(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C12P 9/00 20060101AFI20241025BHJP
A61K 31/6615 20060101ALI20241025BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241025BHJP
A23L 3/3463 20060101ALI20241025BHJP
A23L 3/3553 20060101ALI20241025BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20241025BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241025BHJP
A01N 57/12 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
C12P9/00
A61K31/6615
A61P31/04
A23L3/3463
A23L3/3553
A23L5/00 J
A01P3/00
A01N57/12 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525128
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 KR2022017537
(87)【国際公開番号】W WO2023085762
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0153904
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヒ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ジョン・ユン
【テーマコード(参考)】
4B021
4B035
4B064
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4B021LA41
4B021LW01
4B021LW02
4B021LW03
4B021LW04
4B021LW05
4B021LW06
4B021LW09
4B021MK16
4B021MK28
4B035LC05
4B035LG36
4B035LG51
4B035LP22
4B035LP41
4B035LP56
4B035LP59
4B064AE63
4B064AF02
4B064CA21
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4B064CC06
4B064CC07
4B064CD24
4B064CE03
4B064CE11
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA11
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA34
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB17
4H011DA13
(57)【要約】
本出願は、米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法に関する。本出願によれば、米ぬかの脱脂工程が必要なく、塩酸や硫酸のような強酸を使用せずに米ぬかからフィチン酸を含む組成物を効率よく製造することができる。本出願により製造されるフィチン酸を含む組成物は、無機イオンの濃度が低くて抗酸化活性が高く、発酵微生物に対する抗菌活性を有するので、発酵微生物の制御に使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法:
(a)米ぬかを酵素で処理して米ぬか酵素抽出物を製造する段階;
(b)米ぬか酵素抽出物を中和させて沈殿物を製造する段階;
(c)沈殿物を再溶解させて再溶解物を製造する段階;及び
(d)再溶解物をイオン交換樹脂と接触させる段階。
【請求項2】
段階(a)の酵素は、ベータ-グルカナーゼ(beta-glucanase)、エンド-1,3(4)-ベータ-グルカナーゼ[beta-glucanase(endo-1,3(4)-)]、セルラーゼ(cellulase)、ヘミセルラーゼ(hemicellulase)、キシラナーゼ(xylanase)、ベータ-キシラナーゼ(beta-xylanase)、エンド-1-4-ベータ-キシラナーゼ(endo-1-4-beta-xylanase)、アミラーゼ(alpha-amylase)、アルファ-アミラーゼ(alpha-amylase)、プルラナーゼ(pullulanase)、リパーゼ(lipase)、及びプロテアーゼ(protease)活性からなる群より選択される一つ以上の活性を有する酵素である、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項3】
段階(a)で酵素を処理する時間は、0.1-16時間である、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項4】
段階(a)で酵素処理は、pHが4.3-5.5の条件下で行う、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項5】
段階(a)で酵素処理は、35-55℃の温度下で行う、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項6】
段階(a)以後及び段階(b)以前に米ぬか酵素抽出物を濾過する段階をさらに含む、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項7】
段階(b)で米ぬか酵素抽出物の中和は、米ぬか酵素抽出物のpHを7-7.5範囲に調整する、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項8】
段階(c)の再溶解物のNa
+、NH4
+、K
+、Ca
2+、Mg
2+、Cl
-、PO
4
3-、及びSO
4
2-のイオンの濃度の総合が1900ppm以下である、請求項1に記載のフィチン酸含む組成物を製造する方法。
【請求項9】
段階(c)で沈殿物の再溶解は、沈殿物にクエン酸、乳酸、リンゴ酸、及び酒石酸からなる群より選択される一つ以上を添加して行う、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項10】
段階(d)でイオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、又はこれらの組合せである、請求項1に記載の米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法。
【請求項11】
フィチン酸の含量が全組成物に対して35重量%以上であり、
Na
+、NH4
+、K
+、Ca
2+、Mg
2+、Cl
-、PO
4
3-、及びSO
4
2-のイオンの濃度の総合が0ppm超過400ppm以下である、フィチン酸を含む組成物。
【請求項12】
前記組成物は、米ぬかを酵素処理して得た酵素抽出物から製造される、請求項11に記載のフィチン酸を含む組成物。
【請求項13】
前記組成物は、分光光度計(spetrophotometer)を使用して420nmで測定した吸光度が0.035-0.15である、請求項11に記載のフィチン酸を含む組成物。
【請求項14】
フィチン酸を含む組成物を有効成分として含む抗菌用組成物であって、
(i)前記フィチン酸を含む組成物は、フィチン酸の含量が前記フィチン酸含有組成物に対して35重量%以上であり、Na
+、NH4
+、K
+、Ca
2+、Mg
2+、Cl
-、PO
4
3-、及びSO
4
