(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】ポリアミック酸組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 73/14 20060101AFI20241025BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20241025BHJP
C08L 79/08 20060101ALI20241025BHJP
【FI】
C08G73/14
C08K3/36
C08L79/08 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525129
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 KR2022016475
(87)【国際公開番号】W WO2023075411
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0143526
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520160738
【氏名又は名称】ピーアイ・アドバンスド・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギョン・ヒョン・ロ
(72)【発明者】
【氏名】ギョン・ミン・ムン
(72)【発明者】
【氏名】イク・サン・イ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
4J002CM041
4J002DJ016
4J002FB126
4J002FB146
4J002FD016
4J002GQ01
4J043QB15
4J043QB26
4J043RA06
4J043RA35
4J043SA06
4J043SB01
4J043TA22
4J043TB01
4J043UA122
4J043UA131
4J043UB121
4J043XA08
4J043YA06
4J043ZA46
4J043ZB48
(57)【要約】
本発明は、ポリアミック酸組成物及びその製造方法に関し、本発明によるポリアミック酸組成物を用いたポリイミドは、耐熱性や機械的強度を維持しながら、絶縁破壊電圧性能やコロナ放電開始電圧に優れており、本発明によるポリアミック酸組成物を用いて製造されたポリイミド被覆物は、電圧耐久特性に優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアンヒドリドモノマー成分とジアミンモノマー成分から誘導された重合単位を有するポリアミック酸及び
ナノ粒子分散液を含む、ポリアミック酸組成物。
【請求項2】
前記ナノ粒子分散液は、ケイ素含有化合物で表面改質されたナノ粒子を含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項3】
前記ケイ素含有化合物は、炭素数1~4のアルコキシまたはアルキル基を少なくとも1つ含む、請求項2に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項4】
前記ケイ素含有化合物は、有機シランまたは有機シロキサンである、請求項2に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項5】
前記有機シランは、少なくとも1つの炭素数1~4のアルコキシ基を含み、エポキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキル基及び炭素数6~20のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基をさらに含む、請求項4に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項6】
前記有機シロキサンは、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~20のアリール基を含む直鎖または環状化合物である、請求項4に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子分散液は、表面に下記(A)及び(B)の化合物が結合したナノ粒子を含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物:
(A)末端に少なくとも1つの炭素数6~20のアリール基を含む化合物、及び
(B)末端に少なくとも1つのアミン基、ヒドロキシ基、チオール基またはエポキシ基を含む化合物。
【請求項8】
前記(A)化合物は、フェニルトリメトキシシラン(Phenyltrimethoxysilane:PTMS)または、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(N-Phenyl-3-aminopropyltrimethoxysilane:PAPTES)であり、
前記(B)化合物は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyl trimethoxysilane:GPTMS)または、アミノプロピルトリメトキシシラン((3-Aminopropyl)trimethoxy-silane:APTMS)である、請求項7に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項9】
前記ナノ粒子分散液は、ナノシリカを含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項10】
ナノ粒子分散液は、平均粒子径が1~200nmのナノ粒子を含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項11】
ナノ粒子分散液は、ジアンヒドリドモノマー成分及びジアミンモノマー成分の合計100重量部に対して1~30重量部のナノ粒子を含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項12】
前記ナノ粒子分散液は、金属イオンを3000ppm以下で含有する、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項13】
ジアンヒドリドモノマー成分は、ピロメリティックジアンヒドリド(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(s-BPDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(a-BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンヒドリド(BTDA)、オキシジフタリックジアンヒドリド(ODPA)、4,4-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンヒドリド(6-FDA)及びp-フェニレンビス(トリメリテートアンヒドリド)(TAHQ)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項14】
