(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】アームサポートシステムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525817
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022048897
(87)【国際公開番号】W WO2023081321
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515027004
【氏名又は名称】レヴィテイト テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEVITATE TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ドイル,マーク,シー.
(72)【発明者】
【氏名】マンスフィールド,デイビッド,エイ.
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS34
3C707AS38
3C707HT02
3C707HT36
3C707XK02
3C707XK06
3C707XK17
3C707XK28
3C707XK42
3C707XK52
3C707XK67
(57)【要約】
アームサポートシステムは、ピボットジョイントの周りで接続ブラケットに結合されたアームサポートを含み、このアームサポートは、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む。補償要素は、ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるためにアームサポートに結合され、この補償要素が、バネと、接続ブラケット上の接続ポストとバネとの間に結合され、それによってケーブルのセグメントに沿った軸を規定するケーブルと、ユーザがアームを上げ下げする際にオフセット力を修正するために、ケーブルが少なくとも部分的にプーリに巻き付くようにアームサポートに取り付けられた1または複数のプーリと、接続ポストに隣接して設けられた特徴部であって、ピボットジョイントに対してケーブルの軸を修正して、アームサポートが下げられる際にオフセット力を減少させる特徴部とを含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの腕を支持するためのシステムであって、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、
前記ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、前記ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、
ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるために前記アームサポートに結合された1または複数の補償要素とを備え、前記1または複数の補償要素が、
前記アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、
前記接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、前記バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素であって、前記アームサポートの第2の端部から前記アームサポートの第1の端部に向かって前記張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素と、
1または複数のプーリであって、ユーザがアームを上げ下げする際にオフセット力を修正するために、前記張力要素が1または複数のプーリの周りに少なくとも部分的に巻き付くように、前記アームサポートに取り付けられた1または複数のプーリと、
前記接続ポストに隣接して設けられた特徴部であって、前記アームサポートが前記ピボットジョイントを中心に予め設定された角度よりも上に回転されたときに、前記特徴部が、前記軸を前記ピボットジョイントから離すようにオフセットし、前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記軸が前記ピボットジョイントに近づくように動いてオフセット力を減少させる、特徴部とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが実質的に鉛直下方に向けられたときに、前記軸が前記ピボットジョイントと交差することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが、前記アームサポートの第1の端部と第2の端部との間に延びる1または複数のプレートを含み、前記1または複数のプーリが、前記1または複数のプレートに取り付けられていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記1または複数のプレートに取り付けられ、前記バネおよび前記張力要素を少なくとも部分的に収容するカバーをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記1または複数のプーリが、前記アームサポートの第2の端部に隣接して前記アームサポートに取り付けられた第1のプーリを含み、前記張力要素が、前記第1プーリの周りに部分的に延びていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記接続ブラケットに隣接して前記アームサポートに取り付けられた第2のプーリをさらに含み、前記張力要素が、前記第2のプーリの周りに部分的に延びて、前記アームサポートが前記ピボットジョイントを中心に回転する際に前記オフセット力を修正することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記軸が、前記第2のプーリと前記アームサポートの第2の端部との間に延びる前記張力要素のセグメントに沿って整列することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記バネの第1の端部が、前記アームサポートの第1の端部に隣接して前記アームサポートに取り付けられ、前記張力要素が、前記バネの第2の端部から前記第1のプーリをまわって前記アームサポートの第1の端部に向かって戻るように前記接続ポストまで延びていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが、ユーザの上腕に沿って部分的に延びるように構成され、当該システムが、肩ブラケットをさらに備え、この肩ブラケットが、ユーザの肩に隣接する前記ハーネスと前記接続ブラケットに結合され、前記肩ブラケットが鉛直方向のピボットジョイントを中心に回転するようになっていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、
