(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】バッテリーセルユニット、これを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241025BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20241025BHJP
H01M 50/383 20210101ALI20241025BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/291
H01M50/211
H01M50/35 101
H01M50/293
H01M50/289 101
H01M50/30
H01M50/383
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526706
(86)(22)【出願日】2023-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2023010418
(87)【国際公開番号】W WO2024019529
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089572
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-フン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ス-ヨル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ-ミ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H012CC03
5H012CC09
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040NN03
(57)【要約】
バッテリーセルユニット、これを含むバッテリーパック及び自動車が開示される。本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニットは、パウチ型バッテリーセルと、パウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に取り囲むように設けられるセルカバーと、を含み、セルカバーは、パウチ型バッテリーセルから離隔されるように構成され、セルカバーには、熱イベントが発生した際にパウチ型バッテリーセルから噴出されるパーティクルを捕集するように構成されたパーティクルポケット部が形成された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ型バッテリーセルと、
前記パウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に取り囲むように設けられるセルカバーと、を含み、
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルから離隔されるように構成され、前記セルカバーには、熱イベントが発生した際に前記パウチ型バッテリーセルから噴出されるパーティクルを捕集するように構成されたパーティクルポケット部が形成される、バッテリーセルユニット。
【請求項2】
前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの両側面と上側を取り囲むように構成され、前記パーティクルポケット部は、前記セルカバーの上側に形成される、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項3】
前記パーティクルポケット部は、前記セルカバーの上側に形成されており、それによって前記セルカバーの幅方向に沿った両サイド部が中心部よりも上部方向にさらに突出する、請求項2に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項4】
前記パーティクルポケット部の内側にメッシュ部材が形成される、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項5】
前記メッシュ部材は、複数枚の多孔性金属板を重畳した形態で構成される、請求項4に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項6】
前記セルカバーには、ベントガスを誘導して予め設定された方向に排出させるディレクショナルベント部が形成される、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項7】
前記セルカバーに結合されるサーマルレジンを含み、
前記セルカバーには、前記サーマルレジンが結合された部分と、前記サーマルレジンが結合されていない部分とが存在し、
前記ディレクショナルベント部は、
前記セルカバーのうち前記サーマルレジンが結合されていない部分に形成されたガス排気口と、
前記パウチ型バッテリーセルと前記セルカバーとの間に形成された移動通路と、を含む、請求項6に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項8】
前記ガス排気口は、前記セルカバーの下部に形成される、請求項7に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項9】
前記セルカバーは、複数の前記パウチ型バッテリーセルの積層状態を支持するように構成される、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項10】
前記セルカバーはn字状に形成される、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項11】
前記セルカバーは金属材料から構成される、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項12】