ジアミンモノマー成分は、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)、1,3-ジアミノベンゼン(MPD)、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4’-メチレンジアミン(MDA)、4,4-ジアミノベンズアニリド(4,4-DABA)、N,N-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン-1,4-ジカルボキサミド(BPTPA)、2,2-ジメチルベンジジン(M-TOLIDINE)、2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)、1,4-ビスアミノフェノキシベンゼン(TPE-Q)、ビスアミノフェノキシベンゼン(TPE-R)、2,2-ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)及び2,2-ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項15】
硬化後の380nm~770nmにおける光透過率が40%以上である、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項16】
前記ナノ粒子分散液は、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルプロピオンアミド(DMPA)、p-クロロフェノール、o-クロロフェノール、N-メチル-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジグリム(Diglyme)及びナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機溶媒を含む、請求項1に記載のポリアミック酸組成物。
【請求項17】
ジアンヒドリドモノマー成分、ジアミンモノマー成分、溶媒及びナノ粒子分散液を混合及び加熱する段階を含む、ポリアミック酸組成物の製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載のポリアミック酸組成物を用いて製造されたポリイミド被覆物。
【請求項19】
ポリイミド被覆物は、請求項1に記載のポリアミック酸組成物を1~40重量%含む、請求項18に記載のポリイミド被覆物。
【請求項20】
請求項18に記載のポリイミド被覆物を含む電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミック酸組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミド(polyimide,PI)は、ジアンヒドリドとジアミンまたはジイソシアネートを溶液重合して形成されたイミドモノマーのポリマーで、イミド環の化学的安定性に基づいて優れた強度、耐化学性、耐候性、耐熱性などの機械的特性を持つ。さらに、ポリイミドは絶縁特性、低誘電率などの優れた電気的特性により電子、通信、光学など広範囲な産業分野に適用可能な高機能性高分子材料として脚光を浴びている。
【0003】
前述したポリイミドの優れた耐熱性及び低い誘電率を用いて導体の被覆用物質として使用しようとする試みがある。すなわち、導体を被覆する絶縁層(被覆)には、優れた絶縁性、導体に対する密着性、耐熱性及び機械的強度などが要求されるが、ポリイミドはこのような特性をほとんど満たすことができる。
【0004】
ただし、絶縁層又は被覆物のうち適用電圧の高い電気機器、例えば高電圧で使用されるモータなどには、電気機器を構成する絶縁電線に高電圧が印加されるが、このような高電圧に対応できる電圧耐久特性に優れたポリイミドは、いまだに開発が必要なのが実状である。
【0005】
具体的には、高電圧が印加される被覆表面には部分放電(コロナ放電)が生じやすく、コロナ放電の発生により局部的な温度上昇やオゾンまたはイオンの発生が引き起こされると、絶縁電線の被覆に劣化が生じることにより早期に絶縁破壊を起こし、電気機器の寿命が短くなることがある。したがって、導体の被覆用物質、特に高電圧が印加される被覆物としてポリイミドを使用するためには、絶縁破壊電圧性能やコロナ放電開始電圧などの電圧耐久特性の向上が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような従来技術の問題点と技術的課題を解決することを目的とする。本発明は、電圧耐久特性に優れたポリイミドを製造しうるポリアミック酸組成物を提供する。本発明は、耐熱性や機械的強度を維持しながら、絶縁破壊電圧性能やコロナ放電開始電圧に優れたポリアミック酸組成物及びそれを用いたポリイミドを提供しうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリアミック酸組成物及びその製造方法に関する。前記ポリアミック酸組成物を硬化すると、ポリイミドを製造することができ、本発明によるポリアミック酸組成物を用いたポリイミドは、導体被覆用に適用されてもよい。したがって、本発明は、ポリイミド被覆物を提供する。
【0008】
前記ポリアミック酸組成物は、ジアンヒドリドモノマー成分とジアミンモノマー成分から誘導された重合単位を有するポリアミック酸及びナノ粒子分散液を含む。
【0009】
本出願によるジアミンモノマー成分は、例えば、芳香族ジアミンとして、以下のように分類して例を挙げることができる。
【0010】
1)1,4-ジアミノベンゼン(またはパラフェニレンジアミン,PDA)、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、または3,5-ジアミノベンゾイクアシッド(またはDABA)などのように、構造上1つのベンゼン核を有するジアミンであって、相対的に剛直な構造のジアミン、
2)4,4’-ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアミン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジクロロベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン(またはo-トリジン)、2,2’-ジメチルベンジジン(またはm-トリジン)、3,3’-ジメトキシベンジジン、2,2’-ジメトキシベンジジン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、(またはオキシジアニリン、ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロペン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、または4,4’-(1,3-プロパンジイル)ジオキシジアニリン(PDDA)などのように、構造上2つのベンゼン核を有するジアミン、