前記肩ブラケットが、ユーザの肩の上方で前記ハーネスに取り付けられた第1の端部と、前記接続ブラケットに結合された第2の端部とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記接続ブラケットが、前記肩ブラケットの第2の端部に着脱自在に接続可能であることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記接続ブラケットが、前記肩ブラケットの第2の端部に恒久的に接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記予め設定された角度が、実質的に水平であることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記接続ポストが、前記接続ブラケットに回動可能に取り付けられ、それにより、前記張力要素が前記接続ブラケットから前記アームサポートの第2の端部に向かって延びることが可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記特徴部が、前記接続ポストに隣接して前記接続ブラケットに設けられた巻き特徴部を含み、前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも上に回転されたときに、ケーブルが前記巻き特徴部の周りに部分的に巻き付くようになっていることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたとき、前記張力要素が巻き特徴部の周りに巻かれた状態から解放されることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記張力要素のセグメントが前記接続ポストと整列することを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項1~14の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記接続ポストが、回動するケーブルリンクを含み、前記特徴部が、前記接続ブラケットに取り付けられ、前記ケーブルリンクに結合された1または複数のピボット特徴部を含み、前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記軸が前記ピボットジョイントに近づくように動いてオフセット力を減少させるように、前記ケーブルリンクが前記ピボットジョイントに対して相対的に移動することが可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記1または複数のピボット特徴部が、前記アームサポート機構の回転に対応するために前記ケーブルリンクの回転を許容しながら、前記予め設定された角度を超える前記ケーブルリンクの移動を制限するためのストップを備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムにおいて、
前記1または複数のピボット特徴部が、前記接続ブラケットに取り付けられたリンクアンカーと、前記アームサポート機構の回転に対応するために前記ケーブルリンクの回転を許容しながら、前記予め設定された角度を超える前記ケーブルリンクの移動を制限するために前記リンクアンカーと係合する前記ケーブルリンク上のストップピンとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
ユーザの腕を支持するためのシステムであって、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、
前記ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、前記ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、
ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるために前記アームサポートに結合された1または複数の補償要素とを備え、前記1または複数の補償要素が、
前記アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、
前記接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、前記バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素であって、前記アームサポートの第2の端部から前記アームサポートの第1の端部に向かって前記張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素と、
前記アームサポートの第2の端部に隣接して前記アームサポートに取り付けられた第1のプーリと、
前記接続ブラケットに隣接して前記アームサポートに取り付けられた第2のプーリであって、前記アームサポートが前記ピボットジョイントを中心に回転するときにオフセット力を修正するために、前記張力要素が、前記バネの第2の端部から、部分的に前記第1のプーリの周囲に、そして部分的に前記第2のプーリの周囲に延びる、第2のプーリと、
前記接続ポストに隣接して設けられた特徴部であって、前記アームサポートが前記ピボットジョイントを中心に予め設定された角度よりも上に回転されたときに、前記特徴部が、前記軸を前記ピボットジョイントから離すようにオフセットし、前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記軸が前記ピボットジョイントに近づくように動いてオフセット力を減少させる、特徴部とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが実質的に鉛直下方に向けられたときに、前記軸が前記ピボットジョイントと交差することを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記軸が、前記第2のプーリと前記アームサポートの第2の端部との間に延びる前記張力要素のセグメントに沿って整列されることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムにおいて、