2-のイオンの濃度の総合が0ppm超過400ppm以下であり、
(ii)バチルスサブチルスに対する抗菌活性を有する、抗菌用組成物。
【請求項15】
前記フィチン酸を含む組成物は、米ぬかを酵素処理して得た酵素抽出物から製造される、請求項14に記載の抗菌用組成物。
【請求項16】
前記フィチン酸を含む組成物は、分光光度計(spetrophotometer)を使用して420nmで測定した吸光度が0.035-0.15である、請求項14に記載の抗菌用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米ぬかからフィチン酸(phytic acid)を含む組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米ぬかは、稲からもみ殻を取った後玄米から精白米に精白する過程で分離される細かいぬかである。米ぬかには果皮(pericarp)、種皮(seed coat)、及び糊粉層(aleurone layer)などと胚芽(embryo)の一部が含まれてよく、粉砕物の形態を有する。
【0003】
米ぬかからフィチン酸を分離する従来の技術では、米ぬかに塩酸や硫酸などの酸を処理して抽出物を得た後、該抽出物に水酸化ナトリウムを添加して中和させてフィチン酸を含む沈殿物を得る方法を使用する(韓国登録特許 第10-0471558号)。
【0004】
このように、酸を使用して米ぬかからフィチン酸を抽出する方法では、原料である米ぬかに多量のオイルが含有されているので、米ぬかのオイルを除去する脱脂工程が必要であり、脱脂工程を経ずにフィチン酸を製造する場合には、精製工程で不純物として作用して高純度の精製に難しさが発生する。
【0005】
また、米ぬかを酸で抽出した後、中和して得られたフィチン酸を含む沈殿物には、多量のタンパク質が含有されるようになる。その理由は、中和過程で多量のタンパク質がフィチン酸の沈殿に割り込むようになり、米ぬかに存在したオイルもタンパク質と作用して沈殿するようになるからである。フィチン酸の沈殿物に分離の難しいタンパク質が含有されるようになると、精製工程であるイオン交換工程でオイル及びタンパク質の除去が難しくなる。このように残存するタンパク質とオイルは、最終フィチン酸の品質を低下させて保存性を悪くする要因となる。
【0006】
このような従来技術の欠点のために、塩酸や硫酸を使用せずに酵素を用いて米ぬかからフィチン酸を効率よく分離する新しい方法の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0471558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、米ぬかの脱脂工程や、塩酸や硫酸のような強酸(strong acid)処理工程なく、米ぬかからフィチン酸を含有する組成物を製造する方法を開発するために研究努力した。その結果、米ぬかを多糖類分解活性、タンパク質分解活性、又は脂肪分解活性を有する酵素で処理した後に酵素処理物を濾過、中和、及びイオン交換樹脂処理工程を行うと、塩酸や硫酸のような酸を処理する工程を使用しなくても、無機イオンの含量が低くて抗酸化及び抗菌活性の高いフィチン酸含有組成物を製造できることを実験的に確認して本発明を完成した。
【0009】
したがって、本出願の目的は、脱脂工程及び酸処里工程なしに米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法を提供することにある。
【0010】
本出願の他の目的は、無機イオンの濃度が低くて抗酸化活性の高いフィチン酸含有組成物を提供することにある。
【0011】
本出願のさらに他の目的は、発酵微生物に対する抗菌活性を有するフィチン酸含有組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、
本出願の一側面は、次の段階を含む米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法を提供する:
(a)米ぬかを酵素で処理して米ぬかの酵素抽出物を製造する段階;
(b)米ぬか酵素抽出物を中和させて沈殿物を製造する段階;
(c)沈殿物を再溶解させて再溶解物を製造する段階;及び
(d)再溶解物をイオン交換樹脂と接触させる段階。
【0013】
本出願の他の側面は、フィチン酸の含量が全組成物に対して35重量%以上であり、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、PO4
3-、及びSO4
2-のイオンの濃度の総合が0ppm超過400ppm以下である、フィチン酸を含む組成物を提供する。
【0014】
本出願のさらに他の側面は、フィチン酸を含む組成物を有効成分として含む抗菌用組成物であって、
(i)前記フィチン酸を含む組成物は、フィチンの含量が前記フィチン酸含有組成物に対して35重量%以上であり、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、PO4
3-、及びSO4
2-のイオンの濃度の総合が0ppm超過400ppm以下であり、
(ii)バチルスサブチルスに対する抗菌活性を有する、抗菌用組成物を提供する。
【0015】
以下、本出願を詳しく説明する。
【0016】
本出願の一側面において、次の段階(a)~(d)を含む米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法を提供する。
【0017】
段階(a):米ぬかを酵素で処理して米ぬかの酵素抽出物を製造する段階
【0018】
本出願において、米ぬかを酵素で処理して米ぬかの酵素抽出物を得る。本出願において、前記用語「米ぬかの酵素抽出物」は、米ぬかを酵素で処理して得られる米ぬかの酵素処理物を意味し、本明細書においては「米ぬかの酵素抽出物」を「米ぬかの酵素処理物」と同等の意味として用いられる。
【0019】
本出願において、米ぬかに処理する酵素は、多糖類分解活性、タンパク質分解活性、及び脂肪分解活性の一つ以上の活性を有する酵素であってよい。
【0020】
具体的には、前記酵素は、多糖類分解活性を有する酵素であってよく、前記多糖類分解活性は、キシラン分解活性であってよい。より具体的には、前記酵素は、多糖類分解活性及びタンパク質分解活性及び/又は脂肪分解活性を有してよく、前記酵素は、前記2つ以上の活性を有する多酵素複合体(multi-enzyme complex)であってよい。
【0021】
一具現例において、段階(a)で米ぬかに処理する酵素は、ベータ-グルカナーゼ(beta-glucanase)、エンド-1,3(4)-ベータ-グルカナーゼ9(beta-glucanase(endo-1,3(4)-)、セルラーゼ(cellulase)、ヘミセルラーゼ(hemicellulase)、キシラナーゼ(xylanase)、ベータ-キシラナーゼ(beta-xylanase)、エンド-1-4-ベータ-キシラナーゼ(endo-1-4-beta-xylanase)、アミラーゼ(alpha-amylase)、アルファ-アミラーゼ(alpha-amylase)、プルラナーゼ(pullulanase)、リパーゼ(lipase)、及びプロテアーゼ(protease)活性からなる群より選択される一つ以上、より具体的には2つ以上、又は3つ以上の活性を有する酵素であってよい。
【0022】
具体的には、本出願の酵素は、キシラン分解活性、より具体的には、キシラナーゼ(xylanase)、ベータ-キシラナーゼ(beta-xylanase)、又はエンド-1-4-ベータ-キシラナーゼ(endo-1-4-beta-xylanase)活性を有してよく、前記キシラン分解活性以外にベータ-グルカナーゼ(beta-glucanase)、エンド-1,3(4)-ベータ-グルカナーゼ(beta-glucanase(endo-1,3(4)-)、セルラーゼ(cellulase)、ヘミセルラーゼ(hemicellulase)、アミラーゼ(alpha-amylase)、アルファ-アミラーゼ(alpha-amylase)、プルラナーゼ(pullulanase)、リパーゼ(lipase)、及びプロテアーゼ(protease)活性からなる群より選択される一つ以上の活性をさらに有してよい。
