(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】地上支援機器
(51)【国際特許分類】
B64F 1/35 20240101AFI20241025BHJP
B64F 1/305 20060101ALI20241025BHJP
B64F 1/36 20240101ALI20241025BHJP
【FI】
B64F1/35
B64F1/305
B64F1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525864
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022047794
(87)【国際公開番号】W WO2023081042
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ボー フォルク ニールセン
(72)【発明者】
【氏名】ソーレン リスガルト ダール
(57)【要約】
本開示は、地上で航空機に整備を行う地上支援機器を提供する。地上支援機器は、地上の航空機に事前調整された空気を供給するように構成された事前調整空気(PCA)ユニットを備える。地上支援機器はまた、地上の航空機に電力を供給するように構成された地上電力ユニット(GPU)を備える。地上支援機器はまた、電源に接続可能であり、DC電圧を供給するように構成された入力段を備える。入力段は、PCAユニット及びGPUに動作可能に接続され、GPUは、航空機に電力供給するためにDC電圧を所定の出力AC電圧に変換するインバーター回路を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上の航空機に整備を行う地上支援機器であって、
地上の航空機に事前調整された空気を供給するように構成された事前調整空気(PCA)ユニットと、
地上の前記航空機に電力を供給するように構成された地上電力ユニット(GPU)と、
電源に接続可能であり、DC電圧を供給するように構成された入力段と
を備え、
前記入力段は、前記PCAユニット及び前記GPUに動作可能に接続され、
前記GPUは、前記DC電圧を、前記航空機に電力を供給する所定の出力AC電圧に変換するインバーター回路を備える、地上支援機器。
【請求項2】
前記入力段は、単一のケーブルを介して前記電源に接続可能である、請求項1に記載の地上支援機器。
【請求項3】
前記電源は、AC電圧電源又はDC電圧電源である、請求項1又は2に記載の地上支援機器。
【請求項4】
前記電源は、AC電圧電源であり、前記入力段は、前記AC電圧を所定の電圧レベルに変換するように構成された変圧器と、整流器とを備える、請求項3に記載の地上支援機器。
【請求項5】
前記整流器は、非制御型磁気結合整流器又はスイッチド整流器である、請求項4に記載の地上支援機器。
【請求項6】
前記GPUの前記所定の出力AC電力は、90kW未満であり、例えば最大で45kWである、請求項1~5のいずれか一項に記載の地上支援機器。
【請求項7】
前記GPUによって引き出される前記電力が所定の閾値を上回るとき、前記PCAユニットの冷却能力を低減するように構成されたコントローラーを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の地上支援機器。
【請求項8】
前記GPUは、前記GPUを前記航空機に接続するケーブルを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の地上支援機器。
【請求項9】
前記地上支援機器を乗客搭乗ブリッジに取り付ける取付け機構を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の地上支援機器。
【請求項10】
ハウジングを備え、前記PCAユニット及び前記GPUは、前記ハウジング内に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の地上支援機器。
【請求項11】
前記PCAユニットは、前記PCAユニットを通して空気を搬送する空気ダクトを備え、前記空気ダクトは、第1段の空気ダクト及び狭窄部を有する、請求項10に記載の地上支援機器。
【請求項12】
前記空気ダクトは、前記地上支援機器の前記ハウジング内の前記狭窄部において前記第1段の空気ダクトに接合される第2段の空気ダクトを有し、前記GPUの少なくともいくつかの構成要素は、前記狭窄部と前記地上支援機器の前記ハウジングとの間に収容される、請求項11に記載の地上支援機器。