3)1,3-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(またはTPE-Q)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(またはTPE-Q)、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)-4-トリフルオロメチルベンゼン、3,3’-ジアミノ-4-(4-フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジ(4-フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)イソプロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(3-アミノフェニル)イソプロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-アミノフェニル)イソプロピル]ベンゼン、または[3-(4-アミノベンゾイル)オキシフェニル]4-アミノベンゾアート(p-BABB)などのように、構造上3つのベンゼン核を有するジアミン、
4)3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]メタン、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[3-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロペン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロペン、または2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどのように、構造上4つのベンゼン核を有するジアミン。
【0011】
例えば、本発明によるジアミンモノマー成分は、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)、1,3-ジアミノベンゼン(MPD)、2,4-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4’-メチレンジアミン(MDA)、4,4-ジアミノベンズアニリド(4,4-DABA)、N,N-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン-1,4-ジカルボキサミド(BPTPA)、2,2-ジメチルベンジジン(M-TOLIDINE)、2,2-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFDB)、1,4-ビスアミノフェノキシベンゼン(TPE-Q)、ビスアミノフェノキシベンゼン(TPE-R)、2,2-ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)及び2,2-ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
一方、本出願によるポリイミド樹脂に含まれるジアンヒドリドモノマー成分は、芳香族テトラカルボン酸ジアンヒドリドであってもよい。前記ジアンヒドリドモノマー成分は、芳香族環が1個または2個以上でもよい。芳香族環の個数の上限は、例えば、5個であってもよい。
【0013】
前記芳香族テトラカルボン酸ジアンヒドリド成分は、ピロメリティックジアンヒドリド(またはPMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(s-BPDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(a-BPDA)、オキシジフタリックジアンヒドリド(ODPA)、ジフェニルスルホン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸ジアンヒドリド(DSDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィドジアンヒドリド、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンヒドリド、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンヒドリド(BTDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタンジアンヒドリド、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパンジアンヒドリド、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸アンヒドライド)(TAHQ)、p-ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸アンヒドリド)、m-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸ジアンヒドリド、p-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸ジアンヒドリド、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼンジアンヒドリド、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼンジアンヒドリド、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ビフェニルジアンヒドリド、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパンジアンヒドリド(BPADA)、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸ジアンヒドリド、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジアンヒドリドまたは4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸ジアンヒドリド(6-FDA)などが挙げられる。
【0014】