【0023】
一具現例において、本出願において使用される酵素は、商業的に販売される酵素を使用してよく、非制限的な例として次の酵素からなる群より選択される一つの酵素又は2つ以上の酵素の組合せを使用してよい:pentopan 500BG、Celluclast 1.5L、Ultraflo Max、Cellic(登録商標)CTec2、Shearzyme plus、Viscoflow MG、Viscoferm、Ondea Pro、Ceremix 6X MG、及びViscozyme L。
【0024】
より具体的な一具現例において、本出願において使用される酵素は、商業的に販売される酵素であってよく、非制限的な例として次の酵素からなる群より選択される一つの酵素又は2つ以上の酵素の組合せであってよい:pentopan 500BG、Ceremix 6X MG、Ultraflo Max、Ondea Pro、Shearzyme plus、及びViscozyme L。
【0025】
一具現例において、米ぬかの酵素処理は、米ぬかに酵素を接触させて酵素が米ぬかと反応するようにする条件で行ってよく、例えば、米ぬか及び酵素を含む酵素処理反応液を製造して行ってよい。
【0026】
前記酵素処理反応液内で米ぬかの含量は、例えば、1-30重量%、1-28重量%、1-27重量%、1-26重量%、2-28重量%、2-27重量%、2-26重量%、3-28重量%、3-27重量%、3-26重量%、5-25重量%、6-25重量%、7-25重量%、8-22重量%、8-20重量%、8-18重量%、8-16重量%、8-14重量%、又は8-12重量%であってよいが、これに限定されない。
【0027】
酵素処理反応液内で酵素の容量は0.1-1重量%であってよい。具体的には、酵素の容量は0.1-0.9重量%、0.1-0.8重量%、0.1-0.7重量%、0.1-0.6重量%、0.2-0.9重量%、0.3-0.9重量%、0.4-0.9重量%、0.2-0.8重量%、0.2-0.7重量%、0.2-0.6重量%、0.3-0.8重量%、0.3-0.7重量%、0.3-0.6重量%、0.4-0.8重量%、0.4-0.7重量%、又は0.4-0.6重量%であってよい。
【0028】
酵素処理反応液でのpHは、使用する酵素の最適のpHを考慮して設定してよく、例えば、4.3-5.5、4.3-5.4、4.3-5.3、4.4-5.5、4.4-5.4、4.4-5.3、4.5-5.5、4.5-5.4、4.5-5.3、4.6-5.5、4.6-5.4、4.6-5.3、4.7-5.5、4.7-5.4、4.7-5.3、4.7-5.2、4.7-5.1、又は4.7-5.0であってよい。
【0029】
酵素処理反応時の温度は、使用する酵素の最適の反応温度を考慮して設定してよく、例えば、35-55℃、36-54℃、37-53℃、38-52℃、又は39-52℃であってよい。
【0030】
酵素処理反応時の反応時間は0.1-16時間、0.5-16時間、1-16時間、1-15時間、1-14時間、1-13時間、1-12時間、1-11時間、1-10時間、1-9時間、1-8時間、1-7時間、1-6時間、1-5時間、0.1-4時間、0.5-4時間、1-4時間、1.2-3.8時間、1.4-3.6時間、1.6-3.4時間、1.8-3時間、1.8-2.8時間、1.8-2.6時間、又は1.8-2.4時間であってよい。
【0031】
一具現例において、本出願は、段階(a)以後及び段階(b)以前に米ぬか酵素抽出物を濾過する段階をさらに含んでよい。
【0032】
前記濾過は、酵素抽出物を適切なメッシュ(mesh)範囲を有するふるい(seive)を通過させて行ってよい。前記メッシュ範囲は10-500mesh、10-400mesh、10-300mesh、10-200mesh、10-100mesh、20-500mesh、50-400mesh、70-300mesh、80-200mesh、90-150mesh、90-120mesh、又は100meshであってよい。
【0033】
他の具現例において、前記濾過時に濾過補助剤を使用してよい。濾過補助剤としては、珪藻土(diatomite)又は酸性白土(acid clay)を使用してよく、好ましくは珪藻土を使用してよい。
【0034】
他の具現例において、前記濾過は、濾過紙(filter paper)を使用して行ってよく、例えば、ワットマン(whatman)濾過紙を使用する濾過過程をさらに含んでよい。
【0035】
段階(b):米ぬか酵素抽出物を中和させて沈殿物を製造する段階
【0036】
本出願において、前記米ぬか酵素抽出物又は濾過された米ぬか酵素抽出物を中和させて沈殿物を得る。
【0037】
一具現例において、米ぬか酵素抽出物の中和は、米ぬか酵素抽出物のpHを7~7.5範囲に調整して行ってよい。
【0038】
他の具現例において、pH調節による米ぬか酵素抽出物の中和は、米ぬか酵素抽出物に酸度調節物質を添加して行ってよく、前記酸度調節物質は、例えば、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、第一リン酸ナトリウム(NaH2PO4)、又は第二リン酸ナトリウム(Na2HPO4)であってよい。
【0039】
他の具現例において、得られた沈殿物は、次の再溶解段階に使用する前に乾燥させてよい。
【0040】
段階(c):沈殿物を再溶解させて再溶解物を製造する段階
【0041】
前記段階(b)で得られた沈殿物を再溶解させる。
【0042】
一具現例において、前記沈殿物の再溶解は、酸性物質を添加して行ってよく、前記酸性物質は、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、及び酒石酸からなる群より選択される一つ以上であってよいが、これに限定されない。
【0043】
一具現例において、前記酸性物質を溶解させた酸性溶液を沈殿物に添加して沈殿物を再溶解させてよい。前記酸性溶液において、酸性物質の濃度は特に限定されず、例えば、0.5-3%の範囲の濃度で使用してよい。
【0044】
具体的な一実施例において、再溶解物は、液状の溶液であってよく、再溶解された液状の溶液には、色素又は異物を除去するために活性炭をさらに処理してよい。
【0045】
段階(d):再溶解物をイオン交換樹脂と接触させる段階
【0046】
前記段階(c)で得られた液状の再溶解物をイオン交換樹脂と接触させて再溶解物溶液中のイオンを除去する。
【0047】
一具現例において、イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、又はこれらすべてを組み合わせて使用してよい。
【0048】
一具現例において、本出願の陽イオン交換樹脂は、スルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂又はカルボン酸基を交換基とする弱酸性陽イオン交換樹脂であってよい。
【0049】
一具現例において、本出願の陰イオン交換樹脂は、4級アンモニウム基を官能基として有する強塩基性陰イオン交換樹脂又は1-3級のアンモニウム基を官能基として有する弱塩基性陰イオン交換樹脂であってよい。
【0050】
一具現例において、前記段階(a)~(d)を含む米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法により製造された組成物は、全組成物に対してフィチン酸が35重量%以上に含まれ、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、PO4
3-、及びSO4