前記バネの第1の端部が、前記アームサポートの第1の端部に隣接して前記アームサポートに取り付けられ、前記張力要素が、前記バネの第2の端部から前記第1のプーリをまわって前記アームサポートの第1の端部に向かって戻るように前記接続ポストまで延びていることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項21~24の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記特徴部が、前記接続ポストに隣接して前記接続ブラケットに設けられた巻き特徴部を含み、前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも上に回転されたときに、ケーブルが前記巻き特徴部の周りに部分的に巻き付くようになっていることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたとき、前記張力要素が巻き特徴部の周りに巻かれた状態から解放されることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムにおいて、
前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記張力要素のセグメントが前記接続ポストと整列することを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項21~24の何れか一項に記載のシステムにおいて、
前記接続ポストが、回動するケーブルリンクを含み、前記特徴部が、前記接続ブラケットに取り付けられ、前記ケーブルリンクに結合された1または複数のピボット特徴部を含み、前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記軸が前記ピボットジョイントに近づくように動いてオフセット力を減少させるように、前記ケーブルリンクが前記ピボットジョイントに対して相対的に移動することが可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムにおいて、
前記1または複数のピボット特徴部が、前記アームサポート機構の回転に対応するために前記ケーブルリンクの回転を許容しながら、前記予め設定された角度を超える前記ケーブルリンクの移動を制限するためのストップを備えることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項28に記載のシステムにおいて、
前記1または複数のピボット特徴部が、前記接続ブラケットに取り付けられたリンクアンカーと、前記アームサポート機構の回転に対応するために前記ケーブルリンクの回転を許容しながら、前記予め設定された角度を超える前記ケーブルリンクの移動を制限するために前記リンクアンカーと係合する前記ケーブルリンク上のストップピンとを備えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
ユーザの腕を支持するためのシステムであって、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、
前記ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、前記ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、
ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるために前記アームサポートに結合された1または複数の補償要素とを備え、前記1または複数の補償要素が、
前記アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、
前記接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、前記バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素であって、前記アームサポートの第2の端部から前記アームサポートの第1の端部に向かって前記張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素と、
前記アームサポートの第2の端部に隣接して前記アームサポートに取り付けられた第1のプーリと、
前記接続ブラケットに隣接して前記アームサポートに取り付けられた第2のプーリであって、前記アームサポートが前記ピボットジョイントを中心に回転するときにオフセット力を修正するために、前記張力要素が、前記バネの第2の端部から、部分的に前記第1のプーリの周囲に、そして部分的に前記第2のプーリの周囲に延びる、第2のプーリとを備え、
前記接続ポストが、回動するケーブルリンクを備え、1または複数のピボット特徴部が、前記接続ブラケットに取り付けられるとともに、前記ケーブルリンクに結合され、それにより、前記アームサポートが予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記ケーブルリンクが前記ピボットジョイントに対して相対的に移動して、前記アームサポートが実質的に鉛直下向きに移動する際にオフセット力を減少させることが可能となっていることを特徴とするシステム。
【請求項32】
ユーザの腕を支持するためのシステムであって、
ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、
前記ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、前記ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、
ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるために前記アームサポートに結合された1または複数の補償要素とを備え、前記1または複数の補償要素が、
前記アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、