【請求項13】
ブロワファンが、前記空気ダクトの前記狭窄部に位置し、前記空気ダクトを通して空気を駆動するように動作可能である、請求項11又は12に記載の地上支援機器。
【請求項14】
前記PCAユニットが内部に配置されたPCAハウジングと、前記GPUの少なくとも一部が内部に配置されたGPUハウジングとを備え、前記GPUハウジングは、前記PCAハウジングとは別個である、請求項1~9のいずれか一項に記載の地上支援機器。
【請求項15】
前記GPUのインバーターは、前記GPUハウジング内に配設される、請求項14に記載の地上支援機器。
【請求項16】
前記入力段に前記電源を供給するように構成されたバッテリ、例えば充電式バッテリを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の地上支援機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上支援機器に関する。より具体的には、排他的ではないが、本発明は、搭乗ゲートにおいて航空機に整備を行う地上支援機器に関する。
【背景技術】
【0002】
事前調整空気(PCA:preconditioned air)ユニットは、地上に駐機している航空機に事前調整された(すなわち、加熱又は冷却された)空気を供給するために使用されている。航空機をPCAユニットに接続することにより、航空機は、その補助電力ユニット(APU:auxiliary power unit)を作動させて、航空機上で冷却空気又は加熱空気を生成する必要がなくなる。
【0003】
典型的には、PCAユニットは、搭乗ゲートで乗客用ブリッジに取り付けられ、ホースを介して航空機に接続される。PCAユニットは、典型的には、空気を冷却するように配置された空調ユニットを含み、空気は、その後、ホースを介して航空機の中に搬送される。多くの場合、PCAユニットは、ホースを介して航空機に搬送される空気を加熱するように動作可能なヒータユニットも含む。空調ユニット又はヒータは、周囲温度に応じて選択的に作動され、例えば、周囲温度が高い場合には、空調ユニットは航空機に冷却空気を供給するように作動され、周囲温度が低い場合には、ヒータは航空機に加熱空気を供給するように作動される。
【0004】
航空機が地上にあるときにしばしば必要となる追加の地上支援機器は、地上電力ユニット(GPU:ground power unit)である。GPUは、航空機がそのAPUを使用してその電力を生成する必要がないように、航空機の電気システムに電力を供給するために使用されている。ワイドボディ型航空機及びナローボディ型航空機を含む種々の異なる航空機に対して同じGPUが使用されているため、GPUは、ワイドボディ型航空機によって最大電力が必要とされる最悪の場合のシナリオに対して設計されることが多い。このため、航空機の周りの滑走路上の、又は乗客用ブリッジの下に取り付けられたときに、大きなスペースを占有する大型のGPUになっている。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様に鑑みて、本発明は、地上の航空機に整備を行う地上支援機器であって、地上の航空機に事前調整された空気を供給するように構成された事前調整空気(PCA)ユニットと、地上の航空機に電力を供給するように構成された地上電力ユニット(GPU)と、電源に接続可能であり、DC電圧を供給するように構成された入力段とを備え、入力段は、PCAユニット及びGPUに動作可能に接続され、GPUは、DC電圧を、航空機に電力を供給する所定の出力AC電圧に変換するインバーター回路を備える、地上支援機器を提供する。
【0006】
したがって、本発明は、地上で整備を受ける航空機に電力及び事前調整された空気を供給するために最適化された地上支援機器を提供する。本出願の地上支援機器はまた、既存の地上支援機器と比較して、必要とする空間が非常に少なく、軽量であり、製造コストが非常に安価である。
【0007】
例では、入力段は、単一のケーブルを介して電源に接続可能である。これにより、地上支援機器の各部分、例えばPCAユニット及び別個のGPUに対してターミナルビルから別個のケーブルが接続され、その結果、各ケーブルに対して別個の電力パネルを必要とする既存の地上支援機器と比較して、地上支援機器の設置が更に簡略化される。これにより、多数のPCA及び別個のGPUが現在使用され、各搭乗ゲートにおける別個の電力パネルによって電力供給されている空港において、設置プロセス及び地上支援機器の在庫が大幅に簡略化される。
【0008】