2-のイオンの濃度の総合が0ppm超過400ppm以下である、フィチン酸を含む組成物であってよい。
【0051】
具体的には、前記フィチン酸を含む組成物において、フィチン酸の含量は、全組成物に対して35-60重量%であってよく、より具体的には、全組成物重量に対して35-58重量%、35-57重量%、35-56重量%、35-55重量%、35-54重量%、35-53重量%、35-52重量%、38-58重量%、38-57重量%、38-56重量%、38-55重量%、38-54重量%、38-53重量%、38-52重量%、41-58重量%、41-57重量%、41-56重量%、41-55重量%、41-54重量%、41-53重量%、41-52重量%、44-58重量%、44-57重量%、44-56重量%、44-55重量%、44-54重量%、44-53重量%、44-52重量%、47-58重量%、47-57重量%、47-56重量%、47-55重量%、47-54重量%、47-53重量%、又は47-52重量%であってよい。
【0052】
前記フィチン酸を含む組成物において、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、PO4
3-、及びSO4
2-のイオンの濃度の総合は0ppm超過400ppm以下であってよく、具体的には、10-400ppm、10-390ppm、10-380ppm、10-370ppm、10-360ppm、10-350ppm、10-345ppm、10-344ppm、30-400ppm、30-390ppm、30-380ppm、30-370ppm、30-360ppm、30-350ppm、30-345ppm、30-344ppm、50-400ppm、50-390ppm、50-380ppm、50-370ppm、50-360ppm、50-350ppm、50-345ppm、又は50-344ppmであってよい。
【0053】
本出願の他の側面において、フィチン酸の含量が全組成物に対して35重量%以上を含み、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、PO4
3-、及びSO4
2-のイオンの濃度の総合が0ppm超過400ppm以下である、フィチン酸を含む組成物を提供する。
【0054】
一具現例において、前記フィチン酸を含む組成物は、米ぬかの酵素処理物から製造されたものであってよい。
【0055】
一具現例において、本出願のフィチン酸を含む組成物において、フィチン酸の含量は、全組成物に対して35-60重量%であってよく、より具体的には、全組成物に対して35-58重量%、35-57重量%、35-56重量%、35-55重量%、35-54重量%、35-53重量%、35-52重量%、38-58重量%、38-57重量%、38-56重量%、38-55重量%、38-54重量%、38-53重量%、38-52重量%、41-58重量%、41-57重量%、41-56重量%、41-55重量%、41-54重量%、41-53重量%、41-52重量%、44-58重量%、44-57重量%、44-56重量%、44-55重量%、44-54重量%、44-53重量%、44-52重量%、47-58重量%、47-57重量%、47-56重量%、47-55重量%、47-54重量%、47-53重量%、又は47-52重量%であってよい。
【0056】
一具現例において、前記フィチン酸を含む組成物において、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、PO4
3-、及びSO4
2-のイオンの濃度の総合は0ppm超過400ppm以下であってよく、具体的には、10-400ppm、10-390ppm、10-380ppm、10-370ppm、10-360ppm、10-350ppm、10-345ppm、10-344ppm、30-400ppm、30-390ppm、30-380ppm、30-370ppm、30-360ppm、30-350ppm、30-345ppm、30-344ppm、50-400ppm、50-390ppm、50-380ppm、50-370ppm、50-360ppm、50-350ppm、50-345ppm、又は50-344ppmであってよい。
【0057】
本出願のフィチン酸を含む組成物は、抗酸化用組成物として使用されてよい。
【0058】
本出願のフィチン酸を含む組成物は、褐変度(browning degree)が低い特性を有する。
【0059】
前記褐変度が低い特性は、フィチン酸含有組成物が保存期間の間に透明性を維持する特性が優れているということを意味し、このような組成物を食品添加物として使用する場合、好ましくない色変化を最小化できる効果を現すことができる。
【0060】
一具現例において、前記褐変度は、フィチン酸を含む組成物の吸光度(absorbance)を測定して評価することができる。
【0061】
一具現例において、前記フィチン酸を含む組成物の褐変度は、組成物を分光光度計(spetrophotometer)を使用して420nmで測定した吸光度として表現されてよい。
【0062】
一具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、分光光度計を使用して420nmで測定した吸光度値が0.035-0.15であってよく、より具体的には、0.035-0.15、0.037-0.15、0.04-0.15、0.04-0.14、0.04-0.13、0.04-0.12、0.04-0.11、0.045-0.15、0.045-0.14、0.045-0.13、0.045-0.12、又は0.045-0.11であってよい。この際、前記吸光度測定値は、フィチン酸を含む組成物を製造した直後の測定された値であってよい。
【0063】
他の具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、保存期間0日目に分光光度計を使用して420nmで測定した吸光度値が0.09-0.19であってよく、より具体的には、0.09-0.19、0.1-0.19、0.1-0.18、0.11-0.18、0.11-0.17、0.11-0.16、0.11-0.15、0.11-0.14、又は0.11-0.13であってよい。この際、前記吸光度が測定されるフィチン酸含有組成物は、可溶性固形分含量が40-41 Brixになるように濃縮したものであってよい。
【0064】
他の具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、10℃の温度で15日間保存した後に分光光度計を使用して420nmで測定した吸光度値が0.09-0.19であってよく、より具体的には、0.09-0.19、0.1-0.19、0.1-0.18、0.11-0.18、0.11-0.17、0.11-0.16、0.11-0.15、0.11-0.14、又は0.11-0.13であってよい。この際、前記吸光度が測定されるフィチン酸含有組成物は、可溶性固形分含量が40-41 Brixになるように濃縮したものであってよい。
【0065】
他の具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、10℃の温度で30日間保存した後に分光光度計を使用して420nmで測定した吸光度値が0.09-0.19であってよく、より具体的には、0.09-0.19、0.1-0.19、0.1-0.18、0.11-0.18、0.11-0.17、0.11-0.16、0.11-0.15、0.11-0.14、又は0.11-0.13であってよい。この際、前記吸光度が測定されるフィチン酸含有組成物は、可溶性固形分含量が40-41 Brixになるように濃縮したものであってよい。
【0066】