複数の電極リードを連結するバスバーをさらに含む、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項13】
前記セルカバーは、取り囲まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が外部に露出するように、前記パウチ型バッテリーセルを部分的に取り囲むように構成される、請求項1に記載のバッテリーセルユニット。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリーセルユニットと、
内部空間に前記バッテリーセルユニットを収納するパックケースと、を含む、バッテリーパック。
【請求項15】
前記セルカバーは、取り囲まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側がバッテリーパックの底面に向かって露出するように構成される、請求項14に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記セルカバーは、前記パックケースに直接安着する、請求項14に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリーセルユニットを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年07月20日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0089572号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーセルユニット、これを含むバッテリーパック及び自動車に関し、より詳しくは、安全性などが向上したバッテリーセルユニット、これを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
各種モバイル機器と電気自動車、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)などに対する技術開発と需要が大きく増加することにつれ、エネルギー源としての二次電池に対する関心と需要が急激に増加している。
【0004】
従来、二次電池としてニッケルカドミウム電池又はニッケル水素電池などが多く用いられていたが、最近では、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんどないため充電及び放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いリチウム二次電池が多く用いられている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液とともに封止して収納する外装材、すなわち電池ケースを備える。
【0006】
一般に、二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型電池とに分類される。
【0007】
最近では、電気自動車やエネルギー貯蔵システムなどの中大型装置に駆動用やエネルギー貯蔵用としてバッテリーパックが広く用いられている。
【0008】
従来のバッテリーパックは、パックケースの内部に1つ以上のバッテリーモジュールとバッテリーパックの充放電を制御する制御ユニットとを含む。ここで、バッテリーモジュールは、モジュールケースの内部に複数のバッテリーセルを含む形態で構成される。
【0009】
すなわち、従来のバッテリーパックの場合、複数のバッテリーセル(二次電池)がモジュールケースの内部に収納されてそれぞれのバッテリーモジュールを構成し、このようなバッテリーモジュールが1つ以上パックケースの内部に収納されてバッテリーパックを構成する。
【0010】
特に、パウチ型電池の場合、軽量であり、積層時にデッドスペース(dead space)が少ないなどの多くの利点を有しているが、外部からの衝撃に弱く、組立性が多少劣るという問題がある。したがって、複数のセルを先にモジュール化した後、パックケースの内部に収納される形態でバッテリーパックが製造されることが一般的である。
【0011】
このようなバッテリーパック構成において、代表的に重要な問題の1つは安全性である。特に、バッテリーパックに含まれた複数のバッテリーセルのうちのいずれかのバッテリーセルで熱イベントが発生した場合、このようなイベントが他のバッテリーセルに伝播(propagation)することを遮断する必要がある。
【0012】
バッテリーセル間の熱伝播が良好に抑制されないと、これはバッテリーパックに含まれた他のバッテリーセルの熱イベントにつながり、バッテリーパックの発火や爆発など、より大きな問題を引き起こす可能性がある。
【0013】
さらに、バッテリーパックで発生した発火や爆発は、人命や財産に大きな被害を与えることになる。したがって、このようなバッテリーパックの場合、上述した熱イベントを適切に制御できる構成が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、いずれかのバッテリーセルで熱イベントが発生した場合、当該バッテリーセルから噴出される火炎、スパーク、ベントガスなどが周囲の他のバッテリーセルに伝播することを防ぎ、さらには内圧が減少するようにベントガスを排出し、特定の方向にベントガスを排出するように構成したバッテリーセルユニット、これを含むバッテリーパック及び自動車を提供することをその目的とする。
【0015】
本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、以下に記載された発明の説明から当業者であれば明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によると、パウチ型バッテリーセルと、前記パウチ型バッテリーセルを少なくとも部分的に取り囲むように設けられるセルカバーと、を含み、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルから離隔されるように構成され、前記セルカバーには、熱イベントが発生した際に前記パウチ型バッテリーセルから噴出されるパーティクルを捕集するように構成されたパーティクルポケット部が形成される、バッテリーセルユニットを提供することができる。
