時の放電容量を記録して、1回目の放電容量とした。二次電池に対して上記方法でサイクル充放電テストを行い、毎回サイクル後の放電容量を記録した。二次電池の45℃における600回サイクルの容量維持率(%)=600回サイクル後の放電容量/1回目の放電容量×100%である。
【0185】
(3)二次電池の初期直流内部抵抗テスト
25℃で、二次電池を1Cの定電流で4.3Vまで充電し、引き続いて定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、この時、二次電池は、満充電状態であり、二次電池を0.5Cの定電流で放電して二次電池を50%SOCに調整し、この時、二次電池の電圧をU1と記録し、二次電池を4Cの電流I1で30秒定電流放電し、0.1秒で採点し、放電末期の電圧をU2と記録した。二次電池が50%SOCの時の放電直流内部抵抗を用いて二次電池の初期直流内部抵抗を表すと、二次電池の初期直流内部抵抗(mΩ)=(U1-U2)/I1である。
【0186】
(4)二次電池の高温保存性能テスト
60℃で、二次電池を1Cの定電流で4.3Vまで充電し、引き続いて定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、この時、排水法で二次電池の体積をテストしてV0と記録し、二次電池を60℃の恒温箱に入れ、30日保存した後に取り出し、この時、排水法で二次電池の体積をテストしてV1と記録した。二次電池の60℃における30日保存後の体積膨張率(%)=[(V1-V0)/V0]×100%である。
【0187】
(5)二次電池の自己放電率テスト
25℃で、二次電池を70%SOCまで充電し、この時の二次電池の開路電圧をテストしてOCV1と記録し、二次電池を25℃の恒温箱に入れ、3か月保存した後に取り出し、再び二次電池の開路電圧をテストしてOCV2と記録した。二次電池の25℃における3か月保存の自己放電率=[(OCV1-OCV2)/OCV1]×100%である。二次電池の自己放電率が低いほど、容量性能と安全性能が高くなる。
【0188】
(6)二次電池の低温性能テスト
-10℃で、二次電池を0.2Cの定電流で4.3Vまで充電し、引き続いて定電圧で電流が0.05Cになるまで充電し、この時、二次電池は、満充電状態であり、この時の充電容量を記録して、1回目の充電容量とし、二次電池を30min静置してから、0.2Cの定電流で2.8Vまで放電し、これは、一つのサイクル充放電過程であり、この時の放電容量を記録して、1回目の放電容量とした。二次電池に対して上記方法でサイクル充放電テストを行い、毎回サイクル後の放電容量を記録した。二次電池の-10℃における200回サイクルの容量維持率(%)=200回サイクル後の放電容量/1回目の放電容量×100%である。
【0189】
表1には、実施例1-1ないし1-16及び比較例1-1ないし1-7の性能テスト結果が示されている。
【0190】
表1のテスト結果から分かるように、電解液がテトラフルオロホウ酸リチウムを含み、且つテトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%と低コバルト又はコバルト無しの正極活物質におけるコバルト元素の含有量cとがx>0と0.05≦c+x/10≦0.15を満たすようにするとき、二次電池は、著しく改善されたサイクル性能及び良好な保存性能と動力学的性能を備える。電解液がテトラフルオロホウ酸リチウムを含有せず、又はテトラフルオロホウ酸リチウムの含有量が多過ぎるか又は少な過ぎて0.05≦c+x/10≦0.15を満たさないとき、いずれも低コバルト又はコバルト無しの二次電池のサイクル性能を効果的に改善できないとともに、二次電池の内部抵抗が高い。
【0191】
また表1のテスト結果から分かるように、正極板の圧密密度P g/cm3、テトラフルオロホウ酸リチウムの質量百分率x%と低コバルト又はコバルト無しの正極活物質におけるコバルト元素の含有量cが、さらに25≦P/(c+x/10)≦65を満たすとき、二次電池は、より低い内部抵抗を備えることができる。
【0192】
発明者は、さらに、電解液におけるテトラフルオロホウ酸リチウム以外の他の成分の、二次電池性能に対する影響を研究した。
【0193】
実施例2-1ないし2-20の二次電池の製造方法は、実施例1-3と類似しているが、相違点として、電解液の製造パラメータが調整されており、具体的なパラメータは、表2に示すとおりである。「/」は、対応する成分が電解液に添加されていないことを表す。
【0194】
表2のテスト結果から分かるように、実施例2-1ないし2-20の電解液がさらにフルオロエチレンカーボネート(FEC)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)とフルオロスルホン酸リチウムのうちの一つ又は複数を含有するとき、二次電池の総合的性能をさらに改善することに寄与する。
【0195】
実施例2-9と実施例1-3、2-1ないし2-6のテスト結果のまとめから分かるように、実施例1-3の電解液をベースとして、さらにフルオロエチレンカーボネート、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとフルオロスルホン酸リチウムを同時に加えるとき、総合的性能がより良好な二次電池を得ることに寄与する。
【0196】
実施例2-7ないし2-20のテスト結果のまとめから分かるように、フルオロエチレンカーボネートの質量百分率y1%、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドの質量百分率y2%とフルオロスルホン酸リチウムの質量百分率y3%を調節して、0.5≦y1/x≦4.0、1≦y2/x≦28、0.001≦y3/x≦2.0、0.5≦y2/y1≦48、0.036≦x/(y2+y3)≦1.0を同時に満たすようにするとき、総合的性能がより良好な二次電池を得ることに寄与する。可能性のある原因としては、この時、正極と負極にいずれも性能が優れた無機/有機複合界面膜を形成できることが考えられる。
【0197】
説明すべきこととして、本出願は、上記実施形態に限らない。上記実施形態は、例示であり、本出願の技術案の範囲内に技術的思想と実質的に同じ構成を有し、同じ作用効果を奏する実施形態は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれる。なお、本出願の趣旨から逸脱しない範囲内で、実施形態に対して当業者が想到できる様々な変形を加え、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築された他の形態も、本出願の範囲内に含まれる。
【0198】
【0199】
【符号の説明】
【0200】
図面においては、図面が必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。符号の説明は、以下のとおりある。1電池パック、2上部筺体、3下部筺体、4電池モジュール、5二次電池、51ケース、52電極アセンブリ、53カバープレート。
【国際調査報告】