例では、電源は、AC電圧電源又はDC電圧電源である。場合によっては、電源は、AC電圧又はDC電圧を供給する主電源であり得る。場合によっては、電源は、DC電圧を供給する外部バッテリであり得る。場合によっては、地上支援機器は、入力段に電源を供給するように構成されたバッテリ、例えば充電式バッテリを備える。外部バッテリが使用される場合、航空機が搭乗ゲートから離れて、したがってまた、典型的には搭乗ゲートに設置される電力パネルから離れて駐機されるときに地上支援機器を使用することができるため、地上で航空機に整備を行うときに更なる柔軟性が提供される。外部バッテリは、地上支援機器とは別個であってもよいし、地上支援機器と一体であってもよい。例では、入力段は、AC電圧電源を所定の電圧レベルに変換するように構成された変圧器と、整流器とを備える。例では、整流器は、非制御型磁気結合整流器又はスイッチド整流器である。例では、所定の入力電圧はAC電圧である。場合によっては、AC電圧は550VACである。550VAC入力は、整流器が690VDCを出力することを可能にし、これにより、PCAユニットの圧縮機が一定のV/f比で75Hzまで動作することが可能になる。これは、必要とされるDCリンク電圧を保証しながら、低電流歪みを有する高力率AC/DCコンバーターを有利に提供する。
【0009】
例では、GPUの所定の出力AC電力は、90kW未満であり、例えば、最大で45kWである。例では、GPUの所定の出力AC電力は75kW未満である。例では、GPUの所定の出力AC電力は50kW未満である。航空機の需要に対して定格化された出力電力を供給することによって、本発明の地上支援機器は、異なる航空機に対して最適化される。例では、GPUの所定の出力AC電力は、定格45kWである。これは、有利には、従来技術のGPUが典型的には90kWの電力定格を有するにもかかわらず、ゲートにいるときに20~30kWを超える電力をほとんど必要としないナローボディ型航空機に最適化された地上支援機器を提供する。ナローボディ型航空機は、全世界の旅客機全体の約2/3を構成しているため、最適化された地上支援機器は、したがって、既存の旅客機全体に対して最適化される。45kWの電力は例示的なものであるが、これは、電力は既知の実際の航空機の電力消費に基づく場合があり、この例示的な電力出力とは異なり得るためである。
【0010】
例では、地上支援機器は、GPUによって引き出される電力が所定の閾値を上回るとき、PCAユニットの冷却能力を低減するように構成されたコントローラーを備える。このようにしてPCAユニットの冷却能力を低減することにより、地上支援機器がその最大入力電流を超えるリスクが低減される。このようにしてPCAユニットの冷却能力を低減することの更なる利点は、航空機の電力需要が、航空機による電力需要が増加した時間の間だけ、PCAユニットによって提供される冷却能力よりも優先されることである。航空機の電力需要が所定の閾値未満に減少すると、PCAユニットの冷却能力は、その通常レベルに戻ることができ、通常レベルの冷却を航空機に提供することができる。
【0011】
例では、GPUは、GPUを航空機に接続するケーブルを備える。例では、ケーブルは、GPUから取り外し可能である。例では、ケーブルは、一端でGPUに一体的に接続される。
【0012】
例では、地上支援機器は、地上支援機器を乗客搭乗ブリッジに取り付ける取付け機構を備える。例では、取付け機構は、地上支援機器を乗客搭乗ブリッジに取り付ける1つ以上のクランプ又はブラケット又は取付け点を含む。例では、1つ以上のクランプ又はブラケット又は取付け点は、地上支援ハウジングのフレーム又はハウジングの周りに分散される。
【0013】
例では、地上支援機器は、ハウジングを備え、PCAユニット及びGPUは、ハウジング内に配置される。ハウジングは、乗客搭乗ブリッジに取り付け可能であってもよく、又は車両若しくはエプロンに取り付け可能であってもよい。
【0014】
例では、PCAユニットは、PCAユニットを通して空気を搬送する空気ダクトを備える。空気ダクトは、第1段の空気ダクトを有することができる。空気ダクトは、狭窄部を有することができる。空気ダクトは、直線的な断面を有することができる。場合によっては、PCAユニットは、単一段の空気ダクトのみを含む。これは、有利には、より小さい地上支援機器を提供する。空気ダクトは、狭窄部において第1段の空気ダクトに接合される第2段の空気ダクトを有することができる。例えば、狭窄部は、PCAユニットの入口と出口との間の略中心に位置してもよく、地上支援機器のハウジング内の略中心に位置決めされてもよい。例では、ブロワファンが、空気ダクトの狭窄部に位置し、空気ダクトを通して空気を駆動するように動作可能である。