【0017】
一実施形態において、前記セルカバーは、前記パウチ型バッテリーセルの両側面と上側を取り囲むように構成され、前記パーティクルポケット部は、前記セルカバーの上側に形成され得る。
【0018】
一実施形態において、前記パーティクルポケット部は、前記セルカバーの上側において、前記セルカバーの幅方向に沿った両サイド部が中心部よりも上部方向にさらに突出する形態で構成され得る。
【0019】
一実施形態において、前記パーティクルポケット部の内側にメッシュ部材が形成され得る。
【0020】
一実施形態において、前記メッシュ部材は、複数枚の多孔性金属板を重畳した形態で構成され得る。
【0021】
一実施形態において、前記セルカバーには、ベントガスを誘導して予め設定された方向に排出させるディレクショナルベント部が形成され得る。
【0022】
一実施形態において、前記セルカバーに結合されるサーマルレジンを含み、前記セルカバーには、前記サーマルレジンが結合された部分と、前記サーマルレジンが結合されていない部分とが存在し、前記ディレクショナルベント部は、前記セルカバーのうち前記サーマルレジンが結合されていない部分に形成されたガス排気口と、前記パウチ型バッテリーセルと前記セルカバーとの間に形成された移動通路と、を含むことができる。
【0023】
一実施形態において、前記ガス排気口は、前記セルカバーの下部に形成され得る。
【0024】
一実施形態において、前記セルカバーは、複数の前記パウチ型バッテリーセルの積層状態を支持するように構成され得る。
【0025】
一実施形態において、前記セルカバーは、n字状に形成され得る。
【0026】
一実施形態において、前記セルカバーは、金属材料から構成され得る。
【0027】
一実施形態において、複数の電極リードを連結するバスバーをさらに含むことができる。
【0028】
一実施形態において、前記セルカバーは、取り囲まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側が外部に露出するように、パウチ型バッテリーセルを部分的に取り囲むように構成され得る。
【0029】
一方、本発明の他の態様によると、上述したバッテリーセルユニットと、内部空間に前記バッテリーセルユニットを収納するパックケースと、を含むバッテリーパックを提供することができる。
【0030】
一実施形態において、前記セルカバーは、取り囲まれたパウチ型バッテリーセルの少なくとも一側がバッテリーパックの底面に向かって露出するように構成され得る。
【0031】
一実施形態において、前記セルカバーは、前記パックケースに直接安着し得る。
【0032】
一方、本発明の他の態様によると、上述したバッテリーセルユニットを含む自動車を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一態様によると、いずれかのバッテリーセルで熱イベントが発生した場合、当該バッテリーセルから噴出される火炎、スパーク、ベントガスなどが周囲の他のバッテリーセルに伝播することを防ぐことができ、ベントガスを排出して急激な圧力上昇を抑制することで、セルアセンブリの構造的崩壊を防止することができる。
【0034】
その他、本発明は様々な効果を有することができ、これについては各実施形態で説明するか、当業者が容易に類推できる効果などについては説明を省略する。
【0035】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニットにおいて、パウ型バッテリーセルにセルカバーが結合され、2つのパウチ型バッテリーセルがバスバーに接続される過程を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニットにおいて、パウチ型バッテリーセルにセルカバーが結合され、2つのパウチ型バッテリーセルがバスバーに接続される過程を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニットにおいて、パウチ型バッテリーセルにセルカバーが結合され、2つのパウチ型バッテリーセルがバスバーに接続される過程を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニットに備えられたパウチ型バッテリーセルとセルカバーの分離斜視図である。
【
図5】
図4のパウチ型バッテリーセルとセルカバーの結合断面図である。
【
図6】
図4のパウチ型バッテリーセルとセルカバーが結合された部分斜視図であり、ガス排気口を示している。
【
図7】
図4のパウチ型バッテリーセルとセルカバーが結合された側断面図であり、ガスの排気経路であるディレクショナルベント部を示している。
【
図8】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの概略的な分離斜視図である。
【
図9】本発明の各実施形態に係るバッテリーパックを含む自動車を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0038】
図面において、各構成要素又はその構成要素をなす特定部分の大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張、省略、又は概略的に示されている。したがって、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。関連する公知機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判断される場合、そのような説明は省略する。
【0039】
本明細書で使用される「結合」又は「連結」という用語は、ある部材と他の部材が直接結合されるか、直接接続される場合だけでなく、ある部材が連結部材を介して他の部材に間接的に結合されるか、間接的に接続される場合も含む。
【0040】
図1から