前記接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、前記バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素であって、前記アームサポートの第2の端部から前記アームサポートの第1の端部に向かって前記張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素と、
前記アームサポートの第2の端部に隣接して前記アームサポートに取り付けられた第1のプーリと、
前記接続ブラケットに隣接して前記アームサポートに取り付けられた第2のプーリであって、前記アームサポートが前記ピボットジョイントを中心に回転するときにオフセット力を修正するために、前記張力要素が、前記バネの第2の端部から、部分的に前記第1のプーリの周囲に、そして部分的に前記第2のプーリの周囲に延びる、第2のプーリと、
前記接続ポストに隣接して前記接続ブラケットに設けられた巻き特徴部であって、前記アームサポートが前記ピボットジョイントを中心に予め設定された角度よりも上に回転されたときに、前記張力要素が、部分的に前記巻き特徴部の周りに巻き付き、前記アームサポートが前記予め設定された角度よりも下に回転されたときに、前記巻き特徴部の周りに巻き付いた状態から解放されて、前記アームサポートが実質的に鉛直下向きに移動するに際にオフセット力を減少させる、巻き特徴部とを備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ユーザの腕を支持するためのシステム、デバイスおよび方法に関し、例えば、実質的に自由な動きを可能にしながら、ユーザの腕の一方または両方を支持し、それにより、例えば、ユーザが、一方または両方の腕を伸ばした状態で、長時間にわたって1または複数の作業を行うことを可能にする適応型アームサポートシステムに関する。
【0002】
関連出願データ
本出願は、2021年11月3日に出願された同時係属中の米国仮出願第63/275,332号に関連するものであり、その開示全体が、引用により本明細書に明示的に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
米国特許第9,737,374号(その開示全体は、引用により本明細書に明示的に援用される)には、単一ケーブルのアームサポート機構が記載されている。このアームサポート機構は、ユーザの腕に加える復元モーメントを変化させることにより、腕の位置に適応する形でユーザの腕の重量のバランスをとっている。復元モーメントは、ユーザの腕の角度に応じてほぼ正弦波状に増減する。例えば、ユーザの腕が水平のときに復元モーメントが最大になる。それは、腕の重心がユーザの肩から最も離れていることにより、腕に作用する重力の影響が最も大きくなるからである。ユーザが、例えば鉛直方向の位置または弛緩した位置に向けて、腕を下げると、肩から重心までの距離は三角関数的に減少し、腕に作用する重力の影響が減少する。上述したアームサポート機構は、単純な三角関数の関係を利用して、ユーザが腕を下げたときに腕にかかるモーメントを減少させる。多くのユーザは、三角関数の関係に従う復元モーメントが十分に速く減少しないため、腕を下げる際のモーメントの減少が不十分であると感じている。
【0004】
このため、ユーザが腕を下げる際に復元モーメントを加速的に減少させるアームサポート機構およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、ユーザの腕を支持するシステム、デバイスおよび方法を対象とし、例えば、実質的に自由な動きを可能にしながら、ユーザの腕の一方または両方を支持し、それにより、例えば、ユーザが、一方または両方の腕を伸ばした状態で、長時間にわたって1または複数の作業を行うことを可能にする適応型アームサポートシステムを対象とする。
【0006】
一例によれば、ユーザの腕を支持するためのシステムが提供され、このシステムが、ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるためにアームサポートに結合された1または複数の補償要素とを含む。1または複数の補償要素は、アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素、例えばケーブルであって、アームサポートの第2の端部からアームサポートの第1の端部に向かって張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素とを含むことができる。1または複数のプーリは、ユーザがアームを上げ下げする際にオフセット力を修正するために、張力要素が1または複数のプーリの周りに少なくとも部分的に巻き付くように、アームサポートに取り付けられている。また、特徴部が、接続ポストに隣接して設けられ、アームサポートがピボットジョイントを中心に予め設定された角度よりも上に回転されたときに、特徴部が軸をピボットジョイントから離すようにオフセットし、アームサポートが予め設定された角度よりも下に回転されたときに、軸がピボットジョイントに近づくように動いてオフセット力を減少させる。
【0007】
別の例では、ユーザの腕を支持するためのシステムが提供され、このシステムが、ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるためにアームサポートに結合された1または複数の補償要素とを含む。1または複数の補償要素は、アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素であって、アームサポートの第2の端部からアームサポートの第1の端部に向かって張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素と、アームサポートの第2の端部に隣接してアームサポートに取り付けられた第1のプーリと、接続ブラケットに隣接してアームサポートに取り付けられた第2のプーリであって、アームサポートがピボットジョイントを中心に回転するときにオフセット力を修正するために、張力要素が、バネの第2の端部から、部分的に第1のプーリの周囲に、そして部分的に第2のプーリの周囲に延びる、第2のプーリと、接続ポストに隣接して設けられた特徴部とを含むことができ、アームサポートがピボットジョイントを中心に予め設定された角度よりも上に回転されたときに、特徴部が軸をピボットジョイントから離すようにオフセットし、アームサポートが予め設定された角度よりも下に回転されたときに、軸がピボットジョイントに近づくように動いてオフセット力を減少させる。