【0015】
例では、GPUの少なくともいくつかの構成要素は、狭窄部と地上支援機器のハウジングとの間に収容される。すなわち、狭窄部が空気ダクトとハウジングとの間に追加の空間を提供する場合、少なくともいくつかのGPU構成要素を収容することができる。具体的には、GPUは、1つ以上のフィルター、例えば電磁干渉(EMI:electromagnetic interference)フィルターを備えることができ、このフィルターは、空気ダクトの狭窄部においてハウジング内に収容することができる。同様に、GPUは、1つ以上の変圧器及び/又はインバーターを備えることができ、これらは、空気ダクトの狭窄部においてハウジング内に収容することができる。
【0016】
例では、地上支援機器は、PCAユニットが内部に配置されたPCAハウジングと、GPUの少なくとも一部が内部に配置されたGPUハウジングとを備えることができ、GPUハウジングは、PCAハウジングとは別個である。特に、GPUのインバーターは、GPUハウジング内に配設することができる。
【0017】
本発明の地上支援機器の態様は、添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】乗客用ブリッジに取り付けられた事前調整空気(PCA)ユニットを有する地上支援機器を備えた、乗客用ブリッジにおいて地上に駐機している航空機の斜視図である。
【
図2A】明確にするために外部パネルが省略された、代替の例示的な地上支援機器のフレーム及び空気ダクトを示す図である。
【
図2B】
図2Aの地上支援機器の空調モジュールを示す図である。
【
図4】
図3に示す地上支援機器の一部の部分拡大図である。
【
図6】
図5に示す地上支援機器の一部の部分拡大図である。
【
図7】例示的な地上支援機器の例示的な電力回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、航空機1が地上、特に空港の搭乗ゲート2に駐機しているとき、航空機1に乗り降りするために乗客用ブリッジ3を位置決めすることができる。地上支援機器4は、航空機1に整備を行うために乗客用ブリッジ3に取り付けることができる。図示の例では、地上支援機器4は、事前調整された空気(すなわち、加熱又は冷却された空気)を航空機1に供給することができる事前調整空気(PCA)ユニット(
図2Aも参照)を含む。地上支援機器4はまた、航空機1に電力を供給する地上電力ユニット(GPU)を含む。これは、既存のシステムとは対照的であり、既存のシステムでは、PCAユニット及びGPUは、異なる入力電力定格を有する別個の機器であり、動作するために別個の電源を必要とする。以下で説明するように、本地上支援機器4は、単一の電力ケーブルを使用して地上支援機器4全体に電力を供給することができる(すなわち、PCAユニットとGPUの両方が同じ電源を有する)ため、設置がより容易な地上支援機器4の一体部品を提供するために、PCAユニットの機能をGPUの機能と組み合わせることができる。他の例では、地上支援機器4は、乗客用ブリッジ3の下に取り付けられてもよく、又は地上支援機器4は、エプロン、格納庫内、又は車両上に位置してもよい。地上支援機器4は、単一の空気ダクトを有するPCAユニットを含む。単一の空気ダクトは、以下に説明するように、その周りに他の構成要素を配置することができる狭窄部を含むことができる。しかしながら、地上支援機器は、必要に応じて複数の空気ダクトを含むことができることが明らかであろう。
【0020】
図2A~
図6を参照すると、地上支援機器40は、PCAユニット42及びGPU44を収容するハウジング41を有する。GPU44は、3つの部分を備えて示されている。具体的に、GPU44は、インバーター46、変圧器50、及び出力コンタクタ48を含む。場合によっては、変圧器50は、ノイズ及び干渉を低減するフィルター、例えば電磁干渉(EMI)フィルターを含む。
図4に示すように、インバーター46及び出力コンタクタ48は、GPU44の電子機器パネル上に位置する。
図6に示すように、変圧器50及び/又はフィルターは、空気ダクト7の狭窄部に配置され、空気ダクト7の狭窄部に位置するブロワ26に隣接している。
図4及び