例えば、本発明によるジアンヒドリドモノマー成分は、ピロメリティックジアンヒドリド(PMDA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(s-BPDA)、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ジアンヒドリド(a-BPDA)、オキシジフタリックジアンヒドリド(ODPA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンヒドリド(BTDA)、p-フェニレンビス(トリメリテートアンヒドリド)(TAHQ)及び4,4-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンヒドリド(6-FDA)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0015】
一例において、前記ナノ粒子分散液は、ナノ粒子が分散された有機溶媒であってもよい。前記ナノ粒子はナノサイズの粒子であり、金属酸化物などの無機材料を含む。例えば、ナノ粒子はシリカ、ジルコニア、またはこれらの混合物を含んでもよい。具体的には、本発明によるナノ粒子は、ナノサイズの二酸化ケイ素(SiO2)粒子(ナノシリカ)であってもよい。
【0016】
前記ナノ粒子分散液は、平均粒子径が1~200nmのナノ粒子を含んでもよく、例えば、ナノ粒子の平均粒子径は、1~150nm、1~100nm、10~100nm、10~50nm、10~40nm、10~30nmまたは10~25nmであってもよい。
【0017】
また、前記ナノ粒子分散液は、ケイ素含有化合物で表面改質されたナノ粒子を含んでもよい。一例において、ケイ素含有化合物は、炭素数1~4のアルコキシまたはアルキル基を少なくとも1つ含んでもよい。例えば、前記ケイ素含有化合物は、メトキシ基、エトキシ基、メチル基またはエチル基を少なくとも1つ含んでもよい。
【0018】
さらに他の例において、前記ケイ素含有化合物は、有機シランまたは有機シロキサンで表面改質されたナノ粒子を含んでもよい。
【0019】
前記有機シランは、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3-(メタクリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3-(アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3-(メタクリルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-トリルトリエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン及びビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0020】
前記有機シランは、少なくとも1つの炭素数1~4のアルコキシ基を含み、エポキシ基、アミノ基、炭素数1~4のアルキル基及び炭素数6~20のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基をさらに含んでもよい。
【0021】
具体的には、前記有機シランは、メトキシシランまたはエトキシシランを含んでもよく、例えば、有機シランは、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyl trimethoxysilane:GPTMS)、アミノプロピルトリメトキシシラン((3-Aminopropyl)trimethoxy-silane:APTMS)、フェニルトリメトキシシラン(Phenyltrimethoxysilane:PTMS)及びフェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(N-Phenyl-3-aminopropyltrimethoxysilane:PAPTES)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0022】
前記有機シロキサンは、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~20のアリール基を含む直鎖または環状化合物であってもよい。
【0023】
例えば、前記有機シロキサンは、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,2,2-テトラメチルジシロキサン及びオクタメチルトリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0024】
前記表面改質されたナノ粒子は、有機シランまたは有機シロキサンでナノ粒子を表面処理することによって製造されてもよい。例えば、有機シランまたは有機シロキサンを酸性または塩基性条件下で昇温して約1~24時間表面処理することによって表面改質されたナノ粒子が得られる。また、表面改質は他の公知の方法で達成されてもよく、例えば、溶媒に有機シランまたは有機シロキサンを混合した後、10~100℃または20~60℃の温度で1~10時間または1~5時間反応させることにより表面改質されたナノ粒子が得られる。ナノ粒子の表面に2つ以上の化合物を結合させるためには、前記方法をそれぞれ行ってもよい。
【0025】
また、ナノ粒子分散液は、表面に下記(A)及び(B)の化合物が結合したナノ粒子を含んでもよい。
(A)末端に少なくとも1つの炭素数6~20のアリール基を含む化合物、及び
(B)末端に少なくとも1つのアミン基、ヒドロキシ基、チオール基またはエポキシ基を含む化合物。
【0026】
前記(A)化合物は、フェニルトリメトキシシラン(Phenyltrimethoxysilane:PTMS)またはフェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(N-Phenyl-3-aminopropyltrimethoxysilane:PAPTES)であってもよい。
【0027】
前記(B)化合物は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyl trimethoxysilane:GPTMS)またはアミノプロピルトリメトキシシラン((3-Aminopropyl)trimethoxy-silane:APTMS)であってもよい。
【0028】
前記のように、(A)末端に少なくとも1つの炭素数6~20のアリール基を含む化合物及び(B)末端に少なくとも1つのアミン基、ヒドロキシ基、チオール基またはエポキシ基を含む化合物をナノ粒子に結合する場合、(A)化合物によりポリアミック酸組成物内での無機粒子の凝集が防止され、(B)化合物の作用基により固形分(ポリアミック酸)との有無機ハイブリッド化を向上させることができる。
【0029】
また、前記ナノ粒子は、ジアンヒドリドモノマー成分及びジアミンモノマー成分の合計100重量部に対して1~30重量部で含まれてもよく、例えば、前記ナノ粒子分散液は、ジアンヒドリドモノマー成分及びジアミンモノマー成分の合計100重量部に対して2~30重量部、3~30重量部、3~25重量部、3~20重量部または3~15重量部のナノ粒子を含んでもよい。ナノ粒子の含量を前記のように調節することにより、機械的強度や熱的特性を維持しながらも、絶縁破壊電圧(BVD)または部分放電開始電圧(PDIV)などの電圧耐久特性を向上させることができ、ポリアミック酸組成物を用いた被覆物の電圧耐久特性を向上させることができる。