他の具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、10℃の温度で45日間保存した後に分光光度計を使用して420nmで測定した吸光度値が0.09-0.19であってよく、より具体的には、0.09-0.19、0.1-0.19、0.1-0.18、0.11-0.18、0.11-0.17、0.11-0.16、0.11-0.15、0.11-0.14、又は0.11-0.13であってよい。この際、前記吸光度が測定されるフィチン酸含有組成物は、可溶性固形分含量が40-41 Brixになるように濃縮したものであってよい。
【0067】
他の具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、10℃の温度で60日間保存した後に分光光度計を使用して420nmで測定した吸光度値が0.09-0.19であってよく、より具体的には、0.09-0.19、0.1-0.19、0.1-0.18、0.11-0.18、0.11-0.17、0.11-0.16、0.11-0.15、0.11-0.14又は0.11-0.14であってよい。この際、前記吸光度が測定されるフィチン酸含有組成物は、可溶性固形分含量が40-41 Brixになるように濃縮したものであってよい。
【0068】
他の具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、10℃の温度で75日間保存した後に分光光度計を使用して420nmで測定した吸光度値が0.09-0.19であってよく、より具体的には、0.09-0.19、0.1-0.19、0.1-0.18、0.11-0.18、0.11-0.17、0.11-0.16、0.11-0.15、0.11-0.14、0.11-0.137、又は0.12-0.137であってよい。この際、前記吸光度が測定されるフィチン酸含有組成物は、可溶性固形分含量が40-41 Brixになるように濃縮したものであってよい。
【0069】
他の具体例において、前記フィチン酸を含む組成物は、10℃の温度で0日~75日間保存しながら分光光度計を使用して0日及び75日に420nmで測定した吸光度値の変化値は0.015-0.008、0.014-0.008、0.013-0.008、0.012-0.008、0.011-0.008、0.01-0.008、0.0095-0.008、又は0.0095-0.0085であってよい。この際、前記吸光度値の変化値は、75日で測定した吸光度値から0日で測定した吸光度値を引いた値であり、前記吸光度が測定されるフィチン酸含有組成物は、可溶性固形分含量が40-41 Brixになるように濃縮したものであってよい。
【0070】
より具体的な一具現例において、前記吸光度は、分光光度計(spectrophotometer)U-2900(HITACHI、Co.,Japan)を使用して測定した値であってよい。
【0071】
他の具現例において、前記フィチン酸を含む組成物は、前述した段階(a)~(d)を含む米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法により製造された組成物であってよい。
【0072】
本出願のフィチン酸を含む組成物において、米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法に関する内容は、既に説明された本出願の一側面の内容を援用し、重複して記載しない。
【0073】
本出願の他の側面において、フィチン酸を含む組成物を有効成分として含む抗菌用組成物として、(i)前記フィチン酸を含む組成物は、フィチン酸の含量が前記フィチン酸含有組成物に対して35重量%以上であり、Na+、NH4+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、PO4
3-、及びSO4
2-のイオンの濃度の総合が0ppm超過400ppm以下であり、(ii)バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)に対する抗菌活性を有する、抗菌用組成物を提供する。
【0074】
一具現例において、前記抗菌用組成物のフィチン酸を含む組成物は、米ぬかの酵素処理物から製造されたものであってよい。
【0075】
一具現例において、前記抗菌用組成物のフィチン酸を含む組成物は、前述した段階(a)~(d)を含む米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法により製造された組成物であってよい。
【0076】
一具現例において、前記抗菌用組成物の有効成分であるフィチン酸を含む組成物は、前述した本出願の他の側面であるフィチン酸を含む組成物と同一のものであるので、この組成物に関する内容は前述した組成物に関する説明を援用し、重複して説明しない。
【0077】
本出願の抗菌用組成物において、米ぬかからフィチン酸を含む組成物を製造する方法に関する内容は、既に説明された本出願の一側面の内容を援用し、重複して説明しない。
【0078】
本出願のフィチン酸を含む組成物は、抗酸化活性、発酵微生物に対する抗菌活性、特にバチルスサブチルスに対する抗菌活性を有するので、このような活性が必要な多様な食品に添加する食品添加物として使用されてよい。
【0079】
本出願のフィチン酸を含む組成物は、食品、飼料、生活用品、工業用品など制限なしに適用されてよく、具体的な食品又は飼料の例としては、穀類加工品、野菜、果物、野菜の乾燥製品や切断製品、果物ジュース、野菜ジュース、野菜と果物の混合ジュース、チップ類、麺類、畜産加工食品、水産加工食品、乳加工食品、発酵乳食品、微生物発酵食品、製菓製パン、味付け類、魚/肉加工類、酸性飲み物、加工食品類、簡便食類、甘草類、ハーブ類、昆虫飼料類、家畜飼料類、ペット飼料類などがあるが、これに制限されるものではない。
【0080】
前記魚/肉加工類は、食肉又は魚肉を原料にして加工したハム類、ソーセージ類、ベーコン類、乾燥保存肉類、味付け肉類、包装肉、粉砕加工肉製品、カルビ加工品、食肉抽出加工品、食用牛脂、食用豚脂、魚肉の肉塊などを意味する。
【0081】
前記「食肉」は、牛、豚、羊、ヤギ、ウサギ、ニワトリ、七面鳥、カモ、キジ、ウズラなどの食生活慣習上一般的に使用される肉類と食用可能な臓器類及び副産物であってよいが、これに制限されない。肉加工品の形態としては、滅菌食肉製品、ハム類、プレスハム、混合プレスハム、ソーセージ、混合ソーセージ、乾燥ソーセージ(乾燥混合ソーセージ)、半乾燥ソーセージ(半乾燥混合ソーセージ)、加熱冷凍ソーセージ、ベーコン類、乾燥保存肉、味付け肉、粉砕加工品、カルビ加工品、包装肉、及びその他食肉加工品などを含み、これに制限されない。
【0082】
本出願のフィチン酸を含む組成物が用途に合うように使用される場合、用途に合うように便利で好適な方法で液状、固状、パウダー状などに多様に製剤化されてよい。
【0083】
本出願の組成物は、製造工程時に原料とともに配合してよく、食品を本出願の組成物に浸すか、浸した後にかき混ぜるか、組成物を吹きかけるか、直接混合することで、これを食品に均等に適用されるようにできる。
【発明の効果】
【0084】
本出願によれば、米ぬかの脱脂工程が必要なく、塩酸や硫酸のような強酸を使用せずに、米ぬかからフィチン酸を含む組成物を効率よく製造することができる。
【0085】
本出願により製造されるフィチン酸を含む組成物は、無機イオンの濃度が低くて抗酸化活性が高く、発酵微生物に対する抗菌活性を有するので、発酵微生物の制御に使用することができる。
【0086】
ただし、本出願の効果は、前記で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】製造例2の本出願のフィチン酸含有溶液と他社製品1(硫酸処理方法)、他社製品2(塩酸処理方法)の比較写真である。
【
図2】発酵微生物に対する本出願の米ぬか抽出物の抗菌効果をディスク拡散法で測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下、本出願を実施例により詳しく説明する。ただし、下記実施例は、本出願を具体的に例示するものであり、本出願の内容が下記実施例により限定されない。