図6は、インバーター46及び出力コンタクタ48を含む電子機器パネルに対して空気ダクト7の反対側に配置された変圧器フィルター50を示しているが、これは単なる例示であることは明らかであろう。場合によっては、空気ダクト7の例示的な異なる配置では、変圧器フィルター50は、空気ダクト7の、インバーター46及び出力コンタクタ48を含む電子機器パネルと同じ側に位置することができる。他の例では、GPUの少なくとも一部、例えばインベンター46は、ハウジング41の外部、例えば別個のGPUハウジング(図示せず)内に位置してもよい。別個のGPUハウジングは、ハウジング41に取り付けられてもよいし、それとは別個であってもよい。GPUハウジングは、ハウジング41と同様の位置、例えば、エアブリッジ上、車両上、格納庫内、又は別のエプロン構造体上に取り付けることができる。地上支援機器40のハウジング41のフレーム6が、外側パネルを取り外した状態で示されている。図示のように、地上支援機器40、特にPCAユニット42は、空気ダクト7を備える。図示の例では、空気ダクト7は、第1段の空気ダクト7a及び第2段の空気ダクト7bで形成されている。使用中、周囲空気は、第1段の空気ダクト7a内に引き込まれ、第1段の空気ダクト7aを通過し、第2段の空気ダクト7b内に入る。したがって、第1段の空気ダクト7aは空気入口8を備え、第2段の空気ダクト7bは空気出口9を備える。PCAユニット42は、環境から周囲空気を引き込み、空気が空気ダクト7を通過するときに空気を加熱又は冷却する。PCAユニット42は、空気が空気ダクト7を通過するときに空気を冷却するように配置された1つ以上の空調モジュール、及び/又は空気が空気ダクト7を通過するときに空気を加熱するように配置された1つ以上のヒータを備える。
図2Bは、
図2Aに示される空気ダクト7内の取付け点10のうちの1つに取り付け可能な例示的な空調モジュール12aを示す。空調モジュール12aは、冷媒回路において直列に接続された圧縮機13、凝縮器(図示せず)、膨張弁(図示せず)、及び蒸発器14を備える冷媒システムを備える。冷媒回路は、冷媒を収容している。冷媒システムは、既知の冷蔵庫の原理に従って動作しており、詳細な説明はここでは含まれない。
【0021】
PCAユニット42の外側での放熱を増加させるために、凝縮器ファン15を設けて凝縮器上に空気流を発生させることができる。凝縮器ファン15は、PCAユニット42の外部パネルの開口部に取り付けることができる。複数の空調モジュール12aのそれぞれに対して1つの凝縮器ファン15が設けられてもよく、又は単一の凝縮器ファン15が、2つ以上の空調モジュール12aの凝縮器の上に空気流を生成するように動作してもよい。蒸発器14は、空気ダクト7内の空気流の通過の多数のチャネル16を有し、空気流と蒸発器14の内部を流れる冷媒との間の熱交換の大きな表面積を提供する。
【0022】
図2Bに示されているように、空調モジュール12aは、
図2Aに示されているそれぞれの取付け点10のところで空気ダクト7のスロット11を閉鎖するよう配置されたプレート17を有している。したがって、空調モジュール12aがPCAユニット4内に位置決めされると、蒸発器14は空気ダクト7内に延在し、圧縮機13、凝縮器ファン15、及び他の構成要素は空気ダクト7の外部に留まる。各凝縮器ファン15は、一方の側が凝縮器に隣接し、他方の側がPCAユニット4のハウジングのそれぞれの開口部を通して大気に開放されるように配置される。事前調整された(すなわち、加熱又は冷却された)空気は、空気出口9に接続されたホース5を介して航空機1に搬送される。以下で説明され、
図3~
図6に示されるように、GPU44の構成要素の少なくともいくつかは、PCAユニット42の構成要素の少なくともいくつかの周りのハウジング41内に分散される。
【0023】
ブロワファン26は、空気入口8に、空気出口9に、第1段の空気ダクト7aと第2段の空気ダクト7bとの接合部に、又は空気ダクト7に沿った任意の他の位置に設けられて、空気を入口8から空気ダクト7を通して出口9に駆動することができる。空気出口9は、事前調整された空気を航空機1に搬送するためにホース5に接続される。ブロワファンは、高効率の遠心ファンであることが好ましい。ブロワファンには、好ましくは、振動ダンパが取り付けられ、フレーム6の空気ダクト7に可撓性接続部を用いて取り付けられる。空気ダクト7は、自由水分が残らないようにするために、低い空気速度に合わせて寸法決めされ得る。空気ダクト7は、第1段の空気ダクト7aと第2段の空気ダクト7bとが合流する狭窄部を有している。
【0024】