図3は、本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニットにおいて、パウチ型バッテリーセルにセルカバーが結合され、2つのパウチ型バッテリーセルがバスバーに接続される過程を示す図であり、
図4は、本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニットに備えられたパウチ型バッテリーセルとセルカバーの分離斜視図であり、
図5は、
図4のパウチ型バッテリーセルとセルカバーの結合断面図であり、
図6は、
図4のパウチ型バッテリーセルとセルカバーが結合された部分斜視図であり、ガス排気口を示しており、
図7は、
図4のパウチ型バッテリーセルとセルカバーが結合された側断面図であり、ガスの排気経路であるディレクショナルベント部を示している。
【0041】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニット15は、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー300とを含む。
【0042】
パウチ型バッテリーセル100は、パウチ型二次電池であり、電極組立体、電解質及びパウチ外装材を含むことができる。このようなパウチ型バッテリーセル100は、バッテリーモジュール(図示せず)及びバッテリーパック10(
図8を参照)に複数含まれ得る。また、このような複数のパウチ型バッテリーセル100は、少なくとも一方向に積層され得る。
【0043】
図1から
図3を参照すると、セルカバー300は、パウチ型バッテリーセル100を少なくとも部分的に取り囲むように設けられ得る。例えば、セルカバー300は、少なくとも一部パウチ型バッテリーセル100の両側面と上側を取り囲むように構成され得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0044】
また、セルカバー300は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側が外部に露出するように、パウチ型バッテリーセル100を部分的に取り囲むように構成され得る。
【0045】
セルカバー300は、パウチ型バッテリーセル100を起立した状態で支持するように構成され得る。パウチ型バッテリーセル100は、一般に上下方向に起立した形態で積層させることが容易でない。しかしながら、本発明によるバッテリーセルユニット15に備えられたセルカバー300は、1つ又はそれ以上のパウチ型バッテリーセル100を取り囲みながら、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の起立した状態、すなわち、起立状態を維持するように構成され得る。
【0046】
セルカバー300は、多様な数のパウチ型バッテリーセル100をともに取り囲むように構成され得る。例えば、セルカバー300は、1つのパウチ型バッテリーセル100をともに取り囲むように構成され得る。或いは、2つのパウチ型バッテリーセル100をともに取り囲むように構成され、又は3つ以上のパウチ型バッテリーセル100をともに取り囲むようにも構成され得る。
【0047】
セルカバー300は、複数のパウチ型バッテリーセル100の積層状態を支持するように構成され得る。特に、複数のパウチ型バッテリーセル100は、起立した状態で水平方向に積層され、セルカバー300は、複数のパウチ型バッテリーセル100を起立した状態で安定して支持するように構成され得る。
【0048】
図1から
図4を参照すると、セルカバー300は、略n字状に形成され得る。このとき、セルカバー300の前方、後方及び下方は開放され得る。
【0049】
ただし、セルカバー300の形状が略n字状に限定されるものではない。セルカバー300は、多様な形状に形成され、例えば、セルカバー300は、「ロ」字状、「U」字状又は「O」字状などに形成され得る。
【0050】
また、セルカバー300は、金属材料から製作され得る。特に、セルカバー300は、鋼材、例えばステンレス鋼(Stainless Steel、SUS)材から製作され得る。
【0051】
この場合、ステンレス鋼材は、機械的強度及び剛性に優れ、アルミニウム材料に比べて融点が高いため、いずれかのバッテリーセル100で火炎が発生しても、火炎などによってセルカバー300が溶融することをより効果的に防止することができる。
【0052】
すなわち、パウチ型バッテリーセル100の損傷や破損をより効果的に防止するだけでなく、パウチ型バッテリーセル100の取り扱いをより容易にすることができる。ただし、セルカバー300の材料がこれらに限定されるものではない。
【0053】
セルカバー300は、パウチ型バッテリーセル100と少なくとも部分的に接着し得る。また、パウチ型バッテリーセル100とパックケース200との間、及びセルカバー300とパックケース200との間のうちの少なくとも1つには、サーマルレジン400(
図5及び
図6を参照)が介在され得る。
【0054】
また、本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニット15は、バスバー700(
図3を参照)を含むことができる。バスバー700は、1つ以上のパウチ型バッテリーセル100の電極リードに接続し得る。
【0055】
特に、バスバー700は、複数の電極リードを連結し、複数のバッテリーセル100間を直列又は並列に接続することができる。例えば、それぞれのパウチ型バッテリーセル100の前方及び後方には電極リードが位置し得る。このとき、バスバー700は、このようなバッテリーセル100の前方及び後方に位置し、電極リードの間を連結することができる。
【0056】
バスバー700は、銅やアルミニウムのような電気伝導性材料から構成され、電極リードに直接接触し得る。
【0057】
図4及び
図5を参照すると、セルカバー300は、パウチ型バッテリーセル100から離隔されるように構成され、またセルカバー300には、熱イベントが発生した際にパウチ型バッテリーセル100から噴出されるパーティクルを捕集するように構成されたパーティクルポケット部320が形成され得る。
【0058】