【0008】
さらに別の例によれば、ユーザの腕を支持するためのシステムが提供され、このシステムが、ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるためにアームサポートに結合された1または複数の補償要素とを含む。1または複数の補償要素は、アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素であって、アームサポートの第2の端部からアームサポートの第1の端部に向かって張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素と、アームサポートの第2の端部に隣接してアームサポートに取り付けられた第1のプーリと、接続ブラケットに隣接してアームサポートに取り付けられた第2のプーリであって、アームサポートがピボットジョイントを中心に回転するときにオフセット力を修正するために、張力要素が、バネの第2の端部から、部分的に第1のプーリの周囲に、そして部分的に第2のプーリの周囲に延びる、第2のプーリと、接続ポストに隣接して接続ブラケットに設けられた巻き特徴部とを含むことができ、アームサポートがピボットジョイントを中心に予め設定された角度よりも上に回転されたときに、張力要素が、部分的に巻き特徴部の周りに巻き付き、アームサポートが予め設定された角度よりも下に回転されたときに、巻き特徴部の周りに巻き付いた状態から解放されて、アームサポートが実質的に鉛直下向きに移動するに際にオフセット力を減少させる。
【0009】
さらに別の例では、ユーザの腕を支持するためのシステムが提供され、このシステムが、ユーザの身体に装着されるように構成されたハーネスと、ハーネスに結合されたアームサポートであって、ピボットジョイントにおいて接続ブラケットに結合された第1の端部と、ユーザの上腕を受ける入れるためのアームレストを含む第2の端部とを備え、ピボットジョイントを中心に回動して、ユーザが腕を上げ下げするのに対応および追従するように構成されたアームサポートと、ユーザが腕を上げ下げする際に腕に作用する重力を少なくとも部分的に相殺するオフセット力を加えるためにアームサポートに結合された1または複数の補償要素とを含む。1または複数の補償要素は、アームサポートに取り付けられた第1の端部を含むバネと、接続ブラケット上の接続ポストに結合された第1の端部と、バネの第2の端部に結合された第2の端部とを含む細長い張力要素であって、アームサポートの第2の端部からアームサポートの第1の端部に向かって張力要素のセグメントに沿って延びる軸を規定する、張力要素と、アームサポートの第2の端部に隣接してアームサポートに取り付けられた第1のプーリと、接続ブラケットに隣接してアームサポートに取り付けられた第2のプーリであって、アームサポートがピボットジョイントを中心に回転するときにオフセット力を修正するために、張力要素が、バネの第2の端部から、部分的に第1のプーリの周囲に、そして部分的に第2のプーリの周囲に延びる、第2のプーリとを含むことができ、接続ポストが、回動するケーブルリンクを備え、1または複数のピボット特徴部が、接続ブラケットに取り付けられるとともに、ケーブルリンクに結合され、それにより、アームサポートが予め設定された角度よりも下に回転されたときに、ケーブルリンクがピボットジョイントに対して相対的に移動して、アームサポートが実質的に鉛直下向きに移動する際にオフセット力を減少させることが可能となっている。
【0010】
本発明の他の態様および特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の特定の例の説明からより良好に理解されると考えられる。図面において、同様の符号は同じ要素を特定している。
【
図1】
図1A~
図1Cは、ユーザの腕を支持するためのアームレストおよび補償要素を担持するアームサポートの一例を示している。
図1Dは、2つのサポート機構によって提供される例示的な復元モーメントのグラフを示しており、例えば、第1の実線は、
図1A~
図1Cに示すアームサポート機構によって付与され得る復元モーメントを示し、破線は、ユーザの腕の様々な角度における、より望ましい復元モーメントを示している。
【
図2】
図2A~
図2Cは、ユーザの腕を支持するためのアームレストおよび補償要素を担持するアームサポートの別の例を示している。
【
図3】
図3A~
図3Cは、ユーザの腕を支持するためのアームレストおよび補償要素を担持するアームサポートの更に別の例を示している。
【0012】
図面は、決して限定することを意図したものではなく、本発明の様々な例は、必ずしも図面に描かれていないものも含めて、他の様々な方法で実施され得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様を示しており、詳細な説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つが、本発明は、図示の正確な配置構成に限定されないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特定の例に関する以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態および利点は、本発明を実施するために考えられる最良の態様の1つである例示としての以下の説明から当業者には明らかになるであろう。理解されるように、本発明はいずれも、本発明から逸脱することなく、他の様々な自明の態様も可能である。このため、図面および説明は、本質的に例示であって限定的なものではないとみなされるべきである。
【0014】
実施例を説明する前に、本発明は、記載の特定の実施例に限定されるものではなく、当然のことながら、変更し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施例を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0015】