狭窄部は、地上支援機器40を動作させる追加の構成要素を含むことができる空間をフレーム6の中央に提供することができる。例えば、GPUの構成要素は、空気ダクト7の狭窄部とハウジング41との間のこの空間に位置してもよい。特に、以下で更に説明されるように、GPU44は、1つ以上のフィルター(例えば、EMIフィルター)、変圧器50、及び/又はインバーター46を含むことができ、これらは、比較的大きな構成要素であり、第1段の空気ダクト7a及び第2段の空気ダクト7bが接合される狭窄部に近接して空気ダクト7とハウジング41との間に収容することができる。PCAユニット42を通る空気を駆動するブロワ26等の、PCAユニット42の追加の構成要素も、この空間内に位置することができる。しかしながら、PCAユニット42のブロワ26は、空気ダクト7及び周囲のフレーム6の特定の設計に応じて、ハウジング41内に異なるように配置され得ることは明らかであろう。
【0025】
図2~
図6に示す地上支援機器40は、GPU44と、PCAユニット42とを備えている。これは単なる例示であり、GPU構成要素46、48、50及びPCAユニット42の他の配置が想定されることは明らかであろう。地上支援機器40のハウジング41は、地上支援機器40を
図1に示す乗客用ブリッジ3の下側に、又はエプロン上の車両に取り付ける取付け機構を含むことができる。
【0026】
PCAユニット42及びGPU44を地上支援機器40の単一のハウジング内に収容することによって、地上支援機器40の全体的なサイズは、別個のPCAユニット及びGPUと比較して低減されるため、地上支援機器40は、例えば乗客用ブリッジ3の下等、地上支援機器40が位置するより少ない空間を占有することになる。
【0027】
図7は、例示的な地上支援機器40の例示的な電力回路24の概略図である。上述したように、GPU44は、PCAユニット42と同じ電源を共有する。これは、GPU44及びPCAユニット42の両方が電力を引き出すことができるDCバス電圧を供給するために入力整流器30が使用されるときに可能である。場合によっては、入力段27の整流器30は690VDCを出力する。したがって、地上支援機器40がGPU44及びPCAユニット42の機能を提供するために必要な電力入力は1つだけである。PCAユニット42及びGPU44を同じ入力段27に接続することによって、航空機1に冷却及び電力を提供するために必要とされる構成要素を更に低減し、よりコンパクトな地上支援機器をもたらす。
【0028】
GPU44は、DCバスからの電圧を、整備を受ける特定の航空機1を動作させるのに適した所定のAC電圧、例えば三相400Hz AC電圧に変換するインバーター46を含む。好ましくは、GPU44は、90kW未満、例えば75kW未満、例えば45kWの最大出力電力を有する。典型的には最大90kWで定格される既存のGPUと比較してGPU44の出力電力を低減することによって、地上支援機器40のサイズが低減され、乗客用ブリッジ3への設置プロセスを簡略化することができる。好ましくは、GPU44は、400Hzで3×200V/115Vの出力電圧を有する。
【0029】
GPU44上のコンタクタ48は、例えば、乗客用ブリッジ3又は地上支援機器40に取り付けられたケーブル(図示せず)を介して航空機1を接続することができる出力ポートを提供する。場合によっては、出力コンタクタ48は、EMIフィルター32の隣に配置される。
【0030】
いくつかの例では、入力段27は、入力段27が定格化されていない主AC電圧を所定の入力電圧に変換する変圧器29を含むことができる。これは、有利には、本地上支援機器40が、より多様な領域又は動作条件、特に、所定の入力電圧とは異なる主電圧を有する領域又は動作条件で使用されることを可能にする。例えば、整流器31は、690VDCを出力することができる。
【0031】
コントローラー37は、地上支援機器40の入力電流が所定の最大入力電流を超えないことを確実にするために、電力回路24内の電力を平衡させることができる。コントローラー37は、入力電流が所定の閾値を超える場合、PCAユニット42の冷却能力を低減することができる。入力電流が通常のレベルに低下すると、すなわち、所定の閾値を下回ると、コントローラー37は、PCAユニット42の冷却能力を回復させることができる。航空機によって必要とされる電力が航空機の冷却よりも優先されることを確実にするために冷却能力を一時的に調整することは、航空機1に整備を行うときに有害な影響を及ぼす可能性が低い。
【0032】
図7に示す電力回路24では、電力回路24は、それぞれのPCAユニット42の各空調モジュールを駆動する可変周波数駆動装置25a~25d(VFD:variable frequency drive)を備える。第1のVFD25a~第4のVFD25dは、
図2A~