パーティクルポケット部320は、セルカバー300の多様な位置に形成され得る。例えば、パーティクルポケット部320は、セルカバー300の上側に形成され得るが、これに限定されるものではない。
【0059】
パーティクルポケット部320は、例えば、セルカバー300の上側でセルカバー300の幅方向に沿った両サイド部315、317が中心部316よりも上部方向にさらに突出するように形成され得る。このような構成によって、セルカバー300の内部に、パウチ型バッテリーセル100の上側に予め設定された空間を形成することができる。
【0060】
また、パーティクルポケット部320は、熱イベントが発生した際にパウチ型バッテリーセル100から噴出されるパーティクルを捕集するように構成される。
【0061】
すなわち、パーティクルポケット部320は、セルカバー300の両サイド部315、317が突出し、突出した部分の内部に予め設定された空間が形成され、その空間を介して熱イベントが発生した際にバッテリーセル100から噴出される高温の粉塵、パーティクルなどを捕集するように構成され得る。ここで、パーティクルは、バッテリーセル100の内部の電極から脱離した活物質や溶融したアルミニウム粒子などを意味し得る。
【0062】
高温の粉塵、パーティクルなどは、火災の三要素である可燃物質、点火源及び酸素のうち点火源として作用するため、これらがセルカバー300の外部で可燃物質と酸素に接触すると発火し、パックケース200の内部に火炎が急速に広がるようになる。このため、高温の粉塵、パーティクルなどがセルカバー300の外部に排出されることを防止する必要がある。
【0063】
本実施形態に係るセルカバー300は、パーティクルポケット部320を備え、高温の粉塵、パーティクルなどを捕集することができる。これによると、あるパウチ型バッテリーセル100で熱イベントが発生しても、パックケース200の内部の他のバッテリーセル100や電装部品に急速に火炎などが伝播することを防止することができる。
【0064】
図4及び
図5をともに参照すると、例えば、パーティクルポケット部320は、セルカバー300の上側に形成され、このような形状によって、セルカバー300の上側とサーマルレジン400との接触面積が増加し得る。この場合、セルカバー300の外部への熱伝導率が増大し、冷却効率が向上するという効果がある。
【0065】
すなわち、
図5を参照すると、セルカバー300の上側は、サーマルレジン400を介して熱容量の大きいパックケース200と熱的に接続し得る。このとき、サーマルレジン400がセルカバー300上側の凹状の中央領域に充填されるため、セルカバー300とサーマルレジン400の接触面積が増大し得る。また、これによって放熱性能が向上するという効果がある。
【0066】
図7を参照すると、パーティクルポケット部320の内側にはメッシュ部材321が形成され得る。メッシュ部材321は、複数枚の多孔性金属板を重畳した形態で設けられ、フレームアレスター(flame arrester)のような機能をするように構成され得る。
【0067】
このような構成によると、パーティクルポケット部320内における火炎、高温の粉塵、パーティクルなどの移動がさらに制限され、他のバッテリーセル100への火炎の伝播を防止することができる。
【0068】
図7を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニット15において、セルカバー300にディレクショナルベント部330が形成され得る。ディレクショナルベント部330は、ベントガスを誘導して予め設定された方向に排出させるように構成される。
【0069】
セルカバー300にサーマルレジン400が結合される場合、
図6でのように、セルカバー300には、サーマルレジン400が結合された部分と、サーマルレジン400が結合されていない部分とが存在する。
【0070】
また、セルカバー300でサーマルレジン400が結合されていない部分にガス排気口331が形成され得る。例えば、ガス排気口331は、セルカバー300の下部に形成され得る。また、パウチ型バッテリーセル100とセルカバー300との間に移動通路332(
図7を参照)が形成され得る。
【0071】
この場合、ディレクショナルベント部330は、上述したガス排気口331と移動通路332とを含み、
図7の矢印を参照すると、パウチ型バッテリーセル100で発生したガスは、移動通路332を介して移動し、セルカバー300の下側方向のガス排気口331を介して外部に排出され得る。
【0072】
図7を参照すると、パウチ型バッテリーセル100でベントガスが発生した場合、ベントガスは、パーティクルポケット部320に沿ってセルカバー300の前方又は後方に移動し得る。このとき、パーティクルや火炎は、パーティクルポケット部320に備えられたメッシュ部材321を通過できず、ベントガスはメッシュ部材321を通過して、移動通路332とガス排気口331とを含むディレクショナルベント部330を介して排出され得る。
【0073】
このように、セルカバー300にディレクショナルベント部330が形成されると、バッテリーセルユニット15に含まれたいずれかのバッテリーセル100でガスが発生した場合、前記ガスは、隣接する他のバッテリーセル100に伝播することなく、ディレクショナルベント部330を介してパックケース200の下部方向に排出され得る。
【0074】
すなわち、本発明のこのような実施形態によれば、ガス及び火炎などを誘導し、ディレクショナルベント部330を介してパックケース200の外部に排出することができるため、ディレクショナルベントを容易に具現できるという効果がある。
【0075】
したがって、本発明の一実施形態に係るバッテリーセルユニット15は、熱イベントが発生した状況において、パウチ型バッテリーセル100の熱暴走伝播を防止及び抑制するという効果がある。
【0076】
図8は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの概略的な分離斜視図である。
【0077】
本発明の一実施形態に係るバッテリーパック10は、バッテリーモジュール(図示せず)を除去してバッテリーセル100をバッテリーパック10のパックケース200に直接収納するように設けられる。