【実施例1】
【0089】
[製造例1]米ぬかの酵素抽出物の製造
【0090】
1.米ぬかの酵素処理
米ぬかは、精白後冷蔵保管されたものに購入して品質が変わらないように冷凍保管した後に実験材料として使用した。
【0091】
ベータ-グルカナーゼ(beta-glucanase)、セルラーゼ(cellulase)、キシラナーゼ(xylanase)、ベータ-キシラナーゼ(beta-xylanase)、アミラーゼ(amylase)、アルファ-アミラーゼ(alpha-amylase)、プルラナーゼ(pullulanase)、プロテアーゼ(protease)活性を有する酵素(Novozyme A/S)を米ぬかに処理して米ぬかの酵素処理抽出物を製造した。下記表1に実験に使用された酵素を記載した。
【0092】
【0093】
米ぬかに酵素を処理するために、酵素、米ぬか、及び精製水を含む米ぬかの酵素処理反応液を準備した。酵素のpH範囲及び温度は、製造社(Novozyme A/S)で提供される酵素の活性pH範囲と活性温度を考慮して設定した。酵素処理反応液のpHは、0.3%のクエン酸を添加して調節し、全酵素処理反応液に基づいて米ぬか10重量%、酵素0.5重量%を使用し、処理時間は13-14時間に固定した。使用した各酵素処理反応の反応条件は、下記表2に記載した。
【0094】
【0095】
2.固形分含量測定
米ぬかを酵素で処理して得た、米ぬか酵素処理抽出物(以下、「米ぬか酵素抽出物」又は「米ぬか抽出物」とも記載する)において、可溶性固形分の含量をATAGO糖度計RX-5000αを用いて測定した。使用した酵素による米ぬか抽出物の固形分の含量は、下記表3に示した。
【0096】
【0097】
酵素の特徴中、キシラン(xylan)を分解するキシラナーゼ(xylanase)特性を有し、酵素の力価の高い処理群で固形分含量が高く示された。単一活性の酵素よりは複合活性を有する酵素で処理した群で固形分含量がさらに高く示された。
【0098】
3.総ポリフェノール含量及びDPPHラジカル消去活性の測定
総ポリフェノール含量の測定は、Folin-Ciocalteu法を用いて測定した。Microtubeに一定の濃度に希釈させたサンプル0.1mlに50%Foiln-Ciocalteu reagent 0.05mlを混合して3分間室温に反応した。反応後、2%Na2CO3溶液 0.15mLを添加して30分間室温に追加反応させた後、Microplate reader(M2、Molecular Device、Canada)を使用して700nm吸光度で測定した。Standard stockは、Gallic Acidを使用し、50、60、70、80、100mg/Lで標準検量曲線を作成した。
【0099】
DPPHラジカル消去活性の測定は、Blois方法を用いて測定した。4mMのDPPH(DPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl、Sigma Chemical Co.)エタノール溶液を製造して吸光度を1.000±0.1に調節後使用した。すなわち、それぞれの試料0.2mLを試験管に加え、DPPH溶液2.8mLを混合して10分間反応させた後、517nmでMicroplate reader(M2、Molecular Device、Canada)を用いて測定した。次の式からDPPH radical消去活性を計算した。
DPPH radical scavenging activity(%)=[1-(A/B)]X100
(A:サンプル添加群の吸光度、B:サンプル無添加群の吸光度)
【0100】
米ぬか抽出物の総ポリフェノール含量とDPPHラジカル消去活性の測定結果は、下記表4の通りである。
【0101】
【0102】
酵素によりセルロースが分解されながら細胞壁内に存在している多くの機能性成分が抽出されて出たものと見られ、その中にポリフェノール成分も抽出され、総ポリフェノールの含量が高く示したことを確認した。最も高いポリフェノール含量が測定された酵素はceremix 6x MGであり、Ultraflo Maxも高く示された。また、抗酸化効果を現すDPPHラジカル消去活性は94.14-90.46%と高く示され、総ポリフェノールの含量と比例しないと示された。
【0103】
4.フェノール化合物の分析
米ぬか酵素抽出物内にあるポリフェノールの構成成分を確認するために、フェノール化合物を分析した。フェノール化合物の分析は、HPLC(Agilent Technologies、1260 infinity II、USA)を使用した。サンプルとして米ぬか抽出物20uLを使用し、カラムはHPLC column(Eclipse XDB-C18、4.6X250mm、5um.)検出器はDAD(Agilent Technologies、1260 infinity II USA)で波長280nmを使用した。移動相としてはMethanol(A)と50mM sodium hydrogen phosphate(Na2HPO4/pH2.5、Phosphoric acid)(B)を30:70にして使用し、移動相の流速は1.0ml/min、カラム温度は40℃に設定して30分間分析した。標準物質は1、3、5、6、8、10mg/Lの濃度に製造して標準検量曲線にした。フェノール化合物を分析した結果は、下記表5に示した。
【0104】
【0105】
5.フィチン酸含量の測定
米ぬか抽出物内のフィチン酸の含量を測定した。フィチン酸含量測定に使用された指示薬は、蒸留水100mLに300mg sulfosalicylic acidと30mg Ferric chloride hexahydrate(wade reagent)を作って2-4℃に保管しながら使用した。すなわち、試料を希釈して15mlコニカルチューブ(conical tube)に希釈液3mLとウェード試薬(wade reagent)1mLを混合して遠心分離機(centrifuge)で3000rpm、10℃、10分間遠心分離した後、吸光度500nmで測定した。標準物質は、米から得たフィチン酸ナトリウム塩水化物(phytic acid sodium salt hydrate)を使用して、100mg/L標準物質ストック(standard stock)を作った後、0、20、40、60、80、100mg/Lで標準検量曲線にした。処理した酵素による米ぬか抽出物のフィチン酸含量の測定結果は、下記表6に記載した。
【0106】
【0107】
米ぬかには、フィチン酸がMg2+、K+、Ca2+などのイオンと結合した塩混合物の形態に存在することが知られている。酵素を処理して抽出した米ぬか抽出物には、粗フィチン酸塩の形態に0.24-0.97重量%の含量でフィチン酸が含まれたものと示された。この値は、酵素処理原料米ぬか100gに換算した時に2.14-8.76重量%のフィチン酸含量である。
【実施例2】
【0108】
[製造例2]フィチン酸含有溶液の製造
【0109】
前記製造例1でフィチン酸の含量が高く抽出された酵素と抽出物の抗酸化効果が高いものと確認された酵素とを使用してフィチン酸を含有する溶液を製造した。米ぬかを酵素で処理した後、濾過、中和、沈殿、再溶解、精製、及び濃縮過程を経てフィチン酸含有溶液を製造した。
【0110】
1.酵素の処理
酵素処理は、下記表7に示された条件下で進行した。酵素の処理時間を1、2、4時間にそれぞれ異なるように処理した後、90℃で10分間不活性化した。
【0111】
【0112】
2.酵素処理時間によるフィチン酸含量の測定
米ぬかを酵素処理して得た酵素抽出物において、酵素処理時間(抽出時間)によるフィチン酸の含量を測定した。フィチン酸の含量は、製造例1で説明された方法と同一の方法を使用して測定し、フィチン酸含量の測定結果は、下記表8に示した。
【0113】
【0114】