図6に示すPCAユニット42の冷却能力を提供するために、空気ダクト7に沿ってハウジング41内に分散された4つの空調モジュールのそれぞれの圧縮機13a~13dに電力を供給するように配置される。加熱が望まれる場合には、PCAユニット42内の空気を加熱するために加熱要素を設けることができる。第5のVFD25eは、上述のように空気ダクト7を通して空気を駆動するように配置されたブロワファン26に動力を供給するために設けられる。図示の例では、PCAユニット42は、(圧縮機13a~13d及びVFD25a~25dによって示される)4つの空調モジュールを有するが、他の例では、PCAユニット42は、空気がPCAユニット42を通過するときに空気を冷却するように配置された少なくとも1つの空調モジュール、例えば1つ、2つ、3つ又は4つの空調モジュールを有する。各空調モジュールは、VFD25a~25dによって電力供給される圧縮機13a~13dを有する。圧縮機13a~13dは、既知の冷却回路に接続されており、冷却回路は、典型的には、膨張弁と、凝縮器と、蒸発器とを有し、蒸発器上を流れる空気が冷却されるように空気ダクト内に配置されている。この例では、
図2Aを参照すると、2つの空調モジュールが、位置10a及び10bで第1段の空気ダクト7a内に配置され、2つの空調モジュールが、位置10d及び
図2に示されない反対側の別の位置で第2段の空気ダクト7b内に配置される。
【0033】
GPU44のインバーター46は、変圧器50及び出力コンタクタ48にAC出力を提供するように制御され得る第6の可変周波数駆動装置VFDとして示されている。VFDは、航空機1にAC出力を供給するのに適したインバーター46の一例であるが、これは単なる例示であることは明らかであろう。
【0034】
電力回路24は、外部電源28からのAC入力電力、特に、乗客用ブリッジ3において利用可能な主電力又は発電機からのAC入力電力を必要に応じて受信する入力段27を備える。場合によっては、地上支援機器40に電力を供給するために、外部バッテリ(図示せず)又は外部DC電源が使用されてもよい。外部バッテリは、提供される場合、例えばハウジング内に収容されることによって、地上支援機器に一体化することができる。例えば、異なる外部充電式バッテリを使用して地上支援機器に電力供給することを可能にするために、外部バッテリが地上支援機器とは別個である場合、これは、地上支援機器及び少なくとも1つの外部バッテリを含むシステムとして提供されてもよい。入力段27は、入力電圧を変換する。例えば、入力電圧は400VACであってもよい。入力段27は、電圧を変更する変圧器29、及び/又はAC入力電圧をVFD25a~25e、46のDC電圧源に変換する整流器30を有することができる。
【0035】
主電源の歪み及び汚染を抑制するために、入力段27は、整流器30の上流に12パルス、18パルス又は24パルスの変圧器31を有することができる。入力段27は、必要に応じて、EMIフィルター32、及び/又はラインインダクタ33、及び/又はヒューズ34、及び/又はコンタクタ35を更に備えることができる。
【0036】
入力段27は、DCバス36にDC電圧を出力する。DCバス36は、VFD25a~25e、46に接続されている。各VFD25a~25e、46は、複数のスイッチ、好ましくはIGBTを有するインバーター段を備える。各VFD25a~25e、46は、三相AC電力を生成するようにスイッチを制御するように動作可能である。各VFD25a~25e、46のスイッチは、三相AC電力出力の各相の波形を変化させるように制御することができる。また、各VFD25a~25e、46のスイッチは、三相AC電力出力の電圧、周波数及び位相整合を変化させるように制御することができる。
【0037】
上述のように、この例では、電力回路24は、PCAユニット42の5つのVFD25a~25eと、GPU44を駆動する更なるVFD46とを備える。第1のVFD25a~第4のVFD25dはそれぞれ、PCAユニット42の空調モジュール、特に各空調モジュールの圧縮機13a~13dに関連付けられる。第5のVFD25eは、ブロワファン26の電気モータに電力を供給するために設けられる。第1のVFD25a~第4のVFD25dは、0Hzと圧縮機13a~13dの最大周波数との間、例えば約35Hzと約75Hzとの間で出力周波数を変化させるように動作可能である。第5のVFD25eは、ゼロと約55Hzとの間で周波数を変化させてブロワファン26の速度を変化させるように動作可能であり得る。GPU44のVFD46は、航空機1に電力を供給する400Hz信号を出力するように動作可能である。