【0030】
本発明によるナノ粒子分散液は、金属イオンを3000ppm以下で含有してもよい。例えば、前記有機溶媒は、金属イオンを2500ppm以下、2000ppm以下、1800ppm以下、1500ppm以下、1200ppm以下、1000ppm以下、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下または300ppm以下であってもよく、下限は特に制限されず、10ppm以上または100ppm以上であってもよい。前記金属イオンは、ナノ粒子(またはナノ粒子前駆体)や有機溶媒原料内の不純物であってもよい。例えば、原料を100%精製するのに高いコストがかかるため、一般に市販されているナノ粒子(またはナノ粒子前駆体)や有機溶媒原料は100%精製されたものではなく、一定量の金属イオンを含んでいる。前記原料内の金属イオンが3000ppmを超える場合、絶縁破壊電圧(BVD)や部分放電開始電圧(PDIV)などの電圧耐久特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0031】
本発明は、前記のように金属イオンの含量を制御することにより、絶縁破壊電圧(BVD)や部分放電開始電圧(PDIV)などの電圧耐久特性を向上させることができ、ポリアミック酸組成物を用いた被覆物の電圧耐久特性を向上させることができる。
【0032】
本発明において前記のような金属イオン含量を有するナノ粒子分散液は、フィルタリングを通じて異物及び不純物を除去するか、またはイオン交換樹脂を使用して金属イオンを除去することにより製造しうる。
【0033】
前記ポリアミック酸組成物は、硬化後にASTM D149標準規格に従って測定される絶縁破壊電圧(BDV)が170kV/mm以上であってもよい。前記絶縁破壊電圧の下限は、180kV/mm以上190kV/mm以上、200kV/mm以上、210kV/mm以上、230kV/mm以上、240kV/mm以上、250kV/mm以上、260kV/mm以上、270kV/mm以上、280kV/mm以上、290kV/mm以上、300kV/mm以上または310kV/mm以上であってもよく、上限は、例えば、500kV/mm以下、400kV/mm以下、350kV/mm以下、330kV/mm以下または320kV/mm以下であってもよい。本発明のポリアミック酸組成物は、低い誘電率と耐熱性、絶縁性、密着性及高温における機械的特性を同時に満たすポリイミドを提供し得、これにより電線被覆に使用される場合、部分放電、局部劣化、絶縁破壊を防止して信頼性の高い被覆物を提供しうる。
【0034】
前記絶縁破壊電圧(BDV)は、当業界の公知の方法で測定されてもよい。一例において、前記絶縁破壊電圧は、ASTMD149標準規格に従って測定してもよい。前記ポリアミック酸組成物がコーティングされた電線を試片として製造し、測定装備PHENIX社(株)TEXNOLOGIES 6CCE50-5を使用してもよい。前記製造された試片を100℃のオーブンで前処理して水分を除去した後、常温の雰囲気に設定された前記測定装備に試片を固定し、下部の上部の電極から10KVAcの電圧を印加して交流電圧を0から一定の速度で増加させてBDVを測定してもよい。
【0035】
前記ポリアミック酸組成物は、硬化後のASTM2275-01標準規格に従って測定される部分放電開始電圧(PDIV)が800Vp以上であってもよい。具体例において、前記部分放電開始電圧の下限は、800Vp以上、820Vp以上、830Vp以上または850Vp以上であってもよく、上限は1000Vpまたは950Vp以下であってもよい。
【0036】
また、前記部分放電開始電圧(PDIV)は、当業界の公知の方法で測定されてもよい。前記部分放電開始電圧は、例えば、ポリアミック酸組成物を用いて製造した絶縁電線の試片の一対の末端にASTM2275-01規格に従って荷重及びねじれを印加することにより2列にねじれたサンプルを作製した後、前記サンプル両端のねじ体に50~60Hz周波数の電圧を一定速度で印加して部分放電(100pC以上)が起こる電圧を記録して測定してもよい。
【0037】
本発明によるポリアミック酸組成物は、硬化後の熱膨張係数(CTE)が50ppm/℃以下の範囲を有してもよい。例えば、前記CTEの上限は、45ppm/℃以下、40ppm/℃以下、38ppm/℃以下、36ppm/℃以下または35ppm/℃以下であってもよく、下限は、例えば、0.1ppm/℃、1ppm/℃、2.0ppm/℃、2.6ppm/℃、2.8ppm/℃、3.5ppm/℃または4ppm/℃以上であってもよい。一例において、前記熱膨張係数は、100~400℃で測定したものであってもよい。前記CTEは、TA社の熱機械分析器(thermomechanical analyzer)Q400モデルを使用してもよく、ポリイミドをフィルム化製造して幅2mm、長さ10mmに切った後、窒素雰囲気下で0.05Nの張力を加えながら、10℃/minの速度で常温から500℃まで昇温後、再び10℃/minの速度で冷却しながら100℃から250℃区間の傾きを測定してもよい。
【0038】
本発明によるポリアミック酸組成物は、一例において、硬化後のガラス転移温度が300℃以上の範囲を有してもよく、例えば、前記ガラス転移温度の下限は、310℃以上、330℃以上、350℃以上、370℃以上または380℃以上であってもよい。上限は、600℃以下であってもよい。前記ガラス転移温度は、ポリアミック酸組成物を硬化して製造されたポリイミドについてTMAを用いて10℃/min条件で測定してもよい。
【0039】
本出願によるポリアミック酸組成物は、硬化後の1重量%の熱分解温度が400℃以上であってもよい。前記熱分解温度は、TA社の熱重量分析(thermogravimetric analysis)Q50モデルを使用して測定してもよい。具体例において、前記ポリアミック酸を硬化したポリイミドを窒素雰囲気下で10℃/分の速度で150℃まで昇温させた後、30分間等温を維持して水分を除去する。以後、10℃/分の速度で600℃まで昇温し、1%の重量減少が発生する温度を測定してもよい。前記熱分解温度の下限は、例えば、450℃以上、460℃以上、470℃以上または480℃以上であってもよい。上限は、例えば、800℃以下または600℃以下であってもよい。
【0040】
また、本出願によるポリアミック酸組成物は、硬化後の380nm~770nmにおける光透過率が40%以上であってもよい。前記光透過率は、紫外線/可視光線分光光度計(UV-Vis Spectrophotometer)を用いて測定してもよい。例えば、前記光透過率は、42%以上、44%以上、50%以上、55%以上、60%以上、62%以上または64%以上であってもよく、上限は特に制限されないが、90%以下または85%以下であってもよい。
【0041】
また、本出願のポリアミック酸組成物は、硬化後の弾性率が2.5GPa以上であってもよい。前記弾性率の下限は、例えば、3.0GPa以上、3.1GPa以上、3.3GPa以上または3.5GPa以上であってもよい。上限は特に制限されないが、15GPa以下または10GPa以下であってもよい。