値の範囲が与えられる場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、下限値の単位の10分の1までの、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値も具体的に開示されているものと理解されたい。任意の記載値または記載の範囲内の介在値と、任意の他の記載値または記載の範囲内の介在値との間の小さい各範囲は、本発明に包含される。それら小さい範囲の上限値および下限値は、それぞれ独立に範囲に含まれることも除外されることもあり、その両方または一方が小さい範囲に含まれる場合においても、またはどちらも小さい範囲に含まれない場合においても、各範囲は、記載の範囲内の特に除外された限界値を条件として、本発明に包含される。記載の範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値の一方または両方を除外した範囲もまた本発明に含まれるものとする。
【0016】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、いくつかの可能性のある例示的な方法および材料をここで説明する。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。このため、例えば、「化合物」に対する言及は、複数のそのような化合物を含み、「ポリマー」に対する言及は、当業者に公知の1または複数のポリマーおよびその均等物に対する言及を含む。
【0018】
本明細書では、特定の範囲が、数値の前に「約」という用語が付されて示される。「約」という用語は、本明細書において、その用語の後の正確な数値と、その用語の後の数値に近い数値または近似値に対する文字通りの裏付けを提供するために使用される。ある数値が具体的に言及された数値に近いかまたは近似しているか否かを判断する際に、その近いまたは近似している未言及の数値は、それが提示される文脈において、具体的に言及された数値と実質的に同等のものを提供する数値であり得る。
【0019】
図面を参照すると、
図1Aは、アームサポート機構100の斜視図を示しており、このアームサポート機構は、接続ブラケット110においてユーザの胴体または他の構造に装着されるハーネス(図示せず)に取り付けられ、例えば、長時間にわたって支持される片腕または両腕を伸ばした状態で作業または他の活動に従事している間に、ユーザの片腕または両腕を支持するために使用され得るアームサポートシステムを提供することができる。接続ブラケット110および支持アーム130は、例えば支持アーム130の第1の端部で、ピボットジョイント120を形成し、支持アーム130がほぼ経路P1に沿って回動することができる概ね水平な軸HA1を規定する。アームレスト150は、支持アーム130に取り付けられ、例えば、接続ブラケット130とは反対側の支持アーム130の第2の端部に取り付けられ、ユーザの上腕(図示せず)を受け入れる。支持アーム130は、1または複数のサイドプレートまたは他の取付構造、例えば、プレート132、134から構成されるものであってよく、それらは、それぞれシャフト164、168を中心に回動することができるプーリ162、166のための取付を提供する。代替的には、機構100の第1の端部から上腕を支持する第2の端部まで延びる他の細長いセグメント部材、例えば、1または複数のブラケット、シャフトなど(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0020】
ケーブル180は、接続ブラケット110の接続ポスト112に取り付けられた近位端182を含み、バネ190の遠位端198に取り付けられた遠位端184を含む。バネ190の近位端194は、バネ接続特徴部136において支持アーム130に取り付けられている。ケーブル180は、例えば、1または複数のプーリ溝170において、プーリ162、168に巻き付けられる。本明細書ではケーブルに言及しているが、他の張力要素、例えば、1または複数のベルト、チェーン、コードなどを、ケーブル180の代わりに使用できることが理解されよう。
【0021】
ユーザの腕およびユーザが保持するツールの重量は、上腕を受け入れるアームレスト150に重力FGを加え、ピボットジョイント120の周りにモーメントを生じさせる。アームサポート機構100は、ピボットジョイント120の周りの重力FGによって生じるモーメントの全部または一部を相殺するために復元モーメントM1を加える。
【0022】
図1Bは、
図1Aのアームサポート機構100の側断面図を示している。図示のように、アームサポート機構100は、ユーザが腕を上げているのと一致するアーム上昇位置にある。接続ブラケット110の接続ポスト112に取り付けられたケーブル180の近位端182は、プーリ162、166の周りに巻き付けられている。ケーブル180の遠位端184は、バネ190の遠位端198に取り付けられている。バネ190の近位端194は、接続特徴部136で支持アーム130に取り付けられている。図示のように、この上昇位置では、バネ190がケーブル180に比較的低い張力を与えている。
【0023】
図1Cは、ほぼ経路P2に沿ってピボットジョイント120を中心に回転した、アーム降下位置における
図1Aおよび
図1Bのアームサポート機構100の側断面図を示している。図示のように、バネ190は広がっており、ケーブル180に比較的大きな張力FC2を与えている。接続ブラケット110の接続ポスト112に作用する張力FC2は、ピボットジョイント120の回転中心から僅かなオフセット距離D1で作用し、それによってピボットジョイント120の周りに潜在的に大きなモーメントM2を与える。場合によっては、ユーザはこのモーメントを過大と感じる。
【0024】
図1Dは、ユーザの腕の様々な角度において、2つのサポート機構によって提供される例示的な復元モーメントプロファイルのグラフを示しており、例えば、ゼロ度(0°)が、ユーザの上腕が水平を向いている状態に対応している。
図1A~
図1Cのアームサポート機構は、概ね正弦曲線である曲線102に従うことができ、ユーザの上腕がほぼ水平にあるのと一致するゼロ度で、最大復元モーメントを与えることができる。曲線102は、アームサポート機構100によって与えられる復元モーメントが、ユーザが腕を下げるにつれて減少することを示している。例えば、マイナス40度(-40°)、すなわち水平よりも下の位置における復元モーメントは、ゼロ度(水平)における復元モーメントよりも小さい。しかしながら、一部のユーザは、腕を下げるときの復元モーメントが依然として不快に高く、自由な動きの妨げになると感じている。
【0025】
より理想的な復元モーメント曲線は、例えば