【0038】
地上支援機器40は、電力回路24を含む地上支援機器40の動作を制御するように構成されたコントローラー37を有する。コントローラー37は、ユーザーからユーザーコマンドを受信し、ユーザーにメッセージを出力するユーザーインターフェイスに接続することができる。地上支援機器40は、入力キー及びディスプレイを有するユーザーインターフェイスパネル、リモコン、コンピューターインターフェイス、ネットワークインターフェイス、スピーカ等のうちの少なくとも1つを備えることができる。例えば、一次ユーザー入力のうちの1つは、地上支援機器40によって整備を受ける航空機のタイプを指定することができる。この情報は、ユーザーパネルの入力キーを使用して、又は乗客搭乗ブリッジからリモコンを使用して入力されてもよく、又は空港2の建物管理システム等から送信されてもよい。コントローラーと各VFD25a~25e、46との間には制御ラインが設けられている。制御ラインは24VDCで動作することができる。制御ラインは、補助電源及び制御信号接続、例えばCANバス接続から構成されてもよい。
【0039】
図示のように、VFD25a~25dは、それぞれの空調モジュールの圧縮機13a~13dに可変周波数電力を供給するように動作可能である。各VFD25a~25dによって供給される出力電圧及び周波数は、可変周波数駆動装置の技術分野で知られている方法でコントローラー37によって制御される。各VFD25a~25dは、独立して制御可能であり、したがって、各圧縮機13a~13d(及び空調モジュール)の動作は、コントローラー37によって独立して制御することができる。コントローラー37は、例えば、フローダクト内の空気流の温度及び/又は流量に基づいて圧縮機13a~13dの作動を制御することができる。特に、コントローラー37は、第1のVFD25a~第4のVFD25dのそれぞれに個別の温度設定を出力することができ、個別の温度設定に応答して、第1のVFD25a~第4のVFD25dのそれぞれは、それぞれの圧縮機13a~13d及び/又はヒータユニットを制御して、必要に応じて空気流の温度を調整することができる。
【0040】
コントローラー37は、PCAユニット42を冷却モードで動作させて、空気がPCAユニット42を通過するときに空気を冷却するように構成される。これは、コントローラー37が第1のVFD25a~第4のVFD25dを制御して圧縮機13a~13dを動作させ、第5のVFD25eを制御してブロワファン26を動作させ、ブロワファン26によってPCAユニットを通って駆動される空気が必要に応じて冷却されるようにすることによって達成することができる。いくつかの例では、PCAユニット42は、加えて、ヒータを備えてもよく、PCAユニット42は、空気がPCAユニット42を通過するときに空気を加熱するように、ヒータ及びブロワファン26の第5のVFD25eに電力を供給するように、加熱モードで動作させることができる。VFD25a~25dの制御は、GPUインバーター46の制御とは独立しているため、GPU44及びPCAユニット42の動作は、コントローラー37によって独立して制御することができる。
【0041】
本明細書の記載及び請求項全体を通じて、「備える」及び「含む」という文言並びにそれらの変化形は、「非限定的に含むこと」を意味し、他の部分、付加物、構成要素、整数、ステップを排除することを意図したものではない(排除するものではない)。本明細書の記載及び請求項全体を通じて、単数のものは、文脈から特に単数であることを要件としていない限り複数のものも包含する。特に不定冠詞が使用される場合、本明細書では、文脈から特に単数であることを要件としていない限り、単数のみならず複数と考えるものと理解される。
【0042】
本発明の特定の態様、実施形態、例に関連して記載される特徴、整数、特性、又はグループは、それらと非互換でない限り本明細書中に記載される他のいずれの態様、実施形態、又は例にも適用可能であると理解される。本明細書に開示される特徴の全て(いずれの添付請求項、要約書、図面も含む)及び/又は同様に開示されるいずれの方法又は処理のステップの全ては、このような特徴及び/又はステップのうちの少なくともいくつかが互いに排他的である組合せを除いていずれの組合せで組合されてもよい。本発明は、いずれの上記実施形態の細部に限定されるものではない。本発明は、本明細書に開示される特徴のうちのいずれの新規のもの若しくはいずれの新規の組合せ、又は同様に開示されるいずれの方法若しくは処理のステップのうちのいずれの新規のもの若しくはいずれの新規の組合せにも拡大する。
【国際調査報告】