【0042】
また、ポリアミック酸組成物は、硬化後の引張強度が100MPa以上であってもよい。前記引張強度の下限は、例えば、110MPa以上、120MPa以上、122MPa以上、124MPa以上または125MPa以上であってもよく、上限は、例えば、400MPa以下または3500MPa以下であってもよい。前記弾性率及び引張強度は、前記ポリアミック酸組成物を硬化してポリイミドフィルムに製造後、幅10mm、長さ50mmに切った後、インストロン(Instron)社のInstron5564UTM装備を使用してASTM D-882法で弾性率及び引張強度を測定してもよい。このときのCross Head Speedは、50mm/minの条件で測定してもよい。
【0043】
本発明によるポリアミック酸組成物は、シラン化合物をさらに含んでもよい。前記シラン化合物は、例えば、エポキシ系、アミノ系及びチオール系化合物からなる群から選ばれる1種以上であってもよく、2種以上混合したものであってもよい。詳細には、前記エポキシ系化合物は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyl trimethoxysilane:GPTMS)を含んでもよく、前記アミノ系化合物は、アミノプロピルトリメトキシシラン((3-Aminopropyl)trimethoxy-silane:APTMS)を含んでもよく、前記チオール系化合物は、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(mercapto-propyl-trimethoxysilane:MPTMS)を含んでもよいが、これに限定されるものではない。また、前記シラン化合物は、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)またはテトラエトキシシラン(TEOS)が挙げられるアルコキシシラン化合物を含んでもよい。
【0044】
前記シラン化合物は、ジアンヒドリドモノマー及びジアミンモノマーの合計100重量部に対して0.01~1重量部の範囲内で含まれてもよい。具体例において、前記シラン化合物の含量比率は、ポリアミック酸100重量部に対して、0.03重量部以上、0.05重量部以上、0.08重量部以上、0.1重量部以上、0.15重量部以上または0.18重量部以上含まれてもよく、上限は、例えば、0.8重量部以下、0.5重量部以下、0.3重量部以下、0.23重量部以下または0.15重量部以下であってもよい。本出願は、前記シラン化合物を含むことにより、電気的特性を向上させつつも、被着剤に対する密着性を向上させることができる。
【0045】
また、本発明によるポリアミック酸組成物は、固形分が10~50重量%の範囲内であってもよい。前記固形分含量は、13重量%以上、15重量%以上、18重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、または28重量%以上であってもよく、上限は、例えば、48重量%以下、45重量%以下、43重量%以下、40重量%以下、38重量%以下、35重量%以下、33重量%以下または30重量%以下であってもよい。本発明は、前記範囲内で所望の物性と粘度を具現しうる。
【0046】
本発明によるナノ粒子分散液は、有機溶媒を含んでもよく、前記有機溶媒はナノ粒子と分散性を考慮して適切に選ばれてもよい。例えば、前記ナノ粒子分散液は、1種の第1の有機溶媒を使用するか、または2種以上の第1及び第2の有機溶媒を混合した混合溶媒を使用してもよい。一例として、前記有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒(aprotic polar solvent)であってもよい。
【0047】
前記ナノ粒子分散液は、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルプロピオンアミド(DMPA)、p-クロロフェノール、o-クロロフェノール、N-メチル-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジグリム(Diglyme)及びナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機溶媒を含んでもよい。
【0048】
一例において、本発明の前記混合溶媒は、第1の溶媒及び前記第1の溶媒よりも沸点の低い第2の溶媒を混合して製造されたものであってもよい。前記第2の有機溶媒は、全ポリアミック酸組成物内において、0.01~10重量%の範囲内で含まれてもよい。前記第2の溶媒の含量の下限は、例えば、0.015重量%、0.03重量%、0.05重量%、0.08重量%、0.1重量%、0.3重量%、0.5重量%、0.8重量%、1重量%または2重量%以上であってもよく、上限は、例えば、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5.5重量%、5.3重量%、5重量%、4.8重量%、4.5重量%、4重量%、3重量%、2.5重量%、1.5重量%、1.2重量%、0.95重量%または0.4重量%以下であってもよい。また、前記第1の有機溶媒は、全ポリアミック酸組成物内において、60~95重量%の範囲内に含まれてもよい。前記第1の有機溶媒の含量の下限は、例えば、65重量%、68重量%、70重量%、73重量%、75重量%、78重量%または80重量%以上であってもよく、上限は、例えば、93重量%、90重量%、88重量%、85重量%、83重量%、81重量%または79重量%以下であってもよい。
【0049】
一例において、前記第1の有機溶媒は沸点が150℃以上であってもよく、前記第2の有機溶媒は、沸点が前記第1の有機溶媒よりも低くてもよい。すなわち、第1の溶媒が第2の溶媒よりも沸点が高くてもよい。前記第2の溶媒は沸点が30℃以上、150℃未満の範囲内であってもよい。前記第1の溶媒の沸点の下限は、例えば、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃または201℃以上であってもよく、上限は、例えば、500℃、450℃、300℃、280℃、270℃、250℃、240℃、230℃、220℃、210℃または205℃以下であってもよい。また、前記第2の有機溶媒の沸点の下限は、例えば、35℃、40℃、45℃、50℃、53℃、58℃、60℃または63℃以上であってもよく、上限は、例えば、148℃、145℃、130℃、120℃、110℃、105℃、95℃、93℃、88℃、85℃、80℃、75℃、73℃、70℃または68℃以下であってもよい。本出願は、沸点が互いに異なる2つの溶媒を使用することにより、所望の物性のポリイミドを製造しうる。
【0050】