抽出時間によるフィチン酸の含量変化を確認した結果、抽出初期には低い含量を示し、抽出時間が増加しながら含量も増加すると示された。大部分の酵素において、抽出2時間で0.618-0.726%と高く抽出されたが、Ceremix 6X MGでは0.397%と低く抽出され、減少する傾向を示した。抽出4時間には、すべての酵素処理群でフィチン酸の含量が低くなることが見られた。よって、酵素を使用して米ぬか抽出物を抽出する時には、抽出時間が長くなるとむしろ抽出の効率が低下することを確認した。
【0115】
3.粗フィチン酸塩固形物の分離及び金属イオンの除去
米ぬかを酵素処理して得た米ぬか酵素抽出物を、100mesh標準体を用いて1次濾過を進行した。濾過された抽出物は、抽出物全重量に対して5重量%の珪藻土を濾過補助剤として使用して、Buchner funnelにWhatman No2.濾過紙を敷いて2次濾過を進行した。2次濾過された抽出物は、NaHCO3を使用してpHを7.00-7.50の範囲に中和させた。中和された抽出物は、12時間放置して沈殿を誘導し、沈殿された抽出物を再びBuchner funnelにWhatman No2.濾過紙を敷いて濾過して沈殿物のみ分離した。分離した沈殿物は、60℃のドライオーブン(dry oven)で完全乾燥して粗フィチン酸塩の固形物を分離した。粗フィチン酸塩は、フィチン酸の塩の形態であって、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、又はナトリウムの塩の形態であり、主成分はフィチン酸のカルシウム塩とマグネシウム塩である。
【0116】
乾燥により得られた粗フィチン酸塩の形態である固形物は、1%クエン酸溶液に再溶解させて液状に製造し、ここに色素及び異物を除去するために活性炭を処理した。続いて、陽イオン交換樹脂を用いて金属イオンを除去した後、真空濃縮器を介して可溶性固形分を基準に40 Brixになるように濃縮してフィチン酸含有溶液を製造した。金属イオンの除去に使用された陽イオン交換樹脂は、TRILITE MC-08(Samyang.co.,korea)イオン交換樹脂を使用し、イオン交換樹脂の仕様は、下記表9の通りである。
【0117】
【0118】
4.無機イオン含量の分析
イオン交換樹脂を用いて精製したフィチン酸含有溶液で残留する無機質の含量を、無機イオン分析を介して確認した。
【0119】
無機イオンの分析は、イオンクロマトグラフィーMetrohm MagIc Net systemを使用してConductivity Detectorを使用して検出した。陰イオン分析に使用されたカラムは、Metrosep A supp 5 column(Metrohm、150x4mm)を使用し、移動相としては3.2mM炭酸ナトリウム(sodium carbonate)と1.0mM重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)が含まれた溶液を0.7mL/minの流速で流し出した。陽イオンの分析に使用されたカラムは、Metrosep C4 column(Metrohm、150x4mm)を使用し、移動相としては0.7mMのジピコリン酸(dipicolinic acid)と1.7mMの硝酸(nitric acid)とが混合した溶液を0.9mL/min流し出した。試料の前処理方法は、試料液0.1mLに蒸留水9.9mLを入れて十分に混合した後、遠心分離(10,000rpm、10min、4℃)過程を経てその上澄み液を0.25um syringe filterで濾過した後、10uLを注入して分析した。
【0120】
イオン交換樹脂精製前の無機イオンの分析結果は下記表10に示し、イオン交換樹脂精製後の無機イオンの分析結果は、下記表11に示した。
【0121】
【0122】
【0123】
一般的に酵素作用において、金属イオンは、触媒剤として用いられるか酵素の機能に構造的に役に立てて活性を高めることと知られている。大部分の陽イオンの形態であるNa+、K+、Ca2+、Mg2+などが作用すると知られており、酵素を用いて抽出した米ぬか抽出物の場合、金属イオンが酵素の種類及び作用機作に応じて一部用いるか用いられなかったと思われ、これは精製の効率化の側面でも役に立ったと見られる。相対的にイオン交換樹脂で精製した後の金属イオンの濃度は減少し、一般的に酸を用いて抽出する方法は、酵素を用いた抽出法に比べて残留する金属イオンの成分が高く示された。また、酸を主な抽出溶媒として使用して抽出した溶液で金属イオンの残存率が高いと示された。
【実施例3】
【0124】
[実験例1]抗酸化能の測定-DPPHラジカル消去活性及び褐変度の測定
【0125】
製造例2で製造したフィチン酸含有溶液に対してDPPHラジカル消去活性と褐変度を測定した。
【0126】
DPPHラジカル消去活性の測定は、Blois方法を用いて測定した。4mMのDPPH(DPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl、Sigma ChemicalCo.)エタノール溶液を製造して吸光度を1.000±0.1に調節後使用した。すなわち、それぞれの試料0.2mLを試験管に加え、DPPH溶液2.8mLを混合して10分間反応させた後、517nmでMicroplate reader(M2、Molecular Device、Canada)を用いて測定した。次の式からDPPH radical消去活性を計算した。
DPPH radical scavenging activity(%)=[1-(A/B)]X100
(A:サンプル添加群の吸光度、B:サンプル無添加群の吸光度)
【0127】
フィチン酸含有溶液に対する褐変度を測定するために、溶液を製造した直後濃縮せず、分光光度計(spectrophotometer)(U-2900、HITACHI、Co.,Japan)を使用して420nmで吸光度を測定した。DPPHラジカル消去活性と褐変度の測定結果は、下記表12に示した。
【0128】
【0129】
表12で示したように、抗酸化活性を示すDPPH消去活性は、抽出に使用されたすべての酵素で高い数値を示した。使用した酵素のうち、Ultroflo Maxは80.57%で最も高く、Shearzyme plusが最も低い効果を示した。褐変度は、使用した酵素の種類に関係なくすべて類似の水準であった。また、保存期間によるフィチン酸含有溶液の褐変度の変化を調べるために、金属イオンを除去して得るフィチン酸含有溶液のうち、フィチン酸の高い含量で抽出されたUltraflo Max処理溶液を得て、これを40-41 Brixの濃度に濃縮した後、10℃の温度で保存しながら15日間隔で吸光度(Abs)を測定して溶液の色相の変化を確認した。この際、対照群として塩酸抽出法と硫酸抽出法を使用して得たフィチン酸含有溶液を同じ条件で吸光度を測定して比べた。各溶液の吸光度の測定結果は、下記表13に示した。
【0130】
【0131】
酵素処理して得たフィチン酸含有溶液の褐変度を確認した結果、保存期間による変化は大きくないと示された。具体的には、酵素処理抽出法で得たフィチン酸含有溶液の場合、0日目に測定した吸光度は0.123であり、75日目に測定した吸光度は0.132であって0.009増加したのに対し、塩酸抽出法で得たフィチン酸含有溶液は、0日目に測定した吸光度は0.195であり、75日目に測定した吸光度は0.228であって0.033増加し、硫酸抽出法で得たフィチン酸含有溶液は、0日目に測定した吸光度は0.285であり、75日目に測定した吸光度は0.305であって0.02増加し、酵素処理抽出法で得たフィチン酸含有溶液の褐変度の変化(軽視的色相の変化)が最も低い水準であることを確認することができた。
【実施例4】
【0132】
[実験例2]フィチン酸の含量、抗酸化能及び透明度の測定
【0133】
製造例2で製造したフィチン酸含有溶液において、フィチン酸の含量を測定し、硫酸又は塩酸を使用して製造したフィチン酸含有他社製品1(硫酸処理方法)及び他社製品2(塩酸処理方法)に対してフィチン酸の含量を測定して下表14に示した。