図1Dの曲線104で示すように、ユーザが腕を水平よりも下の位置に下げるにつれて、より急速な減少を有するであろう。例えば、マイナス70度(-70°)の腕の位置、すなわち水平よりも70度低い腕の位置では、曲線102に従うアームサポート機構が330g-mの復元モーメントを提供する一方で、曲線104に従うアームサポート機構が150g-mを提供し、これは大きな違いであり、ユーザの快適性が向上する可能性がある。曲線104は、一例として与えたものであり、他の力減少曲線が企図され、必要に応じてアームサポート機構に提供され得ることが理解されよう。
【0026】
図2A~
図2Cを参照すると、改良されたアームサポート機構200の一例の側面図が示されており、このアームサポート機構は、例えば
図2Cに示すように、ユーザが腕を下げる際に、復元モーメントを大幅に減少させることができる。アームサポート機構200は、エクソスケルトンまたは他のアームサポートシステム、例えば、米国特許第9,205,017号、第9,737,374号、および米国公開第2018/0303650号に開示されているものに含まれるものであってもよく、それらのすべての開示内容は、引用により本明細書に明示的に援用されるものとする。
【0027】
図示のように、アームサポート機構200は、機構100とほぼ同様に、接続ブラケット210と、支持アーム130の第1の端部においてピボットジョイント220で接続された支持アーム130と、支持アーム130の第2の端部に取り付けられたアームレスト150とを含む。接続ブラケット210は、アームサポートシステムの他の構成要素、例えば、アームサポートシステムのハーネス(図示せず)に結合される肩ブラケットに接続されてもよく、この肩ブラケットは、上で援用された参考文献にさらに記載されているように、ハーネスが装着されたときに、ユーザの肩の上方で鉛直軸を中心に回動することができる。例えば、アームサポート機構200は、本明細書の他の箇所および上で援用された参考文献にさらに記載されるように、例えば、ユーザが上腕を上げ下げする際に、アームレスト150に受け入れられたユーザの上腕の動きに追従するように、そのような肩ブラケットの下端に接続することができる。接続ブラケット210は、例えば、接続ブラケット210および肩ブラケット(図示せず)上の1または複数の協働コネクタを含む、アームサポートシステムから取り外し可能であってもよく、あるいは接続ブラケット210は、アームサポートシステムに恒久的に接続されるものであってもよい。
【0028】
任意選択的には、アームサポート機構200は、1または複数の追加の特徴、例えば、構成要素を収容するための1または複数のカバー、ユーザの腕をアームレストに固定するための1または複数のストラップなど(図示せず)を含むことができる。ハーネスは、アームサポートシステムをユーザの身体に固定するための1または複数の構成要素、例えば、ユーザの肩の上にかけることができる一対のショルダーストラップ(例えば、肩ブラケットがこれに取り付けられる)、ユーザの臀部、腰部および/または胴体の他の部位の周りに固定することができるベルト、パッドおよび/または他の構造、並びに、アームサポート機構200からユーザの身体の他の部位に力を伝達するための1または複数の支持チューブ、ストラットおよび/または他の剛性構造を含むことができる。
【0029】
図1Aに示すように、ケーブル280の近位端282は、接続ブラケット210の接続ポスト212に取り付けられている。ケーブル280の遠位端284は、バネ190の遠位端198に取り付けられている。バネ190の近位端194は、例えばアームサポート機構200の第1の端部に隣接して、接続特徴部136で支持アーム130に取り付けられている。
図1Aに示すように、バネ190は、アームが水平よりも上の位置に持ち上げられるときに、ケーブル280に比較的低い張力を与えている。ケーブル280の中間部分286は、巻き特徴部218の接触面219の周りに巻き付けられて示されている。
【0030】
図示の例では、巻き特徴部218は、接続ポスト212に隣接して接続ブラケット210上に設けられたポストである。巻き特徴部218は、本明細書の他の箇所でさらに説明するように、接続ポスト212から間隔を空けて配置および/またはオフセットさせることができ、例えば、接続ポスト212の斜め下にオフセットさせることができ、それにより、アームサポート機構200が回転する際に、ケーブル280が巻き特徴部218に接触することおよび/または接触から解放されることが可能となる。接触面219は、巻き特徴部218の周りに少なくとも部分的に延び、例えば、ケーブル280が巻き特徴部218の周りでスライドすることを可能にしながら、バネ190からの張力を伝達するために、円形の、尖った、正方形の、真っ直ぐな、多曲率の、スプライン状の、または他の多くの有利な形状およびサイズを含む、様々な形状のうちの1または複数を有することができる。また、前述した機構100と同様に、ケーブル280は、プーリ162、166の周りに部分的に巻き付いて、それにより、例えば、バネ190からのバネ力を伝達し、かつ/または、ユーザが支持された腕を上げ下げする際にアームサポート機構200に加えられるモーメントを修正することができる。
【0031】
図2Bは、
図2Aの改良されたアームサポート機構200の側断面図を示しており、ほぼ経路P4に沿って、例えば、実質的に水平な向きまで下げられた、アームの部分的降下位置で示されている。サポート機構200が下げられると、ケーブル280の中間部分286が、ほぼ経路P5に沿って、巻き特徴部218の接触面219から解ける。例えば、
図2Bに示すアーム位置では、ケーブル中間部分286が、接触面219からまさに離れようとしているところであり、さらに下方に回転する間、ケーブル286は巻き特徴部218にもはや接触しなくなる。
【0032】
図2Cは、
図2Bの改良されたアームサポート機構200の側断面図を示しており、ほぼ経路P6沿って、ほぼ鉛直な向き(例えば、ユーザがリラックスするために腕を下げた向きに対応)に下げられた、アーム降下位置で示されている。サポート機構200が降下すると、ケーブル中間部分286は、巻き特徴部218の接触面219から完全に解け、このときケーブル280は、接続ブラケット210の接続ポスト212に直接沿った状態となる。
【0033】
ケーブル280の力FC5の作用線は、ピボットジョイント220に向かってシフトしており、ここでは、ケーブル280が巻き特徴部218に付いていたときのようにほぼ線L1に沿って作用するのではなく、ほぼ軸または線L2に沿って作用している。ケーブル280の作用線、よってケーブル280の張力FC5は、ここでは、巻き特徴部218の接触面219からおよそ距離D5にある。ケーブル280の力FC5は、