本発明のポリアミック酸組成物は、低粘度特性を有する組成物であってもよい。本出願のポリアミック酸組成物は、23℃の温度及び1s-1のせん断速度の条件で測定した粘度が10,000cP以下、9,000cP以下であってもよい。その下限は特に限定されないが、500cP以上または1000cP以上でもよい。前記粘度は、例えば、Haake社のRheostress 600を使用して測定したものであってもよく、1/sのせん断速度、23℃の温度及び1mmのプレートギャップ条件で測定したものであってもよい。本出願は、前記粘度範囲を調節することにより、優れた工程性を有する前駆体組成物を提供し、導体電線の被覆時に所望の物性の被覆物を形成しうる。
【0051】
以下、ポリアミック酸組成物の製造方法を説明する。本発明によるポリアミック酸組成物の製造方法は、前述したポリアミック酸組成物の内容と重複する内容は排除して説明するが、前述したポリアミック酸組成物に記載されている内容は、以下のポリアミック酸組成物の製造方法においても同様に適用される。
【0052】
本発明によるポリアミック酸組成物の製造方法は、ジアンヒドリドモノマー成分、ジアミンモノマー成分、溶媒及びナノ粒子分散液を混合及び加熱する段階を含む。
【0053】
前記混合及び加熱する段階において、溶媒は、ジアンヒドリドモノマー成分、ジアミンモノマー成分及びナノ粒子分散液との分散性を考慮して適切に選ばれてもよく、例えば、前記溶媒は、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルプロピオンアミド(DMPA)、p-クロロフェノール、o-クロロフェノール、N-メチル-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジグリム(Diglyme)及びナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0054】
一例において、本発明による製造方法は、ナノ粒子分散液を準備する段階を含んでもよい。前記ナノ粒子分散液は、ナノ粒子を有機溶媒に分散させて製造されたものであってもよい。
【0055】
一例において、前記ナノ粒子分散液の水分含量は、3wt%以下である。例えば、前記ナノ粒子分散液の水分含量は、2wt%以下、1.8wt%以下、1.5wt%以下、1wt%以下、0.9wt%以下、0.8wt%以下または0.7wt%以下であってもよい。その下限は特に制限されないが、例えば、0.1wt%以上であってもよい。
【0056】
前記ナノ粒子分散液の水分含量は、Karl fischer法によって測定しうる。具体的には、KS M 0034試料内の水分がヨウ素及び二酸化硫黄と定量的に反応することを用いて水分を測定しうる。
【0057】
ナノ粒子分散液の水分含量が前記範囲を超えると、重合高分子の鎖長が短くなり粘度形成が限定的であり、高分子量のポリイミドが得られる。
【0058】
前記のような条件を満たすナノ粒子分散液は、真空減圧を通じて水分を除去するか、またはMolecular seiveなどの吸着剤を通じてナノ粒子分散液を循環させて水分を除去しうる。
【0059】
また、前記ナノ粒子分散液は、金属イオンを3000ppm以下で含有してもよい。例えば、前記ナノ粒子分散液は、金属イオンを2500ppm以下、2000ppm以下、1500ppm以下、1200ppm以下、1000ppm以下、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下または300ppm以下で含んでもよく、下限は特に制限されないが、10ppm以上または100ppm以上であってもよい。
【0060】
前記ナノ粒子分散液の金属イオン含量は、ICP及びXRDを通じて測定してもよく、ナノ粒子分散液を加熱して放出される波長を、分光計を通じて分析しうる。
【0061】
前記のような金属イオン含量を有するナノ粒子は、フィルタリングを通じて異物及び不純物を除去するか、またはイオン交換樹脂を使用して金属イオンを除去することによって製造しうる。
【0062】
本発明は、前記のようなナノ粒子分散液の水分含量及び金属イオンの含量を制御することにより、絶縁破壊電圧(BVD)または部分放電開始電圧(PDIV)などの電圧耐久特性を向上させることができ、ポリアミック酸組成物を用いた被覆物の電圧耐久特性を向上させることができる。
【0063】
ナノ粒子が分散された有機溶媒に関する内容は、前述したポリアミック酸組成物の内容がそのまま適用される。
【0064】
前記ジアンヒドリドモノマーとジアミンモノマーは、粉末(powder)、塊(lump)及び溶液状で投入されてもよく、反応初期には粉末状で投入して反応を行い、重合粘度の調節のために溶液状で投入することが好ましい。
【0065】
例えば、ジアンヒドリドモノマーとジアミンモノマーを粉末状で投入して反応を行ってから、ジアンヒドリドを溶液状で投入して、ポリアミック酸組成物の粘度が一定範囲になるまで反応させることができる。
【0066】
一方、本発明は、前記ポリアミック酸組成物を製造する方法として、前記溶媒にジアンヒドリドモノマー及びジアミン類モノマーのうち少なくとも1つを投入して溶解させ、前記溶媒にジアンヒドリドモノマー及びジアミン類モノマーのうち少なくとも1つを2回以上分割投入してポリアミック酸を重合し、攪拌するポリアミック酸組成物の製造方法を提供する。
【0067】
ジアンヒドリドモノマー及びジアミンモノマーを分割投入する過程を通じて、前記ジアンヒドリドモノマーに対するジアミンモノマーの当量比を調節してよい。詳しくは、前記ジアンヒドリドモノマー及びジアミン類モノマーのうち少なくとも1つを少なくとも2回以上~5回以下で分割投入してもよい。
【0068】
前記加熱時の温度は150~300℃であり、例えば、前記加熱温度は160~200℃、170~200℃、180~200℃、180~190℃または185~195℃であってもよい。
【0069】
本発明は、ポリアミック酸組成物を用いたポリイミド被覆物を提供しうる。前記ポリイミド被覆物は導体の表面にコーティング及び硬化されていてもよい。一実施例において、前記被覆物の製造方法は、ポリアミック酸組成物を導体表面にコーティングする段階、及び前記導体表面にコーティングされたポリアミック酸組成物をイミド化する段階を含んでもよい。
【0070】
前記ポリイミド被覆物は、前述した本発明によるポリアミック酸組成物を1~40重量%含んでもよい。具体的には、前記ポリアミック酸組成物を導体表面にコーティングする段階において全ポリアミック酸組成物のうち本発明によるポリアミック酸組成物の含量は1~40重量%であってもよく、例えば、ポリアミック酸組成物の含量は1~30重量%、5~30重量%、10~30重量%、または10~20重量%であってもよい。前記ポリイミド被覆物において本発明によるポリアミック酸組成物以外の残部は、ナノ粒子を含まないポリアミック酸組成物であってもよい。このとき、ナノ粒子含有の有無を除く残りの組成物は同じであってもよい。
【0071】