【0078】
これによると、バッテリーパック10内でバッテリーモジュール(図示せず)のモジュールケースなどが占めていた空間にバッテリーセル100をさらに収納できるため、空間効率性が増大し、バッテリー容量が向上するという効果がある。すなわち、本発明において、バッテリーモジュール(図示せず)のモジュールケースは、構成に含まれないこともある
【0079】
ただし、モジュールケースを使用する実施形態を排除するものでなく、必要に応じて、バッテリーモジュール(図示せず)に備えられたモジュールケースに本発明の各実施形態のパウチ型バッテリーセル100が収納されるように構成することもできる。
【0080】
すなわち、本発明の各実施形態におけるセルカバー300が結合されたパウチ型バッテリーセル100が備えられたバッテリーモジュール(図示せず)も本発明の権利範囲内に属する。
【0081】
また、本明細書で単にバッテリーセル100と記載された場合においても、前記バッテリーセル100はパウチ型バッテリーセル100を意味する。
【0082】
図8を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック10は、バッテリーセルユニット15とパックケース200を含む。バッテリーセルユニット15に関する説明は上述した説明に置き換える。
【0083】
また、パックケース200は、内部に空の空間が形成され、このような内部空間にパウチ型バッテリーセル100とセルカバー300とを含むバッテリーセルユニット15を収納することができる。特に、本発明において、バッテリーセルユニット15はパックケース200に直接的に安着し得る。
【0084】
図8を参照すると、セルカバー300は、パックケース200の上部表面に直接安着し得る。例えば、セルカバー300の下端部は、パックケース200の上部表面に直接接触して安着し得る。
【0085】
特に、セルカバー300とパウチ型バッテリーセル100は、別のモジュールケースに収納されず、パックケース200に直ちに安着し得る。ただし、上述したように、モジュールケースに安着してモジュール化される実施形態を除外するものではない。
【0086】
これによると、バッテリーパック10の冷却性能をより効果的に確保することができる。特に、パウチ型バッテリーセル100がパックケース200に対面接触し得るため、それぞれのパウチ型バッテリーセル100から放出された熱がパックケース200に直接伝達され、冷却性能を向上させることができる。
【0087】
また、セルカバー300は、取り囲まれたパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一側がバッテリーパック10の底面に向かって露出するように構成され得る。
【0088】
また、複数のパウチ型バッテリーセル100の少なくとも一部のパウチ型バッテリーセル100を取り囲むように構成されたセルカバー300は、パックケース200の内部空間に収納され得る。
【0089】
また、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック10は、パウチ型バッテリーセル100の充放電を制御するように構成された制御モジュールをさらに含むことができる。
図8を参照すると、このような制御モジュールは、バッテリー管理システム500(Battery Management System、BMS)とバッテリー遮断ユニット600を含むことができ、バッテリーセル100及びセルカバー300とともに、パックケース200の内部に収納され得る。
【0090】
また、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック10は、セルカバー300の開放部分に結合されるエンドプレート(図示せず)をさらに含むことができる。例えば、セルカバー300は、電極リードが備えられた前方及び後方側が開放され得る。また、このようなセルカバー300の開放部分にエンドプレート(図示せず)が結合し得る。さらに、エンドプレート(図示せず)には、ベントのための孔や切開部などが形成され得る。
【0091】
また、セルカバー300に複数のバッテリーセル100が収容される場合、バッテリーセル100間の分離構造をさらに含むことができる。
【0092】
一方、いずれかのバッテリーセルユニットで発生するベントガスは、予め設定された方向に排出され得るため、熱イベントが発生した際にベントガス移動の方向性を予測することが可能であり、これによって、他のバッテリーセルユニットに熱損傷を与えないとともに、より安全にベントガスを外部に排出できるという効果がある。
【0093】
図9は、本発明の各実施形態に係るバッテリーパックを含む自動車を説明するための図である。
【0094】
本発明の一実施形態に係る自動車20は、上述した各実施形態に係るバッテリーパック10を1つ以上含むことができる。ここで、前記自動車20は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車のような電気を使用するように設けられる各種の自動車20を含む。
【0095】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的な思想と下記の特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、バッテリーセルユニット、これを含むバッテリーパック及び自動車に関し、特に、二次電池に関する産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 バッテリーパック
15 バッテリーセルユニット
20 自動車
100 パウチ型バッテリーセル
200 パックケース
300 セルカバー
315、317 サイド部
316 中心部
320 パーティクルポケット部
321 メッシュ部材
330 ディレクショナルベント部
331 ガス排気口
332 移動通路
400 サーマルレジン
500 バッテリー管理システム
600 バッテリー遮断ユニット
700 バスバー
【国際調査報告】