【0134】
また、製造例2で製造したフィチン酸含有溶液と酸を使用して製造した他社製品の抗酸化能をDPPHラジカル消去能及びABTS分析法を介して測定した。DPPHラジカル消去能は、実験例1で説明された方法と同一の方法で測定した。
【0135】
ABTS分析方法は、Re et al.の方法(ReR.,N.Pellegrini、A.Proteggente、A.Pannala、M.Yang and C.Rice-Evans 1999、Free Radic Biol Med.26:1231-1237.)を変形して測定した。ABTS溶液は、7.4mM ABTSと2.45mM K2S2O8を含むABTS溶液に試料を混合して室温で6分間反応させた後、734nmで吸光度を測定した。
【0136】
フィチン酸含有溶液と他社製品の抗酸化能の測定結果は、下記表14に示した。測定結果で示されたように、本出願の製造例2のフィチン酸含有溶液の抗酸化能が他社製品に比べて優れたことを確認することができる。
【0137】
【0138】
また、
図1には、製造例2のフィチン酸含有溶液と他社製品1(硫酸処理方法)、他社製品2(塩酸処理方法)の比較写真を示した。
図1から本出願の製造例2のフィチン酸含有溶液が、酸を処理して製造した他社製品1及び他社製品2よりも褐変度が低くて透明度に優れたことが分かる。
【0139】
[実験例3]抗菌活性の測定
【0140】
製造例2のフィチン酸含有溶液が発酵微生物に対する制御活性を有するか否かを確認するために、発酵微生物に対する抗菌効果を測定した。酵素を用いて抽出した米ぬか抽出物のうち、フィチン酸含量が最も高く、抗酸化効能が高かったUltraflo Maxを処理して製造した、フィチン酸含有溶液が発酵微生物に対する抗菌効果を保有するか否かを確認した。対照群としては酸を処理して製造した米ぬか抽出物を使用した。
【0141】
1.菌株培養
実験に使用した菌株は、キムチ由来の乳酸菌であるラクトバチルスサケイ(Lactobacillus sakei)KCTC3598とリューコノストックメセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)KCTC3505菌株をMRS Brothを培養培地にして35℃条件で24時間ごとに継代培養し、伝統醤類から由来した微生物であるバチルスサブチルス(Bacillus subtilis)KCTC1021をTSBを培養培地にして35℃、嫌気状態で24時間ごとに継代培養した。
【0142】
2.ディスク拡散法(Paper disc diffusion method)
サンプルの抗菌活性を測定するために、ディスク拡散法(paper disc diffusion)を実施して各菌株に対する生育阻止環を確認した。ラクトバチルスサケイ(Lactobacillus sakei)KCTC3598、リューコノストックメセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)KCTC3505は、0.5 McFarland standardで濁度を調節してMRS broth培地を含めてMRS agar培地上に入れて注いだ。培地が固くなるとサンプル溶液を含む直径8mmペーパーディスク(paper disc)を載せ、35℃で24時間培養した後に形成された生育阻止環の大きさを測定した。バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)KCTC1021は、0.5 McFarland standardで濁度を調節してTS broth培地を含んだ後、TS agar培地上に注いだ。培地が固くなるとサンプル溶液を含む直径8mmペーパーディスク(paper disc)を載せ、37℃で48時間嫌気培養した後に形成された生育阻止環の大きさを測定した。
【0143】
3.最小抑制濃度(minimum inhibitory concentration)
最小抑制濃度(MIC)は、微生物の成長を阻む抗生物質の最小濃度を意味することから、微生物に対するMIC値が低いほどサンプル物質はその微生物に対する感受性が高いと言える。MIC測定は、液体培地希釈法を変形して使用した。96 well-plateにtwo-fold-dilution法でサンプルの濃度を2倍ずつ薄めた培地100uLと1.0X106CFU/mLに調節した菌100uLとを入れて35℃で24時間培養し、菌の増殖が示されない最小濃度を確認した。
【0144】
4.最小死滅濃度(mimimum bacterial concentration)
MICは、菌の最小抑制濃度として菌がすべて死滅したことを意味するものではないので、菌の最小死滅濃度(MBC)を確認するために、MIC値以上のサンプル培養液を固体培地に画線塗抹して培養した後、colonyの形成可否を確認して菌が全く育たない濃度をMBC値にした。MICを進行した96ウェルプレート(well plate)でloopを使用してサンプル培養液を刷り出して35℃で24時間培養して最小死滅濃度を確認した。
【0145】
5.抗菌効果の測定結果-ディスク拡散法
発酵微生物に対する抗菌効果を確認するために、菌の生育阻止環であるクリアゾーン(clear zone)(mm)を測定した結果は、下記表15及び
図2に示した。
【0146】
【0147】
ラクトバチルスサケイ(Lactobacillus sakei)は、1.05mm-1.31mmの生育阻止環を示して抽出方法間に有意差を示しておらず、リューコノストックメセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)では0.48mm-0.62mmの生育阻止環を示して硫酸(H2SO4)を用いた抽出方法で抗菌効果が最も大きく示された。バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)では、酵素を用いた抽出法が最も良い生育阻止環を示して抗菌効果が最も高いと示された。
【0148】
6.抗菌効果の測定結果-最小抑制濃度及び最小死滅濃度
米ぬか抽出物の最小抑制濃度と最小死滅濃度を確認した結果は、下記表16の通りである。
【0149】
【0150】
抗菌効果を現す米ぬか抽出物の濃度は、ディスク拡散法でも示されたように、各抽出法で類似の傾向を示した。ラクトバチルスサケイ(Lactobacillus sakei)に対しては、すべての抽出方法の抽出物の最小抑制濃度が625ul/ml濃度と示され、最小死滅濃度は、塩酸(HCl)抽出法を除いて1250ul/ml濃度に増加した。リューコノストックメセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)に対しては、硫酸(H2SO4)抽出法を除いたすべての抽出法で312ul/ml濃度が最小抑制濃度であったが、最小死滅濃度は、それよりも高い1250ul/ml濃度に増加した。バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)に対しては、最小抑制濃度と最小死滅濃度の両方も625ul/ml濃度を示し、発酵微生物のうち、最も低い濃度で抗菌効果を現した。
【0151】
前記のような抗菌実験結果、酵素処理方法により得られるフィチン酸含有米ぬか抽出物が酸処理法で得た米ぬか抽出物と同等であるかより優れた発酵微生物抗菌活性を示したことを確認することができた。本出願の酵素処理方法によるフィチン酸含有米ぬか抽出物が発酵微生物の成長と死滅を調節することで、発酵微生物による発酵程度を調節できる調節物質として活用され得る。
【0152】
以上、本出願の代表的な実施例を例示的に説明したが、本出願の範囲は、前記のような特定の実施例のみ限定されず、当該分野における通常の知識を有する者であれば、本出願の請求範囲に記載された範疇内で適宜変更が可能である。
【国際調査報告】