図1A~
図1Cに示すような他の構成の場合よりもピボットジョイント220の中心に近い位置で作用するため、ピボットジョイント220の周りに比較的僅かな復元モーメントM4しか作用しない。
【0034】
ケーブル中間部分286を巻き特徴部218の接触面219から(復元モーメントのさらなる減少が望まれる腕の高さで)解くことを可能にする結果として、本質的に、ケーブル280のための2つの異なる接触点を有することになり、一方は、ユーザの腕が本質的に水平および上方にあるときに係合し(すなわち、接触面219)、もう一方は、腕が水平よりも下方に下げられたときに係合する(すなわち、接続ポスト212)。その結果得られる効果は、
図1Dの曲線104によって近似的に表される。
【0035】
図2A~
図2Cの改良されたアームサポート機構200は、ユーザの腕が下げられるにつれて復元モーメントの減少が増大するという所望の効果を達成することができる。しかしながら、コンパクトにするために、接触面219が比較的小さな半径を有する必要がある場合があり、それにより、接触面の周囲に巻く必要があるケーブルまたはベルトなどの張力要素の寿命が短くなる可能性がある。
【0036】
図3A~
図3Cに示す例示的なアームサポート機構300は、機構200といくつかの同様の特徴だけでなく、この潜在的な欠点に対処するための追加の特徴を含むことができる。
図3Aは、アーム上昇位置にあるアームサポート機構300の側面図を示しており、内部構成要素を観察できるように明確化のためにサイドプレートまたは他のカバーは示されていない。接続ブラケット310(肩ブラケットまたは図示しないアームサポートシステムの他の構成要素に接続され得る)と支持アーム130は、例えば、前述した機構と同様のピボットジョイント320を形成する。ケーブル380の近位端382は、回動するケーブルリンク350のケーブルリンク端354に取り付けられ、ケーブル380の遠位端384は、バネ190の遠位端198に取り付けられている。バネ190の近位端194は、接続特徴部136で支持アーム130に取り付けられている。
【0037】
図示のように、バネ190はケーブル380に比較的低い張力を与えている。接続ブラケット310の上部ブラケット部分314は、リンクアンカー330の取付点を提供し、このリンクアンカーは、例えば、1または複数の留め具335を使用して、かつ/または他の任意の適切な方法により、上部ブラケット部分314に取り付けることができる。リンクアンカー330のピボット特徴部332は、リンク340の第1のリンクシャフト346の周りを回転して、リンク340のための回動を与え、リンクは、例えば、以下にさらに説明するように、ピボット特徴部332を中心に回転することができる。また、リンクアンカー330は、ストップ面334も提供し、このストップ面がリンク340上のリンクストップピン342とスライド可能に係合して、リンク340の上方への回転を制限することができる。さらに、リンク340は、第2のリンクシャフト344を備え、この第2のリンクシャフトの周りをケーブルリンク350のピボット特徴部352が回転して、ピボット特徴部352を中心とするケーブルリンク350の回転を可能にする。
【0038】
図3Bは、
図3Aのアームサポート機構300の側面図を示しており、ほぼ経路P8に沿って下げられて、例えば、実質的に水平に向けられた、アームの部分的降下位置で示されている(ここでも、明確化のためにサイドプレートは示されていない)。ピボットジョイント320を中心とするアームサポート機構300の回転に応答して、ケーブルリンク350は、ほぼ経路P9に沿って、ピボット特徴部352を中心に回転している。ケーブルリンク350はピボット特徴部352を中心に回転しているが、リンク340はこのアーム位置ではリンクアンカー330のピボット特徴部332の周りをまだ回転していない。リンク340のストップピン342は、まだリンクアンカー330のストップ面334に接触している。回動するケーブルリンク350のケーブルリンク端354に取り付けられたケーブル380は、ケーブルリンク350のピボット特徴部352を中心に回動する。ユーザにとって、アームサポート機構300は、ケーブルリンク350のピボット特徴部352にケーブルが取り付けられているように感じられる。
【0039】
図3Cは、
図3Aおよび
図3Bのアームサポート機構300の側面図を示しており、ほぼ経路P10沿って、例えば、ほぼ鉛直下方に向けて下げられた、アーム降下位置で示されている(ここでも、明確化のためにサイドプレートは示されていない)。ピボットジョイント320を中心とするアームサポート機構300の回転に応答して、リンク340上のストップピン342がリンクアンカー330のストップ面334から離れ、リンク340がリンクアンカー330のピボット特徴部332を中心に、ほぼ経路P12に沿って回転している。その結果、ケーブル380の作用線、よってケーブル380の力FC7は、ピボットジョイント320の中心により近づくように移動している。ピボットジョイント320に向けてシフトしたケーブル380の力FC7の作用線は、ここでは、リンク340がリンクアンカー330のピボット特徴部332を中心に回転しなかった場合のように、線L4に沿って作用するのではなく、ほぼ軸または線L6に沿って作用している。このため、ケーブル380の力FC7は、ここでは、線L4からおよそ距離D9の位置に作用している。ケーブル380の力FC7は、機構100の構成の場合よりもピボットジョイント320の中心により近いところで作用するため、ピボットジョイント320の周りに比較的僅かな復元モーメントM6しか加えることができない。ユーザにとって、アームサポート機構300は、腕が水平よりも上にあるときにケーブルリンク350のピボット特徴部352にケーブルが取り付けられているように感じられ、腕が水平よりも下にあるときにピボット特徴部332にケーブルが取り付けられているように感じられる。その結果得られる効果は、
図1Dの曲線104で近似的に表される。
【0040】
本発明は、様々な変更および代替的な形態が可能であるが、その具体的な例が図面に示され、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、開示の具体的な形態または方法に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更物、均等物および代替物を網羅するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】