前記導体は、銅または銅合金からなる銅線であってもよいが、銀線などの他の金属材料からなる導体や、アルミニウム、スズメッキ導線などの各種の金属メッキ線も導体として含まれてもよい。前記導体と被覆物の厚さは、KS C 3107標準に準拠する。前記導体の直径は、0.3~3.2mmの範囲内であってもよく、被覆物の標準被膜厚さ(最大被膜厚さと最小被膜厚さの平均値)は、0種が21~194μm、1種が14~169μm、2種が10~31μmであってもよい。導体の断面形状としては、環線、平角線、六角線などであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0072】
本発明によるポリイミド被覆物は、IEC-60851-5に基づく一定電圧による絶縁材料が耐える時間である電圧耐久特性が170分以上であってもよく、例えば、180分以上、200分以上、220分以上または230分以上であってもよい。
【0073】
具体的には、前記電圧耐久特性は、PDIV値に100Vを加えた電圧条件(700~2.000V)150℃の温度条件及び50mAの漏れ電流条件において突合せ法を用いて測定してもよい。
【0074】
本発明は、さらに前記ポリアミック酸組成物を電線の表面にコーティングしてイミド化して製造されたポリイミド被覆物を含む被覆電線を提供しうる。一具体例において、前記被覆電線は、電線、及び前述したポリイミドが前記電線の表面にコーティングされてイミド化された被覆物を含んでもよい。
【0075】
また、本出願は、前記被覆電線を含む電子装置を提供しうる。前記電子装置は、例えば、電気モータが挙げられる。
【発明の効果】
【0076】
本発明によるポリアミック酸組成物及びその製造方法を用いて製造されたポリイミドは、電圧耐久特性に優れた効果がある。具体的には、本発明によるポリアミック酸組成物及びその製造方法を用いたポリイミドは、耐熱性や機械的強度を維持しながら、絶縁破壊電圧性能やコロナ放電開始電圧に優れた効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通じて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲が下記の実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0078】
<製造例>
ナノ粒子の製造-製造例1から11
水、エタノール、アンモニア水及びナノシリカ前駆体(TEOS,Tetraethyorthosilicate)を混合及び加熱して20nmのナノシリカを合成した後、有機溶媒(NMP及びDMAc)を投入し、減圧により水及びエタノールを除去した。その後、Molecular Seive(4Å)を用いて水分を除去した後、イオン交換樹脂を使用して金属イオンを除去し、有機溶媒に分散した20重量%のナノシリカ分散液を準備した。製造されたナノシリカ分散液の水分含量及び金属イオン含量を下記表1に示し、下記表1において水分含量は、ナノシリカ分散液の全質量に対する重量%であり、金属イオンの含量は、ナノシリカ分散液の重量に対する金属イオンの重量比である。
【0079】
【0080】
製造例12から16
前記製造例において有機溶媒を投入する前にナノシリカの表面を下記表2のような有機シランまたは有機シロキサンで表面改質したことを除いては、同様にナノシリカ分散液を準備した。
【0081】
【0082】
<実施例>
ポリアミック酸の製造-実施例1から実施例20及び比較例
1Lの反応器に窒素雰囲気下で溶媒としてN,N’-ジメチルアセトアミドを投入した。
【0083】
温度を23~50℃に設定した後、ジアンヒドリドモノマーとしてピロメリティックジアンヒドリド(PMDA)100重量部、ジアミンモノマーとして4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)100重量部及び前述した製造例1から16で製造されたナノシリカ分散液を下記表3のようなナノシリカ含量となるように投入して溶解させた後、23~80℃で5~10時間PMDAとODAを反応させて徐々に粘度を増進させ、ポリアミック酸を重合した。
【0084】
以下の表3のナノシリカの含量は、ジアンヒドリドモノマー成分及びジアミンモノマー成分の合計100重量部を基準にして計算した。
【0085】
【0086】
ポリイミド被覆物の製造-実施例21及び実施例22
前記製造した実施例15のポリアミック酸組成物をコーティング硬化炉内で表5に示す含量に応じてそれぞれ導体径1mmの銅線に1回当たりコーティングの厚さを5~15μmの間に調節し、コーティング硬化炉の最低温度と最高温度を350~550℃に調節し、銅線の被覆速度を12~32m/分に調節した状態で被覆物の厚さが33~35μmのポリイミド被覆物を含む電線(被覆電線)を製造した。このとき、実施例15の含量を除いた残部は、ナノシリカ分散液を投入していない比較例のポリアミック酸組成物を用いた。
【0087】
硬化したポリアミック酸組成物の特性を下記表4に示し、ポリイミド被覆物の特性を下記表5に示した。
【0088】
<実験例1:絶縁破壊電圧(BDV)の評価>
前記実施例及び比較例で製造した試片についてASTMD149規格に従ってBDV値を測定した。
【0089】
測定装備:PHENIX社 TECHNOLOGIES 6CCE50-5
【0090】
製造された試片を100℃のオーブンで前処理して水分を除去した後、常温の雰囲気に設定された前記測定装備に試片を固定し、下部の上部の電極で10KVAcの電圧を印加して0から一定の速度で増加させてBDVを測定する。
【0091】
<実験例2-弾性率及び引張強度の測定>
実施例及び比較例のポリアミック酸溶液を硬化して製造されたポリイミドフィルムを幅10mm、長さ40mmに切った後、インストロン(Instron)社のInstron5564UTM装備を使用してASTM D-882法で弾性率及び引張強度を測定しうる。このときのCross Head Speedは、50mm/minの条件で測定しうる。
【0092】
<実験例3-CTEの測定>
TA社の熱機械分析器(thermomechanical analyzer)Q400モデルを使用し、ポリイミドフィルムを幅2mm、長さ10mmに切った後、窒素雰囲気下で0.05Nの張力を加えながら、10℃/minの速度で常温から500℃まで昇温後、再び10℃/minの速度で冷却しながら100℃から250℃温度までの区間の傾きを測定した。
【0093】
<実験例4-光透過率>
実施例及び比較例のポリアミック酸溶液を硬化して製造された10~20μmのポリイミドフィルムについて、パーキンアルマー(Perkin Elmer)社の紫外線/可視光線分光光度計(UV-Vis Spectrophotometer)でLambda 465モデルを使用して透過率モードで380~770nmの透過率を測定した。
【0094】
<実験例5-電圧耐久>
前記ナノ粒子を含まないポリアミック酸組成物(比較例)及び実施例21及び実施例22の試片について、PDIV値を基準として+100Vの電圧、150℃の温度及び漏れ電流50mAの条件で突合せ法を用いてIEC-60851-5に基づく電圧耐久特性を測定し、比較例を100としたとき、実施例21及び実施例22の相対的な電圧耐久特性を示した。
【0095】
【0096】
【国際調査報告】